JP2004155955A - 木粉含有樹脂組成物および柔軟性木質樹脂成型物 - Google Patents
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Abstract
【課題】塩素を含まない樹脂成分を使用して、柔軟性の高い木質樹脂成型体を製造することができる木粉を含む樹脂組成物を提供する。
【解決手段】非晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体と結晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体とをプロピレン系ポリマー組成物100重量部と、平均粒径が10乃至1000μmの範囲にある木粉20乃至200重量部とを含む木粉含有樹脂組成物と、この木粉含有樹脂組成物の硬化物である木質樹脂成型物。
【選択図】 なし
【解決手段】非晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体と結晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体とをプロピレン系ポリマー組成物100重量部と、平均粒径が10乃至1000μmの範囲にある木粉20乃至200重量部とを含む木粉含有樹脂組成物と、この木粉含有樹脂組成物の硬化物である木質樹脂成型物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木粉を含有する樹脂組成物、および柔軟性の高い木質樹脂成型物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、住宅内外の建築材料あるいは自動車内の外装材として、木質感を示す樹脂成型物が多用されるようになっており、これらの用途での使用を意図した木粉含有樹脂組成物については、数多くの研究がなされている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、高い木質感と良好な釘打ち性を併せ有する成型体を製造するために、特定のメルトフローレート(MFR)値を有するポリプロピレンと低密度のポリエチレン系樹脂とを木粉に混合したポリオレフィン系樹脂組成物が有効である旨の開示がある。
【0004】
特許文献2には、床材、壁材等の建築用内装材として好適な木質感を示す成型体を製造するために、曲げ弾性率が2000〜10000kgf/cm2の範囲にあるポリオレフィン系樹脂と平均粒径が200〜1000μmの範囲にある木粉とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物が有効である旨の開示がある。
【0005】
曲げ弾性率が小さい木粉樹脂組成物としては、従来より塩化ビニル樹脂を樹脂成分として用いたものが多用されていた。しかしながら、壁材や内装材として塩化ビニル樹脂を使用した場合に、火災や焼却処理などによって発生する塩化物ガスやダイオキシンなどの有毒ガスが社会的問題となっているため、近年では、建築材料や自動車の内装材料としての塩化ビニル樹脂を含む材料の使用は避けられる傾向にある。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−130437号公報
【特許文献2】
特開平10−204226号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、塩素を含むことのない樹脂成分を使用して、柔軟性の高い木質樹脂成型体を製造することができる木粉を含む樹脂組成物を提供することを主な目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、非晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体と結晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体とを重量比で1:9乃至9:1の範囲の比率で含むプロピレン系ポリマー組成物100重量部と、平均粒径が10乃至1000μmの範囲にある木粉20乃至200重量部とを含んでなる木粉含有樹脂組成物にある。この木粉含有樹脂組成物は、さらに300重量部以下の量のポリエチレン、エチレン共重合体及び熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれるポリマー成分を一種以上含んでいてもよい。
さらに、本発明は、上記の本発明の木粉含有樹脂組成物から形成された柔軟性木質樹脂成型物にもある。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の木粉含有樹脂組成物に用いられる樹脂組成物は、非晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体と結晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体とからなるプロピレン系ポリマー組成物である。このプロピレン系ポリマー組成物は、成形物とした場合に曲げ弾性率が5〜500MPaの範囲にあることが好ましい。
【0010】
非晶性のプロピレン共重合体としては、プロピレンの他に共重合成分として、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1などの鎖状α−オレフィン、あるいはシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクタンなどの環状α−オレフィンを含む共重合体でモノマー単位がランダム配列した低結晶性のポリマーを挙げることができる。特に好ましいのは、プロピレンとエチレンとの共重合体及びプロピレンとブテン−1との共重合体である。非晶性のプロピレン共重合体中のプロピレン基と他の共重合体成分との比率は、プロピレン基が30重量%以上、好ましくは60重量%以上となるようにする。非晶性のプロピレン共重合体は、単独で使用してもよいが、二種以上を併用することができる。
【0011】
非晶性のポリプロピレンとプロピレン共重合体は、カルボン酸基、酸無水基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルケニル環状イミノエーテル基、シラン基、シラノール基、チタネート基などの架橋性の官能基を一種もしくは二種以上含んでいてもよい。
【0012】
結晶性プロピレン共重合体についても、プロピレンの他に共重合成分として、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1などの鎖状α−オレフィン、あるいはシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクタンなどの環状α−オレフィンを含む共重合体でモノマー単位がランダム配列もしくはブロック配列した結晶性のポリマーを挙げることができる。特に好ましいのは、プロピレンとエチレンとの共重合体及びプロピレンとブテン−1との共重合体である。結晶性のプロピレン共重合体中のプロピレン基と他の共重合体成分との比率は、プロピレン基が30重量%以上、好ましくは60重量%以上となるようにする。結晶性のプロピレン共重合体は、単独で使用してもよいが、二種以上を併用することができる。
【0013】
結晶性のポリプロピレンとプロピレン共重合体についても、カルボン酸基、酸無水基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルケニル環状イミノエーテル基、シラン基、シラノール基、チタネート基などの架橋性の官能基を一種もしくは二種以上含んでいてもよい。
【0014】
本発明の木粉含有樹脂組成物に用いるプロピレン系ポリマー組成物は、非晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体と結晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体とを重量比で1:9乃至9:1(好ましくは、1:5乃至1:1)の範囲の比率で含む。
【0015】
非晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体は、20℃のキシレンに70%以上溶解するが、結晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体は20℃のキシレンに殆ど溶解しない。従って、プロピレン系ポリマー組成物中の非晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体と、結晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体との比率は、このキシレンに対する溶解度を測定して確認することができる。このため、本発明で用いるプロピレン系ポリマー組成物は、20℃のキシレンに溶解するプロピレン系ポリマー成分と、20℃のキシレンに溶解しないプロピレン系ポリマー成分とを、重量比で1:9乃至9:1(好ましくは、1:5乃至1:1)の範囲の比率で含む組成物ということもできる。なお、キシレン可溶分は下記の方法で求められる。
試料5gを500mLの混合キシレン(試薬特級)に加熱溶解させ、これを20℃のウオーターバス中で1時間冷却し、次いで保留粒子径5μmの濾紙を用いて濾過する。濾液を50mL採取して濃縮し、真空乾燥機でキシレンを除去、乾燥したのち、重量を測定し、下記の計算式に従って、キシレン可溶分(%)を算出する。
キシレン可溶分(%)=A/B × 10 × 100
[A:可溶キシレン重量、B:試料の重量]
【0016】
本発明の木粉含有樹脂組成物では、上記のプロピレン系ポリマー組成物に、ポリエチレン、エチレン共重合体及び熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれるポリマー成分を併用することもできる。後者のポリマー成分は、プロピレン系ポリマー組成物100重量部に対して300重量部以下で併用することが好ましい。このプロピレン系ポリマー組成物と他のポリマー成分とから得られる成形物も曲げ弾性率が5〜500MPaの範囲にあることが好ましい。
【0017】
上記の併用可能なポリマー成分の例としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン共重合体、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、およびポリアミド系エラストマー及び/又は熱可塑性エラストマーを挙げることができる。これらのポリマー成分は単独で使用することができるが、所望により二種以上用いることもできる。
【0018】
エラストマーとしては、明確な降伏点を持たない、熱可塑性の低結晶性エラストマー、あるいは明確な融点及び降伏点を持たない熱可塑性の非晶性エラストマーであって、常温でゴム弾性を持つエラストマーを用いることができる。
【0019】
スチレン系エラストマーとしては、ブタジエン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)及びその水添物、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、水添スチレン−ブタジエン共重合体(HSBR)、イソプレン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)及びその水添物、水添スチレン−イソプレン共重合体(SEPS)、水添スチレン−ビニルイソプレン共重合体(SIS)、水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SEPS)、水添スチレン−ブタジエンラバー(HSBR)、および水添スチレンーブタジエンーオレフィン結晶ブロック共重合体(SEBC)などの各種のものを用いることができる。
【0020】
ポリオレフィン系エラストマーとしては、エチレン−プロピレンラバー(EPR)あるいはエチレン−ブテン−1エラストマー(EBM)などを用いることができる。
【0021】
ポリエステル系エラストマーとしては、ポリエステル−ポリエーテル共重合体あるいはポリエスエル−ポリエステル共重合体などを用いることができる。
【0022】
ポリアミド系エラストマーとしては、ポリアミド−ポリエステル共重合体、ポリアミド−ポリエーテル共重合体などを用いることができる。
【0023】
併用するエラストマーとして特に好ましいのは、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)などの水添スチレン−ブタジエンラバーが、プロピレン系ポリマー組成物との相溶性が高いため、好ましい。
【0024】
本発明の木粉含有樹脂組成物に用いられる木粉は、平均粒径が10〜1000μm(好ましくは10〜500μm、特に好ましくは20〜150μm)の範囲にある木粉であって、通常の粉砕方法により粉砕されたものを用いることができる。所望により、木粉を、熱安定剤、樹脂分散助剤、木酸クエンチャー(例、ステアリン酸金属塩)などの添加剤の一種あるいは二種以上により予め処理しておいてもよい。木粉は、充分に乾燥したもの(水分量が3重量%以下、さらには2重量%以下、特に1重量%以下)を用いることが好ましい。木粉は、プロピレン系ポリマー組成物100重量部に対して、20乃至200重量部の範囲の量で用いられる。
【0025】
本発明の木粉含有樹脂組成物はさらに、木粉以外の無機もしくは有機の充填材あるいは添加剤を含んでいてもよい。無機充填材の例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、フライアッシュ、脱水汚泥、天然シリカ、合成シリカ、カオリン、クレー、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、ガラスフレーク、ハイドロタルサイト、ケイ酸マグネシウム、焼成タルク、ウオラストナイト、チタン酸カリウム、モスハイジ、硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノトライト、ホウ酸アルミニウム、シリカバルーン、ガラスバルーン、銅粉、鉄粉、酸化鉄粉、カーボンブラック、センダスト、アルニコ磁石、各種フェライト等の磁性粉、セメントを挙げることができる。
【0026】
無機あるいは有機の添加剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤などのカップリング剤、リン酸系あるいは脂肪酸系の界面活性剤、油脂、ワックスなどを挙げることができる。
【0027】
本発明の木粉含有樹脂組成物は、酸化防止剤、安定剤、滑剤、発泡剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤などの添加剤を含んでいてもよい。
【0028】
酸化防止剤および安定剤の例としては、フェノール系酸化防止剤、リン酸系抗酸化剤、アミン系抗酸化剤、および硫黄系抗酸化剤などの市販の酸化防止剤あるいは抗酸化剤を挙げることができる。
【0029】
滑剤の例としては、ポリエチレンワックスなどの炭化水素系ワックス;ステアリン酸、ステアリルアルコール、12−ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸あるいは高級アルコール系のワックス;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドなどのアミド系ワックス;ステアリン酸ブチル、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、硬化ひまし油、ステアリン酸ステアリルなどのエステル系ワックス;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸鉛などの金属石鹸を挙げることができる。
【0030】
発泡剤を使用すると、樹脂組成物を押出機にて成型する際に、得られる樹脂成型体の木質感をより高めることができる。発泡剤の例としては、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、そして4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を挙げることができる。
【0031】
本発明の木粉含有樹脂組成物は、所要の成分を、単軸押出機(混練機)、二軸押出機(混練機)、二軸押出機と単軸押出機(混練機)とを直列に接続したタンデム型混練装置、カレンダ、バンバリーミキサ、混練ロール、ブラベンダ、プラストグラフ、あるいはニーダなどの公知の混合装置を用いて混合して製造することができる。
【0032】
本発明の柔軟性木質樹脂成型物は、上記の本発明の木粉含有樹脂組成物から各種の成型装置を利用して得ることができる。成型装置の例としては、押出成型機(異型、Tダイ)、射出成形機、カレンダ成形機、押出圧縮成形機、真空成形機あるいは圧空成形機などを挙げることができる。
【0033】
【実施例】
[実施例1]
木粉(株式会社ミサワテクノ製、木材切削加工時に発生したカンナ屑あるいは端材を一次、二次粉砕して50〜100メッシュの木粉とし、これを高速ミキサを使用して、100℃の熱風下で添加剤と混合し、ロータリーシフターで50メッシュアンダーに選別したもの、平均粒径:100μm)と下記の樹脂成分とをベンチニーダ(型式:PBV−06、入江商会(株)製)を用いて180℃で混練して、木粉含有樹脂組成物を得た。
【0034】
非晶性ポリプロピレン(UT2180) 25重量部
結晶性ポリプロピレン(J106W) 50重量部
水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS) 25重量部
木粉 67重量部
[UT2180は、宇部興産株式会社製のプロピレンホモポリマーであって、溶融粘度(190℃)が8000cps、環球法軟化点が157℃、密度が0.86g/cm3である。J106Wは、グランドポリマー株式会社製のプロピレンホモポリマーであって、MFR(230℃)が15g/10分である。SEBSは、シェルジャパン株式会社製(クレイトンG、G1657)であって、密度が0.90g/cm3である。]
【0035】
上記の樹脂成分から同様にして調製した樹脂組成物(木粉を含まないもの)を熱プレス機(カトーテック(株)製)を用いて、温度180℃で、厚さ4mmのシートに成形して、曲げ弾性率の評価を行なった。その結果を第1表に示す。なお、曲げ弾性率の測定法、測定機、そして測定条件は下記の通りである。
【0036】
また、上記の樹脂組成物シートについて曲げ強度の測定も実施した。
なお、曲げ強度の測定法、測定機、そして測定条件は上記と同じである。
【0037】
[実施例2]
下記の樹脂成分を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行ない木粉含有樹脂組成物を得た。
木粉を含まない以外は同一方法により調製した樹脂組成物を用いて、実施例1と同じ操作により、厚さ4mmの樹脂組成物のシートを得て、曲げ弾性率の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
【0038】
非晶性ポリプロピレン(UT2180) 25重量部
結晶性ポリプロピレン(J106W) 50重量部
エチレン−ブテン−1エラストマー(EBM) 25重量部
木粉 67重量部
[EBMは、三井化学株式会社製のタフマーA(A4070)であって、MFR(190℃)が3.6g/10分であって、密度が0.87g/cm3であり、ピカット軟化点が40℃である。]
【0039】
[実施例3]
下記の樹脂成分を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行ない木粉含有樹脂組成物を得た。
木粉を含まない以外は同一方法により調製した樹脂組成物を用いて、実施例1と同じ操作により、厚さ4mmの樹脂組成物のシートを得て、曲げ弾性率の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
【0040】
非晶性ポリプロピレン(UT2180) 25重量部
結晶性ポリプロピレン(J106W) 50重量部
エチレン−プロピレンラバー(EPR) 25重量部
木粉 67重量部
[EPRは、三井化学株式会社製のタフマーP(P0680)であって、MFR(190℃)が0.7g/10分であって、密度が0.87g/cm3であり、プロピレン含有量は24重量%である。]
【0041】
[実施例4]
下記の樹脂成分を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行ない木粉含有樹脂組成物を得た。
木粉を含まない以外は同一方法により調製した樹脂組成物を用いて、実施例1と同じ操作により、厚さ4mmの樹脂組成物のシートを得て、曲げ弾性率の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
【0042】
非晶性ポリプロピレン(UT2180) 25重量部
結晶性ポリプロピレン(J106W) 50重量部
線状低密度ポリエチレン(LLDPE) 25重量部
木粉 67重量部
[LLDPEは、宇部興産株式会社製のユメリット(0540F)であって、MFR(190℃)が4.0g/10分であって、密度が0.905g/cm3であり、ピカット軟化点が104℃である。]
【0043】
[実施例5]
下記の樹脂成分を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行ない木粉含有樹脂組成物を得た。
木粉を含まない以外は同一方法により調製した樹脂組成物を用いて、実施例1と同じ操作により、厚さ4mmの樹脂組成物のシートを得て、曲げ弾性率の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
【0044】
非晶性ポリプロピレン(UT2180) 15重量部
結晶性エチレン−プロピレン共重合体(S235) 22重量部
水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS) 63重量部
木粉 43重量部
[S235は、グランドポリマー株式会社製であって、MFR(230℃)が11g/10分である。]
【0045】
[実施例6]
下記の樹脂成分を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行ない木粉含有樹脂組成物を得た。
木粉を含まない以外は同一方法により調製した樹脂組成物を用いて、実施例1と同じ操作により、厚さ4mmの樹脂組成物のシートを得て、曲げ弾性率の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
【0046】
非晶性プロピレン−ブテン共重合体(UT2780) 30重量部
結晶性エチレン−プロピレン共重合体(S235) 70重量部
木粉 43重量部
[UT2780は、宇部興産株式会社製であって、溶融粘度(190℃)が8000cps、軟化温度が110℃、密度が0.87g/cm3である。]
【0047】
[実施例7]
下記の樹脂成分を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行ない木粉含有樹脂組成物を得た。
木粉を含まない以外は同一方法により調製した樹脂組成物を用いて、実施例1と同じ操作により、厚さ4mmの樹脂組成物のシートを得て、曲げ弾性率の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
【0048】
非晶性プロピレン−ブテン共重合体(UT2780) 50重量部
結晶性エチレン−プロピレン共重合体(S235) 50重量部
木粉 43重量部
【0049】
[実施例8]
下記の樹脂成分を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行ない木粉含有樹脂組成物を得た。
木粉を含まない以外は同一方法により調製した樹脂組成物を用いて、実施例1と同じ操作により、厚さ4mmの樹脂組成物のシートを得て、曲げ弾性率の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
【0050】
非晶性プロピレン−ブテン共重合体(UT2780) 30重量部
結晶性エチレン−プロピレン共重合体(S235) 70重量部
木粉 100重量部
【0051】
[実施例9]
下記の樹脂成分を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行ない木粉含有樹脂組成物を得た。
木粉を含まない以外は同一方法により調製した樹脂組成物を用いて、実施例1と同じ操作により、厚さ4mmの樹脂組成物のシートを得て、曲げ弾性率の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
【0052】
非晶性プロピレン−ブテン共重合体(UT2780) 50重量部
結晶性エチレン−プロピレン共重合体(S235) 50重量部
木粉 100重量部
【0053】
【表1】
第1表
────────────────────────────────────
実施例 曲げ弾性率(MPa) 曲げ強度(MPa)
────────────────────────────────────
実施例1 445 13.7
実施例2 431 13.6
実施例3 410 12.8
実施例4 480 14.9
実施例5 7.4 0.6
実施例6 227 7.6
実施例7 113 4.1
実施例8 227 7.6
実施例9 113 4.1
────────────────────────────────────
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、樹脂成分として、塩素を含むことのない非晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体と結晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体とを併用した樹脂組成物を利用して、柔軟性の高い木質樹脂成型体を製造することができる木粉を含む樹脂組成物が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、木粉を含有する樹脂組成物、および柔軟性の高い木質樹脂成型物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、住宅内外の建築材料あるいは自動車内の外装材として、木質感を示す樹脂成型物が多用されるようになっており、これらの用途での使用を意図した木粉含有樹脂組成物については、数多くの研究がなされている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、高い木質感と良好な釘打ち性を併せ有する成型体を製造するために、特定のメルトフローレート(MFR)値を有するポリプロピレンと低密度のポリエチレン系樹脂とを木粉に混合したポリオレフィン系樹脂組成物が有効である旨の開示がある。
【0004】
特許文献2には、床材、壁材等の建築用内装材として好適な木質感を示す成型体を製造するために、曲げ弾性率が2000〜10000kgf/cm2の範囲にあるポリオレフィン系樹脂と平均粒径が200〜1000μmの範囲にある木粉とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物が有効である旨の開示がある。
【0005】
曲げ弾性率が小さい木粉樹脂組成物としては、従来より塩化ビニル樹脂を樹脂成分として用いたものが多用されていた。しかしながら、壁材や内装材として塩化ビニル樹脂を使用した場合に、火災や焼却処理などによって発生する塩化物ガスやダイオキシンなどの有毒ガスが社会的問題となっているため、近年では、建築材料や自動車の内装材料としての塩化ビニル樹脂を含む材料の使用は避けられる傾向にある。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−130437号公報
【特許文献2】
特開平10−204226号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、塩素を含むことのない樹脂成分を使用して、柔軟性の高い木質樹脂成型体を製造することができる木粉を含む樹脂組成物を提供することを主な目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、非晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体と結晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体とを重量比で1:9乃至9:1の範囲の比率で含むプロピレン系ポリマー組成物100重量部と、平均粒径が10乃至1000μmの範囲にある木粉20乃至200重量部とを含んでなる木粉含有樹脂組成物にある。この木粉含有樹脂組成物は、さらに300重量部以下の量のポリエチレン、エチレン共重合体及び熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれるポリマー成分を一種以上含んでいてもよい。
さらに、本発明は、上記の本発明の木粉含有樹脂組成物から形成された柔軟性木質樹脂成型物にもある。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の木粉含有樹脂組成物に用いられる樹脂組成物は、非晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体と結晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体とからなるプロピレン系ポリマー組成物である。このプロピレン系ポリマー組成物は、成形物とした場合に曲げ弾性率が5〜500MPaの範囲にあることが好ましい。
【0010】
非晶性のプロピレン共重合体としては、プロピレンの他に共重合成分として、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1などの鎖状α−オレフィン、あるいはシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクタンなどの環状α−オレフィンを含む共重合体でモノマー単位がランダム配列した低結晶性のポリマーを挙げることができる。特に好ましいのは、プロピレンとエチレンとの共重合体及びプロピレンとブテン−1との共重合体である。非晶性のプロピレン共重合体中のプロピレン基と他の共重合体成分との比率は、プロピレン基が30重量%以上、好ましくは60重量%以上となるようにする。非晶性のプロピレン共重合体は、単独で使用してもよいが、二種以上を併用することができる。
【0011】
非晶性のポリプロピレンとプロピレン共重合体は、カルボン酸基、酸無水基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルケニル環状イミノエーテル基、シラン基、シラノール基、チタネート基などの架橋性の官能基を一種もしくは二種以上含んでいてもよい。
【0012】
結晶性プロピレン共重合体についても、プロピレンの他に共重合成分として、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1などの鎖状α−オレフィン、あるいはシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクタンなどの環状α−オレフィンを含む共重合体でモノマー単位がランダム配列もしくはブロック配列した結晶性のポリマーを挙げることができる。特に好ましいのは、プロピレンとエチレンとの共重合体及びプロピレンとブテン−1との共重合体である。結晶性のプロピレン共重合体中のプロピレン基と他の共重合体成分との比率は、プロピレン基が30重量%以上、好ましくは60重量%以上となるようにする。結晶性のプロピレン共重合体は、単独で使用してもよいが、二種以上を併用することができる。
【0013】
結晶性のポリプロピレンとプロピレン共重合体についても、カルボン酸基、酸無水基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルケニル環状イミノエーテル基、シラン基、シラノール基、チタネート基などの架橋性の官能基を一種もしくは二種以上含んでいてもよい。
【0014】
本発明の木粉含有樹脂組成物に用いるプロピレン系ポリマー組成物は、非晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体と結晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体とを重量比で1:9乃至9:1(好ましくは、1:5乃至1:1)の範囲の比率で含む。
【0015】
非晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体は、20℃のキシレンに70%以上溶解するが、結晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体は20℃のキシレンに殆ど溶解しない。従って、プロピレン系ポリマー組成物中の非晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体と、結晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体との比率は、このキシレンに対する溶解度を測定して確認することができる。このため、本発明で用いるプロピレン系ポリマー組成物は、20℃のキシレンに溶解するプロピレン系ポリマー成分と、20℃のキシレンに溶解しないプロピレン系ポリマー成分とを、重量比で1:9乃至9:1(好ましくは、1:5乃至1:1)の範囲の比率で含む組成物ということもできる。なお、キシレン可溶分は下記の方法で求められる。
試料5gを500mLの混合キシレン(試薬特級)に加熱溶解させ、これを20℃のウオーターバス中で1時間冷却し、次いで保留粒子径5μmの濾紙を用いて濾過する。濾液を50mL採取して濃縮し、真空乾燥機でキシレンを除去、乾燥したのち、重量を測定し、下記の計算式に従って、キシレン可溶分(%)を算出する。
キシレン可溶分(%)=A/B × 10 × 100
[A:可溶キシレン重量、B:試料の重量]
【0016】
本発明の木粉含有樹脂組成物では、上記のプロピレン系ポリマー組成物に、ポリエチレン、エチレン共重合体及び熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれるポリマー成分を併用することもできる。後者のポリマー成分は、プロピレン系ポリマー組成物100重量部に対して300重量部以下で併用することが好ましい。このプロピレン系ポリマー組成物と他のポリマー成分とから得られる成形物も曲げ弾性率が5〜500MPaの範囲にあることが好ましい。
【0017】
上記の併用可能なポリマー成分の例としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン共重合体、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、およびポリアミド系エラストマー及び/又は熱可塑性エラストマーを挙げることができる。これらのポリマー成分は単独で使用することができるが、所望により二種以上用いることもできる。
【0018】
エラストマーとしては、明確な降伏点を持たない、熱可塑性の低結晶性エラストマー、あるいは明確な融点及び降伏点を持たない熱可塑性の非晶性エラストマーであって、常温でゴム弾性を持つエラストマーを用いることができる。
【0019】
スチレン系エラストマーとしては、ブタジエン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)及びその水添物、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、水添スチレン−ブタジエン共重合体(HSBR)、イソプレン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)及びその水添物、水添スチレン−イソプレン共重合体(SEPS)、水添スチレン−ビニルイソプレン共重合体(SIS)、水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SEPS)、水添スチレン−ブタジエンラバー(HSBR)、および水添スチレンーブタジエンーオレフィン結晶ブロック共重合体(SEBC)などの各種のものを用いることができる。
【0020】
ポリオレフィン系エラストマーとしては、エチレン−プロピレンラバー(EPR)あるいはエチレン−ブテン−1エラストマー(EBM)などを用いることができる。
【0021】
ポリエステル系エラストマーとしては、ポリエステル−ポリエーテル共重合体あるいはポリエスエル−ポリエステル共重合体などを用いることができる。
【0022】
ポリアミド系エラストマーとしては、ポリアミド−ポリエステル共重合体、ポリアミド−ポリエーテル共重合体などを用いることができる。
【0023】
併用するエラストマーとして特に好ましいのは、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)などの水添スチレン−ブタジエンラバーが、プロピレン系ポリマー組成物との相溶性が高いため、好ましい。
【0024】
本発明の木粉含有樹脂組成物に用いられる木粉は、平均粒径が10〜1000μm(好ましくは10〜500μm、特に好ましくは20〜150μm)の範囲にある木粉であって、通常の粉砕方法により粉砕されたものを用いることができる。所望により、木粉を、熱安定剤、樹脂分散助剤、木酸クエンチャー(例、ステアリン酸金属塩)などの添加剤の一種あるいは二種以上により予め処理しておいてもよい。木粉は、充分に乾燥したもの(水分量が3重量%以下、さらには2重量%以下、特に1重量%以下)を用いることが好ましい。木粉は、プロピレン系ポリマー組成物100重量部に対して、20乃至200重量部の範囲の量で用いられる。
【0025】
本発明の木粉含有樹脂組成物はさらに、木粉以外の無機もしくは有機の充填材あるいは添加剤を含んでいてもよい。無機充填材の例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、フライアッシュ、脱水汚泥、天然シリカ、合成シリカ、カオリン、クレー、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、ガラスフレーク、ハイドロタルサイト、ケイ酸マグネシウム、焼成タルク、ウオラストナイト、チタン酸カリウム、モスハイジ、硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノトライト、ホウ酸アルミニウム、シリカバルーン、ガラスバルーン、銅粉、鉄粉、酸化鉄粉、カーボンブラック、センダスト、アルニコ磁石、各種フェライト等の磁性粉、セメントを挙げることができる。
【0026】
無機あるいは有機の添加剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤などのカップリング剤、リン酸系あるいは脂肪酸系の界面活性剤、油脂、ワックスなどを挙げることができる。
【0027】
本発明の木粉含有樹脂組成物は、酸化防止剤、安定剤、滑剤、発泡剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤などの添加剤を含んでいてもよい。
【0028】
酸化防止剤および安定剤の例としては、フェノール系酸化防止剤、リン酸系抗酸化剤、アミン系抗酸化剤、および硫黄系抗酸化剤などの市販の酸化防止剤あるいは抗酸化剤を挙げることができる。
【0029】
滑剤の例としては、ポリエチレンワックスなどの炭化水素系ワックス;ステアリン酸、ステアリルアルコール、12−ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸あるいは高級アルコール系のワックス;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドなどのアミド系ワックス;ステアリン酸ブチル、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、硬化ひまし油、ステアリン酸ステアリルなどのエステル系ワックス;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸鉛などの金属石鹸を挙げることができる。
【0030】
発泡剤を使用すると、樹脂組成物を押出機にて成型する際に、得られる樹脂成型体の木質感をより高めることができる。発泡剤の例としては、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、そして4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を挙げることができる。
【0031】
本発明の木粉含有樹脂組成物は、所要の成分を、単軸押出機(混練機)、二軸押出機(混練機)、二軸押出機と単軸押出機(混練機)とを直列に接続したタンデム型混練装置、カレンダ、バンバリーミキサ、混練ロール、ブラベンダ、プラストグラフ、あるいはニーダなどの公知の混合装置を用いて混合して製造することができる。
【0032】
本発明の柔軟性木質樹脂成型物は、上記の本発明の木粉含有樹脂組成物から各種の成型装置を利用して得ることができる。成型装置の例としては、押出成型機(異型、Tダイ)、射出成形機、カレンダ成形機、押出圧縮成形機、真空成形機あるいは圧空成形機などを挙げることができる。
【0033】
【実施例】
[実施例1]
木粉(株式会社ミサワテクノ製、木材切削加工時に発生したカンナ屑あるいは端材を一次、二次粉砕して50〜100メッシュの木粉とし、これを高速ミキサを使用して、100℃の熱風下で添加剤と混合し、ロータリーシフターで50メッシュアンダーに選別したもの、平均粒径:100μm)と下記の樹脂成分とをベンチニーダ(型式:PBV−06、入江商会(株)製)を用いて180℃で混練して、木粉含有樹脂組成物を得た。
【0034】
非晶性ポリプロピレン(UT2180) 25重量部
結晶性ポリプロピレン(J106W) 50重量部
水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS) 25重量部
木粉 67重量部
[UT2180は、宇部興産株式会社製のプロピレンホモポリマーであって、溶融粘度(190℃)が8000cps、環球法軟化点が157℃、密度が0.86g/cm3である。J106Wは、グランドポリマー株式会社製のプロピレンホモポリマーであって、MFR(230℃)が15g/10分である。SEBSは、シェルジャパン株式会社製(クレイトンG、G1657)であって、密度が0.90g/cm3である。]
【0035】
上記の樹脂成分から同様にして調製した樹脂組成物(木粉を含まないもの)を熱プレス機(カトーテック(株)製)を用いて、温度180℃で、厚さ4mmのシートに成形して、曲げ弾性率の評価を行なった。その結果を第1表に示す。なお、曲げ弾性率の測定法、測定機、そして測定条件は下記の通りである。
【0036】
また、上記の樹脂組成物シートについて曲げ強度の測定も実施した。
なお、曲げ強度の測定法、測定機、そして測定条件は上記と同じである。
【0037】
[実施例2]
下記の樹脂成分を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行ない木粉含有樹脂組成物を得た。
木粉を含まない以外は同一方法により調製した樹脂組成物を用いて、実施例1と同じ操作により、厚さ4mmの樹脂組成物のシートを得て、曲げ弾性率の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
【0038】
非晶性ポリプロピレン(UT2180) 25重量部
結晶性ポリプロピレン(J106W) 50重量部
エチレン−ブテン−1エラストマー(EBM) 25重量部
木粉 67重量部
[EBMは、三井化学株式会社製のタフマーA(A4070)であって、MFR(190℃)が3.6g/10分であって、密度が0.87g/cm3であり、ピカット軟化点が40℃である。]
【0039】
[実施例3]
下記の樹脂成分を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行ない木粉含有樹脂組成物を得た。
木粉を含まない以外は同一方法により調製した樹脂組成物を用いて、実施例1と同じ操作により、厚さ4mmの樹脂組成物のシートを得て、曲げ弾性率の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
【0040】
非晶性ポリプロピレン(UT2180) 25重量部
結晶性ポリプロピレン(J106W) 50重量部
エチレン−プロピレンラバー(EPR) 25重量部
木粉 67重量部
[EPRは、三井化学株式会社製のタフマーP(P0680)であって、MFR(190℃)が0.7g/10分であって、密度が0.87g/cm3であり、プロピレン含有量は24重量%である。]
【0041】
[実施例4]
下記の樹脂成分を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行ない木粉含有樹脂組成物を得た。
木粉を含まない以外は同一方法により調製した樹脂組成物を用いて、実施例1と同じ操作により、厚さ4mmの樹脂組成物のシートを得て、曲げ弾性率の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
【0042】
非晶性ポリプロピレン(UT2180) 25重量部
結晶性ポリプロピレン(J106W) 50重量部
線状低密度ポリエチレン(LLDPE) 25重量部
木粉 67重量部
[LLDPEは、宇部興産株式会社製のユメリット(0540F)であって、MFR(190℃)が4.0g/10分であって、密度が0.905g/cm3であり、ピカット軟化点が104℃である。]
【0043】
[実施例5]
下記の樹脂成分を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行ない木粉含有樹脂組成物を得た。
木粉を含まない以外は同一方法により調製した樹脂組成物を用いて、実施例1と同じ操作により、厚さ4mmの樹脂組成物のシートを得て、曲げ弾性率の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
【0044】
非晶性ポリプロピレン(UT2180) 15重量部
結晶性エチレン−プロピレン共重合体(S235) 22重量部
水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS) 63重量部
木粉 43重量部
[S235は、グランドポリマー株式会社製であって、MFR(230℃)が11g/10分である。]
【0045】
[実施例6]
下記の樹脂成分を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行ない木粉含有樹脂組成物を得た。
木粉を含まない以外は同一方法により調製した樹脂組成物を用いて、実施例1と同じ操作により、厚さ4mmの樹脂組成物のシートを得て、曲げ弾性率の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
【0046】
非晶性プロピレン−ブテン共重合体(UT2780) 30重量部
結晶性エチレン−プロピレン共重合体(S235) 70重量部
木粉 43重量部
[UT2780は、宇部興産株式会社製であって、溶融粘度(190℃)が8000cps、軟化温度が110℃、密度が0.87g/cm3である。]
【0047】
[実施例7]
下記の樹脂成分を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行ない木粉含有樹脂組成物を得た。
木粉を含まない以外は同一方法により調製した樹脂組成物を用いて、実施例1と同じ操作により、厚さ4mmの樹脂組成物のシートを得て、曲げ弾性率の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
【0048】
非晶性プロピレン−ブテン共重合体(UT2780) 50重量部
結晶性エチレン−プロピレン共重合体(S235) 50重量部
木粉 43重量部
【0049】
[実施例8]
下記の樹脂成分を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行ない木粉含有樹脂組成物を得た。
木粉を含まない以外は同一方法により調製した樹脂組成物を用いて、実施例1と同じ操作により、厚さ4mmの樹脂組成物のシートを得て、曲げ弾性率の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
【0050】
非晶性プロピレン−ブテン共重合体(UT2780) 30重量部
結晶性エチレン−プロピレン共重合体(S235) 70重量部
木粉 100重量部
【0051】
[実施例9]
下記の樹脂成分を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行ない木粉含有樹脂組成物を得た。
木粉を含まない以外は同一方法により調製した樹脂組成物を用いて、実施例1と同じ操作により、厚さ4mmの樹脂組成物のシートを得て、曲げ弾性率の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
【0052】
非晶性プロピレン−ブテン共重合体(UT2780) 50重量部
結晶性エチレン−プロピレン共重合体(S235) 50重量部
木粉 100重量部
【0053】
【表1】
第1表
────────────────────────────────────
実施例 曲げ弾性率(MPa) 曲げ強度(MPa)
────────────────────────────────────
実施例1 445 13.7
実施例2 431 13.6
実施例3 410 12.8
実施例4 480 14.9
実施例5 7.4 0.6
実施例6 227 7.6
実施例7 113 4.1
実施例8 227 7.6
実施例9 113 4.1
────────────────────────────────────
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、樹脂成分として、塩素を含むことのない非晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体と結晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体とを併用した樹脂組成物を利用して、柔軟性の高い木質樹脂成型体を製造することができる木粉を含む樹脂組成物が提供される。
Claims (5)
- 非晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体と結晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体とを重量比で1:9乃至9:1の範囲の比率で含むプロピレン系ポリマー組成物100重量部と、平均粒径が10乃至1000μmの範囲にある木粉20乃至200重量部とを含んでなる木粉含有樹脂組成物。
- プロピレン系ポリマー組成物が、非晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体と結晶性のポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体とを重量比で1:5乃至1:1の範囲の比率で含む組成物である請求項1に記載の木粉含有樹脂組成物。
- さらに、300重量部以下の量のポリエチレン、エチレン共重合体及び熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれるポリマー成分を一種以上含む請求項1もしくは2に記載の木粉含有樹脂組成物。
- ポリマー成分が、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン共重合体、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、およびポリアミド系エラストマー及び/又は熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる請求項3に記載の木粉含有樹脂組成物。
- 請求項1乃至4に記載の木粉含有樹脂組成物から形成された柔軟性木質樹脂成型物。
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Date | Code | Title | Description |
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