JP2004148629A - 光ディスク用金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】高密度光ディスクの基板を成形する際、固定側にスプルー残りを発生しないような金型を提供する。
【解決手段】鏡面間に形成されたキャビティにおいて樹脂を射出形成する光ディスク用金型の可動側カットパンチに突起部を設け、突起部の外周部の少なくとも一部にアンダーカット部を設ける。この金型では、スプルー部のヒケの影響を排除し、固定側にスプルー残りを発生しない。
【選択図】 図1
【解決手段】鏡面間に形成されたキャビティにおいて樹脂を射出形成する光ディスク用金型の可動側カットパンチに突起部を設け、突起部の外周部の少なくとも一部にアンダーカット部を設ける。この金型では、スプルー部のヒケの影響を排除し、固定側にスプルー残りを発生しない。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク基板成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク上の記録情報は通常、同心円状やスパイラル状に形成された情報ピットもしくは連続溝などの情報記録トラックとしてディスク上に書き込まれている。近年、微細加工技術や記録再生技術の発展により高密度大容量の光ディスクが実現されてきている。前記表面情報記録トラックのピッチを微細化するなどにより、光ディスクの高密度化の検討が行われている。
【0003】
このような光ディスクに用いられる基板は従来基板と同様に、情報あるいは溝を記録したスタンパを設置した金型内に溶融したポリカーボネートなどの合成樹脂材料を射出し金型を圧縮する方法により成形されるのが好ましいが、高密度基板の射出成形上の問題は、微細化した表面パターンの転写性を確保するのが難しいことが挙げられる。
【0004】
近年においては、金型温度の高温化、樹脂温度の高温化、射出速度の高速化などによるアプローチにより転写性の維持が図られている。
【0005】
このような光ディスク金型のゲートカット機構については、固定側金型にディスク内径と略同径の内孔を有するメスカッターが固定され、可動側金型に備えられた前後移動可能なカットパンチを成形機の油圧装置等の突出機構により突出させ、カットパンチ先端のオスカッター部をメスカッターに突入させる様になっているものが現在主流となっているが、このような金型では、スプルーを可動側に移行させるためのアンダーカット部がオスカッターに設けられている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
図16はこのような光ディスク金型の概略図であり、図17はその主要部であり、図18から図21は光ディスク基板の射出成形時の金型動作を示す概略図である。
【0007】
101は固定側金型、102は可動側金型、103はキャビティ、104はスタンパ、105はスタンパホルダ、106はスプルーブッシュ、107はカットパンチ、108はゲート、109はオスカッター、110はメスカッター、112はアンダーカット、113はエジェクタ、114はエジェクタロッド、115は可動側ブッシュ、116は固定側離型気体通路、117は可動側離型気体通路、118は溶融樹脂、119は成形基板、120はスプルー、121は固定側離型気体、122は引っかかり部、123はスタンパ転写面、124は可動側離型気体である。
【0008】
図16および17で、固定側金型101の中心部には溶融樹脂の導入路となるスプルーブッシュ106があり、その外側にはスタンパ104を金型内に係止するためのスタンパホルダ105がある。スプルーブッシュ106とスタンパホルダ105の間には、離型気体を放出するための固定側離型気体通路116がある。
【0009】
一方、可動側金型102の中心部から順に、図示しない成形機側からの操作により突出・後退可能なエジェクタロッド114、カットパンチ107、エジェクタ113が備えられており、その外側に可動側ブッシュ115と可動側離型気体通路117が同心円状に配置されている。
【0010】
スプルーブッシュ106の先端部にはメスカッター110がある。一方、カットパンチ107の先端部にはオスカッター109があり、その内側のエジェクタロッド114部周囲にはアンダーカット112が設けられている。
【0011】
固定側金型101と可動側金型102を合わせた空間がキャビティ103であり、カットパンチ107の突出時にはゲート108が閉じる構造になっている。
【0012】
図18は、図示しない成形機側の操作で溶融樹脂118がスプルーブッシュ106の中心孔から流入されてゲート108を通っていき、スタンパ104の表面パターンを転写しながらキャビティ103内に流入されていく状態を示している。
【0013】
溶融樹脂118がキャビティ103内に必要量分流入されると、図19のように図示しない成形機側の動作によりカットパンチ107とエジェクタロッド114が同時に図上方に突出され、オスカッター109がメスカッター110に入り込む形でゲート108が閉じられる。図示しない温度調整手段により金型は冷却されているので、溶融樹脂118は冷却固化されて、成形基板119とスプルー120が形成される。
【0014】
その後、図20のように、図示しない成形機側の離型気体供給手段から供給される固定側離型気体121を固定側離型気体通路116から放出しながら、可動側金型102が開かれる。このとき、カットパンチ107のアンダーカット112を写し取って形成されたスプルー120の引っかかり部122がアンダーカット112と組み合わされた状態で形成されており、可動側金型102を開く際にはアンダーカット部112と引っかかり部122の抵抗力によって、スプルー120は可動側のカットパンチ107に接合したまま引き抜かれる。
【0015】
そして、図21のように、図示しない成形機側の離型気体供給手段から供給される可動側離型気体124を可動側離型気体通路117から放出しながら、図示しない成形機側からの押圧手段によりエジェクタ113およびエジェクタロッド114が突出されて、成形基板119とスプルー120が金型から離型される。
【0016】
また、これまでと異なる高密度光ディスク金型のゲートカット機構について、固定側金型にディスク内径と略同径の内孔を有するオスカッターが固定され、可動側金型に備えらえた前後移動可能なカットパンチを成形機の油圧装置等の突出機構により突出させ、カットパンチ先端のメスカッター部をオスカッターに突入させるようになっているものも提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0017】
【特許文献1】
特許第2944359号公報(第7−8頁、第1−3図)
【特許文献2】
特開2002−240101号公報(第13頁、第3図)
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
図22は前述の一般的な金型を用いて一連の動作で光ディスク基板を成形した場合のスプルー部分の概略図で、120はスプルーを示している。前述のようにスプルー120には、図12の金型で溶融樹脂の導入時に、アンダーカット112部の形状を写し取った引っかかり部122が形成されている。
【0019】
先述のように、高密度光ディスク基板の射出成形は、高金型温度かつ溶融樹脂の高速射出充填を行うため、樹脂の肉厚の大きい部分の内圧低下や冷却冷却が不足し、内部応力による収縮変形(いわゆるヒケ)が発生することがある。
【0020】
スプルー120で樹脂が最も厚肉となる部分は先端部からゲートへ広がる部分の根元の引っかかり部122のある部位である。スプルー120は樹脂導入部であるスプルーブッシュ106への接触面積はカットパンチ側107より大きく、引き抜き時に抵抗力を生じるので、引っかかり部122の部分にひけによる収縮変形125が生じると、型開動作時に可動側金型102側へ引っ張られる力が弱くなる。この結果、型開動作時にスプルー120が固定側金型101に残留して金型から取り出せなくなるので、高金型温度で連続成形ができない。
【0021】
また、固定側金型にディスク内径と略同径の内孔を有するオスカッターが固定され、可動側金型に備えらえた前後移動可能なカットパンチを成形機の油圧装置等の突出機構により突出させ、カットパンチ先端のメスカッター部をオスカッターに突入させる様になっている金型についても、スプルーの接触面積はスプルーブッシュの方がカットパンチ側に比べて大きいことには変わりなく、通常の金型と同様に、スプルー残りを発生する可能性があり、この場合は高金型温度で連続成形ができない。
【0022】
そこで本発明は上記課題を鑑み、高金型温度かつ樹脂の高速充填下で基板成形を可能とする光ディスク用金型を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ディスク金型は、一対の鏡面間に形成されたキャビティに樹脂を射出成形するための光ディスク金型であって、固定側型は、溶融樹脂を導入すると同時にディスク内孔部を形成するスプルーブッシュと、前記スプルーブッシュのキャビティ面側端部にはメスカッターを備え、可動側型は、前記スプルーブッシュと対向して溶融樹脂の流入する円環状のゲートを形成しかつキャビティ方向へ突出後退が可能なカットパンチと、前記カットパンチのキャビティ面側外周側端部には前記カットパンチのキャビティ方向への突出時に前記メスカッターに突入し前記ゲートを閉じるオスカッターを備え、前記カットパンチのキャビティ面内周側にキャビティ面方向に環状突起を有し、前記環状突起の外側面側の少なくとも一部分にアンダーカット部を備えたことを特徴とする。
【0024】
また、一対の鏡面間に形成されたキャビティに樹脂を射出成形するための光ディスク金型であって、固定側型は、溶融樹脂を導入すると同時にディスク内孔部を形成するスプルーブッシュと、前記スプルーブッシュのキャビティ面側端部にはオスカッターを備え、可動側型は、前記スプルーブッシュと対向して溶融樹脂の流入する円環状のゲートを形成しかつキャビティ方向へ突出後退が可能なカットパンチと、前記カットパンチのキャビティ面側端部には前記カットパンチのキャビティ方向への突出時に前記オスカッターに被さり前記ゲートを閉じるメスカッターを備え、前記メスカッターに連続したキャビティ側内周側面の少なくとも一部分にアンダーカット部を備えたことを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照して説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図1はこのような光ディスク金型の概略図であり、図2はその主要部であり、図3から図6は光ディスク基板の射出成形時の金型動作を示す概略図である。
【0027】
1は固定側金型、2は可動側金型、3はキャビティ、4はスタンパ、5はスタンパホルダ、6はスプルーブッシュ、7はカットパンチ、8はゲート、9はオスカッター、10はメスカッター、11は環状突起、12はアンダーカット、13はエジェクタ、14はエジェクタロッド、15は可動側ブッシュ、16は固定側離型気体通路、17は可動側離型気体通路、18は溶融樹脂、19は成形基板、20はスプルー、21は固定側離型気体、22は引っかかり部、23はスタンパ転写面、24は可動側離型気体である。
【0028】
図1および2で、固定側金型1の中心部には溶融樹脂の導入路となるスプルーブッシュ6があり、その外側にはスタンパ4を金型内に係止するためのスタンパホルダ5がある。スプルーブッシュ6とスタンパホルダ5の間には、離型気体を放出するための固定側離型気体通路16がある。
【0029】
一方、可動側金型2の中心部から順に、図示しない成形機側からの操作により突出・後退可能なエジェクタロッド14、カットパンチ7、エジェクタ13が備えられており、その外側に可動側ブッシュ15と可動側離型気体通路17が同心円状に配置されている。
【0030】
スプルーブッシュ6の先端部にはメスカッター10がある。一方、カットパンチ7の先端部にはオスカッター9があり、その内側のエジェクタロッド14部周囲には環状突起部11が設けられており、その外周側側面にはアンダーカット12が設けられている。
【0031】
固定側金型1と可動側金型2を合わせた空間がキャビティ3であり、カットパンチ7の突出時にはゲート8が閉じる構造になっている。
【0032】
図3は、図示しない成形機側の操作で溶融樹脂18がスプルーブッシュ6の中心孔から流入されてゲート8を通っていき、スタンパ4の表面パターンを転写しながらキャビティ3内に流入されていく状態を示している。
【0033】
溶融樹脂18がキャビティ3内に必要量分流入されると、図4のように図示しない成形機側の動作によりカットパンチ7とエジェクタロッド14が同時に図上方に突出され、オスカッター9がメスカッター10に入り込む形でゲート8が閉じられる。図示しない温度調整手段により金型は冷却されているので、溶融樹脂18は冷却固化されて、成形基板19とスプルー20が形成される。
【0034】
その後、図5のように、図示しない成形機側の離型気体供給手段から供給される固定側離型気体21を固定側離型気体通路16から放出しながら、可動側金型2が開かれる。このとき、カットパンチ7に設けられた環状突起部11の外周側のアンダーカット12を写し取って形成されたスプルー20の引っかかり部22がアンダーカット12と組み合わされた状態で形成されており、可動側金型2を開く際にはアンダーカット部12と引っかかり部22の抵抗力によって、スプルー20は可動側のカットパンチ7に接合したまま引き抜かれる。
【0035】
そして、図6のように、図示しない成形機側の離型気体供給手段から供給される可動側離型気体24を可動側離型気体通路17から放出しながら、図示しない成形機側からの押圧手段によりエジェクタ13およびエジェクタロッド14が突出されて、成形基板19とスプルー20が金型から離型される。
【0036】
図7はこの金型で成形されたスプルー部分の概略図で、20はスプルーを示している。スプルー20には、図1の金型で溶融樹脂の導入時に、アンダーカット12部の形状を写し取った引っかかり部22が形成されている。
【0037】
先述のように、高金型温度下で光ディスク基板の射出成形を行う場合に、スプルー20の厚肉部のヒケによる収縮変形25が発生することがあっても、本発明の金型によるスプルー20の円盤部に形成される引っかかり部22の部位は、厚肉部に比べて冷却されやすいため、この部分に大きなヒケによる変形は生じない。
【0038】
したがって、図5で金型を開いて可動側金型2へスプルー20を取り出すのに充分な引っかかり力が得られ、スプルー20が確実に可動側に引き抜かれるのである。
【0039】
したがって、高金型温度かつ樹脂の高速射出条件で成形して、スプルー20の厚肉部にヒケ25が発生する場合でも、スプルーの型残り不良が起きることがない。
【0040】
(実施の形態2)
図8は本発明の実施の形態を示す光ディスク金型の概略図であり、図9はその主要部であり、図10から図13は光ディスク基板の射出成形時の金型動作を示す概略図である。
【0041】
1aは固定側金型、2aは可動側金型、3aはキャビティ、4aはスタンパ、5aはスタンパホルダ、6aはスプルーブッシュ、7aはカットパンチ、8aはゲート、9aはオスカッター、10aはメスカッター、12aはアンダーカット、13aはエジェクタ、14aはエジェクタロッド、15aは可動側ブッシュ、16aは固定側離型気体通路、17aは可動側離型気体通路、18aは溶融樹脂、19aは成形基板、20aはスプルー、21aは固定側離型気体、24aは可動側離型気体である。
【0042】
図8および9で、固定側金型1aの中心部には溶融樹脂の導入路となるスプルーブッシュ6aがあり、その外側にはスタンパ4aを金型内に係止するためのスタンパホルダ5aがある。スプルーブッシュ6aとスタンパホルダ5aの間には、離型気体を放出するための固定側離型気体通路16aがある。
【0043】
一方、可動側金型2aの中心部から順に、図示しない成形機側からの操作により突出・後退可能なエジェクタロッド14a、カットパンチ7a、エジェクタ13aが備えられており、その外側に可動側ブッシュ15aと可動側離型気体通路17aが同心円状に配置されている。
【0044】
スプルーブッシュ6aの先端部にはオスカッター9aがあり、続いて段差部10aがある。一方、カットパンチ7aの先端部にはメスカッター10aがあり、その内側にはアンダーカット12aが設けられている。
【0045】
固定側金型1aと可動側金型2aを合わせた空間がキャビティ3aであり、カットパンチ7aの突出時にはゲート8aが閉じる構造になっている。
【0046】
図10は、図示しない成形機側の操作で溶融樹脂18aがスプルーブッシュ6aの中心孔から流入されてゲート8aを通っていき、スタンパ4aの表面パターンを転写しながらキャビティ3a内に流入されていく状態を示している。
【0047】
溶融樹脂18aがキャビティ3a内に必要量分流入されると、図11のように図示しない成形機側の動作によりカットパンチ7aとエジェクタロッド14aが図上方に突出され、メスカッターがオスカッターに被さるような形でゲート8aが閉じられる。図示しない温度調整手段により金型は冷却されているので、溶融樹脂18aは冷却固化されて、成形基板19aとスプルー20aが形成される。
【0048】
このとき、カットパンチ7aのアンダーカット12aを写し取って形成されたスプルー20のa引っかかり部22aがアンダーカット12aと組み合わされた状態で形成されている。
【0049】
先述のように、高金型温度下で光ディスク基板の射出成形を行う場合に、スプルー20aの厚肉部のヒケによる収縮変形25aが発生することがあっても、スプルー20aの円盤部外縁にできる引っかかり部22aの部位にはゲート周辺の狭窄部を樹脂が通過するので、この部分での樹脂の充填圧力が高まることやゲートカット時にオスカッター側へ押し込まれることによるカット圧力によって樹脂に充分な圧力がかかっていることがあり、また円盤部は厚肉部に比べて冷却されやすく圧力がかかった状態で冷却されることになるため、この部分に大きなヒケによる変形は生じない。したがって、スプルー20aを取り出すのに充分な引っかかり力が得られ、金型を開く際にはスプルー20aが確実に可動側に引き抜かれる。
【0050】
そして、図5のように、図示しない成形機側の離型気体供給手段から供給される可動側離型気体25を可動側離型気体通路17から放出しながら、図示しない成形機側からの押圧手段によりエジェクタ13およびエジェクタロッド14が突出されて、成形基板19とスプルー20が金型から離型される。
【0051】
したがって、高金型温度かつ樹脂の高速射出条件で成形する場合でも、スプルーの型残り不良が起きることがない。
【0052】
なお、メスカッター10aの内壁部のアンダーカット形状については、図15(a)、(b)、(c)にキャビティ面方向の断面形状の概略断面図を示す。
【0053】
このとき、アンダーカット部12a、12b、12cのキャビティ面方向断面の重心は、図のような金型中心軸と一致するような配置および形状であることが好ましい。このような形状にすることで、可動側金型2aを開く際にカットパンチ7a、7b、7cに対して、スプルー中心軸方向に対して対称的に引っ張り力を発生させることができる。このようにすれば、型開時にスプルーがずれてしまうことがないので、安定した連続成形動作を維持することができる。
【0054】
なお、実施の形態2の金型ではアンダーカット12aがカットパンチ7aの外縁部のメスカッター10aに連続した側面に形成されている場合を説明したが、このようなメスカッターがオスカッターへ突出嵌合する金型の場合でも、実施の形態1のようなカットパンチ内縁部に突出部を設けてその外縁部にアンダーカットを設ける組み合わせを選んでも良い。
【0055】
以上の様に、高密度光ディスク基板の成形に不可欠な高金型温度かつ樹脂の高速射出条件下でも連続成形することができるので、良特性の光ディスク基板を精度良く成形することができる。
【0056】
なお、本発明の金型は、従来の固定側スタンパ金型からの変更点はスプルーブッシュとカットパンチ及びその周辺部の形状に限定され、動作自体は従来と構成に変化はなく、またその他の基本的な構造部分についても異なる部分は少ない。したがって、金型内の動作部分の構成部材数および制御動作についても特別な変更を必要としないので、従来の成形機でも金型搭載および成形動作の対応は容易である。
【0057】
【発明の効果】
本発明の光ディスク用金型を用いて成形する場合、スプルー残りを抑制できるので、高密度光ディスク基板の成形に不可欠な高金型温度かつ樹脂の高速射出条件下でも連続成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における光ディスク用金型の概略図
【図2】本発明の実施の形態1における光ディスク用金型の主要部の概略図
【図3】本発明の実施の形態1における光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、樹脂を金型内に導入する動作を示す概略図
【図4】本発明の実施の形態1における光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、ゲートカット動作を示す概略図
【図5】本発明の実施の形態1における光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、固定側金型からの基板の離型動作を示す概略図
【図6】本発明の実施の形態1における光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、可動側金型から基材を取り出す動作を示す概略図
【図7】本発明の実施の形態1における光ディスク用金型を用いて作製されたスプルーを示す概略図
【図8】本発明の実施の形態2における光ディスク用金型の概略図
【図9】本発明の実施の形態2における光ディスク用金型の主要部の概略図
【図10】本発明の実施の形態2における光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、樹脂を金型内に導入する動作を示す概略図
【図11】本発明の実施の形態2における光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、ゲートカット動作を示す概略図
【図12】本発明の実施の形態2における光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、固定側金型からの基板の離型動作を示す概略図
【図13】本発明の実施の形態2における光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、可動側金型から基材を取り出す動作を示す概略図
【図14】本発明の実施の形態2における光ディスク用金型を用いて作製されたスプルーを示す概略図
【図15】(a)本発明の実施の形態2におけるアンダーカット部の概略断面図
(b)本発明の実施の形態2におけるアンダーカット部の別の形態の概略断面図
(c)本発明の実施の形態2におけるアンダーカット部の別の形態の概略断面図
【図16】従来の光ディスク用金型の概略図
【図17】従来の光ディスク用金型の主要部の概略図
【図18】従来の光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、樹脂を金型内に導入する動作を示す概略図
【図19】従来の光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、ゲートカット動作を示す概略図
【図20】従来の光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、固定側金型からの基板の離型動作を示す概略図
【図21】従来の光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、可動側金型から基材を取り出す動作を示す概略図
【図22】従来の光ディスク用金型を用いて作製されたスプルーを示す概略図
【符号の説明】
1,1a,101 固定側金型
2,2a,102 可動側金型
3,3a,103 キャビティ
4,4a,104 スタンパ
5,5a,105 スタンパホルダ
6,6a,106 スプルーブッシュ
7,7a,107 カットパンチ
8,8a,108 ゲート
9,9a,109 オスカッター
10,10a,110 メスカッター
11 環状突起
12,12a,12b,12c,112 アンダーカット
13,13a,113 エジェクタ
14,14a,114 エジェクタロッド
15,15a,115 可動側ブッシュ
16,16a,116 固定側離型気体通路
17,17a,117 可動側離型気体通路
18,18a,118 溶融樹脂
19,19a,119 成形基板
20,20a,120 スプルー
21,21a,121 固定側離型気体
22,22a,122 引っかかり部
23,23a,123 スタンパ転写面
24,24a,124 可動側離型気体
25,25a,125 変形部位
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク基板成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク上の記録情報は通常、同心円状やスパイラル状に形成された情報ピットもしくは連続溝などの情報記録トラックとしてディスク上に書き込まれている。近年、微細加工技術や記録再生技術の発展により高密度大容量の光ディスクが実現されてきている。前記表面情報記録トラックのピッチを微細化するなどにより、光ディスクの高密度化の検討が行われている。
【0003】
このような光ディスクに用いられる基板は従来基板と同様に、情報あるいは溝を記録したスタンパを設置した金型内に溶融したポリカーボネートなどの合成樹脂材料を射出し金型を圧縮する方法により成形されるのが好ましいが、高密度基板の射出成形上の問題は、微細化した表面パターンの転写性を確保するのが難しいことが挙げられる。
【0004】
近年においては、金型温度の高温化、樹脂温度の高温化、射出速度の高速化などによるアプローチにより転写性の維持が図られている。
【0005】
このような光ディスク金型のゲートカット機構については、固定側金型にディスク内径と略同径の内孔を有するメスカッターが固定され、可動側金型に備えられた前後移動可能なカットパンチを成形機の油圧装置等の突出機構により突出させ、カットパンチ先端のオスカッター部をメスカッターに突入させる様になっているものが現在主流となっているが、このような金型では、スプルーを可動側に移行させるためのアンダーカット部がオスカッターに設けられている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
図16はこのような光ディスク金型の概略図であり、図17はその主要部であり、図18から図21は光ディスク基板の射出成形時の金型動作を示す概略図である。
【0007】
101は固定側金型、102は可動側金型、103はキャビティ、104はスタンパ、105はスタンパホルダ、106はスプルーブッシュ、107はカットパンチ、108はゲート、109はオスカッター、110はメスカッター、112はアンダーカット、113はエジェクタ、114はエジェクタロッド、115は可動側ブッシュ、116は固定側離型気体通路、117は可動側離型気体通路、118は溶融樹脂、119は成形基板、120はスプルー、121は固定側離型気体、122は引っかかり部、123はスタンパ転写面、124は可動側離型気体である。
【0008】
図16および17で、固定側金型101の中心部には溶融樹脂の導入路となるスプルーブッシュ106があり、その外側にはスタンパ104を金型内に係止するためのスタンパホルダ105がある。スプルーブッシュ106とスタンパホルダ105の間には、離型気体を放出するための固定側離型気体通路116がある。
【0009】
一方、可動側金型102の中心部から順に、図示しない成形機側からの操作により突出・後退可能なエジェクタロッド114、カットパンチ107、エジェクタ113が備えられており、その外側に可動側ブッシュ115と可動側離型気体通路117が同心円状に配置されている。
【0010】
スプルーブッシュ106の先端部にはメスカッター110がある。一方、カットパンチ107の先端部にはオスカッター109があり、その内側のエジェクタロッド114部周囲にはアンダーカット112が設けられている。
【0011】
固定側金型101と可動側金型102を合わせた空間がキャビティ103であり、カットパンチ107の突出時にはゲート108が閉じる構造になっている。
【0012】
図18は、図示しない成形機側の操作で溶融樹脂118がスプルーブッシュ106の中心孔から流入されてゲート108を通っていき、スタンパ104の表面パターンを転写しながらキャビティ103内に流入されていく状態を示している。
【0013】
溶融樹脂118がキャビティ103内に必要量分流入されると、図19のように図示しない成形機側の動作によりカットパンチ107とエジェクタロッド114が同時に図上方に突出され、オスカッター109がメスカッター110に入り込む形でゲート108が閉じられる。図示しない温度調整手段により金型は冷却されているので、溶融樹脂118は冷却固化されて、成形基板119とスプルー120が形成される。
【0014】
その後、図20のように、図示しない成形機側の離型気体供給手段から供給される固定側離型気体121を固定側離型気体通路116から放出しながら、可動側金型102が開かれる。このとき、カットパンチ107のアンダーカット112を写し取って形成されたスプルー120の引っかかり部122がアンダーカット112と組み合わされた状態で形成されており、可動側金型102を開く際にはアンダーカット部112と引っかかり部122の抵抗力によって、スプルー120は可動側のカットパンチ107に接合したまま引き抜かれる。
【0015】
そして、図21のように、図示しない成形機側の離型気体供給手段から供給される可動側離型気体124を可動側離型気体通路117から放出しながら、図示しない成形機側からの押圧手段によりエジェクタ113およびエジェクタロッド114が突出されて、成形基板119とスプルー120が金型から離型される。
【0016】
また、これまでと異なる高密度光ディスク金型のゲートカット機構について、固定側金型にディスク内径と略同径の内孔を有するオスカッターが固定され、可動側金型に備えらえた前後移動可能なカットパンチを成形機の油圧装置等の突出機構により突出させ、カットパンチ先端のメスカッター部をオスカッターに突入させるようになっているものも提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0017】
【特許文献1】
特許第2944359号公報(第7−8頁、第1−3図)
【特許文献2】
特開2002−240101号公報(第13頁、第3図)
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
図22は前述の一般的な金型を用いて一連の動作で光ディスク基板を成形した場合のスプルー部分の概略図で、120はスプルーを示している。前述のようにスプルー120には、図12の金型で溶融樹脂の導入時に、アンダーカット112部の形状を写し取った引っかかり部122が形成されている。
【0019】
先述のように、高密度光ディスク基板の射出成形は、高金型温度かつ溶融樹脂の高速射出充填を行うため、樹脂の肉厚の大きい部分の内圧低下や冷却冷却が不足し、内部応力による収縮変形(いわゆるヒケ)が発生することがある。
【0020】
スプルー120で樹脂が最も厚肉となる部分は先端部からゲートへ広がる部分の根元の引っかかり部122のある部位である。スプルー120は樹脂導入部であるスプルーブッシュ106への接触面積はカットパンチ側107より大きく、引き抜き時に抵抗力を生じるので、引っかかり部122の部分にひけによる収縮変形125が生じると、型開動作時に可動側金型102側へ引っ張られる力が弱くなる。この結果、型開動作時にスプルー120が固定側金型101に残留して金型から取り出せなくなるので、高金型温度で連続成形ができない。
【0021】
また、固定側金型にディスク内径と略同径の内孔を有するオスカッターが固定され、可動側金型に備えらえた前後移動可能なカットパンチを成形機の油圧装置等の突出機構により突出させ、カットパンチ先端のメスカッター部をオスカッターに突入させる様になっている金型についても、スプルーの接触面積はスプルーブッシュの方がカットパンチ側に比べて大きいことには変わりなく、通常の金型と同様に、スプルー残りを発生する可能性があり、この場合は高金型温度で連続成形ができない。
【0022】
そこで本発明は上記課題を鑑み、高金型温度かつ樹脂の高速充填下で基板成形を可能とする光ディスク用金型を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ディスク金型は、一対の鏡面間に形成されたキャビティに樹脂を射出成形するための光ディスク金型であって、固定側型は、溶融樹脂を導入すると同時にディスク内孔部を形成するスプルーブッシュと、前記スプルーブッシュのキャビティ面側端部にはメスカッターを備え、可動側型は、前記スプルーブッシュと対向して溶融樹脂の流入する円環状のゲートを形成しかつキャビティ方向へ突出後退が可能なカットパンチと、前記カットパンチのキャビティ面側外周側端部には前記カットパンチのキャビティ方向への突出時に前記メスカッターに突入し前記ゲートを閉じるオスカッターを備え、前記カットパンチのキャビティ面内周側にキャビティ面方向に環状突起を有し、前記環状突起の外側面側の少なくとも一部分にアンダーカット部を備えたことを特徴とする。
【0024】
また、一対の鏡面間に形成されたキャビティに樹脂を射出成形するための光ディスク金型であって、固定側型は、溶融樹脂を導入すると同時にディスク内孔部を形成するスプルーブッシュと、前記スプルーブッシュのキャビティ面側端部にはオスカッターを備え、可動側型は、前記スプルーブッシュと対向して溶融樹脂の流入する円環状のゲートを形成しかつキャビティ方向へ突出後退が可能なカットパンチと、前記カットパンチのキャビティ面側端部には前記カットパンチのキャビティ方向への突出時に前記オスカッターに被さり前記ゲートを閉じるメスカッターを備え、前記メスカッターに連続したキャビティ側内周側面の少なくとも一部分にアンダーカット部を備えたことを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照して説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図1はこのような光ディスク金型の概略図であり、図2はその主要部であり、図3から図6は光ディスク基板の射出成形時の金型動作を示す概略図である。
【0027】
1は固定側金型、2は可動側金型、3はキャビティ、4はスタンパ、5はスタンパホルダ、6はスプルーブッシュ、7はカットパンチ、8はゲート、9はオスカッター、10はメスカッター、11は環状突起、12はアンダーカット、13はエジェクタ、14はエジェクタロッド、15は可動側ブッシュ、16は固定側離型気体通路、17は可動側離型気体通路、18は溶融樹脂、19は成形基板、20はスプルー、21は固定側離型気体、22は引っかかり部、23はスタンパ転写面、24は可動側離型気体である。
【0028】
図1および2で、固定側金型1の中心部には溶融樹脂の導入路となるスプルーブッシュ6があり、その外側にはスタンパ4を金型内に係止するためのスタンパホルダ5がある。スプルーブッシュ6とスタンパホルダ5の間には、離型気体を放出するための固定側離型気体通路16がある。
【0029】
一方、可動側金型2の中心部から順に、図示しない成形機側からの操作により突出・後退可能なエジェクタロッド14、カットパンチ7、エジェクタ13が備えられており、その外側に可動側ブッシュ15と可動側離型気体通路17が同心円状に配置されている。
【0030】
スプルーブッシュ6の先端部にはメスカッター10がある。一方、カットパンチ7の先端部にはオスカッター9があり、その内側のエジェクタロッド14部周囲には環状突起部11が設けられており、その外周側側面にはアンダーカット12が設けられている。
【0031】
固定側金型1と可動側金型2を合わせた空間がキャビティ3であり、カットパンチ7の突出時にはゲート8が閉じる構造になっている。
【0032】
図3は、図示しない成形機側の操作で溶融樹脂18がスプルーブッシュ6の中心孔から流入されてゲート8を通っていき、スタンパ4の表面パターンを転写しながらキャビティ3内に流入されていく状態を示している。
【0033】
溶融樹脂18がキャビティ3内に必要量分流入されると、図4のように図示しない成形機側の動作によりカットパンチ7とエジェクタロッド14が同時に図上方に突出され、オスカッター9がメスカッター10に入り込む形でゲート8が閉じられる。図示しない温度調整手段により金型は冷却されているので、溶融樹脂18は冷却固化されて、成形基板19とスプルー20が形成される。
【0034】
その後、図5のように、図示しない成形機側の離型気体供給手段から供給される固定側離型気体21を固定側離型気体通路16から放出しながら、可動側金型2が開かれる。このとき、カットパンチ7に設けられた環状突起部11の外周側のアンダーカット12を写し取って形成されたスプルー20の引っかかり部22がアンダーカット12と組み合わされた状態で形成されており、可動側金型2を開く際にはアンダーカット部12と引っかかり部22の抵抗力によって、スプルー20は可動側のカットパンチ7に接合したまま引き抜かれる。
【0035】
そして、図6のように、図示しない成形機側の離型気体供給手段から供給される可動側離型気体24を可動側離型気体通路17から放出しながら、図示しない成形機側からの押圧手段によりエジェクタ13およびエジェクタロッド14が突出されて、成形基板19とスプルー20が金型から離型される。
【0036】
図7はこの金型で成形されたスプルー部分の概略図で、20はスプルーを示している。スプルー20には、図1の金型で溶融樹脂の導入時に、アンダーカット12部の形状を写し取った引っかかり部22が形成されている。
【0037】
先述のように、高金型温度下で光ディスク基板の射出成形を行う場合に、スプルー20の厚肉部のヒケによる収縮変形25が発生することがあっても、本発明の金型によるスプルー20の円盤部に形成される引っかかり部22の部位は、厚肉部に比べて冷却されやすいため、この部分に大きなヒケによる変形は生じない。
【0038】
したがって、図5で金型を開いて可動側金型2へスプルー20を取り出すのに充分な引っかかり力が得られ、スプルー20が確実に可動側に引き抜かれるのである。
【0039】
したがって、高金型温度かつ樹脂の高速射出条件で成形して、スプルー20の厚肉部にヒケ25が発生する場合でも、スプルーの型残り不良が起きることがない。
【0040】
(実施の形態2)
図8は本発明の実施の形態を示す光ディスク金型の概略図であり、図9はその主要部であり、図10から図13は光ディスク基板の射出成形時の金型動作を示す概略図である。
【0041】
1aは固定側金型、2aは可動側金型、3aはキャビティ、4aはスタンパ、5aはスタンパホルダ、6aはスプルーブッシュ、7aはカットパンチ、8aはゲート、9aはオスカッター、10aはメスカッター、12aはアンダーカット、13aはエジェクタ、14aはエジェクタロッド、15aは可動側ブッシュ、16aは固定側離型気体通路、17aは可動側離型気体通路、18aは溶融樹脂、19aは成形基板、20aはスプルー、21aは固定側離型気体、24aは可動側離型気体である。
【0042】
図8および9で、固定側金型1aの中心部には溶融樹脂の導入路となるスプルーブッシュ6aがあり、その外側にはスタンパ4aを金型内に係止するためのスタンパホルダ5aがある。スプルーブッシュ6aとスタンパホルダ5aの間には、離型気体を放出するための固定側離型気体通路16aがある。
【0043】
一方、可動側金型2aの中心部から順に、図示しない成形機側からの操作により突出・後退可能なエジェクタロッド14a、カットパンチ7a、エジェクタ13aが備えられており、その外側に可動側ブッシュ15aと可動側離型気体通路17aが同心円状に配置されている。
【0044】
スプルーブッシュ6aの先端部にはオスカッター9aがあり、続いて段差部10aがある。一方、カットパンチ7aの先端部にはメスカッター10aがあり、その内側にはアンダーカット12aが設けられている。
【0045】
固定側金型1aと可動側金型2aを合わせた空間がキャビティ3aであり、カットパンチ7aの突出時にはゲート8aが閉じる構造になっている。
【0046】
図10は、図示しない成形機側の操作で溶融樹脂18aがスプルーブッシュ6aの中心孔から流入されてゲート8aを通っていき、スタンパ4aの表面パターンを転写しながらキャビティ3a内に流入されていく状態を示している。
【0047】
溶融樹脂18aがキャビティ3a内に必要量分流入されると、図11のように図示しない成形機側の動作によりカットパンチ7aとエジェクタロッド14aが図上方に突出され、メスカッターがオスカッターに被さるような形でゲート8aが閉じられる。図示しない温度調整手段により金型は冷却されているので、溶融樹脂18aは冷却固化されて、成形基板19aとスプルー20aが形成される。
【0048】
このとき、カットパンチ7aのアンダーカット12aを写し取って形成されたスプルー20のa引っかかり部22aがアンダーカット12aと組み合わされた状態で形成されている。
【0049】
先述のように、高金型温度下で光ディスク基板の射出成形を行う場合に、スプルー20aの厚肉部のヒケによる収縮変形25aが発生することがあっても、スプルー20aの円盤部外縁にできる引っかかり部22aの部位にはゲート周辺の狭窄部を樹脂が通過するので、この部分での樹脂の充填圧力が高まることやゲートカット時にオスカッター側へ押し込まれることによるカット圧力によって樹脂に充分な圧力がかかっていることがあり、また円盤部は厚肉部に比べて冷却されやすく圧力がかかった状態で冷却されることになるため、この部分に大きなヒケによる変形は生じない。したがって、スプルー20aを取り出すのに充分な引っかかり力が得られ、金型を開く際にはスプルー20aが確実に可動側に引き抜かれる。
【0050】
そして、図5のように、図示しない成形機側の離型気体供給手段から供給される可動側離型気体25を可動側離型気体通路17から放出しながら、図示しない成形機側からの押圧手段によりエジェクタ13およびエジェクタロッド14が突出されて、成形基板19とスプルー20が金型から離型される。
【0051】
したがって、高金型温度かつ樹脂の高速射出条件で成形する場合でも、スプルーの型残り不良が起きることがない。
【0052】
なお、メスカッター10aの内壁部のアンダーカット形状については、図15(a)、(b)、(c)にキャビティ面方向の断面形状の概略断面図を示す。
【0053】
このとき、アンダーカット部12a、12b、12cのキャビティ面方向断面の重心は、図のような金型中心軸と一致するような配置および形状であることが好ましい。このような形状にすることで、可動側金型2aを開く際にカットパンチ7a、7b、7cに対して、スプルー中心軸方向に対して対称的に引っ張り力を発生させることができる。このようにすれば、型開時にスプルーがずれてしまうことがないので、安定した連続成形動作を維持することができる。
【0054】
なお、実施の形態2の金型ではアンダーカット12aがカットパンチ7aの外縁部のメスカッター10aに連続した側面に形成されている場合を説明したが、このようなメスカッターがオスカッターへ突出嵌合する金型の場合でも、実施の形態1のようなカットパンチ内縁部に突出部を設けてその外縁部にアンダーカットを設ける組み合わせを選んでも良い。
【0055】
以上の様に、高密度光ディスク基板の成形に不可欠な高金型温度かつ樹脂の高速射出条件下でも連続成形することができるので、良特性の光ディスク基板を精度良く成形することができる。
【0056】
なお、本発明の金型は、従来の固定側スタンパ金型からの変更点はスプルーブッシュとカットパンチ及びその周辺部の形状に限定され、動作自体は従来と構成に変化はなく、またその他の基本的な構造部分についても異なる部分は少ない。したがって、金型内の動作部分の構成部材数および制御動作についても特別な変更を必要としないので、従来の成形機でも金型搭載および成形動作の対応は容易である。
【0057】
【発明の効果】
本発明の光ディスク用金型を用いて成形する場合、スプルー残りを抑制できるので、高密度光ディスク基板の成形に不可欠な高金型温度かつ樹脂の高速射出条件下でも連続成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における光ディスク用金型の概略図
【図2】本発明の実施の形態1における光ディスク用金型の主要部の概略図
【図3】本発明の実施の形態1における光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、樹脂を金型内に導入する動作を示す概略図
【図4】本発明の実施の形態1における光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、ゲートカット動作を示す概略図
【図5】本発明の実施の形態1における光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、固定側金型からの基板の離型動作を示す概略図
【図6】本発明の実施の形態1における光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、可動側金型から基材を取り出す動作を示す概略図
【図7】本発明の実施の形態1における光ディスク用金型を用いて作製されたスプルーを示す概略図
【図8】本発明の実施の形態2における光ディスク用金型の概略図
【図9】本発明の実施の形態2における光ディスク用金型の主要部の概略図
【図10】本発明の実施の形態2における光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、樹脂を金型内に導入する動作を示す概略図
【図11】本発明の実施の形態2における光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、ゲートカット動作を示す概略図
【図12】本発明の実施の形態2における光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、固定側金型からの基板の離型動作を示す概略図
【図13】本発明の実施の形態2における光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、可動側金型から基材を取り出す動作を示す概略図
【図14】本発明の実施の形態2における光ディスク用金型を用いて作製されたスプルーを示す概略図
【図15】(a)本発明の実施の形態2におけるアンダーカット部の概略断面図
(b)本発明の実施の形態2におけるアンダーカット部の別の形態の概略断面図
(c)本発明の実施の形態2におけるアンダーカット部の別の形態の概略断面図
【図16】従来の光ディスク用金型の概略図
【図17】従来の光ディスク用金型の主要部の概略図
【図18】従来の光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、樹脂を金型内に導入する動作を示す概略図
【図19】従来の光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、ゲートカット動作を示す概略図
【図20】従来の光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、固定側金型からの基板の離型動作を示す概略図
【図21】従来の光ディスク用金型を用いた基材の種出成形動作中の、可動側金型から基材を取り出す動作を示す概略図
【図22】従来の光ディスク用金型を用いて作製されたスプルーを示す概略図
【符号の説明】
1,1a,101 固定側金型
2,2a,102 可動側金型
3,3a,103 キャビティ
4,4a,104 スタンパ
5,5a,105 スタンパホルダ
6,6a,106 スプルーブッシュ
7,7a,107 カットパンチ
8,8a,108 ゲート
9,9a,109 オスカッター
10,10a,110 メスカッター
11 環状突起
12,12a,12b,12c,112 アンダーカット
13,13a,113 エジェクタ
14,14a,114 エジェクタロッド
15,15a,115 可動側ブッシュ
16,16a,116 固定側離型気体通路
17,17a,117 可動側離型気体通路
18,18a,118 溶融樹脂
19,19a,119 成形基板
20,20a,120 スプルー
21,21a,121 固定側離型気体
22,22a,122 引っかかり部
23,23a,123 スタンパ転写面
24,24a,124 可動側離型気体
25,25a,125 変形部位
Claims (2)
- 一対の鏡面間に形成されたキャビティに樹脂を射出成形するための光ディスク金型であって、固定側型は、溶融樹脂を導入すると同時にディスク内孔部を形成するスプルーブッシュと、前記スプルーブッシュのキャビティ面側端部にはメスカッターを備え、可動側型は、前記スプルーブッシュと対向して溶融樹脂の流入する円環状のゲートを形成しかつキャビティ方向へ突出後退が可能なカットパンチと、前記カットパンチのキャビティ面側外周側端部には前記カットパンチのキャビティ方向への突出時に前記メスカッターに突入し前記ゲートを閉じるオスカッターを備え、前記カットパンチのキャビティ面側内周側にキャビティ方向に環状突起を有し、前記環状突起の外側面側の少なくとも一部分にアンダーカット部を備えたことを特徴とする光ディスク用金型。
- 一対の鏡面間に形成されたキャビティに樹脂を射出成形するための光ディスク金型であって、固定側型は、溶融樹脂を導入すると同時にディスク内孔部を形成するスプルーブッシュと、前記スプルーブッシュのキャビティ面側端部にはオスカッターを備え、可動側型は、前記スプルーブッシュと対向して溶融樹脂の流入する円環状のゲートを形成しかつキャビティ方向へ突出後退が可能なカットパンチと、前記カットパンチのキャビティ面側端部には前記カットパンチのキャビティ方向への突出時に前記オスカッターに被さり前記ゲートを閉じるメスカッターを備え、前記メスカッターに連続したキャビティ側内周側面の少なくとも一部分にアンダーカット部を備えたことを特徴とする光ディスク用金型。
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