JP2004154308A - 生体組織補填材 - Google Patents
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Abstract
【課題】細胞の円滑な流通と確実な生着とを可能とするとともに、生着した細胞への酸素や栄養分の十分な供給と細胞からの老廃物の外部への流出を可能にする。
【解決手段】生体に適合した材料により構成された顆粒体1であって、その最大寸法が1000μm〜5000μmであり、30%〜80%の気孔率を有するとともに、各気孔3の断面が、それぞれ凹凸4を有する輪郭形状を備えている生体組織補填材を提供する。
【選択図】 図2
【解決手段】生体に適合した材料により構成された顆粒体1であって、その最大寸法が1000μm〜5000μmであり、30%〜80%の気孔率を有するとともに、各気孔3の断面が、それぞれ凹凸4を有する輪郭形状を備えている生体組織補填材を提供する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、生体組織補填材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の生体組織補填材としては、気孔径として100μm以上、顆粒径として300μm以上を確保する必要性が示されている(例えば、特許文献1参照。)。
この生体組織補填材では、リン酸カルシウム材を300〜1000μmの顆粒状態で使用すると、骨芽細胞の侵入がリン酸カルシウム材全体にわたって速やかに完了し、骨芽細胞とリン酸カルシウム剤とが効率的に接触することになると考えられている。
【0003】
また、気孔の間に25μmの連通孔を備えた成形体からなる生体組織補填材も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
この生体組織補填材では、一般にヒトの細胞が10μm近くの大きさがあり、成人の赤血球も8〜9μmであるから25μmの連通孔があれば、酸素や栄養が行き渡り、細胞が通るのにも充分な大きさとなると考えられている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−343456号公報(第3頁左欄38〜45行)
【特許文献2】
特開2002−17846号公報(段落0026)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1では、100μm以上の気孔径を有する顆粒体について記載されているものの、気孔径を100μm以上とすることについての具体的理由については開示しておらず、また、断面円形の気孔であると細胞が侵入することは困難であるという問題がある。
また、顆粒体を用いて骨芽細胞を培養する場合に、血流の確保や細胞の老廃物交換が必要となるが、300〜1000μmの粒径では、顆粒体間に形成される隙間が微小になり過ぎ、充分な血流や老廃物の流れを発生させることができないという不都合がある。
【0006】
さらに、特許文献2では、25μmの連通孔により細胞が通るのにも充分であるとの記載があるが、実際には、細胞が入り込んで接着状態に保持されるためには、数100μmの連通孔が必要である。また、25μmの連通孔では、仮に成形体の内部に細胞が配置されたとしても、該細胞の近傍に充分な量の血流を生じさせ、細胞から排出される老廃物を円滑に流出させることは困難であり、結果として、細胞の充分な活性が得られないという問題がある。
【0007】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、細胞の円滑な流通と確実な生着とを可能とするとともに、生着した細胞への酸素や栄養分の十分な供給と細胞からの老廃物の外部への流出を可能にする生体組織補填材を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、以下の手段を提供する。
請求項1に係る発明は、生体に適合した材料により構成された顆粒体であって、その最大寸法が1000μm〜5000μmであり、30%〜80%の気孔率を有するとともに、各気孔の断面が、それぞれ凹凸を有する輪郭形状を備えている生体組織補填材を提供する。
【0009】
この発明によれば、顆粒体の最大寸法を1000μm〜5000μmとすることにより、複数の顆粒体を集合させたときに、顆粒体間に形成される隙間を充分に広く形成することができる。その結果、細胞を外部から顆粒体間に浸透させやすく、また、顆粒体間に配置されている細胞に対し、外部から酸素や栄養分を充分に補給することが可能となる。また、気孔の断面に凹凸が設けられているために、気孔内に侵入した細胞が気孔の内壁に容易に付着することができる。したがって、外部から供給された細胞は、効率的に顆粒体の気孔内に生着し、充分な酸素と栄養分とを得ながら、迅速かつ健全に成長することが可能となる。
【0010】
請求項2に係る発明は、生体に適合した材料により構成された成形体であって、その最大寸法が1000μm〜10000μmであり、30〜80%の気孔率を有し、各気孔の断面がそれぞれ凹凸を有する輪郭形状を備えるとともに、外表面から少なくとも中心付近まで貫通する、口径300μm〜1000μmの少なくとも1つの貫通孔を備える生体組織補填材を提供する。
【0011】
この発明によれば、最大寸法を1000μm〜10000μmとし、気孔率を30〜80%とすることにより、充分に大きな気孔を形成することが可能となる。その結果、上記顆粒体ど同様に、成形体の内部への細胞の浸透と、血流、老廃物の流動を容易にすることができる。また、口径300μm〜1000μmの貫通孔により、中心付近までの細胞や血流の浸透と老廃物の排出をさらに容易にすることが可能となる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の生体組織補填材において、前記気孔が、開口部の口径よりも内部に広がる断面形状を有する生体組織補填材を提供する。
この発明によれば、気孔の内部に入り込んだ細胞が、内部より狭い口径の開口部によって内部に捕らえられた状態に保持されるので、細胞を効率的に生着させることができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の生体組織補填材において、前記気孔の内面に、該内面に配される開口部の口径よりも内部に広がる断面形状の内部気孔を有する生体組織補填材を提供する。
この発明によれば、一の気孔に捕らえられた細胞が、該気孔の内面に設けられた気孔の内部にそれぞれ捕らえられるので、細胞をより効率的に生着させることが可能となる。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の生体組織補填材において、生体に適合した材料が、リン酸カルシウム、天然高分子材料、合成高分子材料、金属繊維または金属材料、あるいはこれらの2種以上の複合材である生体組織補填材を提供する。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の生体組織補填材において、リン酸カルシウムが、ハイドロキシアパタイト、βリン酸三カルシウム、炭酸カルシウムまたはオクタカルシウムフォスフェートである生体組織補填材を提供する。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項5に記載の生体組織補填材において、前記天然高分子材料が、コラーゲンまたはキチンである生体組織補填材を提供する。
請求項8に係る発明は、請求項5に記載の生体組織補填材において、前記合成高分子材料が、ポリグリコール、ポリロシン、ポリシアノアクリレート、ポリ乳酸またはε−カプロラクタンである生体組織補填材を提供する。
請求項9に係る発明は、請求項5に記載の生体組織補填材において、前記金属繊維または金属材料が、純チタン、チタン合金、ステンレス鋼316である生体組織補填材を提供する。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項1から請求項9のいずれかに記載の生体組織補填材において、生体に適合した材料に細胞が付着または結合している生体組織補填材を提供する。
請求項11に係る発明は、請求項10に記載の生体組織補填材において、生体に適合した材料の外表面のみ、内面のみ、または内外面の両方に細胞が付着または結合している生体組織補填材を提供する。
この発明によれば、生体に適合した材料を足場として細胞を成長させることができ、生体組織を迅速に再生することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態に係る生体組織補填材について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る生体組織補填材は、生体組織としての骨組織に形成された欠損部に補填される骨補填材であって、例えば、βリン酸三カルシウム多孔体からなる顆粒体1であり、図1に示されるその最大寸法Aが1000μm〜5000μmの範囲、例えば、5000μmに形成されている。顆粒体1の外形は、図3に示されるように、多数集合させたときに、顆粒体1間に隙間2を形成し得る形状に形成されている。
【0018】
この顆粒体1は、例えば、βリン酸三カルシウム粉末をアクリル系樹脂と所定の容積比率で混合してなる混合粉を、例えば、公知のCIP法により、加圧、焼結した後に粉砕し、篩い分けることにより製造される。各顆粒体1の気孔率は、30〜80%の範囲、例えば、50%となるように調製されている。
顆粒体1の内部に形成された気孔3の断面は、図2に示されるように、内面に凹凸4を有する輪郭形状を備えている。
【0019】
このように構成された本実施形態に係る骨補填材によれば、図3に示されるように、顆粒体1を複数集合させたときに、顆粒体1間に比較的大きな隙間2が形成されるこのため、骨補填材を、骨欠損部に補填したときに、大きな隙間2を通して充分な血流5を顆粒体1の周囲に形成することができる。したがって、血流5に乗って流動してきた細胞が顆粒体1の周囲に流通しやすく、顆粒体1の集合体内に細胞を容易に浸透させることができる。
【0020】
また、顆粒体1の周囲に浸透してきた細胞は、顆粒体1に形成されている気孔3内に配されると、気孔3内に形成されている凹凸4によってそこに捕らえられやすい。すなわち、細胞は顆粒体1の気孔3内に容易に生着して、顆粒体1を足場とした骨化が行われることになる。
この場合において、顆粒体1の周囲には、上述したように比較的大きな隙間2が形成されているので、気孔3内に捕らえられた細胞に対して、酸素や栄養分を充分に供給することができる。また、細胞は成長に応じて老廃物を排出することになるが、排出された老廃物も血流5に載せて骨補填材の外部に流出させることが可能となる。
【0021】
したがって、細胞は、充分な酸素と栄養分の供給下において、自ら放出した老廃物によって妨害されることなく、顆粒体1を構成する、例えば、βリン酸三カルシウムを足場として、迅速かつ健全に成長することができる。その結果、骨欠損部への補填後、極めて早期に骨化を開始させることが可能となり、骨欠損部を迅速に修復することができる。
【0022】
以下に、実験の実施例を示す。
オスのラット(7週齢)の骨髄細胞をフラスコで10日間初期培養を行い、トリプシン処理した細胞を多孔質リン酸カルシウム顆粒体に付着させ、炭酸ガスインキュベータ内で3×106個まで培養した。細胞が付着した多孔質リン酸カルシウム顆粒体は、骨芽細胞への分化誘導因子デキサメタゾンなどを加えた培養液で2週間培養し、ラットの皮下に移植する。
【0023】
このとき、顆粒体の大きさにより、以下の3つに分けて実験を行った。
多孔質リン酸カルシウム顆粒体の大きさが1000μm未満のもので行うと、顆粒体の外表面積が小さいため、細胞が十分に付着できず、骨細胞の形成が充分に認められなかった。すなわち、細胞の付着は外表面のみで、多孔質リン酸カルシウム顆粒体の内部への細胞浸透性がよくないために骨細胞の形成が認められなかった。
【0024】
多孔質リン酸カルシウム顆粒体の大きさが1000〜5000μmの場合、1000μm未満の顆粒体よりも外表面積が大きいため、細胞が十分に付着し、そのために顆粒体内部への細胞の流入が適度によいことにより、表面および内部における骨細胞の形成が認められた。
【0025】
多孔質リン酸カルシウム顆粒体の大きさが5000μmを超える場合、細胞は顆粒体の外表面に付着することが多いが、顆粒体内部に入り難いので、顆粒体の内部における骨細胞の形成が十分ではなかった。
【0026】
したがって、顆粒体の大きさが1000〜5000μmの多孔質リン酸カルシウム顆粒体について、細胞の付着数が適度であり、さらに細胞の顆粒体内部への流入がスムーズで、かつ、顆粒間の適度な隙間によって血流の流通がよいために、細胞への栄養分補給や細胞からの老廃物排出が円滑になり、骨細胞の形成が十分であったと考えられる。
上記の実験の結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
なお、ハイドロキシアパタイトのような他のリン酸カルシウム、コラーゲンやキチンのような天然高分子材料、ポリ乳酸やε−カプロラクタンのような合成高分子材料、チタン合金やチタン繊維のような金属材料または金属繊維を用いて実験を行ったが、上記と同様に顆粒体の大きさが1000〜5000μmの顆粒体において、骨細胞の形成が多かった。
【0029】
なお、図2に示した気孔3の形状に代えて、各気孔3が、図4に示される輪郭形状を有していることが好ましい。このような気孔3は、表面の開口部3aよりも内部に広がるように形成されているとともに、その開口部3aが細胞を流通可能な最小限の大きさを有するように形成されている。これによれば、血流5に載せて到来した細胞が気孔3の開口部3aから内部に侵入してそこに捕らえられ易く、顆粒体1への生着をさらに容易にすることができる。
また、図5に示されるように、気孔3の内部に形成された凹部4の各々が、表面の開口部3bよりも内部に広い輪郭形状を有する内部気孔を形成するように構成してもよい。
【0030】
次に、この発明の第2の実施形態に係る生体組織補填材について、図6を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る生体組織補填材も、生体組織としての骨組織に形成された骨欠損部を修復するための骨補填材10であって、図6に示されるように、ブロック状に構成されている。この骨補填材10は、リン酸カルシウム粉体を焼結することにより、気孔率が30〜80%となるように形成されている。また、骨補填材10の最大寸法は、1000μm〜10000μmの範囲、例えば、10000μmとなっている。
【0031】
また、骨補填材10の一面からはその中心部まで貫通する貫通孔11が形成されている。貫通孔11は、例えば、ドリルにより穿孔された断面円形の孔であり、その口径が300μm〜1000μmの範囲、例えば、1000μmに形成されている。
なお、各気孔3の断面形状については、上記実施形態と同様である。
【0032】
このように構成された本実施形態に係る骨補填材10によれば、ブロック状に形成された骨補填材10の中心部まで貫通孔11が形成されているので、最大寸法10000μmのブロック状に形成されていても、その中心部まで外部から細胞が浸透しやすい。また、細胞が付着した後には、その細胞の周囲に充分な血流を生じさせることができるので、迅速に骨化を開始させることが可能となる。
【0033】
また、比較的大きな口径の貫通孔11を形成しても、気孔3の形状を第1の実施形態と同様に、図2、図4および図5に示されるような凹凸を有する断面形状とすることにより、細胞を気孔3内に捕らえて容易に生着させることができる。なお、骨補填材10の大きさとしては、8000μm以下であることが好ましく、5000μm以下であることがさらに好ましい。貫通孔11の大きさは、骨補填材10の最大寸法に合わせて調整すればよい。なお、貫通孔11の断面形状は、ドリルにより穿孔する場合には円形となるが、他の方法によって形成する場合には円形に限定されるものではない。
さらに、単一の貫通孔11が設けられた例について説明したが、これに代えて、骨補填材10に複数の貫通孔11が設けられていてもよい。
【0034】
以下に、ブロック状の骨補填材についての実験例を示す。
ブロック状の骨補填材11の実験手順は、顆粒体の実験手順と同様なので省略する。
貫通孔野内1000〜10000μmの多孔質リン酸カルシウムブロック状の骨補填材を使った実験において、細胞は骨補填材の外表面に付着するが、骨補填材中心部に見あたらなかった。
他方、300μmの貫通孔を形成した1000μmの多孔質リン酸カルシウムブロック状の骨補填材または1000μm程度の貫通孔を形成した10000μmの多孔質リン酸カルシウムブロック状の骨補填材については、細胞の付着数、骨補填材内部への細胞浸透数が多かった。
実験結果は表2の通りである。
【0035】
【表2】
【0036】
なお、ハイドロキシアパタイトのような他のリン酸カルシウム、コラーゲンやキチンのような天然高分子材料、ポリ乳酸やε−カプロラクタンのような合成高分子材料、チタン合金やチタン繊維のような金属材料または金属繊維を用いて実験を行ったが、上記と同様に骨細胞の形成、骨補填材内部への細胞浸透数が多かった。
【0037】
また、上記各実施形態においては、骨補填材について説明したが、この発明は、これらの骨補填材に予め細胞を付着させた骨補填体をも提供している。例えば、第2の実施形態に示したブロック状の骨補填材10に予め細胞を付着させておくことにより、骨欠損部に補填した後においても、細胞に対する血流を充分に確保することができるので、骨補填材10内部における細胞の生存率を高め、迅速な骨化を達成することができる。
【0038】
なお、上記各実施形態においては、生体組織として骨組織を例に挙げて説明したが、これに代えて、骨以外の軟骨細胞や表皮細胞、真皮細胞、角膜細胞、消化管上皮や内皮細胞、神経細胞等を対象としてもよい。
また、生体組織補填材としては、βリン酸三カルシウムに代えて、ハイドロキシアパタイトなどの他のリン酸カルシウム、コラーゲンやキチンなどの天然高分子材料、ポリ乳酸やε−カプロラクタンのような合成高分子材料、チタン合金やステンレス鋼316のような金属材料や金属繊維およびこれらの材料の少なくとも2種類以上の複合材などを採用してもよい。また、生体組織補填材に生着させる細胞としては骨髄細胞に含まれる間葉系幹細胞の他、末梢血、臍帯血から分離した間葉系幹細胞を用いて生体組織補填体を製造することにしてもよい。また、間葉系幹細胞に代えて、ES細胞、体性幹細胞、骨細胞、軟骨細胞あるいは神経細胞等を採用してもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る生体組織補填材および生体組織補填体によれば、生体組織の欠損部に配置されたときに、生体組織補填材の近傍に充分な血流を生じさせることを可能として、細胞を生体組織補填材の内部まで浸透させることができるとともに、内部に浸透した細胞を生体組織補填材にしっかりと生着させることができる。
また、生体組織補填材の内部に付着した細胞に対して、充分な血流を与えることにより、外部から酸素や栄養分を充分に補給することができるとともに、細胞から排出された老廃物を細胞の周囲に滞留させることなく、血流に載せて外部に流出させることができる。
その結果、細胞の健全な成長を促進して、生体組織欠損部の迅速な修復を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る顆粒体からなる生体組織補填材を示す模式図である。
【図2】図1の生体組織補填材に形成されている気孔の断面形状を示す模式図である。
【図3】図1の生体組織補填材を複数集合させた状態を示す模式図である。
【図4】図1の生体組織補填材に形成されている気孔の断面形状の他の例を示す模式図である。
【図5】図1の生体組織補填材に形成されている気孔の断面形状の他の例を示す模式図である。
【図6】この発明の第2の実施形態に係る成形体からなる生体組織補填材を示す模式図である。
【符号の説明】
1 顆粒体
3 気孔
3a 開口部
4 凹凸
10 骨補填材(生体組織補填材)
11 貫通孔
【発明の属する技術分野】
この発明は、生体組織補填材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の生体組織補填材としては、気孔径として100μm以上、顆粒径として300μm以上を確保する必要性が示されている(例えば、特許文献1参照。)。
この生体組織補填材では、リン酸カルシウム材を300〜1000μmの顆粒状態で使用すると、骨芽細胞の侵入がリン酸カルシウム材全体にわたって速やかに完了し、骨芽細胞とリン酸カルシウム剤とが効率的に接触することになると考えられている。
【0003】
また、気孔の間に25μmの連通孔を備えた成形体からなる生体組織補填材も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
この生体組織補填材では、一般にヒトの細胞が10μm近くの大きさがあり、成人の赤血球も8〜9μmであるから25μmの連通孔があれば、酸素や栄養が行き渡り、細胞が通るのにも充分な大きさとなると考えられている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−343456号公報(第3頁左欄38〜45行)
【特許文献2】
特開2002−17846号公報(段落0026)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1では、100μm以上の気孔径を有する顆粒体について記載されているものの、気孔径を100μm以上とすることについての具体的理由については開示しておらず、また、断面円形の気孔であると細胞が侵入することは困難であるという問題がある。
また、顆粒体を用いて骨芽細胞を培養する場合に、血流の確保や細胞の老廃物交換が必要となるが、300〜1000μmの粒径では、顆粒体間に形成される隙間が微小になり過ぎ、充分な血流や老廃物の流れを発生させることができないという不都合がある。
【0006】
さらに、特許文献2では、25μmの連通孔により細胞が通るのにも充分であるとの記載があるが、実際には、細胞が入り込んで接着状態に保持されるためには、数100μmの連通孔が必要である。また、25μmの連通孔では、仮に成形体の内部に細胞が配置されたとしても、該細胞の近傍に充分な量の血流を生じさせ、細胞から排出される老廃物を円滑に流出させることは困難であり、結果として、細胞の充分な活性が得られないという問題がある。
【0007】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、細胞の円滑な流通と確実な生着とを可能とするとともに、生着した細胞への酸素や栄養分の十分な供給と細胞からの老廃物の外部への流出を可能にする生体組織補填材を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、以下の手段を提供する。
請求項1に係る発明は、生体に適合した材料により構成された顆粒体であって、その最大寸法が1000μm〜5000μmであり、30%〜80%の気孔率を有するとともに、各気孔の断面が、それぞれ凹凸を有する輪郭形状を備えている生体組織補填材を提供する。
【0009】
この発明によれば、顆粒体の最大寸法を1000μm〜5000μmとすることにより、複数の顆粒体を集合させたときに、顆粒体間に形成される隙間を充分に広く形成することができる。その結果、細胞を外部から顆粒体間に浸透させやすく、また、顆粒体間に配置されている細胞に対し、外部から酸素や栄養分を充分に補給することが可能となる。また、気孔の断面に凹凸が設けられているために、気孔内に侵入した細胞が気孔の内壁に容易に付着することができる。したがって、外部から供給された細胞は、効率的に顆粒体の気孔内に生着し、充分な酸素と栄養分とを得ながら、迅速かつ健全に成長することが可能となる。
【0010】
請求項2に係る発明は、生体に適合した材料により構成された成形体であって、その最大寸法が1000μm〜10000μmであり、30〜80%の気孔率を有し、各気孔の断面がそれぞれ凹凸を有する輪郭形状を備えるとともに、外表面から少なくとも中心付近まで貫通する、口径300μm〜1000μmの少なくとも1つの貫通孔を備える生体組織補填材を提供する。
【0011】
この発明によれば、最大寸法を1000μm〜10000μmとし、気孔率を30〜80%とすることにより、充分に大きな気孔を形成することが可能となる。その結果、上記顆粒体ど同様に、成形体の内部への細胞の浸透と、血流、老廃物の流動を容易にすることができる。また、口径300μm〜1000μmの貫通孔により、中心付近までの細胞や血流の浸透と老廃物の排出をさらに容易にすることが可能となる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の生体組織補填材において、前記気孔が、開口部の口径よりも内部に広がる断面形状を有する生体組織補填材を提供する。
この発明によれば、気孔の内部に入り込んだ細胞が、内部より狭い口径の開口部によって内部に捕らえられた状態に保持されるので、細胞を効率的に生着させることができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の生体組織補填材において、前記気孔の内面に、該内面に配される開口部の口径よりも内部に広がる断面形状の内部気孔を有する生体組織補填材を提供する。
この発明によれば、一の気孔に捕らえられた細胞が、該気孔の内面に設けられた気孔の内部にそれぞれ捕らえられるので、細胞をより効率的に生着させることが可能となる。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の生体組織補填材において、生体に適合した材料が、リン酸カルシウム、天然高分子材料、合成高分子材料、金属繊維または金属材料、あるいはこれらの2種以上の複合材である生体組織補填材を提供する。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の生体組織補填材において、リン酸カルシウムが、ハイドロキシアパタイト、βリン酸三カルシウム、炭酸カルシウムまたはオクタカルシウムフォスフェートである生体組織補填材を提供する。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項5に記載の生体組織補填材において、前記天然高分子材料が、コラーゲンまたはキチンである生体組織補填材を提供する。
請求項8に係る発明は、請求項5に記載の生体組織補填材において、前記合成高分子材料が、ポリグリコール、ポリロシン、ポリシアノアクリレート、ポリ乳酸またはε−カプロラクタンである生体組織補填材を提供する。
請求項9に係る発明は、請求項5に記載の生体組織補填材において、前記金属繊維または金属材料が、純チタン、チタン合金、ステンレス鋼316である生体組織補填材を提供する。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項1から請求項9のいずれかに記載の生体組織補填材において、生体に適合した材料に細胞が付着または結合している生体組織補填材を提供する。
請求項11に係る発明は、請求項10に記載の生体組織補填材において、生体に適合した材料の外表面のみ、内面のみ、または内外面の両方に細胞が付着または結合している生体組織補填材を提供する。
この発明によれば、生体に適合した材料を足場として細胞を成長させることができ、生体組織を迅速に再生することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態に係る生体組織補填材について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る生体組織補填材は、生体組織としての骨組織に形成された欠損部に補填される骨補填材であって、例えば、βリン酸三カルシウム多孔体からなる顆粒体1であり、図1に示されるその最大寸法Aが1000μm〜5000μmの範囲、例えば、5000μmに形成されている。顆粒体1の外形は、図3に示されるように、多数集合させたときに、顆粒体1間に隙間2を形成し得る形状に形成されている。
【0018】
この顆粒体1は、例えば、βリン酸三カルシウム粉末をアクリル系樹脂と所定の容積比率で混合してなる混合粉を、例えば、公知のCIP法により、加圧、焼結した後に粉砕し、篩い分けることにより製造される。各顆粒体1の気孔率は、30〜80%の範囲、例えば、50%となるように調製されている。
顆粒体1の内部に形成された気孔3の断面は、図2に示されるように、内面に凹凸4を有する輪郭形状を備えている。
【0019】
このように構成された本実施形態に係る骨補填材によれば、図3に示されるように、顆粒体1を複数集合させたときに、顆粒体1間に比較的大きな隙間2が形成されるこのため、骨補填材を、骨欠損部に補填したときに、大きな隙間2を通して充分な血流5を顆粒体1の周囲に形成することができる。したがって、血流5に乗って流動してきた細胞が顆粒体1の周囲に流通しやすく、顆粒体1の集合体内に細胞を容易に浸透させることができる。
【0020】
また、顆粒体1の周囲に浸透してきた細胞は、顆粒体1に形成されている気孔3内に配されると、気孔3内に形成されている凹凸4によってそこに捕らえられやすい。すなわち、細胞は顆粒体1の気孔3内に容易に生着して、顆粒体1を足場とした骨化が行われることになる。
この場合において、顆粒体1の周囲には、上述したように比較的大きな隙間2が形成されているので、気孔3内に捕らえられた細胞に対して、酸素や栄養分を充分に供給することができる。また、細胞は成長に応じて老廃物を排出することになるが、排出された老廃物も血流5に載せて骨補填材の外部に流出させることが可能となる。
【0021】
したがって、細胞は、充分な酸素と栄養分の供給下において、自ら放出した老廃物によって妨害されることなく、顆粒体1を構成する、例えば、βリン酸三カルシウムを足場として、迅速かつ健全に成長することができる。その結果、骨欠損部への補填後、極めて早期に骨化を開始させることが可能となり、骨欠損部を迅速に修復することができる。
【0022】
以下に、実験の実施例を示す。
オスのラット(7週齢)の骨髄細胞をフラスコで10日間初期培養を行い、トリプシン処理した細胞を多孔質リン酸カルシウム顆粒体に付着させ、炭酸ガスインキュベータ内で3×106個まで培養した。細胞が付着した多孔質リン酸カルシウム顆粒体は、骨芽細胞への分化誘導因子デキサメタゾンなどを加えた培養液で2週間培養し、ラットの皮下に移植する。
【0023】
このとき、顆粒体の大きさにより、以下の3つに分けて実験を行った。
多孔質リン酸カルシウム顆粒体の大きさが1000μm未満のもので行うと、顆粒体の外表面積が小さいため、細胞が十分に付着できず、骨細胞の形成が充分に認められなかった。すなわち、細胞の付着は外表面のみで、多孔質リン酸カルシウム顆粒体の内部への細胞浸透性がよくないために骨細胞の形成が認められなかった。
【0024】
多孔質リン酸カルシウム顆粒体の大きさが1000〜5000μmの場合、1000μm未満の顆粒体よりも外表面積が大きいため、細胞が十分に付着し、そのために顆粒体内部への細胞の流入が適度によいことにより、表面および内部における骨細胞の形成が認められた。
【0025】
多孔質リン酸カルシウム顆粒体の大きさが5000μmを超える場合、細胞は顆粒体の外表面に付着することが多いが、顆粒体内部に入り難いので、顆粒体の内部における骨細胞の形成が十分ではなかった。
【0026】
したがって、顆粒体の大きさが1000〜5000μmの多孔質リン酸カルシウム顆粒体について、細胞の付着数が適度であり、さらに細胞の顆粒体内部への流入がスムーズで、かつ、顆粒間の適度な隙間によって血流の流通がよいために、細胞への栄養分補給や細胞からの老廃物排出が円滑になり、骨細胞の形成が十分であったと考えられる。
上記の実験の結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
なお、ハイドロキシアパタイトのような他のリン酸カルシウム、コラーゲンやキチンのような天然高分子材料、ポリ乳酸やε−カプロラクタンのような合成高分子材料、チタン合金やチタン繊維のような金属材料または金属繊維を用いて実験を行ったが、上記と同様に顆粒体の大きさが1000〜5000μmの顆粒体において、骨細胞の形成が多かった。
【0029】
なお、図2に示した気孔3の形状に代えて、各気孔3が、図4に示される輪郭形状を有していることが好ましい。このような気孔3は、表面の開口部3aよりも内部に広がるように形成されているとともに、その開口部3aが細胞を流通可能な最小限の大きさを有するように形成されている。これによれば、血流5に載せて到来した細胞が気孔3の開口部3aから内部に侵入してそこに捕らえられ易く、顆粒体1への生着をさらに容易にすることができる。
また、図5に示されるように、気孔3の内部に形成された凹部4の各々が、表面の開口部3bよりも内部に広い輪郭形状を有する内部気孔を形成するように構成してもよい。
【0030】
次に、この発明の第2の実施形態に係る生体組織補填材について、図6を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る生体組織補填材も、生体組織としての骨組織に形成された骨欠損部を修復するための骨補填材10であって、図6に示されるように、ブロック状に構成されている。この骨補填材10は、リン酸カルシウム粉体を焼結することにより、気孔率が30〜80%となるように形成されている。また、骨補填材10の最大寸法は、1000μm〜10000μmの範囲、例えば、10000μmとなっている。
【0031】
また、骨補填材10の一面からはその中心部まで貫通する貫通孔11が形成されている。貫通孔11は、例えば、ドリルにより穿孔された断面円形の孔であり、その口径が300μm〜1000μmの範囲、例えば、1000μmに形成されている。
なお、各気孔3の断面形状については、上記実施形態と同様である。
【0032】
このように構成された本実施形態に係る骨補填材10によれば、ブロック状に形成された骨補填材10の中心部まで貫通孔11が形成されているので、最大寸法10000μmのブロック状に形成されていても、その中心部まで外部から細胞が浸透しやすい。また、細胞が付着した後には、その細胞の周囲に充分な血流を生じさせることができるので、迅速に骨化を開始させることが可能となる。
【0033】
また、比較的大きな口径の貫通孔11を形成しても、気孔3の形状を第1の実施形態と同様に、図2、図4および図5に示されるような凹凸を有する断面形状とすることにより、細胞を気孔3内に捕らえて容易に生着させることができる。なお、骨補填材10の大きさとしては、8000μm以下であることが好ましく、5000μm以下であることがさらに好ましい。貫通孔11の大きさは、骨補填材10の最大寸法に合わせて調整すればよい。なお、貫通孔11の断面形状は、ドリルにより穿孔する場合には円形となるが、他の方法によって形成する場合には円形に限定されるものではない。
さらに、単一の貫通孔11が設けられた例について説明したが、これに代えて、骨補填材10に複数の貫通孔11が設けられていてもよい。
【0034】
以下に、ブロック状の骨補填材についての実験例を示す。
ブロック状の骨補填材11の実験手順は、顆粒体の実験手順と同様なので省略する。
貫通孔野内1000〜10000μmの多孔質リン酸カルシウムブロック状の骨補填材を使った実験において、細胞は骨補填材の外表面に付着するが、骨補填材中心部に見あたらなかった。
他方、300μmの貫通孔を形成した1000μmの多孔質リン酸カルシウムブロック状の骨補填材または1000μm程度の貫通孔を形成した10000μmの多孔質リン酸カルシウムブロック状の骨補填材については、細胞の付着数、骨補填材内部への細胞浸透数が多かった。
実験結果は表2の通りである。
【0035】
【表2】
【0036】
なお、ハイドロキシアパタイトのような他のリン酸カルシウム、コラーゲンやキチンのような天然高分子材料、ポリ乳酸やε−カプロラクタンのような合成高分子材料、チタン合金やチタン繊維のような金属材料または金属繊維を用いて実験を行ったが、上記と同様に骨細胞の形成、骨補填材内部への細胞浸透数が多かった。
【0037】
また、上記各実施形態においては、骨補填材について説明したが、この発明は、これらの骨補填材に予め細胞を付着させた骨補填体をも提供している。例えば、第2の実施形態に示したブロック状の骨補填材10に予め細胞を付着させておくことにより、骨欠損部に補填した後においても、細胞に対する血流を充分に確保することができるので、骨補填材10内部における細胞の生存率を高め、迅速な骨化を達成することができる。
【0038】
なお、上記各実施形態においては、生体組織として骨組織を例に挙げて説明したが、これに代えて、骨以外の軟骨細胞や表皮細胞、真皮細胞、角膜細胞、消化管上皮や内皮細胞、神経細胞等を対象としてもよい。
また、生体組織補填材としては、βリン酸三カルシウムに代えて、ハイドロキシアパタイトなどの他のリン酸カルシウム、コラーゲンやキチンなどの天然高分子材料、ポリ乳酸やε−カプロラクタンのような合成高分子材料、チタン合金やステンレス鋼316のような金属材料や金属繊維およびこれらの材料の少なくとも2種類以上の複合材などを採用してもよい。また、生体組織補填材に生着させる細胞としては骨髄細胞に含まれる間葉系幹細胞の他、末梢血、臍帯血から分離した間葉系幹細胞を用いて生体組織補填体を製造することにしてもよい。また、間葉系幹細胞に代えて、ES細胞、体性幹細胞、骨細胞、軟骨細胞あるいは神経細胞等を採用してもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る生体組織補填材および生体組織補填体によれば、生体組織の欠損部に配置されたときに、生体組織補填材の近傍に充分な血流を生じさせることを可能として、細胞を生体組織補填材の内部まで浸透させることができるとともに、内部に浸透した細胞を生体組織補填材にしっかりと生着させることができる。
また、生体組織補填材の内部に付着した細胞に対して、充分な血流を与えることにより、外部から酸素や栄養分を充分に補給することができるとともに、細胞から排出された老廃物を細胞の周囲に滞留させることなく、血流に載せて外部に流出させることができる。
その結果、細胞の健全な成長を促進して、生体組織欠損部の迅速な修復を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る顆粒体からなる生体組織補填材を示す模式図である。
【図2】図1の生体組織補填材に形成されている気孔の断面形状を示す模式図である。
【図3】図1の生体組織補填材を複数集合させた状態を示す模式図である。
【図4】図1の生体組織補填材に形成されている気孔の断面形状の他の例を示す模式図である。
【図5】図1の生体組織補填材に形成されている気孔の断面形状の他の例を示す模式図である。
【図6】この発明の第2の実施形態に係る成形体からなる生体組織補填材を示す模式図である。
【符号の説明】
1 顆粒体
3 気孔
3a 開口部
4 凹凸
10 骨補填材(生体組織補填材)
11 貫通孔
Claims (11)
- 生体に適合した材料により構成された顆粒体であって、その最大寸法が1000μm〜5000μmであり、30%〜80%の気孔率を有するとともに、各気孔の断面が、それぞれ凹凸を有する輪郭形状を備えている生体組織補填材。
- 生体に適合した材料により構成された成形体であって、その最大寸法が1000μm〜10000μmであり、30〜80%の気孔率を有し、各気孔の断面がそれぞれ凹凸を有する輪郭形状を備えるとともに、
外表面から少なくとも中心付近まで貫通する、口径300μm〜1000μmの少なくとも1つの貫通孔を備える生体組織補填材。 - 前記気孔が、開口部の口径よりも内部に広がる断面形状を有する請求項1または請求項2に記載の生体組織補填材。
- 前記気孔の内面に、該内面に配される開口部の口径よりも内部に広がる断面形状の内部気孔を有する請求項3に記載の生体組織補填材。
- 生体に適合した材料が、リン酸カルシウム、天然高分子材料、合成高分子材料、金属繊維または金属材料、あるいはこれらの2種以上の複合材である請求項1から請求項4のいずれかに記載の生体組織補填材。
- リン酸カルシウムが、ハイドロキシアパタイト、βリン酸三カルシウム、炭酸カルシウムまたはオクタカルシウムフォスフェートである請求項5に記載の生体組織補填材。
- 前記天然高分子材料が、コラーゲンまたはキチンである請求項5に記載の生体組織補填材。
- 前記合成高分子材料が、ポリグリコール、ポリロシン、ポリシアノアクリレート、ポリ乳酸またはε−カプロラクタンである請求項5に記載の生体組織補填材。
- 前記金属繊維または金属材料が、純チタン、チタン合金、タンタル、ステンレス鋼316である請求項5に記載の生体組織補填材。
- 生体に適合した材料に細胞が付着または結合している請求項1から請求項9のいずれかに記載の生体組織補填材。
- 生体に適合した材料の外表面のみ、内面のみ、または内外面の両方に細胞が付着または結合している請求項10に記載の生体組織補填材。
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-
2002
- 2002-11-06 JP JP2002322318A patent/JP2004154308A/ja not_active Withdrawn
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