JP2004148645A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】走査線の曲がりを適切に補正して高品位な画像を低コストに得ることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数の光ビームのビームスポットW,X,Y,Z,A,B,C,D,Eが被走査面(感光体)上で略直線状となり、その直線状ビームスポットが主走査方向に対して所定の角度θbを有するように構成する。そして、1本の走査線を走査する際に、複数の光ビームの中の所定の光ビームを、主走査方向の点灯タイミングを調整して点灯させる。例えば、第5ドット(▲5▼)は上側に0.875〜1ドットの副走査ズレがあり、これを補正するために点灯スポットとしてはビームスポットWを使用する。この場合の主走査調整量は−8クロック(スポットAを使用する場合よりも8クロック早く点灯させる)となる。
【選択図】 図7
【解決手段】複数の光ビームのビームスポットW,X,Y,Z,A,B,C,D,Eが被走査面(感光体)上で略直線状となり、その直線状ビームスポットが主走査方向に対して所定の角度θbを有するように構成する。そして、1本の走査線を走査する際に、複数の光ビームの中の所定の光ビームを、主走査方向の点灯タイミングを調整して点灯させる。例えば、第5ドット(▲5▼)は上側に0.875〜1ドットの副走査ズレがあり、これを補正するために点灯スポットとしてはビームスポットWを使用する。この場合の主走査調整量は−8クロック(スポットAを使用する場合よりも8クロック早く点灯させる)となる。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光体等の被走査面を光ビームにより走査して画像記録を行う画像形成装置に関し、さらに詳しく言えば、走査線の曲がり・傾きを補正する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平9−80338号公報
【特許文献2】特開2000−177165号公報
【特許文献3】特開平9−90695号公報
【0003】
複数の感光体を有するカラー画像形成装置においては、各感光体にそれぞれ独立して画像が書き込まれ、それらを重ね合わせてカラー画像を得る方式であるため、各感光体の機械的な位置精度,書き込みビームの各感光体に対する位置精度,光学系のレンズのばらつきに起因する走査線の曲がり・傾き・倍率誤差,各感光体の速度誤差,装置全体の温度上昇による書き込み位置や倍率の変動等により、色ズレが発生しやすく、最終的な画像に色ムラや色ズレとなって現れ、画像品質を劣化させる要因となっている。
【0004】
また、単一の感光体に対して複数の光ビームにより副走査方向の異なった位置に書き込みを行い、多色画像を得る画像形成装置においても、各々の走査線に曲がり・傾きがあった場合には、画像を重ね合わせた時に色ズレとなって現れ、著しく画像を劣化させる。
【0005】
さらに、単色の画像形成装置であっても、多色を重ね合わせる装置ほど深刻ではないが、走査線の曲がり・傾きなどは細密な図面などの画像を形成する場合にはネックとなっている。
【0006】
走査線の曲がり・傾きを補正する方法としては、特許文献1において、プラスチックのトロイダルレンズを強制的に撓ませて曲がりを補正することが提案されている。
【0007】
また、特許文献2には、走査線の曲がりに応じて副走査方向に画像データを組替えることによって、曲がりを1ドット以下に補正する方法が提案されている。また、特許文献3には、走査線の曲がりを、曲がりに応じて2次元的に画像を補間して補正することが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1のものは、製造段階で一つ一つ(1台ずつ)個別に調整する必要があり、非常に時間のかかる作業となってしまう。また、強制的にレンズを撓ませることによって、常にレンズ内部に歪みを生じている状態となり、結像性能に悪影響を与えてしまうという問題がある。また、温度変化によってレンズのたわみ状態が変化することも予想され、全環境範囲において補正が安定して行われる補償もない。
【0009】
また、上記特許文献2のものは、画像データを組替えた主走査方向の継ぎ目の位置で1ドットの段差ができてしまい、曲がりは1ドット以下に補正できたとしても、別の(一般的にジャギーと呼ばれる)問題が発生してしまうことになる。また、1ドット以下には曲がりを補正することができない構成である。
【0010】
そして、上記特許文献3のものは、細線の線幅がばらついてしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、従来の画像形成装置における上述の問題を解決し、走査線の曲がりを適切に補正して高品位な画像を低コストに得ることのできる画像形成装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、本発明により、複数の光ビームにより像担持体の被走査面を走査して潜像を形成し、これを可視化して画像記録を行う画像形成装置において、前記複数の光ビームのビームスポットが前記被走査面上で略直線状となり、該直線状ビームスポットが主走査方向に対して所定の角度を有するように構成するとともに、1本の走査線を走査する際に、前記複数の光ビームの中の所定の光ビームを、主走査方向の点灯タイミングを調整して点灯させることにより解決される。
【0013】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記所定の角度が、前記複数の光ビームの全てのビームスポットが副走査ピッチの2倍以内に入る角度であることを提案する。
【0014】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記所定の角度が、前記複数の光ビームの全てのビームスポットが走査線の曲がり・傾きによって発生する副走査ズレ量を包括する範囲内に入る角度であることを提案する。
【0015】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記被走査面上における直線状ビームスポットの各スポットの主走査方向の間隔が、主走査方向のドットピッチの整数倍となるように構成されていることを提案する。
【0016】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、走査線の曲がり・傾きを検出する検出機構を有し、1本の走査線を走査する際に、前記検出機構によって検出した走査線の曲がり・傾きに応じて前記複数の光ビームの中の所定の光ビームを選択し、該選択された光ビームの主走査方向の点灯タイミングを調整することを提案する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明が適用される画像形成装置の一例における光書き込み部の概略構成を示す斜視図である。この図に示す光書き込み部は、LD(レーザダイオード)ユニット11,2層fθレンズ12,長尺WTレンズ13,ポリゴンミラー14等を備えている。なお、符号の後のBk,Y,C,Mは、それぞれブラック,イエロー,シアン,マゼンタの各色を示す。光書き込み部からの各色レーザ光は、それぞれ感光体10Bk,10Y,10C,10Mに照射され、各感光体上に静電潜像が形成される。各感光体上に形成された静電潜像には、図示しない現像装置からトナーが付与されて可視化される。そのトナー像は、感光体10から直接又は中間転写体(図示せず)を介して用紙上に重ねて転写され、フルカラー画像が形成される。
【0018】
図2は、本発明が適用される画像形成装置の別例における光書き込み部の概略構成を示す斜視図である。この図に示す画像形成装置は、2系統の光学系を主走査方向につなぎ合わせて、広幅の走査幅を得るように構成したものである。図示の光書き込み部は、レーザダイオード11,コリメートレンズ15,シリンダーレンズ16,ポリゴンミラー14,第1fθレンズ12a,第2fθレンズ12b,ミラー17〜19等を、2組(2色分)備えている。光書き込み部からの2系統のレーザ光は感光体10上に照射され、広幅の静電潜像が形成される。その潜像に図示しない現像装置からトナーが付与されて可視化され、トナー像は感光体10から直接用紙上に転写される。
【0019】
また、図示はしないが、同一の感光体上の副走査方向の異なる位置に、複数の書き込み系からの光ビームで走査して多色画像を得る方式の画像形成装置にも本発明を適用することができる。
【0020】
上記のような各光学系のいずれにおいても、それぞれの独立した光学系は、基本的には図3に示すような単独の光学系であるため、図3を用いて本発明の説明を進める。
【0021】
図3に示す光学系において、レーザユニット1から出射されたレーザ光(光ビーム)は、シリンドリカルレンズ2により副走査方向に集光されてポリゴンミラー3に入射し、回転するポリゴンミラー3によって主走査方向に走査される。さらに、レーザ光は、fθレンズ4,バレルトロイダルレンズ5等によって被走査面(感光体10)上にビームスポットとして集光結像される。レーザユニット1は複数の発光点を有しており、図3に示す如く、各発光点からのビームスポットが被走査面上で概ね直線状になるように構成されている。また、後述するように、直線状のビームスポットが走査線に対して所定の角度(θb)を有するように構成されている。
【0022】
なお、複数のレーザ光をアレイ化する方法として、LDアレイ(1つのLD内に複数の発光点を有するもの)を用いることが、例えば特開平5−32824号公報等により多数提案されており、そのような公知技術を採用することができる。また、LDを複数用いて、プリズム等によって合成して被走査面上でアレイ化することも、例えば特開平7−72407号公報等により周知であり、そのような技術を採用することもできる。あるいは、プリズムを用いず、直接光軸の角度を適切に設定することで合成する方法なども提案されており、そのような技術を採用することもできる。
【0023】
ここで、従来の1ビーム方式での(マルチビームでも同様である)走査線の曲がりが発生している場合のビームの状況を図4により説明する。なお、図4に示す例では、曲がりが副走査方向に±1ドット以下の場合を示している。
【0024】
図4において、ビームは先頭のドット1から順次点灯走査され、走査線(ビームスポットの連なり)を形成する。図示例の場合、曲がり・傾きが±1ドット以下であるが、各色ステーションにおける走査線の曲がりは独立ランダムに発生するため、ビームを重ね合わせた場合は最大2ドットのズレが発生してしまうことになる。
【0025】
さて、本発明の説明に戻り、上記の如く、レーザユニット1からのビームスポットが被走査面上で概ね直線状になるように構成されており、そのビームスポットが走査線に対して所定の角度(θb)を有している。その様子を、図5(の左側)に示す。本例では、W,X,Y,Z,A,B,C,D,Eの9個のビームスポットがほぼ直線状に配置されるように構成されている。図5に示す例では、直線状に配置されたビームスポットの傾き角θbは全ビームスポットが副走査ピッチの2倍にちょうど合うような構成例である。
【0026】
直線上のビームスポット間隔をPbとすると、副走査方向におけるビームスポット間隔Pfbおよび主走査方向におけるビームスポット間隔Psbはそれぞれ、Pfb=Pb×sinθb,Psb=Pb×cosθb、となる。
【0027】
このようにビームスポットを配置すると、副走査ピッチPfの2倍の間隔をビームスポットの個数N−1(本例では、9−1=8)で均等に分割する形になる。すなわち、副走査の間隔を(N−1)/2で分割して走査できることになる。本例のビームスポットが9本の場合は副走査ピッチを4分割できることになる。ビームスポットの数が多ければ多いほど、分割できる数が多くなり、高精度に曲がり・傾きの補正を行うことが可能となる。
【0028】
なお、図5の右側部分は、図4と同様であるが、9本のビームスポットのうちのAスポット(ビームスポットアレイのドットA)だけを使って点灯させた場合の走査線を示すものである。
【0029】
次に、図6は、上記直線状に配置される9個のビームスポット毎の副走査補正量を示す模式図である。補正量の+−の符号は、ここでは便宜的に図4あるいは図5の副走査ピッチの中心線を基準として上側にズレたものを補正する場合を+に、下側にズレたものを補正する場合を−にして付けてある。ただし、符号の付け方は逆にしても構わない。
【0030】
この図において、各スポット毎の補正量(補正範囲)が黒丸と白丸を結ぶ直線で示してある。ここでは、副走査方向の1ドットを4分割(−1〜+1ドットで8分割)して補正を行う場合の例が示されている。例えば、−0.125〜+0.125ドット内の副走査ズレは、ビームスポットAを点灯させることを表している。なお、ズレ量も副走査ピッチの中心線を基準として上側のズレに+の符号を、下側のズレに−の符号をつけて示す。また、副走査ズレ量が−0.125〜−0.375ドット(中心線より下側のズレ)の場合は、ビームスポットBを点灯させる。同様に、例えば図5における第5ドット(図面中の▲5▼)の場合は、+1ドットに近いズレ(中心線より上側のズレ)があるので、ビームスポットWを点灯させる。実際には、ズレ量に対応する補正量をテーブルの形で記憶しておく。ただし、テーブルとして保持しておくのではなく、INT(2f(nd)/(N−1))、のような演算式によって算出しても良い。
【0031】
図7は、走査線の曲がり・傾き補正を説明するための模式図で、図7の上段の左側には、図5と同様に、ほぼ直線状に配置された9個のビームスポットを示してある。ここでは、簡略化のため、主走査方向のビームスポット間隔Psbが主走査ピッチPs(図5参照)の整数倍(Nck:Nクロック、本例では2倍)となるように光学系の倍率が設定されているものとする。ただし、整数倍でなくとも曲がり・傾き補正は可能であるが、整数倍とすることによって、補正処理を、すなわち補正処理を行う回路構成を簡単にすることができ、低コスト化を図ることができる。図7の上段の右側は、図5と同様に、9本のビームスポットのうちのAスポットだけを使って点灯させた場合の走査線を示すものである。図7の下段については後で説明する。
【0032】
図8は、走査線の曲がり・傾き補正の処理を行う補正処理部の構成を示すブロック図である。
この図において、曲がり・傾き補正量記憶部21には、主走査方向における全ドットの副走査方向の曲がり・傾き補正量:f(nd)が記憶されている。本例では、装置製造の段階で曲がり・傾き量が個々に計測され記憶されているものとする。なお、補正量は、主走査方向の数点の(全ドットではなく)副走査方向のズレ量の値から、補間によって各ドットの補正量を演算して求めても良い。
【0033】
その補正量により点灯ビームスポットが選択回路22で(図6で説明したように)決定されると、それに応じた主走査方向の調整量が、主走査調整量演算回路23で算出される。図7の上段右側に示したように、ビームスポットAを点灯させた走査線の例えば第5ドット(図面中の▲5▼)を補正するためにビームスポットWを使用した場合、図7の上段左側に示されているようにビームスポットAとWでは主走査方向に2×4=8クロックだけズレることになる(上記のように本例ではPsbを主走査ピッチPsの整数倍、本例では2倍としている)ので、主走査方向の調整が必要である。
【0034】
各ビームスポット毎の主走査調整量を次の表1に示す。各ビームスポット毎の主走査調整量は「Nck×スポット番号」で表され、表1の一番右の列に示してある。本例では上記したようにNck=2である。調整量(スポット番号)の+−の符号は、図7において9個のビームスポットの主走査方向の中心にあるスポットAを基準にして左側を+に、右側を−にして付けてあるが、逆にしても構わない。なお、表1には、図6に示した各ビームスポット毎の副走査補正量(移動量)も示してある。
【0035】
【表1】
【0036】
さて、図8に戻り、主走査調整量演算回路23で算出された主走査位置の調整量(クロック数)は、ビデオ制御部24において主走査バッファ:Nbuffに対して加算され、ビームスポットの点灯位置(主走査方向)がビームスポット毎に調整可能となる。なお、ビデオ制御部24には、画像クロック,主走査バッファ:Nbuffのほかに、同期検知信号や画像データ等が入力される。そして、ビデオ制御部24は、これらの調整量や信号に基づいて、ドライバ25を介して書き込み装置のレーザダイオード11を制御・点灯する。
【0037】
図7の下段には、上段右側に図示した走査線の各ドットをどのように補正するかをチャート状にして示してある。すなわち、第1ドット(図面中の▲1▼)は副走査ズレは僅少であり、点灯スポットとしてはビームスポットAを使用する。この場合の主走査調整量は0である。第2ドット(▲2▼)は上側に少しずれ(副走査ズレ)ており、これを補正するために点灯スポットとしてはビームスポットZを使用する。この場合の主走査調整量は−2クロックとなる(スポットAを使用する場合よりも2クロック早く点灯させる)。以下同様であり、第5ドット(▲5▼)は上側に0.875〜1ドットの副走査ズレがあり、これを補正するために点灯スポットとしてはビームスポットWを使用する。この場合の主走査調整量は−8クロック(スポットAを使用する場合よりも8クロック早く点灯させる)となる。第19ドットの場合は下側への副走査ズレが少しあり、これを補正するために点灯スポットとしてはビームスポットBを使用する。この場合の主走査調整量は+2クロックとなる(スポットAを使用する場合よりも2クロック遅れて点灯させる)。このようにして曲がり・傾きを補正した走査線を図9に示す。本例の場合、補正を行った結果、±0.125ドットの範囲内に走査線の曲がり・傾きを補正することができる。
【0038】
ところで、本例においては上記の如く、直線状に配置されたビームスポットの傾き角θbは全ビームスポット(本例では9個)が副走査ピッチの2倍にちょうど合うような構成であった、これにより、1ドット以下の副走査ズレを良好に(精度良く)補正することができる。
【0039】
これに対し、全ビームスポットにより、走査線の曲がり・傾きによって発生する副走査ズレ量を包括するように、上記の角度θbを設定するように構成しても良い。例えば、副走査ズレ量が1ドットより大きいような場合には、上記角度θbをより大きく(副走査ピッチの2倍より大きく)設定することで、1ドット以上の副走査ズレの補正が可能となる。ただしこの場合、ビームスポットの数が同じであれば、角度θbが小さい場合と比べて、副走査方向の最小補正量が大きくなるので、ビームスポットの数を増やすことにより(例えば、11個、13個等)、最小補正量の増大を抑えて精度を維持することができる。
【0040】
図10及び図11は、本発明の第2の実施形態を示すもので、それぞれ画像形成装置の作像部付近を示す断面図、補正処理部を示すブロック図である。
図10に示すように、本例の画像形成装置は、4つの感光体10M,C,Y,Bkを搬送ベルト30の上辺に沿って並設した、いわゆるタンデム型のフルカラー画像形成装置である。各感光体10上に形成された各色画像が、搬送ベルト30によって搬送される用紙上に重ね転写されて画像が形成される。各感光体に対する光書き込み部としては、例えば図1に示すものを使用することができ、単独の光学系は図3で説明したような構成である。
【0041】
搬送ベルト30は、3つのローラ31〜33に張設されているが、ローラ33部の上方に曲がり・傾き検出部34が設けられている。曲がり・傾き検出部34は、複数組の発光素子からなる照明光源35及び受光素子36からなる反射型フォトセンサ、スリット部材37、複数の集光レンズ38を有している。なお、搬送ベルト30としては、感光体10からのトナー像を転写可能な構成のものを使用する。
【0042】
スリット部材37のスリットは、複数組の発光素子35及び受光素子36に対応して複数個設けられて搬送ベルト30の幅方向(主走査方向)へ配列され、所定の測定パターンのライン幅、例えば0.1mm程度のラインと同程度のスリットとして設けられる。
【0043】
例えば図1の光書き込み部において、各色レーザダイオード11は、互いに異なる所定のタイミングで測定パターン発生回路からのBK、C、M、Yの各測定パターン画像信号によりそれぞれ駆動制御されて各色測定パターン画像信号により強度変調されたレーザビームを出射させ、感光体ドラム10に走査線として照射することにより、各色感光体ドラム10にそれぞれ各色測定パターンを書き込んで各測定パターンの静電潜像を形成する。
【0044】
感光体ドラム10上の各測定パターンの静電潜像は、図示しない現像装置によりそれぞれ現像されて各色測定パターンの顕像となり、搬送ベルト30に直接的に重ならないように転写される。搬送ベルト30は各照明光源35からスリット部材37のスリットを通して光束が照射されてそれらの反射光がスリット部材37の各スリット及び各集光レンズ38を介して受光素子36で受光され、搬送ベルト30上の各色測定パターンの顕像の濃度が光学的に測定される。
【0045】
図11の補正量演算記憶部26では、随時、受光素子36の出力信号を演算して各色の走査線の曲がり・傾きを求め、例えばスリット部材37の主走査方向へ配列された複数のスリットを通して受光する複数の受光素子の出力信号から各測定パターンの顕像の副走査方向への位置ずれを検出して光ビームの走査線の副走査方向への曲がり・傾きを検出する。なお、走査線の曲がり・傾きを検出する構成は、ここで例示したものに限定されるものではない。走査線の曲がり・傾きは、直接的に検出するものでも間接的に検出するものでも構わない。
【0046】
本実施形態が前記実施形態と異なる点は、検出部34及び演算記憶部26で検出演算した走査線の曲がり・傾きに応じて動的に補正量が決定されることである。すなわち、図11において、検出部34及び演算記憶部26で検出演算した走査線の曲がり・傾きに応じて点灯ドット選択回路22にて点灯されるビームスポットが決定され、それに応じた主走査方向の調整量が、主走査調整量演算回路23で算出される。以下の処理は図8で説明した補正処理部の場合と同様である。なお、主走査方向の複数個(最低3個)のデータから、主走査方向に補間することによって全データの副走査補正量を求めるように構成することができる。また、走査線の曲がり・傾きの検出は、例えば紙間において、あるいは一定の時間ごとに、あるいは温度検知手段を設けて検知温度が所定の範囲外となったときなど、適時に検出し、補正量を更新する。
【0047】
本実施形態においては、走査線の曲がり・傾きを検出する検出機構を備え、検出した走査線の曲がり・傾きに応じて動的に補正量が決定されるので、精度良く補正を行うことができる。また、経時あるいは環境変動による走査線の曲がり・傾き等に対応することが可能となる。
【0048】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、全ビームスポットの個数や走査線に対する角度などは、適宜設定できるものである。また、ビームスポットの主走査方向の間隔も主走査ピッチの整数倍に限らない。また、光ビーム射出手段も半導体レーザに限らず、適宜な構成のものを使用することが可能である。走査線の曲がり・傾きを検出する検出機構を備える場合には、その構成も任意である。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像形成装置によれば、複数の光ビームのビームスポットが被走査面上で略直線状となり、該直線状ビームスポットが主走査方向に対して所定の角度を有するように構成するとともに、1本の走査線を走査する際に、複数の光ビームの中の所定の光ビームを、主走査方向の点灯タイミングを調整して点灯させるので、走査線の曲がり・傾きを常に安定して適切に補正することができる。また、製造時に調整に時間がかかることもなく、レンズの歪みなどを生じることもない。
【0050】
請求項2の構成により、直線状ビームスポットの主走査方向に対する角度が、複数の光ビームの全てのビームスポットが副走査ピッチの2倍以内に入る角度であるので、1ドット以下の走査線の曲がりを精度良く補正することができる。
【0051】
請求項3の構成により、直線状ビームスポットの主走査方向に対する角度が、複数の光ビームの全てのビームスポットが走査線の曲がり・傾きによって発生する副走査ズレ量を包括する範囲内に入る角度であるので、1ドット以上の副走査ズレの補正が可能となる。
【0052】
請求項4の構成により、被走査面上における直線状ビームスポットの各スポットの主走査方向の間隔が、主走査方向のドットピッチの整数倍となるように構成されているので、主走査方向の点灯タイミングの調整に際して位相の異なる複数の画像クロックを用意する必要がなく、調整が容易となる。また、処理回路の簡略化による低コスト化を図ることができる。
【0053】
請求項5の構成により、走査線の曲がり・傾きを検出する検出機構を有し、1本の走査線を走査する際に、検出機構によって検出した走査線の曲がり・傾きに応じて複数の光ビームの中の所定の光ビームを選択し、その選択された光ビームの主走査方向の点灯タイミングを調整するので、生じている走査線の曲がり・傾きを動的に補正して、より適切な補正を行うことができる。また、経時・環境変動に対応した補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される画像形成装置の一例における光書き込み部の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明が適用される画像形成装置の別例における光書き込み部の概略構成を示す斜視図である。
【図3】単独の光学系の基本構成を示す斜視図である。
【図4】従来の1ビーム方式での走査線の曲がりが発生している場合のビームの状況を示す模式図である。
【図5】本発明の実施例における複数の光ビームのビームスポットが直線状になっている様子と、1つの光ビームによる走査線とを示す模式図である。
【図6】9個のビームスポット毎の副走査補正量を示す模式図である。
【図7】本発明による走査線の曲がり・傾き補正を説明するための模式図で、複数の光ビームのビームスポットが直線状になっている様子と、1つの光ビームによる走査線と、各ドットの補正状況をチャート状にして示したものである。
【図8】補正処理部の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明により曲がり・傾きを補正した走査線を示す模式図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の画像形成装置の作像部付近を示す断面構成図である。
【図11】その実施形態における補正処理部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 レーザユニット
10 感光体
11 レーザダイオード
21 曲がり・傾き補正量記憶部
22 点灯ビームスポット選択回路
23 主走査調整量演算回路
24 ビデオ制御部
26 補正量演算記憶部
30 搬送ベルト
34 曲がり・傾き検出部
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光体等の被走査面を光ビームにより走査して画像記録を行う画像形成装置に関し、さらに詳しく言えば、走査線の曲がり・傾きを補正する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平9−80338号公報
【特許文献2】特開2000−177165号公報
【特許文献3】特開平9−90695号公報
【0003】
複数の感光体を有するカラー画像形成装置においては、各感光体にそれぞれ独立して画像が書き込まれ、それらを重ね合わせてカラー画像を得る方式であるため、各感光体の機械的な位置精度,書き込みビームの各感光体に対する位置精度,光学系のレンズのばらつきに起因する走査線の曲がり・傾き・倍率誤差,各感光体の速度誤差,装置全体の温度上昇による書き込み位置や倍率の変動等により、色ズレが発生しやすく、最終的な画像に色ムラや色ズレとなって現れ、画像品質を劣化させる要因となっている。
【0004】
また、単一の感光体に対して複数の光ビームにより副走査方向の異なった位置に書き込みを行い、多色画像を得る画像形成装置においても、各々の走査線に曲がり・傾きがあった場合には、画像を重ね合わせた時に色ズレとなって現れ、著しく画像を劣化させる。
【0005】
さらに、単色の画像形成装置であっても、多色を重ね合わせる装置ほど深刻ではないが、走査線の曲がり・傾きなどは細密な図面などの画像を形成する場合にはネックとなっている。
【0006】
走査線の曲がり・傾きを補正する方法としては、特許文献1において、プラスチックのトロイダルレンズを強制的に撓ませて曲がりを補正することが提案されている。
【0007】
また、特許文献2には、走査線の曲がりに応じて副走査方向に画像データを組替えることによって、曲がりを1ドット以下に補正する方法が提案されている。また、特許文献3には、走査線の曲がりを、曲がりに応じて2次元的に画像を補間して補正することが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1のものは、製造段階で一つ一つ(1台ずつ)個別に調整する必要があり、非常に時間のかかる作業となってしまう。また、強制的にレンズを撓ませることによって、常にレンズ内部に歪みを生じている状態となり、結像性能に悪影響を与えてしまうという問題がある。また、温度変化によってレンズのたわみ状態が変化することも予想され、全環境範囲において補正が安定して行われる補償もない。
【0009】
また、上記特許文献2のものは、画像データを組替えた主走査方向の継ぎ目の位置で1ドットの段差ができてしまい、曲がりは1ドット以下に補正できたとしても、別の(一般的にジャギーと呼ばれる)問題が発生してしまうことになる。また、1ドット以下には曲がりを補正することができない構成である。
【0010】
そして、上記特許文献3のものは、細線の線幅がばらついてしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、従来の画像形成装置における上述の問題を解決し、走査線の曲がりを適切に補正して高品位な画像を低コストに得ることのできる画像形成装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、本発明により、複数の光ビームにより像担持体の被走査面を走査して潜像を形成し、これを可視化して画像記録を行う画像形成装置において、前記複数の光ビームのビームスポットが前記被走査面上で略直線状となり、該直線状ビームスポットが主走査方向に対して所定の角度を有するように構成するとともに、1本の走査線を走査する際に、前記複数の光ビームの中の所定の光ビームを、主走査方向の点灯タイミングを調整して点灯させることにより解決される。
【0013】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記所定の角度が、前記複数の光ビームの全てのビームスポットが副走査ピッチの2倍以内に入る角度であることを提案する。
【0014】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記所定の角度が、前記複数の光ビームの全てのビームスポットが走査線の曲がり・傾きによって発生する副走査ズレ量を包括する範囲内に入る角度であることを提案する。
【0015】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記被走査面上における直線状ビームスポットの各スポットの主走査方向の間隔が、主走査方向のドットピッチの整数倍となるように構成されていることを提案する。
【0016】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、走査線の曲がり・傾きを検出する検出機構を有し、1本の走査線を走査する際に、前記検出機構によって検出した走査線の曲がり・傾きに応じて前記複数の光ビームの中の所定の光ビームを選択し、該選択された光ビームの主走査方向の点灯タイミングを調整することを提案する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明が適用される画像形成装置の一例における光書き込み部の概略構成を示す斜視図である。この図に示す光書き込み部は、LD(レーザダイオード)ユニット11,2層fθレンズ12,長尺WTレンズ13,ポリゴンミラー14等を備えている。なお、符号の後のBk,Y,C,Mは、それぞれブラック,イエロー,シアン,マゼンタの各色を示す。光書き込み部からの各色レーザ光は、それぞれ感光体10Bk,10Y,10C,10Mに照射され、各感光体上に静電潜像が形成される。各感光体上に形成された静電潜像には、図示しない現像装置からトナーが付与されて可視化される。そのトナー像は、感光体10から直接又は中間転写体(図示せず)を介して用紙上に重ねて転写され、フルカラー画像が形成される。
【0018】
図2は、本発明が適用される画像形成装置の別例における光書き込み部の概略構成を示す斜視図である。この図に示す画像形成装置は、2系統の光学系を主走査方向につなぎ合わせて、広幅の走査幅を得るように構成したものである。図示の光書き込み部は、レーザダイオード11,コリメートレンズ15,シリンダーレンズ16,ポリゴンミラー14,第1fθレンズ12a,第2fθレンズ12b,ミラー17〜19等を、2組(2色分)備えている。光書き込み部からの2系統のレーザ光は感光体10上に照射され、広幅の静電潜像が形成される。その潜像に図示しない現像装置からトナーが付与されて可視化され、トナー像は感光体10から直接用紙上に転写される。
【0019】
また、図示はしないが、同一の感光体上の副走査方向の異なる位置に、複数の書き込み系からの光ビームで走査して多色画像を得る方式の画像形成装置にも本発明を適用することができる。
【0020】
上記のような各光学系のいずれにおいても、それぞれの独立した光学系は、基本的には図3に示すような単独の光学系であるため、図3を用いて本発明の説明を進める。
【0021】
図3に示す光学系において、レーザユニット1から出射されたレーザ光(光ビーム)は、シリンドリカルレンズ2により副走査方向に集光されてポリゴンミラー3に入射し、回転するポリゴンミラー3によって主走査方向に走査される。さらに、レーザ光は、fθレンズ4,バレルトロイダルレンズ5等によって被走査面(感光体10)上にビームスポットとして集光結像される。レーザユニット1は複数の発光点を有しており、図3に示す如く、各発光点からのビームスポットが被走査面上で概ね直線状になるように構成されている。また、後述するように、直線状のビームスポットが走査線に対して所定の角度(θb)を有するように構成されている。
【0022】
なお、複数のレーザ光をアレイ化する方法として、LDアレイ(1つのLD内に複数の発光点を有するもの)を用いることが、例えば特開平5−32824号公報等により多数提案されており、そのような公知技術を採用することができる。また、LDを複数用いて、プリズム等によって合成して被走査面上でアレイ化することも、例えば特開平7−72407号公報等により周知であり、そのような技術を採用することもできる。あるいは、プリズムを用いず、直接光軸の角度を適切に設定することで合成する方法なども提案されており、そのような技術を採用することもできる。
【0023】
ここで、従来の1ビーム方式での(マルチビームでも同様である)走査線の曲がりが発生している場合のビームの状況を図4により説明する。なお、図4に示す例では、曲がりが副走査方向に±1ドット以下の場合を示している。
【0024】
図4において、ビームは先頭のドット1から順次点灯走査され、走査線(ビームスポットの連なり)を形成する。図示例の場合、曲がり・傾きが±1ドット以下であるが、各色ステーションにおける走査線の曲がりは独立ランダムに発生するため、ビームを重ね合わせた場合は最大2ドットのズレが発生してしまうことになる。
【0025】
さて、本発明の説明に戻り、上記の如く、レーザユニット1からのビームスポットが被走査面上で概ね直線状になるように構成されており、そのビームスポットが走査線に対して所定の角度(θb)を有している。その様子を、図5(の左側)に示す。本例では、W,X,Y,Z,A,B,C,D,Eの9個のビームスポットがほぼ直線状に配置されるように構成されている。図5に示す例では、直線状に配置されたビームスポットの傾き角θbは全ビームスポットが副走査ピッチの2倍にちょうど合うような構成例である。
【0026】
直線上のビームスポット間隔をPbとすると、副走査方向におけるビームスポット間隔Pfbおよび主走査方向におけるビームスポット間隔Psbはそれぞれ、Pfb=Pb×sinθb,Psb=Pb×cosθb、となる。
【0027】
このようにビームスポットを配置すると、副走査ピッチPfの2倍の間隔をビームスポットの個数N−1(本例では、9−1=8)で均等に分割する形になる。すなわち、副走査の間隔を(N−1)/2で分割して走査できることになる。本例のビームスポットが9本の場合は副走査ピッチを4分割できることになる。ビームスポットの数が多ければ多いほど、分割できる数が多くなり、高精度に曲がり・傾きの補正を行うことが可能となる。
【0028】
なお、図5の右側部分は、図4と同様であるが、9本のビームスポットのうちのAスポット(ビームスポットアレイのドットA)だけを使って点灯させた場合の走査線を示すものである。
【0029】
次に、図6は、上記直線状に配置される9個のビームスポット毎の副走査補正量を示す模式図である。補正量の+−の符号は、ここでは便宜的に図4あるいは図5の副走査ピッチの中心線を基準として上側にズレたものを補正する場合を+に、下側にズレたものを補正する場合を−にして付けてある。ただし、符号の付け方は逆にしても構わない。
【0030】
この図において、各スポット毎の補正量(補正範囲)が黒丸と白丸を結ぶ直線で示してある。ここでは、副走査方向の1ドットを4分割(−1〜+1ドットで8分割)して補正を行う場合の例が示されている。例えば、−0.125〜+0.125ドット内の副走査ズレは、ビームスポットAを点灯させることを表している。なお、ズレ量も副走査ピッチの中心線を基準として上側のズレに+の符号を、下側のズレに−の符号をつけて示す。また、副走査ズレ量が−0.125〜−0.375ドット(中心線より下側のズレ)の場合は、ビームスポットBを点灯させる。同様に、例えば図5における第5ドット(図面中の▲5▼)の場合は、+1ドットに近いズレ(中心線より上側のズレ)があるので、ビームスポットWを点灯させる。実際には、ズレ量に対応する補正量をテーブルの形で記憶しておく。ただし、テーブルとして保持しておくのではなく、INT(2f(nd)/(N−1))、のような演算式によって算出しても良い。
【0031】
図7は、走査線の曲がり・傾き補正を説明するための模式図で、図7の上段の左側には、図5と同様に、ほぼ直線状に配置された9個のビームスポットを示してある。ここでは、簡略化のため、主走査方向のビームスポット間隔Psbが主走査ピッチPs(図5参照)の整数倍(Nck:Nクロック、本例では2倍)となるように光学系の倍率が設定されているものとする。ただし、整数倍でなくとも曲がり・傾き補正は可能であるが、整数倍とすることによって、補正処理を、すなわち補正処理を行う回路構成を簡単にすることができ、低コスト化を図ることができる。図7の上段の右側は、図5と同様に、9本のビームスポットのうちのAスポットだけを使って点灯させた場合の走査線を示すものである。図7の下段については後で説明する。
【0032】
図8は、走査線の曲がり・傾き補正の処理を行う補正処理部の構成を示すブロック図である。
この図において、曲がり・傾き補正量記憶部21には、主走査方向における全ドットの副走査方向の曲がり・傾き補正量:f(nd)が記憶されている。本例では、装置製造の段階で曲がり・傾き量が個々に計測され記憶されているものとする。なお、補正量は、主走査方向の数点の(全ドットではなく)副走査方向のズレ量の値から、補間によって各ドットの補正量を演算して求めても良い。
【0033】
その補正量により点灯ビームスポットが選択回路22で(図6で説明したように)決定されると、それに応じた主走査方向の調整量が、主走査調整量演算回路23で算出される。図7の上段右側に示したように、ビームスポットAを点灯させた走査線の例えば第5ドット(図面中の▲5▼)を補正するためにビームスポットWを使用した場合、図7の上段左側に示されているようにビームスポットAとWでは主走査方向に2×4=8クロックだけズレることになる(上記のように本例ではPsbを主走査ピッチPsの整数倍、本例では2倍としている)ので、主走査方向の調整が必要である。
【0034】
各ビームスポット毎の主走査調整量を次の表1に示す。各ビームスポット毎の主走査調整量は「Nck×スポット番号」で表され、表1の一番右の列に示してある。本例では上記したようにNck=2である。調整量(スポット番号)の+−の符号は、図7において9個のビームスポットの主走査方向の中心にあるスポットAを基準にして左側を+に、右側を−にして付けてあるが、逆にしても構わない。なお、表1には、図6に示した各ビームスポット毎の副走査補正量(移動量)も示してある。
【0035】
【表1】
【0036】
さて、図8に戻り、主走査調整量演算回路23で算出された主走査位置の調整量(クロック数)は、ビデオ制御部24において主走査バッファ:Nbuffに対して加算され、ビームスポットの点灯位置(主走査方向)がビームスポット毎に調整可能となる。なお、ビデオ制御部24には、画像クロック,主走査バッファ:Nbuffのほかに、同期検知信号や画像データ等が入力される。そして、ビデオ制御部24は、これらの調整量や信号に基づいて、ドライバ25を介して書き込み装置のレーザダイオード11を制御・点灯する。
【0037】
図7の下段には、上段右側に図示した走査線の各ドットをどのように補正するかをチャート状にして示してある。すなわち、第1ドット(図面中の▲1▼)は副走査ズレは僅少であり、点灯スポットとしてはビームスポットAを使用する。この場合の主走査調整量は0である。第2ドット(▲2▼)は上側に少しずれ(副走査ズレ)ており、これを補正するために点灯スポットとしてはビームスポットZを使用する。この場合の主走査調整量は−2クロックとなる(スポットAを使用する場合よりも2クロック早く点灯させる)。以下同様であり、第5ドット(▲5▼)は上側に0.875〜1ドットの副走査ズレがあり、これを補正するために点灯スポットとしてはビームスポットWを使用する。この場合の主走査調整量は−8クロック(スポットAを使用する場合よりも8クロック早く点灯させる)となる。第19ドットの場合は下側への副走査ズレが少しあり、これを補正するために点灯スポットとしてはビームスポットBを使用する。この場合の主走査調整量は+2クロックとなる(スポットAを使用する場合よりも2クロック遅れて点灯させる)。このようにして曲がり・傾きを補正した走査線を図9に示す。本例の場合、補正を行った結果、±0.125ドットの範囲内に走査線の曲がり・傾きを補正することができる。
【0038】
ところで、本例においては上記の如く、直線状に配置されたビームスポットの傾き角θbは全ビームスポット(本例では9個)が副走査ピッチの2倍にちょうど合うような構成であった、これにより、1ドット以下の副走査ズレを良好に(精度良く)補正することができる。
【0039】
これに対し、全ビームスポットにより、走査線の曲がり・傾きによって発生する副走査ズレ量を包括するように、上記の角度θbを設定するように構成しても良い。例えば、副走査ズレ量が1ドットより大きいような場合には、上記角度θbをより大きく(副走査ピッチの2倍より大きく)設定することで、1ドット以上の副走査ズレの補正が可能となる。ただしこの場合、ビームスポットの数が同じであれば、角度θbが小さい場合と比べて、副走査方向の最小補正量が大きくなるので、ビームスポットの数を増やすことにより(例えば、11個、13個等)、最小補正量の増大を抑えて精度を維持することができる。
【0040】
図10及び図11は、本発明の第2の実施形態を示すもので、それぞれ画像形成装置の作像部付近を示す断面図、補正処理部を示すブロック図である。
図10に示すように、本例の画像形成装置は、4つの感光体10M,C,Y,Bkを搬送ベルト30の上辺に沿って並設した、いわゆるタンデム型のフルカラー画像形成装置である。各感光体10上に形成された各色画像が、搬送ベルト30によって搬送される用紙上に重ね転写されて画像が形成される。各感光体に対する光書き込み部としては、例えば図1に示すものを使用することができ、単独の光学系は図3で説明したような構成である。
【0041】
搬送ベルト30は、3つのローラ31〜33に張設されているが、ローラ33部の上方に曲がり・傾き検出部34が設けられている。曲がり・傾き検出部34は、複数組の発光素子からなる照明光源35及び受光素子36からなる反射型フォトセンサ、スリット部材37、複数の集光レンズ38を有している。なお、搬送ベルト30としては、感光体10からのトナー像を転写可能な構成のものを使用する。
【0042】
スリット部材37のスリットは、複数組の発光素子35及び受光素子36に対応して複数個設けられて搬送ベルト30の幅方向(主走査方向)へ配列され、所定の測定パターンのライン幅、例えば0.1mm程度のラインと同程度のスリットとして設けられる。
【0043】
例えば図1の光書き込み部において、各色レーザダイオード11は、互いに異なる所定のタイミングで測定パターン発生回路からのBK、C、M、Yの各測定パターン画像信号によりそれぞれ駆動制御されて各色測定パターン画像信号により強度変調されたレーザビームを出射させ、感光体ドラム10に走査線として照射することにより、各色感光体ドラム10にそれぞれ各色測定パターンを書き込んで各測定パターンの静電潜像を形成する。
【0044】
感光体ドラム10上の各測定パターンの静電潜像は、図示しない現像装置によりそれぞれ現像されて各色測定パターンの顕像となり、搬送ベルト30に直接的に重ならないように転写される。搬送ベルト30は各照明光源35からスリット部材37のスリットを通して光束が照射されてそれらの反射光がスリット部材37の各スリット及び各集光レンズ38を介して受光素子36で受光され、搬送ベルト30上の各色測定パターンの顕像の濃度が光学的に測定される。
【0045】
図11の補正量演算記憶部26では、随時、受光素子36の出力信号を演算して各色の走査線の曲がり・傾きを求め、例えばスリット部材37の主走査方向へ配列された複数のスリットを通して受光する複数の受光素子の出力信号から各測定パターンの顕像の副走査方向への位置ずれを検出して光ビームの走査線の副走査方向への曲がり・傾きを検出する。なお、走査線の曲がり・傾きを検出する構成は、ここで例示したものに限定されるものではない。走査線の曲がり・傾きは、直接的に検出するものでも間接的に検出するものでも構わない。
【0046】
本実施形態が前記実施形態と異なる点は、検出部34及び演算記憶部26で検出演算した走査線の曲がり・傾きに応じて動的に補正量が決定されることである。すなわち、図11において、検出部34及び演算記憶部26で検出演算した走査線の曲がり・傾きに応じて点灯ドット選択回路22にて点灯されるビームスポットが決定され、それに応じた主走査方向の調整量が、主走査調整量演算回路23で算出される。以下の処理は図8で説明した補正処理部の場合と同様である。なお、主走査方向の複数個(最低3個)のデータから、主走査方向に補間することによって全データの副走査補正量を求めるように構成することができる。また、走査線の曲がり・傾きの検出は、例えば紙間において、あるいは一定の時間ごとに、あるいは温度検知手段を設けて検知温度が所定の範囲外となったときなど、適時に検出し、補正量を更新する。
【0047】
本実施形態においては、走査線の曲がり・傾きを検出する検出機構を備え、検出した走査線の曲がり・傾きに応じて動的に補正量が決定されるので、精度良く補正を行うことができる。また、経時あるいは環境変動による走査線の曲がり・傾き等に対応することが可能となる。
【0048】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、全ビームスポットの個数や走査線に対する角度などは、適宜設定できるものである。また、ビームスポットの主走査方向の間隔も主走査ピッチの整数倍に限らない。また、光ビーム射出手段も半導体レーザに限らず、適宜な構成のものを使用することが可能である。走査線の曲がり・傾きを検出する検出機構を備える場合には、その構成も任意である。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像形成装置によれば、複数の光ビームのビームスポットが被走査面上で略直線状となり、該直線状ビームスポットが主走査方向に対して所定の角度を有するように構成するとともに、1本の走査線を走査する際に、複数の光ビームの中の所定の光ビームを、主走査方向の点灯タイミングを調整して点灯させるので、走査線の曲がり・傾きを常に安定して適切に補正することができる。また、製造時に調整に時間がかかることもなく、レンズの歪みなどを生じることもない。
【0050】
請求項2の構成により、直線状ビームスポットの主走査方向に対する角度が、複数の光ビームの全てのビームスポットが副走査ピッチの2倍以内に入る角度であるので、1ドット以下の走査線の曲がりを精度良く補正することができる。
【0051】
請求項3の構成により、直線状ビームスポットの主走査方向に対する角度が、複数の光ビームの全てのビームスポットが走査線の曲がり・傾きによって発生する副走査ズレ量を包括する範囲内に入る角度であるので、1ドット以上の副走査ズレの補正が可能となる。
【0052】
請求項4の構成により、被走査面上における直線状ビームスポットの各スポットの主走査方向の間隔が、主走査方向のドットピッチの整数倍となるように構成されているので、主走査方向の点灯タイミングの調整に際して位相の異なる複数の画像クロックを用意する必要がなく、調整が容易となる。また、処理回路の簡略化による低コスト化を図ることができる。
【0053】
請求項5の構成により、走査線の曲がり・傾きを検出する検出機構を有し、1本の走査線を走査する際に、検出機構によって検出した走査線の曲がり・傾きに応じて複数の光ビームの中の所定の光ビームを選択し、その選択された光ビームの主走査方向の点灯タイミングを調整するので、生じている走査線の曲がり・傾きを動的に補正して、より適切な補正を行うことができる。また、経時・環境変動に対応した補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される画像形成装置の一例における光書き込み部の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明が適用される画像形成装置の別例における光書き込み部の概略構成を示す斜視図である。
【図3】単独の光学系の基本構成を示す斜視図である。
【図4】従来の1ビーム方式での走査線の曲がりが発生している場合のビームの状況を示す模式図である。
【図5】本発明の実施例における複数の光ビームのビームスポットが直線状になっている様子と、1つの光ビームによる走査線とを示す模式図である。
【図6】9個のビームスポット毎の副走査補正量を示す模式図である。
【図7】本発明による走査線の曲がり・傾き補正を説明するための模式図で、複数の光ビームのビームスポットが直線状になっている様子と、1つの光ビームによる走査線と、各ドットの補正状況をチャート状にして示したものである。
【図8】補正処理部の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明により曲がり・傾きを補正した走査線を示す模式図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の画像形成装置の作像部付近を示す断面構成図である。
【図11】その実施形態における補正処理部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 レーザユニット
10 感光体
11 レーザダイオード
21 曲がり・傾き補正量記憶部
22 点灯ビームスポット選択回路
23 主走査調整量演算回路
24 ビデオ制御部
26 補正量演算記憶部
30 搬送ベルト
34 曲がり・傾き検出部
Claims (5)
- 複数の光ビームにより像担持体の被走査面を走査して潜像を形成し、これを可視化して画像記録を行う画像形成装置において、
前記複数の光ビームのビームスポットが前記被走査面上で略直線状となり、該直線状ビームスポットが主走査方向に対して所定の角度を有するように構成するとともに、
1本の走査線を走査する際に、前記複数の光ビームの中の所定の光ビームを、主走査方向の点灯タイミングを調整して点灯させることを特徴とする画像形成装置。 - 前記所定の角度が、前記複数の光ビームの全てのビームスポットが副走査ピッチの2倍以内に入る角度であることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記所定の角度が、前記複数の光ビームの全てのビームスポットが走査線の曲がり・傾きによって発生する副走査ズレ量を包括する範囲内に入る角度であることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記被走査面上における直線状ビームスポットの各スポットの主走査方向の間隔が、主走査方向のドットピッチの整数倍となるように構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 走査線の曲がり・傾きを検出する検出機構を有し、
1本の走査線を走査する際に、前記検出機構によって検出した走査線の曲がり・傾きに応じて前記複数の光ビームの中の所定の光ビームを選択し、該選択された光ビームの主走査方向の点灯タイミングを調整することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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Legal Events
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A02 | Decision of refusal |
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