JP2004155736A - 新規なアセトアセタミド化合物およびそれを用いた記録材料 - Google Patents

新規なアセトアセタミド化合物およびそれを用いた記録材料 Download PDF

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Akinori Fujita
明徳 藤田
Daisuke Arioka
大輔 有岡
Naoto Yanagihara
直人 柳原
Takami Ikeda
貴美 池田
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Abstract

【課題】カプラーとして有用なアセトアセタミド化合物、および、記録前の保存性(生保存性)および発色性に優れ、曝光着色が小さく、記録部の画像保存性(光堅牢性)に優れた記録材料を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表されることを特徴するアセトアセタミド化合物およびこれを用いた記録材料。
【化1】
Figure 2004155736

〔一般式(1)中、R,Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。Rは、総炭素数10以上のアルコキシ基、総炭素数10以上の置換アミノ基、または置換基を有していてもよいアニリノ基を表す。Lは水素原子、または反応の際に離脱する離脱基を表す。〕
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なアセトアセタミド化合物、および、ジアゾ化合物とカプラーとの組み合わせを発色成分として用いる記録材料、特に、記録前の保存性(生保全性)および発色性に優れ、地肌部の曝光着色が小さく、記録部の画像保存性(光堅牢性)に優れた黄色発色型感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジアゾ化合物は、フェノール誘導体や活性メチレン基を有する化合物などの「カプラー」と呼ばれる化合物と反応してアゾ染料を形成する。また、ジアゾ化合物は光照射によって分解し、その活性を失うという性質を有している。従来から、ジアゾ化合物はこの性質を利用されて、ジアゾコピーに代表される光記録材料として古くから利用されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
また、ジアゾ化合物は、最近では画像の定着が要求される記録材料にも応用され、代表的なものとして、ジアゾ化合物とカプラー化合物とを画像信号に従って加熱し、反応させて画像を形成させた後、光照射して画像を定着する、光定着型感熱記録材料が提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0004】
しかしながら、これらの記録材料は、暗所であっても活性なジアゾ化合物が徐々に熱分解して反応性を失うため、記録材料としてのシェルライフが短いという欠点がある。また、この欠点を改善する目的で、ジアゾ化合物をマイクロカプセル中に内包させ、ジアゾ化合物を、水・塩基のような分解を促進させる成分と隔離する方法が提案されている。この方法により、記録材料のシェルライフを飛躍的に向上させることが可能となる(例えば、非特許文献3参照。)。
【0005】
一方、室温より高いガラス転移温度を有するマイクロカプセルは、室温におけるカプセル壁が物質非透過性を示す一方、ガラス転移温度以上では物質透過性を示すので、熱応答性マイクロカプセルとして、感熱記録材料に好適に使用することができる。即ち、支持体上に、ジアゾ化合物を含有した熱応答性マイクロカプセルとカプラー化合物および塩基を含有する感熱記録層を塗布した感熱記録材料により、(1)ジアゾ化合物の長期間安定保存の向上、(2)加熱による発色画像形成、(3)光照射による画像定着化が可能となる。
【0006】
この様な感熱記録材料においては、近年、多色画像を形成する記録材料のような高機能化が行われており、これに伴って、記録前の生保存性、記録後の画像部、非画像部の耐光性の性能向上に対する要求が高まっている(例えば、特許文献1および2参照。)。
また、例えば、黄色画像を得るためにアセトアセトアニリド化合物をカプラーとして用いる方法が提案されているが、これらの方法では上記性能が十分でないという欠点がある(例えば、特許文献3)。
【0007】
一方、N−アセトアセチルーグリシンエチルエステルおよびN−ジエチルカルバモイルメチル−3−オキソーブチラミドをカプラーとして用いることもできる(非特許文献4および特許文献4)。しかし、これらを感熱記録材料のカプラーとして用いた場合、記録前の保存性(生保存性)が低下したり、記録部の画像保存性が低下したりするといった問題点がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平04−135787号公報
【特許文献2】
特開平04−144784号公報
【特許文献3】
特開平04−201483号公報
【特許文献4】
独国特許1287440号明細書(Beispiel 3)
【非特許文献1】
日本写真学会編「写真工学の基礎―非銀塩写真編―」コロナ社、1982年、89−117頁、182−201頁
【非特許文献2】
佐藤弘次共著「画像電子学会誌」第11巻第4号、1982年、290−296頁
【非特許文献3】
宇佐美智正共著「電子写真学会誌」第26巻第2号、1987年、115−125頁
【非特許文献4】
「ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Journalof Organic Chemistry)」1983年、48巻、1149−1150頁
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、カプラーとして有用なアセトアセタミド化合物、および、記録前の保存性(生保存性)および発色性に優れ、曝光着色が小さく、記録部の画像保存性(光堅牢性)に優れた記録材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は下記の手段によって解決される。
<1> 下記一般式(1)で表されることを特徴するアセトアセタミド化合物である。
【化6】
Figure 2004155736
〔一般式(1)中、R,Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。Rは、総炭素数10以上のアルコキシ基、総炭素数10以上の置換アミノ基、または置換基を有していてもよいアニリノ基を表す。Lは水素原子を含み且つ反応の際に離脱する離脱基を表す。〕
【0011】
<2> 支持体上に、ジアゾ化合物とカプラーとを含有する記録層を有する記録材料であって、前記カプラーは、下記一般式(1)で表されるアセトアセタミド化合物であることを特徴とする記録材料である。
【化7】
Figure 2004155736
〔一般式(1)中、R,Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。Rは、総炭素数10以上のアルコキシ基、総炭素数10以上の置換アミノ基、または置換基を有していてもよいアニリノ基を表す。Lは水素原子、または反応の際に離脱する離脱基を表す。〕
【0012】
<3> 前記ジアゾ化合物は、下記一般式(2)で表されるジアゾニウム塩であることを特徴とする記録材料である。
【化8】
Figure 2004155736
〔一般式(2)中、RおよびRは、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、複素環基、またはアシル基を表す。Rは、アルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、または複素環基を表す。Yは酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基を表し、Yは酸素原子、硫黄原子、または単結合を表し、Yは酸素原子、硫黄原子、または水素原子を表す。但し、Yが水素原子の場合Rは存在しない。RとRとは互いに結合して環を形成してもよい。Xは陰イオンを表す。〕
【0013】
<4> 前記ジアゾニウム塩は、下記一般式(3)で表されるジアゾニウム塩であることを特徴とする上記<3>の記録材料である。
【化9】
Figure 2004155736
〔一般式(3)中、R,Rそれぞれ独立して、アルキル基、アリール基を表し、Rは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。Xは陰イオンを表す。〕
【0014】
<5> 前記ジアゾニウム塩は、下記一般式(4)で表されるジアゾニウム塩であることを特徴とする上記<3>の記録材料である。
【化10】
Figure 2004155736
〔一般式(4)中、R10,R11,R12は、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基を表す。R11とR12とは互いに結合して環を形成してもよい。Xは陰イオンを表す。〕
【0015】
<6> 前記ジアゾ化合物は、マイクロカプセルに内包されていることを特徴とする上記<2>〜<5>の記録材料である。
【0016】
《アセトアセタミド化合物》
本発明のアセトアセタミド化合物は、下記一般式(1)で表されることを特徴する。
【0017】
【化11】
Figure 2004155736
【0018】
一般式(1)中、R,Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。また、Rは、総炭素数10以上のアルコキシ基、総炭素数10以上の置換アミノ基、または置換基を有していてもよいアニリノ基を表し、Lは、水素原子、または反応の際に離脱する離脱基を表す(以下、「離脱基」と称する場合がある。)。
【0019】
一般式(1)中、R,Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、またはアリール基を表し、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基が好ましい。
,Rで表されるアルキル基はさらに置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基またはヘテロ環基が好適に挙げられる。
【0020】
,Rで表されるアルキル基としては、特にメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、2−(4−ブトキシフェノキシ)エチル基、ベンジル基、アリル基、メトキシエチル基、エトキシエチル、ジブチルアミノカルボニルメチル基が好ましい。
【0021】
,Rで表されるアリール基はさらに置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基またはヘテロ環基が好ましい。
【0022】
,Rで表されるアリール基としては、特に、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ブトキシフェニル基が好ましい。
【0023】
一般式(1)中、Rは総炭素数10以上のアルコキシ基、総炭素数10以上の置換アミノ基、または置換基を有していてもよいアニリノ基を表し、総炭素数10〜30のアルコキシ基、総炭素数10〜30のアルキルアミノ基、総炭素数10〜30のアリニノ基が好ましい。
【0024】
で表されるアルコキシ基はさらに置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基またはヘテロ環基が好ましい。
【0025】
で表されるアルコキシ基としては特に、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、10−エトキシデシル基、2−クロロドデシル基、2−フェノキシドデシル基が好ましい。
【0026】
で表される置換アミノ基はさらに置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基またはヘテロ環基が好ましい。
【0027】
で表される置換アミノ基としてはアルキルアミノ基が好ましく、該アルキルアミノ基としては特に、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、テトラデシルアミノ基、ヘキサデシルアミノ基、オクタデシルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジデシルアミノ基、メチルドデシルアミノ基、ベンジルブチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、4−フェノキシブチルアミノ基、3−ドデシルオキシプロピルアミノ基、2,5−ジブトキシベンジルアミノ基、2,5−ジオクチルオキシベンジルアミノ基、6−ジエチルカルバモイルヘキシルアミノ基が好ましい。
【0028】
で表されるアニリノ基は更に置換基を有してもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基またはヘテロ環基が好ましい。
【0029】
で表されるアニリノ基としては特に、2,5−ジエトキシアニリノ基、2,5−ジヘプチルオキシアニリノ基、2−ヒドロキシー5−(3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル)アニリノ基、2−クロロー4−オクチルオキシアニリノ基、4−フェニルアニリノ基、4−オクチルスルホニルアニリノ基、4−デシルスルホニルアミノアニリノ基、4−オクチルアミノスルホニル等が好ましい。
【0030】
一般式(1)中Lは、水素原子、または、反応の際に離脱する離脱基を表す。上記離脱基としては、ハロゲン原子(フッ素、臭素、塩素、沃素)、置換アルキル基(ヒドロキシメチル基、ジメチルアミノメチル基)、アルキルチオ基(例えば、エチルチオ基、2−カルボキシエチルチオ基、ドデシルチオ基、1−カルボキシドデシルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、2−ブトキシ−t−オクチルフェニルチオ基)、アルコキシル基(例えば、エトキシ基、ドデシルオキシ基、メトキシエチルカルバモイルメトキシ基、カルボキシプロピルオキシ基、メチルスルホニルエトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、4−メチルフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−カルボキシフェノキシ基、3−エトキシカルボキシフェノキシ基、3−アセチルアミノフェノキシ基、2−カルボキシフェノキシ基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、テトラデカノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基)、アリールスルホニルオキシ基(例えば、トルエンスルホニルオキシ基)、ジアルキルアミノカルボニルオキシ基(例えば、ジメチルアミノカルボニルオキシ基、ジエチルアミノカルボニルオキシ基)、ジアリールアミノカルボニルオキシ基(例えば、ジフェニルアミノカルボニルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、エトキシカルボニルオキシ基、ベンジルオキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基)、または複素環基(例えば、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基)を表す。
上記Lとしては、ハロゲン原子、ジメチルアミノメチル基、フェニルチオ基が好ましい。
【0031】
以下に一般式(1)の具体例(例示化合物(A−1)〜(A−28))を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0032】
【化12】
Figure 2004155736
【0033】
【化13】
Figure 2004155736
【0034】
【化14】
Figure 2004155736
【0035】
一般式(1)で表されるアセトアセタミド化合物は、例えば、α−アミノカルボニル化合物と、ケテンダイマー、アセト酢酸ハライド、アセト酢酸、およびアセト酢酸エステルのいずれかとを反応させることによって合成することができ、特にケテンダイマーを用いるのが好ましい。上記合成は、無溶媒でも良いが有機溶媒等の溶媒を用いてもよく、該有機溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、エタノール、ヘキサン、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラメチルウレアを用いることができ、特にアセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、エタノール、が好ましい。この際、塩基性化合物若しくは酸性化合物を共存させてもよい。上記塩基性化合物としては、有機および無機どちらでもよく、特にトリエチルアミン、DMAP、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等、が好ましい。また、上記酸性化合物も、有機および無機のどちらでもよく、メタンスルホン酸、塩酸、硫酸、塩化アルミニウム等が好ましい。
【0036】
《記録材料》
本発明の記録材料は、支持体上に、ジアゾ化合物とカプラーとを含有する記録層を少なくとも1層有し、該カプラーとして、上述の一般式(1)で表されるアセトアセタミド化合物を用いることを特徴とする。本発明の記録材料としては、発色方式が熱であり感熱記録層を有する感熱記録材料、発色方式が圧力であり感圧記録層を有する感圧記録材料、および光によって潜像を形成し熱によって発熱する感光感熱記録材料等が挙げられる。以下、本発明の記録材料として感熱記録層を有する記録材料(感熱記録材料)を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
<記録層>
本発明における記録層には、少なくとも上述の一般式(1)で表されるアセトアセタミド化合物と、ジアゾ化合物とが含有されており、該ジアゾ化合物はマイクロカプセルに含有されているのが好ましい。また、必要に応じて、有機塩基や発色助剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
【0038】
(カプラー)
上述の通り、本発明における記録層には、上記一般式(1)で表されるアセトアセタミド化合物がカプラーとして含有される。記録層中のカプラーの総含有量としては、ジアゾ化合物1モルに対し0.2〜8モルが好ましく、0.5〜4モルがさらに好ましい。カプラーの総含有量がジアゾ化合物1モルに対して0.2モル未満であると十分な発色が得られない場合があり、ジアゾ化合物1モルに対して8モルを越えると塗布適正が劣化する場合がある。
【0039】
また、本発明においては、一般式(1)で表されるアセトアセタミド化合物と共に、色相調整等の目的で、必要に応じて、塩基性雰囲気でジアゾ化合物とカップリングして色素を形成する公知のカプラーを併用することもできる。一般式(1)で表されるアセトアセタミド化合物と公知のカプラーとを併用する場合、記録層に含有される全カプラーの50質量%以上が一般式(1)で表されるアセトアセタミド化合物であることが好ましい。70質量%以上であることがさらに好ましい。
【0040】
上記公知のカプラーとしては、例えば、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体等が挙げられる。
【0041】
上記公知のカプラーとしては、具体的に、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルホ−ナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、ベンゾイルアセトニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、2−{3−〔α−(2,4 −ジ−tert−アミルフェノキシ)−ブタンアミド〕ベンヅアミド}フェノール、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミノ)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミノメチル)ベンゼン等が挙げられる。
【0042】
(ジアゾ化合物)
本発明における記録層に用いられるジアゾ化合物としては、特に限定はないが、下記一般式(2)で表されるジアゾニウム塩を用いるのが好ましい。
【0043】
【化15】
Figure 2004155736
【0044】
一般式(2)中、RおよびRは、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、複素環基、またはアシル基を表す。Rは、アルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、または複素環基を表す。Yは酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基を表し、Yは酸素原子、硫黄原子、または単結合を表し、Yは酸素原子、硫黄原子、または水素原子を表す。但し、Yが水素原子の場合Rは存在しない。RとRとは互いに結合して環を形成してもよい。Xは陰イオンを表す。
【0045】
一般式(2)において、RおよびRとしては、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアシル基が好ましい。
またはRで表されるアルキル基はさらに置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えばフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基またはヘテロ環基が好ましい。
【0046】
,Rで表されるアルキル基としては特に、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ペンチル基、3−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、2−(4−ブトキシフェノキシ)エチル基、ベンジル基、アリル基、メトキシエチル基、エトキシエチル、ジブチルアミノカルボニルメチル基が好ましい。
【0047】
またはRで表されるアリール基はさらに置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基またはヘテロ環基が好ましい。
,Rで表されるアリール基としては特に、フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ブトキシフェニル基、ナフチル基が好ましい。
【0048】
またはRが複素環基である場合、該複素環としては、ヘテロ原子として、窒素、酸素、硫黄を有しているものが好ましく、飽和、不飽和、単環、縮合環のいずれでもよい。具体的には、フリル、チエニル、オキサゾリル、アタゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジル、モルホニル、ピペラジニル、インドリル、イソインドリル等が挙げられる。さらにこれらの複素環基は置換基を有してもよい。該置換基としては、上述のアルキル基のものと同様のものが挙げられる。
【0049】
またはRで表されるアシル基は、脂肪族、芳香族、複素環のいずれでもよく、更に置換基を有してもよい。該置換基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子が好ましい。
,Rで表されるアシル基としては特に、アセチル基、プロパノイル基、ヘキサノイル基、ベンゾイル基等が好ましい。
【0050】
また、RとRとは互いに結合して環を形成してもよい。RとRとが結合した環としては、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環等が挙げられ、これらは更に置換基を有してもよい。該置換基としては、該置換基としては、上述のアルキル基のものと同様のものが挙げられる。
【0051】
一般式(2)において、Rとしては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜20のアシル基が好ましい。
におけるアルキル基、アリール基、複素環基、およびアシル基としては、上記RおよびRにおけるアルキル基、アリール基、複素環基、およびアシル基と同様のものが挙げられる。
【0052】
で表されるアルキルスルホニル基は更に置換基を有してもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基またはヘテロ環基が好ましい。
【0053】
で表されるアルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、デシルスルホニル基、ベンジルスルホニル基、メトキシブチルスルホニル基等が挙げられる。
【0054】
で表されるアリールスルホニル基は更に置換基を有してもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基またはヘテロ環基が好ましい。
【0055】
で表されるアリールスルホニル基としては特に、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、4−クロロスルホニル基、4−メチルスルホニル基が挙げられる。
【0056】
一般式(2)において、Yとしては、硫黄原子またはアミノ基であることが好ましく、Yがアミノ基である場合さらに置換基を有してもよい。該置換基としては、アルキル基、アリール基が挙げられる。
また、YとRとは環を形成してもよい。YとRとが形成する環としては、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、インドリル基等が挙げられ、これらは更に置換基を有してもよい。該置換基としては、上述のアルキル基のものと同様のものが挙げられる。
【0057】
一般式(2)において、Yとしては、硫黄原子、酸素原子が好ましい。同様に、Yとしては、硫黄原子、酸素原子が好ましい。
【0058】
一般式(2)におけるXで表わされる陰イオンは、無機陰イオンおよび有機陰イオンが挙げられる。上記無機陰イオンとしては、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオンが好ましく、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオンが特に好ましい。上記有機陰イオンとしてはポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオンが特に好ましい。
【0059】
一般式(2)で表されるジアゾニウム塩は下記一般式(3)または一般式(4)で表されるジアゾニウム塩であることが好ましい。
【化16】
Figure 2004155736
〔一般式(3)中、R,Rそれぞれ独立して、アルキル基、アリール基を表し、Rは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。Xは陰イオンを表す。〕
【0060】
【化17】
Figure 2004155736
〔一般式(4)中、R10,R11,R12は、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基を表す。R11とR12とは互いに結合して環を形成してもよい。Xは陰イオンを表す。〕
【0061】
一般式(3)におけるR,RおよびRとしては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基が好ましい。
,RおよびRで表されるアルキル基はさらに置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基またはヘテロ環基が好ましい。
【0062】
,R,およびRで表されるアルキル基としては特に、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、2−(4−ブトキシフェノキシ)エチル基、ベンジル基、アリル基、メトキシエチル基、エトキシエチル、ジブチルアミノカルボニルメチル基が好ましい。
【0063】
一般式(3)において、R,RおよびRで表されるアリール基はさらに置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基またはヘテロ環基が好ましい。
,RおよびRで表されるアリール基としては特に、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ブトキシフェニル基が好ましい。
【0064】
一般式(3)における、Xは、一般式(2)におけるXと同義であり、同様のものが挙げられる。。
【0065】
一般式(4)におけるR10,R11、R12で表されるアルキル基、アリール基、およびXの好ましい例は、上記一般式(3)におけるR〜Rで表されるアルキル基、アリール基、およびXと同様のものが挙げられる。また、R11とR12とは互いに結合して環を形成してもよく、R11とR12とが形成する環としては、モルホリン環、ピペリジン環、ピロリジン環等が挙げられる。
【0066】
以下に一般式(2)〜(4)で表されるジアゾニウム塩化合物の具体例(例示化合物(D−1)〜(D−92))を示す、本発明はこれに限定されるものではない。
【0067】
〜一般式(2)で表されるジアゾニウム塩〜
【化18】
Figure 2004155736
【0068】
【化19】
Figure 2004155736
【0069】
【化20】
Figure 2004155736
【0070】
【化21】
Figure 2004155736
【0071】
〜一般式(3)で表されるジアゾニウム塩〜
【化22】
Figure 2004155736
【0072】
【化23】
Figure 2004155736
【0073】
【化24】
Figure 2004155736
【0074】
〜一般式(4)で表されるジアゾニウム塩〜
【化25】
Figure 2004155736
【0075】
【化26】
Figure 2004155736
【0076】
一般式(2)〜(4)で表されるジアゾニウム塩は単独で用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。さらに色相調整等の諸目的に応じて、一般式(2)〜(4)で表されるジアゾニウム塩と公知のジアゾ化合物とを併用することもできる。一般式(2)〜(4)で表されるジアゾニウム塩と公知のジアゾ化合物とを併用する場合、一般式(2)〜(4)で表されるジアゾニウム塩が、記録層に含有される全ジアゾ化合物の50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましい。
【0077】
上記公知のジアゾ化合物としては、4−ジアゾ−1−ジメチルアミノベンゼン、4−ジアゾ−2−ブトキシ−5−クロル−1−ジメチルアミノベンゼン、4−ジアゾ−1−メチルベンジルアミノベンゼン、4−ジアゾ−1−エチルヒドロキシエチルアミノベンゼン、4−ジアゾ−1−ジエチルアミノ−3−メトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−モルホリノベンゼン、4−ジアゾ−1−モルホリノ−2、5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−トルイルメルカプト−2、5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−ピペラジノ−2−メトキシ−5−クロルベンゼン、4−ジアゾ−1−(N,N−ジオクチルアミノカルボニル)ベンゼン、4−ジアゾ−1−(4−tert−オクチルフェノキシ)ベンゼン、4−ジアゾ−1−(2−エチルヘキサノイルピペリジノ)−2、5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−〔α−(2,4−ジtert−アミルフェノキシ)ブチリルピペリジノ〕ベンゼン、4−ジアゾ−1−(4−メトキシ)フェニルチオ−2、5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4−メトキシ)ベンズアミド−2、5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−ピロリジノ−2−メトキシベンゼン等が好ましい。
【0078】
また、本発明の記録材料においては、記録材料の使用前の生保存性を良好なものとするために、後に詳述する如く、ジアゾ化合物をマイクロカプセル中に内包させることが好ましいが、その際、適当な溶剤に溶解させて用いるため、ジアゾ化合物は、これらの溶剤に対する適当な溶解度と、低い水溶性とを有していることが好ましい。具体的には、使用する有機溶剤に対して5%以上の溶解度を有すると共に、水に対する溶解度は1%以下であることが好ましい。
【0079】
本発明の記録材料においては、記録層中にジアゾ化合物を0.02〜3g/m の範囲で含有させることが好ましく、発色濃度の点から、特に0.1〜2g/mの範囲で含有させることが好ましい。
【0080】
(マイクロカプセル)
本発明の記録材料は、その使用前の生保存性を良好とするために、ジアゾ化合物をマイクロカプセルに内包させることが好ましい。
この場合に使用されるマイクロカプセルは、常圧で40〜95℃の沸点をもつ非水溶媒にジアゾニウム塩、および、互いに反応して高分子物質を生成する同種または異種の化合物を溶解した溶液を、親水性保護コロイド溶液中に乳化分散した後、反応容器を減圧にしながら溶液を昇温して溶媒を留去しつつ油滴表面に壁形成物質を移動させ、かつ油滴表面で重付加または重縮合による高分子生成反応を進行させて壁膜を形成させることによって製造される。
【0081】
本発明の記録材料においては、特に、後述する実質的に溶媒を含まないマイクロカプセルを使用することが、良好なシェルフライフを得る点からみて好ましい。また、マイクロカプセル壁を形成する高分子物質は、ポリウレタンやポリウレアの中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0082】
以下に、本発明の記録材料におけるジアゾニウム塩含有マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法について述べる。
まず、上記ジアゾ化合物を、カプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解させる。この際用いる疎水性の有機溶媒としては、沸点が100℃〜300℃の有機溶剤が好ましく、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類、ケトン類、エーテル類等が挙げられる。該有機溶媒の具体例としては、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、塩素化パラフィン、トリキシリルホスフェート、トリクレジルホスフェート、マレイン酸ジオクチルエステル、アジピン酸ジブチルエステル等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、カプセル化しようとするジアゾ化合物の上記有機溶媒に対する溶解性が劣る場合には、該ジアゾ化合物に対する溶解性の高い低沸点溶媒を併用することもできる。該低沸点溶媒としては、具体的に、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトン等が挙げられる。また、マイクロカプセルの芯となる疎水性の有機溶媒中には、さらに多価イソシアネートが壁材として添加される(油相)
【0083】
一方、水相としては、ポリビニルアルコール、ゼラチンなどの水溶性高分子を溶解した水溶液を用意し、次いで上記油相を投入し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行う。このとき水溶性高分子は乳化分散の安定化剤として作用する。乳化分散を更に安定に行うために、油相或いは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。
【0084】
多価イソシアネートの使用量は、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、壁厚みが0.01〜0.3μmとなるように決定される。分散粒子径は0.2〜10μm程度が一般的である。乳化分散液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネートの重合反応が生じてポリウレア壁が形成される。
【0085】
水相中にポリオールを添加しておけば、多価イソシアネートとポリオールが反応してポリウレタン壁を形成することもできる。反応速度を速めるために反応温度を高く保ち、或いは適当な重合触媒を添加することが好ましい。多価イソシアネート、ポリオール、反応触媒、或いは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩田敬治 編 ポリウレタンハンドブック日刊工業新聞社 (1987))。
【0086】
マイクロカプセル壁の原料として用いる多価イソシアネート化合物としては3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアネート化合物を併用してもよい。具体的にはキシレンジイソシアネートおよびその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートおよびその水添物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体或いは3量体(ビューレット或いはイソシヌレート)の他、トリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体として多官能としたもの、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物などが挙げられる。
【0087】
更に、ポリオールまたはポリアミンを、芯となる疎水性溶媒中または分散媒となる水溶性高分子溶液中に添加しておき、マイクロカプセル壁の原料の一つとして用いることもできる。これらのポリオールまたはポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
【0088】
このようにして調製されたカプセルの油相を分散する水溶性高分子水溶液に用いる水溶性高分子は、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が5以上の水溶性高分子が好ましく、その具体例としては、ポリビニルアルコールおよびその変成物、ポリアクリル酸アミドおよびその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0089】
これらの水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応性がないか、低いことが好ましく、たとえばゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変成するなどして反応性をなくしておくことが必要である。また、界面活性剤を添加する場合には、界面活性剤の添加量は、油相の質量に対して0.1%〜5%、特に0.5%〜2%であることが好ましい。
【0090】
乳化は、ホモホジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ケディーミルなど、公知の乳化装置を用いることができる。乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために乳化物を30〜70℃に加温することが行われる。また反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌を行う等の必要がある。
【0091】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散剤を添加しても良い。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のジアゾニウム塩含有マイクロカプセルを得ることができる。
【0092】
(有機塩基)
本発明の記録材料においては、ジアゾ化合物とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で有機塩基を加えてもよい。
これらの有機塩基は、単独で用いても2種以上併用して用いることもできる。塩基性物質としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物が挙げられる。
【0093】
これらの中でも、特に、N,N’ −ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’ −ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’ −ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’ −ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’ −ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’ −メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼン等のピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼン、1,3−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼン等のモルホリン類、N−(3−フエノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフエニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフエニルグアニジン等のグアニジン類などが好ましい。
【0094】
本発明の記録材料においてジアゾ化合物1質量部に対する有機塩基の使用量は、0.1〜30質量部であることが好ましい。
【0095】
(発色助剤)
本発明においては、上記した有機塩基の他にも、発色反応を促進させる目的で発色助剤を加えることができる。該発色助剤とは、加熱記録時の発色濃度を高くする、若しくは最低発色温度を低くする物質であり、カプラー、塩基性物質、若しくはジアゾ化合物等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せしめる作用により、ジアゾ化合物、塩基性物質、カプラー等が反応しやすい状況を作るためのものである。
【0096】
本発明の記録材料に用いられる発色助剤として、例えば低エネルギーで迅速かつ完全に熱現像が行われるように、感光層中にフェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、ヒドロキシ化合物、アミド化合物、スルホンアミド化合物等を加えることができる。これらの化合物は、カプラーや塩基性物質の融点を低下させるか、或いは、マイクロカプセル壁の熱透過性を向上させ、その結果高い発色濃度を可能とするものと考えられる。
【0097】
本発明の記録材料に用いられる発色助剤は、熱融解性物質でもよい。熱融解性物質は、常温では固体であって加熱により融解する融点50℃〜150℃の物質であり、ジアゾ化合物、カプラー、或いは塩基性物質等を溶かす物質である。これらの化合物の具体例としては、カルボン酸アミド、N置換カルボン酸アミド、ケトン化合物、尿素化合物、エステル類等が挙げられる。
【0098】
(他の添加剤)
本発明の記録材料においては、熱発色画像の光および熱に対する堅牢性を向上させ、または、定着後の未印字部分の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることが好ましい。
【0099】
上記の酸化防止剤については、例えばヨーロッパ公開特許第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4814262号、アメリカ特許第4980275号等に記載されている。
【0100】
更に、感熱記録材料や感圧記録材料において既に用いられている公知の各種添加剤を用いることも有効である。これらの酸化防止剤の具体例としては、特開昭60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同63−088381号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平01−239282号公報、同04−291685号公報、同04−291684号公報、同05−188687号公報、同05−188686号公報、同05−110490号公報、同05−1108437号公報、同05−170361号公報、特公昭48−043294号公報、同48−033212号公報等に記載されている化合物を挙げることができる。
【0101】
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス−4−ヒドロキシフェニルプロパン、1,1−ビス−4−ヒドロキシフェニル−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0102】
これらの酸化防止剤の添加量は、ジアゾ化合物1質量部に対して0.05〜100質量部の割合であることが好ましく、特に0.2〜30質量部であることが好ましい。上記した公知の酸化防止剤はジアゾ化合物と共にマイクロカプセル中に含有させて用いることも、或いはカップリンク成分や塩基性物質、その他の発色助剤と共に、固体分散物として、若しくは適当な乳化助剤と共に乳化物にして用いることも、或いはその両方の形態で用いることもできる。また酸化防止剤を単独または複数併用することができるのは勿論である。また、記録層上に保護層を設け、該保護層に添加または存在させることもできる。
【0103】
これらの酸化防止剤は同一層に添加しなくもよい。更にこれらの酸化防止剤を組み合わせて複数用いる場合には、アニリン類、アルコキシベンゼン類、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン誘導体、りん化合物、硫黄化合物の様に構造的に分類し、互いに異なる構造のものを組み合わせてもよいし、同一のものを複数組み合わせることもできる。
【0104】
本発明において、一般式(1)におけるLが、水素原子以外の置換基であり、ジアゾニウム塩化合物とカップリングした際に離脱可能な置換基を表す場合、還元剤や水素供与体を併用することが好ましい。上記還元剤や水素供与体としては、一般的なものを使用でき、例えば以下の化合物が挙げられる。
【0105】
【化27】
Figure 2004155736
【0106】
本発明に用いられるカプラーは、塩基性物質、その他の発色助剤等と共に、サンドミル等により水溶性高分子と共に固体分散して用いることもできるが、適当な乳化助剤と共に乳化物にして用いることが特に好ましい。好ましい水溶性高分子としては、マイクロカプセルを調製する時に用いられる水溶性高分子が挙げられる(例えば、特開昭59−190886号参照)。この場合、水溶性高分子溶液に対してカプラー、塩基性物質,発色助剤はそれぞれ5〜40質量%になるように投入される。分散された或いは乳化された粒子サイズは10μm以下であることが好ましい。
【0107】
本発明の記録材料には、定着後の地肌部の黄変を軽減する目的で、光重合性組成物等に用いられる遊離基発生剤(光照射により遊離基を発生する化合物)を加えることができる。このような遊離基発生剤としては、芳香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、アゾ化合物、有機ジスルフィド類、アシルオキシムエステル類などが挙げられる。添加する量は、ジアゾ化合物1質量部に対して、遊離基発生剤を0.01〜5質量部とすることが好ましい。
【0108】
また、同様に黄変を軽減する目的で、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(以下、「ビニルモノマー」と称する場合がある。)を用いることもできる。ビニルモノマーとは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合(ビニル基、ビニリデン基等)を有する化合物であって、モノマーやプレポリマーの化学形態をもつものである。それらの例としては、不飽和カルボン酸およびその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミンとのアミド化合物等が挙げられる。
【0109】
ビニルモノマーは、ジアゾ化合物1質量部に対して0.2〜20質量部の割合で用いることが好ましい。上記遊離基発生剤やビニルモノマーは、ジアゾ化合物と共にマイクロカプセル中に含有させて用いることもできる。本発明では以上の素材の他に酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を添加することができる。
【0110】
本発明の記録材料は、ジアゾ化合物を含有したマイクロカプセル、カプラー、および有機塩基、その他の添加物を含有した塗布液を調製し、紙や合成樹脂フィルム等の支持体の上にバー塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティング塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等の塗布方法により塗布乾燥して、固型分2.5〜30g/mの感熱層を設けることが好ましい。
【0111】
本発明の記録材料においては、マイクロカプセル、カプラー、塩基などが同一層に含まれていても良いが、別層に含まれるような積層型の構成をとることもできる。また、支持体の上に特願昭59−177669号明細書等に記載されているような中間層を設けた後、感熱層を塗布することもできる。
【0112】
<支持体>
本発明の記録材料で使用される支持体としては、通常の感圧紙や感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙などに用いられる紙支持体はいずれも使用することができる他、アルキルケテンダイマー等の中性サイズ剤によりサイジングされた、pHが5〜9の中性紙(特願昭55−14281号記載のもの)、特開昭57−116687号記載されたステキヒトサイズ度とメートル坪量との関係を満たし、かつベック平滑度が90秒以上の紙、特開昭58−136492号に記載された光学的表面粗さが8μm以下で、かつ厚みが30〜150μmの紙、特開昭58−69091号に記載されている密度0.9g/cm以下でかつ光学的接触率が15%以上の紙、特開昭58−69097号に記載されたカナダ標準濾水度(JIS P8121)で400ml(400cc)以上に叩解処理されたパルプより抄造してなる塗布液のしみこみを防止した紙、特開昭58−65695号に記載のヤンキーマシーンにより抄造された原紙の光沢面を塗布面とし発色濃度および解像力を改良した紙。特開昭59−35985号に記載された原紙にコロナ放電処理を施し、塗布適性を改良した紙なども用いることができる。
【0113】
また、支持体として使用される合成樹脂フィルムは、現像過程での加熱に対しても変形せず、寸法安定性を有する公知の材料の中から任意に選択することができる。このようなフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム等のセルロース誘導体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等が挙げられる。これらは、単体で或いは貼り合わせて用いることができる。支持体の厚みとしては、20〜200μmのものが用いられる。
【0114】
<保護層>
本発明の記録材料においては、必要に応じて、感熱記録層上にサーマルヘッドで印字する際の、スティッキングやヘッド汚れ等を防止したり記録材料に耐水性を付与する目的で、感熱記録層上に、ポリビニルアルコール等を主成分とし、各種の顔料や離型剤等を添加した保護層(以下、単に「保護層」と称する場合がある。)を、更に設けることが好ましい。
【0115】
<記録方法>
このようにして得られる本発明の記録材料の記録面にサーマルヘッド等で加熱すると、ポリウレア或いはポリウレタンのカプセル壁が軟化し、カプセル外のカプラーと塩基化合物がカプセル内に進入して発色する。記録後は、ジアゾ化合物の吸収波長の光を照射することにより、ジアゾ化合物が分解してカプラーとの反応性を失うため、画像の定着が行われる。
【0116】
定着用光源としては、種々の蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯などが用いられる。この発光スペクトルは、記録材料で用いたジアゾ化合物の吸収スペクトルとほぼ一致していることが、効率良く光定着させることができるので好ましい。また、本発明の記録材料(感熱記録材料)は、原稿を用いて露光し、画像形成部以外のジアゾ化合物を分解して潜像を形成させた後、記録材料を加熱して現像し、画像を得ることもできる。
【0117】
【実施例】
以下、実施例において本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、以下において「部」は特に限定のない限り「質量部」を意味する。
【0118】
[合成例1]
(例示化合物(A−1)の合成)
グリシンヘキサデカンエステル・メタンスルホン酸塩39.5g、トリエチルアミン10.1g、およびTHF200mlを混合した溶液を0℃に冷却した。次いで、ケテンダイマー11.0gを0℃で添加し、溶液の温度を徐々に室温まで昇温させた。反応の終了を、TLCを用いて確認した後、反応溶液を水500mlにあけ、晶析した結晶を濾取し、得られた結晶を乾燥して粗結晶とした。さらに上記粗結晶を、アセトニトリル200mlを用いて再結晶することによって、上記例示化合物(A−1)30gを得た(収率78%)。
【0119】
H−NMR(300MHz,dmso−d6)δ0.9(t,3H)1.2−1.4(m,29H),1.6(m,2H),2.3(s,3H),3.5(s,2H),4.0(d,2H),4.2(t,2H),7.4(s,1H)
【0120】
[合成例2]
(例示化合物(A−3)の合成)
合成例1において、グリシンヘキサデカンエステル・メタンスルホン酸塩39.5gの代わりに、アラニンヘキサデカンエステル・メタンスルホン酸塩40.0gを用いた以外は合成例1と同様にして、例示化合物(A−3)25gを合成した(収率63%)。
【0121】
H−NMR(300MHz,dmso−d6)δ0.9(t,3H)1.2−1.4(m,29H),1.5(d,3H),1.6(m,2H),2.3(s,3H),3.4(s,2H),4.2(t,2H),4.5(q,1H),7.4(s,1H)
【0122】
[合成例3]
(例示化合物(A−8)の合成)
合成例1において、グリシンヘキサデカンエステル・メタンスルホン酸塩39.5gの代わりに、フェニルアラニンオクタデカンエステル・メタンスルホン酸塩51.3gを用いた合成例1と同様にして、例示化合物(A−8)35gを合成した(収率70%)。
【0123】
H−NMR(300MHz,dmso−d6)δ0.9(t,3H),1.2−1.4(m,33H),1.6(m,2H),2.2(s,3H),3.1(d,2H),3.4(s,2H),4.1(t,2H),4.8(q,1H),7.2−7.4(m,5H)
【0124】
[合成例4]
(例示化合物(A−14)の合成)
下記化合物(a−1)8gをTHF50mlに溶解し、0℃に冷却して、ケテンダイマー3.2gを添加した。次いで、反応溶液を徐々に室温まで昇温させ、反応の終了を、TLCを用いて確認した後、反応溶液を水300mlにあけた。晶析した結晶を濾取し、乾燥することによって例示化合物(A−14)8gを得た(収率74%)。
【0125】
H−NMR(300MHz,dmso−d6)δ1.4(m,6H),2.2(s,3H),3.5(s,2H),4.0(q,4H),4.2(d,2H),6.6(d,1H),6.8(d,1H),7.8(s,1H),8.0(s,1H),8.4(s,1H)
【0126】
【化28】
Figure 2004155736
【0127】
[合成例5]
(例示化合物(A−13)の合成)
合成例4において、化合物(a−1)8gを下記化合物(a−2)8.3gに代えた以外は、合成例4と同様にして、例示化合物(A−13)10gを合成した(収率87%)。
【0128】
H−NMR(300MHz,dmso−d6)δ0.9(t,3H),1.1−1.4(m,19H),2.2(s,3H),3.0(q,2H),3.4(s,2H),3.6(d,2H),7.8(s,1H),8.3(s,1H)
【0129】
【化29】
Figure 2004155736
【0130】
[合成例6]
(例示化合物(A−16)の合成)
合成例4において、化合物(a−1)8gを下記化合物(a−3)10gに代えた以外は、合成例4と同様にして、例示化合物(A−16)9gを合成した(収率68%)。
【0131】
H−NMR(300MHz,dmso−d6)δ2.3(s,3H),3.5(s,2H),4.2(d,2H),4.4(s,2H),4.6(s,2H),7.2−7.6(m,10H),7.7(s,1H)
【0132】
【化30】
Figure 2004155736
【0133】
[実施例1]
《ジアゾ感熱記録材料の作製》
(カプセル液Aの調製)
酢酸エチル19部に、上記具体例として記載したジアゾニウム塩(例示化合物(D−30))2.8部、および、トリクレジルフォスフェート10部を添加して均一に混合した。次いで、この混合溶液に壁材としてタケネートD−110N(武田薬品工業製)7.6部を加えて均一に混合し、I液を得た。
【0134】
得られたI液を、フタル化ゼラチンの8質量%水溶液46.1部と水17.5部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの10%水溶液2部とからなる水相に加え、40℃・10,000r.p.mの条件で10分間乳化分散した。得られた乳化物に水20部を加えて均一化した後、更に攪拌しながら40℃で3時間カプセル化反応を行わせてカプセル液Aを得た。カプセルの粒径は0.35μmであった。
【0135】
(カプラー液Bの調製)
酢酸エチル8部に、上記具体例として記載したカプラー(例示化合物(A−1))4部、トリフエニルグアニジン2部、トリクレジルフォスフェート0.64部、および、マレイン酸ジエチルエステル0.32部を溶かし、II液を得た。得られたII液を、石灰処理ゼラチンの15質量%水溶液32部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの10%水溶液5部および水30部を40℃で均一に混合してなる水相中に添加し、ホモジナイザーを用いて、40℃・10,000r.p.m.の条件で10分間乳化分散した。得られた乳化物を40℃で2時間攪拌し、酢酸エチルを除去した後、揮散した酢酸エチルと水との質量を加水により補い、カプラー液Bを得た。
【0136】
(塗布液Cの調製)
カプセル液A6部、水4.4部、および、石灰処理ゼラチンの15質量%水溶液1.9部を40℃で均一に混合した後、カプラー液B8.3部を添加し、均一に混合して、感熱記録層塗布液Cを得た。
【0137】
(保護層塗布液Dの調製)
ポリビニルアルコール(重合度1700、鹸化度88%)10%水溶液32部および水36部を均一に混合し、保護層塗布液Dを得た。
【0138】
(塗布)
上質紙にポリエチレンをラミネートした印画紙用支持体上に、ワイヤーバーで感熱記録層塗布液C,保護層塗布液Dの順に、順次塗布・50℃での乾燥を行い、目的のジアゾ感熱記録材料を得た。固形分としての塗布量は、各々6.4g/m,1.05g/mであった。
【0139】
《評価》
(生保存性)
まず、得られたジアゾ感熱記録シートを室温(約22℃)で48時間保存した後、京セラ(株)製サーマルヘッド(KST型)を用い、単位面積あたりの記録エネルギーが0〜40mJ/mm となるようにサーマルヘッドに対する印加電力およびパルス幅を選択し、ジアゾ感熱記録層に熱印字して画像を得た。次いで、発光中心波長が365nm・出力40Wの紫外線ランプを用いて15秒間ジアゾ感熱記録層を全面光照射して、画像を定着させた。その後、得られた試料について、マクベス濃度計を用いて発色部および地肌部の濃度を測定した。
【0140】
次いで、同様にジアゾ感熱記録シートを60℃・30%相対湿度の条件下に72時間強制保存し、上述と同様に画像を形成・定着させた後、マクベス濃度計を用いて発色部および地肌部の濃度を測定し、強制保存前と強制保存後との発色部の濃度(発色濃度)および地肌部の濃度(着色濃度)の差を比較して生保存性の評価とした。結果を表1に示す。
【0141】
(光堅牢性)
上記のようにして発色・定着した試料を、32,000Lux.の蛍光灯光堅牢性試験機を用いて24時間、連続光照射し、光照射前と光照射後との画像部および地肌部の変褪色試験を行った。測定は、マクベス濃度計による初期の反射濃度(光照射前の画像部の発色濃度)が約1.1の際の濃度変化を調べた。結果を表1に示す。
【0142】
[実施例2]
実施例1で用いたジアゾ化合物(例示化合物(D−30))の代わりに、ジアゾ化合物(例示化合物(D−38))を2.8部用いてカプセル液Aを得た以外は、実施例1と同様にして、ジアゾ感熱記録材料を作製し、同様の評価をした。結果を表1に示す。
【0143】
[実施例3]
実施例1で用いたジアゾ化合物(例示化合物(D−30))の代わりに、ジアゾ化合物(例示化合物(D−66))を2.8部用いてカプセル液Aを得た以外は、実施例1と同様にして、ジアゾ感熱記録材料を作製し、同様の評価をした。結果を表1に示す。
【0144】
[実施例4]
実施例1で用いたカプラー(例示化合物(A−1))の代わりに、カプラー(例示化合物(A−8))を4部用いてカプラー液Bを得た以外は、実施例1と同様にして、ジアゾ感熱記録材料を作製し、同様の評価をした。結果を表1に示す。
【0145】
[実施例5]
実施例2で用いたカプラー(例示化合物(A−1))の代わりに、カプラー(例示化合物(A−14))を4部用いてカプラー液Bを得た以外は、実施例2と同様にして、ジアゾ感熱記録材料を作製し、同様の評価をした。結果を表1に示す。
【0146】
[実施例6]
実施例3で用いたカプラー(例示化合物(A−1))の代わりに、カプラー(例示化合物(A−16))を4部用いてカプラー液Bを得た以外は、実施例3と同様にして、ジアゾ感熱記録材料を作製し、同様の評価をした。結果を表1に示す。
【0147】
[比較例1]
実施例1で用いたカプラー(例示化合物(A−1))の代わりに、N−アセトアセチルーグリシンエチルエステルを4部用いてカプラー液Bを得た以外は、実施例1と同様にして、ジアゾ感熱記録材料を作製し、同様の評価をした。結果を表1に示す。
【0148】
[比較例2]
実施例3で用いたカプラー(例示化合物(A−1))の代わりに、N−ジエチルカルバモイルメチル−3−オキソ−ブチラミドを4部用いてカプラー液Bを得た以外は、実施例3と同様にして、ジアゾ感熱記録材料を作製し、同様の評価をした。結果を表1に示す。
【0149】
[比較例3]
実施例2で用いたカプラー(例示化合物(A−1))の代わりに、2,5−ジブトキシアセトアセトアニリドを4部用いてカプラー液Bを得た以外は、実施例3と同様にして、ジアゾ感熱記録材料を作製し、同様の評価をした。結果を表1に示す。
【0150】
【表1】
Figure 2004155736
【0151】
表1から、本発明におけるアセトアセタミド化合物を用いた実施例1〜6の記録材料は、色相、生保存性および光堅牢性に優れていることがわかった。
【発明の効果】
本発明によれば、カプラーとして有用なアセトアセタミド化合物、および、記録前の保存性(生保存性)および発色性に優れ、曝光着色が小さく、記録部の画像保存性(光堅牢性)に優れた記録材料を提供することができる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴するアセトアセタミド化合物。
    Figure 2004155736
    〔一般式(1)中、R,Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。Rは、総炭素数10以上のアルコキシ基、総炭素数10以上の置換アミノ基、または置換基を有していてもよいアニリノ基を表す。Lは水素原子、または反応の際に離脱する離脱基を表す。〕
  2. 支持体上に、ジアゾ化合物とカプラーとを含有する記録層を有する記録材料であって、前記カプラーは、下記一般式(1)で表されるアセトアセタミド化合物であることを特徴とする記録材料。
    Figure 2004155736
    〔一般式(1)中、R,Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。Rは、総炭素数10以上のアルコキシ基、総炭素数10以上の置換アミノ基、または置換基を有していてもよいアニリノ基を表す。Lは水素原子、または反応の際に離脱する離脱基を表す。〕
  3. 前記ジアゾ化合物は、下記一般式(2)で表されるジアゾニウム塩であることを特徴とする記録材料。
    Figure 2004155736
    〔一般式(2)中、RおよびRは、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、複素環基、またはアシル基を表す。Rは、アルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、または複素環基を表す。Yは酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基を表し、Yは酸素原子、硫黄原子、または単結合を表し、Yは酸素原子、硫黄原子、または水素原子を表す。但し、Yが水素原子の場合Rは存在しない。RとRとは互いに結合して環を形成してもよい。Xは陰イオンを表す。〕
  4. 前記ジアゾニウム塩は、下記一般式(3)で表されるジアゾニウム塩であることを特徴とする請求項3に記載の記録材料。
    Figure 2004155736
    〔一般式(3)中、R,Rそれぞれ独立して、アルキル基、アリール基を表し、Rは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。Xは陰イオンを表す。〕
  5. 前記ジアゾニウム塩は、下記一般式(4)で表されるジアゾニウム塩であることを特徴とする請求項3に記載の記録材料。
    Figure 2004155736
    〔一般式(4)中、R10,R11,R12は、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基を表す。R11とR12とは互いに結合して環を形成してもよい。Xは陰イオンを表す。〕
  6. 前記ジアゾ化合物は、マイクロカプセルに内包されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の記録材料。
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