JP2004162807A - リード型電磁駆動弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】流体圧力の増加に比例して流体流量を直線的に増加させることができ、しかも高耐久性と流体清浄性を有するリード型電磁駆動弁を開発する。
【解決手段】本発明に係るリード型電磁駆動弁2は、一端が弁室壁面に固定された固定部36bとなり他端に磁気吸引用のヘッド34aを有して可撓部36aで出口孔10aを開閉する弾性板状のリード36を弁室内に設け、出口孔位置と固定部の間にあるリード中間部36cにリード36の弾性湾曲を容易にする湾曲促進部36eを設け、前記ヘッド34aを磁気吸引する電磁石装置3を弁室外に配置し、消磁状態で弾性によりリード36が出口孔10aを密着閉鎖して流体の流出を遮断し、励磁状態では電磁石装置3がヘッド34aを磁気吸引してリード36が湾曲促進部36eで湾曲して出口孔10aを開放し流体を出口孔10aへと流出させることを特徴としている。湾曲促進部36eの実施例として厚板・薄板の段差構造や、1個以上の透孔38cや、切欠部38d等がある。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係るリード型電磁駆動弁2は、一端が弁室壁面に固定された固定部36bとなり他端に磁気吸引用のヘッド34aを有して可撓部36aで出口孔10aを開閉する弾性板状のリード36を弁室内に設け、出口孔位置と固定部の間にあるリード中間部36cにリード36の弾性湾曲を容易にする湾曲促進部36eを設け、前記ヘッド34aを磁気吸引する電磁石装置3を弁室外に配置し、消磁状態で弾性によりリード36が出口孔10aを密着閉鎖して流体の流出を遮断し、励磁状態では電磁石装置3がヘッド34aを磁気吸引してリード36が湾曲促進部36eで湾曲して出口孔10aを開放し流体を出口孔10aへと流出させることを特徴としている。湾曲促進部36eの実施例として厚板・薄板の段差構造や、1個以上の透孔38cや、切欠部38d等がある。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば自動販売機等で使用される冷媒液等の流体を断続制御する電磁駆動弁に関し、更に詳細には、入口孔から弁室を介して出口孔に流体を流通制御する場合に、電磁石装置の励磁と消磁を通して片持ち梁により出口孔を開閉制御して、電力消費量の低減と同時に弁開時における入口側圧力と流量の直線性を確保し、耐久性の向上と流体の清浄性を保持できるリード型電磁駆動弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種飲料の自動販売機は24時間連続運転しながら飲料ボトルを需要者に提供するため、照明や冷媒制御用に消費される電力は過剰になりがちである。自動販売機の総数は年々増大しているから、1台あたりの電力消費量を少しでも低減できれば、電力の省エネルギー化に貢献することができる。
【0003】
そこで、冷媒制御に消費される電力を低減させるために、弁装置全体の容積を低減させ、しかも開閉制御の機構を簡素化させる技術開発が行なわれている。その一つとして特開2001−27350に示されるリード型電磁駆動弁が開示されている。
【0004】
図12はこの従来のリード型電磁駆動弁の非通電時における遮断状態の断面図である。強磁性材料で形成されたケーシング102の中は弁チャンバ(弁室)Cとなっており、この弁チャンバCの中には中央支持部121に巻回されたコイル101が配置されている。コイル101には通電用の電極端子T、Tが接続されている。
【0005】
ケーシング102には大径の入口通路103と小径の出口通路104が穿設されており、出口通路104の内端は弁チャンバCに連通する出口孔141となっている。この出口孔141を閉鎖するように配置されたリード107は弾性板状の金属片で形成されている。
【0006】
リード107の一端(固定部)はボルト108により弁座表面109に固定され、リード107の他端(自由端)には強磁性材料から形成されたピストン106が固定され、このピストン106は凹状のシリンダ105の中を出入自在に配置されている。
【0007】
図13は従来のリード型電磁駆動弁の通電時における流通状態の断面図である。前記電極端子T、Tに電圧を印加してコイル101に電流を流すと、中央支持部121及びケーシング102の中を矢印方向に磁束が流れ、中央支持部121の吸引端121aは電磁石の磁極となる。
【0008】
強磁性金属からなるピストン106は電磁石の前記吸引端121aに電磁吸引され、シリンダ105の中を吸引端121aに接触する位置まで移動する。その結果、リード107と出口孔141の間に流体流通用の隙間が形成されて、電磁弁は開放される。
【0009】
流体は入口通路103から矢印IN方向に流入し、前記隙間から出口孔141へと流通して出口通路104から矢印OUT方向に流出してゆく。つまり、このリード型電磁駆動弁は非通電状態ではリード107の弾性力により出口孔141を密着閉鎖して流体を遮断し、通電状態ではリード107を電磁吸引して出口孔141を開放し流体を流通させる開閉作用を奏する。
【0010】
このリード型電磁駆動弁は電磁石のオン・オフによりリード107を開閉制御するから、リード107のサイズを小さく設計することにより小電力で流体を断続制御できる利点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来のリード型電磁駆動弁は次のような弱点を有している。リード107は金属片から形成された弾性板をボルト108により固定した片持ち梁であり、ボルト108を支点として湾曲することにより隙間が形成される。
【0012】
吸引端121aを電磁吸引できるように吸引端121aとリード107の間隔は小さく設計されており、しかもリード107は等しい厚みを有した金属弾性板であるから本来湾曲し難い性質を有している。従って、通電時に出口孔141の近傍に形成される隙間は容積的に極めて小さい。
【0013】
通電によってこの小さな隙間が形成されると、流体はこの隙間に流入して弁は開放され流通状態となる。しかし、流体はリード107の上面にある大きな空間、即ち電磁石側にも流入し、この流体圧によりリード107の上面が押圧され、流通状態にある出口孔141を同時に閉鎖しようとする作用も働いている。つまり完全な流通状態が保証されないと考えられる。
【0014】
図14は従来のリード型電磁駆動弁による流量と入口側圧力の関係図である。リード107が完全に理想的に開放されていれば、入口側圧力Pを増加させてゆくとそれに比例して流体流量Qは直線的に増加すると考えられる。この理想直線(Ideal)は想像線で画かれている。
【0015】
このリード型電磁駆動弁を用いて実際に流体制御を行なった。入口側圧力PをMPa単位で増加させながら流通する流体流量QをLPM単位(リットル毎分)で測定したところ、実線で示される曲線が得られた。
【0016】
流体の圧力Pが小さい領域では、流量Qは圧力Pに比例して増加している。ところが、圧力Pが大きくなるに従って、流量Qが理想直線よりかなり小さくなり、圧力Pが大きな領域では期待される直線特性は全く得られないことが分った。
【0017】
この理由は、前述したように、圧力が大きくなると、流体が出口孔141の小さな隙間に流入するだけでなく、大量の流体がリード107の上側に流入し、リード107の上下面の圧力差により出口孔141を閉鎖方向に移動させる傾向を有する。
【0018】
更に、従来のリード型電磁駆動弁の欠点は、コイル101や中央支持部121が弁チャンバCの中に配置されていることである。この弁チャンバCには流体が流入するから、清浄であるべき流体がコイル101や中央支持部121と常時接触することになる。
【0019】
この接触過程でコイルが流体によって腐食されると、コイルの材料成分が流体中に溶解し、清浄であるべき流体中に不純物が混入するため、冷媒などの流体の安定動作が低下する。しかも通電作用によってコイルの腐食が急速に進行し、リード型電磁駆動弁の耐久性も急速に低下する。
【0020】
従って、本発明は、流体の断続制御を確実に行なうだけでなく、流体圧力の増加に比例して流体流量を直線的に増加させることができ、しかも高耐久性を保証しながら流体の清浄性を保持できるリード型電磁駆動弁を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るリード型電磁駆動弁は上記欠点を解消するためになされたものであり、第1の発明は、一端が弁室壁面に固定された固定部となり他端に磁気吸引用のヘッドを有して可撓部で出口孔を開閉する弾性板状のリードを弁室内に設け、出口孔位置と固定部の間にあるリード中間部にリードの弾性湾曲を容易にする湾曲促進部を設け、しかも前記ヘッドを磁気吸引する電磁石装置を弁室外に配置する構成にしたから、電磁石により前記ヘッドが電磁吸引されたときにリードが湾曲促進部で大きく湾曲して出口孔近傍に形成される隙間が大きくなり、流体圧力が増加してもこの隙間が保持されるために流体流量が比例的に増加することができ、また電磁石装置を弁室外に配置したから電磁石装置が流体と接触せず、装置の高耐久性を保証しながら流体の清浄性を保持することができる。
【0022】
第2の発明は、弁室を囲繞する弁室壁において、ヘッドが対向する領域の弁室壁を薄く形成して吸引窓部とし、この吸引窓部を介して電磁石装置によりヘッドを磁気吸引する構成を採用したから、電磁石装置を弁室外に配置しても、電磁石からの磁力が吸引窓を介してヘッドに効率的に作用し、電磁弁の開閉動作を確実にすることができる。
【0023】
第3の発明は、リードに形成される湾曲促進部の具体的構成を与えるもので、弁室壁面に固定されたリード固定部の肉厚を厚くして厚板部とし、この厚板部から連続するリード中間部の肉厚を薄くして薄板部とし、薄板部の根元付近を湾曲促進部として利用するから、薄板部の根元付近の柔軟性が高くなる特性を積極的に活用して流量と圧力の直線性を確保できる。
【0024】
第4の発明は、リードに形成される湾曲促進部の他の具体的構成を与えるもので、リード中間部に1個以上の透孔を穿設して透孔近傍を湾曲促進部とするから、この透孔近傍のリード断面積が小さくなることによって湾曲特性が飛躍的に向上し、しかも湾曲時に透孔を介して流体が出口孔近傍の隙間に流入し易くなり、流体圧力が増加しても湾曲特性を保持することができる。
【0025】
第5の発明は、リードに形成される湾曲促進部の更に他の具体的構成を与えるもので、リード中間部の両側に切欠部を形成して切欠部近傍を湾曲促進部とするから、切欠部近傍のリードの断面積が小さくなることによって湾曲特性が飛躍的に向上するものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るリード型電磁駆動弁の実施形態を添付する図面に従って詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明に係るリード型電磁駆動弁の流通状態の断面図である。リード型電磁駆動弁2は電磁石装置3と弁本体4から構成される。弁本体4には、大径の入口孔6aを有する入口通路6が形成され、この入口通路6にはフィルタ作用をするストレーナ9を介して供給管8が配管されている。また、弁本体4には小径の出口孔10aを有する出口通路10が形成され、この出口通路10には送出管12が配管されている。
【0028】
弁本体4の右端には逆L字型のヨーク14がボルト16、16により固定されている。このヨーク14には強磁性材料から形成された軸18がボルト20により固定され、軸18の下端は電磁石装置3の吸引端となる。コイル24が巻回されたコイルケース22は軸18に外嵌され、吸引端18aとヨーク14の間に固定される。
【0029】
弁本体4には本体ケース26が外嵌され、両部材4、26により弁室30が形成される。本体ケース26の前記吸引端18aに対向する領域は他より肉厚が薄く形成された吸引窓部26aとなり、電磁石装置3の吸引端18aから磁力がこの吸引窓部26aを介して弁室30の中に作用するように構成されている。
【0030】
弁室30の中にはシリンダ32が形成され、このシリンダ32の中を上下に移動可能なピストン34が配置されている。リード36は金属弾性板から形成され、リード36の一端はリード押え40を積層してボルト42、42により弁室壁面に固定されている。
【0031】
このリード押え40の全長に亘ってリード36が弁室壁面に固定されてリード36の固定部36bとなり、この固定部36bに連続した領域が可撓部36aとなる。特に、可撓部36aの中でも、固定部36bと出口孔10aの間にある領域をリード中間部36cと云い、このリード中間部36cの固定部近傍領域にリードが容易に湾曲するように湾曲促進部36eが形成されている。この詳細は後述する。
【0032】
前記ピストン34は、リード36の他端にヘッド34aを嵌め込み、リング34bを外嵌した後にヘッド34aの端部をカシメて固定されている。つまり、リード36の他端はピストン34が上下動する自由端となる。
【0033】
コイル24に通電して電磁石装置3を励磁すると、軸18の吸引端18aが磁極となり、吸引窓部26aを介してヘッド34aに磁力が作用し、ヘッド34aが吸引窓部26aに接触する位置まで磁気吸引されて上動する。
【0034】
ヘッド34aが上動すると、リード36の可撓部36aは湾曲促進部36eで大きく湾曲し、リード中間部36cと出口孔10aの間に比較的大きな隙間44が形成される。この隙間44が形成されると、流体は入口孔6aから弁室30へと矢印a方向に流入し、更に隙間44から出口孔10aへと矢印b方向に流出してゆく。
【0035】
湾曲促進部36eの存在によって隙間44が比較的大きく形成されるから、流体は十分に隙間44に流入し、同時に流体がリード36の上面に回り込んでも、リード36に作用する流体圧はうまく相殺される。従って、出口孔10aは完全に開放された状態を保持でき、流体の入口側圧力Pを増加させるとそれに比例して出口孔10aを通過する流体流量Qも増加する。即ち、流量Qと圧力Pの間に線形性が確保される。
【0036】
図2は本発明に係るリード型電磁駆動弁の遮断状態の断面図である。コイル24に電流が流れない場合には電磁石装置3は消磁され、リード36はその材料自体が有する弾性力により元の状態に復帰し、リード中間部36cが出口孔10aを密着閉鎖する。従って、リード型電磁駆動弁2は閉鎖状態となって流体の流れを遮断する。
【0037】
図3はこのリード型電磁駆動弁2の平面図であり、図4はその側面図である。コイルケース22の直径はヨーク14の幅より大きく、ヨーク14の左右にコイルケース22やコイル24が突出していることが分かる。
【0038】
図5は本発明に係るリード型電磁駆動弁2に用いられるリード36の第1実施例の説明図である。(5A)ではリード36は金属弾性板を2枚積層して構成されている。2枚積層した厚板部38bが固定部36bとなり、1枚だけの薄板部38aが可撓部36aに相当する。
【0039】
薄板部38aは全体に柔軟性が高く、特に薄板部38aの根元付近が湾曲促進部36eとなる。厚板部38bには締付孔36fが穿孔され、薄板部38aにはピストン固定孔36dが穿孔されている。
【0040】
(5B)では、1枚の金属弾性板から厚板部38bと薄板部38aを構成しており、薄板部38aの根元付近に湾曲促進部36eが形成される。(5C)は平面図であり、湾曲促進部36eはリード中間部36cに位置している。リード中間部36cは、可撓部36aの中で固定部36bと出口孔10aの間の領域を意味している。
【0041】
図6は図5に示すリードを用いたリード型電磁駆動弁の要部断面図である。ヘッド34が吸引端18aに電磁吸着され、リード36が湾曲促進部36eで大きく湾曲し、その結果大きな隙間44が形成されて弁が完全に開放状態にあることが示されている。
【0042】
図7は本発明に係るリード型電磁駆動弁2に用いられるリード36の第2実施例の説明図である。(7A)は断面図であり、(7B)は平面図である。1個以上の透孔38cがリード中間部36cに形成され、透孔36cの面積分だけリード36の断面積が小さくなり、その結果透孔36cが形成された領域が湾曲促進部36eとなる。透孔38cのサイズと個数を変えることによって湾曲性を可変調整することが可能である。
【0043】
図8は図7に示すリード36を用いたリード型電磁駆動弁2の要部断面図である。ヘッド34が吸引端18aに電磁吸着され、リード36が湾曲促進部36eで大きく湾曲し、その結果大きな隙間44が形成され、弁が完全に開放状態にあることが示されている。
【0044】
図9は本発明に係るリード型電磁駆動弁に用いられるリードの第3実施例の説明図である。(9A)はリード36の断面図、(9B)はリード36の平面図である。この実施例では、リード中間部36cに切欠部38d、38dを形成し、この切欠部38dが形成された領域が湾曲促進部36eになることを示している。切欠部38dの面積分だけリード36の断面積が小さくなることによって湾曲し易くなる。切欠部38dの大きさによって湾曲性を可変調整できる。
【0045】
図10は、図9に示すリード36を用いたリード型電磁駆動弁2の要部断面図である。ヘッド34が吸引端18aに電磁吸着され、リード36が湾曲促進部36eで大きく湾曲し、その結果大きな隙間44が形成され、弁が完全に開放状態にあることが示されている。
【0046】
図11は本発明に係るリード型電磁駆動弁による流量Qと圧力Pの関係図である。流体の入口側圧力Pを変化させた場合に出口孔を通過する流体の流量Qが測定された。■はリード36を取り外した場合(no lead)を示し、換言すれば完全流通状態が実現されている。□はリード36に段差(step)を設けた第1実施例、●はリード36に透孔38c(hole)を形成した第2実施例、○はリード36に切欠部38d(notch)を形成した第3実施例の場合を示している。
【0047】
リード36を取り外した■が最良の直線性を示すはずである。しかし、リード36を設けて流量調整した3例とも全て直線性が成立することが確認された。従って、リード36に湾曲促進部36eを設けることにより理想的な流量制御が行なえるリード型電磁駆動弁2を提供することができる。
【0048】
また、本発明では、電磁石装置3を弁室30の外側に配置したから、流体が電磁石装置3と接触することがなく、電磁石装置3が流体を原因として腐食することがないから高耐久性を有する。また、流体中に不純物が混入することもないから、流体の清浄性を保持することができる。
【0049】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例・設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることはことは云うまでもない。
【0050】
【発明の効果】
第1の発明によれば、弁室内に配置されて弁体として動作するリードにおいて、出口孔位置と固定部の間にあるリード中間部にリードの弾性湾曲を容易にする湾曲促進部を設けたから、電磁石により前記ヘッドが電磁吸引されたときにリードが湾曲促進部で大きく湾曲して出口孔近傍に形成される隙間が大きくなり、流体圧力が増加してもこの隙間が保持されるために流体流量が圧力に対し直線的に増加することができ、しかも電磁石装置を弁室外に配置したから電磁石装置が流体と接触せず、装置の高耐久性を保証しながら流体の清浄性を保持することができる。
【0051】
第2の発明によれば、弁室を囲繞する弁室壁において、ヘッドが対向する領域の弁室壁を薄く形成して吸引窓部とし、この吸引窓部を介して電磁石装置によりヘッドを磁気吸引する構成を採用したから、電磁石装置を弁室外に配置しても、電磁石からの磁力が吸引窓を介してヘッドに効率的に作用し、電磁弁の開閉動作を確実にすることができる。
【0052】
第3の発明によれば、弁室壁面に固定されたリード固定部の肉厚を厚くして厚板部とし、この厚板部から連続するリード中間部の肉厚を薄くして薄板部とし、薄板部の根元付近を湾曲促進部として利用するから、薄板部の根元付近の柔軟性が高くなる特性を積極的に活用して流量と圧力の直線性を確保できる。
【0053】
第4の発明によれば、リード中間部に1個以上の透孔を穿設して透孔近傍を湾曲促進部とするから、この透孔近傍のリード断面積が小さくなることによって湾曲特性が飛躍的に向上し、しかも湾曲時に透孔を介して流体が出口孔近傍の隙間に流入し易くなり、流量と圧力に直線性を確保できる。
【0054】
第5の発明によれば、リード中間部の両側に切欠部を形成して切欠部近傍を湾曲促進部としたから、切欠部近傍のリードの断面積が小さくなることによって湾曲特性が飛躍的に向上し、湾曲したときに出口孔近傍の隙間が比較的大きくでき、この隙間に流体が流入し易くなり、流量と圧力の間に直線性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリード型電磁駆動弁2の流通状態の断面図である。
【図2】本発明に係るリード型電磁駆動弁2の遮断状態の断面図である。
【図3】リード型電磁駆動弁2の平面図である。
【図4】リード型電磁駆動弁2の側面図である。
【図5】本発明に係るリード型電磁駆動弁2に用いられるリード36の第1実施例の説明図である。
【図6】図6は図5に示すリード36を用いたリード型電磁駆動弁2の要部断面図である。
【図7】本発明に係るリード型電磁駆動弁2に用いられるリード36の第2実施例の説明図である。
【図8】図7に示すリード36を用いたリード型電磁駆動弁2の要部断面図である。
【図9】本発明に係るリード型電磁駆動弁に用いられるリードの第3実施例の説明図である。
【図10】図9に示すリード36を用いたリード型電磁駆動弁2の要部断面図である。
【図11】本発明に係るリード型電磁駆動弁2による流量Qと圧力Pの関係図である。
【図12】従来のリード型電磁駆動弁の非通電時における遮断状態の断面図である。
【図13】従来のリード型電磁駆動弁の通電時における流通状態の断面図である。
【図14】従来のリード型電磁駆動弁による流量と入口側圧力の関係図である。
【符号の説明】
2はリード型電磁駆動弁、3は電磁石装置、4は弁本体、6は入口通路、6aは入口孔、8は供給管、9はストレーナ、10は出口通路、10aは出口孔、12は送出管、14はヨーク、16はボルト、18は軸、18aは吸引端、20はボルト、22はコイルケース、24はコイル、26は本体ケース、26aは吸引窓部、30は弁室、32はシリンダ、34はピストン、34aはヘッド、34bはリング、36はリード、36aは可撓部、36bは固定部、36cはリード中間部、36dはピストン固定孔、36eは湾曲促進部、36fは締付孔、38aは薄板部、38bは厚板部、38cは透孔、38dは切欠部、40はリード押え、42はボルト、44は隙間。
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば自動販売機等で使用される冷媒液等の流体を断続制御する電磁駆動弁に関し、更に詳細には、入口孔から弁室を介して出口孔に流体を流通制御する場合に、電磁石装置の励磁と消磁を通して片持ち梁により出口孔を開閉制御して、電力消費量の低減と同時に弁開時における入口側圧力と流量の直線性を確保し、耐久性の向上と流体の清浄性を保持できるリード型電磁駆動弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種飲料の自動販売機は24時間連続運転しながら飲料ボトルを需要者に提供するため、照明や冷媒制御用に消費される電力は過剰になりがちである。自動販売機の総数は年々増大しているから、1台あたりの電力消費量を少しでも低減できれば、電力の省エネルギー化に貢献することができる。
【0003】
そこで、冷媒制御に消費される電力を低減させるために、弁装置全体の容積を低減させ、しかも開閉制御の機構を簡素化させる技術開発が行なわれている。その一つとして特開2001−27350に示されるリード型電磁駆動弁が開示されている。
【0004】
図12はこの従来のリード型電磁駆動弁の非通電時における遮断状態の断面図である。強磁性材料で形成されたケーシング102の中は弁チャンバ(弁室)Cとなっており、この弁チャンバCの中には中央支持部121に巻回されたコイル101が配置されている。コイル101には通電用の電極端子T、Tが接続されている。
【0005】
ケーシング102には大径の入口通路103と小径の出口通路104が穿設されており、出口通路104の内端は弁チャンバCに連通する出口孔141となっている。この出口孔141を閉鎖するように配置されたリード107は弾性板状の金属片で形成されている。
【0006】
リード107の一端(固定部)はボルト108により弁座表面109に固定され、リード107の他端(自由端)には強磁性材料から形成されたピストン106が固定され、このピストン106は凹状のシリンダ105の中を出入自在に配置されている。
【0007】
図13は従来のリード型電磁駆動弁の通電時における流通状態の断面図である。前記電極端子T、Tに電圧を印加してコイル101に電流を流すと、中央支持部121及びケーシング102の中を矢印方向に磁束が流れ、中央支持部121の吸引端121aは電磁石の磁極となる。
【0008】
強磁性金属からなるピストン106は電磁石の前記吸引端121aに電磁吸引され、シリンダ105の中を吸引端121aに接触する位置まで移動する。その結果、リード107と出口孔141の間に流体流通用の隙間が形成されて、電磁弁は開放される。
【0009】
流体は入口通路103から矢印IN方向に流入し、前記隙間から出口孔141へと流通して出口通路104から矢印OUT方向に流出してゆく。つまり、このリード型電磁駆動弁は非通電状態ではリード107の弾性力により出口孔141を密着閉鎖して流体を遮断し、通電状態ではリード107を電磁吸引して出口孔141を開放し流体を流通させる開閉作用を奏する。
【0010】
このリード型電磁駆動弁は電磁石のオン・オフによりリード107を開閉制御するから、リード107のサイズを小さく設計することにより小電力で流体を断続制御できる利点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来のリード型電磁駆動弁は次のような弱点を有している。リード107は金属片から形成された弾性板をボルト108により固定した片持ち梁であり、ボルト108を支点として湾曲することにより隙間が形成される。
【0012】
吸引端121aを電磁吸引できるように吸引端121aとリード107の間隔は小さく設計されており、しかもリード107は等しい厚みを有した金属弾性板であるから本来湾曲し難い性質を有している。従って、通電時に出口孔141の近傍に形成される隙間は容積的に極めて小さい。
【0013】
通電によってこの小さな隙間が形成されると、流体はこの隙間に流入して弁は開放され流通状態となる。しかし、流体はリード107の上面にある大きな空間、即ち電磁石側にも流入し、この流体圧によりリード107の上面が押圧され、流通状態にある出口孔141を同時に閉鎖しようとする作用も働いている。つまり完全な流通状態が保証されないと考えられる。
【0014】
図14は従来のリード型電磁駆動弁による流量と入口側圧力の関係図である。リード107が完全に理想的に開放されていれば、入口側圧力Pを増加させてゆくとそれに比例して流体流量Qは直線的に増加すると考えられる。この理想直線(Ideal)は想像線で画かれている。
【0015】
このリード型電磁駆動弁を用いて実際に流体制御を行なった。入口側圧力PをMPa単位で増加させながら流通する流体流量QをLPM単位(リットル毎分)で測定したところ、実線で示される曲線が得られた。
【0016】
流体の圧力Pが小さい領域では、流量Qは圧力Pに比例して増加している。ところが、圧力Pが大きくなるに従って、流量Qが理想直線よりかなり小さくなり、圧力Pが大きな領域では期待される直線特性は全く得られないことが分った。
【0017】
この理由は、前述したように、圧力が大きくなると、流体が出口孔141の小さな隙間に流入するだけでなく、大量の流体がリード107の上側に流入し、リード107の上下面の圧力差により出口孔141を閉鎖方向に移動させる傾向を有する。
【0018】
更に、従来のリード型電磁駆動弁の欠点は、コイル101や中央支持部121が弁チャンバCの中に配置されていることである。この弁チャンバCには流体が流入するから、清浄であるべき流体がコイル101や中央支持部121と常時接触することになる。
【0019】
この接触過程でコイルが流体によって腐食されると、コイルの材料成分が流体中に溶解し、清浄であるべき流体中に不純物が混入するため、冷媒などの流体の安定動作が低下する。しかも通電作用によってコイルの腐食が急速に進行し、リード型電磁駆動弁の耐久性も急速に低下する。
【0020】
従って、本発明は、流体の断続制御を確実に行なうだけでなく、流体圧力の増加に比例して流体流量を直線的に増加させることができ、しかも高耐久性を保証しながら流体の清浄性を保持できるリード型電磁駆動弁を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るリード型電磁駆動弁は上記欠点を解消するためになされたものであり、第1の発明は、一端が弁室壁面に固定された固定部となり他端に磁気吸引用のヘッドを有して可撓部で出口孔を開閉する弾性板状のリードを弁室内に設け、出口孔位置と固定部の間にあるリード中間部にリードの弾性湾曲を容易にする湾曲促進部を設け、しかも前記ヘッドを磁気吸引する電磁石装置を弁室外に配置する構成にしたから、電磁石により前記ヘッドが電磁吸引されたときにリードが湾曲促進部で大きく湾曲して出口孔近傍に形成される隙間が大きくなり、流体圧力が増加してもこの隙間が保持されるために流体流量が比例的に増加することができ、また電磁石装置を弁室外に配置したから電磁石装置が流体と接触せず、装置の高耐久性を保証しながら流体の清浄性を保持することができる。
【0022】
第2の発明は、弁室を囲繞する弁室壁において、ヘッドが対向する領域の弁室壁を薄く形成して吸引窓部とし、この吸引窓部を介して電磁石装置によりヘッドを磁気吸引する構成を採用したから、電磁石装置を弁室外に配置しても、電磁石からの磁力が吸引窓を介してヘッドに効率的に作用し、電磁弁の開閉動作を確実にすることができる。
【0023】
第3の発明は、リードに形成される湾曲促進部の具体的構成を与えるもので、弁室壁面に固定されたリード固定部の肉厚を厚くして厚板部とし、この厚板部から連続するリード中間部の肉厚を薄くして薄板部とし、薄板部の根元付近を湾曲促進部として利用するから、薄板部の根元付近の柔軟性が高くなる特性を積極的に活用して流量と圧力の直線性を確保できる。
【0024】
第4の発明は、リードに形成される湾曲促進部の他の具体的構成を与えるもので、リード中間部に1個以上の透孔を穿設して透孔近傍を湾曲促進部とするから、この透孔近傍のリード断面積が小さくなることによって湾曲特性が飛躍的に向上し、しかも湾曲時に透孔を介して流体が出口孔近傍の隙間に流入し易くなり、流体圧力が増加しても湾曲特性を保持することができる。
【0025】
第5の発明は、リードに形成される湾曲促進部の更に他の具体的構成を与えるもので、リード中間部の両側に切欠部を形成して切欠部近傍を湾曲促進部とするから、切欠部近傍のリードの断面積が小さくなることによって湾曲特性が飛躍的に向上するものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るリード型電磁駆動弁の実施形態を添付する図面に従って詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明に係るリード型電磁駆動弁の流通状態の断面図である。リード型電磁駆動弁2は電磁石装置3と弁本体4から構成される。弁本体4には、大径の入口孔6aを有する入口通路6が形成され、この入口通路6にはフィルタ作用をするストレーナ9を介して供給管8が配管されている。また、弁本体4には小径の出口孔10aを有する出口通路10が形成され、この出口通路10には送出管12が配管されている。
【0028】
弁本体4の右端には逆L字型のヨーク14がボルト16、16により固定されている。このヨーク14には強磁性材料から形成された軸18がボルト20により固定され、軸18の下端は電磁石装置3の吸引端となる。コイル24が巻回されたコイルケース22は軸18に外嵌され、吸引端18aとヨーク14の間に固定される。
【0029】
弁本体4には本体ケース26が外嵌され、両部材4、26により弁室30が形成される。本体ケース26の前記吸引端18aに対向する領域は他より肉厚が薄く形成された吸引窓部26aとなり、電磁石装置3の吸引端18aから磁力がこの吸引窓部26aを介して弁室30の中に作用するように構成されている。
【0030】
弁室30の中にはシリンダ32が形成され、このシリンダ32の中を上下に移動可能なピストン34が配置されている。リード36は金属弾性板から形成され、リード36の一端はリード押え40を積層してボルト42、42により弁室壁面に固定されている。
【0031】
このリード押え40の全長に亘ってリード36が弁室壁面に固定されてリード36の固定部36bとなり、この固定部36bに連続した領域が可撓部36aとなる。特に、可撓部36aの中でも、固定部36bと出口孔10aの間にある領域をリード中間部36cと云い、このリード中間部36cの固定部近傍領域にリードが容易に湾曲するように湾曲促進部36eが形成されている。この詳細は後述する。
【0032】
前記ピストン34は、リード36の他端にヘッド34aを嵌め込み、リング34bを外嵌した後にヘッド34aの端部をカシメて固定されている。つまり、リード36の他端はピストン34が上下動する自由端となる。
【0033】
コイル24に通電して電磁石装置3を励磁すると、軸18の吸引端18aが磁極となり、吸引窓部26aを介してヘッド34aに磁力が作用し、ヘッド34aが吸引窓部26aに接触する位置まで磁気吸引されて上動する。
【0034】
ヘッド34aが上動すると、リード36の可撓部36aは湾曲促進部36eで大きく湾曲し、リード中間部36cと出口孔10aの間に比較的大きな隙間44が形成される。この隙間44が形成されると、流体は入口孔6aから弁室30へと矢印a方向に流入し、更に隙間44から出口孔10aへと矢印b方向に流出してゆく。
【0035】
湾曲促進部36eの存在によって隙間44が比較的大きく形成されるから、流体は十分に隙間44に流入し、同時に流体がリード36の上面に回り込んでも、リード36に作用する流体圧はうまく相殺される。従って、出口孔10aは完全に開放された状態を保持でき、流体の入口側圧力Pを増加させるとそれに比例して出口孔10aを通過する流体流量Qも増加する。即ち、流量Qと圧力Pの間に線形性が確保される。
【0036】
図2は本発明に係るリード型電磁駆動弁の遮断状態の断面図である。コイル24に電流が流れない場合には電磁石装置3は消磁され、リード36はその材料自体が有する弾性力により元の状態に復帰し、リード中間部36cが出口孔10aを密着閉鎖する。従って、リード型電磁駆動弁2は閉鎖状態となって流体の流れを遮断する。
【0037】
図3はこのリード型電磁駆動弁2の平面図であり、図4はその側面図である。コイルケース22の直径はヨーク14の幅より大きく、ヨーク14の左右にコイルケース22やコイル24が突出していることが分かる。
【0038】
図5は本発明に係るリード型電磁駆動弁2に用いられるリード36の第1実施例の説明図である。(5A)ではリード36は金属弾性板を2枚積層して構成されている。2枚積層した厚板部38bが固定部36bとなり、1枚だけの薄板部38aが可撓部36aに相当する。
【0039】
薄板部38aは全体に柔軟性が高く、特に薄板部38aの根元付近が湾曲促進部36eとなる。厚板部38bには締付孔36fが穿孔され、薄板部38aにはピストン固定孔36dが穿孔されている。
【0040】
(5B)では、1枚の金属弾性板から厚板部38bと薄板部38aを構成しており、薄板部38aの根元付近に湾曲促進部36eが形成される。(5C)は平面図であり、湾曲促進部36eはリード中間部36cに位置している。リード中間部36cは、可撓部36aの中で固定部36bと出口孔10aの間の領域を意味している。
【0041】
図6は図5に示すリードを用いたリード型電磁駆動弁の要部断面図である。ヘッド34が吸引端18aに電磁吸着され、リード36が湾曲促進部36eで大きく湾曲し、その結果大きな隙間44が形成されて弁が完全に開放状態にあることが示されている。
【0042】
図7は本発明に係るリード型電磁駆動弁2に用いられるリード36の第2実施例の説明図である。(7A)は断面図であり、(7B)は平面図である。1個以上の透孔38cがリード中間部36cに形成され、透孔36cの面積分だけリード36の断面積が小さくなり、その結果透孔36cが形成された領域が湾曲促進部36eとなる。透孔38cのサイズと個数を変えることによって湾曲性を可変調整することが可能である。
【0043】
図8は図7に示すリード36を用いたリード型電磁駆動弁2の要部断面図である。ヘッド34が吸引端18aに電磁吸着され、リード36が湾曲促進部36eで大きく湾曲し、その結果大きな隙間44が形成され、弁が完全に開放状態にあることが示されている。
【0044】
図9は本発明に係るリード型電磁駆動弁に用いられるリードの第3実施例の説明図である。(9A)はリード36の断面図、(9B)はリード36の平面図である。この実施例では、リード中間部36cに切欠部38d、38dを形成し、この切欠部38dが形成された領域が湾曲促進部36eになることを示している。切欠部38dの面積分だけリード36の断面積が小さくなることによって湾曲し易くなる。切欠部38dの大きさによって湾曲性を可変調整できる。
【0045】
図10は、図9に示すリード36を用いたリード型電磁駆動弁2の要部断面図である。ヘッド34が吸引端18aに電磁吸着され、リード36が湾曲促進部36eで大きく湾曲し、その結果大きな隙間44が形成され、弁が完全に開放状態にあることが示されている。
【0046】
図11は本発明に係るリード型電磁駆動弁による流量Qと圧力Pの関係図である。流体の入口側圧力Pを変化させた場合に出口孔を通過する流体の流量Qが測定された。■はリード36を取り外した場合(no lead)を示し、換言すれば完全流通状態が実現されている。□はリード36に段差(step)を設けた第1実施例、●はリード36に透孔38c(hole)を形成した第2実施例、○はリード36に切欠部38d(notch)を形成した第3実施例の場合を示している。
【0047】
リード36を取り外した■が最良の直線性を示すはずである。しかし、リード36を設けて流量調整した3例とも全て直線性が成立することが確認された。従って、リード36に湾曲促進部36eを設けることにより理想的な流量制御が行なえるリード型電磁駆動弁2を提供することができる。
【0048】
また、本発明では、電磁石装置3を弁室30の外側に配置したから、流体が電磁石装置3と接触することがなく、電磁石装置3が流体を原因として腐食することがないから高耐久性を有する。また、流体中に不純物が混入することもないから、流体の清浄性を保持することができる。
【0049】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例・設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることはことは云うまでもない。
【0050】
【発明の効果】
第1の発明によれば、弁室内に配置されて弁体として動作するリードにおいて、出口孔位置と固定部の間にあるリード中間部にリードの弾性湾曲を容易にする湾曲促進部を設けたから、電磁石により前記ヘッドが電磁吸引されたときにリードが湾曲促進部で大きく湾曲して出口孔近傍に形成される隙間が大きくなり、流体圧力が増加してもこの隙間が保持されるために流体流量が圧力に対し直線的に増加することができ、しかも電磁石装置を弁室外に配置したから電磁石装置が流体と接触せず、装置の高耐久性を保証しながら流体の清浄性を保持することができる。
【0051】
第2の発明によれば、弁室を囲繞する弁室壁において、ヘッドが対向する領域の弁室壁を薄く形成して吸引窓部とし、この吸引窓部を介して電磁石装置によりヘッドを磁気吸引する構成を採用したから、電磁石装置を弁室外に配置しても、電磁石からの磁力が吸引窓を介してヘッドに効率的に作用し、電磁弁の開閉動作を確実にすることができる。
【0052】
第3の発明によれば、弁室壁面に固定されたリード固定部の肉厚を厚くして厚板部とし、この厚板部から連続するリード中間部の肉厚を薄くして薄板部とし、薄板部の根元付近を湾曲促進部として利用するから、薄板部の根元付近の柔軟性が高くなる特性を積極的に活用して流量と圧力の直線性を確保できる。
【0053】
第4の発明によれば、リード中間部に1個以上の透孔を穿設して透孔近傍を湾曲促進部とするから、この透孔近傍のリード断面積が小さくなることによって湾曲特性が飛躍的に向上し、しかも湾曲時に透孔を介して流体が出口孔近傍の隙間に流入し易くなり、流量と圧力に直線性を確保できる。
【0054】
第5の発明によれば、リード中間部の両側に切欠部を形成して切欠部近傍を湾曲促進部としたから、切欠部近傍のリードの断面積が小さくなることによって湾曲特性が飛躍的に向上し、湾曲したときに出口孔近傍の隙間が比較的大きくでき、この隙間に流体が流入し易くなり、流量と圧力の間に直線性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリード型電磁駆動弁2の流通状態の断面図である。
【図2】本発明に係るリード型電磁駆動弁2の遮断状態の断面図である。
【図3】リード型電磁駆動弁2の平面図である。
【図4】リード型電磁駆動弁2の側面図である。
【図5】本発明に係るリード型電磁駆動弁2に用いられるリード36の第1実施例の説明図である。
【図6】図6は図5に示すリード36を用いたリード型電磁駆動弁2の要部断面図である。
【図7】本発明に係るリード型電磁駆動弁2に用いられるリード36の第2実施例の説明図である。
【図8】図7に示すリード36を用いたリード型電磁駆動弁2の要部断面図である。
【図9】本発明に係るリード型電磁駆動弁に用いられるリードの第3実施例の説明図である。
【図10】図9に示すリード36を用いたリード型電磁駆動弁2の要部断面図である。
【図11】本発明に係るリード型電磁駆動弁2による流量Qと圧力Pの関係図である。
【図12】従来のリード型電磁駆動弁の非通電時における遮断状態の断面図である。
【図13】従来のリード型電磁駆動弁の通電時における流通状態の断面図である。
【図14】従来のリード型電磁駆動弁による流量と入口側圧力の関係図である。
【符号の説明】
2はリード型電磁駆動弁、3は電磁石装置、4は弁本体、6は入口通路、6aは入口孔、8は供給管、9はストレーナ、10は出口通路、10aは出口孔、12は送出管、14はヨーク、16はボルト、18は軸、18aは吸引端、20はボルト、22はコイルケース、24はコイル、26は本体ケース、26aは吸引窓部、30は弁室、32はシリンダ、34はピストン、34aはヘッド、34bはリング、36はリード、36aは可撓部、36bは固定部、36cはリード中間部、36dはピストン固定孔、36eは湾曲促進部、36fは締付孔、38aは薄板部、38bは厚板部、38cは透孔、38dは切欠部、40はリード押え、42はボルト、44は隙間。
Claims (5)
- 入口孔から弁室を介して出口孔へと流体の流通を断続制御する装置であり、一端が弁室壁面に固定された固定部となり他端に磁気吸引用のヘッドを有して可撓部で出口孔を開閉する弾性板状のリードを弁室内に設け、出口孔位置と固定部の間にあるリード中間部にリードの弾性湾曲を容易にする湾曲促進部を設け、前記ヘッドを磁気吸引する電磁石装置を弁室外に配置し、消磁状態では弾性によりリードが出口孔を密着閉鎖して流体の出口孔への流出を遮断し、励磁状態では電磁石装置がヘッドを磁気吸引してリードが湾曲促進部で湾曲して出口孔を開放し流体を出口孔へと流出させることを特徴とするリード型電磁駆動弁。
- 前記弁室を囲繞する弁室壁において、ヘッドが対向する領域の弁室壁を薄く形成して吸引窓部とし、この吸引窓部を介して電磁石装置によりヘッドを磁気吸引する請求項1に記載のリード型電磁駆動弁。
- 前記リードにおいて、弁室壁面に固定された固定部の肉厚を厚くして厚板部とし、この厚板部から連続する中間部の肉厚を薄くして薄板部とし、薄板部の根元付近を湾曲促進部とする請求項1又は2に記載のリード型電磁駆動弁。
- 前記リード中間部に1個以上の透孔を穿設し、この透孔の近傍を湾曲促進部とした請求項1又は2に記載のリード型電磁駆動弁。
- 前記リード中間部の両側に切欠部を形成し、この切欠部近傍を湾曲促進部とした請求項1又は2に記載のリード型電磁駆動弁。
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