JPH094721A - メカニカルシール - Google Patents

メカニカルシール

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JPH094721A
JPH094721A JP14993195A JP14993195A JPH094721A JP H094721 A JPH094721 A JP H094721A JP 14993195 A JP14993195 A JP 14993195A JP 14993195 A JP14993195 A JP 14993195A JP H094721 A JPH094721 A JP H094721A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転密封環に対する冷却効果を高めて異常摩
耗や歪みの発生などを抑制し、シール性能および寿命の
大幅な向上を図り、さらに流体中の固形物などの堆積を
防止してシール性の信頼性を高めることができるように
する。 【構成】 ケーシング1側に保持された静止密封環3の
密封端面3aに摺接する密封端面5aをもつ回転密封環
5自体に、回転軸2に軸方向移動可能に外嵌保持された
ドライブカラー12側のトルク伝達用突起部16が係合
するトルク伝達用凹部15を形成させて、金属リテーナ
の使用を省略した構成としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえば石油精製や石
油化学工程における流体処理に用いられるポンプなどの
ような各種流体処理用の回転流体機器の軸封装置として
使用されるメカニカルシールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来一般に、この種のメカニカルシール
として、たとえばプレスインタイプの回転密封環を用い
たものが知られている。このメカニカルシールは、図7
に示すように、回転軸101が貫通されたケーシング1
02の内周側にその軸方向の一端に密封端面103aを
有する静止密封環103を保持させる一方、上記密封端
面103aに摺接可能な密封端面104aを有する回転
密封環104を上記回転軸101に一体回転可能で、か
つ、Oリング110を介して軸方向に摺動可能に外嵌保
持させた金属リテーナ105における軸方向一端側の環
状凹部105aに圧入固着(プレスイン)し、上記金属
リテーナ105の軸方向他端面105bに当接させて上
記回転軸101に軸方向に移動可能に外嵌させたトルク
伝達部材となるドライブカラー108とこのドライブカ
ラー108に対して軸方向に所定間隔を隔てて上記回転
軸101の外周側に固定したスプリングリテーナ106
との間に圧縮コイルスプリング107を介装して、その
ばね力によりドライブカラー108を介して上記回転密
封環104をそれの密封端面104aが静止密封環10
3の密封端面103aに弾性的に圧接するように軸方向
に移動付勢するとともに、上記金属リテーナ105の軸
方向他端面105bから突設したトルク伝達用ピン10
9を、上記ドライブカラー108の外周側に形成したト
ルク伝達用の溝108aに係合させて、上記回転軸10
1の回転をドライブカラー108、トルク伝達用溝10
8aおよびピン109を介して金属リテーナ105およ
び回転密封環104に伝達するように構成したものであ
る。
【0003】上記構成のメカニカルシールにおいては、
回転軸101の回転にともないスプリングリテーナ10
6が一体に回転し、このスプリングリテーナ106の回
転がドライブカラー108に伝わるとともに、このドラ
イブカラー108の回転がトルク伝達用溝108aおよ
びピン109を介して上記金属リテーナ105に伝達さ
れて回転密封環104が回転軸101と同方向に一体に
回転駆動される一方、上記コイルスプリング107のば
ね力を受けて静止密封環103側に移動付勢されている
回転密封環104の密封端面104aが上記静止密封環
103の密封端面103aに弾性的な圧接状態で摺動し
て、それら密封端面104a,103a間に軸封部が形
成されることになり、流体の漏洩が阻止される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した構成および軸
封作用を有する従来のプレスインタイプのメカニカルシ
ールにおいては、回転密封環104の外周側が金属リテ
ーナ106に被われた状態となるので、この回転密封環
104に対する冷却効果が悪く、そのために、両密封端
面103a,104aの圧接状態での摺動により発生す
る熱が蓄積されて回転密封環103が著しく温度上昇し
易い。その結果、回転密封環104の密封端面104a
が異常摩耗したり、両密封端面103a,104a間か
らの流体漏れが生じやすいといった問題があった。
【0005】上記のプレスインタイプの回転密封環を用
いるメカニカルシールの他に、金属リテーナに回転密封
環を焼嵌して固着する焼嵌タイプの回転密封環を用いた
メカニカルシールや、回転密封環の外周側にドライブカ
ラーとの間におけるトルク伝達部をもった補強金属バン
ドを巻回させて両者を一体に締め付け固着してなる補強
バンドタイプの回転密封環を用いたメカニカルシールも
従来から知られているが、これら焼嵌タイプや補強バン
ドタイプの回転密封環を用いたメカニカルシールにおい
ては、使用温度の変動に伴って焼嵌部分や締め付け部分
の保持力が変化するために、密封端面に応力緩和による
歪みの影響を与えて、上述したプレスインタイプのもの
と同様に密封端面間からの流体漏れを発生しやすい。
【0006】また、スラリー液のように流体中に固形物
Mが含有されている場合は、使用するうちに、上記固形
物Mが金属リテーナ105とドライブカラー108との
間に入り込んで堆積したり、その堆積した固形物Mが回
転密封環104の温度上昇にともなって凝固してスティ
ック現象を生じやすくなり、その結果、回転密封環10
4の摺動特性が低下して密封端面103a,104aの
摩耗に対する追従性が悪化し、上記密封端面103a,
104a間に隙間が生じてシール不良を来たし、流体漏
れにつながるといった問題もあった。
【0007】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、回転密封環に対する冷却効果を高めて異常摩耗の発
生などをなくし、シール性能および寿命の大幅な向上を
図ることができ、さらに流体中の固形物などの堆積を防
止してシール性の信頼性を一層高めることができるメカ
ニカルシールを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るメカニカルシールは、回転軸が貫通す
るケーシングの内周側に保持された静止密封環と、上記
静止密封環における軸方向一端の密封端面に摺接する密
封端面を有し、上記回転軸の外周側に一体回転可能に保
持された回転密封環と、上記回転密封環における密封端
面とは軸方向で反対側の端面に対応して上記回転軸にそ
の軸方向に移動可能に保持されたトルク伝達部材と、こ
のトルク伝達部材と上記回転軸に固定されたスプリング
リテーナとの間に介装されて、上記回転密封環を静止密
封環側に移動付勢するスプリングとを備え、上記回転密
封環自体にトルク伝達用の凹部を形成するとともに、こ
の凹部に係合するトルク伝達用突起部を上記トルク伝達
部材に形成したものである。
【0009】上記構成のメカニカルシールにおいて、上
記トルク伝達用凹部は、請求項2のように、回転密封環
自体の外周面に形成されていることが好ましく、また、
請求項3のように、上記トルク伝達部材における回転密
封環との対向面に、その径方向に沿って縦断する流体流
通用の溝を周方向に複数個設けることが望ましい。
【0010】さらに、請求項4のように、上記トルク伝
達部材における回転密封環との対向面に設けられた溝の
内周縁部に回転密封環側ほど回転軸の外周面との間の間
隔が大きくなるような傾斜面又は円弧面を形成すること
が望ましく、さらにまた、請求項5のように、上記スプ
リングリテーナにおけるばね座壁に流体循環用の孔を形
成することが好ましい。
【0011】
【作用】この発明によれば、回転密封環自体にトルク伝
達部材に形成したトルク伝達用突起部に係合するトルク
伝達用凹部を形成して、トルク伝達部材から回転密封環
へのトルク伝達のための金属リテーナの使用を省略した
構成としたので、従来のように、金属リテーナに回転密
封環をプレスインしたプレスインタイプや焼嵌した焼嵌
タイプのものに比べて、回転密封環を構成する熱伝導率
のよい材料の特性を有効に活用して該回転密封環の密封
端面と静止密封環の密封端面との摺動にともなって発生
する熱を効率よく放出させることが可能となる。また、
回転密封環が単体で構成されているので、使用温度の変
動によって密封端面に応力緩和による歪みの影響が現わ
れたりすることもなくなる。これによって、回転密封環
に対する冷却効果を高めて、機器の連続運転にかかわら
ず回転密封環の温度上昇を抑制して、密封端面の異常摩
耗による回転密封環の使用寿命の低下および流体漏れの
発生などを防止し、確実良好なシール性能を長期にわた
って維持させることができる。
【0012】特に、請求項3のように、トルク伝達部材
における回転密封環との対向面に、その径方向に沿って
縦断する流体流通用の溝を周方向に複数個設けるとき
は、回転運転時にトルク伝達部材の複数個の溝を介して
ポンプ作用を生起させて流体を強制的に循環させること
が可能となり、これによって、流体中の固形物が回転密
封環の内側などに堆積したり、凝固したりすることにと
もなう回転密封環の摺動特性の低下が改善され、密封端
面の摩耗に対する追従性が良好に保たれることになり、
シール性能の一層の向上が図れるだけでなく、上記ポン
プ作用によって回転密封環に対する冷却効果も助長され
る。また、請求項4のように、トルク伝達部材における
回転密封環との対向面に設けられた溝の内周縁部に傾斜
面又は円弧面を形成する場合は、上記流体中の固形物を
上記溝を通して回転密封環の外周側に円滑に流動排出さ
せてその固形物の堆積をより軽減することが可能とな
り、さらに、請求項5のように、スプリングリテーナの
ばね座壁に孔を形成する場合は、流体がその孔を介して
より激しく循環流動して、上記固形物などがスプリング
に付着堆積することによるばね力の低下がなくなり、こ
れによって、密封端面の摩耗に対する回転密封環の軸方
向への追従移動性をより円滑にして所定のシール性能を
長期に亘って確保することができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明の一実施例によるメカニカルシール
を示す縦断側面図、図2は同メカニカルシールの要部の
半截縦断側面図である。
【0014】図1および図2において、1は回転軸2が
貫通されているケーシングであり、該ケーシング1の内
周側には、その軸方向の一端に密封端面3aを有する静
止密封環3が保持されており、この静止密封環3の外周
側と上記ケーシング1の内周側との間にはOリング4が
介設されている。5は上記回転軸2の外周側に該回転軸
2と一体回転可能に保持された回転密封環であり、たと
えばSiCからなり、その軸方向の一端には上記静止密
封環3の密封端面3aに対応する密封端面5aが形成さ
れており、また、この回転密封環5の軸方向の他端側の
内周には、上記回転軸2の外周に嵌着されたOリング6
を格納させる環状空間7(図2)が形成されている。
【0015】上記回転密封環5における密封端面5aと
は軸方向で反対側の端面、つまり軸方向の他端面5bか
ら所定間隔を隔てた位置の上記回転軸2の外周には、環
状のスプリングリテーナ8がセットねじ9により固定さ
れている。このスプリングリテーナ8の周方向に等間隔
を隔てた複数箇所には、軸方向に沿ったドライブピン保
持孔10が形成されており、これら各ドライブピン保持
孔10にはそれぞれドライブピン11が軸方向に移動自
在に保持されている。12は上記回転密封環5の軸方向
の他端面5bに対応して上記回転軸2の外周に配設され
たトルク伝達部材としてのドライブカラーであり、この
ドライブカラー12はその周方向の複数箇所で上記ドラ
イブピン11の先端に螺合されており、こりにより、ド
ライブカラー12はドライブピン11に案内される状態
で軸方向に移動可能に構成されている。
【0016】13は上記スプリングリテーナ8と上記ド
ライブカラー12との間に介装された圧縮コイルスプリ
ングであり、そのばね力を介して上記回転密封環5を静
止密封環3側に移動付勢させて、両密封環5.3の密封
端面5a,3a同士を弾性的に圧接させ軸封部を形成す
るようになっている。上記スプリングリテーナ8のばね
座壁8aの中心部には、図2に示すように、流体循環用
の複数の孔14が形成されており、回転運転時にはその
孔14を通して流体の循環移動を起こし易くして、該流
体中の固形物M(図4)などが上記スプリング13に付
着堆積することを防止させるようにしている。
【0017】上記回転密封環5の外周面には、その軸方
向の他端面5bから一端側に向って延びるトルク伝達用
の複数の凹部15が周方向に等間隔を隔てて複数個形成
されている。また、上記ドライブカラー12における回
転密封環5との対向面12aには、図3に示すように、
その周方向に等間隔を隔てて複数の先端曲面状のトルク
伝達用突起部16が軸方向の一方に向けて突設されてお
り、これら突起部16を上記回転密封環5の外周面に形
成のトルク伝達用の凹部15にそれぞれ係合させること
により、トライブカラー12から回転密封環5へのトル
ク伝達用クラッチ部17を構成している。
【0018】また、上記ドライブカラー12における上
記回転密封環5との対向面12aには、図3に示すよう
に、径方向に沿って縦断する流体通過用の複数の溝18
が周方向に等間隔を隔てて形成されているとともに、こ
のドライブカラー12における上記複数の溝18の内周
縁部には、図3および図4に示すように、回転密封環5
側ほど回転軸2の外周面との間隔が大きくなるような傾
斜面又は円弧面19が形成されている。この傾斜面又は
円弧面19は、円錐状の面取り加工または円弧状加工を
施すにより形成されている。
【0019】上記構成のメカニカルシールにおいては、
回転軸2が回転されると、スプリングリテーナ8ととも
にドライブカラー12が一体に同方向に回転するととも
に、このドライブカラー12の回転が突起部16と凹部
15からなるトルク伝達用クラッチ17を経て回転密封
環5に伝達されて該回転密封環5が回転軸2と同方向に
一体回転する。一方、スプリング13のばね力による回
転密封環5に対する移動付勢力によって回転および静止
密封環5,3の密封端面5a,3a同士が弾性的な圧接
状態で摺動し、軸封部が形成されて流体の漏洩が防止さ
れている。
【0020】ここで、上記回転密封環5の背部には金属
リテーナが設けられてなく、この回転密封環5自体に、
ドライブカラー12から直接にトルクが伝達される構成
であるから、該回転密封環5の構成材料であるSiCの
優れた熱伝導特性をそのまま活かして回転密封環5の冷
却性能が高められ、上記両密封端面3a,5aの摺動に
ともなって生起される熱が有効に放出されて、回転密封
環5の温度上昇が抑えられる。このため、上記密封端面
3a,5aの異常摩耗などが確実に防止され、所定のシ
ール性能を長期に亘って確保することが可能である。さ
らに、回転密封環5が単体であるから、使用温度の変動
にともない経時的に密封端面5aに応力緩和による歪み
が生じたりすることが抑止されて、シール性能の大幅な
向上を図ることができる。
【0021】また、スラリー液のように固形物Mなどが
含有されている流体が上記回転密封環5とドライブカラ
ー12との間に入り込んだ場合、上記ドライブカラー1
2に形成されている径方向に沿った溝18のポンプ作用
で固形物Mを含む流体が図4のように、強制的にドライ
ブカラー12の内周側から外周側へ流出されることにな
るため、上記固形物Mなどが回転密封環5の内側に堆積
したり、凝固したりすることがなくなり、その結果、回
転密封環5の軸方向の摺動特性が改善されて、密封端面
3a,5aが摩耗したときの回転密封環5の軸方向の追
従性が良好に保たれ、密封端面3a,5aの圧接状態で
の摺動による高いシール性能を確保させることができ
る。さらに、このとき、上記ドライブカラー12におけ
る上記対向面12aに設けられた溝18の内周縁部には
面取り加工または円弧状加工による傾斜面又は円弧面1
9が形成されているので、上記流体中の固形物Mの上記
溝18を経ての流動排出性がよくて回転密封環5の軸方
向の追従性が一層良好に保たれる。
【0022】ところで、上記回転密封環5の冷却性能の
向上により、上記流体中の固形物Mの堆積や凝固作用が
軽減されて、上記回転密封環5の軸方向の追従性を助長
させることができると同時に、上記溝18によるポンプ
作用により、上記の冷却性能を助長させることができ、
これらの相乗作用によって所定のシール性能を一段と高
めることができる。
【0023】なお、上記回転密封環5の構成材料として
は、上記実施例で示したSiCに限らず、Si3 4
TiC、WC、Al2 3 なども好適に使用することが
可能である。
【0024】また、上記実施例では、回転密封環5の外
周面にトルク伝達用凹部15を形成したが、回転密封環
5の他端面5b側にトルク伝達用凹部を形成する一方、
これに軸方向で対面するドライブカラー12の軸方向の
一端面にトルク伝達用突起部を形成した構成としてもよ
い。
【0025】本出願人は、上記実施例に示したメカニカ
ルシールと従来のプレスインタイプのメカニカルシール
とを試験機に装着して、以下の試験条件によりシール性
能試験を行ない、つぎのような試験結果を得た。 試験条件 シール呼径 φ40 13wt%硼酸水、常温、0.5Mpa 3600rpm、連続50hrs+ON・OFF700
回 本発明品:回転密封環がSiC単体、静止密封環がカー
ボン 従来品 :回転密封環が超硬焼嵌、静止密封環がカーボ
【0026】上記シール試験の結果、従来品では、図6
に示すように、ドライブカラー108における回転密封
環との対向面108aの内周側に多量の固形物Mが付着
していた。これに対し、本発明品では、図5に示すよう
に、ドライブカラー12における回転密封環との対向面
12aに固形物Mがほとんど付着しておらず、したがっ
て、回転密封環の追従性が良く、優れたシール性能を発
揮できることが判った。
【0027】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、回転密
封環自体にトルク伝達部材に形成したトルク伝達用突起
部に係合するトルク伝達用凹部を形成して、トルク伝達
部材から回転密封環へのトルク伝達のための金属リテー
ナの使用を省略した構成としたので、従来のプレスイン
タイプや焼嵌タイプのものに比べて、回転密封環を構成
する熱伝導率のよい材料の特性を有効に活用して該回転
密封環の冷却性能の向上を図ることが可能で、密封端面
同士の摺動にともなって発生する熱を効率よく放出させ
ることができる。また、回転密封環が単体で構成されて
いるので、使用温度の変動によって密封端面に応力緩和
による歪みの影響が現われたりすることもなくなる。し
たがって、機器の連続運転にかかわらず回転密封環の温
度上昇を抑制して、密封端面の異常摩耗による回転密封
環の使用寿命の低下および流体漏れの発生などを防止
し、確実良好なシール性能を長期にわたって維持させる
ことができるという効果を奏する。
【0028】特に、請求項3のように、トルク伝達部材
における回転密封環との対向面に、その径方向に沿って
縦断する流体流通用の溝を周方向に複数個設けるとき
は、回転運転時にトルク伝達部材の複数個の溝を介して
ポンプ作用を生起させて流体を強制的に循環させること
が可能となり、これによって、流体中の固形物が回転密
封環の内側などに堆積したり、凝固したりすることにと
もなう回転密封環の摺動特性の低下を改善して、密封端
面の摩耗に対する追従性を良好に保ち、シール性能の一
層の向上を図ることができるだけでなく、上記ポンプ作
用によって回転密封環に対する冷却効果も助長すること
ができる。また、請求項4のように、トルク伝達部材に
おける回転密封環との対向面に設けられた溝の内周縁部
に傾斜面又は円弧面を形成する場合は、上記流体中の固
形物を上記溝を通して回転密封環の外周側に円滑に流動
排出させてその固形物の堆積をより軽減することが可能
となり、さらに、請求項5のように、スプリングリテー
ナのばね座壁に孔を形成する場合は、流体がその孔を介
してより激しく循環流動して、上記固形物などがスプリ
ングに付着堆積することによるばね力の低下がなくな
り、これらによっても、密封端面の摩耗に対する回転密
封環の軸方向への追従移動性をより円滑にして所定のシ
ール性能を長期に亘って一層良好に確保することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるメカニカルシールを示
す縦断側面図である。
【図2】同上実施例におけるメカニカルシールの要部の
半截縦断側面図である。
【図3】同上実施例におけるメカニカルシールのドライ
ブカラーの斜視図である。
【図4】流体中の固形物の循環流出状況を説明する要部
の縦断側面図である。
【図5】シール試験後の本発明のドライブカラーを示す
正面図である。
【図6】シール試験後の従来品のドライブカラーを示す
正面図である。
【図7】従来のメカニカルシールを示す要部の縦断側面
図である。
【符号の説明】
1 ケーシング 2 回転軸 3 静止密封環 3a,5a 密封端面 5 回転密封環 8 スプリングリテーナ 8a ばね座壁 12 ドライブカラー 13 スプリング 14 孔 15 トルク伝達用凹部 16 トルク伝達用突起部 18 溝 19 傾斜面又は円弧面

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸が貫通するケーシングの内周側に
    保持された静止密封環と、上記静止密封環における軸方
    向一端の密封端面に摺接する密封端面を有し、上記回転
    軸の外周側に一体回転可能に保持された回転密封環と、
    上記回転密封環における密封端面とは軸方向で反対側の
    端面に対応して上記回転軸にその軸方向に移動可能に保
    持されたトルク伝達部材と、このトルク伝達部材と上記
    回転軸に固定されたスプリングリテーナとの間に介装さ
    れて、上記回転密封環を静止密封環側に移動付勢するス
    プリングとを備え、上記回転密封環自体にトルク伝達用
    の凹部を形成するとともに、この凹部に係合するトルク
    伝達用突起部を上記トルク伝達部材に形成したことを特
    徴とするメカニカルシール。
  2. 【請求項2】 上記トルク伝達用凹部が回転密封環自体
    の外周面に形成されている請求項1記載のメカニカルシ
    ール。
  3. 【請求項3】 上記トルク伝達部材における回転密封環
    との対向面に、その径方向に沿って縦断する流体流通用
    の溝が周方向に複数個設けられている請求項1記載のメ
    カニカルシール。
  4. 【請求項4】 上記トルク伝達部材における回転密封環
    との対向面に設けられた溝の内周縁部に回転密封環側ほ
    ど回転軸の外周面との間の間隔が大きくなるような傾斜
    面又は円弧面が形成されている請求項3記載のメカニカ
    ルシール。
  5. 【請求項5】 上記スプリングリテーナにおけるばね座
    壁に流体循環用の孔が形成されている請求項1〜4のい
    ずれかに記載のメカニカルシール。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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