JP2004156076A - 圧粉コア用金属粉末 - Google Patents

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Yoshikazu Aikawa
芳和 相川
Shinya Matsutani
伸哉 松谷
Takeshi Takahashi
岳史 高橋
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Abstract

【課題】インダクター等のコイル部品に使用される圧粉コア用金属粉末を提供する。
【解決手段】Si量が4〜7mass%、残部Feからなるガスアトマイズ金属粉末の平均結晶粒径(d/μm)とX線解折パターンにおける半値幅(w/deg)が、10.3×w−0.067×d≦1.5の数式を満足することを特徴とする圧粉コア用金属粉末。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インダクター等のコイル部品に使用される圧粉コア用金属粉末に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、OA、コンピュータ関連分野、さらに機械産業分野のメカトロニクス化および自動車のハイブリッド化に伴うコイル部品の大電流化の要求並びに電子機器の小型化に伴う小型高性能な圧粉コアが要求されている。しかして金属軟磁性粉末を樹脂と混合して圧縮成形したコイル磁心材である圧粉コアは、従来のフェライト焼結材と比較して飽和磁束密度(Bs)が大きいため、部品の小型化に有利な材料である。この材料である圧粉コア用粉末として選ばれる材料は、良好な軟磁気特性(低保磁力、高飽和磁束密度)を持つ材料で、一般的な材料としては、Fe−Ni系、センダスト、Fe−Si系等が中心である。その一例として、特許文献1等が知られている。
【0003】
【引用文献】
(1)特許文献1(特開平8−37107号公報)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術は、大電流下での透磁率が重視されるコアの場合に用いる粉末では、より高飽和磁束密度であることが必要であって、これに対応するコア用粉末としては十分でない。ただ、上記Fe−Si系粉末は、保磁力が低く飽和磁束密度が大きい組成として適用されている。しかし、このFe−Si系の同一組成であっても粉末の内質(結晶粒、内部歪)の差によってコア特性が変化するもので、このコア特性の変化について定量的に検討された例は現在においては見当たらないのが実状である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述したように、同一組成でも粉末の内質(結晶粒、内部歪)の差によってコア特性の変化することから、本発明では、同一組成でも、結晶粒と内部歪の大きさによってコア特性が変化し、ある数式を満たすことにより著しく良好なコア特性が得られることを見出した。その発明の要旨とするところは、Si量が4〜7mass%、残部Feからなるガスアトマイズ金属粉末の平均結晶粒径(d/μm)とX線解折パターンにおける半値幅(w/deg)が、10.3×w−0.067×d≦1.5の数式を満足することを特徴とする圧粉コア用金属粉末にある。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
同一組成でも、結晶粒と内部歪(X線半値幅)の大きさによってコア特性が変化し、金属粉末の平均結晶粒径(d/μm)とX線解折パターンにおける半値幅(w/deg)が、10.3×w−0.067×d≦1.5の数式を満足することにより著しく良好なコア特性が得られるものである。結晶粒が微細化もしくは内部歪(凝固時の冷却歪、粉砕時の加工歪等)が増大して、上記数式を満たさない場合は粉末の保磁力が増大することに起因して十分なコア特性が得られない。
しかも、この式を満たすものの組成の中でも、特にSi量が4〜7mass%−Feのコア特性が良好であること見出したものである。
【0007】
Si:4〜7mass%
Si量が4mass%未満では、保磁力が大きくなり、コア特性が低下していく。また、7mass%を超えても、4mass%未満と同様に、保磁力が大きくなり、コア特性が劣化することから、その範囲を4〜7mass%とした。
【0008】
【実施例】
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
表1に示すSiを含有するFe基合金を真空誘導溶解炉にて溶解し、ノズル径2〜4mm、ガス圧1〜5MPaのArとNガスによるガスアトマイズ法で作製した粉末を−45μmに分級した粉末をSi系樹脂(東レシリコン社製:SR2414)を金属粉末に対して1.5mass%混合した後、成形圧力1GPaでφ15mm/φ10mm×5tに成形後、700℃−1hrで熱処理して巻線を施してその透磁率と損失をLCRメーター、BHアナライザーで測定した。なお、ガスアトマイズの条件を変えることにより結晶粒径を意図的に変化させた。その結果を表1に示す。
【0009】
粉末特性評価としては、粉末の保磁力(Hc)はHcメーターを使用した。また、結晶粒径は光学顕微鏡により40μm粒径の粉末について、研磨しナイタールで腐食して100個分の結晶粒の大きさを測定し平均化した。さらに、X線回折はX線源をCuとし回折パターンのうちメインピークについて半値幅を測定(コア特性)した。成形後の透磁率はLCRメーター、周波数100kHz、印加磁場144kA/m、で測定した。成形後の損失はBHアナライザー、周波数100kHz、最大磁場0.1Tとした。
【0010】
【表1】
Figure 2004156076
【0011】
表1に示すように、No.1〜10は本発明例であり、No.11〜16は比較例である。比較例No.11は、結晶粒径が小さく、かつ10.3×w−0.067×dの値が大きいことから、コア特性である透磁率が劣り、かつ損失が大きい。また、比較例No.12および13は、10.3×w−0.067×dの値が大きいことから、透磁率が劣り、かつ損失が大きい。また、比較例No.14は、Fe−50Ni組成粉末によるもので、透磁率が劣り、かつ損失が大きい。さらに、比較例No.15〜16は、Si値の高い組成粉末によるもので、透磁率が劣り、かつ損失が大きい。これに対し、本発明例No.1〜10はいずれも、コア特性である透磁率が優れ、かつ損失が小さいことが判る。
【0012】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により極めて良好なコア特性を有するコアの製作が可能となる工業的に有利なものである。

Claims (1)

  1. Si量が4〜7mass%、残部Feからなるガスアトマイズ金属粉末の平均結晶粒径(d/μm)とX線解折パターンにおける半値幅(w/deg)が、10.3×w−0.067×d≦1.5の数式を満足することを特徴とする圧粉コア用金属粉末。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008277374A (ja) * 2007-04-26 2008-11-13 Toho Zinc Co Ltd 巻線インダクタ及びその製造方法

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