JP2004156525A - 可変動弁機構を備えた内燃機関の制御装置 - Google Patents

可変動弁機構を備えた内燃機関の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】可変動弁機構の機械的誤差やその動作を検出するセンサの誤差に影響されることなく吸気弁の動弁特性のずれを正確に把握できる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】吸気弁2の動弁特性を変更可能な可変動弁機構を備えた内燃機関1に適用され、内燃機関1の運転状態に応じて定められる動弁特性の目標値が得られるように可変動弁機構の動作を制御する内燃機関1の制御装置22において、現在の吸気管圧力と、吸入空気量と、動弁特性との相関関係に基づいて、動弁特性に関する目標値と実際値とのずれ状態を特定する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可変動弁機構を備えた内燃機関に適用されて吸気弁の動弁特性のずれ状態の特定とその特定結果に基づく各種の制御とを行うことができる内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の吸気弁の位相や作用角等の動弁特性を変化させて吸入空気量を制御する吸気量制御装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−263015号公報
【特許文献2】
特開平6−317129号公報
【特許文献3】
特開2001−152889号公報
【特許文献4】
特開2001−295686号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、可変動弁機構には、経年変化や各種の部品の初期公差、組み付け時のばらつき等に起因する機械的誤差がある。このような機械的誤差を把握せずに動弁特性を目標値に制御しても、実際の動弁特性は目標値からずれる。また、可変動弁機構それ自身が正確に組み立てられていても、位相や作用角等を検出するセンサに誤差があり、その検出誤差に起因して実際の動弁特性が目標値からずれることもある。そして、動弁特性が目標値からずれた場合、内燃機関の運転状態から要求される吸入空気量が得られず、空燃比が目標値からずれて排気や燃料消費率の悪化を招く。
【0005】
本発明は、可変動弁機構の機械的誤差やその動作を検出するセンサの誤差に影響されることなく吸気弁の動弁特性のずれを正確に把握できる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。また、動弁特性のずれを考慮して内燃機関の運転状態を適正に制御できる内燃機関の制御装置を提供すること、及び、動弁特性のずれによってもたらされる好ましくない運転状態の継続を抑制する効果がある制御装置を提供することを併せて目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の内燃機関の制御装置は、吸気弁の動弁特性を変更可能な可変動弁機構を備えた内燃機関に適用され、前記内燃機関の運転状態に応じて定められる前記動弁特性の目標値が得られるように前記可変動弁機構の動作を制御する内燃機関の制御装置において、現在の吸気管圧力と、吸入空気量と、動弁特性との相関関係に基づいて、前記動弁特性に関する目標値と実際値とのずれ状態を特定するずれ状態特定手段を備えることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
【0007】
内燃機関における吸気管圧力と吸入空気量との間には相関関係があり、しかもこれらの物理量は吸気弁の動弁特性に応じて変化する。従って、これらの3つの要素の相関関係が適切に維持されているか否かを判断し、適切に維持されていない場合に、その原因を動弁特性に関する目標値と実際値とのずれに求めることにより、目標値と実際値とのずれの状態を特定することができる。
【0008】
本発明の内燃機関の制御装置において、前記ずれ状態特定手段は、前記吸気管圧力、前記吸入空気量、及び前記動弁特性の3種類の要素のうち、いずれか2つの特定要素に関する現在の状態に基づいて他の1つの要素に関する現在の状態を演算し、その演算結果と、前記他の1つの要素に関して前記2つの特定要素の状態に基づく演算とは異なる手法によって特定した現在の状態とを比較し、その比較結果に基づいて前記動弁特性に関する目標値と実際値とのずれ状態を特定することができる(請求項2)。
【0009】
上記のように、吸気管圧力、吸入空気量及び動弁特性の3つの要素には相関関係があるので、その相関関係が適切に維持されている限り、任意の2つの要素を特定要素として選択し、それらの特定要素に関する現在の状態から他の1つの要素に関する現在の状態を演算すれば、その演算結果は動弁特性に関する現在の状態を正しく表しているはずである。しかし、可変動弁機構を構成する部品の加工誤差や組み付け誤差、あるいは経年変化による誤差により、動弁特性が目標値に制御されていても動弁特性の実際値は異なっていることがある。そして、動弁特性の実際値が目標値からずれていれば、吸気管圧力と吸入空気量と動弁特性との間の相関関係が適切に維持されず、2つの特定要素に関する現在の状態から演算した他の1つの要素に関する現在の状態が、当該他の1つの要素に関して別の手法によって特定した現在の状態からずれることになる。そのずれ状態を利用して、動弁特性の実際値と目標値との間のずれを特定することができる。
【0010】
本発明の内燃機関の制御装置において、前記ずれ状態特定手段は、前記他の1つの要素に関する現在の状態を、センサの実測値によって特定してもよい(請求項3)。このように他の1つの要素に関するセンサの実測値と演算値とを比較することにより、上述した3つの要素の相関関係が適切に維持されているか否かを確実に判断することができる。
【0011】
また、本発明の内燃機関の制御装置において、前記ずれ状態特定手段は、前記2つの特定要素のうち少なくともいずれか一方の特定要素に関する現在の状態を、センサの実測値によって特定してもよい(請求項4)。あるいは、前記ずれ状態特定手段は、前記2つの特定要素のうち少なくともいずれか一方の特定要素に関する現在の状態を、当該特定要素に関する制御の目標値によって特定してもよい(請求項5)。
【0012】
本発明の内燃機関の制御装置の好ましい態様においては、前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか一方と、前記動弁特性とが前記2つの特定要素に該当し、前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか他方が前記他の1つの要素に該当するものとすることができる(請求項6)。この場合には、動弁特性の現在の状態を考慮しつつ、吸気管圧力又は吸入空気量のいずれか一方に関する現在の状態から吸気管圧力又は吸入空気量のいずれか他方に関する現在の状態を演算することができる。そして、演算結果を、吸気管圧力又は吸入空気量のいずれか他方に関するセンサの実測値や制御の目標値を利用して特定した現在の状態と比較することにより、動弁特性の目標値と実際値との間のずれ状態を特定することができる。
【0013】
上記態様の制御装置は、前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか他方を実測する吸気状態検出手段を備え、前記ずれ状態特定手段は、前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか一方に関する現在の状態と前記動弁特性の現在の状態とに基づいて、前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか他方についての現在の状態を演算し、その演算結果と、前記吸気状態検出手段が実測した前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか他方の現在の状態とを比較し、その比較結果に基づいて前記動弁特性に関する目標値と実際値とのずれ状態を特定してもよい(請求項7)。この場合には、吸気管圧力又は吸入空気量に関する演算値と実測値との比較に基づいて動弁特性に関する目標値と実際値とのずれ状態を特定することができる。
【0014】
また、上記態様の制御装置において、前記吸気状態検出手段は前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか一方についても実測可能であり、前記ずれ状態特定手段は、前記吸気状態検出手段が実測した前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか一方に関する現在の状態と前記動弁特性の現在の状態とに基づいて前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか他方についての現在の状態を演算してもよい(請求項8)。この場合には、吸気管圧力及び吸入空気量のそれぞれの実測値を参照して動弁特性に関する目標値と実際値とのずれ状態を特定することができる。
【0015】
さらに、上記態様の制御装置において、前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか一方に関する制御の目標値を設定する吸気状態目標値設定手段を備え、前記ずれ状態特定手段は、前記吸気状態目標値設定手段が設定した目標値を前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか一方に関する現在の状態として特定し、その特定した目標値と前記動弁特性の現在の状態とに基づいて前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか他方についての現在の状態を演算してもよい(請求項9)。この場合には、吸気管圧力又は吸入空気量のいずれか一方の制御の目標値と動弁特性の現在の状態とに基づいて吸気管圧力又は吸入空気量のいずれか他方の現在の状態を演算し、その演算結果と吸気管圧力又は吸入空気量のいずれか他方の実測値との比較に基づいて動弁特性に関する目標値と実際値とのずれ状態を特定することができる。
【0016】
また、上記態様の制御装置において、動弁特性の現在の状態は次のようにして特定することができる。
【0017】
すなわち、本発明の制御装置が適用される内燃機関において、前記動弁特性を目標値に制御するための情報入力手段として、前記動弁特性の現在の状態を当該動弁特性に相関して変化する特定部位の状態の変化に置き換えて検出する動弁特性検出手段が設けられている場合には、前記ずれ状態特定手段は、前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか他方についての現在の状態の演算時に、前記動弁特性検出手段の検出結果を利用して前記動弁特性の現在の状態を特定してもよい(請求項10)。あるいは、前記ずれ状態特定手段は、前記動弁特性の制御に関する目標値により前記動弁特性の現在の状態を特定してもよい(請求項11)。いずれの場合にも、動弁特性が目標値に正しく制御されているにも拘わらず、その目標値が動弁特性の実際値からずれているときに、そのずれ状態を吸気管圧力又は吸入空気量の演算結果に反映させることができる。
【0018】
本発明の内燃機関の制御装置は、前記ずれ状態特定手段が特定した前記動弁特性のずれ状態を参照して燃料噴射量を補正する燃料噴射量補正手段をさらに備えてもよい(請求項12)。この場合には、吸気弁の動弁特性のずれに伴う吸入空気量のずれを補正して空燃比を目標値に正確に制御できるようになる。
【0019】
前記ずれ状態特定手段が特定した前記動弁特性のずれ状態が所定の許容範囲から外れたか否かを判断し、許容範囲外と判断した場合に所定の警告を発する警告手段を備えてもよい(請求項13)。吸気弁の動弁特性が過剰にずれた状態で内燃機関が運転されると排気が悪化し、燃料消費率も低下するため、このような状態に気付かずに内燃機関の運転が継続されることは好ましくない。そこで、動弁特性のれに許容範囲を設定し、その許容範囲を超えたときに警告が発せられるようにしておけば、好ましくない運転状態の継続を抑制することが期待できる。
【0020】
なお、本発明において、吸気弁の動弁特性の概念には、前記吸気弁の位相、作用角又はリフト量のうち、少なくとも1つが含まれてもよい(請求項14)。
【0021】
本発明の第2の制御装置は、吸気弁の作用角を変更可能な可変動弁機構を備えた内燃機関に適用され、前記内燃機関の運転状態に応じて定められる作用角の目標値が得られるように前記可変動弁機構の動作を制御する内燃機関の制御装置において、吸気管圧力を検出する吸気圧検出手段と、吸入空気量を検出する吸気量検出手段と、前記吸気弁の作用角を検出する作用角検出手段と、前記作用角検出手段が検出した作用角を参照しつつ、前記吸気量検出手段が検出した吸入空気量に基づいて吸気管圧力を演算する吸気圧演算手段と、前記吸気圧検出手段が検出した吸気管圧力と前記吸気圧演算手段が演算した吸気管圧力とのずれ量から、前記作用角の目標値と実際値とのずれ状態を特定する作用角ずれ特定手段と、を備えることにより、上述した課題を解決する(請求項15)。
【0022】
吸入空気量と吸気管圧力との間には相関関係があって、両者の関係が予め判っていれば吸入空気量から吸気管圧力を求めることができる。しかし、内燃機関のシリンダに吸入される空気量は吸気弁の作用角の影響を受けるから、吸気弁の作用角を可変とした場合には、吸入空気量を吸気管圧力へと換算する場合に吸気弁の作用角が変数として考慮されることになる。そして、作用角がその目標値に正しく制御されているならば、作用角検出手段が検出した作用角を利用して演算した吸気管圧力と、吸気圧検出手段が実際に検出した吸気管圧力とは一致するはずである。しかし、可変動弁機構を構成する部品の加工誤差や組み付け誤差、あるいは経年変化による誤差により、作用角検出手段が検出した作用角が目標値と一致していても実際の作用角は異なっていることがある。そして、実際の作用角が目標値からずれていれば、吸気圧検出手段が検出した吸気管圧力は、作用角検出手段の検出した作用角を利用して演算された吸気管圧力に対して、吸気弁の作用角のずれに応じた量だけずれることになる。そこで、吸気弁の作用角のずれと吸気管圧力のずれとの相関関係を予め把握しておくことにより、吸気弁の作用角の目標値と実際の値とのずれの状態を特定することができる。本発明の第2の制御装置は、吸入空気量、吸気管圧力及び吸気弁の作用角の上述したような相関関係を利用して吸気弁の作用角の目標値からのずれ状態を特定するものである。
【0023】
本発明の第3の制御装置は、吸気弁の作用角を変更可能な可変動弁機構を備えた内燃機関に適用され、前記内燃機関の運転状態に応じて定められる作用角の目標値が得られるように前記可変動弁機構の動作を制御する内燃機関の制御装置において、吸気管圧力を検出する吸気圧検出手段と、内燃機関の運転状態に基づいて吸入空気量の目標値を設定し、前記吸気弁の作用角の目標値を参照しつつ前記吸入空気量の目標値を吸気管圧力の目標値に変換し、得られた吸気管圧力の目標値と前記吸気圧検出手段が検出した吸気管圧力との差に基づいて、吸入空気量の調整手段を制御する吸気管圧力フィードバック制御手段と、前記吸気管圧フィードバック制御手段によって特定される前記吸気管圧力の差に基づいて、前記作用角の目標値と実際値とのずれ状態を特定する作用角ずれ特定手段と、を備えることにより、上述した課題を解決する(請求項16)。
【0024】
この第3の制御装置においては、吸気弁の作用角の目標値を参照して吸入空気量の目標値を吸気管圧力の目標値に変換しているので、吸気弁の作用角にずれが生じている場合、吸気管圧力の目標値と吸気圧検出手段が検出した実際の吸気管圧力の差は吸気弁の作用角のずれが反映されたものとなる。そこで、上述した第2の制御装置の場合と同様に、吸気弁の作用角のずれと吸気管圧力のずれとの相関関係を予め把握しておくことにより、吸気弁の作用角の目標値と実際の値とのずれの状態を特定することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の内燃機関の制御装置の一実施形態を示す。内燃機関1は4サイクル式のガソリンエンジンとして構成されており、その吸気弁2及び排気弁3はそれぞれバルブリフタ2a,3aを介してカム4,5により開閉駆動される。吸気弁用のカム4はカムシャフト6に保持され、排気弁用のカム5はカムシャフト7に保持される。図2に示すように、カム4のカムプロフィルは、カムシャフト7の中心軸線の方向に変化している。具体的には、カム4のノーズ4aの高さ(カムシャフト7の中心軸線からの距離をいう。)は、カムシャフト7の中心軸線に沿って図2の右端側から左端側に向かうほど漸次高くなっている。これにより、吸気弁2のリフト量及び作用角は、カム4とバルブリフタ2aとの接触位置がカム4の図2における右端側から左端側に変化するほど大きくなる。図4に吸気弁2のリフト量及び作用角が変化する様子を示す。なお、吸気弁2のリフト量は図1の燃焼室8への吸気弁2の突出量を意味し、作用角は吸気弁2が燃焼室8に突出している期間をクランク角によって表現した値を意味する。図2に示したカム4ではリフト量及び作用角のいずれも変化させているが、カム4のプロファイによっては作用角のみを変化させることも可能である。
【0026】
図1に示すように、カムシャフト6の一端側には吸気弁2のリフト量及び作用角を変化させるためのカムシフト装置9が設けられている。カムシフト装置9はドライバ10によって駆動され、カムシャフト6を軸線方向に移動させてカム4とバルブリフタ2aとの接触位置を切り替える。また、カムシャフト6の他端側にはバルブタイミング変更装置11が設けられている。バルブタイミング変更装置11はオイルコントロールバルブ12によって駆動される。バルブタイミング変更装置11は、クランクシャフト13からタイミングチェーン14を介してカムシャフト6,7に至る回転運動の伝達経路上に設けられ、クランクシャフト13の位相とカム4の位相との関係を変化させて吸気弁2が開閉するタイミングを変更する。これらのカムシフト装置9、ドライバ10、バルブタイミング変更装置11及びオイルコントロールバルブ12によって可変動弁機構が構成される。なお、各装置9,11の詳細は後述する。
【0027】
内燃機関1にはエンジンコントロールユニット(ECU)22が設けられている。ECU22はマイクロプロセッサ及びその主記憶装置としてのROM、RAM等を備えたコンピュータとして構成され、内燃機関1を所定の運転状態に維持するために必要な各種の演算及び動作制御を実行する。代表例として、ECU22は、目標空燃比や目標トルクが得られるように内燃機関1の運転状態に応じて燃料噴射弁15からの燃料噴射量や噴射時期、不図示の点火プラグによる点火時期、吸気弁2の作用角や開閉タイミング等の各種の運転パラメータについて目標値を設定し、これらの運転パラメータが得られるように各部の動作を制御する。こうした制御を実行するため、ECU22は種々のセンサの出力を参照する。そのセンサとしては、カムシャフト6の軸線方向の位置及び回転方向の位置(位相)に対応した信号を出力するカムセンサ16、機関回転数(回転速度)に対応した信号を出力するクランク角センサ17、吸気管圧力に対応した信号を出力する吸気圧検出手段としての吸気管圧センサ18、吸入空気量に対応した信号を出力する吸気量検出手段としてのエアフローメータ19、冷却水温度に対応した信号を出力する冷却水温センサ20、吸入空気の温度に対応した信号を出力する吸入空気温センサ21等がある。なお、吸気管圧力とは、内燃機関1の吸気ポートに接続された吸気管(不図示)の内部において吸入空気が有している圧力を意味する。吸気管圧センサ18は吸気管路の任意の位置に配置してよいが、好適には吸気管圧力が安定するサージタンクの圧力を検出できる位置に配置する。
【0028】
図3はカムシフト装置9の具体例を示している。カムシャフト6の一端側には磁性体製のスライダ30がカムシャフト6と軸線方向に一体に移動可能に設けられている。スライダ30の周囲には電磁石31が設けられ、その電磁石31とスライダ30との間にはカムシャフト6を図3の右方に押し付けるコイルばね32が設けられている。電磁石31の励磁によりスライダ30には図3の左方に向かう力が作用し、その力は励磁電流が大きいほど増加する。図1に示したドライバ10はECU22からカムシャフト6の軸線方向の位置を指定する信号を受け取り、その信号に応じて電磁石31の励磁電流を変化させる。これにより、カムシャフト6の軸線方向の位置がECU22にて指示された位置に制御される。つまり、本実施形態では、ECU22がカムシャフト6の位置を指示することによって吸気弁2のリフト量及び作用角が制御される。
【0029】
図5及び図6はバルブタイミング変更装置11の具体例を示している。なお、図6は図5のVI−VI線に沿った断面図、図5は図6のV−V線に沿った断面図である。バルブタイミング変更装置11は、図1のタイミングチェーン14が巻き掛けられるスプロケット40と、そのスプロケット40にボルト41を介して連結されたハウジング42及びカバー43と、ハウジング42の内部に回転自在に挿入された内部ロータ44とを有している。内部ロータ44はボルト45によってカム連結軸46と同軸に連結されてカム連結軸46と一体に回転する。カム連結軸46はカムシャフト6と同軸に配置され、カムシャフト6と一体に回転可能である。但し、カムシフト装置9によるカムシャフト6の軸線方向の駆動を妨げないように、カム連結軸46とカムシャフト6とはカップリング等を利用して軸方向に互いにスライド可能に連結される。
【0030】
内部ロータ44には複数のベーン47が設けられ(図6参照)、それらのベーン47はハウジング42の凹部48に挿入されている。凹部48の周方向の幅はベーン47のそれよりも大きく、ベーン47の前後には油圧室49a,9bが形成される。油圧室49a,49bには、内燃機関1のオイルパン50(図1参照)からポンプ51が汲み上げたエンジンオイルがオイルコントロールバルブ12を介して導かれる。オイルコントロールバルブ12は各油圧室49a,49bにエンジンオイルを閉じ込める中立位置と、いずれか一方の油圧室49a(又は49b)にエンジンオイルを供給し、他方の油圧室49b(又は49a)からエンジンオイルを排出させる位置との間で切替可能である。そして、ベーン47は油圧室49a,49bに閉じ込められたオイルの量及び圧力に応じて凹部48の内部を周方向に移動する。
【0031】
スプロケット40に入力される回転運動によってハウジング42は図6の矢印A方向に回転し、その回転は油圧室49bを介してベーン47に伝わり、その結果、内部ロータ44及びカム連結軸46がスプロケット40と一体に回転する。従って、油圧室49a,49bに閉じ込められるオイルの量をオイルコントロールバルブ12によって調整してベーン47をハウジング42に対して周方向に移動させることにより、スプロケット40とカムシャフト6とを回転方向に関して相対的に移動させ、それにより、クランクシャフト13の位相とカム4の位相との対応関係を変化させて吸気弁2の開閉タイミングを変化させることができる。
【0032】
上述したように、ECU22は内燃機関1の運転状態に応じて吸気弁2の作用角及び開閉タイミングの目標値を設定する。また、ECU22は、カムセンサ16及びクランク角センサ17の検出信号を参照してカムシフト装置9及びバルブタイミング変更装置11による吸気弁2の作用角及び開閉タイミングを検出し、これらの検出値が目標値に一致するようにカムシフト装置9及びバルブタイミング変更装置11を駆動する。以下、可変動弁機構に関連してECU22が実行する幾つかの処理を説明する。
【0033】
図7は、吸気弁2の作用角のずれを特定するためにECU22が所定の周期で繰り返し実行する作用角ずれ検出ルーチンを示している。図7のルーチンにおいて、ECU22は、ステップS11で作用角のずれ量を検出するタイミングか否かを判断する。例えば、加速時のような過渡状態では作用角のずれ量を正しく検出できないおそれがあるので、アイドリング時のように内燃機関1が定常状態で運転している場合に限って作用角のずれ量を検出するタイミングとして設定する。作用角のずれ量を検出するタイミングでないときは図7のルーチンを終了する。
【0034】
一方、作用角のずれ量を検出するタイミングのときはステップS12へ進み、吸気管圧センサ18の出力信号に基づいて吸気管圧力の実際値(現在値)を検出し、続くステップS13でエアフローメータ19の出力信号に基づいて吸入空気量の実際値(現在値)を検出する。次のステップS14では、吸入空気量から吸気管圧力を算出するために必要な他の情報を取得する。すなわち、吸気管圧力PMは、吸入空気量GNを燃焼室8への吸気の充填効率KTPで除した値(=GN/KTP)で与えられるが、その充填効率KTPは吸気弁2の作用角、開閉タイミングや、機関回転数等の運転パラメータによって変化する。そこで、充填効率KTPを特定するために使用する運転パラメータを予め定めておき、ステップS14においてそれらの運転パラメータを取得することとした。なお、吸気弁2の作用角についてはカムセンサ16の出力信号に基づいて特定することができ、吸気弁2の開閉タイミングについてはカムセンサ16及びクランク角センサ17が夫々検出するカムシャフト6及びクランクシャフト13の位相に基づいて特定することができる。
【0035】
続くステップS15では、吸入空気量の実際値(ステップS13で求めた値)に基づいて吸気管圧力を算出する。その算出は上記のように吸入空気量GNを充填効率KTPで除した商を求めることによって行えばよい。充填効率KTPについては例えば次のように求める。
【0036】
まず、吸気弁2の開閉タイミング及び作用角と充填効率基準値KTPbとの関係を予め実験的に求めて図8に示すようにマップ化し、そのマップに従って吸気弁2の作用角及び開閉タイミング(いずれもステップS14で求めた値)に対応する充填効率基準値KTPbを求める。次に、吸気弁2の作用角及び開閉タイミング以外の他の運転パラメータに関連付けて充填効率基準値KTPbを補正する。例えば、充填効率KTPは燃焼室8に残存する背圧に応じて変化し、その背圧は内燃機関1の回転数と前回吸入した空気量とによって変化することが知られているので、これらの運転パラメータを対応付ける図9のようなマップを予め作成し、図7のルーチンを前回実行した際にステップS13で検出した一回転当たりの吸入空気量と今回のステップS14で検出した機関回転数とに対応する充填効率背圧補正係数Kexを図9のマップから取得し、その充填効率背圧補正係数Kexと充填効率基準値KTPbとの積(=KTPb×Kex)を充填効率KTPとする。
【0037】
以上の他にも充填効率を求める上で無視できない運転パラメータがあればステップS14及びステップS15の処理において反映してよい。
【0038】
ステップS15で吸気管圧力を算出した後はステップS16へ進み、ステップS12で検出した吸気管圧力の実際値と、ステップS15で取得した吸気管圧力の演算値との差を求め、その差から吸気弁2の作用角の実際値と目標値とのずれ量を算出する。すなわち、ステップS15で演算した吸気管圧力にはカムセンサ16が検出した吸気弁2の作用角が反映されており、その作用角が目標値に正しく制御されているとすれば、吸気弁2の作用角に基づいて算出した吸気管圧力は吸気管圧センサ18が検出した吸気管圧力と一致するはずである。しかしながら、カム4の加工誤差、経年変化、カムセンサ16の取り付け誤差等により、カムセンサ16が検出する作用角が実際の作用角を正しく反映していない場合、カムセンサ16の出力に基づいて特定した作用角を信頼してカムシフト装置9を作用角の目標値が得られるように制御しても、実際の作用角は目標値からずれ、そのずれ量に応じて吸気管圧力の実際値と演算値との間にもずれが生じる。そこで、吸気管圧力の実際値と演算値との間のずれ量と、吸気弁2の作用角の目標値と実際値との間のずれ量との相関関係を予め実験的に求め、その相関関係をマップ化し、又は数式化しておくことにより、吸気管圧力の実際値と演算値とのずれ量を吸気弁2の作用角のずれ量に変換することができる。
【0039】
以上のようにして求められた作用角のずれ量は例えばECU22のRAMに保存される。そして、こうして得られた作用角のずれ量を、吸気弁2の作用角が関係する各種の演算処理において考慮することにより、作用角のずれに基づく内燃機関の制御精度の低下を防止することができる。
【0040】
図10は、吸気弁2の作用角のずれ量に応じて燃料噴射量を補正するためにECU22が所定の周期で繰り返し実行する燃料噴射量補正ルーチンを示している。図10のルーチンにおいて、ECU22はまずステップS31で作用角のずれ量を取得する。ここで取得される作用角のずれ量は図7の処理で取得された値である。次に、ECU22はステップS32で、作用角のずれ量に対応する吸入空気量のずれ量を算出する。吸気弁2の作用角と吸入空気量との間には相関関係があるので、その相関関係を示すマップ又は数式を予め求めておき、図7のルーチンによって求めた作用角のずれ量に対応して、吸入空気量がその目標値からどの程度ずれているかをステップS32で特定する。
【0041】
続くステップS33では、吸入空気量のずれ量に対応して燃料噴射量の補正量を算出する。一般に、ECU22は、図示しない燃料噴射量の演算ルーチンにより、エアフローメータ19が検出した吸入空気量に基づいて燃料噴射弁15の燃料噴射量を決定するが、過渡時にはエアフローメータ19のようなセンサの実測値と実際に燃焼室8に充填された吸気量とがずれ、エアフローメータ19の実測値が、燃料噴射量を決定するための情報として使用できないことがある。このような場合、ECU22は、吸気管圧力や吸気弁2の作用角、開閉タイミングのように、吸入空気量に影響する運転パラメータから吸入空気量を演算し、その演算された吸入空気量に基づいて燃料噴射量を決定する。しかし、吸入空気量を演算する基礎となる情報として、吸気弁2の作用角が使用される場合、吸気弁2の作用角の実際値が目標値からずれていればその影響で吸入空気量の実際の値が演算値からずれる。そこで、吸気弁2の作用角のずれ量に対応した吸入空気量のずれ量を参照して、作用角がずれに対応した吸入空気量のずれを補償して空燃比を目標値に維持するために必要な燃料噴射量の補正量をステップS33で算出する。そして、ステップS34では、既に求められている燃料噴射量を、ステップS33で得られた補正量に従って補正する。このような燃料噴射量の補正を行うことにより、吸気弁2の作用角が目標値からずれていても、その影響が燃料噴射量の補正によって排除されて空燃比が目標値に維持され、排気の悪化や燃料消費率の悪化が回避される。
【0042】
図11は、吸気弁2の作用角の異常を車両の運転者等に警告するためにECU22が所定の周期で繰り返し実行する作用角ずれ量警報ルーチンを示している。図11のルーチンにおいて、ECU22はまず図7の処理によって特定されている作用角のずれ量を取得し(ステップS41)、次のステップS42でずれ量が所定の上限値を超えているか否かを判断する。そして、上限値以下であれば図11のルーチンを終える。一方、ステップS42において作用角のずれ量が上限値を超えているときはステップS43に進んで所定の警告灯を点灯させ、その後に図11のルーチンを終える。ここで使用される警告灯は例えば車両の計器板に設けられた各種の警告灯の一つとしてもよい。また、上限値は、吸気弁2の作用角のずれに伴って発生する排気や燃料消費率の悪化が法令等によって定められた許容限度を超えるときの値とすることができる。このような設定によれば、吸気弁2の作用角が、燃料噴射量の補正等によって補償できない程度に悪化して法令の規制を超える程に排気等が悪化している状態を運転者に周知させることができる。そして、警告灯が点灯した場合には修理工場等で点検を受けるように予め運転者等に知らせておけば、排気悪化等の好ましくない状態で内燃機関1が継続して使用されることを抑制する効果が期待できる。
【0043】
以上の実施形態では、ECU22がずれ状態特定手段に相当し、吸気管圧センサ18及びエアフローメータ19が吸気状態検出手段に相当し、カムセンサ16及びクランク角センサ17が動弁特性検出手段に相当する。そして、上記の実施形態では、エアフローメータ19によって検出した吸入空気量の実測値と、カムセンサ16及びクランク角センサ17によって検出した吸気弁2の作用角及び開閉タイミングの実測値とに基づいて吸気管圧力を演算し、その演算結果と吸気管圧センサ18によって実測した吸気管圧力とを比較し、その比較結果に基づいて吸気弁2の作用角のずれ状態を特定している。しかしながら、本発明はこのような実施形態に限定されず、本発明の技術思想と実施的に同一の範囲内にある限り各種の形態にて実施してよい。
【0044】
吸入空気量や動弁特性の現在の状態はそれらの制御に関する目標値を利用して特定することもできる。一例として、ECU22が吸気管圧力のフィードバック制御を実行している場合には、そのフィードバック制御によって得られる値から作用角のずれ量を求めることもできる。ここで、吸気管圧力のフィードバック制御の概略は次の通りである。
【0045】
吸気管フィードバック制御ではまずアクセルペダルの踏み込み量に基づいて目標吸気量が設定され、その目標空気量を取得するために必要な吸気弁2の作用角及び開閉タイミングがそれらの目標値としてそれぞれ演算される。そして、吸気弁2の作用角及び開閉タイミングの目標値が決まると、それらの目標値に吸気弁2の動弁特性が制御されていることを前提として、目標吸気量を取得するために必要な吸気管圧力がその目標値として演算され、その目標値が得られるように吸気管路中のスロットルバルブの開度が設定される。一方、吸気管フィードバック制御においては、吸気管圧センサ18の出力信号から吸気管圧力の実際値が取得される。そして、吸気管圧力の目標値と実際値とのずれが解消するように吸入空気量の調整手段、例えばスロットルバルブの開度がフィードバック制御される。
【0046】
このように、吸気管圧力の偏差に基づく吸入空気量のフィードバック制御が行われている場合には、図7のルーチンと同様に吸気管圧力の演算値と実際値とのずれが取得され、しかも吸気管圧力の演算値は吸気弁2の作用角が目標値に正しく制御されていることを前提として算出されているので、ここで求められる吸気管圧力のずれは図7の例と同様に吸気弁2の作用角に関する目標値と実際値とのずれの影響を含んだものとなる。従って、図7のステップS16と同様にして作用角のずれ量を特定することができる。吸入空気量及び吸気弁2の動弁特性の制御の目標値から吸気管圧力を演算し、
【0047】
なお、ECU22が吸気管圧力フォードバック制御を利用して吸気弁2の作用角のずれ量を特定する場合の図7に代わるルーチンを図12に示す。このルーチンではステップS21で作用角のずれ量を検出するタイミング(例えばアイドリング時)か否かを判断し、ステップS22で吸気管圧力フィードバック(FB)制御の実行中か否かを判断する。いずれかのステップで否定判断した場合は図12のルーチンを終える。ステップS21及びS22にていずれも肯定判断したときにステップS23へ進み、吸気管圧力FB制御による補正量(FB補正量)を取得する。ここで取得するFB補正量は、スロットルバルブの補正量でもよいし、吸気管圧力の演算値と実際値とのずれ量でもよい。そして、ステップS24でFB補正量から吸気弁2の作用角のずれ量を算出する。
【0048】
図12の制御を実行する場合には、ECU22が吸気状態目標値設定手段として機能することになる。また、図12の例では、吸入空気量及び動弁特性の現在の状態がそれらの制御に関する目標値によって特定されているが、いずれか一方の現在の状態をセンサによる実測値としてもよい。つまり、本発明の制御装置において、吸気管圧力、吸入空気量、及び吸気弁の動弁特性の3つの要素のうち、他の1つの要素の現在の状態を演算する基礎となる2つの特定要素の現在の状態は、センサによる実測値、制御の目標値のいずれも使用できるものである。
【0049】
上記の実施形態では、吸入空気量と吸気弁の動弁特性とから吸気管圧力を演算し、その演算結果を吸気管圧力の実測値と比較することにより、動弁特性の目標値と実際値とのずれを特定したが、吸気管圧力と吸入空気量と動弁特性との間には相関関係があるので、これらの3つの要素のうち任意の2つの要素を特定要素として選択し、それらの2つの特定要素の現在の状態から他の1つの要素の現在の状態を演算する一方で、他の1つの要素の現在の状態を特定要素からの演算とは異なる手法、例えばセンサの実測値を利用する手法、あるいは制御の目標値を利用する手法によって特定し、こうして得られた2種類の値を比較して動弁特性のずれ状態を特定してもよい。例えば、吸気管圧力の実測値と吸入空気量の実測値とから作用角の現在の状態を演算し、その演算結果とカムセンサ16等を利用して特定した作用角とを比較することにより動弁特性の目標値と実際値とのずれを特定してもよい。吸気管圧力の実測値と動弁特性の実測値とから吸入空気量の現在の状態を演算し、その演算結果とエアフローメータ19等を利用して特定した吸入空気量の実測値とを比較することにより動弁特性の目標値と実際値とのずれを特定してもよい。
【0050】
本発明において、可変動弁機構は図示のものに限らず、様々な構成のものを使用してよい。例えば、吸気弁の作用角を変化させることなく、位相又はリフト量のみを変化させる可変動弁機構に対しても本発明は適用できる。すなわち、本発明は吸気弁の動弁特性として作用角のずれ状態を特定するものに限らず、吸気弁の位相、リフト量等、吸入空気量や吸気管圧力に影響し得る各種の物理量のずれ状態の特定に利用できる。
【0051】
本発明に従って求められた動弁特性のずれ量は燃料噴射量の補正以外にも吸気弁の動弁特性の影響を受ける各種の運転パラメータの補正に使用してよい。警告手段は警告灯を利用するものに限らず、音声その他の各種の警告手段を用いてよい。法令により排気ガスの悪化を警告することが義務付けられている場合にはその法令に従って本発明の警告を行えばよい。
【0052】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、吸気管圧力、吸入空気量及び動弁特性の三者の相関関係に基づいて吸気弁の動弁特性の実際値が目標値からどれだけずれているかを正確に把握することができる。従って、燃料噴射量を始めとする各種の運転パラメータの制御に関して吸気弁の動弁特性のずれ状態を反映させてそれらの制御精度を高めることができる。また、吸気弁の動弁特性が許容範囲を超えている場合にこれを警告することにより、排気や燃料消費率が悪化している好ましくない状態で内燃機関が継続して運転されることを抑制する効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における内燃機関及びその制御装置の概略構成を示す図。
【図2】図1の内燃機関で使用される吸気側のカムを拡大して示す図。
【図3】図1の内燃機関に組み込まれるカムシフト装置の構成を示す図。
【図4】吸気弁のリフト量及び作用角が変化する様子を示した図。
【図5】図1の内燃機関に組み込まれるバルブタイミング変更装置の構成を図6のV−V線に沿った断面において示す図。
【図6】図5のVI−VI線に沿った断面図。
【図7】図1のECUが作用角のずれ量を求めるために実行する作用角ずれ検出ルーチンを示すフローチャート。
【図8】吸気弁の開閉タイミング及び作用角と吸入空気の充填効率基準値との関係を示す線図。
【図9】機関回転数及び一回当たりの吸入空気量と充填効率背圧補正係数との関係を示す線図。
【図10】図1のECUが作用角のずれに応じて燃料噴射量を補正するために実行する燃料噴射量補正ルーチンを示すフローチャート。
【図11】図1のECUが作用角のずれを警報するために実行する作用角ずれ量警報ルーチンを示すフローチャート。
【図12】図1のECUが吸気管圧力フィードバック制御を利用して作用角のずれ量を特定するために実行する作用角ずれ検出ルーチンを示すフローチャート。
【符号の説明】
1 内燃機関
2 吸気弁
4 カム
6 カムシャフト
9 カムシフト装置
10 ドライバ
11 バルブタイミング変更装置
12 オイルコントロールバルブ
13 クランクシャフト
16 カムセンサ(動弁特性検出手段)
17 クランク角センサ(動弁特性検出手段)
18 吸気管圧センサ(吸気状態検出手段)
19 エアフローメータ(吸気状態検出手段)
22 エンジンコントロールユニット(ずれ状態特定手段、吸気状態目標値設定手段)

Claims (16)

  1. 吸気弁の動弁特性を変更可能な可変動弁機構を備えた内燃機関に適用され、前記内燃機関の運転状態に応じて定められる前記動弁特性の目標値が得られるように前記可変動弁機構の動作を制御する内燃機関の制御装置において、
    現在の吸気管圧力と、吸入空気量と、動弁特性との相関関係に基づいて、前記動弁特性に関する目標値と実際値とのずれ状態を特定するずれ状態特定手段を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記ずれ状態特定手段は、前記吸気管圧力、前記吸入空気量、及び前記動弁特性の3種類の要素のうち、いずれか2つの特定要素に関する現在の状態に基づいて他の1つの要素に関する現在の状態を演算し、その演算結果と、前記他の1つの要素に関して前記2つの特定要素の状態に基づく演算とは異なる手法によって特定した現在の状態とを比較し、その比較結果に基づいて前記動弁特性に関する目標値と実際値とのずれ状態を特定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記ずれ状態特定手段は、前記他の1つの要素に関する現在の状態を、センサの実測値によって特定することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記ずれ状態特定手段は、前記2つの特定要素のうち少なくともいずれか一方の特定要素に関する現在の状態を、センサの実測値によって特定することを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記ずれ状態特定手段は、前記2つの特定要素のうち少なくともいずれか一方の特定要素に関する現在の状態を、当該特定要素に関する制御の目標値によって特定することを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか一方と、前記動弁特性とが前記2つの特定要素に該当し、前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか他方が前記他の1つの要素に該当することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか他方を実測する吸気状態検出手段を備え、
    前記ずれ状態特定手段は、前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか一方に関する現在の状態と前記動弁特性の現在の状態とに基づいて、前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか他方についての現在の状態を演算し、その演算結果と、前記吸気状態検出手段が実測した前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか他方の現在の状態とを比較し、その比較結果に基づいて前記動弁特性に関する目標値と実際値とのずれ状態を特定する、
    ことを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の制御装置。
  8. 前記吸気状態検出手段は前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか一方についても実測可能であり、
    前記ずれ状態特定手段は、前記吸気状態検出手段が実測した前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか一方に関する現在の状態と前記動弁特性の現在の状態とに基づいて前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか他方についての現在の状態を演算する、ことを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の制御装置。
  9. 前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか一方に関する制御の目標値を設定する吸気状態目標値設定手段を備え、
    前記ずれ状態特定手段は、前記吸気状態目標値設定手段が設定した目標値を前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか一方に関する現在の状態として特定し、その特定した目標値と前記動弁特性の現在の状態とに基づいて前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか他方についての現在の状態を演算する、ことを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の制御装置。
  10. 前記内燃機関には、前記動弁特性を目標値に制御するための情報入力手段として、前記動弁特性の現在の状態を当該動弁特性に相関して変化する特定部位の状態の変化に置き換えて検出する動弁特性検出手段が設けられ、前記ずれ状態特定手段は、前記吸気管圧力又は前記吸入空気量のいずれか他方についての現在の状態の演算時に、前記動弁特性検出手段の検出結果を利用して前記動弁特性の現在の状態を特定することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  11. 前記ずれ状態特定手段は、前記動弁特性の制御に関する目標値により前記動弁特性の現在の状態を特定することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  12. 前記ずれ状態特定手段が特定した前記動弁特性のずれ状態を参照して燃料噴射量を補正する燃料噴射量補正手段を備えたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  13. 前記ずれ状態特定手段が特定した前記動弁特性のずれ状態が所定の許容範囲から外れたか否かを判断し、許容範囲外と判断した場合に所定の警告を発する警告手段を備えたことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  14. 前記動弁特性には、前記吸気弁の位相、作用角又はリフト量のうち、少なくとも1つが含まれていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  15. 吸気弁の作用角を変更可能な可変動弁機構を備えた内燃機関に適用され、前記内燃機関の運転状態に応じて定められる作用角の目標値が得られるように前記可変動弁機構の動作を制御する内燃機関の制御装置において、
    吸気管圧力を検出する吸気圧検出手段と、
    吸入空気量を検出する吸気量検出手段と、
    前記吸気弁の作用角を検出する作用角検出手段と、
    前記作用角検出手段が検出した作用角を参照しつつ、前記吸気量検出手段が検出した吸入空気量に基づいて吸気管圧力を演算する吸気圧演算手段と、
    前記吸気圧検出手段が検出した吸気管圧力と前記吸気圧演算手段が演算した吸気管圧力とのずれ量から、前記作用角の目標値と実際値とのずれ状態を特定する作用角ずれ特定手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  16. 吸気弁の作用角を変更可能な可変動弁機構を備えた内燃機関に適用され、前記内燃機関の運転状態に応じて定められる作用角の目標値が得られるように前記可変動弁機構の動作を制御する内燃機関の制御装置において、
    吸気管圧力を検出する吸気圧検出手段と、
    内燃機関の運転状態に基づいて吸入空気量の目標値を設定し、前記吸気弁の作用角の目標値を参照しつつ前記吸入空気量の目標値を吸気管圧力の目標値に変換し、得られた吸気管圧力の目標値と前記吸気圧検出手段が検出した吸気管圧力との差に基づいて、吸入空気量の調整手段を制御する吸気管圧力フィードバック制御手段と、
    前記吸気管圧フィードバック制御手段によって特定される前記吸気管圧力の差に基づいて、前記作用角の目標値と実際値とのずれ状態を特定する作用角ずれ特定手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。
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