JP2004160505A - ハニカム構造体の溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外筒16に挿入されたハニカム構造体14を水平横置きに設定する。楕円形状焦点24の長尺方向が鉛直となる状態で、半導体レーザをハニカム構造体14の端部に照射しながら、ハニカム構造体14および外筒16を軸心Oを中心に1回転させて溶接を行う。楕円形状焦点24を軸心Oの方向へ移動させた後、再度ハニカム構造体14および外筒16を回転させて溶接を行う。このとき、前回の溶接領域に対して所定量のオーバラップ部位を設ける。
【選択図】図8
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス浄化用で金属製のハニカム構造体が筒の内部に挿入された金属触媒に対して、ハニカム構造体の端面をレーザによって溶接するハニカム構造体の溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車または自動二輪車に用いられる排気管には、排ガス浄化用にハニカム構造の金属製触媒が用いられている。金属製触媒は、一般に波形を有する薄板を巻回してハニカム構造体を形成し、該ハニカム構造体を筒の中に挿入している。ハニカム構造体は触媒としての作用を有し、未燃化水素、窒素酸化物、硫化酸化物およびその他のすすを吸着する。
【0003】
この金属製触媒を使用する際には、排ガスの流れによって中心部が長手方向に突出するフィルムアウト現象が発生することがあり、このフィルムアウト現象を防止するためにはハニカム構造体の隣接する部分同士を固定する必要がある。
【0004】
金属製触媒を固定するために、レーザ溶接を用いて溶接する方法やアーク溶接を用いて溶接する方法が提案されている。特に、レーザ溶接を用いる溶接方法は、ロウ付けなどの前処理工程が不要で、しかも結合部材が不要であるという特徴を有する。
【0005】
具体的には、外筒の側方からレーザを照射貫通させる方法(例えば、特許文献1参照)、ハニカム構造体の端部にレーザを一定の振幅で振動させながら溶接する方法(例えば、特許文献2参照)、およびハニカム構造体の端部をTIG溶接により溶接する方法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭64−4254号公報(第3頁右上欄第4行〜第15行)
【特許文献2】
特開平6−39570号公報(段落[0015]〜[0019])
【特許文献3】
特開平7−31887号公報(段落[0011]〜[0014])
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1に開示された方法では、ハニカム構造体が数点の穿孔部分でのみ溶着固定されているので強度が不十分であり、穿孔の数を増やすと、外筒およびハニカム構造体の強度が低下するという不都合がある。
【0008】
また、特許文献2に開示された方法では、溶接箇所によりエネルギー供給量が異なり、特に、振幅端ではエネルギー供給量が極端に大きくなって溶け落ちが発生するおそれがある。溶け落ちを防止するためには遮蔽材によってマスキングを行う必要がある。
【0009】
さらに、特許文献3に開示された方法では、アーク溶接の一種であるTIG溶接を用いているが、通常、TIG溶接やMIG溶接は比較的厚い板材に適用する溶接方法であり、ハニカム構造体のような薄板に適用する場合には特別な条件の下で行う必要がある。溶接の条件が整わない場合には、端面が過度に溶融したり、送給されるワイヤによって端面が塞がってしまうことがある。
【0010】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、ハニカム構造体の端部を、簡便な方法により、均一かつ十分な強度で溶接することを可能にするハニカム構造体の溶接方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るハニカム構造体の溶接方法は、金属製の薄板からなるハニカム構造体を金属製の外筒に挿入し、半導体レーザの略楕円形状焦点を前記ハニカム構造体の端部に照射し、前記略楕円形状焦点または前記ハニカム構造体を、前記略楕円形状焦点の幅の狭い方向に相対的に移動させながら前記薄板の端部を溶融させ、前記薄板同士を溶接することを特徴とする。
【0012】
このように、略楕円形状焦点の幅の狭い方向に、略楕円形状焦点またはハニカム構造体を移動させながら溶接を行うことにより、略楕円形状焦点の長尺幅の範囲を一度に溶接することができて、簡便である。また、薄板同士が多数の接点で溶着されるため、ハニカム構造体は均一かつ十分な強度で溶接される。
【0013】
この場合、前記略楕円形状焦点または前記ハニカム構造体を、前記略楕円形状焦点の幅の狭い方向に相対的に移動させて複数回溶接を行い、各回の溶接に対応する溶接領域は、隣接する溶接領域に対してオーバラップ部位が設けられているとよい。略楕円形状焦点の両端部はレーザの出力が低いが、この両端部についてはオーバラップ部位を設けることにより2回溶接することになり、溶接不良を低減させることができる。
【0014】
また、前記ハニカム構造体および前記外筒を水平横置きにして、前記略楕円形状焦点の長尺方向が鉛直となるように前記半導体レーザを照射すると、溶融金属が下方へ流動し、薄板同士が接する接点に溜まり、集合凝固部が形成される。この集合凝固部により薄板同士を強固に溶接することができる。
【0015】
さらに、前記略楕円形状焦点または前記ハニカム構造体を、前記略楕円形状焦点の幅の狭い方向に相対的に複数回、かつ、同心状に溶接を行うようにしてもよい。
【0016】
さらにまた、前記略楕円形状焦点または前記ハニカム構造体を、前記略楕円形状焦点の幅の狭い方向に相対的に複数回、かつ、平行に溶接を行うようにしてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るハニカム構造体の溶接方法について好適な実施の形態を挙げ、添付の図1〜図11を参照しながら説明する。
【0018】
本実施の形態に係るハニカム構造体の溶接方法では、図1に示す溶接装置10を用いて排ガス浄化用触媒担体12のハニカム構造体14の端部を溶接する。
【0019】
図1に示すように、排ガス浄化用触媒担体12は、ハニカム構造体14が外筒16の内部に挿入されたものであり、ハニカム構造体14の端部はレーザ18によって溶接されている。レーザ18は半導体レーザである。ハニカム構造体14は、方形に成形された薄いステンレス鋼板(薄板)20(図4参照)が数枚巻回されたものであり、レーザ18が照射されることにより、隣接するステンレス鋼板20の端部が接点部で互いに溶接される。このように、ステンレス鋼板20同士が溶接されることによりフィルムアウト現象を防止することができる。
【0020】
外筒16は、ハニカム構造体14を構成するステンレス鋼板20と比べて厚いステンレス鋼材の筒であり、ハニカム構造体14よりもやや長尺である。ハニカム構造体14は外筒16の内部に挿入されており、ハニカム構造体14の側部が外筒16によって完全に覆われている。
【0021】
溶接装置10は、排ガス浄化用触媒担体12を水平に保持して軸心Oを中心として比較的低速で回転させる回転機構22と、半導体レーザ発振器26が搭載されたテーブル28を上下および左右に移動可能なテーブル移動機構30と、回転機構22、テーブル移動機構30および半導体レーザ発振器26を制御するコントローラ32とを有する。半導体レーザ発振器26は、排ガス浄化用触媒担体12に対してレーザ18を軸方向と平行に照射することができる。半導体レーザ発振器26は、半導体のPN接合部で発生するレーザ18をレンズを通さないで照射し、これによってレーザ18の焦点は楕円形状焦点24(図2参照)となる。楕円形状焦点24は、鉛直縦長となるように設定されている。楕円形状焦点24は幾何学上の完全な楕円である必要はなく、縦横の長さが異なる略楕円形状であればよい。
【0022】
コントローラ32は、テーブル28の位置、回転機構22の回転速度およびレーザ18の出力をそれぞれ連動させながら調整可能である。
【0023】
図2に示すように、楕円形状焦点24は縦方向が幅L0の鉛直縦長の形状である。半導体レーザの特徴として、楕円形状焦点24の上下両端部における小さい幅tの部分は出力分布が傾斜しており、外周に向かって出力が小さくなっている。また、幅tを除く中央の幅L1の範囲では出力がほぼ一定である。
【0024】
次に、このように構成される溶接装置10およびその他の装置を用いてハニカム構造体14を製造し、該ハニカム構造体14を溶接する方法について、図3〜図11を参照しながら説明する。
【0025】
図3のステップS1において、まず、触媒用のステンレス鋼板20を方形にプレス成形する(図4参照)。成形したステンレス鋼板20は、所定の長さに切断する。
【0026】
次に、ステップS2において、図5に示すように、成形および切断したステンレス鋼板20を数枚まとめて、中央部をシームローラ40によってシーム接合する。その後、シーム接合した箇所を中心に巻回してハニカム構造体14を得る。なお、方形に成形されたステンレス鋼板20は、巻回することによって、方形の部分がやや変形して波形となる。
【0027】
ハニカム構造体14は、方形に成形したものと、平板のままのステンレス鋼板20とを組み合わせて巻回するようにしてもよい。
【0028】
次いで、ステップS3において、ハニカム構造体14(図6参照)を外筒16に圧入する。外筒16は、ハニカム構造体14よりもやや長尺であり、ハニカム構造体14を外筒16の内部に挿入し、ハニカム構造体14の側部が外筒16によって完全に覆われるようにする。
【0029】
次に、ステップS4において、外筒16の略中間部にレーザビーム42(図7参照)を照射し、側面を1周または2周して溶接する。これにより、ハニカム構造体14の側面の一部と外筒16の内面とが固定される。また、レーザビーム42による溶接箇所44はハニカム構造体14の端部から離間した位置に設定する。
【0030】
次に、ステップS5において、外筒16を溶接装置10(図1参照)の回転機構22に取り付けるとともに、テーブル移動機構30におけるテーブル28の位置を調整する。この際、図8に示すように、楕円形状焦点24の上端点Pが外筒16の内周面に一致するようにテーブル28の位置を調整する。
【0031】
次に、ステップS6において、回転機構22により外筒16およびハニカム構造体14を1回転させるとともに、レーザ18を照射する。これにより、ハニカム構造体14の端面のうち円環形状ハッチング部(溶接領域)46を溶接する。このとき、楕円形状焦点24の上端点Pのハニカム構造体14に対する相対移動速度は溶接に適した所定の値の速度Vとなるように設定する。すなわち、上端点Pと軸心Oとの距離をr0とすると、外筒16およびハニカム構造体14の回転速度ωは、ω=V/r0として設定される。
【0032】
図9Aに示すように、ハニカム構造体14を構成する複数のステンレス鋼板20は複数の接点48で互いに接触している。ハニカム構造体14の端部にレーザ18を照射することによって、ステンレス鋼板20の端部が溶融する。
【0033】
ところで、溶融した状態の金属(溶融金属)は流動性があるので重力によって下方へ流れる傾向があり、接点48の周辺に溜まる。特に、楕円形状焦点24(図8参照)は鉛直縦向きに設定されているので、楕円形状焦点24内で溶融金属は下方へ流れやすく、また接点48へ到達しやすい。
【0034】
ステンレス鋼板20の形状によっては、溶融金属が接点48へ到達できないことがある。この場合でも、ハニカム構造体14は回転機構22によって回転しているので、溶融金属に加わる重力の方向が変化することになり、結果として接点48に到達しうる。接点48に到達した溶融金属は表面張力によってその場に留まる。
【0035】
このように、接点48の周辺には溶融金属が溜まりやすく、図9Bに示すように、凝固後に玉状の集合凝固部50が形成されて、隣接するステンレス鋼板20が接点48の部分で接合される。
【0036】
また、溶融金属は接点48に多少の隙間がある場合でも溜まることができるので、集合凝固部50が形成されやすい。さらに、接点48に対して周辺から溶融金属が流入しない場合でも、互いに接するステンレス鋼板20の端部が溶融および凝固することにより接点48の部分が接合される。
【0037】
なお、楕円形状焦点24の上端点Pを外筒16の内面に合わせて溶接する際、外筒16は、溶融することがなくハニカム構造体14と溶着することがない。なぜなら、上端点Pにおけるレーザ18の出力は非常に弱く(図2参照)、しかも外筒16はステンレス鋼板20よりも厚く熱容量が大きく、温度があまり上昇しないためである。
【0038】
次に、ステップS7において、ハニカム構造体14の全面に対して溶接を終了したか否かを判断する。溶接を終了した場合には、回転機構22から外筒16を離脱させる。溶接が未終了である場合には次のステップS8に移る。
【0039】
ステップS8においては、テーブル移動機構30を調整し、楕円形状焦点24の位置を下げる。この際、下げる量は、幅L1+t(図2参照)、若しくは幅L1とし、直前に溶接をした領域(例えば、円環形状ハッチング部46)と幅t、若しくはt×2の幅のオーバラップ部位を設ける。このようなオーバラップ部位については溶接を2度行うことになる。図2から諒解されるように、楕円形状焦点24における上下両端の幅tの部分は比較的低出力であるが、オーバラップ部位を設けることにより、低出力部は2度溶接されることになり、溶融不良をなくすことができる。
【0040】
このステップS8の処理の後、前記のステップS6へ戻り溶接処理を続行する。またステップS8ではレーザ18の照射を停止しておくとよい。
【0041】
ステップS6へ戻り溶接を行う際、上端点Pの位置が移動しているので、外筒16およびハニカム構造体14の回転速度ωを再設定する。例えば、図8に示すように、楕円形状焦点24の移動量が幅L1+tであり上端点Pと軸心Oとの距離がr1であるときには、回転速度ωは、ω=V/r1として設定される。
【0042】
なお、回転速度ωを一定として、上端点Pと軸心Oとの距離に応じてレーザ18の出力を調整するようにしてもよい。この場合、外筒16の外周に近いほど高出力とし、軸心Oに近いほど低出力にする。換言すれば、ハニカム構造体14の単位面積あたり同じエネルギー[J]が照射されるように、レーザ18の出力[W]および/または回転速度ωを設定すればよい。
【0043】
上記したように、本実施の形態に係るハニカム構造体の溶接方法によれば、図10に示すように、ハニカム構造体14の端部に集合凝固部50が形成された排ガス浄化用触媒担体12が得られる。
【0044】
排ガス浄化用触媒担体12は、隣接するステンレス鋼板20の端部が多数の接点48において互いに溶接されているので、フィルムアウト現象が発生しない。特に、溶融金属の流動性によって集合凝固部50が多数形成されるので、ステンレス鋼板20同士を強固に接合することができる。
【0045】
また、レーザ18は半導体レーザであり、楕円形状焦点24を形成する。溶接を行う際、楕円形状焦点24とハニカム構造体14とを楕円形状焦点24の幅の狭い方向に相対的に移動させるので、幅L0(図2参照)の範囲(例えば、円環形状ハッチング部46)を一度に溶接することができる。従って、短時間で溶接を行うことができ、また、点焦点を用いる場合の走査動作が不要である。
【0046】
さらに、楕円形状焦点24のうち両端部の低出力部については、低い幅t、若しくはt×2の幅のオーバラップ部位をもって溶接を行うので、溶接不良が発生しない。
【0047】
さらにまた、本実施の形態に係るハニカム構造体の溶接方法によれば、溶接する箇所である楕円形状焦点24と軸心Oとの距離に応じて回転速度ωまたはレーザ18の出力を調整するようにしているので、ハニカム構造体14の端部全面を均一かつ確実に溶接することができる。局所的に過剰なエネルギーを受ける箇所がないので、マスキングなどの処理が不要である。
【0048】
排ガス浄化用触媒担体12は、外筒16とハニカム構造体14とから構成されており、外筒16とハニカム構造体14は、レーザビーム42(図7参照)による略中央部の溶接箇所44でのみ固定されている。従って、排ガスの熱を受ける際に、ハニカム構造体14は拘束されずに軸方向に熱膨張することができ、応力を受けない。
【0049】
また、外筒16およびハニカム構造体14を1周回転させる間は、回転速度ω、レーザ18の出力およびテーブル28の位置等は固定しておけばよいので、複雑な設定をすることなく簡便に溶接を行うことができる。
【0050】
なお、溶接の順序は、必ずしも隣接する順に行う必要はない。例えば、円環形状ハッチング部46(図8参照)の溶接を行った後に、軸心Oの周辺を溶接し、その後に中間の円環状の領域を溶接するようにしてもよい。この場合も隣接する溶接領域に所定のオーバラップ部位を設けるとよい。
【0051】
次に、本実施の形態に係るハニカム構造体の溶接方法の変形例について図11を参照しながら説明する。この方法では、上記の実施の形態で使用する溶接装置10を用いて溶接を行い、この際、楕円形状焦点24を水平方向に移動させる。
【0052】
図11に示すように、まず、楕円形状焦点24を初期位置Q1に設定する。この初期位置Q1は、外筒16から離れた左上方で、かつ上端点Pと外筒16の内周の上端点Aが同じ高さに設定されている。
【0053】
次いで、レーザ18を照射させるとともにテーブル28(図1参照)を右方向へ一定の速度Vで位置Q2まで移動させる。位置Q2は、初期位置Q1と同じ高さで、かつ外筒16から離れた右上方に設定されている。このように楕円形状焦点24を移動させることによりハニカム構造体14の上部における幅L0の範囲を溶接する。
【0054】
このとき、ハニカム構造体14を形成するステンレス鋼板20の端部が溶融し、接点48(図9B参照)において隣接するステンレス鋼板20同士が溶接される。また、楕円形状焦点24(図8参照)は鉛直縦向きに設定されているので、楕円形状焦点24内で溶融した金属は下方へ流れやすく、接点48へ到達しやすい。この結果、凝固後に玉状の集合凝固部50(図9B参照)が形成されるので強固に接合される。
【0055】
楕円形状焦点24を初期位置Q1から位置Q2へ移動させる際、外筒16の一部を通過することになるが、外筒16は比較的厚く熱容量が大きいために温度があまり上昇しない。従って、外筒16とハニカム構造体14とは溶着することがない。
【0056】
次に、テーブル移動機構30を調整し、楕円形状焦点24の位置Q2を位置Q3へ下げる。この際、下げる量は、幅L1+t(図2参照)、若しくは幅L1とし、直前に溶接をした領域と幅t、若しくはt×2の幅のオーバラップ部位を設ける。
【0057】
この後、レーザ18を照射させるとともにテーブル28を左方向へ速度Vで移動させ、ハニカム構造体14の幅L0の範囲を溶接する。前回に溶接を行った範囲に対して幅t、若しくはt×2の幅のオーバラップ部位については2度溶接を行うことになるので溶融不良をなくすことができる。
【0058】
このように楕円形状焦点24を右方向への移動、下方への移動および左方向への移動を繰り返し、外筒16の内周の下端点Bまで溶接を行う。これによりハニカム構造体14の全面を溶接することがで、排ガス浄化用触媒担体12が得られる。
【0059】
上述したように、本実施の形態に係るハニカム構造体の溶接方法の変形例によれば、テーブル28を移動させることにより溶接を行うことができ、外筒16およびハニカム構造体14を回転させる必要がない。
【0060】
得られた排ガス浄化用触媒担体12は、隣接するステンレス鋼板20の端部が多数の接点48において互いに溶接されているので、フィルムアウト現象が発生しない。
【0061】
また、テーブル28を移動させる速度V、レーザ18の出力は所定の固定値とすることができるので、複雑な設定をすることなく簡便に溶接を行うことができる。
【0062】
本発明に係るハニカム構造体の溶接方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るハニカム構造体の溶接方法によれば、ハニカム構造体の端部を、簡便な方法により、均一かつ十分な強度で溶接するという効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハニカム構造体の端部を溶接する溶接装置を示す模式斜視図である。
【図2】半導体レーザの楕円形状焦点とその出力分布を示す図である。
【図3】本実施の形態に係るハニカム構造体の溶接方法の手順を示すフローチャートである。
【図4】ステンレス鋼板を方形にプレス成形する様子を示す模式図である。
【図5】プレス成形したステンレス鋼板をシームローラによってシーム接合する様子を示す模式図である。
【図6】ハニカム構造体を外筒に挿入する様子を示す模式図である。
【図7】外筒の周囲をレーザビームによってビーム溶接する様子を示す模式図である。
【図8】ハニカム構造体の端部に楕円形状焦点を照射させて、外筒およびハニカム構造体を回転させながら溶接する様子を示す模式図である。
【図9】図9Aは、ハニカム構造体を構成するステンレス鋼板の端部の溶接処理前の状態を示す一部拡大斜視図であり、図9Bは、ハニカム構造体を構成するステンレス鋼板の端部の溶接処理後の状態を示す一部拡大斜視図である。
【図10】溶接処理後の排ガス浄化用触媒担体の側面図である。
【図11】ハニカム構造体の端部に楕円形状焦点を移動させながら照射させて溶接する様子を示す模式図である。
【符号の説明】
10…溶接装置 12…排ガス浄化用触媒担体
14…ハニカム構造体 16…外筒
18…レーザ 20…ステンレス鋼板
22…回転機構 24…楕円形状焦点
26…半導体レーザ発振器 28…テーブル
30…テーブル移動機構 32…コントローラ
40…シームローラ 46…円環形状ハッチング部
48…接点 50…集合凝固部
Claims (5)
- 金属製の薄板からなるハニカム構造体を金属製の外筒に挿入し、
半導体レーザの略楕円形状焦点を前記ハニカム構造体の端部に照射し、
前記略楕円形状焦点または前記ハニカム構造体を、前記略楕円形状焦点の幅の狭い方向に相対的に移動させながら前記薄板の端部を溶融させ、前記薄板同士を溶接することを特徴とするハニカム構造体の溶接方法。 - 請求項1記載のハニカム構造体の溶接方法において、
前記略楕円形状焦点または前記ハニカム構造体を、前記略楕円形状焦点の幅の狭い方向に相対的に移動させて複数回溶接を行い、
各回の溶接に対応する溶接領域は、隣接する溶接領域に対してオーバラップ部位が設けられていることを特徴とするハニカム構造体の溶接方法。 - 請求項1または2記載のハニカム構造体の溶接方法において、
前記ハニカム構造体および前記外筒を水平横置きにして、
前記略楕円形状焦点の長尺方向が鉛直となるように前記半導体レーザを照射することを特徴とするハニカム構造体の溶接方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のハニカム構造体の溶接方法において、
前記略楕円形状焦点または前記ハニカム構造体を、前記略楕円形状焦点の幅の狭い方向に相対的に複数回、かつ、同心状に溶接を行うことを特徴とするハニカム構造体の溶接方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のハニカム構造体の溶接方法において、
前記略楕円形状焦点または前記ハニカム構造体を、前記略楕円形状焦点の幅の狭い方向に相対的に複数回、かつ、平行に溶接を行うことを特徴とするハニカム構造体の溶接方法。
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