JP2004156624A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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洋 北浦
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Abstract

【課題】 厚みが均一、かつ、潤滑性があって摩擦が少なく、さらに、摩耗しても摩耗片が小さいコーティング層を備えたスクロール圧縮機を提供すること。
【解決手段】 可動スクロール5の表面に、無電解ニッケルメッキ層とPTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層とからなるコーティング層9を設ける。この可動スクロール5を、固定スクロール1に噛合わせてハウジング12に固定する。このスクロール圧縮機を運転すると、可動スクロール5の表面のPTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層が固定スクロール1と摺動摩擦する部分が摩耗して、固定スクロール1と可動スクロール5との隙間が殆どなくなる。コーティング層9は複雑な形状であるにも拘らず均一な厚みを有し、潤滑性を有するので、可動スクロール5の摺動損失が小さい。PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層の摩耗片は微粒子なので、スクロール圧縮機の内部に詰まらない。
【選択図】図1

Description

この発明は、スクロールの摺動面にコーティング層を備えるスクロール圧縮機に関する。
従来、固定スクロールおよび可動スクロールの表面にコーティング層を備えたスクロール圧縮機としては、図3の部分断面図に示すようなものがある(特許文献1:特開平8−189482号公報参照)。このスクロール圧縮機は、固定スクロール101のラップ部102および鏡板部103の表面と、可動スクロール105のラップ部106および鏡板部107の表面に、フッ素樹脂からなるコーティング層108を設けている。上記コーティング層108は、なじみ性を有し、上記固定スクロール101のコーティング層108と可動スクロール105のコーティング層108とが互いに接して摩耗することによって上記固定スクロール101と可動スクロール105との隙間を最小にして、圧縮流体の漏れを少なくしている。また、上記固定スクロール101は可動スクロール105に押圧されるので、このスクロール圧縮機の初期運転時に、上記固定スクロール101の鏡板部103のコーティング層108が、上記可動スクロール105のラップ部106の先端に配置されたチップシール110で削られて殆ど除去されると共に、上記可動スクロール105の鏡板部107のコーティング層108が、上記固定スクロール101のラップ部102の先端に配置されたチップシール111によって削られて殆ど除去される。そのため、上記チップシール110,111が鏡板部103,107表面を摺動する際に生じる摺動熱が、この鏡板部103,107周辺にこもらないので、上記固定スクロール101および可動スクロール105が異常高温にならなくて、スクロール圧縮機の故障が回避される。さらに、上記鏡板部103,107表面のコーティング層108が殆ど削られても、この鏡板部103,107表面の微小な凹凸には僅かにコーティング材が残っているので、上記チップシール110,111が、鏡板部103,107表面を摺動する際に、異常摩耗しないようになっている。
しかしながら、上記従来のスクロール圧縮機は、上記フッ素樹脂は、通常、吹付けによって形成されるので、形状が複雑な上記固定スクロール101や可動スクロール105においては、コーティング厚が不均一になる。そうすると、コーティング厚が過大な部分で上記可動スクロール105と上記固定スクロール101との摩擦が増えて、上記可動スクロール105の摺動ロスが増加して、この可動スクロール105を駆動するモータの損失が増えるという問題がある。さらに、上記可動スクロール105と固定スクロール101との摩擦が過大であると、コーティング層108が剥離するという問題がある。また、上記鏡板部103,107表面のコーティング層108は、スクロール圧縮機の初期運転時に削られて大量の削り片が生じるので、この削り片がスクロール圧縮機の軸受等の摺動部に噛み込み、スクロール圧縮機が故障するという問題がある。
特開平8−189482号公報
そこで、この発明の目的は、厚みが均一、かつ、潤滑性があって摩擦が少なく、さらに、摩耗しても摩耗片が小さいコーティング層を備えたスクロール圧縮機を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のスクロール圧縮機は、可動スクロールまたは固定スクロールの少なくとも一方の摺動面に、PTFE(ポリ・テトラ・フルオロ・エチレン)コンポジット無電解ニッケルメッキ層を設けたことを特徴としている。
このスクロール圧縮機によれば、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層は、複雑な形状を有するスクロールにおいても層厚を均一に形成できて、さらに、潤滑性を有するので、上記可動スクロールと固定スクロールが摺動する際の摩擦力が小さい。したがって、上記可動スクロールの摺動ロスが少なくなって上記スクロール圧縮機を駆動するモータの損失が少なくなる。また、上記可動スクロールと固定スクロールとの間に過大な摩擦力が生じないから、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層が剥がれることがない。さらに、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層は、PTFEが微小な粒子で分散しているので、摩耗したときの摩耗片が小さいから、この摩耗片がスクロール圧縮機の軸受等の摺動部に噛み込み、スクロール圧縮機が故障することがない。したがって、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層を備えるスクロール圧縮機は、性能が向上し、安定する。
また、上記スクロール圧縮機は、上記固定スクロールの鏡板面に、鋳物を露出させたことを特徴としている。
このスクロール圧縮機によれば、上記可動スクロールのラップ部が上記固定スクロールの鏡板面で摺動して熱が生じる場合があるが、この固定スクロールの鏡板面には熱伝導性の良い鋳物が露出しているので、上記摺動による熱はこの鋳物を介して伝達されて消散するから、上記ラップ部は異常過熱することがなく、ラップ部の摩耗が抑えられ、性能が安定する。
1実施形態スクロール圧縮機は、上記可動スクロールのラップ部の端面にチップシールを設けたことを特徴としている。
このスクロール圧縮機によれば、上記可動スクロールのラップ部端面に設けたチップシールが上記固定スクロールの鏡板面で摺動して熱が生じる場合があるが、この固定スクロールの鏡板面には熱伝導性の良い鋳物が露出しているので、上記摺動による熱はこの鋳物を介して伝達されて消散するから、上記チップシール部は異常過熱することがなく、チップシールの摩耗が抑えられ、性能が安定する。
1実施形態のスクロール圧縮機は、上記可動スクロールのみに、PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層を設けたことを特徴としている。
このスクロール圧縮機によれば、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層を、固定スクロールよりも表面積および体積が小さい可動スクロールのみに設けたので、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層を形成する手間と材料が少なくなる。
1実施形態のスクロール圧縮機は、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層の下に、無電解ニッケルメッキ層を有することを特徴としている。
このスクロール圧縮機によれば、上記無電解ニッケルメッキ層は、スクロール圧縮機の表面と、この表面に設けるPTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層との密着性を高める。そうすると、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層は、さらに剥がれにくくなるので、このスクロール圧縮機の性能がさらに安定する。
1実施形態のスクロール圧縮機は、上記可動スクロールを上記固定スクロールに軸方向に押し付ける押し付け機構を有することを特徴としている。
このスクロール圧縮機によれば、上記可動スクロールを上記固定スクロールに押し付ける押し付け機構を備える。たとえば、可動スクロールが上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層を備えるとすると、上記可動スクロールの鏡板面において上記固定スクロールに摺動接触する部分であるスラスト面のPTFEコンポジット無電解ニッケルメッキが摩耗する。そうすると、上記可動スクロールは、上記スラスト面での摩耗厚さ分だけ上記固定スクロール側に押し込められるので、上記可動スクロールのラップ部端面が上記固定スクロールの鏡板部に接近する。すなわち、上記可動スクロールのラップ部端面に設けたPTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層が、上記固定スクロールの鏡板部に摺動接触するようになって摩耗するので、上記可動スクロールのラップ部端面と固定スクロールの鏡板部との間の隙間が殆どなくなる。したがって、このスクロール圧縮機は圧縮流体の漏れが殆どなくなって、効率が向上する。上記固定スクロールがPTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層を備えた場合も同様である。
以上より明らかなように、本発明のスクロール圧縮機は、可動スクロールまたは固定スクロールの少なくとも一方の摺動面に、PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層を設けたので、複雑な形状を有するスクロールにおいても均一な厚さを有する層を形成できて、さらに、上記摺動面に潤滑性を与えることができるので、上記可動スクロールと固定スクロールとが摺動する際の摩擦力を小さくできる。したがって、上記可動スクロールの摺動ロスを少なくして上記スクロール圧縮機を駆動するモータの損失を少なくして、スクロール圧縮機の効率を向上できる。また、上記可動スクロールと固定スクロールとの間の過大な摩擦力を防止できるので、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層の剥離を防止できる。さらに、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層は、摩耗片が小さいので、この摩耗片がスクロール圧縮機の軸受等の摺動部に噛み込むことがなく、スクロール圧縮機の性能を安定にできる。
また、上記スクロール圧縮機は、上記固定スクロールの鏡板面に、鋳物を露出させたので、可動スクロールのラップ部が上記固定スクロールの鏡板面で摺動して生じる熱を、熱伝導性の良い上記鋳物を介して消散させて、上記スクロール圧縮機の異常過熱を防止して性能を安定にできる。
1実施形態のスクロール圧縮機は、上記可動スクロールのラップ部の端面にチップシールを設けたので、上記チップシールが上記固定スクロールの鏡板面で摺動して生じる熱を、熱伝導性の良い上記鋳物を介して消散させて、上記スクロール圧縮機の異常過熱を防止して性能を安定にできる。
1実施形態のスクロール圧縮機は、固定スクロールよりも表面積および体積が小さい可動スクロールのみに、PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層を設けたので、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層を形成する手間と材料を少なくできる。
1実施形態のスクロール圧縮機は、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層の下に、無電解ニッケルメッキ層を設けたので、スクロール圧縮機の表面と、PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層との密着性を高めて、このスクロール圧縮機の性能を安定にできる。
1実施形態のスクロール圧縮機は、上記可動スクロールを上記固定スクロールに押し付ける押し付け機構を有するので、上記可動スクロールと固定スクロールとが摺動接触するスラスト面のPTFEコンポジット無電解ニッケルメッキが摩耗して、この摩耗厚さ分だけ上記可動スクロールが上記固定スクロール側に押し込められる。その結果、上記可動スクロールのラップ部端面を上記固定スクロールの鏡板部に接近させて、上記ラップ部端面に設けたPTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層が上記鏡板部に摺動接触するようになるので、上記可動スクロールのラップ部端面と固定スクロールの鏡板部との隙間をなくして、このスクロール圧縮機の圧縮流体の漏れを殆ど無くすことができる。
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明によるスクロール圧縮機の断面図である。分かりやすさのため、スクロールのラップ部の渦巻数は省略して、固定スクロールと可動スクロールとの隙間と、コーティング層の厚さは誇張して示している。このスクロール圧縮機は、可動スクロールを固定スクロールに向って押し付けない固定クランク式のスクロール圧縮機で、固定スクロール1のラップ部2端部にチップシール3を備えると共に、可動スクロール5のラップ部6端部にもチップシール7を備える。上記可動スクロール5のラップ部6と鏡板部8の表面には、略5μmの厚みを有する無電解ニッケルメッキ層と、略30μmの厚みを有するPTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層とからなるコーティング層9が設けられている。上記固定スクロール1は鋳物からなり、PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層は設けていない。この固定スクロールは、上記可動スクロール5を揺動可能に収容して、ハウジング12に固定されている。上記可動スクロール5は、ラップ部6を備えていない側である底面側にクランク軸受13を有し、図示しないクランク軸に接続している。
上記固定スクロール1と可動スクロール5との間には、固定スクロール1および可動スクロール5の加工誤差を吸収するために、隙間La,Lb,Lcが設けられている。すなわち、固定スクロール1のラップ部2と可動スクロール5のラップ部6との間に径方向の隙間Laを、固定スクロール1の鏡板部11と可動スクロール5のラップ部6との間に旋回軸方向の隙間Lbを、固定スクロール1のラップ部2と可動スクロール5の鏡板部8との間に旋回軸方向の隙間Lcを設けている。これらの隙間La,Lb,Lcは、略30μmの間隔に形成されている。
上記構成のスクロール圧縮機において、初期運転を行うと、上記可動スクロール5が図示しないクランク軸によって旋回動作する。そうすると、上記可動スクロール5に設けられたコーティング層9の厚さは、上記固定スクロール1と可動スクロール5との間の隙間La,Lb,Lcよりも僅かに厚く、上記コーティング層9の表面のPTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層は、なじみ性を有するので、このPTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層の固定スクロール1と摺動接触する部分が摩耗する。したがって、上記固定スクロール1と可動スクロール5との間の隙間La,Lb,Lcが殆ど無くなって、このスクロール圧縮機の圧縮流体が殆ど漏れなくなる。その結果、このスクロール圧縮機の効率を向上できる。
ここで、上記無電解ニッケルメッキ層およびPTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層は、厚さが均一なので、コーティング層9の厚さは均一である。そのため、上記可動スクロール5が旋回して、上記コーティング層9が上記固定スクロール1と摺動接触して摩耗するときに、摩擦力が過大になる部分が生じない。さらに、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキは潤滑性を有するので、上記コーティング層9と上記固定スクロール1との間の摩擦力を小さくできる。したがって、上記可動スクロール5が旋回するときの摺動ロスを小さくできて、この可動スクロール5を駆動する図示しないモータの損失も小さくできるので、このスクロール圧縮機の効率をさらに向上できる。また、上記コーティング層9と上記固定スクロール1との間に摩擦力が過大になる部分がないので、上記コーティング層9が過大な摩擦力によって剥離することがなく、その結果、このスクロール圧縮機の性能を安定にできる。
また、上記コーティング層9は、PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層の下に無電解ニッケルメッキ層を備えるので、スクロール圧縮機の表面と、PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層との密着性を高めることができる。したがって、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層を、さらに剥がれにくくできるので、このスクロール圧縮機の性能をさらに安定にできる。
さらに、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層は、PTFEが粒径1μm以下の粒子で分散しているので、摩耗したときの摩耗片が小さい。したがって、この摩耗片が、スクロール圧縮機の図示しない軸受等の摺動部に噛み込み、スクロール圧縮機が故障することがない。したがって、このスクロール圧縮機の性能を安定して維持できる。
また、上記スクロール圧縮機は、可動スクロール5のみにコーティング層9を設けているので、コーティング層9を形成する無電解ニッケルメッキ層と、PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層の材料を少なくできる。また、上記コーティング層9が摩耗して生じる摩耗片を少なくできるので、この摩耗片が図示しない軸受等の摺動部に噛み込む可能性を低くできて、このスクロール圧縮機の故障を回避できる。
また、上記可動スクロール5が旋回するときに、可動スクロール5のラップ部6のチップシール7が、固定スクロール1の鏡板部11に摺動接触して発熱する場合がある。しかし、上記固定スクロール1の鏡板部1は熱伝導率の高い鋳物が露出しているので、上記熱は上記鋳物を伝わって固定スクロール1の外部に発散されるので、このチップシール摺動部が異常高温になって故障することがない。そのため、このスクロール圧縮機の性能を安定して維持できる。
なお、この実施形態のスクロール圧縮機は、固定スクロール1および可動スクロール5のいずれにもチップシール3,7を備えるが、チップシールを設けていないスクロール圧縮機であってもよい。
図2は本発明によるスクロール圧縮機の他の実施形態を示す断面図である。このスクロール圧縮機は、可動スクロールをガス圧力で固定スクロールに向って押し付ける形式のスクロール圧縮機で、固定スクロール21のラップ部22の間の鏡板部23に、可動スクロール25のラップ部26端部に設けたチップシール27が対向している。上記可動スクロール25のラップ部26と鏡板部28の表面には、略5μmの厚みを有する無電解ニッケルメッキ層と、略30μmの厚みを有するPTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層とからなるコーティング層29が設けられている。一方、上記固定スクロール21のラップ部22および鏡板部23には、この固定スクロール21を形成する材料の鋳物が露出している。上記固定スクロール21は、上記可動スクロール25を揺動可能に収容して、ハウジング32に固定されている。上記可動スクロール25は、ラップ部26を備えていない側である底面側にクランク軸受33を有し、図示しないクランク軸に接続している。また、上記可動スクロール25の底面には、シールリング35が当接している。
上記固定スクロール21の鏡板部23と可動スクロール25のラップ部26端部との間には、旋回軸方向の隙間Lfが設けられている。この隙間Lfは、上記固定スクロール21および可動スクロール25の加工誤差を吸収するための間隔Ldと、上記コーティング層29の厚さLeとからなり、Ldは略30μm、Leは略35μmである。
上記構成のスクロール圧縮機において、初期運転を行うと、上記可動スクロール25が図示しないクランク軸によって旋回動作して、上記固定スクロール21と可動スクロール25との間で圧縮流体が圧縮されて高圧になる。この高圧の圧縮流体は、上記可動スクロール25の下側かつ上記シールリング35の内側に排出されて、矢印Pに示す方向に可動スクロール25を付勢する。そうすると、上記可動スクロール25の周縁部分が上記固定スクロール21に向って押圧されて、上記可動スクロール25の周縁部分にスラスト面36を形成する。このスラスト面36のコーティング層29aは、上記固定スクロール25と摺動接触して摩耗する。そして、さらに運転を継続すると、上記スラスト面36のコーティング層29aが略全て摩耗して、この可動スクロール25のスラスト面36は、上記固定スクロール21に摺動接触するようになる。その結果、上記可動スクロール25は固定スクロール21に向ってコーティング層厚Le、すなわち略35μmだけ押し込められる。そうすると、上記可動スクロール25のラップ部26端部と固定スクロール21の鏡板部23との間の隙間Lfも略35μm縮まって、この可動スクロール25のラップ部26端部のコーティング層29cが、固定スクロール21の鏡板部23に摺動接触するようになる。したがって、上記可動スクロール25のラップ部26端部のコーティング層29cが摩耗して、固定スクロール21の鏡板部23との隙間が殆ど無くなって、スクロール圧縮機の圧縮流体が径方向に殆ど漏れなくなる。
一方、上記可動スクロール25は、旋回する際に径方向にも付勢されているので、この可動スクロール25のラップ部26のコーティング層29bと、固定スクロール21のラップ部22とが摺動接触して、上記スクロール25のラップ部26のコーティング層29bが摩耗する。その結果、上記スクロール25のラップ部26のコーティング層29bと固定スクロール21のラップ部22との間の隙間が殆ど無くなって、スクロール圧縮機の圧縮流体が旋回軸方向に殆ど漏れなくなる。
このように、スクロール圧縮機の圧縮流体は径方向にも旋回方向にも殆ど漏れなくすることができるので、このスクロール圧縮機の効率を確実に向上できる。
また、上記コーティング層29の厚さは均一なので、上記可動スクロール25が旋回して、上記コーティング層29が上記固定スクロール21と摺動接触して摩耗するときに、摩擦力が過大になる部分が生じなくて、さらに、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキは潤滑性を有するので、上記コーティング層29と上記固定スクロール21との間の摩擦力は小さい。したがって、上記可動スクロール25を駆動する図示しないモータの損失を小さくできるので、このスクロール圧縮機の効率をさらに向上できる。また、上記コーティング層29と上記固定スクロール21との間に摩擦力が過大になる部分がないので、上記コーティング層29が剥離することがなく、その結果、このスクロール圧縮機の性能を安定にできる。
また、上記コーティング層29は、PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層の下に無電解ニッケルメッキ層を備えるので、スクロール圧縮機の表面と、PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層とを密着できて、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層を、さらに剥がれにくくできる。したがって、このスクロール圧縮機の性能をさらに安定にできる。
さらに、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層は、摩耗したときの摩耗片が小さいので、この摩耗片が、スクロール圧縮機の図示しない軸受等の摺動部に噛み込み、スクロール圧縮機が故障することが殆どない。したがって、このスクロール圧縮機の性能を安定して維持できる。
また、上記可動スクロール25が旋回するときに、可動スクロール25のラップ部26のチップシール27が固定スクロール21の鏡板部23に摺動接触して発熱する場合があるが、上記固定スクロール21の鏡板部23は熱伝導率の高い鋳物が露出している。したがって、上記摺動接触による熱は、上記鋳物を伝わって固定スクロール21の外部に発散されるので、このチップシール摺動部が異常高温になって故障することがない。そのため、このスクロール圧縮機の性能を安定して維持できる。
この発明の実施形態のスクロール圧縮機を示す断面図である。 この発明の他の実施形態のスクロール圧縮機を示す断面図である。 従来のスクロール圧縮機を示す断面図である。
符号の説明
1 固定スクロール
2 固定スクロールのラップ部
3 固定スクロールのチップシール
5 可動スクロール
6 可動スクロールのラップ部
7 可動スクロールのチップシール
8 可動スクロールの鏡板部
9 コーティング層
11 固定スクロールの鏡板部
12 ハウジング

Claims (5)

  1. 可動スクロール(5,25)または固定スクロール(1,21)の少なくとも一方の摺動面に、PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層を設けたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 請求項1によるスクロール圧縮機において、上記可動スクロール(5,25)のみに、PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層を設けたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  3. 請求項1または2によるスクロール圧縮機において、上記PTFEコンポジット無電解ニッケルメッキ層の下に、無電解ニッケルメッキ層を有することを特徴とするスクロール圧縮機。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つによるスクロール圧縮機において、上記可動スクロール(5,25)のラップ部(6,26)の端面にチップシール(7,27)を設け、上記固定スクロール(1,21)の鏡板面(11,23)に、鋳物を露出させたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1つによるスクロール圧縮機において、上記可動スクロール(25)を上記固定スクロール(21)に軸方向に押し付ける押し付け機構を有することを特徴とするスクロール圧縮機。
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