JP2004149235A - 給紙装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本給紙装置100は、複数枚の原稿を積重状態で担持する原稿トレイ101と、原稿トレイ101上の原稿を搬送路へ送り込む給紙ローラ103と、給紙ローラ103へ向けて付勢されて給紙ローラ103のローラ面と圧接し、その摩擦力により原稿を分離する分離パッド104とを具備してなるものであって、原稿トレイ101に載置される原稿の先端が給紙ローラ103と分離パッド104との圧接部より上流側の給紙ローラ面に下方から当接するように案内する原稿ガイド102が配設されたものである。これにより、原稿トレイ101に原稿を載置する際に原稿の先端が給紙ローラ103と分離パッド104との圧接部へ押入されることを防止して、重送を回避する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原稿トレイに担持された複数枚の原稿を順次搬送路へ繰り込む給紙装置に関し、特に、給紙ローラと分離部材とによって搬送路へ送り込む原稿を分離する分離機構を有する給紙装置において、原稿トレイに原稿が載置される際に、原稿の先端を給紙ローラ面へ案内する原稿ガイドを具備するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
スキャナ、ファクシミリ、複写機等においては、複数枚の原稿を順次給紙するオート・ドキュメント・フィーダー(以下「ADF」という。)等の給紙装置が装備されているものがあり、該給紙装置によれば、原稿トレイ上に載置された複数枚の原稿を連続的且つ自動的に読取位置へ給紙することができる。このような給紙装置には、積重状態で原稿トレイ上に担持された原稿を1枚づつ分離しながら搬送路へ繰り込むために、給紙ローラに分離部材を付勢して圧接させた分離機構を設け、給紙ローラにより搬送路へ送り込まれる原稿に、摩擦や静電気により他の原稿が付着した場合に、圧接部において他の原稿を分離部材の摩擦力で制止することにより原稿が重送されることを防止しているものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−226228号公報
【特許文献2】
特開2001−97585号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記給紙装置の原稿トレイに原稿を載置する際に、例えば原稿の束に勢いをつけたり、圧接部方向へ強く押し込んだりした場合には、給紙ローラと分離部材との圧接部に複数枚の原稿が押入されて、原稿が重送されたり紙詰まりの原因となることがある。このような圧接部への原稿の押入を防止するために、圧接部の手前側に原稿を制止するストッパを出没可能に設けたシャッタ機構を具備する給紙装置があるが、該シャッタ機構には、可動ストッパや駆動伝達手段、出没動作の制御手段等が必要となり、構造が複雑な上、給紙装置のコストも高くなるという欠点がある。
【0005】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、原稿トレイに載置される原稿が圧接部に押入されることを、簡易且つ低コストに防止できる給紙装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る給紙装置は、複数枚の原稿を積重状態で担持する原稿トレイと、原稿トレイ上の原稿を搬送路へ送り込む給紙ローラと、給紙ローラへ向けて付勢されて給紙ローラ面と圧接し、その摩擦力により原稿を分離する分離部材とを具備してなる給紙装置において、原稿トレイに載置される原稿の先端が給紙ローラと分離部材との圧接部より上流側の給紙ローラ面に下方から当接するように案内する原稿ガイドが配設されたものである。これにより、原稿トレイに原稿を載置する際に原稿の先端が給紙ローラと分離部材との圧接部へ押入されることを防止して、重送を回避する。
【0007】
前記原稿ガイドは、原稿トレイと給紙ローラとの間に設けられ、その上面が給紙ローラの下方から前記給紙ローラ面へ向かって湾曲したものが、簡易な構造且つ低コストで実現可能なので好ましい。また、原稿ガイドを原稿トレイと一体とすることも可能であり、例えば合成樹脂製の原稿トレイの下流側を前記原稿ガイドと同様に湾曲させて一体成形することにより実現可能である。なお、本発明において原稿の先端とは、搬送路へ送り込まれる方向の端部をいい、また、圧接部より上流側とは、本給紙装置の縦断面において、給紙ローラと分離部材との圧接部より原稿トレイ側をいう。
【0008】
前記給紙ローラは、原稿トレイの上方又は下方に配設されて、原稿トレイ上の原稿の最上紙又は最下紙と圧接しながら回転することにより原稿を搬送路へ送り込むものであり、単一のローラであっても複数のローラを組み合わせたものであってもよい。また、前記分離部材は、給紙ローラにより搬送路へ送り込まれる原稿を圧接部でニップして、給紙ローラと原稿との間の摩擦力、原稿同士の摩擦力、及び分離部材と原稿との間の摩擦力の差により、給紙ローラが送り込む原稿と他の原稿とを分離するものであり、例えば、その表面層が所定の摩擦係数を有する合成樹脂であって弾性変形が可能なパッド状のものや、給紙ローラと逆方向へ回転するローラ等である。
【0009】
また、前記原稿ガイドは、給紙ローラの軸を含む垂線と、該軸と給紙ローラ面の原稿当接位置とを結ぶ直線とのなす角度をαとし、原稿ガイドに沿って原稿が進行する方向と水平線とがなす角度をβとし、給紙ローラの軸と原稿当接位置とを結ぶ直線と原稿ガイドに沿って原稿が進行する方向とのなす角度をγとした場合に、次式、
γ−α−β=90°
5°<α
10°<β<45°
90°<γ<180°
を満たすように配設されることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る給紙装置を図面に基づき具体的に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る給紙装置100を具備するコピー・ファクシミリ複合機1の上部の外観を示す概略斜視図である。図に示すように、該コピー・ファクシミリ複合機1は、読み取るべき原稿を載置するプラテンガラスが配設された読取載置台2と、該原稿をプラテンガラス上に押圧して固定する原稿押さえカバー3と、原稿の読取り開始等を入力するための操作パネル4とを具備してなる。さらに、読取載置台2の下方に、記録用紙に画像を記録する画像記録部、画像を電送するための送信部等を内蔵した本体5と、読み取った画像を記録するための記録用紙を供給する給紙カセット6とを具備している。以下に詳述する給紙装置100は、原稿押えカバー3内のADFと一体としてに配設されており、プラテンガラス上の読取位置へ原稿を連続的に繰り込むようになっている。
なお、前記コピー・ファクシミリ複合機1は、本発明に係る給紙装置を具備する機器の一例であり、操作パネル4や給紙カセット6等は任意の構成であることは勿論である。
【0011】
図2は、前記原稿押えカバー3の縦断面の概略構成を示す概略断面図である。図に示すように、原稿押えカバー3には、原稿を連続的にプラテンガラス上の読取位置へ搬送して排出するADFが装備されており、本給紙装置100は、該ADFの一部として構成されており、給紙装置100によって搬送路へ繰り込まれた原稿は、搬送ガイド60に沿って読取原稿当接位置Pに至り、該読取原稿当接位置Pを通過する際に読取ユニット61により該原稿の画像が読み取られるものとなっている。
【0012】
前記搬送路は、原稿トレイ101から原稿を読取位置へ導く略U字形状のものであり、原稿トレイ101に載置された原稿を下方へ反転しながら読取原稿当接位置Pへ導き、更に原稿トレイ101の下方の排紙トレイ105へ排出するようになっている。即ち、原稿トレイ101上に載置された原稿は、原稿トレイ101で上側となっている面が下側となって読取ユニット61に読み取られ、該読取面が下側の状態で排紙トレイ105に排出される。従って、ADFにより搬送された読み取り済みの原稿は、原稿トレイ101に載置されたページ順で排紙トレイ105へ排出される。また、搬送路には、原稿を搬送する搬送ローラ62が適宜配置されている。該搬送ローラ62は、不図示の給紙モータにより回転されるものであり、搬送路の形状や距離に応じて、搬送ローラの数を適宜増減することは当然可能である。
【0013】
読取ユニット61は、読取位置へ光を照射する光源610と、原稿からの反射光Rを所定の方向へ導くための反射ミラー611と、反射光Rを収束する集光レンズ612と、該収束光を電気信号に変換して出力する電荷結合素子(Charge Couple Device、以下「CCD」という。)613とを備えてなる所謂縮小光学系のCCD読取ユニットである。このように構成された読取ユニット61により、搬送路を搬送されている原稿の画像を読取原稿当接位置Pでスキャンし、該原稿からの反射光RをCCD613へ導いて結像するものとなっており、電気信号に変換された画像信号は、アナログ/デジタル変換、シェーディング処理等が施された後、プリンタ等の画像記録部により記録用紙に記録され、又はCODEC等の送信部により電送される。
【0014】
また、図には示していないが、原稿押えカバー3内には、リードセンサ、ステップモータ等の駆動源、駆動伝達のためのギアやタイミングベルト等が適宜設けられており、給紙装置100や読取ユニット61等とともに制御手段により制御される構成となっている。また、前述したADFの構成は一例にすぎず、前記読取ユニット61を、原稿が載置されたプラテンガラスの下方を水平方向に移動して画像読取りを行うフラットベッドスキャナと併用したり、CCDを用いた縮小光学系の読取ユニット61に代えて所謂密着形イメージセンサ(Contact Image Sensor、以下「CIS」という。)を使用することも可能であり、更にCCD又はCISを搬送路の対向位置等に夫々配置したり、搬送路に原稿戻し路を設けて原稿の両面読取りを行うことも可能である。
【0015】
給紙装置100は、図2及び図3に示すように、複数枚の原稿を積重状態で担持する原稿トレイ101と、原稿トレイ101の下流側に設けられた原稿ガイド102と、原稿トレイ101上の原稿を搬送路へ送り込む給紙ローラ103と、給紙ローラ103と圧接する分離パッド(分離部材)104とを具備してなる。
【0016】
原稿トレイ101は、図に示すように、原稿押えカバー3の上部に、原稿を供給する方向へ若干傾斜させて設けられており、その上面において複数枚の原稿を積重状態で担持するようになっている。使用者が原稿トレイ101上に原稿を載置する場合には、原稿トレイ101の傾斜下端側に原稿の先端を揃えるようにして載置する。なお、図には示していないが、原稿トレイ101には、原稿の幅方向の位置を規制して原稿の斜め送りを防止する可変式のガイド部材が設けられている。
【0017】
原稿トレイ101の傾斜下端、即ち下流側には、原稿トレイ101の上面と面一となるように原稿ガイド102が設けられている。該原稿ガイド102は、原稿トレイ101と給紙ローラ103との間に配置され、原稿トレイ101と同様に傾斜した上面が給紙ローラ103の下方まで至った後、給紙ローラ103のローラ面へ向かって上方へ湾曲した湾曲部20を有するものであり、原稿トレイ101上に載置された原稿が給紙ローラ103に当接する角度及び位置を規制している。また、該湾曲部20は、搬送路方向へ傾斜した原稿トレイ101上に載置された複数枚の原稿を、搬送路ヘ流れ込むことなく積層状態で貯留することを可能とし、また、原稿を原稿トレイ101に載置する際に、図3に示すように、各原稿の先端が該湾曲部20に沿って斜めにずれることにより、例えば密着状態にあった原稿が捌かれて、原稿を最上紙から分離し易くなり重送が防止される。
【0018】
さらに、原稿ガイド102の下流側近傍には、ガイドフィルム21が設けられている。ガイドフィルム21は、数枚程度の原稿を所定の方向へ案内できる程度の適度な強度を有する一方、一定以上の外力に対して弾性変形可能な薄膜状のものであり、例えばポリプロピレン等の合成樹脂フィルム等を用いることができる。該ガイドフィルム21は、原稿ガイド102と原稿押えカバー3のハウジング等との継目部分に原稿が引っ掛かることを防止して、原稿の先端を確実且つ円滑に所定位置へ案内するためのものであり、例えば、分離パッド104の取付位置にパッド交換やメンテナンスのための蓋等が設けられている場合に、少なくとも該蓋等と原稿ガイド102との隙間を覆うように設けられるが、必ずしも原稿ガイド102の幅方向全域に設けなくともよい。なお、本実施の形態では原稿トレイ101と原稿ガイド102とは別個のものとして説明したが、原稿トレイ101の下流側を原稿ガイド102と同様に湾曲させることにより、これらを一体のものとして形成することも可能である。
【0019】
前記原稿ガイド102の傾斜下流側近傍には、給紙ローラ103及び分離パッド104が夫々配置されており、原稿トレイ101上に載置された複数枚の原稿を1枚づつ分離しながら搬送路ヘ繰り込むようになっている。
【0020】
給紙ローラ103は、搬送路入口の上側部分に配設されて、原稿と圧接しながら回転することにより該原稿を搬送路へ送り込むものであり、例えばシリコンローラ等を用いることができる。さらに、該給紙ローラ103の上流側には、原稿トレイ101に載置された原稿の最上紙を取り出すためのピックアップローラ30が配設されている。ピックアップローラ30も、給紙ローラ103と同様に、原稿と圧接しながら回転することにより該原稿を搬送路へ送り込むものであり、不図示の給紙クラッチにより上下方向に揺動する揺動アーム31に軸支されて、原稿ガイド102又は原稿トレイ101の底面に接離可能となっている。該揺動アーム31の揺動により、ピックアップローラ30は、原稿トレイ101に原稿を載置する際等の通常の状態では原稿ガイド102又は原稿トレイ101から離されており、原稿繰込み時に原稿の最上紙と接触するように降下し、ピックアップローラ30及び給紙ローラ103が回転することにより、原稿の最上紙が搬送路ヘ送り込まれる。
【0021】
なお、ピックアップローラ30は原稿ガイド102又は原稿トレイ101の底面に接触するまで降下可能であるので、原稿枚数により原稿の束の厚さが変化しても常に最上紙と接触可能である。また、給紙ローラ103及びピックアップローラ30は、不図示の給紙モータにより適当なギア等を介して回転されるものであり、また、前記原稿トレイ101の原稿の有無は、不図示の原稿セットセンサにより検知され、該検知信号に基づいて画像読取制御部が給紙ローラ103、ピックアップローラ30、及び揺動アーム31の動作を制御するものとなっている。
【0022】
一方、前記給紙ローラ103の下方には分離パッド104が設けられている。該分離パッド104は、原稿に対する摩擦係数が給紙ローラ103の原稿に対する摩擦係数より低く、且つ原稿同士の摩擦係数より高いものであり、例えばウレタン系樹脂より形成することが可能である。このような分離パッド104は、支持体40の上面に貼設されて前記給紙ローラ103のローラ面と圧接されている。
【0023】
さらに詳細に説明するに、給紙ローラ103の下方には原稿ガイド102に開口が設けられており、支持体40は該開口から分離パッド104が貼設された上面を突出するように配設されている。支持体40の下部には水平方向の軸41が設けられており、該軸41が原稿押えカバー3のハウジング等に支持されて支持体40が回動可能となっている。さらに、支持体40の回動先端側とハウジング等との間にはコイルバネ42が介設されており、支持体40を上方向へ付勢している。一方、支持体40の上面の下流側には切欠部43が形成されており、該切欠部43の上面が搬送ガイド60等と当接して、支持体40が所定位置から上方へ回動することを規制している。このように構成された支持体40により、分離パッド104は、給紙ローラ103の下方からローラ面に圧接されており、該圧接部を通過する原稿の厚みに応じて下方へ回動可能となっている。
なお、図には詳細に示していないが、分離パッド104は給紙ローラ103の軸方向全域に設ける必要はなく、最小読取幅から最大読取幅の各種原稿が共通して通過する一部の位置において、原稿を分離可能な摩擦力を奏するように設ければ十分である。
【0024】
以下、本給紙装置100の原稿トレイ101上に原稿が載置される場合について説明する。前述したように、使用者が原稿の束に勢いをつけたり、圧接部方向へ強く押し込んだりした場合には、給紙ローラ103と分離パッド104との圧接部に複数枚の原稿が押入されることがあるが、これを防止するために、本給紙装置100は、原稿ガイド102により、原稿トレイ101に載置される原稿の束の先端が前記圧接部に当らないようにしている。
【0025】
さらに詳細に説明するに、図4に示すように、原稿トレイ101から搬送路の方向へ差し込まれた原稿の束は、原稿ガイド102の湾曲部20に案内されて、その先端が給紙ローラ103と分離パッド104との圧接部より上流側の給紙ローラ面に、給紙ローラ103の下方から斜め上方ヘ向かって当接する。なお、図では給紙ローラ103に当接する直前においてはガイドフィルム21により原稿の束が案内されるように表されているが、前述したようにガイドフィルム21は原稿ガイド102の幅方向全域に渡って設けられているものではなく、分離パッド104が設けられた箇所以外においては、原稿ガイド102によって原稿の束が案内される。このとき、給紙ローラ103は回転しておらず、原稿の束の先端は給紙ローラ103のローラ面に当接して止まる。これにより、原稿の束が強く押し込まれた場合等に、複数枚の原稿の先端部分が給紙ローラ103と分離パッド104との圧接部に押入されることを防止できる。なお、原稿を繰込む際には、原稿の先端は給紙ローラ103の回転力により圧接部方向へ案内される。
【0026】
原稿ガイド102により、給紙ローラ103のローラ面に原稿の束を当接させる原稿当接位置Pは、原稿の押入防止という観点からは前記圧接部から遠い方が好ましいが、給紙ローラ103による原稿の送り込みを円滑なものとする観点からは圧接部に近い方がよい。ここで、原稿当接位置Pは、図に示すように、給紙ローラ103の軸Oを含む垂線L1と、該軸Oと原稿当接位置Pとを結ぶ直線とのなす角度αとして表すことができる。給紙ローラ103と分離パッド104との圧接部は、分離パッド104の表面が水平であれば、給紙ローラ103の軸Oの直下、即ち垂線L1上にある。本給紙装置100のように、原稿を原稿ガイド102の湾曲部20により、給紙ローラ103の下方から斜め上方ヘ向かって案内する場合には、原稿の厚みに応じて支持体40が回動することを考慮して、或いは原稿の送り込みを円滑にするために、分離パッド104の表面に若干の傾斜を設けることがあり、該傾斜により前記圧接部は垂線L1上から若干ずれるが、該傾斜は微小なものであり、また、分離パッド104が厚み方向に弾性変形可能であることや、分離パッドの下方にスポンジ等の弾性部材が設けられる場合等も考慮すれば、該圧接部は概ね垂線L1上にあるとみなせる。
【0027】
一方、原稿ガイド102により、原稿を給紙ローラ103の下方から原稿当接位置Pへ案内する方向は、図に示すように、原稿ガイド102に沿って原稿が給紙ローラ103へ当接する方向と水平線L2とがなす角度βによって表すことができる。該角度βは、原稿の押入防止という観点からは大きい方が好ましいが、給紙ローラ103による原稿の送り込みを円滑なものとする観点からは小さい方がよい。
【0028】
さらに、図に示すように、給紙ローラ103の軸Oと原稿当接位置Pとを結ぶ直線と原稿ガイド21に沿って原稿が進行する方向とのなす角度γは、原稿の押入防止という観点からは180°に近い方が好ましいが、給紙ローラ103による原稿の送込みを円滑なものとする観点からは90°に近い方がよい。なお、角度γを180°以上とすれば、原稿を圧接部へ送り込むことが困難となるため不適である。また、本給紙装置100は、原稿当接位置Pを圧接部より上流側に設けて原稿の押入を防止するものだから、角度γを90°以下とすることはない。
【0029】
以下、前記角度α,β,γの関係について図5を用いて更に詳細に説明する。
まず、給紙ローラ103の軸Oと原稿当接位置Pとを結ぶ直線と、原稿ガイド21に沿って原稿が当接する方向であって原稿当接位置Pを越えて延長した補助線とのなす角度をδとおくと、原稿当接位置Pの対頂角で角度δは等しい。従って、水平線L2と給紙ローラ103の軸Oと原稿当接位置Pとを結ぶ直線とのなす角度は(β+δ)である。
ここで、垂線L1、水平線L2、給紙ローラ103の軸Oと原稿当接位置Pとを結ぶ直線によってできる直角三角形についてみれば、その内角の和が180°であることから次の式が成り立つ。
α+(β+δ)=90° ・・・・・(1)
一方、給紙ローラ103の軸と原稿当接位置Pとを結ぶ直線についてみれば、次の式が成り立つ。
γ+δ=180° ・・・・・(2)
これら式(1)、式(2)を角度δについて演算すれば、角度α,β,γについて次の式が成り立つ。
γ−α−β=90° ・・・・・(3)
【0030】
角度γは、前述したように、原稿の押入防止及び原稿の送込みの円滑を考慮して90°〜180°の範囲内で取り得ることが好適である。角度αは原稿の送込みが可能な範囲で0°より大きくすることが望ましいが、原稿の押入を防止するためには5°より大きくすることが好適である。また、角度βも、原稿の押入防止及び原稿の送込みの円滑を考慮し、前記式(3)が成立する範囲内できるが、原稿トレイ101上に所定枚数の原稿を、搬送路ヘ流れ込むことなく積層状態で貯留することを可能とし、また、原稿の先端を湾曲部分20に沿って斜めにずらしてことにより原稿を捌いて分離容易とすることを考慮すると、10°より大きくすることが好適である。他方、原稿トレイ101上の原稿を給紙ローラ103の回転に従って圧接部へ円滑に送り込むことを考慮すると、45°より小さくすることが好適である。これらを総合的に勘案すれば、角度α,β,γは、前記式(3)が成立し、且つ以下の条件を満たす範囲内で設定することが好適である。
5°<α
10°<β<45°
90°<γ<180°
このような角度α,β,γを満たすように、原稿ガイド102の湾曲部20の角度及び位置を設定することにより、原稿トレイ101に原稿を載置する際の原稿の押入を防止することができ、且つ円滑な原稿供給を実現できる。
【0031】
つぎに、原稿トレイ101上に載置された複数枚の原稿から、給紙ローラ103と分離パッド104により最上紙の原稿のみが分離されて搬送路へ送り込まれる動作を図6を用いて説明する。
図6(a)に示すように、原稿ガイド102の湾曲部20により、原稿トレイ101上の原稿が積層状態で載置され、また、各原稿の先端が該湾曲部20に沿って斜めにずれるように捌かれる。ピックアップローラ30が降下して、原稿の最上紙に圧接しながら回転することにより、該最上紙は原稿ガイド102に沿って給紙ローラ103へ送られる。該最上紙の先端は前記原稿当接位置Pにおいて給紙ローラ103のローラ面と当接するが、給紙ローラ103が回転することにより、最上紙の先端部は分離パッド104側へ湾曲し、ピックアップローラ30及び給紙ローラ103の回転に従って分離パッド104の圧接部へ送られる。このようにして、本給紙装置100が原稿を供給する際には、原稿トレイ101上の原稿の最上紙から1枚ずつ原稿が分離され、搬送路へ円滑に送り込まれる。
【0032】
また、原稿を供給する際に、紙の摩擦力や静電気により、最上紙の下側の原稿が従動して給紙ローラ103へ送られることがある。例えば、図6(a)に示すように、2枚の紙D1,D2が重なるようにして給紙ローラ103と分離パッド104の圧接部へ送られた場合には、該圧接部近傍において上側の紙D1は給紙ローラ103と圧接し、下側の紙D2は分離パッド104と圧接する。紙D1は給紙ローラ103の回転により搬送路へ送り込まれるが、このとき、紙D2は、紙同士の摩擦力より大きい摩擦係数を有する分離パッド104により、先端側が分離パッド104に圧接した状態で、紙の摩擦力や静電気に逆らって制止される。これにより、図6(b)に示すように、紙D1が単独で圧接部を通過して搬送路ヘ送り込まれるが、その際、紙D1が分離パッド104と圧接しても、給紙ローラ103の紙に対する摩擦係数は、分離パッド104より大きいので、紙D1は分離パッド104により制止されることなく給紙ローラ103の回転に従って搬送路ヘ送り込まれる。このようにして、原稿トレイ101上で積重状態にある複数枚の原稿の最上紙から1枚づつ確実に搬送路ヘ繰り込まれる。
【0033】
なお、前記実施の形態では本給紙装置100が装備されたコピー・ファクシミリ複合機1を例に説明したが、本発明に係る給紙装置が、スキャナ等の他の装置にも適用できることは当然である。また、本実施の形態で示した給紙装置100の構成は本発明に係る給紙装置の具体的構成態様の一例であり、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、給紙ローラ103及びピックアップローラ30と分離パッド104との上下位置を逆にして、原稿トレイ101上の原稿の最下紙から順次繰り込むこととしたり、分離パッド104に代えて原稿トレイ101方向へ原稿を送り返すように回転する分離ローラを設けること等が可能である。
【0034】
【発明の効果】
このように、本発明に係る給紙装置によれば、複数枚の原稿を積重状態で担持する原稿トレイと、原稿トレイ上の原稿を搬送路へ送り込む給紙ローラと、給紙ローラへ向けて付勢されて給紙ローラ面と圧接し、その摩擦力により原稿を分離する分離部材とを具備してなる給紙装置において、原稿トレイに載置される原稿の先端が給紙ローラと分離部材との圧接部より上流側の給紙ローラ面に下方から当接するように案内する原稿ガイドが配設したので、原稿トレイに原稿を載置する際に原稿の先端が給紙ローラと分離部材との圧接部へ押入されることを防止できる。これにより、簡易且つ低コストで該圧接部における紙詰まりや原稿の重送を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コピー・ファクシミリ複合機1の外観を示す概略斜視図である。
【図2】原稿押えカバー3の内部構造を示す概略縦断面図である。
【図3】給紙装置100付近の主要な構成を示す拡大縦断面図である。
【図4】原稿ガイド102により原稿の束が給紙ローラ103のローラ面に当接する状態を示す図である。
【図5】角度α,β,γの関係を説明するための模式図である。
【図6】給紙装置100により複数枚の原稿から最上紙が分離される状態を示す図である。
【符号の説明】
100 給紙装置
101 原稿トレイ
102 原稿ガイド
103 給紙ローラ
104 分離パッド
Claims (3)
- 複数枚の原稿を積重状態で担持する原稿トレイと、原稿トレイ上の原稿を搬送路へ送り込む給紙ローラと、給紙ローラへ向けて付勢されて給紙ローラ面と圧接し、その摩擦力により原稿を分離する分離部材とを具備してなる給紙装置において、
原稿トレイに載置される原稿の先端が給紙ローラと分離部材との圧接部より上流側の給紙ローラ面に下方から当接するように案内する原稿ガイドが配設されたことを特徴とする給紙装置。 - 前記原稿ガイドは、原稿トレイと給紙ローラとの間に設けられ、その上面が給紙ローラの下方から前記給紙ローラ面へ向かって湾曲したものである請求項1記載の給紙装置。
- 前記原稿ガイドは、給紙ローラの軸を含む垂線と、該軸と給紙ローラ面の原稿当接位置とを結ぶ直線とのなす角度をαとし、原稿ガイドに沿って原稿が進行する方向と水平線とがなす角度をβとし、給紙ローラの軸と原稿当接位置とを結ぶ直線と原稿ガイドに沿って原稿が進行する方向とのなす角度をγとした場合に、次式、
γ−α−β=90°
5°<α
10°<β<45°
90°<γ<180°
を満たすように配設されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の給紙装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002314220A JP2004149235A (ja) | 2002-10-29 | 2002-10-29 | 給紙装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002314220A JP2004149235A (ja) | 2002-10-29 | 2002-10-29 | 給紙装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004149235A true JP2004149235A (ja) | 2004-05-27 |
Family
ID=32458591
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002314220A Pending JP2004149235A (ja) | 2002-10-29 | 2002-10-29 | 給紙装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004149235A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8146911B2 (en) | 2009-08-31 | 2012-04-03 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Sheet feeding device and imaging apparatus employing sheet feeding device |
-
2002
- 2002-10-29 JP JP2002314220A patent/JP2004149235A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8146911B2 (en) | 2009-08-31 | 2012-04-03 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Sheet feeding device and imaging apparatus employing sheet feeding device |
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