JP2009144842A - メカニカルシール - Google Patents

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浩二 秋山
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Abstract

【課題】回転初期の漏洩を防止し、密封性能のばらつきの少ない高負荷用のメカニカルシールを提供する。
【解決手段】摺動面40Sは、固定環41が回転環20方向に付勢されて、回転環20の摺動面22と固定環41の摺動面42とが密接されて形成される。固定環41の摺動面42は、高圧側が回転環20方向に張り出し、低圧側に向かって回転環20から離れる方向に傾斜したテーパ面に形成される。高圧側の接触面圧が高いために外周側で漏れを制限し、漏れ量を少なくすることができる。また回転初期からこの面圧を実現できるため、回転初期の漏れを少なくし、回転初期の早い段階から摺動面をなじませることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、天然ガスや石油等をパイプラインにより搬送する場合に用いるコンプレッサやポンプ等に用いて好適な高負荷用のメカニカルシールに関する。
天然ガスや石油をパイプラインを使用して搬送する場合、天然ガス等を遠方に送るためには高圧のコンプレッサやポンプが必要であり、そのようなコンプレッサやポンプに使用されるメカニカルシールとしては、高負荷に耐えられるシールが必要である。
高圧力が作用する高負荷用のメカニカルシールでは、摺動材をカーボン材料で構成すると、摺動面の変形が大きくなり、シール性能が低下したり強度上の問題が発生する。そのため摺動材は、例えばシリコンカーボナイト(SiC)とシリコンカーボナイト(SiC)、タングステンカーボナイト(WC)とタングステンカーボナイト(WC)、あるいは、シリコンカーボナイト(SiC)とタングステンカーボナイト(WC)というような、高硬度・高ヤング率の材料が組み合わせて使用される場合が多い。
ところで、メカニカルシールは、回転環と固定環とを摺動接触させることにより、回転環と固定環との間に液膜を形成し、この液膜により潤滑状態を保持しつつ流体を密封するものである。従ってメカニカルシールにおいては、回転環と固定環の各摺動面の当り方が、潤滑作用の点からも密封性能の点からも非常に重要である。
図4は、従来の一般的な回転環と固定環の摺動面の当り方を示す図であり、図4(A)は、従来のメカニカルシールの摺動面近傍の構成を示す図であり、図4(B)及び図4(C)は、図4(A)の領域Aの拡大図である。図4(B)及び図4(C)は、ともに、図中上方が外周側であって密封流体側(高圧側)、図中下方が内周側(回転軸側)であって低圧側である。すなわち、図4(B)及び図4(C)は、密封液の漏れが外から内に向かう内流形のメカニカルシールの摺動面を示す図である。
図4(B)及び図4(C)に示すように、従来の対向する2つの摺動面の当り方は、図4(B)に示すように平坦か、図4(C)に示すように低圧側が高く(対向する摺動面方向に突出した状態)高圧側(密封流体側)に若干の間隙が生じるような状態(図4(C)の例では内周当り形態)が一般的である。
さらに、回転環と固定環との当り方に係る従来技術としては、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されているメカニカルシールも知られている。
特許文献1に記載されているメカニカルシールは、回転環又は固定環の背面に金属製リングを配設しておき、摺動面の発熱により温度が上昇すると、金属製リングの熱膨張によりその回転環又は固定環の摺動面の当り方に歪みが生じ、摺動面間に密封液が存在する高圧側が開口側となるような半径方向の楔(軸方向の幅が半径方向に漸次異なる楔状の微小間隙)が形成されるように構成されたメカニカルシールである。このメカニカルシールは、開口から摺動面間に密封液が導入されて、摺動面の潤滑を良好にすることを目的としているものである。
実公平6−26769号公報
また、特許文献2に記載されているメカニカルシールは、回転環(従動リング)の摺動面を密封液が存在する外周側が高くなる状態(対向する固定環(シートリング)の摺動面側に突出した状態)に形成しておき、摺動による摩擦熱によって回転環が熱変形をした場合に、回転環の摺動面は外周当りから全面当りとなる傾向に変化するように構成されたメカニカルシールである。このメカニカルシールは、摺動面の変形を考慮して、変形した後に摺動面が全面当りとなることを目的としているものである。
特公昭60−015827号公報
このような従来のメカニカルシールを、前述した高圧力が作用する高負荷用のメカニカルシールとして使用すると、密封液の密封が十分ではなく、すなわち密封液の漏れが生じることとなり、その改善が望まれている。
例えば、図4(B)に示したような、あるいは、特許文献1に示されているような、低圧側が高く高圧側に間隙が生じるような状態(内流形シールでは内周当り形態)は、高負荷用のメカニカルシールでは特に高硬度の摺動材を組み合わせて用いるため、一般的にいわゆるなじみ難い状態となり、回転初期段階での密封液の漏洩量が比較的多いという問題がある。
また、図4(B)に示したような、あるいは、特許文献2に示されているような、平坦な摺動面を形成することを目的としたメカニカルシールでは、仕上げの微妙な相違により個体ごとのシール面の圧力分布が大きく異なってしまう。また各個体は、微妙な仕上げの相違により内周当り形態あるいは外周当り形態のいずれかに該当してしまうこととなる。その結果、特性が大きくばらついたものとなり、個体による漏れのばらつきも大きくなり、信頼性の高いメカニカルシールは提供できない。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、回転初期の漏洩を防止し、個体ごとの密封性能のばらつきも少ない高負荷用のメカニカルシールを提供することにある。
前記課題を解決するために、請求項1に係る本発明のメカニカルシールは、第1の摺動部材と第2の摺動部材とが、対向する各摺動面を相対回転摺動させて、摺動面の径方向一方側に存在する密封流体をシールするメカニカルシールにおいて、第1の摺動部材の摺動面は回転軸に垂直な平面であり、第2の摺動部材の摺動面は、径方向における高圧側の周縁部が第1の摺動部材の摺動面側に張り出し(突出し)、張り出した一方側の周縁部から他方側の周縁部に向かって第1の摺動部材の摺動面から離れる方向に傾斜したテーパ面に形成されていることを特徴とする。
すなわち、本発明のメカニカルシールは、第2の摺動部材の摺動面の通常密封流体が存在する高圧側の周縁部が第1の摺動部材方向に突出し、第1の摺動部材の摺動面に必ず接触することを意味する。従って、メカニカルシールが内流形のシールの場合は摺動面の外周を高くして内周を低くし(外周当り)、メカニカルシールが外流形のシールの場合は摺動面の内周を高くして外周を低くする(内周当り)。
本発明のメカニカルシールは、摺動により熱変形が生じたり、あるいは圧力変形が生じたとしても、必ず前述したような状態で高圧側の摺動面同士が接触しているものである。
また、請求項2に係る本発明のメカニカルシールは、張り出した一方側の周縁部と他方側の周縁部との高低差が、0.2〜10μmであることを特徴とする。
また、請求項3に係る本発明のメカニカルシールは、第1の摺動部材と第2の摺動部材とは、シリコンカーボナイト(SiC)とシリコンカーボナイト(SiC)、タングステンカーボナイト(WC)とタングステンカーボナイト(WC)、あるいは、シリコンカーボナイト(SiC)とタングステンカーボナイト(WC)のいずれかの材料の組み合わせであることを特徴とする。
請求項1に係る本発明のメカニカルシールによれば、回転初期の漏洩を防止し、個体ごとの密封性能のばらつきも少ない高負荷用のメカニカルシールを提供することができる。
また、請求項2に係る本発明のメカニカルシールによれば、高圧側の端部に適切に高い面圧を印加することができ、より適切に密封流体の漏洩を防止することができる。
また、請求項3に係る本発明のメカニカルシールによれば、第1の摺動部材と第2の摺動部材とを超硬質材料により形成しているので、高負荷の状態においても適切に高圧側の端部の面圧を維持することができ、適切に密封流体の漏洩を防止することができる。
本発明の一実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。
本実施形態においては、例えば天然ガス等をパイプラインを介して搬送するためのコンプレッサやポンプ等の装置において軸封装置として用いられるダブルシールタイプのメカニカルシール装置を例示して本発明を説明する。
図1は、そのメカニカルシール装置1の全体構成を示す図であって、メカニカルシール装置1を軸心を通る平面で切断した断面図である。
メカニカルシール装置1は、装置ハウジング10の軸孔部11と、装置内の機構を回転させる回転軸2との間に配設され、機内側からの密封流体の漏洩を防止する。
なお、図1においては、図面左側が密封流体が存在する機内側であり、図面右側が大気側(機外側)である。
図1に示すように、メカニカルシール装置1は、装置ハウジング10に形成されたシール設置用の環状の凹部12内に装着される。メカニカルシール装置1は、機内側(密封流体側)の一次側メカニカルシール30と、機外側(大気側)の二次側メカニカルシール40とを有する。
本実施形態のメカニカルシール装置1は、一次側メカニカルシール30と二次側メカニカルシール40に対して共通的に1つの回転環20を具備する。
回転環20は、Oリング28を介在させて回転軸2に外挿されており、回転軸2と一体的に回転する。回転環20は、軸方向の表裏両面が摺動面として形成されている。すなわち、回転環20は、機内側を面方向とする第1の摺動面21と、機外側(大気側)を面方向とする第2の摺動面22とを有する。第1の摺動面21は、一次側メカニカルシール30の固定環31の摺動面32と密接されて回転摺動し、一次側メカニカルシール30の摺動面30Sを形成する。第2の摺動面22は、二次側メカニカルシール40の固定環41の摺動面42と密接されて回転摺動し、二次側メカニカルシール40の摺動面40Sを形成する。
回転環20は、シリコンカーボナイト(SiC)あるいはタングステンカーボナイト(WC)等の超硬質材料により形成される。
回転軸2の回転環20の軸方向の両側、すなわち一次側メカニカルシール30の固定環31の内周側にあたる位置、及び、二次側メカニカルシール40の固定環41の内周側にあたる位置には、軸スリーブ29が外挿されている。
一次側メカニカルシール30は、第1の摺動面21を有する回転環20の他に、固定環31及び環状ケース36等から構成される。
環状ケース36は、装置ハウジング10のシール設置用の凹部12の機内側の端部にOリング38を介して嵌合されるとともにノックピン37により回り止めされている。
固定環31は、この環状ケース36にOリング35を介して軸方向に移動可能な状態に支持される。固定環31は、ノックピン34により回り止めされ、環状ケース34に円周方向に複数配置された図示せぬスプリング(二次側メカニカルシール40について図示するスプリング43と同様のスプリング)によって回転環20側へ付勢される。これにより固定環41の摺動面42は、対向する回転環20の第1の摺動面21に密接し、一次側メカニカルシール30の摺動面30Sを形成する。
固定環31は、シリコンカーボナイト(SiC)あるいはタングステンカーボナイト(WC)等の超硬質材料により形成される。
二次側メカニカルシール40は、第2の摺動面22を有する回転環20の他に、固定環41及び環状ケース46等から構成される。
環状ケース46は、装置ハウジング10のシール設置用の凹部12の機外側(大気側)の端部にOリング48を介して嵌合されるとともにノックピン47により回り止めされている。
固定環41は、この環状ケース46にOリング45を介して軸方向に移動可能な状態に支持される。固定環41は、図示せぬノックピン(一次側メカニカルシール30について図示するノックピン34と同様のノックピン)により回り止めされ、環状ケース44に円周方向に複数配置されたスプリング43によって回転環20側へ付勢される。これにより固定環41の摺動面42は、対向する回転環20の第2の摺動面22に密接し、二次側メカニカルシール40の摺動面40Sを形成する。
固定環41は、シリコンカーボナイト(SiC)あるいはタングステンカーボナイト(WC)等の超硬質材料により形成される。
一次側メカニカルシール30及び二次側メカニカルシール40の外周側には、すなわち装置ハウジング10のシール設置用の凹部12の周面13と一次側メカニカルシール30の固定環31、回転環20、及び、二次側メカニカルシール40の固定環41の外周面との間の空間には、中間液としてのシールオイルが充満される中間室50が形成されている。
装置ハウジング10のシール設置用の凹部12の周面13の一次側メカニカルシール30の固定環31及び二次側メカニカルシール40の固定環41の各外周側には、中間室50にシールオイルを供給するシールオイル供給口14及び15が形成されている。また、絵13の回転環20の外周側には、中間室50のシールオイルを排出するシールオイル排出口16が形成されている。
一次側メカニカルシール30側のシールオイル供給口14から供給されるシールオイルは、図中に矢印線で示すように、環状ケース36に形成された開口39を介して固定環31の外周部に供給され、固定環31の外周を軸方向に流れて一次側メカニカルシール30の摺動面30Sの外周側に導入され、回転環20の外周部に供給される。
また、二次側メカニカルシール40側のシールオイル供給口15から供給されるシールオイルは、図中に矢印線で示すように、環状ケース46に形成された開口49を介して固定環41の外周部に供給され、固定環41の外周を軸方向に流れて二次側メカニカルシール40の摺動面40Sの外周側に導入され、回転環20の外周部に供給される。
そして中間室50の回転環20の外周部に供給されたシールオイルは、シールオイル排出口16から外部に排出される。
中間室50には、シールオイル供給口14、15及びシールオイル排出口16を介してこのように中間液たるシールオイルが循環されているとともに、中間室50は、所定の液圧となるように中間液で充満されている。
中間室50内の中間液の圧力は、機内側の密封流体の圧力よりも高い圧力とされる。従って、一次側メカニカルシール30及び二次側メカニカルシール40においては、中間室側となる外周側が高圧側となる。すなわち、一次側メカニカルシール30及び二次側メカニカルシール40は、いわゆる内流形のメカニカルシールである。
このような構成のメカニカルシール装置1において、本願発明の特徴は、一次側メカニカルシール30の摺動面30Sにおける固定環31の摺動面32と回転環20の第1の摺動面21との当り方、及び、二次側メカニカルシール40の摺動面40Sにおける固定環41の摺動面42と回転環20の第2の摺動面22との当り方にある。また、そのような特定の当り方をするための各摺動面の形状にある。
なお、本実施形態のメカニカルシール装置1において、一次側メカニカルシール30と二次側メカニカルシール40とは、左右対称で、実質的に同一の構成で同一の作用のメカニカルシールなので、以下の説明においては、二次側メカニカルシール40を例示して説明を行う。
図2(A)及び図2(B)は、図1に領域Aとして示した二次側メカニカルシール40の摺動面40S付近の拡大図であり、図2(A)はその拡大図であり、図2(B)は領域A近傍をさらに拡大した図であるとともに、摺動面40Sの接触面圧を表す図である。
図2(B)に示すように、二次側メカニカルシール40の摺動面40Sは、固定環41が回転環20方向にスプリング43(図1参照)により付勢されることにより、回転環20の第2の摺動面22と固定環41の摺動面42とが密接されることにより形成される。
図2(B)において、図面上側が外周側であり、中間液で満たされた中間室50側であって、高圧側である。
本実施形態のメカニカルシール装置1において、回転環20の第2の摺動面22は回転軸2の軸方向に垂直な平坦面として形成されている。
一方、固定環41の摺動面42は、外周側(高圧側)が回転環20方向に張り出し、すなわち最も高い位置に突出し、内周側(低圧側)に向かって徐々に回転環20から離れる方向に傾斜した、すなわち徐々に低くなったような、環状のすり鉢状の表面に形成されている。
固定環41の摺動面42の外周側と内周側との高低差αは0.2μm〜10μmでよいが、好適には、0.5μm〜5μmである。
本実施形態のメカニカルシール装置1において、回転環20及び固定環41は、前述したように、各々、超硬質材料であるSiC(シリコンカーバイト)あるいはWC (タングステンカーバイト)により形成されている。従って、固定環41がスプリング43のスプリング力により回転環20方向に付勢されて固定環41の摺動面42と回転環20の第2の摺動面22とが密接されたとしても、図2(B)に示すような固定環41の摺動面42の形状は実質的に変化しない。二次側メカニカルシール40において固定環41の摺動面42と回転環20の第2の摺動面22とが回転摺動する時も、その摺動面40Sは図2(B)の形態が維持される。
このような形態の摺動面40Sにおいては、図2(B)に示すように、固定環41の摺動面42に固定環41のスプリング43のスプリング力Fsが作用すると、固定環41の摺動面42と回転環20の第2の摺動面22との接触面圧は、図示Foのような面圧、すなわち、外周側において最も接触面圧が高く、内周側に向かって低くなるような面圧分布となる。
このような面圧分布の摺動面40Sにおいては、高圧側(外周側)の接触面圧が高いために、外周側で漏れを制限することができ、漏れの量を少なくすることができる。
また、密封流体が摺動面間に浸入することによって適切な潤滑作用と密封作用が得られるわけではなく、高圧側の高い面圧での密接状態により密封作用が得られるものであるため、回転初期段階からこのような密封作用を得ることができる。すなわち、回転初期に摺動面に浸入する流体(シール液)を少なくすることができ、回転初期の早い段階から摺動面をなじんだ状態とすることができる。
図3は、図4(C)に摺動面近傍の形態を示した内周側(低圧側)が高くなっている従来のメカニカルシールと、図2(B)に示すような外周側(高圧側)が高くなっている本発明に係るメカニカルシールの、回転開始からの経過時間(回転時間)と、単位時間当りの漏れ量の関係を表す図である。
図3に示すように、内周側が高くなっている従来のメカニカルシールにおいては、回転開始直後は4cc/h近い漏れ量が発生している。しかしその後、徐々になじみが促進されて漏れ量は減少し、回転時間が250時間を経過した頃から、20cc/hの漏れ量で略安定して作動している。
これに対して、外周側(高圧側)が高くなっている本願発明に係るメカニカルシールにおいては、回転開始時に既に20cc/hの漏れ量に抑えられており、摺動面が既に十分なじんで密封作用を十分発揮していることがわかる。また、回転時間が100時間を経過した頃には、漏れ量は15cc/h程度まで減少し、少ない漏れ量で安定して作動している。
このように、本願発明に係るメカニカルシールにおいては、回転初期の漏れ量を従来のメカニカルシールと比べて圧倒的に減少させることができる。
また、従来は、少ない漏れ量に特性が安定するまでに250時間程度の回転時間が必要であったが、本願発明に係るメカニカルシールではほぼ100時間程度の回転時間で特性が安定している。
また、特性が安定した時の漏れ量も、従来のメカニカルシールに比べて少なくなっている。
また、本発明のメカニカルシールでは、回転環又は固定環の摺動面に対して、高圧側が高く低圧側が低くなるようなテーパを形成するが、このような摺動面の加工は比較的容易に行うことができる。図4(B)に示すように、対向する摺動面をともに平坦に加工するには厳密な加工精度が必要であり、実質的にそのような所望の加工を行うことは困難であったたが、本願発明のような加工であれば容易に行うことができる。その結果、シール性能等の特性にばらつきの無い、安定した特性のメカニカルシールを提供することができる。
また、本実施形態のメカニカルシールにおいては、固定環及び回転環を超硬質材料により形成しているので、高負荷の状態においても適切に高圧側の端部の面圧を維持することができ、適切に密封流体の漏洩を防止することができる。
以上より、高圧側を高く、低圧側が低くなるように摺動面を形成した本発明に係るメカニカルシールにおいては、回転初期の漏洩を防止し、個体ごとの密封性能のばらつきも少ない高負荷用のメカニカルシールを提供することができる。
なお、前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって本発明を何ら限定するものではない。本実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含み、また任意好適な種々の改変が可能である。
例えば、前述した実施形態においては、2つのメカニカルシールを具備するメカニカルシール装置1を例示して本発明を説明したが、本発明は、摺動面を1つのみ有するメカニカルシールや、タンデム形のシール装置の個々のシール部分に対しても適用可能である。
また、前述した実施形態においては、外周側が高圧側で、外周側から内周側に漏れが発生する内流形のメカニカルシールを用いて本発明を説明したが、内周側が高圧で、内周側から外周側に向かって漏れが発生する外流形のメカニカルシールに対しても本願発明は適用可能である。その場合には、一方の摺動面を、内周側が他方の摺動面方向に張り出して最も高い位置となり、外周側に向かって徐々に低くなるようなテーパ状に形成すればよい。
また、前述した実施形態においては、回転環の摺動面は平坦面として固定環の摺動面に高圧側が高くなったテーパを形成したが、回転環の摺動面に高圧側が高くなったテーパを形成し、固定環の摺動面を平坦面に形成する構成であってもよい。
また、前述した実施形態において、固定環41の摺動面42に形成したテーパ面は直線状に傾斜したテーパ面であったが、曲線的に摺動面が変化するテーパ面であってもよいし、任意の形状のテーパ面であってよい。
また、前述した実施形態においては、回転環及び固定環は、SiC(シリコンカーボナイト)又はWC(タングステンカーボナイト)により形成されるとしたが、硬度の高い材料であれば、その他の任意の材料を用いてよい。
本発明のメカニカルシールは、天然ガスや石油等をパイプラインにて搬送する場合に用いるコンプレッサやポンプ等において使用することができる。
図1は、本発明の一実施形態のメカニカルシール装置の全体構成を示す図であって、メカニカルシールを軸心を通る平面で切断した断面図である。 図2は、図1に示したメカニカルシールの二次側メカニカルシールの摺動面近傍の拡大図であり、図2(A)はその拡大図であり、図2(B)は摺動面近傍をさらに拡大した図であるとともに摺動面の接触面圧を表す図である。 図3は、従来のメカニカルシールと本発明のメカニカルシールの回転開始からの経過時間(回転時間)と単位時間辺りの漏れ量の関係を表す図である。 図4は、従来の一般的な回転環と固定環の摺動面の当り方を示す図であり、図4(A)は、従来のメカニカルシールの摺動面近傍の構成を示す図であり、図4(B)は対向する摺動面が平坦に接触するメカニカルシールを表す図であり、図4(C)は対向する摺動面において低圧側が接触するメカニカルシールを表す図である。
符号の説明
1…メカニカルシール装置
20…回転環
21…第1の摺動面
22…第2の摺動面
28…Oリング
29…軸スリーブ
30…一次側メカニカルシール
31…固定環
32…摺動面
34…ノックピン
35…Oリング
36…環状ケース
37…ノックピン
38…Oリング
39…シールオイル導入用開口
40…二次側メカニカルシール
41…固定環
42…摺動面
43…スプリング
45…Oリング
46…環状ケース
47…ノックピン
48…Oリング
49…シールオイル導入用開口
50…中間室
2…回転軸
10…装置ハウジング
11…軸孔部
12…シール設置用の凹部
13…凹部周面
14、15…シールオイル供給口
16…シールオイル排出口

Claims (3)

  1. 第1の摺動部材と第2の摺動部材とが対向する各摺動面を相対回転摺動させて、当該相対回転摺動する前記摺動面の径方向一方側に存在する密封流体をシールするメカニカルシールにおいて、
    前記第1の摺動部材の前記摺動面は、前記回転軸に垂直な平面であり、
    前記第2の摺動部材の前記摺動面は、前記径方向における高圧側の周縁部が前記第1の摺動部材の前記摺動面側に張り出し、当該張り出した一方側の周縁部から他方側の周縁部に向かって前記第1の摺動部材の前記摺動面から離れる方向に傾斜したテーパ面に形成されていることを特徴とするメカニカルシール。
  2. 前記張り出した一方側の周縁部と前記他方側の周縁部との前記張り出した方向における高低差は、0.2〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載のメカニカルシール。
  3. 前記第1の摺動部材と前記第2の摺動部材とは、シリコンカーボナイト(SiC)とシリコンカーボナイト(SiC)、タングステンカーボナイト(WC)とタングステンカーボナイト(WC)、あるいは、シリコンカーボナイト(SiC)とタングステンカーボナイト(WC)のいずれかの材料の組み合わせであることを特徴とする請求項1又は2に記載のメカニカルシール。
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