JP2004123022A - 車両用冷凍装置およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バッテリから冷凍機に供給される電力が限られる場合にも、保冷庫や車室の温度管理を行えるようにする。
【解決手段】内的な要因として供給可能な電力の低下が起きたり、外的な要因として運転手が省電力運転を望んだりして、発電機13またはバッテリ15からコンプレッサ1への供給電力を抑えるべきと判断された場合、コンプレッサ1およびコンデンサファン7を停止させるとともにエバポレータファン8を連続または断続して運転する。
【選択図】 図1
【解決手段】内的な要因として供給可能な電力の低下が起きたり、外的な要因として運転手が省電力運転を望んだりして、発電機13またはバッテリ15からコンプレッサ1への供給電力を抑えるべきと判断された場合、コンプレッサ1およびコンデンサファン7を停止させるとともにエバポレータファン8を連続または断続して運転する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、専用のバッテリを具備し該バッテリに蓄えられた電力によって冷凍室内の荷を冷凍保持したり車室内を冷房したりする車両用冷凍装置およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷凍車(保冷庫と庫内冷却用冷凍装置とを搭載した車両)には、走行用エンジンまたは専用エンジンによって発電機を駆動し、発電機によって発電された電力を使って冷凍機のコンプレッサを駆動したり、発電機によって発電された電力を専用のバッテリに蓄え、該バッテリに蓄えられた電力によって上記コンプレッサを駆動したりして保冷庫内の冷却を行う方式を採用したものがある。
【0003】
上記方式を採用した冷凍車では、発電機やバッテリから冷凍装置に供給される電力が限られる状況に陥ると(例えば、車両が渋滞に巻き込まれて走行用エンジンからの駆動力が十分に得られない、バッテリの電力残量が少ない、市中の外部電源の供給基地まで遠い等)、コンプレッサを停止させるようにしている。
【0004】
また、モータとエンジンの2つの駆動源をもつハイブリッド車(以下、HEV)には、エンジンによって車両の駆動力を得るとともに発電機を駆動し、該発電機によって発電された電力を専用のバッテリに蓄え、該バッテリに蓄えられた電力によってモータを駆動して車両の駆動力を補う方式を採用したものがある。
【0005】
上記方式を採用したHEVでも、発電機やバッテリから冷凍装置に供給される電力が限られる状況に陥ると(例えば、バッテリの電力残量が少ないにもかかわらず車両が渋滞に巻き込まれてエンジンから発電機への駆動力が十分に得られない、市中の外部電源の供給基地まで遠い等)、空気調和装置のコンプレッサを停止させることになる。
【0006】
前述したようなコンプレッサの停止という状況に至らないようにする方策として、バッテリの大容量化等も採り得るが、その他の方策として、発電機とバッテリ以外に商用電源を用いて冷凍装置を稼動させる構成を採用した冷凍車が挙げられる。エンジン停止時には商用電源を用い、商用電源が使えないときには発電機を使い、両者共に使えない場合にバッテリを使うこととし、バッテリ使用時にコンプレッサのインバータ出力を制限することにより長時間の運転を確保するものである(例えば、特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−283622(第4−6頁、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の冷凍車、HEVのいずれも、省エネルギー運転を行ったとしても、発電機やバッテリから冷凍装置に供給される電力が限られる状況に陥ると、最終的には冷凍機(空気調和装置)のコンプレッサを停止せざるを得ず、その後の保冷庫や車室の温度管理が行えなくなるのが問題であった。冷凍車の場合、保冷庫内の温度管理が行えなくなると、庫内の物品の損傷が懸念されるため、これを防止するべく冷凍車の運行シフトに工夫を凝らす等、人的な資源を浪費することがあった。
【0009】
HEVの場合は、駆動に電力を用いるため、特に冷凍用に特化したバッテリの使用制御を採用し難く、供給電力に制限を受ける状況下では、コンプレッサの停止は不可避の課題である。したがって、前述した通常の冷凍車と同様、環境に配慮しHEV仕様の冷凍車を導入した場合においても、保冷庫の温度管理が行えなくなれば庫内の物品の損傷を考慮しなければならない。また、加速やトルクが必要となり冷却機構への供給電力が制限されたことに起因して、車室内の温度管理が行えなくなると、当然のごとく快適さが損なわれることになる。
【0010】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、バッテリから冷凍機に供給される電力が限られる場合にも、保冷庫や車室の温度管理を行えるようにすることを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段として、次のような構成の車両用冷凍装置およびその制御方法を採用する。
すなわち本発明に係る請求項1記載の車両用冷凍装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を凝縮、液化させるコンデンサと、該コンデンサに送風するコンデンサファンと、凝縮された冷媒を断熱膨張させる膨張弁と、断熱膨張した冷媒を蒸発、気化させるエバポレータと、該エバポレータから冷却すべき空間に冷えた空気を送り出すエバポレータファンと、前記圧縮機を駆動する電力を発電する発電機と、該発電機によって発電された電力を蓄えるバッテリとを備える車両用冷凍装置であって、
内的または外的な要因により前記発電機または前記バッテリから前記圧縮機への供給電力を抑えるべきと判断した場合、前記圧縮機を停止させるとともに前記エバポレータファンを連続または断続して運転する制御部を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の車両用冷凍装置は、請求項1記載の車両用冷凍装置において、前記冷却すべき空間の温度を計測する第1の温度センサと、前記エバポレータの温度または該エバポレータによって冷やされる空気の温度を計測する第2の温度センサとを備え、
前記制御部は、前記第1の温度センサの計測値に対して前記第2の温度センサの計測値が小さい場合に前記エバポレータファンを運転することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の車両用冷凍装置は、請求項1または2記載の車両用冷凍装置において、前記制御部は、前記圧縮機とともに前記コンデンサファンを停止させ、前記圧縮機および前記コンデンサファンを停止させている間に前記発電機において発電される電力の一部を前記バッテリに蓄えることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の車両用冷凍装置の制御方法は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を凝縮、液化させるコンデンサと、該コンデンサに送風するコンデンサファンと、凝縮された冷媒を断熱膨張させる膨張弁と、断熱膨張した冷媒を蒸発、気化させるエバポレータと、該エバポレータから冷却すべき空間に冷えた空気を送り出すエバポレータファンと、前記圧縮機を駆動する電力を発電する発電機と、該発電機によって発電された電力を蓄えるバッテリとを備える車両用冷凍装置の制御方法であって、
内的または外的な要因により前記発電機または前記バッテリから前記圧縮機への供給電力を抑えるべきと判断した場合、前記圧縮機を停止させるとともに前記エバポレータファンを連続または断続して運転することを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の車両用冷凍装置の制御方法は、請求項4記載の車両用冷凍装置の制御方法において、前記冷却すべき空間の温度に対し、前記エバポレータの温度または該エバポレータによって冷やされる空気の温度が小さい場合に前記エバポレータファンを運転することを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の車両用冷凍装置の制御方法は、請求項4または5記載の車両用冷凍装置の制御方法において、前記圧縮機とともに前記コンデンサファンを停止させ、前記圧縮機および前記コンデンサファンを停止させている間に前記発電機において発電される電力の一部を前記バッテリに蓄えることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、内的または外的な要因により発電機またはバッテリから圧縮機やコンデンサファンへの供給電力を抑えるべきと判断した場合、圧縮機を停止させて電力消費を抑制しながらも、エバポレータファンを連続または断続して運転し、エバポレータにおいて冷やされた空気を冷却すべき空間に供給することにより、該空間の冷却が可能となる。
【0018】
本発明においては、冷却すべき空間の温度に対し、エバポレータの温度または該エバポレータによって冷やされる空気の温度が小さい場合にエバポレータファンを運転することにより、冷却すべき空間に常に冷えた空気が供給される。
【0019】
本発明においては、圧縮機やコンデンサファンを停止させている間に発電される余剰電力の一部をバッテリに蓄えることにより、エネルギーが無駄にならずに回収される。
【0020】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
本発明に係る車両用冷凍装置の第1の実施形態を図1および図2を用いて説明する。
本実施形態の車両用冷凍装置は、冷凍車に搭載され、冷却すべき空間として保冷庫の冷却を行うことを主な役割としており、図1に示すように、冷媒を圧縮する密閉式のコンプレッサ(圧縮機)1と、圧縮された冷媒を凝縮、液化させるコンデンサ2と、凝縮された冷媒を断熱膨張させる膨張弁3と、断熱膨張した冷媒を蒸発、気化させるエバポレータ4とを備え、これら各機器が冷凍サイクルを実現するべく冷媒配管5で接続された冷凍機6を備えている。
【0021】
コンデンサ2は保冷庫の外に、エバポレータ4は保冷庫に連通する空間に設置されており、コンデンサ2に送風して放熱させるコンデンサファン7と、エバポレータ4から保冷庫に冷えた空気を送り出すエバポレータファン8とが併設されている。
【0022】
そして、空気調和制御対象となる空間の温度情報を取得する空調制御空間温度情報取得手段として、保冷庫には、庫内の空気の温度を計測する温度センサ(第1の温度センサ)9が設置される。また、熱交換されて前述した空調制御空間に提供される吹出空気の温度情報を取得する吹出空気温度情報取得手段として、エバポレータ4の後方には、エバポレータ4によって冷やされ、エバポレータファン8によって保冷庫に送り出される吹き出し空気の温度を計測する温度センサ(第2の温度センサ)10が設置されている。
【0023】
図1の車両用冷凍装置は、車両の走行用エンジン11からベルトやギア機構等の伝達手段12を介して駆動力を得てコンプレッサ1を駆動するための電力を発電する発電機13と、発電機13によって発電された電力や外部電源14から供給される電力を一時的、または断続的に蓄える専用のバッテリ15と、発電機13によって発電された電力やバッテリ15に蓄えられた電力、外部電源14から供給された電力の供給先を切り換える切換ユニット16と、切換ユニット16の作動を制御する制御部17とを備えている。
【0024】
切換ユニット16には、バッテリ15に蓄えられた電力を交流に変換するインバータ回路18が組み込まれている。切換ユニット16において切り換えられる電力の供給先は、コンプレッサ1、コンデンサファン7およびエバポレータファン8およびバッテリ15となっている。
【0025】
発電機13には発電量を計測する発電量計測器19が設置され、バッテリ15には蓄えられた電力の残量を計測する電力残量計測器20が設置され、切換ユニット16には、外部電源14からの電力供給の有無を検出する外部電源検出部21が設けられている。
【0026】
制御部17は、庫内温度センサ9や吹き出し温度センサ10の計測値(温度)、発電量計測器19や電力残量計測器20の計測値(電力)、および外部電源検出部21の検出結果に基づいて切換ユニット16の作動を制御する。また、制御部17には、各種の設定値を入力したり後述する省電力制御の開始/終了の指示を入力したりする入力部22が接続されており、前述したセンサ9,10や計測器19,20からの情報に基づく自動制御の各種条件の任意設定や、任意のタイミングでの制御開始を可能としている。なお、制御部17は、不図示の演算処理部や記憶手段等を備え、演算処理部からの比較結果等に基づき、前述した切換ユニット16や不図示の信号回路等を介して各機器を制御する。
【0027】
上記のように構成された車両用冷凍装置による省電力運転制御(A)について図2のフローチャートを参照して説明する。なお、この制御は、一般的に行われる所定の温度に冷凍室の温度を制御する冷凍制御が行われている状態、既になんらかから電力の供給を受けて冷凍機6を駆動している状態を前提とするものであり、その冷凍制御が行われている状態で、例えば、車両のコンソール等に設けられた省電力制御モード選択スイッチがONにされた旨の制御開始情報を制御部17が受け付けること等を契機にして実施されるものとする。
【0028】
まず、制御部17は、外部電源検出部21からの信号に基づき外部電源14が接続されているか否かを判別し(ステップ101)、接続されていると判断した場合には外部電源14を使って冷凍機6(コンプレッサ1だけでなくコンデンサファン7およびエバポレータファン8を含む)を駆動する(ステップ102)。
【0029】
これに対し、制御部17は、外部電源14が接続されていないと判断した場合に、発電量計測器19から得た計測値と予め設定されたしきい値(この値は入力部22を通じて変更が可能)とを比較し、比較結果に基づき発電機13の発電量が冷凍機の稼動に十分な状態にあるか、すなわち、所定のしきい値よりも多いか否かを判別する(ステップ103)。
【0030】
制御部17は、発電量が十分であると判断した場合には、発電機13を使って冷凍機6を駆動する(ステップ104)。一方、発電量が不足していると判断した場合には、制御部17は電力残量計測器20から得た計測値に基づき、バッテリ15の残量があらかじめ設定されたしきい値よりも多いが否かを判別するし(ステップ105)。
【0031】
そして、制御部17は電力残量の計測値がしきい値よりも多く、残量が十分であると判断した場合には、バッテリ15を使って冷凍機6を駆動する(ステップ106)。残量が不足していると判断した場合には、コンプレッサ1およびコンデンサファン7を停止する(ステップ107)。
以上説明したステップ101から105までは、コンプレッサ1の運転が容認されないような、電力供給が制限される状況であるか否かを判断するステップである。
【0032】
次に、制御部17は、供給電力が限られ、コンプレッサ1の連続運転の継続が困難であると判断されてコンプレッサ1を停止することを判断した後(ステップ107)、限られた供給電力の枠内で、コンプレッサ1を稼動しない省電力運転による空調制御を行うシーケンスへと移行する。具体的には、制御部17は、温度センサ9で計測した保冷庫内の空気温度と温度センサ10で計測した吹き出し空気の温度とを比較し、庫内の空気温度が吹き出し空気温度よりも高いか否かを判別する(ステップ108)。
【0033】
そして、制御部17は、庫内の空気温度が吹き出し空気温度よりも高いと判断した場合には、エバポレータファン8を引き続き運転し(ステップ109)、庫内の空気温度が吹き出し空気温度以下であると判断した場合には、空調制御が当初の目的を達成したものとして、エバポレータファン8を停止する(ステップ110)。また、エバポレータファン8の停止/運転を選択後、発電機13によって余剰の電力が発生すればバッテリ15に充電する(ステップ111)。
なお、前述した残留冷媒を用いた空調制御を行うために制御部17が決定したエバポレータファン8の運転形態(ステップ109)は、連続運転または断続運転を採用し得る。ここで、断続運転の方式としては、制御部17が備える内蔵時計に基づきあらかじめ設定した時間間隔で運転/停止を繰り返す方式や、庫内の空気温度が、ステップ109の選択時からあらかじめ設定した温度差だけ低下したら停止し、該温度差を割り込んだら再開する方式等が挙げられる。
【0034】
そして、制御部17は、外部から当該の省電力運転制御(A)を終了せよとの指示があれば制御を終了し(ステップ112)、指示がなければステップ101に戻って上記の制御を繰り返す。したがって、供給電力が確保されたことがステップ101から105において再度確認された場合には、省電力運転は行われず、供給電力の監視が制御修了指示を受け付けるまで(ステップ112)継続されることになる。なお、繰り返しのサイクルは、連続ループ式としても良いし、内臓タイマを用いて待機ステップを挟み、所定時間間隔で行うようにしても良い。
【0035】
上記の制御を実行すると、外部電源14の接続が途切れたり、発電機13の発電量やバッテリ15の残量が低下したりして冷凍機に供給される電力が限られる状況に陥った場合、コンプレッサ1およびコンデンサファン7を停止(冷凍機6が実質的に機能停止)させることで電力消費を抑制しながらも、エバポレータファン8が駆動してエバポレータ4に残る冷熱を保冷庫内に供給するので、保冷庫内を冷却することができる。さらに特筆すべきは、エバポレータファン8が、保冷庫内の空気温度やエバポレータ4からの吹き出し空気温度を監視しながら停止/運転を繰り返すので、保冷庫内の温度管理を行うことができる点である。
【0036】
加えて、コンプレッサ1およびコンデンサファン7を停止することで余剰の電力が発生すれば、その分をバッテリ15に充電するので、エネルギーを無駄にすることなく回収してエネルギー効率を高めることができ、ひいては、通常運転可能な供給電力を確保できる状態への復帰を早めることができる。
【0037】
〔第2実施形態〕
本発明に係る車両用冷凍装置の第2の実施形態を図3に基づき説明する。ここで、本実施形態にかかる制御が実現される装置構成は、基本的に、前述した第1実施形態と同一の装置構成を用いるものであるが、制御部17が備える不図示の記憶手段に格納された制御プログラムを異なるものとして、新たな制御を実現している。
第1実施形態の車両用冷凍装置は、供給電力が制限される状況であるか否かを自動的に判別し、供給電力が制限される際に、空調制御を同時継続可能な省電力制御モードを提供するものであったが、本実施形態の車両用冷凍装置は、システム全体として電力消費量を抑えたい場合や、車両側で空調制御以外に電力を必要とする場合に、冷凍装置側に使用している電力を抑制するものである。
【0038】
なお、車両側で電力を必要とする場合の例としては、HEV車等の電動モータを利用して車両走行を行う車両に冷凍装置を搭載していて、山道等で登坂能力が要求される状況や高加速が要求される状況等、走行フィーリングを向上させるべく電動モータに通常走行時以上の電力の供給をしなければならない場合等が挙げられる。
図3は車両用冷凍装置による省電力運転制御(B)について説明したフローチャートである。この制御も既になんらかから電力の供給を受けて冷凍機6を駆動している状態で、省電力制御モードが選択されて実施されるものである。
【0039】
まず、制御部17は、例えば運転手から入力部22を通じて省電力運転を開始せよとの指示があったか否かを判別し(ステップ201)、入力部22から指示を受けた場合には、温度センサ10で計測した吹き出し空気の温度から温度センサ9で計測した保冷庫内の空気温度を差し引いた値と、あらかじめ設定された温度差とを比較し、設定温度差が吹き出し空気と庫内の空気温度との差以上であるか否かを判別する(ステップ202)。すなわち、エバポレータファン8を稼動させて残留冷媒による空調運転のみで制御可能な状態になるまで、コンプレッサ1を駆動させ、エバポレータファン8を運転させることにより制御可能な所定の温度差になったときにコンプレッサ1の運転を停止する制御を行うものである。このため、制御部17が所定の温度差以上(この場合、冷却運転中であるから吹出温度のほうが庫内温度より低いため、負の値となる)に満たない場合には、設定温度との開きが大きいものとして省電力運転モードに移行せず、後述するステップ206に移行する。
【0040】
そして、制御部17は、ステップ202において設定温度差が吹き出し空気と庫内の空気温度との差以上であると判断した場合には、コンプレッサ1およびコンデンサファン7を停止し(ステップ203)、エバポレータファン8を運転する(ステップ204)。ここで、エバポレータファン8の運転が連続運転や断続運転を採用しえるのは前述の第1実施形態と同様である。そして、電力を必要とするところに電力を回すと共に、エバポレータファン8を運転後、余剰の電力が発生すればバッテリ15に充電する(ステップ205)。
【0041】
エバポレータファン8の運転開始後、外部から当該の省電力運転制御(B)を終了せよとの指示があれば制御を終了し(ステップ206)、指示がなければステップ201に戻って上記の制御を繰り返す。なお、繰り返しのタイミングについても第1実施形態と同様に好適に選択し得るものである。
【0042】
上記の制御を実行すると、外部から入力部22を通じて省電力運転を開始せよとの指示があった場合でも、エバポレータファン8は、保冷庫内の空気温度やエバポレータ4からの吹き出し空気温度を監視しながら、適切な条件に基づいて停止/運転を繰り返すので、保冷庫内の温度管理を緻密に行うことができる。
【0043】
また、エバポレータ単独運転とコンプレッサの断続運転とを有機的に結びつけることにより、システム全体としての省電力運転を可能とし、限られた供給電力の有効利用を図ることができる。特に、HEV車においては走行機能と冷凍機能の双方を維持しつつ、省電力を実現できるので有効である。
【0044】
なお、本実施形態においては、供給電力の監視を行わず、外部指示を受け付けて制御を開始するために入力部22から指示を受け付ける構成としたが、前述したHEV車であれば、登坂や急加速のためにトルクが必要となりアクセルを深く早く踏んだ場合に、そのアクセルの動きに連動する等して、外部指示を受け付ける構成としても良い。
【0045】
また、前述した第1実施形態、ならびに本実施形態においては、エバポレータ4からの吹き出し空気温度を知る吹出空気温度情報取得手段として、エバポレータ4の後方に温度センサ10を設置したが、これにかえてエバポレータ4の冷却フィンに温度センサを取り付けたり(これをエバポレータフィンサーモという)、除霜の終了を検知するためにエバポレータ4の側板に取り付けた既設の温度センサ(これをデフロスト終了センサ)を使用したりしてもよい。
【0046】
ここで、吹き出し温度センサ10を採用した場合は、庫内に供給される空気の温度を直に計測するので庫内の空気温度との非常に正確な比較が可能であると同時に、制御プログラムも簡略になるという利点がある。一方、エバポレータフィンサーモを採用した場合は、フィンの温度を吹き出し空気温度相当に換算する必要がありその分制御プログラムが複雑になるが、物体であるエバポレータの温度を直に計測するので温度ムラが少なく正確な計測が行えるという利点がある。デフロスト終了センサを採用した場合は、別の役割を担うべく既設であったものを利用するので、コスト削減の観点から有利である。
【0047】
また、前述した第1実施形態と本実施形態において、あらかじめ与えられる設定値はすべて入力部22を通じて変更可能であり、保冷庫の荷の種類や量に応じて適宜変更することで最適な保冷状態を確立できる。
【0048】
〔第3実施形態〕
本発明に係る車両用冷凍装置の第3の実施形態を図4ないし図6を用いて説明する。なお、前述した第1および第2実施形態において既に説明した構成要素と同一の機能を呈する構成要素には、同一符号を付して説明は省略する。
本実施形態の車両用冷凍装置は、HEVに搭載され、冷却すべき空間として車室内の冷却を行うことを主な役割としている。図4に示すように、エバポレータ4は、車室内に搭載されるHVAC(Heating Ventilation,and Air−Conditioning)ユニット23の一部を構成している。HVACユニット23には、前述した実施形態におけるエバポレータファンとしての機能を内包するブロワ24が設置されている。空調制御空間温度情報取得手段としての温度センサ9は、車内の空気の温度を計測するべく車室内に設置され、吹出空気温度情報取得手段としての温度センサ10は、ブロワ24によってエバポレータ4から送り出される吹き出し空気の温度を計測するべくエバポレータ4に設置されている。
【0049】
本実施形態のHEVには、例えば発進・低速時、全開加速時や登坂走行時にバッテリ15に蓄えられた電力を使って駆動されるモータ25と、HEVの動力性能を制御する動力制御部26とが設けられている。
【0050】
上記のように構成された車両用冷凍装置による省電力運転制御(C)について図5のフローチャートを参照して説明する。なお、この制御は既に発電機13やバッテリ15から電力の供給を受けて冷凍機6を駆動している状態で実施されるものとする。
まず、制御部17は、例えば車両の発進加速や登坂走行等に電力を伴い動力制御部26から省電力運転を開始せよとの指示があったか否かを判別し(ステップ301)、指示がなければ、例えば運転手から入力部22を通じて省電力運転を開始せよとの指示があったか否かを判別する(ステップ302)。
【0051】
そして、制御部17は、ステップ301またはステップ302のいずれかにおいて省電力運転を開始せよとの指示があったと判断した場合には、コンプレッサ1およびコンデンサファン7を停止する(ステップ303)。ステップ302において指示がなかったと判断した場合には、後述するステップ308に移行する。
【0052】
次に、温度センサ9で計測した車内の空気温度と温度センサ10で計測した吹き出し空気の温度とを比較し、庫内の空気温度が吹き出し空気温度よりも高いか否かを判別する(ステップ304)。庫内の空気温度が吹き出し空気温度よりも高ければブロワ24を引き続き運転し(ステップ305)、庫内の空気温度が吹き出し空気温度以下であればブロワ24を停止する(ステップ306)。ブロワ24の停止/運転を選択後、余剰の電力が発生すればバッテリ15に充電する(ステップ307)。
【0053】
外部から当該の省電力運転制御(C)を終了せよとの指示があれば制御を終了し(ステップ308)、指示がなければステップ301に戻って上記の制御を繰り返す。
【0054】
上記の制御を実行すると、動力制御部26や運転手からの指示によって省電力運転を行わざるを得ない場合、コンプレッサ1およびコンデンサファン7を停止(冷凍機6が実質的に機能停止)させることで電力消費を抑制しながらも、ブロワ24が、車室内の空気温度やエバポレータ4からの吹き出し空気温度を監視しながら停止/運転を繰り返すので、車室内の温度管理を行うことができる。また、冷凍機6側での電力消費量を抑制しその分の電力をモータ25の駆動に使うことでHEVの動力性能が向上するので、快適な走行フィーリングを得ることができる。
【0055】
加えて、コンプレッサ1およびコンデンサファン7を停止することで余剰の電力が発生すれば、その分をバッテリ15に充電するので、エネルギーを無駄にすることなく回収してHEVとしてのエネルギー効率を高めることができる。
【0056】
〔第4実施形態〕
本発明に係る車両用冷凍装置の第4の実施形態を図6に基づき説明する。ここで、本実施形態にかかる制御が実現される装置構成は、基本的に、前述した第3実施形態と同一の装置構成を用いるものであるが、制御部17が備える不図示の記憶手段に格納された制御プログラムを異なるものとして、新たな制御を実現している。
第1実施形態の車両用冷凍装置は、供給電力が制限される状況であるか否かを自動的に判別し、供給電力が制限される際に、空調制御を同時継続可能な省電力制御モードを提供するものであったが、本実施形態の車両用冷凍装置は、システム全体として電力消費量を抑えたい場合や、車両側で空調制御以外に電力を必要とする場合に、冷凍装置側に使用している電力を抑制するものである。
【0057】
図6は車両用冷凍装置による省電力運転制御(D)について説明したフローチャートである。この制御も既になんらかから電力の供給を受けて冷凍機6を駆動している状態で実施されるものである。
まず、制御部17は、例えば車両の発進加速や登坂走行等に電力を伴い動力制御部26から省電力運転を開始せよとの指示があったか否かを判別し(ステップ401)、指示がなければ、例えば運転手から入力部22を通じて省電力運転を開始せよとの指示があったか否かを判別する(ステップ402)。
【0058】
そして、制御部17は、ステップ401またはステップ402において省電力運転を開始せよとの指示があったと判断した場合には、吹き出し空気の温度から保冷庫内の空気温度を差し引いた値とあらかじめ設定された温度差とを比較し、設定温度差が吹き出し空気と庫内の空気温度との差以上であるか否かを判別する(ステップ403)。ステップ402において指示がなかったと判断した場合には、後述するステップ407に移行する。
【0059】
一方、制御部17は、ステップ403において設定温度差が吹き出し空気と庫内の空気温度との差以上であると判断した場合には、エバポレータ4に残留する冷媒を利用したブロワ駆動により空調制御可能であるものとして、コンプレッサ1およびコンデンサファン7を停止し(ステップ404)、ブロワ24を運転する(ステップ405)。ブロワ24を運転後、余剰の電力が発生すればバッテリ15に充電する(ステップ406)。
【0060】
ブロワ24の運転開始後、制御部17は、外部から当該の省電力運転制御(D)を終了せよとの指示を受け付けた場合には制御を終了し(ステップ407)、指示がなければステップ401に戻って上記の制御を繰り返す。
【0061】
上記の制御を実行すると、動力制御部26や運転手からの指示によって省電力運転を行わざるを得ない場合、ブロワ24が、車室内の空気温度やエバポレータ4からの吹き出し空気温度を監視しながら、適切な条件に基づいて停止/運転を繰り返すので、車室内の温度管理を緻密に行うことができる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、内的または外的な要因により発電機またはバッテリから圧縮機やコンデンサファンへの供給電力を抑えるべきと判断した場合、圧縮機を停止させて電力消費を抑制しながらも、エバポレータファンを連続または断続して運転し、エバポレータにおいて冷やされた空気を冷却すべき空間に供給することにより、該空間の冷却を行うことができる。
【0063】
本発明によれば、冷却すべき空間の温度に対し、エバポレータの温度または該エバポレータの温度を知る目安となる空気の温度が小さい場合にエバポレータファンを運転することにより、冷却すべき空間に常に冷えた空気を供給することができ、これによって精緻な温度管理を行うことができる。
【0064】
本発明によれば、圧縮機やコンデンサファンを停止させている間に発電される電力の一部をバッテリに蓄えることにより、エネルギーが無駄にならずに回収されるので、エネルギー効率が高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施形態を示す図であって、冷凍車に搭載される車両用冷凍装置の構造を示すブロック図である。
【図2】図1の車両用冷凍装置において実施される省電力運転制御(A)を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明に係る第2の実施形態を示す図であって、図1と同じ装置構成の車両用冷凍装置において実施される省電力運転制御(B)を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明に係る第3の実施形態を示す図であって、HEVに搭載される車両用冷凍装置の構造を示すブロック図である。
【図5】図4の車両用冷凍装置において実施される省電力運転制御(C)を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明に係る第4の実施形態を示す図であって、図4と同じ装置構成の車両用冷凍装置において実施される省電力運転制御(D)を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 コンプレッサ(圧縮機)
2 コンデンサ
4 エバポレータ
6 冷凍機
7 コンデンサファン
8 エバポレータファン
9 温度センサ(第1の温度センサ)
10 温度センサ(第2の温度センサ)
11 走行用エンジン
13 発電機
15 バッテリ
16 切換ユニット
17 制御部
22 入力部
24 ブロワ
25 モータ
26 動力制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、専用のバッテリを具備し該バッテリに蓄えられた電力によって冷凍室内の荷を冷凍保持したり車室内を冷房したりする車両用冷凍装置およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷凍車(保冷庫と庫内冷却用冷凍装置とを搭載した車両)には、走行用エンジンまたは専用エンジンによって発電機を駆動し、発電機によって発電された電力を使って冷凍機のコンプレッサを駆動したり、発電機によって発電された電力を専用のバッテリに蓄え、該バッテリに蓄えられた電力によって上記コンプレッサを駆動したりして保冷庫内の冷却を行う方式を採用したものがある。
【0003】
上記方式を採用した冷凍車では、発電機やバッテリから冷凍装置に供給される電力が限られる状況に陥ると(例えば、車両が渋滞に巻き込まれて走行用エンジンからの駆動力が十分に得られない、バッテリの電力残量が少ない、市中の外部電源の供給基地まで遠い等)、コンプレッサを停止させるようにしている。
【0004】
また、モータとエンジンの2つの駆動源をもつハイブリッド車(以下、HEV)には、エンジンによって車両の駆動力を得るとともに発電機を駆動し、該発電機によって発電された電力を専用のバッテリに蓄え、該バッテリに蓄えられた電力によってモータを駆動して車両の駆動力を補う方式を採用したものがある。
【0005】
上記方式を採用したHEVでも、発電機やバッテリから冷凍装置に供給される電力が限られる状況に陥ると(例えば、バッテリの電力残量が少ないにもかかわらず車両が渋滞に巻き込まれてエンジンから発電機への駆動力が十分に得られない、市中の外部電源の供給基地まで遠い等)、空気調和装置のコンプレッサを停止させることになる。
【0006】
前述したようなコンプレッサの停止という状況に至らないようにする方策として、バッテリの大容量化等も採り得るが、その他の方策として、発電機とバッテリ以外に商用電源を用いて冷凍装置を稼動させる構成を採用した冷凍車が挙げられる。エンジン停止時には商用電源を用い、商用電源が使えないときには発電機を使い、両者共に使えない場合にバッテリを使うこととし、バッテリ使用時にコンプレッサのインバータ出力を制限することにより長時間の運転を確保するものである(例えば、特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−283622(第4−6頁、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の冷凍車、HEVのいずれも、省エネルギー運転を行ったとしても、発電機やバッテリから冷凍装置に供給される電力が限られる状況に陥ると、最終的には冷凍機(空気調和装置)のコンプレッサを停止せざるを得ず、その後の保冷庫や車室の温度管理が行えなくなるのが問題であった。冷凍車の場合、保冷庫内の温度管理が行えなくなると、庫内の物品の損傷が懸念されるため、これを防止するべく冷凍車の運行シフトに工夫を凝らす等、人的な資源を浪費することがあった。
【0009】
HEVの場合は、駆動に電力を用いるため、特に冷凍用に特化したバッテリの使用制御を採用し難く、供給電力に制限を受ける状況下では、コンプレッサの停止は不可避の課題である。したがって、前述した通常の冷凍車と同様、環境に配慮しHEV仕様の冷凍車を導入した場合においても、保冷庫の温度管理が行えなくなれば庫内の物品の損傷を考慮しなければならない。また、加速やトルクが必要となり冷却機構への供給電力が制限されたことに起因して、車室内の温度管理が行えなくなると、当然のごとく快適さが損なわれることになる。
【0010】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、バッテリから冷凍機に供給される電力が限られる場合にも、保冷庫や車室の温度管理を行えるようにすることを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段として、次のような構成の車両用冷凍装置およびその制御方法を採用する。
すなわち本発明に係る請求項1記載の車両用冷凍装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を凝縮、液化させるコンデンサと、該コンデンサに送風するコンデンサファンと、凝縮された冷媒を断熱膨張させる膨張弁と、断熱膨張した冷媒を蒸発、気化させるエバポレータと、該エバポレータから冷却すべき空間に冷えた空気を送り出すエバポレータファンと、前記圧縮機を駆動する電力を発電する発電機と、該発電機によって発電された電力を蓄えるバッテリとを備える車両用冷凍装置であって、
内的または外的な要因により前記発電機または前記バッテリから前記圧縮機への供給電力を抑えるべきと判断した場合、前記圧縮機を停止させるとともに前記エバポレータファンを連続または断続して運転する制御部を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の車両用冷凍装置は、請求項1記載の車両用冷凍装置において、前記冷却すべき空間の温度を計測する第1の温度センサと、前記エバポレータの温度または該エバポレータによって冷やされる空気の温度を計測する第2の温度センサとを備え、
前記制御部は、前記第1の温度センサの計測値に対して前記第2の温度センサの計測値が小さい場合に前記エバポレータファンを運転することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の車両用冷凍装置は、請求項1または2記載の車両用冷凍装置において、前記制御部は、前記圧縮機とともに前記コンデンサファンを停止させ、前記圧縮機および前記コンデンサファンを停止させている間に前記発電機において発電される電力の一部を前記バッテリに蓄えることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の車両用冷凍装置の制御方法は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を凝縮、液化させるコンデンサと、該コンデンサに送風するコンデンサファンと、凝縮された冷媒を断熱膨張させる膨張弁と、断熱膨張した冷媒を蒸発、気化させるエバポレータと、該エバポレータから冷却すべき空間に冷えた空気を送り出すエバポレータファンと、前記圧縮機を駆動する電力を発電する発電機と、該発電機によって発電された電力を蓄えるバッテリとを備える車両用冷凍装置の制御方法であって、
内的または外的な要因により前記発電機または前記バッテリから前記圧縮機への供給電力を抑えるべきと判断した場合、前記圧縮機を停止させるとともに前記エバポレータファンを連続または断続して運転することを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の車両用冷凍装置の制御方法は、請求項4記載の車両用冷凍装置の制御方法において、前記冷却すべき空間の温度に対し、前記エバポレータの温度または該エバポレータによって冷やされる空気の温度が小さい場合に前記エバポレータファンを運転することを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の車両用冷凍装置の制御方法は、請求項4または5記載の車両用冷凍装置の制御方法において、前記圧縮機とともに前記コンデンサファンを停止させ、前記圧縮機および前記コンデンサファンを停止させている間に前記発電機において発電される電力の一部を前記バッテリに蓄えることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、内的または外的な要因により発電機またはバッテリから圧縮機やコンデンサファンへの供給電力を抑えるべきと判断した場合、圧縮機を停止させて電力消費を抑制しながらも、エバポレータファンを連続または断続して運転し、エバポレータにおいて冷やされた空気を冷却すべき空間に供給することにより、該空間の冷却が可能となる。
【0018】
本発明においては、冷却すべき空間の温度に対し、エバポレータの温度または該エバポレータによって冷やされる空気の温度が小さい場合にエバポレータファンを運転することにより、冷却すべき空間に常に冷えた空気が供給される。
【0019】
本発明においては、圧縮機やコンデンサファンを停止させている間に発電される余剰電力の一部をバッテリに蓄えることにより、エネルギーが無駄にならずに回収される。
【0020】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
本発明に係る車両用冷凍装置の第1の実施形態を図1および図2を用いて説明する。
本実施形態の車両用冷凍装置は、冷凍車に搭載され、冷却すべき空間として保冷庫の冷却を行うことを主な役割としており、図1に示すように、冷媒を圧縮する密閉式のコンプレッサ(圧縮機)1と、圧縮された冷媒を凝縮、液化させるコンデンサ2と、凝縮された冷媒を断熱膨張させる膨張弁3と、断熱膨張した冷媒を蒸発、気化させるエバポレータ4とを備え、これら各機器が冷凍サイクルを実現するべく冷媒配管5で接続された冷凍機6を備えている。
【0021】
コンデンサ2は保冷庫の外に、エバポレータ4は保冷庫に連通する空間に設置されており、コンデンサ2に送風して放熱させるコンデンサファン7と、エバポレータ4から保冷庫に冷えた空気を送り出すエバポレータファン8とが併設されている。
【0022】
そして、空気調和制御対象となる空間の温度情報を取得する空調制御空間温度情報取得手段として、保冷庫には、庫内の空気の温度を計測する温度センサ(第1の温度センサ)9が設置される。また、熱交換されて前述した空調制御空間に提供される吹出空気の温度情報を取得する吹出空気温度情報取得手段として、エバポレータ4の後方には、エバポレータ4によって冷やされ、エバポレータファン8によって保冷庫に送り出される吹き出し空気の温度を計測する温度センサ(第2の温度センサ)10が設置されている。
【0023】
図1の車両用冷凍装置は、車両の走行用エンジン11からベルトやギア機構等の伝達手段12を介して駆動力を得てコンプレッサ1を駆動するための電力を発電する発電機13と、発電機13によって発電された電力や外部電源14から供給される電力を一時的、または断続的に蓄える専用のバッテリ15と、発電機13によって発電された電力やバッテリ15に蓄えられた電力、外部電源14から供給された電力の供給先を切り換える切換ユニット16と、切換ユニット16の作動を制御する制御部17とを備えている。
【0024】
切換ユニット16には、バッテリ15に蓄えられた電力を交流に変換するインバータ回路18が組み込まれている。切換ユニット16において切り換えられる電力の供給先は、コンプレッサ1、コンデンサファン7およびエバポレータファン8およびバッテリ15となっている。
【0025】
発電機13には発電量を計測する発電量計測器19が設置され、バッテリ15には蓄えられた電力の残量を計測する電力残量計測器20が設置され、切換ユニット16には、外部電源14からの電力供給の有無を検出する外部電源検出部21が設けられている。
【0026】
制御部17は、庫内温度センサ9や吹き出し温度センサ10の計測値(温度)、発電量計測器19や電力残量計測器20の計測値(電力)、および外部電源検出部21の検出結果に基づいて切換ユニット16の作動を制御する。また、制御部17には、各種の設定値を入力したり後述する省電力制御の開始/終了の指示を入力したりする入力部22が接続されており、前述したセンサ9,10や計測器19,20からの情報に基づく自動制御の各種条件の任意設定や、任意のタイミングでの制御開始を可能としている。なお、制御部17は、不図示の演算処理部や記憶手段等を備え、演算処理部からの比較結果等に基づき、前述した切換ユニット16や不図示の信号回路等を介して各機器を制御する。
【0027】
上記のように構成された車両用冷凍装置による省電力運転制御(A)について図2のフローチャートを参照して説明する。なお、この制御は、一般的に行われる所定の温度に冷凍室の温度を制御する冷凍制御が行われている状態、既になんらかから電力の供給を受けて冷凍機6を駆動している状態を前提とするものであり、その冷凍制御が行われている状態で、例えば、車両のコンソール等に設けられた省電力制御モード選択スイッチがONにされた旨の制御開始情報を制御部17が受け付けること等を契機にして実施されるものとする。
【0028】
まず、制御部17は、外部電源検出部21からの信号に基づき外部電源14が接続されているか否かを判別し(ステップ101)、接続されていると判断した場合には外部電源14を使って冷凍機6(コンプレッサ1だけでなくコンデンサファン7およびエバポレータファン8を含む)を駆動する(ステップ102)。
【0029】
これに対し、制御部17は、外部電源14が接続されていないと判断した場合に、発電量計測器19から得た計測値と予め設定されたしきい値(この値は入力部22を通じて変更が可能)とを比較し、比較結果に基づき発電機13の発電量が冷凍機の稼動に十分な状態にあるか、すなわち、所定のしきい値よりも多いか否かを判別する(ステップ103)。
【0030】
制御部17は、発電量が十分であると判断した場合には、発電機13を使って冷凍機6を駆動する(ステップ104)。一方、発電量が不足していると判断した場合には、制御部17は電力残量計測器20から得た計測値に基づき、バッテリ15の残量があらかじめ設定されたしきい値よりも多いが否かを判別するし(ステップ105)。
【0031】
そして、制御部17は電力残量の計測値がしきい値よりも多く、残量が十分であると判断した場合には、バッテリ15を使って冷凍機6を駆動する(ステップ106)。残量が不足していると判断した場合には、コンプレッサ1およびコンデンサファン7を停止する(ステップ107)。
以上説明したステップ101から105までは、コンプレッサ1の運転が容認されないような、電力供給が制限される状況であるか否かを判断するステップである。
【0032】
次に、制御部17は、供給電力が限られ、コンプレッサ1の連続運転の継続が困難であると判断されてコンプレッサ1を停止することを判断した後(ステップ107)、限られた供給電力の枠内で、コンプレッサ1を稼動しない省電力運転による空調制御を行うシーケンスへと移行する。具体的には、制御部17は、温度センサ9で計測した保冷庫内の空気温度と温度センサ10で計測した吹き出し空気の温度とを比較し、庫内の空気温度が吹き出し空気温度よりも高いか否かを判別する(ステップ108)。
【0033】
そして、制御部17は、庫内の空気温度が吹き出し空気温度よりも高いと判断した場合には、エバポレータファン8を引き続き運転し(ステップ109)、庫内の空気温度が吹き出し空気温度以下であると判断した場合には、空調制御が当初の目的を達成したものとして、エバポレータファン8を停止する(ステップ110)。また、エバポレータファン8の停止/運転を選択後、発電機13によって余剰の電力が発生すればバッテリ15に充電する(ステップ111)。
なお、前述した残留冷媒を用いた空調制御を行うために制御部17が決定したエバポレータファン8の運転形態(ステップ109)は、連続運転または断続運転を採用し得る。ここで、断続運転の方式としては、制御部17が備える内蔵時計に基づきあらかじめ設定した時間間隔で運転/停止を繰り返す方式や、庫内の空気温度が、ステップ109の選択時からあらかじめ設定した温度差だけ低下したら停止し、該温度差を割り込んだら再開する方式等が挙げられる。
【0034】
そして、制御部17は、外部から当該の省電力運転制御(A)を終了せよとの指示があれば制御を終了し(ステップ112)、指示がなければステップ101に戻って上記の制御を繰り返す。したがって、供給電力が確保されたことがステップ101から105において再度確認された場合には、省電力運転は行われず、供給電力の監視が制御修了指示を受け付けるまで(ステップ112)継続されることになる。なお、繰り返しのサイクルは、連続ループ式としても良いし、内臓タイマを用いて待機ステップを挟み、所定時間間隔で行うようにしても良い。
【0035】
上記の制御を実行すると、外部電源14の接続が途切れたり、発電機13の発電量やバッテリ15の残量が低下したりして冷凍機に供給される電力が限られる状況に陥った場合、コンプレッサ1およびコンデンサファン7を停止(冷凍機6が実質的に機能停止)させることで電力消費を抑制しながらも、エバポレータファン8が駆動してエバポレータ4に残る冷熱を保冷庫内に供給するので、保冷庫内を冷却することができる。さらに特筆すべきは、エバポレータファン8が、保冷庫内の空気温度やエバポレータ4からの吹き出し空気温度を監視しながら停止/運転を繰り返すので、保冷庫内の温度管理を行うことができる点である。
【0036】
加えて、コンプレッサ1およびコンデンサファン7を停止することで余剰の電力が発生すれば、その分をバッテリ15に充電するので、エネルギーを無駄にすることなく回収してエネルギー効率を高めることができ、ひいては、通常運転可能な供給電力を確保できる状態への復帰を早めることができる。
【0037】
〔第2実施形態〕
本発明に係る車両用冷凍装置の第2の実施形態を図3に基づき説明する。ここで、本実施形態にかかる制御が実現される装置構成は、基本的に、前述した第1実施形態と同一の装置構成を用いるものであるが、制御部17が備える不図示の記憶手段に格納された制御プログラムを異なるものとして、新たな制御を実現している。
第1実施形態の車両用冷凍装置は、供給電力が制限される状況であるか否かを自動的に判別し、供給電力が制限される際に、空調制御を同時継続可能な省電力制御モードを提供するものであったが、本実施形態の車両用冷凍装置は、システム全体として電力消費量を抑えたい場合や、車両側で空調制御以外に電力を必要とする場合に、冷凍装置側に使用している電力を抑制するものである。
【0038】
なお、車両側で電力を必要とする場合の例としては、HEV車等の電動モータを利用して車両走行を行う車両に冷凍装置を搭載していて、山道等で登坂能力が要求される状況や高加速が要求される状況等、走行フィーリングを向上させるべく電動モータに通常走行時以上の電力の供給をしなければならない場合等が挙げられる。
図3は車両用冷凍装置による省電力運転制御(B)について説明したフローチャートである。この制御も既になんらかから電力の供給を受けて冷凍機6を駆動している状態で、省電力制御モードが選択されて実施されるものである。
【0039】
まず、制御部17は、例えば運転手から入力部22を通じて省電力運転を開始せよとの指示があったか否かを判別し(ステップ201)、入力部22から指示を受けた場合には、温度センサ10で計測した吹き出し空気の温度から温度センサ9で計測した保冷庫内の空気温度を差し引いた値と、あらかじめ設定された温度差とを比較し、設定温度差が吹き出し空気と庫内の空気温度との差以上であるか否かを判別する(ステップ202)。すなわち、エバポレータファン8を稼動させて残留冷媒による空調運転のみで制御可能な状態になるまで、コンプレッサ1を駆動させ、エバポレータファン8を運転させることにより制御可能な所定の温度差になったときにコンプレッサ1の運転を停止する制御を行うものである。このため、制御部17が所定の温度差以上(この場合、冷却運転中であるから吹出温度のほうが庫内温度より低いため、負の値となる)に満たない場合には、設定温度との開きが大きいものとして省電力運転モードに移行せず、後述するステップ206に移行する。
【0040】
そして、制御部17は、ステップ202において設定温度差が吹き出し空気と庫内の空気温度との差以上であると判断した場合には、コンプレッサ1およびコンデンサファン7を停止し(ステップ203)、エバポレータファン8を運転する(ステップ204)。ここで、エバポレータファン8の運転が連続運転や断続運転を採用しえるのは前述の第1実施形態と同様である。そして、電力を必要とするところに電力を回すと共に、エバポレータファン8を運転後、余剰の電力が発生すればバッテリ15に充電する(ステップ205)。
【0041】
エバポレータファン8の運転開始後、外部から当該の省電力運転制御(B)を終了せよとの指示があれば制御を終了し(ステップ206)、指示がなければステップ201に戻って上記の制御を繰り返す。なお、繰り返しのタイミングについても第1実施形態と同様に好適に選択し得るものである。
【0042】
上記の制御を実行すると、外部から入力部22を通じて省電力運転を開始せよとの指示があった場合でも、エバポレータファン8は、保冷庫内の空気温度やエバポレータ4からの吹き出し空気温度を監視しながら、適切な条件に基づいて停止/運転を繰り返すので、保冷庫内の温度管理を緻密に行うことができる。
【0043】
また、エバポレータ単独運転とコンプレッサの断続運転とを有機的に結びつけることにより、システム全体としての省電力運転を可能とし、限られた供給電力の有効利用を図ることができる。特に、HEV車においては走行機能と冷凍機能の双方を維持しつつ、省電力を実現できるので有効である。
【0044】
なお、本実施形態においては、供給電力の監視を行わず、外部指示を受け付けて制御を開始するために入力部22から指示を受け付ける構成としたが、前述したHEV車であれば、登坂や急加速のためにトルクが必要となりアクセルを深く早く踏んだ場合に、そのアクセルの動きに連動する等して、外部指示を受け付ける構成としても良い。
【0045】
また、前述した第1実施形態、ならびに本実施形態においては、エバポレータ4からの吹き出し空気温度を知る吹出空気温度情報取得手段として、エバポレータ4の後方に温度センサ10を設置したが、これにかえてエバポレータ4の冷却フィンに温度センサを取り付けたり(これをエバポレータフィンサーモという)、除霜の終了を検知するためにエバポレータ4の側板に取り付けた既設の温度センサ(これをデフロスト終了センサ)を使用したりしてもよい。
【0046】
ここで、吹き出し温度センサ10を採用した場合は、庫内に供給される空気の温度を直に計測するので庫内の空気温度との非常に正確な比較が可能であると同時に、制御プログラムも簡略になるという利点がある。一方、エバポレータフィンサーモを採用した場合は、フィンの温度を吹き出し空気温度相当に換算する必要がありその分制御プログラムが複雑になるが、物体であるエバポレータの温度を直に計測するので温度ムラが少なく正確な計測が行えるという利点がある。デフロスト終了センサを採用した場合は、別の役割を担うべく既設であったものを利用するので、コスト削減の観点から有利である。
【0047】
また、前述した第1実施形態と本実施形態において、あらかじめ与えられる設定値はすべて入力部22を通じて変更可能であり、保冷庫の荷の種類や量に応じて適宜変更することで最適な保冷状態を確立できる。
【0048】
〔第3実施形態〕
本発明に係る車両用冷凍装置の第3の実施形態を図4ないし図6を用いて説明する。なお、前述した第1および第2実施形態において既に説明した構成要素と同一の機能を呈する構成要素には、同一符号を付して説明は省略する。
本実施形態の車両用冷凍装置は、HEVに搭載され、冷却すべき空間として車室内の冷却を行うことを主な役割としている。図4に示すように、エバポレータ4は、車室内に搭載されるHVAC(Heating Ventilation,and Air−Conditioning)ユニット23の一部を構成している。HVACユニット23には、前述した実施形態におけるエバポレータファンとしての機能を内包するブロワ24が設置されている。空調制御空間温度情報取得手段としての温度センサ9は、車内の空気の温度を計測するべく車室内に設置され、吹出空気温度情報取得手段としての温度センサ10は、ブロワ24によってエバポレータ4から送り出される吹き出し空気の温度を計測するべくエバポレータ4に設置されている。
【0049】
本実施形態のHEVには、例えば発進・低速時、全開加速時や登坂走行時にバッテリ15に蓄えられた電力を使って駆動されるモータ25と、HEVの動力性能を制御する動力制御部26とが設けられている。
【0050】
上記のように構成された車両用冷凍装置による省電力運転制御(C)について図5のフローチャートを参照して説明する。なお、この制御は既に発電機13やバッテリ15から電力の供給を受けて冷凍機6を駆動している状態で実施されるものとする。
まず、制御部17は、例えば車両の発進加速や登坂走行等に電力を伴い動力制御部26から省電力運転を開始せよとの指示があったか否かを判別し(ステップ301)、指示がなければ、例えば運転手から入力部22を通じて省電力運転を開始せよとの指示があったか否かを判別する(ステップ302)。
【0051】
そして、制御部17は、ステップ301またはステップ302のいずれかにおいて省電力運転を開始せよとの指示があったと判断した場合には、コンプレッサ1およびコンデンサファン7を停止する(ステップ303)。ステップ302において指示がなかったと判断した場合には、後述するステップ308に移行する。
【0052】
次に、温度センサ9で計測した車内の空気温度と温度センサ10で計測した吹き出し空気の温度とを比較し、庫内の空気温度が吹き出し空気温度よりも高いか否かを判別する(ステップ304)。庫内の空気温度が吹き出し空気温度よりも高ければブロワ24を引き続き運転し(ステップ305)、庫内の空気温度が吹き出し空気温度以下であればブロワ24を停止する(ステップ306)。ブロワ24の停止/運転を選択後、余剰の電力が発生すればバッテリ15に充電する(ステップ307)。
【0053】
外部から当該の省電力運転制御(C)を終了せよとの指示があれば制御を終了し(ステップ308)、指示がなければステップ301に戻って上記の制御を繰り返す。
【0054】
上記の制御を実行すると、動力制御部26や運転手からの指示によって省電力運転を行わざるを得ない場合、コンプレッサ1およびコンデンサファン7を停止(冷凍機6が実質的に機能停止)させることで電力消費を抑制しながらも、ブロワ24が、車室内の空気温度やエバポレータ4からの吹き出し空気温度を監視しながら停止/運転を繰り返すので、車室内の温度管理を行うことができる。また、冷凍機6側での電力消費量を抑制しその分の電力をモータ25の駆動に使うことでHEVの動力性能が向上するので、快適な走行フィーリングを得ることができる。
【0055】
加えて、コンプレッサ1およびコンデンサファン7を停止することで余剰の電力が発生すれば、その分をバッテリ15に充電するので、エネルギーを無駄にすることなく回収してHEVとしてのエネルギー効率を高めることができる。
【0056】
〔第4実施形態〕
本発明に係る車両用冷凍装置の第4の実施形態を図6に基づき説明する。ここで、本実施形態にかかる制御が実現される装置構成は、基本的に、前述した第3実施形態と同一の装置構成を用いるものであるが、制御部17が備える不図示の記憶手段に格納された制御プログラムを異なるものとして、新たな制御を実現している。
第1実施形態の車両用冷凍装置は、供給電力が制限される状況であるか否かを自動的に判別し、供給電力が制限される際に、空調制御を同時継続可能な省電力制御モードを提供するものであったが、本実施形態の車両用冷凍装置は、システム全体として電力消費量を抑えたい場合や、車両側で空調制御以外に電力を必要とする場合に、冷凍装置側に使用している電力を抑制するものである。
【0057】
図6は車両用冷凍装置による省電力運転制御(D)について説明したフローチャートである。この制御も既になんらかから電力の供給を受けて冷凍機6を駆動している状態で実施されるものである。
まず、制御部17は、例えば車両の発進加速や登坂走行等に電力を伴い動力制御部26から省電力運転を開始せよとの指示があったか否かを判別し(ステップ401)、指示がなければ、例えば運転手から入力部22を通じて省電力運転を開始せよとの指示があったか否かを判別する(ステップ402)。
【0058】
そして、制御部17は、ステップ401またはステップ402において省電力運転を開始せよとの指示があったと判断した場合には、吹き出し空気の温度から保冷庫内の空気温度を差し引いた値とあらかじめ設定された温度差とを比較し、設定温度差が吹き出し空気と庫内の空気温度との差以上であるか否かを判別する(ステップ403)。ステップ402において指示がなかったと判断した場合には、後述するステップ407に移行する。
【0059】
一方、制御部17は、ステップ403において設定温度差が吹き出し空気と庫内の空気温度との差以上であると判断した場合には、エバポレータ4に残留する冷媒を利用したブロワ駆動により空調制御可能であるものとして、コンプレッサ1およびコンデンサファン7を停止し(ステップ404)、ブロワ24を運転する(ステップ405)。ブロワ24を運転後、余剰の電力が発生すればバッテリ15に充電する(ステップ406)。
【0060】
ブロワ24の運転開始後、制御部17は、外部から当該の省電力運転制御(D)を終了せよとの指示を受け付けた場合には制御を終了し(ステップ407)、指示がなければステップ401に戻って上記の制御を繰り返す。
【0061】
上記の制御を実行すると、動力制御部26や運転手からの指示によって省電力運転を行わざるを得ない場合、ブロワ24が、車室内の空気温度やエバポレータ4からの吹き出し空気温度を監視しながら、適切な条件に基づいて停止/運転を繰り返すので、車室内の温度管理を緻密に行うことができる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、内的または外的な要因により発電機またはバッテリから圧縮機やコンデンサファンへの供給電力を抑えるべきと判断した場合、圧縮機を停止させて電力消費を抑制しながらも、エバポレータファンを連続または断続して運転し、エバポレータにおいて冷やされた空気を冷却すべき空間に供給することにより、該空間の冷却を行うことができる。
【0063】
本発明によれば、冷却すべき空間の温度に対し、エバポレータの温度または該エバポレータの温度を知る目安となる空気の温度が小さい場合にエバポレータファンを運転することにより、冷却すべき空間に常に冷えた空気を供給することができ、これによって精緻な温度管理を行うことができる。
【0064】
本発明によれば、圧縮機やコンデンサファンを停止させている間に発電される電力の一部をバッテリに蓄えることにより、エネルギーが無駄にならずに回収されるので、エネルギー効率が高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施形態を示す図であって、冷凍車に搭載される車両用冷凍装置の構造を示すブロック図である。
【図2】図1の車両用冷凍装置において実施される省電力運転制御(A)を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明に係る第2の実施形態を示す図であって、図1と同じ装置構成の車両用冷凍装置において実施される省電力運転制御(B)を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明に係る第3の実施形態を示す図であって、HEVに搭載される車両用冷凍装置の構造を示すブロック図である。
【図5】図4の車両用冷凍装置において実施される省電力運転制御(C)を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明に係る第4の実施形態を示す図であって、図4と同じ装置構成の車両用冷凍装置において実施される省電力運転制御(D)を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 コンプレッサ(圧縮機)
2 コンデンサ
4 エバポレータ
6 冷凍機
7 コンデンサファン
8 エバポレータファン
9 温度センサ(第1の温度センサ)
10 温度センサ(第2の温度センサ)
11 走行用エンジン
13 発電機
15 バッテリ
16 切換ユニット
17 制御部
22 入力部
24 ブロワ
25 モータ
26 動力制御部
Claims (6)
- 冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を凝縮、液化させるコンデンサと、該コンデンサに送風するコンデンサファンと、凝縮された冷媒を断熱膨張させる膨張弁と、断熱膨張した冷媒を蒸発、気化させるエバポレータと、該エバポレータから冷却すべき空間に冷えた空気を送り出すエバポレータファンと、前記圧縮機を駆動する電力を発電する発電機と、該発電機によって発電された電力を蓄えるバッテリとを備える車両用冷凍装置であって、
内的または外的な要因により前記発電機または前記バッテリから前記圧縮機への供給電力を抑えるべきと判断した場合、前記圧縮機を停止させるとともに前記エバポレータファンを連続または断続して運転する制御部を備えることを特徴とする車両用冷凍装置。 - 前記冷却すべき空間の温度を計測する第1の温度センサと、前記エバポレータの温度または該エバポレータによって冷やされる空気の温度を計測する第2の温度センサとを備え、
前記制御部は、前記第1の温度センサの計測値に対して前記第2の温度センサの計測値が小さい場合に前記エバポレータファンを運転することを特徴とする請求項1記載の車両用冷凍装置。 - 前記制御部は、前記圧縮機とともに前記コンデンサファンを停止させ、前記圧縮機および前記コンデンサファンを停止させている間に前記発電機において発電される電力の一部を前記バッテリに蓄えることを特徴とする請求項1または2記載の車両用冷凍装置。
- 冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を凝縮、液化させるコンデンサと、該コンデンサに送風するコンデンサファンと、凝縮された冷媒を断熱膨張させる膨張弁と、断熱膨張した冷媒を蒸発、気化させるエバポレータと、該エバポレータから冷却すべき空間に冷えた空気を送り出すエバポレータファンと、前記圧縮機を駆動する電力を発電する発電機と、該発電機によって発電された電力を蓄えるバッテリとを備える車両用冷凍装置の制御方法であって、
内的または外的な要因により前記発電機または前記バッテリから前記圧縮機への供給電力を抑えるべきと判断した場合、前記圧縮機を停止させるとともに前記エバポレータファンを連続または断続して運転することを特徴とする車両用冷凍装置の制御方法。 - 前記冷却すべき空間の温度に対し、前記エバポレータの温度または該エバポレータによって冷やされる空気の温度が小さい場合に前記エバポレータファンを運転することを特徴とする請求項4記載の車両用冷凍装置の制御方法。
- 前記圧縮機とともに前記コンデンサファンを停止させ、前記圧縮機および前記コンデンサファンを停止させている間に前記発電機において発電される電力の一部を前記バッテリに蓄えることを特徴とする請求項4または5記載の車両用冷凍装置の制御方法。
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