JP2004158306A - バイポーラ電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】極の反応性を高め、電極の利用率を向上し得る固体高分子電池用電極、および該電極を用いてなる出力特性、充放電効率を向上した固体高分子電池を提供する。
【解決手段】電極内に高分子電解質を含む正極、負極が固体高分子電解質を挟んで構成される固体高分子電池において、
電極の集電体に近い部分の電解質がゲル化されており、電極の固体高分子電解質に近い部分の電解質が全固体化されていることを特徴とする固体高分子電池用電極。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質として高分子電解質を用いて構成した全固体高分子電池およびその電極内部構造に関するものである。より詳しくは、電解液を含まないために液漏れやガス発生などがなく、信頼性の高い全固体高分子電池およびその電極内部構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気自動車などの大容量電源として、高エネルギー密度、高出力密度が達成できるリチウムイオン二次電池が開発されてきた。リチウムイオン二次電池の基本構成は、アルミニウム集電体にコバルト酸リチウムなどの正極活物質とアセチレンブラックなどの導電助剤をバインダを用いて塗布した正極と、銅集電体にカーボン微粒子をバインダを用いて塗布した負極を、ポリオレフィン系の多孔質膜セパレータを介して配置し、これにLiPF等を含む非水電解液を満たしたものとなっている。電気自動車等へ適用する場合には、この構成の単電池(セル)を直列接続して、電池モジュール単位、更にモジュールを直列接続して組電池を構成して用いる。
【0003】
電池のエネルギー密度、出力密度の観点からは、セル間接続、モジュール間接続の接続抵抗的、空間的、重量的改良が望まれる。最近、このセル間接続の抵抗低減が可能でコンパクト化が期待できるバイポーラ電極ユニットを採用した電池の提案がなされた(例えば、特許文献1参照。)。この提案では、集電体に2種類の金属箔を圧延加工したいわばクラッド材を用いて、電解質にゲル電解質を用いているので、各セル単位での密閉シールが不可欠であり、セル間の液絡がおこる可能性がある。このゲル電解質のかわりに、高分子固体電解質を用いれば、密閉シールが不要となり現実的なバイポーラ電池を構成できる(例えば、特許文献2、3参照。)。かかる電解質として高分子電解質を用いて構成された全固体高分子電池であるバイポーラ電池では、電解液を含まないために液漏れやガス発生などがなく、信頼性が極めて高いという利点を有している。(例えば、特許文献2、3参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−204136号公報
【特許文献2】
特開2000−100471号公報
【特許文献3】
特開2002−75455号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高分子固体電解質を用いて構成された全固体高分子タイプのバイポーラ電池では、電極が電池内で直列積層されているため、通常の電池に比べて容量が低い。
【0006】
そこで、電池容量を増加させるためには、電極膜厚を厚くし、活物質の塗布量を増加させることが考えられる。
【0007】
しかしながら、高分子固体電解質を用いて構成した固体高分子電池の電極(本明細書中、単に固体高分子電池用電極ともいう)では、電極内に含まれるポリマー(結着剤、バインダ、高分子電解質等とも称されている。)のイオン伝導度が低いため、電極の膜厚が厚くなると、電極の深い部分は反応しにくくなり、電極の利用率が下がると言う問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、これらの問題点に鑑み、電極の反応性を高め、電極の利用率を向上し得る固体高分子電池用電極、および該電極を用いてなる出力特性、充放電効率を向上した固体高分子電池を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、高分子電解質を含む正極及び負極が、固体高分子電解質層を挟んで構成される固体高分子電池の電極において(以下、正極と負極の間に挟まれている固体高分子電解質層を電極間電解質ともいい、該電極間電解質と区別するために、電極内に含まれる高分子電解質を、電極内電解質ともいう。)、
該正極および/または負極の集電体に近い部分の高分子電解質がゲル化されており、
該正極および/または負極の固体高分子電解質層に近い部分の高分子電解質が全固体化されていることを特徴とする固体高分子電池用電極により上記目的を達成することができる。
【0010】
【発明の効果】
本発明によれば、電極の集電体に近い部分(本明細書では、電極の深い部分ともいう)のみをゲル化することで、電池容量を増加させるために膜厚が厚くせざるを得ない電極においても、電極の反応性を十分に向上させることができる。そのため、かかる電極を固体高分子電池に用いことで、該電極の反応性が向上し、電池の出力特性及び充放電効率が向上する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の固体高分子電池用電極は、高分子電解質を含む正極及び負極が、固体高分子電解質層を挟んで構成される固体高分子電池において、
正極および/または負極の集電体に近い部分の高分子電解質がゲル化されており、正極および/または負極の固体高分子電解質層に近い部分の高分子電解質が全固体化されていることを特徴とするものである。
【0012】
図1〜4にそれぞれ本発明のバイポーラ電極、単電池層、該バイポーラ電極(ないし単電池層)を複数積層してなるバイポーラ電池の基本断面構造と、該バイポーラ電池の基本概略構成を示す。図1〜4に示したように、1枚の集電体1の片面に正極層2を設け、もう一方の面に負極層3を設けたバイポーラ電極5を、高分子電解質層4を挟み隣合うバイポーラ電極5の電極層2、3が対向するようになっている(図2を参照のこと。)。すなわち、バイポーラ電池では、集電体1の片方の面上に正極層2を有し、他方の面上に負極層3を有するバイポーラ電極(電極層)5を、高分子電解質層4を介して複数枚積層した構造の電極積層体7からなるものである(図3を参照のこと。)。最上層と最下層の電極5a、5bは、バイポーラ電極構造ではなく集電体1に必要な片面のみの電極層(正極層2または負極層3)を形成した構造となっている。また、バイポーラ電池11では、上下両端の集電体1にそれぞれ正極および負極リード11、12が接合されている。
【0013】
また、本発明のバイポーラ電池では、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、電極積層体7部分を電池外装材10に減圧封入し、電極リード8、9を電池外装材(外装パッケージ)10の外部に取り出した構造とするのがよい(図3、4参照のこと)。軽量化の観点からは、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅などの金属(合金を含む)をポリプロピレンフィルム等の絶縁体で被覆したやアルミラミネートパックなどの高分子−金属複合ラミネートフィルムなど、従来公知の電池外装材を用いて、その周辺部の一部または全部を熱融着にて接合することにより、電極積層体を収納し減圧封入(密封)し、電極リードを電池外装材の外部に取り出した構成とするのが好ましい。このバイポーラ電池11の基本構成は、図4に示すように、単電池層(単セル)6が直列に接続された構成である。
【0014】
従来の高分子電解質を用いたバイポーラ電池では、集電体1の片面に1種類の正極材料を用いて正極層2を形成し、反対側の面に1種類の負極材料を用いて負極層3を形成してバイポーラ電極5を形成し、それらを高分子電解質(膜)層4を挟んで積層している。すなわち、これらの電池用電極では、電極(膜)層が厚くなると、電極の深い部分(集電体に近い部分)は反応しなくなる問題があった。そこで、従来と異なる本発明の一つの特徴は、電極の集電体に近い部分の電極内電解質がゲル化されており、電極の固体高分子電解質に近い部分の電極内電解質が全固体化されている電極を提供するものである。以下、図面を用いて説明する。
【0015】
図5(A)に示すように、全固体の高分子電池用電極(=正極層2)は、電極2の中をイオンが伝導できるように、電極2に固体高分子電解質52が含まれている。なお、図5では、正極層2について記載しているが、負極層3についても同様である。
【0016】
図5(B)に示すように、電極膜厚が薄い場合には、電極内全体をイオンが伝導できるため、電極の全体が反応する部分として有効に機能する。
【0017】
しかしながら、バイポーラ電池は、電極が電池内で直列積層されているため、通常の電池に比べて容量が低く、電池容量を増加させるためには、電極膜厚を厚くし、活物質の塗布量を増加させることが必要となる。一方、固体高分子電解質のイオン伝導度は低いため、図5(C)に示すように電池容量を増やすために電極膜厚を増加させる(活物質塗布量を増加させる)と、電極の深い部分(電解質層から遠く、集電体に近い部分)は、反応性が低下する。そこで、本発明では、図5(C)に示すように、反応しない部分54(電極の深い部分)のみをゲル化させて、伝導度を向上させることにより、反応するようにすることができるものである。これにより電極全体で反応性が向上し、かかる電極を用いた電池の出力特性、充放電効率が向上する。
【0018】
本発明では、上述したように電極(膜厚)を厚くした場合に特に有効であるが、電極全体の厚みは、30μm以上であることが望ましい。なお、上限に関しては特に制限されるべきものではなく、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。一般的な電極(正極および負極)の厚さは、いずれも10〜500μm程度であるが、30〜500μm程度において有効であるといえる。
【0019】
また、本発明では、電極の固体高分子電解質に近い部分の電解質は、全固体化されているものである。具体液には、電極の表層(固体高分子電解質層との境界部)から約20μmまでの部分(図5(C)の反応する部分53に相当する)の電解質が全固体化しているのが望ましい。ただし、本発明では、上記範囲を外れる場合であっても、電極の深い部分の反応性を向上させることができるのであれば、本発明の範囲に含まれるものである。すなわち、全固体化全固体高分子電池は、電解液を含まないため、信頼性、耐熱性が非常に高い。そのため、電極内で電解質をゲル化させる部分は最小限にとどめたい。かかる信頼性、耐熱性の観点から、電解質を全固体化する部分が電極表層から約20μmまでの部分を超える場合であっても、それよりも深い部分の反応性を改良することで、電池の出力特性、充放電効率が向上するのであれば、本発明の範囲に含まれるものといえる。
【0020】
また、本発明では、電極の集電体に近い部分の電解質がゲル化されているものである。具体液には、電極表層(図5における固体高分子電解質層4の下面ないし境界面)から約20μmより深い部分(図5(C)の反応しない部分54に相当する。)の電解質がゲル化している構成が望ましい。ただし、本発明では、上記範囲を外れる場合であっても、当該電極の深い部分(図5(C)の反応しない部分54に相当する。)の反応性を向上させることができるのであれば、本発明の範囲に含まれるものである。すなわち、全固体化全固体高分子電池は、電解液を含まないため、信頼性、耐熱性が非常に高い。そのため電極内で電解質をゲル化させる部分は最小限にとどめたい。かかる信頼性、耐熱性の観点から、ゲル化させる部分は、電極表層から約20μmよりもさらに深い部分だけであっても、当該ゲル化により電極全体の反応性を効率よく改良することで、電池の出力特性、充放電効率が向上するのであれば、本発明の範囲に含まれるものといえる。
【0021】
以上のことから、本発明では、電極全体の厚みは30μm以上で、電極表層から約20μmまでの部分が全固体化しており、それより深い部分がゲル化している構成が望ましいといえる。例えば、電極全体の厚みが100μmの場合、電極表層から約20μmまでの部分が全固体化しており、それより深い部分(電極表層から約20μm〜100μmの部分)がゲル化している構成が望ましいことになる。なお、電極のすべてをゲル化すると、電池中に含まれる溶媒の量が増えて信頼性が低下する。また、電極内部の溶媒が固体電解質層に浸透して固体電解質を軟化させ、内部短絡が起こる可能性がある。
【0022】
また、本発明では、上記電極のゲル化されている部分(図5(C)の反応しない部分54に相当する。)の、ゲル電解質を構成するホストポリマーと溶媒の比率は、ポリマー:溶媒=3質量%:97質量%から、ポリマー:溶媒=50質量%:50質量%の範囲であることが望ましい。これは、電極のゲル化されている部分のゲル電解質を構成するホストポリマーと溶媒との比率を上記範囲に調節することにより、電極の反応性が高く、漏液をおさえた信頼性の高い電極を構成できるからである。
【0023】
さらに、本発明で電極のゲル化されている部分のホストポリマーとしては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリふっ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)およびそれらの共重合体が望ましい。
【0024】
本発明で電極のゲル化されている部分の溶媒(電解液)としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(GBL)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、およびそれらの混合物が望ましい。
【0025】
上記正極層2および負極層3は、上述したように、電極の集電体に近い部分の電解質がゲル化されており、電極の固体高分子電解質に近い部分の電解質が全固体化されているものであり、それぞれ正極活物質および負極活物質を含むほか、いずれも層内に全固体化された高分子固体電解質及びゲル化されたゲル電解質を含んでいる。この他にも、イオン伝導性を高めるためにリチウム塩や導電助材などが含まれ得る。
【0026】
このうち、全固体化された高分子固体電解質は、リチウム塩と極性基を含む高分子からなる。電極層内でのイオンの移動をスムーズにするためには、電極層内の固体高分子電解質に近い部分の活物質微粒子間の空隙をこの高分子固体電解質が満たすように充填するものである。
【0027】
また、ゲル化されたゲル電解質は、ゲル電解質を構成するホストポリマー(上記高分子固体電解質)と溶媒とを含むものである。上記(全固体化された高分子固体電解質とゲル化されたゲル電解質とが、電解液系電池での電解液とバインダの役目を担う。電極層内でのイオンの移動をスムーズにするためには、本発明では、特に電極層内の集電体に近い部分の活物質微粒子間の空隙をこのゲル電解質が満たすように充填するものである。
【0028】
電極層内での全固体化された高分子固体電解質(イオン伝導度:10−5〜10−4S/cm)及びゲル化されたゲル電解質(イオン伝導度:10−2〜10−4S/cm)の最適充填割合は、共に電池の使用目的(高出力用か高エネルギー用かなど)、イオン伝導度によって変わるが、少なすぎると電極内でのイオン伝導抵抗とイオンの拡散抵抗が大きくなり、あまり多すぎると構成する電池のエネルギー密度が低下してしまう。本発明の全固体化された高分子固体電解質とゲル化されたゲル電解質とを併用する場合の、それぞれのイオン伝導度のレベルだと、反応性を優先する電池では、ゲル化されたゲル電解質を用いる領域を多めにしたり、ゲル化されたゲル電解質を構成するホストポリマーと溶媒との比率において溶媒を多めにするのが望ましい。さらに導電助材を多めにしたり、活物質のかさ密度を下げて活物質微粒子間の電子伝導抵抗は高く保ち、同時に空隙部を増やし、そこに全固体化された高分子固体電解質やゲル電解質を充填した構造として、活物質微粒子に対する全固体化された高分子固体電解質やゲル電解質の充填割合を高めるようにしてもよい。
【0029】
本発明で電極の全固体化され手いる部分の高分子固体電解質に用いる高分子としては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)及びそれらの共重合体系高分子で、分子内に架橋性の炭素−炭素の二重結合を持った原料高分子を用いてラジカル重合法で合成した高分子が利用できるがこれに限られるわけではない。この種のポリアルキレンオキシド系高分子は、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SOなどのリチウム塩をよく溶解できるうえ、架橋構造とすることで機械的特性もよい。
【0030】
なお、本発明の固体高分子電池用電極及びこれを用いた固体高分子電池では、図5に示すように、電極の集電体に近い部分の電解質がゲル化されており、電極の固体高分子電解質に近い部分の電解質が全固体化されていることを特徴とするものである。よって、固体高分子電池用電極及びこれを用いた固体高分子電池の他の構成要件に関しては、何ら制限されるべきものではない。よって、以下に、固体高分子電池用電極を用いた固体高分子電池の各構成要件につき簡単に説明するが、本発明がこれらに制限されるべきものでないことは言うまでもない。
【0031】
[集電体]
本発明で用いることのできる集電体としては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを利用することができ、例えば、アルミニウム箔、ステンレス箔、ニッケルとアルミニウムのクラッド材、銅とアルミニウムのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく使える。また、金属表面に、アルミニウムを被覆させた集電体であってもよい。また、場合によっては、2つ以上の金属箔を張り合わせた集電体を用いてもよい。耐蝕性、作り易さ、経済性などの観点からは、アルミニウム箔を集電体として用いることが好ましい。
【0032】
集電体の厚さは、特に限定されないが、通常は1〜100μm程度である。
【0033】
[正極活物質層]
正極活物質層は、正極活物質、全固体化してなる高分子固体電解質およびゲル化してなるゲル電解質を含む。この他にも、イオン伝導性を高めるためにリチウム塩、電気伝導性を高めるために導電助剤などが含まれ得る。
【0034】
正極活物質としては、特に制限されるべきものではないが、好ましくはリチウム−遷移金属複合酸化物を用いるのが望ましい。これは、反応性、サイクル耐久性に優れ、低コストな材料であるからである。よって、これらの材料を正極に用いることにより、出力特性に優れた電池を形成することができる。
【0035】
上記リチウム−遷移金属複合酸化物としては、例えば、スピネルLiMnがあるがこれに限られるわけではない。スピネルLiMnの他、溶液系のリチウムイオン電池で使用されるリチウム−遷移金属複合酸化物なら使用できる。具体的には、LiCoOなどのLi・Co系複合酸化物、LiNiOなどのLi・Ni系複合酸化物、スピネルLiMnなどのLi・Mn系複合酸化物およびこれらの遷移金属の一部を他の元素により置換したものが使用できる。
【0036】
この他に使用可能な正極活物質としては、例えば、LiFeOなどのLi・Fe系複合酸化物、LiFePOなどの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物;V、MnO、TiS、MoS、MoOなどの遷移金属酸化物や硫化物;PbO、AgO、NiOOHなどが挙げられる。
【0037】
正極活物質の微粒子の粒径は、電池の電極抵抗を低減するために通常の溶液タイプのリチウムイオン電池で使用されるものより小さいものを使用するのがよい。具体的には、正極活物質の平均粒径が0.1〜10μmであるとよい。
【0038】
全固体化してなる高分子固体電解質は、イオン伝導性を有する高分子であれば、特に限定されるものではない。イオン伝導性を有する高分子としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、これらの共重合体などが挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系高分子は、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SOなどのリチウム塩をよく溶解しうる。また、架橋構造を形成することによって優れた機械的強度が発現する。本発明において高分子固体電解質は、正極活物質層または負極活物質層の少なくとも一方に含まれる。ただし、バイポーラ電池の電池特性をより向上させるためには、双方に含まれることが好適である。
【0039】
ゲル化されてなるゲル高分子に関しては、本発明の特徴部分として、先に説明したとおりである。
【0040】
リチウム塩としては、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SO、またはこれらの混合物などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
【0041】
導電助剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。ただし、これらに限られるわけではない。
【0042】
正極活物質層における、正極活物質、高分子固体電解質、ゲル電解質、リチウム塩、導電助剤の配合量は、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。例えば、活物質層内における高分子固体電解質やゲル電解質の配合量が少なすぎると、活物質層内でのイオン伝導抵抗やイオン拡散抵抗が大きくなり、電池性能が低下してしまう。一方、活物質層内における高分子固体電解質やゲル電解質の配合量が多すぎると、電池のエネルギー密度が低下してしまう。従って、これらの要因を考慮して、目的に合致した高分子固体電解質量及びゲル電解質量を決定する。
【0043】
正極活物質層の厚さについては、既に説明したとおりである。
【0044】
[負極活物質層]
負極活物質層は、負極活物質、全固体化してなる高分子固体電解質およびゲル化してなるゲル電解質を含む。この他にも、イオン伝導性を高めるためにリチウム塩、電気伝導性を高めるために導電助剤などが含まれ得る。負極活物質の種類以外は、基本的に「正極活物質」の項で記載した内容と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0045】
負極活物質としては、特に制限されるべきものではなく、溶液系のリチウムイオン電池でも使用される負極活物質を用いることができる。好ましくは、本発明の高分子固体電池は高分子固体電解質を用いることから高分子固体電解質での反応性を考慮すると、カーボン、金属酸化物、リチウム−金属複合酸化物が好ましく、より好ましくはカーボン、遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属複合酸化物である。さらに好ましくはカーボン、リチウム−チタン複合酸化物である。具体的には、ハードカーボン、グラファイト、LiTi12を用いるのが望ましい。これらは、反応性、サイクル耐久性に優れ、低コストな材料であるからである。よって、これらの材料を負極に用いることにより、出力特性に優れた電池を形成することができる。
【0046】
[高分子電解質層]
本発明の高分子電解質層では、全固体高分子を用いてなる高分子固体電解質層であることが望ましいものである。高分子電解質層に全固体高分子を用いることにより、液漏れがないので、簡易な構成で固体高分子電池、好ましくはバイポーラリチウムイオン二次電池を形成できる。さらに、固体高分子を用いることにより、液絡の問題が無いため信頼性が高く、かつ出力特性に優れた電池を形成することができるものである。
【0047】
高分子電解質層に用いられる全固体高分子としては、イオン伝導性を有する高分子から構成されるものであり、イオン伝導性を示すのであれば材料は限定されない。全固体高分子(高分子固体電解質)としては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、これらの共重合体のような公知のポリマー(高分子固体電解質)を使用することができる。
【0048】
高分子固体電解質層中には、イオン伝導性を確保するためにリチウム塩が含まれる。リチウム塩としては、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SO、またはこれらの混合物などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
【0049】
PEO、PPOのようなポリアルキレンオキシド系高分子は、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SOなどのリチウム塩をよく溶解しうる。また、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度が発現する。
【0050】
高分子固体電解質は、高分子固体電解質層、正極活物質層、負極活物質層に含まれ得るが、同一の高分子固体電解質を使用してもよく、層によって異なる高分子固体電解質を用いてもよい。
【0051】
高分子固体電解質層の厚さは、特に限定するものではない。しかしながら、コンパクトな固体高分子電池を得るためには、高分子固体電解質層としての機能が確保できる範囲で極力薄くすることが好ましい。一般的な高分子固体電解質層の厚さは5〜200μm程度である。
【0052】
ところで、現在好ましく使用される高分子固体電解質用の高分子は、PEO、PPOのようなポリエーテル系高分子である。このため、高温条件下における正極側での耐酸化性が弱い。従って、溶液系のリチウムイオン電池で一般に使用される、酸化還元電位の高い正極剤を使用する場合には、負極の容量が、高分子固体電解質層を介して対向する正極の容量より少ないことが好ましい。負極の容量が対向する正極の容量より少ないと、充電末期に正極電位が上がり過ぎることを防止できる。ここで、「高分子固体電解質層を介して対向する正極」とは、同一の単電池層(セル)の構成要素である正極を指す。なお、正極および負極の容量は、正極および負極を製造する際の理論容量として、製造条件から求めることができる。完成品の容量を測定装置で直接測定してもよい。
【0053】
ただし、負極の容量を対向する正極の容量と比べて少ないと、負極電位が下がりすぎて電池の耐久性が損なわれる恐れがあるので充放電電圧に注意する必要がある。例えば、一つの単電池層(セル)の平均充電電圧を使用する正極活物質の酸化還元電位に対して適切な値に設定して、耐久性が低下しないように注意する。
【0054】
なお、本発明では、上記高分子電解質層に、ゲル電解質を用いても良い。特に該ゲル電解質を構成するホストポリマーと溶媒の比率のうち、溶媒の比率を低くすることにより、高分子電解質層内部のイオン伝導度が高く、漏液をおさえた信頼性の高い電極を構成できるからである。かかるゲル電解質を構成するホストポリマーと溶媒の比率は、ポリマー:溶媒=5質量%:95質量%から、ポリマー:溶媒=95質量%:5質量%の範囲であることが望ましい。また、上記上記高分子電解質層は、高分子固体電解質と上記ゲル電解質とを任意の比率で組み合せた構造としても良いことはいうまでもない。
【0055】
なお、本発明の電池としては、電解質層に高分子固体電解質を用いてなる固体高分子電池であればいかなるものにも適用可能である。好ましくは、本発明の固体高分子電池用電極を用い、集電体の一方の面に正極が形成され、他方の面に負極が形成されたバイポーラ電極を、電解質を挟んで複数枚直列に積層した構造をとるバイポーラリチウムイオン二次電池であることを特徴とした電池である。これは、通常の電解液を用いたリチウムイオン二次電池に比べて単電池の電圧が高く、出力特性に優れた電池を構成できるためであり、電気自動車などの大容量電源として、高エネルギー密度、高出力密度が達成できるためである。また本発明のバイポーラリチウムイオン二次電池では、電極が電池内で直列積層されているため、通常の電解液を用いたリチウムイオン二次電池に比べて電池容量が低く、電池容量を増加させるために電極の厚み(膜厚)を厚くして活物質の塗布量を増加させる必要がある場合でも、電極全体の反応性が向上し、電池の出力特性、充放電効率を向上することができるためでもある。
【0056】
[絶縁層]
絶縁層は、集電体同士が接触したり、電解液が漏れ出したり、積層電極の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起こるのを防止する目的で、各電極の周囲に形成されてなるものであり、必要に応じて使用すればよい。
【0057】
該絶縁層としては、絶縁性、電解液の漏出や外部からの水分の透湿に対するシール性(密封性)、電池動作温度下での耐熱性などを有するものであればよく、例えば、エポキシ樹脂、ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが使用できるが、耐蝕性、耐薬品性、作り易さ(製膜性)、経済性などの観点からは、エポキシ樹脂が好ましい。
【0058】
[正極および負極端子板]
正極および負極端子板は、必要に応じて使用すればよい。用いる場合には、端子としての機能を有するほか、薄型化の観点からは極力薄い方がよいが、積層されてなる電極、電解質および集電体はいずれも機械的強度が弱いため、これらを両側から挟示し支持するだけの強度を持たせることが望ましい。さらに、端子部での内部抵抗を抑える観点から、正極および負極端子板の厚さは、通常0.1〜2mm程度が望ましいといえる。
【0059】
正極および負極端子板の材質は、通常リチウムイオン電池で用いられる材質を用いることができる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金などを利用することができる。耐蝕性、作り易さ、経済性などの観点からは、アルミニウムを用いることが好ましい。
【0060】
正極端子板と負極端子板との材質は、同一の材質を用いてもよいし、異なる材質のものを用いてもよい。さらに、これら正極および負極端子板は、材質の異なるものを多層に積層したものであってもよい。
【0061】
正極および負極端子板は、集電体と同じサイズであればよい。
【0062】
[正極および負極リード]
正極および負極リードに関しては、通常リチウムイオン電池で用いられる公知のリードを用いることができる。なお、電池外装材(電池ケース)から取り出された部分は、自動車の熱源との距離がないことから、これらに接触して漏電したりして自動車部品(特に電子機器)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆しておくのが好ましい。
【0063】
[電池外装材(電池ケース)]
バイポーラ電池は、外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、バイポーラ電池本体である電池積層体全体を電池外装材ないし電池ケースに収容するとよい。軽量化の観点からは、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅などの金属(合金を含む)をポリプロピレンフィルム等の絶縁体で被覆した高分子−金属複合ラミネートフィルムやアルミラミネートパックなど、従来公知の電池外装材を用いて、その周辺部の一部または全部を熱融着にて接合することにより、電池積層体を収納し密封した構成とするのが好ましい。この場合、上記正極および負極リードは、上記熱融着部に挟まれて上記電池外装材の外部に露出される構造とすればよい。また、熱伝導性に優れた高分子−金属複合ラミネートフィルムやアルミラミネートパックなどを用いることが、自動車の熱源から効率よく熱を伝え、電池内部を電池動作温度まですばやく加熱することができる点で好ましい。
【0064】
本願発明の第二は、本発明のバイポーラリチウムイオン二次電池を複数個接続して構成した組電池である。組電池化することにより、高容量、高出力の電池モジュールを形成することが出来るためである。なお、本発明のバイポーラリチウムイオン二次電池の組電池化は、特に制限されるべきものではなく、本発明のバイポーラリチウムイオン二次電池を、組電池の使用目的などに応じて、適宜、直列、並列、または直並列(直列と並列を組み合わせた構成)に複数個接続することができる。
【0065】
具体的には、例えば、上記のバイポーラ電池をN個並列に接続し、N個並列にしたバイポーラ電池をさらにM個直列にして金属製ないし樹脂製の組電池ケースに収納し、組電池とする。この際、バイポーラ電池の直列/並列接続数は、使用目的に応じて決定する。例えば、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)など大容量電源として、高エネルギー密度、高出力密度が求められる車両の駆動用電源に適用し得るように組み合わせればよい。また、組電池用の正極端子および負極端子と、各バイポーラ電池の電極リードとは、リード線等を用いて電気的に接続すればよい。また、バイポーラ電池同士を直列/並列に接続する際には、スペーサやバスバーのような適当な接続部材を用いて電気的に接続すればよい。ただし、本発明の組電池は、ここで説明したものに制限されるべきものではなく、従来公知のものを適宜採用することができる。また、該組電池には、使用用途に応じて、各種計測機器や制御機器類を設けてもよく、例えば、電池電圧を監視するために電圧計測用コネクタなどを設けておいてもよいなど、特に制限されるものではない。
【0066】
本願発明の第三は、本発明のバイポーラリチウムイオン二次電池および/または組電池を駆動用電源として搭載してなる車両である。これにより、燃費、走行性能に優れた車両(例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車)を提供できる。また、本発明のバイポーラリチウムイオン二次電池は、上述のように各種特性を有し、特に、コンパクトな電池である。このため、エネルギー密度および出力密度に関して、とりわけ厳しい要求がなされる車両、例えば、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの駆動用電源として好適である。また、高分子固体電解質は、イオン伝導度がゲル電解質よりも低いという欠点があるが、車両の駆動用電源に用いる場合には、バイポーラリチウムイオン二次電池の周囲環境をある程度の高温下に保持することができる。この観点からも、本発明のバイポーラリチウムイオン二次電池は車両の駆動用電源に用いることが好適であるといえる。例えば、図7に示したように、電気自動車ないしハイブリッド電気自動車71の車体中央部の座席下(床下)に組電池73を駆動用電源として搭載するのが、車内空間およびトランクルームを広く取れるため便利である。ただし、本発明では、これらに何ら制限されるべきものではなく、エンジンルーム、ボンネットフード内部、ルーフ内部などに設置することができるし、後部トランクルームの下部に搭載してもよいし、あるいは電気自動車のようにエンジンを搭載しないのであれば、車体前方のエンジンを搭載していた部分などに搭載することもできる。なお、本発明では、組電池だけではなく、使用用途によっては、バイポーラ電池を搭載するようにしてもよいし、これら組電池とバイポーラ電池を組み合わせて搭載するようにしてもよい。また、本発明のバイポーラリチウムイオン二次電池および/または組電池を駆動用電源として搭載することのできる車両としては、上記の電気自動車やハイブリッド電気自動車が好ましいが、これらに制限されるものではない。
【0067】
本願発明の第四は、集電体上にゲル電極を形成し、固体高分子電解質膜上に全固体電極を形成し、それらを貼り合わせることにより電極の内部がゲル化した電池を構成する固体高分子電池の製造方法である。かかる製造方法により、電極の内部(すなわち、集電体に近い部分)の電解質のみがゲル化した電極(すなわち、請求項1または2に記載の固体高分子電池用電極)を形成できるものである。これにより、電極全体の反応性が向上し、電池の出力特性、充放電効率が向上する。以下、図面を用いて本願発明の第四について説明する。
【0068】
図6は、本発明の固体高分子電池の製造方法の主な工程ごとの概略を模式的に表わした電池組立段階での電池構造の一部分ないし電池組立後の完成電池の断面概略図である。
【0069】
(1)ゲル化されているゲル電解質を有する電極(正極)(以下、ゲル電極(正極)ともいう)の形成(図6(A)参照のこと。)
▲1▼ゲル電極(正極)用スラリーの調製
ゲル電極(正極)用スラリーは、ゲル電解質の原料であるポリマー(高分子原料)と溶媒(電解液)、正極活物質51、およびリチウム塩(支持塩)を含む溶液である。他成分として、導電助剤、重合開始剤が任意で含まれる。ゲル電解質の原料のポリマーは、PEO、PPO、これらの共重合体などが挙げられ、分子内に架橋性の官能基(炭素−炭素二重結合など)を有することが好ましい。この架橋性の官能基を用いて該ポリマー(高分子固体電解質)を架橋することによって、機械的強度が向上する。ゲル電解質の原料の溶媒(電解液)、正極活物質、リチウム塩、導電助剤に関しては、前述した化合物を用いることができる。重合開始剤は、重合させる化合物に応じて選択する必要がある。例えば、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール、熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルが挙げられる。上記ゲル電解質を構成するホストポリマーと溶媒(電解液)の比率が上述の範囲内になるように、ゲル電解質の原料であるポリマー量および溶媒量を調整する。正極活物質、リチウム塩、導電助剤の添加量は固体高分子電池(好ましくはバイポーラリチウムイオン二次電池)の目的等に応じて調節すればよく、通常用いられる量を添加すればよい。ゲル電解質の原料の添加量は、ゲル電極のエネルギー密度とゲル電解質の体積分率との関係などを考慮して選択される。重合開始剤の添加量は、ポリマー(高分子原料)に含まれる架橋性官能基の数に応じて決定される。通常はポリマー(高分子原料)に対して0.01〜1質量%程度である。
【0070】
▲2▼ゲル電極(正極)2aの形成
集電体1の片面に、所定の厚さでゲル電極(正極)用スラリーを塗布する。塗布による厚さは、電池の使用目的などから、電極全体の厚さを決定した後、上記に規定した全固体電極(正極)部分の厚さ(約20μm程度)を考慮して、残るゲル電極(正極)部分の厚さを形成できるように、塗布厚さを適宜決定すればよい。
【0071】
次に、ゲル電極(正極)用スラリーが塗布された集電体1を加熱乾燥して、上記ポリマーの架橋反応を進行させて、ゲル電解質の機械的強度を高めることで集電体1の片面に、正極活物質51のほか高分子ゲル電解質53を含有するゲル電極(正極)2aを形成する。加熱乾燥の雰囲気としては、アルゴンガス雰囲気などの不活性ガス雰囲気で行うことができるが、これに制限されるものではない。加熱乾燥の条件は塗布されたゲル電極(正極)用スラリーの組成などに応じて決定され、一義的に規定できないが、通常は40〜150℃で5分〜20時間である。
【0072】
なお、ここでは、集電体1上にゲル電極(正極)用スラリーを塗布する例を示したが、後述する全固体電極(正極)2bと同様に、フィルム上にゲル電極(正極)用スラリーが塗布し、加熱乾燥して、ゲル電極(正極)を形成した後に、集電体上に積層しても良いが、製造手順の簡素化、ゲル電極(正極)の取り扱いなどの観点から、集電体上に塗布する方がよいといえる。
【0073】
なお、上記ゲル電極2aは、1層単独で形成してもよいし、必要があれば、ゲル電解質を構成するホストポリマーと溶媒の比率や活物質量等の異なる2種以上のゲル電解質層を多層に形成して用いてもよいことは言うまでもない。これにより、電極の集電体に近い部分の電解質のゲル化の度合い(ひいては該ゲル電解質部分のイオン伝導度)に濃度分布を有するようにしてもよい。
【0074】
(2)全固体化されている電解質を有する電極(以下、全固体電極(正極)ともいう)の形成(図6(B)参照のこと。)
▲1▼全固体電極(正極)用スラリーの調製
全固体電極(正極)用スラリーは、全固体化されている高分子電解質(全高分子固体電解質ともいう)の原料であるポリマー(高分子原料)、正極活物質、およびリチウム塩(支持塩)、スラリー粘度調整溶媒を含む溶液である。他成分として、導電助剤、重合開始剤が任意で含まれる。全高分子固体電解質の原料のポリマー(高分子原料)は、PEO、PPO、これらの共重合体などが挙げられ、分子内に架橋性の官能基(炭素−炭素二重結合など)を有することが好ましい。この架橋性の官能基を用いて該ポリマー(高分子原料)を架橋することによって、機械的強度が向上する。正極活物質、リチウム塩、導電助剤に関しては、前述した化合物を用いることができる。重合開始剤は、重合させる化合物に応じて選択する必要がある。例えば、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール、熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルが挙げられる。スラリー粘度調整溶媒としては、例えば、NMPなどの従来公知の溶媒を全固体電極(正極)用スラリーの種類に応じて適宜選択すればよい。正極活物質、リチウム塩、導電助剤の添加量は固体高分子電池(好ましくはバイポーラリチウムイオン二次電池)の目的等に応じて調節すればよく、通常用いられる量を添加すればよい。全高分子固体電解質の原料のポリマー(高分子原料)添加量は、全固体電極(正極)のエネルギー密度と全高分子固体電解質の体積分率との関係などを考慮して選択される。重合開始剤の添加量は、全高分子固体電解質の原料のポリマー(高分子原料)に含まれる架橋性官能基の数に応じて決定される。通常は該ポリマー(高分子原料)に対して0.01〜1質量%程度である。
【0075】
▲2▼高分子電解質層の作製
別途、電極2、3間に積層される高分子固体電解質層の一部4a(通常は、目的とする高分子固体電解質層厚さの半分程度の高分子固体電解質膜)を準備する。高分子固体電解質膜(高分子固体電解質の一部)4aは、高分子固体電解質の原料のポリマー(高分子材料)、リチウム塩をNMPのような溶媒に溶解させて調製したスラリーを、PETフィルムなど適当なフィルム61上に塗布し、硬化させることによって製造される。高分子固体電解質膜(高分子固体電解質の一部)の厚さは、スペーサなどを用いて制御できる。光重合開始剤を用いる場合には、光透過性のギャップに流し込み、紫外線を照射して架橋反応を進行させて製膜するとよい。ただし、この方法に限定されないことは勿論である。重合開始剤の種類に応じて、放射線重合、電子線重合、熱重合などを使いわける。用いる高分子固体電解質、リチウム塩、配合量などについては、前述した通りであるため、ここでは説明を省略する。また、上記で用いるフィルムは、製造過程で80℃程度に加熱されることもありえるため、当該温度程度での十分な耐熱性を有し、さらに原料のスラリーや高分子固体電解質との反応性がなく、製造過程で剥離し除去する必要上、離型性に優れたものを用いるのが望ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンフィルムなどを使用することができるが、これらに制限されるべきものではない。
【0076】
▲3▼全固体電極(正極)の形成
上記▲2▼でフィルム61上に作製しておいた所定の厚さ(目的の高分子固体電解質層厚さ5〜200μmの半分程度)の高分子固体電解質膜4a上に、上記全固体電極(正極)用スラリーを所定の厚さで塗布する。塗布による全固体電極(正極)用スラリー厚さは、電池の使用目的などから、電極2全体の厚さを決定した後、上記に規定した全固体電極(正極)2b部分の厚さ(約20μm程度)を形成できるように、塗布厚さを適宜決定すればよい。
【0077】
次に、全固体電極(正極)用スラリーが塗布された高分子固体電解質膜4aを加熱乾燥して、上記ポリマーの架橋反応を進行させて、高分子固体電解質の機械的強度を高めることで高分子固体電解質膜4a上に、正極活物質51のほか高分子固体電解質52を含有する全固体電極(正極)2bを形成する。加熱乾燥は、真空乾燥機などを用いることができるが、これに制限されるものではない。加熱乾燥の条件は塗布された全固体電極(正極)用スラリーの組成などに応じて決定され、一義的に規定できないが、通常は40〜150℃で5分〜20時間である。
【0078】
(3)電極(正極)の貼り合わせ(図6(C)参照のこと。)
上記(1)で作製したゲル電極(正極)2a上に、上記(2)で作製した全固体電極(正極)2bを各電極部同士が向かい合うように貼り合わせ、高分子固体電解質膜4a上に貼りつけられているフィルム61を剥がして、集電体1の片面に電極(正極)2(電極(正極)2の集電体1aに近い部分の高分子電解質53がゲル化されており、電極(正極)2の固体高分子電解質層4aに近い部分の高分子電解質52が全固体化されている電極(正極)2)、および高分子固体電解質層の一部4aを形成する(図6(C)参照のこと)。
【0079】
(4)ゲル化されているゲル電解質を有する電極(負極)(以下、ゲル電極(負極)ともいう)の形成(図6(A)〜図6(C)の正極を負極に置き換えて参照のこと。)
▲1▼ゲル電極(負極)用スラリーの調製
ゲル電極(負極)用スラリーは、ゲル電解質の原料であるポリマー(高分子原料)と溶媒(電解液)、負極活物質、およびリチウム塩(支持塩)を含む溶液である。他成分として、導電助剤、重合開始剤が任意で含まれる。ゲル電解質の原料のポリマーは、PEO、PPO、これらの共重合体などが挙げられ、分子内に架橋性の官能基(炭素−炭素二重結合など)を有することが好ましい。この架橋性の官能基を用いて該ポリマー(高分子固体電解質)を架橋することによって、機械的強度が向上する。ゲル電解質の原料の溶媒(電解液)、負極活物質、リチウム塩、導電助剤に関しては、前述した化合物を用いることができる。重合開始剤は、重合させる化合物に応じて選択する必要がある。例えば、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール、熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルが挙げられる。上記ゲル電解質を構成するホストポリマーと溶媒(電解液)の比率が上述の範囲内になるように、ゲル電解質の原料であるポリマー量および溶媒量を調整する。負極活物質、リチウム塩、導電助剤の添加量は、固体高分子電池(好ましくはバイポーラリチウムイオン二次電池)の目的等に応じて調節すればよく、通常用いられる量を添加すればよい。ゲル電解質の原料の添加量は、ゲル電極(負極)のエネルギー密度とゲル電解質の体積分率との関係などを考慮して選択される。重合開始剤の添加量は、ポリマー(高分子原料)に含まれる架橋性官能基の数に応じて決定される。通常はポリマー(高分子原料)に対して0.01〜1質量%程度である。
【0080】
▲2▼ゲル電極(負極)の形成
集電体1b片面に、所定の厚さでゲル電極(負極)用スラリーを塗布する。塗布による厚さは、電池の使用目的などから、電極全体の厚さを決定した後、上記に規定した全固体電極(負極)部分の厚さ(約20μm程度)を考慮して、残るゲル電極(負極)部分の厚さを形成できるように、塗布厚さを適宜決定すればよい。
【0081】
上記集電体には、(i)前記(1)〜(3)で形成した電極(正極)2aの集電体1aのもう一方の面(正極形成側と反対の面)上に、負極活物質55のほか、高分子ゲル電解質53を有するゲル電極(負極)3aを形成することでバイポーラ電極を形成してもよいし、(ii)電極(正極)2aの集電体1aとは異なる集電体1bを用意して、この集電体1bの片面に、負極活物質55のほか、高分子ゲル電解質53を有するゲル電極(負極)3aを形成してもよい(特に、バイポーラ電池の両端の電極を形成する場合に有効である。)。ここでは、説明の都合上、後者を例にとって説明した(図6(D)参照のこと)が、上記(i)の場合でも、後述する場合を除き、バイポーラ電池を形成する際に、集電体の片面に電極(正極)をもう一方の他面に電極(負極)を形成してなるバイポーラ電極を複数形成する必要があることはいうまでもなく、ここで説明するのと同様にして行うことができるので、場合分けして説明することは省略する。なお、(ii)により形成した単電池を複数積層してバイポーラ電池を形成してもよい。この場合には、各単電池両端の集電体同士を貼り合わせることになるため、必要に応じて、各単電池に用いる集電体の厚さを通常の半分程度の厚さにして用いるのが望ましい。また、集電体同士の貼合せの際に、電気伝導性接着剤などを用いてより強固に接合してもよい。該電気伝導性接着剤としては、アルミニウムなどの金属粉末を樹脂溶液(好ましくは導電性樹脂溶液)に分散してペースト状にしたものなど)を用いることができる。また、他の接合手段を用いてもよい。また、集電体同士を張り合わせなくてもよいように、集電体同士が向き合う電極のいずれか一方には集電体に代えてPETフィルムを用い、積層する際に該フィルムを剥がして、相手側の集電体を積層するようにしてもよい。
【0082】
次に、ゲル電極(負極)用スラリーが塗布された集電体を加熱乾燥して、上記ポリマーの架橋反応を進行させて、ゲル電解質の機械的強度を高めることで集電体の片面にゲル電極(負極)を形成する。加熱乾燥の雰囲気としては、アルゴンガス雰囲気などの不活性ガス雰囲気で行うことができるが、これに制限されるものではない。加熱乾燥の条件は塗布されたゲル電極(負極)用スラリーの組成などに応じて決定され、一義的に規定できないが、通常は40〜150℃で5分〜20時間である。
【0083】
(5)全固体化されている電解質を有する電極(以下、全固体電極(負極)ともいう)の形成
▲1▼全固体電極(負極)用スラリーの調整
全固体電極(負極)用スラリーは、全固体化されている高分子電解質(全高分子固体電解質ともいう)の原料であるポリマー(高分子原料)、負極活物質、およびリチウム塩(支持塩)、スラリー粘度調整溶媒を含む溶液である。他成分として、導電助剤、重合開始剤が任意で含まれる。全高分子固体電解質の原料のポリマー(高分子原料)は、PEO、PPO、これらの共重合体などが挙げられ、分子内に架橋性の官能基(炭素−炭素二重結合など)を有することが好ましい。この架橋性の官能基を用いて該ポリマー(高分子原料)を架橋することによって、機械的強度が向上する。負極活物質、リチウム塩、導電助剤に関しては、前述した化合物を用いることができる。重合開始剤は、重合させる化合物に応じて選択する必要がある。例えば、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール、熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルが挙げられる。スラリー粘度調整溶媒としては、例えば、NMPなどの従来公知の溶媒を全固体電極(負極)用スラリーの種類に応じて適宜選択すればよい。負極活物質、リチウム塩、導電助剤の添加量は固体高分子電池(好ましくはバイポーラリチウムイオン二次電池)の目的等に応じて調節すればよく、通常用いられる量を添加すればよい。全高分子固体電解質の原料のポリマー(高分子原料)添加量は、全固体電極(負極)のエネルギー密度と全高分子固体電解質の体積分率との関係などを考慮して選択される。重合開始剤の添加量は、全高分子固体電解質の原料のポリマー(高分子原料)に含まれる架橋性官能基の数に応じて決定される。通常は該ポリマー(高分子原料)に対して0.01〜1質量%程度である。
【0084】
▲2▼高分子電解質の作製
別途、電極2,3間に積層される高分子固体電解質層の残りの一部4bを準備する。高分子固体電解質膜(高分子固体電解質層の残りの一部)4bは、高分子固体電解質の原料のポリマー(高分子材料)、リチウム塩をNMPのような溶媒に溶解させて調製したスラリーを、適当なフィルム上に塗布し、硬化させることによって製造される。高分子固体電解質膜(高分子固体電解質層の残りの一部)の厚さは、スペーサなどを用いて制御できる。光重合開始剤を用いる場合には、光透過性のギャップに流し込み、紫外線を照射して架橋反応を進行させて製膜するとよい。ただし、この方法に限定されないことは勿論である。重合開始剤の種類に応じて、放射線重合、電子線重合、熱重合などを使いわける。用いる高分子固体電解質、リチウム塩、配合量などについては、前述した通りであるため、ここでは説明を省略する。また、上記で用いるフィルムは、製造過程で80℃程度に加熱されることもありえるため、当該温度程度での十分な耐熱性を有し、さらに原料のスラリーや高分子固体電解質との反応性がなく、製造過程で剥離し除去する必要上、離型性に優れたものを用いるのが望ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンフィルムなどを使用することができるが、これらに制限されるべきものではない。
【0085】
上記高分子固体電解質層の残りの一部は、目的とする高分子固体電解質層厚さの半分程度の高分子固体電解質膜であって、上記(2)▲2▼の「高分子電解質の作製」で得られる高分子固体電解質膜との合計厚さが目的とする高分子固体電解質層厚さになるように調整する。ただし、上記上記(2)▲2▼で作製する高分子固体電解質膜と、当該(4)▲2▼で作製する高分子固体電解質膜との合計厚さが目的とする高分子固体電解質層厚さになればよく、それぞれの厚さは、特に制限されるべきものではないといえる。したがって、場合によっては、上記(2)▲2▼または当該(4)▲2▼のいずれか一方で目的とする高分子固体電解質層厚さの高分子固体電解質膜を形成した場合には、他方の高分子固体電解質膜の作製工程は省略することになる。この場合には、フィルム上に高分子固体電解質膜を設けることなく直接、全固体電極(正極)または全固体電極(負極)を形成するようにしてもよいといえる。
【0086】
▲3▼全固体電極(負極)の形成
上記▲2▼でフィルム上に作製しておいた所定の厚さ(目的の高分子固体電解質層厚さ5〜200μmの半分程度)の高分子固体電解質膜4b上に、上記全固体電極(負極)用スラリーを所定の厚さで塗布する。塗布による全固体電極(負極)用スラリー厚さは、電池の使用目的などから、電極全体の厚さを決定した後、上記に規定した全固体電極(負極)部分の厚さ(約20μm程度)を形成できるように、塗布厚さを適宜決定すればよい。
【0087】
次に、全固体電極(負極)用スラリーが塗布された高分子固体電解質膜4bを加熱乾燥して、上記ポリマーの架橋反応を進行させて、高分子固体電解質の機械的強度を高めることで高分子固体電解質膜4b上に、負極活物質55のほか、高分子固体電解質52を有する全固体電極(正極)3を形成する。加熱乾燥は、真空乾燥機などを用いることができるが、これに制限されるものではない。加熱乾燥の条件は塗布された全固体電極(負極)用スラリーの組成などに応じて決定され、一義的に規定できないが、通常は40〜150℃で5分〜20時間である。
【0088】
(6)電極(負極)の貼り合わせ(図6(D)を参照のこと。)
上記ゲル電極(負極)3a上に、全固体電極(負極)3bを各電極部同士が向かい合うように貼り合わせ、高分子固体電解質膜4b上に貼りつけられているフィルムを剥がして、集電体1bの片面に電極(負極)3(電極(負極)3の集電体1bに近い部分の高分子電解質53がゲル化されており、電極(負極)3の固体高分子電解質層4bに近い部分の高分子電解質52が全固体化されている電極(負極)3)、および高分子固体電解質層の残りの一部4bを形成する。
【0089】
(7)バイポーラー電極と高分子固体電解質層との積層
上記(1)〜(6)により得られた電極(正極)2と電極(負極)3とを高真空下で十分加熱乾燥してから、それぞれを必要に応じて適当なサイズに複数個切りだした後、電極(正極)2と電極(負極)3の電解質膜4a、4b同士が向かい合うように貼り合わせて電池(単電池)を形成する。また、集電体よりも電極と高分子固体電解質層の幅を若干小さくしてもよい。これは、電極の一部にゲル電解質を用いるために、これら電極と高分子固体電解質層との周囲を絶縁層により絶縁しておくのが、安全性、信頼性をより一層向上させることができる点で有利なためである。
【0090】
さらに、上記単電池(上記電極(正極)と上記電極(負極))ないしバイポーラ電極(上記(4)▲2▼で説明したように、集電体の片面に電極(正極)を形成し、他方の面に電極(負極)を形成したもの)を複数積層(貼り合わせて)してバイポーラ電池本体(電池積層体)を作製する。積層数は、バイポーラ電池に求める電池特性を考慮して決定される。最外層の高分子固体電解質上には、それぞれ電極を配置する。正極側の最外層には、集電体上に正極層のみを形成した電極を配置する。負極側の最外層には、集電体上に負極層のみを形成した電極を配置する。バイポーラー電極と高分子固体電解質とを積層させてバイポーラ電池を得る段階は、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。例えば、アルゴン雰囲気下や窒素雰囲気下でバイポーラー電池を作製するとよい。
【0091】
(8)パッキング(電池の完成)
最後にバイポーラ電池本体(電池積層体)の両最外層の集電体上にそれぞれ、必要に応じて正極端子板、負極端子板を設置し、該正極端子板、負極端子板に、さらに正極リード、負極リードを接合(電気的に接続)して取り出す。正極リードおよび負極リードの接合方法としては特に制限されるべきものではないが、接合温度の低い超音波溶接等が好適に利用し得るものであるが、これに限定されるべきものではなく、従来公知の接合方法を適宜利用することができる。
【0092】
電池積層体全体を、外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、電池外装材ないし電池ケース(図示せず)で封止し、バイポーラ電池を完成させる。電池外装材(電池ケース)の材質は、内面がポリプロピレンフィルム等の絶縁体で被覆された金属(アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅など)が好適である。
【0093】
【実施例】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例に限定されるものではない。
【0094】
<ゲル電極(正極)の形成>
(1)ゲル電極(正極)用スラリー調製
正極活物質として平均粒子径2μmのスピネルLiMn[41.7質量%]、導電助剤としてアセチレンブラック[8.3質量%]、ポリマーとしてポリエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体(共重合比が5:1で、重量平均分子量が8000のものを用いた。)[12.5質量%]、電解液としてECとDMCを1:3(体積比)で混合したもの[20.8質量%]、支持塩(リチウム塩)としてLi(CSON[16.7質量%]、重合開始剤として有機過酸化物(具体的には、t−ヘキシルパーオキシピパレート)[ポリマーに対して1質量%]からなる材料を上記比率にて混合してゲル電極(正極)用スラリーを作製した。
【0095】
なお、上記ポリマーと電解液は、重量比でポリマー:電解液=2:8になるように混合する。
【0096】
(2)ゲル電極(正極)の形成
集電体として、厚さ20μmのアルミニウム箔を用いた。
【0097】
上記で得られたゲル電極(正極)用スラリーを膜厚40μmになるように、上記集電体の片面に塗布した。塗布後、アルゴン雰囲気下、80℃で3時間、加熱乾燥すると同時にポリマーを重合させて、電極をゲル化してゲル電極(正極)の形成した(図6(A)参照のこと。)。
【0098】
<全固体電極(正極)の形成>
(1)全固体電極(正極)用スラリー調製
正極活物質として平均粒子径2μmのスピネルLiMn[41.7質量%]、導電助剤としてアセチレンブラック[8.3質量%]、ポリマーとしてポリエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体(共重合比が5:1で、重量平均分子量が8000のものを用いた。)[33.3質量%]、支持塩(リチウム塩)としてLi(CSON[16.7質量%]、スラリー粘度調整溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)(NMPは、電極乾燥時にすべて揮発させて除去するので、電極の構成材料ではなく、適当なスラリー粘度になるように適量を加えた。)、重合開始剤として有機過酸化物(具体的には、t−ヘキシルパーオキシピパレート)[ポリマーに対して1質量%]からなる材料を上記比率(スラリー粘度調整溶媒を除く成分で換算した比率を示す。)にて混合して全固体電極(正極)用スラリーを作製した。
【0099】
(2)全固体電極(正極)の形成
あらかじめPETフィルム上に作成しておいた、50μmの全固体高分子電解質膜(ポリエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体(共重合比が5:1で、重量平均分子量が8000のものを用いた。)[71.4質量%]に支持塩[28.6質量%]を含有させたもの)上に、上記全固体電極(正極)用スラリーを塗布した。塗布後、真空雰囲気下、80℃で5時間、加熱乾燥すると同時にポリマーを重合させて、全固体電極(正極)を形成した(図6(B)参照のこと。)。
【0100】
<電極(正極)の貼り合わせ>
上記ゲル電極(正極)上に、全固体電極(正極)を、各電極部同士が向かい合うように貼り合わせ、電解質膜上に貼り付けられていたPETフィルムを剥がして電極(正極)を形成した(図6(C)参照のこと。)。
【0101】
<電池の形成>
負極活物質にLiTi12を使用し、その他は、上記ゲル電極(正極)用スラリーおよび全固体電極(正極)用スラリーと同様の組成で、ゲル電極(負極)用スラリーおよび全固体電極(正極)用スラリーを調製した。
【0102】
得られたゲル電極(負極)用スラリーおよび全固体電極(正極)用スラリーを用いて、上記電極(正極)を形成したのと同様の手順で電極(負極)を形成した(図6(A)〜(C)までの正極を負極に読み替えて参照のこと。)。
【0103】
電極(正極)+電解質膜と、電極(負極)+電解質膜を、電解質膜同士が向かい合うように貼り合わせて電池(単電池)を形成した(図6(D)参照のこと)。
【0104】
また、得られた単電池を複数積層することで、電極の集電体に近い部分の電解質がゲル化されており、電極の固体高分子電解質に近い部分の電解質が全固体化されている上記電極を用い、集電体の一方の面に正極が形成され、他方の面に負極が形成されたバイポーラ電極を、電解質を挟んで複数枚直列に積層した構造をとるバイポーラリチウムイオン二次電池を形成することができることも確認できた。なお、図6(D)に示すように、集電体同士は積層することで電気的に接続できるが、振動などにより移動しないように、電気伝導性接着剤などを用いて集電体同士を接合した。
【0105】
<評価>
内部をゲル化していない厚さ80μmの全固体正極と、内部40μmをゲル化した厚さ80μmの内部ゲル化正極を作製し、コインセルを用いて充放電特性を評価した。
【0106】
すなわち、Li金属を対極に用いて、コインセルを作製し、25℃で4.2Vまで充電を行った。その後、0.1CAで定電流放電を行ったところ、各電極の理論容量に対する放電率(実際に放電された電気量/電極に仕込まれた理論電気容量)は、全固体電極を用いたコインセルが45%、内部ゲル化電極を用いたコインセルが83%であった。
【0107】
これにより、電極内部(特に反応しない部分)をゲル化することで膜厚の厚い電極の反応性を高めることができることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバイポーラ電池を構成するバイポーラ電極の基本構造を模式的に表わした断面概略図である。
【図2】本発明のバイポーラ電池を構成する単電池層(単セル)の基本構造を模式的に表わした断面概略図である。
【図3】本発明のバイポーラ電池の基本構造を模式的に表わした断面概略図である。
【図4】本発明のバイポーラ電池の基本構成を模式的に表わしてなる概略図である。
【図5】従来の固体高分子電池の電極(正極)厚さと反応性の説明図であり、図5(A)は、固体高分子電池の電極(正極)周辺部の構造を説明した図面であり。図5(B)は、正極層の膜厚が薄い場合の反応性を示す図面であり、図5(C)は、正極層の膜厚が厚い場合の反応性を示す図面である。
【図6】本発明の固体高分子電池の製造方法の主な工程ごとの概略を模式的に表わした電池組立段階での電池構造の一部分ないし電池組立後の完成電池の断面概略図であり、図6(A)が、ゲル電極(正極)を形成した様子を模式的に表わした断面概略図であり、図6(B)は、全固体電極(正極)を形成した様子を模式的に表わした断面概略図であり、図6(C)は、ゲル電極(正極)と全固体電極(正極)を積層して電極(正極)を形成した様子を模式的に表わした断面概略図であり、図6(D)は、電極(正極)と電極(負極)を貼合せて電池を形成した様子を模式的に表わした断面概略図である。
【図7】本発明に係るバイポーラ電池および/または組電池を駆動用電源として搭載した車両を模式的に表した概略図である。
【符号の説明】
1…集電体、
1a、1b…集電体(一部)、
2…正極層、
2a…ゲル電極(正極)、
2b…全固体電極(正極)、
3…負極層、
3a…ゲル電極(負極)、
3b…全固体電極(負極)、
4…電解質層、
4a、4b…電解質層(一部)、
5…バイポーラ電極、
5a…集電体の必要な片面のみに正極層を配置した電極、
5b…集電体の必要な片面のみに負極層を配置した電極、
6…単電池層(単セル)、
7…電極積層体、
8…正極リード、
9…負極リード、
10…電池外装材、
11…バイポーラ電池、
51…正極活物質、
52…電極内に含まれる高分子固体電解質、
53…電極内で反応する部分、
54…電極内で反応しない部分、
55…電極内に含まれる高分子ゲル電解質、
56…負極活物質、
61…PETフィルム、
71…電気自動車またはハイブリッド電気自動車、
73…組電池。

Claims (8)

  1. 高分子電解質を含む正極及び負極が、固体高分子電解質層を挟んで構成される固体高分子電池において、
    正極および/または負極の集電体に近い部分の高分子電解質がゲル化されており、正極および/または負極の固体高分子電解質層に近い部分の高分子電解質が全固体化されていることを特徴とする固体高分子電池用電極。
  2. 電極のゲル化されている部分の、ゲル電解質を構成するホストポリマーと溶媒の比率が、ポリマー:溶媒=3質量%:97質量%から、ポリマー:溶媒=50質量%:50質量%の範囲であることを特徴とする固体高分子電池用電極。
  3. 集電体上にゲル電解質含有電極を形成し、固体高分子電解質層上に全固体電解質含有電極を形成し、それらを貼り合わせることにより、電極の内部のうち電極の集電体に近い部分の高分子電解質がゲル化されており、電極の固体高分子電解質層に近い部分の高分子電解質が全固体化されている電池を構成することを特徴とする固体高分子電池の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極を用い、集電体の一方の面に正極が形成され、他方の面に負極が形成されたバイポーラ電極を、固体高分子電解質層を挟んで複数枚直列に積層した構造をとるバイポーラリチウムイオン二次電池であることを特徴とする電池。
  5. 正極活物質としてリチウム−遷移金属複合酸化物を用い、負極活物質としてカーボンもしくはリチウム−遷移金属複合酸化物を用いたことを特徴とする請求項4に記載の電池。
  6. 電解質に全固体高分子を用いたことを特徴とする請求項4または5に記載の電池。
  7. 請求項4〜6に記載の電池を複数個接続して構成した組電池。
  8. 請求項4〜6に記載の電池および/または請求項7に記載の組電池を駆動用電源として搭載した車両。
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