JP2004148879A - 自動車のエアバッグ装置 - Google Patents
自動車のエアバッグ装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004148879A JP2004148879A JP2002313384A JP2002313384A JP2004148879A JP 2004148879 A JP2004148879 A JP 2004148879A JP 2002313384 A JP2002313384 A JP 2002313384A JP 2002313384 A JP2002313384 A JP 2002313384A JP 2004148879 A JP2004148879 A JP 2004148879A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gas
- compartments
- airbag
- compartment
- vehicle body
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Air Bags (AREA)
Abstract
【課題】自動車の衝突時に、エアバッグ内の複数の各区画室にガス発生装置によりガスを供給させてそれぞれ所定のガス圧力に到達させる場合に、これら各区画室を所定のガス圧力に到達させる時間をそれぞれ所望時間にできるようにする。
【解決手段】自動車のエアバッグ装置11が、内部が複数の区画室18〜20に区画されたエアバッグ12と、衝突時にガス13を噴出しこのガス13をエアバッグ12内に供給して展開かつ膨張させるガス発生装置14とを備える。ガス発生装置14がガス13を噴出する複数のガス噴出口35を備える。エアバッグ12の各区画室18〜20のそれぞれ少なくとも一部分をガス発生装置14の近傍に配置すると共に、各一部分にそれぞれ開口38を成形する。ガス発生装置14から噴出したガス13により所定のガス圧力をより速く得ようとする区画室20の開口38を、ガス噴出口35のより広い開口面積に対向させる。
【選択図】 図1
【解決手段】自動車のエアバッグ装置11が、内部が複数の区画室18〜20に区画されたエアバッグ12と、衝突時にガス13を噴出しこのガス13をエアバッグ12内に供給して展開かつ膨張させるガス発生装置14とを備える。ガス発生装置14がガス13を噴出する複数のガス噴出口35を備える。エアバッグ12の各区画室18〜20のそれぞれ少なくとも一部分をガス発生装置14の近傍に配置すると共に、各一部分にそれぞれ開口38を成形する。ガス発生装置14から噴出したガス13により所定のガス圧力をより速く得ようとする区画室20の開口38を、ガス噴出口35のより広い開口面積に対向させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、自動車の衝突時に、車体の内壁面からこの車体内の乗員に与えられようとする衝撃力を緩和するようにした自動車のエアバッグ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
【特許文献1】特開平9‐272396号公報
【0004】
上記自動車のエアバッグ装置には、従来、上記特許文献1に示されたものがある。これによれば、車体内の乗員と車体の内壁面との間に収縮状態で配置されその内部が複数の区画室に区画されたエアバッグと、衝突時にガスを噴出しこのガスを上記エアバッグ内に供給して展開かつ膨張させるガス発生装置とを備え、上記エアバッグの各区画室は、このエアバッグに設けた仕切り部により成形され、上記各区画室の一つである第1区画室に上記ガス発生装置から噴出したガスが供給されるようになっており、また、上記仕切り部は多くの通気孔を有している。
【0005】
自動車の側突時には、上記ガス発生装置がガスを噴出して、このガスは、まず、上記第1区画室に供給されることにより、この第1区画室が展開かつ膨張させられ、所定のガス圧力に到達させられる。一方、上記ガスは、第1区画室から上記各仕切り部の通気孔を通って他の区画室に供給されることにより、これら各他の区画室が展開かつ膨張させられて所定のガス圧力に到達させられる。
【0006】
そして、上記のように膨張させられた各区画室により、車体の内壁面から乗員の部分に与えられようとする衝撃力がそれぞれ緩和される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1のものでは、上記したように他の区画室へのガスの供給は、上記第1区画室を通った後になされるため、上記他の区画室へのガスの供給に時間を要し、つまり、上記他の区画室が所定のガス圧力に到達する時間が、所望時間よりも遅くなるおそれがある。そこで、上記仕切り部の通気性をより良くして、他の区画室へのガスの供給に遅れが生じないようにすることが考えられるが、このようにすると、上記第1区画室が所定のガス圧力に到達するまでに時間を要して、所望時間よりも遅くなるおそれがある。即ち、上記特許文献1のものでは、各区画室を所定のガス圧力に到達させる時間をそれぞれ所望時間にさせることは困難である。
【0008】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、自動車の衝突時に、エアバッグ内の複数の各区画室にガス発生装置によりガスを供給させてそれぞれ所定のガス圧力に到達させる場合に、これら各区画室を所定のガス圧力に到達させる時間をそれぞれ所望時間にできるようにすることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の自動車のエアバッグ装置は、次の如くである。なお、この項において各用語に付記した符号は、本発明の技術的範囲を後述の「発明の実施の形態」の項の内容に限定解釈するものではない。
【0010】
請求項1の発明は、車体1内の乗員4と車体1の内壁面との間に収縮状態で配置されその内部が複数の区画室18〜20に区画されたエアバッグ12と、衝突時にガス13を噴出しこのガス13を上記エアバッグ12内に供給して展開かつ膨張させるガス発生装置14とを備えた自動車のエアバッグ装置において、
【0011】
上記ガス発生装置14がガス13を噴出する複数のガス噴出口35を備え、上記エアバッグ12の各区画室18〜20のそれぞれ少なくとも一部分を上記ガス発生装置14の近傍に配置すると共に、上記各一部分にそれぞれ開口38を成形し、上記ガス発生装置14から噴出したガス13により所定のガス圧力をより速く得ようとする区画室20の開口38を、上記ガス噴出口35のより広い開口面積に対向させたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
【0014】
図1〜6は、第1の実施の形態を示している。
【0015】
図において、符号1は自動車の車体で、矢印Frはこの自動車の前方を示している。また、下記する左右とは上記前方に向っての車体1の幅方向をいうものとする。
【0016】
上記車体1の内部が車室2とされ、この車室2の一側部にシート3が設けられている。このシート3は、車体1のフロアパネルに支持され乗員4が腰掛け可能とされるシートクッション5と、このシートクッション5の後端部から上方に向けて突設され上記シート3に腰掛けた乗員4が背もたれ可能とされるシートバック6とを備え、また、このシートバック6は、その骨格をなす板金製のシートバックフレーム7と、このシートバックフレーム7を覆ってこのシートバックフレーム7に支持されるシートバックパッド8とを備えている。上記シート3の一側方における車体1の側壁9はサイドドアで構成されている。
【0017】
上記シート3に着座した乗員4と、車体1の側壁9の内壁面との間に側突(衝突)用のエアバッグ装置11が設けられ、このエアバッグ装置11は、上記シートバック6の側壁9側の端部内に組み込まれている。上記エアバッグ装置11は、上記車体1の幅方向で、上記乗員4と側壁9との間に収縮状態で配置されるエアバッグ12と、自動車の側突時に、この側突の衝撃を検出したセンサーの検出信号により爆発してガス13を噴出しこのガス13を上記エアバッグ12内に瞬間的に供給して展開させ、かつ、膨張させるインフレータであるガス発生装置14とを備えている。
【0018】
上記エアバッグ装置11は、その内部が上下方向で複数(2つ)の縫合である仕切り部17により上下方向で複数(3つ)の上、中間、下区画室18〜20に区画され、これら上、中間、下区画室18〜20は上記エアバッグ装置11の上、中間、下部分22〜24により成形されている。そして、これら上、中間、下部分22〜24は、車体1の幅方向で、上記シート3に着座した乗員4の胸部26、腹部27、腰部28に対応している。
【0019】
上記ガス発生装置14は、軸心31が車体1の幅方向に延び上記シートバックフレーム7の上記側壁9側の部分に締結具32により固着される円盤形状のケース33と、このケース33に内有されて衝突時に爆発してガス13を発生する火薬34と、上記ケース33の内外を連通させるようその周壁に周方向等間隔に成形され上記ケース33の内部から外部に向って上記ガス13を噴出させる複数のガス噴出口35とを備え、これら各ガス噴出口35は互いに同形同大で円形とされている。この場合、上記シートバックフレーム7の上記側壁9側の部分には上記軸心31上で円形の貫通孔36が成形され、この貫通孔36に上記ガス噴出口35を有しないケース33の部分が嵌入され、上記シートバックフレーム7で囲まれたシートクッション5内部の空間37が、上記ガス発生装置14のケース33の配置に利用されている。
【0020】
上記各区画室18〜20のそれぞれ少なくとも一部分である後端部が上記ガス発生装置14のケース33のガス噴出口35群の近傍に配置され、上記各区画室18〜20の各後端部にそれぞれ上記ガス噴出口35群に向って開く開口38が成形されている。この場合、上記各ガス噴出口35から噴出したガス13により、所定のガス圧力をより速く得ようとする下区画室20の開口38が、上記ガス噴出口35における、より広い開口面積に対向させられている。
【0021】
より具体的には、上記乗員4の腰部28に対応するエアバッグ12の下部分24内の下区画室20における開口38がより多数のガス噴出口35(A)に対向させられている。また、このガス噴出口35(A)よりも少数のガス噴出口35(B)に、上記乗員4の胸部26に対応するエアバッグ12の上部分22内の上区画室18における開口38が対向させられている。また、上記ガス噴出口35(B)よりも更に少数のガス噴出口35(C)に、上記乗員4の腹部27に対応するエアバッグ12の中間部分23内の中間区画室19における開口38が対向させられている。
【0022】
このため、自動車の側突時に、上記火薬34が爆発してガス13が上記ガス噴出口35から噴射するとき、より多数のガス噴出口35(A)から噴出するガス13により、上記エアバッグ12の下部分24内の下区画室20が所定のガス圧力に、より速い所望時間(T1)で到達する。このため、上記ガス圧力によって剛性が高くされた下部分24により、上記乗員4の胸部26、腹部27、腰部28のうち、より重い腰部28に対し車体1の側壁9の内壁面から与えられようとする衝撃力が緩和されて腰部28が保護されると共に、乗員がシート3上の元の位置から全体的に大きくずれるということが防止される。
【0023】
一方、上記ガス噴出口35(B)から噴出するガス13により、上記エアバッグ12の上部分22内の上区画室18が所定のガス圧力に上記時間(T1)よりも遅い所望時間(T2)で到達する。このため、このガス圧力によって剛性が高くされる以前の軟らかい上記上部分22により、上記乗員4の胸部26に対し側壁9の内壁面から与えられようとする衝撃力が効果的に緩和されて胸部26が保護される。
【0024】
一方、上記ガス噴出口35(C)から噴出するガス13により、上記エアバッグ12の中間部分23内の中間区画室19が所定のガス圧力に上記時間(T2)よりも遅い所望時間(T3)で到達する。このため、このガス圧力によって剛性が高くされる以前のかなり軟らかい上記中間部分23により、上記乗員4の軟らかい腹部27に対し側壁9の内壁面から与えられようとする衝撃力がより効果的に緩和されて腹部27が保護される。
【0025】
また、上記構成において、エアバッグ12の一端部(後端部)が上記ガス発生装置14のケース33のガス噴出口35群の近傍に配置され、上記各ガス噴出口35から噴出するガス13を上記エアバッグ12の他端部(前端部)側に向って案内する板金製のガイド体41が設けられている。このガイド体41は、上記ケース33に固着され、上記ガス噴出口35群の後部をその後方から少し離れて覆う円弧板42と、この円弧板42に固着され上記ケース33の上記側壁9側の端面を覆う半円板43とを備えている。
【0026】
このため、上記各ガス噴出口35から噴出したガス13は上記ガイド体41に案内されて上記エアバッグ12の奥部に強制的に向わされることから、その分、上記各区画室18〜20へのガス13の供給が、より迅速になされて、上記各区画室18〜20はそれぞれ所望時間で所定のガス圧力に到達させられる。よって、これら各区画室18〜20に対応する乗員4の各部分に対し車体1の内壁面から与えられようとする衝撃力がそれぞれより確実に緩和されて、上記乗員4の各部分の保護がより確実になされる。
【0027】
なお、以上は図示の例によるが、エアバッグ12の仕切り部17を1つや3つ以上とし、区画室18〜20を2つや4つ以上にしてもよい。また、上記構成に加え、上記各区画室18〜20を膨張させたときの体積に比例するよう、その各開口38を上記ガス噴出口35のより広い開口面積に対向させてもよい。
【0028】
以下の各図は、第2〜4の実施の形態を示している。これら各実施の形態は、前記第1の実施の形態と構成、作用効果において多くの点で共通している。そこで、これら共通するものについては、図面に共通の符号を付してその重複した説明を省略し、異なる点につき主に説明する。また、これら各実施の形態における各部分の構成を、本発明の課題、作用効果に照らして種々組み合せてもよい。
【0029】
(第2の実施の形態)
【0030】
図7は、第2の実施の形態を示している。
【0031】
これによれば、ガス発生装置14のケース33は、火薬34を収納して貫通孔36に嵌入される円形パイプ形状の収納ケース45と、この収納ケース45に固着されると共に全体的に上記エアバッグ12内に収容されて上記各ガス噴出口35を有する円盤形状のケース本体46とを備えている。
【0032】
(第3の実施の形態)
【0033】
図8,9は、第3の実施の形態を示している。
【0034】
これによれば、ガイド体41は、上記軸心31上に位置してケース33に固着され、上記ガス噴出口35群を上記ケース33の径方向外方から少し離れて覆う円筒体48を備えている。上記各ガス噴出口35から噴出させられたガス13は、まず、上記ケース33の軸方向外方に向うよう案内されて、上記ケース33を迂回させられ、この後、上記エアバッグ12の奥部に迅速に向わされる。
【0035】
(第4の実施の形態)
【0036】
図10,11は、第43の実施の形態を示している。
【0037】
これによれば、ガイド体41は、上記第3の実施の形態の円筒体48と、この円筒体48の自由端側の開口を閉じる閉じ板49とを備え、上記円筒体48にはその接線方向の外方に向って上記ガス13を案内する案内孔50が成形され、この案内孔50は周方向等間隔に配置され、互いに同形同大とされている。
【0038】
【発明の効果】
本発明による効果は、次の如くである。
【0039】
請求項1の発明は、車体内の乗員と車体の内壁面との間に収縮状態で配置されその内部が複数の区画室に区画されたエアバッグと、衝突時にガスを噴出しこのガスを上記エアバッグ内に供給して展開かつ膨張させるガス発生装置とを備えた自動車のエアバッグ装置において、
【0040】
上記ガス発生装置がガスを噴出する複数のガス噴出口を備え、上記エアバッグの各区画室のそれぞれ少なくとも一部分を上記ガス発生装置の近傍に配置すると共に、上記各一部分にそれぞれ開口を成形し、上記ガス発生装置から噴出したガスにより所定のガス圧力をより速く得ようとする区画室の開口を、上記ガス噴出口のより広い開口面積に対向させてある。
【0041】
このため、自動車の側突時に、上記ガス発生装置によりガスが上記各ガス噴出口から噴出させられるとき、所定のガス圧力をより速く得ようとする区画室には、上記したより広い開口面積のガス噴出口から、より多量のガスが迅速に供給されることとなって、上記区画室は所望時間で所定のガス圧力に到達させられる。よって、この区画室に対応する乗員の部分に対し車体の内壁面から与えられようとする衝撃力が緩和されて、上記乗員の部分が保護される。
【0042】
また、他の区画室の各開口も上記ガス噴出口に直接に対向させてあるため、これら各ガス噴出口から噴出させられるガスは上記他の区画室へもそれぞれ開口を通し直接に迅速に供給されることから、上記他の区画室もその所望時間で所定のガス圧力に到達させられる。よって、上記他の区画室に対応する乗員の他の部分に対し車体の内壁面から与えられようとする衝撃力も、より確実に緩和されて、上記乗員の他の部分も保護される。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態で、シートとエアバッグ装置とを車体の右側外方からみた側面部分断面図である。
【図2】第1の実施の形態で、車体の内部の斜視図である。
【図3】第1の実施の形態で、シートの斜視部分破断図である。
【図4】第1の実施の形態で、シートとエアバッグ装置とを車体の左側外方からみた側面図である。
【図5】第1の実施の形態で、図1の5‐5線矢視図である。
【図6】第1の実施の形態で、シートバックとエアバッグ装置の斜視展開図である。
【図7】第2の実施の形態で、図6に相当する図である。
【図8】第3の実施の形態で、図5に相当する図である。
【図9】第3の実施の形態で、図1の一部分に相当する図である。
【図10】第4の実施の形態で、図5に相当する図である。
【図11】第4の実施の形態で、図1の一部分に相当する図である。
【符号の説明】
1 車体
2 車室
3 シート
4 乗員
9 側壁
11 エアバッグ装置
12 エアバッグ
13 ガス
14 ガス発生装置
17 仕切り部
18 区画室
19 区画室
20 区画室
22 部分
23 部分
24 部分
31 軸心
33 ケース
34 火薬
35 ガス噴出口
38 開口
41 ガイド体
【発明が属する技術分野】
本発明は、自動車の衝突時に、車体の内壁面からこの車体内の乗員に与えられようとする衝撃力を緩和するようにした自動車のエアバッグ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
【特許文献1】特開平9‐272396号公報
【0004】
上記自動車のエアバッグ装置には、従来、上記特許文献1に示されたものがある。これによれば、車体内の乗員と車体の内壁面との間に収縮状態で配置されその内部が複数の区画室に区画されたエアバッグと、衝突時にガスを噴出しこのガスを上記エアバッグ内に供給して展開かつ膨張させるガス発生装置とを備え、上記エアバッグの各区画室は、このエアバッグに設けた仕切り部により成形され、上記各区画室の一つである第1区画室に上記ガス発生装置から噴出したガスが供給されるようになっており、また、上記仕切り部は多くの通気孔を有している。
【0005】
自動車の側突時には、上記ガス発生装置がガスを噴出して、このガスは、まず、上記第1区画室に供給されることにより、この第1区画室が展開かつ膨張させられ、所定のガス圧力に到達させられる。一方、上記ガスは、第1区画室から上記各仕切り部の通気孔を通って他の区画室に供給されることにより、これら各他の区画室が展開かつ膨張させられて所定のガス圧力に到達させられる。
【0006】
そして、上記のように膨張させられた各区画室により、車体の内壁面から乗員の部分に与えられようとする衝撃力がそれぞれ緩和される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1のものでは、上記したように他の区画室へのガスの供給は、上記第1区画室を通った後になされるため、上記他の区画室へのガスの供給に時間を要し、つまり、上記他の区画室が所定のガス圧力に到達する時間が、所望時間よりも遅くなるおそれがある。そこで、上記仕切り部の通気性をより良くして、他の区画室へのガスの供給に遅れが生じないようにすることが考えられるが、このようにすると、上記第1区画室が所定のガス圧力に到達するまでに時間を要して、所望時間よりも遅くなるおそれがある。即ち、上記特許文献1のものでは、各区画室を所定のガス圧力に到達させる時間をそれぞれ所望時間にさせることは困難である。
【0008】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、自動車の衝突時に、エアバッグ内の複数の各区画室にガス発生装置によりガスを供給させてそれぞれ所定のガス圧力に到達させる場合に、これら各区画室を所定のガス圧力に到達させる時間をそれぞれ所望時間にできるようにすることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の自動車のエアバッグ装置は、次の如くである。なお、この項において各用語に付記した符号は、本発明の技術的範囲を後述の「発明の実施の形態」の項の内容に限定解釈するものではない。
【0010】
請求項1の発明は、車体1内の乗員4と車体1の内壁面との間に収縮状態で配置されその内部が複数の区画室18〜20に区画されたエアバッグ12と、衝突時にガス13を噴出しこのガス13を上記エアバッグ12内に供給して展開かつ膨張させるガス発生装置14とを備えた自動車のエアバッグ装置において、
【0011】
上記ガス発生装置14がガス13を噴出する複数のガス噴出口35を備え、上記エアバッグ12の各区画室18〜20のそれぞれ少なくとも一部分を上記ガス発生装置14の近傍に配置すると共に、上記各一部分にそれぞれ開口38を成形し、上記ガス発生装置14から噴出したガス13により所定のガス圧力をより速く得ようとする区画室20の開口38を、上記ガス噴出口35のより広い開口面積に対向させたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
【0014】
図1〜6は、第1の実施の形態を示している。
【0015】
図において、符号1は自動車の車体で、矢印Frはこの自動車の前方を示している。また、下記する左右とは上記前方に向っての車体1の幅方向をいうものとする。
【0016】
上記車体1の内部が車室2とされ、この車室2の一側部にシート3が設けられている。このシート3は、車体1のフロアパネルに支持され乗員4が腰掛け可能とされるシートクッション5と、このシートクッション5の後端部から上方に向けて突設され上記シート3に腰掛けた乗員4が背もたれ可能とされるシートバック6とを備え、また、このシートバック6は、その骨格をなす板金製のシートバックフレーム7と、このシートバックフレーム7を覆ってこのシートバックフレーム7に支持されるシートバックパッド8とを備えている。上記シート3の一側方における車体1の側壁9はサイドドアで構成されている。
【0017】
上記シート3に着座した乗員4と、車体1の側壁9の内壁面との間に側突(衝突)用のエアバッグ装置11が設けられ、このエアバッグ装置11は、上記シートバック6の側壁9側の端部内に組み込まれている。上記エアバッグ装置11は、上記車体1の幅方向で、上記乗員4と側壁9との間に収縮状態で配置されるエアバッグ12と、自動車の側突時に、この側突の衝撃を検出したセンサーの検出信号により爆発してガス13を噴出しこのガス13を上記エアバッグ12内に瞬間的に供給して展開させ、かつ、膨張させるインフレータであるガス発生装置14とを備えている。
【0018】
上記エアバッグ装置11は、その内部が上下方向で複数(2つ)の縫合である仕切り部17により上下方向で複数(3つ)の上、中間、下区画室18〜20に区画され、これら上、中間、下区画室18〜20は上記エアバッグ装置11の上、中間、下部分22〜24により成形されている。そして、これら上、中間、下部分22〜24は、車体1の幅方向で、上記シート3に着座した乗員4の胸部26、腹部27、腰部28に対応している。
【0019】
上記ガス発生装置14は、軸心31が車体1の幅方向に延び上記シートバックフレーム7の上記側壁9側の部分に締結具32により固着される円盤形状のケース33と、このケース33に内有されて衝突時に爆発してガス13を発生する火薬34と、上記ケース33の内外を連通させるようその周壁に周方向等間隔に成形され上記ケース33の内部から外部に向って上記ガス13を噴出させる複数のガス噴出口35とを備え、これら各ガス噴出口35は互いに同形同大で円形とされている。この場合、上記シートバックフレーム7の上記側壁9側の部分には上記軸心31上で円形の貫通孔36が成形され、この貫通孔36に上記ガス噴出口35を有しないケース33の部分が嵌入され、上記シートバックフレーム7で囲まれたシートクッション5内部の空間37が、上記ガス発生装置14のケース33の配置に利用されている。
【0020】
上記各区画室18〜20のそれぞれ少なくとも一部分である後端部が上記ガス発生装置14のケース33のガス噴出口35群の近傍に配置され、上記各区画室18〜20の各後端部にそれぞれ上記ガス噴出口35群に向って開く開口38が成形されている。この場合、上記各ガス噴出口35から噴出したガス13により、所定のガス圧力をより速く得ようとする下区画室20の開口38が、上記ガス噴出口35における、より広い開口面積に対向させられている。
【0021】
より具体的には、上記乗員4の腰部28に対応するエアバッグ12の下部分24内の下区画室20における開口38がより多数のガス噴出口35(A)に対向させられている。また、このガス噴出口35(A)よりも少数のガス噴出口35(B)に、上記乗員4の胸部26に対応するエアバッグ12の上部分22内の上区画室18における開口38が対向させられている。また、上記ガス噴出口35(B)よりも更に少数のガス噴出口35(C)に、上記乗員4の腹部27に対応するエアバッグ12の中間部分23内の中間区画室19における開口38が対向させられている。
【0022】
このため、自動車の側突時に、上記火薬34が爆発してガス13が上記ガス噴出口35から噴射するとき、より多数のガス噴出口35(A)から噴出するガス13により、上記エアバッグ12の下部分24内の下区画室20が所定のガス圧力に、より速い所望時間(T1)で到達する。このため、上記ガス圧力によって剛性が高くされた下部分24により、上記乗員4の胸部26、腹部27、腰部28のうち、より重い腰部28に対し車体1の側壁9の内壁面から与えられようとする衝撃力が緩和されて腰部28が保護されると共に、乗員がシート3上の元の位置から全体的に大きくずれるということが防止される。
【0023】
一方、上記ガス噴出口35(B)から噴出するガス13により、上記エアバッグ12の上部分22内の上区画室18が所定のガス圧力に上記時間(T1)よりも遅い所望時間(T2)で到達する。このため、このガス圧力によって剛性が高くされる以前の軟らかい上記上部分22により、上記乗員4の胸部26に対し側壁9の内壁面から与えられようとする衝撃力が効果的に緩和されて胸部26が保護される。
【0024】
一方、上記ガス噴出口35(C)から噴出するガス13により、上記エアバッグ12の中間部分23内の中間区画室19が所定のガス圧力に上記時間(T2)よりも遅い所望時間(T3)で到達する。このため、このガス圧力によって剛性が高くされる以前のかなり軟らかい上記中間部分23により、上記乗員4の軟らかい腹部27に対し側壁9の内壁面から与えられようとする衝撃力がより効果的に緩和されて腹部27が保護される。
【0025】
また、上記構成において、エアバッグ12の一端部(後端部)が上記ガス発生装置14のケース33のガス噴出口35群の近傍に配置され、上記各ガス噴出口35から噴出するガス13を上記エアバッグ12の他端部(前端部)側に向って案内する板金製のガイド体41が設けられている。このガイド体41は、上記ケース33に固着され、上記ガス噴出口35群の後部をその後方から少し離れて覆う円弧板42と、この円弧板42に固着され上記ケース33の上記側壁9側の端面を覆う半円板43とを備えている。
【0026】
このため、上記各ガス噴出口35から噴出したガス13は上記ガイド体41に案内されて上記エアバッグ12の奥部に強制的に向わされることから、その分、上記各区画室18〜20へのガス13の供給が、より迅速になされて、上記各区画室18〜20はそれぞれ所望時間で所定のガス圧力に到達させられる。よって、これら各区画室18〜20に対応する乗員4の各部分に対し車体1の内壁面から与えられようとする衝撃力がそれぞれより確実に緩和されて、上記乗員4の各部分の保護がより確実になされる。
【0027】
なお、以上は図示の例によるが、エアバッグ12の仕切り部17を1つや3つ以上とし、区画室18〜20を2つや4つ以上にしてもよい。また、上記構成に加え、上記各区画室18〜20を膨張させたときの体積に比例するよう、その各開口38を上記ガス噴出口35のより広い開口面積に対向させてもよい。
【0028】
以下の各図は、第2〜4の実施の形態を示している。これら各実施の形態は、前記第1の実施の形態と構成、作用効果において多くの点で共通している。そこで、これら共通するものについては、図面に共通の符号を付してその重複した説明を省略し、異なる点につき主に説明する。また、これら各実施の形態における各部分の構成を、本発明の課題、作用効果に照らして種々組み合せてもよい。
【0029】
(第2の実施の形態)
【0030】
図7は、第2の実施の形態を示している。
【0031】
これによれば、ガス発生装置14のケース33は、火薬34を収納して貫通孔36に嵌入される円形パイプ形状の収納ケース45と、この収納ケース45に固着されると共に全体的に上記エアバッグ12内に収容されて上記各ガス噴出口35を有する円盤形状のケース本体46とを備えている。
【0032】
(第3の実施の形態)
【0033】
図8,9は、第3の実施の形態を示している。
【0034】
これによれば、ガイド体41は、上記軸心31上に位置してケース33に固着され、上記ガス噴出口35群を上記ケース33の径方向外方から少し離れて覆う円筒体48を備えている。上記各ガス噴出口35から噴出させられたガス13は、まず、上記ケース33の軸方向外方に向うよう案内されて、上記ケース33を迂回させられ、この後、上記エアバッグ12の奥部に迅速に向わされる。
【0035】
(第4の実施の形態)
【0036】
図10,11は、第43の実施の形態を示している。
【0037】
これによれば、ガイド体41は、上記第3の実施の形態の円筒体48と、この円筒体48の自由端側の開口を閉じる閉じ板49とを備え、上記円筒体48にはその接線方向の外方に向って上記ガス13を案内する案内孔50が成形され、この案内孔50は周方向等間隔に配置され、互いに同形同大とされている。
【0038】
【発明の効果】
本発明による効果は、次の如くである。
【0039】
請求項1の発明は、車体内の乗員と車体の内壁面との間に収縮状態で配置されその内部が複数の区画室に区画されたエアバッグと、衝突時にガスを噴出しこのガスを上記エアバッグ内に供給して展開かつ膨張させるガス発生装置とを備えた自動車のエアバッグ装置において、
【0040】
上記ガス発生装置がガスを噴出する複数のガス噴出口を備え、上記エアバッグの各区画室のそれぞれ少なくとも一部分を上記ガス発生装置の近傍に配置すると共に、上記各一部分にそれぞれ開口を成形し、上記ガス発生装置から噴出したガスにより所定のガス圧力をより速く得ようとする区画室の開口を、上記ガス噴出口のより広い開口面積に対向させてある。
【0041】
このため、自動車の側突時に、上記ガス発生装置によりガスが上記各ガス噴出口から噴出させられるとき、所定のガス圧力をより速く得ようとする区画室には、上記したより広い開口面積のガス噴出口から、より多量のガスが迅速に供給されることとなって、上記区画室は所望時間で所定のガス圧力に到達させられる。よって、この区画室に対応する乗員の部分に対し車体の内壁面から与えられようとする衝撃力が緩和されて、上記乗員の部分が保護される。
【0042】
また、他の区画室の各開口も上記ガス噴出口に直接に対向させてあるため、これら各ガス噴出口から噴出させられるガスは上記他の区画室へもそれぞれ開口を通し直接に迅速に供給されることから、上記他の区画室もその所望時間で所定のガス圧力に到達させられる。よって、上記他の区画室に対応する乗員の他の部分に対し車体の内壁面から与えられようとする衝撃力も、より確実に緩和されて、上記乗員の他の部分も保護される。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態で、シートとエアバッグ装置とを車体の右側外方からみた側面部分断面図である。
【図2】第1の実施の形態で、車体の内部の斜視図である。
【図3】第1の実施の形態で、シートの斜視部分破断図である。
【図4】第1の実施の形態で、シートとエアバッグ装置とを車体の左側外方からみた側面図である。
【図5】第1の実施の形態で、図1の5‐5線矢視図である。
【図6】第1の実施の形態で、シートバックとエアバッグ装置の斜視展開図である。
【図7】第2の実施の形態で、図6に相当する図である。
【図8】第3の実施の形態で、図5に相当する図である。
【図9】第3の実施の形態で、図1の一部分に相当する図である。
【図10】第4の実施の形態で、図5に相当する図である。
【図11】第4の実施の形態で、図1の一部分に相当する図である。
【符号の説明】
1 車体
2 車室
3 シート
4 乗員
9 側壁
11 エアバッグ装置
12 エアバッグ
13 ガス
14 ガス発生装置
17 仕切り部
18 区画室
19 区画室
20 区画室
22 部分
23 部分
24 部分
31 軸心
33 ケース
34 火薬
35 ガス噴出口
38 開口
41 ガイド体
Claims (1)
- 車体内の乗員と車体の内壁面との間に収縮状態で配置されその内部が複数の区画室に区画されたエアバッグと、衝突時にガスを噴出しこのガスを上記エアバッグ内に供給して展開かつ膨張させるガス発生装置とを備えた自動車のエアバッグ装置において、
上記ガス発生装置がガスを噴出する複数のガス噴出口を備え、上記エアバッグの各区画室のそれぞれ少なくとも一部分を上記ガス発生装置の近傍に配置すると共に、上記各一部分にそれぞれ開口を成形し、上記ガス発生装置から噴出したガスにより所定のガス圧力をより速く得ようとする区画室の開口を、上記ガス噴出口のより広い開口面積に対向させた自動車のエアバッグ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002313384A JP2004148879A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | 自動車のエアバッグ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002313384A JP2004148879A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | 自動車のエアバッグ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004148879A true JP2004148879A (ja) | 2004-05-27 |
Family
ID=32458018
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002313384A Pending JP2004148879A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | 自動車のエアバッグ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004148879A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005120906A1 (de) * | 2004-06-08 | 2005-12-22 | Autoliv Development Ab | Fahrzeugsitz-einheit |
-
2002
- 2002-10-28 JP JP2002313384A patent/JP2004148879A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005120906A1 (de) * | 2004-06-08 | 2005-12-22 | Autoliv Development Ab | Fahrzeugsitz-einheit |
JP2008501575A (ja) * | 2004-06-08 | 2008-01-24 | オートリブ ディベロップメント アクティエボラーグ | 車の座席ユニット |
JP4755185B2 (ja) * | 2004-06-08 | 2011-08-24 | オートリブ ディベロップメント アクティエボラーグ | 車の座席ユニット |
US8210568B2 (en) | 2004-06-08 | 2012-07-03 | Autoliv Development Ab | Vehicle seat unit |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6916039B2 (en) | Leg protection device | |
JP2007276522A (ja) | サイドエアバッグ装置 | |
JP6207742B2 (ja) | サイドエアバッグ装置 | |
JP4605000B2 (ja) | 膝保護用エアバッグ装置 | |
JP6036658B2 (ja) | 車両用サイドエアバッグ装置 | |
JP2003246255A (ja) | エアバッグ装置 | |
WO2011010387A1 (ja) | エアバッグ装置 | |
JP2005041457A (ja) | 側突用エアバッグ装置 | |
JP2016078768A (ja) | 車両用ファーサイドエアバッグ装置 | |
JP2009154709A (ja) | 乗員保護装置 | |
JP3772484B2 (ja) | エアバッグ装置 | |
JP2007050848A (ja) | エアバッグ装置 | |
JP2019085047A (ja) | 後席サイドエアバッグ装置 | |
JP2005225351A (ja) | サイドエアバッグ装置 | |
JP2009214808A (ja) | コラム付けニーエアバッグ装置 | |
JP2005247272A (ja) | エアバッグ装置 | |
JP2009040220A (ja) | エアバッグ装置 | |
JP2008247373A (ja) | エアバッグ装置 | |
JP2007161107A (ja) | 膝保護用エアバッグ装置 | |
JP6709148B2 (ja) | エアバッグ | |
JP2004148879A (ja) | 自動車のエアバッグ装置 | |
JP4640049B2 (ja) | 膝部保護用バッグ一体型助手席用エアバッグ装置 | |
JP5549577B2 (ja) | 後席用サイドエアバッグ装置 | |
JPH09328048A (ja) | エアバッグ装置 | |
JP2022178228A (ja) | 車両用助手席エアバッグ装置 |