JP2004159636A - 微生物の除去評価方法および微生物除去評価装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】微生物に粒子を照射して殺菌処理するにあたり、その殺菌効果を評価できるようにすることである。
【解決手段】容器8の内部の空間に微生物を供給し、該微生物を殺菌処理するための粒子7を照射し、該粒子7の照射を行った後に採取器6により微生物を採取し、この採取された微生物を測定して評価を行う。殺菌処理の対象とする微生物を、細菌、真菌、ウイルスおよびアレルゲン物質よりなる群から選ばれた一または二以上の組み合わせとすることができる。粒子としては、正イオン、負イオン、および正負イオンの混合したガスや、α線、β線などの荷電粒子や、各種プラズマ化したガス粒子、オゾン、ラジカルなどの粒子、薬剤の粒子などを用いることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】容器8の内部の空間に微生物を供給し、該微生物を殺菌処理するための粒子7を照射し、該粒子7の照射を行った後に採取器6により微生物を採取し、この採取された微生物を測定して評価を行う。殺菌処理の対象とする微生物を、細菌、真菌、ウイルスおよびアレルゲン物質よりなる群から選ばれた一または二以上の組み合わせとすることができる。粒子としては、正イオン、負イオン、および正負イオンの混合したガスや、α線、β線などの荷電粒子や、各種プラズマ化したガス粒子、オゾン、ラジカルなどの粒子、薬剤の粒子などを用いることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空間に浮遊する微生物に対する殺菌効果を評価するための微生物の除去評価方法および微生物除去評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、住環境の高気密化に伴い、人体に有害な空気中の浮遊微生物を取り除き、健康で快適な生活を送りたいという要望が強くなっている。この要望に応えるため、各種の抗菌剤を添着させたフィルタが開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記フィルタでは、空間の空気を吸引して空気中の微生物を濾過する方式であるため、長期にわたる使用によりフィルタの交換等のメンテナンスが不可欠であり、しかもフィルタの特性が充分でないため、満足のいく性能が得られておらず、微生物を除去する方式として十分ではない。
【0004】
そして、通常の浮遊微生物除去評価を行うにあたっては、微生物が含まれた空気をフィルタに通過させ、フィルタに濾過された微生物の数を測定していた。この方法によると、測定の対象となる空間に浮遊している微生物の濃度を測定することができない。
【0005】
ところで、微生物を除去する方式として電離したイオン等の粒子を微生物に照射して殺菌処理する方式があるが、この方式により微生物を殺菌処理し除去する能力を測定し評価することは従来行われていなかった。
【0006】
そこで、本発明では、微生物を殺菌処理する粒子を微生物に照射し、その殺菌効果を評価するための微生物の除去評価方法、および該方法に用いることができる微生物除去評価装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は微生物の除去評価方法であって、容器の内部の空間に微生物を供給し、該微生物を殺菌処理するための粒子を照射し、該粒子の照射を行った後に微生物を採取し該採取された微生物の測定を行うことを特徴としている。
【0008】
この方法によると、容器の内部空間において上記粒子を照射した後に微生物を採取してその測定を行うので、粒子を照射することによる微生物を殺菌処理し除去する能力を評価することができ、前記粒子を照射する各種の条件を定量的に評価することが可能である。
【0009】
そして、上記微生物の除去評価方法において、前記粒子の照射を行った後に前記微生物の測定を行うとともに、さらに前記粒子を照射して微生物を殺菌処理した場合と同一の条件で微生物を供給して前記粒子を照射することなく微生物を自然減衰させ、その後微生物を採取して該採取された微生物の測定を行うことができる。
【0010】
即ち、この発明は、前記粒子を一定時間照射して微生物の殺菌処理を行うとともに、該微生物の殺菌処理を行った条件と同じ条件で微生物を供給し、前記粒子を照射した時間と同じ時間前記粒子を照射することなく微生物を自然減衰させて、その後に微生物を採取して該採取された微生物の測定を行うことができる。
【0011】
これにより、前記粒子を照射して微生物の殺菌処理を行った場合と、かかる殺菌処理を行わずに微生物を自然減衰させた場合の各々について採取された微生物を測定し、それらの結果を対比することによって、前記粒子を照射することによる微生物を殺菌処理する能力の自然減衰させた場合との対比に基づく相対的な評価が可能になる。
【0012】
前記微生物の測定は、前記微生物の濃度測定、細胞感染率の測定、若しくはアレルギー反応の測定であり、これにより、微生物の除去評価を行うことができる。
【0013】
また、前記採取された微生物を測定するにあたり、さらにその粒子の照射時間による経時変化を測定することもできる。これにより、微生物を殺菌処理する能力の時間の経過に対する定量的評価を行うことができる。
【0014】
また、前記採取された微生物を測定するにあたり、前記粒子の濃度依存性を測定することもできる。これにより、微生物を殺菌処理する能力の、粒子濃度依存性に対する定量的評価を行うことができる。
【0015】
また、前記容器の内部の空間に微生物を供給するにあたり、微生物を分散させた溶液をミスト状にして噴霧して行うことができる。これにより、容器内への微生物の供給が容易であり、微生物の殺菌処理を行い易い。そして、かかる微生物をミスト状にして噴霧した場合について、本発明による評価の対象にできる。
【0016】
また、前記評価方法にあたり、微生物による細胞培養、微生物による赤血球凝集反応、または微生物によるアレルギー反応を用いることができる。これにより、微生物の活性度あるいは濃度を評価することができる。
【0017】
また、前記微生物を殺菌処理するための粒子として、空気中における放電、空気中における放射光照射、およびレナード効果のいずれかにより生成されるガスを用いることができる。
【0018】
さらに、前記微生物を殺菌処理するための粒子として、放射光、X線、ガンマ線、あるいは電磁波を用いることができる。さらに、また、前記微生物を殺菌処理するための粒子として正および/または負のイオンを用いることができる。
【0019】
ここで、微生物を殺菌処理するための特異な粒子として、正および負のイオンを用いたときの微生物を殺菌処理できる理由を、以下に述べる。
【0020】
即ち、放電等の電離現象を大気中で起こして正イオンおよび負イオンを発生させると、正イオンとしてはH+(H2O)nが、負イオンとしてはO2 −(H2O)nが最も安定に生成する。
【0021】
これらのイオンが生成されると、化学反応によって活性種である過酸化水素H2O2又はラジカル・OHが生成される。このH2O2又はラジカル・OHは極めて強力な活性を示すため、これにより空気中の浮遊微生物を殺菌処理し除去することができる。
【0022】
また、前記微生物を殺菌処理するための粒子として正または負のイオンのどちらかが主体であるガスを用いることもできる。その場合、例えば、前記イオンの有する電荷による、微生物への電気作用が、微生物の細胞破壊あるいは表面蛋白質の破壊を行うことにより、殺菌作用を生じさせるという効果が生じ得る。
【0023】
前記微生物を殺菌処理するための粒子として、オゾンまたはラジカルを用いることもできる。オゾンまたはラジカルは微生物に対する殺菌処理能力に優れており、微生物を有効に除去することができる。これらは、殺菌処理能力を発揮した後、オゾンは無害な酸素になり、残存することがなく、また、ラジカルは、浮遊微生物若しくは空気中の諸分子と結合し、不活性な物質に変化するため、時間経過とともに無害化され残存することがない。そして、かかるオゾンまたはラジカルにより微生物を殺菌処理する能力を評価することが可能になる。
【0024】
また、前記微生物を殺菌処理するにあたり薬剤を用い、薬剤の粒子を照射して殺菌処理することもできる。薬剤を用いて殺菌処理すると、前記イオンやオゾンによる場合に比べ、その粒子の供給を簡易な装置で行うことができる。そして、かかる薬剤により微生物を殺菌処理する能力を評価することが可能になる。
【0025】
また、前記殺菌処理の対象とする微生物を、細菌、真菌、ウイルスおよびアレルゲン物質よりなる群から選ばれた一または二以上の組み合わせとすることができる。これにより、各種の微生物について本発明による除去評価の対象とすることができる。
【0026】
また、前記容器の内部の空間に微生物を供給するに際して、前記容器内に供給された微生物に対する下方から容器の内部の空間を攪拌して行うことができる。これにより、容器内に微生物を供給するにあたり、微生物の自重による自然沈降を防いで、前記粒子を照射することによる殺菌処理を有効に行うことができる。また、攪拌を行った場合について本発明による評価の対象とできる。
【0027】
また、本発明は、上記微生物除去評価方法を実現するための装置として、内部の空間に微生物が供給されるとともに該微生物の殺菌処理を行うための容器と、該容器の内部の空間に微生物を供給する微生物供給手段と、前記容器の内部の空間に微生物を殺菌処理するための粒子を供給する微生物除去手段と、前記微生物除去手段により微生物の殺菌処理を行った後に微生物を採取する微生物採取手段とを備えてなり、前記微生物採取手段により採取された微生物を測定して評価するための微生物除去評価装置を提供することができる。
【0028】
この微生物除去評価装置によると、上記微生物除去手段により上記粒子を照射して微生物の殺菌処理を行った後に、上記微生物採取手段により微生物を採取でき、採取された微生物の測定を行うことにより、該測定に基づいて上記微生物除去手段による微生物を殺菌処理する能力を評価することができる。また、前記微生物除去手段による粒子を照射して微生物を殺菌処理する各種の条件を定量的に評価することもできる。
【0029】
その具体的態様としては、前記微生物供給手段と前記微生物除去手段と前記微生物採取手段とが微生物を含む空気の通路に上流側から下流側に向けて順次配列された構成とすることができる。これにより、微生物の供給、微生物の除去および微生物の採取といった一連の工程をスムーズに実行することができる。
【0030】
この場合、微生物供給手段と前記微生物採取手段との間に微生物を含む空気の通路を形成する風洞が介在され、該風洞の内側に前記微生物除去手段が配置された構成を採用すれば、微生物を含む空気の供給・除去・採取を限られた風洞内で行うことができる。
【0031】
また、前記微生物除去手段と前記微生物採取手段とが前記微生物供給手段の鉛直下方域外に配置された構成が望ましい。このような配置にすることにより、前記微生物供給手段から放出されたミストのうち、気体状にならない粒状の物体は、鉛直下方およびその周辺に落下するため、前記微生物除去手段および前記微生物採取手段が、前記落下する物質により汚染されることがなく、評価装置の信頼性を向上させることができる。この効果を得るためには、前記微生物供給手段の鉛直下方に前記微生物除去手段および前記微生物採取手段とを配置しないようにすることが重要であり、例えば前記微生物供給手段と前記微生物採取手段を水平方向に配置することや、前記微生物供給手段から鉛直下方より若干ずれた位置、あるいは斜め方向に前記微生物除去手段および前記微生物採取手段とを配置することなどにより、本効果を得ることができる。
【0032】
また、本発明では、前記容器の外側に、該容器を覆うように別の容器が配置される微生物除去評価装置により行うことができる。このような装置構成にすることにより、前記容器から漏れ出る微生物や、気体状にならない粒状の物体が、前記別の容器により遮蔽され、外部に漏れにくくすることが可能になる。
【0033】
また、前記微生物除去評価装置について、前記容器の内部の空間に、前記供給された微生物に対する下方から前記容器の内部の空間を攪拌するための攪拌手段を設けることができる。これにより、前記微生物供給手段から微生物を容器内に供給するに際して、微生物の自重による自然沈降を防いで微生物除去手段による殺菌処理を有効に行うことができる。
【0034】
また、上記微生物除去評価装置について、微生物供給手段による微生物の供給を微生物を分散させた溶液をミスト状にして前記容器の内部の空間に噴霧するように構成することができる。
【0035】
また、上記微生物除去評価装置について、前記微生物を殺菌処理するための粒子が、空気中における放電、空気中における放射光照射、およびレナード効果のいずれかにより生成されるガスを放出されるように構成することができる。また、上記微生物除去評価装置について、前記微生物を殺菌処理するための粒子が、放射光、X線、ガンマ線、または電磁波であり、これらを放出されるように構成することができる。
【0036】
また、上記微生物除去評価装置について、前記微生物除去手段が微生物を殺菌処理するための粒子として正および/または負のイオンを照射するように構成することができる。また、上記微生物除去評価装置について、前記微生物除去手段が微生物を殺菌処理するための粒子としてオゾンまたはラジカルを照射するように構成することができる。さらに、上記微生物除去評価装置について、前記微生物除去手段が微生物を殺菌処理するための粒子として薬剤の粒子を照射するように構成することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0038】
<第1の実施形態>
まず、本発明の方法を実施することができる微生物除去評価装置について説明する。図1は微生物除去評価装置の一例である微生物除去評価装置10の概略構成図である。
【0039】
微生物除去評価装置10には、容器8と、微生物供給手段を構成する微生物注入管5と、微生物除去手段を構成するイオン発生装置1と、微生物採取手段を構成する微生物採取管3および微生物採取器6が設けられている。
【0040】
容器8は、その内部の空間が外気から閉ざされた構造とされており、その内部の空間内に微生物を存在させるとともに該微生物の殺菌処理を行えるようにされている。
【0041】
また、容器8は、特に図示しない空調系等によりその内部の空間の温度や湿度を任意に調節できるようにされており、微生物に対する環境を任意に設定できるようにされている。
【0042】
また、容器8は、図1に示されるように、水平方向の寸法に比べて高さ方向の寸法を大きく取る形態に形成されている。これにより、容器8内の空間の容積を大きく取ることもできるので、微生物除去評価装置10の処理容量を大きくすることができる。
【0043】
微生物注入管5は、容器8の所定の位置に設けられ、該微生物注入管5を介して容器8の内部の空間に微生物を供給できるようにされており、容器8の内部の空間に微生物を浮遊させることができる。
【0044】
この微生物注入管5は、図1に特に図示されない微生物の供給源より微生物が送られてくるようにされている。そして、微生物注入管5の容器8内を臨む微生物注入口5aより容器8内に微生物が注入される。
【0045】
微生物注入管5より容器8内に微生物を注入するにあたり、微生物単体で注入するようにしてもよく、微生物を分散させた溶液をミスト状にして容器8内に噴霧するようにしてもよい。
【0046】
イオン発生装置1は、微生物を殺菌処理するための粒子としてイオン7を照射する。このイオン発生装置1は、容器8内に設けられており、微生物注入口5aより容器8内に注入された微生物に向かって、イオン発生口2よりイオン7を照射する。
【0047】
このイオン発生装置1は、その内部にイオン発生素子を備えており、該イオン発生素子の電極間に交流電圧が印加されることによる放電等の電離現象によって正イオンおよび負イオンからなるイオン7を発生させる。
【0048】
かかるイオン発生装置1の放電等に伴うイオン7の発生は、容器8内の気圧の状態に影響を受けることがない。また、イオン7の強度(濃度)は、上記イオン発生装置1のイオン発生素子に印加される動作電圧を調節することによって変化させることができる。
【0049】
容器8内の空間には微生物を採取するための微生物採取管3が配設されている。この採取管3は、図1に示されるように、容器8の高さ方向である垂直方向に沿って配設される部分と容器8の水平方向に沿って配設される部分とから構成されている。
【0050】
そして、採取管3の水平方向に沿って配設される部分は、容器8の側面を貫通して容器8の外部に延びており、容器8の外部で後に説明する微生物採取器6に接続されている。採取管3の垂直方向の上端には微生物採取口3aが形成されており、採取口3aより容器8内の微生物が採取管3内へ取り込まれる。
【0051】
微生物採取器6は、容器8の外部に配置されており、前記採取管3とともに微生物採取手段を構成する。微生物採取器6は、微生物採取管3を介して容器8内の空間を吸引し、容器8内の微生物を微生物採取口3aより採取管3内へ取り込むとともに微生物採取器6に採取する。
【0052】
この微生物を採取するための微生物採取器6について、エアーサンプラーを用いて構成することができる。また、微生物採取器6について、溶液バブリング器を通して微生物を採取するように構成することもできる。
【0053】
この微生物除去評価装置10には、図1に示されるように、容器8内の下方に攪拌機4が設けられている。この攪拌機4は、容器8内の空間を攪拌するための攪拌手段にあたり、回転するファンにより周囲の空間に気流を形成して空間を攪拌するようにしたものを用いることができる。
【0054】
この攪拌機4を設けて容器8内の空間を攪拌すると、微生物の自重による下方への自然沈降を防ぎ、イオン発生装置1より照射されたイオン7が有効に存在する領域に微生物をより浮遊させることができ、イオン7による殺菌処理を有効に行うことができる。
【0055】
特に、微生物が質量の重い種類のものである場合に、自然沈降を生じ易いが、攪拌機4を設けることにより自然沈降を防ぎ、イオン7による殺菌処理を有効に行うことができる。
【0056】
なお、本発明を実施するにあたり、攪拌機4を必ずしも設ける必要はないが、攪拌機4を設けることで、上述の理由によりイオン7による殺菌処理をより有効に行い易い。
【0057】
上記微生物除去評価装置10を用いた微生物除去評価方法は次のように実施することができる。まず、微生物注入口5より容器8内に一定量の微生物を注入する。次に、イオン発生装置1を動作させ、注入された微生物に向かってイオン7を照射して微生物に対する殺菌処理を行う。イオン7を一定時間照射した後に、微生物採取器6によって微生物を採取する。
【0058】
採取された微生物はその菌数を測定することができる。微生物の菌数を測定するにあたり、採取された微生物を培地シャーレにより所定の培地上で一定時間培養した後に行うこともできる。これにより、採取された微生物の菌数をより正確に測定することができる。
また、微生物の菌数の測定は、前記シャーレ上の微生物を顕微鏡で観察することによって行うことができる。
【0059】
このように、上記微生物除去評価装置10を用い微生物採取器6により採取された微生物を測定することにより、イオン7を照射することによる微生物に対する殺菌処理能力を評価することができる。
【0060】
また、上記微生物除去評価装置10を用いて微生物の除去評価を行うにあたり、以下の測定および評価を行うこともできる。まず、上述のように、容器8内に一定量の微生物を注入した後にイオン7を照射して殺菌処理を一定時間行い、その後微生物採取器6により微生物を採取し採取された微生物の菌数の測定を行う。
【0061】
次に、前記イオン7を照射して殺菌処理を行った場合と同一の条件で同一量の微生物を容器8内に注入する。そして、イオン7を照射することなく、前記イオン7を照射した時間と同一時間の経過を待ち、微生物を自然減衰させる。その後に微生物採取器6により微生物を採取し、採取された微生物の菌数の測定を行う。
【0062】
そして、前記イオン7の照射により殺菌処理を行った後に採取された微生物の菌数と、前記自然減衰させた後に採取された微生物の菌数とを比較することによって、イオン7による微生物に対する殺菌処理能力を自然減衰させた場合との対比により相対的に評価することができる。
【0063】
また、以上の微生物採取器6により採取された微生物の測定を行うにあたり、イオン7の照射を開始してからの経過時間や微生物の自然減衰を開始させてからの経過時間に対する、微生物の菌数の経時変化を測定することもできる。
【0064】
また、以上の微生物の測定を行うにあたり、攪拌機4により攪拌を行った場合と、攪拌を行わない場合とについて測定することができる。
【0065】
さらに、以上の微生物の測定を行うにあたり、微生物に照射するイオン7の強度を変化させ、イオン7の各強度に対する採取された微生物の測定を行うこともできる。これにより、イオン7の強度に応じた微生物に対する殺菌処理能力を評価することができる。
【0066】
<第2の実施形態>
次に、本発明にかかる微生物除去評価装置の第2の実施形態について図2を参酌しつつ説明する。図2は、微生物除去評価装置の第2の実施形態である微生物除去評価装置20の概略構成図である。
【0067】
図2に示される微生物除去評価装置20には、容器18と、微生物供給手段を構成する微生物注入管15と、微生物除去手段を構成するイオン発生素子12と、微生物採取手段を構成する採取管13および微生物採取器6が設けられている。つまり、微生物供給手段である微生物注入管15と、微生物除去手段であるイオン発生素子12と、微生物採取手段である採取管13および微生物採取器6とが微生物を含む空気の通路において上流側から下流側に向けて順次配列されている。
【0068】
容器18は、その内部の空間が外気から閉ざされた構造とされており、その内部の空間内に微生物を存在させるとともに該微生物を殺菌処理できるようにされている。この容器18にあっては、図2から判るように、水平方向の寸法に比べ高さ方向の寸法を小さく取った形態とされている。
【0069】
微生物注入管15は、容器8の外部で微生物噴霧器11に接続されており、該微生物噴霧器11より微生物が送り込まれる。微生物噴霧器11は、一定濃度の微生物を含んだ気体を一定の速度で微生物注入管15に送り込む。そして、微生物噴霧器11より微生物注入管15に送り込まれた微生物を含む気体は、容器18内を臨む微生物注入口15aより容器18内に注入される。
【0070】
微生物噴霧器11より容器18内に微生物を供給するにあたり、空気中に微生物単体を含ませて微生物注入管15に送り込むようにしてもよく、微生物を分散させた溶液をミスト状にして噴霧させることにより微生物注入管15に送り込むようにしてもよい。
【0071】
イオン発生素子12は、微生物注入管15の鉛直下方域外で容器18内の底面上に配設されている。このイオン発生素子12は、一定の略平面状に配設されるイオン発生電極12aにより正イオンおよび負イオンからなるイオン7を発生させる。このイオン発生素子12より発生したイオン7によって、微生物注入管15より注入された微生物が殺菌処理される。
【0072】
このイオン発生素子12は、図1に示すイオン発生装置1に備わるイオン発生素子と同様であり、イオン7を発生する動作はイオン発生装置1について説明したのと同様である。
【0073】
微生物を採取するための微生物採取管13は、微生物注入管15の鉛直下方域外で、水平方向に沿って配設されており、その一端には容器18内を臨む微生物採取口13aが形成されており、他端は容器18の外部で微生物採取器6に接続されている。
【0074】
容器18の外部に配置される微生物採取器6は、微生物採取管13を介して容器18内の空間を吸引し、容器18内の微生物を微生物採取口13aより採取管13内へ取り込むとともに微生物採取器6に採取する。
【0075】
この微生物を採取するための微生物採取器6について、エアーサンプラーを用いることができる。また、微生物採取器6について、溶液バブリング器を通して微生物を採取するように構成することもできる。
【0076】
上記微生物除去評価装置20を用いることにより、本発明の方法を以下のように実施することができる。まず、微生物注入口15より容器18内に一定量の微生物を注入する。次に、イオン発生素子12を動作させ、注入された微生物にイオン7を照射して微生物に対する殺菌処理を行う。イオン7を一定時間照射した後に、微生物採取器6によって微生物を採取する。
【0077】
そして、微生物採取器6に採取された微生物の測定を行う。この採取された微生物を測定するにあたり、採取された微生物の菌数を測定することができる。この微生物の菌数を測定するにあたり、採取された微生物を培地シャーレにより所定の培地上で一定時間培養した後に行うこともできる。また、採取された微生物の菌数の測定は、顕微鏡を用いた観察によって行うことができる。
【0078】
このように、微生物除去評価装置20を用い、微生物採取器6に採取された微生物を測定することにより、イオン7の照射による微生物に対する殺菌処理能力を評価することができる。
【0079】
また、この微生物除去評価装置20によると、微生物注入口15aを介する容器18内への微生物の注入と、イオン発生素子12によりイオン7を照射して行う微生物の殺菌処理と、その後の微生物採取口13aを介した微生物の採取とからなる一連の処理を略ワンパスの経路に沿ってできる。
【0080】
従って、この微生物除去評価装置20によると、容器18内における微生物の自然減衰を考慮に入れなくてもよいので、高濃度での気中浮遊微生物の除去評価を行うことができる。
【0081】
また、この微生物除去評価装置20によると、装置をコンパクト化でき、閉空間で評価できるので、有害な微生物でも評価することができる。
【0082】
また、この微生物除去評価装置20を用いて本発明の方法を実施する場合についても、図1に示す微生物除去評価装置10により実施する場合について説明したのと同様に、以下の測定および評価を行うことができる。
【0083】
即ち、イオン7を照射することなく容器18内に供給した微生物を自然減衰させた場合とイオン7を照射して殺菌処理を行った場合とについて、採取器6に採取された微生物の測定を行い、それらの結果を比較することができる。
【0084】
また、採取された微生物の測定を行うにあたり、イオン7の照射を開始してからの経過時間や微生物の自然減衰を開始させてからの経過時間に対する、微生物の菌数の経時変化を測定することもできる。
【0085】
また、微生物に照射するイオン7の強度を変化させ、イオン7の各強度に対する採取された微生物を測定することにより、イオン7の強度に応じた微生物に対する殺菌処理能力を評価することもできる。
【0086】
なお、以上の説明では、微生物を殺菌処理するための粒子としてイオン7を照射する例を挙げて説明した。微生物を殺菌処理するために用いる粒子は、上記イオン7以外のものを用いることもでき、例えばオゾンの粒子を用いることもできる。オゾンの粒子を用いて微生物を殺菌処理する場合には、図1に示す微生物除去評価装置10のイオン発生装置1や図2に示す微生物除去評価装置20のイオン発生素子12をオゾンを発生させる手段に変更することによって、本発明を実施することができる。
【0087】
また、微生物を殺菌処理するための粒子として薬剤の粒子を用いることもできる。薬剤の粒子を用いる場合には、図1に示す微生物除去評価装置10のイオン発生装置1や図2に示す微生物除去評価装置20のイオン発生素子12を薬剤の粒子を噴射させるための手段に変更することによって、本発明を実施することができる。上記薬剤の粒子を用いる場合、薬剤としてアルコールやアルデヒド系薬剤、抗ウイルス剤、殺虫剤等を用いることができる。
【0088】
<第3の実施形態>
次に、本発明にかかる微生物除去評価装置の第3の実施形態について、図8を参酌しつつ説明する。図8は微生物除去評価装置の第3の実施形態を示す概略構成図であって、第2の実施形態に対して、風洞を設けた点および内部を密封する容器の外側にさらに別の容器を設けた点に特徴がある。
【0089】
すなわち、本実施形態の微生物除去評価装置30は、図に示すように、容器18と、微生物供給手段を構成する微生物注入管15と、微生物除去手段を構成するイオン発生素子12と、微生物採取手段を構成する採取管13および微生物採取器6とを備えている。そして、容器18の内部には、注入管15から採取管13に至る空間に風洞31が設けられ、この風洞31内にイオン発生素子12が配置されている。
【0090】
容器18は、その内部の空間が外気から閉ざされた構造とされ、水平方向の寸法に比べ高さ方向の寸法を小さく取った形態とされている。この容器18の一側壁には、シールパッキン32を介して注入管15が外部から容器内に導出されており、また、この注入管15に対向して反対側の側壁には、採取管13がシールパッキン33を介して容器内部に導出されている。
【0091】
微生物注入管15は、容器18の外部で微生物噴霧器11に接続されており、該微生物噴霧器11より微生物が送り込まれる。微生物噴霧器11は、一定濃度の微生物を含んだ気体を一定の速度で微生物注入管15に送り込む。そして、微生物噴霧器11より微生物注入管15に送り込まれた微生物を含む気体は、容器18内を臨む微生物注入口15aより容器18内に注入される。なお、この際、空気中に微生物単体を含ませて微生物注入管15に送り込むようにしてもよく、微生物を分散させた溶液をミスト状にして噴霧させることにより微生物注入管15に送り込むようにしてもよい。
【0092】
容器18内の風洞31は、円筒状に形成されて略水平に設置されており、その両端に注入管15と採取管13とが臨むように配置される。
【0093】
イオン発生素子12は、微生物注入管15の鉛直下方域外で風洞31内のやや上流側の底面に配設されている。このイオン発生素子12は、一定の略平面状に配設されるイオン発生電極により正イオンおよび/または負イオンを発生させ、微生物注入管15より注入された微生物を殺菌処理する。
【0094】
このイオン発生素子12は、図1に示すイオン発生装置1に備わるイオン発生素子と同様であり、イオン7を発生する動作はイオン発生装置1について説明したのと同様である。
【0095】
微生物採取管13は、微生物注入管15に対向して水平方向に配設されており、その一端には容器18内を臨む微生物採取口13aが形成され、他端は容器18の外部で微生物採取器6に接続されている。
【0096】
微生物採取器6は、内部にバブリング液が収容されており、このバブリング液に沈めた微生物採取管13の端部から採取した空気を取り込んでバブリングした後、回収するようにしている。そして、容器18、微生物噴霧器11および採取器6を含む噴霧試験系全体は別の容器35によって覆われている。
【0097】
なお、本実施形態では、注入口15aから放出されるミストは、風洞31の内部に噴霧されるが、注入口15aと風洞31の間には若干の隙間を設けており、不用な水滴は容器18に落下するようにしている。
【0098】
また、注入口15aから放出されるガスは、噴霧によりある一定の速度を有しており、その速度で図8の矢印37で示す方向に風洞31を通過する。このメカニズムにより、イオン発生素子12の放電電極にて放出されたイオンからなる粒子と、微生物とが反応し、採取器6に到るまでに微生物のイオンによる除去効果を確認することができる。なお、微生物の評価方法としては、特に限定されるものではなく、寒天培養による評価、細胞培養による評価、赤血球凝集反応、生物や細胞などへのアレルギー反応、顕微鏡観察など、あらゆる評価方法を用いることができる。
【0099】
また、微生物を含むミストのうち気化せず急速に落下する水滴状となった成分や、採取されなかった微生物成分は、風洞31内に溜まるため、これを内装する容器18は外部に漏れ出にくいように構成されているが、さらに、これとは別の容器35より、その外側を覆っているので、外部に位置する人間等に影響を与えにくくなっている。そのため、風洞31および容器18が完全な密閉容器ではなくても、バイオハザード等の事故の生じる確立を大きく低下させることができる。さらに、別の容器35の遮蔽効果により、容器18の中へ、外部から不要な汚染物質が混入することを抑制することができるため、評価精度を向上させることができるという効果を得ることができる。
【0100】
<第4の実施形態>
図9は浮遊微生物除去評価装置の概略構成図であり、第3の実施形態にて示した評価装置において、粒子放出部を針型放電装置40に置き換えたものである。
【0101】
すなわち、本実施形態では、第3の実施形態のイオン発生素子12に代わり、針状放電装置40を設けたものである。針状放電装置40は、風洞31内において、その上流側域に配置された針状放電電極40aと、これに対向して配置された対抗平板電極40bとから構成される。その他の構成は第3の実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0102】
本実施形態では、針状電極40aに数kV程度の正または負の高電圧が印加されると、針の先端部周辺で放電が起こり、イオン成分として正または負に帯電したイオンが主体であるガスが放出される。
【0103】
上記構成により、正または負イオン主体のガスが放出され、微生物注入管15から放出される微生物を含んだミストに照射され、微生物が殺菌されて除去されるので、その微生物除去評価試験を行うことができる。
【0104】
なお、本実施形態の場合、放出される粒子7は、イオンが主体の場合に限るものではなく、ラジカル、オゾン、活性酸素や、その他の殺菌作用を有する粒子でも良い。
【0105】
<第5の実施形態>
図10は浮遊ウイルス除去評価装置の概略構成図である。本実施形態では、第3の実施形態にて示した評価装置において、イオン発生素子12からなる粒子放出部を、紫外線ランプおよび触媒によるラジカル放出機構に置き換えたものである。
【0106】
すなわち、本実施形態では、第3の実施形態のイオン発生素子12に代わり、ラジカル放出機構50を設けたものである。ラジカル放出機構50は、風洞31内の上流側域において、ほぼ中心部に配置された紫外線ランプ50aと、その周囲に対向して配置された触媒50bとから構成される。その他の構成は第3の実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0107】
触媒50bは、白金、金、酸化チタンなどを含む材質で構成され、紫外線ランプ50aから放射された放射光のエネルギーにより、そのエネルギーをラジカル生成に応用し、生じたラジカルを空間に放出するような作用を有する。
【0108】
なお、触媒50bは、白金、金、酸化チタンなどを含む材質に限るものではなく、活性なガスを放出するものであれば、同様の除去評価試験を実現できることは言うまでもない。
【0109】
また、本実施形態では、触媒50bを取り除いた装置でも評価を行うことも可能である。その場合、紫外線ランプ50aから放射される微粒子である光子7により、空間に存在する微生物を殺菌することができる。
【0110】
なお、ランプ50aは、放射光を発生する場合を本例で示しているが、その放射光としては、5eV〜20eVのエネルギーを有する光が殺菌性能に優れており、その光を含む放射光を本評価装置に適用することにより、評価結果を得ることが期待できる。また、前記放射光としては、X線、ガンマ線を放射するデバイスを紫外線ランプ50aの位置に配置し、同様に試験を行うことができる。
【0111】
なお、本評価方法および評価装置は、以上の放射線の試験に用いることが有効な使用方法であるが、それ以外の粒子、例えば赤外線などの熱線、可視光を用いることも当然可能であり、本発明による評価が可能である。その場合は原理的に熱による殺菌性能が支配的になると考えられ、強力な熱線、可視光を要するため、放熱機構あるいは光遮蔽板を別途設置することが望ましい。
【0112】
また、放射線を用いる場合、2GHz〜200GHzの電磁波による殺菌が可能である。この場合、触媒は特に必要ではなく、電磁波のエネルギーを、微生物の構成要素に吸収させ、分子レベルで微生物を破壊することが可能になる。そのために必要な電磁波としては、例えば水に吸収されやすいとされる2.45GHz付近の電磁波が一例として挙げられ、例えば2GHz程度から短波長側の電磁波を用いることができる。
【0113】
なお、2GHz以上の周波数においては、蛋白質などの微生物を構成する要素物質に吸収されやすいと考えられるさらに高い周波数領域の電磁波が候補に挙げられ、高周波デバイスの現状で可能な周波数としては、200GHzまでが殺菌に応用できる周波数と考えられる。
【0114】
また、図10に示す装置において、紫外線ランプ50aの位置には、電磁波放出デバイス若しくは光ファイバーなどの光導波素子、電熱器などを設置することができる。
【0115】
<対象微生物>
なお、本発明により殺菌処理を行う対象となる微生物には、真菌、細菌、ウイルス、アレルギーを誘発するアレルゲン物質(タンパク質等)が含まれる。そして、本発明を実施するにあたっては、この真菌、細菌、ウイルス、アレルゲン物質を単体で用いてもよく、これらのうちから任意に複数を選んで組み合わせて用いてもよい。
【0116】
なお、ウイルスについては、一般に微生物の範疇に入っていることから、本発明においてはその増殖を抑える効果を殺菌もしくは、除去という言葉で表記している。一般には、ウイルスの増殖を抑制する作用は不活化という言葉を使用される場合が多いので、ウイルスに関しては、本明細書における殺菌もしくは除去という言葉を不活化という言葉に置きかえて使用すればよい。
【0117】
また、同様に、アレルゲン物質についても、本発明においては、人体等のアレルギー反応の誘発を抑制する効果を殺菌もしくは、除去という言葉で表記している。一般には上記効果は、失活という言葉で置きかえることができるため、本明細書において、アレルゲン物質の殺菌あるいは除去という言葉は、失活という言葉で置きかえることができる。
【0118】
【実施例】
[実施例1]
実施例1として、以下の条件で実施した。微生物の除去評価を行うにあたり、図1に示す微生物除去評価装置10を用いた。この微生物除去評価装置10の容器8は、内部の空間の寸法が縦2.0m、横2.5m、高さ2.7mのものを用いた。
【0119】
そして、容器8の内部の雰囲気を温度25℃、相対湿度42%とした。また、容器8内の空間を攪拌機4により攪拌した。攪拌機4により攪拌するにあたり、風量4m3/minで行った。
【0120】
微生物として大腸菌を用いた。この大腸菌を容器8内に供給するにあたり、ミスト状にして微生物注入口5aより供給した。そして、大腸菌を500から1,500個/m3程度の濃度として容器8内に散布した。
【0121】
また、採取器6について、Biotest Hyton RCS エアサンプラーを用いて構成した。エアサンプラーにより微生物を採取するにあたり、40リットル/毎分で4分間の採取を行った。
【0122】
そして、イオン発生装置1によりイオン7を照射するが、この実施例1ではイオン濃度を変化させ、各々のイオン濃度についてイオン7を1時間照射して殺菌処理を行った。イオン濃度は、イオン発生装置1のイオン送出部(イオン発生口2)より距離10cmの空間における数値とした。
【0123】
そして、大腸菌を前記条件で容器8内に供給した後に一定のイオン濃度でイオン7を1時間照射し、その後に前記エアサンプラーに大腸菌を採取して採取された大腸菌の菌数を測定した。そして、イオン7のイオン濃度を変化させて各々のイオン濃度の場合について、かかる測定を繰り返し行った。
【0124】
図3は実施例1についての測定の結果を示している。図3において、横軸は、対数で表示されるイオン7のイオン濃度(個/cm3)に対応している。また、図3において、縦軸は浮遊菌残存率(%)に対応している。この浮遊菌残存率は、イオン7を照射した後に殺菌されずに残存した菌の数を百分率で表したものである。
【0125】
この図3に示される結果より、イオン発生装置1より放出される正負イオン濃度を大きくすると、空気中浮遊細菌の残存率が低下することが確認される。また、正負イオン濃度を1万個/cm3以上にすると、残存率が急激に低下することも確認される。
【0126】
そして、一般室内のイオンの濃度は500〜1,500個/cm3なので、微生物を有効に除去する効果を生ぜしめる目安としては、正負イオン濃度1万個/cm3以上を送出することが適切と考えられる。
【0127】
[実施例2]
実施例2として、以下の条件で実施した。微生物の除去評価を行うにあたり、図1に示す微生物除去評価装置10を用いた。微生物除去評価装置10の容器8は、内部の空間の寸法が縦2.0m、横2.5m、高さ2.7mのものを用いた。
【0128】
そして、容器8の内部の雰囲気を温度25℃、相対湿度42%とした。また、容器8内の空間を攪拌機4により攪拌した。攪拌機4により攪拌するにあたり、風量4m3/minで行った。
【0129】
微生物として大腸菌を用いた。この大腸菌を容器8内に供給するにあたり、ミスト状にして微生物注入口5aより供給した。そして、大腸菌の濃度を1,000個/m3程度として容器8内に散布した。
【0130】
また、採取器6について、Biotest Hyton RCS エアサンプラーを用いて構成した。エアサンプラーにより微生物を採取するにあたり、40リットル/毎分で4分間の採取を行った。
【0131】
そして、イオン発生装置1によりイオン7を照射するイオン送出を行う場合と、イオン発生装置1によりイオン7を照射せずに自然減衰させるイオン送出を行わない場合とについて、前記エアサンプラーによる採取を行った。イオン送出を行う場合については、イオン濃度がイオン送出部より距離10cmの空間で正負イオンそれぞれ5万個/cm3となるようにした。
【0132】
そして、前記イオン送出を行う場合とイオン送出を行わない場合の各々について、大腸菌を前記エアサンプラーに15分毎に採取し、採取された大腸菌の菌数の測定を行った。
【0133】
図4は実施例2についての測定の結果であり、浮遊細菌の残存率(%)の経時変化が示される。図4において、横軸は経過時間に対応しており、縦軸は図3と同様に浮遊菌残存率(%)に対応している。
【0134】
イオン送出を行わなかった場合、1時間経過後の自然減衰による菌の残存率は80%であった。一方、イオン送出を行った場合、1時間経過後の菌残存率は10%であった。
【0135】
以上の測定に関して、微生物を除去する効果を有効と判断する目安として微生物の採取精度と濃度測定精度を考慮に入れると、自然減衰の残存率と10%の差があれば有意な差があると考えられる。また、試験の精度を考慮に入れると、イオン送出なしの場合での自然減衰による1時間経過後の菌の残存率が50%以上となる試験条件とするのが望ましい。
【0136】
図5は、イオン放出を行った場合とイオン放出を行わなかった場合の各々について、15分経過後に採取された大腸菌を撮影した写真を示す。図5(a)がイオン放出を行った場合のものであり、図5(b)がイオン放出を行わなかった場合のものである。
【0137】
また、図5に示される大腸菌の撮影を行うにあたり、前記各々の場合について採取した大腸菌を寒天培地上で34℃、湿度100%RHで48時間培養し、その後撮影を行った。また、図5において、シャーレの大きさは9cmである。
【0138】
イオン送出を行った場合には、図5(a)に示されるように、大腸菌のコロニーの生成が見られない。一方、イオン送出を行わなかった場合には、図5(b)に示されるように、大腸菌のコロニー生成が見られる。この図5に示される結果から、イオンにより菌は死滅させられていることがわかる。
【0139】
[実施例3]
実施例3として、以下の条件で実施した。微生物の除去評価を行うにあたり、図1に示す微生物除去評価装置10を用いた。微生物除去評価装置10の容器8として、内部の空間の寸法が縦2.0m、横2.5m、高さ2.7mのものを用いた。そして、容器8の内部の雰囲気を温度25℃、相対湿度42%とした。
【0140】
また、この実施例3では、後に説明するように容器8内を攪拌する場合と攪拌しない場合の比較を行ったが、容器8内の空間を攪拌する場合には攪拌機4により風量4m3/minで攪拌した。
【0141】
微生物として真菌の一種であるクラドスポリウムを用いた。このクラドスポリウムを容器8内に供給するにあたり、ミスト状にして微生物注入口5aより供給した。そして、このクラドスポリウムの濃度を1,000個/m3程度として容器8内に散布した。
【0142】
また、採取器6について、Biotest Hyton RCS エアサンプラーを用いて構成した。エアサンプラーにより微生物を採取するにあたり、40リットル/毎分で4分間の採取を行った。
【0143】
そして、前記攪拌機4により攪拌を行う場合と攪拌機4による攪拌を行わない場合の各々について、気中浮遊菌を前記エアサンプラーにより15分毎に採取し、採取された菌の菌数を測定した。
【0144】
図6は、実施例3についての測定の結果であり、攪拌の有無による自然減衰の空気中浮遊真菌の残存率(%)の経時変化が示される。図6において、横軸は経過時間に対応しており、縦軸は図3と同様に浮遊菌残存率(%)に対応している。
【0145】
攪拌を行わない場合、45分経過後には菌は検出限界となり残存率は12%となった。一方、攪拌を行った場合、1時間経過後の自然減衰による菌の残存率は80%であった。
【0146】
以上の結果から、攪拌を入れることにより菌の自然落下を押さえ浮遊微生物の除去評価を行い易いといえる。特に、質量の大きい菌の場合について、攪拌を行うことが有効である。
【0147】
[実施例4]
実施例4として、以下の条件で実施した。微生物の除去評価を行うにあたり、図1に示す微生物除去評価装置10を用いた。微生物除去評価装置10の容器8として、内部の空間の寸法が縦2.0m、横2.5m、高さ2.7mのものを用いた。
【0148】
そして、容器8の内部の雰囲気を温度25℃、相対湿度42%とした。また、容器8内の空間を攪拌機4により攪拌した。攪拌機4により攪拌するにあたり、風量4m3/minで行った。
【0149】
微生物として真菌の一種であるクラドスポリウムを用いた。このクラドスポリウムを容器8内に供給するにあたり、ミスト状にして微生物注入口5aより供給した。そして、クラドスポリウムの濃度を1,000個/m3程度として容器8内に散布した。
【0150】
また、採取器6について、Biotest Hyton RCS エアサンプラーを用いて構成した。エアサンプラーにより微生物を採取するにあたり、40リットル/毎分で4分間の採取を行った。
【0151】
そして、イオン発生装置1によりイオン7を照射するイオン送出を行う場合と、イオン発生装置1によりイオン7を照射せずに自然減衰させるイオン送出を行わない場合とについて、前記エアサンプラーによる菌の採取を行った。イオン送出を行う場合については、イオン濃度がイオン送出部より距離10cmの空間で正負イオンそれぞれ5万個/cm3となるようにした。
【0152】
そして、前記イオン送出を行う場合とイオン送出を行わない場合の各々について、菌を前記エアサンプラーに15分毎に採取し、採取された菌の菌数を測定した。
【0153】
図7は、実施例4についての測定の結果であり、浮遊細菌の残存率(%)の経時変化が示される。図7において、横軸は経過時間に対応しており、縦軸は図3と同様に浮遊菌残存率(%)に対応している。
【0154】
イオン送出を行わなかった場合、1時間経過後の自然減衰による菌の残存率は75%であった。一方、イオン送出を行った場合、1時間経過後の菌残存率は10%であった。
【0155】
以上の測定に関して、微生物を除去する効果を有効と判断する目安として微生物の採取精度と濃度測定精度を考慮に入れると、自然減衰の残存率と10%の差があれば有意な差があると考えられる。また、試験の精度を考慮に入れると、イオン送出なしの場合での自然減衰による1時間経過後の菌の残存率が50%以上となる試験条件とするのが望ましい。
【0156】
[実施例5]
実施例5として、以下の条件で実施した。微生物の除去評価を行うにあたり、図2に示す微生物除去評価装置20を用いた。微生物除去評価装置20の容器18について、内部の空間が8cm角で長さ30cmの四角柱状に形成されるものを用いた。そして、容器18の内部の雰囲気を温度28℃、相対湿度50%とした。
【0157】
殺菌処理する微生物としてポリオウイルスを用いた。そして、このポリオウイルスを1ccあたり数万個分散させた水溶液を空気と混合させてミスト状にし、0.1cc/minの割合で風速1.6m/secで注入口15aより容器18内に供給した。
【0158】
また、前記ポリオウイルスにイオン7を照射して殺菌処理するにあたり、イオン発生素子12のイオン送出部より距離10cmの空間で正負イオンそれぞれ10万個/cm3となるようにした。
【0159】
また、前記イオン7を照射して殺菌処理した後にポリオウイルスを採取器6に採取するにあたり、溶液バブリング器によってウイルスを分離捕集するようにした。
【0160】
そして、イオン7を照射して殺菌処理した後に採取器6にポリオウイルスを採取して菌数の測定を行ったところ、ウイルスの除去率は78%であった。
【0161】
[実施例6]
実施例6として以下の条件で実施した。図8は本実施例の浮遊ウイルス除去評価装置の概略構成図である。図11はイオン濃度によるインフルエンザウイルスの細胞感染確率を示した図、図12はイオン濃度によるコクサッキーウイルスの細胞感染確率を示した図、図13ではイオン濃度によるポリオウイルスの細胞感染確率を示した図である。図14はイオン発生素子から生成される正イオンおよび負イオンの質量スペクトルを示した図である。図15は、イオン発生素子を動作させない場合と、イオン発生素子を動作させた場合との比較を行う評価試験フローチャートである。この実施例では、図15のフローチャートに示されるように、微生物が含まれる溶液を作製した後、試験装置を用いて、その溶液を空間に噴霧し、その空気の採取を行う。なお、噴霧の後、噴霧した微生物が含まれる空気に対して、殺菌作用を及ぼす粒子を放出および作用させる工程を入れる。なお、この粒子の放出を行う場合と行わない場合の試験を行うものとする。以上の方法により採取した溶液を、例えばプラック法、赤血球凝集反応などで、微生物の濃度測定、若しくは活性度などの評価を行い、殺菌あるいは不活化の効果を評価し、粒子を作用させた場合と作用させなかった場合の比較を行い、粒子の効果を明確にすることができる。なお、粒子の濃度や、粒子の作用時間を変化させることにより、殺菌あるいは不活化の程度について、照射時間依存性や、粒子濃度依存性を調べることができる。
【0162】
本実施例は、図8に示す微生物除去評価装置30を用いた。イオン発生素子12は、縦37mm、横15mmの平板状の沿面放電素子を用いた。電極間に正と負の高電圧を交互に印加することにより、表面電極部で沿面放電を起こし、大気圧下での放電プラズマにより正と負のイオンを生成させた。
【0163】
イオン発生素子12は、内径55mm、長さ200mmのアクリル製円筒型容器31の一端に取り付け固定し、以上を内蔵する容器18の一方には、ウイルス液噴霧器11を、もう一方にはウイルス液回収用の採取器6を取り付けた。
【0164】
インフルエンザウイルスは、発育鶏卵の奨尿膜腔に接種し、フラン器で培養後、奨尿液を採取し、これを供試ウイルス液とした。
供試ウイルス液をガラス製アトマイザー(ウイルス液噴霧器11)に10ml入れ、容器18の一端に接続した。容器18の他端には、PBS(−)を10ml入れたガラス製インピンジャー(採取器6)を接続した。アトマイザーにはエアコンプレッサーからの圧縮空気の吐出圧力は、ゲージ圧で0.48hPaに調節し、注入口から供試ウイルスを容器18内の風洞31に噴霧した。噴霧量は3.0ml(噴霧流量0.1ml/min×噴霧時間30min)とした。
【0165】
この時、イオン発生素子12を動作させない状態の時をコントロールとし、イオン発生濃度を20万個/cm3、10万個/cm3、5万個/cm3にした場合との比較を行った。
【0166】
インピンジャーは毎分10Lの吸引流量で30分間試験装置内空気を吸引捕集した。インピジャーで試験装置内空気を吸引捕集したPBS(−)を試験液とし、インフルエンザウイルスは、MDCK細胞を用いたプラック法で測定を行った。また、コクサッキーウイルスとポリオウイルスは、Hela細胞を用いたプラック法で測定を行った。
【0167】
なお、プラック法とは、ウイルスを含む液を、細胞に接するように注入して、細胞へウイルスの感染を確認する方法に一種であり、ウイルスの活性度すなわち、ウイルスが感染する確率あるいはウイルスが細胞において増殖する能力を調べることが可能になる方法である。
【0168】
イオン濃度は上記のようにイオン発生素子12を設置した円筒型風洞31の片側より送風ファン(図示せず)により風速4m/secで風を流し、もう片側にダン科学製空気イオンカウンタ(品番83−1001B)を該イオン発生素子より距離10cmの所に設置し、そこの空間のイオン濃度を測定した。空間雰囲気は温度25℃、相対湿度60%RHであった。また、イオン発生については温度0℃、相対湿度10%から温度40℃、相対湿度90%の範囲では確認された。なお、前記送風ファンはイオン濃度の確認のために用いたものであり、実際の微生物の除去評価においては、送風ファンは用いず、円筒型風洞31の内部において、前記噴霧器11からの噴霧により風を生じるように設定した。
【0169】
図11に示すように、イオン発生素子を動作させない場合のインフルエンザウイルスの細胞感染確率を100%とすると、イオンを5万、10万、20万(個/cm3)発生させた場合、細胞感染確率は3.8%、2.6%、0.5%に大きく低下し、イオン濃度の増加によりインフルエンザウイルス除去性能が高くなることが確認された。
【0170】
また、図12に示すように、イオン発生素子を動作させない場合のコクサッキーウイルスの細胞感染確率を100%とすると、イオンを5万、10万、20万(個/cm3)発生させた場合、細胞感染確率は3.3%、2.6%、1.1%に大きく低下し、イオン濃度の増加によりコクサッキーウイルス除去性能が高くなることが確認された。
【0171】
さらに、図13に示すように、イオン発生素子を動作させない場合のポリオウイルスの細胞感染確率を100%とすると、イオンを5万、10万、20万(個/cm3)発生させた場合、細胞感染確率は1.0%、0.5%、0.4%に大きく低下し、イオン濃度の増加によりポリオウイルス除去性能が高くなることが確認された。
【0172】
発生したイオンの組成は、図14に示すように、正イオンはプラズマ放電により空気中の水分子を電離させて、水素イオンH+が生成され、溶媒和エネルギーにより空気中の水分子が水素イオンとクラスタリングしたものである。また、負イオンはプラズマ放電により空気中の酸素分子または水分子を電離させて、酸素イオンO2 −が生成され、溶媒和エネルギーにより空気中の水分子が酸素イオンとクラスタリングしたものである。
【0173】
空間に送出された正負イオンは空気中に浮遊しているウイルスを取り囲み、ウイルスの表面で正負イオンが化学反応によって活性種である過酸化水素H2O2またはラジカル・OHを生成して、タンパク質を破壊して殺す。このような方法により、効率的に空気中のウイルスを殺菌除去することができる。
【0174】
なお、ウイルスの活性度を調べる方法として、赤血球凝集反応を用いることも可能である。赤血球凝集反応は、ウイルスを含む溶液を、例えばニワトリの血液を含む溶液に注入し、その血液の凝集を観察する方法である。ウイルスの存在により、ウイルス表面に存在する赤血球凝集素が、複数の赤血球に作用し、赤血球を凝集させる現象が生じることを利用し、ウイルスの存在を確認することができる。
【0175】
また、ウイルスの濃度を調べる方法としては、ウイルスを複数の濃度になるよう水溶液で薄め、それぞれが赤血球凝集反応を生じるかどうかを確認することで、相対的に、活性なウイルス濃度、すなわち赤血球凝集素が活動し感染力を有するウイルスの濃度を調べることが可能になる。
【0176】
[実施例7]
図16は浮遊病原性細菌除去評価装置の概略図である。図17はイオン濃度20万個/cm3での気中浮遊スタフィロコッカス菌濃度の経時変化を示した図である。イオン発生装置は実施例6と同様なものを用いた。図18はイオン発生素子と紫外線式オゾン発生装置での気中浮遊スタフィロコッカス菌濃度の経時変化を示した図である。空間雰囲気は温度25℃、相対湿度60%RHであった。また、イオン発生については温度0℃、相対湿度10%から温度40℃、相対湿度90%の範囲では確認された。
【0177】
イオン発生素子の一定空間中に存在する浮遊スタフィロコッカス菌の除去効果を検証するため、本試験では、図1に示すものと概略構成が同様なものを用いた。すなわち、容器8は、1m3の空間は1m×1m×1mのFRP製容器の両端にアクリル製板を取り付けたものを用いた。この容器内に風量2m3/minの送風ファンの上部空気吹出し口の部分にイオン発生素子1を取り付けた。
【0178】
また、噴霧した菌を長時間浮遊させるため、容器8の四隅に15cm角の軸流ファン4を風向が上部に行くように4基設置した。この容器8のアクリル製板の部分の一端に菌液噴霧用の注入管5を設け、これを試験装置とした。
【0179】
供試菌は、保存株をトリプチケースソイ寒天培地(BBL)に接種し、35℃、24時間培養した。この菌を滅菌生理食塩液で希釈調整して洗浄後、供試菌として用いた。
【0180】
供試菌液をガラス製アトマイザーに10ml入れ、試験装置の一端に接続した。容器8の他端には、滅菌生理食塩液100ml入れたガラス製インピンジャーを接続した。アトマイザーにはエアコンプレッサーからの圧縮空気の吐出圧力は、ゲージ圧で0.48hPaに調節し、噴霧口から供試菌を噴霧した。噴霧量は1.0ml(噴霧流量0.1ml/min×噴霧時間10min)とした。菌液噴霧と同時に軸流ファン4を作動させ、試験終了までの間、連続運転を行った。
【0181】
噴霧終了後の時点で、容器8内の空気をインピンジャーで毎分10Lの吸引流量で10分間吸引捕集した。これを0分値とした。イオン発生素子1を作動した場合、イオン発生素子と送風ファンを同時に作動させた。作動開始後、一定時間経過した後に、0分値と同様に容器内空気を100L吸引捕集した。イオン発生濃度は20万個/cm3とした。
【0182】
また、イオン発生素子を作動させない場合(自然減衰値)も、イオン発生素子を作動せずファン4のみ作動させた状態で運転し、経時時間毎に容器内空気を吸引捕集した。
【0183】
また、オゾンとの比較対照実験を行うため、紫外線式オゾン発生装置(OZ51N‐1、セン特殊光源株式会社)を用いて、イオン発生素子から生成されるオゾン量と同量のオゾン生成量1.637mg/h(22℃、17%RH)で試験を行った。
【0184】
インピジャーで容器内空気を吸引捕集した滅菌生理食塩液を試験液とし、これを滅菌生理食塩液を用いて段階希釈を行い、原液及び各希釈液をトリプトソイ寒天培値(BBL)上に塗抹し、35℃、48時間培養を行った。培養後、培地上に発育した集落数を算定し、吸引空気あたりの菌数を表した。
【0185】
図17に示すように、イオンを発生させるとイオン発生素子を動作させない場合と比べ、30分経過後浮遊菌濃度が約10分の1に減少することが確認された。さらに、60分経過後、浮遊菌の検出が見られなくなった。
【0186】
図18に示すように、イオン発生素子では紫外線式オゾン発生装置と比べ、60分経過後、浮遊菌濃度が約10分の1に減少することが確認された。これにより、院内感染の代表的な菌であるスタフィロコッカス菌についても、実施例6で記した作用により、殺菌作用が確認された。
【0187】
[実施例8]
図19はイオン濃度20万個/cm3での気中浮遊バチルス菌濃度の経時変化を示した図である。イオン発生装置は実施例6と同様なものを用いた。図20はイオン発生素子と紫外線式オゾン発生装置での気中浮遊バチルス菌濃度の経時変化を示した図である。
【0188】
イオン発生素子の一定空間中に存在する浮遊バチルス菌の除去効果を検証するため、本試験では、1m3の空間は1m×1m×1mのFRP製容器の両端にアクリル製板を取り付けたものを用いた。この容器内に風量8m3/minの送風ファンの上部空気吹出し口の部分にイオン発生素子を取り付けた。
【0189】
また、噴霧した菌を長時間浮遊させるため、容器の四隅に15cm角の軸流ファン4を風向が上部に行くように4基設置した。この容器8のアクリル製板の部分の一端に菌液噴霧用の注入管15を設け、これを試験装置とした。
【0190】
供試菌は、日抗基胞子形成用培地(日本抗生物質医薬品基準、昭和57年6月30日厚生省告示第117号)に接種し35℃、7日間培養した。この菌を滅菌生理食塩液で洗浄後、65℃、30分間加熱処理し、芽胞形成を顕微鏡で確認した。これを滅菌生理食塩液で洗浄・希釈したものを芽胞液として用いた。
【0191】
供試菌液をガラス製アトマイザーに10ml入れ、試験装置の容器一端に接続した。他端には、滅菌生理食塩液100ml入れたガラス製インピンジャーを接続した。アトマイザーにはエアコンプレッサーからの圧縮空気の吐出圧力は、ゲージ圧で0.48hPaに調節し、噴霧口から供試菌を噴霧した。噴霧量は1.0ml(噴霧流量0.1ml/min×噴霧時間10min)とした。菌液噴霧と同時に軸流ファン4を作動させ、試験終了までの間、連続運転を行った。
【0192】
噴霧終了後の時点で、容器内空気をインピンジャーで毎分10Lの吸引流量で10分間吸引捕集した。これを0分値とした。イオン発生素子作動の場合、イオン発生素子1と送風ファン4を同時に作動させた。作動開始後一定時間経過後に、0分値と同様に容器内空気を100L吸引捕集した。イオン発生濃度は20万個/cm3とした。
【0193】
また、イオン発生素子を作動させない場合(自然減衰値)も、イオン発生素子を作動せずファンのみ作動させた状態で運転し、経時時間毎に容器内空気を吸引捕集した。空間雰囲気は温度25℃、相対湿度60%RHであった。また、イオン発生については温度0℃、相対湿度10%から温度40℃、相対湿度90%の範囲では確認された。
【0194】
オゾンとの比較対照実験を行うため、紫外線式オゾン発生装置(OZ51N‐1、セン特殊光源株式会社)を用いて、イオン発生素子から生成されるオゾン量と同量のオゾン生成量1.637mg/h(22℃、17%RH)で試験を行った。
【0195】
インピジャーで容器内空気を吸引捕集した滅菌生理食塩液を試験液とし、これを滅菌生理食塩液を用いて段階希釈を行い、原液及び各希釈液をトリプトソイ寒天培値(BBL)上に塗抹し、35℃、48時間培養を行った。培養後、培地上に発育した集落数を算定し、吸引空気あたりの菌数を表した。
【0196】
図19に示すように、イオンを発生させるとイオン発生素子を動作させない場合と比べ、30分経過後浮遊菌濃度が約10分の1に減少することが確認された。さらに、120分経過後、浮遊菌の検出が見られなくなった。
【0197】
図20に示すように、イオン発生素子では紫外線式オゾン発生装置と比べ、60分経過後、浮遊菌濃度が約半分に減少することが確認された。これより、耐熱性がある芽胞を形成したバチルス菌についても、実施例6で記した作用により、殺菌作用が確認された。炭疽菌はバチルス菌と同属菌であるため、効果が期待できる。
【0198】
[実施例9]
図21はイオン発生素子を吹出し口風路に配設した空気調節装置の断面図を示す。図22は容積27Lの空間へのイオン噴出量に対しての、60分後の空気中浮遊ウイルスの細胞感染確率を示した図である。図23は容量30m3の空間に正負イオンを1分間で各々540万個/m3供給した場合、空気中のウイルス細胞感染確率の経時変化を示した図である。
【0199】
図22で示した試験では、イオン噴出量による空間中に存在する浮遊インフルエンザウイルスの細胞感染率の低減効果を検証するため、本試験では、27Lの空間は30cm×30cm×30cmの塩化ビニル製容器の両端にウイルス噴霧装置と回収装置を取り付けたものを用いた。この容器内に送風ファン上部の吹出し口の部分にイオン発生素子を取り付けた。また、噴霧したウイルスを長時間浮遊させる目的で、軸流ファンを風向が上部に行くように設置した。
【0200】
インフルエンザウイルス(Influenza virus A(H1N1) A/PR8/34:ATCC VR−95)は、発育鶏卵の奨尿膜膣に接種し、フラン器で培養後、奨尿液を採取し、これを供試ウイルス液とした。供試ウイルス液をガラス製アトマイザーに10ml入れ、試験装置の一端に接続した。他端には、滅菌生理食塩液100ml入れたガラス製インピジャーを接続した。アトマイザーにはエアコンプレッサーからの圧縮空気の吐出圧力は、ゲージ圧で0.48hPaに調節し、噴霧口から供試菌を噴霧した。噴霧量は3.0ml(噴霧流量0.1ml/min×噴霧時間30min)とした。ウイルス液噴霧と同時に軸粒ファンを作動させ、試験終了までの間、連続運転を行った。
【0201】
噴霧終了後の時点で、容器内空気をインピンジャーで毎分10Lの吸引流量で30分間吸引捕集した。これを0分値とした。作動開始後1時間経過後に、0分値と同様に容器内空気を100L吸引捕集した。インピジャーで試験装置内空気を吸引捕集したPBS(−)を試験液とし、インフルエンザウイルスは、MDCK細胞を用いたプラック法で測定を行った。イオン発生素子の入力電圧を調製することにより、イオン噴出量を調整した。
【0202】
正負イオン噴出量各々0個/m3・分の場合の細胞感染確率を100% とした場合、同27万個/m3・分以上で細胞感染確率の急激な低下が確認され、正負イオン噴出量各々27万個/m3・分以上でウイルスの感染能力の低下効果が確認された。
【0203】
さらに住環境で実際に用いられている空間での効果を確認するために、図23で示した試験では、空間容積30m3内に図21で示した空気調節装置60を設け、集塵フィルター64bおよび脱臭フィルター64aは取り外した状態でイオン発生素子65を運転させた場合における空間内の浮遊ウイルスの残存率を示した。
【0204】
ここで、図21に示す空気調節装置60の構成を説明すると、この空気調節装置60は、室内ユニット61の前面に空気吸込み口62が形成され、ユニット61の上面に空気吹出し口63が形成されている。空気吸込み口62には脱臭フィルタ64aと集塵フィルタ64bとが設けられ、また、空気吹出し口63の近傍に、イオン発生素子65およびその高圧電源66からなるイオン発生装置67が設けられている。そして、ユニット内部の送風ファン68により空気吸込み口62から吸込まれた空気は、空気吹出し口63から外部に放出されるが、この際、イオン発生装置67の駆動により、イオン化された空気が放出されるようになっている。
【0205】
上記構成の空気調節装置では、吹き出し風路にイオン発生素子65を配設しており、吸込み口62より吸い込んだ空気が吹出し口63より放出されるとき、該空気中にイオンを含ませて空間内にイオンを放出することができる。これにより、吸い込んだ空気のみにイオンを付加するのでなく、空間内全体にイオンを付加できる。
【0206】
ウイルス濃度測定は図22の試験で行ったのと同仕様である。正負イオン噴出量は1分間で各々540万個/m3供給した。1時間で細胞感染確率は10分の1に低下することがわかった。
【0207】
このように、住環境で実際に用いられる空気調節装置の容積においても空気中のウイルス不活化効果の評価ができることがわかった。
【0208】
空間に送出された正負イオンは空気中に浮遊しているウイルスを取り囲み、ウイルスの表面で正負イオンが化学反応によって活性種である過酸化水素H2O2またはラジカル・OHを生成して、タンパク質を破壊して殺す。このような方法により、効率的に空気中のウイルスを殺菌除去することができる。
【0209】
なお、本実施例では、イオンは正負イオンを両方を示すものであり、イオン濃度についても、各々のイオン濃度がほぼ等しいものとして、その平均値を記している。
【0210】
また、以上の全ての実施例において、粒子放出方法として、レナード効果すなわち、液体を噴射若しくは振動などの作用を生じさせることにより、物理的に分離させ、電荷を帯びた粒子化することにより生成する方法を用いても、本発明の効果を得ることができる。
【0211】
また、粒子としては、正イオン、負イオン、および正負イオンの混合したガスや、以上に述べた以外に、α線、β線などの荷電粒子や、各種プラズマ化したガス粒子、オゾン、ラジカルなどの粒子、薬剤の粒子などを用いる場合も、本発明と同様の効果を得ることができる。
【0212】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、一定の空間中に微生物を浮遊させ、該微生物に対してイオン等の微生物を殺菌処理するための粒子を照射し、その後に微生物を採取して測定することにより前記粒子による微生物に対する殺菌処理の能力を測定し評価できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る微生物除去評価装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る微生物除去評価装置の第2の実施形態を示す概略構成図である。
【図3】実施例1についての測定結果であり、イオン濃度を変化させて殺菌処理した場合に採取された微生物の測定結果である。
【図4】実施例2についての測定結果であり、イオン送出を行った場合とイオン送出を行わなかった場合に採取された微生物の測定結果である。
【図5】実施例2について、採取された微生物を撮影して得られた写真である。図5(a)はイオン送出を行った場合に採取された微生物の写真であり、図5(b)はイオン送出を行わなかった場合に採取された微生物の写真である。
【図6】実施例3についての測定結果であり、容器内を攪拌した場合と攪拌しなかった場合について採取された微生物の測定結果である。
【図7】実施例4についての測定結果であり、イオン送出を行った場合とイオン送出を行わなかった場合に採取された微生物の測定結果である。
【図8】微生物除去評価装置の第3の実施形態及び実施例6を示す概略構成図である。
【図9】浮遊微生物除去評価装置の第4の実施形態を示す概略構成図である。
【図10】浮遊ウイルス除去評価装置の第5の実施形態を示す概略構成図である。
【図11】実施例6のイオン濃度によるインフルエンザウイルスの細胞感染確率を示した図である。
【図12】実施例6のイオン濃度によるコクサッキーウイルスの細胞感染確率を示した図である。
【図13】実施例6のイオン濃度によるポリオウイルスの細胞感染確率を示した図である。
【図14】実施例6のイオン発生素子から生成される正イオンおよび負イオンの質量スペクトルを示した図である。
【図15】実施例6の評価試験フローチャートである。
【図16】実施例7の浮遊病原性細菌除去評価装置の概略図である。
【図17】実施例7のイオン濃度20万個/cm3での気中浮遊スタフィロコッカス菌濃度の経時変化を示した図である。
【図18】実施例7のイオン発生素子と紫外線式オゾン発生装置での気中浮遊スタフィロコッカス菌濃度の経時変化を示した図である。
【図19】実施例8のイオン濃度20万個/cm3での気中浮遊バチルス菌濃度の経時変化を示した図である。
【図20】実施例8のイオン発生素子と紫外線式オゾン発生装置での気中浮遊バチルス菌濃度の経時変化を示した図である。
【図21】実施例9のイオン発生素子を吹出し口風路に配設した空気調節装置の断面図である。
【図22】実施例9のイオン噴出量による空気中浮遊ウイルスの細胞感染確率を示した図である。
【図23】実施例9のイオン噴出による空気中のウイルス細胞感染確率の経時変化を示した図である。
【符号の説明】
1 イオン発生装置
2 イオン発生口
3 微生物採取管
3a 微生物採取口
4 攪拌機
5 微生物注入管
5a 微生物注入口
6 微生物採取器
7 粒子
8 容器
10 微生物除去評価装置
11 微生物噴霧器
12 イオン発生素子
12a イオン発生電極
13 微生物採取管
13a 微生物採取口
15 微生物注入管
15a 微生物注入口
18 容器
20 微生物除去評価装置
31 風洞
35 容器
【発明の属する技術分野】
本発明は、空間に浮遊する微生物に対する殺菌効果を評価するための微生物の除去評価方法および微生物除去評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、住環境の高気密化に伴い、人体に有害な空気中の浮遊微生物を取り除き、健康で快適な生活を送りたいという要望が強くなっている。この要望に応えるため、各種の抗菌剤を添着させたフィルタが開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記フィルタでは、空間の空気を吸引して空気中の微生物を濾過する方式であるため、長期にわたる使用によりフィルタの交換等のメンテナンスが不可欠であり、しかもフィルタの特性が充分でないため、満足のいく性能が得られておらず、微生物を除去する方式として十分ではない。
【0004】
そして、通常の浮遊微生物除去評価を行うにあたっては、微生物が含まれた空気をフィルタに通過させ、フィルタに濾過された微生物の数を測定していた。この方法によると、測定の対象となる空間に浮遊している微生物の濃度を測定することができない。
【0005】
ところで、微生物を除去する方式として電離したイオン等の粒子を微生物に照射して殺菌処理する方式があるが、この方式により微生物を殺菌処理し除去する能力を測定し評価することは従来行われていなかった。
【0006】
そこで、本発明では、微生物を殺菌処理する粒子を微生物に照射し、その殺菌効果を評価するための微生物の除去評価方法、および該方法に用いることができる微生物除去評価装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は微生物の除去評価方法であって、容器の内部の空間に微生物を供給し、該微生物を殺菌処理するための粒子を照射し、該粒子の照射を行った後に微生物を採取し該採取された微生物の測定を行うことを特徴としている。
【0008】
この方法によると、容器の内部空間において上記粒子を照射した後に微生物を採取してその測定を行うので、粒子を照射することによる微生物を殺菌処理し除去する能力を評価することができ、前記粒子を照射する各種の条件を定量的に評価することが可能である。
【0009】
そして、上記微生物の除去評価方法において、前記粒子の照射を行った後に前記微生物の測定を行うとともに、さらに前記粒子を照射して微生物を殺菌処理した場合と同一の条件で微生物を供給して前記粒子を照射することなく微生物を自然減衰させ、その後微生物を採取して該採取された微生物の測定を行うことができる。
【0010】
即ち、この発明は、前記粒子を一定時間照射して微生物の殺菌処理を行うとともに、該微生物の殺菌処理を行った条件と同じ条件で微生物を供給し、前記粒子を照射した時間と同じ時間前記粒子を照射することなく微生物を自然減衰させて、その後に微生物を採取して該採取された微生物の測定を行うことができる。
【0011】
これにより、前記粒子を照射して微生物の殺菌処理を行った場合と、かかる殺菌処理を行わずに微生物を自然減衰させた場合の各々について採取された微生物を測定し、それらの結果を対比することによって、前記粒子を照射することによる微生物を殺菌処理する能力の自然減衰させた場合との対比に基づく相対的な評価が可能になる。
【0012】
前記微生物の測定は、前記微生物の濃度測定、細胞感染率の測定、若しくはアレルギー反応の測定であり、これにより、微生物の除去評価を行うことができる。
【0013】
また、前記採取された微生物を測定するにあたり、さらにその粒子の照射時間による経時変化を測定することもできる。これにより、微生物を殺菌処理する能力の時間の経過に対する定量的評価を行うことができる。
【0014】
また、前記採取された微生物を測定するにあたり、前記粒子の濃度依存性を測定することもできる。これにより、微生物を殺菌処理する能力の、粒子濃度依存性に対する定量的評価を行うことができる。
【0015】
また、前記容器の内部の空間に微生物を供給するにあたり、微生物を分散させた溶液をミスト状にして噴霧して行うことができる。これにより、容器内への微生物の供給が容易であり、微生物の殺菌処理を行い易い。そして、かかる微生物をミスト状にして噴霧した場合について、本発明による評価の対象にできる。
【0016】
また、前記評価方法にあたり、微生物による細胞培養、微生物による赤血球凝集反応、または微生物によるアレルギー反応を用いることができる。これにより、微生物の活性度あるいは濃度を評価することができる。
【0017】
また、前記微生物を殺菌処理するための粒子として、空気中における放電、空気中における放射光照射、およびレナード効果のいずれかにより生成されるガスを用いることができる。
【0018】
さらに、前記微生物を殺菌処理するための粒子として、放射光、X線、ガンマ線、あるいは電磁波を用いることができる。さらに、また、前記微生物を殺菌処理するための粒子として正および/または負のイオンを用いることができる。
【0019】
ここで、微生物を殺菌処理するための特異な粒子として、正および負のイオンを用いたときの微生物を殺菌処理できる理由を、以下に述べる。
【0020】
即ち、放電等の電離現象を大気中で起こして正イオンおよび負イオンを発生させると、正イオンとしてはH+(H2O)nが、負イオンとしてはO2 −(H2O)nが最も安定に生成する。
【0021】
これらのイオンが生成されると、化学反応によって活性種である過酸化水素H2O2又はラジカル・OHが生成される。このH2O2又はラジカル・OHは極めて強力な活性を示すため、これにより空気中の浮遊微生物を殺菌処理し除去することができる。
【0022】
また、前記微生物を殺菌処理するための粒子として正または負のイオンのどちらかが主体であるガスを用いることもできる。その場合、例えば、前記イオンの有する電荷による、微生物への電気作用が、微生物の細胞破壊あるいは表面蛋白質の破壊を行うことにより、殺菌作用を生じさせるという効果が生じ得る。
【0023】
前記微生物を殺菌処理するための粒子として、オゾンまたはラジカルを用いることもできる。オゾンまたはラジカルは微生物に対する殺菌処理能力に優れており、微生物を有効に除去することができる。これらは、殺菌処理能力を発揮した後、オゾンは無害な酸素になり、残存することがなく、また、ラジカルは、浮遊微生物若しくは空気中の諸分子と結合し、不活性な物質に変化するため、時間経過とともに無害化され残存することがない。そして、かかるオゾンまたはラジカルにより微生物を殺菌処理する能力を評価することが可能になる。
【0024】
また、前記微生物を殺菌処理するにあたり薬剤を用い、薬剤の粒子を照射して殺菌処理することもできる。薬剤を用いて殺菌処理すると、前記イオンやオゾンによる場合に比べ、その粒子の供給を簡易な装置で行うことができる。そして、かかる薬剤により微生物を殺菌処理する能力を評価することが可能になる。
【0025】
また、前記殺菌処理の対象とする微生物を、細菌、真菌、ウイルスおよびアレルゲン物質よりなる群から選ばれた一または二以上の組み合わせとすることができる。これにより、各種の微生物について本発明による除去評価の対象とすることができる。
【0026】
また、前記容器の内部の空間に微生物を供給するに際して、前記容器内に供給された微生物に対する下方から容器の内部の空間を攪拌して行うことができる。これにより、容器内に微生物を供給するにあたり、微生物の自重による自然沈降を防いで、前記粒子を照射することによる殺菌処理を有効に行うことができる。また、攪拌を行った場合について本発明による評価の対象とできる。
【0027】
また、本発明は、上記微生物除去評価方法を実現するための装置として、内部の空間に微生物が供給されるとともに該微生物の殺菌処理を行うための容器と、該容器の内部の空間に微生物を供給する微生物供給手段と、前記容器の内部の空間に微生物を殺菌処理するための粒子を供給する微生物除去手段と、前記微生物除去手段により微生物の殺菌処理を行った後に微生物を採取する微生物採取手段とを備えてなり、前記微生物採取手段により採取された微生物を測定して評価するための微生物除去評価装置を提供することができる。
【0028】
この微生物除去評価装置によると、上記微生物除去手段により上記粒子を照射して微生物の殺菌処理を行った後に、上記微生物採取手段により微生物を採取でき、採取された微生物の測定を行うことにより、該測定に基づいて上記微生物除去手段による微生物を殺菌処理する能力を評価することができる。また、前記微生物除去手段による粒子を照射して微生物を殺菌処理する各種の条件を定量的に評価することもできる。
【0029】
その具体的態様としては、前記微生物供給手段と前記微生物除去手段と前記微生物採取手段とが微生物を含む空気の通路に上流側から下流側に向けて順次配列された構成とすることができる。これにより、微生物の供給、微生物の除去および微生物の採取といった一連の工程をスムーズに実行することができる。
【0030】
この場合、微生物供給手段と前記微生物採取手段との間に微生物を含む空気の通路を形成する風洞が介在され、該風洞の内側に前記微生物除去手段が配置された構成を採用すれば、微生物を含む空気の供給・除去・採取を限られた風洞内で行うことができる。
【0031】
また、前記微生物除去手段と前記微生物採取手段とが前記微生物供給手段の鉛直下方域外に配置された構成が望ましい。このような配置にすることにより、前記微生物供給手段から放出されたミストのうち、気体状にならない粒状の物体は、鉛直下方およびその周辺に落下するため、前記微生物除去手段および前記微生物採取手段が、前記落下する物質により汚染されることがなく、評価装置の信頼性を向上させることができる。この効果を得るためには、前記微生物供給手段の鉛直下方に前記微生物除去手段および前記微生物採取手段とを配置しないようにすることが重要であり、例えば前記微生物供給手段と前記微生物採取手段を水平方向に配置することや、前記微生物供給手段から鉛直下方より若干ずれた位置、あるいは斜め方向に前記微生物除去手段および前記微生物採取手段とを配置することなどにより、本効果を得ることができる。
【0032】
また、本発明では、前記容器の外側に、該容器を覆うように別の容器が配置される微生物除去評価装置により行うことができる。このような装置構成にすることにより、前記容器から漏れ出る微生物や、気体状にならない粒状の物体が、前記別の容器により遮蔽され、外部に漏れにくくすることが可能になる。
【0033】
また、前記微生物除去評価装置について、前記容器の内部の空間に、前記供給された微生物に対する下方から前記容器の内部の空間を攪拌するための攪拌手段を設けることができる。これにより、前記微生物供給手段から微生物を容器内に供給するに際して、微生物の自重による自然沈降を防いで微生物除去手段による殺菌処理を有効に行うことができる。
【0034】
また、上記微生物除去評価装置について、微生物供給手段による微生物の供給を微生物を分散させた溶液をミスト状にして前記容器の内部の空間に噴霧するように構成することができる。
【0035】
また、上記微生物除去評価装置について、前記微生物を殺菌処理するための粒子が、空気中における放電、空気中における放射光照射、およびレナード効果のいずれかにより生成されるガスを放出されるように構成することができる。また、上記微生物除去評価装置について、前記微生物を殺菌処理するための粒子が、放射光、X線、ガンマ線、または電磁波であり、これらを放出されるように構成することができる。
【0036】
また、上記微生物除去評価装置について、前記微生物除去手段が微生物を殺菌処理するための粒子として正および/または負のイオンを照射するように構成することができる。また、上記微生物除去評価装置について、前記微生物除去手段が微生物を殺菌処理するための粒子としてオゾンまたはラジカルを照射するように構成することができる。さらに、上記微生物除去評価装置について、前記微生物除去手段が微生物を殺菌処理するための粒子として薬剤の粒子を照射するように構成することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0038】
<第1の実施形態>
まず、本発明の方法を実施することができる微生物除去評価装置について説明する。図1は微生物除去評価装置の一例である微生物除去評価装置10の概略構成図である。
【0039】
微生物除去評価装置10には、容器8と、微生物供給手段を構成する微生物注入管5と、微生物除去手段を構成するイオン発生装置1と、微生物採取手段を構成する微生物採取管3および微生物採取器6が設けられている。
【0040】
容器8は、その内部の空間が外気から閉ざされた構造とされており、その内部の空間内に微生物を存在させるとともに該微生物の殺菌処理を行えるようにされている。
【0041】
また、容器8は、特に図示しない空調系等によりその内部の空間の温度や湿度を任意に調節できるようにされており、微生物に対する環境を任意に設定できるようにされている。
【0042】
また、容器8は、図1に示されるように、水平方向の寸法に比べて高さ方向の寸法を大きく取る形態に形成されている。これにより、容器8内の空間の容積を大きく取ることもできるので、微生物除去評価装置10の処理容量を大きくすることができる。
【0043】
微生物注入管5は、容器8の所定の位置に設けられ、該微生物注入管5を介して容器8の内部の空間に微生物を供給できるようにされており、容器8の内部の空間に微生物を浮遊させることができる。
【0044】
この微生物注入管5は、図1に特に図示されない微生物の供給源より微生物が送られてくるようにされている。そして、微生物注入管5の容器8内を臨む微生物注入口5aより容器8内に微生物が注入される。
【0045】
微生物注入管5より容器8内に微生物を注入するにあたり、微生物単体で注入するようにしてもよく、微生物を分散させた溶液をミスト状にして容器8内に噴霧するようにしてもよい。
【0046】
イオン発生装置1は、微生物を殺菌処理するための粒子としてイオン7を照射する。このイオン発生装置1は、容器8内に設けられており、微生物注入口5aより容器8内に注入された微生物に向かって、イオン発生口2よりイオン7を照射する。
【0047】
このイオン発生装置1は、その内部にイオン発生素子を備えており、該イオン発生素子の電極間に交流電圧が印加されることによる放電等の電離現象によって正イオンおよび負イオンからなるイオン7を発生させる。
【0048】
かかるイオン発生装置1の放電等に伴うイオン7の発生は、容器8内の気圧の状態に影響を受けることがない。また、イオン7の強度(濃度)は、上記イオン発生装置1のイオン発生素子に印加される動作電圧を調節することによって変化させることができる。
【0049】
容器8内の空間には微生物を採取するための微生物採取管3が配設されている。この採取管3は、図1に示されるように、容器8の高さ方向である垂直方向に沿って配設される部分と容器8の水平方向に沿って配設される部分とから構成されている。
【0050】
そして、採取管3の水平方向に沿って配設される部分は、容器8の側面を貫通して容器8の外部に延びており、容器8の外部で後に説明する微生物採取器6に接続されている。採取管3の垂直方向の上端には微生物採取口3aが形成されており、採取口3aより容器8内の微生物が採取管3内へ取り込まれる。
【0051】
微生物採取器6は、容器8の外部に配置されており、前記採取管3とともに微生物採取手段を構成する。微生物採取器6は、微生物採取管3を介して容器8内の空間を吸引し、容器8内の微生物を微生物採取口3aより採取管3内へ取り込むとともに微生物採取器6に採取する。
【0052】
この微生物を採取するための微生物採取器6について、エアーサンプラーを用いて構成することができる。また、微生物採取器6について、溶液バブリング器を通して微生物を採取するように構成することもできる。
【0053】
この微生物除去評価装置10には、図1に示されるように、容器8内の下方に攪拌機4が設けられている。この攪拌機4は、容器8内の空間を攪拌するための攪拌手段にあたり、回転するファンにより周囲の空間に気流を形成して空間を攪拌するようにしたものを用いることができる。
【0054】
この攪拌機4を設けて容器8内の空間を攪拌すると、微生物の自重による下方への自然沈降を防ぎ、イオン発生装置1より照射されたイオン7が有効に存在する領域に微生物をより浮遊させることができ、イオン7による殺菌処理を有効に行うことができる。
【0055】
特に、微生物が質量の重い種類のものである場合に、自然沈降を生じ易いが、攪拌機4を設けることにより自然沈降を防ぎ、イオン7による殺菌処理を有効に行うことができる。
【0056】
なお、本発明を実施するにあたり、攪拌機4を必ずしも設ける必要はないが、攪拌機4を設けることで、上述の理由によりイオン7による殺菌処理をより有効に行い易い。
【0057】
上記微生物除去評価装置10を用いた微生物除去評価方法は次のように実施することができる。まず、微生物注入口5より容器8内に一定量の微生物を注入する。次に、イオン発生装置1を動作させ、注入された微生物に向かってイオン7を照射して微生物に対する殺菌処理を行う。イオン7を一定時間照射した後に、微生物採取器6によって微生物を採取する。
【0058】
採取された微生物はその菌数を測定することができる。微生物の菌数を測定するにあたり、採取された微生物を培地シャーレにより所定の培地上で一定時間培養した後に行うこともできる。これにより、採取された微生物の菌数をより正確に測定することができる。
また、微生物の菌数の測定は、前記シャーレ上の微生物を顕微鏡で観察することによって行うことができる。
【0059】
このように、上記微生物除去評価装置10を用い微生物採取器6により採取された微生物を測定することにより、イオン7を照射することによる微生物に対する殺菌処理能力を評価することができる。
【0060】
また、上記微生物除去評価装置10を用いて微生物の除去評価を行うにあたり、以下の測定および評価を行うこともできる。まず、上述のように、容器8内に一定量の微生物を注入した後にイオン7を照射して殺菌処理を一定時間行い、その後微生物採取器6により微生物を採取し採取された微生物の菌数の測定を行う。
【0061】
次に、前記イオン7を照射して殺菌処理を行った場合と同一の条件で同一量の微生物を容器8内に注入する。そして、イオン7を照射することなく、前記イオン7を照射した時間と同一時間の経過を待ち、微生物を自然減衰させる。その後に微生物採取器6により微生物を採取し、採取された微生物の菌数の測定を行う。
【0062】
そして、前記イオン7の照射により殺菌処理を行った後に採取された微生物の菌数と、前記自然減衰させた後に採取された微生物の菌数とを比較することによって、イオン7による微生物に対する殺菌処理能力を自然減衰させた場合との対比により相対的に評価することができる。
【0063】
また、以上の微生物採取器6により採取された微生物の測定を行うにあたり、イオン7の照射を開始してからの経過時間や微生物の自然減衰を開始させてからの経過時間に対する、微生物の菌数の経時変化を測定することもできる。
【0064】
また、以上の微生物の測定を行うにあたり、攪拌機4により攪拌を行った場合と、攪拌を行わない場合とについて測定することができる。
【0065】
さらに、以上の微生物の測定を行うにあたり、微生物に照射するイオン7の強度を変化させ、イオン7の各強度に対する採取された微生物の測定を行うこともできる。これにより、イオン7の強度に応じた微生物に対する殺菌処理能力を評価することができる。
【0066】
<第2の実施形態>
次に、本発明にかかる微生物除去評価装置の第2の実施形態について図2を参酌しつつ説明する。図2は、微生物除去評価装置の第2の実施形態である微生物除去評価装置20の概略構成図である。
【0067】
図2に示される微生物除去評価装置20には、容器18と、微生物供給手段を構成する微生物注入管15と、微生物除去手段を構成するイオン発生素子12と、微生物採取手段を構成する採取管13および微生物採取器6が設けられている。つまり、微生物供給手段である微生物注入管15と、微生物除去手段であるイオン発生素子12と、微生物採取手段である採取管13および微生物採取器6とが微生物を含む空気の通路において上流側から下流側に向けて順次配列されている。
【0068】
容器18は、その内部の空間が外気から閉ざされた構造とされており、その内部の空間内に微生物を存在させるとともに該微生物を殺菌処理できるようにされている。この容器18にあっては、図2から判るように、水平方向の寸法に比べ高さ方向の寸法を小さく取った形態とされている。
【0069】
微生物注入管15は、容器8の外部で微生物噴霧器11に接続されており、該微生物噴霧器11より微生物が送り込まれる。微生物噴霧器11は、一定濃度の微生物を含んだ気体を一定の速度で微生物注入管15に送り込む。そして、微生物噴霧器11より微生物注入管15に送り込まれた微生物を含む気体は、容器18内を臨む微生物注入口15aより容器18内に注入される。
【0070】
微生物噴霧器11より容器18内に微生物を供給するにあたり、空気中に微生物単体を含ませて微生物注入管15に送り込むようにしてもよく、微生物を分散させた溶液をミスト状にして噴霧させることにより微生物注入管15に送り込むようにしてもよい。
【0071】
イオン発生素子12は、微生物注入管15の鉛直下方域外で容器18内の底面上に配設されている。このイオン発生素子12は、一定の略平面状に配設されるイオン発生電極12aにより正イオンおよび負イオンからなるイオン7を発生させる。このイオン発生素子12より発生したイオン7によって、微生物注入管15より注入された微生物が殺菌処理される。
【0072】
このイオン発生素子12は、図1に示すイオン発生装置1に備わるイオン発生素子と同様であり、イオン7を発生する動作はイオン発生装置1について説明したのと同様である。
【0073】
微生物を採取するための微生物採取管13は、微生物注入管15の鉛直下方域外で、水平方向に沿って配設されており、その一端には容器18内を臨む微生物採取口13aが形成されており、他端は容器18の外部で微生物採取器6に接続されている。
【0074】
容器18の外部に配置される微生物採取器6は、微生物採取管13を介して容器18内の空間を吸引し、容器18内の微生物を微生物採取口13aより採取管13内へ取り込むとともに微生物採取器6に採取する。
【0075】
この微生物を採取するための微生物採取器6について、エアーサンプラーを用いることができる。また、微生物採取器6について、溶液バブリング器を通して微生物を採取するように構成することもできる。
【0076】
上記微生物除去評価装置20を用いることにより、本発明の方法を以下のように実施することができる。まず、微生物注入口15より容器18内に一定量の微生物を注入する。次に、イオン発生素子12を動作させ、注入された微生物にイオン7を照射して微生物に対する殺菌処理を行う。イオン7を一定時間照射した後に、微生物採取器6によって微生物を採取する。
【0077】
そして、微生物採取器6に採取された微生物の測定を行う。この採取された微生物を測定するにあたり、採取された微生物の菌数を測定することができる。この微生物の菌数を測定するにあたり、採取された微生物を培地シャーレにより所定の培地上で一定時間培養した後に行うこともできる。また、採取された微生物の菌数の測定は、顕微鏡を用いた観察によって行うことができる。
【0078】
このように、微生物除去評価装置20を用い、微生物採取器6に採取された微生物を測定することにより、イオン7の照射による微生物に対する殺菌処理能力を評価することができる。
【0079】
また、この微生物除去評価装置20によると、微生物注入口15aを介する容器18内への微生物の注入と、イオン発生素子12によりイオン7を照射して行う微生物の殺菌処理と、その後の微生物採取口13aを介した微生物の採取とからなる一連の処理を略ワンパスの経路に沿ってできる。
【0080】
従って、この微生物除去評価装置20によると、容器18内における微生物の自然減衰を考慮に入れなくてもよいので、高濃度での気中浮遊微生物の除去評価を行うことができる。
【0081】
また、この微生物除去評価装置20によると、装置をコンパクト化でき、閉空間で評価できるので、有害な微生物でも評価することができる。
【0082】
また、この微生物除去評価装置20を用いて本発明の方法を実施する場合についても、図1に示す微生物除去評価装置10により実施する場合について説明したのと同様に、以下の測定および評価を行うことができる。
【0083】
即ち、イオン7を照射することなく容器18内に供給した微生物を自然減衰させた場合とイオン7を照射して殺菌処理を行った場合とについて、採取器6に採取された微生物の測定を行い、それらの結果を比較することができる。
【0084】
また、採取された微生物の測定を行うにあたり、イオン7の照射を開始してからの経過時間や微生物の自然減衰を開始させてからの経過時間に対する、微生物の菌数の経時変化を測定することもできる。
【0085】
また、微生物に照射するイオン7の強度を変化させ、イオン7の各強度に対する採取された微生物を測定することにより、イオン7の強度に応じた微生物に対する殺菌処理能力を評価することもできる。
【0086】
なお、以上の説明では、微生物を殺菌処理するための粒子としてイオン7を照射する例を挙げて説明した。微生物を殺菌処理するために用いる粒子は、上記イオン7以外のものを用いることもでき、例えばオゾンの粒子を用いることもできる。オゾンの粒子を用いて微生物を殺菌処理する場合には、図1に示す微生物除去評価装置10のイオン発生装置1や図2に示す微生物除去評価装置20のイオン発生素子12をオゾンを発生させる手段に変更することによって、本発明を実施することができる。
【0087】
また、微生物を殺菌処理するための粒子として薬剤の粒子を用いることもできる。薬剤の粒子を用いる場合には、図1に示す微生物除去評価装置10のイオン発生装置1や図2に示す微生物除去評価装置20のイオン発生素子12を薬剤の粒子を噴射させるための手段に変更することによって、本発明を実施することができる。上記薬剤の粒子を用いる場合、薬剤としてアルコールやアルデヒド系薬剤、抗ウイルス剤、殺虫剤等を用いることができる。
【0088】
<第3の実施形態>
次に、本発明にかかる微生物除去評価装置の第3の実施形態について、図8を参酌しつつ説明する。図8は微生物除去評価装置の第3の実施形態を示す概略構成図であって、第2の実施形態に対して、風洞を設けた点および内部を密封する容器の外側にさらに別の容器を設けた点に特徴がある。
【0089】
すなわち、本実施形態の微生物除去評価装置30は、図に示すように、容器18と、微生物供給手段を構成する微生物注入管15と、微生物除去手段を構成するイオン発生素子12と、微生物採取手段を構成する採取管13および微生物採取器6とを備えている。そして、容器18の内部には、注入管15から採取管13に至る空間に風洞31が設けられ、この風洞31内にイオン発生素子12が配置されている。
【0090】
容器18は、その内部の空間が外気から閉ざされた構造とされ、水平方向の寸法に比べ高さ方向の寸法を小さく取った形態とされている。この容器18の一側壁には、シールパッキン32を介して注入管15が外部から容器内に導出されており、また、この注入管15に対向して反対側の側壁には、採取管13がシールパッキン33を介して容器内部に導出されている。
【0091】
微生物注入管15は、容器18の外部で微生物噴霧器11に接続されており、該微生物噴霧器11より微生物が送り込まれる。微生物噴霧器11は、一定濃度の微生物を含んだ気体を一定の速度で微生物注入管15に送り込む。そして、微生物噴霧器11より微生物注入管15に送り込まれた微生物を含む気体は、容器18内を臨む微生物注入口15aより容器18内に注入される。なお、この際、空気中に微生物単体を含ませて微生物注入管15に送り込むようにしてもよく、微生物を分散させた溶液をミスト状にして噴霧させることにより微生物注入管15に送り込むようにしてもよい。
【0092】
容器18内の風洞31は、円筒状に形成されて略水平に設置されており、その両端に注入管15と採取管13とが臨むように配置される。
【0093】
イオン発生素子12は、微生物注入管15の鉛直下方域外で風洞31内のやや上流側の底面に配設されている。このイオン発生素子12は、一定の略平面状に配設されるイオン発生電極により正イオンおよび/または負イオンを発生させ、微生物注入管15より注入された微生物を殺菌処理する。
【0094】
このイオン発生素子12は、図1に示すイオン発生装置1に備わるイオン発生素子と同様であり、イオン7を発生する動作はイオン発生装置1について説明したのと同様である。
【0095】
微生物採取管13は、微生物注入管15に対向して水平方向に配設されており、その一端には容器18内を臨む微生物採取口13aが形成され、他端は容器18の外部で微生物採取器6に接続されている。
【0096】
微生物採取器6は、内部にバブリング液が収容されており、このバブリング液に沈めた微生物採取管13の端部から採取した空気を取り込んでバブリングした後、回収するようにしている。そして、容器18、微生物噴霧器11および採取器6を含む噴霧試験系全体は別の容器35によって覆われている。
【0097】
なお、本実施形態では、注入口15aから放出されるミストは、風洞31の内部に噴霧されるが、注入口15aと風洞31の間には若干の隙間を設けており、不用な水滴は容器18に落下するようにしている。
【0098】
また、注入口15aから放出されるガスは、噴霧によりある一定の速度を有しており、その速度で図8の矢印37で示す方向に風洞31を通過する。このメカニズムにより、イオン発生素子12の放電電極にて放出されたイオンからなる粒子と、微生物とが反応し、採取器6に到るまでに微生物のイオンによる除去効果を確認することができる。なお、微生物の評価方法としては、特に限定されるものではなく、寒天培養による評価、細胞培養による評価、赤血球凝集反応、生物や細胞などへのアレルギー反応、顕微鏡観察など、あらゆる評価方法を用いることができる。
【0099】
また、微生物を含むミストのうち気化せず急速に落下する水滴状となった成分や、採取されなかった微生物成分は、風洞31内に溜まるため、これを内装する容器18は外部に漏れ出にくいように構成されているが、さらに、これとは別の容器35より、その外側を覆っているので、外部に位置する人間等に影響を与えにくくなっている。そのため、風洞31および容器18が完全な密閉容器ではなくても、バイオハザード等の事故の生じる確立を大きく低下させることができる。さらに、別の容器35の遮蔽効果により、容器18の中へ、外部から不要な汚染物質が混入することを抑制することができるため、評価精度を向上させることができるという効果を得ることができる。
【0100】
<第4の実施形態>
図9は浮遊微生物除去評価装置の概略構成図であり、第3の実施形態にて示した評価装置において、粒子放出部を針型放電装置40に置き換えたものである。
【0101】
すなわち、本実施形態では、第3の実施形態のイオン発生素子12に代わり、針状放電装置40を設けたものである。針状放電装置40は、風洞31内において、その上流側域に配置された針状放電電極40aと、これに対向して配置された対抗平板電極40bとから構成される。その他の構成は第3の実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0102】
本実施形態では、針状電極40aに数kV程度の正または負の高電圧が印加されると、針の先端部周辺で放電が起こり、イオン成分として正または負に帯電したイオンが主体であるガスが放出される。
【0103】
上記構成により、正または負イオン主体のガスが放出され、微生物注入管15から放出される微生物を含んだミストに照射され、微生物が殺菌されて除去されるので、その微生物除去評価試験を行うことができる。
【0104】
なお、本実施形態の場合、放出される粒子7は、イオンが主体の場合に限るものではなく、ラジカル、オゾン、活性酸素や、その他の殺菌作用を有する粒子でも良い。
【0105】
<第5の実施形態>
図10は浮遊ウイルス除去評価装置の概略構成図である。本実施形態では、第3の実施形態にて示した評価装置において、イオン発生素子12からなる粒子放出部を、紫外線ランプおよび触媒によるラジカル放出機構に置き換えたものである。
【0106】
すなわち、本実施形態では、第3の実施形態のイオン発生素子12に代わり、ラジカル放出機構50を設けたものである。ラジカル放出機構50は、風洞31内の上流側域において、ほぼ中心部に配置された紫外線ランプ50aと、その周囲に対向して配置された触媒50bとから構成される。その他の構成は第3の実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0107】
触媒50bは、白金、金、酸化チタンなどを含む材質で構成され、紫外線ランプ50aから放射された放射光のエネルギーにより、そのエネルギーをラジカル生成に応用し、生じたラジカルを空間に放出するような作用を有する。
【0108】
なお、触媒50bは、白金、金、酸化チタンなどを含む材質に限るものではなく、活性なガスを放出するものであれば、同様の除去評価試験を実現できることは言うまでもない。
【0109】
また、本実施形態では、触媒50bを取り除いた装置でも評価を行うことも可能である。その場合、紫外線ランプ50aから放射される微粒子である光子7により、空間に存在する微生物を殺菌することができる。
【0110】
なお、ランプ50aは、放射光を発生する場合を本例で示しているが、その放射光としては、5eV〜20eVのエネルギーを有する光が殺菌性能に優れており、その光を含む放射光を本評価装置に適用することにより、評価結果を得ることが期待できる。また、前記放射光としては、X線、ガンマ線を放射するデバイスを紫外線ランプ50aの位置に配置し、同様に試験を行うことができる。
【0111】
なお、本評価方法および評価装置は、以上の放射線の試験に用いることが有効な使用方法であるが、それ以外の粒子、例えば赤外線などの熱線、可視光を用いることも当然可能であり、本発明による評価が可能である。その場合は原理的に熱による殺菌性能が支配的になると考えられ、強力な熱線、可視光を要するため、放熱機構あるいは光遮蔽板を別途設置することが望ましい。
【0112】
また、放射線を用いる場合、2GHz〜200GHzの電磁波による殺菌が可能である。この場合、触媒は特に必要ではなく、電磁波のエネルギーを、微生物の構成要素に吸収させ、分子レベルで微生物を破壊することが可能になる。そのために必要な電磁波としては、例えば水に吸収されやすいとされる2.45GHz付近の電磁波が一例として挙げられ、例えば2GHz程度から短波長側の電磁波を用いることができる。
【0113】
なお、2GHz以上の周波数においては、蛋白質などの微生物を構成する要素物質に吸収されやすいと考えられるさらに高い周波数領域の電磁波が候補に挙げられ、高周波デバイスの現状で可能な周波数としては、200GHzまでが殺菌に応用できる周波数と考えられる。
【0114】
また、図10に示す装置において、紫外線ランプ50aの位置には、電磁波放出デバイス若しくは光ファイバーなどの光導波素子、電熱器などを設置することができる。
【0115】
<対象微生物>
なお、本発明により殺菌処理を行う対象となる微生物には、真菌、細菌、ウイルス、アレルギーを誘発するアレルゲン物質(タンパク質等)が含まれる。そして、本発明を実施するにあたっては、この真菌、細菌、ウイルス、アレルゲン物質を単体で用いてもよく、これらのうちから任意に複数を選んで組み合わせて用いてもよい。
【0116】
なお、ウイルスについては、一般に微生物の範疇に入っていることから、本発明においてはその増殖を抑える効果を殺菌もしくは、除去という言葉で表記している。一般には、ウイルスの増殖を抑制する作用は不活化という言葉を使用される場合が多いので、ウイルスに関しては、本明細書における殺菌もしくは除去という言葉を不活化という言葉に置きかえて使用すればよい。
【0117】
また、同様に、アレルゲン物質についても、本発明においては、人体等のアレルギー反応の誘発を抑制する効果を殺菌もしくは、除去という言葉で表記している。一般には上記効果は、失活という言葉で置きかえることができるため、本明細書において、アレルゲン物質の殺菌あるいは除去という言葉は、失活という言葉で置きかえることができる。
【0118】
【実施例】
[実施例1]
実施例1として、以下の条件で実施した。微生物の除去評価を行うにあたり、図1に示す微生物除去評価装置10を用いた。この微生物除去評価装置10の容器8は、内部の空間の寸法が縦2.0m、横2.5m、高さ2.7mのものを用いた。
【0119】
そして、容器8の内部の雰囲気を温度25℃、相対湿度42%とした。また、容器8内の空間を攪拌機4により攪拌した。攪拌機4により攪拌するにあたり、風量4m3/minで行った。
【0120】
微生物として大腸菌を用いた。この大腸菌を容器8内に供給するにあたり、ミスト状にして微生物注入口5aより供給した。そして、大腸菌を500から1,500個/m3程度の濃度として容器8内に散布した。
【0121】
また、採取器6について、Biotest Hyton RCS エアサンプラーを用いて構成した。エアサンプラーにより微生物を採取するにあたり、40リットル/毎分で4分間の採取を行った。
【0122】
そして、イオン発生装置1によりイオン7を照射するが、この実施例1ではイオン濃度を変化させ、各々のイオン濃度についてイオン7を1時間照射して殺菌処理を行った。イオン濃度は、イオン発生装置1のイオン送出部(イオン発生口2)より距離10cmの空間における数値とした。
【0123】
そして、大腸菌を前記条件で容器8内に供給した後に一定のイオン濃度でイオン7を1時間照射し、その後に前記エアサンプラーに大腸菌を採取して採取された大腸菌の菌数を測定した。そして、イオン7のイオン濃度を変化させて各々のイオン濃度の場合について、かかる測定を繰り返し行った。
【0124】
図3は実施例1についての測定の結果を示している。図3において、横軸は、対数で表示されるイオン7のイオン濃度(個/cm3)に対応している。また、図3において、縦軸は浮遊菌残存率(%)に対応している。この浮遊菌残存率は、イオン7を照射した後に殺菌されずに残存した菌の数を百分率で表したものである。
【0125】
この図3に示される結果より、イオン発生装置1より放出される正負イオン濃度を大きくすると、空気中浮遊細菌の残存率が低下することが確認される。また、正負イオン濃度を1万個/cm3以上にすると、残存率が急激に低下することも確認される。
【0126】
そして、一般室内のイオンの濃度は500〜1,500個/cm3なので、微生物を有効に除去する効果を生ぜしめる目安としては、正負イオン濃度1万個/cm3以上を送出することが適切と考えられる。
【0127】
[実施例2]
実施例2として、以下の条件で実施した。微生物の除去評価を行うにあたり、図1に示す微生物除去評価装置10を用いた。微生物除去評価装置10の容器8は、内部の空間の寸法が縦2.0m、横2.5m、高さ2.7mのものを用いた。
【0128】
そして、容器8の内部の雰囲気を温度25℃、相対湿度42%とした。また、容器8内の空間を攪拌機4により攪拌した。攪拌機4により攪拌するにあたり、風量4m3/minで行った。
【0129】
微生物として大腸菌を用いた。この大腸菌を容器8内に供給するにあたり、ミスト状にして微生物注入口5aより供給した。そして、大腸菌の濃度を1,000個/m3程度として容器8内に散布した。
【0130】
また、採取器6について、Biotest Hyton RCS エアサンプラーを用いて構成した。エアサンプラーにより微生物を採取するにあたり、40リットル/毎分で4分間の採取を行った。
【0131】
そして、イオン発生装置1によりイオン7を照射するイオン送出を行う場合と、イオン発生装置1によりイオン7を照射せずに自然減衰させるイオン送出を行わない場合とについて、前記エアサンプラーによる採取を行った。イオン送出を行う場合については、イオン濃度がイオン送出部より距離10cmの空間で正負イオンそれぞれ5万個/cm3となるようにした。
【0132】
そして、前記イオン送出を行う場合とイオン送出を行わない場合の各々について、大腸菌を前記エアサンプラーに15分毎に採取し、採取された大腸菌の菌数の測定を行った。
【0133】
図4は実施例2についての測定の結果であり、浮遊細菌の残存率(%)の経時変化が示される。図4において、横軸は経過時間に対応しており、縦軸は図3と同様に浮遊菌残存率(%)に対応している。
【0134】
イオン送出を行わなかった場合、1時間経過後の自然減衰による菌の残存率は80%であった。一方、イオン送出を行った場合、1時間経過後の菌残存率は10%であった。
【0135】
以上の測定に関して、微生物を除去する効果を有効と判断する目安として微生物の採取精度と濃度測定精度を考慮に入れると、自然減衰の残存率と10%の差があれば有意な差があると考えられる。また、試験の精度を考慮に入れると、イオン送出なしの場合での自然減衰による1時間経過後の菌の残存率が50%以上となる試験条件とするのが望ましい。
【0136】
図5は、イオン放出を行った場合とイオン放出を行わなかった場合の各々について、15分経過後に採取された大腸菌を撮影した写真を示す。図5(a)がイオン放出を行った場合のものであり、図5(b)がイオン放出を行わなかった場合のものである。
【0137】
また、図5に示される大腸菌の撮影を行うにあたり、前記各々の場合について採取した大腸菌を寒天培地上で34℃、湿度100%RHで48時間培養し、その後撮影を行った。また、図5において、シャーレの大きさは9cmである。
【0138】
イオン送出を行った場合には、図5(a)に示されるように、大腸菌のコロニーの生成が見られない。一方、イオン送出を行わなかった場合には、図5(b)に示されるように、大腸菌のコロニー生成が見られる。この図5に示される結果から、イオンにより菌は死滅させられていることがわかる。
【0139】
[実施例3]
実施例3として、以下の条件で実施した。微生物の除去評価を行うにあたり、図1に示す微生物除去評価装置10を用いた。微生物除去評価装置10の容器8として、内部の空間の寸法が縦2.0m、横2.5m、高さ2.7mのものを用いた。そして、容器8の内部の雰囲気を温度25℃、相対湿度42%とした。
【0140】
また、この実施例3では、後に説明するように容器8内を攪拌する場合と攪拌しない場合の比較を行ったが、容器8内の空間を攪拌する場合には攪拌機4により風量4m3/minで攪拌した。
【0141】
微生物として真菌の一種であるクラドスポリウムを用いた。このクラドスポリウムを容器8内に供給するにあたり、ミスト状にして微生物注入口5aより供給した。そして、このクラドスポリウムの濃度を1,000個/m3程度として容器8内に散布した。
【0142】
また、採取器6について、Biotest Hyton RCS エアサンプラーを用いて構成した。エアサンプラーにより微生物を採取するにあたり、40リットル/毎分で4分間の採取を行った。
【0143】
そして、前記攪拌機4により攪拌を行う場合と攪拌機4による攪拌を行わない場合の各々について、気中浮遊菌を前記エアサンプラーにより15分毎に採取し、採取された菌の菌数を測定した。
【0144】
図6は、実施例3についての測定の結果であり、攪拌の有無による自然減衰の空気中浮遊真菌の残存率(%)の経時変化が示される。図6において、横軸は経過時間に対応しており、縦軸は図3と同様に浮遊菌残存率(%)に対応している。
【0145】
攪拌を行わない場合、45分経過後には菌は検出限界となり残存率は12%となった。一方、攪拌を行った場合、1時間経過後の自然減衰による菌の残存率は80%であった。
【0146】
以上の結果から、攪拌を入れることにより菌の自然落下を押さえ浮遊微生物の除去評価を行い易いといえる。特に、質量の大きい菌の場合について、攪拌を行うことが有効である。
【0147】
[実施例4]
実施例4として、以下の条件で実施した。微生物の除去評価を行うにあたり、図1に示す微生物除去評価装置10を用いた。微生物除去評価装置10の容器8として、内部の空間の寸法が縦2.0m、横2.5m、高さ2.7mのものを用いた。
【0148】
そして、容器8の内部の雰囲気を温度25℃、相対湿度42%とした。また、容器8内の空間を攪拌機4により攪拌した。攪拌機4により攪拌するにあたり、風量4m3/minで行った。
【0149】
微生物として真菌の一種であるクラドスポリウムを用いた。このクラドスポリウムを容器8内に供給するにあたり、ミスト状にして微生物注入口5aより供給した。そして、クラドスポリウムの濃度を1,000個/m3程度として容器8内に散布した。
【0150】
また、採取器6について、Biotest Hyton RCS エアサンプラーを用いて構成した。エアサンプラーにより微生物を採取するにあたり、40リットル/毎分で4分間の採取を行った。
【0151】
そして、イオン発生装置1によりイオン7を照射するイオン送出を行う場合と、イオン発生装置1によりイオン7を照射せずに自然減衰させるイオン送出を行わない場合とについて、前記エアサンプラーによる菌の採取を行った。イオン送出を行う場合については、イオン濃度がイオン送出部より距離10cmの空間で正負イオンそれぞれ5万個/cm3となるようにした。
【0152】
そして、前記イオン送出を行う場合とイオン送出を行わない場合の各々について、菌を前記エアサンプラーに15分毎に採取し、採取された菌の菌数を測定した。
【0153】
図7は、実施例4についての測定の結果であり、浮遊細菌の残存率(%)の経時変化が示される。図7において、横軸は経過時間に対応しており、縦軸は図3と同様に浮遊菌残存率(%)に対応している。
【0154】
イオン送出を行わなかった場合、1時間経過後の自然減衰による菌の残存率は75%であった。一方、イオン送出を行った場合、1時間経過後の菌残存率は10%であった。
【0155】
以上の測定に関して、微生物を除去する効果を有効と判断する目安として微生物の採取精度と濃度測定精度を考慮に入れると、自然減衰の残存率と10%の差があれば有意な差があると考えられる。また、試験の精度を考慮に入れると、イオン送出なしの場合での自然減衰による1時間経過後の菌の残存率が50%以上となる試験条件とするのが望ましい。
【0156】
[実施例5]
実施例5として、以下の条件で実施した。微生物の除去評価を行うにあたり、図2に示す微生物除去評価装置20を用いた。微生物除去評価装置20の容器18について、内部の空間が8cm角で長さ30cmの四角柱状に形成されるものを用いた。そして、容器18の内部の雰囲気を温度28℃、相対湿度50%とした。
【0157】
殺菌処理する微生物としてポリオウイルスを用いた。そして、このポリオウイルスを1ccあたり数万個分散させた水溶液を空気と混合させてミスト状にし、0.1cc/minの割合で風速1.6m/secで注入口15aより容器18内に供給した。
【0158】
また、前記ポリオウイルスにイオン7を照射して殺菌処理するにあたり、イオン発生素子12のイオン送出部より距離10cmの空間で正負イオンそれぞれ10万個/cm3となるようにした。
【0159】
また、前記イオン7を照射して殺菌処理した後にポリオウイルスを採取器6に採取するにあたり、溶液バブリング器によってウイルスを分離捕集するようにした。
【0160】
そして、イオン7を照射して殺菌処理した後に採取器6にポリオウイルスを採取して菌数の測定を行ったところ、ウイルスの除去率は78%であった。
【0161】
[実施例6]
実施例6として以下の条件で実施した。図8は本実施例の浮遊ウイルス除去評価装置の概略構成図である。図11はイオン濃度によるインフルエンザウイルスの細胞感染確率を示した図、図12はイオン濃度によるコクサッキーウイルスの細胞感染確率を示した図、図13ではイオン濃度によるポリオウイルスの細胞感染確率を示した図である。図14はイオン発生素子から生成される正イオンおよび負イオンの質量スペクトルを示した図である。図15は、イオン発生素子を動作させない場合と、イオン発生素子を動作させた場合との比較を行う評価試験フローチャートである。この実施例では、図15のフローチャートに示されるように、微生物が含まれる溶液を作製した後、試験装置を用いて、その溶液を空間に噴霧し、その空気の採取を行う。なお、噴霧の後、噴霧した微生物が含まれる空気に対して、殺菌作用を及ぼす粒子を放出および作用させる工程を入れる。なお、この粒子の放出を行う場合と行わない場合の試験を行うものとする。以上の方法により採取した溶液を、例えばプラック法、赤血球凝集反応などで、微生物の濃度測定、若しくは活性度などの評価を行い、殺菌あるいは不活化の効果を評価し、粒子を作用させた場合と作用させなかった場合の比較を行い、粒子の効果を明確にすることができる。なお、粒子の濃度や、粒子の作用時間を変化させることにより、殺菌あるいは不活化の程度について、照射時間依存性や、粒子濃度依存性を調べることができる。
【0162】
本実施例は、図8に示す微生物除去評価装置30を用いた。イオン発生素子12は、縦37mm、横15mmの平板状の沿面放電素子を用いた。電極間に正と負の高電圧を交互に印加することにより、表面電極部で沿面放電を起こし、大気圧下での放電プラズマにより正と負のイオンを生成させた。
【0163】
イオン発生素子12は、内径55mm、長さ200mmのアクリル製円筒型容器31の一端に取り付け固定し、以上を内蔵する容器18の一方には、ウイルス液噴霧器11を、もう一方にはウイルス液回収用の採取器6を取り付けた。
【0164】
インフルエンザウイルスは、発育鶏卵の奨尿膜腔に接種し、フラン器で培養後、奨尿液を採取し、これを供試ウイルス液とした。
供試ウイルス液をガラス製アトマイザー(ウイルス液噴霧器11)に10ml入れ、容器18の一端に接続した。容器18の他端には、PBS(−)を10ml入れたガラス製インピンジャー(採取器6)を接続した。アトマイザーにはエアコンプレッサーからの圧縮空気の吐出圧力は、ゲージ圧で0.48hPaに調節し、注入口から供試ウイルスを容器18内の風洞31に噴霧した。噴霧量は3.0ml(噴霧流量0.1ml/min×噴霧時間30min)とした。
【0165】
この時、イオン発生素子12を動作させない状態の時をコントロールとし、イオン発生濃度を20万個/cm3、10万個/cm3、5万個/cm3にした場合との比較を行った。
【0166】
インピンジャーは毎分10Lの吸引流量で30分間試験装置内空気を吸引捕集した。インピジャーで試験装置内空気を吸引捕集したPBS(−)を試験液とし、インフルエンザウイルスは、MDCK細胞を用いたプラック法で測定を行った。また、コクサッキーウイルスとポリオウイルスは、Hela細胞を用いたプラック法で測定を行った。
【0167】
なお、プラック法とは、ウイルスを含む液を、細胞に接するように注入して、細胞へウイルスの感染を確認する方法に一種であり、ウイルスの活性度すなわち、ウイルスが感染する確率あるいはウイルスが細胞において増殖する能力を調べることが可能になる方法である。
【0168】
イオン濃度は上記のようにイオン発生素子12を設置した円筒型風洞31の片側より送風ファン(図示せず)により風速4m/secで風を流し、もう片側にダン科学製空気イオンカウンタ(品番83−1001B)を該イオン発生素子より距離10cmの所に設置し、そこの空間のイオン濃度を測定した。空間雰囲気は温度25℃、相対湿度60%RHであった。また、イオン発生については温度0℃、相対湿度10%から温度40℃、相対湿度90%の範囲では確認された。なお、前記送風ファンはイオン濃度の確認のために用いたものであり、実際の微生物の除去評価においては、送風ファンは用いず、円筒型風洞31の内部において、前記噴霧器11からの噴霧により風を生じるように設定した。
【0169】
図11に示すように、イオン発生素子を動作させない場合のインフルエンザウイルスの細胞感染確率を100%とすると、イオンを5万、10万、20万(個/cm3)発生させた場合、細胞感染確率は3.8%、2.6%、0.5%に大きく低下し、イオン濃度の増加によりインフルエンザウイルス除去性能が高くなることが確認された。
【0170】
また、図12に示すように、イオン発生素子を動作させない場合のコクサッキーウイルスの細胞感染確率を100%とすると、イオンを5万、10万、20万(個/cm3)発生させた場合、細胞感染確率は3.3%、2.6%、1.1%に大きく低下し、イオン濃度の増加によりコクサッキーウイルス除去性能が高くなることが確認された。
【0171】
さらに、図13に示すように、イオン発生素子を動作させない場合のポリオウイルスの細胞感染確率を100%とすると、イオンを5万、10万、20万(個/cm3)発生させた場合、細胞感染確率は1.0%、0.5%、0.4%に大きく低下し、イオン濃度の増加によりポリオウイルス除去性能が高くなることが確認された。
【0172】
発生したイオンの組成は、図14に示すように、正イオンはプラズマ放電により空気中の水分子を電離させて、水素イオンH+が生成され、溶媒和エネルギーにより空気中の水分子が水素イオンとクラスタリングしたものである。また、負イオンはプラズマ放電により空気中の酸素分子または水分子を電離させて、酸素イオンO2 −が生成され、溶媒和エネルギーにより空気中の水分子が酸素イオンとクラスタリングしたものである。
【0173】
空間に送出された正負イオンは空気中に浮遊しているウイルスを取り囲み、ウイルスの表面で正負イオンが化学反応によって活性種である過酸化水素H2O2またはラジカル・OHを生成して、タンパク質を破壊して殺す。このような方法により、効率的に空気中のウイルスを殺菌除去することができる。
【0174】
なお、ウイルスの活性度を調べる方法として、赤血球凝集反応を用いることも可能である。赤血球凝集反応は、ウイルスを含む溶液を、例えばニワトリの血液を含む溶液に注入し、その血液の凝集を観察する方法である。ウイルスの存在により、ウイルス表面に存在する赤血球凝集素が、複数の赤血球に作用し、赤血球を凝集させる現象が生じることを利用し、ウイルスの存在を確認することができる。
【0175】
また、ウイルスの濃度を調べる方法としては、ウイルスを複数の濃度になるよう水溶液で薄め、それぞれが赤血球凝集反応を生じるかどうかを確認することで、相対的に、活性なウイルス濃度、すなわち赤血球凝集素が活動し感染力を有するウイルスの濃度を調べることが可能になる。
【0176】
[実施例7]
図16は浮遊病原性細菌除去評価装置の概略図である。図17はイオン濃度20万個/cm3での気中浮遊スタフィロコッカス菌濃度の経時変化を示した図である。イオン発生装置は実施例6と同様なものを用いた。図18はイオン発生素子と紫外線式オゾン発生装置での気中浮遊スタフィロコッカス菌濃度の経時変化を示した図である。空間雰囲気は温度25℃、相対湿度60%RHであった。また、イオン発生については温度0℃、相対湿度10%から温度40℃、相対湿度90%の範囲では確認された。
【0177】
イオン発生素子の一定空間中に存在する浮遊スタフィロコッカス菌の除去効果を検証するため、本試験では、図1に示すものと概略構成が同様なものを用いた。すなわち、容器8は、1m3の空間は1m×1m×1mのFRP製容器の両端にアクリル製板を取り付けたものを用いた。この容器内に風量2m3/minの送風ファンの上部空気吹出し口の部分にイオン発生素子1を取り付けた。
【0178】
また、噴霧した菌を長時間浮遊させるため、容器8の四隅に15cm角の軸流ファン4を風向が上部に行くように4基設置した。この容器8のアクリル製板の部分の一端に菌液噴霧用の注入管5を設け、これを試験装置とした。
【0179】
供試菌は、保存株をトリプチケースソイ寒天培地(BBL)に接種し、35℃、24時間培養した。この菌を滅菌生理食塩液で希釈調整して洗浄後、供試菌として用いた。
【0180】
供試菌液をガラス製アトマイザーに10ml入れ、試験装置の一端に接続した。容器8の他端には、滅菌生理食塩液100ml入れたガラス製インピンジャーを接続した。アトマイザーにはエアコンプレッサーからの圧縮空気の吐出圧力は、ゲージ圧で0.48hPaに調節し、噴霧口から供試菌を噴霧した。噴霧量は1.0ml(噴霧流量0.1ml/min×噴霧時間10min)とした。菌液噴霧と同時に軸流ファン4を作動させ、試験終了までの間、連続運転を行った。
【0181】
噴霧終了後の時点で、容器8内の空気をインピンジャーで毎分10Lの吸引流量で10分間吸引捕集した。これを0分値とした。イオン発生素子1を作動した場合、イオン発生素子と送風ファンを同時に作動させた。作動開始後、一定時間経過した後に、0分値と同様に容器内空気を100L吸引捕集した。イオン発生濃度は20万個/cm3とした。
【0182】
また、イオン発生素子を作動させない場合(自然減衰値)も、イオン発生素子を作動せずファン4のみ作動させた状態で運転し、経時時間毎に容器内空気を吸引捕集した。
【0183】
また、オゾンとの比較対照実験を行うため、紫外線式オゾン発生装置(OZ51N‐1、セン特殊光源株式会社)を用いて、イオン発生素子から生成されるオゾン量と同量のオゾン生成量1.637mg/h(22℃、17%RH)で試験を行った。
【0184】
インピジャーで容器内空気を吸引捕集した滅菌生理食塩液を試験液とし、これを滅菌生理食塩液を用いて段階希釈を行い、原液及び各希釈液をトリプトソイ寒天培値(BBL)上に塗抹し、35℃、48時間培養を行った。培養後、培地上に発育した集落数を算定し、吸引空気あたりの菌数を表した。
【0185】
図17に示すように、イオンを発生させるとイオン発生素子を動作させない場合と比べ、30分経過後浮遊菌濃度が約10分の1に減少することが確認された。さらに、60分経過後、浮遊菌の検出が見られなくなった。
【0186】
図18に示すように、イオン発生素子では紫外線式オゾン発生装置と比べ、60分経過後、浮遊菌濃度が約10分の1に減少することが確認された。これにより、院内感染の代表的な菌であるスタフィロコッカス菌についても、実施例6で記した作用により、殺菌作用が確認された。
【0187】
[実施例8]
図19はイオン濃度20万個/cm3での気中浮遊バチルス菌濃度の経時変化を示した図である。イオン発生装置は実施例6と同様なものを用いた。図20はイオン発生素子と紫外線式オゾン発生装置での気中浮遊バチルス菌濃度の経時変化を示した図である。
【0188】
イオン発生素子の一定空間中に存在する浮遊バチルス菌の除去効果を検証するため、本試験では、1m3の空間は1m×1m×1mのFRP製容器の両端にアクリル製板を取り付けたものを用いた。この容器内に風量8m3/minの送風ファンの上部空気吹出し口の部分にイオン発生素子を取り付けた。
【0189】
また、噴霧した菌を長時間浮遊させるため、容器の四隅に15cm角の軸流ファン4を風向が上部に行くように4基設置した。この容器8のアクリル製板の部分の一端に菌液噴霧用の注入管15を設け、これを試験装置とした。
【0190】
供試菌は、日抗基胞子形成用培地(日本抗生物質医薬品基準、昭和57年6月30日厚生省告示第117号)に接種し35℃、7日間培養した。この菌を滅菌生理食塩液で洗浄後、65℃、30分間加熱処理し、芽胞形成を顕微鏡で確認した。これを滅菌生理食塩液で洗浄・希釈したものを芽胞液として用いた。
【0191】
供試菌液をガラス製アトマイザーに10ml入れ、試験装置の容器一端に接続した。他端には、滅菌生理食塩液100ml入れたガラス製インピンジャーを接続した。アトマイザーにはエアコンプレッサーからの圧縮空気の吐出圧力は、ゲージ圧で0.48hPaに調節し、噴霧口から供試菌を噴霧した。噴霧量は1.0ml(噴霧流量0.1ml/min×噴霧時間10min)とした。菌液噴霧と同時に軸流ファン4を作動させ、試験終了までの間、連続運転を行った。
【0192】
噴霧終了後の時点で、容器内空気をインピンジャーで毎分10Lの吸引流量で10分間吸引捕集した。これを0分値とした。イオン発生素子作動の場合、イオン発生素子1と送風ファン4を同時に作動させた。作動開始後一定時間経過後に、0分値と同様に容器内空気を100L吸引捕集した。イオン発生濃度は20万個/cm3とした。
【0193】
また、イオン発生素子を作動させない場合(自然減衰値)も、イオン発生素子を作動せずファンのみ作動させた状態で運転し、経時時間毎に容器内空気を吸引捕集した。空間雰囲気は温度25℃、相対湿度60%RHであった。また、イオン発生については温度0℃、相対湿度10%から温度40℃、相対湿度90%の範囲では確認された。
【0194】
オゾンとの比較対照実験を行うため、紫外線式オゾン発生装置(OZ51N‐1、セン特殊光源株式会社)を用いて、イオン発生素子から生成されるオゾン量と同量のオゾン生成量1.637mg/h(22℃、17%RH)で試験を行った。
【0195】
インピジャーで容器内空気を吸引捕集した滅菌生理食塩液を試験液とし、これを滅菌生理食塩液を用いて段階希釈を行い、原液及び各希釈液をトリプトソイ寒天培値(BBL)上に塗抹し、35℃、48時間培養を行った。培養後、培地上に発育した集落数を算定し、吸引空気あたりの菌数を表した。
【0196】
図19に示すように、イオンを発生させるとイオン発生素子を動作させない場合と比べ、30分経過後浮遊菌濃度が約10分の1に減少することが確認された。さらに、120分経過後、浮遊菌の検出が見られなくなった。
【0197】
図20に示すように、イオン発生素子では紫外線式オゾン発生装置と比べ、60分経過後、浮遊菌濃度が約半分に減少することが確認された。これより、耐熱性がある芽胞を形成したバチルス菌についても、実施例6で記した作用により、殺菌作用が確認された。炭疽菌はバチルス菌と同属菌であるため、効果が期待できる。
【0198】
[実施例9]
図21はイオン発生素子を吹出し口風路に配設した空気調節装置の断面図を示す。図22は容積27Lの空間へのイオン噴出量に対しての、60分後の空気中浮遊ウイルスの細胞感染確率を示した図である。図23は容量30m3の空間に正負イオンを1分間で各々540万個/m3供給した場合、空気中のウイルス細胞感染確率の経時変化を示した図である。
【0199】
図22で示した試験では、イオン噴出量による空間中に存在する浮遊インフルエンザウイルスの細胞感染率の低減効果を検証するため、本試験では、27Lの空間は30cm×30cm×30cmの塩化ビニル製容器の両端にウイルス噴霧装置と回収装置を取り付けたものを用いた。この容器内に送風ファン上部の吹出し口の部分にイオン発生素子を取り付けた。また、噴霧したウイルスを長時間浮遊させる目的で、軸流ファンを風向が上部に行くように設置した。
【0200】
インフルエンザウイルス(Influenza virus A(H1N1) A/PR8/34:ATCC VR−95)は、発育鶏卵の奨尿膜膣に接種し、フラン器で培養後、奨尿液を採取し、これを供試ウイルス液とした。供試ウイルス液をガラス製アトマイザーに10ml入れ、試験装置の一端に接続した。他端には、滅菌生理食塩液100ml入れたガラス製インピジャーを接続した。アトマイザーにはエアコンプレッサーからの圧縮空気の吐出圧力は、ゲージ圧で0.48hPaに調節し、噴霧口から供試菌を噴霧した。噴霧量は3.0ml(噴霧流量0.1ml/min×噴霧時間30min)とした。ウイルス液噴霧と同時に軸粒ファンを作動させ、試験終了までの間、連続運転を行った。
【0201】
噴霧終了後の時点で、容器内空気をインピンジャーで毎分10Lの吸引流量で30分間吸引捕集した。これを0分値とした。作動開始後1時間経過後に、0分値と同様に容器内空気を100L吸引捕集した。インピジャーで試験装置内空気を吸引捕集したPBS(−)を試験液とし、インフルエンザウイルスは、MDCK細胞を用いたプラック法で測定を行った。イオン発生素子の入力電圧を調製することにより、イオン噴出量を調整した。
【0202】
正負イオン噴出量各々0個/m3・分の場合の細胞感染確率を100% とした場合、同27万個/m3・分以上で細胞感染確率の急激な低下が確認され、正負イオン噴出量各々27万個/m3・分以上でウイルスの感染能力の低下効果が確認された。
【0203】
さらに住環境で実際に用いられている空間での効果を確認するために、図23で示した試験では、空間容積30m3内に図21で示した空気調節装置60を設け、集塵フィルター64bおよび脱臭フィルター64aは取り外した状態でイオン発生素子65を運転させた場合における空間内の浮遊ウイルスの残存率を示した。
【0204】
ここで、図21に示す空気調節装置60の構成を説明すると、この空気調節装置60は、室内ユニット61の前面に空気吸込み口62が形成され、ユニット61の上面に空気吹出し口63が形成されている。空気吸込み口62には脱臭フィルタ64aと集塵フィルタ64bとが設けられ、また、空気吹出し口63の近傍に、イオン発生素子65およびその高圧電源66からなるイオン発生装置67が設けられている。そして、ユニット内部の送風ファン68により空気吸込み口62から吸込まれた空気は、空気吹出し口63から外部に放出されるが、この際、イオン発生装置67の駆動により、イオン化された空気が放出されるようになっている。
【0205】
上記構成の空気調節装置では、吹き出し風路にイオン発生素子65を配設しており、吸込み口62より吸い込んだ空気が吹出し口63より放出されるとき、該空気中にイオンを含ませて空間内にイオンを放出することができる。これにより、吸い込んだ空気のみにイオンを付加するのでなく、空間内全体にイオンを付加できる。
【0206】
ウイルス濃度測定は図22の試験で行ったのと同仕様である。正負イオン噴出量は1分間で各々540万個/m3供給した。1時間で細胞感染確率は10分の1に低下することがわかった。
【0207】
このように、住環境で実際に用いられる空気調節装置の容積においても空気中のウイルス不活化効果の評価ができることがわかった。
【0208】
空間に送出された正負イオンは空気中に浮遊しているウイルスを取り囲み、ウイルスの表面で正負イオンが化学反応によって活性種である過酸化水素H2O2またはラジカル・OHを生成して、タンパク質を破壊して殺す。このような方法により、効率的に空気中のウイルスを殺菌除去することができる。
【0209】
なお、本実施例では、イオンは正負イオンを両方を示すものであり、イオン濃度についても、各々のイオン濃度がほぼ等しいものとして、その平均値を記している。
【0210】
また、以上の全ての実施例において、粒子放出方法として、レナード効果すなわち、液体を噴射若しくは振動などの作用を生じさせることにより、物理的に分離させ、電荷を帯びた粒子化することにより生成する方法を用いても、本発明の効果を得ることができる。
【0211】
また、粒子としては、正イオン、負イオン、および正負イオンの混合したガスや、以上に述べた以外に、α線、β線などの荷電粒子や、各種プラズマ化したガス粒子、オゾン、ラジカルなどの粒子、薬剤の粒子などを用いる場合も、本発明と同様の効果を得ることができる。
【0212】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、一定の空間中に微生物を浮遊させ、該微生物に対してイオン等の微生物を殺菌処理するための粒子を照射し、その後に微生物を採取して測定することにより前記粒子による微生物に対する殺菌処理の能力を測定し評価できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る微生物除去評価装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る微生物除去評価装置の第2の実施形態を示す概略構成図である。
【図3】実施例1についての測定結果であり、イオン濃度を変化させて殺菌処理した場合に採取された微生物の測定結果である。
【図4】実施例2についての測定結果であり、イオン送出を行った場合とイオン送出を行わなかった場合に採取された微生物の測定結果である。
【図5】実施例2について、採取された微生物を撮影して得られた写真である。図5(a)はイオン送出を行った場合に採取された微生物の写真であり、図5(b)はイオン送出を行わなかった場合に採取された微生物の写真である。
【図6】実施例3についての測定結果であり、容器内を攪拌した場合と攪拌しなかった場合について採取された微生物の測定結果である。
【図7】実施例4についての測定結果であり、イオン送出を行った場合とイオン送出を行わなかった場合に採取された微生物の測定結果である。
【図8】微生物除去評価装置の第3の実施形態及び実施例6を示す概略構成図である。
【図9】浮遊微生物除去評価装置の第4の実施形態を示す概略構成図である。
【図10】浮遊ウイルス除去評価装置の第5の実施形態を示す概略構成図である。
【図11】実施例6のイオン濃度によるインフルエンザウイルスの細胞感染確率を示した図である。
【図12】実施例6のイオン濃度によるコクサッキーウイルスの細胞感染確率を示した図である。
【図13】実施例6のイオン濃度によるポリオウイルスの細胞感染確率を示した図である。
【図14】実施例6のイオン発生素子から生成される正イオンおよび負イオンの質量スペクトルを示した図である。
【図15】実施例6の評価試験フローチャートである。
【図16】実施例7の浮遊病原性細菌除去評価装置の概略図である。
【図17】実施例7のイオン濃度20万個/cm3での気中浮遊スタフィロコッカス菌濃度の経時変化を示した図である。
【図18】実施例7のイオン発生素子と紫外線式オゾン発生装置での気中浮遊スタフィロコッカス菌濃度の経時変化を示した図である。
【図19】実施例8のイオン濃度20万個/cm3での気中浮遊バチルス菌濃度の経時変化を示した図である。
【図20】実施例8のイオン発生素子と紫外線式オゾン発生装置での気中浮遊バチルス菌濃度の経時変化を示した図である。
【図21】実施例9のイオン発生素子を吹出し口風路に配設した空気調節装置の断面図である。
【図22】実施例9のイオン噴出量による空気中浮遊ウイルスの細胞感染確率を示した図である。
【図23】実施例9のイオン噴出による空気中のウイルス細胞感染確率の経時変化を示した図である。
【符号の説明】
1 イオン発生装置
2 イオン発生口
3 微生物採取管
3a 微生物採取口
4 攪拌機
5 微生物注入管
5a 微生物注入口
6 微生物採取器
7 粒子
8 容器
10 微生物除去評価装置
11 微生物噴霧器
12 イオン発生素子
12a イオン発生電極
13 微生物採取管
13a 微生物採取口
15 微生物注入管
15a 微生物注入口
18 容器
20 微生物除去評価装置
31 風洞
35 容器
Claims (26)
- 容器の内部の空間に微生物を供給し、該微生物を殺菌処理するための粒子を照射し、該粒子の照射を行った後に微生物を採取し該採取された微生物の測定を行うことを特徴とする微生物の除去評価方法。
- 前記粒子の照射を行った後に前記微生物の測定を行うとともに、さらに前記粒子を照射して微生物を殺菌処理した場合と同一の条件で微生物を供給して前記粒子を照射することなく微生物を自然減衰させ、その後微生物を採取して該採取された微生物の測定を行うことを特徴とする請求項1に記載の微生物の除去評価方法。
- 上記測定が、前記微生物の濃度測定または活性度の測定であることを特徴とする請求項1又は2に記載の微生物の除去評価方法。
- 前記採取された微生物を測定するにあたり、その粒子の照射時間による経時変化をさらに測定することを特徴とする請求項1又は2に記載の微生物の除去評価方法。
- 前記採取された微生物を測定するにあたり、その除去性能の前記粒子に関する濃度依存性をさらに測定することを特徴とする請求項1又は2に記載の微生物の除去評価方法。
- 前記容器の内部の空間に微生物を供給するにあたり、微生物を分散させた溶液をミスト状にして噴霧して行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の微生物の除去評価方法。
- 前記微生物の評価方法として、微生物による細胞培養、微生物による赤血球凝集反応、または微生物によるアレルギー反応を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の微生物の除去評価方法。
- 前記微生物を殺菌処理するための粒子が、空気中における放電、空気中における放射光照射、およびレナード効果のいずれかにより生成される粒子であることを特徴とする請求項1に記載の微生物の除去評価方法。
- 前記微生物を殺菌処理するための粒子が、放射光、X線、ガンマ線、および電磁波のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の微生物の除去評価方法。
- 前記微生物を殺菌処理するための粒子が、正および/または負のイオンであることを特徴とする請求項1に記載の微生物の除去評価方法。
- 前記微生物を殺菌処理するための粒子が、オゾンまたはラジカルであることを特徴とする請求項1に記載の微生物の除去評価方法。
- 前記微生物を殺菌処理するための粒子が薬剤の粒子であることを特徴とする請求項1に記載の微生物の除去評価方法。
- 前記微生物が、細菌、真菌、ウイルスおよびアレルゲン物質よりなる群から選ばれた一または二以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1または2に記載の微生物の除去評価方法。
- 前記容器の内部の空間に微生物を供給するに際して、前記容器内に供給された微生物に対する下方から容器の内部の空間を攪拌して行うことを特徴とする請求項1または2に記載の微生物の除去評価方法。
- 内部の空間に微生物が供給されるとともに該微生物の殺菌処理を行うための容器と、該容器の内部の空間に微生物を供給する微生物供給手段と、前記容器の内部の空間に微生物を殺菌処理するための粒子を供給する微生物除去手段と、前記微生物除去手段により微生物の殺菌処理を行った後に微生物を採取する微生物採取手段とを備え、前記微生物採取手段により採取された微生物を測定して評価するための微生物除去評価装置。
- 前記微生物供給手段と前記微生物除去手段と前記微生物採取手段とが微生物を含む空気の通路に上流側から下流側に向けて順次配列されたことを特徴とする請求項15に記載の微生物除去評価装置。
- 前記微生物供給手段と前記微生物採取手段との間に微生物を含む空気の通路を形成する風洞が介在され、該風洞の内側に前記微生物除去手段が配置されたことを特徴とする請求項16に記載の微生物除去評価装置。
- 前記微生物除去手段と前記微生物採取手段とが前記微生物供給手段の鉛直下方域外に配置されたことを特徴とする請求項15に記載の微生物除去評価装置。
- 前記容器の外側に、該容器を覆うように別の容器が配置されたことを特徴とする請求項15〜18のいずれかに記載の微生物除去評価装置。
- 前記容器の内部の空間に、該内部の空間を攪拌するための攪拌手段が設けられてなる請求項15〜19のいずれかに記載の微生物除去評価装置。
- 前記微生物供給手段による微生物の供給が、微生物を分散させた溶液をミスト状にして前記容器の内部の空間に噴霧されるように構成される請求項15に記載の微生物除去評価装置。
- 前記微生物を殺菌処理するための粒子が、空気中における放電、空気中における放射光照射、およびレナード効果のいずれかにより生成されるガスを放出されるように構成される請求項15に記載の微生物除去評価装置。
- 前記微生物を殺菌処理するための粒子が、放射光、X線、ガンマ線、および電磁波のいずれかを放出されるように構成される請求項15に記載の微生物除去評価装置。
- 前記微生物除去手段が、微生物を殺菌処理するための粒子として正および/または負のイオンを照射するように構成されてなる請求項15に記載の微生物除去評価装置。
- 前記微生物除去手段が、微生物を殺菌処理するための粒子としてオゾンまたはラジカルを照射するように構成されてなる請求項15に記載の微生物除去評価装置。
- 前記微生物除去手段が、微生物を殺菌処理するための粒子として薬剤の粒子を照射するように構成されてなる請求項15に記載の微生物除去評価装置。
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