JP2004154690A - 懸濁水の沈殿浮上分離構造及び、懸濁水分離処理システム、懸濁水分離処理システムの沈殿物収集ブロック - Google Patents

懸濁水の沈殿浮上分離構造及び、懸濁水分離処理システム、懸濁水分離処理システムの沈殿物収集ブロック Download PDF

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Abstract

【課題】液体サイクロン内部の水流の状態を使用条件に応じて制御して、分級粒度を所定の値に設定して供給される懸濁水を効果的に分離分級することができると共に、供給ポンプに負荷をかけることがなく、底部に堆積したゲル状の沈殿物でも容易に除去することができ、メンテナンス性と経済性に優れた懸濁水分離処理システムの提供。
【解決手段】懸濁水や処理水がその上部側から供給されその下降流が流れる下降流路と、前記下降流路の下部に開口して設けられ前記下降流を上昇流に反転させる沈殿部7と、沈殿部7の上部に開口して設けられ上昇流が流れる上昇流路と、を備えた沈殿物分離部2〜4を複数組み有して構成され、互いに隣接する沈殿物分離部2〜4のそれぞれの下降流路と上昇流路とをその上部で連設して配置した浮上部8aを備えた懸濁水の沈殿浮上分離構造である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、河川や湖沼等の用水路、排水路、養殖用水槽、沈殿池、化学工業や食品加工等で用いられる処理槽等の懸濁水から固形分等を分離除去するための懸濁水の沈殿浮上分離構造及び、懸濁水分離処理システム、懸濁水分離処理システムの沈殿物収集ブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、雨水や道路の洗浄に伴う洗浄水、鉄鋼における圧延や洗浄等に伴う工業廃水、トンネルや地下掘削工事等に伴う泥水、下水処理や廃棄物処理に伴う排水、河川水等の浮遊物質(SS分)や固形分が懸濁した懸濁水を浄化する施設では、サイクロン、シックナー、沈殿槽等を組み合わせた浄化処理が行われ、分離されたスラッジや固形分等を除去していた。
サイクロンは懸濁水中の粗粒と細粒に作用する遠心力の差を利用してそれぞれの固体粒子を分離する分級装置であり、円筒部とこの円筒部の下部に設けられた円錐部とを有して形成され▲1▼強制旋回型サイクロンと▲2▼沈降型液体サイクロンとに大別される。
▲1▼強制旋回型サイクロンでは、懸濁水はこの円筒部に設けられた流入口から接線方向に流入され、円筒部に流入した懸濁水は高速の旋回流となって円錐部へ流れる。その間に懸濁水に混入していた粗粒は遠心力によって円錐壁へ向かって分級され、円錐の先端部にある排出口(アンダーフローノズル、スピゴット)から分離、排出される。一方、細粒を含む流体の大部分は旋回しながら遠心力に逆らって円錐部の中心部へ押しやられ、円筒部の中心にある内筒(オーバーフローファインダー)から外部に排出される。
▲2▼沈降型液体サイクロンでは、前記強制旋回型サイクロンより比較的弱い圧力で懸濁水を内部に導入して、円筒部に弱い渦流を発生させる。これによりエクマン層流やスチュワート層流等の理論が適用される沈降速度で液中の固形分を沈降させて底部中央に固形分を堆積、凝縮させることができる。
【0003】
サイクロンには可動部分がなく寸法の割に処理能力が大きく、浄化処理に広く適用されている。このような水処理に関して例えば以下のような技術のものが開示されている。
【特許文献1】
特開平7―163977号公報
特許文献1には、混合物を含む被処理水を処理して該処理水中の混合物を分離する方法において、前記被処理水を重力方向に見て北半球では左旋回させ、南半球では右旋回させると共に、旋回させる被処理水及び/又は旋回後の被処理水に磁界を印加する強制旋回型サイクロンを用いた水の処理方法が提案されている。
【特許文献2】
特許第3046554号公報
特許文献2には、サイクロン胴内の流入口より上方に、固液混合液の旋回を制止するための多孔板を設けて、サイクロン胴内の多孔板より上方の空間を空気溜まりとし、空気溜まり内に空気溜まり内における固液混合液の液面の下限を検知する下限リミッタースイッチと、空気溜まり内における固液混合液の液面の上限を検知する上限リミッタースイッチとを設け、下限リミッタースイッチが上記液面の下限を察知すると真空ポンプを作動させて空気溜まり内の空気を排気し、上限リミッタースイッチが上記液面の上限を検知すると真空ポンプの作動を停止するようにした沈降型液体サイクロンを用いる分離分級装置が開示されている。
【0004】
また、沈殿物を発生させる水処理技術に関連して、以下のようなものが知られている。
【特許文献3】
特開平5−115893号公報
特許文献3には、躯体壁内を反応部と沈殿部とに区画する露出隔壁を配設し、前記反応部内に配設されたエアリフト隔壁の下方に散気板を配置し、露出隔壁との間で緩衝域を形成する水没隔壁を配設した排水処理装置が記載されている。
【特許文献4】
特開2001−104709号公報
特許文献4には、沈殿分離槽を備えた水処理システムにおいて、前記沈殿分離槽を隔壁により下部側が連通した沈殿部と凝集反応部に区画し、前記凝集反応部に循環水流を発生させて凝集剤の分散と反応を促進させる水処理システムが記載されている。
【特許文献5】
特開2002−18207号公報
特許文献5には、処理水を沈殿させる沈殿槽等の下部に設けられその上面が平面状又は凹面状に形成されたブロック体と、前記ブロック体の側面のうち少なくとも1面に開口し前記ブロック体の中心部付近まで形成された連通管と、上部側が前記ブロック体の上面に開口部を有し下部側が前記連通管に連通し前記ブロック体の前記側面における前記連通管の開口部側に曲げられて形成された流入路と、を備えた集泥集水ブロックが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の前記サイクロンや沈殿槽、集泥集水ブロック等を用いた懸濁水の処理方法や、分離分級装置では以下のような課題を有していた。
(1)サイクロンを用いた水処理では、粗粒と細粒を含む懸濁水の旋回運動によってそれぞれの遠心力の差に応じて粗粒に富む処理水と細粒に富む処理水とに分離される。このとき、サイクロン内の水流は乱流が支配的となって、分離される粒子の分級粒度は粒子の角速度と粒子の形状(投影面積)等により大きく左右される。しかし、従来の液体サイクロンは、供給される懸濁水の流れを粗粒に富む処理水の流れと細粒に富む処理水の流れとに分離するだけで、懸濁水の流量や圧力に応じてサイクロン内の円錐形部に沿って流れる一次流と、中心部の下方から上方に向かって上昇する二次流との両者を適正にバランスさせて懸濁物を効果的に撹拌する機構が備えられていない。このため、懸濁水を効果的に分離分級することが困難であるという課題があった。
(2)分級粒度は旋回流による遠心力効果に依存するが、懸濁水の流入圧力の幅を広くとれない場合には、分級粒度はサイクロンの代表寸法、即ち円筒部の直径で決まってしまい、分級粒度を状況に応じて変えて懸濁水を処理することができず、作業性に欠けるという課題があった。
(3)従来のサイクロンでは、供給する懸濁水の圧力や流量を増加させるのに際して、固形分を含むために供給ポンプが磨耗、損傷し易く、大量の懸濁水を処理するにはメンテナンス費用が大きくなるという課題があった。
(4)特許文献1に記載のサイクロンの場合は、処理水に磁界を印加する必要があるので、ランニングコストが高くなって経済性に欠ける上に、非磁性の固形分を含んだ懸濁水については効果がないという課題があった。
(5)特許文献2に記載のサイクロンでは、サイクロン内の液面を検知するリミットスイッチを用いて液面の位置を制御するが、内部の水流の状態を動的に変化させる機構を備えていないので、供給される懸濁水の処理量や固形分の状態等に応じて分級可能な粒度を所定値に設定することができず、分離分級性が悪いという課題があった。
(6)沈降型液体サイクロンの場合、底部に沈殿した堆積物を除くに際しては、設備を止めて溜まった堆積物を除去する必要があり、底面全体に渡って堆積し、沈殿物をきれいに除去することが難しくメンテナンス性に欠けるという課題があった。
(7)下水処理場等でサイクロンを適用する場合、水中生物やプランクトンの死骸等の嵩密度が大きく、ゲル状の沈殿物が底部に沈積して、これを機械的に取り除くことが困難であり、水抜き作業等を人手により行う必要があって作業性に欠けるという課題があった。
(8)特許文献3に記載の排水処理装置は、流路内の処理水を上方に移動させるのに散気板から吐出されるガスを用いるので、余分な動力を要する上に、散気板が沈殿物で閉塞され、経済性やメンテナンス性に欠けるという課題があった。
(9)特許文献4に記載の沈殿分離槽を沈殿部と凝集反応部とに区画して循環水流を発生させるようにした水処理システムでは、沈殿部に蓄積される沈殿物の除去手段を備えていないので、時間とともに沈殿分離槽内の流れが変動して制御性に欠け、分離効率を良好に維持させるのが困難であるという課題があった。
(10)特許文献5に記載の集泥集水ブロックを用いた水処理技術では、汚泥等が排出される流入路がブロック体の側面に形成されているので、多数のブロック体を基板上に配設するような場合に連通管との据えつけが困難で、設置作業性に欠けるという課題があった。
(11)また、特許文献5に記載の集泥集水ブロックは、沈殿物が凹面状の上面に沈殿した沈殿物がブロック体内部の流入路に直接流入するので、この開口部が汚泥等で閉塞しやすく、集泥集水ブロックを介して所定量の汚泥や水を効率よく取り除くことが困難で水処理システムを構成する場合の流量制御性等に欠けるという課題があった。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、懸濁水の流入圧の幅を広くとれない場合でもサイクロンの寸法等に制約されることがなく、懸濁水を適切に処理することができる懸濁水の沈殿浮上分離構造を提供すると共に、供給ポンプに負荷をかけることがなくメンテナンス性と経済性に優れ、非磁性の固形分を含んだ懸濁水についても適用でき、底部に堆積したゲル状の沈殿物でも容易に除去することができ作業性に優れた懸濁水分離処理システムを提供すると共に、多数のブロック体を基板上に効率的に配設できる設置作業性に優れ開口部が汚泥等で閉塞されることなく所定量の汚泥や水を安定して取り出すことができ、流量制御性に優れた懸濁水分離処理システムの沈殿物収集ブロックを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の懸濁水の沈殿浮上分離構造は、懸濁水や処理水がその上部側から供給されその下降流が流れる下降流路と、前記下降流路の下部に開口して設けられ前記下降流を上昇流に反転させる沈殿部と、前記沈殿部の上部に開口して設けられ前記上昇流が流れる上昇流路と、を備えた沈殿物分離部を複数組み有して構成され、互いに隣接する前記沈殿物分離部のそれぞれの下降流路と上昇流路とをその上部で連設して配置した浮上部を備えて構成されている。
この構成によって、以下の作用を有する。
(a)沈殿物浮上分離構造が下降流路と上昇流路を有するので、懸濁水や処理水を下降流から上昇流に半強制的に反転させ、この流れの変化を利用して液中の固形分を沈殿部に効率的に沈殿させることができ、不溶分等の分離処理性に優れている。
(b)沈殿物分離部を複数直列に配置したり、この直列状に配置したものを単位として全体を並列に連設させたりすることもできるので、交互に上下動を繰り返す懸濁水の立体的な流れを形成させ、浮上部における浮上分離と沈殿部における沈殿分離とを効率的に行わせることができる。
(c)複数の沈殿物分離部のそれぞれの下降流路と上昇流路の上部を連設させて浮上部としているので、必要に応じてここで浮上物を回収することができ、全体の分離処理効率をさらに向上させることができる。
(d)下降流路や上昇流路を流れる懸濁水の流量や、沈殿部から抜き取る沈殿物や懸濁水の流量等を制御することにより、下降流路と上昇流路下端の隔壁部の近傍等に発生するカルマン渦などを安定的に形成させることができ、これによって懸濁水などの処理水を静置沈降させる場合と同様の優れた沈殿効果を発揮させることができる。
(e)上下方向に水流を制御して、沈殿浮上に伴う流体の抵抗を受ける微細な固形分(SS分)を流体の流れとともに槽底部(沈殿部)又は表層部に搬送することができる。この搬送されたSS分を沈殿部又は浮上部に取り出せる。
(f)懸濁水を緩やかに沈降させ、カルマン渦の発生により撹拌させ、SS分粒子間に包まれるように介在する間隙水を効果的に逃がして全体を収束圧密させ、崇密度の大きな沈殿物を得ることができる。特に、沈殿物分離部の下流側の容積を大きくしたり、下流側にいくにつれ該容積を大きくすることにより懸濁水の流れを緩やかにすることにより固形分の浮上効率を高めることができる。
ここで、カルマン渦は流体中で柱状等の物体が運動するとき、物体の左右両側から交互に反対向きに発生する。2列に発生するカルマン渦列における発生振動数(1対が発生する回数)は,円柱の直径をd、流速をVとすると、一般に0.2V/dで表される。また、カルマン渦の列の間隔をh、1つの列の渦の距離をaとするとsinh(πh/a)=1、すなわちh=0.281aのときカルマン渦の列は安定となる。処理する懸濁水の流量や、沈殿部から抜き取る沈殿物や懸濁水の流量等を制御したり、水流の方向に対し直行又は平行に丸棒状又は類似した流れに抗う装置等のカルマン渦の発生装置を設けたりして、流路に発生するカルマン渦を立体的かつ安定的に形成させることもできる。
このようなカルマン渦は、カルマン渦を発生させる流路や部位に流れに対して直角方向又は平行や角度を持たせて丸棒又は類似の棒状体を配置することによって形成させることができる。
カルマン渦を発生させることにより、▲1▼懸濁物粒子間(汚泥粒子間)に抱え込まれた間隙水をカルマン渦に伴う水流で放出させて圧密する作用、▲2▼密度流により発生する水道の形成防止や、汚泥流が沈殿部や浮上部に滞留することなく直通して上昇流路や下降流路に短絡する短絡流の形成防止作用、▲3▼沈殿部上の水流を活発化させ、エクマン、スチュワートソン層流を活発化させて沈殿物の流路中央方向に向かう搬送流の形成作用等、を促すことができる。
【0008】
上昇流路と下降流路は、その開口した下端部が下に向かって垂設された下隔壁とその開口した上端部が上に向かって垂設された上隔壁との間に形成され、これらを交互に複数組み並列させて配置することにより、全体的に懸濁水が上下に反転移動を繰り返す立体的な流れが形成されるように構成されている。
下降流路と上昇流路のそれぞれの下端開口が配置される沈殿部は槽状に構成され、所定量の沈殿物を貯留できる容積を有しており、その下部には貯留された沈殿物や懸濁水の一部を抜き取るための排出部を設けることができる。
下降流路及び上昇流路の長さLは少なくとも流路幅Bより長くなるように設定する。これにより槽の小型化や軽量化を図ることができ、表層部での短絡流の生成を防止できる。
複数の沈殿物分離部はそれぞれ略矩形状の水平断面を有するものを直線状に並列配置したり、あるいは略環状の水平断面を有するものを同心円状に配置したりして構成することができる。また、下流側にいく程沈殿物分離部の容積を大きくしてもよい。
【0009】
請求項2に記載の懸濁水の沈殿浮上分離構造は、請求項1に記載の発明において、前記沈殿部がその底部に沈殿物や懸濁水を排出させる排出部を備え、前記排出部には沈殿物を受ける凹面状に形成された沈殿物受面と、前記沈殿物受面の中央に開口した開口部と、前記開口部に連設され前記沈殿物受面の曲率より大きな曲率の凹状で略半球状や湾曲状に形成された沈殿室と、前記沈殿室の底部に開口し沈殿物を排出する沈殿物排出管の基端部が着脱自在に接続される排出孔とを有する沈殿物収集ブロックが配置されて構成されている。
この構成によって、請求項1の作用に加えて以下の作用を有する。
(a)沈殿浮上分離構造がその沈殿部に排出部を備えているので、貯留された沈殿物を連続的又は間欠的に排除することができ、沈殿物分離部における懸濁水の流れを定常に維持させ分離処理を効率的に行わせることができる。
(b)沈殿物分離部毎に沈殿物を取り出せるので、それぞれ粒度等の特性の異なる沈殿物に分級することができ、後処理工程における利便性に優れている。
(c)沈殿物収集ブロックが沈殿物受面とその中央の開口部に沈殿室を有するので、沈殿物受面に沈殿する固形分を内壁面側が深く囲まれた下部に向かって縮小する沈殿室に導入され、この沈降過程で沈殿物の固形粒子間に介在する水の部分が放出されて圧密され、この圧密された沈殿物を沈殿物排出管を介して効率的に外部に排出できる。
(d)沈殿物排出管を着脱できる排出孔が沈殿物収集ブロックの底部に備えられているので、予め沈殿物排出管が配設された基底部等に沈殿物収集ブロックを載せるだけで容易に沈殿物収集槽を構築でき、設定作業性に優れている。
(e)沈殿室の壁部の曲率を沈殿物受面の曲率より大きくして凹状の湾曲状などに形成しているので、沈殿物受面に堆積した沈殿物を容易に開口部に誘導して沈殿室に安定して収容することができる。
(f)円筒状や角筒柱状などに形成された沈殿物収集槽に適合させて分割された大きさの沈殿物収集ブロックを底面に多数敷設して配置することができ、沈殿物収集ブロックで小分割されているために軽量化が図られ、敷設作業における作業性が向上し、工期が短縮される。
【0010】
ここで排出部は沈殿部の底部に溜まった沈殿物を取り出す部分であり、凹面状に形成された上面とその中央に開口した開口部とこの開口部に連通した沈殿物排出管とを備えた沈殿物収集ブロックや、開口部に設けられた逆止弁構造、ラムの進退運動により溜まった沈殿物を押し出すピストン機構を備えたもの、沈殿物を有効に圧密、濃縮させることのできる沈澱室を備えたもの等を適用できる。
【0011】
請求項3に記載の懸濁水の沈殿浮上分離構造は、請求項1又は2に記載の発明において、前記浮上部がその液面に浮上される浮上物を排出させる浮上物排出部を備えて構成されている。
この構成によって、請求項1又は2の作用に加えて以下の作用を有する。
(a)沈殿浮上分離構造がその浮上部に浮上物排出部を備えているので、浮上した浮上物を連続的又は間欠的に排除でき、流路を閉塞させたり流れを変動させたりすることなく懸濁水の流れを定常に維持させ分離処理を効率的に行うことができる。
(b)複数配設される浮上部毎に浮上物を取り出せるので、それぞれ性質の異なるものに分けることもでき、後処理工程における利便性に優れている。
ここで浮上物排出部は浮上部に溜まった浮上物をポンプ等吸引除去したり、表層部の水位を上昇させて溢れでる浮上物を排出させたりする部分である。
【0012】
請求項4に記載の懸濁水の沈殿浮上分離構造は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の発明において、隣接配置された下流側の沈殿物分離部の内容積を上流側の沈殿物分離部の内容積より拡大させて配置して構成されている。
この構成によって、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の作用に加えて以下の作用を有する。
(a)下流側に配置される沈殿物分離部の内容積を上流側より大きくしているので、浮上部及び沈殿部における流れの速度を順次緩やかに減少させることができ、これによって、分離可能な固形分の含有量(濃度)などにより異なる分離効率を適正化して維持させることができる。
(b)各沈殿物分離部毎に流れの速度が異なるので、沈殿部や浮上部で回収される分離物の分級特性に優れており、懸濁水中から回収された固形分をさらに有効に活用できる。
(c)所定量の懸濁水を沈殿浮上分離構造に供給するだけで分級処理が行えるので、装置のメンテナンス性や運転制御性に優れている。
ここで、上流側に配置される沈殿物分離部の内容積Aとその下流側の沈殿物分離部の内容積Bとの比(A/B)は、0.2〜0.9好ましくは0.3〜0.8の範囲とすることが望ましい。これは懸濁水の固形分量や処理量等の条件にもよるが、比(A/B)が0.3よりも小さくなるにつれ、限られた狭いスペース内に所定数の沈殿物分離部を配置することが困難となる傾向が現れ、逆に0.8より大きくなるにつれ、上流側から下流側に漸次その流れを緩める効果が減少して所定の分級精度が得られなくなる傾向が現れ、これらの傾向は0.2より小さくなるか、又は0.9をより大きくなるとさらに顕著になるからである。
【0013】
請求項5に記載の懸濁水分離処理システムは、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の懸濁水の沈殿浮上分離構造を備えた分離分級装置が、液体サイクロンや貯溜槽、反応槽等の水処理装置の排水口に連設されて構成されている。
この構成によって、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の作用の他、以下の作用を有する。
(a)液体サイクロンや貯溜槽、反応槽等の水処理装置を流れる水流の状態をその使用条件に応じて制御して、その流れの変化により液中の沈殿可能な固形分を沈殿させて懸濁水から分離するので、分離処理特性に優れている。
(b)懸濁水をその自重だけで流下させて処理することもでき、供給ポンプ等の設備に負荷をかけることがなくメンテナンス性や経済性に優れる。
(c)非磁性の固形分を含んだ懸濁水についても適用でき、底部に堆積したゲル状の沈殿物でも容易に除去することができ作業性に優れた懸濁水分離処理システムを提供できる。
ここで水処理装置としては、液体サイクロンや貯溜槽、反応槽等の他に、化学工業や食品加工等で用いられる固形分の分離理装置や生物、化学反応槽、排水用ピット等が含まれる。
【0014】
請求項6に記載の懸濁水分離処理システムは、請求項5に記載の発明において、前記水処理装置が液体サイクロンであって、前記分離分級装置の取水部が前記液体サイクロンの円錐状底部の中心吐出孔に接続されて前記液体サイクロンで処理された処理水が前記分離分級装置に供給され、前記分離分級装置で固形分が沈殿処理された処理水の一部又は全部を前記液体サイクロンの円筒状周壁の接線方向に1又は複数本配置された懸濁水が供給される懸濁水供給管に還流させる流体加速部を有して構成されている。
この構成によって、請求項5に記載の作用に加えて以下の作用が得られる。
(a)ポンプ等を備えた流体加速部を有するので、液体サイクロン内に制御された所定の旋回流を発生させることができる。例えば、流体加速部における循環ポンプのモータ回転数を制御して必要な圧力、流量に設定できる。
(b)液体サイクロンの底部から回収された固形分の除かれた処理水の一部又は全部を液体サイクロンの懸濁水供給管に還流させる流体加速部を備えているので、▲1▼液体サイクロン内をその周壁に沿って旋回する旋回流や▲2▼その中央下部分から上方に移動する垂直上昇流、▲3▼上方から下方に垂直に降下する短絡流(垂直下降流)等の流れの状態を制御することができる。この水流の流量や圧力、流速等の条件を制御することによってサイクロン内の旋回下降流である一次流や旋回上昇流である二次流に相互に関連しあう渦流を動的に生成することができ、懸濁水中の固形分の分散を促進させて分離効率を向上させることができる。
(c)液体サイクロン内部に生成する一次流や二次流等の水流の状態を使用条件に応じて制御できるので、分級粒度を所定の値に設定して供給される懸濁水を効果的に分離分級することができる。
(d)懸濁水の供給圧力の幅を広くとれない場合でも、流体加速部により循環させる処理水の流量と圧力を制御して分離に必要な旋回流を作り、処理水の流量を増減させることができるので、サイクロンの代表寸法に制約されることが少なく、特性や使用状況が異なる種々の懸濁水を適切かつ大量に処理できる。
(e)流体加速部には分離分級装置で予め固形分の除去された処理水が供給されるので、ポンプ系や配管系等に負荷をかけることが少なく、メンテナンス性や経済性に優れる。
(f)液体サイクロンの底部から処理水を抽出して、処理水中の固形分を沈殿させることのできる分離分級装置を有するので、大きさ毎に分級された沈殿物を用いて、以降の処理工程を効率的に行うことができる。
(g)装置自体に可動部分が少なく、しかも磁場等の発生装置を必要とせず非磁性の固形分を含んだ懸濁水についても有効に適用でき、利便性に優れる。
(h)液体サイクロン内の旋回流の強弱や、アンダーフローノズルからの処理水の吸出等運転条件を制御することにより混入した油分を分離分級装置で再捕捉でき、液液分離が可能であり、含油水から油を分離することもできる。
(i)分離分級された廃液を再利用して全体を閉回路として構成することができるので、余分な分離液が発生せずメンテナンス性等に優れ、また投入した懸濁水を無駄なく浄化処理できる。
(j)完全密封型のシステムが構築できるので、臭気の拡散や有害物の飛散、又は混入が防止できる。
【0015】
ここで液体サイクロンは例えば、円筒部とこの円筒部の下部に接続した円錐部とで形成され、固形分を含む懸濁水が供給される円筒部周壁の接線方向に配置された懸濁水供給管と、円筒部の天井中央部から浮遊物等の細粒を含む処理水Aを排出するための天井部排出管と、円錐部の底部に設けられ処理水Bを排出する中心吐出孔とを有した懸濁水の分離処理装置である。
液体サイクロンの懸濁水供給管から供給された懸濁水は円筒部で旋回して遠心力により固形分の大きさや重量毎に分離される。この分離された固形分の含有量が異なる処理水A、処理水Bが、それぞれ天井部排出管や中心吐出孔から排出される。
分離分級装置は、前記液体サイクロンの円筒部周壁の下部に形成された円錐部の中心吐出孔に接続され前記液体サイクロン内で沈降した固形分を含む処理水Bが供給される。
【0016】
流体加速部は、処理水を循環させるためのポンプ系や配管系を備え、分離分級装置で固形分が除去された処理水の一部又は全部を液体サイクロンの懸濁水供給管に還流させる処理水の循環供給装置である。この流体加速部によって、液体サイクロン内に所定量の旋回流を形成させることができるので、この水流を垂直上昇流等と相互作用させて液体サイクロン内に変動する多数の渦流などを生成させて、懸濁水中の固形分の分離効率を高められる。
なお、懸濁水の種類や供給流量、供給圧力、液体サイクロンの容量、処理水の供給流量、排出流量等によっても変化するが、液体サイクロンの下部から取り出して還流させる処理水の流量Qdと外部から懸濁水の懸濁水分離処理システムに供給する懸濁液の流量Qaとの流量比(Qd/Qa)は0.1〜10、好ましくは0.2〜4の範囲とすることが望ましい。これは、流量比(Qd/Qa)が0.2より小さくなるにつれ、循環供給装置での制御能が低下するため液体サイクロンに求められる微小な固形物や懸濁物の除去効率が低下する傾向が表れ、逆に4を超えるにつれ、制御性は向上するが還流に要するポンプの負荷が大きくなる欠点が現れ、これらの傾向は0.1より小さくなるか10を越えるとさらに顕著になるからである。
また、流体加速部は、懸濁水を供給する懸濁水供給管と別に設け、直接液体サイクロンに還流させることも可能である。
【0017】
このような処理水の循環に用いるポンプとしては、吸込管と吐出管をもつ容器内で羽根車(インペラー)を回転させる形式の遠心ポンプ、軸流ポンプ、斜流ポンプ等のターボポンプや、空間容積を周期的に変化させ液体の吸込みと吐出作用を行わせる往復ポンプ、ベーンポンプ、歯車ポンプ等の容積形ポンプが適用できる。また、円板の外周に取り付けられ多くの溝を設けたインペラーを高速で回転させ外側のケーシングとインペラー外周部との間にはさまれた液体をインペラーの回転により円周上を流して吸込口から吐出口へ移動させる形式の渦巻ポンプや、高圧水を小さなノズルの穴から高速で噴出させノズル出口の圧力が下がって真空状態となるのを利用して下方の管から水を吸い上げる形式のジェットポンプ、水中に挿入した揚水管の下端へ圧縮空気を吹き込み気泡の上昇により水といっしょに上方へ移動させる気泡ポンプ等の特殊ポンプも適用することができる。
【0018】
請求項7に記載の懸濁水分離処理システムは、請求項6に記載の発明において、前記分離分級装置が、全体を収容する円筒状又は多角筒状の器体壁を有する器体と、前記器体内の底部に同心円状に複数配置され上部側に立設された壁部を有する下部隔壁と、前記下部隔壁間の底部に同心円状に配置され凹面状に開口して沈澱物を貯留させる沈殿物収集ブロックを備えた沈殿物収集槽と、前記下部隔壁間に挿入され同心円状に複数配置され下部側に垂設された壁部を有する上部隔壁と、前記器体内上部の中心位置に配置され前記液体サイクロンの前記中心吐出孔に連設されて供給される処理水が器体内部に吐出される取水部と、前記上部隔壁の上部側を傘状に覆設して前記上部隔壁を支持すると共にその傘状の周縁部が前記器体壁に間隔を有して配設固定された水流分配部と、前記器体の中心底部より上部に開口部が設けられた処理水を排出する中心底部排水管と、を備えて構成されている。
この構成によって、請求項6の作用の他、以下の作用が得られる。
(a)液体サイクロンの下部から吐出された固形分を多量に含む処理水が、分離分級装置の中心上部に設けられた取水部を介して流入して、水流分配部の傘状に形成された上部をつたって器体壁の周部から沈殿物収集槽に供給される。処理水は上部隔壁と下部隔壁との間を交互に上下しながら中心方向に移動して、上部隔壁と下部隔壁との間に同心円状に配置された各沈殿物収集槽の底部に固形分をサイズ毎に沈殿させることができるので、これによって固形分の分離効率を高められ懸濁水の処理効率に優れている。
(b)同心円状に配置された沈殿物収集槽を有するので、沈殿物収集槽毎に性状の異なる沈殿物を収集することができるので、各沈殿物毎にそれぞれ適した処理を行うことができ、以降の処理された沈殿物をそのサイズ等の性状に応じて有効利用することができる。
(c)処理水を懸濁水に再循環させない場合等では、処理水が重力の作用により順次上から下に流れて、この間の流動の過程で沈殿物を回収するので、ポンプ等の駆動のためのエネルギーの投入を必要とせず、メンテナンス性と経済性に優れている。
(d)液体サイクロンの下部から吐出された固形分を多量に含む処理水は水流分配部をつたって器体壁の周部から沈殿物収集槽に供給され、同一流速の慣性力で噴出された固形物は比重の大きな物程拡散される距離が大きいため、比重差による固形分の分級ができる。
ここで、分離分級装置は、略円筒状又は略多角筒状の器壁を有して上下に円錐状部等を備えた沈殿装置である。各沈殿物槽は同心円状に配置された下部隔壁で互いに仕切られており、処理水は各沈殿収集槽の上部に配置された上部隔壁の下端部を潜り抜けて中心側に隣接した沈殿収集槽に順次移行して、この処理水の移行の際の速度変化により、沈殿収集槽の底部に固形分が沈殿するようになっている。
水流分配部は、液体サイクロンの中心吐出孔から供給された処理水を均等に分離分級装置の器壁側に分配する部分である。なお、この傘状の水流分配部の所定箇所に上下に貫通した通気孔(エア抜き孔)を設け、傘状の内部に空気が溜まることによって処理水の流れが妨げられるのを防止したり、流体加速部の循環ポンプのキャビテーションを防止できる。
上部隔壁は、同心円状に配置された沈殿物収集槽の上部に対応して配置され、その下端部が下部隔壁の上端部より下になるようにしている。これによって、上下に反転を繰り返しながら中心側に向かう処理水の流路を形成している。上部隔壁の上部側は、円錐状に形成された器体天井部や器壁に設けられた支持体や前記水流分配部の下部に設けられた支持体等を介して固定支持されている。
【0019】
請求項8に記載の前記懸濁水分離処理システムは請求項7に記載の発明において、前記沈殿物収集ブロックが、沈殿物を受ける凹面状に形成された沈殿物受面と、前記沈殿物受面の中央に開口した開口部と、前記開口部に連設され前記沈殿物受面の曲率より大きな曲率の凹状で略半球状や膨出状に形成された沈殿室と、前記沈殿室の底部に開口し沈殿物を排出する沈殿物排出管の基端部が着脱自在に接続される排出孔とを備えて構成されている。
この構成によって、請求項7の作用の他、以下の作用を有する。
(a)沈殿物収集ブロックが沈殿物受面とその中央の開口部に沈殿室を有するので、沈殿物受面に沈殿する固形分を内壁面側が深く囲まれた下部に向かって縮小する沈殿室に導入され、この沈降過程で沈殿物の固形粒子間に介在する水の部分が放出されて圧密され、この圧密された沈殿物排出管を介して効率的に外部に排出できる。
(b)沈殿物排出管に着脱できる排出孔が沈殿物収集ブロックの底部に備えられているので、予め沈殿物排出管が配設された基底部等に沈殿物収集ブロックを載せるだけで容易に沈殿物収集槽を構築でき、設定作業性に優れている。
(c)沈殿室の壁部の曲率を沈殿物受面の曲率より大きくして凹状の膨出状などに形成しているので、沈殿物受面に堆積した沈殿物を容易に開口部に誘導して沈殿室に安定して収容することができる。
(d)沈殿物受面に連設して沈殿室が形成されているので、エクマン層流などの流れにより沈殿物を沈殿室に送り込み、乱流や短絡流のような強い流れで曲面が覆われても沈殿物の再浮上が抑制できる。
(e)処理する懸濁水の水面と沈殿物受面とのレベル差を大きくした場合には、自然の重力を利用してスラッジ等の沈殿物を効率よく収集することもできる。
(f)沈殿物を処理する次工程が沈殿物排出管口に対して有効な落差を有する場合、サイフォン機構を沈殿物収集ブロックに構築して効率的に沈殿物を排出することができる。
(g)底部に堆積したゲル状の沈殿物でも容易に除去することができ、作業性に優れている。
(h)沈殿物受面を凹球面状とすることにより、沈殿物収集槽内に生じるエクマン層流やスチュワートソン層流等に伴う局部的小渦流によって、沈殿物が中央開口部に集められ、沈殿物の吸入除去が容易となる。
(i)円筒状や角筒柱状などに形成された沈殿物収集槽に適合させて分割された大きさの沈殿物収集ブロックを底面に多数敷設して配置することができ、沈殿物収集ブロックで小分割されているために、敷設作業における作業性が向上し、工期が短縮される。
(j)沈殿物収集ブロックの規格化が可能であり、量産化に適する。
(k)沈殿物収集ブロックは多様な形状の槽や、多様な大きさの槽に配置でき、沈殿物を分散して収集し、分散して排出することによって、多様な形状の槽や、多様な大きさの槽から沈殿物を搬出することができる。
【0020】
ここで、沈殿物収集ブロックは沈殿物収集槽の底部に、各沈殿物収集ブロックの沈殿物排出路が互いに接続するように同心円状などに敷設される。このとき、敷設した各々の沈殿物収集ブロックの沈殿物排出管は、外部に泥水を排出するパイプやホースなどの吸泥水管の一端に連通させて敷設する。更に吸泥水管の他端を沈殿施設の外部に配置した揚泥ポンプに接続する。このように施工された沈殿物収集槽では、沈殿物は沈殿物収集ブロックの上面に沈積する。沈殿物収集ブロックは、上面が中央の開口部に向かって凹面に形成されているため、沈殿物は開口部周辺に多く沈積する。各ブロックを沈殿物排出路の端部を介して連設して、沈殿物収集管に繋いだ揚泥ポンプを起動させると、沈殿施設の底部の沈殿物収集ブロックの上面に沈積する沈殿物は、各沈殿物収集ブロックの開口部から吸入され、沈殿物排出路、沈殿物排出管を通して沈殿設備の外部に排出される。
なお、隣接する沈殿物収集ブロック同士を連設する沈殿物排出路の端部は、パッキン、シーリング、管状の連接金具等で接続するようにしてもよい。また、沈殿物収集ブロックは、左右側面及び前後側面を備えたものであればよく、上面は正方形、長方形、扇形等の略直方体が用いられる。
さらに、沈殿物収集ブロックは、左側面と右側面と及び/又は前側面と後側面とが係合可能な曲面又は凹凸等の折面である構成とすることもできる。この場合には各沈殿物収集ブロックは、敷設の際に隣接する沈殿物収集ブロックの側面同士がインタロッキングブロックのように係合されるため、敷設作業が容易化されると共に、隣接する沈殿物収集ブロック同士を確実に接続できる。
【0021】
請求項9に記載の前記懸濁水分離処理システムは、請求項8に記載の発明において、前記開口部の内側面に、略球形状又は円錐状に形成された頭部が弾性体又は浮力体を介して圧着支持される可動子を備えた逆止弁構造を有して構成されている。
この構成によって、請求項8の作用の他、以下の作用が得られる。
(a)弾性力又は浮力を利用した逆止弁構造を備えているので、沈殿物の所定量を沈殿部に貯留させておくことができ、大量の沈殿物が一度に流入して排出管内が閉塞するのを効果的に防止しメンテナンス性に優れている。
(b)略球形又は円錐状の頭部を備えるので、この頭部をポンプの吸引力や沈殿物の重量で上下に進退させることにより上部に堆積する沈殿物の棚掛けを防止できる。
(c)液体サイクロンに接続される分離分級装置では、その槽内が負圧となるが、逆止弁構造を備えるので、沈殿部等からの逆流が防止され、安定的にシステムを稼動させることができる。
【0022】
請求項10に記載の懸濁水分離処理システムは、請求項7乃至9の内いずれか1項に記載の発明において、前記沈殿物収集ブロックが前記沈殿物収集槽の底部に設けられ、前記沈殿物収集ブロックの前記排出孔にその基端部が着脱自在に嵌合される沈殿物排出管を介して隣接する複数の前記沈殿物収集ブロック同士が連設され、又は前記沈殿物排出管を介してそれぞれ前記器体の外部に連設されて構成されている。
この構成によって、請求項7乃至9のいずれか1項の作用に加えて以下の作用を有する。
(a)予め配置された沈殿物排出管の基端部に沈殿物収集ブロックの排出孔を位置づけて配置するだけで沈殿物収集槽を容易に構築することができ、施工性と経済性、メンテナンス性に優れている。
(b)沈殿物排出管を介して沈殿物収集ブロック同志を連結したネットワーク状の流路を形成したり、各沈殿物収集ブロックから独立に排出路を形成して外部に沈殿物を排出させたりすることができ、装置設計の自在性や汎用性に優れる。
【0023】
請求項11に記載の懸濁水分離処理システムは、請求項7乃至10の内いずれか1項に記載の発明において、前記取水部に円錐状や球形状の頭部を有した分流キャップ部が支持脚部を介して配設されて構成されている。
この構成によって、請求項7乃至10のいずれか1項で得られる作用に加えて以下の作用を有する。
(a)円錐状や球形状の頭部を有する分流キャップ部が液体サイクロンの中心吐出孔に連設される取水部に配置されているので、液体サイクロン内に形成される一次流(周壁に沿って旋回下降する旋回下降流)と、二次流(中心部を旋回上昇する旋回上昇流)とを分離して、一次流のみを選択的に取水部(アンダーフローノズル部)に誘導して固形分含有量の少ない二次流の流れ込みを防止できる。
(b)二次流の取水部への流れ込みがないので、液体サイクロン内の二次流を安定的に形成でき、これによって懸濁水の分離分級効果をさらに増進させることができる。
(c)二次流が安定するために強制吸引が可能となり一次流の旋回流速と旋回回転数を強化でき、少ない動力でシステムを有効に稼動させることができる。
(d)アンダーフローノズル部側から強制吸引することにより、一次流の流速と旋回力を増すことができ、大型の水処理装置への適用性に優れている。
(e)循環ポンプ等を含む流体加速部又は分離分級装置とを組み合わせて懸濁水の閉回路を形成したシステムを構築できる。このような完全密封型の分離システムを構成することによって、臭気の発散や、有害物質の飛散又は混入を防止する利点が生じる。
ここで、分流キャップ部は、水流分配部の頂部に突設された支持体や、吐出口部の周囲に渡設された支持体などにより基部側が支持されて、その先端部側が吐出口の中に挿入された状態で固定されたもの等が用いられる。
【0024】
請求項12に記載の懸濁水分離処理システムは、請求項6乃至11の内いずれか1項に記載の発明において、前記液体サイクロンがその円錐状底部より排出される処理水が供給される前記分離分級装置と、その円錐状頂部より排出される処理水が供給される沈殿浮上分離装置とを備えると共に、前記沈殿浮上分離装置が、全体を収容する円筒状や角筒状の器体壁を有する器体と、前記器体内の底部に同心円状に複数配置され上部側に立設された壁部を有する下部隔壁と、前記下部隔壁間の底部に同心円状に配置された沈殿物収集槽と、前記下部隔壁間に挿入され同心円状に複数配置され下部側に垂設された壁部を有する上部隔壁と、前記器体の中心底部又は頂部より開口部が設けられ前記液体サイクロンの頂部から供給される処理水が送られる中心給水管と、前記器体壁に排出口を有して処理水を排出する器体壁部排水管と、前記中心給水管の上方又は下方の前記器体内に配設された整流部若しくは上部又は下部に開口を有した浮上物収集槽と、を備えて構成されている。
この構成によって、請求項6乃至11の内いずれか1項の作用の他、以下の作用が得られる。
(a)液体サイクロンから排出される処理水に浮遊する浮遊物を捕捉すると共に、固形分を沈殿物として分離分級することのできる沈殿浮上分離装置を備えるので、懸濁水の浄化をさらに効果的に行うことができる。
(b)中心給水管を介して供給された処理水が、器体内の中心から周壁側に向かって上部隔壁と下部隔壁間に形成された流路を流れる。こうして上下運動を繰り返しながら処理水が周壁側に向かって移動するので、この下降から上昇に転じる際に効果的に固形分を沈殿物収集槽に沈殿させることができる。
(c)処理水中の浮遊物は器体中央に設けられ上部又は下部が開口して形成された浮上物収集槽に捕捉することができ、沈殿する固形分と浮遊分とを共に処理することができ、懸濁水の処理性能に優れている。
(d)複数段に渡り上昇路を経由するので含油懸濁物は水表面側に放出されることにより液液分離が可能であり、含油水から油を分離することもできる。
ここで、沈殿物収集槽はその底部に、凹面状に形成された上面と、上面の中央に開口した開口部と、開口部に連通した沈殿物排出路とを備えた複数の沈殿物収集ブロックを配置してもよい。この場合には、沈殿物排出路に接続された沈殿物排出管を介して沈殿した固形分を容易に抜き取ることができ、作業性に優れている。
浮上物収集槽は、中心給水管の上方又は下方の器体内に配設され上部又は下部が開口して形成された底付きの容器である。この開口の部分から周囲のオーバーフローした処理水が開口した上部から流入して、処理水中の浮遊物が捕捉される。
【0025】
請求項13に記載の懸濁水分離処理システムは、請求項12に記載の発明において、前記沈殿浮上分離装置の前記沈殿物収集槽がその底部に、請求項8又は9に記載の沈殿物収集ブロックを有して構成されている。
この構成によって、請求項8、9、12の内いずれか1項の作用の他、以下の作用が得られる。
(a)沈殿浮上分離装置が沈殿物排出管を備えた沈殿物収集ブロックを有しているので、浮遊物の除去に加えて、沈殿する固形分をブロック上面の開口部から沈殿物排出管を介して外部に排出することができる。
(b)沈殿物排出管を吸引ポンプ等に接続して吸引することにより、底部に堆積したゲル状の沈殿物でも容易に除去することができ、作業性に優れている。
(c)沈殿物収集槽の形状に適合させて分割された大きさの沈殿物収集ブロックを底面に多数敷設して配置することができ、施工を容易にできる。
ここで、沈殿物排出管は、同心円状に配置される沈殿物収集槽毎に沈殿物収集管を連結させたり、あるいは全ての沈殿物収集管をまとめるようにしたりすることができる。こうして、必要に応じて、沈殿特性の異なる固形分をそれぞれ分離させた状態で取り出したり、沈殿した固形分を一括して処理したりすることもできる。
【0026】
請求項14に記載の懸濁水分離処理システムは、請求項12又は13に記載の発明において、前記沈殿浮上分離装置の前記整流部若しくは前記浮上物収集槽に当接して前記器体の周壁まで放射状に立設され前記器体内を2以上に分割する放射隔壁を有して構成されている。
この構成によって、請求項12又は13の作用の他、以下の作用が得られる。
(a)中心給水管から供給された流体が外周方向へ拡散する時に発生する可能性のある密度流や短絡流を放射隔壁によって防止し懸濁水の分離分級効果をさらに増進させることができる。
(b)特に大型の沈殿浮上分離装置では上部隔壁を放射隔壁によって固定でき施工方法が簡素化される。
(c)懸濁水が沈殿浮上分離装置の小割分割された槽を通過し他の槽を流れる懸濁水と混入することが無いため、各小割分割された槽毎に処理水吐出口に開閉ゲートと沈殿物排出管及びバルブを取り付けることにより各小割分割された槽ごとの管理運転ができ、各小割分割された槽ごとの流量調整や、他の槽にトラブルが発生した場合の部分運転が可能となる。
ここで、放射隔壁の高さは器体の周壁と同じ高さでもよいが、最低運転水位以上の高さがあれば良い。また、放射隔壁による分割数は2 ̄8が好ましく、8より多くなるにつれて沈殿浮上分離装置の容積を小さくし処理能力が低下するとともにゲートや沈殿物排出管及びバルブ等の取り付けによる施工が複雑化するという欠点があり好ましくない。更に中心給水管から供給される処理水の吐出口を開閉自在とするゲートを設けることにより他の槽にトラブルが発生した場合の各小割分割された槽ごとの管理運転を行う場合トラブル槽のゲートを閉じることにより処理水をトラブル槽に送ることを防止し運転の安定性に優れる。
【0027】
請求項15に記載の懸濁水分離処理システムは、請求項6乃至14の内いずれか1項に記載の発明において、前記流体加速部が、加圧された液体が膨出状に形成された流路拡大部にノズル部を介して噴出され前記流路拡大部の懸濁水や処理水を吸引誘導して前記液体サイクロンに供給する1段又は複数段に構成されたエジェクタ部を備えて構成されている。
この構成によって、請求項6乃至14の内いずれか1項の作用に加えて以下の作用を有する。
(a)流体加速部がエジェクタ部を有するので、ポンプ等で昇圧不可能な懸濁水も流速を速めて液体サイクロン内に導入することができることにより、沈殿分級効率を高めることができる。
(b)流路拡大部には機械的な可動部分がなく目詰まり等を起こすことがないので、大量の懸濁水を処理する際のメンテナンス性に優れている。
(c)装置自体をコンパクトに構成でき、小規模設備にも容易に適用できる。
(d)供給管内の中央部に高速水流が形成され、しかも乱流状態で撹拌されるので、その見かけの流動抵抗を低下させることができ、大型の懸濁物を含むような流体であってもその供給速度を高めることができる。
(e)エジェクタ部を多段にして用いることもでき、これによって、所要の処理能力を備えた液体加速部を構成できる。
(f)特に負荷が過剰になるためにポンプ類で昇圧しにくい大型懸濁物や高硬度懸濁物を含む懸濁水でも容易に分離することができる。
ここで、エジェクタ部はジェットポンプ、噴射ポンプ、又はエジェクターといわれる流体を吸引するポンプであり、これを懸濁水や処理水等の流体を供給するための加速装置として利用する。一般に主ノズルのみで噴射を行い、その流束の周辺が低圧になることにより、圧力変換室としている所が低圧となり、吸引された流体が乱流となった状態で供給管内を移動し伴送させることができる。
【0028】
請求項16に記載の懸濁水分離処理システムは、請求項7乃至14の内いずれか1項に記載の発明において、前記沈殿物収集ブロックの排出孔に着脱される沈殿物排出管に逆止弁を介して連設された沈殿物貯留部と、前記沈殿物貯留部内に円柱状や角柱状に形成されたラムの先端を進退させるピストン機構とを有した沈殿物排出装置を有して構成されている。
この構成によって、請求項7乃至14の内いずれか1項の作用の他、以下の作用が得られる。
(a)沈殿物貯留部内にラムを突出させることにより、溜まった沈殿物に圧力を付加して、逆止弁により貯留した沈殿物を沈殿物収集ブロック側に逆流させることなく外部に押し出して排出させることができ、粘性の高い汚泥や粒度の大きい沈殿物でも容易に排出処理を行うことができる。
(b)装置構成が単純でモータ等の可動部分を外部に設定でき、目詰まりなどによる故障が少なく、保守性に優れている。
(c)一般のポンプで吸引できない大きな懸濁物や高硬度粒子を含む沈殿物の排出が容易にできる。
【0029】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1の懸濁水の沈殿浮上分離構造について図面を参照しながら説明する。
図1(a)は実施の形態1における懸濁水の沈殿浮上分離構造の要部正面断面図であり、図1(b)はその要部平面図である。
図1において、1は実施の形態1の懸濁水の沈殿浮上分離構造、2〜4はそれぞれ略四角筒状の容器体に形成されその内容積が上流側から下流側に漸次増大して直列に配置された小中大の内容積の第1槽乃至第3槽の沈殿物分離部、5は懸濁水や処理水が供給される懸濁水供給管、6は沈殿物分離部2〜4の内部を上流側の下降流路(L)と下流側の上昇流路(U)とに区画するための上部隔壁、7は上部隔壁6の下端が間隔を有して配置される沈殿物分離部2〜4底部の沈殿部、8は沈殿物分離部2〜4のそれぞれ隣接する側壁部の上部側に開口して設けられた通水部、8aは通水部8を介して上流側の上昇流路(U)と下流側の下降流路(L)が連通された浮上部、9は沈殿物分離部2〜4で処理された沈殿処理水を排出するための処理水排出管である。
ここで第1槽から第3槽の沈殿物分離部2〜4はそれぞれの内容積(処理水の供給排出部や通水部8間の内容積)が例えば320cc、430cc、650ccのように漸次大きくなるように設定され、その略逆円錐状に傾斜して形成されたそれぞれの沈殿部7の底部から必要に応じて、所定量の処理水を抜き取るための図示しない排出部を設けることができるようになっている。
各沈殿物分離部2〜4の内部中央には上部隔壁6が上流側の下降流路(L)と下流側の上昇流路(U)を分かつようにその下端部を下に向けて沈殿部7の上部に立設されている。また、各沈殿物分離部2〜4の互いに隣接する側壁に開口した通水部8によって連通された浮上部8aがその上部に設けられており、ここで懸濁水や処理水を上昇流から下降流に反転させる機能を持たせるようになっている。
なお、懸濁水の沈殿浮上分離構造1は本発明を検証するために実験的に設定されたものであり、本発明はこれらの形態のものに限定されるものではない。
【0030】
以上のように構成された実施の形態1の懸濁水の沈殿浮上分離構造1に適用される懸濁水の沈殿浮上分離方法について図面を参照しながら説明する。
まず、図1に示すように懸濁水供給管5を介して沈殿可能な固形分を0.3〜0.35重量%含む懸濁水を毎分0.05〜0.1kgの供給速度で供給した。これによって懸濁水は沈殿物分離部2〜4の側壁部とその上部隔壁6とで形成される下降流路(L)に導入され、下降流が上昇流に反転する沈殿物分離部2〜4の沈殿部7でその固形分の一部を沈殿させることができた。
次に沈殿部7から上昇流路(U)を介して上昇した懸濁水の流れは上部の通水部8から隣接する容積の大きい沈殿物分離部の下降流路(L)に流入して、流れが上昇流から下降流に反転して比較的比重の軽い部分を浮上物として回収することもできる。
このような沈殿浮上処理がそれぞれ内容積が所定の大きさに設定された沈殿物分離部2〜4毎に順次行われるので、下流側に行くにつれ滞留時間が長くなり、沈殿物分離部2〜4の各沈殿部7にはそれぞれ粒度や比重が大きい順に精密に分級された状態で固形分を貯留させることができる。
【0031】
ここで、図2及び図3は沈殿浮上分離構造1に懸濁水を所定量ずつ回分供給してその沈降分離における経時変化を実験的に観察した模式図である。
図2(a)は沈殿浮上分離構造1内を約1200ccの清水(水道水)で満たした後、100ccの懸濁水を懸濁水供給管5から供給して、約3分間放置後の初期状態を示している。
なお、懸濁水をこのような沈殿浮上分離構造に連続的あるいは回分的に供給する場合においては、滞留時間(=全内容積/投入流体流量)が能力指標の一つとしてあげられる。この滞留時間は0.1〜5時間、好ましくは0.3〜4時間の範囲に設定することが望ましい。これは滞留時間が0.3時間より短くなるにつれ、分級効率が低下すると共に供給量が過大となってポンプ系などの負荷が大きくなる傾向が生じ、逆に4時間を超えるにつれ、作業効率が極端に低下する傾向が現れ、これらの傾向は0.1時間より短くなるか、又は5時間を超えるとさらに顕著になるからである。
図2(a)に示すように下水処理場で生物処理したオキシデーションディッチから採取した汚泥を含む懸濁水を予め清水でみたした沈澱物浮上分離構造1に供給したところ、第1槽目の沈殿物分離部2の底部に汚泥が到達後、ゆっくりと渦巻くように旋回し、次第に濃度を増しながら色濃くなって、沈殿部7に沈降捕捉される様子が観察された。なお、この場合の沈澱物浮上分離構造1への懸濁水の流量(投入流量)はおよそ100cc/1〜5秒となる。
その後、沈殿物分離部2の上昇流路側の流体も次第に色相が濃くなって、その汚泥界面を形成することもなく、通水部8から隣接する沈殿物分離部3に流出し始めた。
なお、ここでは汚泥を含む懸濁水の投入量が約100ccと過小であっため、汚泥界面が明確に設定できない場合もあったが、懸濁水の投入流量をこのような実験に基づいて適正範囲に定めることにより、汚泥界面を適正位置に出現させ流路内に安定流を形成させることができることがわかった。
【0032】
図2(b)は図2(a)に引き続き約250ccの懸濁水を追加投入しその5分後の観察図である。ここでは、沈殿物分離部2の上昇流路上部に汚泥界面がさらに上昇して、その汚泥界面の上部及びこれに隣接する沈殿物分離部3の下降流路の上部に薄い懸濁物の層が形成されている状態を示している。
図2(c)は図2(b)に引き続き約250ccの懸濁水を追加投入しその9分後の観察図である。ここでは、沈殿物分離部2の汚泥界面より汚泥が沈殿物分離部3の下降流路に流出し、沈殿物分離部3の底部に沈殿が開始される様子を示している。
【0033】
図3(a)は図2(c)に引き続き約500ccの懸濁水を追加投入しその14分経過後の観察図である。ここでは、沈殿物分離部3の上昇流路上部に形成された汚泥界面が上昇して、比較的軟質の汚泥が沈殿物分離部4の下降流路の上部に流出する状態を示している。
図3(b)は図3(a)に引き続き約600ccの懸濁水を追加投入しその18分経過後の観察図である。ここでは、第3槽目の沈殿物分離部4の沈澱部7に軟質の汚泥の沈殿が始まる状態を示している。
図3(c)は図3(b)に引き続き約600ccの懸濁水を追加投入して静置しその15分経過後の観察図である。ここでは、各槽の沈澱部7にそれぞれ沈殿した沈殿物の圧密が進行する状態を示している。
【0034】
なお、懸濁水の沈殿浮上分離方法は、その流れの変化により液中の固形分を沈殿させる沈殿物分離工程に加えて、沈殿部7の底部から沈殿物や処理水を所定流量で排出させて沈殿部7の上部に形成されるカルマン渦の列を安定状態に制御する水流制御工程を備えるようにしてもよく、これによってさらに良好に懸濁水の分級分離を行うこともできる。
【0035】
実施の形態1の懸濁水の沈殿浮上分離構造及びこれに適用される沈殿浮上分離方法は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(a)懸濁水や処理水を下降流から上昇流に半強制的に立体的に反転させ、この流れの変化により固形分を沈殿部7に効率的に沈殿させることができる。
(b)沈殿部7に排出部を備えることもできるので、貯留された沈殿物を連続的又は間欠的に排除することができ、沈殿物分離部2〜4における懸濁水の流れを定常に維持させ分離処理を効率的に行わせることができる。
(c)下流側に配置される沈殿物分離部の内容積を上流側より大きくして、浮上部8a及び沈殿部7における流れの速度を順次緩やかに減少させ滞留時間を長くすることにより、分離可能な固形分の含有量により異なる分離効率を適正に維持できる。
(d)沈殿物分離部2〜4を連設させるので、上下動を繰り返す懸濁水の立体的な流れを形成させ、浮上部8aにおける浮上分離と沈殿部7における沈殿分離とを並列させて分離処理を行うこともできる。
(e)下降流路や上昇流路を流れる懸濁水の流量や、沈殿部7の底部から抜き取る沈殿物や懸濁水の流量等を制御することにより、下降流路と上昇流路下端の隔壁部の近傍に発生するカルマン渦などを安定的に形成させ、これによって処理水を静置沈降させる場合と同様の優れた沈殿効果が得られる。
(f)沈殿物分離部2〜4毎に流れの速度が異なるので、沈殿部7や浮上部8aで回収される分離物の分級特性に優れており、懸濁水中から回収された固形分をさらに有効に活用できる。
(g)所定量の懸濁水を沈殿浮上分離構造1に供給するだけで分級処理が行えるので、装置のメンテナンス性や運転制御性に優れている。
(h)処理する懸濁水の流量や、沈殿部7から抜き取る沈殿物や懸濁水の流量等を制御する水流制御工程を備えることができ、立体的に構成された流路にカルマン渦を安定的に形成させることができ、沈殿効果を更に高めることができる。
【0036】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の懸濁水分離処理システムについて図面を参照しながら説明する。
図4は実施の形態2における懸濁水分離処理システムの模式図である。
図4において、10は実施の形態2における懸濁水分離処理システム、11は懸濁水が円筒状周壁の接線方向に配置された懸濁水供給管12を介して供給され、円筒状天井中央部に設けられた処理水排出管11aから処理水Aを排出する液体サイクロン、13は液体サイクロン11の円錐状底部の中心吐出孔11cに逆円錐状に形成された頂部の取水部24が接続され処理水Bが供給されると共に沈殿物収集槽13aで沈殿した固形分を沈殿物排出路に接続された沈殿物排出管13bを介して沈殿物を分離排出し、底部中央に設けられた中心底部排水管13cから処理水Cを排出する分離分級装置、14は沈殿物収集槽13aの底部に配置される沈殿物排出管13bに着脱自在に取り付けられる排出孔をその底部に備えた沈殿物収集ブロック、15は分離分級装置13で固形分が沈殿除去された処理水Cの一部又は全部を底部の中心底部排水管13cから取り出して液体サイクロン11の懸濁水供給管12に還流させる流体加速部の一部を構成する循環ポンプ、16は液体サイクロン11の処理水排出管11aに接続され処理水Aが底部中央に設けられた中心給水管16aを介して下方から上方に向かって供給されて沈殿物と浮上物が分離処理された処理水Dが壁部に設けられた器体壁部排水管16bを介して排出されると共に底部に設けられた沈殿物収集ブロック14の沈殿物排出路に接続された沈殿物排出管16cを介して沈殿物を排出するための沈殿浮上分離装置、17は沈殿槽、用水路、排水路、養殖用水槽、沈殿池等からその懸濁水を所定圧力と流量で液体サイクロン11に導入するための懸濁水供給ポンプ、18は液体サイクロン11の処理水Aを沈殿浮上分離装置16に供給するための移送ポンプである。
懸濁水分離処理システム10は、懸濁水が供給される液体サイクロン11、その下部に配置された分離分級装置13、及び液体サイクロン11からの処理水が供給される沈殿浮上分離装置16、液体サイクロン11内に所定の水流を生成させる循環ポンプ15を主要部として構成されている。これによって、懸濁水分離処理システム10に供給される懸濁水中の固形分を沈殿物や浮遊物として分離して、浄化された処理水が得られるようになっている。
【0037】
図5は分離分級装置の要部拡大断面図である。
図5において、13は分離分級装置、20は分離分級装置13の全体を収容する円筒状の器体壁を有する器体、21は器体20内の底部に同心円状に複数配置され上部側に立設されその高さが順次中心側に向かって低く形成された壁部を有する下部隔壁、22は下部隔壁21間の底部に同心円状に配置され沈殿物収集ブロック14が敷設された沈殿物収集槽、23は下部隔壁21間に挿入され同心円状に複数配置され下部側に垂設されその下端位置を中心側に向かって順次下げて形成された壁部を有する上部隔壁、24は器体20内上部の中心位置に配置され液体サイクロン11の中心吐出孔11cから供給される処理水Bが内部に吐出される取水部、25は上部隔壁23の上部側を傘状に覆設して形成されその傘状の周縁部が器体20の壁部に間隔を有して配置された水流分配部、26は水流分配部25の頂部に先端が球状や円錐形状又は流線形状に突出して形成され、中心吐出孔11cに挿入された状態に支持された液体サイクロン11内の一次流のみを選択的に誘導するための分流キャップ部、13dは水流分配部25の水流分配部内側、13eは分離分級装置13の各上部隔壁23の間に形成された貫通孔である。尚、貫通孔13eを設けることにより液体サイクロン11と分離分級装置13の圧力バランスを容易に保つことができ、循環ポンプ15のキャビテーションを防止できる。貫通孔13eは液体サイクロン11や分離分級装置13の容量及び循環ポンプ15の制御によっては設けなくてもよい。
上部隔壁23及び水流分配部25は器体20内の底部に配置された図示しない支持体で支持固定されている。なお、上部隔壁23と水流分配部25とは図示するように一体に形成するか又は別体に形成し固定手段で固定することもできる。分流キャップ部26により液体サイクロン11の中心部に集まる浮遊物が水流分配部25内に入るのを防ぎ処理水排出管11a側に押しやることができる。
処理水の流路は上部隔壁23及び下部隔壁21、器体20の底部とで形成され、処理水は器体20の周縁側から中心側に向かって上下に反転しながら移動し、この移動の際に固形分が沈殿物収集ブロック14の凹面状の上面に沈殿して最終的に中心底部排水管13cから排出されるとともに、固形分は沈殿物排出管13bから排出される。
なお、本実施の形態では各沈殿物収集ブロック14及び下部隔壁21の上端、上部隔壁23の下端は同心円状の中心側にいくほど順次高さを低く配置しているが、適用する懸濁水の種類や、設備の環境条件等に応じて逆に中心側に向かってこれらの高さを高くしたり、同一高さで配置したりすることもできる。
【0038】
沈殿物収集ブロック14は凹面状に形成された上面の中央に開口した開口部と、開口部に連通した沈殿物排出管13bとを備えたコンクリート製等のブロックであり、隣接する該ブロック間等が沈殿物排出管13bを介して互いに連通して配置され、この上面に堆積した粘着性の高いスラッジ等を沈殿物排出管13bで集約させて外部に排出することができる。なお、沈殿物排出管13bの排出側を真空ポンプ等で吸引して、沈殿物の除去を効率的に行うこともできる。
同心円上に配置された沈殿物収集槽13aの底部には略扇型などに形成された沈殿物収集ブロック14が敷設され、その排出孔が沈澱物収集槽13aに設けられた沈殿物排出管の基端部に着脱自在に接続されて沈澱物が外部に排出されるようになっている。
【0039】
図6は沈殿浮上分離装置の要部模式図であり、図7(a)はその中心給水管周辺の要部拡大斜視図、図7(b)は沈澱浮上分離装置の要部断面平面図である。図6において、16は沈殿浮上分離装置、30は沈殿浮上分離装置16の全体を収容する円筒状の器体壁を有する器体、31は器体30内の底部に同心円状に複数配置され上部側に立設されその高さが中心側に順次低くして形成された壁部を有する下部隔壁、32a〜32cは下部隔壁31間の底部に同心円状に沈殿物収集ブロック14が敷設された第1段〜第3段の沈殿物収集槽、33は下部隔壁31間に挿入され同心円状に複数配置され下部側に垂設されその下端位置を順次中心側に下げて形成された壁部を有する上部隔壁、34は中心給水管16aの上部中央の器体30内に配置された整流部、35は器体30の外側全周に渡って形成され所定部に越流用スリット35aを備えた越流堰である。
図7(a),(b)において、36は整流部34から器体30の内周壁に放射状に立設され器体30を少なくとも2以上に分割し、整流部34から器体30の周壁に流れる懸濁水を流れの方向に向かって小割分割する放射隔壁、37は中心給水管16aから供給された処理水の吐出口に設けられたゲート、37aはゲート37の開口部に覆設され上下方向にスライドされて開閉自在に取り付けられた開閉具、38は小割分割された沈澱物収集槽32a〜32cの底部に樹枝状に連結された沈殿物排出管16cに取り付けられた流量調節用のバルブである。なお、本図において放射隔壁36で囲まれる一部について説明したが、器体30内の底部全体に同様に沈殿物収集槽32a〜32c及び沈殿物排出管16cが配設されている。また、上部隔壁33は省略している。
ここで、整流部34及び中心給水管16aの周壁形状をゲート形状を容易にするため多角柱状に形成してもよい。ゲート37の高さは中心給水管16aと整流部34の間隔、もしくは少し小さめに形成される。開閉具37aはゲート37を上下にスライドするもの等が用いられる。
これにより、中心給水管16aから供給された流体が外周方向へ拡散する時に発生する可能性のある密度流や短絡流を放射隔壁36によって防止し懸濁水の分離分級効果をさらに増進させることができる。また、特に大型の沈殿浮上分離装置では上部隔壁33を放射隔壁36によって固定でき施工方法が簡素化される。更に、懸濁水が沈殿浮上分離装置の小割分割された該槽を通過してこれに隣接された槽を流れる懸濁水と混入することが無い。このため、各小割分割された該槽毎に処理水吐出口開閉ゲートや沈殿物排出管及びバルブを取り付けることにより各小割分割された該槽ごとの管理運転ができ、各小割分割された槽ごとの流量調整や、他の槽にトラブルが発生した場合の部分運転が可能となる。
上部隔壁33は器体30内の底部に配置された図示しない支持体により支持されて固定されている。処理水Aが器体30内を流れる流路は上部隔壁33及び下部隔壁31、沈殿物収集ブロック14を備えた沈澱物収集槽32a〜32cとで形成され、処理水Aは器体30底部の中心給水管16aから上方に向かって吐出されて、中央部に配置された整流部34の凹面状に形成された底面に衝突し、器体30の周縁部側に向かって上下に反転しながら移動する。この移動の際に固形分が沈殿物収集ブロック14の凹面状の上面に沈殿して沈澱物排出管16cから排出されると共に、浮上分離された処理水が最終的に器体壁部排水管16bから排出される。
なお、本実施の形態では中心給水管16aが器体30の底部中央に配設されているが、施工の簡素化や施工コスト削減のため器体30の頂部に配設することも可能である。
【0040】
沈殿物収集ブロック14は凹面状に形成された上面の中央に開口した開口部と、開口部に連通した沈殿物排出管16cとを備えたコンクリート製等のブロックであり、隣接するブロック間等が沈殿物排出管16cを介して互いに連通された状態に配置され、この上面に堆積した粘着性の高いスラッジ等を沈殿物排出管16cで集約させて外部に排出させる。なお、必要に応じて沈殿物排出管16cの排出側を真空ポンプ等で吸引して、沈殿物除去を効率的に行うこともできる。
同心円状に配置された沈殿物収集槽32a〜32cの底部には略扇型などに形成された沈殿物収集ブロック14が敷設され、凹面状に形成された上面の開口がそれぞれ沈殿物排出管16cに連設されて配置されている。
【0041】
図8は沈殿物排出系の模式図である。
図8において、39は沈殿物排出管16cに接続された逆止弁、40は逆止弁39を介して連設された沈殿物貯留部、40aは沈殿物貯留部40に内設された遮蔽板、40bはピストン機構を有する駆動装置、40cは駆動装置40bのピストン機構先端のラム、40c´は沈殿物貯留部40とラム40cが接触する部分に備えられた密封部、40dは沈殿物貯留部40の排出口、40eは沈殿物貯留部40の排出口40dに接続された逆止弁である。
以上のように構成された沈殿物排出装置について図面を参照して説明する。
沈殿物排出管16cに沈殿した沈殿物は逆止弁39を介して排出され複数の沈殿物排出管16cは1本に統合された後、容器状に密閉された空間を有する沈殿物貯留部40に排出され貯留される。そして沈殿物貯留部40内に円柱状や角柱状に形成されたラム40cの先端を進退させるピストン機構を有する駆動装置40bを連設させ、ラム40cの先端を進退させることにより沈殿物貯留部40内の貯留された沈殿物を加圧して外部に押し出し、沈殿物貯留部40に連設された排出口40dから逆止弁40eを介して排出させる。これにより、管内が高粘度や大きな沈殿物で閉塞された場合でも容易に沈殿物を取り除くことができる。
ここで、遮蔽板40aは沈殿物貯留部40に内設され沈殿物排出管16cからの沈殿物が噴出し駆動部等に散乱することを防止する。
【0042】
図9(a)は各沈殿物収集ブロックの沈殿物排出路を同心円毎に連設させた状態の配置図であり、図9(b)は各沈殿物収集ブロックの沈殿物排出路を樹枝状に集合させたパターンを示す配置図である。
図9(a)において、41〜43は同心円状の最も内側から順に配置された第1〜第3段の沈殿物収集槽、44〜46はそれぞれ第1〜第3段の沈殿物収集槽41〜43毎の沈殿物収集ブロック14に沈殿物排出路を集合させて連設した沈殿物集合排出管である。この場合には沈殿特性の異なる固形分をそれぞれ分離させた状態で取り出して以降の後処理等を効率的に行うことができる。
図9(b)のように、沈殿物収集ブロック14の沈殿物排出路47を中心部分等の1ヶ所に集合させた場合には、一括して沈殿した固形分を処理でき、処理性能に優れている。
なお、放射隔壁を備えた沈殿浮上分離装置の沈殿物排出路については各小割分割された槽ごとの運転のため、槽ごとに連結されて樹枝状に形成された沈殿物排出管が適用される。
【0043】
続いて以上のように構成された実施の形態2の懸濁水分離処理システム10を適用する懸濁水の処理方法について図面を参照しながら説明する。
まず、図4に示すように、懸濁水供給ポンプ17を作動させて、汚水管や沈殿槽等から所定流量の懸濁水を懸濁水供給管12を介して液体サイクロン11の円筒部の接線方向から供給して、内部に旋回流を生成させる。この旋回流の遠心力により、懸濁水中の固形分がその重量や大きさ毎に分離分級され、浮遊物質等の比較的小さな粒子を含み又は固形分が低減された処理水Aが天井部の処理水排水管11aから排出される。
一方、循環ポンプ15(流体加速部)を作動させることで、分離分級装置13に接続された液体サイクロン11下部の中心吐出孔11cから内部の処理水Bが抜かれて、分離分級装置13で固形分の分離処理がなされた処理水Cが懸濁水供給管12に戻されるので、液体サイクロン11内の旋回流の流れを加速して分離処理を強化できる。
なお、循環ポンプ15を介して懸濁水供給管12に処理水Cを還流させる際に循環ポンプ15で所定圧力に加圧された処理水Cを懸濁水供給管12内に設けた絞り部にノズルを用いて噴出させ、絞り部の近傍に設けた給水孔から固形分を含む懸濁水を供給するエジェクター式のポンプを用いることもできる。このようなエジェクター式のポンプを用いる場合は可動部分がないので、懸濁水を大量に処理しても磨耗量が少なく、耐久性とメンテナンス性とに優れる。
また、液体サイクロン11から排出された処理水Aは沈殿浮上分離装置16の中心給水管16aを介して供給される。
分離分級装置13の沈殿物排出管13b及び沈澱浮上分離装置16の沈殿物排出管16cから排出された沈澱物と水を含む汚泥やスラッジなどは真空ポンプ等を介して処分場などに移送され、沈殿物の除去処理が効率的に行える。
この処理水Aは、整流部34底面の凹部に吹き上げられて流れの方向を変えた後、下部隔壁31及び上部隔壁33間の流路を上下しながら固形分を各沈殿槽に沈殿させながら器体30の周壁に到達して器体壁部排水管16bから浄化された処理水として排出される。また、各沈殿槽に堆積した沈殿物は沈殿物収集ブロック14に設けられた沈殿物排出管16cから外部に排出される。
【0044】
実施の形態2の懸濁水分離処理システム10は以上のように構成されているので、以下のような作用が得られる。
(a)液体サイクロン11内に旋回下降流を生成することができるので、サイクロン内の一次流や二次流に相互に関連しあう渦流を動的に生成することができ、懸濁水中の固形分の分散を促進させて分離効率を向上させることができる。
(b)循環ポンプ15等の流体加速部により循環させる処理水の流量を調整することができ、液体サイクロン11の設備仕様に制約されることが少なく、種々の懸濁水を適切かつ大量に処理できる。
(c)循環ポンプ15には分離分級装置13で予め固形分の除去された処理水が供給されるので、ポンプ系や配管系等に負荷をかけることが少なく、メンテナンス性や経済性に優れる。
(d)処理水Bは上部隔壁33と下部隔壁31との間を交互に上下しながら中心方向に移動して、上部隔壁33と下部隔壁31との間に同心円状に配置された各沈殿物収集槽13aの底部に固形分を比重もしくはサイズ毎に沈殿させることができるので、これによって固形分の分離効率が高められる。
(e)沈殿物収集槽13a毎に比重、形状、大きさ等の性状の異なる沈殿物を収集することができ、各沈殿物毎にそれぞれ適した処理を行うことができ、以降の処理された沈殿物をそのサイズ等の性状に応じて有効利用を図ることができる。
(f)沈殿物収集ブロック14を有しているので、沈殿する固形分を凹面状に形成された上面に溜めて、これを沈殿物排出管13b、16cを介して外部に排出することができる。
(g)沈殿物収集槽13aの形状に適合させて分割形成された大きさの沈殿物収集ブロック14をその底面に多数敷設して配置でき、沈殿物収集槽13aの施工を容易にできる。
(h)液体サイクロン11内に形成される一次流と、二次流とを分離して、一次流のみを選択的に取水部24に誘導して固形分含有量の少ない二次流の流れ込みを防止することができる。二次流の流れ込みがないので、液体サイクロン11内の二次流を安定的に形成でき、これによって懸濁水の分離分級効果をさらに増進させることができる。
(i)流体加速部により循環させる処理水などによって、液体サイクロン11内に形成される二次流を安定化状態に制御できるので、強制吸引が可能となり旋回流の流量を大きくして強化でき、少ない動力でシステムを有効に稼動できる。
(j)液体サイクロン11から排出される処理水に浮遊する浮遊物を捕捉すると共に、固形分を沈殿物として分離分級することができる沈殿浮上分離装置16を備えるので、懸濁水の浄化をさらに効果的に行うことができる。
【0045】
(実施の形態3)
図10は実施の形態3の懸濁水分離処理システムにおける分離分級装置の要部断面模式図である。
図10において、50は実施の形態3の懸濁水分離処理システムの分離分級装置、51は全体を収容する凹面状に形成された天井部51aと円筒状の器体壁51bとを有する器体、52は天井部51aの凹状中央に開口部が配置された排出管、53は器体51の底部にブロック状に形成されて配置された沈殿物収集槽、54は沈殿物収集槽53の上部に傘状に覆設されその傘状の周縁部が前記器体51の壁部に間隔を有して配置された水流分配部、55は液体サイクロン11から処理水Bが排出される中心吐出孔11cに位置して分離分級装置50の取水部に形成された水流分配部54のくびれ部、56は水流分配部54の頂部に設けられた下向きに凹状の湾曲部を先端に有した分流キャップ部、57は水流分配部54の底面に形成された凹状球面部、58は水流分配部54の上下に貫通して設けられた通気通水用の貫通孔である。
実施の形態3の懸濁水分離処理システムは分離分級装置50の沈殿物収集槽53が単一の環状に配置されている点と、凹面状に形成された天井部51aとその凹状中央に設けられた浮遊物を選択的に排出することのできる排出管52を有している点とで実施の形態2のものと異なっている。なお、その他の主要構成は同様なので、これらについての説明を省略する。
【0046】
実施の形態3の懸濁水分離処理システムは以上のように構成されているので、実施の形態1及び2の作用に加えて以下の作用を有する。
(a)分離分級装置50においては、固形分を沈殿物収集槽53に沈殿させて除去できるだけでなく、分離分級装置50に流入した比較的軽い浮遊分をも排出管52を介して同時に捕捉できる。したがって、浮遊分までを含めた懸濁水の処理をより確実に行うことができ、信頼性の高い水処理を行うことができる。
(b)凹面状の天井部51aにより分離分級装置50内上部に形成された空間を、液体サイクロン11の中心吐出孔11cから流入する処理水Bを高速流から低速流に変換させるための圧力変換室として機能させることができるので、固形分の沈殿効率と浮遊分の浮上効率を共に高めることができ、懸濁水の分離分級精度をさらに向上させることができる。
(c)沈殿物収集槽53の構成を簡略化できるので、施工時における経済性とメンテナンス性とに優れている。
(d)流入する液体が高流速の旋回流であり軽質分が上部側に放出されるので、特に液液分離に適し、含油排水に適用して油流出時の分離にも用いることができる。
【0047】
(実施の形態4)
図11(a)は水流分配部の周縁部が最内周の上部隔壁に接続された状態における実施の形態4の分離分級装置の要部断面模式図であり、図11(b)は水流分配部の周縁部が最外周より内側の上部隔壁に接続された状態における実施の形態4の分離分級装置の要部断面模式図である。
図11において、60は実施の形態4の懸濁水分離処理システムの分離分級装置、61は分離分級装置60の円錐状の天井部61aと円筒状の器体壁61bとを有する器体、62は器体61内の底部に同心円状に配置され上部側にその高さが順次中心側に向かって低く形成されて立設された壁部を有する下部隔壁、63は下部隔壁62間の底部に同心円状に配置され沈殿物収集ブロック14が敷設された沈殿物収集槽、64は下部隔壁62間に挿入され同心円状に複数配置され下部側に垂設されその下端位置を中心側に向かって順次下げて形成された壁部を有する上部隔壁、65は器体61内の中心位置にその吐出口が配置され液体サイクロン11の中心吐出孔11cから供給される処理水Bが内部に吐出される取水部、66は傘状に形成されその傘状の周縁部が最内周の上部隔壁64に接続された水流分配部、66aは上部隔壁64の上部側を傘状に覆設して形成されその傘状の周縁部が最外周より内側の上部隔壁64に接続された水流分配部、67は水流分配部66の頂部に先端が球状や円錐形状又は流線形状に突出して形成され、中心吐出孔11cに挿入された状態に支持された分流キャップ部である。
実施の形態4の懸濁水分離処理システムは、分離分級装置60の水流分配部66,66aの周縁部が最内周や最外周より内側の上部隔壁64に連設されて配置されている点で実施の形態2のものと異なっている。なお、その他の主要構成は同様なので、これらについては同一の符号を付してその説明を省略する。
【0048】
実施の形態4の懸濁水分離処理システムは以上のように構成されているので、実施の形態2の作用に加えて以下の作用を有する。
(a)上部隔壁64に連設される水流分配部の周縁部を、分離分級装置60内に供給する水流の流量や固形分の比重、粒度等の性状に応じて、同心円状に配置された最内周から最外周までの上部隔壁64のいずれかに設定でき、より適正かつ効果的に懸濁水の処理を行うことができる。
(b)最内周の上部隔壁に水流分配部の周縁部を接続した場合には、その外周側の沈澱物収集ブロック14を単なる沈澱槽として用いることができる。なお、この沈澱槽上の上部隔壁64は上方から流下する水流に対する整流用ガイドとしての機能を有するが、この場合は省略することもできる。
【0049】
(実施の形態5)
図12(a)は実施の形態5の懸濁水分離処理システムの分離分級装置における分流キャップ部の要部断面模式図であり、図12(b)はその斜視図である。図12において、70は実施の形態5の懸濁水分離処理システムの分離分級装置における分流キャップ部、71は下向き凹面状に湾曲した疑似円錐面を有して突起して形成された分流キャップ部の分流キャップ、72は分流キャップ71を支持すると共に水流を旋回させるように所定の角度を有して羽根車状に形成された支持脚部、73は中心吐出孔11c周囲の面に嵌合して固定される円錐面を有した支持用外枠である。
分流キャップ部70の上部はその水流方向の上端部が先鋭状に形成され、その基端側が上方に湾曲した裾野部を有しており、この先端に向かって流下する水流を上方に反転させることができ、これによって、液体サイクロン11の円錐状底部から上方に反転する水流を増加させ、液体サイクロン11内での懸濁水の分離効果に寄与させることができる。
実施の形態5の懸濁水分離処理システムは、分流キャップ部70が独立して液体サイクロンの中心吐出孔11c周囲に支持用外枠73を介して固定されると共に、分流キャップ71を支持する支持脚部72が羽根車状に形成されている点で実施の形態2のものと異なっている。なお、その他の主要構成は同様なので、これらについては同一の符号を付してその説明を省略する。
【0050】
実施の形態5の懸濁水分離処理システムは以上のように構成されているので、実施の形態2の作用に加えて以下の作用を有する。
(a)中心吐出孔11c内やその近傍に円錐状の頭部を有する分流キャップ部70が配置されているので、分流キャップ部70の形状や大きさ、支持脚部の傾斜方向や傾斜角度を選択することで液体サイクロン内に形成される一次流や二次流の状態を制御でき、分離分級装置の取水部からその内部に吐出される処理水の分離効率を高めることができる。
(b)液体サイクロン11内の二次流などの状態を安定化させることができるので、循環される旋回流の流量を大きくして分離処理を強化でき、システムを効率的に稼動させることができる。
(c)液体サイクロン11の中心吐出孔11cに接続される取水部(アンダーフローノズル部)側からポンプ等を介して強制吸引することで、液体サイクロン11内に形成される一次流を加速させることができ、大型の水処理装置への適用性に優れている。
(d)分離分級装置の取水部に分流キャップ部70が配置されるので、水流を一旦絞った後に器体内に広範囲に分散させて水流分配部の上に均一に散布することができる。
(e)分流キャップ71が支持用外枠73や支持脚部72を介して中心吐出孔11cに固定配置されるので、水流分配部とは独立にでき取り付けなどを容易にできる。
(f)羽根車状に形成された支持脚部72を備えるので、ここを通過する水流に旋回力を付与することができ、分離分級装置13に供給される処理水Bの流れを常時一定に維持させ、所定の分離性能を確保させることができる。
【0051】
(実施の形態6)
図13は実施の形態6の懸濁水分離処理システムの沈殿浮上分離装置の要部断面模式図である。
図13において、80は実施の形態6の懸濁水分離処理システムにおける沈殿浮上分離装置、81は円筒状の器体底部に同心円状に複数配置され上部側に立設されその高さが中心側に順次低くして形成された壁部を有する下部隔壁、82は下部隔壁81間の底部に同心円状に配置され沈殿物収集ブロック14が敷設された沈殿物収集槽、83は下部隔壁81間に挿入され同心円状に複数配置され下部側に垂設されその下端位置を順次中心側に下げて形成した壁部を有する上部隔壁、84は中心給水管16aの開口部上部の器体30内に配置され上部に開口を有し底部に設けられた支持部84aを介して支持されその底部が上側に凹面状に湾曲して形成された浮上物収集槽、85は浮上物収集槽84内にその開口から流入した浮遊物を含む処理水を外部に排出するための浮遊物排出管である。
実施の形態6の懸濁水分離処理システムは、浮上物収集槽84が支持部84aで支持され、その底部が球面状や湾曲状に上面側に凹面状に形成されている点で実施の形態2のものと異なっている。なお、その他の主要構成は同様なので、これらについては同一の符号を付してその説明を省略する。
液体サイクロン11から供給された処理水Aが中心給水管16aから上方に向かって吐出される。
この吐出された処理水は、中心給水管16aの開口部の上部に配置された浮上物収集槽84の凹面状の底部に当たって整流され底面に沿って層流状態で移動させるのを容易にしている。次いで、浮上物収集槽84の上端部でオーバーフローさせた浮遊物を含む処理水を浮上物収集槽84内に流入させて取り込む。
一方、最内周側の下部隔壁81を超えた処理水は上部隔壁83の下端部をくぐり抜けてその外周側の流路に下降から上昇に反転して移動する。この反転の際に水中の固形分が沈殿物収集ブロック14の凹面状に形成された上面に沈殿させることができる。こうして、処理水は上下反転を繰り返しながら器体の外周側に向かって流れ、同心円状に配置された沈殿物収集槽84毎に順次それぞれ特性の異なる沈殿物を分級された状態でそれぞれ得ることができる。
【0052】
実施の形態6の懸濁水分離処理システムは以上のように構成されているので、実施の形態2の作用に加えて以下の作用を有する。
(a)浮上物収集槽84の底部が上に湾曲して形成されているので、この浮上物収集槽84の底面側から供給される処理水の流れを均一に放射状に分散させて、以降の浮遊物及び沈殿物の除去を効率的に行うことができる。
(b)上部隔壁83の下端部及び下部隔壁81の上端部の位置を器体の中心側から周縁側に向かって順次高めているので、それぞれの沈殿物収集槽82毎に比重やサイズの異なる沈殿物を得るのを容易にできる。
【0053】
(実施の形態7)
図14は実施の形態7の懸濁水分離処理システムの沈殿浮上分離装置の要部断面模式図である。
図14において、90は実施の形態7の懸濁水分離処理システムの沈殿浮上分離装置、91は円筒状の器体底部から同心円状に複数立設配置されその上部が中心側に湾曲して形成された壁部を有する下部隔壁、92は下部隔壁91間に挿入され同心円状に複数配置され下部側に垂設され下部に湾曲部を有しその下端位置を順次中心側に下げて形成した壁部を有する上部隔壁、93は下部隔壁91の上端部にその端部側が対向して全体に湾曲して形成されその基端側が上部隔壁92に取り付けられた上部湾曲部、94は下部隔壁91の上端部と上部湾曲部93の下端部の間に形成されたスリットである。
実施の形態7の懸濁水分離処理システムは、上部隔壁及び下部隔壁の一部に湾曲部を有しており、これによって上部隔壁と下部隔壁によって形成される処理水の流路内に所定の広がりを有して水流を滞留させる空間を形成させている点で実施の形態2のものと異なっている。なお、その他の主要構成は同様なので、これらについては同一の符号を付して説明を省略する。
上部湾曲部93には必要に応じて、多数の貫通孔が形成された通水部を設けることができ、これによって下部隔壁91の上端部と上部湾曲部93の下端部間の開口部を流れる主水流とは別に、浮上滞留室と沈殿滞留室間を流れる副水流を導入して、全体の流れをより精密に制御でき、浮上滞留室と沈殿滞留室におけるそれぞれの浮上効果と沈殿効果とをさらに良好に維持できる。
上部湾曲部93の端部及びこれに対向して配置される上部隔壁92の湾曲した下端部のスリット94の間隔、例えば上部隔壁92間の長さに対して、その1/10〜1/4程度に流路を狭めて設定することができ、この絞り効果と、流路を流れる処理水をショートパスさせることなくカーブさせる遅延効果と相まって浮上沈殿効果を適性に保持させている。
【0054】
実施の形態7の懸濁水分離処理システムは以上のように構成されているので、実施の形態2の作用に加えて以下の作用を有する。
(a)上端部が湾曲して形成された下部隔壁91と上部隔壁92に設けられた上部湾曲部93とによって所定の広がりを有して湾曲した流路が形成される。これによって流路が上部側と下部側とに仕切られるので、上部側を浮遊成分等を浮上させるための浮上滞留室として機能させ、下部側を固形分を有効に沈殿させるための沈殿滞留室としてそれぞれ有効に機能させることができる。
(b)一般に水路が浅くなれば沈殿物が速く底部に到達し、沈殿物は底方向に運ばれ下方の沈殿滞留室でその水流より開放される。したがって沈降はその位置から底までの距離に短縮される。即ち、沈澱滞留室からその流れに乗って流出する沈殿物は次の沈澱滞留室に運ばれそこで開放される。この時その沈澱滞留室内における流速は断面積の拡大によって遅くなる。この水流の物体に与える力は一般にD=k・1/2ρ・v・Aで与えられる。但し、kは抗力係数(水流が層流の場合レイノルズ数Reに依存する)、ρは水の密度又は粘度、vは流速、Aは物体の投影面積である。
このように流速が遅くなれば固形分が沈降し易くなり、浮上と沈降とを強調するための隔壁間の隘路を極限までも短縮することが可能となって、結果として槽の水深を浅くすることができる。
(c)また、沈澱滞留室にある水は流入口より分配された水がストレートに流下したものであり、混ざることがなく同質に維持される。
【0055】
(実施の形態8)
図15(a)は実施の形態8の懸濁水分離処理システムにおける沈殿物収集ブロックの要部断面図であり、図15(b)はその変形例を示す沈殿物収集ブロックの要部断面図である。
図15において、100、101は実施の形態8の懸濁水分離処理システムにおける沈殿物収集ブロック、102は沈殿物収集ブロック100、101の凹面状に形成された上面、103は上面102の中央に形成された開口、104は沈殿物収集ブロック100、101の内部に形成された沈殿物排出路、105は開口103の直下の空間に上下移動自在に配設され上部が開口の絞り部に当接して開口103を開閉する可動子、106は可動子105を開口103の絞り部に当接させるためのバネ等の弾性体、107は可動子105の上部に固定され、上面102より突出した状態で連設された開口103に流れこむ水流の状態を調整するための円錐形等に先端が形成された整流子である。
【0056】
実施の形態8の懸濁水分離処理システムは、分離分級装置13や沈殿浮上分離装置16の沈殿物収集ブロック100,101がその開口103の直下に水流を遮断する可動子105を有した開閉機構を備えている点で実施の形態2のものと異なっている。なお、その他の主要構成は同様なので、これらについては同一の符号を付してその説明を省略する。
圧延工場等の排水を処理する場合、懸濁水分離処理システムにおける沈殿物収集ブロックは、その凹面状に形成された上面にコンクリート粉、スケール、砂等の微細な沈殿物が堆積して、その除去には多大の労力を要する。
ここでは可動子105を開口103に設けているので、可動子105に所定の圧力が付加されるまでは沈殿物排出路104が閉鎖された状態に維持される。
そして、開口103に所定量の沈殿物が蓄積された時に可動子105が下がって一気に沈殿物が沈殿物排出路104を介して排出されるようにしている。
可動子105を押し下げて開放状態にさせるには、▲1▼沈殿物排出路104に連設されたポンプの吸引力、▲2▼開口103に掛かる静圧、▲3▼少しでも水が流れ出したときに水流が開口103で絞られるエジェクター効果による吸引力、▲4▼堆積物の開口103に掛かる重量等を利用することができ、これらを適宜選択して用いることができる。
【0057】
実施の形態8の懸濁水分離処理システムは以上のように構成されているので、実施の形態2の作用に加えて以下の作用を有する。
(a)沈殿物収集ブロック100、101が可動子105を備えた弁機構を有するので、汚泥や汚水を貯めた後、一気に流すことができるので、汚泥の滞留が少なく、沈殿物排出路104が常時使用可能な状態に維持され、メンテナンス性に優れる。
(b)可動子105に連設させて整流子107を設けた場合は、可動子105が押し下げられて水流が発生した際に、整流子107によってその水流を安定化させることができる。
(c)整流子107をフロートとしても用いることができ、浮力により弾性体106の機能を補完することができ、さらにメンテナンス性を良好に維持させることができる。
【0058】
(実施の形態9)
図16は実施の形態9の懸濁水分離処理システムの流体加速部に適用されるエジェクタ部の要部断面模式図である。
図16において、110は実施の形態9の懸濁水分離処理システムにおける2段構成のエジェクタ部、111は懸濁水が供給される供給管111aに一端側が連設され中央部が膨出状に形成されその他端側がノズル状に突出した一次ノズル部、112は一次ノズル部111の先部が嵌合するように挿入された排出管部、113は一次ノズル部の内部中央に配置され液体を噴出させる二次ノズル部、114は排出管部112の膨出状に形成された基部側の液体を吸引あるいは供給するための通水管である。
エジェクタ部110は一次ノズル部111及び二次ノズル部113の2段に構成され、二次ノズル部113に加圧された液体を供給して、これによるエジェクタ効果により、一次ノズル部111の供給管111a側から供給された懸濁水を所定の流速に加速できるようになっている。
なお、二次ノズル部113に供給する液体は別に外部から導入するが、通水管114を介して供給管111a内部の懸濁水を採取してこれをポンプ等で循環させて用いることもできる。
【0059】
実施の形態9の懸濁水分離処理システムは以上のようなエジェクタ部110を備えて構成されているので、以下の作用を有する。
(a)流体加速部がエジェクタ部110を有するので、昇圧不可能な懸濁流体も流速を高めて液体サイクロンに供給でき、旋回流を生成させることができることで、沈殿分級効率を高めることができる。
(b)流路拡大部には機械的な可動部分がなく目詰まり等を起こすことがないので、大量の懸濁水を処理する際のメンテナンス性に優れている。
(c)装置自体をコンパクトに構成することができ、小規模設備にも容易に適用できる。
(d)液体サイクロンに投入される懸濁水の流速が増幅され液体サイクロン内に形成される旋回流が強化される。
(e)供給管内に懸濁物を包むように水流が形成され、しかも乱流状態で撹拌されるので、その見かけの流動抵抗を低下させることができ、大型の懸濁物を含むような流体であってもその供給速度を高めることができる。
(f)エジェクタ部110を多段にして用いることもでき、所要の処理能力を備えた液体加速部を構成できる。
【0060】
(実施の形態10)
図17は実施の形態10の懸濁水分離処理システムに適用される沈殿浮上分離構造を備えた密封型の分離分級装置の模式概念図である。
図17において、120は実施の形態10の懸濁水分離処理システムにおける密封型の分離分級装置、121〜124はその底部に沈殿部を備え上部に上部隔壁121a〜124aを有して下降流路と上昇流路とが区画形成された沈殿物分離部、125〜127は沈殿物分離部121〜123の上部に設けられた上昇流を下降流に反転させる浮上部、128は浮上部125〜127上に設けられた分離液と浮上物が貯留される浮上物貯留槽、129は最上流側の沈殿物分離部121に懸濁水などを供給する供給管、130は最下流側の沈殿物分離部124から沈殿浮上処理された処理水を排出するための排出管、131は浮上物貯留槽128の上部側から浮上物を抜き取るための浮上物採取管、132は浮上物貯留槽128の底部側から分離液を採取するため分離液採取管である。
なお、浮上物貯留槽128を設けることなく各浮上部125〜127の上部にそれぞれ分離液や浮上物を取り出すための排出管を設けて、これにより浮上部125〜127の上部に滞留する浮上物等を排出するようにしてもよい。
また、ここでは、略箱状でそれぞれ内容積を順次大きくした沈殿物分離部121〜124を全体を一方向となる直線状に並列配置しているが、円環状に形成した複数の沈殿物分離部をそれぞれ同心円状となるように配置して、設置スペースを効率的に利用したり処理効率が高められたりするようにしてもよい。尚、沈殿物分離部121〜124の各底部には図示しない沈殿物排出管が配設されている。
【0061】
実施の形態10の懸濁水分離処理システムにおける分離分級装置120は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(a)全体が密封されて構成されており、処理中に発生するメタンや硫化水素などの悪臭による環境問題を防止でき、環境保護性に優れている。
(b)上昇流路及び下降流路の上部を傾斜させて配置しているので、全体をコンパクトに構成して、スペースの活用性に優れている。
(c)各沈殿物分離部の沈殿部に排出管を設けて、ここから沈殿物及び懸濁水の一部を所定流量で排出すると共に、浮上物貯留槽128の浮上物採取管131及び分離液採取管132から浮上物や分離液を所定量取り出すことにより、供給管129から供給される懸濁水の沈殿浮上状態を制御でき、沈殿浮上処理における制御性に優れている。
【0062】
(実施の形態11)
図18(a)は実施の形態11の懸濁水分離処理システムの沈殿物収集ブロックの斜視図であり、図18(b)はその側面断面図であり、図19は沈殿物収集槽底部の沈殿物収集ブロックの設置状態を示す分解斜視図である。
図18において、140は実施の形態11の沈殿物収集ブロック、141は沈殿物収集ブロック140の凹面状に形成された沈殿物受面、142は沈殿物受面141の中央に開口して形成された開口部、143は開口部142に連設され沈殿物受面141の曲率より大きな曲率で略半球状や湾曲状に形成された沈殿室、144は沈澱室143の底部に貫通して形成された排出孔、145は排出孔144に着脱自在に嵌合するフランジ等の接合部145aを備えた沈殿物排出管である。
沈殿物収集ブロック140は、コンクリート製や合成樹脂製であって、沈殿室143や沈殿物受面141となる中子等を型枠の中央部に配置して、コンクリート等の材料を鋳込んで硬化させるなどの鋳込み成形方法等で製造することができる。
なお、排出孔144に当接する沈殿物排出管145の接合部145aにオーリング等のシール材を配置して水漏れを防止するようにしてもよい。
沈殿物収集ブロック140は全体が略矩直方体状(器体が直方体状の場合)や扇形状(器体が円筒状の場合)に形成され、その略凹面状に形成された沈殿物受面141の中央に開口した開口部142が配設されている。開口部142は略円形になっていて、その開口面積は沈殿物受面141の全面積に対して1/5〜1/2の範囲に形成することが望ましい。これは、懸濁水の種類やその処理量などにもよるが、この開口面積が1/5よりも小さくなるにつれ、沈殿物により閉塞しやすくなる傾向が表れ、逆に1/2を超えるにつれ、沈殿物受面が相対的に狭くなって、上方から沈殿してくる沈殿物を有効に捕捉できなくなる上に沈澱室143を有効に形成させるのが困難になる傾向が表れるので好ましくない。
また、沈殿物収集ブロック140における沈殿物受面141の深さXと、沈殿室143の深さYとの比X/Yは、0.25〜1の範囲とすることが好ましい。これは懸濁水の処理量等にもよるが、比X/Yが0.25より小さくなると沈殿物受面141に堆積した沈殿物を開口部142に導くことが困難になる傾向が表れ、逆に比X/Yが1を超えると沈澱室143の容積が小さくなって沈殿物を保持させる実質的な機能がなくなる傾向が表れるからである。
次に、沈殿物収集ブロック140を用いて沈殿物収集槽等の底部に配設する施工方法について▲1▼大型槽、▲2▼中型槽、▲3▼小型槽の場合について説明する。
▲1▼大型槽:槽底に1以上の沈殿物排出管145を埋設し、その接合部145aに沈殿物収集ブロック140の排出孔144を載せることにより接続して配置する。
▲2▼中型槽:槽底を上架した槽又は槽底に配管類が配設できる有効な空間を有する槽において、槽底を貫通する連通管(沈殿物排出管)を所定の場所に配置し、連通管に合わせて1以上の沈殿物収集ブロックを載置することにより沈殿物収集槽を構築する。
▲3▼小型槽:槽底を構成する枠組の中に分割された槽底を固定し、槽底全体を構築するとともに、分割された槽底の各々に沈殿物収集槽の内面と連通する機能を持たせて制作する。
ここで、図19は沈澱物収集ブロックを複数敷設して構成される沈澱物収集槽底部の設置状態を示す分解斜視図である。図19において、146は多数の沈澱物収集ブロック140底部の排出孔144がその下側から立設された沈殿物排出管145の接合部145aに嵌合されて連結して敷設される沈澱物集槽である。なお、沈澱物排出管145は沈澱物収集槽の槽底の広さや懸濁水の処理量等に応じて適宜樹枝状や格子状に連結させて配置してもよい。
このようにして、沈殿物収集ブロック140を多様な形状の槽や、多様な大きさの槽に配置でき、沈殿物を分散して収集して排出することができる。
これにより流体分離処理の大型システムから小型のシステムまで対応して施工が可能となり幅広い分野での活用が実現できる。
【0063】
実施の形態11の懸濁水分離処理システムの沈殿物収集ブロック140は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(a)沈殿物収集ブロックが沈殿物受面141とその中央の開口部に沈殿室143を有するので、沈殿物受面141に沈殿する固形分を内壁面側が深く囲まれた下部に向かって縮小する沈殿室143に容易に導入することができる。この沈降過程で沈殿物の固形粒子間に介在する水の部分が放出されて圧密され、この圧密された沈殿物排出管145を介して効率的に外部に排出できる。
(b)沈殿物排出管145に着脱できる排出孔144が沈殿物収集ブロック140の底部に備えられているので、沈殿物排出管145が配設された基底部等に沈殿物収集ブロック140を載せるだけで容易に沈殿物収集槽を構築でき、設定作業性に優れている。
(c)沈殿物受面141に連設して沈殿室143が形成されているので、エクマン層流やスチュワートソン層流などの各種流れの中で沈殿物を沈殿室に送り込み、乱流や短絡流のような強い流れで曲面が覆われても沈殿物の再浮上が抑制でき保持安定性に優れている。
(d)円筒状や角筒柱状などに形成された沈殿物収集槽に適合させて分割された大きさの沈殿物収集ブロックを底面に多数敷設して配置することができ、沈殿物収集ブロック140で小分割されているために、敷設作業における作業性が向上し、工期が短縮される。
(e)沈殿物収集ブロック140の規格化が可能であり、量産化に適する。
【0064】
【発明の効果】
請求項1に記載の懸濁水の沈澱浮上分離構造によれば以下の効果を有する。
(a)沈殿物浮上分離構造が下降流路と上昇流路を有するので、懸濁水や処理水を下降流から上昇流に半強制的に反転させ、この流れの変化を利用して液中の固形分を沈殿部に効率的に沈殿させることができ、不溶分等の分離処理性に優れている。
(b)沈殿物分離部を複数直列に配置したり、この直列状に配置したものを単位として全体を並列に連設させたりすることもできるので、交互に上下動を繰り返す懸濁水の立体的な流れを形成させ、浮上部における浮上分離と沈殿部における沈殿分離とを効率的に行わせることができる。
(c)複数の沈殿物分離部のそれぞれの下降流路と上昇流路の上部を連設させて浮上部としているので、必要に応じてここで浮上物を回収することができ、全体の分離処理効率をさらに向上させることができる。
(d)下降流路や上昇流路を流れる懸濁水の流量や、沈殿部から抜き取る沈殿物や懸濁水の流量等を制御することにより、下降流路と上昇流路下端の隔壁部の近傍等に発生するカルマン渦などを安定的に形成させることができ、これによって懸濁水などの処理水を静置沈降させる場合と同様の優れた沈殿効果を発揮させることができる。
(e)上下方向に水流を制御して、沈殿浮上に伴う流体の抵抗を受ける微細な固形分(SS分)を流体の流れとともに槽底部(沈殿部)又は表層部に搬送することができる。この搬送されたSS分を沈殿部又は浮上部に取り出せる。
(f)懸濁水を緩やかに沈降させ、カルマン渦の発生により撹拌させ、SS分粒子間に包まれるように介在する間隙水を効果的に逃がして全体を収束圧密させ、崇密度の大きな沈殿物を得ることができる。特に、沈殿物分離部の下流側の容積を大きくしたり、下流側にいくにつれ該容積を大きくすることにより懸濁水の流れを緩やかにすることにより固形分の浮上効率を高めることができる。
【0065】
請求項2に記載の懸濁水の沈澱浮上分離構造によれば、請求項1の効果に加えて以下の効果を有する。
(a)沈殿浮上分離構造がその沈殿部に排出部を備えているので、貯留された沈殿物を連続的又は間欠的に排除することができ、沈殿物分離部における懸濁水の流れを定常に維持させ分離処理を効率的に行わせることができる。
(b)沈殿物分離部毎に沈殿物を取り出せるので、それぞれ粒度等の特性の異なる沈殿物に分級することができ、後処理工程における利便性に優れている。
(c)沈殿物収集ブロックが沈殿物受面とその中央の開口部に沈殿室を有するので、沈殿物受面に沈殿する固形分を内壁面側が深く囲まれた下部に向かって縮小する沈殿室に導入され、この沈降過程で沈殿物の固形粒子間に介在する水の部分が放出されて圧密され、この圧密された沈殿物を沈殿物排出管を介して効率的に外部に排出できる。
(d)沈殿物排出管を着脱できる排出孔が沈殿物収集ブロックの底部に備えられているので、予め沈殿物排出管が配設された基底部等に沈殿物収集ブロックを載せるだけで容易に沈殿物収集槽を構築でき、設定作業性に優れている。
(e)沈殿室の壁部の曲率を沈殿物受面の曲率より大きくして凹状の湾曲状などに形成しているので、沈殿物受面に堆積した沈殿物を容易に開口部に誘導して沈殿室に安定して収容することができる。
(f)円筒状や角筒柱状などに形成された沈殿物収集槽に適合させて分割された大きさの沈殿物収集ブロックを底面に多数敷設して配置することができ、沈殿物収集ブロックで小分割されているために軽量化が図られ、敷設作業における作業性が向上し、工期が短縮される。
【0066】
請求項3に記載の懸濁水の沈澱浮上分離構造によれば、請求項1又は2の効果に加えて以下の効果を有する。
(a)沈殿浮上分離構造がその浮上部に浮上物排出部を備えているので、浮上した浮上物を連続的又は間欠的に排除でき、流路を閉塞させたり流れを変動させたりすることなく懸濁水の流れを定常に維持させ分離処理を効率的に行うことができる。
(b)複数配設される浮上部毎に浮上物を取り出せるので、それぞれ性質の異なるものに分けることもでき、後処理工程における利便性に優れている。
【0067】
請求項4に記載の懸濁水の沈澱浮上分離構造によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の効果に加えて以下の効果を有する。
(a)下流側に配置される沈殿物分離部の内容積を上流側より大きくしているので、浮上部及び沈殿部における流れの速度を順次緩やかに減少させることができ、これによって、分離可能な固形分の含有量(濃度)などにより異なる分離効率を適正化して維持させることができる。
(b)各沈殿物分離部毎に流れの速度が異なるので、沈殿部や浮上部で回収される分離物の分級特性に優れており、懸濁水中から回収された固形分をさらに有効に活用できる。
(c)所定量の懸濁水を沈殿浮上分離構造に供給するだけで分級処理が行えるので、装置のメンテナンス性や運転制御性に優れている。
【0068】
請求項5に記載の懸濁水分離処理システムによれば、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の効果の他、以下の効果を有する。
(a)液体サイクロンや貯溜槽、反応槽等の水処理装置を流れる水流の状態をその使用条件に応じて制御して、その流れの変化により液中の沈殿可能な固形分を沈殿させて懸濁水から分離するので、分離処理特性に優れている。
(b)懸濁水をその自重だけで流下させて処理することもでき、供給ポンプ等の設備に負荷をかけることがなくメンテナンス性や経済性に優れる。
(c)非磁性の固形分を含んだ懸濁水についても適用でき、底部に堆積したゲル状の沈殿物でも容易に除去することができ作業性に優れた懸濁水分離処理システムを提供できる。
【0069】
請求項6に記載の懸濁水分離処理システムによれば、請求項5に記載の効果に加えて以下の効果が得られる。
(a)ポンプ等を備えた流体加速部を有するので、液体サイクロン内に制御された所定の旋回流を発生させることができる。例えば、流体加速部における循環ポンプのモータ回転数を制御して必要な圧力、流量に設定できる。
(b)液体サイクロンの底部から回収された固形分の除かれた処理水の一部又は全部を液体サイクロンの懸濁水供給管に還流させる流体加速部を備えているので、▲1▼液体サイクロン内をその周壁に沿って旋回する旋回流や▲2▼その中央下部分から上方に移動する垂直上昇流、▲3▼上方から下方に垂直に降下する短絡流(垂直下降流)等の流れの状態を制御することができる。この水流の流量や圧力、流速等の条件を制御することによってサイクロン内の旋回下降流である一次流や旋回上昇流である二次流に相互に関連しあう渦流を動的に生成することができ、懸濁水中の固形分の分散を促進させて分離効率を向上させることができる。
(c)液体サイクロン内部に生成する一次流や二次流等の水流の状態を使用条件に応じて制御できるので、分級粒度を所定の値に設定して供給される懸濁水を効果的に分離分級することができる。
(d)懸濁水の供給圧力の幅を広くとれない場合でも、流体加速部により循環させる処理水の流量と圧力を制御して分離に必要な旋回流を作り、処理水の流量を増減させることができるので、サイクロンの代表寸法に制約されることが少なく、特性や使用状況が異なる種々の懸濁水を適切かつ大量に処理できる。
(e)流体加速部には分離分級装置で予め固形分の除去された処理水が供給されるので、ポンプ系や配管系等に負荷をかけることが少なく、メンテナンス性や経済性に優れる。
(f)液体サイクロンの底部から処理水を抽出して、処理水中の固形分を沈殿させることのできる分離分級装置を有するので、大きさ毎に分級された沈殿物を用いて、以降の処理工程を効率的に行うことができる。
(g)装置自体に可動部分が少なく、しかも磁場等の発生装置を必要とせず非磁性の固形分を含んだ懸濁水についても有効に適用でき、利便性に優れる。
(h)液体サイクロン内の旋回流の強弱や、アンダーフローノズルからの処理水の吸出等運転条件を制御することにより混入した油分を分離分級装置で再捕捉でき、液液分離が可能であり、含油水から油を分離することもできる。
(i)分離分級された廃液を再利用して全体を閉回路として構成することができるので、余分な分離液が発生せずメンテナンス性等に優れ、また投入した懸濁水を無駄なく浄化処理できる。
(j)完全密封型のシステムが構築できるので、臭気の拡散や有害物の飛散、又は混入が防止できる。
【0070】
請求項7に記載の懸濁水分離処理システムによれば、請求項6の効果の他、以下の効果が得られる。
(a)液体サイクロンの下部から吐出された固形分を多量に含む処理水が、分離分級装置の中心上部に設けられた取水部を介して流入して、水流分配部の傘状に形成された上部をつたって器体壁の周部から沈殿物収集槽に供給される。処理水は上部隔壁と下部隔壁との間を交互に上下しながら中心方向に移動して、上部隔壁と下部隔壁との間に同心円状に配置された各沈殿物収集槽の底部に固形分をサイズ毎に沈殿させることができるので、これによって固形分の分離効率を高められ懸濁水の処理効率に優れている。
(b)同心円状に配置された沈殿物収集槽を有するので、沈殿物収集槽毎に性状の異なる沈殿物を収集することができるので、各沈殿物毎にそれぞれ適した処理を行うことができ、以降の処理された沈殿物をそのサイズ等の性状に応じて有効利用することができる。
(c)処理水を懸濁水に再循環させない場合等では、処理水が重力の作用により順次上から下に流れて、この間の流動の過程で沈殿物を回収するので、ポンプ等の駆動のためのエネルギーの投入を必要とせず、メンテナンス性と経済性に優れている。
(d)液体サイクロンの下部から吐出された固形分を多量に含む処理水は水流分配部をつたって器体壁の周部から沈殿物収集槽に供給され、同一流速の慣性力で噴出された固形物は比重の大きな物程拡散される距離が大きいため、比重差による固形分の分級ができる。
【0071】
請求項8に記載の懸濁水分離処理システムによれば、この構成によって、請求項7の効果の他以下の効果を有する。
(a)沈殿物収集ブロックが沈殿物受面とその中央の開口部に沈殿室を有するので、沈殿物受面に沈殿する固形分を内壁面側が深く囲まれた下部に向かって縮小する沈殿室に導入され、この沈降過程で沈殿物の固形粒子間に介在する水の部分が放出されて圧密され、この圧密された沈殿物排出管を介して効率的に外部に排出できる。
(b)沈殿物排出管に着脱できる排出孔が沈殿物収集ブロックの底部に備えられているので、予め沈殿物排出管が配設された基底部等に沈殿物収集ブロックを載せるだけで容易に沈殿物収集槽を構築でき、設定作業性に優れている。
(c)沈殿室の壁部の曲率を沈殿物受面の曲率より大きくして凹状の膨出状などに形成しているので、沈殿物受面に堆積した沈殿物を容易に開口部に誘導して沈殿室に安定して収容することができる。
(d)沈殿物受面に連設して沈殿室が形成されているので、エクマン層流などの流れにより沈殿物を沈殿室に送り込み、乱流や短絡流のような強い流れで曲面が覆われても沈殿物の再浮上が抑制できる。
(e)処理する懸濁水の水面と沈殿物受面とのレベル差を大きくした場合には、自然の重力を利用してスラッジ等の沈殿物を効率よく収集することもできる。
(f)沈殿物を処理する次工程が沈殿物排出管口に対して有効な落差を有する場合、サイフォン機構を沈殿物収集ブロックに構築して効率的に沈殿物を排出することができる。
(g)底部に堆積したゲル状の沈殿物でも容易に除去することができ、作業性に優れている。
(h)沈殿物受面を凹球面状とすることにより、沈殿物収集槽内に生じるエクマン層流やスチュワートソン層流等に伴う局部的小渦流によって、沈殿物が中央開口部に集められ、沈殿物の吸入除去が容易となる。
(i)円筒状や角筒柱状などに形成された沈殿物収集槽に適合させて分割された大きさの沈殿物収集ブロックを底面に多数敷設して配置することができ、沈殿物収集ブロックで小分割されているために、敷設作業における作業性が向上し、工期が短縮される。
(j)沈殿物収集ブロックの規格化が可能であり、量産化に適する。
(k)沈殿物収集ブロックは多様な形状の槽や、多様な大きさの槽に配置でき、沈殿物を分散して収集し、分散して排出することによって、多様な形状の槽や、多様な大きさの槽から沈殿物を搬出することができる。
【0072】
請求項9に記載の懸濁水分離処理システムによれば、請求項8の効果の他、以下の効果が得られる。
(a)弾性力又は浮力を利用した逆止弁構造を備えているので、沈殿物の所定量を沈殿部に貯留させておくことができ、大量の沈殿物が一度に流入して排出管内が閉塞するのを効果的に防止しメンテナンス性に優れている。
(b)略球形又は円錐状の頭部を備えるので、この頭部をポンプの吸引力や沈殿物の重量で上下に進退させることにより上部に堆積する沈殿物の棚掛けを防止できる。
(c)液体サイクロンに接続される分離分級装置では、その槽内が負圧となるが、逆止弁構造を備えるので、沈殿部等からの逆流が防止され、安定的にシステムを稼動させることができる。
【0073】
請求項10に記載の懸濁水分離処理システムによれば、請求項7乃至9のいずれか1項の効果に加えて以下の効果を有する。
(a)予め配置された沈殿物排出管の基端部に沈殿物収集ブロックの排出孔を位置づけて配置するだけで沈殿物収集槽を容易に構築することができ、施工性と経済性、メンテナンス性に優れている。
(b)沈殿物排出管を介して沈殿物収集ブロック同志を連結したネットワーク状の流路を形成したり、各沈殿物収集ブロックから独立に排出路を形成して外部に沈殿物を排出させたりすることができ、装置設計の自在性や汎用性に優れる。
【0074】
請求項11に記載の懸濁水分離処理システムによれば、請求項7乃至10のいずれか1項に記載の効果に加えて以下の効果を有する。
(a)円錐状や球形状の頭部を有する分流キャップ部が液体サイクロンの中心吐出孔に連設される取水部に配置されているので、液体サイクロン内に形成される一次流(周壁に沿って旋回下降する旋回下降流)と、二次流(中心部を旋回上昇する旋回上昇流)とを分離して、一次流のみを選択的に取水部(アンダーフローノズル部)に誘導して固形分含有量の少ない二次流の流れ込みを防止できる。
(b)二次流の取水部への流れ込みがないので、液体サイクロン内の二次流を安定的に形成でき、これによって懸濁水の分離分級効果をさらに増進させることができる。
(c)二次流が安定するために強制吸引が可能となり一次流の旋回流速と旋回回転数を強化でき、少ない動力でシステムを有効に稼動させることができる。
(d)アンダーフローノズル部側から強制吸引することにより、一次流の流速と旋回力を増すことができ、大型の水処理装置への適用性に優れている。
(e)循環ポンプ等を含む流体加速部又は分離分級装置とを組み合わせて懸濁水の閉回路を形成したシステムを構築できる。このような完全密封型の分離システムを構成することによって、臭気の発散や、有害物質の飛散又は混入を防止する利点が生じる。
【0075】
請求項12に記載の懸濁水分離処理システムによれば、請求項6乃至11の内いずれか1項の効果の他、以下の効果が得られる。
(a)液体サイクロンから排出される処理水に浮遊する浮遊物を捕捉すると共に、固形分を沈殿物として分離分級することのできる沈殿浮上分離装置を備えるので、懸濁水の浄化をさらに効果的に行うことができる。
(b)中心給水管を介して供給された処理水が、器体内の中心から周壁側に向かって上部隔壁と下部隔壁間に形成された流路を流れる。こうして上下運動を繰り返しながら処理水が周壁側に向かって移動するので、この下降から上昇に転じる際に効果的に固形分を沈殿物収集槽に沈殿させることができる。
(c)処理水中の浮遊物は器体中央に設けられ上部又は下部が開口して形成された浮上物収集槽に捕捉することができ、沈殿する固形分と浮遊分とを共に処理することができ、懸濁水の処理性能に優れている。
(d)複数段に渡り上昇路を経由するので含油懸濁物は水表面側に放出されることにより液液分離が可能であり、含油水から油を分離することもできる。
【0076】
請求項13に記載の懸濁水分離処理システムによれば、請求項8、9、12のいずれか1項に記載の効果の他、以下の効果が得られる。
(a)沈殿浮上分離装置が沈殿物排出管を備えた沈殿物収集ブロックを有しているので、浮遊物の除去に加えて、沈殿する固形分をブロック上面の開口部から沈殿物排出管を介して外部に排出することができる。
(b)沈殿物排出管を吸引ポンプ等に接続して吸引することにより、底部に堆積したゲル状の沈殿物でも容易に除去することができ、作業性に優れている。
(c)沈殿物収集槽の形状に適合させて分割された大きさの沈殿物収集ブロックを底面に多数敷設して配置することができ、施工を容易にできる。
【0077】
請求項14に記載の懸濁水分離処理システムによれば、請求項12又は13の効果の他、以下の効果が得られる。
(a)中心給水管から供給された流体が外周方向へ拡散する時に発生する可能性のある密度流や短絡流を放射隔壁によって防止し懸濁水の分離分級効果をさらに増進させることができる。
(b)特に大型の沈殿浮上分離装置では上部隔壁を放射隔壁によって固定でき施工方法が簡素化される。
(c)懸濁水が沈殿浮上分離装置の小割分割された槽を通過し他の槽を流れる懸濁水と混入することが無いため、各小割分割された槽毎に処理水吐出口に開閉ゲートと沈殿物排出管及びバルブを取り付けることにより各小割分割された槽ごとの管理運転ができ、各小割分割された槽ごとの流量調整や、他の槽にトラブルが発生した場合の部分運転が可能となる。
【0078】
請求項15に記載の懸濁水分離処理システムによれば、請求項6乃至14の内いずれか1項の効果に加えて以下の効果を有する。
(a)流体加速部がエジェクタ部を有するので、ポンプ等で昇圧不可能な懸濁水も流速を速めて液体サイクロン内に導入することができることにより、沈殿分級効率を高めることができる。
(b)流路拡大部には機械的な可動部分がなく目詰まり等を起こすことがないので、大量の懸濁水を処理する際のメンテナンス性に優れている。
(c)装置自体をコンパクトに構成でき、小規模設備にも容易に適用できる。
(d)供給管内の中央部に高速水流が形成され、しかも乱流状態で撹拌されるので、その見かけの流動抵抗を低下させることができ、大型の懸濁物を含むような流体であってもその供給速度を高めることができる。
(e)エジェクタ部を多段にして用いることもでき、これによって、所要の処理能力を備えた液体加速部を構成できる。
(f)特に負荷が過剰になるためにポンプ類で昇圧しにくい大型懸濁物や高硬度懸濁物を含む懸濁水でも容易に分離することができる。
【0079】
請求項16に記載の懸濁水分離処理システムによれば、請求項7乃至14の内いずれか1項の効果の他、以下の効果が得られる。
(a)沈殿物貯留部内にラムを突出させることにより、溜まった沈殿物に圧力を付加して、逆止弁により貯留した沈殿物を沈殿物収集ブロック側に逆流させることなく外部に押し出して排出させることができ、粘性の高い汚泥や粒度の大きい沈殿物でも容易に排出処理を行うことができる。
(b)装置構成が単純でモータ等の可動部分を外部に設定でき、目詰まりなどによる故障が少なく、保守性に優れている。
(c)一般のポンプで吸引できない大きな懸濁物や高硬度粒子を含む沈殿物の排出が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)実施の形態1における懸濁水の沈殿浮上分離構造の要部正面断面図
(b)実施の形態1における懸濁水の沈殿浮上分離構造の要部平面図
【図2】(a)沈殿浮上分離構造の沈降分離における経時変化の観察模式図
(b)沈殿浮上分離構造の沈降分離における経時変化の観察模式図
(c)沈殿浮上分離構造の沈降分離における経時変化の観察模式図
【図3】(a)沈殿浮上分離構造の沈降分離における経時変化の観察模式図
(b)沈殿浮上分離構造の沈降分離における経時変化の観察模式図
(c)沈殿浮上分離構造の沈降分離における経時変化の観察模式図
【図4】実施の形態2における懸濁水分離処理システムの模式図
【図5】分離分級装置の要部拡大断面図
【図6】(a)沈殿浮上分離装置の要部模式図
【図7】(a)沈殿浮上分離装置の中心給水管周辺の要部拡大斜視図
(b)沈殿浮上分離装置の要部断面平面図
【図8】沈殿物排出系の模式図
【図9】(a)各沈殿物収集ブロックの沈殿物排出路を同心円毎に連設させた状態の配置図
(b)各沈殿物収集ブロックの沈殿物排出路を樹枝状に集合させたパターンを示す配置図
【図10】実施の形態3の懸濁水分離処理システムの分離分級装置の要部断面模式図
【図11】(a)水流分配部の周縁部が最内周の上部隔壁に接続された状態における実施の形態4の分離分級装置の要部断面模式図
(b)水流分配部の周縁部が最外周より内側の上部隔壁に接続された状態における実施の形態4の分離分級装置の要部断面模式図
【図12】(a)実施の形態5の懸濁水分離処理システムの分離分級装置における分流キャップ部の要部断面模式図
(b)実施の形態5の懸濁水分離処理システムの分離分級装置における分流キャップ部の斜視図
【図13】実施の形態6の懸濁水分離処理システムの沈殿浮上分離装置の要部断面模式図
【図14】実施の形態7の懸濁水分離処理システムの沈殿浮上分離装置の要部断面模式図
【図15】(a)実施の形態8の懸濁水分離処理システムにおける沈殿物収集ブロックの要部断面図
(b)実施の形態8の懸濁水分離処理システムにおける沈殿物収集ブロックの変形例を示す沈殿物収集ブロックの要部断面図
【図16】実施の形態9の懸濁水分離処理システムの流体加速部に適用されるエジェクタ部の要部断面模式図
【図17】実施の形態10の懸濁水分離処理システムに適用される沈殿浮上分離構造を備えた密封型の分離分級装置の模式概念図
【図18】(a)実施の形態11の懸濁水分離処理システムの沈殿物収集ブロックの斜視図
(b)実施の形態11の懸濁水分離処理システムの沈殿物収集ブロックの側面断面図
【図19】沈澱物収集槽底部の沈殿物収集ブロックの設置状態を示す分解斜視図
【符号の説明】
1 実施の形態1の懸濁水の沈殿浮上分離構造
2〜4 沈殿物分離部
5 懸濁水供給管
6 上部隔壁
7 沈殿部
8 通水部
8a 浮上部
9 処理水排出管
10 懸濁水分離処理システム
11 液体サイクロン
11a 処理水排出管
11c 中心吐出孔
12 懸濁水供給管
13 分離分級装置
13a 沈殿物収集槽
13b 沈殿物排出管
13c 中心底部排水管
13d 水流分配部内側
14 沈殿物収集ブロック
15 循環ポンプ
16 沈殿浮上分離装置
16a 中心給水管
16b 器体壁部排水管
16c 沈殿物排出管
17 懸濁水供給ポンプ
18 移送ポンプ
20 器体
21 下部隔壁
22 沈殿物収集槽
23 上部隔壁
24 取水部
25 水流分配部
26 分流キャップ部
30 器体
31 下部隔壁
32a 沈殿物収集槽
32b 沈殿物収集槽
32c 沈殿物収集槽
33 上部隔壁
34 整流部
35 越流堰
36 放射隔壁
37 ゲート
37a 開閉具
38 バルブ
39 逆止弁
40 沈殿物貯留部
40a 遮蔽板
40b 駆動装置
40c ラム
40c´ 密封部
40d 排出口
40e 逆止弁
41 第1段の沈殿物収集槽
42 第2段の沈殿物収集槽
43 第3段の沈殿物収集槽
44〜46 沈殿物集合排出管
47 沈殿物排出路
50 実施の形態2の懸濁水分離処理システムの分離分級装置
51 器体
51a 天井部
51b 器体壁
52 排出管
53 沈殿物収集槽
54 水流分配部
55 くびれ部
56 分流キャップ部
57 凹状球面部
58 通気水孔
60 実施の形態3の懸濁水分離処理システムの分離分級装置
61 器体
61a 天井部
61b 器体壁
62 下部隔壁
63 沈殿物収集槽
64 上部隔壁
65 取水部
66 水流分配部
66a 水流分配部
67 分流キャップ部
70 実施の形態4の懸濁水分離処理システムの分離分級装置における分流キャップ部
71 分流キャップ
72 支持脚部
73 支持用外枠
80 実施の形態5の懸濁水分離処理システムの沈殿浮上分離装置
81 下部隔壁
82 沈殿物収集槽
83 上部隔壁
84 浮上物収集槽
84a 支持部
85 浮遊物排出管
90 実施の形態6の懸濁水分離処理システムの沈殿浮上分離装置
91 下部隔壁
92 上部隔壁
93 上部湾曲部
100、101 実施の形態7の懸濁水分離処理システムの沈殿物収集ブロック
102 上面
103 開口
104 沈殿物排出路
105 可動子
106 弾性体
107 整流子
110 実施の形態9の懸濁水分離処理システムにおけるエジェクタ部
111 一次ノズル部
111a 供給管
112 排出管部
113 二次ノズル部
114 通水管
120 実施の形態10の懸濁水分離処理システムの密封型の分離分級装置
121〜124 沈殿物分離部
121a〜124a 上部隔壁
125〜127 浮上部
128 浮上物貯留槽
129 供給管
130 排出管
131 浮上物採取管
132 分離液採取管
140 実施の形態11の沈殿物収集ブロック
141 沈殿物受面
142 開口部
143 沈殿室
144 排出孔
145 沈殿物排出管
145a 接合部
146 沈殿物収集槽

Claims (16)

  1. 懸濁水や処理水がその上部側から供給されその下降流が流れる下降流路と、前記下降流路の下部に開口して設けられ前記下降流を上昇流に反転させる沈殿部と、前記沈殿部の上部に開口して設けられ前記上昇流が流れる上昇流路と、を備えた沈殿物分離部を複数組み有して構成され、互いに隣接する前記沈殿物分離部のそれぞれの下降流路と上昇流路とをその上部で連設して配置した浮上部を備えたことを特徴とする懸濁水の沈殿浮上分離構造。
  2. 前記沈殿部がその底部に沈殿物や懸濁水を排出させる排出部を備え、前記排出部には沈殿物を受ける凹面状に形成された沈殿物受面と、前記沈殿物受面の中央に開口した開口部と、前記開口部に連設され前記沈殿物受面の曲率より大きな曲率の凹状で略半球状や湾曲状に形成された沈殿室と、前記沈殿室の底部に開口し沈殿物を排出する沈殿物排出管の基端部が着脱自在に接続される排出孔とを有する沈殿物収集ブロックが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の懸濁水の沈殿浮上分離構造。
  3. 前記浮上部がその液面に浮上される浮上物を排出させる浮上物排出部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の懸濁水の沈殿浮上分離構造。
  4. 隣接配置された下流側の前記沈殿物分離部の内容積を上流側の前記沈殿物分離部の内容積より拡大させて配置したことを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の懸濁水の沈殿浮上分離構造。
  5. 請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の懸濁水の沈殿浮上分離構造を備えた分離分級装置が、液体サイクロンや貯溜槽、反応槽等の水処理装置の排水口に連設されていることを特徴とする懸濁水分離処理システム。
  6. 前記水処理装置が液体サイクロンであって、前記分離分級装置の取水部が前記液体サイクロンの円錐状底部の中心吐出孔に接続されて前記液体サイクロンで処理された処理水が前記分離分級装置に供給され、前記分離分級装置で固形分が沈殿処理された処理水の一部又は全部を前記液体サイクロンの円筒状周壁の接線方向に1又は複数本配置された懸濁水が供給される懸濁水供給管に還流させる流体加速部を有することを特徴とする請求項5に記載の懸濁水分離処理システム。
  7. 前記分離分級装置が、全体を収容する円筒状又は多角筒状の器体壁を有する器体と、前記器体内の底部に同心円状に複数配置され上部側に立設された壁部を有する下部隔壁と、前記下部隔壁間の底部に同心円状に配置され凹面状に開口して沈澱物を貯留させる沈殿物収集ブロックを備えた沈殿物収集槽と、前記下部隔壁間に挿入され同心円状に複数配置され下部側に垂設された壁部を有する上部隔壁と、前記器体内上部の中心位置に配置され前記液体サイクロンの前記中心吐出孔に連設されて供給される処理水が器体内部に吐出される取水部と、前記上部隔壁の上部側を傘状に覆設して前記上部隔壁を支持すると共にその傘状の周縁部が前記器体壁に間隔を有して配設固定された水流分配部と、前記器体の中心底部より上部に開口部が設けられた処理水を排出する中心底部排水管と、を備えていることを特徴とする請求項6に記載の懸濁水分離処理システム。
  8. 前記沈殿物収集ブロックが、沈殿物を受ける凹面状に形成された沈殿物受面と、前記沈殿物受面の中央に開口した開口部と、前記開口部に連設され前記沈殿物受面の曲率より大きな曲率の凹状で略半球状や膨出状に形成された沈殿室と、前記沈殿室の底部に開口し沈殿物を排出する沈殿物排出管の基端部が着脱自在に接続される排出孔とを備えたことを特徴とする請求項7に記載の懸濁水分離処理システム。
  9. 前記開口部の内側面に、略球形状又は円錐状に形成された頭部が弾性体又は浮力体を介して圧着支持される可動子を備えた逆止弁構造を有していることを特徴とする請求項8に記載の懸濁水分離処理システム。
  10. 前記沈殿物収集ブロックが前記沈殿物収集槽の底部に設けられ、前記沈殿物収集ブロックの前記排出孔にその基端部が着脱自在に嵌合される沈殿物排出管を介して隣接する複数の前記沈殿物収集ブロック同士が連設され、又は前記沈殿物排出管を介してそれぞれ前記器体の外部に連設されていることを特徴とする請求項7乃至9の内いずれか1項に記載の懸濁水分離処理システム。
  11. 前記取水部に円錐状や球形状の頭部を有した分流キャップ部が支持脚部を介して配設されていることを特徴とする請求項7乃至10の内いずれか1項に記載の懸濁水分離処理システム。
  12. 前記液体サイクロンがその円錐状底部より排出される処理水が供給される前記分離分級装置と、その円錐状頂部より排出される処理水が供給される沈殿浮上分離装置とを備えると共に、前記沈殿浮上分離装置が、全体を収容する円筒状や各筒状の器体壁を有する器体と、前記器体内の底部に同心円状に複数配置され上部側に立設された壁部を有する下部隔壁と、前記下部隔壁間の底部に同心円状に配置された沈殿物収集槽と、前記下部隔壁間に挿入され同心円状に複数配置され下部側に垂設された壁部を有する上部隔壁と、前記器体の中心底部又は頂部より開口部が設けられ前記液体サイクロンの頂部から供給される処理水が送られる中心給水管と、前記器体壁に排出口を有して処理水を排出する器体壁部排水管と、前記中心給水管の上方又は下方の前記器体内に配設された整流部若しくは上部又は下部に開口を有した浮上物収集槽と、を備えていることを特徴とする請求項6乃至11の内いずれか1項に記載の懸濁水分離処理システム。
  13. 前記沈殿浮上分離装置の前記沈殿物収集槽がその底部に、請求項8又は9に記載の沈殿物収集ブロックを有していることを特徴とする請求項12に記載の懸濁水分離処理システム。
  14. 前記沈殿浮上分離装置の前記整流部若しくは前記浮上物収集槽に当接して前記器体の周壁まで放射状に立設され前記器体内を2以上に分割する放射隔壁を備えていることを特徴とする請求項12又は13に記載の懸濁水分離処理システム。
  15. 前記流体加速部が、加圧された液体が膨出状に形成された流路拡大部にノズル部を介して噴出され前記流路拡大部の懸濁水や処理水を吸引誘導して前記液体サイクロンに供給する1段又は複数段に構成されたエジェクタ部を備えていることを特徴とする請求項6乃至14の内いずれか1項に記載の懸濁水分離処理システム。
  16. 前記沈殿物収集ブロックの排出孔に着脱される沈殿物排出管に逆止弁を介して連設された沈殿物貯留部と、前記沈殿物貯留部内に円柱状や角柱状に形成されたラムの先端を進退させるピストン機構とを有した沈殿物排出装置を有したことを特徴とする請求項7乃至14の内いずれか1項に記載の懸濁水分離処理システム。
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