JP2004152708A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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佳正 小石川
Kenji Nakai
賢治 中井
Yoshin Yagi
陽心 八木
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Abstract

【課題】大電流でのパルス充放電サイクルの寿命特性を改善したリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】負極の充放電利用範囲を、2時間率の電流値で充電したときの負極電位の変化が、−1mV/(mAh/g)以下の範囲とした。この範囲での容量が、充放電可能な全容量に対して60%の容量を有する非晶質炭素を負極活物質に用いて負極を作製した。マンガン酸リチウムを正極活物質に用い、正極活物質の塗布量を負極の容量と同様になるように調整して正極を作製した。得られた正極と負極とで円筒型リチウムイオン電池を作製した。負極へのリチウムイオンの挿脱反応が円滑に進行する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はリチウムイオン二次電池に係り、特に、リチウム遷移金属複酸化物を正極活物質に用いた正極と、充放電によりリチウムイオンを挿脱可能な炭素材を負極活物質に用いた負極とを有するリチウムイオン二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、再充電可能な二次電池の分野では、鉛電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池等の水溶液系電池が主流であった。しかし、近年、地球温暖化や燃料枯渇の問題から電気自動車(EV)や駆動の一部を電気モータで補助するハイブリッド自動車(HEV)が着目され、その電源に用いられる電池にはより高容量で高出力な電池が求められるようになってきた。このような要求に合致する電源として、高電圧を有する非水溶液系のリチウム二次電池が注目されている。
【0003】
リチウム二次電池の負極活物質には一般的に炭素材料が用いられている。炭素材料には、天然黒鉛や鱗片状、塊状等の人造黒鉛、メソフェーズピッチ系黒鉛等の黒鉛系材料や、フルフリルアルコール等のフラン樹脂等を焼成した非晶質炭素材料が用いられている。黒鉛系材料は、不可逆容量が小さく電圧特性も平坦であり高容量であることが特徴であるが、サイクル特性が劣る、という問題がある。また、合成樹脂を焼成した非晶質炭素材料は、黒鉛の理論容量値以上の容量が得られサイクル特性にも優れるという特徴を持つが、不可逆容量が大きく電池での高容量化が難しい、という欠点がある。
【0004】
一方、正極活物質にはリチウム遷移金属複酸化物が用いられており、中でも容量やサイクル特性等のバランスからコバルト酸リチウムが用いられているが、原料であるコバルトの資源量が少なくコスト高となることから、EV用やHEV用電池の正極活物質用材料としてはマンガン酸リチウムが有望視され開発が進められている。また、サイクル特性を向上させるために、一般に、活物質や導電材の改良がなされており、例えば、導電材の配合を調整する技術(例えば、特許文献1参照)や、正極活物質の粒径及び重量を調整する技術(例えば、特許文献2参照)が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−210383号公報(段落番号「0008」)
【特許文献2】
特開2002−231243号公報(段落番号「0009」)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般的に、HEV用電源としての電池は、加速アシスト(補助)するときには大電流放電がなされ、減速時には回生エネルギーを利用した大電流充電がなされる。更に、大電流での充放電が短時間にパルス的に繰り返される。また、使用される温度範囲は−20°C以下の低温から50°C以上の高温まで広範囲に亘るため、HEV用電源の電池には、これらの使用条件下で高容量を維持することは当然のことながら、高い入出力を維持すること、すなわち十分な寿命特性を有することが必要となる。ところが、リチウムイオン電池のパルス充放電サイクルの寿命特性は、HEV用途を想定した場合、必ずしも十分とはいえない。
【0007】
本発明は上記事案に鑑み、大電流でのパルス充放電サイクルの寿命特性を改善したリチウムイオン二次電池を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、リチウム遷移金属複酸化物を正極活物質に用いた正極と、充放電によりリチウムイオンを挿脱可能な炭素材を負極活物質に用いた負極とを有するリチウムイオン二次電池において、前記負極の充放電利用範囲を、2時間率の電流値で充電したときの負極電位の変化が−1mV/(mAh/g)以下の範囲としたことを特徴とする。
【0009】
本発明では、負極の充放電利用範囲を、2時間率の電流値で充電したときの負極電位の変化が−1mV/(mAh/g)以下の範囲とすることで、負極へのリチウムイオンの挿入反応が円滑に進行するので、リチウムの析出反応による電池の劣化を抑制することができ、大電流でのパルス充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を実現することができる。
【0010】
この場合において、負極活物質の炭素材は、負極電位の変化が−1mV/(mAh/g)以下の範囲での容量が、充放電可能な全容量に対し70%以上の容量を有することが好ましい。また、炭素材は、負極電位の変化が−1mV/(mAh/g)以下の範囲での容量が、充放電可能な全容量に対し80%以上95%以下の容量を有することが好ましい。更に、正極活物質のリチウム遷移金属複酸化物を、化学式Lix+1Mn2−xで表されるスピネル系マンガン酸リチウムとすれば、熱的安定性に優れるので、広範囲の温度環境下で充放電特性を維持することができる。また、スピネル系マンガン酸リチウムのマンガン元素の一部をマンガン元素以外の遷移金属元素で置換した異種元素置換スピネル系マンガン酸リチウムとすれば、結晶中のマンガンやリチウムの溶出、再析出が抑制され微小短絡が抑制されるので、寿命特性を向上させることができる。このとき、マンガン元素以外の遷移金属元素を、Al、Co、Cr、Mg、Ni又はFeの少なくとも1種とすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明を円筒型リチウムイオン二次電池に適用した実施の形態について説明する。
【0012】
(負極)
図1に示すように、負極活物質の炭素材の充電反応(リチウムイオン挿入反応)では、充電容量に対する電位変化の特性において、滑らかな電位傾斜を有するa部と、電位変化のほとんどない平坦なb部とがある。電位変化の平坦なb部でパルス充放電を実施すると傾斜を有するa部でのパルス充放電に比べ負極の劣化の大きいことが確認できた。劣化のメカニズムについては調査中であるが、b部では大電流での充電により局所的に大きな分極が生じるため、リチウム挿入反応と同時に活性な金属リチウムが析出し、この活性な金属リチウムが電解質や溶媒と反応して導電性を低下することにより劣化が進行すると考えられる。そこで充放電にa部のみを使用するために、負極の充放電利用範囲を、2時間率の電流値で充電したときの負極電位の変化が、−1mV/(mAh/g)以下の範囲とした。この範囲での容量が、充放電可能な全容量に対して所定の容量を有する非晶質炭素を負極活物質に用いた。
【0013】
図2に示すように、上述した非晶質炭素粉末90重量部に対し、結着剤のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという。)を10重量部添加し、これに分散溶媒のN−メチルピロリドン(以下、NMPという。)を添加、混練してスラリ(負極合剤)を作製した。得られたスラリを厚さ10μmの圧延銅箔の両面に塗布した。このとき、負極長寸方向の一方の側縁に幅30mmの未塗布部を残した。
【0014】
その後乾燥、プレス、裁断して、幅86mm、所定長さ、負極合剤塗布部(圧延銅箔を含まない)厚さ70μmの負極を得た。側縁に残した未塗布部に正極と同様に切り欠きを入れ、切り欠き残部を負極リード片3とした。隣り合う負極リード片3を50mm間隔とし、負極リード片3の幅を5mmとした。
【0015】
(正極)
正極活物質のコバルト酸リチウム又はスピネル系マンガン酸リチウム100重量部に対して、導電剤の鱗片状黒鉛10重量部と結着剤のPVDF5重量部とを添加し、これに分散溶媒のNMPを添加、混練したスラリ(正極合剤)を厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に塗布した。このとき、正極長寸方向の一方の側縁に幅30mmの未塗布部を残した。なお、正極活物質の塗布量は、上述した負極を2時間率の電流値で充電したときの負極電位の変化が−1mV/(mAh/g)以下の範囲の充電容量と同様になるように調整した。
【0016】
その後乾燥、プレス、裁断して、幅82mm、所定長さ、正極合剤塗布部(アルミニウム箔を含まない)厚さ80μmの正極を得た。側縁に残した未塗布部に切り欠きを入れ、切り欠き残部を正極リード片2とした。隣り合う正極リード片2を50mm間隔とし、正極リード片2の幅を5mmとした。
【0017】
(電池の作製)
作製した正極と負極とを、これら両極が直接接触しないように幅90mm、厚さ25μmのポリエチレン製セパレータと共に捲回した。捲回の中心には、ポリプロピレン製の中空円筒状の軸芯1を用いた。このとき、正極リード片2と負極リード片3とが、それぞれ捲回群(電極群)6の互いに反対側の両端面に位置するようにした。また、正極、負極、セパレータの長さを調整し、捲回群6の直径を38±0.1mmとした。
【0018】
正極リード片2を変形させ、その全てを、捲回群6の軸芯1のほぼ延長線上にある正極集電リング4の周囲から一体に張り出している鍔部周辺付近に集合、接触させた後、正極リード片2と鍔部周辺とを超音波溶接して正極リード片2を鍔部周面に接続した。一方、負極集電リング5と負極リード片3との接続操作も、正極集電リング4と正極リード片2との接続操作と同様に実施した。
【0019】
その後、正極集電リング4の鍔部周面全周に絶縁被覆を施した。この絶縁被覆には、基材がポリイミドで、その片面にヘキサメタアクリレートからなる粘着剤を塗布した粘着テープを用いた。この粘着テープを鍔部周面から捲回群6外周面に亘って一重以上巻いて絶縁被覆とし、捲回群6を電池容器7内に挿入した。電池容器7には、外形40mm、内径39mmでニッケルメッキが施されたスチール製の容器を用いた。
【0020】
負極集電リング5には予め電気的導通のための負極リード板8が溶接されており、電池容器7に捲回群6を挿入後、電池容器7の底部と負極リード板8とを溶接した。一方、正極集電リング4には、予め複数枚のアルミニウム製のリボンを重ね合わせて構成した正極リード9を溶接しておき、正極リード9の他端を、電池容器7を封口するための電池蓋の下面に溶接した。電池蓋には、円筒型リチウムイオン二次電池20の内圧上昇に応じて開裂する内圧開放機構として開裂弁11が設けられている。開裂弁11の開裂圧は、約9×10Paに設定した。
【0021】
非水電解液を所定量電池容器7内に注液し、その後、正極リード9を折りたたむようにして電池蓋で電池容器7に蓋をし、EPDM樹脂製ガスケット10を介してカシメによって密封することにより円筒型リチウムイオン二次電池20を完成させた。非水電解液には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの混合溶媒中に6フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットル溶解したものを用いた。なお、リチウムイオン二次電池20の設計容量は4.0Ahである。
【0022】
【実施例】
次に、本実施形態に従って作製した円筒型リチウムイオン二次電池20の実施例について説明する。なお、比較のために作製した比較例の電池についても併記する。
【0023】
(実施例1)
下表1に示すように、実施例1では、負極の充放電利用範囲を負極電位の変化が−1mV/(mAh/g)以下の範囲(以下、単に−1mV以下という。電位変化が−0.8mV、−0.5mVについても同じ。)とし、この範囲での容量の充放電可能な全容量に対する割合(以下、容量割合という。)が60%の非晶質炭素を負極活物質に用いた。正極活物質には、コバルト酸リチウムを用いた。
【0024】
【表1】
Figure 2004152708
【0025】
(実施例2〜5)
表1に示すように、実施例2〜実施例5では、負極活物質に、負極電位の変化が−1mV以下の容量割合の異なる非晶質炭素を用い、非晶質炭素の容量に合わせて正極活物質の塗布量を調整する以外は実施例1と同様にした。実施例2では70%、実施例3では80%、実施例4では95%、実施例5では98%の容量割合を有する非晶質炭素をそれぞれ用いた。
【0026】
(実施例6)
表1に示すように、実施例6では、正極活物質としてスピネル系マンガン酸リチウムを用いる以外は実施例1と同様にした。
【0027】
(実施例7〜10)
表1に示すように、実施例7〜実施例10では、負極活物質に、負極電位の変化が−1mV以下の容量割合の異なる非晶質炭素を用い、非晶質炭素の容量に合わせて正極活物質の塗布量を調整する以外は実施例6と同様にした。実施例7では70%、実施例8では80%、実施例9では95%、実施例10では98%の容量割合を有する非晶質炭素をそれぞれ用いた。
【0028】
(比較例1〜2)
表1に示すように、比較例1〜比較例2では、正極活物質のコバルト酸リチウムの塗布量を調整する以外は実施例1と同様にした。コバルト酸リチウムの塗布量は、比較例1では、負極電位の変化が−0.8mV以下の範囲での容量と同様になるように、比較例2では、負極電位の変化が−0.5mV以下の範囲での容量と同様になるようにした。
【0029】
(比較例3)
表1に示すように、比較例3では、正極活物質にマンガン酸リチウムを用いる以外は比較例1と同様にした。
【0030】
次に、以上のように作製した実施例及び比較例の電池について、以下の一連の試験を実施した。
【0031】
(電池容量測定)
初期容量安定化運転後に電池容量を測定した。電池容量は25°Cの雰囲気にて1時間率(1C)で定電流定電圧充電(上限電圧4.1V)を3時間した後、1時間率(1C)の定電流で2.7Vまで放電した時の放電容量とした。
【0032】
(直流内部抵抗測定)
電池を約1時間で放電することができる電流値(1C)で4.1V定電圧制御で3時間充電し、満充電状態とした。満充電状態の電池を、10A、30A、90Aの電流値でそれぞれ5秒間放電し、5秒目の電池電圧を測定した。電流値に対して電圧値をプロットすると直線関係が得られ、その直線の傾きの絶対値を直流内部抵抗とした。測定は25±2°Cの雰囲気で行った。
【0033】
(パルス充放電サイクル試験)
パルス充放電サイクル試験は、50°Cの雰囲気にて、0.1時間率(10C)の電流値で5秒間充電と、次に0.1時間率(10C)の電流値で5秒間放電とを繰り返す条件とした。30万サイクル実施後の電池容量、直流内部抵抗を同様に測定し、初期容量に対するサイクル試験後の容量の割合を容量維持率とし、初期直流内部抵抗に対するサイクル試験後の直流内部抵抗の割合を直流内部抵抗上昇率とした。下表2に、容量維持率及び直流内部抵抗上昇率の結果を示す。
【0034】
【表2】
Figure 2004152708
【0035】
表2に示すように、負極電位の変化が−1mV以下の範囲とした実施例1と実施例6の電池では、70%以上の容量維持率を示し、−0.8mV以下の範囲とした比較例1と比較例3の電池及び−0.5mV以下の範囲とした比較例2の電池では、容量維持率はそれぞれ56%、58%、52%であった。従って、負極電位の変化が−1mV以下の範囲とすることで、優れたパルス充放電サイクル特性を示すことが判明した。また、負極電位の変化が−1mV以下の範囲とした実施例2〜実施例4と実施例7〜9の電池では、負極電位の変化が−1mV以下の範囲での容量割合が、70%、80%、95%と増えるのに伴い、容量維持率も高くなることが分かった。しかしながら、負極電位の変化が−1mV以下の範囲での容量割合が98%の非晶質炭素を用いた実施例5と実施例10の電池では、負極電位の変化が−1mV以下の範囲とすることにより、容量維持率の向上に、一応の効果は認められるものの、容量割合が95%の非晶質炭素を用いた実施例4と実施例9の電池より容量維持率が若干低下した。これらのことから、負極電位の変化が−1mV以下の範囲とすることで、大幅にパルス充放電サイクル特性が向上し、更に、負極電位の変化が−1mV以下の範囲での容量割合が、80%〜95%の非晶質炭素を用いることで、容量維持率が82%以上となることが分かった。
【0036】
また、正極活物質にマンガン酸リチウムを用いた実施例6〜10の電池では、負極電位の変化が−0.8mV以下の範囲とした比較例3の電池と比較して、容量維持率が向上するだけでなく、直流内部抵抗の増加を抑制する効果も併せて確認された。直流内部抵抗は出力の関数であり、HEV用電池として使用することを考慮した場合、直流内部抵抗の増加を抑制できる効果は非常に有用である。
【0037】
本実施形態のリチウムイオン二次電池20では、2時間率で充電したときの負極電位の変化が−1mV以下の範囲、すなわち充電容量に対する負極電位の変化が滑らかな傾斜を有する範囲(図1のa部参照)を充放電利用範囲とすることで、リチウムイオンの負極への挿脱が円滑に行われるので、容量維持率を向上させることができる。従って、得られるリチウムイオン二次電池20は寿命特性に優れた電池である。また、負極電位の変化が−1mV以下の範囲での容量割合を70%以上とすることで、容量維持率をより向上させることができる。更に、容量割合が98%を超えると容量維持率の低下が認められるため、容量割合を80〜95%とすることが特に好ましい。
【0038】
また、本実施形態のリチウムイオン二次電池20では、正極活物質にスピネル系マンガン酸リチウムを用いることで、熱的にも安定な結晶構造のため、マンガンの溶出が抑制され電池内部の微小短絡が抑制されるので、寿命特性を向上させることができる。更に、マンガン酸リチウムを用いることで、直流内部抵抗の増加が抑制されるため、高出力を維持することが可能である。
【0039】
なお、本実施形態では、円筒型リチウムイオン二次電池20の負極活物質に非晶質炭素を用いた例を示したが、本発明で用いることのできる負極活物質の炭素材としては、上記特許請求の範囲に記載した事項以外に特に制限はない。例えば、天然黒鉛や、人造の各種黒鉛材、コークス、非晶質炭素などの炭素材等であればよく、その粒子形状においても、鱗片状、球状、繊維状、塊状等、特に制限されるものではない。
【0040】
また、本実施形態では、円筒型リチウムイオン二次電池20の正極活物質にコバルト酸リチウムやマンガン酸リチウムを用いた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記実施形態以外で用いることのできる正極活物質としては、リチウムイオンを挿入・脱離可能な材料であり、予め十分な量のリチウムを挿入したリチウム遷移金属複酸化物であればよく、層状構造又はスピネル構造を有するマンガン酸リチウムや、結晶中のマンガンやリチウムの一部をそれら以外の例えば、A1、Co、Cr、Mg、Ni、Fe、等の元素で置換又はドープした材料、結晶中の酸素の一部をS、P等の元素で置換又はドープした材料を使用するようにしてもよい。このようにすれば、結晶構造が安定化されるため、マンガンやリチウムが溶出し再析出することによる電池内部の微小短絡が抑制されるので、電池の寿命特性を向上させることができる。
【0041】
更に、本実施形態では、円筒型リチウムイオン二次電池20を例示したが、本発明は、電池の用途、電池の大きさ、電池容量には限定されるものではない。また、本実施形態では、正負極を捲回して用いた円筒型の電池について例示したが、本発明は電池の形状についても限定されるものではなく、角形、その他の多角形の電池や、正負極を積層した積層タイプの電池にも適用可能である。更に、本発明の適用可能な形状としては、上述した有底筒状容器(缶)に電池上蓋がカシメによって封口されている構造の電池以外であっても構わない。このような構造の一例として、正負極外部端子が電池蓋を貫通し電池容器内で軸芯を介して正負極外部端子が押し合っている状態の電池を挙げることができる。
【0042】
また更に、本実施形態では、非水電解液にエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの混合溶媒中へ6フッ化リン酸リチウムを1モル/リットル溶解したものを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、一般的なリチウム塩を電解質とし、これを有機溶媒に溶解した非水電解液を用いることができる。しかし、用いられるリチウム塩や有機溶媒としては特に制限されるものではない。例えば、電解質としては、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiB(C)、CHSOLi、CFSOLi等やこれらの混合物が用いられる。また、有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル等又はこれらの2種類以上の混合溶媒が用いられ、混合配合比についても特に制限されるものではない。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、負極の充放電利用範囲を、2時間率の電流値で充電したときの負極電位の変化が−1mV/(mAh/g)以下の範囲とすることで、負極へのリチウムイオンの挿入反応が円滑に進行するので、リチウムの析出反応による電池の劣化を抑制することができ、大電流でのパルス充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を実現することができる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】負極活物質に炭素材を用いた負極を充電したときの容量に対する電位変化を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明が適用可能な実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池の断面図である。
【符号の説明】
6 捲回群
20 円筒型リチウムイオン二次電池(リチウムイオン二次電池)

Claims (5)

  1. リチウム遷移金属複酸化物を正極活物質に用いた正極と、充放電によりリチウムイオンを挿脱可能な炭素材を負極活物質に用いた負極とを有するリチウムイオン二次電池において、前記負極の充放電利用範囲を、2時間率の電流値で充電したときの負極電位の変化が−1mV/(mAh/g)以下の範囲としたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 前記炭素材は、前記負極電位の変化が−1mV/(mAh/g)以下の範囲での容量が、充放電可能な全容量に対し70%以上の容量を有することを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記炭素材は、前記負極電位の変化が−1mV/(mAh/g)以下の範囲での容量が、充放電可能な全容量に対し80%以上95%以下の容量を有することを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記リチウム遷移金属複酸化物が、化学式Lix+1Mn2−xで表されるスピネル系マンガン酸リチウム、又は、このスピネル系マンガン酸リチウムのマンガン元素の一部がマンガン元素以外の遷移金属元素で置換された異種元素置換スピネル系マンガン酸リチウムであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記マンガン元素以外の遷移金属元素がAl、Co、Cr、Mg、Ni又はFeの少なくとも1種であることを特徴とする請求項4に記載のリチウムイオン二次電池。
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