JP2004158138A - サンプリング/ホールドの方法および回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】より高速にあるいはより低い消費電力で実行できるサンプリング/ホールド動作回路を提供する。
【解決手段】サンプリング/ホールド回路は、複数のサンプリング部2−1〜kを備える。各サンプリング部は、入力端子1−1〜kと出力端子3−1〜kを有し、そして入力端子で受けた値をサンプリングしてこのサンプル値を蓄積するとともに、この蓄積したサンプル値を出力端子3−1〜kに発生する。1つのホールド部6は、入力端子5と出力端子7とを有し、そして複数のサンプリング部に対し共用のものとする。多重化部4は、複数のサンプリング部の出力を多重化することによって、その任意の1つの出力がホールド部6の入力に接続されるようにする。ホールド部6が、サンプル値をホールドしてその出力7に発生する。
【選択図】 図1
【解決手段】サンプリング/ホールド回路は、複数のサンプリング部2−1〜kを備える。各サンプリング部は、入力端子1−1〜kと出力端子3−1〜kを有し、そして入力端子で受けた値をサンプリングしてこのサンプル値を蓄積するとともに、この蓄積したサンプル値を出力端子3−1〜kに発生する。1つのホールド部6は、入力端子5と出力端子7とを有し、そして複数のサンプリング部に対し共用のものとする。多重化部4は、複数のサンプリング部の出力を多重化することによって、その任意の1つの出力がホールド部6の入力に接続されるようにする。ホールド部6が、サンプル値をホールドしてその出力7に発生する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アナログ信号処理に関し、特に、高速動作が要求される用途に特に適したサンプリング/ホールド動作方法および回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、アナログ信号をサンプリングしホールドする回路として、サンプル/ホールド(S/H)回路を1段使用したものがある。このような1段のサンプル/ホールド回路においては、受けた入力を周期的にサンプリングしホールドする。すなわち、各S/H周期毎に、サンプリング(S)期間とこれに後続するホールド(H)期間とから成るサンプリング/ホールド(S/H)動作を繰り返す。したがって、S/H動作を繰り返し実行しているときは、S期間およびH期間の組から成るS/H期間が、その1つの終了後に次の1つが始まるという形式で、時間的に連続することになる。このような場合に、S/H動作を高速化しようとする場合、各S/H期間を短縮する必要がある。しかし、特にホールド(H)期間を短くした場合には、ホールド期間中における電圧収束に不足が生じることになる。一方、ホールド期間中におけるこの電圧収束は、ホールド動作に関わる増幅器に流れる電流を大きくすることによって速めることができるが、その電流増大によって消費電力が増すという問題も生ずる。
【0003】
また、パイプラインA/Dコンバータにおいては、縦続接続された多数のA/D変換段の各々には、1つのS/H回路が設けられている。各変換段は、直前の変換段におけるS/H回路のS/H動作を含む変換処理の結果としての出力を受けると、これに対し別のS/H動作を含む変換動作を実行するように構成されている。この動作は、S/H動作のみに着目すれば、個々のS/H動作が、上記の1段のS/H回路と同様に、S/H期間がその1つの終了後に次のものが始まるという形式で時間的に連続して生起する。このため、多数のA/D変換段を含むA/Dコンバータ全体の変換時間は、基本的には、変換段の数にS/H期間を乗じた期間に影響を受けることになる。このことは、A/Dコンバータ全体の変換を、各変換段内のS/H期間を短縮することによって高速化しようとする場合、上記1段のS/H回路の高速化のときと同様の問題が生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、より高速に実行できるサンプリング/ホールド動作の方法および回路を提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、低い消費電力で実行できるサンプリング/ホールド動作の方法および回路を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、上記のサンプリング/ホールド動作方法を用いたA/Dコンバータを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明によるサンプリング/ホールド方法では、複数のサンプリング/ホールド動作を多重化して実行すること、を特徴とする。本発明では、従来のS/H動作において、サンプリング動作とホールド動作とが互いに時間的に重なっていないサンプリング期間とホールド期間において実行されており、サンプリング期間中はホールド動作は行われず、またホールド期間中はサンプリング動作が行われない、ということに着目した。
【0007】
本発明によれば、前記複数のサンプリング/ホールド動作の複数の前記サンプリング動作は、空間分割多重化するようにできる。また、前記複数のサンプリング/ホールド動作の各々は、サンプリング動作とホールド動作とを有し、前記複数のサンプリング/ホールド動作の複数の前記ホールド動作を、時分割多重化して実行するようにもできる。
【0008】
また、本発明による、サンプリング動作を行うサンプリング期間とホールド動作を行うホールド期間とを各々有する複数のサンプリング/ホールド動作フェーズで実行するサンプリング/ホールド方法は、前記複数のサンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記サンプリング動作を実行するステップと、前記複数のサンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記ホールド動作を時分割多重化して実行するステップと、から成る。
【0009】
本発明によれば、少なくとも1つの前記サンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記サンプリング動作は、別の1つの前記サンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記ホールド動作と、時間的に重なった期間において実行するようにできる。この場合、前記複数のサンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記ホールド動作は、共通のホールド手段で行うようにできる。
【0010】
また、本発明によれば、各前記サンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記サンプリング動作は、1つの入力からサンプリングすること、を含むようにできる。
【0011】
あるいはまた、各前記サンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記サンプリング動作は、2つの入力からサンプリングすること、を含むようにできる。この場合、前記2つの入力からのサンプリングは、同時に実行するようにでき、そして前記2つの入力は、1対の差動入力とすることができる。また、前記2つの入力からのサンプリングは、非同時に実行するようにできる。この場合、前記2つの入力は、1対の差動入力とすることができ、そして前記1対の差動入力は、1つのCDS信号からの2つの信号入力とすることができる。
【0012】
また、本発明によれば、複数の前記サンプリング/ホールド動作フェーズは、1つの入力に対し、直列的に連続して実行する動作フェーズとすることができる。また、直列的に連続して実行する複数の前記サンプリング/ホールド動作フェーズは、パイプラインA/Dコンバータにおける隣接する2つのA/D変換段において実行するものとすることができる。さらにまた、本発明によれば、複数の前記サンプリング動作フェーズは、並列で実行するものとすることができる。
【0013】
また、本発明によれば、前記ホールド動作は、サンプル値の増幅を含むようにできる。この場合、前記増幅は、前記複数のサンプリング/ホールド動作フェーズの前記ホールド動作に対して、互いに異なった増幅度を有するようにできる。
【0014】
さらに、本発明による、サンプリング/ホールド回路は、複数のサンプリング手段であって、各サンプリング手段が、入力と出力を有し、前記入力で受けた値をサンプリングしてこのサンプル値を蓄積するとともに、この蓄積したサンプル値を前記出力に発生するよう動作する、前記の複数のサンプリング手段と、入力と出力とを有する1つのホールド手段と、前記複数のサンプリング手段のうちの任意の1つの前記出力を、前記1つのホールド手段の前記入力に接続する多重化手段であって、これにより、前記ホールド手段が、前記サンプル値をホールドして前記ホールド手段の前記出力に発生するようにさせる、前記の多重化手段と、から成る。
【0015】
本発明によれば、各前記サンプリング手段は、蓄積手段と、前記サンプリング手段の入力を前記蓄積手段に接続するためのサンプリング・スイッチ手段と、から成るようにできる。また、前記多重化手段は、前記複数のサンプリング手段を1つずつ順番に前記ホールド手段に接続することによって、前記複数のサンプリング手段からの複数の前記サンプル値を多重化する多重化スイッチ手段を含むようにできる。
【0016】
また、本発明によれば、前記複数のサンプリング手段の各々は、差動形で動作する1組のサンプリング回路から成るようにできる。また、複数の前記差動形で動作するサンプリング回路組は、1つの共通のサンプリング回路を有するようにできる。また、前記ホールド手段は、2つの差動入力を有する差動増幅器から成るようにできる。前記サンプリング回路は、1つのサンプリング・スイッチ手段と、1つのキャパシタとから成るようにできる。
【0017】
また、本発明によれば、前記複数のサンプリング手段の各々は、シングルエンド形で動作する1つのサンプリング回路から成るようにできる。
また、本発明によれば、前記ホールド手段は、増幅手段を含むようにできる。この場合、前記増幅手段は、前記複数のサンプリング/ホールド動作フェーズの前記ホールド動作において異なった増幅度で動作できる可変増幅手段から成るようにできる。前記異なった増幅度は、互いに近い増幅度とすることができる。
【0018】
また、本発明によれば、前記複数のサンプリング手段の複数の前記入力は、互いに異なった入力信号を受けるように接続することができる。あるいはまた、前記複数のサンプリング手段は、順番に配置し、前記複数のサンプリング手段のうちの最初の前記サンプリング手段の前記入力は、入力を受けるように接続し、該最初のサンプリング手段に後続する前記サンプリング手段の前記入力は、前記ホールド手段の出力に接続し、これによって該サンプリング手段が、直前の前記サンプリング手段からの前記サンプル値を前記ホールド手段を介して受けるようにすることができる。この場合、前記サンプリング手段の数は、2つとすることができる。
【0019】
さらに、本発明のサンプリング/ホールド回路は、さらに、前記サンプリング手段の前記出力に接続したオフセット補償手段を備えるようにできる。この場合、前記オフセット補償手段は、開ループの補償回路あるいは閉ループの補償回路から成るようにできる。前記閉ループの補償回路は、前記ホールド手段の出力に接続した入力を有するようにできる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の種々の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
先ず、図1を参照すると、これには、本発明のサンプリング/ホールド回路の一般化した実施形態を示している。図示のように、このサンプリング/ホールド回路は、複数のk個のサンプリング部2−1〜kと、多重化部4と、1つのホールド部6とを備えている。サンプリング部2−1〜kは、それぞれ入力1〜kを受ける入力端子1−1〜kと、受けた入力をサンプリングしてそのサンプル値を蓄積すると共に、この蓄積したサンプル値を出力する出力端子3−1〜kを備えている。多重化部4は、これら出力端子3−1〜kに接続したk個の入力を有し、そしてこれらk個の入力のうちの1つを任意の順序で選択してその出力に接続する。多重化部4のこの出力に接続した入力端子5を有するホールド部6は、サンプリング部2−1〜kのうちの1つからのサンプル値を受け、そしてこのサンプル値をホールドした出力をその出力端子7に発生する。尚、キャパシタのようなサンプル値を蓄積する蓄積器は、一般的には、サンプリング時にはサンプリング部側に含まれ、ホールド時にはホールド部側に含まれると考えられるが、本明細書では、説明を分かりやすくするため、そのような蓄積器は、サンプリング部の側に含まれ、ホールド部には含まれないものとする。
【0021】
図1のサンプリング/ホールド回路では、k個のサンプリング部2−1〜kは空間分割多重化しているため、サンプリング/ホールド回路全体としては、多重化したk個のサンプリング/ホールド動作フェーズを有している。各動作フェーズでは、k個のサンプリング部2−1〜kの各々と1つのホールド部6との組み合わせにより、1つのサンプリング/ホールド動作を実行する。また、各動作フェーズ間では、ホールド部6はk個のサンプリング部2−1〜kに対し時分割多重化して使用するため、各動作フェーズにおけるホールド動作は、他の動作フェーズにおけるホールド動作とは互いに時間的に重ならない期間中に実行される。このような多重化サンプリング/ホールド動作フェーズにおいては、サンプリング部2−1〜kは、その空間分割多重化のため、それらのサンプリング動作は、k個のサンプリング部間において、同時にあるいは非同時に実行させることができ、しかも、各動作フェーズにおけるサンプリング動作は、別の動作フェーズにおけるホールド期間中に実行することができるようになる。この結果、2以上のサンプリング/ホールド動作を従来よりも短期間に実行することができる。これは、従来のサンプリング/ホールド回路では行えなかったものである。
【0022】
図1に示した一般化したサンプリング/ホールド回路は、さらに、種々の具体的な形態をとることができる。すなわち、回路構成を、不平衡形あるいは平衡形としたり、またサンプリング/ホールド回路内の動作を、シングルエンド動作としたりあるいは差動形動作としたりすることができる。あるいはまた、複数のサンプリング部を、動作上、並列に配置したり、あるいは直列に配置したりすることもできる。
【0023】
以下、図2〜図7を参照して、これら種々の形態の回路構成について説明する。尚、図2〜図7において、図1と同様の要素には、図1で使用した参照番号に記号“A”〜“F”を付している。
【0024】
先ず、図2は、図1の構成をより具体化した1実施形態のサンプリング/ホールド回路Aを示している。図2に示したこのサンプリング/ホールド回路Aは、不平衡形、すなわちシングルエンドの回路構成を有するものである。このため、図1のサンプリング部2−1〜kの各々は、1つのサンプリング回路2A−1〜kの対応するもので構成されている。ここで、各サンプリング回路は、サンプリング・スイッチと、蓄積器として作用するキャパシタとから構成することができる。このシングルエンド形の回路構成においても、図1で述べた多重化の効果を得ることができる。
【0025】
図3は、図1の構成をより具体化した別の実施形態のサンプリング/ホールド回路Bを示している。この図3に示した回路は、不平衡形の回路構成を有しているが、回路内部の動作は、差動形となっている。この回路は、CCDからのCDS(相関二重サンプリング)信号のように、1つの信号に2つの信号成分(例えば基準電圧レベルと、入力電圧レベル)が含まれており、そしてそれら信号成分の差がデータとして使用されるような場合に適している。この場合、図3に示したように、図1のサンプリング部2−1〜kに対応するサンプリング部2B−1〜kの各々は、1対のサンプリング回路2Bx−1および2By−1、2Bx−2および2By−2…2Bx−kおよび2By−kの対応するものから構成されている。各1対のサンプリング回路は、共通の1つの入力端子1B−1〜kを有し、そして差動動作のため、1対の差動出力端子3Bx−1および3By−1、3Bx−2および3By−2…3Bx−kおよび3By−kの対応するものを有している。多重化部4Bは、これらk個の1対のサンプリング回路出力を受け、そしてそれらのうちの任意の1対の出力を選択して、ホールド部6Bの1対の入力端子5Bxおよび5Byに供給する。ホールド部6Bは、ホールドした出力を1つの出力端子7Bに出力する。尚、この1つの出力端子は、差動動作のために1対の差動出力端子とすることもできる。この図3に示した回路構成では、1対のサンプリング回路は、CDS信号のような2つの時間的にずれた信号成分部分を有する信号からサンプリングするため、互いに時間的に重ならないサンプリング期間を有している。また、異なった対のサンプリング回路は、互いに同じ期間あるいは異なった期間にサンプリング動作を行うようにできる。
【0026】
次に、図4は、図1の構成をより具体化したさらに別の実施形態のサンプリング/ホールド回路Cを示している。この回路は、図3の回路と類似しており、異なっている点は、平衡形の回路構成のため、図1のサンプリング部に対応する各サンプリング部2C−1〜kがそれぞれ有する1対のサンプリング回路2Cx−1および2Cy−1…2Cx−kおよび2Cy−kの各々が、互いの1対の入力端子1Cx−1および1Cy−1…1Cx−kおよび1Cy−kを備えていることである。これにより、各対のサンプリング回路の一方(例えば2Cx−1…または2Cx−k)は、正側の差動入力(入力1p〜kpの対応するもの)を受け、そして他方のサンプリング回路(例えば2Cy−1…または2Cy−k)が負側の差動入力(入力1n〜knの対応するもの)を受けることになる。この回路の場合、各対のサンプリング回路は、互いに一致するあるいは重なるサンプリング期間を有することもできる。尚、出力端子7Cは、必要に応じて1対の差動出力端子とすることができる。
【0027】
次に、図5は、並列配置の回路構成の1実施形態であるサンプリング/ホールド回路Dを示している。この回路が図3の回路と異なっている点は、各対のサンプリング回路2Dx−1および2Dy−1…2Dx−kおよび2Dy−kの入力端子がすべて互いに接続されて1つの入力端子1Dに接続していることである。したがって、すべてのサンプリング回路は、互いに並列に配置され、しかも互いに重ならない期間においてサンプリング動作を行うような構成になっている。さらに、別の例として、図2〜図4に示したものも、並列配置の構成を備えている。
【0028】
この図5と同様にして、図4のサンプリング/ホールド回路において、正側入力端子1Cx−1〜1Cx−kとを互いに接続し、そして負側入力端子1Cy−1…1Cy−kを互いに接続することにより、図5の回路の平衡回路構成を形成することもできる。
【0029】
次に、図6は、直列配置あるいは循環形配置の1実施形態のサンプリング/ホールド回路Eを示している。この回路では、k個のサンプリング部2E−1〜kのうちの最初のサンプリング部2E−1の入力端子1E−1のみが、入力を受けるように接続しており、そして残りのサンプリング部2E−2〜kの入力端子1E−2〜kは、ホールド部6Eの出力端子7Eにそれぞれ接続している。このサンプリング/ホールド回路Eは、最初のサンプリング部2E−1からのホールドされたサンプル値を、次に続くサンプリング部2E−2がホールド部6Eを介して受け、そしてこれに対し、別のサンプリング/ホールド動作をする。同様にして、このサンプリング/ホールド動作結果を、さらに次のサンプリング部2E−3(図示せず)がホールド部6Eを介して受け、そしてこれに対し更に別のサンプリング/ホールド動作を行い、以下、この動作を繰り返す。最後のサンプリング部2E−kは、以上のようにして受けたホールド部からの出力を受け、そしてこれに対し最後のサンプリング/ホールド動作を行った結果が、出力端子7Eに発生する。このように、多数のサンプリング部のこの特定の接続方法により、多数のサンプリング/ホールド動作を直列あるいは循環形式で接続する。このような直列接続構成の場合、サンプリング/ホールド回路内の任意の場所、例えばホールド部6E内に、増幅その他の信号処理手段を含めることにより、同じ信号処理を繰り返し入力端子に1E−1に受けた入力に対し適用することができる。また、繰り返し適用する信号処理は、全く同じである必要はなく、各サンプリング/ホールド動作毎に、増幅度等を変化させること等によって適用する信号処理を変化させることができる。図6に示した回路構成は、後述するように、特にパイプラインA/Dコンバータにおける多数のA/D変換段において使用するのに適している。
【0030】
図7は、図6の直列配置構成を簡略化した交差配置のサンプリング/ホールド回路Fを示している。この回路では、サンプリング部はk個ではなく2個のみ設けている。図7に示した配置では、サンプリング部2F−1が最初に1つの入力を受けた後は、この1つの入力に関して、ホールド部6Fの出力をサンプリング部2F−1とサンプリング部2F−2とが交互に受けるように構成し、そして所定の回数だけサンプリング/ホールド動作が連続して実行した後に、出力端子7Fから出力するようにする。この出力の後、再び、サンプリング部2F−1は、新たな入力を受けるように接続する。この配置では、2個のサンプリング部のみで、3以上の任意の数のサンプリング/ホールド動作を連続して実行することができる。
【0031】
次に、図8〜図16を参照して、図5のサンプリング/ホールド回路Dをより具体化した種々の実施形態のサンプリング/ホールド回路について説明する。尚、これら種々の回路は、図5の回路において2つのサンプリング部、すなわち2対のサンプリング回路を備えたものに対応するものであり、そして入力に、CDS(相関二重サンプリング)信号入力であるアナログ信号VINを受けるように接続している。尚、CDS信号であるアナログ信号VINは、その1周期の前半部分が基準電圧レベルVrを有し、そして後半部分がデータ電圧レベルViを有している。これら電圧レベル間の差が、信号すなわちデータを表している。
【0032】
先ず、図8を参照すると、これには、第1の実施形態であるサンプリング/ホールド回路D1を示している。この回路D1においては、第1と第2から成る2つの多重化したサンプリング/ホールド動作フェーズで動作する2対の差動動作するサンプリング回路を備えている。一方の対の差動動作するサンプリング回路、すなわち第1サンプリング/ホールド動作フェーズ用のサンプリング回路対は、キャパシタ118と、入力とキャパシタ118の一端間に接続したスイッチ102(サンプリング制御クロックCK1Aで作動)と、キャパシタ118の他端と基準電圧LPとの間に接続したスイッチ113(クロックCK1Aで作動)とから成る1つの正側サンプリング回路SP1pと、キャパシタ119と、入力とキャパシタ119の一端間に接続したスイッチ103(サンプリング制御クロックCK2Aで作動)と、キャパシタ119の他端と基準電圧LPより負の基準電圧LMとの間に接続したスイッチ115(クロックCK2Aで作動)とから成る1つの負側サンプリング回路SP1nと、で構成されている。同様にして、他方の対の差動動作するサンプリング回路、すなわち第2のサンプリング/ホールド動作フェーズ用のサンプリング回路対は、同様の回路接続形態で、キャパシタ117と、スイッチ101(サンプリング制御クロックCK1Bで作動)と、スイッチ114(クロックCK1Bで作動)とから成る1つの正側サンプリング回路SP2pと、キャパシタ120と、スイッチ104(サンプリング制御クロックCK2Bで作動)と、スイッチ116(クロックCK2Bで作動)とから成る1つのサンプリング回路SP2nと、で構成されている。また、多重化部として、サンプリング回路SP1pからのサンプル値を受けるため、1対のスイッチ、すなわち、キャパシタ118とスイッチ113との接続点と差動増幅器の非反転入力との間に接続したスイッチ110(ホールド制御クロックCK3Aで作動)と、キャパシタ118とスイッチ102との接続点と差動増幅器の反転出力との間に接続したスイッチ106(クロックCK3Aで作動)とを備えている。また、サンプリング回路SP1nからのサンプル値を受けるため、1対のスイッチ、すなわち、キャパシタ119とスイッチ115との接続点と差動増幅器の反転入力との間に接続したスイッチ111(クロックCK3Aで作動)と、キャパシタ119とスイッチ103との接続点と差動増幅器の非反転出力との間に接続したスイッチ107(クロックCK3Aで作動)とを備えている。同様にして、多重化部として、同様の接続形態で、サンプリング回路SP2pからのサンプル値を受けるため、1対のスイッチ109と105(双方ともホールド制御クロックCK3Bで作動)を備え、また、サンプリング回路SP2nからのサンプル値を受けるため、1対のスイッチ112と108(双方ともクロックCK3Bで作動)とを備えている。ホールド部としては、図示のように、非反転入力と反転入力を有し、また反転出力と非反転出力とを有する差動増幅器AMPを備え、そして反転出力と非反転出力間に、ホールドされた出力が発生される。ここで、LP,LMは、基準となる電圧レベル(例えば、黒レベルの電圧レベル)を決めるための電圧であり、例えば、Vr=1.5V,Vi=0.5〜1.5Vの場合、LM=0.5V,LP=1.0Vに設定することができる。この場合、差動増幅器AMPの出力電圧OUT(=(Vr−Vi)−(LP−LM))は、OUT=(1.5−Vi)−0.5=−0.5〜0.5となる差動出力が得られる。
【0033】
次に、図9を参照して、上記回路構成を有する図8のサンプル/ホールド回路D1の動作を説明する。図示のように、この回路の動作を制御する2つの基本クロックCK1,CK2がある。これらクロックは、入力信号VINと同じ周期を有し、そしてデューティー比が25パーセントで、しかも互いに180度位相が遅れている。これにより、これら2つのクロックのローの期間は、図示のように、クロックの1/4周期の期間でしかも隣接する同じ周期の期間とは1/4周期離間した4つのサンプリング期間t1a、t2a、t1b、t2bを定める。これらは、サンプリング制御クロックCK1A,CK2A,CK1B,CK2Bにより定められる。すなわち、クロックCK1Aは、クロックCK1の奇数番目のロー期間のみの間ローになり、そしてクロックCK2Aは、クロックCK2の奇数番目のロー期間の間のみローとなる、一方、クロックCK1Bは、クロックCK1の偶数番目のローの間のみローになり、そしてクロックCK2Bは、クロックCK2の偶数番目のローの間のみローとなる。また、クロックCK2のハイの期間は、ホールド期間を定める。すなわち、ホールド制御クロックCK3Aは、クロックCK2の奇数番目のローに続くハイの間すなわち奇数番目のハイの期間(t3a)の間ハイとなり、そしてホールド制御クロックCK3Bは、偶数番目のハイの期間(t3b)の間ハイとなる。これらクロックにより、2つのサンプリング/ホールド動作フェーズが定められ、1つの動作フェーズは、2つのサンプリング期間と1つのホールド期間(t1a−t2a−t3aと,t1b−t2b−t3b)から成り、そして1回のサンプリング/ホールド動作は、クロックCK1の2周期に相当するの長さであり、そして2つのサンプリング/ホールド動作フェーズは、互いに基本クロックCK1の1周期分ずれている。また、1つのホールド期間と1つのサンプリング期間とが多重化されて時間的に重なっている。
【0034】
このサンプル/ホールド回路D1の全体の動作について説明すると、期間t1aにおいて、スイッチ113と、スイッチ102がクロックCK1Aにより閉じることにより正側サンプリング回路SP1pが作動して、アナログ信号VINの基準電圧Vr1と基準電圧LPとの差分(Vr1−LP)がキャパシタ118に蓄積される。このとき、スイッチ110は開いている(クロックCK3Aはロー)。次に期間t2aにおいて、スイッチ115と、スイッチ103がクロックCK2Aによって閉じることにより負側サンプリング回路SP1nが作動して、アナログ信号VINのデータ電圧Vi1と基準電圧LMとの差分(Vi1−LM)がキャパシタ119に蓄積される。このとき、スイッチ111は開いている(クロックCK3Aは同じくロー)。期間t3aにおいて、クロックCK3Aによりスイッチ106と、スイッチ107と、スイッチ110と、スイッチ111とが閉じることにより、差動増幅器AMPから(Vr1−Vi1)−(LP−LM)なる電圧が出力される。期間t3aは期間t2aの終わりのエッジから、次の期間t2bの始まりのエッジまで取ることができる。次に、期間t1bにおいて、スイッチ114と、スイッチ101がクロックCK1Bによって閉じることにより別の正側サンプリング回路SP2pが作動して、アナログ信号VINの基準電圧Vr2と基準電圧LPとの差分(Vr2−LP)がキャパシタ117に蓄積される。このとき、スイッチ109は開いている(クロックCK3Bはロー)。次に期間t2bにおいて、スイッチ116と、スイッチ104がクロックCK2Bによって閉じることにより別の負側サンプリング回路SP2nが作動して、アナログ信号VINのデータ電圧Vi2と基準電圧LMとの差分(Vi2−LM)がキャパシタ120に蓄積される。このとき、スイッチ112は開いている(クロックCK3Bはまだロー)。期間t3bにおいて、クロックCK3Bによりスイッチ105と、スイッチ108と、スイッチ109と、スイッチ112とが閉じることにより、差動増幅器AMPから(Vr2−Vi2)−(LP−LM)なる電圧が出力される。期間t3bは期間t2bの終わりのエッジから、次の期間t2cの始まりのエッジまで取ることができる。
【0035】
このように、2系統のキャパシタ群−スイッチ群、すなわち各々1対のサンプリング回路から成る2つのサンプリング部を用意することによって、交互にアナログ信号の取り込みと保持を行うことができる、すなわち1つのサンプリング/ホールド動作フェーズのホールド期間中に別のサンプリング/ホールド動作フェーズのサンプリング動作を実行することができるため、ホールド期間t3を長く確保することができる。この結果、信号処理の高速化及び低消費電力化を図ることができる。
【0036】
次に、図10は、開ループのオフセット補償を付加した1実施形態のサンプル/ホールド回路D2を示している。この回路D2は、図8の回路とほぼ同じであり(同じ要素には、同じ参照番号を付している)、異なっている点は、正側基準電圧として2つの別個の基準電圧LPA,LPBと、そして負側基準電圧として2つの別個の基準電圧LMA,LMBを設けている点である。この回路構成は、2系統すなわち2つのサンプリング部(1対のサンプリング回路から成るもの)の間で保持電圧すなわち蓄積電圧のばらつきが問題になる場合に有利である。すなわち、このばらつきはそれぞれキャパシタ117と118、もしくはキャパシタ119と120、スイッチ101と102、スイッチ103と104、スイッチ105と106、スイッチ107と108、スイッチ113と114、スイッチ115と116の間のばらつきに起因して生じる。図10に示したサンプル/ホールド回路D2を用いることにより、保持電圧間のDCオフセットを補正することが可能になる。この補正は、具体的には、基準電圧LPAとLPB、もしくは基準電圧LMAとLMBを個別に調整することにより、DCオフセット電圧を補正することができる。
【0037】
次に、図11は、閉ループのフィードバック形オフセット補償回路を設けたサンプル/ホールド回路D3を示している。この回路D3は、図10の回路と異なり、図8の回路D1において、正側基準電圧のみをLPA,LPBの2つに分離し、そしてこれら2つの基準電圧を閉ループのフィードバック形オフセット電圧補償回路137で供給するように構成している。これ以外の点は、図8の回路と同じであり、したがって同じ要素には同じ参照番号を付してある。
【0038】
詳細には、差動増幅器AMPの出力をA/D変換するA/Dコンバータ121と、このコンバータのデジタル出力130を受けるオフセット電圧補償回路137とを設けている。オフセット電圧補償回路137の入力は、A/Dコンバータ121を介して差動増幅器AMPの出力に接続している。さらに詳細には、A/Dコンバータ121は、取り込まれたアナログ信号VINがホールド期間t3a,t3b,…(図9参照)で順次差動増幅器AMPから出力されるアナログ電圧をデジタル出力130にA/D変換する。このデジタル出力130を受けるオフセット電圧補償回路137は、そのA/D変換結果130と所定の基準値127を減算手段126により減算して、その差分をスイッチ128またはスイッチ129でD/Aコンバータ122または123に接続する。D/Aコンバータ122または123は、その差分をD/A変換した後に、それぞれバッファ124および125を介して、2つのサンプリング回路の出力に供給する正側基準電圧LPA及びLPBにフィードバックし、これによって、A/D変換した結果130が予め設定した上記基準値127に等しくなるように制御する。尚、スイッチ128と129は、例えばCCDデバイスからのCDS信号における、基準レベルを調整するために設けられた10画素〜50画素程度の期間において選択的に開閉を行うように制御される。この基準レベル調整用の期間において、アナログ入力信号VINとして、例えば黒基準レベルのような基準電圧が入力される。尚、このオフセット補償回路137は、その基準レベル調整用期間中に決定した基準電圧LPA,LPBを発生するのに必要な補償用データを記憶し、そしてその期間経過後は、次の基準レベル調整用期間に至るまで、この補償用データに基づき一定の基準電圧LPA,LPBを発生し続ける。このようにして、このオフセット電圧補償回路137を基準電圧LPA、LPBを供給しかつそれら基準電圧へのフィードバックを行うように接続することにより、負側基準電圧は、図10のようにLMAとLMAの2つの分離する必要はなく、共通化したままとすることができる。
【0039】
次に、図12は、閉ループのフィードフォワード形オフセット補償回路を備えたサンプル/ホールド回路D4を示している。この回路D4は、図11の回路と異なり、図8の回路D1に対し、差動増幅器AMPの出力側に、デジタル演算によるDCオフセット補償をフィードバック形式ではなくフィードフォワード形式で設けている。これ以外の点は、図8の回路および図11の回路の一部と同じであり、したがって同じ要素には同じ参照番号を付してある。
【0040】
詳細には、差動増幅器AMPの出力をA/D変換するA/Dコンバータ121と、このコンバータのデジタル出力130を受けるオフセット電圧補償回路138とを設けている。オフセット電圧補償回路138の入力は、図11の場合と同様に、A/Dコンバータ121を介して差動増幅器AMPの出力に接続している。A/Dコンバータ121は、取り込まれたアナログ信号VINがホールド期間t3a,t3b,…(図9参照)で順次差動増幅器AMPから出力されるアナログ電圧をデジタル出力130にA/D変換する。このデジタル出力130を受けるオフセット電圧補償回路138は、このA/D変換結果130と基準値127を減算手段126により減算して、その差分をスイッチ128または129でデジタル・フィルタ回路131または132に入力する。デジタル・フィルタ回路131または132は、入力されたこのデジタル値に対してローパス・フィルタ処理もしくは平均化処理を行い、そしてその結果をスイッチ134またはスイッチ133を介して、A/Dコンバータ121の出力を一方の入力に受ける加算器135の他方の入力にフィードフォワードする。このフィードフォワード制御により、加算器135の出力であるA/D変換結果であるデジタル出力136が、予め設定された基準値127に等しくなるように制御する。ここで、スイッチ128、フィルタ回路131、スイッチ134の組は、一つの処理系統を構成し、順次信号処理がなされ、そしてスイッチ129、フィルタ回路132、スイッチ133の組は、他の処理系統を構成する。このオフセット補償回路138自体の調整も、図11のものと同様に、基準レベル調整用の期間において行うことができる。
【0041】
次に、図13は、図8のサンプリング/ホールド回路D1の回路構成をより簡単にした実施形態のサンプリング/ホールド回路D5を示している。この回路D5においては、図示のように、基準電圧Vrについてだけ、2系統のサンプリング回路SP1p、SP2p(キャパシタとスイッチ手段)を設けており、データ電圧Vi側は、1つの共通のサンプリング回路SPnしか設けていない。すなわち、2対の正側および負側サンプリング回路のうちの負側サンプリング回路を共通にした構成であり、したがって、図8の回路におけるキャパシタ120,スイッチ104,112,108,116に相当する要素は省いている。この回路構成は、入力データ電圧Vi用のキャパシタを含むサンプリング回路を1つ省略できるので、回路を小型化したい場合に適している。
【0042】
図14のタイミング図を参照して、図13に示した回路D5の動作を説明する。図示から分かるように、基本クロックCK1,CK2,CDS信号VIN、サンプリング制御クロックCK1A,CK1B、ホールド制御クロックCK3A,CK3Bは、図9のものと同じである。異なっているのは、共通の負側サンプリング回路のサンプリングを制御するクロックCK3が、図9のクロックCK2AとCK2Bを組み合わせもの、すなわち基本クロックCK2に等しくした点にあり、図9のクロックCK2AまたはCK2Bと比べサンプリングを2倍のレートで行わせるよう働く。詳細には、スイッチ113,102は、クロックCK1Aで開閉制御され、スイッチ114,101は、クロックCK1Bで開閉制御される。スイッチ115,103はクロックCK2で開閉制御される。また、スイッチ105,109は、クロックCK3Aで、スイッチ106,110は、クロックCK3Bで、スイッチ107,111は、クロックCK3で、それぞれ開閉制御される。第1動作フェーズにおける正側サンプリング期間t1aにおいて、スイッチ113と、スイッチ102がクロックCK1A=0(ロー)で閉じることにより、アナログ信号VINの基準電圧Vr1と基準電圧LPとの差分(Vr1−LP)がキャパシタ118に蓄積される。このとき、スイッチ110は開いている。次に、第1動作フェーズにおける負側サンプリング期間t2において、スイッチ115と、スイッチ103がクロックCK2=0で閉じることにより、アナログ信号VINのデータ電圧Vi1と基準電圧LMとの差分(Vi1−LM)がキャパシタ119に蓄積される。このとき、スイッチ111は開いている。第1動作フェーズにおけるホールド期間t3aにおいて、スイッチ106とスイッチ110がクロックCK3A=1(ハイ)で閉じ、スイッチ107とスイッチ111がクロックCK3=1で閉じることにより、差動増幅器AMPから(Vr1−Vi1)−(LP−LM)なる電圧が出力される。第1動作フェーズのホールド期間t3aに重なり合う第2動作フェーズの正側サンプリング期間t1bにおいて、スイッチ114とスイッチ101がクロックCK1B=0で閉じることにより、アナログ信号VINの基準電圧Vr2と基準電圧LPとの差分(Vr2−LP)がキャパシタ117に蓄積される。このとき、スイッチ109は開いている。次に、第2動作フェーズにおける負側サンプリング期間t2において、スイッチ115と、スイッチ103がクロックCK2=0で閉じることにより、アナログ信号VINのデータ電圧Vi2と基準電圧LMとの差分(Vi2−LM)がキャパシタ119に蓄積される。このとき、スイッチ111は開いている。第2動作フェーズのホールド期間t3bにおいて、スイッチ105とスイッチ109がクロックCK3B=1で閉じ、スイッチ107とスイッチ111がクロックCK3=1で閉じることにより、差動増幅器AMPから(Vr2−Vi2)−(LP−LM)なる電圧が出力される。
【0043】
図13に示したこの実施形態の回路D5では、基準電圧に対するサンプリング回路についてだけ2系統分を備えるので、クロック発生回路が容易になり、またキャパシタとスイッチの数が減ることで、チップ面積も減少する。さらに、2系統のサンプリング回路間におけるキャパシタとスイッチのばらつきから生じる2系統間のDCオフセット誤差も、図8の実施形態の回路D1と比較して減少する。尚、図13に示した実施形態では、正側の差動入力について2系統のサンプリング回路および多重化用のスイッチを設けているが、負側の差動入力についてだけ2系統のサンプリング回路および多重化用のスイッチを設けることも可能である。例えば、本例では、入力電圧Vi側についてのみ、2系統にすることもできる。また、図13の回路D5に対しては、図10,図11,図12に示したようなオフセット補償回路を同様に設けることもできる。
【0044】
次に、図15は、コモンモード・フィードバック回路を2回路備えたサンプリング/ホールド回路D6を示している。この回路D6は、期間t3のホールド期間を基本クロックの1周期分に拡張したことを特徴としている。すなわち、第1動作フェーズ用のコモンモード・フィードバック回路150(図15の上側に図示)と、第2動作フェーズ用のコモンモード・フィードバック回路152(図15の下側に図示)は、共に、差動増幅器AMPを構成する演算増幅器のバイアス電流トランジスタのゲート電極すなわちコモンモード端子(図示せず)と演算増幅器の反転出力および非反転出力との間に接続され、これにより、その演算増幅器の出力コモンモード電圧を所望のレベルに安定化するようにする。このバイアス電流トランジスタは、演算増幅器のコモンモード電圧を定めるためのトランジスタであり、ゲート端子にコモンモード電圧を制御する所定のバイアス電圧が印加される。尚、これらコモンモード・フィードバック回路150,152は、各々の周知の構成のものであって、コモンモード端子と反転出力間およびコモンモード端子と非反転出力間の各々に対し、2つの並列接続のキャパシタが選択的に接続されるように設け、そして、一方の動作フェーズのホールド期間中にその接続を行い、そして他方の動作フェーズのホールド期間中にその接続を遮断する。コモンモード・フィードバック回路150,152において、端子142にはコモンモード電圧が印加され、端子143には演算増幅器のバイアス電流トランジスタのゲート端子に印加するためのバイアス電圧が印加される。この端子143に印加されるバイアス電圧が所定の値に調整されてバイアス電流トランジスタのゲート端子に印加されることで、コモンモード電圧が制御される。尚、フィードバック回路150と152とでは、選択的接続のための2群のスイッチを設けており、これら2群のスイッチの開閉を制御する信号140,141については、信号140にクロックCK3Aを使用し、信号141にクロックCK3Bを使用する。
【0045】
さらに図16のタイミング図を参照して、図15の回路D6の動作を説明する。尚、図から分かるように、基本クロックCK1,CK2,CDS信号VINは、図9のものと同じである。また、サンプリング制御クロックCK1A,CK2A,CK1B,CK2B、およびホールド制御クロックCK3A,CK3Bも、図9のものと同様であり、そして図8内の各スイッチに対応する図15の各スイッチを制御して、図8のものと同様の動作を実現する。ただし、図9のものと異なっているのは、ホールド制御クロックCK3A,CK3Bが、基本クロックCK1の1周期の持続期間を有しており、しかも第1および第2動作フェーズの一方の正側サンプリング期間(例:t1a)の開始時からその他方の正側サンプリング期間(例:t1b)の開始時まで持続している。この点については、図9では、第1および第2動作フェーズの一方の負側サンプリング期間(例:t2a)の終了時からその他方の負側サンプリング期間(例:t2b)の開始時までの3/4周期の期間持続しているのと異なっている。図16から明らかなように、1対のサンプリング期間と1つのホールド期間とが完全に多重化されて時間的に重なっている。
【0046】
サンプリング/ホールド回路D6の動作上の相違点についてのみ詳細に説明すると、図15に示すアナログ入力VINを2つのサンプリング/ホールド動作フェーズでサンプリング/ホールドする一方で、第1動作フェーズ用のクロック141(すなわちクロック信号CK3A)および第2動作フェーズ用のクロック140(すなわちクロック信号CK3B)により、第1動作フェーズのホールド期間中においてホールド出力を発生している間に、第1動作フェーズ用のコモンモード・フィードバック回路150内の右側のキャパシタの充電を行い、そして第2動作フェーズのホールド期間中に、右側のキャパシタに充電された電荷を左側のキャパシタに転送する。第1動作フェーズのホールド期間に非反転出力と反転出力からなるコモンモード電圧が所望のコモンモード電圧からずれている場合、その差分が演算増幅器のトランジスタのゲート電極に印加され、ホールド出力のコモンモード電圧が所望のコモンモード電圧になるように調整される。第2動作フェーズにホールド期間中においてホールド出力を発生している間は、第2動作フェーズ用のコモンモード回路152に関して上記の動作を繰り返す。こうした回路構成により、1周期分の、すなわち図8の回路よりも長いホールド時間を確保できるので、サンプリング/ホールド動作の一層の高速化、あるいは一層の消費電力低減を実現することができる。
【0047】
次に、図17を参照して、図6の直列(循環)型配置タイプのものをより具体化した1実施形態のサンプリング/ホールド回路E1を説明する。この回路E1は、特に図18に示したようなパラレルA/Dコンバータ(ADC)において、その多数の縦続接続されたA/D変換段のうちの2つの隣接変換段における処理を実行させるのに適している。
【0048】
ここで、先ず図18を参照して従来のパラレルADCについて概略を説明すると、図示のように、パラレルADCは、アナログ入力INを容量結合を介して受けるサンプリング/ホールド回路SHから成る初段と、そして第2段(stage2)、第3段等から成る多数のA/D変換段を備えている。第2変換段は、加算器と、2倍のゲインの増幅器と、サンプリング/ホールド回路SHと、そして1.5ビットのフラッシュA/Dコンバータおよび1.5ビットD/Aコンバータとから構成されている。加算器は、図示のように、前段のサンプリング/ホールド回路SHからの出力(SH−out1として図示)を加算用入力に受け、そして減算用入力に、1.5ビットのフラッシュA/Dコンバータの2ビット出力を1.5ビットD/AコンバータでD/A変換した結果の出力を受け、そしてその加算結果を増幅回路を介してサンプリング/ホールド回路に供給する。このサンプリング/ホールド回路の出力(SH−out2として図示)は、次段である第3変換段の入力として使用される。尚、第3段以降の変換段の回路構成は、第2段と同じである。第2変換段のA/D変換出力(comp1)は、1.5ビットA/Dコンバータの出力から発生される。このような従来のパラレルADCには、各変換段に増幅器を備える必要があるので、消費電力が大きくなるという問題がある。一方、消費電力を抑える目的のために1.5ビットADCの分解能を増やそうとした場合、2.5ビットADCにしたときには4倍、3.5ビットADCにしたときには8倍のゲイン回路が増幅器に必要になる。ゲインをデシベル表示すると、例として示した従来のパイプラインADCの場合2倍のゲインなので6dBであるが、4倍ゲインでは12dB、8倍ゲインでは18dBとなる。これを増幅器のバンド幅で評価するために0dBでのバンド幅を100MHzとすると、増幅器のゲインは、−20dB/decで減少するので、バンド幅は、6dBで53.7MHz、12dBで28.8MHz、18dBでは15.5MHzとなり、ゲインの増大につれて有効バンド幅が狭くなる(つまり、高速化が難しくなる)。このため、従来のパイプラインADCの回路構成では、増幅器の有効バンド幅を上げてコンバータの高速化を図るためには、増幅器の負荷となるサンプリング/ホールド回路SHのキャパシタ及び次段のサンプリング/ホールド回路SHのキャパシタの容量を減らすことが必要であった。次段のキャパシタまで容量を減らす理由は、ホールドされた出力が次段のキャパシタに充電されるからである。
【0049】
図17に示した本発明によるサンプリング/ホールド回路E1は、1つの回路で、図18に示した従来のADCにおける、隣接する2つの変換段(図18では例えば第2変換段と第3変換段)における2つのサンプリング/ホールド回路SHを実現している。これにより、2つの隣接段の2つのサンプリング/ホールド動作を、互いに多重化した2つのサンプリング/ホールド動作フェーズにより、従来より短い期間内で実行することにより、全体として2つの隣接変換段の動作を高速化しようとするものである。尚、このサンプリング/ホールド回路E1では、2つの隣接変換段内の2つの加算器における減算機能も、ホールド期間中に実現する回路も備えている。さらにまた、回路E1では、この差動増幅器AMPの増幅度を×2にすることにより、2つの隣接変換段内の2つの増幅器も、1つの増幅器の共用によって実現することができる。
【0050】
次に、図17を参照して説明すると、このサンプリング/ホールド回路E1は、互いに隣接する変換段(n)と変換段(n+1)の双方のための回路を備えており、図17では、変換段(n)に対する回路は点線で囲んで示しており、そしてその外の回路が変換段(n+1)に対する回路である。尚、差動増幅器AMPは、それら双方の変換段に共通である。このサンプリング/ホールド回路E1の動作を要約すると、2つのサンプリング/ホールド動作フェーズの第1動作フェーズでは、サンプリング期間中に、変換段(n)への前段からの差動入力電圧VIP,VINを受け、また、この差動入力電圧から変換段(n)内の1.5ビットA/Dコンバータおよび1.5ビットD/Aコンバータが発生する減算用差動電圧VRP,VRNを受けてサンプリングを行う。これに続くホールド期間中には、正側の差動入力電圧VIPから正側の減算用差動電圧VRPを減算すると同時にその減算結果をホールドし、同時に、負側差動入力電圧VINから負側減算用差動電圧VRNを減算すると同時にその減算結果をホールドすることにより、差動出力電圧VOP,VONを発生する。次に、第2動作フェーズでは、第1動作フェーズのホールド期間と重複するサンプリング期間中に、変換段(n+1)への変換段(n)からのその差動出力電圧VOP,VONを差動入力電圧として受け、また、この差動出力電圧VOP,VONから変換段(n+1)内の1.5ビットA/Dコンバータおよび1.5ビットD/Aコンバータが発生する減算用差動電圧VRP,VRNを受けてサンプリングを行う。これに続くホールド期間中には、正側の差動入力電圧である正側差動出力電圧VIPから正側の減算用差動電圧VRPを減算すると同時にその減算結果をホールドし、同時に、負側の差動入力電圧であるその負側差動出力電圧VINから負側減算用差動電圧VRNを減算してその減算結果をホールドすることにより、変換段(n+1)の出力を同じく差動出力電圧VOP,VONとして発生する。
【0051】
より詳細に説明すると、サンプリング/ホールド回路E1は、変換段(n)に対する正側サンプリング回路と負側サンプリング回路から成る1つの差動形サンプリング回路を備えている。その正側サンプリング回路は、VIP入力端子と基準電圧V0との間およびVIP入力端子ともう1つのVIP入力端子との間に接続された、スイッチS4、キャパシタC1A、スイッチS9、および第2のキャパシタC3A、スイッチS17とを備えている。一方、負側サンプリング回路は、VIN入力端子と基準電圧V0との間およびVIN入力端子ともう1つのVIN入力端子との間に接続された、スイッチS5、キャパシタC2A、スイッチS11、および第2のキャパシタC4A、スイッチS19とを備えている。また、ホールド部として共用の差動増幅器AMPがある。さらに、正側には、多重化部として、キャパシタC3Aを差動増幅器の非反転入力と反転出力との間に接続するスイッチS14,S22を備え、また、減算を行う手段として、キャパシタC1Aの入力側端をVRPに接続するスイッチS3を備えている。一方、負側には、多重化部として、キャパシタC4Aを差動増幅器の反転入力と非反転出力との間に接続するスイッチS15,S23を備え、また、減算を行う手段として、キャパシタC2Aの入力側端をVRNに接続するスイッチS6を備えている。
【0052】
同様にして、変換段(n+1)も、その正側サンプリング回路として、VOP入力端子と基準電圧V0との間およびVOP入力端子ともう1つのVOP入力端子との間に接続された、スイッチS2、キャパシタC1B、スイッチS10、および第2のキャパシタC3B、スイッチS18とを備えている。一方、負側サンプリング回路として、VON入力端子と基準電圧V0との間およびVON入力端子ともう1つのVON入力端子との間に接続された、スイッチS7、キャパシタC2B、スイッチS12、および第2のキャパシタC4B、スイッチS20とを備えている。また、ホールド部として共用の差動増幅器AMPがある。さらに、正側には、多重化部として、キャパシタC3Bを差動増幅器の非反転入力と反転出力との間に接続するスイッチS13,S21を備え、また、減算を行う手段として、キャパシタC1Bの入力側端をVRPに接続するスイッチS1を備えている。一方、負側には、多重化部として、キャパシタC4Bを差動増幅器の反転入力と非反転出力との間に接続するスイッチS16,S24を備え、また、減算を行う手段として、キャパシタC2Bの入力側端をVRNに接続するスイッチS8を備えている。
【0053】
このような構成をもつサンプリング/ホールド回路E1の詳細な動作を説明すると、変換段(n)がサンプリング動作モードにあり、かつ変換段(n+1)がホールド動作モードにあるときは、種々のスイッチのオン/オフ状態は、以下の通りとなる。
【0054】
【表1】
変換段(n)→ S3&S6:OFF,S4&S5:ON
変換段(n+1)→ S1&S8:ON,S2&S7:OFF
変換段(n)→ S9&S11:ON
変換段(n+1)→ S10&S12:OFF
変換段(n)→ S14&S15:OFF
変換段(n+1)→ S13&S16:ON
変換段(n)→ S17&S19:ON
変換段(n+1)→ S18&S20:OFF
変換段(n)→ S22&S23:OFF
変換段(n+1)→ S21&S24:ON
このような接続により、第1動作フェーズでは、サンプリング期間中に、変換段(n)への前段からの差動入力電圧VIP,VINと、減算用差動電圧VRP,VRNとを受けてサンプリングする。
【0055】
一方、変換段(n)がホールド動作モードにあり、かつ変換段(n+1)がサンプリング動作モードにあるときは、種々のスイッチのオン/オフ状態は、反転して以下の通りとなる。
【0056】
【表2】
変換段(n)→ S3&S6:ON,S4&S5:OFF
変換段(n+1)→ S1&S8:OFF,S2&S7:ON
変換段(n)→ S9&S11:OFF
変換段(n+1)→ S10&S12:ON
変換段(n)→ S14&S15:ON
変換段(n+1)→ S13&S16:OFF
変換段(n)→ S17&S19:OFF
変換段(n+1)→ S18&S20:ON
変換段(n)→ S22&S23:ON
変換段(n+1)→ S21&S24:OFF
このようにして、第1動作フェーズにおけるホールド期間中には、正側の差動入力電圧VIPから正側の減算用差動電圧VRPを減算すると同時にその減算結果をホールドし、同時に、負側差動入力電圧VINから負側減算用差動電圧VRNを減算すると同時にその減算結果をホールドすることにより、差動出力電圧VOP,VONを発生する。また、これと同時に生起する第2動作フェーズにおけるサンプリング期間において、変換段(n+1)への変換段(n)からのその差動出力電圧VOP,VONである差動入力電圧をサンプリングする。尚、第2動作フェーズにおけるホールド動作は、新たに始まる2つのサンプリング/ホールド動作フェーズのサイクルにおける第1動作フェーズのサンプリング動作と同時に実行され、以下上記と同様にして繰り返される。以上に述べた通り、図17のサンプリング/ホールド回路E1は、平衡形、同時サンプリング、差動動作、直列配置の形式を有している。
【0057】
次に、図19は、図17のサンプリング/ホールド回路E1を一部簡略化した実施形態のサンプリング/ホールド回路E2を示している。この回路E2は、図17の回路E1とはほぼ同じであり(同じ要素には、同じ参照番号を付している)、異なっている点は、図17の回路における、チャージ・インジェクション・ノイズを防止するためのスイッチS18,S21,S20,S24を省いている点である。これらスイッチを省いても、用途によっては十分な動作を実現することができる。
【0058】
最後に、図20は、図19のサンプリング/ホールド回路E2に対し、図15に示したのと同じコモンモード・フィードバック回路150,152を設けた1実施形態のサンプリング/ホールド回路E3を示している。その他の要素は、図19の回路E2と全く同じである。また、コモンモード・フィードバック回路150,152は、図15に関連して説明した通りである。この回路E3によれば、差動増幅器AMPの出力電圧を任意のレベルに合わせることができる。
【0059】
尚、図15、図17,図19および図20に示した実施形態のサンプリング/ホールド回路においては、2対のVRP端子およびVRN端子の各対が各変換段内の1.5ビットD/Aコンバータの出力に接続された場合について記述している。しかし、これら種々の実施形態においては、1つの基準電圧V0ではなく2つの基準電圧V0,V1を用い、そして4つのキャパシタC1A,C2A,C1B,C2Bの各々を、4つのキャパシタで構成しそしてこれら4つのキャパシタを切り替えて使用する方法も可能である。
【0060】
以上に詳細に説明した本発明の種々の実施形態においては、種々の変更が可能である。第1に、図8〜図20の種々の実施形態は、回路構成は不平衡形であってもサンプリング/ホールド動作自体は差動形のものであるが、本発明は、サンプリング/ホールド動作自体がシングルエンド形式で動作する場合にも、同様に用いることができる。第2に、上記の各種実施形態では、差動増幅器のゲインは、異なったサンプリング/ホールド動作フェーズを通して同一のものとして特に説明しなかったが、必要に応じて、特定のサンプリング/ホールド動作フェーズに関して特定のゲインをもつように、差動増幅器のゲイン設定回路が異なったゲインを設定するよう切換可能とすることもできる。例えば、図18のパラレルADCに図17のサンプリング/ホールド回路を使用する場合、第1動作フェーズに対する差動増幅器AMPのゲインと第2動作フェーズに対するそのゲインを異なったものとすることができる。尚、これらゲインを隣接変換段間で一致させるかあるいは比較的同じ値のものとすることにより、両変換段全体として増幅器のスピードを平均化することができる。また、第3に、図17〜図20の実施形態は、パイプラインADCに関連して説明したが、A/D変換段が縦続接続される任意の他の形式のA/Dコンバータにも同様に適用することが可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上に述べた本発明によれば、サンプリング/ホールド動作の多重化により、複数のサンプリング/ホールド動作が従来より短期間で実行可能となり、これによって、サンプリング/ホールド動作自体あるいはこれを使用した処理の速度の高速化を図ることができる。また、サンプリング/ホールド動作の多重化により、従来と同じサンプリング/ホールド期間が与えられた場合には、従来よりホールド期間を長くすることができ、これによって電力消費の低減もしくはホールド出力の安定を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のサンプリング/ホールド回路の一般化した実施形態を示すブロック図。
【図2】図2は、図1の実施形態をより具体化した1実施形態のサンプリング/ホールド回路Aを示すブロック図。
【図3】図3は、図1の実施形態をより具体化した別の実施形態のサンプリング/ホールド回路Bを示すブロック図。
【図4】図4は、図1の実施形態をより具体化したさらに別の実施形態のサンプリング/ホールド回路Cを示すブロック図。
【図5】図5は、図1の実施形態をより具体化した、並列配置の回路構成の1実施形態であるサンプリング/ホールド回路Dを示すブロック図。
【図6】図6は、図1の実施形態をより具体化した、直列配置あるいは循環形配置の1実施形態のサンプリング/ホールド回路Eを示すブロック図。
【図7】図7は、図6の直列配置構成を簡略化した交差配置のサンプリング/ホールド回路Eを示すブロック図。
【図8】図8は、図5のサンプリング/ホールド回路Dをより具体化した1実施形態のサンプリング/ホールド回路D1を示すブロック図。
【図9】図9は、図8のサンプル/ホールド回路D1の動作を説明するためのタイミング図。
【図10】図10は、図5のサンプリング/ホールド回路Dをより具体化した別の実施形態のサンプル/ホールド回路D2を示すブロック図であり、開ループのオフセット補償を付加している。
【図11】図11は、図5のサンプリング/ホールド回路Dをより具体化した別の実施形態のサンプル/ホールド回路D3を示すブロック図であり、閉ループのフィードバック形オフセット補償回路を設けている。
【図12】図12は、図5のサンプリング/ホールド回路Dをより具体化した別の実施形態のサンプル/ホールド回路D4を示すブロック図であり、閉ループのフィードフォワード形オフセット補償回路を設けている。
【図13】図13は、図8のサンプリング/ホールド回路D1の回路構成をより簡単にした実施形態のサンプリング/ホールド回路D5を示すブロック図。
【図14】図14は、図13に示したサンプリング/ホールド回路D5の動作を説明するためのタイミング図。
【図15】図15は、図5のサンプリング/ホールド回路Dをより具体化した別の実施形態のサンプル/ホールド回路D6を示すブロック図であり、コモンモード・フィードバック回路を2回路設けている。
【図16】図16は、図15のサンプリング/ホールド回路D6の動作を説明するためのタイミング図。
【図17】図17は、図6の直列(循環)型配置タイプのものをより具体化した1実施形態のサンプリング/ホールド回路E1を示すブロック図。
【図18】図18は、図17のサンプリング/ホールド回路に適用することが可能である、従来のパラレルA/Dコンバータ(ADC)を示すブロック図。
【図19】図19は、図17のサンプリング/ホールド回路E1を一部簡略化した実施形態のサンプリング/ホールド回路E2を示すブロック図。
【図20】図20は、図19のサンプリング/ホールド回路E2に対し、図15に示したのと同じコモンモード・フィードバック回路を設けた1実施形態のサンプリング/ホールド回路E3を示すブロック図。
【符号の説明】
1 サンプリング部の入力端子
2 サンプリング部
3 サンプリング部の出力端子
4 多重化部
5 ホールド部の入力端子
6 ホールド部
7 ホールド部の出力端子
AMP 差動増幅器
【発明の属する技術分野】
本発明は、アナログ信号処理に関し、特に、高速動作が要求される用途に特に適したサンプリング/ホールド動作方法および回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、アナログ信号をサンプリングしホールドする回路として、サンプル/ホールド(S/H)回路を1段使用したものがある。このような1段のサンプル/ホールド回路においては、受けた入力を周期的にサンプリングしホールドする。すなわち、各S/H周期毎に、サンプリング(S)期間とこれに後続するホールド(H)期間とから成るサンプリング/ホールド(S/H)動作を繰り返す。したがって、S/H動作を繰り返し実行しているときは、S期間およびH期間の組から成るS/H期間が、その1つの終了後に次の1つが始まるという形式で、時間的に連続することになる。このような場合に、S/H動作を高速化しようとする場合、各S/H期間を短縮する必要がある。しかし、特にホールド(H)期間を短くした場合には、ホールド期間中における電圧収束に不足が生じることになる。一方、ホールド期間中におけるこの電圧収束は、ホールド動作に関わる増幅器に流れる電流を大きくすることによって速めることができるが、その電流増大によって消費電力が増すという問題も生ずる。
【0003】
また、パイプラインA/Dコンバータにおいては、縦続接続された多数のA/D変換段の各々には、1つのS/H回路が設けられている。各変換段は、直前の変換段におけるS/H回路のS/H動作を含む変換処理の結果としての出力を受けると、これに対し別のS/H動作を含む変換動作を実行するように構成されている。この動作は、S/H動作のみに着目すれば、個々のS/H動作が、上記の1段のS/H回路と同様に、S/H期間がその1つの終了後に次のものが始まるという形式で時間的に連続して生起する。このため、多数のA/D変換段を含むA/Dコンバータ全体の変換時間は、基本的には、変換段の数にS/H期間を乗じた期間に影響を受けることになる。このことは、A/Dコンバータ全体の変換を、各変換段内のS/H期間を短縮することによって高速化しようとする場合、上記1段のS/H回路の高速化のときと同様の問題が生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、より高速に実行できるサンプリング/ホールド動作の方法および回路を提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、低い消費電力で実行できるサンプリング/ホールド動作の方法および回路を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、上記のサンプリング/ホールド動作方法を用いたA/Dコンバータを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明によるサンプリング/ホールド方法では、複数のサンプリング/ホールド動作を多重化して実行すること、を特徴とする。本発明では、従来のS/H動作において、サンプリング動作とホールド動作とが互いに時間的に重なっていないサンプリング期間とホールド期間において実行されており、サンプリング期間中はホールド動作は行われず、またホールド期間中はサンプリング動作が行われない、ということに着目した。
【0007】
本発明によれば、前記複数のサンプリング/ホールド動作の複数の前記サンプリング動作は、空間分割多重化するようにできる。また、前記複数のサンプリング/ホールド動作の各々は、サンプリング動作とホールド動作とを有し、前記複数のサンプリング/ホールド動作の複数の前記ホールド動作を、時分割多重化して実行するようにもできる。
【0008】
また、本発明による、サンプリング動作を行うサンプリング期間とホールド動作を行うホールド期間とを各々有する複数のサンプリング/ホールド動作フェーズで実行するサンプリング/ホールド方法は、前記複数のサンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記サンプリング動作を実行するステップと、前記複数のサンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記ホールド動作を時分割多重化して実行するステップと、から成る。
【0009】
本発明によれば、少なくとも1つの前記サンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記サンプリング動作は、別の1つの前記サンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記ホールド動作と、時間的に重なった期間において実行するようにできる。この場合、前記複数のサンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記ホールド動作は、共通のホールド手段で行うようにできる。
【0010】
また、本発明によれば、各前記サンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記サンプリング動作は、1つの入力からサンプリングすること、を含むようにできる。
【0011】
あるいはまた、各前記サンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記サンプリング動作は、2つの入力からサンプリングすること、を含むようにできる。この場合、前記2つの入力からのサンプリングは、同時に実行するようにでき、そして前記2つの入力は、1対の差動入力とすることができる。また、前記2つの入力からのサンプリングは、非同時に実行するようにできる。この場合、前記2つの入力は、1対の差動入力とすることができ、そして前記1対の差動入力は、1つのCDS信号からの2つの信号入力とすることができる。
【0012】
また、本発明によれば、複数の前記サンプリング/ホールド動作フェーズは、1つの入力に対し、直列的に連続して実行する動作フェーズとすることができる。また、直列的に連続して実行する複数の前記サンプリング/ホールド動作フェーズは、パイプラインA/Dコンバータにおける隣接する2つのA/D変換段において実行するものとすることができる。さらにまた、本発明によれば、複数の前記サンプリング動作フェーズは、並列で実行するものとすることができる。
【0013】
また、本発明によれば、前記ホールド動作は、サンプル値の増幅を含むようにできる。この場合、前記増幅は、前記複数のサンプリング/ホールド動作フェーズの前記ホールド動作に対して、互いに異なった増幅度を有するようにできる。
【0014】
さらに、本発明による、サンプリング/ホールド回路は、複数のサンプリング手段であって、各サンプリング手段が、入力と出力を有し、前記入力で受けた値をサンプリングしてこのサンプル値を蓄積するとともに、この蓄積したサンプル値を前記出力に発生するよう動作する、前記の複数のサンプリング手段と、入力と出力とを有する1つのホールド手段と、前記複数のサンプリング手段のうちの任意の1つの前記出力を、前記1つのホールド手段の前記入力に接続する多重化手段であって、これにより、前記ホールド手段が、前記サンプル値をホールドして前記ホールド手段の前記出力に発生するようにさせる、前記の多重化手段と、から成る。
【0015】
本発明によれば、各前記サンプリング手段は、蓄積手段と、前記サンプリング手段の入力を前記蓄積手段に接続するためのサンプリング・スイッチ手段と、から成るようにできる。また、前記多重化手段は、前記複数のサンプリング手段を1つずつ順番に前記ホールド手段に接続することによって、前記複数のサンプリング手段からの複数の前記サンプル値を多重化する多重化スイッチ手段を含むようにできる。
【0016】
また、本発明によれば、前記複数のサンプリング手段の各々は、差動形で動作する1組のサンプリング回路から成るようにできる。また、複数の前記差動形で動作するサンプリング回路組は、1つの共通のサンプリング回路を有するようにできる。また、前記ホールド手段は、2つの差動入力を有する差動増幅器から成るようにできる。前記サンプリング回路は、1つのサンプリング・スイッチ手段と、1つのキャパシタとから成るようにできる。
【0017】
また、本発明によれば、前記複数のサンプリング手段の各々は、シングルエンド形で動作する1つのサンプリング回路から成るようにできる。
また、本発明によれば、前記ホールド手段は、増幅手段を含むようにできる。この場合、前記増幅手段は、前記複数のサンプリング/ホールド動作フェーズの前記ホールド動作において異なった増幅度で動作できる可変増幅手段から成るようにできる。前記異なった増幅度は、互いに近い増幅度とすることができる。
【0018】
また、本発明によれば、前記複数のサンプリング手段の複数の前記入力は、互いに異なった入力信号を受けるように接続することができる。あるいはまた、前記複数のサンプリング手段は、順番に配置し、前記複数のサンプリング手段のうちの最初の前記サンプリング手段の前記入力は、入力を受けるように接続し、該最初のサンプリング手段に後続する前記サンプリング手段の前記入力は、前記ホールド手段の出力に接続し、これによって該サンプリング手段が、直前の前記サンプリング手段からの前記サンプル値を前記ホールド手段を介して受けるようにすることができる。この場合、前記サンプリング手段の数は、2つとすることができる。
【0019】
さらに、本発明のサンプリング/ホールド回路は、さらに、前記サンプリング手段の前記出力に接続したオフセット補償手段を備えるようにできる。この場合、前記オフセット補償手段は、開ループの補償回路あるいは閉ループの補償回路から成るようにできる。前記閉ループの補償回路は、前記ホールド手段の出力に接続した入力を有するようにできる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の種々の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
先ず、図1を参照すると、これには、本発明のサンプリング/ホールド回路の一般化した実施形態を示している。図示のように、このサンプリング/ホールド回路は、複数のk個のサンプリング部2−1〜kと、多重化部4と、1つのホールド部6とを備えている。サンプリング部2−1〜kは、それぞれ入力1〜kを受ける入力端子1−1〜kと、受けた入力をサンプリングしてそのサンプル値を蓄積すると共に、この蓄積したサンプル値を出力する出力端子3−1〜kを備えている。多重化部4は、これら出力端子3−1〜kに接続したk個の入力を有し、そしてこれらk個の入力のうちの1つを任意の順序で選択してその出力に接続する。多重化部4のこの出力に接続した入力端子5を有するホールド部6は、サンプリング部2−1〜kのうちの1つからのサンプル値を受け、そしてこのサンプル値をホールドした出力をその出力端子7に発生する。尚、キャパシタのようなサンプル値を蓄積する蓄積器は、一般的には、サンプリング時にはサンプリング部側に含まれ、ホールド時にはホールド部側に含まれると考えられるが、本明細書では、説明を分かりやすくするため、そのような蓄積器は、サンプリング部の側に含まれ、ホールド部には含まれないものとする。
【0021】
図1のサンプリング/ホールド回路では、k個のサンプリング部2−1〜kは空間分割多重化しているため、サンプリング/ホールド回路全体としては、多重化したk個のサンプリング/ホールド動作フェーズを有している。各動作フェーズでは、k個のサンプリング部2−1〜kの各々と1つのホールド部6との組み合わせにより、1つのサンプリング/ホールド動作を実行する。また、各動作フェーズ間では、ホールド部6はk個のサンプリング部2−1〜kに対し時分割多重化して使用するため、各動作フェーズにおけるホールド動作は、他の動作フェーズにおけるホールド動作とは互いに時間的に重ならない期間中に実行される。このような多重化サンプリング/ホールド動作フェーズにおいては、サンプリング部2−1〜kは、その空間分割多重化のため、それらのサンプリング動作は、k個のサンプリング部間において、同時にあるいは非同時に実行させることができ、しかも、各動作フェーズにおけるサンプリング動作は、別の動作フェーズにおけるホールド期間中に実行することができるようになる。この結果、2以上のサンプリング/ホールド動作を従来よりも短期間に実行することができる。これは、従来のサンプリング/ホールド回路では行えなかったものである。
【0022】
図1に示した一般化したサンプリング/ホールド回路は、さらに、種々の具体的な形態をとることができる。すなわち、回路構成を、不平衡形あるいは平衡形としたり、またサンプリング/ホールド回路内の動作を、シングルエンド動作としたりあるいは差動形動作としたりすることができる。あるいはまた、複数のサンプリング部を、動作上、並列に配置したり、あるいは直列に配置したりすることもできる。
【0023】
以下、図2〜図7を参照して、これら種々の形態の回路構成について説明する。尚、図2〜図7において、図1と同様の要素には、図1で使用した参照番号に記号“A”〜“F”を付している。
【0024】
先ず、図2は、図1の構成をより具体化した1実施形態のサンプリング/ホールド回路Aを示している。図2に示したこのサンプリング/ホールド回路Aは、不平衡形、すなわちシングルエンドの回路構成を有するものである。このため、図1のサンプリング部2−1〜kの各々は、1つのサンプリング回路2A−1〜kの対応するもので構成されている。ここで、各サンプリング回路は、サンプリング・スイッチと、蓄積器として作用するキャパシタとから構成することができる。このシングルエンド形の回路構成においても、図1で述べた多重化の効果を得ることができる。
【0025】
図3は、図1の構成をより具体化した別の実施形態のサンプリング/ホールド回路Bを示している。この図3に示した回路は、不平衡形の回路構成を有しているが、回路内部の動作は、差動形となっている。この回路は、CCDからのCDS(相関二重サンプリング)信号のように、1つの信号に2つの信号成分(例えば基準電圧レベルと、入力電圧レベル)が含まれており、そしてそれら信号成分の差がデータとして使用されるような場合に適している。この場合、図3に示したように、図1のサンプリング部2−1〜kに対応するサンプリング部2B−1〜kの各々は、1対のサンプリング回路2Bx−1および2By−1、2Bx−2および2By−2…2Bx−kおよび2By−kの対応するものから構成されている。各1対のサンプリング回路は、共通の1つの入力端子1B−1〜kを有し、そして差動動作のため、1対の差動出力端子3Bx−1および3By−1、3Bx−2および3By−2…3Bx−kおよび3By−kの対応するものを有している。多重化部4Bは、これらk個の1対のサンプリング回路出力を受け、そしてそれらのうちの任意の1対の出力を選択して、ホールド部6Bの1対の入力端子5Bxおよび5Byに供給する。ホールド部6Bは、ホールドした出力を1つの出力端子7Bに出力する。尚、この1つの出力端子は、差動動作のために1対の差動出力端子とすることもできる。この図3に示した回路構成では、1対のサンプリング回路は、CDS信号のような2つの時間的にずれた信号成分部分を有する信号からサンプリングするため、互いに時間的に重ならないサンプリング期間を有している。また、異なった対のサンプリング回路は、互いに同じ期間あるいは異なった期間にサンプリング動作を行うようにできる。
【0026】
次に、図4は、図1の構成をより具体化したさらに別の実施形態のサンプリング/ホールド回路Cを示している。この回路は、図3の回路と類似しており、異なっている点は、平衡形の回路構成のため、図1のサンプリング部に対応する各サンプリング部2C−1〜kがそれぞれ有する1対のサンプリング回路2Cx−1および2Cy−1…2Cx−kおよび2Cy−kの各々が、互いの1対の入力端子1Cx−1および1Cy−1…1Cx−kおよび1Cy−kを備えていることである。これにより、各対のサンプリング回路の一方(例えば2Cx−1…または2Cx−k)は、正側の差動入力(入力1p〜kpの対応するもの)を受け、そして他方のサンプリング回路(例えば2Cy−1…または2Cy−k)が負側の差動入力(入力1n〜knの対応するもの)を受けることになる。この回路の場合、各対のサンプリング回路は、互いに一致するあるいは重なるサンプリング期間を有することもできる。尚、出力端子7Cは、必要に応じて1対の差動出力端子とすることができる。
【0027】
次に、図5は、並列配置の回路構成の1実施形態であるサンプリング/ホールド回路Dを示している。この回路が図3の回路と異なっている点は、各対のサンプリング回路2Dx−1および2Dy−1…2Dx−kおよび2Dy−kの入力端子がすべて互いに接続されて1つの入力端子1Dに接続していることである。したがって、すべてのサンプリング回路は、互いに並列に配置され、しかも互いに重ならない期間においてサンプリング動作を行うような構成になっている。さらに、別の例として、図2〜図4に示したものも、並列配置の構成を備えている。
【0028】
この図5と同様にして、図4のサンプリング/ホールド回路において、正側入力端子1Cx−1〜1Cx−kとを互いに接続し、そして負側入力端子1Cy−1…1Cy−kを互いに接続することにより、図5の回路の平衡回路構成を形成することもできる。
【0029】
次に、図6は、直列配置あるいは循環形配置の1実施形態のサンプリング/ホールド回路Eを示している。この回路では、k個のサンプリング部2E−1〜kのうちの最初のサンプリング部2E−1の入力端子1E−1のみが、入力を受けるように接続しており、そして残りのサンプリング部2E−2〜kの入力端子1E−2〜kは、ホールド部6Eの出力端子7Eにそれぞれ接続している。このサンプリング/ホールド回路Eは、最初のサンプリング部2E−1からのホールドされたサンプル値を、次に続くサンプリング部2E−2がホールド部6Eを介して受け、そしてこれに対し、別のサンプリング/ホールド動作をする。同様にして、このサンプリング/ホールド動作結果を、さらに次のサンプリング部2E−3(図示せず)がホールド部6Eを介して受け、そしてこれに対し更に別のサンプリング/ホールド動作を行い、以下、この動作を繰り返す。最後のサンプリング部2E−kは、以上のようにして受けたホールド部からの出力を受け、そしてこれに対し最後のサンプリング/ホールド動作を行った結果が、出力端子7Eに発生する。このように、多数のサンプリング部のこの特定の接続方法により、多数のサンプリング/ホールド動作を直列あるいは循環形式で接続する。このような直列接続構成の場合、サンプリング/ホールド回路内の任意の場所、例えばホールド部6E内に、増幅その他の信号処理手段を含めることにより、同じ信号処理を繰り返し入力端子に1E−1に受けた入力に対し適用することができる。また、繰り返し適用する信号処理は、全く同じである必要はなく、各サンプリング/ホールド動作毎に、増幅度等を変化させること等によって適用する信号処理を変化させることができる。図6に示した回路構成は、後述するように、特にパイプラインA/Dコンバータにおける多数のA/D変換段において使用するのに適している。
【0030】
図7は、図6の直列配置構成を簡略化した交差配置のサンプリング/ホールド回路Fを示している。この回路では、サンプリング部はk個ではなく2個のみ設けている。図7に示した配置では、サンプリング部2F−1が最初に1つの入力を受けた後は、この1つの入力に関して、ホールド部6Fの出力をサンプリング部2F−1とサンプリング部2F−2とが交互に受けるように構成し、そして所定の回数だけサンプリング/ホールド動作が連続して実行した後に、出力端子7Fから出力するようにする。この出力の後、再び、サンプリング部2F−1は、新たな入力を受けるように接続する。この配置では、2個のサンプリング部のみで、3以上の任意の数のサンプリング/ホールド動作を連続して実行することができる。
【0031】
次に、図8〜図16を参照して、図5のサンプリング/ホールド回路Dをより具体化した種々の実施形態のサンプリング/ホールド回路について説明する。尚、これら種々の回路は、図5の回路において2つのサンプリング部、すなわち2対のサンプリング回路を備えたものに対応するものであり、そして入力に、CDS(相関二重サンプリング)信号入力であるアナログ信号VINを受けるように接続している。尚、CDS信号であるアナログ信号VINは、その1周期の前半部分が基準電圧レベルVrを有し、そして後半部分がデータ電圧レベルViを有している。これら電圧レベル間の差が、信号すなわちデータを表している。
【0032】
先ず、図8を参照すると、これには、第1の実施形態であるサンプリング/ホールド回路D1を示している。この回路D1においては、第1と第2から成る2つの多重化したサンプリング/ホールド動作フェーズで動作する2対の差動動作するサンプリング回路を備えている。一方の対の差動動作するサンプリング回路、すなわち第1サンプリング/ホールド動作フェーズ用のサンプリング回路対は、キャパシタ118と、入力とキャパシタ118の一端間に接続したスイッチ102(サンプリング制御クロックCK1Aで作動)と、キャパシタ118の他端と基準電圧LPとの間に接続したスイッチ113(クロックCK1Aで作動)とから成る1つの正側サンプリング回路SP1pと、キャパシタ119と、入力とキャパシタ119の一端間に接続したスイッチ103(サンプリング制御クロックCK2Aで作動)と、キャパシタ119の他端と基準電圧LPより負の基準電圧LMとの間に接続したスイッチ115(クロックCK2Aで作動)とから成る1つの負側サンプリング回路SP1nと、で構成されている。同様にして、他方の対の差動動作するサンプリング回路、すなわち第2のサンプリング/ホールド動作フェーズ用のサンプリング回路対は、同様の回路接続形態で、キャパシタ117と、スイッチ101(サンプリング制御クロックCK1Bで作動)と、スイッチ114(クロックCK1Bで作動)とから成る1つの正側サンプリング回路SP2pと、キャパシタ120と、スイッチ104(サンプリング制御クロックCK2Bで作動)と、スイッチ116(クロックCK2Bで作動)とから成る1つのサンプリング回路SP2nと、で構成されている。また、多重化部として、サンプリング回路SP1pからのサンプル値を受けるため、1対のスイッチ、すなわち、キャパシタ118とスイッチ113との接続点と差動増幅器の非反転入力との間に接続したスイッチ110(ホールド制御クロックCK3Aで作動)と、キャパシタ118とスイッチ102との接続点と差動増幅器の反転出力との間に接続したスイッチ106(クロックCK3Aで作動)とを備えている。また、サンプリング回路SP1nからのサンプル値を受けるため、1対のスイッチ、すなわち、キャパシタ119とスイッチ115との接続点と差動増幅器の反転入力との間に接続したスイッチ111(クロックCK3Aで作動)と、キャパシタ119とスイッチ103との接続点と差動増幅器の非反転出力との間に接続したスイッチ107(クロックCK3Aで作動)とを備えている。同様にして、多重化部として、同様の接続形態で、サンプリング回路SP2pからのサンプル値を受けるため、1対のスイッチ109と105(双方ともホールド制御クロックCK3Bで作動)を備え、また、サンプリング回路SP2nからのサンプル値を受けるため、1対のスイッチ112と108(双方ともクロックCK3Bで作動)とを備えている。ホールド部としては、図示のように、非反転入力と反転入力を有し、また反転出力と非反転出力とを有する差動増幅器AMPを備え、そして反転出力と非反転出力間に、ホールドされた出力が発生される。ここで、LP,LMは、基準となる電圧レベル(例えば、黒レベルの電圧レベル)を決めるための電圧であり、例えば、Vr=1.5V,Vi=0.5〜1.5Vの場合、LM=0.5V,LP=1.0Vに設定することができる。この場合、差動増幅器AMPの出力電圧OUT(=(Vr−Vi)−(LP−LM))は、OUT=(1.5−Vi)−0.5=−0.5〜0.5となる差動出力が得られる。
【0033】
次に、図9を参照して、上記回路構成を有する図8のサンプル/ホールド回路D1の動作を説明する。図示のように、この回路の動作を制御する2つの基本クロックCK1,CK2がある。これらクロックは、入力信号VINと同じ周期を有し、そしてデューティー比が25パーセントで、しかも互いに180度位相が遅れている。これにより、これら2つのクロックのローの期間は、図示のように、クロックの1/4周期の期間でしかも隣接する同じ周期の期間とは1/4周期離間した4つのサンプリング期間t1a、t2a、t1b、t2bを定める。これらは、サンプリング制御クロックCK1A,CK2A,CK1B,CK2Bにより定められる。すなわち、クロックCK1Aは、クロックCK1の奇数番目のロー期間のみの間ローになり、そしてクロックCK2Aは、クロックCK2の奇数番目のロー期間の間のみローとなる、一方、クロックCK1Bは、クロックCK1の偶数番目のローの間のみローになり、そしてクロックCK2Bは、クロックCK2の偶数番目のローの間のみローとなる。また、クロックCK2のハイの期間は、ホールド期間を定める。すなわち、ホールド制御クロックCK3Aは、クロックCK2の奇数番目のローに続くハイの間すなわち奇数番目のハイの期間(t3a)の間ハイとなり、そしてホールド制御クロックCK3Bは、偶数番目のハイの期間(t3b)の間ハイとなる。これらクロックにより、2つのサンプリング/ホールド動作フェーズが定められ、1つの動作フェーズは、2つのサンプリング期間と1つのホールド期間(t1a−t2a−t3aと,t1b−t2b−t3b)から成り、そして1回のサンプリング/ホールド動作は、クロックCK1の2周期に相当するの長さであり、そして2つのサンプリング/ホールド動作フェーズは、互いに基本クロックCK1の1周期分ずれている。また、1つのホールド期間と1つのサンプリング期間とが多重化されて時間的に重なっている。
【0034】
このサンプル/ホールド回路D1の全体の動作について説明すると、期間t1aにおいて、スイッチ113と、スイッチ102がクロックCK1Aにより閉じることにより正側サンプリング回路SP1pが作動して、アナログ信号VINの基準電圧Vr1と基準電圧LPとの差分(Vr1−LP)がキャパシタ118に蓄積される。このとき、スイッチ110は開いている(クロックCK3Aはロー)。次に期間t2aにおいて、スイッチ115と、スイッチ103がクロックCK2Aによって閉じることにより負側サンプリング回路SP1nが作動して、アナログ信号VINのデータ電圧Vi1と基準電圧LMとの差分(Vi1−LM)がキャパシタ119に蓄積される。このとき、スイッチ111は開いている(クロックCK3Aは同じくロー)。期間t3aにおいて、クロックCK3Aによりスイッチ106と、スイッチ107と、スイッチ110と、スイッチ111とが閉じることにより、差動増幅器AMPから(Vr1−Vi1)−(LP−LM)なる電圧が出力される。期間t3aは期間t2aの終わりのエッジから、次の期間t2bの始まりのエッジまで取ることができる。次に、期間t1bにおいて、スイッチ114と、スイッチ101がクロックCK1Bによって閉じることにより別の正側サンプリング回路SP2pが作動して、アナログ信号VINの基準電圧Vr2と基準電圧LPとの差分(Vr2−LP)がキャパシタ117に蓄積される。このとき、スイッチ109は開いている(クロックCK3Bはロー)。次に期間t2bにおいて、スイッチ116と、スイッチ104がクロックCK2Bによって閉じることにより別の負側サンプリング回路SP2nが作動して、アナログ信号VINのデータ電圧Vi2と基準電圧LMとの差分(Vi2−LM)がキャパシタ120に蓄積される。このとき、スイッチ112は開いている(クロックCK3Bはまだロー)。期間t3bにおいて、クロックCK3Bによりスイッチ105と、スイッチ108と、スイッチ109と、スイッチ112とが閉じることにより、差動増幅器AMPから(Vr2−Vi2)−(LP−LM)なる電圧が出力される。期間t3bは期間t2bの終わりのエッジから、次の期間t2cの始まりのエッジまで取ることができる。
【0035】
このように、2系統のキャパシタ群−スイッチ群、すなわち各々1対のサンプリング回路から成る2つのサンプリング部を用意することによって、交互にアナログ信号の取り込みと保持を行うことができる、すなわち1つのサンプリング/ホールド動作フェーズのホールド期間中に別のサンプリング/ホールド動作フェーズのサンプリング動作を実行することができるため、ホールド期間t3を長く確保することができる。この結果、信号処理の高速化及び低消費電力化を図ることができる。
【0036】
次に、図10は、開ループのオフセット補償を付加した1実施形態のサンプル/ホールド回路D2を示している。この回路D2は、図8の回路とほぼ同じであり(同じ要素には、同じ参照番号を付している)、異なっている点は、正側基準電圧として2つの別個の基準電圧LPA,LPBと、そして負側基準電圧として2つの別個の基準電圧LMA,LMBを設けている点である。この回路構成は、2系統すなわち2つのサンプリング部(1対のサンプリング回路から成るもの)の間で保持電圧すなわち蓄積電圧のばらつきが問題になる場合に有利である。すなわち、このばらつきはそれぞれキャパシタ117と118、もしくはキャパシタ119と120、スイッチ101と102、スイッチ103と104、スイッチ105と106、スイッチ107と108、スイッチ113と114、スイッチ115と116の間のばらつきに起因して生じる。図10に示したサンプル/ホールド回路D2を用いることにより、保持電圧間のDCオフセットを補正することが可能になる。この補正は、具体的には、基準電圧LPAとLPB、もしくは基準電圧LMAとLMBを個別に調整することにより、DCオフセット電圧を補正することができる。
【0037】
次に、図11は、閉ループのフィードバック形オフセット補償回路を設けたサンプル/ホールド回路D3を示している。この回路D3は、図10の回路と異なり、図8の回路D1において、正側基準電圧のみをLPA,LPBの2つに分離し、そしてこれら2つの基準電圧を閉ループのフィードバック形オフセット電圧補償回路137で供給するように構成している。これ以外の点は、図8の回路と同じであり、したがって同じ要素には同じ参照番号を付してある。
【0038】
詳細には、差動増幅器AMPの出力をA/D変換するA/Dコンバータ121と、このコンバータのデジタル出力130を受けるオフセット電圧補償回路137とを設けている。オフセット電圧補償回路137の入力は、A/Dコンバータ121を介して差動増幅器AMPの出力に接続している。さらに詳細には、A/Dコンバータ121は、取り込まれたアナログ信号VINがホールド期間t3a,t3b,…(図9参照)で順次差動増幅器AMPから出力されるアナログ電圧をデジタル出力130にA/D変換する。このデジタル出力130を受けるオフセット電圧補償回路137は、そのA/D変換結果130と所定の基準値127を減算手段126により減算して、その差分をスイッチ128またはスイッチ129でD/Aコンバータ122または123に接続する。D/Aコンバータ122または123は、その差分をD/A変換した後に、それぞれバッファ124および125を介して、2つのサンプリング回路の出力に供給する正側基準電圧LPA及びLPBにフィードバックし、これによって、A/D変換した結果130が予め設定した上記基準値127に等しくなるように制御する。尚、スイッチ128と129は、例えばCCDデバイスからのCDS信号における、基準レベルを調整するために設けられた10画素〜50画素程度の期間において選択的に開閉を行うように制御される。この基準レベル調整用の期間において、アナログ入力信号VINとして、例えば黒基準レベルのような基準電圧が入力される。尚、このオフセット補償回路137は、その基準レベル調整用期間中に決定した基準電圧LPA,LPBを発生するのに必要な補償用データを記憶し、そしてその期間経過後は、次の基準レベル調整用期間に至るまで、この補償用データに基づき一定の基準電圧LPA,LPBを発生し続ける。このようにして、このオフセット電圧補償回路137を基準電圧LPA、LPBを供給しかつそれら基準電圧へのフィードバックを行うように接続することにより、負側基準電圧は、図10のようにLMAとLMAの2つの分離する必要はなく、共通化したままとすることができる。
【0039】
次に、図12は、閉ループのフィードフォワード形オフセット補償回路を備えたサンプル/ホールド回路D4を示している。この回路D4は、図11の回路と異なり、図8の回路D1に対し、差動増幅器AMPの出力側に、デジタル演算によるDCオフセット補償をフィードバック形式ではなくフィードフォワード形式で設けている。これ以外の点は、図8の回路および図11の回路の一部と同じであり、したがって同じ要素には同じ参照番号を付してある。
【0040】
詳細には、差動増幅器AMPの出力をA/D変換するA/Dコンバータ121と、このコンバータのデジタル出力130を受けるオフセット電圧補償回路138とを設けている。オフセット電圧補償回路138の入力は、図11の場合と同様に、A/Dコンバータ121を介して差動増幅器AMPの出力に接続している。A/Dコンバータ121は、取り込まれたアナログ信号VINがホールド期間t3a,t3b,…(図9参照)で順次差動増幅器AMPから出力されるアナログ電圧をデジタル出力130にA/D変換する。このデジタル出力130を受けるオフセット電圧補償回路138は、このA/D変換結果130と基準値127を減算手段126により減算して、その差分をスイッチ128または129でデジタル・フィルタ回路131または132に入力する。デジタル・フィルタ回路131または132は、入力されたこのデジタル値に対してローパス・フィルタ処理もしくは平均化処理を行い、そしてその結果をスイッチ134またはスイッチ133を介して、A/Dコンバータ121の出力を一方の入力に受ける加算器135の他方の入力にフィードフォワードする。このフィードフォワード制御により、加算器135の出力であるA/D変換結果であるデジタル出力136が、予め設定された基準値127に等しくなるように制御する。ここで、スイッチ128、フィルタ回路131、スイッチ134の組は、一つの処理系統を構成し、順次信号処理がなされ、そしてスイッチ129、フィルタ回路132、スイッチ133の組は、他の処理系統を構成する。このオフセット補償回路138自体の調整も、図11のものと同様に、基準レベル調整用の期間において行うことができる。
【0041】
次に、図13は、図8のサンプリング/ホールド回路D1の回路構成をより簡単にした実施形態のサンプリング/ホールド回路D5を示している。この回路D5においては、図示のように、基準電圧Vrについてだけ、2系統のサンプリング回路SP1p、SP2p(キャパシタとスイッチ手段)を設けており、データ電圧Vi側は、1つの共通のサンプリング回路SPnしか設けていない。すなわち、2対の正側および負側サンプリング回路のうちの負側サンプリング回路を共通にした構成であり、したがって、図8の回路におけるキャパシタ120,スイッチ104,112,108,116に相当する要素は省いている。この回路構成は、入力データ電圧Vi用のキャパシタを含むサンプリング回路を1つ省略できるので、回路を小型化したい場合に適している。
【0042】
図14のタイミング図を参照して、図13に示した回路D5の動作を説明する。図示から分かるように、基本クロックCK1,CK2,CDS信号VIN、サンプリング制御クロックCK1A,CK1B、ホールド制御クロックCK3A,CK3Bは、図9のものと同じである。異なっているのは、共通の負側サンプリング回路のサンプリングを制御するクロックCK3が、図9のクロックCK2AとCK2Bを組み合わせもの、すなわち基本クロックCK2に等しくした点にあり、図9のクロックCK2AまたはCK2Bと比べサンプリングを2倍のレートで行わせるよう働く。詳細には、スイッチ113,102は、クロックCK1Aで開閉制御され、スイッチ114,101は、クロックCK1Bで開閉制御される。スイッチ115,103はクロックCK2で開閉制御される。また、スイッチ105,109は、クロックCK3Aで、スイッチ106,110は、クロックCK3Bで、スイッチ107,111は、クロックCK3で、それぞれ開閉制御される。第1動作フェーズにおける正側サンプリング期間t1aにおいて、スイッチ113と、スイッチ102がクロックCK1A=0(ロー)で閉じることにより、アナログ信号VINの基準電圧Vr1と基準電圧LPとの差分(Vr1−LP)がキャパシタ118に蓄積される。このとき、スイッチ110は開いている。次に、第1動作フェーズにおける負側サンプリング期間t2において、スイッチ115と、スイッチ103がクロックCK2=0で閉じることにより、アナログ信号VINのデータ電圧Vi1と基準電圧LMとの差分(Vi1−LM)がキャパシタ119に蓄積される。このとき、スイッチ111は開いている。第1動作フェーズにおけるホールド期間t3aにおいて、スイッチ106とスイッチ110がクロックCK3A=1(ハイ)で閉じ、スイッチ107とスイッチ111がクロックCK3=1で閉じることにより、差動増幅器AMPから(Vr1−Vi1)−(LP−LM)なる電圧が出力される。第1動作フェーズのホールド期間t3aに重なり合う第2動作フェーズの正側サンプリング期間t1bにおいて、スイッチ114とスイッチ101がクロックCK1B=0で閉じることにより、アナログ信号VINの基準電圧Vr2と基準電圧LPとの差分(Vr2−LP)がキャパシタ117に蓄積される。このとき、スイッチ109は開いている。次に、第2動作フェーズにおける負側サンプリング期間t2において、スイッチ115と、スイッチ103がクロックCK2=0で閉じることにより、アナログ信号VINのデータ電圧Vi2と基準電圧LMとの差分(Vi2−LM)がキャパシタ119に蓄積される。このとき、スイッチ111は開いている。第2動作フェーズのホールド期間t3bにおいて、スイッチ105とスイッチ109がクロックCK3B=1で閉じ、スイッチ107とスイッチ111がクロックCK3=1で閉じることにより、差動増幅器AMPから(Vr2−Vi2)−(LP−LM)なる電圧が出力される。
【0043】
図13に示したこの実施形態の回路D5では、基準電圧に対するサンプリング回路についてだけ2系統分を備えるので、クロック発生回路が容易になり、またキャパシタとスイッチの数が減ることで、チップ面積も減少する。さらに、2系統のサンプリング回路間におけるキャパシタとスイッチのばらつきから生じる2系統間のDCオフセット誤差も、図8の実施形態の回路D1と比較して減少する。尚、図13に示した実施形態では、正側の差動入力について2系統のサンプリング回路および多重化用のスイッチを設けているが、負側の差動入力についてだけ2系統のサンプリング回路および多重化用のスイッチを設けることも可能である。例えば、本例では、入力電圧Vi側についてのみ、2系統にすることもできる。また、図13の回路D5に対しては、図10,図11,図12に示したようなオフセット補償回路を同様に設けることもできる。
【0044】
次に、図15は、コモンモード・フィードバック回路を2回路備えたサンプリング/ホールド回路D6を示している。この回路D6は、期間t3のホールド期間を基本クロックの1周期分に拡張したことを特徴としている。すなわち、第1動作フェーズ用のコモンモード・フィードバック回路150(図15の上側に図示)と、第2動作フェーズ用のコモンモード・フィードバック回路152(図15の下側に図示)は、共に、差動増幅器AMPを構成する演算増幅器のバイアス電流トランジスタのゲート電極すなわちコモンモード端子(図示せず)と演算増幅器の反転出力および非反転出力との間に接続され、これにより、その演算増幅器の出力コモンモード電圧を所望のレベルに安定化するようにする。このバイアス電流トランジスタは、演算増幅器のコモンモード電圧を定めるためのトランジスタであり、ゲート端子にコモンモード電圧を制御する所定のバイアス電圧が印加される。尚、これらコモンモード・フィードバック回路150,152は、各々の周知の構成のものであって、コモンモード端子と反転出力間およびコモンモード端子と非反転出力間の各々に対し、2つの並列接続のキャパシタが選択的に接続されるように設け、そして、一方の動作フェーズのホールド期間中にその接続を行い、そして他方の動作フェーズのホールド期間中にその接続を遮断する。コモンモード・フィードバック回路150,152において、端子142にはコモンモード電圧が印加され、端子143には演算増幅器のバイアス電流トランジスタのゲート端子に印加するためのバイアス電圧が印加される。この端子143に印加されるバイアス電圧が所定の値に調整されてバイアス電流トランジスタのゲート端子に印加されることで、コモンモード電圧が制御される。尚、フィードバック回路150と152とでは、選択的接続のための2群のスイッチを設けており、これら2群のスイッチの開閉を制御する信号140,141については、信号140にクロックCK3Aを使用し、信号141にクロックCK3Bを使用する。
【0045】
さらに図16のタイミング図を参照して、図15の回路D6の動作を説明する。尚、図から分かるように、基本クロックCK1,CK2,CDS信号VINは、図9のものと同じである。また、サンプリング制御クロックCK1A,CK2A,CK1B,CK2B、およびホールド制御クロックCK3A,CK3Bも、図9のものと同様であり、そして図8内の各スイッチに対応する図15の各スイッチを制御して、図8のものと同様の動作を実現する。ただし、図9のものと異なっているのは、ホールド制御クロックCK3A,CK3Bが、基本クロックCK1の1周期の持続期間を有しており、しかも第1および第2動作フェーズの一方の正側サンプリング期間(例:t1a)の開始時からその他方の正側サンプリング期間(例:t1b)の開始時まで持続している。この点については、図9では、第1および第2動作フェーズの一方の負側サンプリング期間(例:t2a)の終了時からその他方の負側サンプリング期間(例:t2b)の開始時までの3/4周期の期間持続しているのと異なっている。図16から明らかなように、1対のサンプリング期間と1つのホールド期間とが完全に多重化されて時間的に重なっている。
【0046】
サンプリング/ホールド回路D6の動作上の相違点についてのみ詳細に説明すると、図15に示すアナログ入力VINを2つのサンプリング/ホールド動作フェーズでサンプリング/ホールドする一方で、第1動作フェーズ用のクロック141(すなわちクロック信号CK3A)および第2動作フェーズ用のクロック140(すなわちクロック信号CK3B)により、第1動作フェーズのホールド期間中においてホールド出力を発生している間に、第1動作フェーズ用のコモンモード・フィードバック回路150内の右側のキャパシタの充電を行い、そして第2動作フェーズのホールド期間中に、右側のキャパシタに充電された電荷を左側のキャパシタに転送する。第1動作フェーズのホールド期間に非反転出力と反転出力からなるコモンモード電圧が所望のコモンモード電圧からずれている場合、その差分が演算増幅器のトランジスタのゲート電極に印加され、ホールド出力のコモンモード電圧が所望のコモンモード電圧になるように調整される。第2動作フェーズにホールド期間中においてホールド出力を発生している間は、第2動作フェーズ用のコモンモード回路152に関して上記の動作を繰り返す。こうした回路構成により、1周期分の、すなわち図8の回路よりも長いホールド時間を確保できるので、サンプリング/ホールド動作の一層の高速化、あるいは一層の消費電力低減を実現することができる。
【0047】
次に、図17を参照して、図6の直列(循環)型配置タイプのものをより具体化した1実施形態のサンプリング/ホールド回路E1を説明する。この回路E1は、特に図18に示したようなパラレルA/Dコンバータ(ADC)において、その多数の縦続接続されたA/D変換段のうちの2つの隣接変換段における処理を実行させるのに適している。
【0048】
ここで、先ず図18を参照して従来のパラレルADCについて概略を説明すると、図示のように、パラレルADCは、アナログ入力INを容量結合を介して受けるサンプリング/ホールド回路SHから成る初段と、そして第2段(stage2)、第3段等から成る多数のA/D変換段を備えている。第2変換段は、加算器と、2倍のゲインの増幅器と、サンプリング/ホールド回路SHと、そして1.5ビットのフラッシュA/Dコンバータおよび1.5ビットD/Aコンバータとから構成されている。加算器は、図示のように、前段のサンプリング/ホールド回路SHからの出力(SH−out1として図示)を加算用入力に受け、そして減算用入力に、1.5ビットのフラッシュA/Dコンバータの2ビット出力を1.5ビットD/AコンバータでD/A変換した結果の出力を受け、そしてその加算結果を増幅回路を介してサンプリング/ホールド回路に供給する。このサンプリング/ホールド回路の出力(SH−out2として図示)は、次段である第3変換段の入力として使用される。尚、第3段以降の変換段の回路構成は、第2段と同じである。第2変換段のA/D変換出力(comp1)は、1.5ビットA/Dコンバータの出力から発生される。このような従来のパラレルADCには、各変換段に増幅器を備える必要があるので、消費電力が大きくなるという問題がある。一方、消費電力を抑える目的のために1.5ビットADCの分解能を増やそうとした場合、2.5ビットADCにしたときには4倍、3.5ビットADCにしたときには8倍のゲイン回路が増幅器に必要になる。ゲインをデシベル表示すると、例として示した従来のパイプラインADCの場合2倍のゲインなので6dBであるが、4倍ゲインでは12dB、8倍ゲインでは18dBとなる。これを増幅器のバンド幅で評価するために0dBでのバンド幅を100MHzとすると、増幅器のゲインは、−20dB/decで減少するので、バンド幅は、6dBで53.7MHz、12dBで28.8MHz、18dBでは15.5MHzとなり、ゲインの増大につれて有効バンド幅が狭くなる(つまり、高速化が難しくなる)。このため、従来のパイプラインADCの回路構成では、増幅器の有効バンド幅を上げてコンバータの高速化を図るためには、増幅器の負荷となるサンプリング/ホールド回路SHのキャパシタ及び次段のサンプリング/ホールド回路SHのキャパシタの容量を減らすことが必要であった。次段のキャパシタまで容量を減らす理由は、ホールドされた出力が次段のキャパシタに充電されるからである。
【0049】
図17に示した本発明によるサンプリング/ホールド回路E1は、1つの回路で、図18に示した従来のADCにおける、隣接する2つの変換段(図18では例えば第2変換段と第3変換段)における2つのサンプリング/ホールド回路SHを実現している。これにより、2つの隣接段の2つのサンプリング/ホールド動作を、互いに多重化した2つのサンプリング/ホールド動作フェーズにより、従来より短い期間内で実行することにより、全体として2つの隣接変換段の動作を高速化しようとするものである。尚、このサンプリング/ホールド回路E1では、2つの隣接変換段内の2つの加算器における減算機能も、ホールド期間中に実現する回路も備えている。さらにまた、回路E1では、この差動増幅器AMPの増幅度を×2にすることにより、2つの隣接変換段内の2つの増幅器も、1つの増幅器の共用によって実現することができる。
【0050】
次に、図17を参照して説明すると、このサンプリング/ホールド回路E1は、互いに隣接する変換段(n)と変換段(n+1)の双方のための回路を備えており、図17では、変換段(n)に対する回路は点線で囲んで示しており、そしてその外の回路が変換段(n+1)に対する回路である。尚、差動増幅器AMPは、それら双方の変換段に共通である。このサンプリング/ホールド回路E1の動作を要約すると、2つのサンプリング/ホールド動作フェーズの第1動作フェーズでは、サンプリング期間中に、変換段(n)への前段からの差動入力電圧VIP,VINを受け、また、この差動入力電圧から変換段(n)内の1.5ビットA/Dコンバータおよび1.5ビットD/Aコンバータが発生する減算用差動電圧VRP,VRNを受けてサンプリングを行う。これに続くホールド期間中には、正側の差動入力電圧VIPから正側の減算用差動電圧VRPを減算すると同時にその減算結果をホールドし、同時に、負側差動入力電圧VINから負側減算用差動電圧VRNを減算すると同時にその減算結果をホールドすることにより、差動出力電圧VOP,VONを発生する。次に、第2動作フェーズでは、第1動作フェーズのホールド期間と重複するサンプリング期間中に、変換段(n+1)への変換段(n)からのその差動出力電圧VOP,VONを差動入力電圧として受け、また、この差動出力電圧VOP,VONから変換段(n+1)内の1.5ビットA/Dコンバータおよび1.5ビットD/Aコンバータが発生する減算用差動電圧VRP,VRNを受けてサンプリングを行う。これに続くホールド期間中には、正側の差動入力電圧である正側差動出力電圧VIPから正側の減算用差動電圧VRPを減算すると同時にその減算結果をホールドし、同時に、負側の差動入力電圧であるその負側差動出力電圧VINから負側減算用差動電圧VRNを減算してその減算結果をホールドすることにより、変換段(n+1)の出力を同じく差動出力電圧VOP,VONとして発生する。
【0051】
より詳細に説明すると、サンプリング/ホールド回路E1は、変換段(n)に対する正側サンプリング回路と負側サンプリング回路から成る1つの差動形サンプリング回路を備えている。その正側サンプリング回路は、VIP入力端子と基準電圧V0との間およびVIP入力端子ともう1つのVIP入力端子との間に接続された、スイッチS4、キャパシタC1A、スイッチS9、および第2のキャパシタC3A、スイッチS17とを備えている。一方、負側サンプリング回路は、VIN入力端子と基準電圧V0との間およびVIN入力端子ともう1つのVIN入力端子との間に接続された、スイッチS5、キャパシタC2A、スイッチS11、および第2のキャパシタC4A、スイッチS19とを備えている。また、ホールド部として共用の差動増幅器AMPがある。さらに、正側には、多重化部として、キャパシタC3Aを差動増幅器の非反転入力と反転出力との間に接続するスイッチS14,S22を備え、また、減算を行う手段として、キャパシタC1Aの入力側端をVRPに接続するスイッチS3を備えている。一方、負側には、多重化部として、キャパシタC4Aを差動増幅器の反転入力と非反転出力との間に接続するスイッチS15,S23を備え、また、減算を行う手段として、キャパシタC2Aの入力側端をVRNに接続するスイッチS6を備えている。
【0052】
同様にして、変換段(n+1)も、その正側サンプリング回路として、VOP入力端子と基準電圧V0との間およびVOP入力端子ともう1つのVOP入力端子との間に接続された、スイッチS2、キャパシタC1B、スイッチS10、および第2のキャパシタC3B、スイッチS18とを備えている。一方、負側サンプリング回路として、VON入力端子と基準電圧V0との間およびVON入力端子ともう1つのVON入力端子との間に接続された、スイッチS7、キャパシタC2B、スイッチS12、および第2のキャパシタC4B、スイッチS20とを備えている。また、ホールド部として共用の差動増幅器AMPがある。さらに、正側には、多重化部として、キャパシタC3Bを差動増幅器の非反転入力と反転出力との間に接続するスイッチS13,S21を備え、また、減算を行う手段として、キャパシタC1Bの入力側端をVRPに接続するスイッチS1を備えている。一方、負側には、多重化部として、キャパシタC4Bを差動増幅器の反転入力と非反転出力との間に接続するスイッチS16,S24を備え、また、減算を行う手段として、キャパシタC2Bの入力側端をVRNに接続するスイッチS8を備えている。
【0053】
このような構成をもつサンプリング/ホールド回路E1の詳細な動作を説明すると、変換段(n)がサンプリング動作モードにあり、かつ変換段(n+1)がホールド動作モードにあるときは、種々のスイッチのオン/オフ状態は、以下の通りとなる。
【0054】
【表1】
変換段(n)→ S3&S6:OFF,S4&S5:ON
変換段(n+1)→ S1&S8:ON,S2&S7:OFF
変換段(n)→ S9&S11:ON
変換段(n+1)→ S10&S12:OFF
変換段(n)→ S14&S15:OFF
変換段(n+1)→ S13&S16:ON
変換段(n)→ S17&S19:ON
変換段(n+1)→ S18&S20:OFF
変換段(n)→ S22&S23:OFF
変換段(n+1)→ S21&S24:ON
このような接続により、第1動作フェーズでは、サンプリング期間中に、変換段(n)への前段からの差動入力電圧VIP,VINと、減算用差動電圧VRP,VRNとを受けてサンプリングする。
【0055】
一方、変換段(n)がホールド動作モードにあり、かつ変換段(n+1)がサンプリング動作モードにあるときは、種々のスイッチのオン/オフ状態は、反転して以下の通りとなる。
【0056】
【表2】
変換段(n)→ S3&S6:ON,S4&S5:OFF
変換段(n+1)→ S1&S8:OFF,S2&S7:ON
変換段(n)→ S9&S11:OFF
変換段(n+1)→ S10&S12:ON
変換段(n)→ S14&S15:ON
変換段(n+1)→ S13&S16:OFF
変換段(n)→ S17&S19:OFF
変換段(n+1)→ S18&S20:ON
変換段(n)→ S22&S23:ON
変換段(n+1)→ S21&S24:OFF
このようにして、第1動作フェーズにおけるホールド期間中には、正側の差動入力電圧VIPから正側の減算用差動電圧VRPを減算すると同時にその減算結果をホールドし、同時に、負側差動入力電圧VINから負側減算用差動電圧VRNを減算すると同時にその減算結果をホールドすることにより、差動出力電圧VOP,VONを発生する。また、これと同時に生起する第2動作フェーズにおけるサンプリング期間において、変換段(n+1)への変換段(n)からのその差動出力電圧VOP,VONである差動入力電圧をサンプリングする。尚、第2動作フェーズにおけるホールド動作は、新たに始まる2つのサンプリング/ホールド動作フェーズのサイクルにおける第1動作フェーズのサンプリング動作と同時に実行され、以下上記と同様にして繰り返される。以上に述べた通り、図17のサンプリング/ホールド回路E1は、平衡形、同時サンプリング、差動動作、直列配置の形式を有している。
【0057】
次に、図19は、図17のサンプリング/ホールド回路E1を一部簡略化した実施形態のサンプリング/ホールド回路E2を示している。この回路E2は、図17の回路E1とはほぼ同じであり(同じ要素には、同じ参照番号を付している)、異なっている点は、図17の回路における、チャージ・インジェクション・ノイズを防止するためのスイッチS18,S21,S20,S24を省いている点である。これらスイッチを省いても、用途によっては十分な動作を実現することができる。
【0058】
最後に、図20は、図19のサンプリング/ホールド回路E2に対し、図15に示したのと同じコモンモード・フィードバック回路150,152を設けた1実施形態のサンプリング/ホールド回路E3を示している。その他の要素は、図19の回路E2と全く同じである。また、コモンモード・フィードバック回路150,152は、図15に関連して説明した通りである。この回路E3によれば、差動増幅器AMPの出力電圧を任意のレベルに合わせることができる。
【0059】
尚、図15、図17,図19および図20に示した実施形態のサンプリング/ホールド回路においては、2対のVRP端子およびVRN端子の各対が各変換段内の1.5ビットD/Aコンバータの出力に接続された場合について記述している。しかし、これら種々の実施形態においては、1つの基準電圧V0ではなく2つの基準電圧V0,V1を用い、そして4つのキャパシタC1A,C2A,C1B,C2Bの各々を、4つのキャパシタで構成しそしてこれら4つのキャパシタを切り替えて使用する方法も可能である。
【0060】
以上に詳細に説明した本発明の種々の実施形態においては、種々の変更が可能である。第1に、図8〜図20の種々の実施形態は、回路構成は不平衡形であってもサンプリング/ホールド動作自体は差動形のものであるが、本発明は、サンプリング/ホールド動作自体がシングルエンド形式で動作する場合にも、同様に用いることができる。第2に、上記の各種実施形態では、差動増幅器のゲインは、異なったサンプリング/ホールド動作フェーズを通して同一のものとして特に説明しなかったが、必要に応じて、特定のサンプリング/ホールド動作フェーズに関して特定のゲインをもつように、差動増幅器のゲイン設定回路が異なったゲインを設定するよう切換可能とすることもできる。例えば、図18のパラレルADCに図17のサンプリング/ホールド回路を使用する場合、第1動作フェーズに対する差動増幅器AMPのゲインと第2動作フェーズに対するそのゲインを異なったものとすることができる。尚、これらゲインを隣接変換段間で一致させるかあるいは比較的同じ値のものとすることにより、両変換段全体として増幅器のスピードを平均化することができる。また、第3に、図17〜図20の実施形態は、パイプラインADCに関連して説明したが、A/D変換段が縦続接続される任意の他の形式のA/Dコンバータにも同様に適用することが可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上に述べた本発明によれば、サンプリング/ホールド動作の多重化により、複数のサンプリング/ホールド動作が従来より短期間で実行可能となり、これによって、サンプリング/ホールド動作自体あるいはこれを使用した処理の速度の高速化を図ることができる。また、サンプリング/ホールド動作の多重化により、従来と同じサンプリング/ホールド期間が与えられた場合には、従来よりホールド期間を長くすることができ、これによって電力消費の低減もしくはホールド出力の安定を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のサンプリング/ホールド回路の一般化した実施形態を示すブロック図。
【図2】図2は、図1の実施形態をより具体化した1実施形態のサンプリング/ホールド回路Aを示すブロック図。
【図3】図3は、図1の実施形態をより具体化した別の実施形態のサンプリング/ホールド回路Bを示すブロック図。
【図4】図4は、図1の実施形態をより具体化したさらに別の実施形態のサンプリング/ホールド回路Cを示すブロック図。
【図5】図5は、図1の実施形態をより具体化した、並列配置の回路構成の1実施形態であるサンプリング/ホールド回路Dを示すブロック図。
【図6】図6は、図1の実施形態をより具体化した、直列配置あるいは循環形配置の1実施形態のサンプリング/ホールド回路Eを示すブロック図。
【図7】図7は、図6の直列配置構成を簡略化した交差配置のサンプリング/ホールド回路Eを示すブロック図。
【図8】図8は、図5のサンプリング/ホールド回路Dをより具体化した1実施形態のサンプリング/ホールド回路D1を示すブロック図。
【図9】図9は、図8のサンプル/ホールド回路D1の動作を説明するためのタイミング図。
【図10】図10は、図5のサンプリング/ホールド回路Dをより具体化した別の実施形態のサンプル/ホールド回路D2を示すブロック図であり、開ループのオフセット補償を付加している。
【図11】図11は、図5のサンプリング/ホールド回路Dをより具体化した別の実施形態のサンプル/ホールド回路D3を示すブロック図であり、閉ループのフィードバック形オフセット補償回路を設けている。
【図12】図12は、図5のサンプリング/ホールド回路Dをより具体化した別の実施形態のサンプル/ホールド回路D4を示すブロック図であり、閉ループのフィードフォワード形オフセット補償回路を設けている。
【図13】図13は、図8のサンプリング/ホールド回路D1の回路構成をより簡単にした実施形態のサンプリング/ホールド回路D5を示すブロック図。
【図14】図14は、図13に示したサンプリング/ホールド回路D5の動作を説明するためのタイミング図。
【図15】図15は、図5のサンプリング/ホールド回路Dをより具体化した別の実施形態のサンプル/ホールド回路D6を示すブロック図であり、コモンモード・フィードバック回路を2回路設けている。
【図16】図16は、図15のサンプリング/ホールド回路D6の動作を説明するためのタイミング図。
【図17】図17は、図6の直列(循環)型配置タイプのものをより具体化した1実施形態のサンプリング/ホールド回路E1を示すブロック図。
【図18】図18は、図17のサンプリング/ホールド回路に適用することが可能である、従来のパラレルA/Dコンバータ(ADC)を示すブロック図。
【図19】図19は、図17のサンプリング/ホールド回路E1を一部簡略化した実施形態のサンプリング/ホールド回路E2を示すブロック図。
【図20】図20は、図19のサンプリング/ホールド回路E2に対し、図15に示したのと同じコモンモード・フィードバック回路を設けた1実施形態のサンプリング/ホールド回路E3を示すブロック図。
【符号の説明】
1 サンプリング部の入力端子
2 サンプリング部
3 サンプリング部の出力端子
4 多重化部
5 ホールド部の入力端子
6 ホールド部
7 ホールド部の出力端子
AMP 差動増幅器
Claims (40)
- サンプリング/ホールド方法であって、
複数のサンプリング/ホールド動作を多重化して実行すること、
を特徴とするサンプリング/ホールド方法。 - 請求項1記載の方法において、
前記複数のサンプリング/ホールド動作の複数の前記サンプリング動作は、空間分割多重化したこと、
を特徴とするサンプリング/ホールド方法。 - 請求項1または2記載の方法において、
前記複数のサンプリング/ホールド動作の各々は、サンプリング動作とホールド動作とを有し、
前記複数のサンプリング/ホールド動作の複数の前記ホールド動作を、時分割多重化して実行すること、
を特徴とするサンプリング/ホールド方法。 - サンプリング動作を行うサンプリング期間とホールド動作を行うホールド期間とを各々有する複数のサンプリング/ホールド動作フェーズで実行するサンプリング/ホールド方法であって、
前記複数のサンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記サンプリング動作を実行するステップと、
前記複数のサンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記ホールド動作を時分割多重化して実行するステップと、
から成るサンプリング/ホールド方法。 - 請求項4記載の方法において、
少なくとも1つの前記サンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記サンプリング動作は、別の1つの前記サンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記ホールド動作と、時間的に重なった期間において実行すること、
を特徴とするサンプリング/ホールド方法。 - 請求項4記載の方法において、
前記複数のサンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記ホールド動作は、共通のホールド手段で行うこと、
を特徴とするサンプリング/ホールド方法。 - 請求項4記載の方法において、
各前記サンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記サンプリング動作は、1つの入力からサンプリングすること、を含むこと、
を特徴とするサンプリング/ホールド方法。 - 請求項4記載の方法において、
各前記サンプリング/ホールド動作フェーズにおける前記サンプリング動作は、2つの入力からサンプリングすること、を含むこと、
を特徴とするサンプリング/ホールド方法。 - 請求項8記載の方法において、
前記2つの入力からのサンプリングは、同時に実行すること、
を特徴とするサンプリング/ホールド方法。 - 請求項9記載の方法において、
前記2つの入力は、1対の差動入力であること、
を特徴とするサンプリング/ホールド方法。 - 請求項8記載の方法において、
前記2つの入力からのサンプリングは、非同時に実行すること、
を特徴とするサンプリング/ホールド方法。 - 請求項11記載の方法において、
前記2つの入力は、1対の差動入力であること、
を特徴とするサンプリング/ホールド方法。 - 請求項12記載の方法において、
前記1対の差動入力は、1つのCDS信号からの2つの信号入力であること、を特徴とするサンプリング/ホールド方法。 - 請求項4記載の方法において、
複数の前記サンプリング/ホールド動作フェーズは、1つの入力に対し、直列的に連続して実行する動作フェーズであること、
を特徴とするサンプリング/ホールド方法。 - 請求項14記載の方法において、
直列的に連続して実行する複数の前記サンプリング/ホールド動作フェーズは、パイプラインA/Dコンバータにおける隣接する2つのA/D変換段において実行するものであること、
を特徴とするサンプリング/ホールド方法。 - 請求項4記載の方法において、
複数の前記サンプリング動作フェーズは、並列で実行するものであること、
を特徴とするサンプリング/ホールド方法。 - 請求項4ないし16のいずれかに記載の方法において、
前記ホールド動作は、サンプル値の増幅を含むこと、
を特徴とするサンプリング/ホールド方法。 - 請求項17記載の方法において、
前記増幅は、前記複数のサンプリング/ホールド動作フェーズの前記ホールド動作に対して、互いに異なった増幅度を有すること、
を特徴とするサンプリング/ホールド方法。 - サンプリング/ホールド回路であって、
複数のサンプリング手段であって、各サンプリング手段が、入力と出力を有し、前記入力で受けた値をサンプリングしてこのサンプル値を蓄積するとともに、この蓄積したサンプル値を前記出力に発生するよう動作する、前記の複数のサンプリング手段と、
入力と出力とを有する1つのホールド手段と、
前記複数のサンプリング手段のうちの任意の1つの前記出力を、前記1つのホールド手段の前記入力に接続する多重化手段であって、これにより、前記ホールド手段が、前記サンプル値をホールドして前記ホールド手段の前記出力に発生するようにさせる、前記の多重化手段と、
から成るサンプリング/ホールド回路。 - 請求項19記載の回路において、
各前記サンプリング手段は、
蓄積手段と、
前記サンプリング手段の入力を前記蓄積手段に接続するためのサンプリング・スイッチ手段と、
から成ること、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項19記載の回路において、
前記多重化手段は、前記複数のサンプリング手段を1つずつ順番に前記ホールド手段に接続することによって、前記複数のサンプリング手段からの複数の前記サンプル値を多重化する多重化スイッチ手段を含むこと、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項21記載の回路において、
前記複数のサンプリング手段は、互いに時間が重ならないサンプリング期間を有すること、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項21記載の回路において、
前記複数のサンプリング手段は、互いに時間が重なったサンプリング期間を有すること、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項19記載の回路において、
前記複数のサンプリング手段の各々は、差動形で動作する1組のサンプリング回路から成ること、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項24記載の回路において、
複数の前記差動形で動作するサンプリング回路組は、1つの共通のサンプリング回路を有すること、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項24記載の回路において、
前記ホールド手段は、2つの差動入力を有する差動増幅器から成ること、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項26記載の回路において、
前記サンプリング回路は、1つのサンプリング・スイッチ手段と、1つのキャパシタとから成ること、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項19記載の回路において、
前記複数のサンプリング手段の各々は、シングルエンド形で動作する1つのサンプリング回路から成ること、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項28記載の回路において、
前記サンプリング回路は、1つのサンプリング・スイッチ手段と、1つのキャパシタとから成ること、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項19記載の回路において、
前記ホールド手段は、増幅手段を含むこと、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項30記載の回路において、
前記増幅手段は、前記複数のサンプリング/ホールド動作フェーズの前記ホールド動作において異なった増幅度で動作できる可変増幅手段から成ること、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項31記載の回路において、
前記異なった増幅度は、互いに近い増幅度であること、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項19記載の回路において、
前記複数のサンプリング手段の複数の前記入力は、互いに異なった入力信号を受けるように接続したこと、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項19記載の回路において、
前記複数のサンプリング手段は、順番に配置し、
前記複数のサンプリング手段のうちの最初の前記サンプリング手段の前記入力は、入力を受けるように接続し、
該最初のサンプリング手段に後続する前記サンプリング手段の前記入力は、前記ホールド手段の出力に接続し、これによって該サンプリング手段が、直前の前記サンプリング手段からの前記サンプル値を前記ホールド手段を介して受けるようにしたこと、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項34記載の回路において、
前記サンプリング手段の数は、2つであること、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項19記載の回路であって、
さらに、
前記サンプリング手段の前記出力に接続したオフセット補償手段を備えたこと、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項36記載の回路において、
前記オフセット補償手段は、開ループの補償回路から成ること、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項36記載の回路において、
前記オフセット補償手段は、閉ループの補償回路から成ること、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 請求項38記載の回路において、
前記閉ループの補償回路は、前記ホールド手段の出力に接続した入力を有すること、
を特徴とするサンプリング/ホールド回路。 - 多数のA/D変換段を縦続形式で有するA/Dコンバータにおいて、
隣接する2つのA/D変換段に含まれた2つのサンプリング/ホールド回路として、請求項35記載のサンプリング/ホールド回路を備えたこと、
を特徴とするA/Dコンバータ。
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