JP2004161472A - リーチ型フォークリフトのブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】制動時の横滑りや、リーチアウト時の制動力の低下を防止できる上、制動時の運転フィーリングが良いリーチ型フォークリフトのブレーキ装置を提供する。
【解決手段】ブレーキ操作の有無を検出する操作検出手段12と、左右の前輪の速度を検出する左右の前輪速度検出手段13と、左右の前輪速度検出手段13により検出された左右の前輪速度に基づいて車体代表点速度を演算する代表点速度演算部15と、操作検出手段12によりブレーキ操作が検出された際に、代表点速度演算部15で演算された車体代表点速度が所定の閾値を下回る時には左右の前輪ブレーキの制動力を低減させる制動力制御部16とを備える。
【選択図】 図2
【解決手段】ブレーキ操作の有無を検出する操作検出手段12と、左右の前輪の速度を検出する左右の前輪速度検出手段13と、左右の前輪速度検出手段13により検出された左右の前輪速度に基づいて車体代表点速度を演算する代表点速度演算部15と、操作検出手段12によりブレーキ操作が検出された際に、代表点速度演算部15で演算された車体代表点速度が所定の閾値を下回る時には左右の前輪ブレーキの制動力を低減させる制動力制御部16とを備える。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はリーチ型フォークリフトのブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にリーチ型フォークリフトは、操舵輪に兼用される駆動輪を備えており、この駆動輪を制動する手法として、駆動輪を駆動させる走行モータに制動をかける機械式ブレーキを設けることの他、走行モータの回生、プラッギングなどの電気制動が採用されている。
【0003】
ところで、リーチ型フォークリフトにおいては運転スペースを確保するために、駆動輪の接地点(車体代表点)を車体中心から左右方向にずらした車体レイアウトとされているので、駆動輪の制動時に車体が横振れすることがある。又、フォークに荷物を載せた際(特にリーチアウト時)には駆動輪の接地圧が低くなり、制動効率が悪化して制動距離が長くなるという問題もある。
【0004】
そこで、このような課題を解消するために、駆動輪を制動する駆動輪ブレーキに加えて、この駆動輪から所定のホイールベースを置いて前方に設けられた左右の前輪を制動する前輪ブレーキを備えるようにしたリーチ型フォークリフトが提案されている(下記文献参照)。
【0005】
【文献1】
特開2001−1514149号公報(第4−7頁、図6−15)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような前輪ブレーキの制動力が最大負荷時に最高速度から所定の制動距離内で停止するという条件を満たすために充分な制動力に設定されると、軽負荷時や無負荷時にはブレーキが効き過ぎて車体が急停止し、停止時に衝撃を感じる、いわゆるカックンブレーキとなって運転フィーリングが悪いという問題がある。
【0007】
本発明はこの問題に着目したものであり、制動時の横滑りやリーチアウト時などの制動力の低下を防止できる上、制動時の運転フィーリングが良いリーチ型フォークリフトのブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明に係るリーチ型フォークリフトのブレーキ装置は、車体代表点に配置され、操舵輪に兼用される駆動輪を制動する駆動輪ブレーキと、この駆動輪から所定のホイールベースを置いて回転自在に設けられた左右の前輪を制動する左右の前輪ブレーキとを備えるリーチ型フォークリフトのブレーキ装置において、ブレーキ操作の有無を検出する操作検出手段と、前記左右の前輪の速度を検出する左右の前輪速度検出手段と、前記左右の前輪速度検出手段により検出された左右の前輪速度に基づいて車体代表点速度を演算する代表点速度演算部と、操作検出手段によりブレーキ操作が検出された際に、前記代表点速度演算部で演算された車体代表点速度が所定の閾値を下回る時には前記左右の前輪ブレーキの制動力を低減させる制動力制御部とを備えるという技術的手段を採用する。
【0009】
これによれば、ブレーキ操作時に車体代表点速度が閾値を下回ると、前輪ブレーキの制動力が低減されるという作用を得ることができ、その結果停止時の衝撃が軽減され良好な運転フィーリングを得ることができる。又、前輪は走行方向にスリップしたり、スキッドしたりするおそれがないので、実際の車体代表点速度Vdとの間に誤差のない車体代表点速度Vd´を演算することができ、確実な制御を安定良く行うことができる。
【0010】
ここで、操作検出手段は、ブレーキ操作に伴なう、ブレーキペダルやブレーキレバーなどの動作をマイクロスイッチなどで検出するようにすればよい。又、前輪速度検出手段は、前記左右の前輪の速度を個別に検出できるように構成してあればよく、例えばロータリエンコーダなどを用いればよい。更に、前記代表点速度演算部で実行される演算式は次式を用いることができる。なお、この演算結果として得られる車体代表点速度Vd´は実際の車体代表点速度Vdとの誤差を無視できるので、Vd´をVdとみなして扱っても何ら支障はない。
【0011】
【数1】
【0012】
制動力制御部は、この車体代表点速度が所定の閾値を下回る時に左右の前輪ブレーキの制動力を減少させるように構成してあればよく、例えば前輪ブレーキが電磁操作式ブレーキで構成される場合には、車体代表点速度が所定の閾値以上か否かを判定し、閾値を下回る時に低減指令を与える判定部と、前輪ブレーキの制動力を演算する制動力演算部と、演算された前輪ブレーキの制動力を出すために前輪ブレーキを操作する電磁操作手段に印加する電圧などの制御入力を求める制御入力演算部と、演算された制御入力を電磁操作手段に印加するドライバとを備え、制動力演算部の演算結果が、低減指令を受けている場合には最大制動力よりも小さい制動力に、低減指令を受けていない場合には最大制動力になるように構成してあればよい。ここで、最大制動力とは、前輪ブレーキの発生し得る最大の制動力のことであり、最大負荷状態で最高車体代表点速度から所定の制動距離内で停車させる時に前輪ブレーキに求められる制動力などに設定される。
【0013】
前記閾値は、最高車体代表点速度を考慮して設定され、例えば最高車体代表点速度の3分の1ないし2分の1以下の範囲内の値に設定される。又、制動時の車体の減速度が急な場合には、停止衝撃を吸収するために早めに制動力を低減させるよう閾値を高めに設定することが好ましく、制動時の減速度が緩い場合には、制動距離を短くするために閾値を低めに設定することが好ましい。つまり、この閾値は定数値であってもよいが、制動時の減速度により変動するものであることが好ましい。なお、減速度は、車体代表点速度を時間微分演算することにより求められる他、車体に加速度センサを設けることにより求めるようにすることができる。
【0014】
判定部が制動力演算部に低減指令を与えている時にどのように制動力を算出するかは特に限定されず、例えば車体代表点速度の減少に対応して段階的に制動力を低減させるように制動力を演算するようにしてもよいが、制動力の低減を連続的に変化させる方が運転フィーリングを高める上でより好ましい。例えば、制動力Fを次式に示すように、演算された車体代表点速度Vd´に比例して低減させることが好ましい。尚、次式においてFmaxは最大制動力を、Fminは最小制動力を、Vcは閾値を表す。
【0015】
【数2】
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例に係るリーチ型フォークリフトのブレーキ装置を図面に基づいて具体的に説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施例に係るリーチ型フォークリフトの平面図であり、このリーチ型フォークリフトは、車体1の左後部に支持されている操舵輪に兼用される駆動輪2と、車体1の右後部に支持されている自在車輪3と、車体1の前部に設けた左右のストラドルアーム4の前端に左右軸心周りに回転自在に支持されている左右の前輪5とを備え、縦軸の走行モータ6でドライブギア装置7を介して前記駆動輪2を駆動することにより自走できるようにしてある。
【0018】
このリーチ型フォークリフトのブレーキ装置は、前記走行モータ6に制動をかけることによりドライブギア装置7を介して駆動輪2を制動する駆動輪ブレーキ8と、左右の各前輪5を個別に制動する左右の前輪ブレーキ9と、これら駆動輪ブレーキ8及び前輪ブレーキ9とを制御するブレーキ制御手段10とを備えている。前記駆動輪ブレーキ8は運転台に設けられたブレーキペダル11に機械的に連結され、ブレーキペダル11の動きに連動して動作するデッドマン方式のディスクブレーキで構成し、左右の前輪ブレーキ9はソレノイドからなる電磁操作手段21を内蔵するディスクブレーキで構成する。なお、図中の14は、駆動輪2を操舵輪として縦軸周りに旋回動作させるステアリングモータである。
【0019】
図2に示すように、前記ブレーキ制御手段10は、運転台に設けたブレーキペダル11を最大踏込み位置から所定の遊び高さよりも高く浮上がらせた時にオンになり、それよりも深く踏込んだ時にオフになる例えばマイクロスイッチからなる操作検出手段12と、左右の前輪2の回転速度を検出する例えばロータリエンコーダからなる左右の前輪速度検出手段13とを備えている。又、図2に示すように、このブレーキ制御手段10は、前記左右の前輪速度検出手段13から得られる速度情報、即ち、左右の前輪速度Vl、Vrに基づいて車体代表点速度Vd´を演算する代表点速度演算部15と、前記操作検出手段13がオンの時に代表点演算部13で演算された車体代表点速度Vd´に基づいて前輪ブレーキ9の制動力を制御する制動力制御部16とを備える。
【0020】
さて、図3に示すように、左の前輪速度検出手段13により検出される左の前輪速度をVl、右の前輪速度検出手段13により検出される右の前輪速度をVr、ホイールベースをB、左の前輪と駆動輪との左右方向の距離をAl、右の前輪と駆動輪との左右方向の距離をAr、前記車体代表点速度をVd´として、前記代表点速度演算部15が次式により車体代表点速度Vd´を演算するようにしている。
【0021】
【数3】
【0022】
図2に示すように、前記制動力制御部16は、判定部17と、制動力演算部18と、制御入力演算部19と、ドライバ20とを備える。この判定部17は代表点速度演算部15から得た車体代表点速度Vd´が所定の閾値Vc以上であるか否かを判定し、車体代表点速度Vd´が閾値Vcを下回る時には制動力演算部18に低減指令を与える。前記制動力演算部19は、この判定結果に従って前輪ブレーキ9の制動力、即ち、前輪制動力Fを演算するが、低減指令を得ている時には、次式に従い最大制動力Fmaxと最小制動力Fminとの間で、車体代表点速度Vd´に比例して前輪制動力Fを演算する。
【0023】
【数4】
【0024】
又、この制動力演算部18は低減指令を受けていない時には、前輪制動力FをFmax、即ち、前輪ブレーキ9の発生し得る最大の制動力に設定する。
【0025】
【数5】
【0026】
前記制御入力演算部19は、例えば経験的に得られた前輪制動力Fと制動入力との関係に基づいて、演算された前輪制動力Fを得るために前記前輪ブレーキ9の電磁操作手段21に印加する電圧、即ち、制御入力を演算する。図4はこの実施例における前輪制動力と制動入力との関係を示す特性線図であり、前記制御入力演算部19は制動力演算部18で演算された制動力Fに対応する制御入力をこの特性に照らしてこの制動力Fを得るために必要な制御入力を求めるのである。前記ドライバ20は、この制御入力演算部19で演算された制御入力(電圧)を前記電磁操作手段21に印加する。なお、前記閾値Vcは、制動距離が長くなることを避けるためには0に近いことが好ましいが、停止衝撃を体感しない程度で停止できる速度であればよい。
【0027】
図5はこのブレーキ制御手段10の制御プログラムを示すフロー図であり、この制御プログラムはフォークリフトの主電源がオンになっている間に所定の周期で繰返し実行される。この制御プログラムが開始されると、左右の前輪速度Vl、Vrが検出され(S1)、代表点速度演算部15で前記の数式3に従って車体代表点速度Vd´が演算され(S2)、この後、ブレーキ操作検出手段12がオンであることが確認されると(S3)、演算結果について判定部17において代表点速度Vd´が閾値Vc以上であるか否かを判定する(S4)。
【0028】
この判定において、Vd´≧Vcであると判定された場合には制動力演算部18が前記の数式5に従って前輪制動力Fを設定し(S5)、Vd´<Vcであると判定された場合には前記の数式4に従って前輪制動力Fを演算する(S6)。この後、制動入力演算部19がこの演算結果から図4の特性線図に従って制動入力を演算し(S7)、この演算結果に従ってドライバ20が電磁操作手段21に所定の電圧を印加する(S8)。
【0029】
これにより、前輪制動力Fが、車体代表点速度Vd´が閾値Vcを下回ると車体代表点速度Vd´に比例して低減されるので、停止衝撃を体感させないように円滑に停止させることができ、制動時の運転フィーリングがよくなる。
【0030】
なお、ブレーキペダル11が踏込まれ、ブレーキ操作検出手段12がオフであることが確認される場合(S3)には後輪ブレーキ8及び前輪ブレーキ9には制御入力は与えられずにこの制御プログラムが終了する。
【0031】
図6は本発明の他の実施例に係るリーチ型フォークリフトのブレーキ装置の平面図であり、この図6に示すように、このフォークリフトの前輪ブレーキ9は油圧ブレーキで構成されている。この前輪ブレーキ9のマスタシリンダ22はソレノイドからなる電磁操作手段21により駆動され、この電磁駆動手段21を前例と同様にして制御することにより、前例と同様に前輪制動力Fが制御され、前例と同様の効果が得られる。
【0032】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、制動力を減衰させることにより停止衝撃が体感されないように円滑に車体を停止させることができ、制動時の運転フィーリングがよくなるという効果を得ることができる。又、車体の実質速度を正確に把握して確実に、かつ安定良く制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平面図である。
【図2】本発明の回路ブロック図である。
【図3】本発明の代表点速度演算部で用いる数値の説明図である。
【図4】本発明の特性線図である。
【図5】本発明のフロー図である。
【図6】本発明の平面図である。
【符号の説明】
2 駆動輪
5 前輪
8 駆動輪ブレーキ
9 前輪ブレーキ
12 ブレーキ操作検出手段
13 前輪速度検出手段
15 代表点速度演算部
16 制動力制御部
17 判定部
18 制動力演算部
19 制御入力演算部
20 ドライバ
21 電磁操作手段
【発明の属する技術分野】
本発明はリーチ型フォークリフトのブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にリーチ型フォークリフトは、操舵輪に兼用される駆動輪を備えており、この駆動輪を制動する手法として、駆動輪を駆動させる走行モータに制動をかける機械式ブレーキを設けることの他、走行モータの回生、プラッギングなどの電気制動が採用されている。
【0003】
ところで、リーチ型フォークリフトにおいては運転スペースを確保するために、駆動輪の接地点(車体代表点)を車体中心から左右方向にずらした車体レイアウトとされているので、駆動輪の制動時に車体が横振れすることがある。又、フォークに荷物を載せた際(特にリーチアウト時)には駆動輪の接地圧が低くなり、制動効率が悪化して制動距離が長くなるという問題もある。
【0004】
そこで、このような課題を解消するために、駆動輪を制動する駆動輪ブレーキに加えて、この駆動輪から所定のホイールベースを置いて前方に設けられた左右の前輪を制動する前輪ブレーキを備えるようにしたリーチ型フォークリフトが提案されている(下記文献参照)。
【0005】
【文献1】
特開2001−1514149号公報(第4−7頁、図6−15)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような前輪ブレーキの制動力が最大負荷時に最高速度から所定の制動距離内で停止するという条件を満たすために充分な制動力に設定されると、軽負荷時や無負荷時にはブレーキが効き過ぎて車体が急停止し、停止時に衝撃を感じる、いわゆるカックンブレーキとなって運転フィーリングが悪いという問題がある。
【0007】
本発明はこの問題に着目したものであり、制動時の横滑りやリーチアウト時などの制動力の低下を防止できる上、制動時の運転フィーリングが良いリーチ型フォークリフトのブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明に係るリーチ型フォークリフトのブレーキ装置は、車体代表点に配置され、操舵輪に兼用される駆動輪を制動する駆動輪ブレーキと、この駆動輪から所定のホイールベースを置いて回転自在に設けられた左右の前輪を制動する左右の前輪ブレーキとを備えるリーチ型フォークリフトのブレーキ装置において、ブレーキ操作の有無を検出する操作検出手段と、前記左右の前輪の速度を検出する左右の前輪速度検出手段と、前記左右の前輪速度検出手段により検出された左右の前輪速度に基づいて車体代表点速度を演算する代表点速度演算部と、操作検出手段によりブレーキ操作が検出された際に、前記代表点速度演算部で演算された車体代表点速度が所定の閾値を下回る時には前記左右の前輪ブレーキの制動力を低減させる制動力制御部とを備えるという技術的手段を採用する。
【0009】
これによれば、ブレーキ操作時に車体代表点速度が閾値を下回ると、前輪ブレーキの制動力が低減されるという作用を得ることができ、その結果停止時の衝撃が軽減され良好な運転フィーリングを得ることができる。又、前輪は走行方向にスリップしたり、スキッドしたりするおそれがないので、実際の車体代表点速度Vdとの間に誤差のない車体代表点速度Vd´を演算することができ、確実な制御を安定良く行うことができる。
【0010】
ここで、操作検出手段は、ブレーキ操作に伴なう、ブレーキペダルやブレーキレバーなどの動作をマイクロスイッチなどで検出するようにすればよい。又、前輪速度検出手段は、前記左右の前輪の速度を個別に検出できるように構成してあればよく、例えばロータリエンコーダなどを用いればよい。更に、前記代表点速度演算部で実行される演算式は次式を用いることができる。なお、この演算結果として得られる車体代表点速度Vd´は実際の車体代表点速度Vdとの誤差を無視できるので、Vd´をVdとみなして扱っても何ら支障はない。
【0011】
【数1】
【0012】
制動力制御部は、この車体代表点速度が所定の閾値を下回る時に左右の前輪ブレーキの制動力を減少させるように構成してあればよく、例えば前輪ブレーキが電磁操作式ブレーキで構成される場合には、車体代表点速度が所定の閾値以上か否かを判定し、閾値を下回る時に低減指令を与える判定部と、前輪ブレーキの制動力を演算する制動力演算部と、演算された前輪ブレーキの制動力を出すために前輪ブレーキを操作する電磁操作手段に印加する電圧などの制御入力を求める制御入力演算部と、演算された制御入力を電磁操作手段に印加するドライバとを備え、制動力演算部の演算結果が、低減指令を受けている場合には最大制動力よりも小さい制動力に、低減指令を受けていない場合には最大制動力になるように構成してあればよい。ここで、最大制動力とは、前輪ブレーキの発生し得る最大の制動力のことであり、最大負荷状態で最高車体代表点速度から所定の制動距離内で停車させる時に前輪ブレーキに求められる制動力などに設定される。
【0013】
前記閾値は、最高車体代表点速度を考慮して設定され、例えば最高車体代表点速度の3分の1ないし2分の1以下の範囲内の値に設定される。又、制動時の車体の減速度が急な場合には、停止衝撃を吸収するために早めに制動力を低減させるよう閾値を高めに設定することが好ましく、制動時の減速度が緩い場合には、制動距離を短くするために閾値を低めに設定することが好ましい。つまり、この閾値は定数値であってもよいが、制動時の減速度により変動するものであることが好ましい。なお、減速度は、車体代表点速度を時間微分演算することにより求められる他、車体に加速度センサを設けることにより求めるようにすることができる。
【0014】
判定部が制動力演算部に低減指令を与えている時にどのように制動力を算出するかは特に限定されず、例えば車体代表点速度の減少に対応して段階的に制動力を低減させるように制動力を演算するようにしてもよいが、制動力の低減を連続的に変化させる方が運転フィーリングを高める上でより好ましい。例えば、制動力Fを次式に示すように、演算された車体代表点速度Vd´に比例して低減させることが好ましい。尚、次式においてFmaxは最大制動力を、Fminは最小制動力を、Vcは閾値を表す。
【0015】
【数2】
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例に係るリーチ型フォークリフトのブレーキ装置を図面に基づいて具体的に説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施例に係るリーチ型フォークリフトの平面図であり、このリーチ型フォークリフトは、車体1の左後部に支持されている操舵輪に兼用される駆動輪2と、車体1の右後部に支持されている自在車輪3と、車体1の前部に設けた左右のストラドルアーム4の前端に左右軸心周りに回転自在に支持されている左右の前輪5とを備え、縦軸の走行モータ6でドライブギア装置7を介して前記駆動輪2を駆動することにより自走できるようにしてある。
【0018】
このリーチ型フォークリフトのブレーキ装置は、前記走行モータ6に制動をかけることによりドライブギア装置7を介して駆動輪2を制動する駆動輪ブレーキ8と、左右の各前輪5を個別に制動する左右の前輪ブレーキ9と、これら駆動輪ブレーキ8及び前輪ブレーキ9とを制御するブレーキ制御手段10とを備えている。前記駆動輪ブレーキ8は運転台に設けられたブレーキペダル11に機械的に連結され、ブレーキペダル11の動きに連動して動作するデッドマン方式のディスクブレーキで構成し、左右の前輪ブレーキ9はソレノイドからなる電磁操作手段21を内蔵するディスクブレーキで構成する。なお、図中の14は、駆動輪2を操舵輪として縦軸周りに旋回動作させるステアリングモータである。
【0019】
図2に示すように、前記ブレーキ制御手段10は、運転台に設けたブレーキペダル11を最大踏込み位置から所定の遊び高さよりも高く浮上がらせた時にオンになり、それよりも深く踏込んだ時にオフになる例えばマイクロスイッチからなる操作検出手段12と、左右の前輪2の回転速度を検出する例えばロータリエンコーダからなる左右の前輪速度検出手段13とを備えている。又、図2に示すように、このブレーキ制御手段10は、前記左右の前輪速度検出手段13から得られる速度情報、即ち、左右の前輪速度Vl、Vrに基づいて車体代表点速度Vd´を演算する代表点速度演算部15と、前記操作検出手段13がオンの時に代表点演算部13で演算された車体代表点速度Vd´に基づいて前輪ブレーキ9の制動力を制御する制動力制御部16とを備える。
【0020】
さて、図3に示すように、左の前輪速度検出手段13により検出される左の前輪速度をVl、右の前輪速度検出手段13により検出される右の前輪速度をVr、ホイールベースをB、左の前輪と駆動輪との左右方向の距離をAl、右の前輪と駆動輪との左右方向の距離をAr、前記車体代表点速度をVd´として、前記代表点速度演算部15が次式により車体代表点速度Vd´を演算するようにしている。
【0021】
【数3】
【0022】
図2に示すように、前記制動力制御部16は、判定部17と、制動力演算部18と、制御入力演算部19と、ドライバ20とを備える。この判定部17は代表点速度演算部15から得た車体代表点速度Vd´が所定の閾値Vc以上であるか否かを判定し、車体代表点速度Vd´が閾値Vcを下回る時には制動力演算部18に低減指令を与える。前記制動力演算部19は、この判定結果に従って前輪ブレーキ9の制動力、即ち、前輪制動力Fを演算するが、低減指令を得ている時には、次式に従い最大制動力Fmaxと最小制動力Fminとの間で、車体代表点速度Vd´に比例して前輪制動力Fを演算する。
【0023】
【数4】
【0024】
又、この制動力演算部18は低減指令を受けていない時には、前輪制動力FをFmax、即ち、前輪ブレーキ9の発生し得る最大の制動力に設定する。
【0025】
【数5】
【0026】
前記制御入力演算部19は、例えば経験的に得られた前輪制動力Fと制動入力との関係に基づいて、演算された前輪制動力Fを得るために前記前輪ブレーキ9の電磁操作手段21に印加する電圧、即ち、制御入力を演算する。図4はこの実施例における前輪制動力と制動入力との関係を示す特性線図であり、前記制御入力演算部19は制動力演算部18で演算された制動力Fに対応する制御入力をこの特性に照らしてこの制動力Fを得るために必要な制御入力を求めるのである。前記ドライバ20は、この制御入力演算部19で演算された制御入力(電圧)を前記電磁操作手段21に印加する。なお、前記閾値Vcは、制動距離が長くなることを避けるためには0に近いことが好ましいが、停止衝撃を体感しない程度で停止できる速度であればよい。
【0027】
図5はこのブレーキ制御手段10の制御プログラムを示すフロー図であり、この制御プログラムはフォークリフトの主電源がオンになっている間に所定の周期で繰返し実行される。この制御プログラムが開始されると、左右の前輪速度Vl、Vrが検出され(S1)、代表点速度演算部15で前記の数式3に従って車体代表点速度Vd´が演算され(S2)、この後、ブレーキ操作検出手段12がオンであることが確認されると(S3)、演算結果について判定部17において代表点速度Vd´が閾値Vc以上であるか否かを判定する(S4)。
【0028】
この判定において、Vd´≧Vcであると判定された場合には制動力演算部18が前記の数式5に従って前輪制動力Fを設定し(S5)、Vd´<Vcであると判定された場合には前記の数式4に従って前輪制動力Fを演算する(S6)。この後、制動入力演算部19がこの演算結果から図4の特性線図に従って制動入力を演算し(S7)、この演算結果に従ってドライバ20が電磁操作手段21に所定の電圧を印加する(S8)。
【0029】
これにより、前輪制動力Fが、車体代表点速度Vd´が閾値Vcを下回ると車体代表点速度Vd´に比例して低減されるので、停止衝撃を体感させないように円滑に停止させることができ、制動時の運転フィーリングがよくなる。
【0030】
なお、ブレーキペダル11が踏込まれ、ブレーキ操作検出手段12がオフであることが確認される場合(S3)には後輪ブレーキ8及び前輪ブレーキ9には制御入力は与えられずにこの制御プログラムが終了する。
【0031】
図6は本発明の他の実施例に係るリーチ型フォークリフトのブレーキ装置の平面図であり、この図6に示すように、このフォークリフトの前輪ブレーキ9は油圧ブレーキで構成されている。この前輪ブレーキ9のマスタシリンダ22はソレノイドからなる電磁操作手段21により駆動され、この電磁駆動手段21を前例と同様にして制御することにより、前例と同様に前輪制動力Fが制御され、前例と同様の効果が得られる。
【0032】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、制動力を減衰させることにより停止衝撃が体感されないように円滑に車体を停止させることができ、制動時の運転フィーリングがよくなるという効果を得ることができる。又、車体の実質速度を正確に把握して確実に、かつ安定良く制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平面図である。
【図2】本発明の回路ブロック図である。
【図3】本発明の代表点速度演算部で用いる数値の説明図である。
【図4】本発明の特性線図である。
【図5】本発明のフロー図である。
【図6】本発明の平面図である。
【符号の説明】
2 駆動輪
5 前輪
8 駆動輪ブレーキ
9 前輪ブレーキ
12 ブレーキ操作検出手段
13 前輪速度検出手段
15 代表点速度演算部
16 制動力制御部
17 判定部
18 制動力演算部
19 制御入力演算部
20 ドライバ
21 電磁操作手段
Claims (3)
- 車体代表点に配置され、操舵輪に兼用される駆動輪を制動する駆動輪ブレーキと、この駆動輪から所定のホイールベースを置いて回転自在に設けられた左右の前輪を制動する左右の前輪ブレーキとを備えるリーチ型フォークリフトのブレーキ装置において、
ブレーキ操作の有無を検出する操作検出手段と、前記左右の前輪の速度を検出する左右の前輪速度検出手段と、前記左右の前輪速度検出手段により検出された左右の前輪速度に基づいて車体代表点速度を演算する代表点速度演算部と、操作検出手段によりブレーキ操作が検出された際に、前記代表点速度演算部で演算された車体代表点速度が所定の閾値を下回る時には前記左右の前輪ブレーキの制動力を低減させる制動力制御部とを備えることを特徴とするリーチ型フォークリフトのブレーキ装置。 - 前記前輪ブレーキが電磁操作式ブレーキからなり、前記制動力制御部が、車体代表点速度が所定の閾値以上か否かを判定する判定部と、この判定部の判定結果に基づいて前記前輪ブレーキの制動力を演算する制動力演算部と、演算された制動力を得るために前輪ブレーキの電磁操作手段に印加すべき制御入力を演算する制御入力演算部と、演算された制動入力を前記電磁操作手段に印加するドライバとを備えることを特徴とする請求項1に記載されたリーチ型フォークリフトのブレーキ装置。
- 前記制動力演算部が車体代表点速度が前記閾値以上の場合には前輪ブレーキの制動力を最大制動力とし、車体代表点速度が前記閾値を下回る場合には前輪ブレーキの制動力を前記車体代表点速度に比例して減少させることを特徴とする請求項2に記載されたリーチ型フォークリフトのブレーキ装置。
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- 2002-11-15 JP JP2002331937A patent/JP2004161472A/ja active Pending
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