JP2004161609A - 焼却灰又は該焼却灰を原料とする軽量細粒材の焼成焼結方法と該方法で得られる焼結物 - Google Patents

焼却灰又は該焼却灰を原料とする軽量細粒材の焼成焼結方法と該方法で得られる焼結物 Download PDF

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Abstract

【課題】 下水脱水汚泥又は都市ゴミから得られる焼却灰および該焼却灰を原料とする軽量細粒材の焼結方法を開発して、これにより前記焼却灰および軽量細粒材の新たな用途への適用の可能性を高めること。
【解決手段】(a)下水脱水汚泥又は都市ゴミから得られる焼却灰と硼酸又は硼砂を含む混合物又は(b)該焼却灰を原料とする軽量細粒材と硼酸又は硼砂を含む混合物を600〜1100℃の範囲で焼成して焼結物を得ることができる。
焼却灰に対して5〜19重量%程度の硼酸量で成形体を焼成焼結させることができ、軽量細粒材に対して5〜13重量%程度の硼酸量で、程良い保水性と透水性のある成形体を焼成焼結させることができた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、下水脱水汚泥又は都市ゴミから得られる焼却灰及びその焼却灰を原料とする軽量細粒材の焼成焼結方法と該方法で得られる焼結物及び微粒子状の膨張性頁岩又は陶芸用粘土の焼成焼結方法と該方法で得られる焼結物に関する。
下水処理場で得られた汚泥は炭水化物、タンパク質、油脂類、粗繊維類などの有機物および砂などの無機物からなり、無機凝集剤又は高分子凝集剤を脱水助剤として脱水した後、一部は埋立処分され、残りは焼却される。
また、前記下水汚泥を脱水(含水率75〜80%程度)した汚泥を焼却設備で燃焼させると焼却灰が得られる。前記焼却設備は硅砂を流動媒体とし、LNGを燃料とする流動層焼却炉を備えた設備であり、温度700〜800℃に保持された流動層内に汚泥を吹き込むことで汚泥を完全燃焼させて、生じた灰分を排ガス中に同伴させてサイクロンで焼却灰を回収する。
焼却灰の成分及び組成割合は下水の質により変化していつも一定ではないが、表1に示すように酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウム及び酸化第二鉄を主成分とし、その粒度分布は表2に示す通りであり、30〜150μmの径を中心とする粉体である。
Figure 2004161609
Figure 2004161609
前記汚泥を焼却設備で燃焼させて焼却灰を再資源化する試みはなされている。例えば、1300〜1500℃で溶融してガラス質にした後、再加熱して結晶化ガラスを得る発明がある(特開平4−317436号公報、特開平8−26773号公報)。これらの方法は高品質の結晶化物を得るものであり、価格も高くなる。
また、前記焼却灰から造粒物を得て、これを図2に示すフローに従い、軽量細粒材化することが行われている(藤木英一:軽量骨材、コンクリート工学、Vol.34、No.7、1996.7、pp.26-28、藤木英一、梶原啓一、山下時夫:超軽量人工骨材とその性能、セメント・コンクリート、No.596、1996.10)。
前記焼却灰の造粒物が約1050℃程度の高温にさらされて軟化するとき、造粒物の表面が半溶融の状態となり、同時に材料中の高温揮散成分がガス化し、気泡を作り軟化した造粒物の膨張が起こる。そのような状態に達したところで、高温域から取り出し、空冷すると表面が硬い殻で覆われ、しかも内部は細かい独立気泡を多数含有する発泡体ができる。東京都の下水道局では、この軽量細粒材をスラジライトという商品名で取り扱っている。この軽量細粒材は表3に示すように粒径範囲の区分により、細粒品と粗粒品の2種類がある。
Figure 2004161609
また、都市ゴミの焼却灰内には重金属類が含まれ、そのまま放置しておくと重金属塩が土壌内に流れ出て環境汚染の原因となる。しかし都市ゴミの焼却灰は都市ゴミの焼却炉内では焼結しないので、該焼却炉に付設された1200〜1600℃程度の高温溶融炉で溶融させて、その後冷却物を埋立材などとして使用している。
特開平4−317436号公報 特開平8−26773号公報 藤木英一:軽量骨材、コンクリート工学、Vol.34、No.7、1996.7、pp.26-28 藤木英一、梶原啓一、山下時夫:超軽量人工骨材とその性能、セメント・コンクリート、No.596、1996.10 吉本 明正、藤田 満、國谷 正:焼却灰溶融処理再資源化システム、富士時報、Vol.76、2003.2
下水脱水汚泥又は都市ゴミから得られる焼却灰を原料とする前記軽量細粒材は軽量コンクリート材料または濾過材料として用いられることができるが、それほど優れた物性を示すことがないにも拘わらず、比較的高価であるので、その生産量に比べて各種用途への使用量が少ないという問題点がある。
そこで軽量細粒材の用途を拡大するための試みがなされているが、その一つに焼却灰又は焼却灰から得られる前記軽量細粒材を焼結成形することが考えられる。しかし、軽量細粒材のみを焼成炉で焼成しても焼結は困難である。
なお、下水脱水汚泥又は都市ゴミから得られる焼却灰はそれのみを器に入れて無加圧で振動により圧密させて焼成すると焼結物は得られるが、その焼結物は軽石程度の強度しかないため、用途が限られてしまう。
このように下水脱水汚泥又は都市ゴミから得られる焼却灰および該焼却灰を原料とする軽量細粒材の用途開発が十分になされていないので、大量の焼却灰が資源化されずに廃棄物として埋立処分され、また軽量細粒材は、汚泥処理施設の空き地に野積しているのが現状である。
また、都市ゴミの焼却灰に含まれる重金属類を溶融物として固定化するには熱エネルギーコストがかさむ問題点があった。
そこで本発明の課題は、都市ゴミを比較的低温で溶融焼結することである。
本発明の上記課題は次の構成(1)〜(4)により解決される。
(1)(a)下水脱水汚泥又は都市ゴミから得られる焼却灰と硼酸又は硼砂を含む混合物又は(b)該焼却灰を原料とする軽量細粒材と硼酸又は硼砂を含む混合物を600〜1100℃の範囲で焼成して得られる焼結物の製造方法。
(2)下水脱水汚泥又は都市ゴミから得られる焼却灰と硼酸又は硼砂を含む混合物又は該焼却灰を原料とする軽量細粒材と硼酸又は硼砂を含む混合物を600〜1100℃の範囲で焼成して得られる焼結物。
下水脱水汚泥又は都市ゴミから得られる焼却灰の焼結のためには、該焼却灰95〜75重量%と硼酸又は硼砂5〜25重量%を含む混合物を焼成し得る。硼酸又は硼砂の含有量が25重量%を超えると焼却灰が溶融するので好ましく無く、硼酸又は硼砂の含有量が5重量%未満では焼結が弱くなる。
また、下水脱水汚泥又は都市ゴミから得られる焼却灰を原料とする軽量細粒材の焼結のためには、前記軽量細粒材91〜88重量%と焼却灰0〜5重量%と硼酸又は硼砂5〜13重量%を含む混合物を焼成して焼結する。このときさらに、成形品の乾燥時及び移動時の崩れを防止する目的で糊剤を加える。また、糊の均一な混合を容易にするために水を加える。
硼酸又は硼砂の含有量が13重量%を超えると軽量細粒材が溶融するので好ましく無く、硼酸又は硼砂の含有量が5重量%未満では焼結物が得られない。
(3)(a)篩目2.5mm以下を通過するように粉砕した膨張性頁岩と硼酸又は硼砂を含む混合物又は(b)陶芸用粘土と硼酸又は硼砂を含む混合物を600〜1100℃の範囲で焼成する焼結物の製造方法。
(4)(a)篩目2.5mm以下を通過するように粉砕した膨張性頁岩と硼酸又は硼砂を含む混合物又は(b)陶芸用粘土と硼酸又は硼砂を含む混合物を600〜1100℃の範囲で焼成して得られる焼結物。
(作用)
本発明者は下水脱水汚泥又は都市ゴミから得られる焼却灰及び該焼却灰を原料とする前記軽量細粒材の用途拡大を図るために、下水脱水汚泥の焼却灰及び該焼却灰を原料とする前記軽量細粒材を焼結できるフラックス剤を見い出すべく各種フラックス剤を用いて焼結実験を行った。
用いたフラックス剤は窒素・リン酸・カリ含有肥料(商品名:ハイポネックス、村上物産(株))、ドロマイト、マグネサイト、白石灰、重曹、硼酸、溶成憐肥、苦土石灰、加里肥料、塩、タルク、硫酸バリウム、亜鉛華、鉛白、硼砂の15種類である。それぞれのフラックス剤を単体のみで焼成試験を実施したところ、重曹、硼酸、硼砂が焼却灰を溶融化して焼結することを見い出した。また、硼酸と硼砂が前記軽量細粒材を焼結できることを見い出した。
この結果より、焼却灰と前記軽量細粒材を焼結させるフラックス剤として硼酸、硼砂を採用した。
そして硼酸と硼砂の適度な配合割合を求める焼成実験を行ったところ焼却灰においては、焼却灰に対して5〜25重量%程度の硼酸量で成形体を焼成焼結させることができた。また、前記軽量細粒材に対して5〜13重量%程度の硼酸量で、程良い保水性と透水性のある成形体を焼成焼結させることができた。
また、篩目2.5mm以下を通過するように粉砕した膨張性頁岩は特別な用途が無く、今までは単に過剰在庫として保有しているだけであったが、本発明により、焼結物が得られる事が分かった。 さらに陶芸用粘土を硼酸又は硼砂と混ぜて焼成すると、従来の焼結可能な温度が1250℃以上といわれていた陶芸用の粘土を600〜1100℃の範囲で焼成焼結物が得られる事も分かった。
本発明によれば、下水脱水汚泥又は都市ゴミから得られる焼却灰と、該焼却灰の焼成品である軽量細粒材を焼成焼結する技術を確立し、焼却灰からは骨材化可能な焼結物を得ることができ、軽量細粒材からは透水係数と保水率が比較的高い焼結物を得ることができ、保水用煉瓦、植栽基盤材等として使用できる。
また、篩目2.5mm以下を通過するように粉砕した膨張性頁岩は特別な用途が無く、今までは単に過剰在庫として保有しているだけであったが、本発明により、焼結物が得られる事が分かった。
さらに、陶芸用粘土も比較的低温で焼成して焼結物が得られるので省エネルギーとなる。
本発明の実施の形態について説明する。
下水脱水汚泥又は都市ゴミから得られる焼却灰又は該焼却灰を原料とする前記軽量細粒材とフラックス剤として硼酸又は硼砂を混合して中外炉工業株式会社製の焼成炉(タイプ:ローラーハースキルン)で焼成する。
前記焼成炉内は図1に示すように、焼成過程が予熱帯、昇温帯、高温処理帯及び冷却帯からなり、予熱帯では約600℃〜750℃、昇温帯では約750℃〜900℃、高温処理帯では約900℃〜1040℃、及び冷却帯では約980℃〜200℃の温度域で以下に述べる混合物を焼成した。
まず、上記焼成炉内に下水脱水汚泥の焼却灰100gに対して硼酸又は硼砂をそれぞれ10g、20g、30gを添加して前記焼成炉で焼成した。結果を表4に示し、そのまとめを表5に示す。
Figure 2004161609
Figure 2004161609
表4にあるように硼酸をフラックス剤として用いた場合には焼却灰100gに対して30gを添加すると溶融してしまう。
この実験では無加圧状態で直径10cmの円筒状の器内に混合物を入れ、焼成したので、焼成後に得られた焼成物の直径を測定することで収縮率が分かる。フラックス剤として硼砂を用いるよりも硼酸を用いた場合の方が焼却灰の焼結が効果的であり、収縮率が小さかった。
従って表5に示す焼却灰91〜77重量%、フラックス剤9〜23重量%の割合で混合することで焼結物を容易に得ることができることが判明した。
次に焼却灰250gにフラックス剤としてより焼結性の高い硼酸を種々添加量を変えて添加し、さらにバインダーとして糊(ヤマト(株)製のヤマト糊:澱粉・防腐剤からなる糊)を50gと水160gからなる混合物を作製して直径10cm、厚み2.0cm、体積157cm3の鋳型に充填し、脱型・乾燥後に前記焼成炉で前記した条件下で焼成した。それぞれ2個の同一混合物を用いて実験して、その平均値の結果を表6に示し、その混合割合のまとめを表7に示す。
なお、バインダーは、成形品の乾燥時及び移動時の崩れを防止する目的のために添加し、水は糊の均一な混合を容易にするために添加した。
Figure 2004161609
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得られた焼結物は保水性のない、固形体であった。また、フラックス剤の配合量が多い程、焼成品の比重が小さく、収縮率も小さくなるが、いずれのフラックス剤添加量でも成形品が得られたので、焼却灰を骨材化して構造材料として使用できることが分かった。また、以下の実施例ではフラックス剤として硼酸を用いた。
次にフラックス剤として硼酸を用いて 軽量細粒材の焼結物を得るための実験を行った。 まず、予備実験として硼酸と軽量細粒材の適正な含有割合を求めるための実験を行った。
硼酸の添加割合を4〜16重量%に変化させて焼結実験を行った。なおここで焼却灰を用いた例があるのは、焼却灰を添加することで焼成後の成形品の崩れを防ぐことができることを確認することと、焼却灰無しの配合焼結品と比較するためである。また、糊(ヤマト糊:ヤマト(株)製の澱粉と防腐剤からなる糊)は成形品の乾燥時と移動時の崩れを防ぐためであり、また水は糊の成形品作製時の均一混合を行うためである。
結果を表8に示すが、硼酸の含有率が4重量%では焼成後に成形崩れがあり、16重量%ではセッター(成形品を載せる板)に成形品が融着することがある。
Figure 2004161609
以上の結果から、以下の実験では軽量細粒材などの固形物に対する硼酸の含有率は5〜13重量%とした。
軽量細粒材720gと焼却灰36gと硼酸36g、72g、108gをそれぞれ添加し、その他にバインダーとして糊72gと水180gからなる混合物を作製して縦16cm、横4cm、高さ4cm、体積256cm3 の鋳型に充填し、脱型・乾燥後に前記焼成炉で前記した条件下で焼成した。それぞれ3個の同一混合物を用いて実験した。その配合の結果を表9に示し、そのまとめを表10に示す。
ここで、当初、糊として前記ヤマト糊を使用していたが、ヤマト糊と同一成分からなり、他の成分との均一混合がし易いニシキ糊(ニシキ(株)製)を使用した。
Figure 2004161609
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表9に示すように軽量細粒材のAグループは細粒1:粗粒1の混合物であり、Bグループは軽量細粒材の粗粒のみを用い、Cグループは軽量細粒材の粗粒のみを用いた混合物であり、C−3のサンプルは焼却灰を添加していないサンプルである。
得られたサンプルの物性を求めた。表11に結果を示し、そのまとめを表12に示す。なお、B−2のサンプルは焼成品に亀裂があったため、また、C−2のサンプルは予備品としたため、試験を行わなかった。
曲げ試験と圧縮強度試験はJISR5201に従って行った。その概要は以下の通りである。
曲げ強度bは、所定のサイズの直方体からなる供試体の側面中央に毎秒50±10Nの割合で載荷して最大荷重wを求め、得られた最大荷重wから次式により求める。
b=w×0.00234
圧縮強さcは所定のサイズの直方体からなる供試体の成形時の両側面を加圧面として荷重用加圧板を用いて供試体の中央部に毎秒2400±200Nの割合で載荷して最大荷重wを求め、得られた最大荷重wから次式により求める。
c=w/1600
透水性試験は供試体を詰めた透水円筒と脚付き有孔板を水槽内に静置しておき、透水円筒の上端から静かに注水し、円筒上部の越流口から越流させ、一定水位を保ちながら水槽の排水口から排水させる。水槽の排水口からの越流量がほぼ一定になるのを待って、一定時間内に越流する水量と水頭を計る。
透水係数Kr(cm/s)は次式から得られる。
Kr=L/h・Q/A(t2−t1
L:供試体の厚さ(cm)
A:供試体の断面積(cm2)
h:水頭(cm)
1:測定開始時間(s)
2:測定終了時間(s)
Q:t1からt2までに越流した水量(cm3
また、保水率はサンプルを24時間水中に浸漬させて吸水させた後のサンプルの水平置き5分後とサンプルの垂直置き5分後の測定値である。なお保水率測定用のサンプルは縦16cm、横4cm、高さ4cmの長方体の最大平面部を上下方向に向けて配置した場合を水平置きとし、最大平面部を鉛直方向に向けて配置した場合を垂直置きとした。
Figure 2004161609
得られたデータをまとめて表12に示す。
Figure 2004161609
表12には前記軽量細粒材及び建設廃材を原料にした市販の舗装材として使用されるブロックA,Bの性能と共に記載した。なお、ブロックAは前記軽量細粒材にシャモット等を混合してプレス成形した後1100℃で焼成した製品であり、プレス成形工程が含まれる分、比較的コスト高となる。また、ブロックBは、製法の詳細は不明であるが、上水汚泥、建築廃材を主原料としており、比較的成分が安定した原料から得られる点で本発明品とは異なる。
この表12から本発明品は透水係数がきわめて高く、また保水率が高いことが分かる。
次に表13に示すように前記軽量細粒材2060gと前記下水脱水汚泥から得た焼却灰100gとフラックス(硼酸130g(軽量細粒材に対して約6%添加))を原料とした箱形鋳型(縦25cm、横25cm、高さ3cm)内に充填して、脱型・乾燥後に得られた6枚の板を前記焼成炉で前記条件で焼成した。得られた焼成品を用いて平板状の植栽基盤材を6枚得た。
Figure 2004161609
得られた焼成植栽基盤材は軽量で透水係数がきわめて高く、また保水率が高いことから、この上にスナ苔をセット(平成14年7月)して、毎日朝晩2回散水して、その生育状況を観察した。図3(a)にはスナ苔をセットした後、4ヶ月経過後(平成14年12月)の様子を示し、図3(b)には13ヶ月経過後(平成15年8月)の様子を示す。
従来、ビルの屋上などでの苔類の育成用にウレタンホーム板とその上に防根シーを被せて、さらにその上に土を載せたマットを使用しているが、このような苔類の育成用マットは複雑な組み合わせであるだけでなく、重量が重く、土も流れだし易い問題点があった。
しかし、図3に示す本実施例の植栽基盤材は、この植栽基盤材を収納する深さ1cm程度のトレイの中に入れ、該トレイに適度に水を入れておくだげで、容易に苔類の育成ができる。このように、軽量で保水率の高い植栽基盤材は土のように重くなく、また流れ出す事もないのでビルの屋上などの緑化用の植栽床として極めて有用である。また植栽基盤材上に縦横に適当な間隔で格子状の溝を設けておき、細土・細砂を前記溝に埋め、さらに基盤材上に浅く敷きならした後にスナ苔をセットすると苔の着床が良好になる。
なお、上記原料の他に炭化珪素などの発泡剤を配合して焼成したところ、発泡性の焼結体が得られたことを確認している。この焼結体は上記植栽基盤材の保水性より、さらに保水性が高いものであった。
次に都市ゴミの焼却灰についても下水脱水汚泥の焼却灰と同様に上記焼成炉内で硼酸と共に焼成した。
都市ゴミの焼却灰には粒度分布があり、篩い目で3.35mm〜0.15mm程度までの粒度を有する灰が得られ、その中で篩い目1.7mm〜0.30mm程度の粒度を有するものが全体の約7割を占める。
表14には新潟県佐渡小木町クリーンセンターから入手した都市ゴミの焼却灰(篩い目1.7mm通過、0.9mm留まる粒度)の30gに対してフラックス(硼酸)をそれぞれ0g、4g、10gとバインダ10g、水10gを添加して前記図1に示す条件とほぼ同じ条件(最高温度は1020℃)で、同じ焼成炉で焼成した結果を示す。
Figure 2004161609
フラックス0gのサンプルE−1は焼結しなかったが、フラックスをそれぞれ4g、10g添加したサンプルE−2、E−3が焼結した。このことから都市ゴミの焼却灰中の重金属が比較的低温の焼成で固定できる事が分かった。
構造用人工軽量骨材である「メサライト」(日本メサライト工業(株)製の商品名)は、建物、構造物の強度を保ったまま、軽量化ができる骨材として、それぞれ粗骨材(篩目5〜20mm)、中骨材(篩目2.5〜5mm)、細骨材(篩目2.5mm以下)などの各種篩目の粒度範囲毎に市販されており、天然資源である良質の膨張性頁岩を原料とする骨材である。盛土材、庭園などの景観材、屋上緑化材、重油などの地下タンク・配管設備の保護充填材、土木・建築コンクリート用骨材などの用途に応じて前記各種粒径範囲の中から適切な粒度を有するメサライトを選択して、使用されている商品である。
しかし、良質の膨張性頁岩である「メサライト」を製造する際に粒径が篩い目2.5mm以下の小粒径の膨張性頁岩は市場の需要に対して大幅な過剰生産となる。そこで、この過剰分である小粒径の膨張性頁岩をフラックス剤(硼酸)で焼結させる試みを行った。
その結果を表15に示す。下水脱水汚泥から得た焼却灰と前記小粒径の膨張性頁岩を表15に示すように前記バインダと水と共に混合して直径10cm、高さ2cmの型サイズに入れて成形した後、実施例1と同じ条件で焼成した。
Figure 2004161609
全てのサンプルが焼結した。特に前記焼却灰が無くても焼結したので、今まで過剰生産されていた小粒径の膨張性頁岩の利用可能性が出たので、器的なものができるかどうか、確認のための焼結テストを行った。
小粒径の膨張性頁岩を300gと硼酸30gとバインダー50gと水50gを混ぜて外形10cmの植木鉢が得られるように成形して焼成した。その結果、図4に示す植木鉢状のものが得られた。
こうして今まで過剰生産されていた小粒径の膨張性頁岩を有効利用できることが分かった。
また硼酸が焼結用のフラックスとして極めて有用な薬剤であることが判明したので、次に陶芸粘土用材料の焼結剤としても利用可能性を試す焼成テストを行った。
表16に配合割合と焼成結果を示すが、前記焼成炉を用いて図1に示す焼成条件(最高温度1020℃)で焼成した。通常陶芸用の炉で1250℃で焼結を行うが、硼酸を焼結剤として使用すると、陶芸粘土を比較的低温で焼結させることができ、窯業における焼結エネルギーの節減効果が大いに高くなる事が判明した。
Figure 2004161609
また、硼酸とともに塩化第二鉄(ヘドロ状の汚泥を凝集させ、脱水効果を高める目的で使用する)を下水脱水汚泥から得た焼却灰の焼結混合物の配合成分として用いることができるかどうかを前記焼成炉で図1に示すピーク温度1020℃で焼成テストを行った。結果を配合表とともに表17に示す。
Figure 2004161609
表17のサンプル番号H−1のものは軽石程度の焼結がみられ、サンプル番号H−2からH−7のものはフラックスの添加効果で焼結し、サンプル番号H−8のものも溶融しないで焼結した。サンプル番号H−8の焼結体は軽量なので石膏ボードの代替品となる。
本発明の下水脱水汚泥から得られる焼却灰又は該焼却灰の焼成により得られる軽量骨材は圧縮強度が高く、比重が小さいので構造用人工軽量骨材として盛土材、庭園などの景観材、屋上緑化材、重油などの地下タンク・配管設備の保護充填材、土木・建築コンクリート用骨材などの用途に利用できる。
また、本発明の都市ゴミ焼却灰の焼成により得られる焼結体は埋立材料としてとして利用できる。
また、本発明の微粒子状膨張性頁岩と硼酸の混合物の焼成により焼結体が得られ、各種用途が開ける可能性がある。
さらに陶芸用粘土と硼酸の混合物は比較的低温で焼結するので、省エネルギーで焼き物が作製できる。
本発明の焼結物を得るための焼成炉内温度と焼成時間の関係を示す図である。 下水脱水汚泥又は都市ゴミから得られる焼却灰の焼成品である軽量細粒材の製造プロセスを説明する図である。 本発明の焼結物を植栽基盤材として用いた例を示し、図3(a)にはスナ苔をセットした後、4ヶ月経過後(平成14年12月)の様子を示し、図3(b)には13ヶ月経過後(平成15年8月)の様子を示す 本発明の小粒径の膨張性頁岩の焼成により得た植木鉢状器の図である。

Claims (4)

  1. (a)下水脱水汚泥又は都市ゴミから得られる焼却灰と硼酸又は硼砂を含む混合物又は(b)該焼却灰を原料とする軽量細粒材と硼酸又は硼砂を含む混合物を600〜1100℃の範囲で焼成する焼結物の製造方法。
  2. (a)下水脱水汚泥又は都市ゴミから得られる焼却灰と硼酸又は硼砂を含む混合物又は(b)該焼却灰を原料とする軽量細粒材と硼酸又は硼砂を含む混合物を600〜1100℃の範囲で焼成して得られる焼結物。
  3. (a)篩目2.5mm以下を通過するように粉砕した膨張性頁岩と硼酸又は硼砂を含む混合物又は(b)陶芸用粘土と硼酸又は硼砂を含む混合物を600〜1100℃の範囲で焼成する焼結物の製造方法。
  4. (a)篩目2.5mm以下を通過するように粉砕した膨張性頁岩と硼酸又は硼砂を含む混合物又は(b)陶芸用粘土と硼酸又は硼砂を含む混合物を600〜1100℃の範囲で焼成して得られる焼結物。
JP2003363678A 2002-10-25 2003-10-23 焼却灰又は該焼却灰を原料とする軽量細粒材の焼成焼結方法と該方法で得られる焼結物 Pending JP2004161609A (ja)

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