JP2004158526A - ディスクリート素子用基板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体ウエハの両表面に高濃度不純物拡散層を形成する工程と、前記ウエハを厚さ半分の位置で切断し、該切断面を研削および鏡面加工する工程と、前記鏡面加工面に低濃度不純物拡散層を形成する工程とを備えている製造方法を用いて、低濃度不純物半導体ウエハの両面に、不純物が拡散された基板であって、片面が高濃度不純物拡散層、他面が低濃度不純物拡散層である2層構造からなるディスクリート素子用基板を得る。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等のディスクリート(個別)素子用基板およびその製造方法に関し、より詳細には、高濃度不純物拡散層および低濃度不純物拡散層の2層構造からなるディスクリート素子用基板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体は、IC(集積回路)と、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等のディスクリート素子とに大別される。
いずれも、主に、シリコン単結晶ウエハを基板材料として製造されるが、ICの場合には、その作業領域は基板の極表面に限られるのに対して、ディスクリート素子の場合には、その基板自体の構造が、該素子の特性に大きな影響を及ぼす点で相違する。このため、ICおよびディスクリート素子に用いられる基板は、通常、それぞれ異なる方法により製造される。
【0003】
前記ディスクリート素子用基板としては、不純物が拡散された半導体ウエハ、いわゆる拡散ウエハが、多く用いられている。その不純物濃度は、比抵抗を決定する要素であり、ディスクリート素子の用途、要求される特性等に応じて精密に調整される。
【0004】
ディスクリート素子用基板(拡散ウエハ)は、従来は、特許文献1または2に記載されたような方法により製造されていた。従来の拡散ウエハの製造工程を具体的に図3に示す。
まず、リン(P)ドープN型シリコン単結晶ウエハ5(図3(a))に、その両面から、不純物としてリンをより高濃度で拡散させた後、該ウエハを厚さ半分の位置で切断し、2枚のウエハとする(図3(b))。
次に、切断面を研削加工した後(図3(c))、さらに、鏡面加工を施して、N型拡散ウエハに仕上げる(図3(d))。
なお、図3においては、リンドープN型拡散ウエハについて示したが、ヒ素(As)もしくはその他の不純物ドープの場合、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)等をドープしたP型拡散ウエハの場合も、同様の工程により製造される。
【0005】
上記のように製造された拡散ウエハは、ディスクリート素子、例えば、図4に示すようなトランジスタに適用される。
図4に示すトランジスタは、前記N型拡散ウエハの高濃度不純物拡散層(コレクタ)4および、前記N型拡散ウエハの低濃度不純物拡散層5に、さらに形成されたPN接合、すなわち、P型拡散層(ベース)6およびN型高濃度不純物拡散層(エミッタ)7により構成されている。
【0006】
図4に示したようなトランジスタ等のディスクリート素子においては、低濃度不純物拡散層5の抵抗特性が、該素子の諸特性にとって重要な要素であり、特に、基板の面内比抵抗の均一性が重要である。すなわち、素子形成層における面内比抵抗のバラツキは10%以下とすることが求められていた。
【0007】
これに対しては、例えば、N型拡散ウエハ製造の際、中性子を照射することによって、抵抗均一性に優れたシリコン単結晶が得られることが知られており、該シリコン単結晶の製造方法によれば、中性子照射後の面内比抵抗のバラツキは、5%程度となる。
【0008】
しかしながら、中性子照射を行うためには、原子炉が必要であり、長い照射時間を必要とする低抵抗シリコン単結晶は、製造コストが非常に高くなり、また、残留放射能の影響も大きく、実用化に際しては大きな課題を有していた。
したがって、中性子照射により、比抵抗20Ω・cm以下のシリコン単結晶を製造することは、実際上、困難であった。
【0009】
そこで、約20Ω・cm以下の比抵抗が要求されるディスクリート素子に用いられるシリコン単結晶には、前記中性子照射されたシリコン単結晶の代わりに、チョクラルスキー(CZ)法またはフロートゾーン(FZ)法により得られたシリコン単結晶を用いることが求められた。
【0010】
【特許文献1】
特許第2832184号公報
【特許文献2】
特開平1−293613号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記CZ法は、石英るつぼ中のシリコン原料融液に種結晶を浸して、回転させながらシリコン単結晶を成長させて、引上げる方法であるが、この方法は、不純物の偏析現象により、比抵抗分布が引上げ方向に沿って変化するため、求められる比抵抗を有する部分を得るためには、製造コストが高いものとなっていた。
特に、ディスクリート素子用のシリコン単結晶の規格比抵抗は、許容範囲が非常に狭く、従来のディスクリート素子用基板の製造方法で、基板材料として用いることができるシリコン単結晶の収率も非常に低いものであった。例えば、規格比抵抗8〜12Ω・cmのN型シリコン単結晶の場合には、原料のシリコン融液に対して高々40%程度の収率でしか得ることができなかった。
しかも、ウエハの面内比抵抗のバラツキは5〜10%であり、中性子照射の場合は約5%であるのと比較して、均一性に劣るものであった。
【0012】
一方、FZ法は、表面張力により支えられた溶融帯を上方に移動させて、単結晶を成長させる方法であり、CZ法と比較して、製造コストも低く、結晶成長時の軸方向における比抵抗の均一性には優れているが、結晶径方向、すなわち、ウエハの面内比抵抗の均一性に劣っている。これも、CZ法の場合と同様に、不純物の偏析現象に起因するものである。
最近のFZ法の技術進歩により、ウエハの面内比抵抗のバラツキは12%近くにまで抑制されたが、それでもなお、中性子照射の場合と比較して約倍と劣るものであった。
【0013】
近年、ディスクリート素子に要求される抵抗特性等の規格は、ますます厳しくなってきており、その基板材料としては、従来のCZ法およびFZ法により製造されたシリコン単結晶では、要求に応じることができるディスクリート素子用基板の製造は困難な状況となってきた。
【0014】
上記のように、ディスクリート素子用基板には、より厳格かつ均一性に優れた抵抗特性が要求されるようになってきたが、基板材料となるシリコン単結晶の製造の観点からは、コスト面、実用面等において、限界に達していた。
【0015】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、シリコン単結晶ウエハからディスクリート素子用基板を製造する工程自体に着目し、基板の面内比抵抗の均一性に優れており、ディスクリート素子の諸特性および歩留の向上を図ることができるディスクリート素子用基板を提供することを目的とするものである。
また、前記ディスクリート素子用基板を、効率的に、かつ、低コストで得ることができる製造方法を提供することも目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るディスクリート素子用基板は、低濃度不純物半導体ウエハの両面に、不純物が拡散された基板であって、片面が高濃度不純物拡散層、他面が低濃度不純物拡散層である2層構造からなることを特徴とする。
このように、低濃度不純物半導体ウエハの両面のそれぞれに、異なる濃度の不純物拡散層、すなわち、高濃度不純物拡散層と、前記ディスクリート素子に要求される比抵抗となるように制御された低濃度不純物拡散層との2層を形成することにより、ディスクリート素子の諸特性および歩留の向上を図ることができる。
【0017】
前記ディスクリート素子用基板は、前記低濃度不純物拡散層の面内比抵抗のバラツキが10%以下であることが好ましい。
ディスクリート素子の諸特性および歩留の向上の観点から、上記のように、素子形成層である低濃度不純物拡散層の面内比抵抗の均一性に優れたものであることが好ましい。
【0018】
前記ディスクリート素子用基板においては、前記低濃度不純物拡散層の表面比抵抗が20Ω・cm以下であることが好ましい。
このような表面比抵抗を有するディスクリート基板は、中性子照射による方法では得ることが困難であるのに対して、上記本発明に係るディスクリート基板は、コスト、品質において、より優れた効果を奏するものである。
【0019】
本発明に係るディスクリート素子用基板の製造方法は、半導体ウエハの片面が高濃度不純物拡散層、他面が低濃度不純物拡散層である2層構造からなるディスクリート素子用基板の製造方法において、半導体ウエハの両表面に高濃度不純物拡散層を形成する工程と、前記ウエハを厚さ半分の位置で切断し、該切断面を研削および鏡面加工する工程と、前記鏡面加工面に低濃度不純物拡散層を形成する工程とを備えていることを特徴とする。
上記製造方法によれば、面内比抵抗の均一性に優れた素子形成層を備えたディスクリート素子用基板を、効率的に、かつ、低コストで得ることができる。
【0020】
また、本発明に係るディスクリート素子用基板の製造方法は、半導体ウエハの片面が高濃度不純物拡散層、他面が低濃度不純物拡散層である2層構造からなるディスクリート素子用基板の製造方法において、前記ウエハの両面に、異なる濃度で不純物を導入した後、前記不純物を厚さ方向に同時に拡散させることにより、高濃度不純物拡散層および低濃度不純物拡散層を形成させることを特徴とする。
このように、低濃度不純物拡散層および高濃度不純物拡散層を、高温拡散等により同時に形成することにより、製造工程の簡略化、効率化を図ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明に係るディスクリート素子用基板は、低濃度不純物半導体ウエハの両面に、不純物が拡散された基板であって、片面が高濃度不純物拡散層、他面が低濃度不純物拡散層である2層構造からなることを特徴とするものである。
すなわち、ディスクリート素子に要求される比抵抗よりも高抵抗の半導体ウエハに、高濃度不純物拡散層と、前記ディスクリート素子に要求される比抵抗となるように制御された低濃度不純物拡散層との2層の拡散層が形成されているものである。
【0022】
前記ディスクリート素子用基板においては、前記低濃度不純物拡散層の面内比抵抗のバラツキが10%以下であることが好ましい。
ディスクリート素子は、低濃度不純物拡散層側に形成され、比抵抗は、拡散不純物量により制御されることから、ディスクリート素子の諸特性および歩留の向上の観点から、上記のように、該低濃度不純物拡散層の面内比抵抗は、均一性に優れたものであること、すなわち、バラツキが10%以下であることが好ましい。
【0023】
また、前記低濃度不純物拡散層の表面比抵抗は、上述した中性子照射による方法によっては、20Ω・cm以下のものを得ることは困難であるが、本発明に係るディスクリート基板は、コスト、品質において、より優れた効果が得られるものであり、その表面比抵抗は20Ω・cm以下であることが好ましい。
【0024】
なお、本発明において用いられる前記低濃度不純物半導体ウエハは、その半導体単結晶の製造方法については、特に限定されないが、単結晶育成時に、より高抵抗の半導体単結晶が得られることが好ましく、例えば、磁場印加チョクラルスキー(MCZ)法により製造されたものが好適である。
【0025】
上記のような本発明に係るディスクリート素子用基板は、本発明に係る製造方法により、効率的に、かつ、低コストで得ることができる。
本発明に係るディスクリート素子用基板は、半導体ウエハの片面が高濃度不純物拡散層、他面が低濃度不純物拡散層である2層構造からなるディスクリート素子用基板の製造方法において、半導体ウエハの両表面に高濃度不純物拡散層を形成する工程と、前記ウエハを厚さ半分の位置で切断し、該切断面を研削および鏡面加工する工程と、前記鏡面加工面に低濃度不純物拡散層を形成する工程とを備えていることを特徴とするものである。
上記のように、ディスクリート素子は、低濃度不純物拡散層側に形成され、その不純物拡散濃度により、比抵抗が変動する。本発明においては、切断により露出した非拡散層側に、新たに低濃度不純物を導入して拡散層を形成することにより、基板材料である単結晶成長時の偏析現象の影響を受けることなく、面内比抵抗の均一性に優れた素子形成層を得ることができる。
【0026】
また、基板材料としては、従来は、予め素子形成面に要求される比抵抗となるように不純物をドープした高価なシリコン単結晶を用いていたが、本発明においては、比抵抗の調整を後工程で行うことができるため、基板材料の比抵抗値は、前記低濃度不純物拡散層に求められる比抵抗値の約10倍以上であれば十分である。このため、従来のような高価なシリコン単結晶を用いる必要はなく、原料コストの削減を図ることもできる。
例えば、従来のCZ法により製造されたシリコン単結晶を基板材料とした場合と比較して、約10%のコスト削減が可能となり、また、FZ法により製造されたシリコン単結晶を基板材料とした場合と比較して、低濃度不純物拡散層の面内比抵抗は約1/2のバラツキとすることができる。
【0027】
なお、前記シリコン単結晶の比抵抗値は、上記のように、形成される低濃度不純物拡散層に要求される面内比抵抗値の約10倍以上であることが好ましいが、該低濃度不純物拡散層の面内比抵抗のバラツキが10%以下となるのであれば、低濃度不純物拡散層に要求される面内比抵抗値の5倍程度でも十分である。
例えば、比抵抗10Ω・cmの低濃度不純物拡散層を形成する場合、ウエハの面内比抵抗50Ω・cm、バラツキ20%のシリコン単結晶ウエハを用いたとしても、本発明に係る製造方法によれば、拡散層形成後の面内比抵抗のバラツキは2〜3%程度となり、面内比抵抗の均一性に優れたディスクリート素子用基板が得られる。
【0028】
具体的には、図1に示すような製造工程を経て、本発明に係るディスクリート素子用基板を製造することができる。
例えば、MCZ法により製造されたシリコン単結晶ウエハ1(図1(a))を、酸素、窒素およびPOCl3雰囲気下、1000〜1500℃程度で熱処理して、ウエハの両面に、高濃度の不純物(リン)含有層2’を形成する(図1(b))。
次に、前記ウエハ両面に生成したリンガラスを除去した後、Ar雰囲気下、1000〜1500℃程度で、数日〜数週間熱処理し、厚さ数十〜数百μmの高濃度不純物(リン)拡散層2を形成する(図1(c))。
このウエハを厚さ1/2の位置で切断し、切断面を研削後、鏡面加工した後(図1(d))、該鏡面加工面側から、イオン注入Iにより、所定濃度の不純物(リン)を導入する(図1(e))。
この不純物(リン)を導入したウエハを、酸素/Ar混合雰囲気下、1000〜1500℃で熱処理し、所定厚さの低濃度不純物(リン)拡散層3を形成することにより、ディスクリート素子用基板が得られる(図1(f))。
【0029】
また、本発明に係るディスクリート素子用基板の製造方法は、半導体ウエハの両面に、異なる濃度で不純物を導入した後、前記不純物を厚さ方向に同時に拡散させて、高濃度不純物拡散層および低濃度不純物拡散層を形成させることにより、上記のような2層構造からなるディスクリート素子用基板を得るものである。このように、低濃度不純物拡散層および高濃度不純物拡散層を、高温拡散等により同時に形成することにより、長時間を要する拡散工程を短縮化することができ、製造工程の簡略化、効率化を図ることができる。
【0030】
具体的には、図2に示すような製造工程を経て、本発明に係るディスクリート素子用基板を製造することができる。
まず、上記図1に示した製造工程と同様にして、シリコン単結晶ウエハ1(図2(a))の両面に、高濃度の不純物(リン)含有層2’を形成する(図2(b))。
次に、前記ウエハ両面に生成したリンガラスを除去した後、このウエハを厚さ1/2の位置で切断し、切断面を研削後、鏡面加工する(図2(c))。
そして、前記鏡面加工面側から、イオン注入Iにより、所定濃度の不純物(リン)を導入する(図2(d))。
このウエハを、酸素/Ar混合雰囲気下、1000〜1500℃程度で、数日〜数週間熱処理し、リンをウエハ両面から同時に拡散させ、鏡面加工面側に所定濃度の低濃度不純物(リン)拡散層3、裏面側に高濃度不純物(リン)拡散層2を形成することにより、ディスクリート素子用基板が得られる(図2(e))。
【0031】
本発明においては、低濃度不純物拡散層を形成する際の不純物の導入方法は、不純物が均等に導入され、基板の面内比抵抗のバラツキを小さくすることができれば、特に制限されるものではないが、例えば、イオン注入法が好適である。
また、不純物の導入または拡散工程においては、シリコン単結晶ウエハの表面は、シリコンが露出した状態であっても差し支えないが、表面にシリコン酸化膜等の保護膜を形成しておいてもよい。
【0032】
また、不純物拡散層を形成するために導入される不純物としては、通常用いられるドーパントを用いることができる。ディスクリート素子用基板を、N型拡散ウエハとして得る場合には、例えば、リン(P)、ヒ素(As)等をドーパントとし、また、P型拡散ウエハとして得る場合には、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)等をドーパントとして用いることができる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
図1に示すような製造工程で、ディスクリート素子用基板を作製した。
まず、MCZ法により製造された口径125mm、比抵抗約1000Ω・cm、厚さ1.1mmの高抵抗シリコン単結晶ウエハ1(図1(a))を、酸素、窒素およびPOCl3を導入した電気炉内で、1200℃で180分間処理して、ウエハの両面に、高濃度の不純物(リン)含有層2’を形成した(図1(b))。
次に、前記ウエハ両面に生成したリンガラスを除去した後、Ar雰囲気下、1290℃で、300時間熱処理し、厚さ220μmの高濃度不純物(リン)拡散層2を形成した(図1(c))。
このウエハを厚さ1/2の位置で切断し、切断面を研削後、鏡面加工した(図1(d))。このときのリン非拡散層(P型シリコン単結晶)1は、厚さ40μmであった。
次に、前記鏡面加工面側から、加速電圧60keV、2.5×1012atoms/cm3で、リンのイオン注入Iを行った(図1(e))。
このウエハを、酸素/Ar混合雰囲気下、1290℃で15時間熱処理し、低濃度不純物(リン)拡散層3を形成した(図1(f))。このときの低濃度不純物(リン)拡散層3の表面比抵抗は10Ω・cm、面内比抵抗のバラツキは5%であった。
【0034】
[実施例2]
図2に示すような製造工程で、ディスクリート素子用基板を作製した。
まず、実施例1と同様にして、高抵抗シリコン単結晶ウエハ1(図2(a))の両面に、高濃度の不純物(リン)含有層2’を形成した(図2(b))。
次に、前記ウエハ両面に生成したリンガラスを除去した後、このウエハを厚さ1/2の位置で切断し、切断面を研削後、鏡面加工した(図2(c))。
そして、前記鏡面加工面側から、加速電圧60keV、1×1012atoms/cm3でリンのイオン注入Iを行った(図2(d))。
このウエハを、酸素/Ar混合雰囲気下、1290℃で300時間熱処理し、リンをウエハ両面から同時に拡散させ、鏡面加工面側に低濃度不純物(リン)拡散層3、裏面側に高濃度不純物(リン)拡散層2を形成した(図2(e))。このときの低濃度不純物(リン)拡散層3の表面比抵抗は10Ω・cm、面内比抵抗のバラツキは5%であった。
【0035】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係るディスクリート素子用基板を用いれば、素子形成面の面内比抵抗の均一性に優れていることから、例えば、電流増幅率のバラツキを抑制することができ、ディスクリート素子の諸特性および歩留の向上に寄与することができる。
また、本発明に係る製造方法によれば、比抵抗20Ω・cm以下の素子形成層が必要とされる従来高価であったディスクリート素子用基板を、効率的に、かつ、低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るディスクリート素子用基板の製造工程の一例を説明するための概略図である。
【図2】本発明に係るディスクリート素子用基板の製造工程の他の態様を説明するための概略図である。
【図3】従来の拡散ウエハの製造工程を説明するための概略図である。
【図4】拡散ウエハを用いたトランジスタの一例の模式図である。
【符号の説明】
1 シリコン単結晶ウエハ
2 高濃度不純物拡散層
2’ 高濃度不純物含有層
3 低濃度不純物拡散層
4 高濃度不純物(リン)拡散層(コレクタ)
5 N型シリコン単結晶ウエハ(低濃度不純物(リン)拡散層)
6 P型不純物拡散層(ベース)
7 N型高濃度不純物拡散層(エミッタ)
Claims (5)
- 低濃度不純物半導体ウエハの両面に、不純物が拡散された基板であって、片面が高濃度不純物拡散層、他面が低濃度不純物拡散層である2層構造からなることを特徴とするディスクリート素子用基板。
- 前記低濃度不純物拡散層の面内比抵抗のバラツキが10%以下であることを特徴とする請求項1記載のディスクリート素子用基板。
- 前記低濃度不純物拡散層の表面比抵抗が20Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のディスクリート素子用基板。
- 半導体ウエハの片面が高濃度不純物拡散層、他面が低濃度不純物拡散層である2層構造からなるディスクリート素子用基板の製造方法において、
半導体ウエハの両表面に高濃度不純物拡散層を形成する工程と、
前記ウエハを厚さ半分の位置で切断し、該切断面を研削および鏡面加工する工程と、
前記鏡面加工面に低濃度不純物拡散層を形成する工程とを備えていることを特徴とするディスクリート素子用基板の製造方法。 - 半導体ウエハの片面が高濃度不純物拡散層、他面が低濃度不純物拡散層である2層構造からなるディスクリート素子用基板の製造方法において、
前記ウエハの両面に、異なる濃度で不純物を導入した後、前記不純物を厚さ方向に同時に拡散させることにより、高濃度不純物拡散層および低濃度不純物拡散層を形成させることを特徴とするディスクリート素子用基板の製造方法。
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