JP2004149472A - 亜リン酸エステル類の結晶、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】流動性が良好な下記亜リン酸エステル類結晶を提供する。
【解決手段】レーザー回折式粒度測定器で測定した体積基準の粒径分布のメディアン径が40μm以上である亜リン酸エステル類(I)の結晶。
【化1】
[式中、R1〜R5は水素、炭素数1〜8のアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル、フェニル、R3は水素、炭素数1〜8のアルキル、Xは単結合、硫黄、−CHR6−(R6は水素等)、Aは炭素数2〜8のアルキレン、−COR7−(R7は単結合等)等を表す。Y、Zは一方がヒドロキシル、炭素数1〜8のアルコキシ、炭素数7〜12のアラルキルオキシ、他方が水素又は炭素数1〜8のアルキルを表す。]
【選択図】 なし
【解決手段】レーザー回折式粒度測定器で測定した体積基準の粒径分布のメディアン径が40μm以上である亜リン酸エステル類(I)の結晶。
【化1】
[式中、R1〜R5は水素、炭素数1〜8のアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル、フェニル、R3は水素、炭素数1〜8のアルキル、Xは単結合、硫黄、−CHR6−(R6は水素等)、Aは炭素数2〜8のアルキレン、−COR7−(R7は単結合等)等を表す。Y、Zは一方がヒドロキシル、炭素数1〜8のアルコキシ、炭素数7〜12のアラルキルオキシ、他方が水素又は炭素数1〜8のアルキルを表す。]
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機材料(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、天然又は合成ゴム等)のの加工時や使用時における熱、光又は酸素による劣化を防止する安定剤として有用な亜リン酸エステル類の結晶、及び該亜リン酸エステル類結晶の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
下式(I)
【0003】
【化2】
【0004】
[式中、R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基(R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す)を表す。Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−COR7−基(R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は酸素側に結合していることを示す)を表す。Y及びZはいずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。但し、上記2個のR1は同一でも、異なっていてもよい。又、上記2個のR2は同一でも、異なっていてもよい。更に、上記2個のR3は同一でも、異なっていてもよい。]
【0005】
で示される亜リン酸エステル類は、従来、反応液を濃縮し、濃縮により得た残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、結晶として得ていた(特許文献1参照)。又、工業的な回分式の冷却晶析法としては、例えば、1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンを含むn−ヘキサン溶液を、攪拌しながら−30℃に冷却して晶析する方法が公知である(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−273493号公報(段落番号0151)
【0007】
【特許文献2】
特開2000−286091号公報(実施例6)
【0008】
しかしながら、特許文献1のようにカラムクロマトグラフィーで精製して結晶を得る方法は、処理能力が低くて工業的には不向きであった。
一方、特許文献2のように有機化合物のn−ヘキサン溶液を攪拌下に単純に冷却して晶析する方法では、生じた結晶が攪拌により微細なものになってしまう。従って、この単純冷却晶析方法を亜リン酸エステル類(I)に適用して得たスラリーを濾過しても、濾上物であるケーキ中の含液率が増大し、この湿潤ケーキを乾燥して得られる亜リン酸エステル類は、その純度が低下する傾向があった。又、冷却晶析時に晶析釜の冷却伝熱面にスケーリングが発生する結果、総括伝熱係数が小さくなってしまい、亜リン酸エステル類の得量が低下するか、得量が低下しないまでも晶析終了迄に要する時間が著しく遅延するという傾向があった。更に、得られた亜リン酸エステル類結晶の粒径が小さくなる傾向があり、その結果、乾燥後の亜リン酸エステル類の流動性が低下する傾向があり、ホッパーを通じて袋詰する際にホッパー内を閉塞する場合もあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、流動性が良好であり、取り扱いが容易な亜リン酸エステル類(I)の結晶を提供することである。
又、本発明の別の目的は、上記亜リン酸エステル類(I)の結晶を効率良く製造する方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、体積基準の粒径分布でメディアン径が40μm以上の亜リン酸エステル類結晶が良好な流動性を有することを見出し、更に、亜リン酸エステル類を含む有機溶媒溶液を回分式で冷却晶析する際に次の三つの工程を含み、且つ各工程における液温が次の式を満足すると、亜リン酸エステル類を効率良く製造できることを見出して、本発明を完成した。
【0011】
即ち、本発明は、
(イ)レーザー回折式粒度測定器で測定した体積基準の粒径分布でメディアン径が40μm以上であることを特徴とする上式(I)で示される亜リン酸エステル類の結晶、並びに(ロ)上記(イ)に記載の亜リン酸エステル類の有機溶媒溶液を回分式で冷却晶析後、得られた結晶を分離する方法であって、前記有機溶媒溶液を冷却して亜リン酸エステル類(I)の一部を析出させる第一工程と、第一工程で析出させた亜リン酸エステル類(I)が溶解する温度未満まで加熱する第二工程と、第二工程で得た液を冷却して亜リン酸エステル類(I)を析出させる第三工程とを含み、且つ次のT1、T2及びT3の関係が下式(II)を満足することを特徴とする上式(I)で示される亜リン酸エステル類結晶の製造方法を提供するものである。
【0012】
T3<T1<T2 (II)
[式中、T1は第一工程における液温の最低値(℃)を表し、T2は第二工程における液温の最高値(℃)を表し、T3は第三工程における液温の最低値(℃)を表す。]
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
亜リン酸エステル類(I)において、R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。
R1、R2、R4及びR5で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、i−オクチル、t−オクチル、2−エチルへキシル等が挙げられる。R1、R2、R4及びR5で表される炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。R1、R2、R4及びR5で表される炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基としては、1−メチルシクロペンチル、1−メチルシクロへキシル、1−メチル−4−i−プロピルシクロへキシル等が挙げられる。R1、R2、R4及びR5で表される炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル、α−メチルベンジル、α、α−ジメチルベンジル等が挙げられる。
【0014】
亜リン酸エステル類(I)において、R3で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、i−オクチル、t−オクチル、2−エチルへキシル等が挙げられる。
又、−CHR6基におけるR6で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、i−オクチル、t−オクチル、2−エチルへキシル等が挙げられる。同じく、R6で表される炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。
亜リン酸エステル類(I)において、Aで表される炭素数2〜8のアルキレン基としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、1−メチルエチレン、ジメチルメチレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン等が挙げられる。又、*−COR7−基におけるR7で表される炭素数1〜8のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレンが挙げられる。更に、Y及びZで表される炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、t−ペンチルオキシ、i−オクチルオキシ、t−オクチルオキシ等が挙げられる。Y及びZで表される炭素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ、α−メチルベンジルオキシ、α、α−ジメチルベンジルオキシ等が挙げられる。
【0015】
本発明(イ)の亜リン酸エステル類(I)の結晶は、レーザー回折式粒度測定機で測定した体積基準の粒径分布でメディアン径が40μm以上であるが、メディアン径が60μm以上であることがより好ましい。
体積基準の粒径分布のメディアン径は、例えば、英国S/Malvern instruments社製のMASTERSIZER S(type MAM5005)を用いて測定することができる。この装置は、粒径が既知の球形単分散粒子(ラテックス粒子)を用いて予め検量してあり、試料粒子にレーザー光を照射して、その大きさを散乱光強度や回折像をとらえることによって、粒子の径を求めるものである。
【0016】
本発明の(ロ)は、上記(イ)に記載の亜リン酸エステル類の有機溶媒溶液を回分式で冷却晶析後、得られた結晶を分離する方法である。
本発明の(ロ)は、前記有機溶媒溶液を冷却して亜リン酸エステル類(I)の一部を析出させる第一工程と、第一工程で析出させた亜リン酸エステル類(I)が溶解する温度未満まで加熱する第二工程と、第二工程で得た液を冷却して亜リン酸エステル類(I)を析出させる第三工程とを含む。
又、本発明の(ロ)は、次のT1、T2及びT3の関係が下式(II)を満足するものである。
【0017】
T3<T1<T2 (II)
ここで、T1は第一工程における液温の最低値(℃)を表し、T2は第二工程における液温の最高値(℃)を表し、T3は第三工程における液温の最低値(℃)を表す。
【0018】
本発明の(ロ)における有機溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン若しくはn−デカン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、トルエン、キシレン若しくはエチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン若しくは1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、2−プロパノール若しくはn−ブタノール等のアルコール類、又はアセトン若しくはメチルイソブチルケトン等のケトン類が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用してもよいし、2種以上の混合溶媒として使用してもよい。冷却晶析する際の亜リン酸エステル類(I)の溶液濃度は、好ましくは10〜60重量%であり、より好ましくは20〜55重量%である。
【0019】
本発明(ロ)の第一工程において、上記亜リン酸エステル類(I)の溶液は、亜リン酸エステル類(I)が結晶として析出する温度(飽和温度)以下に冷却し、結晶の一部を析出させる。このときの温度がT1である。温度T1における亜リン酸エステル類(I)の析出率は、溶液中の亜リン酸エステル類(I)の全量を100重量部としたとき、5〜60重量部の範囲であることが好ましく、10〜40重量部の範囲であることがより好ましい。上記温度T1は、亜リン酸エステル類(I)の溶液濃度により異なるが、通常は飽和温度以下であり、好ましくは20〜50℃の範囲である。
第一工程における冷却操作においては、亜リン酸エステル類(I)の種晶を添加してもよいし、添加しなくてもよい。
第一工程では、温度T1以下で0.5〜3時間保冷することが好ましい。
【0020】
本発明(ロ)の第二工程においては、第一工程において析出した亜リン酸エステル類(I)の結晶の一部が溶解するまでスラリーを加熱する。スラリーの加熱は亜リン酸エステル類(I)の飽和溶液が形成される温度未満である。このときの温度がT2である。温度T2では、第一工程における溶液中の亜リン酸エステル類(I)の全量を100重量部としたとき、スラリー中に残存する結晶が5〜40重量部の範囲であることが好ましく、10〜35重量部の範囲であることがより好ましい。
第二工程では、温度T2未満で0.5〜3時間保温することが好ましい。
【0021】
本発明(ロ)の第三工程においては、第二工程において残存する亜リン酸エステル類(I)の結晶を含んだスラリーを冷却して晶析する。この際の冷却速度は、毎時20℃以下の速度であることが好ましく、毎時15℃以下の速度であることがより好ましく、毎時10℃以下の速度であることが特に好ましい。
冷却速度が毎時20℃を超えると、亜リン酸エステル類(I)の結晶が微細になり、流動性が低下する傾向がある。
第三工程では、温度T3で3〜20時間保持することが好ましい。
本発明(ロ)の製造方法においては、有機溶媒溶液中における亜リン酸エステル類(I)の濃度が10〜60重量%であり、T1が50℃以下であり、T2が亜リン酸エステル類(I)の溶解度が飽和する温度よりも低い温度であることが好ましい。
【0022】
冷却晶析後、得られた亜リン酸エステル類(I)の結晶は、例えば加圧濾過等の通常の分離手段で分離され、その後、適当な乾燥機を用いて乾燥される。乾燥機としては、亜リン酸エステル類(I)の結晶を静置した状態で乾燥する形式のものが好ましい。
【0023】
【実施例】
次に、実施例等を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例により、限定されるものではない。
【0024】
参考例1
温度計、攪拌機及びコンデンサを備えた反応器中に、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルビフェニル−2,2’−ジオール溶液(30重量%キシレン溶液)の5813重量部を仕込み、次いで、三塩化リン611重量部を50〜65℃で加えた。次に、ジイソプロピルエチルアミン1789重量部を4時間かけて注加し、その後、50〜65℃で1時間保温した。次に、3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパノール916重量部を、60〜80℃で2時間かけて滴下した。滴下終了後、しばらく保温して、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(以下、単に「ジオキサホスフェピン」という)含む反応液を得た。この反応液を、水酸化ナトリウム水溶液(3.5重量%)1547重量部で洗浄した。その後、更に水1547重量部で洗浄した。次いで、有機層を、減圧及び加熱条件下に蒸留し、水及びキシレンを留去した。留去後の残液にn−ヘプタン1960重量部を加え、ジオキサホスフェピン、キシレン及びn−ヘプタンの重量比が125:7.5:100である温かい液を得た。
【0025】
実施例1
参考例1で得たジオキサホスフェピン、キシレン及びn−ヘプタンからなる温かい液の392重量部を、攪拌機付の晶析釜に仕込み、攪拌下に30℃まで冷却した。次いで、種晶としてジオキサホスフェピン結晶を1.4重量部加えて、2時間保冷した(以上、第一工程)。
保冷終了後のジオキサホスフェピン結晶の析出率は、上記の仕込み液中のジオキサホスフェピン100重量部あたり、9.1重量部であった。次いで、このスラリーを1時間かけて60℃まで加熱して、60℃で2時間保温した(以上、第二工程)。
保温終了後の結晶の析出率は、前記の仕込み液中のジオキサホスフェピン100重量部あたり、32.6重量部であった。このスラリーを、5時間かけて0℃まで冷却し、0℃で14時間保持した(以上、第三工程)。
得られたスラリーを、加圧濾過器で濾過した(分離工程)。更に静置条件で乾燥機により濾上物を乾燥して白色結晶のジオキサホスフェピンを得た。
加圧濾過の際に、結晶の濾過比抵抗を測定したところ、2.9×1010m/kgであった。又、濾過性も良好であった。
濾過後の結晶における体積基準の粒径分布でメディアン径をレーザー回折式粒度分布測定機(英国S/Malvern instruments社製のMASTERSIZER)で測定したところ、約60μmであった。又、顕微鏡写真からも粒度の揃った結晶が得られたことが分かった。
【0026】
比較例1
参考例1で得たジオキサホスフェピン、キシレン及びn−ヘプタンからなる温かい液の299重量部を、攪拌機付の晶析釜に仕込んだ。攪拌下に、60℃で種晶としてジオキサホスフェピン結晶の0.9重量部を加えた。その後、10時間かけて60℃から0℃まで冷却した。更に0℃で14時間保持した後、加圧濾過器で濾過した。更に静置条件で乾燥機により濾上物を乾燥して白色結晶のジオキサホスフェピンを得た。
加圧濾過の際に、結晶の濾過比抵抗を測定したところ、1.8×1011m/kg〜3.6×1011m/kgであり、濾過性は実施例1で得た結晶と比較して約10倍悪かった。
濾過後の結晶における体積基準の粒径分布でメディアン径をレーザー回折式粒度分布測定機(英国S/Malvern instruments社製のMASTERSIZER)で測定したところ、約25μmであった。又、顕微鏡写真からも微細結晶を多く含む結晶であることが分かった。
【0027】
【発明の効果】
本発明(イ)の亜リン酸エステル類(I)の結晶は、流動性が良好であり、取り扱いが容易である。
又、本発明の(ロ)によれば、濾過性の良好な亜リン酸エステル類(I)の結晶が効率よく得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機材料(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、天然又は合成ゴム等)のの加工時や使用時における熱、光又は酸素による劣化を防止する安定剤として有用な亜リン酸エステル類の結晶、及び該亜リン酸エステル類結晶の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
下式(I)
【0003】
【化2】
【0004】
[式中、R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基(R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す)を表す。Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−COR7−基(R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は酸素側に結合していることを示す)を表す。Y及びZはいずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。但し、上記2個のR1は同一でも、異なっていてもよい。又、上記2個のR2は同一でも、異なっていてもよい。更に、上記2個のR3は同一でも、異なっていてもよい。]
【0005】
で示される亜リン酸エステル類は、従来、反応液を濃縮し、濃縮により得た残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、結晶として得ていた(特許文献1参照)。又、工業的な回分式の冷却晶析法としては、例えば、1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンを含むn−ヘキサン溶液を、攪拌しながら−30℃に冷却して晶析する方法が公知である(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−273493号公報(段落番号0151)
【0007】
【特許文献2】
特開2000−286091号公報(実施例6)
【0008】
しかしながら、特許文献1のようにカラムクロマトグラフィーで精製して結晶を得る方法は、処理能力が低くて工業的には不向きであった。
一方、特許文献2のように有機化合物のn−ヘキサン溶液を攪拌下に単純に冷却して晶析する方法では、生じた結晶が攪拌により微細なものになってしまう。従って、この単純冷却晶析方法を亜リン酸エステル類(I)に適用して得たスラリーを濾過しても、濾上物であるケーキ中の含液率が増大し、この湿潤ケーキを乾燥して得られる亜リン酸エステル類は、その純度が低下する傾向があった。又、冷却晶析時に晶析釜の冷却伝熱面にスケーリングが発生する結果、総括伝熱係数が小さくなってしまい、亜リン酸エステル類の得量が低下するか、得量が低下しないまでも晶析終了迄に要する時間が著しく遅延するという傾向があった。更に、得られた亜リン酸エステル類結晶の粒径が小さくなる傾向があり、その結果、乾燥後の亜リン酸エステル類の流動性が低下する傾向があり、ホッパーを通じて袋詰する際にホッパー内を閉塞する場合もあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、流動性が良好であり、取り扱いが容易な亜リン酸エステル類(I)の結晶を提供することである。
又、本発明の別の目的は、上記亜リン酸エステル類(I)の結晶を効率良く製造する方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、体積基準の粒径分布でメディアン径が40μm以上の亜リン酸エステル類結晶が良好な流動性を有することを見出し、更に、亜リン酸エステル類を含む有機溶媒溶液を回分式で冷却晶析する際に次の三つの工程を含み、且つ各工程における液温が次の式を満足すると、亜リン酸エステル類を効率良く製造できることを見出して、本発明を完成した。
【0011】
即ち、本発明は、
(イ)レーザー回折式粒度測定器で測定した体積基準の粒径分布でメディアン径が40μm以上であることを特徴とする上式(I)で示される亜リン酸エステル類の結晶、並びに(ロ)上記(イ)に記載の亜リン酸エステル類の有機溶媒溶液を回分式で冷却晶析後、得られた結晶を分離する方法であって、前記有機溶媒溶液を冷却して亜リン酸エステル類(I)の一部を析出させる第一工程と、第一工程で析出させた亜リン酸エステル類(I)が溶解する温度未満まで加熱する第二工程と、第二工程で得た液を冷却して亜リン酸エステル類(I)を析出させる第三工程とを含み、且つ次のT1、T2及びT3の関係が下式(II)を満足することを特徴とする上式(I)で示される亜リン酸エステル類結晶の製造方法を提供するものである。
【0012】
T3<T1<T2 (II)
[式中、T1は第一工程における液温の最低値(℃)を表し、T2は第二工程における液温の最高値(℃)を表し、T3は第三工程における液温の最低値(℃)を表す。]
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
亜リン酸エステル類(I)において、R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。
R1、R2、R4及びR5で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、i−オクチル、t−オクチル、2−エチルへキシル等が挙げられる。R1、R2、R4及びR5で表される炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。R1、R2、R4及びR5で表される炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基としては、1−メチルシクロペンチル、1−メチルシクロへキシル、1−メチル−4−i−プロピルシクロへキシル等が挙げられる。R1、R2、R4及びR5で表される炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル、α−メチルベンジル、α、α−ジメチルベンジル等が挙げられる。
【0014】
亜リン酸エステル類(I)において、R3で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、i−オクチル、t−オクチル、2−エチルへキシル等が挙げられる。
又、−CHR6基におけるR6で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、i−オクチル、t−オクチル、2−エチルへキシル等が挙げられる。同じく、R6で表される炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。
亜リン酸エステル類(I)において、Aで表される炭素数2〜8のアルキレン基としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、1−メチルエチレン、ジメチルメチレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン等が挙げられる。又、*−COR7−基におけるR7で表される炭素数1〜8のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレンが挙げられる。更に、Y及びZで表される炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、t−ペンチルオキシ、i−オクチルオキシ、t−オクチルオキシ等が挙げられる。Y及びZで表される炭素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ、α−メチルベンジルオキシ、α、α−ジメチルベンジルオキシ等が挙げられる。
【0015】
本発明(イ)の亜リン酸エステル類(I)の結晶は、レーザー回折式粒度測定機で測定した体積基準の粒径分布でメディアン径が40μm以上であるが、メディアン径が60μm以上であることがより好ましい。
体積基準の粒径分布のメディアン径は、例えば、英国S/Malvern instruments社製のMASTERSIZER S(type MAM5005)を用いて測定することができる。この装置は、粒径が既知の球形単分散粒子(ラテックス粒子)を用いて予め検量してあり、試料粒子にレーザー光を照射して、その大きさを散乱光強度や回折像をとらえることによって、粒子の径を求めるものである。
【0016】
本発明の(ロ)は、上記(イ)に記載の亜リン酸エステル類の有機溶媒溶液を回分式で冷却晶析後、得られた結晶を分離する方法である。
本発明の(ロ)は、前記有機溶媒溶液を冷却して亜リン酸エステル類(I)の一部を析出させる第一工程と、第一工程で析出させた亜リン酸エステル類(I)が溶解する温度未満まで加熱する第二工程と、第二工程で得た液を冷却して亜リン酸エステル類(I)を析出させる第三工程とを含む。
又、本発明の(ロ)は、次のT1、T2及びT3の関係が下式(II)を満足するものである。
【0017】
T3<T1<T2 (II)
ここで、T1は第一工程における液温の最低値(℃)を表し、T2は第二工程における液温の最高値(℃)を表し、T3は第三工程における液温の最低値(℃)を表す。
【0018】
本発明の(ロ)における有機溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン若しくはn−デカン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、トルエン、キシレン若しくはエチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン若しくは1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、2−プロパノール若しくはn−ブタノール等のアルコール類、又はアセトン若しくはメチルイソブチルケトン等のケトン類が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用してもよいし、2種以上の混合溶媒として使用してもよい。冷却晶析する際の亜リン酸エステル類(I)の溶液濃度は、好ましくは10〜60重量%であり、より好ましくは20〜55重量%である。
【0019】
本発明(ロ)の第一工程において、上記亜リン酸エステル類(I)の溶液は、亜リン酸エステル類(I)が結晶として析出する温度(飽和温度)以下に冷却し、結晶の一部を析出させる。このときの温度がT1である。温度T1における亜リン酸エステル類(I)の析出率は、溶液中の亜リン酸エステル類(I)の全量を100重量部としたとき、5〜60重量部の範囲であることが好ましく、10〜40重量部の範囲であることがより好ましい。上記温度T1は、亜リン酸エステル類(I)の溶液濃度により異なるが、通常は飽和温度以下であり、好ましくは20〜50℃の範囲である。
第一工程における冷却操作においては、亜リン酸エステル類(I)の種晶を添加してもよいし、添加しなくてもよい。
第一工程では、温度T1以下で0.5〜3時間保冷することが好ましい。
【0020】
本発明(ロ)の第二工程においては、第一工程において析出した亜リン酸エステル類(I)の結晶の一部が溶解するまでスラリーを加熱する。スラリーの加熱は亜リン酸エステル類(I)の飽和溶液が形成される温度未満である。このときの温度がT2である。温度T2では、第一工程における溶液中の亜リン酸エステル類(I)の全量を100重量部としたとき、スラリー中に残存する結晶が5〜40重量部の範囲であることが好ましく、10〜35重量部の範囲であることがより好ましい。
第二工程では、温度T2未満で0.5〜3時間保温することが好ましい。
【0021】
本発明(ロ)の第三工程においては、第二工程において残存する亜リン酸エステル類(I)の結晶を含んだスラリーを冷却して晶析する。この際の冷却速度は、毎時20℃以下の速度であることが好ましく、毎時15℃以下の速度であることがより好ましく、毎時10℃以下の速度であることが特に好ましい。
冷却速度が毎時20℃を超えると、亜リン酸エステル類(I)の結晶が微細になり、流動性が低下する傾向がある。
第三工程では、温度T3で3〜20時間保持することが好ましい。
本発明(ロ)の製造方法においては、有機溶媒溶液中における亜リン酸エステル類(I)の濃度が10〜60重量%であり、T1が50℃以下であり、T2が亜リン酸エステル類(I)の溶解度が飽和する温度よりも低い温度であることが好ましい。
【0022】
冷却晶析後、得られた亜リン酸エステル類(I)の結晶は、例えば加圧濾過等の通常の分離手段で分離され、その後、適当な乾燥機を用いて乾燥される。乾燥機としては、亜リン酸エステル類(I)の結晶を静置した状態で乾燥する形式のものが好ましい。
【0023】
【実施例】
次に、実施例等を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例により、限定されるものではない。
【0024】
参考例1
温度計、攪拌機及びコンデンサを備えた反応器中に、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルビフェニル−2,2’−ジオール溶液(30重量%キシレン溶液)の5813重量部を仕込み、次いで、三塩化リン611重量部を50〜65℃で加えた。次に、ジイソプロピルエチルアミン1789重量部を4時間かけて注加し、その後、50〜65℃で1時間保温した。次に、3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパノール916重量部を、60〜80℃で2時間かけて滴下した。滴下終了後、しばらく保温して、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(以下、単に「ジオキサホスフェピン」という)含む反応液を得た。この反応液を、水酸化ナトリウム水溶液(3.5重量%)1547重量部で洗浄した。その後、更に水1547重量部で洗浄した。次いで、有機層を、減圧及び加熱条件下に蒸留し、水及びキシレンを留去した。留去後の残液にn−ヘプタン1960重量部を加え、ジオキサホスフェピン、キシレン及びn−ヘプタンの重量比が125:7.5:100である温かい液を得た。
【0025】
実施例1
参考例1で得たジオキサホスフェピン、キシレン及びn−ヘプタンからなる温かい液の392重量部を、攪拌機付の晶析釜に仕込み、攪拌下に30℃まで冷却した。次いで、種晶としてジオキサホスフェピン結晶を1.4重量部加えて、2時間保冷した(以上、第一工程)。
保冷終了後のジオキサホスフェピン結晶の析出率は、上記の仕込み液中のジオキサホスフェピン100重量部あたり、9.1重量部であった。次いで、このスラリーを1時間かけて60℃まで加熱して、60℃で2時間保温した(以上、第二工程)。
保温終了後の結晶の析出率は、前記の仕込み液中のジオキサホスフェピン100重量部あたり、32.6重量部であった。このスラリーを、5時間かけて0℃まで冷却し、0℃で14時間保持した(以上、第三工程)。
得られたスラリーを、加圧濾過器で濾過した(分離工程)。更に静置条件で乾燥機により濾上物を乾燥して白色結晶のジオキサホスフェピンを得た。
加圧濾過の際に、結晶の濾過比抵抗を測定したところ、2.9×1010m/kgであった。又、濾過性も良好であった。
濾過後の結晶における体積基準の粒径分布でメディアン径をレーザー回折式粒度分布測定機(英国S/Malvern instruments社製のMASTERSIZER)で測定したところ、約60μmであった。又、顕微鏡写真からも粒度の揃った結晶が得られたことが分かった。
【0026】
比較例1
参考例1で得たジオキサホスフェピン、キシレン及びn−ヘプタンからなる温かい液の299重量部を、攪拌機付の晶析釜に仕込んだ。攪拌下に、60℃で種晶としてジオキサホスフェピン結晶の0.9重量部を加えた。その後、10時間かけて60℃から0℃まで冷却した。更に0℃で14時間保持した後、加圧濾過器で濾過した。更に静置条件で乾燥機により濾上物を乾燥して白色結晶のジオキサホスフェピンを得た。
加圧濾過の際に、結晶の濾過比抵抗を測定したところ、1.8×1011m/kg〜3.6×1011m/kgであり、濾過性は実施例1で得た結晶と比較して約10倍悪かった。
濾過後の結晶における体積基準の粒径分布でメディアン径をレーザー回折式粒度分布測定機(英国S/Malvern instruments社製のMASTERSIZER)で測定したところ、約25μmであった。又、顕微鏡写真からも微細結晶を多く含む結晶であることが分かった。
【0027】
【発明の効果】
本発明(イ)の亜リン酸エステル類(I)の結晶は、流動性が良好であり、取り扱いが容易である。
又、本発明の(ロ)によれば、濾過性の良好な亜リン酸エステル類(I)の結晶が効率よく得られる。
Claims (5)
- レーザー回折式粒度測定器で測定した体積基準の粒径分布のメディアン径が40μm以上であることを特徴とする下式(I)で示される亜リン酸エステル類の結晶。
- 請求項1に記載の亜リン酸エステル類の有機溶媒溶液を回分式で冷却晶析後、得られた結晶を分離する方法であって、前記有機溶媒溶液を冷却して亜リン酸エステル類(I)の一部を析出させる第一工程と、第一工程で析出させた亜リン酸エステル類(I)が溶解する温度未満まで加熱する第二工程と、第二工程で得た液を冷却して亜リン酸エステル類(I)を析出させる第三工程とを含み、且つ次のT1、T2及びT3の関係が下式(II)を満足することを特徴とする式(I)で示される亜リン酸エステル類結晶の製造方法。
T3<T1<T2 (II)
[式中、T1は第一工程における液温の最低値(℃)を表し、T2は第二工程における液温の最高値(℃)を表し、T3は第三工程における液温の最低値(℃)を表す。] - 有機溶媒溶液中における亜リン酸エステル類(I)の濃度が10〜60重量%であり、T1が50℃以下であり、T2が亜リン酸エステル類(I)の溶解度が飽和する温度よりも低い温度である請求項2に記載の製造方法。
- 有機溶媒が、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類又はこれらの混合物である請求項2又は3に記載の製造方法。
- 脂肪族炭化水素類がn−ヘキサン又はn−ヘプタンであり、芳香族炭化水素類がトルエン、キシレン又はエチルベンゼンである請求項4に記載の製造方法。
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JP2014162794A (ja) * | 2013-02-21 | 2014-09-08 | Pfizer Inc | 選択的cdk4/6阻害剤の固体形態 |
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- 2002-10-31 JP JP2002317735A patent/JP2004149472A/ja active Pending
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