JP2004149088A - 自動ブレーキの制動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】トランクションコントロールなどのための自動ブレーキ時にオートアジャスタが無用に作動してシューが引き摺られるのを防止する。
【解決手段】S8でブレーキ温度Tbがオーバーアジャスト開始温度Tbovr以上と判定する時、S9で予定のマップをもとにブレーキ温度Tbからオートアジャスタの無用な作動を生じない許容ブレーキ液圧上限値Pbablを検索し、S11でトランクションコントロール用目標駆動力低減量のエンジンおよび自動ブレーキへの配分を決定し、トランクションコントロール用のエンジン出力低減量Deおよび制動力Dbを演算する。S12でDbをブレーキ液圧Pbに換算し、S13でPb>Pbablと判定するとき、つまりオートアジャスタの無用な作動によりオーバーアジャストが発生する時、S15でブレーキ液圧過剰分ΔPb=Pb−Pbablを求め、S16でΔPbを制動力低減量ΔDbに換算し、S17でDeをΔDbだけ嵩上げしてエンジン出力低減によるトランクションコントロール割合を高め、S18でPbablに対応した制動力Dbablをトランクションコントロール用制動力Dbとする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動輪の駆動スリップ(ホイールスピン)を防止するトランクションコントロールや、車両のヨーレイトなどを制御する挙動制御などのため、運転者による操作とは別に自動的にブレーキ装置を作動させる自動ブレーキの制動力制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ブレーキ装置を自動的に作動させる自動ブレーキを用いる例としては従来、例えば特許文献1に記載のように、車輪の駆動スリップ、所謂ホイールスピンを防止するトランクションコントロールがある。
このホイールスピンは、車輪の駆動力が路面摩擦係数との関連において過大であることに起因することから、車輪の駆動力を低下させることによって防止することができ、そのためトランクションコントロールに当たっては特許文献1に記載のごとく、上記の自動ブレーキにより車輪駆動力を低下させたり、エンジン出力の低下により車輪駆動力を低下させることによってホイールスピンを防止することができる。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−72129号公報
【0004】
この特許文献1には更に、ブレーキの温度を推定し、ブレーキ温度が高温になった時は自動ブレーキの効きが悪くなることから、その分トランクションコントロールをエンジン出力の低減に多く依存するようになし、トランクションコントロール用の自動ブレーキ操作量(ブレーキ液圧)を低下させる技術が示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ドラムブレーキを用いた自動ブレーキの場合にかかる技術を用いた場合、以下の問題が生ずる。
つまり、ドラムブレーキはアクチュエータによりブレーキシューを拡開させてブレーキドラムに押圧し、この時ブレーキドラムに連れ回されようとするブレーキシューを固定部で受け止めることにより所定の制動力を発生させる構成を基本とするが、ドラムブレーキはかかる作動時にブレーキドラムとブレーキシューとの間におけるシュー間隙を機械的に自動調整する、所謂インクリメントタイプのオートアジャスタを有し、ブレーキシューの摩耗時もシュー間隙が所定値以上に大きくならないようにしたものが多い。
これにより、ブレーキシューの摩耗時もブレーキペダルのストローク量を不変に保つことができて、ブレーキの操作フィーリングを良好に維持することができる。
【0006】
ところで、運転者がブレーキペダルを踏み込むときの所謂サービスブレーキ時は、運転者が走行中に要求する制動力であるからブレーキペダル踏力に対応した制動力を確実に発生させる必要があって制御の余地はないが、運転者のブレーキ操作によらない自動ブレーキ時の制動力はトランクションコントロールや車両の挙動制御であるため制御の余地がある。
【0007】
従来にあっては、それにもかかわらずブレーキの効きが悪化する高温にならない限り自動ブレーキ時の制動力を要求通りに発生させることから、要求制動力が大きくなる条件のもとで、ブレーキドラムに対するブレーキシューの押圧力が大きくなってブレーキドラムが拡径方向へ長円形に弾性変形され、その変形量だけ前記アクチュエータの作動量が多くなってオートアジャスタが不用意に作動することがある。
この場合、制動力が解除されてブレーキドラムが元の円形に戻った時、オートアジャスタの上記不用意な作動でシュー間隙が小さくなり過ぎて(オーバーアジャストで)、非制動であるにもかかわらずブレーキシューがブレーキドラムに摺接し、ブレーキシューの早期摩耗や燃費の悪化を招くという問題を生ずる。
【0008】
ドラムブレーキにあっては更に、ブレーキ温度が高くなるとブレーキドラムの熱膨張によりシュー間隙が大きくなり、その分だけ前記アクチュエータの作動量が多くなってオートアジャスタが不用意に作動することもある。
この場合も、ブレーキ温度の低下でブレーキドラムが元の直径に戻った時、オートアジャスタの上記不用意な作動でシュー間隙が小さくなり過ぎて(オーバーアジャストで)、非制動であるにもかかわらずブレーキシューがブレーキドラムに摺接し、ブレーキシューの早期摩耗や燃費の悪化を招くという問題を生ずる。
【0009】
本発明は、自動ブレーキ時の制動力を必ずしもトランクションコントロールや車両の挙動制御で要求された通りのものにせず、上記のようなオートアジャスタの不用意な作動が生ずることのない制動力に制限することで、上記したオーバーアジャストの問題を解消した自動ブレーキの制動力制御装置を提案することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的のため、本発明による自動ブレーキの制動力制御装置は、請求項1に記載のごとく、
ドラムブレーキを用いた自動ブレーキにより車両の走行状態を制御する時の制動力を、オートアジャスタが作動してシュー間隙を自動調整し過ぎることのない範囲内に制限するよう構成したものである。
【0011】
【発明の効果】
本発明においては、車両の走行状態を制御する自動ブレーキの制動力を、オートアジャスタがシュー間隙を自動調整し過ぎることのない範囲内に制限するため、当該自動ブレーキ中においてシュー間隙が過剰に自動調整されることがない。
【0012】
運転者のブレーキ操作によらない自動ブレーキ時の制動力はトランクションコントロールや車両の挙動制御であるため制御の余地があるにもかかわらず、自動ブレーキの制動力を無条件に要求通りに発生させると、要求制動力が大きくなる時におけるブレーキドラムの弾性変形や、ブレーキ温度の上昇時におけるブレーキドラムの熱膨張により、ブレーキアクチュエータの作動量が多くなってオートアジャスタが不用意に作動し、前記オーバーアジャストを生ずることがあるが、本発明のように自動ブレーキの制動力を制限すれば当該オートアジャスタの不用意な作動を回避してオーバーアジャストを防止することができる。
【0013】
かかるオーバーアジャストは、制動力が解除されてブレーキドラムが元の円形に戻った時や、ブレーキ温度の低下でブレーキドラムが元の直径に縮径した時にシュー間隙が小さくなり過ぎて、非制動であるにもかかわらずブレーキシューがブレーキドラムに摺接し、ブレーキシューの早期摩耗や燃費の悪化を招くという問題を生ずる、本発明によればこのような問題を確実に解消することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態になる自動ブレーキの制動力制御装置を具えた車両の車輪駆動系およびブレーキ液圧系を、それぞれの制御システムと共に示し、本実施の形態においては自動ブレーキをホイールスピン防止用のトランクションコントロールに用いるものとし、このトランクションコントロールを自動ブレーキとエンジン出力低減制御とで達成するものとする。
【0015】
図1において、1Lは左前輪、1Rは右前輪、2Lは左後輪、2Rは右後輪をそれぞれ示し、車両は、エンジン3の出力を変速機4、プロペラシャフト5、およびディファレンシャルギヤ装置6により左右後輪2L,2Rに伝達され、これら左右後輪を駆動されて走行する2輪駆動車とする。
【0016】
左右前輪1L,1Rおよび左右後輪2L,2Rは個々のドラムブレーキユニット7L,7Rおよび8L,8Rにより制動可能とし、これらドラムブレーキユニットはそれぞれ、アクチュエータ(図示せず)へのブレーキ液圧に応じた制動力を発生するものとする。
ドラムブレーキユニット7L,7Rおよび8L,8Rは更に、周知のインクリメントタイプのオートアジャスタ(図示せず)を具え、ブレーキシューの摩耗でシュー間隙が既定値を超えている場合は上記アクチュエータによるサービスブレーキ時にオートアジャスタが作動してシュー間隙を既定値に戻すことができる。
【0017】
ドラムブレーキユニット7L,7Rおよび8L,8Rのアクチュエータ(図示せず)は、個々のブレーキ配管9L,9Rおよび10L,10Rを経て圧力源を内蔵したブレーキ液圧制御器11に接続し、この制御器11はブレーキコントローラ12からの各輪ブレーキ液圧指令に応動してドラムブレーキユニット7L,7Rおよび8L,8Rに個々に指令通りのブレーキ液圧を向かわせるものとする。
【0018】
ブレーキコントローラ12は、基本的にはブレーキペダル13の踏力に応じて各輪ブレーキユニット7L,7Rおよび8L,8Rのブレーキ液圧を決定するが、このブレーキペダル踏力とは別にトランクションコントローラ20からのトランクションコントロール用制動力Dbにも応動し、駆動輪である左右後輪2L,2Rのドラムブレーキユニット8L,8Rを用いた自動ブレーキにより当該トランクションコントロール用制動力Dbを発生させる機能も果たすものとする。
【0019】
エンジン3は、エンジンコントローラ14により通常通りに点火時期や燃料噴射量などを制御される。
エンジンコントローラ14は、トランクションコントローラ20からのトランクションコントロール用エンジン出力低減量Deにも応動し、エンジン3の運転気筒数制御や燃料噴射量制御によりDeだけエンジン出力を低減させることができるものとする。
【0020】
トランクションコントローラ20は、上記したトランクションコントロール用制動力Dbおよびトランクションコントロール用エンジン出力低減量Deを決定するもので、このためトランクションコントローラ20には、左前輪速Vflを検出する左前輪速センサ15からの信号と、右前輪速Vfrを検出する右前輪速センサ16からの信号と、左後輪速Vrlを検出する左後輪速センサ17からの信号と、右後輪速Vrrを検出する右後輪速センサ18からの信号と、左右後輪ブレーキユニット8L,8Rの温度Tbを検出するブレーキ温度センサ19からの信号とを入力する。
なおブレーキ温度センサ19は、左右後輪ブレーキユニット8L,8Rの温度を直接検出するものでも、また、前記特許文献1に記載の要領で演算により求めるものでもよい。
【0021】
トランクションコントローラ20は、上記の入力情報をもとに図2の制御プログラムを実行して以下のごとくにトランクションコントロール用制動力Dbおよびトランクションコントロール用エンジン出力低減量Deを求めるものとする。
先ずステップS1において、左右前輪速Vfl, Vfrおよび左右前輪速Vrl, Vrrを読み込み、次いでステップS2において、左右前輪速Vfl, Vfrの平均値Vf(車速を表す)および左右前輪速Vrl, Vrrの平均値Vrから、駆動輪である左右後輪2L,2Rのスリップ(ホイールスピン)率SL={(Vr−Vf)/Vf}×100%を求める。
【0022】
ステップS3では、駆動輪である左右後輪2L,2Rの路面摩擦係数が最も大きくなる理想スリップ率SLo(通常は15%付近)と左右後輪2L,2Rの実スリップ率SLとの偏差ΔSL=SL−SLoを求め、
ステップS4では、このスリップ率偏差ΔSLに応じたPID制御などにより、スリップ率偏差ΔSLを0にするための、つまり、実スリップ率SLを理想スリップ率Sloに一致させて左右後輪2L,2Rのホイールスピンを防止するための目標駆動力低減量を求め、
ステップS5で、左右後輪2L,2Rのブレーキ温度Tbを読み込む。
【0023】
次のステップS6においては、ブレーキ温度Tbが図3および図4に例示した自動ブレーキ限界温度Tblmt以上か否かをチェックする。
ここで自動ブレーキ限界温度Tblmtとは、左右後輪ブレーキユニット8L,8Rを自動ブレーキとして用いることができなくなる高温域の下限値を意味し、ステップS6でブレーキ温度Tbが自動ブレーキ限界温度Tblmt以上と判定する時は、ステップS7において、トランクションコントロールをエンジン出力低減のみにより実行するよう、トランクションコントロール用エンジン出力低減量Deに、ステップS4で求めたホイールスピン防止用の目標駆動力低減量をそのままセットし、同時に自動ブレーキによるトランクションコントロールを禁止するようトランクションコントロール用制動力Dbに0をセットし、これらトランクションコントロール用エンジン出力低減量Deおよびトランクションコントロール用制動力Dbをそれぞれ、図1のエンジンコントローラ14およびブレーキコントローラ12に指令して左右後輪2L,2Rのホイールスピンを防止する。
【0024】
ステップS6でブレーキ温度Tbが自動ブレーキ限界温度Tblmt未満と判定する時は、ステップS8において今度はブレーキ温度Tbが、図3および図4に例示したオーバーアジャスト開始温度Tbovr以上か否かにより、前記のオーバーアジャストを生ずる温度域か否かをチェックし、オーバーアジャストを生ずる温度域ならステップS9において、図4に対応したマップをもとにブレーキ温度Tbから温度ごとにオーバーアジャストを生じない許容ブレーキ液圧上限値Pbablを検索する。
ここでオーバーアジャスト開始温度Tbovrとは、前記のオーバーアジャストを生ずる温度域の下限値を意味し、このオーバーアジャスト開始温度Tbovrおよび上記の許容ブレーキ液圧上限値Pbablはそれぞれ以下のようにして実験などにより求める。
【0025】
先ず図3に示すような実験データを得るために、ブレーキユニットを自動ブレーキ限界温度Tblmtまでの任意の温度に温度上昇させ、ブレーキ温度Tbごとにブレーキユニット(アクチュエータ)へのブレーキ液圧を80bar、100bar、120bar、140bar(制御最高圧)のごとくに異ならせてドラムブレーキを作動させた後、ブレーキ液圧を排除した時におけるシュー間隙(オートアジャスタが作動した時は調整後のシュー間隙)を順次プロットする。
これにより図3に示すように、ブレーキ液圧(80bar、100bar、120bar、140bar)をパラメータした、ブレーキ液圧ごとのブレーキ温度Tbに対する調整後シュー間隙の変化傾向を求めることができる。
【0026】
図3におけるブレーキシュー引き摺り限界(オーバーアジャスト限界)は、ブレーキユニットごとに決まるシュー間隙で、シュー間隙がこれ以下になるとブレーキシューが引き摺り現象を起こすオーバーアジャスト状態である。
従って、ブレーキシュー引き摺り限界(オーバーアジャスト限界)のシュー間隙を表す線と、制御最高圧であるブレーキ液圧140barに関する特性線との交点におけるブレーキ温度がオーバーアジャスト開始温度Tbovrであり、これ未満のブレーキ温度では実用されるブレーキ液圧である限りオーバーアジャストが発生することはない。
【0027】
また、ブレーキシュー引き摺り限界(オーバーアジャスト限界)のシュー間隙を表す線と、各ブレーキ液圧(80bar、100bar、120bar、140bar)に関する特性線との交点におけるブレーキ温度のもとでは、この交点を通る特性線に対応したブレーキ液圧がオーバーアジャストを生じない許容ブレーキ液圧上限値Pbablとであり、ブレーキシュー引き摺り限界(オーバーアジャスト限界)のシュー間隙を表す線と、各ブレーキ液圧(80bar、100bar、120bar、140bar)に関する特性線との交点から許容ブレーキ液圧上限値Pbablは図4に示す線図に対応するマップとして予め求めておくことができる。
このマップをもとに図2のステップS9では、ブレーキ温度Tbから温度ごとにオーバーアジャストを生じない許容ブレーキ液圧上限値Pbablを検索する。
【0028】
図2のステップS8でブレーキ温度Tbがオーバーアジャスト開始温度Tbovr未満と判定する場合は、オーバーアジャストの問題を生ずることがないからステップS10において、目標駆動力低減量(ステップS4)のエンジンおよび自動ブレーキへの配分を任意に(好ましくは従来通りに)決定し、これに基づきトランクションコントロール用エンジン出力低減量Deおよびトランクションコントロール用制動力Dbを演算して、これらトランクションコントロール用エンジン出力低減量Deおよびトランクションコントロール用制動力Dbをそれぞれ、図1のエンジンコントローラ14およびブレーキコントローラ12に指令して左右後輪2L,2Rのホイールスピンを防止する。
【0029】
ステップS8でブレーキ温度Tbがオーバーアジャスト開始温度Tbovr以上(オーバーアジャストを生ずる温度域)と判定したため、ステップS9で前記したごとく図4をもとにブレーキ温度Tbからオーバーアジャストを生じない許容ブレーキ液圧上限値Pbablを検索した後は、以下のようにして左右後輪2L,2Rのホイールスピンを防止するトランクションコントロールを実行する。
ステップS11において、先ずはステップS10におけると同様に目標駆動力低減量(ステップS4)のエンジンおよび自動ブレーキへの配分を任意に(好ましくは従来通りに)決定し、これに基づきトランクションコントロール用エンジン出力低減量Deおよびトランクションコントロール用制動力Dbを演算する。
ただしここでは、これらトランクションコントロール用エンジン出力低減量Deおよびトランクションコントロール用制動力Dbをそのまま用いず、トランクションコントロール用制動力Dbに以下の制限を施す。
【0030】
ステップS12では、トランクションコントロール用制動力Dbをこれが達成されるためのブレーキ液圧Pbに換算する。
次にステップS13で、このブレーキ液圧Pbが許容ブレーキ液圧上限値Pbabl(ステップS9)を越えているか否かにより、要求通りのトランクションコントロール用制動力Dbに対応したブレーキ液圧Pbだとオーバーアジャストが発生するか否かをチェックする。
Pb≦Pbablなら要求通りのトランクションコントロール用制動力Dbに対応したブレーキ液圧Pbでもオーバーアジャストを生ずることがないから、ステップS14において、ステップS11で求めたトランクションコントロール用エンジン出力低減量Deおよびトランクションコントロール用制動力Dbをそのまま、図1のエンジンコントローラ14およびブレーキコントローラ12に指令して左右後輪2L,2Rのホイールスピンを防止する。
【0031】
ステップS13でPb>Pbablと判定する時は、要求通りのトランクションコントロール用制動力Dbに対応したブレーキ液圧Pbだとオーバーアジャストを生ずるから、ステップS15において、このブレーキ液圧Pbと許容ブレーキ液圧上限値Pbablとのブレーキ液圧過剰分ΔPbを求め、
ステップS16において、ブレーキ液圧過剰分ΔPbを制動力低減量ΔDbに換算し、
ステップS17において、ステップS11で求めたトランクションコントロール用エンジン出力低減量Deを制動力低減量ΔDbだけ嵩上げし、この嵩上げしたトランクションコントロール用エンジン出力低減量Deを図1のエンジンコントローラ14に指令することでエンジン出力低減によるトランクションコントロール割合を高める。
【0032】
次のステップS18においては、ステップS11で求めたトランクションコントロール用制動力Dbを用いず、許容ブレーキ液圧上限値Pbablに対応した制動力Dbablをトランクションコントロール用制動力Dbとして図1のブレーキコントローラ12に指令する。
かくして本実施の形態においては、トランクションコントロール用制動力Dbを、許容ブレーキ液圧上限値Pbablに対応した制動力Dbablに制限して、自動ブレーキ時にオートアジャスタがシュー間隙を過剰に自動調整(オーバーアジャスト)することのないようにし得る。
【0033】
運転者のブレーキ操作によらないトランクションコントロール用の自動ブレーキ時は制動力を制御する余地があるにもかかわらず、自動ブレーキの制動力を無条件にステップS11で求めた要求通りに発生させると、要求制動力が大きくなる時におけるブレーキドラムの弾性変形や、ブレーキ温度の上昇時におけるブレーキドラムの熱膨張により、ブレーキアクチュエータの作動量が多くなってオートアジャスタが不用意に作動し、オーバーアジャストを生ずることがあるが、本実施の形態のように自動ブレーキの制動力Dbを許容ブレーキ液圧上限値Pbablに対応した制動力Dbablに制限すれば(ステップS18)、オートアジャスタの不用意な作動を回避してオーバーアジャストを防止することができる。
【0034】
なおオーバーアジャストは、制動力が解除されてブレーキドラムが元の円形に戻った時や、ブレーキ温度の低下でブレーキドラムが元の直径に縮径した時にシュー間隙が小さくなり過ぎて、非制動であるにもかかわらずブレーキシューがブレーキドラムに摺接し、ブレーキシューの早期摩耗や燃費の悪化を招くという問題を生ずる、本実施の形態によればこのような問題を確実に解消することができる。
【0035】
しかも本実施の形態においては、自動ブレーキの制動力Dbを許容ブレーキ液圧上限値Pbablに対応した制動力Dbablに制限する時、制限した分ΔDbだけステップS17においてトランクションコントロール用エンジン出力低減量Deを嵩上げし、これによりエンジン出力低減によるトランクションコントロール割合を高めるため、制動力Dbの制限によっても全体的なトランクションコントロール性能の低下を生ずることはなく、左右後輪2L,2Rのホイールスピンを確実に防止することができる。
【0036】
なお上記ではドラムブレーキをブレーキ液圧で作動させる場合について説明したが、ドラムブレーキのアクチュエータが電力によりブレーキシューをブレーキドラムに押圧する電動式のものである場合においても本発明の前記した着想は同様に適用し得ること勿論である。
また、上記では自動ブレーキをトランクションコントロールに用いる場合について説明したが、自動ブレーキにより車両のヨーレイトなどの挙動制御を行う場合においても本発明の前記した着想は同様に適用し得ること勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態になる自動ブレーキの制動力制御装置を具えた車両の車輪駆動系およびブレーキ液圧系を、それぞれの制御システムと共に示す概略系統図である。
【図2】同実施の形態においてトランクションコントロールが実行する、トラクションコントロール用の制御プログラムを示すフローチャートである。
【図3】実験データにより求めたドラムブレーキの温度と、ブレーキ液圧と、シュー間隙との関係を例示する特性線図である。
【図4】図3のデータから得られた、オーバーアジャストに関する許容ブレーキ液圧上限値の変化特性図である。
【符号の説明】
1L 左前輪
1R 右前輪
2L 左後輪
2R 右後輪
3 エンジン
4 変速機
5 プロペラシャフト
6 ディファレンシャルギヤ装置
7L ドラムブレーキ
7R ドラムブレーキ
8L ドラムブレーキ
8R ドラムブレーキ
11 ブレーキ液圧制御器
12 ブレーキコントローラ
13 ブレーキペダル
14 エンジンコントローラ
15 左前輪速センサ
16 右前輪速センサ
17 左後輪速センサ
18 右後輪速センサ
19 ブレーキ温度センサ
20 トランクションコントローラ

Claims (2)

  1. ブレーキドラムとブレーキシューとの間におけるシュー間隙を機械的に自動調整するオートアジャスタを有したドラムブレーキを具え、
    該ドラムブレーキを用いた自動ブレーキにより走行状態を制御可能にした車両において、
    前記自動ブレーキの制動力を、前記オートアジャスタが作動してシュー間隙を自動調整し過ぎることのない範囲内に制限するよう構成したことを特徴とする自動ブレーキの制動力制御装置。
  2. 請求項1に記載の制動力制御装置において、前記オートアジャスタがシュー間隙を自動調整し過ぎることのない制動力の上限値を予めブレーキ温度ごとに求めておき、前記自動ブレーキの制動力が該ブレーキ温度ごとの上限値を越えることのないよう制限する構成にしたことを特徴とする自動ブレーキの制動力制御装置。
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