JP2004151391A - 光モジュール及びその作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】他の回路のレイアウトを阻害することなく光回路中にレイアウトでき、極めて簡便な光ファイバの実装構造を有すること。
【解決手段】(100)面を表面とするシリコン基板12上に光導波路11が形成され、その一部領域が除去されて光ファイバ14の固定領域が形成されている。光ファイバ14の固定領域には、シリコン基板12をウエットエッチングして形成したV溝15が形成されている。このV溝15の傾斜面は(111)面に相当する。光導波路11の端部にダイシング溝を形成しておらず、光導波路11の端部直下には基板表面と概ね54.7°の角度を有する(111)面からなる傾斜面が存在し、光ファイバの端面を基板表面に対して同じく54.7°と大きく傾けてへき開してある。光導波路11の端部直下に(111)面があっても、光ファイバ14と光導波路11の端面間の距離を十分近接して接続できる。
【選択図】 図3
【解決手段】(100)面を表面とするシリコン基板12上に光導波路11が形成され、その一部領域が除去されて光ファイバ14の固定領域が形成されている。光ファイバ14の固定領域には、シリコン基板12をウエットエッチングして形成したV溝15が形成されている。このV溝15の傾斜面は(111)面に相当する。光導波路11の端部にダイシング溝を形成しておらず、光導波路11の端部直下には基板表面と概ね54.7°の角度を有する(111)面からなる傾斜面が存在し、光ファイバの端面を基板表面に対して同じく54.7°と大きく傾けてへき開してある。光導波路11の端部直下に(111)面があっても、光ファイバ14と光導波路11の端面間の距離を十分近接して接続できる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信などで用いられる光モジュール及びその作製方法に関し、より詳細には、平面光導波回路と光ファイバとの接続構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平面光導波回路に光ファイバを接続するための低コストで簡易な方法として、従来からシリコンの異方性エッチングにより形成したV溝を利用する構造が知られている。
【0003】
図1及び図2は、従来のV溝を用いた光導波路と光ファイバとの実装構造を示す構成図で、図1は斜視図、図2は図1のA−A’線断面図で、図中符号1は光導波路、2はシリコン基板、3はダイシング溝、4は光ファイバ、5はV溝を示している。
【0004】
例えば、石英系やポリマー系の光導波回路1が、シリコン基板2上に形成されており、その光導波路1の一端部に光ファイバ4を固定する領域が設けられている。この光ファイバ4の固定領域では、光導波路層が除去され、シリコン基板2が露出しており、この部位のシリコン基板2に異方性エッチングによるV字状の溝5が形成されている。
【0005】
このようなV溝5は、例えば、KOH等のアルカリ溶液によるウエットエッチングによって容易に形成でき、通常用いられる(100)面を表面とするシリコン基板を用いた場合には、表面と概ね54.7°の角度を有する(111)面が露出される。
【0006】
また、光導波路1の端面とV溝5が接続される境界領域は、図1及び図2に見られるように、ダイシングソー等の機械加工によって光導波路と直角方向に矩形の溝が形成されている。光ファイバは、このV溝に沿うように置かれて固定される。なお、光ファイバをV溝に置くだけで、シリコン基板の垂直方向と基板面内で光ファイバと垂直な方向の位置合わせができる。
【0007】
一方、基板面内での光ファイバの光軸方向の位置合わせは、光ファイバをV溝に沿って導波路端面に突き当てることによってメカニカルに合わせるか、または、光ファイバと光導波路の端面間距離を顕微鏡などによって観察し、所定の距離になるように合わせていた。
【0008】
なお、先行文献としては、例えば、非特許文献1がある。
【非特許文献1】
J. Gates, D. Muehlner, M. Cappuzzo, M. Fishteyn, L. Gomez, G. Henein, E. Laskowski, I. Ryazansky, J. Shmulovich, D. Syvertsen, A. White,“Hybrid integrated silicon optical bench planar lightguide circuits, ”Electronic Components & Technology Conference, 1998. 48th IEEE, Page(s):551−559, 1998, 特に Fig.6 参照
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来例に見られる光導波路の端面とV溝との境界領域の矩形溝は、光導波路の端面直下に形成される(111)面を除去するためのものである。すなわち、シリコンの異方性エッチングでは光導波路の端面直下からV溝方向に傾斜した(111)面が露出して残るため、このままでは通常のへき開による直角の端面を有する光ファイバを挿入しようとしても光ファイバの基板側のエッジが(111)面と突き当たってしまい、光ファイバと光導波路の端面を近接して接続できないのである。
【0010】
例えば、典型的な値としては、光ファイバと光導波路の端面には40μm程度のギャップがあき、これにより1dB以上の接続過剰損失が生じる。なお、この損失値は光導波路や光ファイバのモードフィールド径によって大きく異なり、例えば、それぞれ5μm、10μmの場合には3dB以上もの大きな過剰損失が生じる。そのため、(111)面を除去し、光ファイバと光導波路の端面を十分近接して接続するために、上述した従来例のような矩形溝をダイシングソー等の回転歯を用いた機械加工により形成する必要があった。
【0011】
しかしながら、ダイシングする溝の延長に光導波路等がある場合には、これらの部位まで切断してしまうことになるため、上述したような構造は適用できない。したがって、従来は、光ファイバの固定用のV溝を形成する領域は、光導波路等の他の回路と分離してレイアウトしなくてはならず、回路面積の大型化を招く原因となっていた。このような事情は、低コストで簡易な接続構造というV溝を利用する当初の目的を阻害するものである。
【0012】
さらに従来、上述したようなV溝を用いた光導波路と光ファイバとの接続構造においては、接続部での反射を抑制することが困難であるという問題があった。これは以下の事情による。つまり、接続部での反射を抑制するためには斜め端面構造を利用するのが一般的であるが、上述したようなV溝による接続構造ではこのような斜め端面構造をとるのは容易ではない。
【0013】
なぜならば、フォトリソグラフィー等の微細加工技術によって光導波路の端部を基板と垂直方向に斜めになるようにエッチングしたり、または光導波路の端近傍の微細な部位を基板面内方向に斜めにすることは容易にできるものの、このように加工した光導波路の端部は、上述した機械溝加工により最終的には削り取られてしまうからである。
【0014】
一方、他の方法としては、光ファイバの軸に対して光導波路を斜めにレイアウトすることも考えられる。光ファイバの軸方向に垂直に矩形溝を切ると自然と斜め端面が形成できるわけであるが、この場合は、通常の機械加工溝の精度では接続損失が大きくばらついてしまうという問題がある。
【0015】
すなわち、溝の位置やブレードの目減り等による溝幅のゆらぎがあるため、これによって溝加工後の光導波路の端(光の入出射端)位置が光ファイバの軸方向に対して垂直方向にずれてしまうためである。さらに、他の方法としては、矩形溝を光ファイバの軸に対して直角ではなく斜めに形成する方法もあるが、この場合には、ウエハ上で隣接する光回路同士をまとめて一括で機械加工することができなくなるという問題がある。
【0016】
最後にダイシングソーのブレードに対してウエハを斜めに設置して、基板面に対して垂直方向に斜め溝を形成する方法がある。しかしながら、この斜め溝を形成することは、作業性が悪く、また、ブレードの片減りなど劣化が早いなど、高コスト化する問題を含んでいた。
【0017】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、他の回路のレイアウトを阻害することなく光回路中にレイアウトでき、極めて簡便な光ファイバの実装構造を有する光モジュール及びその作製方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、(100)面を表面とするシリコン基板上に形成された、下部クラッドとコアと上部クラッドからなる光導波回路と、前記シリコン基板の異方性エッチングにより、前記光導波回路の一端部に形成されたV溝と、該V溝上に固定された光ファイバとを有する光モジュールにおいて、前記光導波回路の一端部と前記V溝との接続境界部において露出したシリコン面は、すべて前記異方性エッチングによって形成されたシリコン結晶面で、前記下部クラッドと前記コアと前記上部クラッドの厚みをそれぞれ Tuc、Tcore 、Toc 、前記光ファイバの半径をRf 、シリコン(100)面と(111)面とのなす角をθs とした場合に、前記光ファイバの端面は、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の表面に対して、θ=tan−1((Rf+Toc+Tcore/2)/((Rf−Tuc−Tcore/2)*tan(π/2−θs))) 以下の角度を有することを特徴とする。
【0019】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記光導波回路の前記V溝と接続される一端部の端面が、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の表面に対して、前記θs と概ね等しい角度を有するように設定され、前記光ファイバの端面も、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の表面に対して、θs と概ね等しい角度に設定されていることを特徴とする。
【0020】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記光導波回路の前記V溝と接続される一端部の端面が、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の面方向で、かつ光ファイバの延長線と垂直に交わらないように斜めに形成されていることを特徴とする。
【0021】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1,2又は3に記載の発明において、前記光導波回路の前記V溝と接続される一端部の端面が、光導波回路の端面付近に基板面内で微小な凹部を設けるとともに、前記光導波回路の端近傍のみを斜め端面としたことを特徴とする。
【0022】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4いずれかに記載の発明において、前記光導波回路の前記V溝と接続される一端面の光導波回路の表面に、光ファイバの固定位置を示すマークを設けたことを特徴とする。
【0023】
また、請求項6に記載の発明は、(100)面を表面とするシリコン基板上に形成された、下部クラッドとコアと上部クラッドからなる光導波回路と、前記シリコン基板の異方性エッチングにより、前記光導波回路の一端部に形成されたV溝と、該V溝上に固定された光ファイバとを有する光モジュールの作製方法において、前記光導波回路の一端部と前記V溝との接続境界部において露出したシリコン面は、すべて前記異方性エッチングによって形成されたシリコン結晶面で、前記下部クラッドと前記コアと前記上部クラッドの厚みをそれぞれ Tuc、Tcore 、Toc 、前記光ファイバの半径をRf 、シリコン(100)面と(111)面とのなす角をθs とした場合に、前記光ファイバの端面は、前記光導波回路が形成されたシリコン基板表面に対して、θ=tan−1((Rf+Toc+Tcore/2)/((Rf−Tuc−Tcore/2)*tan(π/2−θs))) 以下の角度を有することを特徴とする。
【0024】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記光導波回路の前記V溝と接続される一端部の端面が、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の表面に対して、前記θs と概ね等しい角度を有するように設定され、前記光ファイバの端面も、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の表面に対して、θs と概ね等しい角度に設定される工程を有することを特徴とする。
【0025】
また、請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の発明において、前記光導波回路の前記V溝と接続される一端部の端面が、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の面方向で、かつ光ファイバの延長線と垂直に交わらないように斜めに形成される工程を有することを特徴とする。
【0026】
また、請求項9に記載の発明は、請求項6,7又は8に記載の発明において、前記光導波回路の前記V溝と接続される一端部の端面が、光導波回路の端面付近に基板面内で微小な凹部を設けるとともに、前記光導波回路の端近傍のみを斜め端面とする工程を有することを特徴とする。
【0027】
また、請求項10に記載の発明は、請求項6乃至9いずれかに記載の発明において、前記光導波回路の前記V溝と接続される一端面の光導波回路の表面に、光ファイバの固定位置を示すマークを設ける工程を有することを特徴とする。
【0028】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記光ファイバの先端部と前記マークとが、所定の位置関係を有するようにV溝中で光ファイバの位置を合わせる工程を有することを特徴とする。
【0029】
このように本発明の光導波路と光ファイバの実装構造は、光ファイバの端面の角度を大きくとり、凸側のエッジを上向きにV溝上に固定するので、光導波路の端面直下にシリコンの(111)面が露出した状態であっても光ファイバと光導波路との端面を十分近接して接続することが可能となる。
【0030】
ここで、後述するように、このような構造をとると、従来の方法では、光ファイバの光軸方向の位置合わせが困難になってしまうという問題があった。しかしながら、本発明によって光導波路上にマークを設け、これを用いてアライメントすることにより良好な位置合わせが可能となる。
【0031】
また、本発明の構造により機械加工によって矩形溝を形成する必要がなくなるので、V溝周辺に他の光回路を配置することも可能となる。
【0032】
さらに、同様に矩形溝を形成する必要がなくなったため、フォトリソグラフィー等の微細加工技術によって、光導波路の端面を垂直方向または基板面内方向に斜めに加工することができるようになり、接続部の反射も減らすことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の態様について説明する。
なお、以下の実施形態の説明では、光導波路をすべて石英系光導波路としているが、本発明はこれに限定されるものではない。また、以下の実施形態ではすべて光ファイバと光導波路の端面間には、光ファイバと概ね等しい屈折率を有する接着剤または樹脂が充填されている。これは、本発明で用いる斜めにへき開した光ファイバの端面で生じる屈折により光軸がずれて過剰損失が発生することを防止するのに極めて有効である。ただし、本発明により光ファイバと光導波路の端面間距離は、従来に比して十分小さく設定できるので、ある程度の過剰損失を許容すれば、上述したような樹脂充填は必ずしも必要とは限らない。
【0034】
[実施形態1]
図3及び図4は、本発明の光モジュールの実施形態1を説明するための概略構成図で、図3は斜視図、図4は図3のB−B’線断面図で、図中符号11は光導波路(回路)、12はシリコン基板、14は光ファイバ、15はV溝を示している。
【0035】
(100)面を表面とするシリコン基板12上に石英系光導波路11が形成されており、その一部領域が除去されて光ファイバ14の固定領域が形成されている。この光ファイバ14の固定領域には、シリコン基板12をKOHによってウエットエッチングして形成したV溝15が形成されている。ここで、図中に見られるV溝15の傾斜面は(111)面に相当する。
【0036】
本実施形態の従来例と異なる点は、光導波路11の端部にダイシング溝を形成しておらず、光導波路11の端部直下にはシリコン基板12の表面と概ね54.7°の角度を有する(111)面からなる傾斜面が存在する点と、光ファイバの端面をシリコン基板12の表面に対して同じく54.7°と大きく傾けてへき開してある点である。
【0037】
図4に見られるように、このような構造を用いると、たとえ光導波路11の端部直下に(111)面があっても、これに阻害されず、光ファイバ14と光導波路11の端面間の距離を十分近接して接続できる。
【0038】
この場合の光ファイバ14と光導波路11の端面間の距離Gは、上部クラッド層厚 Toc、コア層厚 Tcore、光ファイバ端面の基板表面に対する角度θとすると、
G=( Toc+Tcore/2)*tan(π/ 2−θ)
である。
【0039】
例えば、上部クラッド層厚10μm、コア層厚6μmとした場合には、端面間ギャップGは9.2μm、また、上部クラッド層厚20μm、コア層6μmとした場合でもG=16.3μmとなり、十分近接した接続ができることがわかる。なお、上述した光導波路のモードフィールド径を7μm、接続する光ファイバのモードフィールド径を10μmとすると、上述したギャップによる接続過剰損失は、それぞれ0.1dB、0.2dBと十分小さく抑えられる。
【0040】
図5は、コア中心から上部クラッド表面までの距離と、端面間ギャップ及び接続過剰損失の関係の一計算例を示す図である。上述した条件に対して、光導波路のモードフィールド径が5μmの場合と7μmの場合について示してある。いずれもコア中心から上部クラッド表面までの距離が概ね15μm以下であれば0.5dB以下の過剰損失に抑えられることがわかる。
【0041】
[実施形態2]
図6は、本発明の光モジュールの実施形態2を説明するための概略構成断面図である。実施形態1と異なる点は、光ファイバ14の端面の基板表面に対する角度を実施形態1よりもやや大きくした点である。
【0042】
図6より明らかなように、光ファイバ14の端面の角度は、シリコン(111)面の54.7°よりもやや大きくてもよい。すなわち、光ファイバの下側エッジがシリコン(111)面に突き当たり、光ファイバ14と光導波路11の端面間ギャップとの近接を妨げられなければよい。この角度θは、以下の式で表される。
θ≦ tan−1((Rf+Toc+Tcore/2)/((Rf−Tuc−Tcore/2)*tan(π/ 2−θs)))
【0043】
ここで、Rf はファイバの半径、Toc 、Tcore 、Tue はそれぞれ上部クラッド、コア、下部クラッドの厚みであり、θs はシリコン(111)面の基板表面からの角度であり、54.7°である。
【0044】
本実施形態では、Toc =15μm、Tcore =6μm、Tuc =15μmである。これよりθとして約68.6°以下に設定すればよいことになるので、ここでは68°に設定した。このように角度を大きくした方が、ギャップを小さく設定できる効果がある。
【0045】
[実施形態3]
図7は、本発明の光モジュールの実施形態3を説明するための概略構成断面図である。本実施形態では、光導波路11の端面をシリコン基板12の垂直方向に斜めに形成した点が特徴である。このような加工は、例えば、光ファイバ14の固定領域の光導波路層を除去する際のドライエッチング条件の調節や、シャドウマスクを用いてドライエッチング時の回り込みを利用したシャドウエッチング法などによって可能である。
【0046】
このような光導波路の端面の斜め構造を用いることにより、1)光導波路端の反射防止、2)光ファイバと光導波路の端面間距離の短縮の効果がある。2)に関しては、図7から分かる通りである。本実施形態では、特に光導波路の端面の基板表面からの角度をシリコン(111)面と同じ約54.7°に設定し、かつ光ファイバの端面も同じ角度に設定することにより、実質的に端面間ギャップをゼロにすることができている。
【0047】
以上のような構造を用いて、光ファイバや光導波路のどちらも斜め端面とすることにより、光ファイバと光導波路との接続における反射の問題を解決できる。
【0048】
このような構造が可能となったのは、本発明が従来行われていた光導波路端のダイシング溝加工を排除したことの効果である。すなわち、従来の構造では、ダイシング溝加工により光導波路の端面を削り取ってしまうために、本実施形態のような、基板垂直方向に傾斜する光導波路の端面を得ることはできなかった。
【0049】
[実施形態4]
図8は、本発明の光モジュールの実施形態4を説明するための概略構成斜視図である。実施形態1乃至3と異なる点は、光導波路11の端面付近に基板面内で微小な凹部を設け、光導波路11の端近傍のみを斜め端面11aとした点である。このような構造は、光ファイバ14の固定領域の光導波路層を除去する際のドライエッチングにおいてマスクの変更するだけで容易に可能である。なお、ここではこの光導波路端にも光ファイバとほぼ等しい屈折率を有する樹脂を充填するため、樹脂充填後に光軸がずれないように、光導波路は光ファイバの軸と等しい方向にレイアウトし、単純に端面のみを10°程度の角度で斜めにエッチングしてある。
【0050】
このような構造により、実施形態3と同様に接続部の反射を有効に抑制できる。また、エッチング条件等の変更なく、マスクのみの変更で済むため極めて実用的である。
【0051】
本実施形態のような光導波路端の面内方向の斜め加工もまた、本発明が従来行われていた光導波路端のダイシング溝加工を排除したことの効果でもある。すなわち、実施形態3で述べたのと同様に、従来の構造では、ダイシング溝加工により光導波路端面を削り取ってしまうために、本実施形態のような光導波路の端面の微細な構造を設けることはできなかった。
【0052】
[実施形態5]
図9及び図10は、本発明の光モジュールの実施形態5を説明するための概略構成図で、図9は斜視図、図10は図9のC−C’線断面図で、図中符号16はマーク、17はカメラ又は顕微鏡を示している。
【0053】
上述した各実施形態と同じ構造であるが、光導波路11上に光ファイバ14の光軸方向位置合わせ用のマーク16を設けた点が異なる。なお、ここでは金薄膜によりマークを形成してある。
【0054】
この構造を用いた光ファイバの接続方法は以下の通りである。すなわち、例えば、光ファイバ14をV溝15上に置いた状態で光導波路11の端面方向にスライドさせ、光ファイバ14の上側に設定した端面凸側のエッジと光導波路11上のマーク16とが所定の位置関係になるように、上方からのカメラ等17の観察によってアライメントすればよい。もちろん、光ファイバ14をあらかじめV溝15上におかず、上空に浮かせた状態で保持し、はじめに光軸方向のアライメントを行った後、V溝15上に搭載してもよい。
【0055】
すでに述べたように、シリコンV溝を用いた光導波路への光ファイバの接続においては、基板垂直方向および基板面内で光ファイバ横方向の位置決めは、単純に光ファイバをV溝に置くことによって容易に行うことができる。一方、光軸方向の位置合わせについては、従来、光ファイバをV溝内でスライドさせ、光導波路端に突き当てるか、または顕微鏡等によって光ファイバと光導波路との端面間距離を所定の値になるように合わせていた。このような接続方法では、光ファイバと光導波路の端面はいずれも垂直に形成してあることが好ましく、故に光導波路端のダイシング溝も有効に機能していた。
【0056】
しかしながら、このような構造は、反射防止に関しては問題を含んでいる。すなわち、反射を抑制するために光ファイバの端面を斜めにカットしてしまうと、光導波路の端面に突き当てる方法では、ある一部のエッジしか接触しないために「すべり」が生じ、光軸垂直方向、特に基板上方への光ファイバ端の位置ずれが発生し、ロスばらつきが生じてしまうことになるためである。
【0057】
また、光ファイバと光導波路の端面間距離を測定してアライメントを行う場合には、本発明のように光ファイバの端面の凸部を基板上方に設定すると、光ファイバのエッジにより、光導波路の端面が隠れてしまうため、位置合わせができない問題があった。
【0058】
本実施例のようなマークを光導波路上に設けることにより、上述した従来の問題が解決できた。
【0059】
[実施形態6]
図11は、本発明の光モジュールの実施形態6を説明するための概略構成図で、図中符号21は光導波路、22はシリコン基板、23はLD、24はMPD、25はPD、26は光ファイバ、27は誘電体多層膜フィルタを示している。
【0060】
シリコン基板22上に形成した石英系光導波路21の一部導波路領域を除去し、LD23およびモニタ用PD(MPD)24の搭載部、受信用PD25の搭載部、光ファイバ26の固定領域を設けてある。また、光ファイバ26に接続された入出力光導波路は、光モジュールの中間部の溝に挿入された誘電体多層膜フィルタ27を介して、一部は反射してLD2に接続され、一部は透過して受信用PD25に接続されている。
【0061】
本実施形態の構成により、光ファイバ26より入力された1.55μm信号光は、誘電体多層膜フィルタ27を透過して受信PD25で受信される。一方、LD23より送出される1.3μm送信信号光は、誘電体多層膜フィルタ27で反射して光ファイバ26に出力される。
【0062】
このようなアクセス系で用いられる光モジュールは、機能及び性能とともに極限的なコストの低減が必須の課題となっている。従来、このような光モジュールの製造において大きなウエイトを占めていたのは、1)光導波路自身のコスト、2)光ファイバの接続部材と接続工程に関わるコスト、の2つである。したがって、光導波路自体をいかに小さくして1枚のウエハからの取り数を多くするかということと、光ファイバの接続部材を減らし、かつ接続に関わる工程を簡易化するか、ということを両立する必要がある。
【0063】
本実施形態は、本発明を用いて上述した課題を解決したものである。すなわち、本実施形態では、V溝からなる光ファイバの固定領域を、LD搭載部に隣接したスペースに配置することにより、光導波路の面積の増大なく、光ファイバの接続部を設けることに成功している。また、これにより光ファイバの接続部材も減り、調芯もパッシブアライメントになることで大幅に簡易化されている。
【0064】
従来の光導波路端に矩形溝加工を行うV溝の構造では、矩形溝のダイシング加工時に隣接するLD搭載部または光導波路をも切断してしまうために、上述したような光回路のレイアウトをとることはできない。このような構造が可能となったのは、本発明が、従来の矩形溝を用いずとも、良好な接続を達成できることの大きな効果である。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、本発明の光導波回路と光ファイバの実装構造は、光ファイバの端面の角度を大きくとり、凸側のエッジを上向きにV溝上に固定するので、従来の光導波路の端面ダイシング溝加工を行わず、光導波路の端面直下にシリコンの(111)面が露出した状態であっても、光ファイバと光導波路との端面を十分近接させた良好な接続を行うことが可能となる。
【0066】
また、本発明によって光導波路上にマークを設け、これを用いて光ファイバの光軸方向のアライメントを行うことにより、上述したような大きな角度の斜め端面を有する光ファイバでも良好な位置合わせが可能である。これによって光ファイバの端面の反射防止が可能となる。
【0067】
さらに、本発明の構造により機械加工によって矩形溝を形成する必要がなくなるので、V溝周辺に他の光回路を配置することが可能となる。
【0068】
また、同様に矩形溝を形成する必要がなくなったため、ドライエッチング等の微細加工技術によって、光導波路の端面を垂直方向または基板面内方向に斜めに微細な加工をすることができるようになり、光導波路の端面の反射も減らすことができる。
【0069】
以上のように、本発明により、他の回路のレイアウトを阻害することなく光回路中にレイアウトでき、かつ容易に接続部の反射を抑制できる極めて簡便な光ファイバの実装構造および実装方法を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のV溝を用いた光導波路と光ファイバとの実装構造を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A’線断面図である。
【図3】本発明の光モジュールの実施形態1を説明するための概略構成斜視図である。
【図4】図3のB−B’線断面図である。
【図5】コア中心から上部クラッド表面までの距離と、端面間ギャップ及び接続過剰損失の関係の一計算例を示す図である。
【図6】本発明の光モジュールの実施形態2を説明するための概略構成断面図である。
【図7】本発明の光モジュールの実施形態3を説明するための概略構成断面図である。
【図8】本発明の光モジュールの実施形態4を説明するための概略構成斜視図である。
【図9】本発明の光モジュールの実施形態5を説明するための概略構成斜視図である。
【図10】図9のC−C’線断面図である。
【図11】本発明の光モジュールの実施形態6を説明するための概略構成図である。
【符号の説明】
1 光導波路
2 シリコン基板
3 ダイシング溝
4 光ファイバ
5 V溝
11 光導波路
11a 斜め端面
12 シリコン基板
14 光ファイバ
15 V溝
16 マーク
17 カメラ又は顕微鏡
21 光導波路
22 シリコン基板
23 LD
24 MPD
25 PD
26 光ファイバ
27 誘電体多層膜フィルタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信などで用いられる光モジュール及びその作製方法に関し、より詳細には、平面光導波回路と光ファイバとの接続構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平面光導波回路に光ファイバを接続するための低コストで簡易な方法として、従来からシリコンの異方性エッチングにより形成したV溝を利用する構造が知られている。
【0003】
図1及び図2は、従来のV溝を用いた光導波路と光ファイバとの実装構造を示す構成図で、図1は斜視図、図2は図1のA−A’線断面図で、図中符号1は光導波路、2はシリコン基板、3はダイシング溝、4は光ファイバ、5はV溝を示している。
【0004】
例えば、石英系やポリマー系の光導波回路1が、シリコン基板2上に形成されており、その光導波路1の一端部に光ファイバ4を固定する領域が設けられている。この光ファイバ4の固定領域では、光導波路層が除去され、シリコン基板2が露出しており、この部位のシリコン基板2に異方性エッチングによるV字状の溝5が形成されている。
【0005】
このようなV溝5は、例えば、KOH等のアルカリ溶液によるウエットエッチングによって容易に形成でき、通常用いられる(100)面を表面とするシリコン基板を用いた場合には、表面と概ね54.7°の角度を有する(111)面が露出される。
【0006】
また、光導波路1の端面とV溝5が接続される境界領域は、図1及び図2に見られるように、ダイシングソー等の機械加工によって光導波路と直角方向に矩形の溝が形成されている。光ファイバは、このV溝に沿うように置かれて固定される。なお、光ファイバをV溝に置くだけで、シリコン基板の垂直方向と基板面内で光ファイバと垂直な方向の位置合わせができる。
【0007】
一方、基板面内での光ファイバの光軸方向の位置合わせは、光ファイバをV溝に沿って導波路端面に突き当てることによってメカニカルに合わせるか、または、光ファイバと光導波路の端面間距離を顕微鏡などによって観察し、所定の距離になるように合わせていた。
【0008】
なお、先行文献としては、例えば、非特許文献1がある。
【非特許文献1】
J. Gates, D. Muehlner, M. Cappuzzo, M. Fishteyn, L. Gomez, G. Henein, E. Laskowski, I. Ryazansky, J. Shmulovich, D. Syvertsen, A. White,“Hybrid integrated silicon optical bench planar lightguide circuits, ”Electronic Components & Technology Conference, 1998. 48th IEEE, Page(s):551−559, 1998, 特に Fig.6 参照
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来例に見られる光導波路の端面とV溝との境界領域の矩形溝は、光導波路の端面直下に形成される(111)面を除去するためのものである。すなわち、シリコンの異方性エッチングでは光導波路の端面直下からV溝方向に傾斜した(111)面が露出して残るため、このままでは通常のへき開による直角の端面を有する光ファイバを挿入しようとしても光ファイバの基板側のエッジが(111)面と突き当たってしまい、光ファイバと光導波路の端面を近接して接続できないのである。
【0010】
例えば、典型的な値としては、光ファイバと光導波路の端面には40μm程度のギャップがあき、これにより1dB以上の接続過剰損失が生じる。なお、この損失値は光導波路や光ファイバのモードフィールド径によって大きく異なり、例えば、それぞれ5μm、10μmの場合には3dB以上もの大きな過剰損失が生じる。そのため、(111)面を除去し、光ファイバと光導波路の端面を十分近接して接続するために、上述した従来例のような矩形溝をダイシングソー等の回転歯を用いた機械加工により形成する必要があった。
【0011】
しかしながら、ダイシングする溝の延長に光導波路等がある場合には、これらの部位まで切断してしまうことになるため、上述したような構造は適用できない。したがって、従来は、光ファイバの固定用のV溝を形成する領域は、光導波路等の他の回路と分離してレイアウトしなくてはならず、回路面積の大型化を招く原因となっていた。このような事情は、低コストで簡易な接続構造というV溝を利用する当初の目的を阻害するものである。
【0012】
さらに従来、上述したようなV溝を用いた光導波路と光ファイバとの接続構造においては、接続部での反射を抑制することが困難であるという問題があった。これは以下の事情による。つまり、接続部での反射を抑制するためには斜め端面構造を利用するのが一般的であるが、上述したようなV溝による接続構造ではこのような斜め端面構造をとるのは容易ではない。
【0013】
なぜならば、フォトリソグラフィー等の微細加工技術によって光導波路の端部を基板と垂直方向に斜めになるようにエッチングしたり、または光導波路の端近傍の微細な部位を基板面内方向に斜めにすることは容易にできるものの、このように加工した光導波路の端部は、上述した機械溝加工により最終的には削り取られてしまうからである。
【0014】
一方、他の方法としては、光ファイバの軸に対して光導波路を斜めにレイアウトすることも考えられる。光ファイバの軸方向に垂直に矩形溝を切ると自然と斜め端面が形成できるわけであるが、この場合は、通常の機械加工溝の精度では接続損失が大きくばらついてしまうという問題がある。
【0015】
すなわち、溝の位置やブレードの目減り等による溝幅のゆらぎがあるため、これによって溝加工後の光導波路の端(光の入出射端)位置が光ファイバの軸方向に対して垂直方向にずれてしまうためである。さらに、他の方法としては、矩形溝を光ファイバの軸に対して直角ではなく斜めに形成する方法もあるが、この場合には、ウエハ上で隣接する光回路同士をまとめて一括で機械加工することができなくなるという問題がある。
【0016】
最後にダイシングソーのブレードに対してウエハを斜めに設置して、基板面に対して垂直方向に斜め溝を形成する方法がある。しかしながら、この斜め溝を形成することは、作業性が悪く、また、ブレードの片減りなど劣化が早いなど、高コスト化する問題を含んでいた。
【0017】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、他の回路のレイアウトを阻害することなく光回路中にレイアウトでき、極めて簡便な光ファイバの実装構造を有する光モジュール及びその作製方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、(100)面を表面とするシリコン基板上に形成された、下部クラッドとコアと上部クラッドからなる光導波回路と、前記シリコン基板の異方性エッチングにより、前記光導波回路の一端部に形成されたV溝と、該V溝上に固定された光ファイバとを有する光モジュールにおいて、前記光導波回路の一端部と前記V溝との接続境界部において露出したシリコン面は、すべて前記異方性エッチングによって形成されたシリコン結晶面で、前記下部クラッドと前記コアと前記上部クラッドの厚みをそれぞれ Tuc、Tcore 、Toc 、前記光ファイバの半径をRf 、シリコン(100)面と(111)面とのなす角をθs とした場合に、前記光ファイバの端面は、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の表面に対して、θ=tan−1((Rf+Toc+Tcore/2)/((Rf−Tuc−Tcore/2)*tan(π/2−θs))) 以下の角度を有することを特徴とする。
【0019】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記光導波回路の前記V溝と接続される一端部の端面が、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の表面に対して、前記θs と概ね等しい角度を有するように設定され、前記光ファイバの端面も、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の表面に対して、θs と概ね等しい角度に設定されていることを特徴とする。
【0020】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記光導波回路の前記V溝と接続される一端部の端面が、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の面方向で、かつ光ファイバの延長線と垂直に交わらないように斜めに形成されていることを特徴とする。
【0021】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1,2又は3に記載の発明において、前記光導波回路の前記V溝と接続される一端部の端面が、光導波回路の端面付近に基板面内で微小な凹部を設けるとともに、前記光導波回路の端近傍のみを斜め端面としたことを特徴とする。
【0022】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4いずれかに記載の発明において、前記光導波回路の前記V溝と接続される一端面の光導波回路の表面に、光ファイバの固定位置を示すマークを設けたことを特徴とする。
【0023】
また、請求項6に記載の発明は、(100)面を表面とするシリコン基板上に形成された、下部クラッドとコアと上部クラッドからなる光導波回路と、前記シリコン基板の異方性エッチングにより、前記光導波回路の一端部に形成されたV溝と、該V溝上に固定された光ファイバとを有する光モジュールの作製方法において、前記光導波回路の一端部と前記V溝との接続境界部において露出したシリコン面は、すべて前記異方性エッチングによって形成されたシリコン結晶面で、前記下部クラッドと前記コアと前記上部クラッドの厚みをそれぞれ Tuc、Tcore 、Toc 、前記光ファイバの半径をRf 、シリコン(100)面と(111)面とのなす角をθs とした場合に、前記光ファイバの端面は、前記光導波回路が形成されたシリコン基板表面に対して、θ=tan−1((Rf+Toc+Tcore/2)/((Rf−Tuc−Tcore/2)*tan(π/2−θs))) 以下の角度を有することを特徴とする。
【0024】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記光導波回路の前記V溝と接続される一端部の端面が、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の表面に対して、前記θs と概ね等しい角度を有するように設定され、前記光ファイバの端面も、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の表面に対して、θs と概ね等しい角度に設定される工程を有することを特徴とする。
【0025】
また、請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の発明において、前記光導波回路の前記V溝と接続される一端部の端面が、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の面方向で、かつ光ファイバの延長線と垂直に交わらないように斜めに形成される工程を有することを特徴とする。
【0026】
また、請求項9に記載の発明は、請求項6,7又は8に記載の発明において、前記光導波回路の前記V溝と接続される一端部の端面が、光導波回路の端面付近に基板面内で微小な凹部を設けるとともに、前記光導波回路の端近傍のみを斜め端面とする工程を有することを特徴とする。
【0027】
また、請求項10に記載の発明は、請求項6乃至9いずれかに記載の発明において、前記光導波回路の前記V溝と接続される一端面の光導波回路の表面に、光ファイバの固定位置を示すマークを設ける工程を有することを特徴とする。
【0028】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記光ファイバの先端部と前記マークとが、所定の位置関係を有するようにV溝中で光ファイバの位置を合わせる工程を有することを特徴とする。
【0029】
このように本発明の光導波路と光ファイバの実装構造は、光ファイバの端面の角度を大きくとり、凸側のエッジを上向きにV溝上に固定するので、光導波路の端面直下にシリコンの(111)面が露出した状態であっても光ファイバと光導波路との端面を十分近接して接続することが可能となる。
【0030】
ここで、後述するように、このような構造をとると、従来の方法では、光ファイバの光軸方向の位置合わせが困難になってしまうという問題があった。しかしながら、本発明によって光導波路上にマークを設け、これを用いてアライメントすることにより良好な位置合わせが可能となる。
【0031】
また、本発明の構造により機械加工によって矩形溝を形成する必要がなくなるので、V溝周辺に他の光回路を配置することも可能となる。
【0032】
さらに、同様に矩形溝を形成する必要がなくなったため、フォトリソグラフィー等の微細加工技術によって、光導波路の端面を垂直方向または基板面内方向に斜めに加工することができるようになり、接続部の反射も減らすことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の態様について説明する。
なお、以下の実施形態の説明では、光導波路をすべて石英系光導波路としているが、本発明はこれに限定されるものではない。また、以下の実施形態ではすべて光ファイバと光導波路の端面間には、光ファイバと概ね等しい屈折率を有する接着剤または樹脂が充填されている。これは、本発明で用いる斜めにへき開した光ファイバの端面で生じる屈折により光軸がずれて過剰損失が発生することを防止するのに極めて有効である。ただし、本発明により光ファイバと光導波路の端面間距離は、従来に比して十分小さく設定できるので、ある程度の過剰損失を許容すれば、上述したような樹脂充填は必ずしも必要とは限らない。
【0034】
[実施形態1]
図3及び図4は、本発明の光モジュールの実施形態1を説明するための概略構成図で、図3は斜視図、図4は図3のB−B’線断面図で、図中符号11は光導波路(回路)、12はシリコン基板、14は光ファイバ、15はV溝を示している。
【0035】
(100)面を表面とするシリコン基板12上に石英系光導波路11が形成されており、その一部領域が除去されて光ファイバ14の固定領域が形成されている。この光ファイバ14の固定領域には、シリコン基板12をKOHによってウエットエッチングして形成したV溝15が形成されている。ここで、図中に見られるV溝15の傾斜面は(111)面に相当する。
【0036】
本実施形態の従来例と異なる点は、光導波路11の端部にダイシング溝を形成しておらず、光導波路11の端部直下にはシリコン基板12の表面と概ね54.7°の角度を有する(111)面からなる傾斜面が存在する点と、光ファイバの端面をシリコン基板12の表面に対して同じく54.7°と大きく傾けてへき開してある点である。
【0037】
図4に見られるように、このような構造を用いると、たとえ光導波路11の端部直下に(111)面があっても、これに阻害されず、光ファイバ14と光導波路11の端面間の距離を十分近接して接続できる。
【0038】
この場合の光ファイバ14と光導波路11の端面間の距離Gは、上部クラッド層厚 Toc、コア層厚 Tcore、光ファイバ端面の基板表面に対する角度θとすると、
G=( Toc+Tcore/2)*tan(π/ 2−θ)
である。
【0039】
例えば、上部クラッド層厚10μm、コア層厚6μmとした場合には、端面間ギャップGは9.2μm、また、上部クラッド層厚20μm、コア層6μmとした場合でもG=16.3μmとなり、十分近接した接続ができることがわかる。なお、上述した光導波路のモードフィールド径を7μm、接続する光ファイバのモードフィールド径を10μmとすると、上述したギャップによる接続過剰損失は、それぞれ0.1dB、0.2dBと十分小さく抑えられる。
【0040】
図5は、コア中心から上部クラッド表面までの距離と、端面間ギャップ及び接続過剰損失の関係の一計算例を示す図である。上述した条件に対して、光導波路のモードフィールド径が5μmの場合と7μmの場合について示してある。いずれもコア中心から上部クラッド表面までの距離が概ね15μm以下であれば0.5dB以下の過剰損失に抑えられることがわかる。
【0041】
[実施形態2]
図6は、本発明の光モジュールの実施形態2を説明するための概略構成断面図である。実施形態1と異なる点は、光ファイバ14の端面の基板表面に対する角度を実施形態1よりもやや大きくした点である。
【0042】
図6より明らかなように、光ファイバ14の端面の角度は、シリコン(111)面の54.7°よりもやや大きくてもよい。すなわち、光ファイバの下側エッジがシリコン(111)面に突き当たり、光ファイバ14と光導波路11の端面間ギャップとの近接を妨げられなければよい。この角度θは、以下の式で表される。
θ≦ tan−1((Rf+Toc+Tcore/2)/((Rf−Tuc−Tcore/2)*tan(π/ 2−θs)))
【0043】
ここで、Rf はファイバの半径、Toc 、Tcore 、Tue はそれぞれ上部クラッド、コア、下部クラッドの厚みであり、θs はシリコン(111)面の基板表面からの角度であり、54.7°である。
【0044】
本実施形態では、Toc =15μm、Tcore =6μm、Tuc =15μmである。これよりθとして約68.6°以下に設定すればよいことになるので、ここでは68°に設定した。このように角度を大きくした方が、ギャップを小さく設定できる効果がある。
【0045】
[実施形態3]
図7は、本発明の光モジュールの実施形態3を説明するための概略構成断面図である。本実施形態では、光導波路11の端面をシリコン基板12の垂直方向に斜めに形成した点が特徴である。このような加工は、例えば、光ファイバ14の固定領域の光導波路層を除去する際のドライエッチング条件の調節や、シャドウマスクを用いてドライエッチング時の回り込みを利用したシャドウエッチング法などによって可能である。
【0046】
このような光導波路の端面の斜め構造を用いることにより、1)光導波路端の反射防止、2)光ファイバと光導波路の端面間距離の短縮の効果がある。2)に関しては、図7から分かる通りである。本実施形態では、特に光導波路の端面の基板表面からの角度をシリコン(111)面と同じ約54.7°に設定し、かつ光ファイバの端面も同じ角度に設定することにより、実質的に端面間ギャップをゼロにすることができている。
【0047】
以上のような構造を用いて、光ファイバや光導波路のどちらも斜め端面とすることにより、光ファイバと光導波路との接続における反射の問題を解決できる。
【0048】
このような構造が可能となったのは、本発明が従来行われていた光導波路端のダイシング溝加工を排除したことの効果である。すなわち、従来の構造では、ダイシング溝加工により光導波路の端面を削り取ってしまうために、本実施形態のような、基板垂直方向に傾斜する光導波路の端面を得ることはできなかった。
【0049】
[実施形態4]
図8は、本発明の光モジュールの実施形態4を説明するための概略構成斜視図である。実施形態1乃至3と異なる点は、光導波路11の端面付近に基板面内で微小な凹部を設け、光導波路11の端近傍のみを斜め端面11aとした点である。このような構造は、光ファイバ14の固定領域の光導波路層を除去する際のドライエッチングにおいてマスクの変更するだけで容易に可能である。なお、ここではこの光導波路端にも光ファイバとほぼ等しい屈折率を有する樹脂を充填するため、樹脂充填後に光軸がずれないように、光導波路は光ファイバの軸と等しい方向にレイアウトし、単純に端面のみを10°程度の角度で斜めにエッチングしてある。
【0050】
このような構造により、実施形態3と同様に接続部の反射を有効に抑制できる。また、エッチング条件等の変更なく、マスクのみの変更で済むため極めて実用的である。
【0051】
本実施形態のような光導波路端の面内方向の斜め加工もまた、本発明が従来行われていた光導波路端のダイシング溝加工を排除したことの効果でもある。すなわち、実施形態3で述べたのと同様に、従来の構造では、ダイシング溝加工により光導波路端面を削り取ってしまうために、本実施形態のような光導波路の端面の微細な構造を設けることはできなかった。
【0052】
[実施形態5]
図9及び図10は、本発明の光モジュールの実施形態5を説明するための概略構成図で、図9は斜視図、図10は図9のC−C’線断面図で、図中符号16はマーク、17はカメラ又は顕微鏡を示している。
【0053】
上述した各実施形態と同じ構造であるが、光導波路11上に光ファイバ14の光軸方向位置合わせ用のマーク16を設けた点が異なる。なお、ここでは金薄膜によりマークを形成してある。
【0054】
この構造を用いた光ファイバの接続方法は以下の通りである。すなわち、例えば、光ファイバ14をV溝15上に置いた状態で光導波路11の端面方向にスライドさせ、光ファイバ14の上側に設定した端面凸側のエッジと光導波路11上のマーク16とが所定の位置関係になるように、上方からのカメラ等17の観察によってアライメントすればよい。もちろん、光ファイバ14をあらかじめV溝15上におかず、上空に浮かせた状態で保持し、はじめに光軸方向のアライメントを行った後、V溝15上に搭載してもよい。
【0055】
すでに述べたように、シリコンV溝を用いた光導波路への光ファイバの接続においては、基板垂直方向および基板面内で光ファイバ横方向の位置決めは、単純に光ファイバをV溝に置くことによって容易に行うことができる。一方、光軸方向の位置合わせについては、従来、光ファイバをV溝内でスライドさせ、光導波路端に突き当てるか、または顕微鏡等によって光ファイバと光導波路との端面間距離を所定の値になるように合わせていた。このような接続方法では、光ファイバと光導波路の端面はいずれも垂直に形成してあることが好ましく、故に光導波路端のダイシング溝も有効に機能していた。
【0056】
しかしながら、このような構造は、反射防止に関しては問題を含んでいる。すなわち、反射を抑制するために光ファイバの端面を斜めにカットしてしまうと、光導波路の端面に突き当てる方法では、ある一部のエッジしか接触しないために「すべり」が生じ、光軸垂直方向、特に基板上方への光ファイバ端の位置ずれが発生し、ロスばらつきが生じてしまうことになるためである。
【0057】
また、光ファイバと光導波路の端面間距離を測定してアライメントを行う場合には、本発明のように光ファイバの端面の凸部を基板上方に設定すると、光ファイバのエッジにより、光導波路の端面が隠れてしまうため、位置合わせができない問題があった。
【0058】
本実施例のようなマークを光導波路上に設けることにより、上述した従来の問題が解決できた。
【0059】
[実施形態6]
図11は、本発明の光モジュールの実施形態6を説明するための概略構成図で、図中符号21は光導波路、22はシリコン基板、23はLD、24はMPD、25はPD、26は光ファイバ、27は誘電体多層膜フィルタを示している。
【0060】
シリコン基板22上に形成した石英系光導波路21の一部導波路領域を除去し、LD23およびモニタ用PD(MPD)24の搭載部、受信用PD25の搭載部、光ファイバ26の固定領域を設けてある。また、光ファイバ26に接続された入出力光導波路は、光モジュールの中間部の溝に挿入された誘電体多層膜フィルタ27を介して、一部は反射してLD2に接続され、一部は透過して受信用PD25に接続されている。
【0061】
本実施形態の構成により、光ファイバ26より入力された1.55μm信号光は、誘電体多層膜フィルタ27を透過して受信PD25で受信される。一方、LD23より送出される1.3μm送信信号光は、誘電体多層膜フィルタ27で反射して光ファイバ26に出力される。
【0062】
このようなアクセス系で用いられる光モジュールは、機能及び性能とともに極限的なコストの低減が必須の課題となっている。従来、このような光モジュールの製造において大きなウエイトを占めていたのは、1)光導波路自身のコスト、2)光ファイバの接続部材と接続工程に関わるコスト、の2つである。したがって、光導波路自体をいかに小さくして1枚のウエハからの取り数を多くするかということと、光ファイバの接続部材を減らし、かつ接続に関わる工程を簡易化するか、ということを両立する必要がある。
【0063】
本実施形態は、本発明を用いて上述した課題を解決したものである。すなわち、本実施形態では、V溝からなる光ファイバの固定領域を、LD搭載部に隣接したスペースに配置することにより、光導波路の面積の増大なく、光ファイバの接続部を設けることに成功している。また、これにより光ファイバの接続部材も減り、調芯もパッシブアライメントになることで大幅に簡易化されている。
【0064】
従来の光導波路端に矩形溝加工を行うV溝の構造では、矩形溝のダイシング加工時に隣接するLD搭載部または光導波路をも切断してしまうために、上述したような光回路のレイアウトをとることはできない。このような構造が可能となったのは、本発明が、従来の矩形溝を用いずとも、良好な接続を達成できることの大きな効果である。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、本発明の光導波回路と光ファイバの実装構造は、光ファイバの端面の角度を大きくとり、凸側のエッジを上向きにV溝上に固定するので、従来の光導波路の端面ダイシング溝加工を行わず、光導波路の端面直下にシリコンの(111)面が露出した状態であっても、光ファイバと光導波路との端面を十分近接させた良好な接続を行うことが可能となる。
【0066】
また、本発明によって光導波路上にマークを設け、これを用いて光ファイバの光軸方向のアライメントを行うことにより、上述したような大きな角度の斜め端面を有する光ファイバでも良好な位置合わせが可能である。これによって光ファイバの端面の反射防止が可能となる。
【0067】
さらに、本発明の構造により機械加工によって矩形溝を形成する必要がなくなるので、V溝周辺に他の光回路を配置することが可能となる。
【0068】
また、同様に矩形溝を形成する必要がなくなったため、ドライエッチング等の微細加工技術によって、光導波路の端面を垂直方向または基板面内方向に斜めに微細な加工をすることができるようになり、光導波路の端面の反射も減らすことができる。
【0069】
以上のように、本発明により、他の回路のレイアウトを阻害することなく光回路中にレイアウトでき、かつ容易に接続部の反射を抑制できる極めて簡便な光ファイバの実装構造および実装方法を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のV溝を用いた光導波路と光ファイバとの実装構造を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A’線断面図である。
【図3】本発明の光モジュールの実施形態1を説明するための概略構成斜視図である。
【図4】図3のB−B’線断面図である。
【図5】コア中心から上部クラッド表面までの距離と、端面間ギャップ及び接続過剰損失の関係の一計算例を示す図である。
【図6】本発明の光モジュールの実施形態2を説明するための概略構成断面図である。
【図7】本発明の光モジュールの実施形態3を説明するための概略構成断面図である。
【図8】本発明の光モジュールの実施形態4を説明するための概略構成斜視図である。
【図9】本発明の光モジュールの実施形態5を説明するための概略構成斜視図である。
【図10】図9のC−C’線断面図である。
【図11】本発明の光モジュールの実施形態6を説明するための概略構成図である。
【符号の説明】
1 光導波路
2 シリコン基板
3 ダイシング溝
4 光ファイバ
5 V溝
11 光導波路
11a 斜め端面
12 シリコン基板
14 光ファイバ
15 V溝
16 マーク
17 カメラ又は顕微鏡
21 光導波路
22 シリコン基板
23 LD
24 MPD
25 PD
26 光ファイバ
27 誘電体多層膜フィルタ
Claims (11)
- (100)面を表面とするシリコン基板上に形成された、下部クラッドとコアと上部クラッドからなる光導波回路と、前記シリコン基板の異方性エッチングにより、前記光導波回路の一端部に形成されたV溝と、該V溝上に固定された光ファイバとを有する光モジュールにおいて、
前記光導波回路の一端部と前記V溝との接続境界部において露出したシリコン面は、すべて前記異方性エッチングによって形成されたシリコン結晶面で、
前記下部クラッドと前記コアと前記上部クラッドの厚みをそれぞれ Tuc、Tcore 、Toc 、前記光ファイバの半径をRf 、シリコン(100)面と(111)面とのなす角をθs とした場合に、前記光ファイバの端面は、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の表面に対して、
θ=tan−1((Rf+Toc+Tcore/2)/((Rf−Tuc−Tcore/2)*tan(π/2−θs)))
以下の角度を有することを特徴とする光モジュール。 - 前記光導波回路の前記V溝と接続される一端部の端面が、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の表面に対して、前記θs と概ね等しい角度を有するように設定され、前記光ファイバの端面も、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の表面に対して、θs と概ね等しい角度に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
- 前記光導波回路の前記V溝と接続される一端部の端面が、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の面方向で、かつ光ファイバの延長線と垂直に交わらないように斜めに形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光モジュール。
- 前記光導波回路の前記V溝と接続される一端部の端面が、光導波回路の端面付近に基板面内で微小な凹部を設けるとともに、前記光導波回路の端近傍のみを斜め端面としたことを特徴とする請求項1,2又は3に記載の光モジュール。
- 前記光導波回路の前記V溝と接続される一端面の光導波回路の表面に、光ファイバの固定位置を示すマークを設けたことを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の光モジュール。
- (100)面を表面とするシリコン基板上に形成された、下部クラッドとコアと上部クラッドからなる光導波回路と、前記シリコン基板の異方性エッチングにより、前記光導波回路の一端部に形成されたV溝と、該V溝上に固定された光ファイバとを有する光モジュールの作製方法において、
前記光導波回路の一端部と前記V溝との接続境界部において露出したシリコン面は、すべて前記異方性エッチングによって形成されたシリコン結晶面で、
前記下部クラッドと前記コアと前記上部クラッドの厚みをそれぞれ Tuc、Tcore 、Toc 、前記光ファイバの半径をRf 、シリコン(100)面と(111)面とのなす角をθs とした場合に、前記光ファイバの端面は、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の表面に対して、
θ=tan−1((Rf+Toc+Tcore/2)/((Rf−Tuc−Tcore/2)*tan(π/2−θs)))
以下の角度を有することを特徴とする光モジュールの作製方法。 - 前記光導波回路の前記V溝と接続される一端部の端面が、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の表面に対して、前記θs と概ね等しい角度を有するように設定され、前記光ファイバの端面も、前記光導波回路が形成されたシリコン基板表面に対して、θs と概ね等しい角度に設定される工程を有することを特徴とする請求項6に記載の光モジュールの作製方法。
- 前記光導波回路の前記V溝と接続される一端部の端面が、前記光導波回路が形成されたシリコン基板の面方向で、かつ光ファイバの延長線と垂直に交わらないように斜めに形成される工程を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の光モジュールの作製方法。
- 前記光導波回路の前記V溝と接続される一端部の端面が、光導波回路の端面付近に基板面内で微小な凹部を設けるとともに、前記光導波回路の端近傍のみを斜め端面とする工程を有することを特徴とする請求項6,7又は8に記載の光モジュールの作製方法。
- 前記光導波回路の前記V溝と接続される一端面の光導波回路表面に光ファイバの固定位置を示すマークを設ける工程を有することを特徴とする請求項6乃至9いずれかに記載の光モジュールの作製方法。
- 前記光ファイバの先端部と前記マークとが、所定の位置関係を有するようにV溝中で光ファイバの位置を合わせる工程を有することを特徴とする請求項10に記載の光モジュールの作製方法。
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- 2002-10-30 JP JP2002316711A patent/JP2004151391A/ja active Pending
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