JP2004152959A - 有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタシート及びこれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低電圧駆動が可能であり、低コストの有機薄膜トランジスタ及び有機薄膜トランジスタシートを提供する。
【解決手段】支持体上に互いに異なる金属からなる第1、第2金属層を形成し、少なくとも第2金属の一部を陽極酸化することにより、ゲート絶縁層の少なくとも一部を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】支持体上に互いに異なる金属からなる第1、第2金属層を形成し、少なくとも第2金属の一部を陽極酸化することにより、ゲート絶縁層の少なくとも一部を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタシートおよびこれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。またさらに情報化の進展に伴い、従来紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
【0003】
一般に平板型のディスプレイ装置においては液晶、有機EL、電気泳動などを利用した素子を用いて表示媒体を形成している。またこうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度などを確保するために、アクティブ駆動素子を用いる技術が主流になっている。例えば通常のコンピュータディスプレイではガラス基板上にアクティブ駆動素子としてTFT素子(薄膜トランジスタ素子)を形成し、液晶、有機EL材料等が封止されている。
【0004】
一方、最近、薄膜トランジスタ(TFT)内の活性半導体層として使用するために有機材料が検討されている。有機材料は加工が容易であり、一般にTFTが形成されるプラスチック基板と親和性が高いので、薄膜デバイス内の活性半導体層としての利用が期待されている。従って、低コストで大面積のデバイス、特にディスプレイのアクティブ駆動素子として検討が進められており、例えば、特許文献1及び2などの技術が開示されている。
【0005】
従来、薄膜トランジスタのゲート絶縁膜は、スパッタリング法あるいはCVD法などの真空系設備を用いたドライプロセスによる酸化物ないしは窒化物の薄膜により形成されることが一般的であった。
【0006】
特許文献3等により、ポリマー溶液の塗布により形成されたゲート絶縁層を用いた、安価な有機薄膜トランジスタの技術が開示されている。しかし、ゲート絶縁層に比誘電率の低い有機物を用いているため、電界効果が弱く、スイッチング時のソース・ドレイン間の電流on/off比が低い、したがってこれを向上させるためには、ゲート電圧を高くする必要があるという問題があった。
【0007】
それらの問題を改善する方法として、ゲート電極材料としてTaを用いるとともに、その陽極酸化膜をゲート絶縁層として利用する技術が提案されているが(非特許文献1)、ゲート絶縁膜の絶縁性に問題があり、ゲートのリーク電流が大きい、ブレークダウンが生じるなどの問題があった。また、ゲートバスラインをTaで形成した場合には、Taの抵抗が高いために、薄膜トランジスタ(TFT)駆動の遅延が大きくなって、ディスプレイに使用するのに問題がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−190001号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2000−307172号公報
【0010】
【特許文献3】
国際公開00/79617号パンフレット
【0011】
【非特許文献1】
第49回応用物理学関係連合講演会、講演予稿集、No.3、p12
37
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の有機薄膜トランジスタにおける前記問題を解決し、低コストで高性能の有機薄膜トランジスタ及び有機薄膜トランジスタシートを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記した本発明の目的は下記の発明により達成される。
【0014】
1.支持体、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタにおいて、
前記ゲート電極は第1金属層からなり、前記ゲート絶縁層の少なくとも一部は前記第1金属層を構成する金属とは異なる金属の第2陽極酸化膜からなることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【0015】
2.支持体、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタにおいて、
前記ゲート電極は、第1金属層及び該第1金属層を構成する金属とは異なる金属からなる第2金属層からなり、前記ゲート絶縁層の少なくとも一部は前記第2金属層を構成する金属の第2陽極酸化膜からなることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【0016】
3.支持体、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタにおいて、
前記ゲート電極は第1金属層からなり、前記ゲート絶縁層の少なくとも一部は前記第1金属層を構成する金属の第1陽極酸化膜及び第1金属層を構成する金属とは異なる金属の第2陽極酸化膜からなることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【0017】
4.前記第1金属層又は前記第2金属層は、スパッタリング法又はCVD法により形成されたことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0018】
5.前記第1陽極酸化膜又は前記第2陽極酸化膜は、スパッタリング法又はCVD法により形成された金属層を陽極酸化処理することにより形成されたことを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0019】
6.前記第1金属層は、30μΩ・cm以下の比抵抗を有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0020】
7.前記第1陽極酸化膜又は前記第2陽極酸化膜は、6以上の比誘電率を有することを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0021】
8.前記第1金属層は、Al又はCuからなり、前記第2金属層はAl又はTaからなることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0022】
9.前記第1陽極酸化膜は、Alの酸化物からなり、前記第2陽極酸化膜は、Taの酸化物からなることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0023】
10.前記ゲート絶縁層は、前記第2陽極酸化膜上に形成された絶縁膜を有することを特徴とする前記1〜9のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0024】
11.前記絶縁膜は、ポリマーからなることを特徴とする前記10に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0025】
12.前記絶縁膜は、無機酸化物又は無機窒化物からなることを特徴とする前記10に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0026】
13.前記第1、第2陽極酸化膜は封孔処理されていることを特徴とする前記1〜12のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0027】
14.無機酸化物又は前記無機窒化物からなる前記絶縁膜は、大気圧プラズマ法により形成されたことを特徴とする前記12に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0028】
15.支持体上に第1金属層を形成する第1金属層形成工程、
前記第1金属層上に、前記第1金属層を構成する金属とは異なる金属からなる第2金属層を形成する第2金属層形成工程及び、
少なくとも前記第2金属層の一部を陽極酸化する陽極酸化処理工程を有し、少なくとも前記第1金属層によりゲート電極を形成し、前記陽極酸化処理で形成された第2陽極酸化膜により、ゲート絶縁層の少なくとも一部を形成することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0029】
16.前記ゲート電極を前記第1金属層により形成することを特徴とする前記15に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0030】
17.前記ゲート電極を前記第1金属層及び前記第2金属層の一部で形成することを特徴とする前記15に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0031】
18.前記ゲート絶縁層を前記第1金属層の一部を陽極酸化処理した第1陽極酸化膜及び前記第2金属層を陽極酸化処理した前記第2陽極酸化膜で形成することを特徴とする前記15に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0032】
19.前記第1金属層及び前記第2金属層を、スパッタリング法により形成することを特徴とする前記15〜18のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0033】
20.前記第1金属層は、Al又はCuからなり、前記第2金属層はAl又はTaからなることを特徴とする前記15〜19のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0034】
21.前記第2陽極酸化膜上に絶縁膜を形成することにより前記ゲート絶縁層を形成することを特徴とする前記15〜20のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0035】
22.前記絶縁膜は、ポリマーからなることを特徴とする前記21に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0036】
23.前記絶縁膜は、無機酸化物又は無機窒化物からなることを特徴とする前記21に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0037】
24.前記絶縁膜を大気圧プラズマ法により形成することを特徴とする前記23に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0038】
25.前記第1、第2陽極酸化膜を封孔処理する封孔処理工程を有することを特徴とする前記15〜24のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0039】
26.表面粗さRmaxが50nm以下の前記第2金属層を形成することを特徴とする前記15〜25のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0040】
27.表面粗さRmaxが50nm以下の前記第2陽極酸化膜を形成することを特徴とする前記15〜26のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0041】
28.支持体、ゲートバスライン、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソースバスライン、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタシートにおいて、
前記ゲートバスライン及び前記ゲート電極は第1金属層からなり、前記ゲート絶縁層の少なくとも一部は前記第1金属層を構成する金属とは異なる金属の第2陽極酸化膜からなることを特徴とする有機薄膜トランジスタシート。
【0042】
29.支持体、ゲートバスライン、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソースバスライン、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタシートにおいて、
前記ゲートバスライン及び前記ゲート電極は第1金属層及び該第1金属層を構成する金属とは異なる金属からなる第2金属層からなり、前記ゲート絶縁層の少なくとも一部は前記第2金属層を構成する金属の第2陽極酸化膜からなることを特徴とする有機薄膜トランジスタシート。
【0043】
30.支持体、ゲートバスライン、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソースバスライン、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタシートにおいて、
前記ゲートバスライン及び前記ゲート電極は第1金属層からなり、前記ゲート絶縁層の少なくとも一部は前記第1金属層を構成する金属の第1陽極酸化膜及び第1金属層を構成する金属とは異なる金属の第2陽極酸化膜からなることを特徴とする有機薄膜トランジスタシート。
【0044】
31.前記第1金属層及び前記第2金属層は、スパッタリング法又はCVD法により形成されたことを特徴とする前記28〜30のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0045】
32.前記第1金属層は、30μΩ・cm以下の比抵抗を有することを特徴とする前記28〜31のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0046】
33.前記第1、第2陽極酸化膜は、6以上の比誘電率を有することを特徴とする前記28〜32のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0047】
34.前記第1金属層は、Al又はCuからなり、前記第2金属層はAl又はTaからなることを特徴とする前記28〜33のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0048】
35.前記第1陽極酸化膜は、Alの酸化物からなり、前記第2陽極酸化膜は、Taの酸化物からなることを特徴とする前記28〜34のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0049】
36.前記ゲート絶縁層は、前記第2陽極酸化膜上に形成された絶縁膜を有することを特徴とする前記28〜35のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0050】
37.前記絶縁膜は、ポリマーからなることを特徴とする前記35に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0051】
38.前記絶縁膜は、無機酸化物又は無機窒化物からなることを特徴とする前記35に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0052】
39.前記第1、第2陽極酸化膜は封孔処理されていることを特徴とする前記28〜38のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0053】
40.無機酸化物又は前記無機窒化物からなる前記絶縁膜は、大気圧プラズマ法により形成されたことを特徴とする前記38に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0054】
41.支持体上に第1金属層を形成する第1金属層形成工程、
前記第1金属層上に、前記第1金属層を構成する金属とは異なる金属からなる第2金属層を形成する第2金属層形成工程及び、
少なくとも前記第2金属層の一部を陽極酸化する陽極酸化処理工程を有し、少なくとも前記第1金属層によりゲート電極及びゲートバスラインを形成し、前記陽極酸化処理工程で形成された第2陽極酸化膜により、ゲート絶縁層の少なくとも一部を形成することを特徴とする有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0055】
42.前記ゲート電極及び前記ゲートバスラインを前記第1金属層により形成することを特徴とする前記41に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0056】
43.前記ゲート電極及び前記ゲートバスラインを前記第1金属層及び前記第2金属層の一部で形成することを特徴とする前記41に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0057】
44.前記ゲート絶縁層の少なくとも一部を、前記第1金属層の一部の第1陽極酸化膜及び前記第2金属層の第2陽極酸化膜で形成することを特徴とする前記41に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0058】
45.前記第1金属層及び前記第2金属層を、スパッタリング法又はCVD法により形成することを特徴とする前記41〜44のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0059】
46.前記第1金属層は、Al又はCuからなり、前記第2金属層はAl又はTaからなることを特徴とする前記41〜45のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0060】
47.前記第2陽極酸化膜上に絶縁膜を形成することにより前記ゲート絶縁層を形成することを特徴とする前記41〜46のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0061】
48.前記絶縁膜は、ポリマーからなることを特徴とする前記47に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0062】
49.前記絶縁膜は、無機酸化物又は無機窒化物からなることを特徴とする前記47に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0063】
50.前記絶縁膜を大気圧プラズマ法により形成することを特徴とする前記49に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0064】
51.前記第1、第2陽極酸化膜を封孔処理する封孔処理工程を有することを特徴とする前記41〜50のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0065】
52.表面粗さRmaxが50nm以下の前記第2金属層を形成することを特徴とする前記41〜51のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0066】
53.表面粗さRmaxが50nm以下の前記第2陽極酸化膜を形成することを特徴とする前記41〜52のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0067】
54.支持体、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタにおいて、前記支持体上に複数の金属層を形成した後に、該複数の金属層を部分的に陽極酸化することにより前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層の少なくとも一部を形成したことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【0068】
55.支持体、ゲートバスライン、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソースバスライン、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタシートにおいて、
前記支持体上に複数の金属層を形成した後に、該複数の金属層を部分的に陽極酸化することにより前記ゲート電極、前記ゲートバスライン及び前記ゲート絶縁層の少なくとも一部を形成したことを特徴とする有機薄膜トランジスタシート。
【0069】
56.支持体上に複数の金属層を形成する工程と、
前記複数の金属層を部分的に陽極酸化する工程とにより、
有機薄膜トランジスタにおけるゲート電極及びゲート絶縁層の少なくとも一部を形成することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0070】
57.支持体上に複数の金属層を形成する工程と、
前記複数の金属層を部分的に陽極酸化する工程とにより、
有機薄膜トランジスタにおけるゲート電極、ゲートバスライン及びゲート絶縁層の少なくとも一部を形成することを特徴とする有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0071】
【発明の実施の形態】
本発明に係る有機薄膜トランジスタは、支持体、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する。図1は本発明の実施の形態に係る有機薄膜トランジスタの例を示す。
【0072】
図1において、1は支持体、5は有機半導体層、6はソース電極、7はドレイン電極である。ソース電極6とドレイン電極7間の有機半導体層5が活性層5aとして機能する。
【0073】
図1(a)に示す例では、第1金属層2aがゲート電極を形成し、第2陽極酸化膜3bがゲート絶縁層を構成する。第2陽極酸化膜3bは第1金属層2aを構成する金属とは異なる金属を陽極酸化処理することにより形成される。
【0074】
図1(b)に示す例では、第1金属層2aに上に第2金属層2bが形成され、こらら金属層がゲート電極を形成する。そして第1金属層2aと第2金属層2bとは異なる金属材料で構成される。ゲート絶縁層は第2陽極酸化膜3bからなり、第2陽極酸化膜3bは第2金属層2bを構成する金属を陽極酸化処理することにより形成される。
【0075】
図1(c)に示す例では、第1金属層2aの上に第1陽極酸化膜3a及び第2陽極酸化膜3bが形成され、第1金属層2aがゲート電極を構成し、第1陽極酸化膜3a及び第2陽極酸化膜3bがゲート絶縁層を構成する。第1陽極酸化膜3aは第1金属層2aを構成する金属を陽極酸化処理することにより形成され、第2陽極酸化膜3bは第1金属層2aを構成する金属とは異なる金属を陽極酸化処理することにより形成される。
【0076】
図1(a)、図1(b)及び図1(c)に示す有機薄膜トランジスタにいて、ゲート電極及びゲート絶縁層の層構成は、異なる金属からなる2層を形成した後に陽極酸化処理することにより形成され、図1(a)〜(c)のいずれの層構成とするかは、陽極酸化の程度を制御することにより選択される。
【0077】
第1陽極酸化膜3a及び第2陽極酸化膜3bは、必要に応じて封孔処理される。
【0078】
図2は本発明の実施の形態に係る有機薄膜トランジスタの他の例を示す。図2において、図1と同一の構成層には同一の符号を付す。
【0079】
図2(a)に示す例では、ゲート電極は金属層2’からなり、ゲート絶縁層は、陽極酸化膜3’及び絶縁膜4からなり、絶縁膜4上に形成されたソース電極6とドレイン電極7間の間隙に有機半導体層5が形成される。図2(b)に示す例は、図2(a)に示した有機薄膜トランジスタを保護膜8で被覆した例である。
【0080】
図2(c)に示す例は、絶縁膜4上に有機半導体層5を形成し、有機半導体層5上にソース電極6及びドレイン電極7を形成することにより、これら電極6、7間の間隙に対応する活性層5aとした例である。
【0081】
図2(a)、図2(b)及び図2(c)に示す有機薄膜トランジスタの各々には、それぞれ図1(a)、図1(b)、図1(c)に示すような、ゲート電極とゲート絶縁層の層構成に関する変形例が含まれる。すなわち、図2における金属層2’は図1における第1金属層2a又は第1金属層2a及び第2金属層2bからなり、陽極酸化膜3’は図1における第2陽極酸化膜3b又は第1陽極酸化膜3a及び第2陽極酸化膜3bからなる。
【0082】
図3は本発明の実施の形態に係る有機薄膜トランジスタシート10の回路図である。
【0083】
有機薄膜トランジスタシート10はマトリクス配置された多数の有機薄膜トランジスタ素子14を有する。11は各有機薄膜トランジスタ素子14のゲート電極のゲートバスラインであり、12は各有機薄膜トランジスタ素子のソース電極のソースバスラインである。各有機薄膜トランジスタ素子14のドレイン電極には、出力電極13が接続され、各出力電極13には、液晶、電気泳動素子等の出力素子16が接続され、表示装置における画素を構成する。図示の例では、出力素子16としての液晶が抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。15は蓄積コンデンサ、17は垂直駆動回路、18は水平駆動回路である。
【0084】
図4は図3に示す有機薄膜トランジスタシートの各マトリクスセルにおける電極の配置を示す。図4(a)に示す例は、出力電極13から突出させたドレイン電極13aとソースバスライン12との間の間隙がゲートバスライン11の上に形成されるように、ソースバスライン12及び出力電極13を形成し、前記間隙を埋めるように有機半導体層5を設層して有機半導体の活性層を形成することにより、有機薄膜トランジスタ素子を構成した例であり、図4(b)に示す例は、ソースバスライン12から突出させたソース電極12aとドレイン電極としての出力電極13との間の間隙がゲートバスライン11上に形成されるように、ソースバスライン12及び出力電極13を形成し、前記間隙を埋めるように有機半導体層5を形成することにより有機半導体の活性層を形成して有機薄膜トランジスタ素子を構成した例であり、図4(c)に示す例は、ソースバスライン12とドレイン電極としての出力電極13との間隙がゲートバスライン11の突出部として形成したゲート電極11aの上に形成されるように、ソースバスライン12及び出力電極13を形成し、該間隙を埋めるように有機半導体層5を設層することにより、有機半導体の活性層を形成し、有機薄膜トランジスタ素子を形成した例である。
【0085】
次に、有機薄膜トランジスタを構成する層の個々について説明する。
〈支持体〉
支持体はガラスやフレキシブルな樹脂製シートで構成され、例えばプラスチックフィルムをシートとして用いることができる。前記プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。これらのフィルムは公知の表面処理、表面コートを行うことができる。例えば酸化ケイ素と酸化アルミニウムの共蒸着膜や、大気圧プラズマ法等による酸化ケイ素と酸化アルミニウムなどの無機酸化物の混合膜あるいは多層複合膜を、ガスバリア層として形成させても良い。またアルミニウムなどの金属薄膜を蒸着したフィルム等をラミネートして複合フィルムを用いてもよいし、フィルム中に無機酸化物微粒子を含有させてもよい。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
【0086】
〈ゲート電極、ゲートバスライン〉
ゲート電極及びゲートバスラインは金属材料かならり、金属材料としては銅、アルミニウム又はタンタルが好ましい。ゲート電極及びゲートバスラインを同一材料で形成することにより、ゲート電極とゲートバスラインを1工程で形成することが可能になる。ゲートバスラインには、抵抗の低い材料が望ましく、比抵抗30Ω・cm以下の材料が好ましい。
【0087】
ゲート電極は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法などを用い、マスキングやエッチングによりパターン化される。ゲート電極の表面は平滑であることが望ましく、JIS B 0601による表面粗さRmax、Raが次の範囲にあることが望ましい。
【0088】
Rmax・・・・・50mn以下、Ra・・・・・30nm以下。
Rmaxが10nm以下、Raが6nm以下であることが特に望ましい。
【0089】
このように平滑なゲート電極を形成するには、スパッタリング法を用いることが望ましい。
【0090】
膜厚は10〜1000nm、後に続く陽極酸化膜の形成により消費されるため、100〜500nmが好ましい。
【0091】
〈ゲート絶縁層〉
ゲート絶縁層は陽極酸化膜又は該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成される。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
【0092】
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウム又はタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行なうことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸あるいそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%、電解液の温度5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100ボルト、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸又はホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/dm2で20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
【0093】
図1、2に示したように、ゲート電極とゲート絶縁層の少なくとも一部とは、金属層と陽極酸化膜とからなり、金属層と陽極酸化膜との次のような組合わせによりゲート電極及びゲート絶縁層の少なくとも一部が形成される。
(1)ゲート電極・・・・第1金属層
ゲート絶縁層・・・・・前記第1金属層とは異なる金属の第2陽極酸化膜
(2)ゲート電極・・・・・第1金属層+第2金属層
ゲート絶縁層・・・・・第2金属層を構成する金属の第2陽極酸化膜、ただし、第1金属層と第2金属層とは異なる金属からなる
(3)ゲート電極・・・・・第1金属層
ゲート絶縁層・・・・・第1金属層を構成する金属の第1陽極酸化膜+第1金属層とは異なる金属の第2陽極酸化膜
このような組み合わせを実現する金属材料としては、
前記第1金属層に、銅又はアルミニウムを用いることができ、第2金属層に、アルミニウム又はタンタルを用いることができる。
【0094】
特に望ましい材料の組み合わせとしては、第1金属層に銅を用い、第2金属層にアルミニウムを用いるものと、第1金属層にアルミニウムを用い、第2金属層にタンタルを用いるものがある。
【0095】
陽極酸化膜の表面、すなわち、絶縁膜と接する陽極酸化膜の表面又は有機半導体層と接する陽極酸化膜の表面は平滑であることが望ましく、その表面粗さは、Rmaxで50mn以下、Raで30nm以下であることが望ましく、Rmaxで10nm以下、Raで6nm以下であることが特に望ましい。
【0096】
このような平滑性の高い陽極酸化膜を形成するために、陽極酸化される金属層はスパッタリング法又はCVD法により形成されることが望ましく、特にスパッタリング法又は大気圧プラズマ法により形成されることが望ましい。特に、2層構成とすることにより平滑性を向上することができる。
【0097】
高い平滑性の陽極酸化膜を形成することにより、その上に形成される有機半導体の配向性を向上することができる、活性層におけるキャリアの移動度を向上することができる等の効果が得られる。
【0098】
前記したように、本発明においては、ゲート絶縁層の少なくとも一部が陽極酸化膜により形成されるが、該陽極酸化膜はゲート絶縁層の比誘電率を高め、その絶縁性を高める上で有効であり、該陽極酸化膜の比誘電率は6以上であることが望ましい。
【0099】
陽極酸化膜上にはさらに絶縁膜を設けることができ、ゲート絶縁層は前記陽極酸化膜と前記絶縁膜とで構成される。かかる絶縁膜の材料としては、公知の絶縁体を用いることができ、無機酸化物、無機窒化物、ポリマー等を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの無機窒化物も好適に用いることができる。
【0100】
絶縁膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。これらのうち好ましいのは、大気圧プラズマ法である。
【0101】
大気圧下でのプラズマ製膜処理による絶縁膜(例えば無機酸化物:SiO2、TiO2等又は無機窒化物:Si3N4等)の形成方法については以下のように説明される。
【0102】
上記大気圧下でのプラズマ製膜処理とは、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する処理を指し、その方法については特開平11−133205号、特開2000−185362号、特開平11−61406号、特開2000−147209号、特開2000−121804号等に記載されている(以下、大気圧プラズマ法とも称する)。これによって高機能性の薄膜を、生産性高く形成することができる。
【0103】
図5はプラズマ製膜処理を行う装置を示す図である。図5において、プラズマ放電処理容器31、ガス発生装置51、電源41、電極冷却ユニット60等が装置構成として配置されている。電極冷却ユニット60の冷却剤としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が用いられる。
【0104】
前記プラズマ放電処理容器31内にロール電極25、固定されている電極36を所定位置に配置し、ガス発生装置51で発生させた混合ガスを流量制御して、吸気口52よりプラズマ放電処理容器31内に入れ、プラズマ放電処理容器31内をプラズマ処理に用いる混合ガスで充満し排気口53より排気する。次に電源41により電極36に電圧を印加する。ロール電極25はアースに接地し、放電プラズマを発生させる。ここで、ロール状の元巻き基材61より基材Fを供給し、ガイドローラ64を介して、ロール電極25に巻回された基材Fは、ニップローラ65、66で押圧され、プラズマ放電処理容器31の電極間を片面接触(ロール電極25に接触している)の状態で搬送され、基材Fは搬送中に放電プラズマにより表面が放電処理され、その後にガイドローラ67を介して、次行程に搬送される。ここで、基材Fはロール電極25に接触していない面のみ放電処理がなされる。
【0105】
また、仕切板54は前記ニップローラ65、66に近接して配置され、基材Fは同伴する空気がプラズマ放電処理容器31に進入するのを抑制する。
【0106】
アース電極であるロール電極25は、金属等の導電性母材に対しセラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体を被覆した組み合わせで構成されているものである。または、金属等の導電性母材へライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体を被覆した組み合わせでもよい。ライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易いので、更に好ましく用いられる。金属等の導電性母材としては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等が挙げられるが、加工の観点からステンレスが好ましい。また、溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、更に好ましく用いられる。ロール電極25の母材は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材を使用することができる(不図示)。
【0107】
印加電極36に電圧を印加する電源41としては、特に限定はないが、パール工業製高周波電源(200kHz)、パール工業製高周波電源(800kHz)、日本電子製高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波電源(150MHz)等が使用できる。
【0108】
電極間の距離は、電極36の母材に設置した固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定される。電極の一方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体と電極の最短距離、電極の双方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.5mm〜20mmが好ましく、特に好ましくは1mm±0.5mmである。
【0109】
対向する電極間には100kHzを越えた高周波電圧で、且つ、1W/cm2以上の電力を供給し、反応性ガスを励起してプラズマを発生させる。このようなハイパワーの電界を印加することによって、緻密で、膜厚均一性の高い高機能性の薄膜を、生産効率高く得ることが可能である。
【0110】
ここで電極間に印加する高周波電圧の周波数の上限値は、好ましくは150MHz以下である。また、高周波電圧の周波数の下限値としては、好ましくは200kHz以上、さらに好ましくは800kHz以上である。
【0111】
さらに電極間に供給する電力の下限値は、好ましくは1.2W/cm2以上であり、上限値としては、好ましくは50W/cm2以下、さらに好ましくは20W/cm2以下である。尚、電極における電圧の印加面積(/cm2)は、放電が起こる範囲の面積のことを指す。
【0112】
電源41より固定されている電極36に印加される電圧の値は適宜決定される。なお電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードとパルスモードと呼ばれるon/offを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用しても良いが連続モードの方がより緻密で良質な膜が得られる。
【0113】
また、放電プラズマ処理時の基材への影響を最小限に抑制するために、放電プラズマ処理時の基材の温度を常温(15℃〜25℃)〜200℃未満の温度に調整することが好ましく、更に好ましくは常温〜100℃に調整することである。上記の温度範囲に調整する為、必要に応じて電極、基材は冷却手段で冷却しながら放電プラズマ処理される。
【0114】
上記の放電プラズマ処理はが大気圧または大気圧近傍で行われるが、ここで大気圧近傍とは、20kPa〜110kPaの圧力を表し、好ましくは、93kPa〜104kPaが好ましい。
【0115】
また、薄膜形成方法に係る放電用電極においては、電極の少なくとも基材と接する側のJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下になるように調整されることが、好ましいが、更に好ましくは、表面粗さの最大値が8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することである。
【0116】
また、JIS B 0601で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)は0.5μm以下が好ましく、更に好ましくは0.1μm以下である。
【0117】
次に、混合ガスについて説明する。
薄膜形成方法を実施するにあたり、使用するガスは、基材上に設けたい薄膜の種類によって異なるが、基本的に、不活性ガスと、薄膜を形成するための反応性ガスの混合ガスである。反応性ガスは、混合ガスに対し、0.01〜10体積%含有させることが好ましい。
【0118】
上記不活性ガスとは、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が挙げられるが、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。
【0119】
例えば、反応性ガスとしてジンクアセチルアセトナート、トリエチルインジウム、トリメチルインジウム、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、エトラエチル錫、エトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫などから選択された少なくとも1つの有機金属化合物を含む反応性ガスを用いて、導電性膜あるいは帯電防止膜、あるいは反射防止膜の中屈折率層として有用な無機酸化物層を形成することができる。
【0120】
また、フッ素含有化合物ガスを用いることによって、基材表面にフッ素含有基を形成させて表面エネルギーを低くし、撥水性表面を得る撥水膜を得ることが出来る。フッ素元素含有化合物としては、6フッ化プロピレン(CF3CFCF2)、8フッ化シクロブタン(C4F8)等のフッ素・炭素化合物が挙げられる。安全上の観点から、有害ガスであるフッ化水素を生成しない6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタンを用いる。
【0121】
また、分子内に親水性基と重合性不飽和結合を有するモノマーの雰囲気下で処理を行うことにより、親水性の重合膜を堆積させることもできる。上記親水性基としては、水酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、1級若しくは2級又は3級アミノ基、アミド基、4級アンモニウム塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基等の親水性基等が挙げられる。又、ポリエチレングリコール鎖を有するモノマーを用いても同様に親水性重合膜を堆積が可能である。
【0122】
上記モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルアルコール、アリルアミン、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステルなどが挙げられ、これらの少なくとも1種が使用できる。
【0123】
また、有機フッ素化合物、珪素化合物またはチタン化合物を含有する反応性ガスを用いることにより、低屈折率層または高屈折率層を設けることが出来る。
【0124】
有機フッ素化合物としては、フッ化炭素ガス、フッ化炭化水素ガス等が好ましく用いられる。フッ化炭素ガスとしては、4フッ化炭素、6フッ化炭素、具体的には、4フッ化メタン、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタン等が挙げられる。前記のフッ化炭化水素ガスとしては、2フッ化メタン、4フッ化エタン、4フッ化プロピレン、3フッ化プロピレン等が挙げられる。
【0125】
更に、1塩化3フッ化メタン、1塩化2フッ化メタン、2塩化4フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やアルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体を用いることが出来るがこれらに限定されない。また、これらの化合物が分子内にエチレン性不飽和基を有していても良い。前記の化合物は単独でも混合して用いても良い。
【0126】
混合ガス中に上記記載の有機フッ素化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中の有機フッ素化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0127】
また、有機フッ素化合物が常温、常圧で気体である場合は、混合ガスの構成成分として、そのまま使用できるので最も容易に遂行することができる。しかし、有機フッ素化合物が常温・常圧で液体又は固体である場合には、加熱、減圧等の方法により気化して使用すればよく、また、又、適切な溶剤に溶解して用いてもよい。
【0128】
混合ガス中に上記記載のチタン化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中のチタン化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0129】
また、上記記載の混合ガス中に水素ガスを0.1〜10体積%含有させることにより薄膜の硬度を著しく向上させることが出来る。
【0130】
また、混合ガス中に酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、窒素から選択される成分を0.01〜5体積%含有させることにより、反応促進され、且つ、緻密で良質な薄膜を形成することができる。
【0131】
上記記載の珪素化合物、チタン化合物としては、取り扱い上の観点から金属水素化合物、金属アルコキシドが好ましく、腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れなども少ないことから、金属アルコキシドが好ましく用いられる。
【0132】
また、上記記載の珪素化合物、チタン化合物を放電空間である電極間に導入するには、両者は常温常圧で、気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合は、そのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用される。珪素化合物、チタン化合物を加熱により気化して用いる場合、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシチタンなど、常温で液体で、沸点が200℃以下である金属アルコキシドが好適に用いられる。上記金属アルコキシドは、溶媒によって希釈して使用されても良く、溶媒は、メタノール、エタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。尚、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解される為、基材上への薄膜の形成、薄膜の組成などに対する影響は殆ど無視することが出来る。
【0133】
上記記載の珪素化合物としては、例えば、ジメチルシラン、テトラメチルシランなどの有機金属化合物、モノシラン、ジシランなどの金属水素化合物、二塩化シラン、三塩化シランなどの金属ハロゲン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどのアルコキシシラン、オルガノシランなどを用いることが好ましいがこれらに限定されない。また、これらは適宜組み合わせて用いることが出来る。
【0134】
混合ガス中に上記記載の珪素化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中の珪素化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0135】
上記記載のチタン化合物としては、テトラジメチルアミノチタンなどの有機金属化合物、モノチタン、ジチタンなどの金属水素化合物、二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタンなどの金属ハロゲン化合物、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタンなどの金属アルコキシドなどを用いることが好ましいがこれらに限定されない。
【0136】
また絶縁膜を形成するポリマーとしては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、PMMAに代表されるポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール・ノボラック樹脂・レゾール樹脂などのフェノール樹脂、およびシアノエチルプルラン、ポリマー体、エラストマー体を含むホスファゼン化合物、等を用いることもできる。
【0137】
これらのうち、ポリイミド、ポリエステル、ポリアクリレート、フェノール樹脂が好ましい。有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
【0138】
陽極酸化膜の厚さは10〜300nmであり、陽極酸化膜上に形成する絶縁膜の厚さは10nm〜3μm、好ましくは、30nm〜500nmである。
【0139】
陽極酸化膜の形成後、封孔処理することが好ましい。封孔処理により、上記に示した絶縁膜を設けない構成でも、良好な絶縁性が得られる。封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム塩処理、電着封孔処理等の公知の方法を用いて行うことができる。
【0140】
〈有機半導体層〉
活性層を構成する有機半導体にはπ共役系材料が用いられる。たとえばポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)などのポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェンなどのポリチオフェン類、ポリイソチアナフテンなどのポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレンなどのポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)、ポリ(3−置換アニリン)、ポリ(2,3−置換アニリン)などのポリアニリン類、ポリアセチレンなどのポリアセチレン類、ポリジアセチレンなどのポリジアセチレン類、ポリアズレンなどのポリアズレン類、ポリピレンなどのポリピレン類、ポリカルバゾール、ポリ(N−置換カルバゾール)などのポリカルバゾール類、ポリセレノフェンなどのポリセレノフェン類、ポリフラン、ポリベンゾフランなどのポリフラン類、ポリ(p−フェニレン)などのポリ(p−フェニレン)類、ポリインドールなどのポリインドール類、ポリピリダジンなどのポリピリダジン類、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、ピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセンなどのポリアセン類およびポリアセン類の炭素の一部をN、S、Oなどの原子、カルボニル基などの官能基に置換した誘導体(トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジン、ヘキサセン−6,15−キノンなど)、ポリビニルカルバゾール、ポリフエニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィドなどのポリマーや特開平11−195790に記載された多環縮合体などを用いることができる。また、これらのポリマーと同じ繰返し単位を有するたとえばチオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、スチリルベンゼン誘導体などのオリゴマーも好適に用いることができる。さらに銅フタロシアニンや特開平11−251601に記載のフッ素置換銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニン類、ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N’−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N’−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、及びアントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類などの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNTなどのカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類などの色素などがあげられる。
これらのπ共役系材料のうちでも、チオフェン、ビニレン、チェニレンビニレン、フェニレンビニレン、p−フェニレン、これらの置換体またはこれらの2種以上を繰返し単位とし、かつ該繰返し単位の数nが4〜10であるオリゴマーもしくは該繰返し単位の数nが20以上であるポリマー、ペンタセンなどの縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0141】
また、その他の有機半導体材料としては、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、などの有機分子錯体も用いることができる。さらにポリシラン、ポリゲルマンなどのσ共役系ポリマーや特開2000−260999に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
【0142】
本発明においては、有機半導体層に、たとえば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基などの官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレンおよびテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体などのように電子を受容するアクセプターとなる材料や、たとえばアミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基などの官能基を有する材料、フェニレンジアミンなどの置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾールおよびその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体などのように電子の供与体であるドナーとなるような材料を含有させ、いわゆるドーピング処理を施してもよい。
【0143】
前記ドーピングとは電子授与性分子(アクセクター)または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして該薄膜に導入することを意味する。従って,ドーピングが施された薄膜は、前記の縮合多環芳香族化合物とドーパントを含有する薄膜である。本発明に用いるドーパントとしてアクセプター、ドナーのいずれも使用可能である。このアクセプターとしてCl2、Br2、I2、ICl、ICl3、IBr、IFなどのハロゲン、PF5、AsF5、SbF5、BF3、BC13、BBr3、SO3などのルイス酸、HF、HCl、HNO3、H2SO4、HClO4、FSO3H、ClSO3H、CF3SO3Hなどのプロトン酸、酢酸、蟻酸、アミノ酸などの有機酸、FeCl3、FeOCl、TiCl4、ZrCl4、HfCl4、NbF5、NbCl5、TaCl5、MoCl5、WF5、WCl6、UF6、LnCl3(Ln=La、Ce、Nd、Pr、などのランタノイドとY)などの遷移金属化合物、Cl−、Br−、I−、ClO4−、PF6−、AsF5−、SbF6−、BF4−、スルホン酸アニオンなどの電解質アニオンなどを挙げることができる。またドナーとしては、Li、Na、K、Rb、Csなどのアルカリ金属、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Ybなどの希土類金属、アンモニウムイオン、R4P+、R4As+、R3S+、アセチルコリンなどをあげることができる。これらのドーパントのドーピングの方法として予め有機半導体の薄膜を作製しておき、ドーパントを後で導入する方法、有機半導体の薄膜作製時にドーパントを導入する方法のいずれも使用可能である。前者の方法のドーピングとして、ガス状態のドーパントを用いる気相ドーピング、溶液あるいは液体のドーパントを該薄膜に接触させてドーピングする液相ドーピング、個体状態のドーパントを該薄膜に接触させてドーパントを拡散ドーピングする固相ドーピングの方法をあげることができる。また液相ドーピングにおいては電解を施すことによってドーピングの効率を調整することができる。後者の方法では、有機半導体化合物とドーパントの混合溶液あるいは分散液を同時に塗布、乾燥してもよい。たとえば真空蒸着法を用いる場合、有機半導体化合物とともにドーパントを共蒸着することによりドーパントを導入することができる。またスパッタリング法で薄膜を作製する場合、有機半導体化合物とドーパントの二元ターゲットを用いてスパッタリングして薄膜中にドーパントを導入させることができる。さらに他の方法として、電気化学的ドーピング、光開始ドーピング等の化学的ドーピングおよび例えば刊行物{工業材料、34巻、第4号、55頁、1986年}に示されたイオン注入法等の物理的ドーピングの何れも使用可能である。
【0144】
これら有機薄膜の作製法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、プラズマ重合法、電解重合法、化学重合法、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法およびLB法等が挙げられ、材料に応じて使用できる。ただし、この中で生産性の点で、有機半導体の溶液をもちいて簡単かつ精密に薄膜が形成できるスピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等が好まれる。これら有機半導体からなる薄膜の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体からなる活性層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、有機半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
【0145】
〈ソース、ソースバスライン、ドレイン電極、出力電極〉
ソース電極、ソースバスライン、ドレイン電極及び出力電極を構成する材料としては、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITOおよび炭素が好ましい。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いられる。ソース電極、ドレイン電極は、上に挙げた中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
【0146】
ソース電極、ソースバスライン、ドレイン電極及び出力電極の形成方法としては、上記材料を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
【0147】
粒子径が1〜50nm好ましくは1〜10nmの金属微粒子を加熱融着して形成された電極を用いる。金属材料は白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、タンタル、インジウム、コバルト、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛、等を用いることができるが、特に、仕事関数が4.5eV以上の白金、金、銀、銅、コバルト、クロム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、モリブデン、タングステンが好ましい。
【0148】
上記導電性微粒子として、粒子径が1〜50nm好ましくは1〜10nmの白金、金、銀、銅、コバルト、クロム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、モリブデン、タングステンなどの金属微粒子が挙げられる。このような金属微粒子分散液の製造方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800、同11−80647、同11−319538、特開2000−239853などに示されたコロイド法、特開2001−254185、特開2001−53028、特開2001−35814、特開2001−35255、特開2000−124157、特開2000−123634などに記載されたガス中蒸発法により製造された分散物である。これらの分散物を、塗設し電極パターン状に成型した後、溶媒を乾燥させ、さらに100℃〜300℃、好ましくは150℃〜200℃の範囲で熱処理することにより、金属微粒子を熱融着させることで電極形成する。
【0149】
〈保護膜〉
大気中の酸素、水分などによって寿命が低下するのを抑止するため、有機半導体層は、保護膜により分離されていることが好ましい。保護膜を構成する材料としては、PVA、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのガスバリア性フィルムや、絶縁層の記載に示した無機物を用いることができる。
【0150】
本発明の実施の形態に係る有機薄膜トランジスタの製造方法及び有機薄膜トランジスタシートの製造方法は、
支持体上に第1金属層を形成する第1金属層形成工程、
前記第1金属層上に、前記第1金属層を構成する金属とは異なる金属からなる第2金属層を形成する第2金属層形成工程及び、
少なくとも前記第2金属層の一部を陽極酸化する陽極酸化処理工程を有し、少なくとも前記第1金属層によりゲート電極を形成し、前記陽極酸化処理で形成された陽極酸化膜により、ゲート絶縁層の少なくとも一部を形成することを特徴とする。
【0151】
次に、本発明の実施の形態に係る有機薄膜トランジスタの製造方法及び有機薄膜トランジスタシートの製造方法における各工程について図6を用いて説明する。
【0152】
(1)支持体上に第1金属層を形成する第1金属層形成工程{図6(a)}
前記したように、スパッタリング法等により第1金属層2aが形成される。第1金属層2aは、マスキング、エッチング等によりパターニングされ、ゲート電極及びゲートバスラインが形成される。
【0153】
(2)前記第1金属層上に第2金属層を形成する第2金属層形成工程{図6(b)}
前記したように、スパッタリング法等により第2金属層2bが形成され、マスキング、エッチング等によりパターニングされる。前記に説明したように第2金属層は第1金属層とは異なる金属からなる。
【0154】
(3)陽極酸化処理工程{図6(c)}
前記に説明した陽極酸化処理工程においては、少なくとも第2金属層の一部が陽極酸化膜に変換され、陽極酸化膜3が形成される。
【0155】
前記に説明したように、陽極酸化の程度により、第2金属層の一部、第2金属層の全部又は第1金属層の一部及び第2金属層の全部の酸化物が陽極酸化膜3を構成する。
【0156】
(4)封孔処理工程
陽極酸化膜3は前記した方法により必要に応じて封孔処理される。該封孔処理によりゲート絶縁層の絶縁性を向上し、ゲートリーク電流を低減することができる。
【0157】
(5)絶縁膜形成工程{図6(d)}
陽極酸化膜3上に絶縁膜4が前記した方法により必要に応じて形成される。絶縁膜の付加により、ゲート絶縁層の絶縁性を向上し、ゲートリーク電流を低減することができる。
【0158】
(6)有機半導体層形成工程{図6(e)}
塗布法等のように前記に説明した膜形成方法により前記に説明した有機半導体層5が形成される。図1、2に示すように、有機半導体層は陽極酸化膜又は絶縁膜上に形成される。
【0159】
(7)ソース電極、ソースバスライン、ドレイン電極及び出力電極の形成工程{図6(f)}
前記に説明した方法によりソース電極6、ソースバスライン12及びドレイン電極7及び出力電極13が形成されるが、ソースバスライン12及び出力電極13はそれぞれ、ソース電極6及びドレイン電極7の形成時に同一材料により同時に形成される。
【0160】
(8)保護膜形成工程
図示しないが、前記に説明した保護膜が前記に説明した方法により、図6(f)に示した有機薄膜トランジスタが保護膜により被覆される。保護膜形成工程は、必須ではなく、必要に応じて実施される。
【0161】
本発明は以上説明した実施の形態に限られない、例えば、支持体に2層以上の金属層を形成する工程と、形成した複数の金属層を部分的に陽極酸化して陽極酸化膜を形成工程とにより、ゲート電極、ゲートバスライン及びゲート絶縁層を形成して有機薄膜トランジスタシートを形成することも可能である。前記複数の金属層としては異種金属の2層が含まれることを条件として所望の数の層を設層することができる。
【0162】
【実施例】
○ゲートバスライン、ゲート電極:
無アルカリ基板上に、第1金属層及び第2金属層を形成し、フォトリソグラフ用の感光性レジストを塗設した後、リフトオフ法により幅30μmのゲートバスライン(電極)を形成した。前記金属層はスパッタリング法により形成した。なお、試料No.3については、第1金属層を蒸着により形成した。
【0163】
○陽極酸化膜:
30質量%硫酸水溶液中で、30Vの定電圧電源から供給される直流を用いて陽極酸化処理を行い、陽極酸化膜を形成した。陽極酸化膜の厚さは、処理時間を制御することにより制御した。
【0164】
さらに、封孔処理を行う試料、ポリマーからなる絶縁膜を設層する試料及び無機酸化物からなる絶縁膜を設層する試料についてそれぞれ次の処理を行った。
【0165】
○封孔処理:
1気圧、100℃の飽和した蒸気チャンバーの中で、蒸気封孔処理を施した。
【0166】
○ポリマーからなる絶縁膜:
PMMAの1質量%MEK溶液を、アプリケーターを用いて塗布し、100℃で3分乾燥させ、厚さ30nmのPMMA膜を形成した。また、PMMAに代えてポリビニルフェノールの溶液を作成して厚さ30nmのポリビニルフェノール膜を形成した。
【0167】
○無機酸化物からなる絶縁膜:
〈反応性ガス〉
プラズマ処理に用いる混合ガス(反応性ガス)の組成:
・SiO2層用:
不活性ガス:アルゴン98.25体積%
反応性ガス:水素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラメトキシシラン蒸気(アルゴンガスにてバブリング)0.25体積%
・TiO2層用:
不活性ガス:アルゴン98.9体積%
反応性ガス:水素ガス0.8体積%
反応性ガス:テトラプロポキシチタン蒸気(150℃に加熱した液体にアルゴンガスをバブリング)0.3体積%
〈放電条件〉
放電出力:10W/cm2
〈電極条件〉
ロール電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
【0168】
・基材フィルムのハードコート層上に、上記反応性ガス、上記放電条件および上記電極条件により、連続的に大気圧プラズマ処理して薄膜を設ける。
【0169】
○有機半導体層:
昇華精製されたペンタセンを蒸着して厚さ70nmの有機半導体層を形成した。
【0170】
○ソース電極、ソースバスライン、ドレイン電極、出力電極:
マスクを介して厚さ50nmの金層及び厚さ100nmのクロム層を順次蒸着により形成した。
【0171】
以上により、チャネル幅W=150μm、チャネル長L=15μmの有機薄膜トランジスタが形成された。以下の条件における測定値により、有機薄膜トランジスタ間の性能比較を行った。
▲1▼ゲートのリーク電流Ig−sd;ソース、ゲート間のバイアスを−30Vとしたときのリーク電流Ig−sdを測定した。
▲2▼キャリア移動度およびVth(スレッショルド電圧)
有機薄膜トランジスタの静特性を測定し、飽和領域の移動度およびゲート電圧閾値を公知の方法で求めた。
【0172】
得られた有機薄膜トランジスタは、p活性層のエンハンスメント型FETの良好な動作特性を示した。
【0173】
実験の条件及び結果を表1に示す。
【0174】
【表1】
【0175】
比較例として、タンタル層(厚さ350nm)を形成し、該層の一部を陽極酸化することにより、ゲート電極及びゲート絶縁層を形成して有機薄膜トランジスタを作成した。この有機薄膜トランジスタでは、電極の抵抗が高いために動作時間の遅延があった。動作特性を改善するためには、ゲートバスラインをアルミニウムで形成する必要があった。
【0176】
【発明の効果】
本発明によれば、有機薄膜トランジスタに特有の効果として、有機半導体により形成されるチャネルにおけるキャリア移動度が非常に高く、ゲート電圧の閾値を低減でき低電圧駆動可能な有機薄膜トランジスタが得られるという予想外の効果が得られる。さらに低コストで製造可能な、電極と絶縁膜との接着性が高い堅牢な有機薄膜トランジスタが実現できる。
【0177】
また本発明により、駆動速度が大きい有機薄膜トランジスタシートが実現できる。この有機薄膜トランジスタシートをディスプレイ等に用いた場合に、フレーム周波数を高くすることができ、フリッカやちらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る有機薄膜トランジスタの例の層構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る有機薄膜トランジスタの他の層構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る有機薄膜トランジスタシートの回路図である。
【図4】図3に示す有機薄膜トランジスタシートの各マトリクスセルにおける電極の配置を示す図である。
【図5】大気圧プラズマ法による製膜装置の概略図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る有機薄膜トランジスタ及び有機薄膜トランジスタシートの製造工程を示す図である。
【符号の説明】
1 支持体
2a 第1金属層
2b 第2金属層
2’ 金属層
3a 第1陽極酸化膜
3b 第2陽極酸化膜
3’ 陽極酸化膜
4 絶縁膜
5 有機半導体層
5a 活性層
6、12a ソース電極
7、13a ドレイン電極
8 保護膜
10 有機薄膜トランジスタシート
11 ゲートバスライン
11a ゲート電極
12 ソースバスライン
13 出力電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタシートおよびこれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。またさらに情報化の進展に伴い、従来紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
【0003】
一般に平板型のディスプレイ装置においては液晶、有機EL、電気泳動などを利用した素子を用いて表示媒体を形成している。またこうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度などを確保するために、アクティブ駆動素子を用いる技術が主流になっている。例えば通常のコンピュータディスプレイではガラス基板上にアクティブ駆動素子としてTFT素子(薄膜トランジスタ素子)を形成し、液晶、有機EL材料等が封止されている。
【0004】
一方、最近、薄膜トランジスタ(TFT)内の活性半導体層として使用するために有機材料が検討されている。有機材料は加工が容易であり、一般にTFTが形成されるプラスチック基板と親和性が高いので、薄膜デバイス内の活性半導体層としての利用が期待されている。従って、低コストで大面積のデバイス、特にディスプレイのアクティブ駆動素子として検討が進められており、例えば、特許文献1及び2などの技術が開示されている。
【0005】
従来、薄膜トランジスタのゲート絶縁膜は、スパッタリング法あるいはCVD法などの真空系設備を用いたドライプロセスによる酸化物ないしは窒化物の薄膜により形成されることが一般的であった。
【0006】
特許文献3等により、ポリマー溶液の塗布により形成されたゲート絶縁層を用いた、安価な有機薄膜トランジスタの技術が開示されている。しかし、ゲート絶縁層に比誘電率の低い有機物を用いているため、電界効果が弱く、スイッチング時のソース・ドレイン間の電流on/off比が低い、したがってこれを向上させるためには、ゲート電圧を高くする必要があるという問題があった。
【0007】
それらの問題を改善する方法として、ゲート電極材料としてTaを用いるとともに、その陽極酸化膜をゲート絶縁層として利用する技術が提案されているが(非特許文献1)、ゲート絶縁膜の絶縁性に問題があり、ゲートのリーク電流が大きい、ブレークダウンが生じるなどの問題があった。また、ゲートバスラインをTaで形成した場合には、Taの抵抗が高いために、薄膜トランジスタ(TFT)駆動の遅延が大きくなって、ディスプレイに使用するのに問題がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−190001号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2000−307172号公報
【0010】
【特許文献3】
国際公開00/79617号パンフレット
【0011】
【非特許文献1】
第49回応用物理学関係連合講演会、講演予稿集、No.3、p12
37
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の有機薄膜トランジスタにおける前記問題を解決し、低コストで高性能の有機薄膜トランジスタ及び有機薄膜トランジスタシートを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記した本発明の目的は下記の発明により達成される。
【0014】
1.支持体、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタにおいて、
前記ゲート電極は第1金属層からなり、前記ゲート絶縁層の少なくとも一部は前記第1金属層を構成する金属とは異なる金属の第2陽極酸化膜からなることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【0015】
2.支持体、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタにおいて、
前記ゲート電極は、第1金属層及び該第1金属層を構成する金属とは異なる金属からなる第2金属層からなり、前記ゲート絶縁層の少なくとも一部は前記第2金属層を構成する金属の第2陽極酸化膜からなることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【0016】
3.支持体、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタにおいて、
前記ゲート電極は第1金属層からなり、前記ゲート絶縁層の少なくとも一部は前記第1金属層を構成する金属の第1陽極酸化膜及び第1金属層を構成する金属とは異なる金属の第2陽極酸化膜からなることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【0017】
4.前記第1金属層又は前記第2金属層は、スパッタリング法又はCVD法により形成されたことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0018】
5.前記第1陽極酸化膜又は前記第2陽極酸化膜は、スパッタリング法又はCVD法により形成された金属層を陽極酸化処理することにより形成されたことを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0019】
6.前記第1金属層は、30μΩ・cm以下の比抵抗を有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0020】
7.前記第1陽極酸化膜又は前記第2陽極酸化膜は、6以上の比誘電率を有することを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0021】
8.前記第1金属層は、Al又はCuからなり、前記第2金属層はAl又はTaからなることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0022】
9.前記第1陽極酸化膜は、Alの酸化物からなり、前記第2陽極酸化膜は、Taの酸化物からなることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0023】
10.前記ゲート絶縁層は、前記第2陽極酸化膜上に形成された絶縁膜を有することを特徴とする前記1〜9のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0024】
11.前記絶縁膜は、ポリマーからなることを特徴とする前記10に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0025】
12.前記絶縁膜は、無機酸化物又は無機窒化物からなることを特徴とする前記10に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0026】
13.前記第1、第2陽極酸化膜は封孔処理されていることを特徴とする前記1〜12のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0027】
14.無機酸化物又は前記無機窒化物からなる前記絶縁膜は、大気圧プラズマ法により形成されたことを特徴とする前記12に記載の有機薄膜トランジスタ。
【0028】
15.支持体上に第1金属層を形成する第1金属層形成工程、
前記第1金属層上に、前記第1金属層を構成する金属とは異なる金属からなる第2金属層を形成する第2金属層形成工程及び、
少なくとも前記第2金属層の一部を陽極酸化する陽極酸化処理工程を有し、少なくとも前記第1金属層によりゲート電極を形成し、前記陽極酸化処理で形成された第2陽極酸化膜により、ゲート絶縁層の少なくとも一部を形成することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0029】
16.前記ゲート電極を前記第1金属層により形成することを特徴とする前記15に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0030】
17.前記ゲート電極を前記第1金属層及び前記第2金属層の一部で形成することを特徴とする前記15に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0031】
18.前記ゲート絶縁層を前記第1金属層の一部を陽極酸化処理した第1陽極酸化膜及び前記第2金属層を陽極酸化処理した前記第2陽極酸化膜で形成することを特徴とする前記15に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0032】
19.前記第1金属層及び前記第2金属層を、スパッタリング法により形成することを特徴とする前記15〜18のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0033】
20.前記第1金属層は、Al又はCuからなり、前記第2金属層はAl又はTaからなることを特徴とする前記15〜19のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0034】
21.前記第2陽極酸化膜上に絶縁膜を形成することにより前記ゲート絶縁層を形成することを特徴とする前記15〜20のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0035】
22.前記絶縁膜は、ポリマーからなることを特徴とする前記21に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0036】
23.前記絶縁膜は、無機酸化物又は無機窒化物からなることを特徴とする前記21に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0037】
24.前記絶縁膜を大気圧プラズマ法により形成することを特徴とする前記23に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0038】
25.前記第1、第2陽極酸化膜を封孔処理する封孔処理工程を有することを特徴とする前記15〜24のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0039】
26.表面粗さRmaxが50nm以下の前記第2金属層を形成することを特徴とする前記15〜25のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0040】
27.表面粗さRmaxが50nm以下の前記第2陽極酸化膜を形成することを特徴とする前記15〜26のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0041】
28.支持体、ゲートバスライン、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソースバスライン、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタシートにおいて、
前記ゲートバスライン及び前記ゲート電極は第1金属層からなり、前記ゲート絶縁層の少なくとも一部は前記第1金属層を構成する金属とは異なる金属の第2陽極酸化膜からなることを特徴とする有機薄膜トランジスタシート。
【0042】
29.支持体、ゲートバスライン、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソースバスライン、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタシートにおいて、
前記ゲートバスライン及び前記ゲート電極は第1金属層及び該第1金属層を構成する金属とは異なる金属からなる第2金属層からなり、前記ゲート絶縁層の少なくとも一部は前記第2金属層を構成する金属の第2陽極酸化膜からなることを特徴とする有機薄膜トランジスタシート。
【0043】
30.支持体、ゲートバスライン、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソースバスライン、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタシートにおいて、
前記ゲートバスライン及び前記ゲート電極は第1金属層からなり、前記ゲート絶縁層の少なくとも一部は前記第1金属層を構成する金属の第1陽極酸化膜及び第1金属層を構成する金属とは異なる金属の第2陽極酸化膜からなることを特徴とする有機薄膜トランジスタシート。
【0044】
31.前記第1金属層及び前記第2金属層は、スパッタリング法又はCVD法により形成されたことを特徴とする前記28〜30のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0045】
32.前記第1金属層は、30μΩ・cm以下の比抵抗を有することを特徴とする前記28〜31のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0046】
33.前記第1、第2陽極酸化膜は、6以上の比誘電率を有することを特徴とする前記28〜32のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0047】
34.前記第1金属層は、Al又はCuからなり、前記第2金属層はAl又はTaからなることを特徴とする前記28〜33のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0048】
35.前記第1陽極酸化膜は、Alの酸化物からなり、前記第2陽極酸化膜は、Taの酸化物からなることを特徴とする前記28〜34のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0049】
36.前記ゲート絶縁層は、前記第2陽極酸化膜上に形成された絶縁膜を有することを特徴とする前記28〜35のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0050】
37.前記絶縁膜は、ポリマーからなることを特徴とする前記35に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0051】
38.前記絶縁膜は、無機酸化物又は無機窒化物からなることを特徴とする前記35に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0052】
39.前記第1、第2陽極酸化膜は封孔処理されていることを特徴とする前記28〜38のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0053】
40.無機酸化物又は前記無機窒化物からなる前記絶縁膜は、大気圧プラズマ法により形成されたことを特徴とする前記38に記載の有機薄膜トランジスタシート。
【0054】
41.支持体上に第1金属層を形成する第1金属層形成工程、
前記第1金属層上に、前記第1金属層を構成する金属とは異なる金属からなる第2金属層を形成する第2金属層形成工程及び、
少なくとも前記第2金属層の一部を陽極酸化する陽極酸化処理工程を有し、少なくとも前記第1金属層によりゲート電極及びゲートバスラインを形成し、前記陽極酸化処理工程で形成された第2陽極酸化膜により、ゲート絶縁層の少なくとも一部を形成することを特徴とする有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0055】
42.前記ゲート電極及び前記ゲートバスラインを前記第1金属層により形成することを特徴とする前記41に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0056】
43.前記ゲート電極及び前記ゲートバスラインを前記第1金属層及び前記第2金属層の一部で形成することを特徴とする前記41に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0057】
44.前記ゲート絶縁層の少なくとも一部を、前記第1金属層の一部の第1陽極酸化膜及び前記第2金属層の第2陽極酸化膜で形成することを特徴とする前記41に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0058】
45.前記第1金属層及び前記第2金属層を、スパッタリング法又はCVD法により形成することを特徴とする前記41〜44のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0059】
46.前記第1金属層は、Al又はCuからなり、前記第2金属層はAl又はTaからなることを特徴とする前記41〜45のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0060】
47.前記第2陽極酸化膜上に絶縁膜を形成することにより前記ゲート絶縁層を形成することを特徴とする前記41〜46のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0061】
48.前記絶縁膜は、ポリマーからなることを特徴とする前記47に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0062】
49.前記絶縁膜は、無機酸化物又は無機窒化物からなることを特徴とする前記47に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0063】
50.前記絶縁膜を大気圧プラズマ法により形成することを特徴とする前記49に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0064】
51.前記第1、第2陽極酸化膜を封孔処理する封孔処理工程を有することを特徴とする前記41〜50のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0065】
52.表面粗さRmaxが50nm以下の前記第2金属層を形成することを特徴とする前記41〜51のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0066】
53.表面粗さRmaxが50nm以下の前記第2陽極酸化膜を形成することを特徴とする前記41〜52のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0067】
54.支持体、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタにおいて、前記支持体上に複数の金属層を形成した後に、該複数の金属層を部分的に陽極酸化することにより前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層の少なくとも一部を形成したことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【0068】
55.支持体、ゲートバスライン、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソースバスライン、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタシートにおいて、
前記支持体上に複数の金属層を形成した後に、該複数の金属層を部分的に陽極酸化することにより前記ゲート電極、前記ゲートバスライン及び前記ゲート絶縁層の少なくとも一部を形成したことを特徴とする有機薄膜トランジスタシート。
【0069】
56.支持体上に複数の金属層を形成する工程と、
前記複数の金属層を部分的に陽極酸化する工程とにより、
有機薄膜トランジスタにおけるゲート電極及びゲート絶縁層の少なくとも一部を形成することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0070】
57.支持体上に複数の金属層を形成する工程と、
前記複数の金属層を部分的に陽極酸化する工程とにより、
有機薄膜トランジスタにおけるゲート電極、ゲートバスライン及びゲート絶縁層の少なくとも一部を形成することを特徴とする有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
【0071】
【発明の実施の形態】
本発明に係る有機薄膜トランジスタは、支持体、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する。図1は本発明の実施の形態に係る有機薄膜トランジスタの例を示す。
【0072】
図1において、1は支持体、5は有機半導体層、6はソース電極、7はドレイン電極である。ソース電極6とドレイン電極7間の有機半導体層5が活性層5aとして機能する。
【0073】
図1(a)に示す例では、第1金属層2aがゲート電極を形成し、第2陽極酸化膜3bがゲート絶縁層を構成する。第2陽極酸化膜3bは第1金属層2aを構成する金属とは異なる金属を陽極酸化処理することにより形成される。
【0074】
図1(b)に示す例では、第1金属層2aに上に第2金属層2bが形成され、こらら金属層がゲート電極を形成する。そして第1金属層2aと第2金属層2bとは異なる金属材料で構成される。ゲート絶縁層は第2陽極酸化膜3bからなり、第2陽極酸化膜3bは第2金属層2bを構成する金属を陽極酸化処理することにより形成される。
【0075】
図1(c)に示す例では、第1金属層2aの上に第1陽極酸化膜3a及び第2陽極酸化膜3bが形成され、第1金属層2aがゲート電極を構成し、第1陽極酸化膜3a及び第2陽極酸化膜3bがゲート絶縁層を構成する。第1陽極酸化膜3aは第1金属層2aを構成する金属を陽極酸化処理することにより形成され、第2陽極酸化膜3bは第1金属層2aを構成する金属とは異なる金属を陽極酸化処理することにより形成される。
【0076】
図1(a)、図1(b)及び図1(c)に示す有機薄膜トランジスタにいて、ゲート電極及びゲート絶縁層の層構成は、異なる金属からなる2層を形成した後に陽極酸化処理することにより形成され、図1(a)〜(c)のいずれの層構成とするかは、陽極酸化の程度を制御することにより選択される。
【0077】
第1陽極酸化膜3a及び第2陽極酸化膜3bは、必要に応じて封孔処理される。
【0078】
図2は本発明の実施の形態に係る有機薄膜トランジスタの他の例を示す。図2において、図1と同一の構成層には同一の符号を付す。
【0079】
図2(a)に示す例では、ゲート電極は金属層2’からなり、ゲート絶縁層は、陽極酸化膜3’及び絶縁膜4からなり、絶縁膜4上に形成されたソース電極6とドレイン電極7間の間隙に有機半導体層5が形成される。図2(b)に示す例は、図2(a)に示した有機薄膜トランジスタを保護膜8で被覆した例である。
【0080】
図2(c)に示す例は、絶縁膜4上に有機半導体層5を形成し、有機半導体層5上にソース電極6及びドレイン電極7を形成することにより、これら電極6、7間の間隙に対応する活性層5aとした例である。
【0081】
図2(a)、図2(b)及び図2(c)に示す有機薄膜トランジスタの各々には、それぞれ図1(a)、図1(b)、図1(c)に示すような、ゲート電極とゲート絶縁層の層構成に関する変形例が含まれる。すなわち、図2における金属層2’は図1における第1金属層2a又は第1金属層2a及び第2金属層2bからなり、陽極酸化膜3’は図1における第2陽極酸化膜3b又は第1陽極酸化膜3a及び第2陽極酸化膜3bからなる。
【0082】
図3は本発明の実施の形態に係る有機薄膜トランジスタシート10の回路図である。
【0083】
有機薄膜トランジスタシート10はマトリクス配置された多数の有機薄膜トランジスタ素子14を有する。11は各有機薄膜トランジスタ素子14のゲート電極のゲートバスラインであり、12は各有機薄膜トランジスタ素子のソース電極のソースバスラインである。各有機薄膜トランジスタ素子14のドレイン電極には、出力電極13が接続され、各出力電極13には、液晶、電気泳動素子等の出力素子16が接続され、表示装置における画素を構成する。図示の例では、出力素子16としての液晶が抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。15は蓄積コンデンサ、17は垂直駆動回路、18は水平駆動回路である。
【0084】
図4は図3に示す有機薄膜トランジスタシートの各マトリクスセルにおける電極の配置を示す。図4(a)に示す例は、出力電極13から突出させたドレイン電極13aとソースバスライン12との間の間隙がゲートバスライン11の上に形成されるように、ソースバスライン12及び出力電極13を形成し、前記間隙を埋めるように有機半導体層5を設層して有機半導体の活性層を形成することにより、有機薄膜トランジスタ素子を構成した例であり、図4(b)に示す例は、ソースバスライン12から突出させたソース電極12aとドレイン電極としての出力電極13との間の間隙がゲートバスライン11上に形成されるように、ソースバスライン12及び出力電極13を形成し、前記間隙を埋めるように有機半導体層5を形成することにより有機半導体の活性層を形成して有機薄膜トランジスタ素子を構成した例であり、図4(c)に示す例は、ソースバスライン12とドレイン電極としての出力電極13との間隙がゲートバスライン11の突出部として形成したゲート電極11aの上に形成されるように、ソースバスライン12及び出力電極13を形成し、該間隙を埋めるように有機半導体層5を設層することにより、有機半導体の活性層を形成し、有機薄膜トランジスタ素子を形成した例である。
【0085】
次に、有機薄膜トランジスタを構成する層の個々について説明する。
〈支持体〉
支持体はガラスやフレキシブルな樹脂製シートで構成され、例えばプラスチックフィルムをシートとして用いることができる。前記プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。これらのフィルムは公知の表面処理、表面コートを行うことができる。例えば酸化ケイ素と酸化アルミニウムの共蒸着膜や、大気圧プラズマ法等による酸化ケイ素と酸化アルミニウムなどの無機酸化物の混合膜あるいは多層複合膜を、ガスバリア層として形成させても良い。またアルミニウムなどの金属薄膜を蒸着したフィルム等をラミネートして複合フィルムを用いてもよいし、フィルム中に無機酸化物微粒子を含有させてもよい。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
【0086】
〈ゲート電極、ゲートバスライン〉
ゲート電極及びゲートバスラインは金属材料かならり、金属材料としては銅、アルミニウム又はタンタルが好ましい。ゲート電極及びゲートバスラインを同一材料で形成することにより、ゲート電極とゲートバスラインを1工程で形成することが可能になる。ゲートバスラインには、抵抗の低い材料が望ましく、比抵抗30Ω・cm以下の材料が好ましい。
【0087】
ゲート電極は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法などを用い、マスキングやエッチングによりパターン化される。ゲート電極の表面は平滑であることが望ましく、JIS B 0601による表面粗さRmax、Raが次の範囲にあることが望ましい。
【0088】
Rmax・・・・・50mn以下、Ra・・・・・30nm以下。
Rmaxが10nm以下、Raが6nm以下であることが特に望ましい。
【0089】
このように平滑なゲート電極を形成するには、スパッタリング法を用いることが望ましい。
【0090】
膜厚は10〜1000nm、後に続く陽極酸化膜の形成により消費されるため、100〜500nmが好ましい。
【0091】
〈ゲート絶縁層〉
ゲート絶縁層は陽極酸化膜又は該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成される。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
【0092】
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウム又はタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行なうことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸あるいそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%、電解液の温度5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100ボルト、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸又はホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/dm2で20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
【0093】
図1、2に示したように、ゲート電極とゲート絶縁層の少なくとも一部とは、金属層と陽極酸化膜とからなり、金属層と陽極酸化膜との次のような組合わせによりゲート電極及びゲート絶縁層の少なくとも一部が形成される。
(1)ゲート電極・・・・第1金属層
ゲート絶縁層・・・・・前記第1金属層とは異なる金属の第2陽極酸化膜
(2)ゲート電極・・・・・第1金属層+第2金属層
ゲート絶縁層・・・・・第2金属層を構成する金属の第2陽極酸化膜、ただし、第1金属層と第2金属層とは異なる金属からなる
(3)ゲート電極・・・・・第1金属層
ゲート絶縁層・・・・・第1金属層を構成する金属の第1陽極酸化膜+第1金属層とは異なる金属の第2陽極酸化膜
このような組み合わせを実現する金属材料としては、
前記第1金属層に、銅又はアルミニウムを用いることができ、第2金属層に、アルミニウム又はタンタルを用いることができる。
【0094】
特に望ましい材料の組み合わせとしては、第1金属層に銅を用い、第2金属層にアルミニウムを用いるものと、第1金属層にアルミニウムを用い、第2金属層にタンタルを用いるものがある。
【0095】
陽極酸化膜の表面、すなわち、絶縁膜と接する陽極酸化膜の表面又は有機半導体層と接する陽極酸化膜の表面は平滑であることが望ましく、その表面粗さは、Rmaxで50mn以下、Raで30nm以下であることが望ましく、Rmaxで10nm以下、Raで6nm以下であることが特に望ましい。
【0096】
このような平滑性の高い陽極酸化膜を形成するために、陽極酸化される金属層はスパッタリング法又はCVD法により形成されることが望ましく、特にスパッタリング法又は大気圧プラズマ法により形成されることが望ましい。特に、2層構成とすることにより平滑性を向上することができる。
【0097】
高い平滑性の陽極酸化膜を形成することにより、その上に形成される有機半導体の配向性を向上することができる、活性層におけるキャリアの移動度を向上することができる等の効果が得られる。
【0098】
前記したように、本発明においては、ゲート絶縁層の少なくとも一部が陽極酸化膜により形成されるが、該陽極酸化膜はゲート絶縁層の比誘電率を高め、その絶縁性を高める上で有効であり、該陽極酸化膜の比誘電率は6以上であることが望ましい。
【0099】
陽極酸化膜上にはさらに絶縁膜を設けることができ、ゲート絶縁層は前記陽極酸化膜と前記絶縁膜とで構成される。かかる絶縁膜の材料としては、公知の絶縁体を用いることができ、無機酸化物、無機窒化物、ポリマー等を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの無機窒化物も好適に用いることができる。
【0100】
絶縁膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。これらのうち好ましいのは、大気圧プラズマ法である。
【0101】
大気圧下でのプラズマ製膜処理による絶縁膜(例えば無機酸化物:SiO2、TiO2等又は無機窒化物:Si3N4等)の形成方法については以下のように説明される。
【0102】
上記大気圧下でのプラズマ製膜処理とは、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する処理を指し、その方法については特開平11−133205号、特開2000−185362号、特開平11−61406号、特開2000−147209号、特開2000−121804号等に記載されている(以下、大気圧プラズマ法とも称する)。これによって高機能性の薄膜を、生産性高く形成することができる。
【0103】
図5はプラズマ製膜処理を行う装置を示す図である。図5において、プラズマ放電処理容器31、ガス発生装置51、電源41、電極冷却ユニット60等が装置構成として配置されている。電極冷却ユニット60の冷却剤としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が用いられる。
【0104】
前記プラズマ放電処理容器31内にロール電極25、固定されている電極36を所定位置に配置し、ガス発生装置51で発生させた混合ガスを流量制御して、吸気口52よりプラズマ放電処理容器31内に入れ、プラズマ放電処理容器31内をプラズマ処理に用いる混合ガスで充満し排気口53より排気する。次に電源41により電極36に電圧を印加する。ロール電極25はアースに接地し、放電プラズマを発生させる。ここで、ロール状の元巻き基材61より基材Fを供給し、ガイドローラ64を介して、ロール電極25に巻回された基材Fは、ニップローラ65、66で押圧され、プラズマ放電処理容器31の電極間を片面接触(ロール電極25に接触している)の状態で搬送され、基材Fは搬送中に放電プラズマにより表面が放電処理され、その後にガイドローラ67を介して、次行程に搬送される。ここで、基材Fはロール電極25に接触していない面のみ放電処理がなされる。
【0105】
また、仕切板54は前記ニップローラ65、66に近接して配置され、基材Fは同伴する空気がプラズマ放電処理容器31に進入するのを抑制する。
【0106】
アース電極であるロール電極25は、金属等の導電性母材に対しセラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体を被覆した組み合わせで構成されているものである。または、金属等の導電性母材へライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体を被覆した組み合わせでもよい。ライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易いので、更に好ましく用いられる。金属等の導電性母材としては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等が挙げられるが、加工の観点からステンレスが好ましい。また、溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、更に好ましく用いられる。ロール電極25の母材は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材を使用することができる(不図示)。
【0107】
印加電極36に電圧を印加する電源41としては、特に限定はないが、パール工業製高周波電源(200kHz)、パール工業製高周波電源(800kHz)、日本電子製高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波電源(150MHz)等が使用できる。
【0108】
電極間の距離は、電極36の母材に設置した固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定される。電極の一方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体と電極の最短距離、電極の双方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.5mm〜20mmが好ましく、特に好ましくは1mm±0.5mmである。
【0109】
対向する電極間には100kHzを越えた高周波電圧で、且つ、1W/cm2以上の電力を供給し、反応性ガスを励起してプラズマを発生させる。このようなハイパワーの電界を印加することによって、緻密で、膜厚均一性の高い高機能性の薄膜を、生産効率高く得ることが可能である。
【0110】
ここで電極間に印加する高周波電圧の周波数の上限値は、好ましくは150MHz以下である。また、高周波電圧の周波数の下限値としては、好ましくは200kHz以上、さらに好ましくは800kHz以上である。
【0111】
さらに電極間に供給する電力の下限値は、好ましくは1.2W/cm2以上であり、上限値としては、好ましくは50W/cm2以下、さらに好ましくは20W/cm2以下である。尚、電極における電圧の印加面積(/cm2)は、放電が起こる範囲の面積のことを指す。
【0112】
電源41より固定されている電極36に印加される電圧の値は適宜決定される。なお電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードとパルスモードと呼ばれるon/offを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用しても良いが連続モードの方がより緻密で良質な膜が得られる。
【0113】
また、放電プラズマ処理時の基材への影響を最小限に抑制するために、放電プラズマ処理時の基材の温度を常温(15℃〜25℃)〜200℃未満の温度に調整することが好ましく、更に好ましくは常温〜100℃に調整することである。上記の温度範囲に調整する為、必要に応じて電極、基材は冷却手段で冷却しながら放電プラズマ処理される。
【0114】
上記の放電プラズマ処理はが大気圧または大気圧近傍で行われるが、ここで大気圧近傍とは、20kPa〜110kPaの圧力を表し、好ましくは、93kPa〜104kPaが好ましい。
【0115】
また、薄膜形成方法に係る放電用電極においては、電極の少なくとも基材と接する側のJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下になるように調整されることが、好ましいが、更に好ましくは、表面粗さの最大値が8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することである。
【0116】
また、JIS B 0601で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)は0.5μm以下が好ましく、更に好ましくは0.1μm以下である。
【0117】
次に、混合ガスについて説明する。
薄膜形成方法を実施するにあたり、使用するガスは、基材上に設けたい薄膜の種類によって異なるが、基本的に、不活性ガスと、薄膜を形成するための反応性ガスの混合ガスである。反応性ガスは、混合ガスに対し、0.01〜10体積%含有させることが好ましい。
【0118】
上記不活性ガスとは、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が挙げられるが、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。
【0119】
例えば、反応性ガスとしてジンクアセチルアセトナート、トリエチルインジウム、トリメチルインジウム、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、エトラエチル錫、エトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫などから選択された少なくとも1つの有機金属化合物を含む反応性ガスを用いて、導電性膜あるいは帯電防止膜、あるいは反射防止膜の中屈折率層として有用な無機酸化物層を形成することができる。
【0120】
また、フッ素含有化合物ガスを用いることによって、基材表面にフッ素含有基を形成させて表面エネルギーを低くし、撥水性表面を得る撥水膜を得ることが出来る。フッ素元素含有化合物としては、6フッ化プロピレン(CF3CFCF2)、8フッ化シクロブタン(C4F8)等のフッ素・炭素化合物が挙げられる。安全上の観点から、有害ガスであるフッ化水素を生成しない6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタンを用いる。
【0121】
また、分子内に親水性基と重合性不飽和結合を有するモノマーの雰囲気下で処理を行うことにより、親水性の重合膜を堆積させることもできる。上記親水性基としては、水酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、1級若しくは2級又は3級アミノ基、アミド基、4級アンモニウム塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基等の親水性基等が挙げられる。又、ポリエチレングリコール鎖を有するモノマーを用いても同様に親水性重合膜を堆積が可能である。
【0122】
上記モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルアルコール、アリルアミン、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステルなどが挙げられ、これらの少なくとも1種が使用できる。
【0123】
また、有機フッ素化合物、珪素化合物またはチタン化合物を含有する反応性ガスを用いることにより、低屈折率層または高屈折率層を設けることが出来る。
【0124】
有機フッ素化合物としては、フッ化炭素ガス、フッ化炭化水素ガス等が好ましく用いられる。フッ化炭素ガスとしては、4フッ化炭素、6フッ化炭素、具体的には、4フッ化メタン、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタン等が挙げられる。前記のフッ化炭化水素ガスとしては、2フッ化メタン、4フッ化エタン、4フッ化プロピレン、3フッ化プロピレン等が挙げられる。
【0125】
更に、1塩化3フッ化メタン、1塩化2フッ化メタン、2塩化4フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やアルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体を用いることが出来るがこれらに限定されない。また、これらの化合物が分子内にエチレン性不飽和基を有していても良い。前記の化合物は単独でも混合して用いても良い。
【0126】
混合ガス中に上記記載の有機フッ素化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中の有機フッ素化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0127】
また、有機フッ素化合物が常温、常圧で気体である場合は、混合ガスの構成成分として、そのまま使用できるので最も容易に遂行することができる。しかし、有機フッ素化合物が常温・常圧で液体又は固体である場合には、加熱、減圧等の方法により気化して使用すればよく、また、又、適切な溶剤に溶解して用いてもよい。
【0128】
混合ガス中に上記記載のチタン化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中のチタン化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0129】
また、上記記載の混合ガス中に水素ガスを0.1〜10体積%含有させることにより薄膜の硬度を著しく向上させることが出来る。
【0130】
また、混合ガス中に酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、窒素から選択される成分を0.01〜5体積%含有させることにより、反応促進され、且つ、緻密で良質な薄膜を形成することができる。
【0131】
上記記載の珪素化合物、チタン化合物としては、取り扱い上の観点から金属水素化合物、金属アルコキシドが好ましく、腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れなども少ないことから、金属アルコキシドが好ましく用いられる。
【0132】
また、上記記載の珪素化合物、チタン化合物を放電空間である電極間に導入するには、両者は常温常圧で、気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合は、そのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用される。珪素化合物、チタン化合物を加熱により気化して用いる場合、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシチタンなど、常温で液体で、沸点が200℃以下である金属アルコキシドが好適に用いられる。上記金属アルコキシドは、溶媒によって希釈して使用されても良く、溶媒は、メタノール、エタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。尚、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解される為、基材上への薄膜の形成、薄膜の組成などに対する影響は殆ど無視することが出来る。
【0133】
上記記載の珪素化合物としては、例えば、ジメチルシラン、テトラメチルシランなどの有機金属化合物、モノシラン、ジシランなどの金属水素化合物、二塩化シラン、三塩化シランなどの金属ハロゲン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどのアルコキシシラン、オルガノシランなどを用いることが好ましいがこれらに限定されない。また、これらは適宜組み合わせて用いることが出来る。
【0134】
混合ガス中に上記記載の珪素化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中の珪素化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0135】
上記記載のチタン化合物としては、テトラジメチルアミノチタンなどの有機金属化合物、モノチタン、ジチタンなどの金属水素化合物、二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタンなどの金属ハロゲン化合物、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタンなどの金属アルコキシドなどを用いることが好ましいがこれらに限定されない。
【0136】
また絶縁膜を形成するポリマーとしては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、PMMAに代表されるポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール・ノボラック樹脂・レゾール樹脂などのフェノール樹脂、およびシアノエチルプルラン、ポリマー体、エラストマー体を含むホスファゼン化合物、等を用いることもできる。
【0137】
これらのうち、ポリイミド、ポリエステル、ポリアクリレート、フェノール樹脂が好ましい。有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
【0138】
陽極酸化膜の厚さは10〜300nmであり、陽極酸化膜上に形成する絶縁膜の厚さは10nm〜3μm、好ましくは、30nm〜500nmである。
【0139】
陽極酸化膜の形成後、封孔処理することが好ましい。封孔処理により、上記に示した絶縁膜を設けない構成でも、良好な絶縁性が得られる。封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム塩処理、電着封孔処理等の公知の方法を用いて行うことができる。
【0140】
〈有機半導体層〉
活性層を構成する有機半導体にはπ共役系材料が用いられる。たとえばポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)などのポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェンなどのポリチオフェン類、ポリイソチアナフテンなどのポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレンなどのポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)、ポリ(3−置換アニリン)、ポリ(2,3−置換アニリン)などのポリアニリン類、ポリアセチレンなどのポリアセチレン類、ポリジアセチレンなどのポリジアセチレン類、ポリアズレンなどのポリアズレン類、ポリピレンなどのポリピレン類、ポリカルバゾール、ポリ(N−置換カルバゾール)などのポリカルバゾール類、ポリセレノフェンなどのポリセレノフェン類、ポリフラン、ポリベンゾフランなどのポリフラン類、ポリ(p−フェニレン)などのポリ(p−フェニレン)類、ポリインドールなどのポリインドール類、ポリピリダジンなどのポリピリダジン類、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、ピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセンなどのポリアセン類およびポリアセン類の炭素の一部をN、S、Oなどの原子、カルボニル基などの官能基に置換した誘導体(トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジン、ヘキサセン−6,15−キノンなど)、ポリビニルカルバゾール、ポリフエニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィドなどのポリマーや特開平11−195790に記載された多環縮合体などを用いることができる。また、これらのポリマーと同じ繰返し単位を有するたとえばチオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、スチリルベンゼン誘導体などのオリゴマーも好適に用いることができる。さらに銅フタロシアニンや特開平11−251601に記載のフッ素置換銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニン類、ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N’−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N’−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、及びアントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類などの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNTなどのカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類などの色素などがあげられる。
これらのπ共役系材料のうちでも、チオフェン、ビニレン、チェニレンビニレン、フェニレンビニレン、p−フェニレン、これらの置換体またはこれらの2種以上を繰返し単位とし、かつ該繰返し単位の数nが4〜10であるオリゴマーもしくは該繰返し単位の数nが20以上であるポリマー、ペンタセンなどの縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0141】
また、その他の有機半導体材料としては、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、などの有機分子錯体も用いることができる。さらにポリシラン、ポリゲルマンなどのσ共役系ポリマーや特開2000−260999に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
【0142】
本発明においては、有機半導体層に、たとえば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基などの官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレンおよびテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体などのように電子を受容するアクセプターとなる材料や、たとえばアミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基などの官能基を有する材料、フェニレンジアミンなどの置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾールおよびその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体などのように電子の供与体であるドナーとなるような材料を含有させ、いわゆるドーピング処理を施してもよい。
【0143】
前記ドーピングとは電子授与性分子(アクセクター)または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして該薄膜に導入することを意味する。従って,ドーピングが施された薄膜は、前記の縮合多環芳香族化合物とドーパントを含有する薄膜である。本発明に用いるドーパントとしてアクセプター、ドナーのいずれも使用可能である。このアクセプターとしてCl2、Br2、I2、ICl、ICl3、IBr、IFなどのハロゲン、PF5、AsF5、SbF5、BF3、BC13、BBr3、SO3などのルイス酸、HF、HCl、HNO3、H2SO4、HClO4、FSO3H、ClSO3H、CF3SO3Hなどのプロトン酸、酢酸、蟻酸、アミノ酸などの有機酸、FeCl3、FeOCl、TiCl4、ZrCl4、HfCl4、NbF5、NbCl5、TaCl5、MoCl5、WF5、WCl6、UF6、LnCl3(Ln=La、Ce、Nd、Pr、などのランタノイドとY)などの遷移金属化合物、Cl−、Br−、I−、ClO4−、PF6−、AsF5−、SbF6−、BF4−、スルホン酸アニオンなどの電解質アニオンなどを挙げることができる。またドナーとしては、Li、Na、K、Rb、Csなどのアルカリ金属、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Ybなどの希土類金属、アンモニウムイオン、R4P+、R4As+、R3S+、アセチルコリンなどをあげることができる。これらのドーパントのドーピングの方法として予め有機半導体の薄膜を作製しておき、ドーパントを後で導入する方法、有機半導体の薄膜作製時にドーパントを導入する方法のいずれも使用可能である。前者の方法のドーピングとして、ガス状態のドーパントを用いる気相ドーピング、溶液あるいは液体のドーパントを該薄膜に接触させてドーピングする液相ドーピング、個体状態のドーパントを該薄膜に接触させてドーパントを拡散ドーピングする固相ドーピングの方法をあげることができる。また液相ドーピングにおいては電解を施すことによってドーピングの効率を調整することができる。後者の方法では、有機半導体化合物とドーパントの混合溶液あるいは分散液を同時に塗布、乾燥してもよい。たとえば真空蒸着法を用いる場合、有機半導体化合物とともにドーパントを共蒸着することによりドーパントを導入することができる。またスパッタリング法で薄膜を作製する場合、有機半導体化合物とドーパントの二元ターゲットを用いてスパッタリングして薄膜中にドーパントを導入させることができる。さらに他の方法として、電気化学的ドーピング、光開始ドーピング等の化学的ドーピングおよび例えば刊行物{工業材料、34巻、第4号、55頁、1986年}に示されたイオン注入法等の物理的ドーピングの何れも使用可能である。
【0144】
これら有機薄膜の作製法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、プラズマ重合法、電解重合法、化学重合法、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法およびLB法等が挙げられ、材料に応じて使用できる。ただし、この中で生産性の点で、有機半導体の溶液をもちいて簡単かつ精密に薄膜が形成できるスピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等が好まれる。これら有機半導体からなる薄膜の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体からなる活性層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、有機半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
【0145】
〈ソース、ソースバスライン、ドレイン電極、出力電極〉
ソース電極、ソースバスライン、ドレイン電極及び出力電極を構成する材料としては、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITOおよび炭素が好ましい。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いられる。ソース電極、ドレイン電極は、上に挙げた中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
【0146】
ソース電極、ソースバスライン、ドレイン電極及び出力電極の形成方法としては、上記材料を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
【0147】
粒子径が1〜50nm好ましくは1〜10nmの金属微粒子を加熱融着して形成された電極を用いる。金属材料は白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、タンタル、インジウム、コバルト、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛、等を用いることができるが、特に、仕事関数が4.5eV以上の白金、金、銀、銅、コバルト、クロム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、モリブデン、タングステンが好ましい。
【0148】
上記導電性微粒子として、粒子径が1〜50nm好ましくは1〜10nmの白金、金、銀、銅、コバルト、クロム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、モリブデン、タングステンなどの金属微粒子が挙げられる。このような金属微粒子分散液の製造方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800、同11−80647、同11−319538、特開2000−239853などに示されたコロイド法、特開2001−254185、特開2001−53028、特開2001−35814、特開2001−35255、特開2000−124157、特開2000−123634などに記載されたガス中蒸発法により製造された分散物である。これらの分散物を、塗設し電極パターン状に成型した後、溶媒を乾燥させ、さらに100℃〜300℃、好ましくは150℃〜200℃の範囲で熱処理することにより、金属微粒子を熱融着させることで電極形成する。
【0149】
〈保護膜〉
大気中の酸素、水分などによって寿命が低下するのを抑止するため、有機半導体層は、保護膜により分離されていることが好ましい。保護膜を構成する材料としては、PVA、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのガスバリア性フィルムや、絶縁層の記載に示した無機物を用いることができる。
【0150】
本発明の実施の形態に係る有機薄膜トランジスタの製造方法及び有機薄膜トランジスタシートの製造方法は、
支持体上に第1金属層を形成する第1金属層形成工程、
前記第1金属層上に、前記第1金属層を構成する金属とは異なる金属からなる第2金属層を形成する第2金属層形成工程及び、
少なくとも前記第2金属層の一部を陽極酸化する陽極酸化処理工程を有し、少なくとも前記第1金属層によりゲート電極を形成し、前記陽極酸化処理で形成された陽極酸化膜により、ゲート絶縁層の少なくとも一部を形成することを特徴とする。
【0151】
次に、本発明の実施の形態に係る有機薄膜トランジスタの製造方法及び有機薄膜トランジスタシートの製造方法における各工程について図6を用いて説明する。
【0152】
(1)支持体上に第1金属層を形成する第1金属層形成工程{図6(a)}
前記したように、スパッタリング法等により第1金属層2aが形成される。第1金属層2aは、マスキング、エッチング等によりパターニングされ、ゲート電極及びゲートバスラインが形成される。
【0153】
(2)前記第1金属層上に第2金属層を形成する第2金属層形成工程{図6(b)}
前記したように、スパッタリング法等により第2金属層2bが形成され、マスキング、エッチング等によりパターニングされる。前記に説明したように第2金属層は第1金属層とは異なる金属からなる。
【0154】
(3)陽極酸化処理工程{図6(c)}
前記に説明した陽極酸化処理工程においては、少なくとも第2金属層の一部が陽極酸化膜に変換され、陽極酸化膜3が形成される。
【0155】
前記に説明したように、陽極酸化の程度により、第2金属層の一部、第2金属層の全部又は第1金属層の一部及び第2金属層の全部の酸化物が陽極酸化膜3を構成する。
【0156】
(4)封孔処理工程
陽極酸化膜3は前記した方法により必要に応じて封孔処理される。該封孔処理によりゲート絶縁層の絶縁性を向上し、ゲートリーク電流を低減することができる。
【0157】
(5)絶縁膜形成工程{図6(d)}
陽極酸化膜3上に絶縁膜4が前記した方法により必要に応じて形成される。絶縁膜の付加により、ゲート絶縁層の絶縁性を向上し、ゲートリーク電流を低減することができる。
【0158】
(6)有機半導体層形成工程{図6(e)}
塗布法等のように前記に説明した膜形成方法により前記に説明した有機半導体層5が形成される。図1、2に示すように、有機半導体層は陽極酸化膜又は絶縁膜上に形成される。
【0159】
(7)ソース電極、ソースバスライン、ドレイン電極及び出力電極の形成工程{図6(f)}
前記に説明した方法によりソース電極6、ソースバスライン12及びドレイン電極7及び出力電極13が形成されるが、ソースバスライン12及び出力電極13はそれぞれ、ソース電極6及びドレイン電極7の形成時に同一材料により同時に形成される。
【0160】
(8)保護膜形成工程
図示しないが、前記に説明した保護膜が前記に説明した方法により、図6(f)に示した有機薄膜トランジスタが保護膜により被覆される。保護膜形成工程は、必須ではなく、必要に応じて実施される。
【0161】
本発明は以上説明した実施の形態に限られない、例えば、支持体に2層以上の金属層を形成する工程と、形成した複数の金属層を部分的に陽極酸化して陽極酸化膜を形成工程とにより、ゲート電極、ゲートバスライン及びゲート絶縁層を形成して有機薄膜トランジスタシートを形成することも可能である。前記複数の金属層としては異種金属の2層が含まれることを条件として所望の数の層を設層することができる。
【0162】
【実施例】
○ゲートバスライン、ゲート電極:
無アルカリ基板上に、第1金属層及び第2金属層を形成し、フォトリソグラフ用の感光性レジストを塗設した後、リフトオフ法により幅30μmのゲートバスライン(電極)を形成した。前記金属層はスパッタリング法により形成した。なお、試料No.3については、第1金属層を蒸着により形成した。
【0163】
○陽極酸化膜:
30質量%硫酸水溶液中で、30Vの定電圧電源から供給される直流を用いて陽極酸化処理を行い、陽極酸化膜を形成した。陽極酸化膜の厚さは、処理時間を制御することにより制御した。
【0164】
さらに、封孔処理を行う試料、ポリマーからなる絶縁膜を設層する試料及び無機酸化物からなる絶縁膜を設層する試料についてそれぞれ次の処理を行った。
【0165】
○封孔処理:
1気圧、100℃の飽和した蒸気チャンバーの中で、蒸気封孔処理を施した。
【0166】
○ポリマーからなる絶縁膜:
PMMAの1質量%MEK溶液を、アプリケーターを用いて塗布し、100℃で3分乾燥させ、厚さ30nmのPMMA膜を形成した。また、PMMAに代えてポリビニルフェノールの溶液を作成して厚さ30nmのポリビニルフェノール膜を形成した。
【0167】
○無機酸化物からなる絶縁膜:
〈反応性ガス〉
プラズマ処理に用いる混合ガス(反応性ガス)の組成:
・SiO2層用:
不活性ガス:アルゴン98.25体積%
反応性ガス:水素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラメトキシシラン蒸気(アルゴンガスにてバブリング)0.25体積%
・TiO2層用:
不活性ガス:アルゴン98.9体積%
反応性ガス:水素ガス0.8体積%
反応性ガス:テトラプロポキシチタン蒸気(150℃に加熱した液体にアルゴンガスをバブリング)0.3体積%
〈放電条件〉
放電出力:10W/cm2
〈電極条件〉
ロール電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
【0168】
・基材フィルムのハードコート層上に、上記反応性ガス、上記放電条件および上記電極条件により、連続的に大気圧プラズマ処理して薄膜を設ける。
【0169】
○有機半導体層:
昇華精製されたペンタセンを蒸着して厚さ70nmの有機半導体層を形成した。
【0170】
○ソース電極、ソースバスライン、ドレイン電極、出力電極:
マスクを介して厚さ50nmの金層及び厚さ100nmのクロム層を順次蒸着により形成した。
【0171】
以上により、チャネル幅W=150μm、チャネル長L=15μmの有機薄膜トランジスタが形成された。以下の条件における測定値により、有機薄膜トランジスタ間の性能比較を行った。
▲1▼ゲートのリーク電流Ig−sd;ソース、ゲート間のバイアスを−30Vとしたときのリーク電流Ig−sdを測定した。
▲2▼キャリア移動度およびVth(スレッショルド電圧)
有機薄膜トランジスタの静特性を測定し、飽和領域の移動度およびゲート電圧閾値を公知の方法で求めた。
【0172】
得られた有機薄膜トランジスタは、p活性層のエンハンスメント型FETの良好な動作特性を示した。
【0173】
実験の条件及び結果を表1に示す。
【0174】
【表1】
【0175】
比較例として、タンタル層(厚さ350nm)を形成し、該層の一部を陽極酸化することにより、ゲート電極及びゲート絶縁層を形成して有機薄膜トランジスタを作成した。この有機薄膜トランジスタでは、電極の抵抗が高いために動作時間の遅延があった。動作特性を改善するためには、ゲートバスラインをアルミニウムで形成する必要があった。
【0176】
【発明の効果】
本発明によれば、有機薄膜トランジスタに特有の効果として、有機半導体により形成されるチャネルにおけるキャリア移動度が非常に高く、ゲート電圧の閾値を低減でき低電圧駆動可能な有機薄膜トランジスタが得られるという予想外の効果が得られる。さらに低コストで製造可能な、電極と絶縁膜との接着性が高い堅牢な有機薄膜トランジスタが実現できる。
【0177】
また本発明により、駆動速度が大きい有機薄膜トランジスタシートが実現できる。この有機薄膜トランジスタシートをディスプレイ等に用いた場合に、フレーム周波数を高くすることができ、フリッカやちらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る有機薄膜トランジスタの例の層構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る有機薄膜トランジスタの他の層構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る有機薄膜トランジスタシートの回路図である。
【図4】図3に示す有機薄膜トランジスタシートの各マトリクスセルにおける電極の配置を示す図である。
【図5】大気圧プラズマ法による製膜装置の概略図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る有機薄膜トランジスタ及び有機薄膜トランジスタシートの製造工程を示す図である。
【符号の説明】
1 支持体
2a 第1金属層
2b 第2金属層
2’ 金属層
3a 第1陽極酸化膜
3b 第2陽極酸化膜
3’ 陽極酸化膜
4 絶縁膜
5 有機半導体層
5a 活性層
6、12a ソース電極
7、13a ドレイン電極
8 保護膜
10 有機薄膜トランジスタシート
11 ゲートバスライン
11a ゲート電極
12 ソースバスライン
13 出力電極
Claims (57)
- 支持体、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタにおいて、
前記ゲート電極は第1金属層からなり、前記ゲート絶縁層の少なくとも一部は前記第1金属層を構成する金属とは異なる金属の第2陽極酸化膜からなることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。 - 支持体、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタにおいて、
前記ゲート電極は、第1金属層及び該第1金属層を構成する金属とは異なる金属からなる第2金属層からなり、前記ゲート絶縁層の少なくとも一部は前記第2金属層を構成する金属の第2陽極酸化膜からなることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。 - 支持体、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタにおいて、
前記ゲート電極は第1金属層からなり、前記ゲート絶縁層の少なくとも一部は前記第1金属層を構成する金属の第1陽極酸化膜及び第1金属層を構成する金属とは異なる金属の第2陽極酸化膜からなることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。 - 前記第1金属層又は前記第2金属層は、スパッタリング法又はCVD法により形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記第1陽極酸化膜又は前記第2陽極酸化膜は、スパッタリング法又はCVD法により形成された金属層を陽極酸化処理することにより形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記第1金属層は、30μΩ・cm以下の比抵抗を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記第1陽極酸化膜又は前記第2陽極酸化膜は、6以上の比誘電率を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記第1金属層は、Al又はCuからなり、前記第2金属層はAl又はTaからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記第1陽極酸化膜は、Alの酸化物からなり、前記第2陽極酸化膜は、Taの酸化物からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記ゲート絶縁層は、前記第2陽極酸化膜上に形成された絶縁膜を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記絶縁膜は、ポリマーからなることを特徴とする請求項10に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記絶縁膜は、無機酸化物又は無機窒化物からなることを特徴とする請求項10に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記第1、第2陽極酸化膜は封孔処理されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 無機酸化物又は前記無機窒化物からなる前記絶縁膜は、大気圧プラズマ法により形成されたことを特徴とする請求項12に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 支持体上に第1金属層を形成する第1金属層形成工程、
前記第1金属層上に、前記第1金属層を構成する金属とは異なる金属からなる第2金属層を形成する第2金属層形成工程及び、
少なくとも前記第2金属層の一部を陽極酸化する陽極酸化処理工程を有し、少なくとも前記第1金属層によりゲート電極を形成し、前記陽極酸化処理で形成された第2陽極酸化膜により、ゲート絶縁層の少なくとも一部を形成することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。 - 前記ゲート電極を前記第1金属層により形成することを特徴とする請求項15に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記ゲート電極を前記第1金属層及び前記第2金属層の一部で形成することを特徴とする請求項15に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記ゲート絶縁層を前記第1金属層の一部を陽極酸化処理した第1陽極酸化膜及び前記第2金属層を陽極酸化処理した前記第2陽極酸化膜で形成することを特徴とする請求項15に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記第1金属層及び前記第2金属層を、スパッタリング法又はCVD法により形成することを特徴とする請求項15〜18のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記第1金属層は、Al又はCuからなり、前記第2金属層はAl又はTaからなることを特徴とする請求項15〜19のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記第2陽極酸化膜上に絶縁膜を形成することにより前記ゲート絶縁層を形成することを特徴とする請求項15〜20のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記絶縁膜は、ポリマーからなることを特徴とする請求項21に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記絶縁膜は、無機酸化物又は無機窒化物からなることを特徴とする請求項21に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記絶縁膜を大気圧プラズマ法により形成することを特徴とする請求項23に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記第1、第2陽極酸化膜を封孔処理する封孔処理工程を有することを特徴とする請求項15〜24のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 表面粗さRmaxが50nm以下の前記第2金属層を形成することを特徴とする請求項15〜25のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 表面粗さRmaxが50nm以下の前記第2陽極酸化膜を形成することを特徴とする請求項15〜26のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 支持体、ゲートバスライン、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソースバスライン、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタシートにおいて、
前記ゲートバスライン及び前記ゲート電極は第1金属層からなり、前記ゲート絶縁層の少なくとも一部は前記第1金属層を構成する金属とは異なる金属の第2陽極酸化膜からなることを特徴とする有機薄膜トランジスタシート。 - 支持体、ゲートバスライン、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソースバスライン、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタシートにおいて、
前記ゲートバスライン及び前記ゲート電極は第1金属層及び該第1金属層を構成する金属とは異なる金属からなる第2金属層からなり、前記ゲート絶縁層の少なくとも一部は前記第2金属層を構成する金属の第2陽極酸化膜からなることを特徴とする有機薄膜トランジスタシート。 - 支持体、ゲートバスライン、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソースバスライン、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタシートにおいて、
前記ゲートバスライン及び前記ゲート電極は第1金属層からなり、前記ゲート絶縁層の少なくとも一部は前記第1金属層を構成する金属の第1陽極酸化膜及び第1金属層を構成する金属とは異なる金属の第2陽極酸化膜からなることを特徴とする有機薄膜トランジスタシート。 - 前記第1金属層及び前記第2金属層は、スパッタリング法又はCVD法により形成されたことを特徴とする請求項28〜30のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
- 前記第1金属層は、30μΩ・cm以下の比抵抗を有することを特徴とする請求項28〜31のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
- 前記第1、第2陽極酸化膜は、6以上の比誘電率を有することを特徴とする請求項28〜32のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
- 前記第1金属層は、Al又はCuからなり、前記第2金属層はAl又はTaからなることを特徴とする請求項28〜33のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
- 前記第1陽極酸化膜は、Alの酸化物からなり、前記第2陽極酸化膜は、Taの酸化物からなることを特徴とする請求項28〜34のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
- 前記ゲート絶縁層は、前記第2陽極酸化膜上に形成された絶縁膜を有することを特徴とする請求項28〜35のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
- 前記絶縁膜は、ポリマーからなることを特徴とする請求項35に記載の有機薄膜トランジスタシート。
- 前記絶縁膜は、無機酸化物又は無機窒化物からなることを特徴とする請求項35に記載の有機薄膜トランジスタシート。
- 前記第1、第2陽極酸化膜は封孔処理されていることを特徴とする請求項28〜38のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシート。
- 無機酸化物又は無機窒化物からなる前記絶縁膜は、大気圧プラズマ法により形成されたことを特徴とする請求項38に記載の有機薄膜トランジスタシート。
- 支持体上に第1金属層を形成する第1金属層形成工程、
前記第1金属層上に、前記第1金属層を構成する金属とは異なる金属からなる第2金属層を形成する第2金属層形成工程及び、
少なくとも前記第2金属層の一部を陽極酸化する陽極酸化処理工程を有し、少なくとも前記第1金属層によりゲート電極及びゲートバスラインを形成し、前記陽極酸化処理工程で形成された第2陽極酸化膜により、ゲート絶縁層の少なくとも一部を形成することを特徴とする有機薄膜トランジスタシートの製造方法。 - 前記ゲート電極及び前記ゲートバスラインを前記第1金属層により形成することを特徴とする請求項41に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
- 前記ゲート電極及び前記ゲートバスラインを前記第1金属層及び前記第2金属層の一部で形成することを特徴とする請求項41に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
- 前記ゲート絶縁層の少なくとも一部を、前記第1金属層の一部の第1陽極酸化膜及び前記第2金属層の第2陽極酸化膜で形成することを特徴とする請求項41に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
- 前記第1金属層及び前記第2金属層を、スパッタリング法又はCVD法により形成することを特徴とする請求項41〜44のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
- 前記第1金属層は、Al又はCuからなり、前記第2金属層はAl又はTaからなることを特徴とする請求項41〜45のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
- 前記第2陽極酸化膜上に絶縁膜を形成することにより前記ゲート絶縁層を形成することを特徴とする請求項41〜46のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
- 前記絶縁膜は、ポリマーからなることを特徴とする請求項47に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
- 前記絶縁膜は、無機酸化物又は無機窒化物からなることを特徴とする請求項47に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
- 前記絶縁膜を大気圧プラズマ法により形成することを特徴とする請求項49に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
- 前記第1、第2陽極酸化膜を封孔処理する封孔処理工程を有することを特徴とする請求項41〜50のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
- 表面粗さRmaxが50nm以下の前記第2金属層を形成することを特徴とする請求項41〜51のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
- 表面粗さRmaxが50nm以下の前記第2陽極酸化膜を形成することを特徴とする請求項41〜52のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
- 支持体、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタにおいて、前記支持体上に複数の金属層を形成した後に、該複数の金属層を部分的に陽極酸化することにより前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層の少なくとも一部を形成したことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
- 支持体、ゲートバスライン、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソースバスライン、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体からなる活性層を有する有機薄膜トランジスタシートにおいて、
前記支持体上に複数の金属層を形成した後に、該複数の金属層を部分的に陽極酸化することにより前記ゲート電極、前記ゲートバスライン及び前記ゲート絶縁層の少なくとも一部を形成したことを特徴とする有機薄膜トランジスタシート。 - 支持体上に複数の金属層を形成する工程と、
前記複数の金属層を部分的に陽極酸化する工程とにより、
有機薄膜トランジスタにおけるゲート電極及びゲート絶縁層の少なくとも一部を形成することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。 - 支持体上に複数の金属層を形成する工程と、
前記複数の金属層を部分的に陽極酸化する工程とにより、
有機薄膜トランジスタにおけるゲート電極、ゲートバスライン及びゲート絶縁層の少なくとも一部を形成することを特徴とする有機薄膜トランジスタシートの製造方法。
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