JP2004160799A - インクジェットプリンタ等のクリーニング機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸引および空吸引動作時に、インクが連通口近傍にたまって凝固しても、目詰まりを起こさないような構成を考案する。また、その構成において、インクの吸引量のばらつきを抑えるような制御方法を実現する。
【解決手段】連通口と緩く勘合し、弁が閉じた状態では吸収体と接触して、インクが入り込めない空間を吸収体と連通口の間で確保するための突起を弁に設ける構成とし、吸引のためのポンプ動作が停止してから一定時間経過後に弁を開いて空吸引を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】連通口と緩く勘合し、弁が閉じた状態では吸収体と接触して、インクが入り込めない空間を吸収体と連通口の間で確保するための突起を弁に設ける構成とし、吸引のためのポンプ動作が停止してから一定時間経過後に弁を開いて空吸引を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットプリンタ、特に印字ヘッドのクリーニングを行う機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印字ヘッドに供給されるインクを、加熱、あるいは振動によって用紙に向かって噴出させることで印字を行うインクジェットプリンタは、現在シリアルプリンタの中で主流をしめている。
【0003】
図2は、インクジェット方式のシリアルプリンタの構成を示す概略図である。キャリア1は、ガイドシャフト2、ガイドレール4によって、シャーシ3に保持されたLFローラー5及びプラテン6に対向して往復移動できるように支持されている。印字ヘッド7はキャリア1に搭載されていて、ベルト9を介して伝達されるキャリアモータ8によりガイドシャフト2に沿って往復移動する。
【0004】
印字用紙10は、プリンタ内部で、LFローラー5とピンチローラー11及び、排紙ローラー12と排紙補助ローラー13の間に挟まれて保持されていて、LFローラー5が回転すると、摩擦力によってLFローラー5の軸線に対して垂直方向に搬送される。
【0005】
印字に際しては、キャリア1は停止状態から、加速された後に一定の速度で移動をする。この状態のときに、プリンタ内部に送られてくる印字データに従って、印字ヘッド7を駆動して、インクを印字用紙10に向けて噴出する。そして、印字ヘッド7の一行分の駆動が終了後、キャリア1は減速されて停止する。
【0006】
LFローラー5は、一行分の印字が終了したのち所定の量だけ回転して、印字用紙10の次に印字がおこなわれるべき個所が、印字ヘッド7に対向する位置に移動するように印字用紙10を搬送する。この動作が終了した後、キャリア1は再び移動を開始して、移動中に印字ヘッド7を駆動することで次の行の印字を行う。この一連の動作の繰り返しによって、規定の印字データがすべて印字されると、印字用紙10は排紙ローラー12により、プリンタの外部に排出されて印字が完了する。
【0007】
インクジェットプリンタには、長期に停止している場合の印字ヘッド7の保護、およびノズル近傍のインクの蒸発の防止、及び、ノズル近傍で固まったインクの除去のために、一般的にインクジェットプリンタにはクリーニングユニット13が用意されている。図3は一般的なクリーニングユニット13のキャップ部とポンプ部の構成を示す断面図である。クリーニングユニット13は主に、ノズル列周辺を密閉するためのキャップ15と、キャップ15とチューブ17を通じて連結され、キャップ15内に負圧を発生させ、ノズルからインクを吸い出すためのポンプ部から構成されている。
【0008】
ホルダー18は軸を中心に、ポンプベース20の内部で、図示していない駆動手段により、図中の矢印方向に回転する。チューブ17はポンプベース20の半円のドーム状の内壁に沿ってはい回されている。
【0009】
チューブ17の一方の端部はキャップホルダー16を介して、キャップ15と貫通穴を形成しながら連結している。さらに、キャップ15に連通口22と呼ばれる、吸引口21とは別の穴を設け、この穴を弁23により選択的に開閉する。
【0010】
図4のように、印字ヘッド7に対して、キャップホルダ16に支持されたキャップ15が圧接され、かつ弁が連通口を閉じた密閉状態で、ポンプが矢印方向に回転すると、印字ヘッド7とキャップ15の密閉部の圧力が下がり、印字ヘッド7内からインクを吸引する。吸引されたインクはローラー19bの動きに伴って、チューブ17内をつたって最終的にはチューブ17のもう一方の端部から外側に排出される。
【0011】
ローラー19bはチューブ17を押しつぶしながらホルダー18とともに回転し、ポンプベース20の半円のドーム部から外側に出るとチューブ17を押しつぶさなくなるが、このときもう一つのローラー19aがチューブ17を押しつぶし始めるので、ホルダー18が回転する限り、連続的にインクの吸引を行うことができる。
【0012】
吸引動作が停止した直後は、キャップの密閉空間内に、インクが充満した状態になるので、通常はこの後で充満したインクをポンプで吸い出す動作(空吸引と呼ぶ)を行う。その一般的な方法としては、弁を動かして連通口が開放された状態にして、吸引のときと同様にポンプを動作させる。この場合、キャップ内には負圧が発生するが、連通口から空気が流れ込んでくるため、印字ヘッドからインクを吸引することはなく、キャップ内に充満したインクだけが空気と一緒に吸い出され、外部に排出される。
【0013】
キャップホルダ16には、弁23が回転可能に保持されており、通常は図3のように、弁ばね24によりキャップ15の連通口22の出口に当接していて、キャップ15を密閉する。吸引動作終了後は、弁は図示しない手段により回動されて、キャップ15との当接を解除される。この状態で再度ホルダ18を矢印方向に回転すると、連通口22からキャップ15の内部に流れ込む空気とともに、キャップ15内に残っていたインクが外部に吸引される。
【0014】
この一連の動作を行って、印字ヘッド7内のノズル付近で粘度が上がったインクを吸い出すことにより、ノズルからのインクの吐出を安定させることができる。なお、ホルダ18の駆動は通常パルスモータを駆動源として行われるので、パルスモータの回転量のコントロールによって、ホルダ18の回転量は一定にコントロールされる。
【0015】
図4は従来のキャップ部の詳細構成図である。キャップ15には吸引口22とは別に連通口が設けられており、回転することにより連通口を選択的に開閉するための弁がつけられている。また、キャップ15の中には、吸収体25が収められていて、キャップ15内部に残るインクがフリーにならないように保持する。
【0016】
ところが、このような構成で、吸引後に弁を開いて空吸引を行うと、弁を開いた瞬間に吸収体に残っていたインクが連通口の方に流れて行くことがある。このインクのほとんどは空吸引時の空気の流れにより、再度吸収体に吸収されて、吸引口から外部に吸い出されるが、微量のインクは連通口に取り残される。
【0017】
プリンタが印字状態にない場合、及びパワーがオフになっている場合は、印字ヘッド7の保護及びノズルからのインクの蒸発を抑えるために、図4のようにキャップ15が印字ヘッド17に密着し、弁が閉じている状態に保たれるが、このまま長期間放置されると、連通口22付近にとり残されたインクは凝固を起こす。このようなことが繰り返されると、やがては連通口22は凝固したインク26で詰まった状態になる。
【0018】
このような状態でプリンタを使用した場合、図5に示す様に、吸引した後で空吸引を行うために弁23を開いても、凝固したインク26により連通口22はふさがれているために、連通口22から空気を吸い込むことができず、印字ヘッド7内のインクを吸い出してしまうという不具合が起きる。
【0019】
従来の構成でこの問題を回避するための手段の一つとしては、吸引のためにポンプを駆動している最中に弁23を開くということを実施している。
【0020】
図7は吸引しているときのポンプの動作量とキャップ内の負圧の関係を示すグラフである。一般的に、ポンプを動作すると、徐々に負圧は上昇していき、やがてピークに達してその後は均衡が保たれる。吸引している状態ではキャップ15内部に負圧が発生しているために、インクが連通口22の方に流れていくことはなく、この状態のまま弁23を開くと、連通口22から吸い込まれる空気の流れによって、空吸引の際もインクは連通口22の方に流れていかないので、インクが連通口22の近傍に溜まることは起こりにくく、上記のインク凝固による連通口22の目詰まりを防ぐことができる。
【0021】
ただし、この場合弁23がキャップ15から離れるタイミングの差により、吸引量がばらつくという弊害が存在する。一回の吸引動作で吸引されるインクの量は、この負圧曲線で描かれる、ABCで囲まれた部分の面積に比例するが、部品の寸法のばらつきなどにより、ポンプが動作を始めてから弁23を開くタイミングが個体差なく一定になるようにするのは非常に困難であり、弁23が基準より早く開いてしまうと、BCC’B’の面積に相当する量のインクが基準の吸引量より少なくなり、弁23が基準より遅く開くと、BCC”B”の面積に相当する量のインクが基準より多く吸引されてしまう。結果として、個体間でインクの吸引量にばらつきが生ずるという問題が起きる。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明では、連通口と緩く勘合し、弁が閉じた状態では吸収体と接触して、インクが入り込めない空間を吸収体と連通口の間で確保するための突起を弁に設ける構成とし、インクが連通口近傍にたまっても目詰まりを起こさないようにすることに合わせて、吸引のためのポンプ動作が停止してから一定時間経過後に弁を開いて空吸引をなって、インクの吸引量のばらつきを抑えることにより、上記の課題を解決する。
【0023】
【発明の実施の形態】
(第一の実施形態)
以下本発明の実施形態を図に従って説明する。
【0024】
図1は本発明によるキャップ部の構成を示す図である。キャップ15には従来と同様に、チューブ17を介してポンプ部と連結するための吸引口21と、空吸引時に外気を内部に吸い込むための連通口22が設けられていて、内部にはインクを保持するための吸収体25が収められている。また、キャップ15を保持するキャップベース16には回転により連通口22を選択的に開閉できるよう弁23が保持されている。
【0025】
弁23の連通口22をふさぐ面には突起23−aが設けられており、弁23が連通口22を閉じている状態では図のように、突起23−aの先端が吸収体25と接触するようになっている。
【0026】
吸引を行った後に空吸引を行うために弁23を開くと、従来と同様に吸収体25に残っているインクが連通口22の方に流れ、空吸引で吸い出しきれない分が連通口22近傍に残り、この状態のまま長期間放置されるとインクが凝固する。この繰り返しによって、連通口22付近はやがて凝固したインク26が溜まっていき、弁23を閉じた状態では図1のようになる。ところが、この構成においては、そのような状態になっても、次回の空吸引時に弁23を開くと、図6に示すように、連通口22から吸収体25の間で突起23−aが占めていた空間があるために、完全な目詰まり状態とはならない。更に、図6に示すように、突起23−aが勾配をもつ形状からなっていて、根元では連通口22と緩やかに係合するようになっていると、凝固したインク26の中でも弁23の動作がスムーズに行え、弁23が少しでも移動すれば、凝固したインク26と突起23−aとの間に確実に隙間ができるのでより安全である。
【0027】
上記のように、インクが連通口22付近で凝固しても、目詰まりによるから吸引不良が起きないようにできると、ポンプが吸引動作を停止した後に弁を開いて空吸引動作を開始してもなんら問題なくなる。
【0028】
ポンプの基準動作量分だけ吸引してから、一定時間後に弁23を開くようにした場合、部品寸法の違いなどによって、弁23を動作開始してから開いた状態になるまでのタイミングが個体間で多少ばらついても、図7のグラフ中のポンプの基準動作量での吸引量を確実に保つことができるので、吸引量の差は生じない。吸引時のポンプの動作量自体をばらつきなくコントロールすることは容易であるので、結果的に個体間で吸引量がばらつかないようにすることができる。
【0029】
(第二の実施形態)
以下本発明の第二の実施形態を図に従って説明する。
【0030】
第一の実施形態では、吸収体25は板形状であるので、弁23の突起23−aが吸収体25に接するためには、突起23−aを長くする必要がある。この突起23−aが長くなった場合、突起23−aが連通口22の中でスムーズに動くには、動作の軌跡がストレートに近いようにしなければならず、設計上の制約がせまくなるうえ、弁23の作成も比較的難しくなる。また、凝固したインク26と接触している表面積が広いので、弁23を開くときの抵抗力も大きくなる傾向をもつ。
【0031】
そこで、図8のように、吸収体25に連通口側に出っ張る突起25−aを持たせる。このとき、弁23の突起23−aは吸収体25の突起25−aに接触するだけの長さがあればいいので、図示されたように短くできる。
【0032】
図9はこの構成で弁23を開いたときの状態図である。図で明らかなように、凝固したインク26と接している表面積が少ないので、弁23を動かすときの抵抗力が小さくなるので、弁23の動作が安定する。また、弁23が動くときの突起23−aの軌跡が多少曲線的になっても、連通口22の中でスムーズに動くので、弁23の設計上の制約がゆるくなるとともに、弁23の作成自体も簡単になる。
【0033】
効果に関しては、第一の実施形態と全く同じである。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、連通口と緩く勘合し、弁が閉じた状態では吸収体と接触して、インクが入り込めない空間を吸収体と連通口の間で確保するための突起を弁に設ける構成とすることにより、インクが連通口近傍にたまっても目詰まりを起こさないようにすることが可能となる。
【0035】
また、この効果にともなって、吸引のためのポンプ動作が停止してから一定時間経過後に弁を開いて空吸引を行うようにできるので、インクの吸引量のばらつきを抑えることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第一の実施形態に基づく印字ヘッドのクリーニングユニットのキャップ部の詳細図である。
【図2】インクジェットプリンタの構成概略図である。
【図3】キャップ部およびポンプ部の構成概略図である。
【図4】従来の印字ヘッドのクリーニングユニットのキャップ部の詳細図である。
【図5】従来の印字ヘッドのクリーニングユニットでインクが凝固した状態で弁を開いたときの図である。
【図6】本発明による第一の実施形態に基づく印字ヘッドのクリーニングユニットでインクが凝固した状態で弁を開いたときの図である。
【図7】ポンプ動作量とキャップ内負圧の関係を示すグラフである。
【図8】吸収体25に連通口側に出っ張る突起25−aを持たせた図。
【図9】図8の構成で弁23を開いたときの状態図である。
【符号の説明】
1 キャリア
2 ガイドシャフト
3 シャーシ
4 ガイドレール
5 LFローラー
6 プラテン
7 印字ヘッド
8 キャリアモーター
9 ベルト
10 印字用紙
11 ピンチローラー
12 排紙ローラー
13 クリーニングユニット
14 給紙ユニット
15 キャップ
16 キャップホルダー
17 チューブ
18 ホルダー
19 ローラー
20 ポンプベース
21 吸引口
22 連通口
23 弁
24 弁ばね
25 吸収体
26 凝固インク
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットプリンタ、特に印字ヘッドのクリーニングを行う機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印字ヘッドに供給されるインクを、加熱、あるいは振動によって用紙に向かって噴出させることで印字を行うインクジェットプリンタは、現在シリアルプリンタの中で主流をしめている。
【0003】
図2は、インクジェット方式のシリアルプリンタの構成を示す概略図である。キャリア1は、ガイドシャフト2、ガイドレール4によって、シャーシ3に保持されたLFローラー5及びプラテン6に対向して往復移動できるように支持されている。印字ヘッド7はキャリア1に搭載されていて、ベルト9を介して伝達されるキャリアモータ8によりガイドシャフト2に沿って往復移動する。
【0004】
印字用紙10は、プリンタ内部で、LFローラー5とピンチローラー11及び、排紙ローラー12と排紙補助ローラー13の間に挟まれて保持されていて、LFローラー5が回転すると、摩擦力によってLFローラー5の軸線に対して垂直方向に搬送される。
【0005】
印字に際しては、キャリア1は停止状態から、加速された後に一定の速度で移動をする。この状態のときに、プリンタ内部に送られてくる印字データに従って、印字ヘッド7を駆動して、インクを印字用紙10に向けて噴出する。そして、印字ヘッド7の一行分の駆動が終了後、キャリア1は減速されて停止する。
【0006】
LFローラー5は、一行分の印字が終了したのち所定の量だけ回転して、印字用紙10の次に印字がおこなわれるべき個所が、印字ヘッド7に対向する位置に移動するように印字用紙10を搬送する。この動作が終了した後、キャリア1は再び移動を開始して、移動中に印字ヘッド7を駆動することで次の行の印字を行う。この一連の動作の繰り返しによって、規定の印字データがすべて印字されると、印字用紙10は排紙ローラー12により、プリンタの外部に排出されて印字が完了する。
【0007】
インクジェットプリンタには、長期に停止している場合の印字ヘッド7の保護、およびノズル近傍のインクの蒸発の防止、及び、ノズル近傍で固まったインクの除去のために、一般的にインクジェットプリンタにはクリーニングユニット13が用意されている。図3は一般的なクリーニングユニット13のキャップ部とポンプ部の構成を示す断面図である。クリーニングユニット13は主に、ノズル列周辺を密閉するためのキャップ15と、キャップ15とチューブ17を通じて連結され、キャップ15内に負圧を発生させ、ノズルからインクを吸い出すためのポンプ部から構成されている。
【0008】
ホルダー18は軸を中心に、ポンプベース20の内部で、図示していない駆動手段により、図中の矢印方向に回転する。チューブ17はポンプベース20の半円のドーム状の内壁に沿ってはい回されている。
【0009】
チューブ17の一方の端部はキャップホルダー16を介して、キャップ15と貫通穴を形成しながら連結している。さらに、キャップ15に連通口22と呼ばれる、吸引口21とは別の穴を設け、この穴を弁23により選択的に開閉する。
【0010】
図4のように、印字ヘッド7に対して、キャップホルダ16に支持されたキャップ15が圧接され、かつ弁が連通口を閉じた密閉状態で、ポンプが矢印方向に回転すると、印字ヘッド7とキャップ15の密閉部の圧力が下がり、印字ヘッド7内からインクを吸引する。吸引されたインクはローラー19bの動きに伴って、チューブ17内をつたって最終的にはチューブ17のもう一方の端部から外側に排出される。
【0011】
ローラー19bはチューブ17を押しつぶしながらホルダー18とともに回転し、ポンプベース20の半円のドーム部から外側に出るとチューブ17を押しつぶさなくなるが、このときもう一つのローラー19aがチューブ17を押しつぶし始めるので、ホルダー18が回転する限り、連続的にインクの吸引を行うことができる。
【0012】
吸引動作が停止した直後は、キャップの密閉空間内に、インクが充満した状態になるので、通常はこの後で充満したインクをポンプで吸い出す動作(空吸引と呼ぶ)を行う。その一般的な方法としては、弁を動かして連通口が開放された状態にして、吸引のときと同様にポンプを動作させる。この場合、キャップ内には負圧が発生するが、連通口から空気が流れ込んでくるため、印字ヘッドからインクを吸引することはなく、キャップ内に充満したインクだけが空気と一緒に吸い出され、外部に排出される。
【0013】
キャップホルダ16には、弁23が回転可能に保持されており、通常は図3のように、弁ばね24によりキャップ15の連通口22の出口に当接していて、キャップ15を密閉する。吸引動作終了後は、弁は図示しない手段により回動されて、キャップ15との当接を解除される。この状態で再度ホルダ18を矢印方向に回転すると、連通口22からキャップ15の内部に流れ込む空気とともに、キャップ15内に残っていたインクが外部に吸引される。
【0014】
この一連の動作を行って、印字ヘッド7内のノズル付近で粘度が上がったインクを吸い出すことにより、ノズルからのインクの吐出を安定させることができる。なお、ホルダ18の駆動は通常パルスモータを駆動源として行われるので、パルスモータの回転量のコントロールによって、ホルダ18の回転量は一定にコントロールされる。
【0015】
図4は従来のキャップ部の詳細構成図である。キャップ15には吸引口22とは別に連通口が設けられており、回転することにより連通口を選択的に開閉するための弁がつけられている。また、キャップ15の中には、吸収体25が収められていて、キャップ15内部に残るインクがフリーにならないように保持する。
【0016】
ところが、このような構成で、吸引後に弁を開いて空吸引を行うと、弁を開いた瞬間に吸収体に残っていたインクが連通口の方に流れて行くことがある。このインクのほとんどは空吸引時の空気の流れにより、再度吸収体に吸収されて、吸引口から外部に吸い出されるが、微量のインクは連通口に取り残される。
【0017】
プリンタが印字状態にない場合、及びパワーがオフになっている場合は、印字ヘッド7の保護及びノズルからのインクの蒸発を抑えるために、図4のようにキャップ15が印字ヘッド17に密着し、弁が閉じている状態に保たれるが、このまま長期間放置されると、連通口22付近にとり残されたインクは凝固を起こす。このようなことが繰り返されると、やがては連通口22は凝固したインク26で詰まった状態になる。
【0018】
このような状態でプリンタを使用した場合、図5に示す様に、吸引した後で空吸引を行うために弁23を開いても、凝固したインク26により連通口22はふさがれているために、連通口22から空気を吸い込むことができず、印字ヘッド7内のインクを吸い出してしまうという不具合が起きる。
【0019】
従来の構成でこの問題を回避するための手段の一つとしては、吸引のためにポンプを駆動している最中に弁23を開くということを実施している。
【0020】
図7は吸引しているときのポンプの動作量とキャップ内の負圧の関係を示すグラフである。一般的に、ポンプを動作すると、徐々に負圧は上昇していき、やがてピークに達してその後は均衡が保たれる。吸引している状態ではキャップ15内部に負圧が発生しているために、インクが連通口22の方に流れていくことはなく、この状態のまま弁23を開くと、連通口22から吸い込まれる空気の流れによって、空吸引の際もインクは連通口22の方に流れていかないので、インクが連通口22の近傍に溜まることは起こりにくく、上記のインク凝固による連通口22の目詰まりを防ぐことができる。
【0021】
ただし、この場合弁23がキャップ15から離れるタイミングの差により、吸引量がばらつくという弊害が存在する。一回の吸引動作で吸引されるインクの量は、この負圧曲線で描かれる、ABCで囲まれた部分の面積に比例するが、部品の寸法のばらつきなどにより、ポンプが動作を始めてから弁23を開くタイミングが個体差なく一定になるようにするのは非常に困難であり、弁23が基準より早く開いてしまうと、BCC’B’の面積に相当する量のインクが基準の吸引量より少なくなり、弁23が基準より遅く開くと、BCC”B”の面積に相当する量のインクが基準より多く吸引されてしまう。結果として、個体間でインクの吸引量にばらつきが生ずるという問題が起きる。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明では、連通口と緩く勘合し、弁が閉じた状態では吸収体と接触して、インクが入り込めない空間を吸収体と連通口の間で確保するための突起を弁に設ける構成とし、インクが連通口近傍にたまっても目詰まりを起こさないようにすることに合わせて、吸引のためのポンプ動作が停止してから一定時間経過後に弁を開いて空吸引をなって、インクの吸引量のばらつきを抑えることにより、上記の課題を解決する。
【0023】
【発明の実施の形態】
(第一の実施形態)
以下本発明の実施形態を図に従って説明する。
【0024】
図1は本発明によるキャップ部の構成を示す図である。キャップ15には従来と同様に、チューブ17を介してポンプ部と連結するための吸引口21と、空吸引時に外気を内部に吸い込むための連通口22が設けられていて、内部にはインクを保持するための吸収体25が収められている。また、キャップ15を保持するキャップベース16には回転により連通口22を選択的に開閉できるよう弁23が保持されている。
【0025】
弁23の連通口22をふさぐ面には突起23−aが設けられており、弁23が連通口22を閉じている状態では図のように、突起23−aの先端が吸収体25と接触するようになっている。
【0026】
吸引を行った後に空吸引を行うために弁23を開くと、従来と同様に吸収体25に残っているインクが連通口22の方に流れ、空吸引で吸い出しきれない分が連通口22近傍に残り、この状態のまま長期間放置されるとインクが凝固する。この繰り返しによって、連通口22付近はやがて凝固したインク26が溜まっていき、弁23を閉じた状態では図1のようになる。ところが、この構成においては、そのような状態になっても、次回の空吸引時に弁23を開くと、図6に示すように、連通口22から吸収体25の間で突起23−aが占めていた空間があるために、完全な目詰まり状態とはならない。更に、図6に示すように、突起23−aが勾配をもつ形状からなっていて、根元では連通口22と緩やかに係合するようになっていると、凝固したインク26の中でも弁23の動作がスムーズに行え、弁23が少しでも移動すれば、凝固したインク26と突起23−aとの間に確実に隙間ができるのでより安全である。
【0027】
上記のように、インクが連通口22付近で凝固しても、目詰まりによるから吸引不良が起きないようにできると、ポンプが吸引動作を停止した後に弁を開いて空吸引動作を開始してもなんら問題なくなる。
【0028】
ポンプの基準動作量分だけ吸引してから、一定時間後に弁23を開くようにした場合、部品寸法の違いなどによって、弁23を動作開始してから開いた状態になるまでのタイミングが個体間で多少ばらついても、図7のグラフ中のポンプの基準動作量での吸引量を確実に保つことができるので、吸引量の差は生じない。吸引時のポンプの動作量自体をばらつきなくコントロールすることは容易であるので、結果的に個体間で吸引量がばらつかないようにすることができる。
【0029】
(第二の実施形態)
以下本発明の第二の実施形態を図に従って説明する。
【0030】
第一の実施形態では、吸収体25は板形状であるので、弁23の突起23−aが吸収体25に接するためには、突起23−aを長くする必要がある。この突起23−aが長くなった場合、突起23−aが連通口22の中でスムーズに動くには、動作の軌跡がストレートに近いようにしなければならず、設計上の制約がせまくなるうえ、弁23の作成も比較的難しくなる。また、凝固したインク26と接触している表面積が広いので、弁23を開くときの抵抗力も大きくなる傾向をもつ。
【0031】
そこで、図8のように、吸収体25に連通口側に出っ張る突起25−aを持たせる。このとき、弁23の突起23−aは吸収体25の突起25−aに接触するだけの長さがあればいいので、図示されたように短くできる。
【0032】
図9はこの構成で弁23を開いたときの状態図である。図で明らかなように、凝固したインク26と接している表面積が少ないので、弁23を動かすときの抵抗力が小さくなるので、弁23の動作が安定する。また、弁23が動くときの突起23−aの軌跡が多少曲線的になっても、連通口22の中でスムーズに動くので、弁23の設計上の制約がゆるくなるとともに、弁23の作成自体も簡単になる。
【0033】
効果に関しては、第一の実施形態と全く同じである。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、連通口と緩く勘合し、弁が閉じた状態では吸収体と接触して、インクが入り込めない空間を吸収体と連通口の間で確保するための突起を弁に設ける構成とすることにより、インクが連通口近傍にたまっても目詰まりを起こさないようにすることが可能となる。
【0035】
また、この効果にともなって、吸引のためのポンプ動作が停止してから一定時間経過後に弁を開いて空吸引を行うようにできるので、インクの吸引量のばらつきを抑えることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第一の実施形態に基づく印字ヘッドのクリーニングユニットのキャップ部の詳細図である。
【図2】インクジェットプリンタの構成概略図である。
【図3】キャップ部およびポンプ部の構成概略図である。
【図4】従来の印字ヘッドのクリーニングユニットのキャップ部の詳細図である。
【図5】従来の印字ヘッドのクリーニングユニットでインクが凝固した状態で弁を開いたときの図である。
【図6】本発明による第一の実施形態に基づく印字ヘッドのクリーニングユニットでインクが凝固した状態で弁を開いたときの図である。
【図7】ポンプ動作量とキャップ内負圧の関係を示すグラフである。
【図8】吸収体25に連通口側に出っ張る突起25−aを持たせた図。
【図9】図8の構成で弁23を開いたときの状態図である。
【符号の説明】
1 キャリア
2 ガイドシャフト
3 シャーシ
4 ガイドレール
5 LFローラー
6 プラテン
7 印字ヘッド
8 キャリアモーター
9 ベルト
10 印字用紙
11 ピンチローラー
12 排紙ローラー
13 クリーニングユニット
14 給紙ユニット
15 キャップ
16 キャップホルダー
17 チューブ
18 ホルダー
19 ローラー
20 ポンプベース
21 吸引口
22 連通口
23 弁
24 弁ばね
25 吸収体
26 凝固インク
Claims (3)
- 印字ヘッドのノズル近傍を密閉状態にできるような形状を有するとともに、負圧を発生するように構成されたポンプとチューブ等により連結するための吸引口と、外気と通じるための連通口が設けられたキャップ、該キャップの内部のインクを保持するためにとりつけられた吸収体、前記連通口を選択的に開閉するように保持された弁からなる、インクジェットプリンタに用いられるクリーニングユニットであって、前記弁に連通口から前記キャップ内に入りこむような突起を設け、前記弁が前記連通口を閉じた状態では前記吸収体と前記突起が接触するように構成されたことを特徴とするクリーニングユニット。
- 前記突起は軸線方向に対して、先端が細くなるような勾配をもち、前記連通口とゆるやかな係合関係にあるように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載のクリーニングユニット。
- 前記弁を閉じた状態で前記印字ヘッド内のインクを吸引する動作を終了してから、ある一定時間経過後に前記弁を開いて、前記ポンプを動作させて、前記吸収体に保持されているインクを吸い出す動作を行うことを特徴とする、請求項1に記載のクリーニングユニット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002328387A JP2004160799A (ja) | 2002-11-12 | 2002-11-12 | インクジェットプリンタ等のクリーニング機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002328387A JP2004160799A (ja) | 2002-11-12 | 2002-11-12 | インクジェットプリンタ等のクリーニング機構 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004160799A true JP2004160799A (ja) | 2004-06-10 |
Family
ID=32806706
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002328387A Withdrawn JP2004160799A (ja) | 2002-11-12 | 2002-11-12 | インクジェットプリンタ等のクリーニング機構 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004160799A (ja) |
-
2002
- 2002-11-12 JP JP2002328387A patent/JP2004160799A/ja not_active Withdrawn
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