JP2004148917A - 小型滑走艇 - Google Patents
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Abstract
【課題】例えば、波頭間を連続的に飛び跳ねて滑走するような場合にも推力の低下が生じない小型滑走艇の提供。
【解決手段】エンジンEとは別体に構成されたスーパーチャージャー31は、該エンジンEの後方にてケーシング30上に、その回転軸(ロータシャフト)34をプロペラ軸27に対して平行を成すようにして載置されている。
【選択図】 図3
【解決手段】エンジンEとは別体に構成されたスーパーチャージャー31は、該エンジンEの後方にてケーシング30上に、その回転軸(ロータシャフト)34をプロペラ軸27に対して平行を成すようにして載置されている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所謂ジェット推進型の小型滑走艇に関する。
【0002】
【従来の技術】
所謂ジェット推進型の小型滑走艇は、レジャー用,スポーツ用として或いはレスキュー用として、近年多用されている。該小型滑走艇は、ハル及びデッキにより囲まれた艇内の空間にエンジンを備えている。そして、一般にハルの底面に設けられた吸水口から吸い込んだ水を、前記エンジンにより駆動されるウォータージェットポンプで加圧・加速して後方へ噴射することによって船体を推進させる。
【0003】
該小型滑走艇は、前記ウォータージェットポンプの噴射口の後方にステアリングノズルが配置されており、バー型操舵ハンドルを左右に操作することによって該ステアリングノズルを左右に揺動させることにより、水の噴射方向を左右に変更させて、艇を左側あるいは右側に操舵する。
【0004】
なお、艇の全周に渡って形成される前記ハル及びデッキの接続ラインはガンネルラインと称される。小型滑走艇は、該ガンネルラインが艇の喫水線より若干上方に位置するように構成されている。
【0005】
ところで、小型滑走艇では、同一のエンジン本体を用いて高出力を得るために様々の工夫が成されている。効率的にエンジンの出力を高める一つの手段として、燃焼室へより多くの空気(又は、より密度の高い空気)を送り込むための過給機を用いることが考えられ、従来にも該過給機としてターボチャージャーを搭載した小型滑走艇が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−146197号公報(第1〜8頁、第5,6図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
小型滑走艇では、比較的高速走行しているときなどには特に、波頭間を連続的に飛び跳ねて滑走するような場合がある。この場合、艇は跳び上がりと着水を繰り返す。そして、跳び上がった状態にあるとき、ウォータージェットポンプは空回りしてエンジンにかかる負荷は急激に低下する。エンジンにかかる負荷が急激に低下すると、該エンジンは高速回転するためターボチャージャーのタービンが高速回転して過給圧が急上昇する。
【0008】
ターボチャージャー等の過給機が設けられたエンジンには、過給圧が余りに上昇してしまうのを防止するため、一般に圧抜き用のバルブが設けられている。従って、上述したように艇が跳び上がって過給圧が急上昇したときには、該バルブによって圧抜きされる。その結果、艇が着水したときには過給圧が低下してしまう。また、ターボチャージャーは、排気を利用してタービンを回し、その回転によりコンプレッサが吸気を圧縮して送り出すため、スロットルバルブを開くときにターボラグというターボチャージャーに特有の現象が生じる。
【0009】
他方で、上述したように波頭間を連続的に飛び跳ねるように滑走する場合、ライダーは、着水の度に低下した過給圧を再び高めるため、スロットルバルブを開いてエンジン回転数を高めようとするのが一般的である。従って、着水してスロットルバルブを開く度にターボラグが生じることは避けられない。その結果、ターボチャージャーを搭載した小型滑走艇で波頭間を滑走する場合には、ターボラグに起因して、毎回の着水の度に推力が上昇するまで比較的時間がかかっている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る小型滑走艇は、後方へ水を噴射して艇を推進させるウォータージェットポンプを備えるジェット推進型の小型滑走艇において、前記ウォータージェットポンプを駆動させるエンジンと、該エンジンへ吸気を送り込むための機械駆動式のスーパーチャージャーとを備え、前記スーパーチャージャーは、前記エンジンとは別体に構成され、該エンジンの前方又は後方に配置されている。
【0011】
上述したような構成とした場合、排気を利用しない機械駆動式(例えば、クランクシャフトの機械的な回転を利用するもの)のスーパーチャージャーでは、ターボチャージャーに特有のターボラグという現象が生じない。
【0012】
また、エンジンのクランクシャフトにスーパーチャージャーを直結する場合、既存のエンジンには取り付けることが困難であり、エンジンを新規に設計し、或いは既存のエンジンの設計を変更する必要があり、その結果のエンジン構造も複雑化する。しかし上述したような構成とすることにより、スーパーチャージャーをエンジンとは別体に構成し、該エンジンの前方又は後方に配置しているため、エンジンの新規設計及び既存のエンジンの設計変更が不要であり、市販のスーパーチャージャーを採用することもできる。
【0013】
更に、エンジンとスーパーチャージャーとは共に動作中に振動を発生する。従って、両者を別個に設けることにより、互いの振動モードを変えて振動を低減することができる。
【0014】
また本発明に係る小型滑走艇は、後方へ水を噴射して艇を推進させるウォータージェットポンプを備えるジェット推進型の小型滑走艇において、前記ウォータージェットポンプを駆動させるエンジンと、該エンジンの出力を前記ウォータージェットポンプへ伝達するためのシャフトと、前記エンジンへ吸気を送り込むための機械駆動式のスーパーチャージャーとを備え、前記スーパーチャージャーは、前記エンジンとは別体であり、前記シャフトの回転に連動して駆動されるように構成されていてもよい。
【0015】
このような構成とすることにより、上述した効果に加えて、エンジンの出力シャフトの回転に連動して駆動させる構成(例えば、シャフトにプーリを取り付け、該シャフトの回転をベルトによりスーパーチャージャーへ伝達するような簡単な構成)により、エンジンの出力向上を実現することができる。
【0016】
また本発明は、前記スーパーチャージャーが、前記シャフトの回転に連動するロータシャフトを有し、該ロータシャフトが前記シャフトに対して平行を成すようにして設けられていてもよい。
【0017】
このような構成とすることにより、シャフトからロータシャフトへ回転を伝達させる構成を、例えば上述したようなプーリ及びベルトを用いてより簡単に実現することができる。
【0018】
また本発明は、エンジンの出力軸と前記シャフトとを連結するカップリング手段を更に備え、前記スーパーチャージャーは、内部で回転するロータを軸支するロータシャフトを有し、該ロータシャフトは、前記カップリング手段との間でベルト又はチェーンにより連結され、該カップリング手段の回転が前記ロータシャフトへ伝達されるべく成してあってもよい。
【0019】
このような構成とすることにより、ロータシャフトへ回転を伝達するためのプーリ又はスプロケット等を別個に設ける必要がなく、部品点数及びコストの削減、生産性の向上等を図ることができる。
【0020】
また本発明は、前記エンジンへの吸気を一時的に蓄える吸気ボックスを更に備え、前記スーパーチャージャーは、該吸気ボックス内に格納されていてもよい。
【0021】
このような構成とすることにより、スーパーチャージャーに水分が付着して錆びが発生するのを抑制することができる。
【0022】
また本発明は、前記シャフトを覆うケーシングを更に備え、前記スーパーチャージャーは、該ケーシング上に配置されていてもよい。
【0023】
このような構成とすることにより、シャフトに比較的近接した位置にスーパーチャージャーを配置でき、シャフトの回転を伝達させる構成をより簡略化することができる。
【0024】
また本発明は、前記エンジンが、4サイクルエンジンであってもよい。小型滑走艇に搭載されるエンジンは、従来の2サイクルエンジンから近年では4サイクルエンジンへと移行しつつある。そして本発明は、4サイクルエンジンにおいても上述したのと同様の効果を奏することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態にかかる小型滑走艇について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本実施の形態に係る小型滑走艇の側面図であり、図2は、図1に示す小型滑走艇の平面図である。図1に示す滑走艇はライダーがシート上に跨って乗る騎乗型の滑走艇であり、その船体Aは、ハルHと該ハルHの上部を覆うデッキDとから構成されている。船体Aの全周に渡る前記ハルHとデッキDとの接続ラインはガンネルラインGと称される。前記滑走艇は、該ガンネルラインGが喫水線Lより上方に位置するよう構成されている。
【0026】
図2に示すように、船体Aの上部におけるデッキDの略中央位置には、平面視にて略長方形状の開口部16が、船体Aの前後方向に長辺を沿うようにして設けられている。該開口部16の上方には、シートSが着脱可能にして取り付けられている。
【0027】
前記開口部16の下方にて前記ハルH及びデッキDにより囲まれた空間はエンジンルーム20を成しており、該エンジンルーム20内には、滑走艇を駆動させるエンジンEが搭載されている。また、前記エンジンルーム20は、横断面が凸状を成しており、下部に比して上部が狭くなるような形状を成している。本実施の形態において、該エンジンEは直列4気筒の4サイクルエンジンであり、図1に示すように、クランクシャフト26が船体Aの前後方向に沿うようにして配置されている。
【0028】
クランクシャフト26の出力端部は、カップリング手段26Cによりプロペラ軸27に接続され、更に、該プロペラ軸27は船体Aの後部に配置されたウォータージェットポンプPのポンプ軸21Sに接続されている。従って、クランクシャフト26の回転に連動してポンプ軸21Sは回転する。該ウォータージェットポンプPにはインペラ21が取り付けられており、該インペラ21の後方には静翼21Vが配置されている。前記インペラ21の周囲外側には、該インペラ21を覆うようにポンプケーシング21Cが設けられている。
【0029】
船体Aの底部には吸水口17が設けられており、該吸水口17と前記ポンプケーシング21Cとの間は吸水通路により接続されている。前記ポンプケーシング21Cは更に、船体Aの後部に設けられたポンプノズル21Rに接続されている。該ポンプノズル21Rは、後方へいくに従ってノズル径が小さくなるように構成されており、後端には噴射口21Kが配置されている。
【0030】
また、クランクシャフト26とポンプ軸21Sとの間に介装された前記プロペラ軸27は、前記吸水通路の壁面を貫通して設けられている。従って、エンジンEと吸水通路との間にてプロペラ軸27は船内側に露出しており、この部分のプロペラ軸27の一部分を覆うように別のケーシング30が設けられている。そして、該ケーシング30の前部上面には、過給機として、後述する機械駆動式のスーパーチャージャー31が載置されている。また、該スーパーチャージャー31とその前方に位置するエンジンEとの間には、エアクリーナーボックス32が配置されている。
【0031】
滑走艇は、前記吸水口17から吸入した水をウォータージェットポンプPにて加圧・加速し、また、静翼21Vにて整流して、前記ポンプノズル21Rを通じて前記噴射口21Kから後方へ吐出する。滑走艇は、噴射口21Kから吐き出された水の反動により、推進力を得る。
【0032】
図1,2に示す符号24は操舵ハンドルであり、該操舵ハンドル24は、ポンプノズル21Rの後方に配置されたステアリングノズル18との間にてケーブル25(図2にて一点鎖線により図示)を介して接続されている。前記操舵ハンドル24を左右に操作することにより、ステアリングノズル18は左右に揺動される。従って、ウォータージェットポンプPの動作中に操舵ハンドル24を操作することにより、ポンプノズル21Rを通じて外部へ吐き出される水の方向を変えることができ、滑走艇の向きを変えることができる。
【0033】
図1に示すように、船体A後部で前記ステアリングノズル18の上部には、ボウル状のデフレクタ19が配置されている。該デフレクタ19は、軸が滑走艇の左右方向に向けられた揺動軸19aによって支持され、該揺動軸19aを中心として上下方向へ揺動可能となっている。該デフレクタ19を揺動軸19aを中心に下方へ揺動させてステアリングノズル18の後方に位置させた場合、ステアリングノズル18から後方へ吐き出される水の吐出方向は、略前方へ変更されるようになっている。従ってこのとき、滑走艇を後進させることができる。
【0034】
図1,2に示すように、船体Aの後部には後部デッキ22が設けられている。該後部デッキ22には開閉式のハッチカバー29が設けられており、該ハッチカバー29の下には小容量の収納ボックスが形成されている。また、船体Aの前部には別のハッチカバー23が設けられており、該ハッチカバー23の下には所定容量を有する収納ボックスが形成されている。
【0035】
次に、本発明の要部を含む構成について説明する。図3は、スーパーチャージャー31とその周辺機器との構成を示す模式的斜視図である。図3に示すように、エンジンEの後方にはプロペラ軸27を覆うケーシング30が設けられている。また、図1に示すようにエンジンEが備えるクランクシャフト26の後端部はカップリング手段26Cを介してプロペラ軸27に連結され、該プロペラ軸27は図3に示すように前記ケーシング30の前部壁面を貫通している。
【0036】
スーパーチャージャー31は、ケーシング30の前部上面に載置されている。該スーパーチャージャー31は、エンジンEの動作に応じて駆動される機械駆動式であり、本実施の形態では所謂ルーツブロワ型のものを図示している。なお、ルーツブロワ型以外の機械駆動式スーパーチャージャー、例えばリショルムコンプレッサ型のスーパーチャージャーを用いてもよい。スーパーチャージャー31は、その内部空間にて上下に配置された2つのロータ33a,33bを備えており、一方のロータ33aの回転に連動して他方のロータ33bは回転する。スーパーチャージャー31は、前記ロータ33aのロータシャフト34がプロペラ軸27に対して平行を成すようにして配置されている。
【0037】
前記ロータシャフト34は、ケーシング30上に載置されたスーパーチャージャー31の前方へその端部が突出しており、該端部にはプーリ35が同軸的に取り付けられている。また、エンジンEとケーシング30との間にて、前記プーリ35の直下に位置するプロペラ軸27の部分にも、プーリ36が同軸上に取り付けられている。スーパーチャージャー31側のプーリ35とプロペラ軸27側のプーリ36との間にはベルト37が掛架されており、該ベルト37を介して両プーリ35,36は連動する。
【0038】
また、スーパーチャージャー31の一方の側部には、エアクリーナーボックス32(図1参照)から延設された管路38が接続され、エアクリーナーボックス32とスーパーチャージャー31の内部空間とは連通されている。スーパーチャージャー31の他方の側部には別の管路39の一端部が接続され、該管路39の他端部は、エンジンの吸気口に接続された吸気管(図示せず)に連結されている。
【0039】
上述したスーパーチャージャー31では、エンジンEが作動してプロペラ軸27が回転した場合、該プロペラ軸27と一体的に回転するプーリ36から、ベルト37を介してスーパーチャージャー31側のプーリ35へ回転が伝達され、その結果ロータ33a,33bが回転する。従って、エアクリーナーボックス32から管路38を通じてスーパーチャージャー31へ流入した空気は、ロータ33a,33bの回転により加速され、管路39及び吸気管を通じてエンジンEの燃焼室へ送り出される。
【0040】
このような構成を成す本実施の形態に係る小型滑走艇の場合、機械駆動式のスーパーチャージャー31を備えるため、ターボラグが生じず、波頭間を連続的に飛び跳ねて滑走する場合であっても推力の低下が生じない。また、スーパーチャージャー31はエンジンEとは別体に構成されているため、該スーパーチャージャー31を設けるに当たってエンジンの設計変更等が不要であり、市販のスーパーチャージャーを用いることもできる。また、スーパーチャージャー31とエンジンEとを別個に設けているため、夫々にて発生する振動が互いに伝わり難く、振動を低減することができる。
【0041】
また、スーパーチャージャー31をケーシング30上に載置し、そのロータシャフト34がプロペラ軸27に対して平行を成すようにしてあるため、プーリ35,36及びベルト37を用いた簡単な構成によってプロペラ軸27の回転をロータシャフト34へ伝達することができ、容易且つ安価にエンジンEの高出力化を実現することができる。
【0042】
また、ターボチャージャーを用いた場合は、一般にエンジンが低速回転している間は大きなトルクを発生させることが難しい。しかし、本実施の形態のようにスーパーチャージャー31を備えることにより、エンジンが低速回転しているときであっても、大きなトルクを発生することができる。
【0043】
なお、本実施の形態では、スーパーチャージャー31をエンジンEの後方にてケーシング30上に配置しているが、エンジンEの前方に配置してもよい。この場合、クランクシャフト26自身を前方へ延長し、又は該クランクシャフト26の前端部に延長軸を連結し、延長されたクランクシャフト26又は前記延長軸にプーリを設け、該プーリとスーパーチャージャー31側のプーリ35とをベルト37により繋げればよい。
【0044】
ところで、水上を滑走する小型滑走艇の場合、船体A内部に水が浸入することがあるため、一般に金属部材から成るスーパーチャージャー31は防水しておくことが好ましい。図4は、スーパーチャージャー31とその周辺機器との他の構成を示す模式図であり、スーパーチャージャー31を防水した構成を示している。以下、図4に示す構成を、図3に示す構成との違いに着目して説明する。
【0045】
図4に示す構成では、エアクリーナーボックス32はケーシング30の前部上面に載置されており、その壁部には該エアクリーナーボックス32内に空気を導くための管路40が取り付けられている。そして、該エアクリーナーボックス32内にスーパーチャージャー31が格納されている。
【0046】
スーパーチャージャー31は、その一方の側部に図3に示す管路38が接続されておらず、単に空気を取り入れるための吸気孔(開口)41が設けられている。そして、スーパーチャージャー31の他方の側部に接続された管路39は、エアクリーナーボックス32の壁部を貫通して外部へ延設され、エンジンEの吸気口(図示せず)に連結されている。その他、図4に示す構成のうち図3と同じ構成を成す部位には、図3にて用いたのと同じ符号を付している。
【0047】
エンジンEが作動した場合、プロペラ軸27の回転に連動してロータ33a,33bが回転し、管路40を通じてエアクリーナーボックス32へ空気が取り込まれる。該空気はエアクリーナーボックス32内のエレメント(図示せず)を通過し、前記吸気孔41を通じてスーパーチャージャー31へ送られる。そして、ロータ33a,33bの回転によって前記空気は加速され、管路39を通じてエンジンEの燃焼室へ送り出される。
【0048】
このような構成を成すスーパーチャージャー31によれば、スーパーチャージャー31がエアクリーナーボックス32内に格納されているため、船体A内に浸入した水が付着するのを防止できる。また、スーパーチャージャー31とエアクリーナーボックス32とを接続する管路が不要となる。
【0049】
また、図3及び図4では、スーパーチャージャー31側のプーリ35に対し、プロペラ軸27にプーリ36を独立して設けた構成について示しているが、このような構成に限られない。図5は、カップリング手段26Cと一体化されたプーリ42の構成を示す斜視図である。
【0050】
図5に示すように、カップリング手段26Cは、クランクシャフト26の後端に接続された継手43と、プロペラ軸27の前端に接続された継手44とを備えている。該継手43,44は、段付き円柱状を成して互いに同軸上に配置されており、互いの大径側が対向している。夫々の対向部は、互いに噛み合うように凹凸に形成されており、隙間にゴム製のダンパ45が介装されて連結されている。従って、クランクシャフト26の回転は、カップリング手段26Cを介すことによって回転方向及び軸長方向に若干の遊びを有し、プロペラ軸27へ伝えられる。
【0051】
前記継手43におけるクランクシャフト26の取り付け位置近傍には、継手43の周方向に溝部43aが形成されており、該溝部43aはプーリ42を成している。そして、該溝部43aと、図3又は図4に示すスーパーチャージャー31側のプーリ35との間には、ベルト37が掛架されている。
【0052】
このような構成とすることにより、クランクシャフト26又はプロペラ軸27側に独立してプーリを設ける必要がなく、カップリング手段26Cの一部分をプーリ42として兼用することができる。このように部品点数を削減することができ、また、独立したプーリを取り付ける作業も省くことができる。
【0053】
なお、継手43に代えて継手44に溝部を形成してプーリとしてもよい。また、カップリング手段26Cは、図5に示した構成に限られず、クランクシャフト26の回転をプロペラ軸27へ伝えることができる他の構成であってもよい。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、例えば、波頭間を連続的に飛び跳ねて滑走するような場合にも推力の低下が生じない小型滑走艇を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る小型滑走艇の側面図である。
【図2】図1に示す小型滑走艇の平面図である。
【図3】スーパーチャージャーとその周辺機器との構成を示す模式的斜視図である。
【図4】スーパーチャージャーとその周辺機器との他の構成を示す模式的斜視図である。
【図5】カップリング手段と一体化されたプーリの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
20 エンジンルーム
21C ポンプケーシング
26 クランクシャフト
27 プロペラ軸
30 ケーシング
31 スーパーチャージャー
32 エアクリーナーボックス
33a,33b ロータ
34 回転軸(ロータシャフト)
35,36,42 プーリ
37 ベルト
38,39 管路
A 船体
E エンジン
P ウォータージェットポンプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、所謂ジェット推進型の小型滑走艇に関する。
【0002】
【従来の技術】
所謂ジェット推進型の小型滑走艇は、レジャー用,スポーツ用として或いはレスキュー用として、近年多用されている。該小型滑走艇は、ハル及びデッキにより囲まれた艇内の空間にエンジンを備えている。そして、一般にハルの底面に設けられた吸水口から吸い込んだ水を、前記エンジンにより駆動されるウォータージェットポンプで加圧・加速して後方へ噴射することによって船体を推進させる。
【0003】
該小型滑走艇は、前記ウォータージェットポンプの噴射口の後方にステアリングノズルが配置されており、バー型操舵ハンドルを左右に操作することによって該ステアリングノズルを左右に揺動させることにより、水の噴射方向を左右に変更させて、艇を左側あるいは右側に操舵する。
【0004】
なお、艇の全周に渡って形成される前記ハル及びデッキの接続ラインはガンネルラインと称される。小型滑走艇は、該ガンネルラインが艇の喫水線より若干上方に位置するように構成されている。
【0005】
ところで、小型滑走艇では、同一のエンジン本体を用いて高出力を得るために様々の工夫が成されている。効率的にエンジンの出力を高める一つの手段として、燃焼室へより多くの空気(又は、より密度の高い空気)を送り込むための過給機を用いることが考えられ、従来にも該過給機としてターボチャージャーを搭載した小型滑走艇が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−146197号公報(第1〜8頁、第5,6図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
小型滑走艇では、比較的高速走行しているときなどには特に、波頭間を連続的に飛び跳ねて滑走するような場合がある。この場合、艇は跳び上がりと着水を繰り返す。そして、跳び上がった状態にあるとき、ウォータージェットポンプは空回りしてエンジンにかかる負荷は急激に低下する。エンジンにかかる負荷が急激に低下すると、該エンジンは高速回転するためターボチャージャーのタービンが高速回転して過給圧が急上昇する。
【0008】
ターボチャージャー等の過給機が設けられたエンジンには、過給圧が余りに上昇してしまうのを防止するため、一般に圧抜き用のバルブが設けられている。従って、上述したように艇が跳び上がって過給圧が急上昇したときには、該バルブによって圧抜きされる。その結果、艇が着水したときには過給圧が低下してしまう。また、ターボチャージャーは、排気を利用してタービンを回し、その回転によりコンプレッサが吸気を圧縮して送り出すため、スロットルバルブを開くときにターボラグというターボチャージャーに特有の現象が生じる。
【0009】
他方で、上述したように波頭間を連続的に飛び跳ねるように滑走する場合、ライダーは、着水の度に低下した過給圧を再び高めるため、スロットルバルブを開いてエンジン回転数を高めようとするのが一般的である。従って、着水してスロットルバルブを開く度にターボラグが生じることは避けられない。その結果、ターボチャージャーを搭載した小型滑走艇で波頭間を滑走する場合には、ターボラグに起因して、毎回の着水の度に推力が上昇するまで比較的時間がかかっている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る小型滑走艇は、後方へ水を噴射して艇を推進させるウォータージェットポンプを備えるジェット推進型の小型滑走艇において、前記ウォータージェットポンプを駆動させるエンジンと、該エンジンへ吸気を送り込むための機械駆動式のスーパーチャージャーとを備え、前記スーパーチャージャーは、前記エンジンとは別体に構成され、該エンジンの前方又は後方に配置されている。
【0011】
上述したような構成とした場合、排気を利用しない機械駆動式(例えば、クランクシャフトの機械的な回転を利用するもの)のスーパーチャージャーでは、ターボチャージャーに特有のターボラグという現象が生じない。
【0012】
また、エンジンのクランクシャフトにスーパーチャージャーを直結する場合、既存のエンジンには取り付けることが困難であり、エンジンを新規に設計し、或いは既存のエンジンの設計を変更する必要があり、その結果のエンジン構造も複雑化する。しかし上述したような構成とすることにより、スーパーチャージャーをエンジンとは別体に構成し、該エンジンの前方又は後方に配置しているため、エンジンの新規設計及び既存のエンジンの設計変更が不要であり、市販のスーパーチャージャーを採用することもできる。
【0013】
更に、エンジンとスーパーチャージャーとは共に動作中に振動を発生する。従って、両者を別個に設けることにより、互いの振動モードを変えて振動を低減することができる。
【0014】
また本発明に係る小型滑走艇は、後方へ水を噴射して艇を推進させるウォータージェットポンプを備えるジェット推進型の小型滑走艇において、前記ウォータージェットポンプを駆動させるエンジンと、該エンジンの出力を前記ウォータージェットポンプへ伝達するためのシャフトと、前記エンジンへ吸気を送り込むための機械駆動式のスーパーチャージャーとを備え、前記スーパーチャージャーは、前記エンジンとは別体であり、前記シャフトの回転に連動して駆動されるように構成されていてもよい。
【0015】
このような構成とすることにより、上述した効果に加えて、エンジンの出力シャフトの回転に連動して駆動させる構成(例えば、シャフトにプーリを取り付け、該シャフトの回転をベルトによりスーパーチャージャーへ伝達するような簡単な構成)により、エンジンの出力向上を実現することができる。
【0016】
また本発明は、前記スーパーチャージャーが、前記シャフトの回転に連動するロータシャフトを有し、該ロータシャフトが前記シャフトに対して平行を成すようにして設けられていてもよい。
【0017】
このような構成とすることにより、シャフトからロータシャフトへ回転を伝達させる構成を、例えば上述したようなプーリ及びベルトを用いてより簡単に実現することができる。
【0018】
また本発明は、エンジンの出力軸と前記シャフトとを連結するカップリング手段を更に備え、前記スーパーチャージャーは、内部で回転するロータを軸支するロータシャフトを有し、該ロータシャフトは、前記カップリング手段との間でベルト又はチェーンにより連結され、該カップリング手段の回転が前記ロータシャフトへ伝達されるべく成してあってもよい。
【0019】
このような構成とすることにより、ロータシャフトへ回転を伝達するためのプーリ又はスプロケット等を別個に設ける必要がなく、部品点数及びコストの削減、生産性の向上等を図ることができる。
【0020】
また本発明は、前記エンジンへの吸気を一時的に蓄える吸気ボックスを更に備え、前記スーパーチャージャーは、該吸気ボックス内に格納されていてもよい。
【0021】
このような構成とすることにより、スーパーチャージャーに水分が付着して錆びが発生するのを抑制することができる。
【0022】
また本発明は、前記シャフトを覆うケーシングを更に備え、前記スーパーチャージャーは、該ケーシング上に配置されていてもよい。
【0023】
このような構成とすることにより、シャフトに比較的近接した位置にスーパーチャージャーを配置でき、シャフトの回転を伝達させる構成をより簡略化することができる。
【0024】
また本発明は、前記エンジンが、4サイクルエンジンであってもよい。小型滑走艇に搭載されるエンジンは、従来の2サイクルエンジンから近年では4サイクルエンジンへと移行しつつある。そして本発明は、4サイクルエンジンにおいても上述したのと同様の効果を奏することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態にかかる小型滑走艇について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本実施の形態に係る小型滑走艇の側面図であり、図2は、図1に示す小型滑走艇の平面図である。図1に示す滑走艇はライダーがシート上に跨って乗る騎乗型の滑走艇であり、その船体Aは、ハルHと該ハルHの上部を覆うデッキDとから構成されている。船体Aの全周に渡る前記ハルHとデッキDとの接続ラインはガンネルラインGと称される。前記滑走艇は、該ガンネルラインGが喫水線Lより上方に位置するよう構成されている。
【0026】
図2に示すように、船体Aの上部におけるデッキDの略中央位置には、平面視にて略長方形状の開口部16が、船体Aの前後方向に長辺を沿うようにして設けられている。該開口部16の上方には、シートSが着脱可能にして取り付けられている。
【0027】
前記開口部16の下方にて前記ハルH及びデッキDにより囲まれた空間はエンジンルーム20を成しており、該エンジンルーム20内には、滑走艇を駆動させるエンジンEが搭載されている。また、前記エンジンルーム20は、横断面が凸状を成しており、下部に比して上部が狭くなるような形状を成している。本実施の形態において、該エンジンEは直列4気筒の4サイクルエンジンであり、図1に示すように、クランクシャフト26が船体Aの前後方向に沿うようにして配置されている。
【0028】
クランクシャフト26の出力端部は、カップリング手段26Cによりプロペラ軸27に接続され、更に、該プロペラ軸27は船体Aの後部に配置されたウォータージェットポンプPのポンプ軸21Sに接続されている。従って、クランクシャフト26の回転に連動してポンプ軸21Sは回転する。該ウォータージェットポンプPにはインペラ21が取り付けられており、該インペラ21の後方には静翼21Vが配置されている。前記インペラ21の周囲外側には、該インペラ21を覆うようにポンプケーシング21Cが設けられている。
【0029】
船体Aの底部には吸水口17が設けられており、該吸水口17と前記ポンプケーシング21Cとの間は吸水通路により接続されている。前記ポンプケーシング21Cは更に、船体Aの後部に設けられたポンプノズル21Rに接続されている。該ポンプノズル21Rは、後方へいくに従ってノズル径が小さくなるように構成されており、後端には噴射口21Kが配置されている。
【0030】
また、クランクシャフト26とポンプ軸21Sとの間に介装された前記プロペラ軸27は、前記吸水通路の壁面を貫通して設けられている。従って、エンジンEと吸水通路との間にてプロペラ軸27は船内側に露出しており、この部分のプロペラ軸27の一部分を覆うように別のケーシング30が設けられている。そして、該ケーシング30の前部上面には、過給機として、後述する機械駆動式のスーパーチャージャー31が載置されている。また、該スーパーチャージャー31とその前方に位置するエンジンEとの間には、エアクリーナーボックス32が配置されている。
【0031】
滑走艇は、前記吸水口17から吸入した水をウォータージェットポンプPにて加圧・加速し、また、静翼21Vにて整流して、前記ポンプノズル21Rを通じて前記噴射口21Kから後方へ吐出する。滑走艇は、噴射口21Kから吐き出された水の反動により、推進力を得る。
【0032】
図1,2に示す符号24は操舵ハンドルであり、該操舵ハンドル24は、ポンプノズル21Rの後方に配置されたステアリングノズル18との間にてケーブル25(図2にて一点鎖線により図示)を介して接続されている。前記操舵ハンドル24を左右に操作することにより、ステアリングノズル18は左右に揺動される。従って、ウォータージェットポンプPの動作中に操舵ハンドル24を操作することにより、ポンプノズル21Rを通じて外部へ吐き出される水の方向を変えることができ、滑走艇の向きを変えることができる。
【0033】
図1に示すように、船体A後部で前記ステアリングノズル18の上部には、ボウル状のデフレクタ19が配置されている。該デフレクタ19は、軸が滑走艇の左右方向に向けられた揺動軸19aによって支持され、該揺動軸19aを中心として上下方向へ揺動可能となっている。該デフレクタ19を揺動軸19aを中心に下方へ揺動させてステアリングノズル18の後方に位置させた場合、ステアリングノズル18から後方へ吐き出される水の吐出方向は、略前方へ変更されるようになっている。従ってこのとき、滑走艇を後進させることができる。
【0034】
図1,2に示すように、船体Aの後部には後部デッキ22が設けられている。該後部デッキ22には開閉式のハッチカバー29が設けられており、該ハッチカバー29の下には小容量の収納ボックスが形成されている。また、船体Aの前部には別のハッチカバー23が設けられており、該ハッチカバー23の下には所定容量を有する収納ボックスが形成されている。
【0035】
次に、本発明の要部を含む構成について説明する。図3は、スーパーチャージャー31とその周辺機器との構成を示す模式的斜視図である。図3に示すように、エンジンEの後方にはプロペラ軸27を覆うケーシング30が設けられている。また、図1に示すようにエンジンEが備えるクランクシャフト26の後端部はカップリング手段26Cを介してプロペラ軸27に連結され、該プロペラ軸27は図3に示すように前記ケーシング30の前部壁面を貫通している。
【0036】
スーパーチャージャー31は、ケーシング30の前部上面に載置されている。該スーパーチャージャー31は、エンジンEの動作に応じて駆動される機械駆動式であり、本実施の形態では所謂ルーツブロワ型のものを図示している。なお、ルーツブロワ型以外の機械駆動式スーパーチャージャー、例えばリショルムコンプレッサ型のスーパーチャージャーを用いてもよい。スーパーチャージャー31は、その内部空間にて上下に配置された2つのロータ33a,33bを備えており、一方のロータ33aの回転に連動して他方のロータ33bは回転する。スーパーチャージャー31は、前記ロータ33aのロータシャフト34がプロペラ軸27に対して平行を成すようにして配置されている。
【0037】
前記ロータシャフト34は、ケーシング30上に載置されたスーパーチャージャー31の前方へその端部が突出しており、該端部にはプーリ35が同軸的に取り付けられている。また、エンジンEとケーシング30との間にて、前記プーリ35の直下に位置するプロペラ軸27の部分にも、プーリ36が同軸上に取り付けられている。スーパーチャージャー31側のプーリ35とプロペラ軸27側のプーリ36との間にはベルト37が掛架されており、該ベルト37を介して両プーリ35,36は連動する。
【0038】
また、スーパーチャージャー31の一方の側部には、エアクリーナーボックス32(図1参照)から延設された管路38が接続され、エアクリーナーボックス32とスーパーチャージャー31の内部空間とは連通されている。スーパーチャージャー31の他方の側部には別の管路39の一端部が接続され、該管路39の他端部は、エンジンの吸気口に接続された吸気管(図示せず)に連結されている。
【0039】
上述したスーパーチャージャー31では、エンジンEが作動してプロペラ軸27が回転した場合、該プロペラ軸27と一体的に回転するプーリ36から、ベルト37を介してスーパーチャージャー31側のプーリ35へ回転が伝達され、その結果ロータ33a,33bが回転する。従って、エアクリーナーボックス32から管路38を通じてスーパーチャージャー31へ流入した空気は、ロータ33a,33bの回転により加速され、管路39及び吸気管を通じてエンジンEの燃焼室へ送り出される。
【0040】
このような構成を成す本実施の形態に係る小型滑走艇の場合、機械駆動式のスーパーチャージャー31を備えるため、ターボラグが生じず、波頭間を連続的に飛び跳ねて滑走する場合であっても推力の低下が生じない。また、スーパーチャージャー31はエンジンEとは別体に構成されているため、該スーパーチャージャー31を設けるに当たってエンジンの設計変更等が不要であり、市販のスーパーチャージャーを用いることもできる。また、スーパーチャージャー31とエンジンEとを別個に設けているため、夫々にて発生する振動が互いに伝わり難く、振動を低減することができる。
【0041】
また、スーパーチャージャー31をケーシング30上に載置し、そのロータシャフト34がプロペラ軸27に対して平行を成すようにしてあるため、プーリ35,36及びベルト37を用いた簡単な構成によってプロペラ軸27の回転をロータシャフト34へ伝達することができ、容易且つ安価にエンジンEの高出力化を実現することができる。
【0042】
また、ターボチャージャーを用いた場合は、一般にエンジンが低速回転している間は大きなトルクを発生させることが難しい。しかし、本実施の形態のようにスーパーチャージャー31を備えることにより、エンジンが低速回転しているときであっても、大きなトルクを発生することができる。
【0043】
なお、本実施の形態では、スーパーチャージャー31をエンジンEの後方にてケーシング30上に配置しているが、エンジンEの前方に配置してもよい。この場合、クランクシャフト26自身を前方へ延長し、又は該クランクシャフト26の前端部に延長軸を連結し、延長されたクランクシャフト26又は前記延長軸にプーリを設け、該プーリとスーパーチャージャー31側のプーリ35とをベルト37により繋げればよい。
【0044】
ところで、水上を滑走する小型滑走艇の場合、船体A内部に水が浸入することがあるため、一般に金属部材から成るスーパーチャージャー31は防水しておくことが好ましい。図4は、スーパーチャージャー31とその周辺機器との他の構成を示す模式図であり、スーパーチャージャー31を防水した構成を示している。以下、図4に示す構成を、図3に示す構成との違いに着目して説明する。
【0045】
図4に示す構成では、エアクリーナーボックス32はケーシング30の前部上面に載置されており、その壁部には該エアクリーナーボックス32内に空気を導くための管路40が取り付けられている。そして、該エアクリーナーボックス32内にスーパーチャージャー31が格納されている。
【0046】
スーパーチャージャー31は、その一方の側部に図3に示す管路38が接続されておらず、単に空気を取り入れるための吸気孔(開口)41が設けられている。そして、スーパーチャージャー31の他方の側部に接続された管路39は、エアクリーナーボックス32の壁部を貫通して外部へ延設され、エンジンEの吸気口(図示せず)に連結されている。その他、図4に示す構成のうち図3と同じ構成を成す部位には、図3にて用いたのと同じ符号を付している。
【0047】
エンジンEが作動した場合、プロペラ軸27の回転に連動してロータ33a,33bが回転し、管路40を通じてエアクリーナーボックス32へ空気が取り込まれる。該空気はエアクリーナーボックス32内のエレメント(図示せず)を通過し、前記吸気孔41を通じてスーパーチャージャー31へ送られる。そして、ロータ33a,33bの回転によって前記空気は加速され、管路39を通じてエンジンEの燃焼室へ送り出される。
【0048】
このような構成を成すスーパーチャージャー31によれば、スーパーチャージャー31がエアクリーナーボックス32内に格納されているため、船体A内に浸入した水が付着するのを防止できる。また、スーパーチャージャー31とエアクリーナーボックス32とを接続する管路が不要となる。
【0049】
また、図3及び図4では、スーパーチャージャー31側のプーリ35に対し、プロペラ軸27にプーリ36を独立して設けた構成について示しているが、このような構成に限られない。図5は、カップリング手段26Cと一体化されたプーリ42の構成を示す斜視図である。
【0050】
図5に示すように、カップリング手段26Cは、クランクシャフト26の後端に接続された継手43と、プロペラ軸27の前端に接続された継手44とを備えている。該継手43,44は、段付き円柱状を成して互いに同軸上に配置されており、互いの大径側が対向している。夫々の対向部は、互いに噛み合うように凹凸に形成されており、隙間にゴム製のダンパ45が介装されて連結されている。従って、クランクシャフト26の回転は、カップリング手段26Cを介すことによって回転方向及び軸長方向に若干の遊びを有し、プロペラ軸27へ伝えられる。
【0051】
前記継手43におけるクランクシャフト26の取り付け位置近傍には、継手43の周方向に溝部43aが形成されており、該溝部43aはプーリ42を成している。そして、該溝部43aと、図3又は図4に示すスーパーチャージャー31側のプーリ35との間には、ベルト37が掛架されている。
【0052】
このような構成とすることにより、クランクシャフト26又はプロペラ軸27側に独立してプーリを設ける必要がなく、カップリング手段26Cの一部分をプーリ42として兼用することができる。このように部品点数を削減することができ、また、独立したプーリを取り付ける作業も省くことができる。
【0053】
なお、継手43に代えて継手44に溝部を形成してプーリとしてもよい。また、カップリング手段26Cは、図5に示した構成に限られず、クランクシャフト26の回転をプロペラ軸27へ伝えることができる他の構成であってもよい。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、例えば、波頭間を連続的に飛び跳ねて滑走するような場合にも推力の低下が生じない小型滑走艇を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る小型滑走艇の側面図である。
【図2】図1に示す小型滑走艇の平面図である。
【図3】スーパーチャージャーとその周辺機器との構成を示す模式的斜視図である。
【図4】スーパーチャージャーとその周辺機器との他の構成を示す模式的斜視図である。
【図5】カップリング手段と一体化されたプーリの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
20 エンジンルーム
21C ポンプケーシング
26 クランクシャフト
27 プロペラ軸
30 ケーシング
31 スーパーチャージャー
32 エアクリーナーボックス
33a,33b ロータ
34 回転軸(ロータシャフト)
35,36,42 プーリ
37 ベルト
38,39 管路
A 船体
E エンジン
P ウォータージェットポンプ
Claims (7)
- 後方へ水を噴射して艇を推進させるウォータージェットポンプを備えるジェット推進型の小型滑走艇において、
前記ウォータージェットポンプを駆動させるエンジンと、該エンジンへ吸気を送り込むための機械駆動式のスーパーチャージャーとを備え、
前記スーパーチャージャーは、前記エンジンとは別体に構成され、該エンジンの前方又は後方に配置されている
ことを特徴とする小型滑走艇。 - 後方へ水を噴射して艇を推進させるウォータージェットポンプを備えるジェット推進型の小型滑走艇において、
前記ウォータージェットポンプを駆動させるエンジンと、該エンジンの出力を前記ウォータージェットポンプへ伝達するためのシャフトと、前記エンジンへ吸気を送り込むための機械駆動式のスーパーチャージャーとを備え、
前記スーパーチャージャーは、前記エンジンとは別体であり、前記シャフトの回転に連動して駆動されるように構成されている
ことを特徴とする小型滑走艇。 - 前記スーパーチャージャーは、前記シャフトの回転に連動するロータシャフトを有し、該ロータシャフトが前記シャフトに対して平行を成すようにして設けられていることを特徴とする請求項2に記載の小型滑走艇。
- エンジンの出力軸と前記シャフトとを連結するカップリング手段を更に備え、前記スーパーチャージャーは、内部で回転するロータを軸支するロータシャフトを有し、該ロータシャフトは、前記カップリング手段との間でベルト又はチェーンにより連結され、該カップリング手段の回転が前記ロータシャフトへ伝達されるべく成してあることを特徴とする請求項2に記載の小型滑走艇。
- 前記エンジンへの吸気を一時的に蓄える吸気ボックスを更に備え、前記スーパーチャージャーは、該吸気ボックス内に格納されていることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の小型滑走艇。
- 前記シャフトを覆うケーシングを更に備え、前記スーパーチャージャーは、該ケーシング上に配置されていることを特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載の小型滑走艇。
- 前記エンジンは、4サイクルエンジンであることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の小型滑走艇。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060110 |