JP2004156991A - 圧電センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性に優れ、なおかつ簡単な構造で低価格の圧電センサを提供する。
【解決手段】金属ダイアフラム10に下地層11、圧電薄膜層12、上部電極13がこの順に積層されてなる圧力検知手段3において、圧電薄膜層12がキュリー点を持たない窒化アルミニウム(AlN)や酸化亜鉛(ZnO)もしくはこれら材料と同効の圧電材料より形成され、双極子配向度が75%以上である。圧電センサがこの圧力検知手段3を備えることにより、圧電特性を良好に保ちつつ、耐熱性や耐久性があり、構造が簡単なものとなる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のシリンダー内圧の変化等の、圧力、振動、加速度といった物理量を圧電素子によって検出する圧電センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関のエンジン燃焼室の現象を把握するために用いられるシリンダー内圧センサは、従来、シリンダー内部に面して設置され、シリンダー内圧をダイアフラムと圧力伝達棒とを介して圧電素子に伝播し、圧電素子よりシリンダー内圧力の大きさに比例した電気信号を取り出すようにして、圧力を検出する。上記圧電素子としては一般に、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸鉛等のセラミック材料よりなる圧電素子が用いられている。
【0003】
ところが、エンジンのシリンダー内圧を直接計測する圧電センサは、点火プラグと同様に、高い燃焼温度(500℃)中に曝され、圧電素子はかなりの高温(400℃前後)となる。
【0004】
セラミック系の圧電素子にあっては、そのキュリー点がチタン酸ジルコン酸鉛系では約250℃、チタン酸鉛系では約350℃と、上記燃焼温度よりも低く、いずれもそのままでは、圧電素子がキュリー点に達してしまう。圧電材料がキュリー点を超える高温になると、圧電素子は消極等により圧電特性が劣化し、使用に耐え得ないので、通常圧電素子を適温に維持する冷却手段を別途付加したうえで使用されている。
【0005】
一方、冷却手段を不要とする構成とするためには、特許文献1および特許文献2に開示される、ニオブ酸リチウムのようなキュリー点の比較的高い単結晶の圧電材料からなる圧電素子を利用することが考えられる。ニオブ酸リチウムはキュリー点が約1140℃であり、エンジンのシリンダー内圧を計測する場合に圧電素子が400℃前後の高温になったとしても、キュリー点のほうがはるかに高いので、圧電素子が劣化することがなく、冷却手段を必要としない。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−34230号公報(公開日1993年2月9日)
【0007】
【特許文献2】
特開2000−180286号公報(公開日2000年6月30日)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ニオブ酸リチウムは加工性に劣り、薄膜化が困難であり、単結晶の状態で使用しなければならない。さらに任意形状に加工するためには特殊な方法が必要であるため、その取り扱いには制限があり、コスト面での難点となっている。
【0009】
また、ニオブ酸リチウムは、単結晶の保持の問題が生じている。つまり、ニオブ酸リチウムの単結晶をダイアフラムに直接接触させると、ダイアフラムに不均一な圧力が印加された場合に、単結晶保持の役割もある反対側の電極にねじれが発生し、最悪の場合には保持部分が破損することがある。そこで、これを防ぐために、シリンダー内圧を圧電素子へ伝達する棒状の圧力伝達機構等が必要となり、構造的にも複雑であることは避けられない。
【0010】
例えば、特許文献1では、シリンダブロックに設けられたセンサ取り付け用螺子孔に装着される主体金具の内部に圧電素子、圧力伝達機構等よりなる検出要素を収納するとともに、シリンダーに面する主体金属の下端面にダイアフラムを封着した圧力センサが開示されているが、ダイアフラムと圧電素子との間に圧力伝達棒が必要となる。
【0011】
また、特許文献2では、圧力伝達棒は利用していないが、ダイアフラムに突起が形成され、圧電素子にはダイアフラムの突起から気筒内圧力による荷重を受けても圧力検出素子にたわみ変形(曲げ変形)が生じないように、圧縮応力が生じる荷重受け構造をなして支持されている。
【0012】
したがって、構造の複雑化や大型化、価格の高騰を招き、要求を満足するものは存在しなかった。
【0013】
そこで、本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、耐熱性を有する簡単な構造で低価格の圧電センサを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々研究を重ねた結果、金属ダイフラム上にキュリー点を持たない圧電材料を、双極子配向度を制御しながら単結晶状に成長させて薄膜を形成することにより、低価格で単純な構造の圧電センサを完成させるに至った。
【0015】
すなわち、本発明に係る圧電センサは、薄い金属製ダイアフラムにキュリー点を持たない圧電性セラミックスを単結晶状に成長させて薄膜を形成し、このダイアフラムを、内燃機関のシリンダーに装着され、検出開口がシリンダー内に位置する軸孔を備えた主体金具の、その軸孔の開口端に圧封してなる圧力センサを提供するものである。
【0016】
本発明の圧電センサは、上記の課題を解決するために、圧力を伝達する圧力伝達手段と、上記圧力伝達手段により伝達される圧力を受けて電気信号に変換する圧電素子とを含む圧力検知手段を備えた圧電センサにおいて、上記圧電素子が、キュリー点の存在しない圧電材料よりなり、その双極子配向度が75%以上であることを特徴としている。
【0017】
上記「キュリー点の存在しない圧電材料」とは、結晶が融解あるいは昇華するまで圧電性を失うことのない材料であり、例えばウルツ鉱構造の結晶構造をもつ物質が挙げられる。ウルツ鉱構造の結晶構造をもつ物質は、結晶に対称性が存在しないため圧電性を備えており、さらに、チタン酸ジルコン酸鉛のような強誘電体と異なり、キュリー点が存在せず、結晶が融解あるいは昇華するまで圧電性を失うことはない。したがって、係る圧電材料からなる圧電素子は、耐熱性に優れ、高温下でも圧電特性が劣化することがないため、エンジンのシリンダーのような500℃近い高温下に曝されたとしても、その圧電素子としての機能を失うことがない。そのため、圧電素子の冷却手段が不要となる。さらに、温度環境をほとんど考慮する必要がないため、温度の低い位置に圧電素子を設置しなければならないという制限がなくなるので、より単純な構成をとることが可能となる。したがって、耐熱性を有する、低価格で、簡単な構造の圧電センサを実現できる。
【0018】
また、「双極子配向度」とは、電気双極子をなす結晶柱の薄膜表面の極性が正あるいは負の、同一方向のものが占める割合であると定義する。もし、結晶柱の極性の方向が完全にランダムであれば、それぞれの結晶柱の圧電性は互いに打ち消しあって、薄膜全体では圧電性が消滅する。したがって、圧力素子の双極子配向度が75%より小さいと、圧電素子の圧電性が保たれず、良好な圧力検知ができない。圧電素子の双極子配向度が75%以上となるように形成すれば、上述した問題は発生せず、良好に圧電性を保持できるため、耐熱性を有する簡単な構造の圧電センサが良好に圧電特性を保てる。
【0019】
なお、ウルツ鉱構造などのキュリー点の存在しない材料は、強誘電体と異なり、結晶形成後に事後的に外部電場によって双極子の方向を制御することはできないので、薄膜形成後に個々の結晶柱の双極子の方向を制御することは不可能である。したがって、薄膜形成時における結晶の双極子の配向性制御を行うことにより、薄膜の良好な圧電特性を確保する必要がある。
【0020】
また、本発明の圧電センサは、上記の課題を解決するために、上記の構成に加え、圧力伝達手段が金属ダイアフラムよりなるものであり、上記圧力検知手段が金属ダイアフラムの表面に圧電素子を形成されてなることを特徴としている。
【0021】
ここで「ダイアフラム」とは、圧力に対応して変形する膜状体を言う。また、「金属ダイアフラムの表面に圧電素子を形成される」とは、ダイアフラムに直接に圧電素子を形成する場合に限らず、その間にダイアフラムの表面を整えるための下地層や電極の層を介している場合も含まれる。
【0022】
上記構成によれば、圧力伝達手段として薄い金属ダイアフラムを用い、さらに、金属ダイアフラムの表面に圧電素子を形成するので、単純な構造の薄い圧力検知手段が得られ、また、圧力伝達棒などの圧力伝達のための複雑な構造が省かれている。さらに、この構成の場合に用いられる金属ダイアフラムは、従来とは異なり、圧電素子への圧力伝達のみに用いられ、たわみひずみではなく、圧縮ひずみが発生する。したがって、その圧力によるひずみ量はごく僅かで、その上に形成される圧電素子のひずみも小さく、過大なひずみによる圧電素子の破壊を防ぐための構造も必要ない。したがって、圧電センサの構造がより単純化される。
【0023】
なお、圧力伝達手段には、薄いセラミクスの焼結体を用いることもできるが、物理的な衝撃や熱衝撃に対する耐久性に劣るため、金属を用いることが好ましい。
【0024】
また、本発明の圧電センサは、上記の課題を解決するために、上記の構成に加え、内燃機関のシリンダーに、上記圧力検知手段を装着するための主体金具をさらに備えており、該主体金具は、シリンダー内部とシリンダー外部とを連通するための軸孔を有しており、該軸孔の内部に上記圧力検知手段が設けられていることを特徴としている。
【0025】
本発明の圧電センサは、耐熱性に優れており、特に内燃機関のシリンダーの内圧を計測する場合により効果的に利用できる。内燃機関の燃焼温度は約500℃であり、その内部に曝される圧電素子も400℃前後になる。そこで、圧電素子を冷却したり、圧電素子を内燃機関から離れた温度の低い位置に設置したりする複雑な構成をとる必要があったが、本発明の圧電センサによれば、温度環境をほとんど考慮する必要がないので、構造の単純化が図れる。
【0026】
また、本発明の圧電センサは、上記の課題を解決するために、上記の構成に加え、圧電素子が、窒化アルミニウム(AlN)または酸化亜鉛(ZnO)よりなることを特徴としている。
【0027】
AlNおよびZnOはウルツ鉱構造の結晶構造をもつ物質であり、上述したとおり、圧電性を備えてキュリー点が存在しない。したがって、AlNまたはZnOからなる圧電素子は、耐熱性があり、高温下でも圧電特性が劣化することがない。
【0028】
例えば、AlNの昇華温度は約2000℃であるので、AlNは2000℃まで圧電性を失うことがない。エンジンシリンダー内の燃焼温度は約500℃であるので、AlNを用いた圧電素子は、エンジンシリンダー内で冷却手段を用いることなく、圧電特性を保持できる。
【0029】
このような耐熱性のある圧電素子では、圧電素子の冷却手段が不要となり、温度の低い位置に圧電素子を設置しなければならないという制限もなくなるので、低価格で、簡単な構造の、耐熱性の圧電センサを実現できる。
【0030】
また、本発明の圧電センサは、上記の課題を解決するために、上記の構成に加え、圧電素子が物理気相成長法により形成されることを特徴としている。
【0031】
「物理気相成長法」とは、物理的方法で物質を蒸発し、成膜する部材上で凝縮させて薄膜を形成する方法であり、主に、スパッタリング法や真空蒸着法などを指す。この方法によれば、圧電材料の針状の結晶柱が霜柱状に成長し、圧電材料の単結晶状態の薄膜を形成できる。
【0032】
なお、この結晶柱に応力が作用すると結晶柱の両端に正と負の電荷が発生し、電気双極子を形成するが、どちらの端に正の電荷が発生するかは結晶柱の双極子の方向がどちらを向いているかによる。よって、圧電素子の薄膜に良好な圧電特性を確保するには、薄膜形成時において結晶の双極子の配向制御を行う必要がある。
【0033】
また、本発明の圧電センサは、上記の課題を解決するために、上記の構成に加え、圧電素子の厚みは、0.1μm以上100μm以下であることを特徴としている。
【0034】
これは、0.1μmより薄いと、連続的な膜形成が難しい上、上下に電極を配した場合に短絡が発生しやすくなり、100μmより厚いと成膜時間が長時間になってしまうためである。よって、圧電素子の厚みが上記範囲内であれば、良好に圧力検知を行える圧電センサを短時間で製造することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1および図2に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0036】
上記圧電薄膜層(圧電素子)を備える金属ダイアフラム(圧力伝達手段)は、内燃機関のシリンダー内に通じる孔を備える主体金具の、孔のシリンダーへの開口端に圧封され、シリンダーの現象を検出する圧電センサを構成する。
【0037】
図1は本実施の形態の、内燃機関のシリンダーの内圧を測定する圧電センサの縦断面図である。
【0038】
圧電センサは、信号伝達部15、圧力検知手段3、およびキャップ4からなり、圧力検知手段3側の空間からの圧力を感知し、電気信号を出力するものである。
【0039】
圧力検知手段3は、検出開口にて、圧力を受けて電気信号に変換する機能を有する。その詳細は後述する。
【0040】
信号伝達部15は、主体金具1、信号出力棒8、および電気絶縁環柱7からなり、圧力検知手段3が出力した電気信号を信号搬送用ケーブルまで伝達する。
【0041】
主体金具1はボルト構造をなしており、上端部1c、上部1d、下部1a、下端部1bからなり、その内部には上端から下端まで貫通した軸孔6が形成されている。
【0042】
上端部1cは、その外周に上端部雄螺子2cを有しており、図示しない信号搬送用のケーブルを取り付けるためのコネクタと螺合できる。上部1dは他の部分より径が大きく、外周が角部を有しており、主体金具1を他の部材に螺合する際に、スパナ等の締め付け工具と適合する六角部としての役目を有している。下部1aは、その外周に下部雄螺子2aを有しており、圧力を測定するシリンダーのシリンダブロックに螺合できる。下端部1bは外周部に下端部雄螺子2bを有している。この下端部雄螺子2bは、上記圧力検知手段3を主体金具1の下端に圧封するためのキャップ4と螺合できる。
【0043】
軸孔6は、下端部側の径の大きな大径孔6aと、上端部側の径の小さな小径孔6bとの連接孔である。上記大径孔6aには、電気絶縁環柱7が挿入されており、電気絶縁環柱7の中心部を貫くように、軸孔6と平行な金属製の信号出力棒8が設置されている。信号出力棒8は、小径孔6bまで貫通し、上端は、主体金具1の上端部1cにおいて図示しない信号搬送ケーブルと接続される。信号出力棒8の下端部側の端は金属製の電極9を形成しており、電極9の下面は軸孔6の下端部で圧力検知手段3と接触できるようになっている。軸孔6の下端はシリンダー内部に位置して、シリンダーの圧力がかかる検出開口となっており、ここで圧力検知手段3がシリンダーの内圧を検知する。また、電極9および信号出力棒8は、軸孔6においては電気絶縁環柱7とだけ接触しており、主体金具1から電気的に絶縁されている。
【0044】
主体金具1の下端に取り付けられるキャップ4は、圧力検知手段3を覆って軸孔6の下端に圧着させるものである。キャップ4の中心には、圧力検知手段3より径の小さな開口部を設けてあり、圧力検知手段3がキャップ4により軸孔6の下端に圧着された後も圧力検知手段3の中心部分の下面は露出するようになっている。つまり、キャップ4の開口部の周辺部が圧力検知手段3を押さえつけて、主体金属1に圧封する。キャップ4は、主体金具1の下端部の下端部雄螺子2bと螺号して、圧力検知手段3を主体金属1に圧封保持する。
【0045】
次に、図2を用いて圧力検知手段3について詳細に説明する。
【0046】
圧力検知手段3は、金属ダイアフラム(圧力伝達手段)10上に、下地層11、圧電薄膜層(圧電素子)12および上部電極13がこの順に成膜してなるものである。
【0047】
それぞれの成膜には、物理気相成長法(PVD)法、すなわち、物理的方法で物質を蒸発し、成膜する部材上で凝縮させて薄膜を形成する方法を用いることができる。例えば、抵抗加熱蒸着または電子ビーム加熱蒸着等の真空蒸着法、DCスパッタリング、高周波スパッタリング、RFプラズマ支援スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、ECRスパッタリングまたはイオンビームスパッタリング等の各種スパッタリング方法、高周波イオンプレーティング法、活性化蒸着またはアークイオンプレーティングなどの各種イオンプレーティング法、分子線エピタキシー法、レーザアプレーション法、イオンクラスタビーム蒸着法、並びにイオンビーム蒸着法などの方法である。
【0048】
図2は、本実施の形態における圧力検知手段3の断面図である。圧力検知手段3は、金属ダイアフラム10、下地層11、圧電薄膜層12および上部電極13がこの順に積層して構成され、主体金具1に取り付けられる場合、上部電極13が電極9と圧着されるように軸孔6の下端の開口部に装着される。
【0049】
金属ダイアフラム10は、圧力を計測する空間と接してその圧力を圧電薄膜層12に伝達するとともに、圧力検知手段3を支える基板としての働きもある。金属ダイアフラム10は、高温となる内燃機関シリンダー内に位置するので、耐熱性が必要であり、金属ダイアフラム10に例えばインコネルまたはSUS630相当の耐熱金属材料を使用するのがよい。圧電薄膜層12を形成する側の表面は、圧電薄膜層12のひびやはがれ、結晶軸の配向性を高めるために、研磨や化学的な方法によって鏡面加工していることが望ましい。
【0050】
また、下地層11は、その上に作製する圧電薄膜層12と金属ダイアフラム10との緩衝層であり、圧電薄膜層12の極性の配向や結晶軸の配向、金属ダイアフラム10との濡れ性の改善などの役割を持つ。また、下地層11は下部電極の機能を兼ねる。
【0051】
下地層11の材料としては、TiN、MoSi、Si、Cr、Fe、Mg、Mo、Nb、Ta、Ti、Zn、Zr、W、Pt、Al、Ni、Cu、Pd、Rh、Ir、Ru、Au又はAg、を用いることができ、単層あるいは複数の材料を用いた2層以上の複層とすることができる。
【0052】
圧電薄膜層12は、金属ダイアフラム10および下地層11を介して伝わった圧力を受け取り、それに応じた電気信号を出力する。すなわち、圧電薄膜層12に測定圧力を印加させて電気信号に変換する。圧電薄膜層12は、窒化アルミニウム(AlN)または酸化亜鉛(ZnO)を、スパッタリング法で作製することが望ましい。
【0053】
上部電極13は、主体金具1内の電極9と圧着して、印加圧力によって発生した電荷を電極9、信号出力棒8を介して図示しない信号搬送ケーブルに伝達するものである。上部電極13の材料は、下地層11と同様の材料を用いることができるが、同一のものである必要はなく、圧電薄膜層12や電極9との相性によって適時選択すればよく、またその構造も単層で構わない。
【0054】
以上の圧電センサの動作を説明すると、金属ダイアフラム10、は受けた圧力を圧電薄膜層12に伝え、圧電薄膜層12は伝えられた圧力を電気信号に変換する。電気信号は、上部電極13から電極9、信号出力棒8に伝わり、主体金具1の上端から信号搬送ケーブルに伝達され、図示しない圧力表示部にて、計測圧力を表示する。
【0055】
なお、圧電薄膜層12の材料は、窒化アルミニウム(AlN)や酸化亜鉛(ZnO)に限らず、キュリー点の存在しない圧電材料であればよく、他にGaNが挙げられる。このような圧電材料は、結晶が融解あるいは昇華するまで圧電性を失うことがない。ウルツ鉱構造の結晶構造をもつ物質は、結晶に対称性が存在しないため圧電性を備えており、また強誘電体でないので、キュリー点が存在しない。したがって、係る圧電材料からなる圧電素子は、耐熱性に優れ、圧電特性が劣化することがなく、エンジンのシリンダーのように500℃近い高温中に曝されたとしても、その圧電素子としての機能を失うことがない。そのため、圧電素子の冷却手段が不要となり、温度の低い位置に圧電素子を設置しなければならないという制限もなくなるので圧電センサの構造が単純化する。
【0056】
また、本発明の圧電センサは、金属ダイアフラム10に圧電薄膜層12等の薄層が形成されてなるものである。
【0057】
上記の構成によれば、圧力検知手段3が、金属ダイアフラム10上に圧電薄膜層12等の薄膜が形成されてなるので、薄型化、小型化する。さらに、この構成の場合に用いられる金属ダイアフラムは、従来とは異なり、圧電素子への圧力伝達のみに用いられ、たわみひずみではなく、圧縮ひずみが発生する。したがって、その圧力によるひずみ量はごく僅かで、その上に形成される圧電素子のひずみも小さく、過大なひずみによる圧電素子の破壊を防ぐための構造も必要ない。これにより、低価格で、簡単な構造の圧電センサを実現できる。
【0058】
また、本発明の圧電センサの圧電薄膜層12の厚さが、0.1μmから100μmの範囲とすることが望ましい。また、0.5μm以上20μm以下とするのがより好ましく、1μm以上10μm以下とするのがさらに好ましい。0.1μmより薄いと、下地層11と上部電極13との間で短絡が発生しやすく、100μmより厚いと成膜時間が長時間になってしまう。
【0059】
また、圧電薄膜層12は、良好な圧電特性を保つために、双極子配向度を75%以上とすることが望ましく、90%以上とするのがさらに望ましい。これは、双極子配向度が75%より小さいと、見かけ上の圧電定数が双極子配向度100%時の半分以下になってしまい、圧電薄膜層12の圧電特性が劣化し、良好に圧力を検知できなくなるためである。双極子配向度が75%以上であれば、十分な圧電性がある。
【0060】
双極子配向度を75%以上とするためには、結晶柱が成長する際に最初の原子をそろい易くする必要があり、下地層11の材料は圧電薄膜層12の材料と同じ成分の金属(圧電薄膜層12にAlNを用いる場合には下地層11がAl、圧電薄膜層12にZnOを用いる場合には下地層11がZnなど)が望ましい。複層とする場合には、最上層(圧電薄膜層12と接する層)を圧電薄膜層12の材料と同じ成分の金属を材料とするのが望ましい。
【0061】
また、本実施の形態では、圧力伝達手段として金属ダイアフラム10を用いたが、従来のように金属ダイアフラムから圧力伝達棒等の他の部材を介して、圧電薄膜層に圧力を伝達する構成であっても、耐熱性に優れ、冷却手段が不要な圧電センサが提供できる。
【0062】
なお、本発明の圧電センサは、内燃機関のシリンダー内圧を計測するものを例として挙げたが、これに限らず、原子力発電所等のプラントにおけるパイプやタンク内の高温高圧流体の圧力変動計測等への適用も有効である。
【0063】
なお、本発明は、以下の圧電センサとして構成することもできる。
【0064】
内燃機関のシリンダーに装着される主体金具に、検出開口がシリンダーに位置する軸孔を備え、その軸孔の内部に圧電薄膜素子を収納してなるものにおいて、前記圧電薄膜素子への圧力伝達手段として金属ダイアフラムのみからなることを特徴とする第1の圧電センサ。
【0065】
上記第1の圧電センサにおいて、圧電薄膜素子が、キュリー点の存在しない圧電薄膜材料よりなり、厚み0.1μm〜0.1mmの圧電薄膜素子を用いたことを特徴とする圧電センサ。
【0066】
上記第1の圧電センサにおいて、圧電薄膜素子が、窒化アルミニウムまたは酸化亜鉛の薄膜よりなることを特徴とする圧電センサ。
【0067】
上記第1の圧電センサにおいて、圧電薄膜素子が、双極子配向度75%以上の窒化アルミニウムの圧電薄膜よりなることを特徴とする圧電センサ。
【0068】
【発明の効果】
本発明の圧電センサは、圧電素子に、ウルツ鉱構造の結晶構造をもつ物質のような、キュリー点を持たない圧電材料、すなわち、窒化アルミニウムや酸化亜鉛、またはこれと同効の圧電材料の双極子配向膜を用いている。このような圧電材料は、高温下でも圧電特性が劣らないから、従来のように冷却手段によって圧電素子を冷却する必要はない。また、温度の低い位置に圧電素子を設置しなければならないという制限もなくなるので、圧力伝達棒等が不要となり、圧電センサの構造を単純化できるという効果を奏する。特に、上記圧電センサが、内燃機関のシリンダーに装着される主体金具に、検出開口がシリンダー内に位置する軸孔を備え、その軸孔の内部に上記圧力検知手段を収納してなるものの場合は、耐熱性が必須となるため、圧電センサの構造の単純化が効果的に行える。また、双極子配向度を75%以上とすれば、圧電素子の圧電特性が保持され、圧電センサが良好に機能する。
【0069】
また、本発明の圧電センサの構成として、圧電素子を主体金具の軸孔開口部に圧封する金属ダイアフラム上に物理気相成長法(PVD)法などを用いて形成すれば、金属ダイアフラムおよび圧電素子が、非常に薄いので、圧力検知手段が薄型化、小型化し、また、金属ダイアフラムや圧電素子のひずみは僅かとなり、ひずみを防ぐための構成が不要である。このため、耐熱性を有する圧電センサの構造を極めて単純化することができるという効果を奏する。
【0070】
以上のように、係る構成にあっては耐熱性や耐久性に優れ、小型、安価な圧電センサを市場に供し得るという効果がある。
【0071】
また、上記圧電素子の厚みが、0.1μm以上100μm以下とすれば、圧電センサが良好に機能し、製造時間も短くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る圧電センサの縦断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る圧電センサのダイアフラム3の断面図である。
【符号の説明】
1 主体金具
1a 下部
1b 下端部
1c 上端部
1d 上部
2a 下部雄螺子
2b 下端部雄螺子
2c 上端部雄螺子
3 圧力検知手段
4 キャップ
6 軸孔
6a 大径孔
6b 小径孔
7 電気絶縁環柱
8 信号出力棒
9 電極
10 金属ダイアフラム(圧力伝達手段)
11 下地層
12 圧電薄膜層(圧電素子)
13 上部電極層

Claims (7)

  1. 圧力を伝達する圧力伝達手段と、上記圧力伝達手段により伝達される圧力を受けて電気信号に変換する圧電素子と、を含む圧力検知手段を備えた圧電センサにおいて、
    上記圧電素子が、キュリー点の存在しない圧電材料よりなり、その双極子配向度が75%以上であることを特徴とする圧電センサ。
  2. 上記圧力伝達手段が金属ダイアフラムよりなるものであり、上記圧力検知手段が金属ダイアフラムの表面に圧電素子を形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の圧電センサ。
  3. 内燃機関のシリンダーに、上記圧力検知手段を装着するための主体金具をさらに備えており、該主体金具は、シリンダー内部とシリンダー外部とを連通するための軸孔を有しており、該軸孔の内部に上記圧力検知手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電センサ。
  4. 上記圧電素子が、ウルツ鉱構造の結晶構造をもつ物質よりなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の圧電センサ。
  5. 上記圧電素子が、窒化アルミニウムまたは酸化亜鉛よりなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の圧電センサ。
  6. 上記圧電素子が、物理気相成長法により形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の圧電センサ。
  7. 上記圧電素子の厚みが、0.1μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の圧電センサ。
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