JP2007252295A - 微生物不活化効果判定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストで分析業務を行う者にとって作業性が良く、取り扱いが簡便かつ安全な、しかも分析の精度が良好な判定装置を提供する。
【解決手段】インフルエンザウイルスのような微生物を、空気とともに密閉容器内に納めてその内部で微生物の不活化対策の効果を判定するための、温度調節できる密閉容器1と、前記密閉容器1内の相対湿度を調節できる調湿剤2と、温度調節機能付きの温調手段3と、微生物の不活化に寄与すべき表面を有する試験基板4を内部に備え、前記密閉容器の開閉が、前記密閉容器内で調節すべき温湿度とほぼ同じ温湿度雰囲気の空間内で行われる判定装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばインフルエンザウイルス等の微生物の不活化のために好適な物質を探索する場合や新規な物質の用途の探索等に際し、その性能評価を行うための装置に関する。
様々な感染症を起こす原因となる微生物には、細菌、カビ、ウイルスがある。これらの微生物に殺菌・静菌
作用のある物質は、薬剤として販売され、あるいは種々の医療用品や介護用品、さらには例えば空調系内部の特定の表面、たとえばフィルタ濾材の表面に担持の表面に担持されて販売されている。
このような販売に先立ち、殺菌・静菌作用のあると考えられる候補物質の殺菌・静菌効果の程度を測定する
ことが行われる。また分析機関が消費者や研究機関からの依頼により市販の薬剤や新規な物質の性能を試験す
ることもある。
表面の担持物質の微生物に対する殺菌・静菌効果を測定する場合、表面に担持されたこれらの微生物が、一定時間経過後にどのような殺菌・静菌状態になるかを調べて,効果の判定が行われてきた。
ところが、表面に担持物質がないものを比較のために同様に調べると、対照となる表面(コントロール表面)でも、周囲雰囲気,特に温度・湿度の範囲によっては、塗布された微生物に著しい殺菌・静菌効果が見られ,比較の対照となる表面の担持物質の微生物に対する殺菌・静菌効果との差異が見られない場合があった。この原因として担持物質の周囲環境特に温度・湿度の変動があると発明者らは想定した。発明者らは、次の実験でこれを確認した。
フィルタ濾材であるポリオレフィン素材と、同素材に無機系抗菌剤の中でもとりわけ抗菌活性が強い銀粒子を塗布したものを準備した。両者の表面にインフルエンザウイルスA/WSN/TS51溶液を0.001ミリリットル(塗布量)塗布したものを用意し、両サンプルを分析室のクリーンベンチ内に放置してウイルスの失活効果を測定した。両サンプルとも,4個ずつ同じものを準備しておき,放置直後、10分経過後、60分経過後、1000分(約18時間)経過後に1つずつ回収して,ポリオレフィン表面または銀粒子塗布面に付着していたウイルスを培養液に溶かし込み、その後培養液をプラーク法によって分析し,ウイルス個数(PFU値)を測定した。この実験は、分析室の周囲空気をクリーンベンチで浄化して供給する場合(結果を表1に示す)、温湿度制御がされたクリーンルームに放置する場合2例(表2に結果を示す温度25℃・湿度60%と表3に結果を示す温度25℃・湿度40%)で行った。ここで、クリーンベンチやクリーンルームに試料を置いた理由は、微生物を周囲に拡散させないため、および汚染された空気による計測への悪影響を避けようとしたためである。
Figure 2007252295
Figure 2007252295
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クリーンベンチを用いた実験結果の表1では,コントロールと銀粒子担持の両サンプル共に、10分経過後、60分経過後において,ウイルス不活化効果が見られ、1000分(約18時間)後には、コントロールと銀粒子担持共にPFU値はゼロとなった。クリーンベンチの温湿度制御は厳密に行われないため、実験開始から200分経過後までは,温度は25℃から24℃まで低下し,相対湿度は40%から47%まで上昇した。後述するようにウイルス失活に温度や湿度が影響するため,表1のウイルス不活化効果が銀粒子担持によるものか、それとも温度や湿度の変化によるものか明確でない。
一方、クリーンルームを用いた実験結果の表2,3では、温湿度制御は厳密に行われたため、実験開始から1000分経過後までは、温度は25℃、相対湿度は表2では60%、表3では40%の一定値に維持された。コントロールサンプルは、表2の相対湿度60%のウイルス残存率は表3の相対湿度40%のウイルス残存率よりも小さい。さらに銀粒子担持サンプルは、同じ相対湿度条件で比較すると,コントロールサンプルよりも残存率はさらに下がる。コントロールサンプルのウイルス残存率と比較した銀粒子担持サンプルのウイルス残存率の相対値は,相対湿度が60%の方が40%の方よりも著しく小さい。つまり,コントロールサンプルと銀粒子担持のサンプルは共に,ウイルス失活は相対湿度の影響を大きく受け,コントロールサンプルと比較した銀粒子担持サンプルの失活効果の測定は,温湿度一定の雰囲気で行う必要があることを確認した。
以上から、対照となる表面(コントロール表面)と担持物質表面に塗布された微生物の殺菌・静菌効果の比較判定は、両者を温度・湿度の変動ができるだけ少ない雰囲気に配置して行う必要がある。
なお、出願人が微生物の量を計測し評価する発明を調査したところ、容器に微生物を納めて放射線の粒子や薬剤の粒子を照射し、事後の微生物の量を評価するもの(特許文献1)、微生物を近似した種でグループ分けし、その代表種を指標菌として温度・湿度・風速・照度を変えて実験し、こうして作成したデータベースに環境因子を入力して照合し、これにより微生物の付着量を推定するもの(特許文献2)、外気の絶対湿度・気温・水蒸気圧のいずれかが所定基準値以下となったときをインフルエンザ流行状態と判断するもの(特許文献3)が知られている。
特開2004−159508号公報 特開2004−187596号公報 特開2004−270998号公報
発明者が前記実験のために用いたクリーンベンチは高価であり、温湿度調節機能を付加しようとすると一層多額の設備費がかかる。また移設移動は簡単には行えない。そのため分析担当者の作業性が悪くなる。例えば微生物や判定対象物(殺菌・静菌効果が期待される素材や物質、薬剤)を運んだり、周囲の物品や分析担当者自身の放散する熱や湿分の影響が出ないように注意して取り扱う必要がある。一方、前述の特許文献1から3には作業性に係る問題意識はない。特許文献1には容器内に微生物を納める技術が開示されているが、閉鎖された容器とはいえ放射線や殺菌用薬剤を用いるため、取り扱いを誤ると人体への悪影響が懸念される。
本発明では、低コストで分析業務を行う者にとって作業性が良く、取り扱いが簡便かつ安全な、しかも分析の精度が良好な判定装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決すべく請求項1の発明は、微生物を空気とともに密閉容器内に納めてその内部で微生物の不活化対策の効果を判定する装置であって、温度調節できる密閉容器と、前記密閉容器内の相対湿度を調節できる調湿剤と、温度調節機能付きの温調手段と、微生物の不活化に寄与すべき表面を有する試験基板からなる微生物不活化効果判定装置を提供する。
微生物を内部に納める容器は温度調節手段と制御される調湿剤を備え、実験ごとに微生物の生存環境が異なるという事態を回避できる。また微生物の生存に適した温湿度、例えばHarper,G.J:Airborne micro―organisms: survival tests with four viruses, J. Hyg. Camb., 59;479〜486, 1961に記述されているように、インフルエンザウイルスの生存に適した20℃以下,30%RH以下の低温低湿の環境を創出し維持できる。これにより微生物の個数が外乱により減少するなどの現象は無く、判定対象物の有無による比較が正確に行える。また上記のような簡単な構成要素のみから成るので持ち運びが容易で、実験の場所や時に制約がない。さらに人体に有害な可能性を持つものは試験材料である微生物のみで、これを密閉容器に納めることで、健康に対する危険性を低減している。なお、試験基板は不活化に寄与すると考えられる素材そのものの断片でもよいし、効果の見込める薬剤が少なくとも一つの面に塗布や接着されていてもよい。形状は正確な板状態でなくとも、面積に比べて厚みが目立つものであってもよい。相対湿度を調節できる調湿剤は、例えば微生物の生育に適した相対湿度に合わせあらかじめ用意されるものである。
インフルエンザウイルスは前述した低温低湿が生存に適しているが,夏カゼの原因とされるアデノウイルスやコクサッキーウイルス,さらにはカビなどではインフルエンザウイルスとは逆に20℃以上,30%RH以上の高温高湿の環境が適しており,それらの温湿度条件に応じて調湿剤を選択することができる。
なお、本明細書における「微生物」とは、細菌(原核細胞)とカビ、酵母(真核細胞)からなる「菌類」(単細胞生物)、およびウイルスを指す。
さらに請求項2の発明は、上記構成に加えさらに、前記表面を有さない対照となる基板を付け加えたことを特徴とする。
この構成により、判定対象物の有無による微生物量を、それらがある場合とない場合同時に測定でき、差異の比較分析作業の能率がよい。
さらに請求項3の発明は、上記請求項1または2の構成に加え、前記密閉容器の開閉が、前記密閉容器内で調節すべき温湿度とほぼ同じ温湿度雰囲気の空間内で行われることを特徴とする。
この構成により、例えば蓋をあけたときの異種空気の混合とそれによる微生物の生存環境の変動を防止できる。密閉容器の内側と外側をほぼ同じ温湿度、例えば摂氏温度または相対湿度がそれぞれ10%以内の誤差に納まるように外側の空気環境を制御する。
請求項4の発明は、上記請求項1から3のいずれかの構成に加え、不活化対策の効果を判定したい微生物の種類がインフルエンザウイルスであることを特徴とする。
この構成により、健康増進法(ビル管理法)で管理対象となっているインフルエンザウイルスの失活に寄与できる物質の探索と特定に貢献でき、トリインフルエンザ等新種のウイルスに速やかに対策を施せることになる。
請求項5の発明は、上記請求項1から4のいずれかの構成に加え、前記密閉容器内雰囲気の温度と湿度をモニタリングして数値データとして外部に表示または取り出せる機能を有する温湿度センサを前記密閉容器の内部に備えたことを特徴とする。
この構成によれば、容器内の温湿度の状態をリアルタイムで目視でき、あるいは取り出したデータをパソコン等で処理できる。また例えば、容器外の空気環境を容器内のそれに近づけて制御することが容易である。
請求項6の発明は、上記請求項1から5のいずれかの構成に加え、前記調湿剤が、ケイ酸シリカと酸化アルミニウムを主な化学組成とする無機鉱物であることことを特徴とする。
この構成の無機鉱物はいわば呼吸をするかのように水分の吸着と放出を繰り返している。その程度により管理したい相対湿度に閉鎖空間を維持するために選定される。既往の使用例としては、博物館や美術館の収蔵庫では、無機鉱物であるシリカとアルミナの混合物からなる調湿剤が、庫内を収蔵品の種類ごとに異なる最適保存の相対湿度に維持するために設置されている。
請求項7の発明は、上記請求項6の構成において、前記無機鉱物に主として活性白土が含まれて入ることを特徴とする。
活性白土は調湿剤として選択の幅が広く、対象とする相対湿度が20%から80%の範囲で5%きざみで商品化されている。特にかびのような、高湿環境で繁殖状態が良好となる微生物に対する不活試験に用いれば、好適に非判定物と対照(このトロール)との差異を明瞭に判別することができる。
本発明の効果は、低コストで分析業務を行う者にとって作業性が良く、取り扱いが簡便かつ安全な、しかも分析の精度が良好な判定装置を提供することである。
図1に本発明に係るシステム1の構成例を示す。主要な構成要素として密閉容器1と調湿剤2と温度調節機能付きの温調手段3、本例ではサーモスタット付きヒータと、試験基板4を備える。もっとも、温調手段3としては,冷却機能を有するペルチェ素子のようなものを採用してもよい。調湿剤2としてはシリカ,アルミナ,シリカアルミナ混合鉱物,ゼオライト,活性白土などが採用できるが、本例では日本活性白土株式会社商品名「ニッカペレットOK−1」の活性白土を用いている。すなわち上述の素材はいずれも調湿できる相対湿度を、細孔径や細孔容積,シリカ/アルミナ比による疎水度(シリカの比率が高いほど疎水性が高い)を変えて,任意に設定できるが、特に活性白土が、設定相対湿度への到達時間が分単位と短いためである。試験基板4は、判定対象物が殺菌・静菌作用のあると考えられる候補物質をそのままで、あるいは試験片に塗布、含浸、接着、はめ込み等して構成されるが、本例では前述と同様フィルタ濾材であるポリオレフィンを平面板に加工したものに候補物質を担持させている。この担持物質は試験に付したい物質であり、例えば光触媒,酵素,金属イオンを主成分とすることがあり、本例では銀粒子が担持されている。
密閉容器1は蓋1aが備えられ、これを開くことで試験対象の微生物を空気と共に導入することが可能である。蓋1aはこの場合上蓋であり回転式、引戸式、取り外し式等が採用できるがここではヒンジを介した回転式である。さらにコントロールとして前述と同様ポリオレフィン素材からなる基板(ただし銀粒子を担持させていない)4’を、前記試験基板4とは別に密閉容器1内に載置している。ここで、温調手段3(サーモスタット付きヒータ3)は、せいぜい外形が高さ1cm、幅と奥行きが3cm×3cmであり、密閉容器は高さ1.5cm、幅と奥行き10cm×10cmで構成でき持ち運びと取り扱いが極めて容易である。また構成要素は微生物を除き安全無害なもので、器内に導かれた微生物も蓋1aを閉止することで周囲に飛散することが無い。
前述の実施形態による銀粒子担持ポリオレフィン素材のインフルエンザウイルスA/WSN/TS51の失活効果測定結果を表4,5に示す。実験は前述と同様溶液を0.001ccだけ塗布し、複数個用意した各サンプルを所定時間経過後に1つづつ取り出し、基板に付着していたウイルスを培養液に溶かし込み、その後培養液をプラーク法によって分析し,ウイルス個数(PFU値)を測定する方法で行った。表4は表2と、表5は表3と同様の結果を示し、本発明による密閉容器が、精密に温湿度調節された室内清浄度を管理されたクリーンルームと同様の性能を確保することが確認された。
Figure 2007252295
Figure 2007252295
クリーンベンチを用いた従来例の実験結果の表1では、温湿度制御は厳密に行われないため、ウイルス失活に温度や湿度が影響すると,表1のウイルス不活化効果が銀粒子担持によるものか、それとも温度や湿度の変化によるものか明確でなかった。相対湿度を一定に保つには、例えば日本活性白土株式会社の活性白土調湿剤(商品名;ニッカペレットOK−1)が利用できるがこれに限らず前述のように細孔径や細孔容積,シリカ/アルミナ比による疎水度を変えて設計すれば所望の調湿剤が得られる。また、カビのような多湿環境を好む微生物に対する殺静菌・抗菌手段の対策には、逆に容器内環境を高湿に保持できるよう調湿剤を調製することになる。このような高湿仕様の調湿剤ははじめに湿分を含んでおりこれを放出して周囲が所定湿度になった後安定して吸湿と放湿を続ける。
前述の実施形態では、微生物を容器外から容器内に持ち込む必要があった。第2の実施形態として、密閉容器を必要に応じ二重にして微生物液を容器内にあらかじめ納めておき容器内で操作する例を示す。この形態ではシャーレ5が密閉容器1内に納められている。また密閉容器1はガラスやポリカーボネイト等の透明素材で構成され、その壁部にはグローブボックスのように手袋7がその手先が器内にむけて設けられ、容器壁部の手袋の開口部分は気密に構成されている。またシャーレ底部には前述と同様の調湿剤2’が設けられている。そして前述同様の微生物液が不図示の蓋付きの壜に、蓋をされて密閉容器1内に納められている。
このように構成された密閉容器1は、試験の際には次のように使用される。調湿剤はあらかじめ設定した湿度に対応したものを設計してシャーレ底部に敷いておく。まず、ヒータを稼動し所定の温度(と湿度)になったのを確認する。この確認は無線式温湿度センサ6により行う。この温湿度センサ6は図示では蓋付きのプラスチックシャーレ内に置かれており、このセンサを納めてもシャーレ5は直径14cm,深さ2cmの円形のシャーレとすることができる。
次に、密閉容器1の蓋1aをあけて試験基板4とコントロール4’をシャーレ5に入れ、蓋1aを閉める。次いで微生物液の入った壜の蓋をあけて試験基板に塗布してシャーレ5に戻し前記壜の蓋を閉める。
あとは所定時間経過後に容器1の蓋1aをあけてサンプル(試験基板4とコントロール4’のセット)を1組ごと取り出せばよい。これにより微生物に触れる機会を低減できる。また、周囲空気との接触機会を減らそうとすればシャーレ5にも蓋を取り付け気密シャーレとすることもできる。シャーレや前記手袋、無線式データロガー式温湿度センサ6を内部に収容しても、密閉容器の外形寸法は直径50cm、高さ30cm程度で、依然として可搬性、取り扱いの簡便性を失わない。
本発明者らはさらに、本発明の実施に好適な調湿剤として活性白土に着目し、その立ち上がり特性を試験した。試験は、前述の日本活性白土株式会社の活性白土調湿剤を用い、対象となる湿度が40%RH・60%RH・70%RH・80%RHの4通り(図2)、同10%RH・20%RH・30%RH・45%RH・50%RH(図3)の5通りの2回行った。
図2では、容器1内の温度は20℃+−0.5℃に制御され、14cm直径のシャーレ内に60%、40%、70%、80%の相対湿度に対応する4種の吸着剤をそれぞれ70gずつ順次入れ替えていき、シャーレ内の温度と湿度の変化を同時に測定できる無線式データロガー付センサで測定した結果である。
相対湿度60%用の吸着剤を入れた場合、○で示したように,17分間を要して相対湿度は54%から59%に変化して安定化した。40%用では,□で示したように、23分間を要して相対湿度は54%から36%に変化して安定化した。70%用では,△で示したように、20分間を要して相対湿度は56%から68%に変化して安定化した。ところが,80%用では◇で示したように、94分間かかって58%から80%に変化して安定化した。これは,初期の相対湿度が目標値の80%と比較して22%も低い58%に設定されていたためと考えられる。
図3は、容器1内の温度は25℃±1.0℃に制御され,14cm直径のシャーレ内に10%、20%、30%、45%、50%の相対湿度に対応する5種の吸着剤をそれぞれ70gずつ順次入れ替えていき、シャーレ内の温度と湿度の変化を同時に測定できる無線式データロガー付センサで測定した結果である。
相対湿度10%用の吸着剤を入れた場合,○で示したように,初期の相対湿度が目標値の10%と比較して33%も高い43%に設定されていたためか、相対湿度は43.2%から11%に変化するのに42分間かけて安定化した。30%用では,□で示したように、10分間で相対湿度は32%から29%に変化して安定化した。50%用では,△で示したように、16分間で相対湿度は53%から52%に変化して安定化した。80%用では、◇で示したように、23分間かけて50%から48%に変化して安定化した。20%用では、*で示したように、初期の相対湿度が目標値の20%と比較して29%も高い49%に設定されていたためか、49%から20%に変化して安定化するのに63分間要した。45%では、×で示したように,10分間で46%から45%に変化して安定化した。
図2、図3いずれも周囲雰囲気と安定化湿度の差が少ないほど、シャーレに閉じ込めてから安定化湿度まで到達する時間は短くて済む。一方、周囲雰囲気と安定化湿度の差が大きいほど、シャーレに閉じ込めてから安定化湿度まで到達する時間は長くかかる。具体的には図2の80%用の94分間、図3の10%用の42分間、20%用の63分間である。
吸着剤の安定する制御湿度の±10%RH程度に周囲雰囲気湿度をあらかじめ調整しておけば、シャーレを封止したあとの制御湿度に到達するまで数分で済む。制御湿度と周囲湿度の差が大きいと、到達に比較的長時間を要する。
なお、吸着剤をシャーレに入れて安定化湿度に達するまでの間、吸着剤が水分を吸着・放出する際に吸着熱も出入りする。このため、図2、3の密閉シャーレ内の温度が数℃の範囲で急上昇と急降下が起きた。
そこで、制御湿度と周囲湿度の差を小さくするためには周囲雰囲気の温湿度と密閉容器内の温湿度の差を小さくすれば良い。そのためには、次のような手段を用いる。
第1の実施形態、つまり密閉容器1が1重でその中に基板・コントロール・ヒータ・調湿剤が納められる場合には密閉容器1内部の環境に密閉容器外の環境を合わせる。具体的には前述の無線式データロガー式温湿度センサ6による検出値に合わせ、またはセンサ6の検出値によらずあらかじめ設定した温湿度に密閉容器1の温湿度を調整しつつ、密閉容器1が納められる部屋の温湿度を、その系統の空調機の熱交換器や加湿器を操作して密閉容器1内の環境に合わせる。またはその部屋の給気口と排気口を目貼りしてヒータや加湿器、除湿器を操作しても良い。
第2の実施形態、つまり密閉容器内にシャーレ5を納める形態では、シャーレ5を密閉式にすればよい。このような構成ではシャーレ5が「密閉容器」に、密閉容器1が周囲空間に相当する。この場合、図1のように密閉容器1とシャーレ5の底部に調湿剤2と調湿剤2’がそれぞれ敷かれ、加熱手段としてのヒータ3が共用されて、判定対象物の内外で環境がほぼ同一となる。なお、シャーレ内の温度は容器1内でシャーレ5外のヒータ3からの間接伝熱となるが密閉容器1内の寸法は前述のとおり小さいため、立ち上がり時間に悪影響は無い。あるいは、シャーレ5を多少隙間をあけた半密閉とすれば一層立ち上がり応答性は良好になる。
本発明は、評価または分析を業とする企業、大学や研究教育機関、企業の研究開発部門等において、微生物不活化のために採用しようとする素材、材料の効果の程度を判定することに利用することができる。
本発明を適用した判定装置の1例を示す説明図である。 本発明の調湿剤としての活性白土の立ち上がり特性を実験した結果を示す図である。 本発明の調湿剤としての活性白土の立ち上がり特性を実験した第2の結果を示す図である。
符号の説明
1 密閉容器
2 調湿剤
3 温度調節機能付きの温調手段
4 試験基板
5 シャーレ

Claims (7)

  1. 微生物を空気とともに密閉容器内に納めてその内部で微生物の不活化対策の効果を判定する装置であって、温度調節できる密閉容器と、前記密閉容器内の相対湿度を調節できる調湿剤と、温度調節機能付きの温調手段と、微生物の不活化に寄与すべき表面を有する試験基板からなる微生物不活化効果判定装置。
  2. さらに、前記表面を有さない対照となる基板を付け加えたことを特徴とする請求項1の微生物不活化効果判定装置。
  3. 前記密閉容器の開閉が、前記密閉容器内で調節すべき温湿度とほぼ同じ温湿度雰囲気の空間内で行われることを特徴とする請求項1,2の微生物不活化効果判定装置
  4. 不活化対策の効果を判定したい微生物の種類がインフルエンザウイルスであることを特徴とする請求項1,2,3の微生物不活化効果判定装置。
  5. 前記密閉容器内雰囲気の温度と湿度をモニタリングして数値データとして外部に表示または取り出せる機能を有する温湿度センサを前記密閉容器の内部に備えたことを特徴とする請求項1,2,3の微生物不活化効果判定装置。
  6. 前記調湿剤が、ケイ酸と酸化アルミニウムを主な化学組成とする無機鉱物であることを特徴とする請求項1,2,3,4,5の微生物不活化効果判定装置。
  7. 前記無機鉱物の主成分が活性白土であることを特徴とする請求項6の微生物不活化効果判定装置。
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