JP2004156859A - 車両用冷凍装置およびその制御方法 - Google Patents

車両用冷凍装置およびその制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電源となる装置の能力に応じて対象物の冷却を迅速に行えるようにする。
【解決手段】電動機1を動力源とする圧縮機2を備える冷凍機7と、電動機1を駆動するための電力を発生する発電機8とを備える車両用冷凍装置について、発電機8の出力周波数に応じて規定される電動機1の回転数を上限値に設定し、冷凍機7によって冷却すべき保冷庫内の空気の温度に基づいて、上限値を超えない範囲で電動機1の回転数を変化させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車載の発電機または専用バッテリ、もしくは市中電源のいずれかから電力供給を受けて冷凍機を駆動する車両用冷凍装置およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷凍車(保冷庫と庫内冷却用の冷凍機とを搭載した車両)には、走行用エンジンまたは専用エンジンによって発電機を駆動し、発電機によって発電された電力を使って冷凍機の圧縮機を駆動したり、発電機によって発電された電力を専用のバッテリに蓄え、該バッテリに蓄えられた電力によって上記圧縮機を駆動したり、停車中には市中電源を接続して上記圧縮機を駆動したりして保冷庫内の冷却を行う方式を採用したものがある。上記方式を採用した冷凍車では、発電機やバッテリから冷凍機に供給される電力が限られる状況に陥ると(例えば、車両が渋滞に巻き込まれて走行用エンジンからの駆動力が十分に得られない、バッテリの電力残量が少ない、市中電源の供給基地まで遠い等)、圧縮機を停止させるようになっている。
上記方式を採用した冷凍車においては、電源となる装置の種類に応じて圧縮機の回転数や運転電流、運転電力に上限値を設定し、これらの上限値を超えない範囲で圧縮機を運転するようになっている(例えば、下記の特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−304327号公報(第6頁左欄、第29行から第30行)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の冷凍車においては、各上限値が電源となる装置ごとに固定されているので、例えば、発電機の出力電力に余力があり、固定された回転数の上限値よりも高い回転数でも無理なく圧縮機を駆動させることが可能な場合でも、上限値を超えない範囲で運転されてしまう。これはバッテリについても同様であり、蓄電残量に余裕がある場合でも、固定された回転数の上限値を超えない範囲で運転されてしまう。そのため、発電機やバッテリの能力に応じた迅速な冷却が行えているとは言い難い。また、市中電源から電力を供給される場合、電力の供給量に不足は生じないが、その分他の電源よりも上限値が高く設定されるため、冷却機に求めれられる負荷が非常に小さくても、高い回転数で圧縮機が駆動されてオーバーシュートを起こす等、冷却作用が不安定になり、結果的に迅速な冷却が行えなくなる可能性がある。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、電源となる装置の能力に応じて対象物の冷却を迅速に行えるようにすることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段として、次のような構成の車両用冷凍装置およびその制御方法を採用する。すなわち本発明に係る請求項1記載の車両用冷凍装置は、電動機を動力源とする圧縮機を備える冷凍機と、前記電動機を駆動するための電力を発生する発電機とを備える車両用冷凍装置であって、
前記発電機の出力周波数に応じて規定される前記電動機の回転数を上限値に設定し、前記冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、前記上限値を超えない範囲で前記電動機の回転数を変化させる制御部を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の車両用冷凍装置は、電動機を動力源とする圧縮機を備える冷凍機と、前記電動機を駆動するために供給された電力を蓄えるバッテリとを備える車両用冷凍装置であって、
前記バッテリの蓄電残量に応じて規定される前記電動機の回転数を上限値に設定し、前記冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、前記上限値を超えない範囲で前記電動機の回転数を変化させる制御部を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の車両用冷凍装置は、電動機を動力源とする圧縮機を備える冷凍機と、前記電動機を駆動するために市中電源から電力の供給を受ける市中電源入力器とを備える車両用冷凍装置であって、
前記冷凍機に求められる負荷に応じて規定される前記電動機の回転数を上限値に設定し、前記冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、前記上限値を超えない範囲で前記電動機の回転数を変化させる制御部を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の車両用冷凍装置は、電動機を動力源とする圧縮機を備える冷凍機と、該冷凍機によって冷却すべき対象物の温度を検出する温度検出手段と、前記電動機を駆動するための電力を発生する発電機と、該発電機または市中電源から前記電動機を駆動するために供給された電力を一時的に蓄えるバッテリと、前記電動機を駆動するために前記市中電源から電力の供給を受ける市中電源入力器とを備える車両用冷凍装置であって、
前記発電機の出力周波数に応じて規定される前記電動機の回転数と、前記バッテリの蓄電残量に応じて規定される前記電動機の回転数とを比較してより高い回転数を特定し、
この特定された高い回転数と、前記冷凍機に求められる負荷に応じて規定される前記電動機の回転数とを比較してより低い回転数を特定し、
この特定された低い回転数を上限値として設定し、前記冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、前記上限値を超えない範囲で前記電動機の回転数を変化させる制御部を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の車両用冷凍装置の制御方法は、電動機を動力源とする圧縮機を備える冷凍機と、前記電動機を駆動するための電力を発生する発電機とを備える車両用冷凍装置の制御方法であって、
前記発電機の出力周波数に応じて規定される前記電動機の回転数を上限値に設定し、前記冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、前記上限値を超えない範囲で前記電動機の回転数を変化させることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の車両用冷凍装置の制御方法は、電動機を動力源とする圧縮機を備える冷凍機と、前記電動機を駆動するために供給された電力を蓄えるバッテリとを備える車両用冷凍装置の制御方法であって、
前記バッテリの蓄電残量に応じて規定される前記電動機の回転数を上限値に設定し、前記冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、前記上限値を超えない範囲で前記電動機の回転数を変化させることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の車両用冷凍装置の制御方法は、電動機を動力源とする圧縮機を備える冷凍機と、前記電動機を駆動するために市中電源から電力の供給を受ける市中電源入力器とを備える車両用冷凍装置の制御方法であって、
前記冷凍機に求められる負荷に応じて規定される前記電動機の回転数を上限値に設定し、前記冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、前記上限値を超えない範囲で前記電動機の回転数を変化させることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の車両用冷凍装置の制御方法は、電動機を動力源とする圧縮機を備える冷凍機と、該冷凍機によって冷却すべき対象物の温度を検出する温度検出手段と、前記電動機を駆動するための電力を発生する発電機と、該発電機または市中電源から前記電動機を駆動するために供給された電力を一時的に蓄えるバッテリと、前記電動機を駆動するために前記市中電源から電力の供給を受ける市中電源入力器とを備える車両用冷凍装置の制御方法であって、
前記発電機の出力周波数に応じて規定される前記電動機の回転数と、前記バッテリの蓄電残量に応じて規定される前記電動機の回転数とを比較してより高い回転数を特定し、
この特定された高い回転数と、前記冷凍機に求められる負荷に応じて規定される前記電動機の回転数とを比較してより低い回転数を特定し、
この特定された低い回転数を上限値として設定し、前記冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、前記上限値を超えない範囲で前記電動機の回転数を変化させることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、発電機の出力周波数に応じて規定される電動機の回転数を上限値に設定し、冷凍機によって冷却すべき対象物(例えば、後述する実施形態における保冷庫内の空気)の温度に基づいて、その上限値を超えない範囲で電動機の回転数を変化させることにより、そのとき発電機がもち得る能力が有効に活用される。
【0015】
本発明においては、バッテリの蓄電残量に応じて規定される電動機の回転数を上限値に設定し、冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、上限値を超えない範囲で電動機の回転数を変化させることにより、そのときバッテリがもち得る能力が有効に活用される。
【0016】
本発明においては、冷凍機に求められる負荷に応じて規定される電動機の回転数を上限値に設定し、冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、上限値を超えない範囲で電動機の回転数を変化させることにより、過剰な電力供給によって起きる冷凍機の不安定な冷却作用が防止される。
【0017】
本発明においては、電源となる装置が単独ではなくいくつか同時に機能した場合に、最も電力供給能力の高い装置の能力が有効に活用される。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係る車両用冷凍装置の第1の実施形態を図1ないし図4に示して説明する。
同図において、符号1は電動機、2は電動機1を動力源とする圧縮機、3はコンデンサ、4は膨張弁、5はエバポレータである。電動機1を除く各機器は冷媒配管6によって接続されて冷凍サイクルを実現する冷凍機7を構成している。電動機1と圧縮機2とは駆動軸1aにより連結されている。エバポレータ5は冷却すべき対象物である保冷庫内の空気を冷やすべく庫内に設置されている。保冷庫内には、庫内の空気温度を計測する温度センサTSが設けられている。
【0019】
さらに同図において、符号8は車両走行用のエンジンE/Gによって駆動されて電動機1を駆動するための電力を発生する発電機、9は発電された電力を直流に変換する第1の整流器、10は市中電源Aから電力の供給を受ける市中電源入力器、11は市中電源入力器10を介して供給された電力を交流から直流に変換する第2の整流器、12は発電機8または市中電源Aから供給された電力を蓄えるバッテリ(蓄電池)、13は発電機8から供給された電力や市中電源Aから供給された電力、またはバッテリ12から供給された電力を直流から交流に変換して電動機1に入力するインバータ回路である。
【0020】
エンジンE/Gと発電機8とは歯車やベルト等の駆動力伝達手段14により接続されている。発電機8から第1の整流器9に通電する経路には、発電機8によって発電された電力を一定電圧に調整する自動電圧調整器15と、発電機8によって発電される電力の出力周波数を検出する周波数検出器16(エンジンの出力軸や駆動力伝達手段に取り付けたエンコーダ、ゼロクロス回路、レゾルバ等。エンジンE/Gの回転数から発電機の周波数が割り出せる)とが接続されている。
【0021】
市中電源入力器10から第2の整流器11に通電する経路には、市中電源Aが接続されているか否かを検出する市中電源検出器17が設けられている。第2の整流器11によって直流に変換された電力をインバータ回路13に通電する経路には、該経路を必要に応じて断続する第1のスイッチ18が設けられている。
【0022】
バッテリ12には、蓄電残量を検出するバッテリ残量検出器19が接続されている。バッテリ12に蓄えられた電力をインバータ回路13に通電する経路には、該経路を必要に応じて断続する第2のスイッチ20と、発電機8によって発電された電力または市中電源Aから供給された電力をバッテリ12に充電するための充電器21とが設けられている。
【0023】
当該の冷凍装置には、温度センサTS、周波数検出器16、市中電源検出器17およびバッテリ残量検出器19の検出結果、ならびに操作パネル22に入力された各種の制御指令に基づいてインバータ回路13を駆動し、電動機1の回転数を制御する制御部23が設けられている。制御部23には、上記各種の検出装置から得た検出結果や目標とする保冷庫の設定温度、制御部23内での計算結果等の情報を記憶しておく記憶部24が併設されている。
【0024】
記憶部24は、周波数検出器16によって検出された発電機8の出力周波数と、その周波数を出力する発電機8によって発電されるであろう電力(発電機8の出力電力)との対応を明らかにした変換テーブルTb1aと、変換テーブルTb1aによって求められた発電機の出力電力と、インバータ回路13によって電動機1に出力すべき周波数(現状の発電機8に無理な負担を強いることなく電動機1を駆動することができる回転数に相当する)との対応を明らかにした変換テーブルTb1bとを記憶している(図2参照)。
また、記憶部24は、バッテリ残量検出器19によって検出されたバッテリ12の蓄電残量と、インバータ回路13によって電動機1に出力すべき周波数(現状のバッテリ12に無理な負担を強いることなく電動機1を駆動することができる回転数に相当する)との対応を明らかにした変換テーブルTb2を記憶している(図3参照)。
さらに、制御部23は、冷凍機7に求められる負荷(保冷庫の目標温度と現状の庫内温度との差)と、インバータ回路13によって電動機1に出力すべき周波数(負荷に見合う適切な電動機1の回転数に相当する)との対応を明らかにした変換テーブルTb3を記憶している(図4参照)。
制御部23は、記憶部24に記憶されたこれらの変換テーブルを、後述する3つの電力供給パターンに応じて使い分ける。なお、変換テーブルTb3でいうところの「負荷に見合う回転数」とは、設定温度に対しオーバーシュートを起こさない程度の回転数ということである。
【0025】
上記のように構成された車両用冷凍装置においては、圧縮機2を駆動する際、次の3つの電力供給パターンのいずれかを状況に選択する。
[1.発電機8から給電]
まず、車両がある程度の速度を維持して継続的に移動している等、エンジンE/Gから発電機8を駆動するのに十分な動力が得られる場合には、第1のスイッチ18、第2のスイッチ20をともに切り、発電機8によって発電される電力を第1の整流器9、インバータ回路13を介して電動機1に供給し、圧縮機2を駆動する。電動機1の消費電力が発電機8による発電量よりも少ない場合には、第2のスイッチ20を入れ、充電器21を介してバッテリ12を充電することも可能である。
【0026】
この場合、制御部23は、まず、周波数検出器16によって検出された発電機8の出力周波数Fg1を変換テーブルTb1aにあてはめ、発電機8によって発電されるであろう電力、すなわち発電機8の出力電力W1を求める。次に、変換テーブルTb1aによって求めた発電機8の出力電力W1を変換テーブルTb1bにあてはめ、発電機8に無理な負担を強いることなく電動機1を駆動するためにインバータ回路13によって電動機1に出力すべき周波数Fm1(発電機8に無理な負担を強いることなく電動機1を駆動することができる回転数と言い換えられる)を求める。続いて、変換テーブルTb1bによって求めたインバータ出力周波数Fm1を、制御可能な周波数域の上限値に設定する。
【0027】
次に、制御部23は、温度センサTSによって検出された保冷庫内の現状の温度t(実際には庫内に存在する空気の温度。冷却すべき対象物とは庫内の空気に該当する)と、操作パネル22から入力された保冷庫内の目標温度tsetとを比較し、庫内温度tが目標温度tsetよりも高いと判断した場合は、先に設定した上限値Fm1を超えない範囲で電動機1を回転させるべくインバータ回路13を駆動する。
【0028】
このように、変換テーブルTb1a,Tb1bを使って求めた上限値Fm1を超えない範囲でインバータ回路13を駆動して電動機1の回転数を制御することにより、電動機1における過剰な電力消費に発電機8の能力が追従できないことを原因とする冷却作用の中断、停止といった状況を起こさないようにしながらも、発電機8の能力を最大限に活用して保冷庫を迅速に目標温度まで冷却することができる。
【0029】
なお、冷凍機7に求められる負荷(庫内温度と目標温度との差)が比較的小さい場合は、制御可能な周波数域の上限値を、発電機8の現状の能力をすべて引き出すことで得られるインバータ出力周波数に設定しなくても、十分に冷却作用を引き出すことができる。そこで、負荷にあるしきい値を設け、そのしきい値よりも負荷が小さい場合は、変換テーブルTb1a,Tb1bを使って求めた値に1より小さい係数を乗じて重み付けを行い、上限値の調整を行うようにしてもよい。
【0030】
[2.バッテリ12から給電]
車両が渋滞に巻き込まれたり、外部からの電力供給を受けられない場所で停車したりする等してエンジンE/Gをアイドリングまたは停止させたことにより、発電機8による発電が行えなくなったり発電量が乏しくなったりした場合には、第1のスイッチ18を切り、第2のスイッチ20を入れ、発電機8によって発電された電力を補うかたちで、バッテリ12に蓄えられた電力をインバータ回路13を介して電動機1に供給し、圧縮機2を駆動する。
【0031】
この場合、制御部23は、まず、バッテリ残量検出器19によって検出されたバッテリ12の蓄電残量Wh2を変換テーブルTb2にあてはめ、その状態のバッテリ12に無理な負担を強いることなく電動機1を駆動するためにインバータ回路13によって電動機1に出力すべき周波数Fm2(バッテリ12に無理な負担を強いることなく電動機1を駆動することができる回転数と言い換えられる)を求める。続いて、変換テーブルTb2によって求めたインバータ出力周波数Fm2を、制御可能な周波数域の上限値に設定する。
【0032】
次に、制御部23は、温度センサTSによって検出された保冷庫内の現状の温度tと、操作パネル22から入力された保冷庫内の目標温度tsetとを比較し、庫内温度tが目標温度tsetよりも高いと判断した場合は、先に設定した上限値Fm2を超えない範囲で電動機1を回転させるべくインバータ回路13を駆動する。
【0033】
このように、変換テーブルTb2を使って求めた上限値Fm2を超えない範囲でインバータ回路13を駆動して電動機1の回転数を制御することにより、電動機1における過剰な電力消費にバッテリ12の能力が追従できないことを原因とする冷却作用の中断、停止といった状況を起こさないようにしながらも、バッテリ12の能力を最大限に活用して保冷庫を迅速に目標温度まで冷却することができる。
【0034】
なお、冷凍機7に求められる負荷(庫内温度と目標温度との差)が比較的小さい場合は、制御可能な周波数域の上限値を、バッテリ12の現状の能力をすべて引き出すことで得られるインバータ出力周波数に設定しなくても、十分に冷却作用を引き出すことができる。そこで、負荷にあるしきい値を設け、そのしきい値よりも負荷が小さい場合は、変換テーブルTb1a,Tb1bを使って求めた値に1より小さい係数を乗じて重み付けを行い、上限値の調整を行うようにしてもよい。
【0035】
[3.市中電源から給電]
車両が目的地に到着する等して市中電源Aから電力供給が受けられるようになった場合には、エンジンE/Gを停止させたうえで市中電源Aに市中電源入力器10を接続し、第1のスイッチ18、第2のスイッチ20をともに入れ、市中電源から供給された電力を第2の整流器11、インバータ回路13を介して電動機1に供給し、圧縮機2を駆動する。同時に、充電器21を介してバッテリ12を充電する。
【0036】
この場合、制御部23は、まず、温度センサTSによって計測された現状の庫内温度tと、操作パネル22から入力された保冷庫の目標温度tsetとの差Δt(=t−tset)を求め、その差Δtを冷凍機7に求められる負荷として変換テーブルTb3にあてはめ、電動機1を駆動するためにインバータ回路13によって電動機1に出力すべき周波数Fm3(負荷を解消するのに必要十分な電動機1の回転数と言い換えられる)を求める。このとき、庫内温度tが目標温度tsetに達していても、保冷庫の熱損失を考慮して冷却する必要がある場合は負荷が存在すると見なす。続いて、変換テーブルTb3によって求めたインバータ出力周波数Fm3を、制御可能な周波数域の上限値に設定し、この上限値Fm3を超えない範囲で電動機1を回転させるべくインバータ回路13を駆動する。
【0037】
このように、変換テーブルTb3を使って求めた上限値Fm3を超えない範囲で電動機1の回転数を制御することにより、冷凍機7のオーバーシュートを原因として冷却作用が不安定になることを防止して、保冷庫を迅速に目標温度まで冷却することができる。
【0038】
なお、上記の変換テーブルTb1bにおいては発電機8の出力電力の変化に応じてインバータ出力周波数がリニアに変化するものを採用したが、例えば発電機8の出力電力の変化に応じてインバータ出力周波数が段階的に変化するもの等、電動機の特性や冷凍装置に求められる仕様に応じて適切な対応付けがなされたテーブルを使用すればよい。これは、変換テーブルTb2,Tb3についても同様である。
【0039】
次に、本発明に係る車両用冷凍装置の他の実施形態について説明する。本実施形態の制御が実現される装置構成は、基本的に、上記第1の実施形態と同一の装置構成を用いるものであるが、制御部23によって実行される制御プログラムを異なるものとして、新たな制御を実現している。
上記第1の実施形態の車両用冷凍装置は、上記3つの電力供給パターンのいずれが選択されたかが明らかな場合に、電源となる装置の能力を有効に活用して、保冷庫を迅速に冷却するものであったが、本実施形態の車両用冷凍装置は、電源となる装置がいくつか同時に機能した場合に、最も電力供給能力の高い装置を選んで電源とすることで保冷庫を効率よく冷却するものである。
【0040】
まず、制御部23は、周波数検出器16によって検出された出力周波数を変換テーブルTb1aにあてはめて発電機8の出力電力W1を求め、その出力電力W1を変換テーブルTb1bにあてはめてインバータ出力周波数Fm1を求める(発電機8が発電を行っていない場合はFm1;0となる)。また、バッテリ残量検出器19によって検出されたバッテリ12の蓄電残量Wh2を変換テーブルTb2にあてはめてインバータ出力周波数Fm2を求める(バッテリ12の蓄電残量;0の場合はFm2;0となる)。さらに、温度センサTSによって計測された現状の庫内温度tと、操作パネル22から入力された保冷庫の目標温度tsetとの差Δtを求め、その差Δtを冷凍機7に求められる負荷として変換テーブルTb3にあてはめてインバータ出力周波数Fm3を求める(温度差Δt;0の場合も保冷庫を冷却し続けるためにFm3は0とはならない)。
【0041】
次に、上記のインバータ出力周波数Fm1,Fm2を比較してより高い周波数を特定し、さらに特定された周波数とFm3とを比較してより低い周波数を特定し、ここで特定された低い周波数を上限値に設定する。そして、先に求めた温度差ΔTに基づいて、上限値(Fm1,Fm2,Fm3のいずれか)を超えない範囲で電動機1を回転させるべくインバータ回路13を駆動する。
【0042】
本実施形態においても、冷凍機7に求められる負荷(庫内温度と目標温度との差)が比較的小さい場合は、制御可能な周波数域の上限値を、発電機8またはバッテリ12の現状の能力をすべて引き出すことで得られるインバータ出力周波数に設定しなくても、上記第1実施形態のごとくインバータ出力周波数に重み付けを行い、上限値の調整を行うようにしてもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、発電機の出力周波数に応じて規定される電動機の回転数を上限値に設定し、冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、その上限値を超えない範囲で電動機の回転数を変化させることにより、そのとき発電機がもち得る能力が有効に活用されるので、対象物の冷却を迅速に行うことができる。
【0044】
本発明によれば、バッテリの蓄電残量に応じて規定される電動機の回転数を上限値に設定し、冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、上限値を超えない範囲で電動機の回転数を変化させることにより、そのときバッテリがもち得る能力が有効に活用されるので、対象物の冷却を迅速に行うことができる。
【0045】
本発明によれば、冷凍機に求められる負荷に応じて規定される電動機の回転数を上限値に設定し、冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、上限値を超えない範囲で電動機の回転数を変化させることにより、過剰な電力供給によって起きる冷凍機の不安定な冷却作用が防止されるので、対象物の冷却を迅速に行うことができる。
【0046】
本発明によれば、電源となる装置が単独ではなくいくつか同時に機能した場合に、最も電力供給能力の高い装置の能力が有効に活用されるので、対象物の冷却を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施形態を示す図であって、車両用冷凍装置の概念図である。
【図2】発電機を使用して圧縮機を駆動する場合に用いられる変換テーブルの概念を示すグラフである。
【図3】バッテリを使用して圧縮機を駆動する場合に用いられる変換テーブルの概念を示すグラフである。
【図4】市中電源を使用して圧縮機を駆動する場合に用いられる変換テーブルの概念を示すグラフである。
【符号の説明】
1 電動機
2 圧縮機
8 発電機
10 市中電源入力器
12 バッテリ(蓄電池)
13 インバータ回路
16 周波数検出器
17 市中電源検出器
19 バッテリ残量検出器
23 制御部
TS 温度センサ
E/G エンジン

Claims (8)

  1. 電動機を動力源とする圧縮機を備える冷凍機と、前記電動機を駆動するための電力を発生する発電機とを備える車両用冷凍装置であって、
    前記発電機の出力周波数に応じて規定される前記電動機の回転数を上限値に設定し、前記冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、前記上限値を超えない範囲で前記電動機の回転数を変化させる制御部を備えることを特徴とする車両用冷凍装置。
  2. 電動機を動力源とする圧縮機を備える冷凍機と、前記電動機を駆動するために供給された電力を蓄えるバッテリとを備える車両用冷凍装置であって、
    前記バッテリの蓄電残量に応じて規定される前記電動機の回転数を上限値に設定し、前記冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、前記上限値を超えない範囲で前記電動機の回転数を変化させる制御部を備えることを特徴とする車両用冷凍装置。
  3. 電動機を動力源とする圧縮機を備える冷凍機と、前記電動機を駆動するために市中電源から電力の供給を受ける市中電源入力器とを備える車両用冷凍装置であって、
    前記冷凍機に求められる負荷に応じて規定される前記電動機の回転数を上限値に設定し、前記冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、前記上限値を超えない範囲で前記電動機の回転数を変化させる制御部を備えることを特徴とする車両用冷凍装置。
  4. 電動機を動力源とする圧縮機を備える冷凍機と、該冷凍機によって冷却すべき対象物の温度を検出する温度検出手段と、前記電動機を駆動するための電力を発生する発電機と、該発電機または市中電源から前記電動機を駆動するために供給された電力を一時的に蓄えるバッテリと、前記電動機を駆動するために前記市中電源から電力の供給を受ける市中電源入力器とを備える車両用冷凍装置であって、
    前記発電機の出力周波数に応じて規定される前記電動機の回転数と、前記バッテリの蓄電残量に応じて規定される前記電動機の回転数とを比較してより高い回転数を特定し、
    この特定された高い回転数と、前記冷凍機に求められる負荷に応じて規定される前記電動機の回転数とを比較してより低い回転数を特定し、
    この特定された低い回転数を上限値として設定し、前記冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、前記上限値を超えない範囲で前記電動機の回転数を変化させる制御部を備えることを特徴とする車両用冷凍装置。
  5. 電動機を動力源とする圧縮機を備える冷凍機と、前記電動機を駆動するための電力を発生する発電機とを備える車両用冷凍装置の制御方法であって、
    前記発電機の出力周波数に応じて規定される前記電動機の回転数を上限値に設定し、前記冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、前記上限値を超えない範囲で前記電動機の回転数を変化させることを特徴とする車両用冷凍装置の制御方法。
  6. 電動機を動力源とする圧縮機を備える冷凍機と、前記電動機を駆動するために供給された電力を蓄えるバッテリとを備える車両用冷凍装置の制御方法であって、
    前記バッテリの蓄電残量に応じて規定される前記電動機の回転数を上限値に設定し、前記冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、前記上限値を超えない範囲で前記電動機の回転数を変化させることを特徴とする車両用冷凍装置の制御方法。
  7. 電動機を動力源とする圧縮機を備える冷凍機と、前記電動機を駆動するために市中電源から電力の供給を受ける市中電源入力器とを備える車両用冷凍装置の制御方法であって、
    前記冷凍機に求められる負荷に応じて規定される前記電動機の回転数を上限値に設定し、前記冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、前記上限値を超えない範囲で前記電動機の回転数を変化させることを特徴とする車両用冷凍装置の制御方法。
  8. 電動機を動力源とする圧縮機を備える冷凍機と、該冷凍機によって冷却すべき対象物の温度を検出する温度検出手段と、前記電動機を駆動するための電力を発生する発電機と、該発電機または市中電源から前記電動機を駆動するために供給された電力を一時的に蓄えるバッテリと、前記電動機を駆動するために前記市中電源から電力の供給を受ける市中電源入力器とを備える車両用冷凍装置の制御方法であって、
    前記発電機の出力周波数に応じて規定される前記電動機の回転数と、前記バッテリの蓄電残量に応じて規定される前記電動機の回転数とを比較してより高い回転数を特定し、
    この特定された高い回転数と、前記冷凍機に求められる負荷に応じて規定される前記電動機の回転数とを比較してより低い回転数を特定し、
    この特定された低い回転数を上限値として設定し、前記冷凍機によって冷却すべき対象物の温度に基づいて、前記上限値を超えない範囲で前記電動機の回転数を変化させることを特徴とする車両用冷凍装置の制御方法。
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