JP2004156073A - 酸洗装置および酸洗鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的簡単な構造で、下流側酸洗槽内酸液の濃度を高く保つことが可能な酸洗装置および酸洗鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】槽内の酸液中に鋼帯を浸漬して走行させる酸洗槽に、鋼帯走行方向下流に向かって順次濃度の高い酸液を貯留して複数配置するとともに、下流側の酸洗槽22から隣接する上流側の酸洗槽21に順次酸液を移送するように構成した酸洗装置20において、酸液の移送にあたり下流側の酸洗槽底部の酸液を上流側の酸洗槽に直接移送する移送手段を設ける。
【選択図】 図2
【解決手段】槽内の酸液中に鋼帯を浸漬して走行させる酸洗槽に、鋼帯走行方向下流に向かって順次濃度の高い酸液を貯留して複数配置するとともに、下流側の酸洗槽22から隣接する上流側の酸洗槽21に順次酸液を移送するように構成した酸洗装置20において、酸液の移送にあたり下流側の酸洗槽底部の酸液を上流側の酸洗槽に直接移送する移送手段を設ける。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯鋼板等の被処理板を、ライン方向に配置され、下流側に行くにつれて酸液濃度が高く設定された複数の酸洗槽に浸漬させながら連続的に走行させてゆく形式の酸洗装置および酸洗鋼板の製造方法に関し、特に下流側の酸液濃度を高く保つことができる酸洗装置および酸洗鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホットストリップミルで圧延された鋼帯は、その冷却過程において表面に種々の酸化皮膜(スケール)が形成される。この酸化皮膜は次工程の冷間圧延で圧延される前に完全に除去しておく必要がある。このため鋼帯をライン方向に配置された酸洗槽に浸漬しながら、連続的に通過させてゆくことにより前記酸化皮膜の除去をはかる酸洗方法が知られている。
【0003】
このような酸洗方法においては、図5に示されるように、酸液は複数の通常直列に配置された酸洗槽(図5では、直列に配置された4槽の酸洗槽が示されている。)に分けて蓄えられ、鋼帯は順次直列に配置された複数の酸洗槽を通過し、その間に酸化皮膜の除去が完了する。この酸洗槽の酸液濃度や温度、およびその酸洗槽に投入される鋼帯の温度は、各酸洗槽において異なる。通常、直列に配置された酸洗槽の最下流側の槽において新酸が供給され、各酸洗槽の鋼帯入り側に向かって酸液がオーバーフローされ酸液濃度は次第に低下してゆく。
【0004】
特許文献1においては、複数の酸洗槽にそれぞれ配設されたサブタンクと、各サブタンクと各酸洗槽との間にそれぞれ接続された廃酸液戻り配管と、各サブタンク間に接続されたカスケード配管と、酸洗槽の入側から出側の間で間隔を開けて設置された新酸液供給装置と、各サブタンクと、各新酸液供給装置の間にそれぞれ接続された新酸液供給配管と、各新酸液供給配管にそれぞれ介装された新酸液供給ポンプとからなり、新酸液供給装置は帯鋼板の上面と下面から帯鋼板に酸液を吹付ける新酸液供給ノズルで構成されていることを特徴とする帯鋼板の酸洗装置が開示されている。この噴流式酸洗装置においては、回収した酸は一旦サブタンクに貯めておき、板に吹き付けるかあるいは次槽に送っている。
【0005】
一方、特許文献2では、複数の酸洗槽間のカスケードダムの近くであって、ライン停止時の液面よりやや低い位置から上流側槽に通じる連結管を設け、その連結管から上流の槽へ酸液を流し込む構造が示されている。その途中に開閉弁を設け、ライン停止時には弁を閉鎖し、ライン稼動時には弁を開放することにより、鋼帯に随伴する流れによる液面変動を抑制しようとするものである。
【0006】
さらに特許文献3では、各槽を仕切るダムスキッドの両側を高さ可変の堰として、液面制御を行う構造が開示されている。
【特許文献1】
特許第296691号
【特許文献2】
実開平6−30158号公報
【特許文献3】
特開平10−147895号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
酸洗効率を上げるためには、なるべく使用により濃度の低下した酸液を上流側に移送し、下流側の酸液濃度を高く保つことが必要とされる。しかし、特許文献1に開示された構造では、各酸洗槽において新酸液を供給することにより一定の酸洗効率の向上は見られるものの、下流側の酸液濃度を高く保つという観点からの十分な対策はとられてはいない。また、各酸洗槽ごとにサブタンクや、新液供給装置およびそれらを結ぶ配管を必要とするため、酸洗装置の構造が複雑なものとならざるを得ないという問題があった。また、特許文献2および3では、いずれも下流側の酸洗槽上層にある酸液が上流側の酸洗槽にオーバーフローされる構造であり、下流側酸洗槽内酸液の濃度を高く保つという観点からは問題のある構造であった。
【0008】
そこで、本発明は、比較的簡単な構造で、下流側酸洗槽内酸液の濃度を高く保つことが可能な酸洗装置および酸洗鋼板の製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
酸洗に使用される液は塩酸(HCl)であり、酸化皮膜(スケール、酸化鉄)は、FeCl3として塩酸中に溶解されることにより酸化皮膜の除去が達成される。当初20%程度あった塩酸濃度は、塩化第二鉄(FeCl3)として鉄分を抱き込むことにより17%程度まで低下する。このとき、酸液密度は図1に示されるように1.08から1.17へと急激に増大する。この結果鉄分を含んだ(酸濃度の低下した、劣化した)酸液は重くなり、酸洗槽の底部に沈み込むことになる。本願発明者らは、新酸と劣化した酸の密度の差に着目し、酸洗槽の底部に滞留する密度の高い(濃度の低い劣化した)酸液を上流側の酸洗槽に移送し、下流側の酸洗槽の酸濃度を全体的に高くすることで酸液による脱スケールの反応効率を高めることができることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0010】
以下、本発明の各態様について具体的に説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。なお、添付図面の数字符号には各変形例を示すa、b、c、d等の副符号が付されているが以下の各態様の説明においては副符号を省略して記載する。
【0011】
本発明の第1の態様は、槽内の酸液中に鋼帯を浸漬して走行させる酸洗槽に、鋼帯走行方向下流に向かって順次濃度の高い酸液を貯留して複数配置するとともに、下流側の酸洗槽(22、42)から隣接する上流側の酸洗槽(21、41)に順次酸液を移送するように構成した酸洗装置(20、40)であって、酸液の移送にあたり下流側の酸洗槽底部の酸液を上流側の酸洗槽に直接移送する移送手段を設けたことを特徴とする酸洗装置を提供して前記課題を解決する。
【0012】
ここに、本願明細書において「上流」、「下流」の語は鋼板走行方向を基準に、鋼板の酸洗装置への入り側を「上流」、出側を「下流」と定義する。したがって酸液の流れる方向と直接は関係しない。
【0013】
また、「直接移送」とは、一の酸洗槽から他の酸洗槽へと途中に別の槽(サブタンク等)を介さずに直に移送するこという。配管等により移送が行われる場合、この配管は客観的に見てこの移送を主目的に設けられたものであることを必要とするが、他の目的に使用されることまでを排除する趣旨ではない。また途中経路にポンプ、フィルタ、ストレーナ、加熱・冷却を目的とする熱交換器等が含まれていても良い。
【0014】
この発明の第1の態様にかかる酸洗装置によれば、脱スケール反応により鉄分を含んだ(酸濃度が低下した)劣化酸液は密度が高くなるため酸洗槽の底部に沈みこむので、この酸濃度が低下した酸洗槽底部の劣化酸を上流側の酸洗槽に移送することにより当該下流側酸洗槽全体としての酸液濃度を高めることができる。よって酸洗の効率を向上することが可能となる。
【0015】
この態様において、移送手段は上流側酸洗槽(21)と下流側酸洗槽(22)とを仕切るダム(23)と下流側酸洗槽内に立設された仕切り板(25)とにより上下に開口を備えて形成された酸液通路であり、ダムはその高さが下流側の酸洗槽の最高液面高さより低く設けられ、酸液通路は下流側酸洗槽の槽底(28)近傍に第1の開口(26)を備えるとともにダム上端に上流側の酸洗槽の上部を臨む第2の開口(27)を備えることとしてもよい。
【0016】
このようにすれば、下流側酸洗槽の槽底部にある劣化酸液は、第1の開口から酸液通路に吸い込まれ、下流側酸洗槽の液量を所定以上のものとすることによりこの酸液のヘッド圧にて第2の開口から押し出されて上流側酸洗槽内へと流入する。このようにして、特に酸液の移送にエネルギーを必要としない省エネルギー型移送手段により、濃度の低下した下流側槽底部にある劣化酸を上流側酸洗槽に移送することができる。また、この構造は基本的にはオーバーフロー構造であるので、走行する鋼帯により上流側から下流側へと持ち込まれる酸液の量を特に複雑な計器等を使用することなく適正なレベルに管理することが容易である。さらに、可動部分がないので実質的に故障のないメインテナンスフリーの移送手段を構成することができる。
【0017】
上記のように構成した場合にはさらに、酸液通路を鋼帯の走行方向両側部に2箇所設けてもよい。
【0018】
このように構成すれば、鋼帯の走行領域を確保しつつ下流側から上流側への酸液の移送を行うことが可能となる。
【0019】
また、上記のように構成した場合には、第1の開口を槽底に分散して複数設けてもよい。
【0020】
このように構成した場合には、槽底部に滞留する劣化酸液を満遍なく移送手段により吸い込んで上流側の酸洗槽へと送り込むことができる。
【0021】
上記第1の態様において、移送手段が下流側酸洗槽(42)の槽底(48)近傍に一端側が配置された吸入管(45)と、吸入管の他端側に接続されたポンプ(46)と、ポンプに一端側が接続され他端側が上流側酸洗槽(41)の内部又は上部に配置された排出管(47)とを備えることとしてもよい。
【0022】
このように構成した場合には、ポンプにより劣化した酸液の移送を積極的に実行できるので、任意のタイミングで、任意の量を移送することも可能となる。また、配管中にフィルタや熱交換器等を設けて、酸液の物理的な性状の一部を管理することも可能である。
【0023】
上記のように構成した場合さらに、吸入管の開口を鋼帯の走行方向に関して酸洗槽の中央やや下流寄りに配置してもよい。
【0024】
このように構成すれば、酸洗槽内の酸液の対流を発生させ、濃度の高い新酸液がまず酸洗にあずかり、酸洗により劣化した酸液は槽底に沈み、そこで吸入管に吸い込まれて上流側酸洗槽に送り込まれることとなる。よって効率の高い酸洗を実現することができる。
【0025】
上記のように構成した場合にはまた、吸入管を分岐して、その開口を槽底近傍に分散して複数設けてもよい。
【0026】
このようにすれば、槽底部に滞留する劣化酸液を満遍なく吸入管に吸い込んで上流側の酸洗槽へと送り込むことができる。
【0027】
本発明の第2の態様は、鋼帯を濃度の低い順に酸液を満たして配列された酸洗槽内に順次浸漬して酸洗する酸洗鋼板の製造方法であって、鋼帯走行方向最下流側の酸洗槽に新酸液を供給する工程と、鋼帯の酸洗を行いつつ、各下流側の酸洗槽底部の酸液を上流側の酸洗槽に直接移送する工程と、を含む酸洗鋼板の製造方法により前記課題を解決する。
【0028】
この第2の態様にかかる酸洗鋼板の製造方法によれば、上流側の酸洗槽より、下流側の酸洗槽の酸液濃度が確実に高められているので、効率のよい酸洗が可能な酸洗鋼板の製造方法を実現することができる。
【0029】
上記第2の態様において、各下流側の酸洗槽底部の酸液を上流側の酸洗槽に移送する工程は、酸洗槽底部に分散して設けられた吸入口より酸液を吸引して上流側の酸洗槽に送出する工程であることとしてもよい。
【0030】
このようにすれば、槽底部に滞留する劣化酸液を満遍なく吸入管に吸い込んで上流側の酸洗槽へと送り込むことにより、効率の高い酸洗が可能な酸洗鋼板の製造方法を提供することができる。
【0031】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0032】
【発明の実施の形態】
<第一実施形態>
図2は、第一実施形態にかかる酸洗装置20の酸洗槽の一部を示す概略的な側面断面図である。図2(a)は本実施形態の基本的構造を示し、(b)〜(d)の各図は変形例を示すものである。本願発明にかかる各実施形態の酸洗装置においては酸洗槽が鋼帯の走行方向に2〜5槽直列に連続して配置されるが、図2においては、走行方向の最終層およびその上流側の槽のみが示されている。説明の便宜上、鋼帯進行方向の最終槽(図において右側)を出側酸洗槽、その上流側の槽を入り側酸洗槽と呼ぶこととする。
【0033】
図2(a)において、入り側酸洗槽21aと出側酸洗槽22aとは、ダム23aにより2槽に分けられている。出側酸洗槽22aの槽壁は酸液液面レベルを入り側より高く保つことができるよう、入り側酸洗槽21aの槽壁より高く形成されている。一方、ダム23aは、入り側酸洗槽21aの槽壁と略同一高さに形成されている。
【0034】
出側酸洗槽22aのダム23a近くにはダム23aと略平行に仕切り板25aが立設されている。仕切り板25aの下端部は、出側酸洗槽の槽底28から所定の間隔を空けて槽底の上方に配置されている。この仕切り板の下端部と、槽底との間の所定の間隔が後述する下部開口部26aを形成している。仕切り板25aは、ダム23aと(必要に応じて出側酸洗槽22aの鋼帯走行方向に平行な側壁とも)組み合わせられたときに、水平断面において閉じた形状をなすように形成されている。したがって仕切り板25aは、ダム23aと(必要に応じて出側酸洗槽22aの鋼帯走行方向に平行な側壁とも)組み合わせられて、下部に下部開口部26aを有する通路を形成している。この通路はダム23aの上部において入り側酸洗槽21aの上部側に開口する上部開口部27aを備えている。出側酸洗槽22aは、鋼帯走行方向出側上方に新酸液供給口24aを備えている。
【0035】
このように構成された酸洗装置20aにおいて、出側酸洗槽22a内には、酸洗により鉄分を含んで密度が増加した(酸濃度の低い劣化した)酸が槽の底部に滞留し、濃度の高い酸は上層に留まっている。いま、新酸液供給口24aから新たな酸液が出側酸洗槽22a内に投入されると、この新酸液は前記したように密度が低いので、酸洗槽の上層に留まり、走行される鋼帯の酸洗に供される。酸洗に供された酸液は鋼帯スケールの鉄分を含んで密度を増し、槽底部28に沈み込む。新酸の供給により出側酸洗槽22aの液面が上昇すると、そのヘッド圧により槽底部の密度の高い(劣化した、濃度が低い)酸液は下部開口部26aから上記通路内に押し上げられる。さらに通路内にもともと存在していた密度の高い酸液は順次押し上げられて、ダム23aを越えて開口部27aから入り側酸洗槽21aへと注ぎ込まれる。このようにして、出側酸洗槽22aにおいては、濃度の高い酸液は上層に留まり、酸洗に供されて濃度の低下した酸液が槽底部から通路を経て順次入り側酸洗槽21aへと移送される。かくして出側酸洗槽22aの酸液濃度を常に高く保つことができ、酸洗工程の効率向上に資することが可能となる。
【0036】
図2(b)は、図2(a)に示された酸洗装置20aの変形例のひとつである酸洗装置20bを示すものである。酸洗装置20bの基本的な構造は酸洗装置20aと同様であるが、酸洗装置20bにおいては、立設されている仕切り板25bがその下端部から上流側にさらに水平方向に延設されて、下部開口部26bが槽の中央付近に設けられている。このような構成によれば、より一様に下部開口部26bから濃度の低い酸液を吸引して、入り側酸洗槽21bに移送することが可能となる。出側酸洗槽22bにおいては、濃度の高い酸液を確実に上層に留める一方、酸洗に供されて濃度の低下した酸液が槽底中央部から順次入り側酸洗槽21bへと移送される。かくして出側酸洗槽22bの酸液濃度を常に高く保つことができ、酸洗工程の効率向上に資することが可能となる。
【0037】
図2(c)は、図2(a)に示された酸洗装置20aの他の変形例である酸洗装置20cを示すものである。酸洗装置20cの基本的な構造も酸洗装置20aと同様であるが、酸洗装置20cにおいては、新酸液供給口24cは酸洗槽下方最下流側に配置され、新酸液は酸洗槽底部から供給される。また、下部開口部26cは酸洗装置20bの場合よりさらに下流側に寄せられて配置されている。このような構成によれば、槽底最下流部から供給された新酸液は、槽底部周囲の濃度が低い劣化酸液より密度が低いので、上層部へと上昇する。上層部へと上昇した新酸液はそこで酸洗に供され、酸洗により鉄分を抱き込んで密度を増す。そして密度の増加により再び槽底部へと下降する。新酸液の供給により、出側酸洗槽の液面が上昇するとそのヘッド圧により槽底部に滞留する劣化酸液が下部開口部26cから吸引され、通路を経てダム25cを越えて上部開口部27cから入り側酸洗槽21cへと移送される。この間、出側酸洗槽22c内においては図に示されるような出側酸洗槽22c内を循環する酸液の対流が発生し、新酸液の上層部への上昇と劣化した酸液の槽底部への下降が円滑に行われる。出側酸洗槽22cにおいては、濃度の高い酸液を確実に上層に留める一方、酸洗に供されて濃度の低下した酸液が下流側槽底部から順次入り側酸洗槽21cへと移送される。かくして出側酸洗槽22cの酸液濃度を常に高く保つことができ、酸洗工程の効率向上に資することが可能となる。
【0038】
図2(d)は、図2(a)に示された酸洗装置20aの更に他の変形例である酸洗装置20dを示すものである。酸洗装置20dの基本的な構造も酸洗装置20aと同様であるが、酸洗装置20dにおいては、複数の下部開口部26d1、26d2、26d3、26d4が槽底に分散して配置されている。このような構成によれば、槽底に滞留している劣化した酸液を満遍なく入り側酸洗槽21dへと移送することができ、出側酸洗槽22dの酸液濃度を常に高く保って酸洗工程の効率向上に資することが可能となる。
【0039】
図3は、第一実施形態にかかる酸洗槽の具体的態様の一例を示す斜視図である。この図では図2における出側酸洗槽のみ酸洗槽22eとして表されている。この酸洗槽22eにおいては、鋼帯30が図の矢印の方向に走行されその間に酸洗が行われる。ダム23e中央部上端には鋼帯の傷つき防止のためのスキッド31が取り付けられている。ダム23eの上部両端は切り欠かれている。酸洗槽22eのダム23e近傍両端側に、ダム23eから所定の距離を隔てて、水平断面形状「L」字型の仕切り板25e、25fが立設されている。仕切り板25e、25fがなす断面「L」字状の一端側はダム23eに取り付けられ、多端側は、酸洗槽の側壁32e、32f(側壁32fは図示されていない。)に取り付けられている。また、仕切り板25e、25fの下端部は、酸洗槽22eの槽底28eから僅かに高く設けられ、槽底28eとの隙間が下部開口部26e、26f(下部開口部26fは図示されていない。)を形成している。一方、仕切り板25e、25fの上端部はダム23eの中央部に設けられたスキッド30と略同一高さに設定されている。このように仕切り板25e、25fを構成することにより、上記ダム23e上端両側部の切欠きは、2つの上部開口部27e、27fを形成している。
【0040】
かかる構成をとることにより、鋼板を酸洗槽の上層を下流方向に走行させつつ、酸洗槽内槽底の劣化酸液を仕切り板25e、25fとダム23eとで形成された通路を介して、上流側酸洗槽に移送することができる。
【0041】
<第二実施形態>
図4は、第二実施形態にかかる酸洗装置40の酸洗槽の一部を示す概略的な側面断面図である。本実施形態においては、下流側酸洗槽から上流側酸洗槽への酸液の移送は配管とポンプを介して行われる。図4(a)は本実施形態の基本的構造を示し、(b)〜(d)の各図は変形例を示すものである。本実施形態の酸洗装置においても第一実施形態の酸洗装置と同様に、酸洗槽が鋼帯の走行方向に2〜5槽直列に連続して配置されるが、図4においては、走行方向の最終層およびその上流側の槽のみが示されている。ここでも説明の便宜上、鋼帯進行方向の最終槽(図において右側)を出側酸洗槽、その上流側の槽を入り側酸洗槽と呼ぶこととする。
【0042】
図4(a)において、入り側酸洗槽41aと出側酸洗槽42aとは、ダム43aにより2槽に分けられている。出側酸洗槽42aの槽壁は酸液液面レベルを入り側より高く保つことができるよう、入り側酸洗槽41aの槽壁より高く形成されている。一方、ダム43aは、出側酸洗槽42aの槽壁と略同一高さに形成されている。
【0043】
出側酸洗槽42aのダム43a近傍の槽底に一端側が配置された吸入管45aと、吸入管45aの他端側に接続されたポンプ46aと、ポンプ46aに一端側が接続され他端側が入り側酸洗槽41a上方に配置された排出管47aとを備えている。出側酸洗槽42aには液面レベル計49が備えられ、その情報は不図示のコントローラへと送られている。また、出側酸洗槽42aは、鋼帯走行方向出側上方に新酸液供給口44aを備えている。
【0044】
このように構成された酸洗装置40aにおいて、出側酸洗槽42a内には、酸洗により鉄分を含んで密度が増加した(酸濃度の低い劣化した)酸が槽の底部に滞留し、濃度の高い酸は上層に留まっている。いま、新酸液供給口44aから新たな酸液が出側酸洗槽42a内に投入されると、この新酸液は前記したように密度が低いので、酸洗槽の上層に留まり、走行される鋼帯の酸洗に供される。酸洗に供された酸液は鋼帯スケールの鉄分を含んで密度を増し、槽底部48aに沈み込む。新酸の供給により出側酸洗槽42aの液面が所定の高さ以上に上昇すると、液面レベル計49aがそれを感知し、その情報がコントローラへと伝えられる。コントローラはその情報により液面が所定の高さに低下するまでポンプ46aに回転すべき命令を発する。ポンプ46aが回転されると、槽底部の密度の高い(劣化した、濃度が低い)酸液は吸入管45aへと吸引され、ポンプ46aを経て排出管47aから、入り側酸洗槽41aへと排出される。このようにして、出側酸洗槽42aにおいては、濃度の高い酸液は上層に留まり、酸洗に供されて濃度の低下した酸液が槽底部から順次入り側酸洗槽41aへと移送される。かくして出側酸洗槽42aの酸液濃度を常に高く保つことができ、酸洗工程の効率向上に資することが可能となる。
【0045】
上記のように第二実施形態においては、第一実施形態において、ダムおよび仕切り板により形成されていた通路に代えて吸入管45aおよび排出管47aが備えられ、ヘッド圧の役割をポンプ46aが担っている。図4(b)〜図4(d)に示される各変形例も、第一実施形態における変形例(図2(b)〜図2(d))に対応し、その差異は図2(a)と図4(a)との差異と同様であるのでここではその説明を省略する。
【0046】
第二実施形態のように、出側酸洗槽42aから入り側酸洗槽41aへの酸液の移送を、第一実施形態のようにヘッド圧に頼らずに、ポンプと配管で構成した場合には、配管やポンプの配置を比較的自由に決定できるという利点がある。また、両槽間の酸液の移送もポンプの運転を制御することによりきわめて自由に行うことが可能である。
【0047】
例えば、液面レベルセンサ、酸液温度センサ、酸液濃度センサ、鋼帯走行速度、及び入り側液面レベルセンサからの情報を入力として受け入れ、これに基づいてあらかじめ定めた所定のプログラムにより、鋼帯走行速度、ポンプ、ヒーター、クーラー、新酸液供給ポンプなどを総合的に制御して酸洗効率の最適化を図るように構成することが可能である。
【実施例】
図3に示した構造を実機の各槽にて実施したところ、槽内の平均酸濃度を16%から15.5%に低下させることができた。すなわち、槽の上部と下部との酸液濃度差が従来の槽上部オーバーフロー方式の場合に比べて低下したため、脱スケール効率が向上し、結果として槽全体の酸濃度を低下させることができたものと考えられる。これは酸洗処理量が増加した場合に、酸濃度を増加することにより、酸洗能力を増加させることができることを示すものである。最上流側槽(鋼帯入り側)では従来劣化酸濃度として、5%未満のものを廃酸として排出していたが、これを2.5%未満に変更することができ、酸液原単位を16%向上することが可能となった。
【0048】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う酸洗装置および酸洗鋼板の製造方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0049】
【発明の効果】
以上に説明したように、脱スケール反応により鉄分を含んだ(酸濃度が低下した)劣化酸液は密度が高くなるため酸洗槽の底部に沈みこむので、槽内の酸液中に鋼帯を浸漬して走行させる酸洗槽に、鋼帯走行方向下流に向かって順次濃度の高い酸液を貯留して複数配置するとともに、下流側の酸洗槽から隣接する上流側の酸洗槽に順次酸液を移送するように構成した酸洗装置において、酸液の移送にあたり下流側の酸洗槽底部の酸液を上流側の酸洗槽に直接移送する移送手段を設けることによって、酸濃度が低下した酸洗槽底部の劣化酸を選択的に上流側の酸洗槽に移送することができる。このようにすることにより当該下流側酸洗槽全体としての酸液濃度を高めることができる。よって酸洗の効率を向上することが可能となる。また、上記移送手段を仕切り板とダムとで構成し、あるいはポンプと配管とで構成することにより、比較的簡単な構造にて下流側酸洗槽内酸液の濃度を高く保つことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩酸濃度と酸液密度との関係を示す図である。
【図2】第一実施形態にかかる酸洗槽の一部を示す概略図である。
【図3】第一実施形態にかかる酸洗槽の具体的態様の一例を示す斜視図である。
【図4】第二実施形態にかかる酸洗槽の一部を示す概略図である。
【図5】従来の酸洗装置における鋼帯の走行方向と、酸液の流れ方向とを示す概略図である。
【符号の説明】
20、40 酸洗装置
21、41 入り側(上流側)酸洗槽
22、42 出側(下流側)酸洗槽
23 ダム
25 仕切り板
26 第1の開口
27 第2の開口
28、48 槽底
45 吸入管
46 ポンプ
47 排出管
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯鋼板等の被処理板を、ライン方向に配置され、下流側に行くにつれて酸液濃度が高く設定された複数の酸洗槽に浸漬させながら連続的に走行させてゆく形式の酸洗装置および酸洗鋼板の製造方法に関し、特に下流側の酸液濃度を高く保つことができる酸洗装置および酸洗鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホットストリップミルで圧延された鋼帯は、その冷却過程において表面に種々の酸化皮膜(スケール)が形成される。この酸化皮膜は次工程の冷間圧延で圧延される前に完全に除去しておく必要がある。このため鋼帯をライン方向に配置された酸洗槽に浸漬しながら、連続的に通過させてゆくことにより前記酸化皮膜の除去をはかる酸洗方法が知られている。
【0003】
このような酸洗方法においては、図5に示されるように、酸液は複数の通常直列に配置された酸洗槽(図5では、直列に配置された4槽の酸洗槽が示されている。)に分けて蓄えられ、鋼帯は順次直列に配置された複数の酸洗槽を通過し、その間に酸化皮膜の除去が完了する。この酸洗槽の酸液濃度や温度、およびその酸洗槽に投入される鋼帯の温度は、各酸洗槽において異なる。通常、直列に配置された酸洗槽の最下流側の槽において新酸が供給され、各酸洗槽の鋼帯入り側に向かって酸液がオーバーフローされ酸液濃度は次第に低下してゆく。
【0004】
特許文献1においては、複数の酸洗槽にそれぞれ配設されたサブタンクと、各サブタンクと各酸洗槽との間にそれぞれ接続された廃酸液戻り配管と、各サブタンク間に接続されたカスケード配管と、酸洗槽の入側から出側の間で間隔を開けて設置された新酸液供給装置と、各サブタンクと、各新酸液供給装置の間にそれぞれ接続された新酸液供給配管と、各新酸液供給配管にそれぞれ介装された新酸液供給ポンプとからなり、新酸液供給装置は帯鋼板の上面と下面から帯鋼板に酸液を吹付ける新酸液供給ノズルで構成されていることを特徴とする帯鋼板の酸洗装置が開示されている。この噴流式酸洗装置においては、回収した酸は一旦サブタンクに貯めておき、板に吹き付けるかあるいは次槽に送っている。
【0005】
一方、特許文献2では、複数の酸洗槽間のカスケードダムの近くであって、ライン停止時の液面よりやや低い位置から上流側槽に通じる連結管を設け、その連結管から上流の槽へ酸液を流し込む構造が示されている。その途中に開閉弁を設け、ライン停止時には弁を閉鎖し、ライン稼動時には弁を開放することにより、鋼帯に随伴する流れによる液面変動を抑制しようとするものである。
【0006】
さらに特許文献3では、各槽を仕切るダムスキッドの両側を高さ可変の堰として、液面制御を行う構造が開示されている。
【特許文献1】
特許第296691号
【特許文献2】
実開平6−30158号公報
【特許文献3】
特開平10−147895号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
酸洗効率を上げるためには、なるべく使用により濃度の低下した酸液を上流側に移送し、下流側の酸液濃度を高く保つことが必要とされる。しかし、特許文献1に開示された構造では、各酸洗槽において新酸液を供給することにより一定の酸洗効率の向上は見られるものの、下流側の酸液濃度を高く保つという観点からの十分な対策はとられてはいない。また、各酸洗槽ごとにサブタンクや、新液供給装置およびそれらを結ぶ配管を必要とするため、酸洗装置の構造が複雑なものとならざるを得ないという問題があった。また、特許文献2および3では、いずれも下流側の酸洗槽上層にある酸液が上流側の酸洗槽にオーバーフローされる構造であり、下流側酸洗槽内酸液の濃度を高く保つという観点からは問題のある構造であった。
【0008】
そこで、本発明は、比較的簡単な構造で、下流側酸洗槽内酸液の濃度を高く保つことが可能な酸洗装置および酸洗鋼板の製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
酸洗に使用される液は塩酸(HCl)であり、酸化皮膜(スケール、酸化鉄)は、FeCl3として塩酸中に溶解されることにより酸化皮膜の除去が達成される。当初20%程度あった塩酸濃度は、塩化第二鉄(FeCl3)として鉄分を抱き込むことにより17%程度まで低下する。このとき、酸液密度は図1に示されるように1.08から1.17へと急激に増大する。この結果鉄分を含んだ(酸濃度の低下した、劣化した)酸液は重くなり、酸洗槽の底部に沈み込むことになる。本願発明者らは、新酸と劣化した酸の密度の差に着目し、酸洗槽の底部に滞留する密度の高い(濃度の低い劣化した)酸液を上流側の酸洗槽に移送し、下流側の酸洗槽の酸濃度を全体的に高くすることで酸液による脱スケールの反応効率を高めることができることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0010】
以下、本発明の各態様について具体的に説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。なお、添付図面の数字符号には各変形例を示すa、b、c、d等の副符号が付されているが以下の各態様の説明においては副符号を省略して記載する。
【0011】
本発明の第1の態様は、槽内の酸液中に鋼帯を浸漬して走行させる酸洗槽に、鋼帯走行方向下流に向かって順次濃度の高い酸液を貯留して複数配置するとともに、下流側の酸洗槽(22、42)から隣接する上流側の酸洗槽(21、41)に順次酸液を移送するように構成した酸洗装置(20、40)であって、酸液の移送にあたり下流側の酸洗槽底部の酸液を上流側の酸洗槽に直接移送する移送手段を設けたことを特徴とする酸洗装置を提供して前記課題を解決する。
【0012】
ここに、本願明細書において「上流」、「下流」の語は鋼板走行方向を基準に、鋼板の酸洗装置への入り側を「上流」、出側を「下流」と定義する。したがって酸液の流れる方向と直接は関係しない。
【0013】
また、「直接移送」とは、一の酸洗槽から他の酸洗槽へと途中に別の槽(サブタンク等)を介さずに直に移送するこという。配管等により移送が行われる場合、この配管は客観的に見てこの移送を主目的に設けられたものであることを必要とするが、他の目的に使用されることまでを排除する趣旨ではない。また途中経路にポンプ、フィルタ、ストレーナ、加熱・冷却を目的とする熱交換器等が含まれていても良い。
【0014】
この発明の第1の態様にかかる酸洗装置によれば、脱スケール反応により鉄分を含んだ(酸濃度が低下した)劣化酸液は密度が高くなるため酸洗槽の底部に沈みこむので、この酸濃度が低下した酸洗槽底部の劣化酸を上流側の酸洗槽に移送することにより当該下流側酸洗槽全体としての酸液濃度を高めることができる。よって酸洗の効率を向上することが可能となる。
【0015】
この態様において、移送手段は上流側酸洗槽(21)と下流側酸洗槽(22)とを仕切るダム(23)と下流側酸洗槽内に立設された仕切り板(25)とにより上下に開口を備えて形成された酸液通路であり、ダムはその高さが下流側の酸洗槽の最高液面高さより低く設けられ、酸液通路は下流側酸洗槽の槽底(28)近傍に第1の開口(26)を備えるとともにダム上端に上流側の酸洗槽の上部を臨む第2の開口(27)を備えることとしてもよい。
【0016】
このようにすれば、下流側酸洗槽の槽底部にある劣化酸液は、第1の開口から酸液通路に吸い込まれ、下流側酸洗槽の液量を所定以上のものとすることによりこの酸液のヘッド圧にて第2の開口から押し出されて上流側酸洗槽内へと流入する。このようにして、特に酸液の移送にエネルギーを必要としない省エネルギー型移送手段により、濃度の低下した下流側槽底部にある劣化酸を上流側酸洗槽に移送することができる。また、この構造は基本的にはオーバーフロー構造であるので、走行する鋼帯により上流側から下流側へと持ち込まれる酸液の量を特に複雑な計器等を使用することなく適正なレベルに管理することが容易である。さらに、可動部分がないので実質的に故障のないメインテナンスフリーの移送手段を構成することができる。
【0017】
上記のように構成した場合にはさらに、酸液通路を鋼帯の走行方向両側部に2箇所設けてもよい。
【0018】
このように構成すれば、鋼帯の走行領域を確保しつつ下流側から上流側への酸液の移送を行うことが可能となる。
【0019】
また、上記のように構成した場合には、第1の開口を槽底に分散して複数設けてもよい。
【0020】
このように構成した場合には、槽底部に滞留する劣化酸液を満遍なく移送手段により吸い込んで上流側の酸洗槽へと送り込むことができる。
【0021】
上記第1の態様において、移送手段が下流側酸洗槽(42)の槽底(48)近傍に一端側が配置された吸入管(45)と、吸入管の他端側に接続されたポンプ(46)と、ポンプに一端側が接続され他端側が上流側酸洗槽(41)の内部又は上部に配置された排出管(47)とを備えることとしてもよい。
【0022】
このように構成した場合には、ポンプにより劣化した酸液の移送を積極的に実行できるので、任意のタイミングで、任意の量を移送することも可能となる。また、配管中にフィルタや熱交換器等を設けて、酸液の物理的な性状の一部を管理することも可能である。
【0023】
上記のように構成した場合さらに、吸入管の開口を鋼帯の走行方向に関して酸洗槽の中央やや下流寄りに配置してもよい。
【0024】
このように構成すれば、酸洗槽内の酸液の対流を発生させ、濃度の高い新酸液がまず酸洗にあずかり、酸洗により劣化した酸液は槽底に沈み、そこで吸入管に吸い込まれて上流側酸洗槽に送り込まれることとなる。よって効率の高い酸洗を実現することができる。
【0025】
上記のように構成した場合にはまた、吸入管を分岐して、その開口を槽底近傍に分散して複数設けてもよい。
【0026】
このようにすれば、槽底部に滞留する劣化酸液を満遍なく吸入管に吸い込んで上流側の酸洗槽へと送り込むことができる。
【0027】
本発明の第2の態様は、鋼帯を濃度の低い順に酸液を満たして配列された酸洗槽内に順次浸漬して酸洗する酸洗鋼板の製造方法であって、鋼帯走行方向最下流側の酸洗槽に新酸液を供給する工程と、鋼帯の酸洗を行いつつ、各下流側の酸洗槽底部の酸液を上流側の酸洗槽に直接移送する工程と、を含む酸洗鋼板の製造方法により前記課題を解決する。
【0028】
この第2の態様にかかる酸洗鋼板の製造方法によれば、上流側の酸洗槽より、下流側の酸洗槽の酸液濃度が確実に高められているので、効率のよい酸洗が可能な酸洗鋼板の製造方法を実現することができる。
【0029】
上記第2の態様において、各下流側の酸洗槽底部の酸液を上流側の酸洗槽に移送する工程は、酸洗槽底部に分散して設けられた吸入口より酸液を吸引して上流側の酸洗槽に送出する工程であることとしてもよい。
【0030】
このようにすれば、槽底部に滞留する劣化酸液を満遍なく吸入管に吸い込んで上流側の酸洗槽へと送り込むことにより、効率の高い酸洗が可能な酸洗鋼板の製造方法を提供することができる。
【0031】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0032】
【発明の実施の形態】
<第一実施形態>
図2は、第一実施形態にかかる酸洗装置20の酸洗槽の一部を示す概略的な側面断面図である。図2(a)は本実施形態の基本的構造を示し、(b)〜(d)の各図は変形例を示すものである。本願発明にかかる各実施形態の酸洗装置においては酸洗槽が鋼帯の走行方向に2〜5槽直列に連続して配置されるが、図2においては、走行方向の最終層およびその上流側の槽のみが示されている。説明の便宜上、鋼帯進行方向の最終槽(図において右側)を出側酸洗槽、その上流側の槽を入り側酸洗槽と呼ぶこととする。
【0033】
図2(a)において、入り側酸洗槽21aと出側酸洗槽22aとは、ダム23aにより2槽に分けられている。出側酸洗槽22aの槽壁は酸液液面レベルを入り側より高く保つことができるよう、入り側酸洗槽21aの槽壁より高く形成されている。一方、ダム23aは、入り側酸洗槽21aの槽壁と略同一高さに形成されている。
【0034】
出側酸洗槽22aのダム23a近くにはダム23aと略平行に仕切り板25aが立設されている。仕切り板25aの下端部は、出側酸洗槽の槽底28から所定の間隔を空けて槽底の上方に配置されている。この仕切り板の下端部と、槽底との間の所定の間隔が後述する下部開口部26aを形成している。仕切り板25aは、ダム23aと(必要に応じて出側酸洗槽22aの鋼帯走行方向に平行な側壁とも)組み合わせられたときに、水平断面において閉じた形状をなすように形成されている。したがって仕切り板25aは、ダム23aと(必要に応じて出側酸洗槽22aの鋼帯走行方向に平行な側壁とも)組み合わせられて、下部に下部開口部26aを有する通路を形成している。この通路はダム23aの上部において入り側酸洗槽21aの上部側に開口する上部開口部27aを備えている。出側酸洗槽22aは、鋼帯走行方向出側上方に新酸液供給口24aを備えている。
【0035】
このように構成された酸洗装置20aにおいて、出側酸洗槽22a内には、酸洗により鉄分を含んで密度が増加した(酸濃度の低い劣化した)酸が槽の底部に滞留し、濃度の高い酸は上層に留まっている。いま、新酸液供給口24aから新たな酸液が出側酸洗槽22a内に投入されると、この新酸液は前記したように密度が低いので、酸洗槽の上層に留まり、走行される鋼帯の酸洗に供される。酸洗に供された酸液は鋼帯スケールの鉄分を含んで密度を増し、槽底部28に沈み込む。新酸の供給により出側酸洗槽22aの液面が上昇すると、そのヘッド圧により槽底部の密度の高い(劣化した、濃度が低い)酸液は下部開口部26aから上記通路内に押し上げられる。さらに通路内にもともと存在していた密度の高い酸液は順次押し上げられて、ダム23aを越えて開口部27aから入り側酸洗槽21aへと注ぎ込まれる。このようにして、出側酸洗槽22aにおいては、濃度の高い酸液は上層に留まり、酸洗に供されて濃度の低下した酸液が槽底部から通路を経て順次入り側酸洗槽21aへと移送される。かくして出側酸洗槽22aの酸液濃度を常に高く保つことができ、酸洗工程の効率向上に資することが可能となる。
【0036】
図2(b)は、図2(a)に示された酸洗装置20aの変形例のひとつである酸洗装置20bを示すものである。酸洗装置20bの基本的な構造は酸洗装置20aと同様であるが、酸洗装置20bにおいては、立設されている仕切り板25bがその下端部から上流側にさらに水平方向に延設されて、下部開口部26bが槽の中央付近に設けられている。このような構成によれば、より一様に下部開口部26bから濃度の低い酸液を吸引して、入り側酸洗槽21bに移送することが可能となる。出側酸洗槽22bにおいては、濃度の高い酸液を確実に上層に留める一方、酸洗に供されて濃度の低下した酸液が槽底中央部から順次入り側酸洗槽21bへと移送される。かくして出側酸洗槽22bの酸液濃度を常に高く保つことができ、酸洗工程の効率向上に資することが可能となる。
【0037】
図2(c)は、図2(a)に示された酸洗装置20aの他の変形例である酸洗装置20cを示すものである。酸洗装置20cの基本的な構造も酸洗装置20aと同様であるが、酸洗装置20cにおいては、新酸液供給口24cは酸洗槽下方最下流側に配置され、新酸液は酸洗槽底部から供給される。また、下部開口部26cは酸洗装置20bの場合よりさらに下流側に寄せられて配置されている。このような構成によれば、槽底最下流部から供給された新酸液は、槽底部周囲の濃度が低い劣化酸液より密度が低いので、上層部へと上昇する。上層部へと上昇した新酸液はそこで酸洗に供され、酸洗により鉄分を抱き込んで密度を増す。そして密度の増加により再び槽底部へと下降する。新酸液の供給により、出側酸洗槽の液面が上昇するとそのヘッド圧により槽底部に滞留する劣化酸液が下部開口部26cから吸引され、通路を経てダム25cを越えて上部開口部27cから入り側酸洗槽21cへと移送される。この間、出側酸洗槽22c内においては図に示されるような出側酸洗槽22c内を循環する酸液の対流が発生し、新酸液の上層部への上昇と劣化した酸液の槽底部への下降が円滑に行われる。出側酸洗槽22cにおいては、濃度の高い酸液を確実に上層に留める一方、酸洗に供されて濃度の低下した酸液が下流側槽底部から順次入り側酸洗槽21cへと移送される。かくして出側酸洗槽22cの酸液濃度を常に高く保つことができ、酸洗工程の効率向上に資することが可能となる。
【0038】
図2(d)は、図2(a)に示された酸洗装置20aの更に他の変形例である酸洗装置20dを示すものである。酸洗装置20dの基本的な構造も酸洗装置20aと同様であるが、酸洗装置20dにおいては、複数の下部開口部26d1、26d2、26d3、26d4が槽底に分散して配置されている。このような構成によれば、槽底に滞留している劣化した酸液を満遍なく入り側酸洗槽21dへと移送することができ、出側酸洗槽22dの酸液濃度を常に高く保って酸洗工程の効率向上に資することが可能となる。
【0039】
図3は、第一実施形態にかかる酸洗槽の具体的態様の一例を示す斜視図である。この図では図2における出側酸洗槽のみ酸洗槽22eとして表されている。この酸洗槽22eにおいては、鋼帯30が図の矢印の方向に走行されその間に酸洗が行われる。ダム23e中央部上端には鋼帯の傷つき防止のためのスキッド31が取り付けられている。ダム23eの上部両端は切り欠かれている。酸洗槽22eのダム23e近傍両端側に、ダム23eから所定の距離を隔てて、水平断面形状「L」字型の仕切り板25e、25fが立設されている。仕切り板25e、25fがなす断面「L」字状の一端側はダム23eに取り付けられ、多端側は、酸洗槽の側壁32e、32f(側壁32fは図示されていない。)に取り付けられている。また、仕切り板25e、25fの下端部は、酸洗槽22eの槽底28eから僅かに高く設けられ、槽底28eとの隙間が下部開口部26e、26f(下部開口部26fは図示されていない。)を形成している。一方、仕切り板25e、25fの上端部はダム23eの中央部に設けられたスキッド30と略同一高さに設定されている。このように仕切り板25e、25fを構成することにより、上記ダム23e上端両側部の切欠きは、2つの上部開口部27e、27fを形成している。
【0040】
かかる構成をとることにより、鋼板を酸洗槽の上層を下流方向に走行させつつ、酸洗槽内槽底の劣化酸液を仕切り板25e、25fとダム23eとで形成された通路を介して、上流側酸洗槽に移送することができる。
【0041】
<第二実施形態>
図4は、第二実施形態にかかる酸洗装置40の酸洗槽の一部を示す概略的な側面断面図である。本実施形態においては、下流側酸洗槽から上流側酸洗槽への酸液の移送は配管とポンプを介して行われる。図4(a)は本実施形態の基本的構造を示し、(b)〜(d)の各図は変形例を示すものである。本実施形態の酸洗装置においても第一実施形態の酸洗装置と同様に、酸洗槽が鋼帯の走行方向に2〜5槽直列に連続して配置されるが、図4においては、走行方向の最終層およびその上流側の槽のみが示されている。ここでも説明の便宜上、鋼帯進行方向の最終槽(図において右側)を出側酸洗槽、その上流側の槽を入り側酸洗槽と呼ぶこととする。
【0042】
図4(a)において、入り側酸洗槽41aと出側酸洗槽42aとは、ダム43aにより2槽に分けられている。出側酸洗槽42aの槽壁は酸液液面レベルを入り側より高く保つことができるよう、入り側酸洗槽41aの槽壁より高く形成されている。一方、ダム43aは、出側酸洗槽42aの槽壁と略同一高さに形成されている。
【0043】
出側酸洗槽42aのダム43a近傍の槽底に一端側が配置された吸入管45aと、吸入管45aの他端側に接続されたポンプ46aと、ポンプ46aに一端側が接続され他端側が入り側酸洗槽41a上方に配置された排出管47aとを備えている。出側酸洗槽42aには液面レベル計49が備えられ、その情報は不図示のコントローラへと送られている。また、出側酸洗槽42aは、鋼帯走行方向出側上方に新酸液供給口44aを備えている。
【0044】
このように構成された酸洗装置40aにおいて、出側酸洗槽42a内には、酸洗により鉄分を含んで密度が増加した(酸濃度の低い劣化した)酸が槽の底部に滞留し、濃度の高い酸は上層に留まっている。いま、新酸液供給口44aから新たな酸液が出側酸洗槽42a内に投入されると、この新酸液は前記したように密度が低いので、酸洗槽の上層に留まり、走行される鋼帯の酸洗に供される。酸洗に供された酸液は鋼帯スケールの鉄分を含んで密度を増し、槽底部48aに沈み込む。新酸の供給により出側酸洗槽42aの液面が所定の高さ以上に上昇すると、液面レベル計49aがそれを感知し、その情報がコントローラへと伝えられる。コントローラはその情報により液面が所定の高さに低下するまでポンプ46aに回転すべき命令を発する。ポンプ46aが回転されると、槽底部の密度の高い(劣化した、濃度が低い)酸液は吸入管45aへと吸引され、ポンプ46aを経て排出管47aから、入り側酸洗槽41aへと排出される。このようにして、出側酸洗槽42aにおいては、濃度の高い酸液は上層に留まり、酸洗に供されて濃度の低下した酸液が槽底部から順次入り側酸洗槽41aへと移送される。かくして出側酸洗槽42aの酸液濃度を常に高く保つことができ、酸洗工程の効率向上に資することが可能となる。
【0045】
上記のように第二実施形態においては、第一実施形態において、ダムおよび仕切り板により形成されていた通路に代えて吸入管45aおよび排出管47aが備えられ、ヘッド圧の役割をポンプ46aが担っている。図4(b)〜図4(d)に示される各変形例も、第一実施形態における変形例(図2(b)〜図2(d))に対応し、その差異は図2(a)と図4(a)との差異と同様であるのでここではその説明を省略する。
【0046】
第二実施形態のように、出側酸洗槽42aから入り側酸洗槽41aへの酸液の移送を、第一実施形態のようにヘッド圧に頼らずに、ポンプと配管で構成した場合には、配管やポンプの配置を比較的自由に決定できるという利点がある。また、両槽間の酸液の移送もポンプの運転を制御することによりきわめて自由に行うことが可能である。
【0047】
例えば、液面レベルセンサ、酸液温度センサ、酸液濃度センサ、鋼帯走行速度、及び入り側液面レベルセンサからの情報を入力として受け入れ、これに基づいてあらかじめ定めた所定のプログラムにより、鋼帯走行速度、ポンプ、ヒーター、クーラー、新酸液供給ポンプなどを総合的に制御して酸洗効率の最適化を図るように構成することが可能である。
【実施例】
図3に示した構造を実機の各槽にて実施したところ、槽内の平均酸濃度を16%から15.5%に低下させることができた。すなわち、槽の上部と下部との酸液濃度差が従来の槽上部オーバーフロー方式の場合に比べて低下したため、脱スケール効率が向上し、結果として槽全体の酸濃度を低下させることができたものと考えられる。これは酸洗処理量が増加した場合に、酸濃度を増加することにより、酸洗能力を増加させることができることを示すものである。最上流側槽(鋼帯入り側)では従来劣化酸濃度として、5%未満のものを廃酸として排出していたが、これを2.5%未満に変更することができ、酸液原単位を16%向上することが可能となった。
【0048】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う酸洗装置および酸洗鋼板の製造方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0049】
【発明の効果】
以上に説明したように、脱スケール反応により鉄分を含んだ(酸濃度が低下した)劣化酸液は密度が高くなるため酸洗槽の底部に沈みこむので、槽内の酸液中に鋼帯を浸漬して走行させる酸洗槽に、鋼帯走行方向下流に向かって順次濃度の高い酸液を貯留して複数配置するとともに、下流側の酸洗槽から隣接する上流側の酸洗槽に順次酸液を移送するように構成した酸洗装置において、酸液の移送にあたり下流側の酸洗槽底部の酸液を上流側の酸洗槽に直接移送する移送手段を設けることによって、酸濃度が低下した酸洗槽底部の劣化酸を選択的に上流側の酸洗槽に移送することができる。このようにすることにより当該下流側酸洗槽全体としての酸液濃度を高めることができる。よって酸洗の効率を向上することが可能となる。また、上記移送手段を仕切り板とダムとで構成し、あるいはポンプと配管とで構成することにより、比較的簡単な構造にて下流側酸洗槽内酸液の濃度を高く保つことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩酸濃度と酸液密度との関係を示す図である。
【図2】第一実施形態にかかる酸洗槽の一部を示す概略図である。
【図3】第一実施形態にかかる酸洗槽の具体的態様の一例を示す斜視図である。
【図4】第二実施形態にかかる酸洗槽の一部を示す概略図である。
【図5】従来の酸洗装置における鋼帯の走行方向と、酸液の流れ方向とを示す概略図である。
【符号の説明】
20、40 酸洗装置
21、41 入り側(上流側)酸洗槽
22、42 出側(下流側)酸洗槽
23 ダム
25 仕切り板
26 第1の開口
27 第2の開口
28、48 槽底
45 吸入管
46 ポンプ
47 排出管
Claims (9)
- 槽内の酸液中に鋼帯を浸漬して走行させる酸洗槽に、前記鋼帯走行方向下流に向かって順次濃度の高い酸液を貯留して複数配置するとともに、下流側の酸洗槽から隣接する上流側の酸洗槽に順次酸液を移送するように構成した酸洗装置であって、
前記酸液の移送にあたり、前記下流側の酸洗槽底部の酸液を前記上流側の酸洗槽に直接移送する移送手段を設けたことを特徴とする酸洗装置。 - 前記移送手段は、前記上流側酸洗槽と下流側酸洗槽とを仕切るダムと前記下流側酸洗槽内に立設された仕切り板とにより上下に開口を備えて形成された酸液通路であり、
前記ダムは、その高さが前記下流側の酸洗槽の最高液面高さより低く設けられ、
前記酸液通路は前記下流側酸洗槽の槽底近傍に第1の開口を備えるとともに、前記ダム上端に前記上流側の酸洗槽の上部を臨む第2の開口を備える請求項1に記載の酸洗装置。 - 前記酸液通路は前記鋼帯の走行方向両側部に2箇所設けられている請求項2に記載の酸洗装置。
- 前記第1の開口は、前記槽底に分散して複数設けられている請求項2または3に記載の酸洗装置。
- 前記移送手段は、前記下流側酸洗槽の槽底近傍に一端側が配置された吸入管と、前記吸入管の他端側に接続されたポンプと、前記ポンプに一端側が接続され他端側が前記上流側酸洗槽の内部又は上部に配置された排出管とを備える請求項1に記載の酸洗装置。
- 前記吸入管の開口は、鋼帯の走行方向に関して前記酸洗槽の中央やや下流寄りに配置されている請求項5の酸洗装置。
- 前記吸入管は、分岐されており、その開口は前記槽底近傍に分散して複数設けられている請求項5の酸洗装置。
- 鋼帯を、濃度の低い順に酸液を満たして配列された酸洗槽内に順次浸漬して酸洗する酸洗鋼板の製造方法であって、
前記鋼帯走行方向最下流側の酸洗槽に新酸液を供給する工程と、
前記鋼帯の酸洗を行いつつ、各下流側の酸洗槽底部の酸液を上流側の酸洗槽に直接移送する工程と、
を含む酸洗鋼板の製造方法。 - 前記各下流側の酸洗槽底部の酸液を上流側の酸洗槽に移送する工程は、前記酸洗槽底部に分散して設けられた吸入口より酸液を吸引して前記上流側の酸洗槽に送出する工程であることを特徴とする請求項8に記載の酸洗鋼板の製造方法。
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JP2007270321A (ja) * | 2006-03-31 | 2007-10-18 | Fujifilm Corp | 洗浄装置、めっき被膜付きフィルムの製造装置、洗浄方法及びめっき被膜付きフィルムの製造方法 |
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