JP2004148573A - 筆記具用消去性固形組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】筆記性能を損なうことなく可視光を含む人工光或いは自然光を照射させることにより、消色が可能となる固形マーカー、シャープ芯、鉛筆芯、色鉛筆芯、白墨、クレヨン等に好適な筆記具用消去性固形組成物に関する。筆記具用消去性固形組成物を提供することを提供する。
【解決手段】少なくとも着色剤及び溶剤を含有する消去性固形組成物であって、該固形組成物中に可視光応答性酸化チタン光触媒を含有していることを特徴とする筆記具用消去性固形組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも着色剤及び溶剤を含有する消去性固形組成物であって、該固形組成物中に可視光応答性酸化チタン光触媒を含有していることを特徴とする筆記具用消去性固形組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可視光を含む人工光或いは自然光を照射させることにより、消色が可能となる固形マーカー、シャープ芯、鉛筆芯、色鉛筆芯、白墨、クレヨン等に好適な筆記具用消去性固形組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、固形マーカー、白墨、クレヨンなどの固形筆記具により描かれた描線が不必要になった際、砂消しゴムで消したり、修正液で隠蔽したり、黒板や白板などは布やスポンジからなるイレイザーで消去しているものである。
【0003】
これらの消去を自然に行うものとして、例えば、紫外線により光触媒効果を有する酸化チタンと、硫酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、無晶形二酸化ケイ素を混合し脂肪酸、ワックス、界面活性剤を用いて特定の金型で成形した道路表面上に記入する用具(チョーク)が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、基材上に、平均粒径0.05〜0.2μmの光触媒アナターゼ型酸化チタン微粒子を含有するインキ組成物を用いてインキジェットプリンターで印刷し、かくして得られた印刷物に約100〜400nmの紫外線を照射して印字部分を消色することを特徴とする印刷用基材の再生方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平2002−19376号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】
特開平10−287081号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のチョーク、並びに、上記特許文献2に記載の印刷用基材の再生方法に用いる各酸化チタン光触媒では、紫外線で消色等されるのみであり、可視光は利用されておらず、室内光などの可視光では全く消色できず、その使用が制限され、実用上の課題を有するものである。特に、上記特許文献1に記載の実施例1〔成分(1)〕のチョークでは、用いる蛍光染料が消色することについての記載乃至示唆はなく、染料を用いない実施例2及び3〔成分(2)及び(3)〕では、配合した硫酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、無晶形二酸化ケイ素、脂肪酸、ワックスなどが分解(分離)することにより、文字が消失(消滅)することが記載されるのみである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、非筆記面を傷めたり、また修正痕を残すことなく容易に筆記性能を損なうことなく可視光による消色が実現できる筆記具用消去性固形組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の課題等について鋭意検討を重ねた結果、可視光を含む人工光或いは自然光を照射させることにより、消色を実現するために、固形組成物中に特定の成分を含有することにより、上記目的の筆記具用消去性固形組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の筆記具用消去性固形組成物は、少なくとも着色剤、溶剤を含有する消去性固形組成物であって、該固形組成物中に可視光応答性酸化チタン光触媒を含有していることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の筆記具用消去性固形組成物は、少なくとも着色剤、溶剤を含有する消去性固形組成物であって、該固形組成物中に可視光応答性酸化チタン光触媒を含有していることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に用いる可視光応答性酸化チタン光触媒は、可視光応答性(波長420nm以上の光の作用により活性)を有する酸化チタン光触媒であれば、特に限定されるものではなく、例えば、▲1▼可視活性の発現が酸素欠損に基づく酸素欠損型のアナターゼ型可視光応答性酸化チタン光触媒や、▲2▼ルチル型酸化チタン微粒子に白金などの有機金属錯体コロイド溶液を噴霧、焼成し、酸化チタン微粒子表面上にナノスケールの金属超微粒子を格子整合に近い状態で担持させたルチル型可視光応答性酸化チタン光触媒などを使用することができる。
具体的に用いることができる可視光応答性酸化チタン光触媒としては、例えば、ブルーアクティブーPW25(BA−PW25,エコデバイス社製)等が挙げられる。
これらの可視光応答性酸化チタン光触媒は、可視光応答性を有するものであるため、従来の特定波長(紫外線)の場合よりも、光の制限がなく、蛍光灯などの可視光を含む人工光、可視光を含む自然光により光触媒機能が発揮させることとなる。
【0010】
この可視光応答性酸化チタン光触媒の含有量は、固形組成物全量に対して、好ましくは、0.1〜50重量%(以下、単に「%」という)、更に好ましくは、0.5〜30%とすることが望ましい。
この酸化チタン光触媒の含有量が0.1%未満であると、本発明の効果を達成することはできず、また、50%を越えると、性能上、必要以上の含有量となり、また、固形物としての強度が低下するので、好ましくない。
【0011】
本発明に用いられる着色剤としては、筆記具用などの固形組成物に用いる着色剤でれば、特に限定されるものではなく、筆記具用などの固形組成物の用途に応じて、例えば、天然色素、水性染料、油性染料、有機顔料、無機顔料などを使用することができる。
好ましくは、天然色素、水性染料、油性染料を用いることが望ましいが、有機顔料や無機顔料といった分解されにくい着色剤を使用した場合、樹脂の劣化を狙った固形組成物を調製し、光照射後、比較的弱い擦過により消去することも可能である。
この着色剤の含有量は、固形組成物の用途により変動するが、インキ組成物全量に対して、好ましくは、0.1〜20%、更に好ましくは、0.5〜15%とすることが望ましい。
【0012】
本発明に用いる溶剤は、粉体の飛散防止、ゲル体の形成、被筆記面に対する固着性付与剤として用いるものである。
用いることができる溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールやベンジルアルコール、並びに、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素や、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の低級脂肪族ケトンや、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級脂肪酸の低級アルコールエステルや、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素や、グリコールのアルキルアルコール、植物油、鉱物油、シリコンオイル、水(精製水、イオン交換水、純水、海洋深層水等)等が挙げられ、好ましくは、保存中での溶剤揮発の点からベンジルアルコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、植物油、鉱物油、シリコンオイルが望ましい。
これらは単独又は2種以上混合して使用することが可能であり、その含有量は、固形組成量全量に対して、0.1〜95重量%、好ましくは0.2〜90重量%が望ましい。
【0013】
本発明における消去性固形組成物では、上記着色剤及び溶剤のほか、固形性付与、機械的強度等のため、体質材や結合材、また、芯体を崩して被筆記面に描画し、また、書き味をよくする目的で滑材等を夫々適宜量含有することが好ましい。
体質材としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、沈降性硫酸バリウム、窒化硼素、マイカ、チタン酸カリウム、チタン酸カリウム繊維体、二酸化チタンウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、繊維状炭素等を使用することができ、当然これらの数種類の混合物も使用できる。
結合材としては、例えば、樹脂、ゲル化剤、増粘剤などを用いることができる。用いることができる樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール、ゴム系、アクリル系、ビニル系、フェノール系、マレイン酸樹脂系、ケトン系、アルキド系樹脂等を用いることができる。ゲル化剤としては、ジベンジリデンソルビトール、アミノ酸誘導体、金属せっけん、1,2−ヒドロキシステアリン酸、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリノルボルネン、アルキルアクリレート架橋体等を用いることができる。更に、増粘剤としては、天然多糖類、天然タンパク質、合成有機高分子、合成無機高分子等を用いることができる。
【0014】
滑材としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、蜜ロウ、木ロウ、合成木ロウ、カスターワックス、ステアリン酸、脂肪酸アミド等のワックス類、カルシウムステアレート、ジンクステアレート、アルミニウムステアレート等の金属石鹸等いずれも使用可能で、当然これらの数種類の混合物も使用できる。
更に、高せん断力を加えて行う混練時の特性向上及び押出成形の特性向上の目的で、DOP、DBP、TCP、DOA、プロピレンカーボネート、アルコール類、ケトン類、エステル類など有機質の結合材の可塑剤又は溶剤の一種又は二種以上を必要に応じて添加することができる。
【0015】
本発明では、更に本発明の効果を損なわない範囲で一般に用いられている筆記具用の消去性固形組成物に用いられている任意成分(添加剤)を含有することができる。
用いることができる任意成分(その他の筆記具用添加剤)としては、例えば、アニオン系、ノニオン系、カチオン系などの界面活性剤、防腐剤、防徴剤、剥離剤、可塑剤、蒸発抑制剤などが挙げられる。
【0016】
本発明の固形組成物では、固形マーカー、チョーク、クレヨン、シャープ芯、鉛筆芯、色鉛筆芯等の固形筆記具の用途等に応じて、上記着色剤、溶剤、可視光応答性酸化チタン光触媒、固形筆記具用添加成分を含有することにより、各種の消去性固形組成物を調製することができる。
【0017】
本発明の消去性固形組成物が、何故、蛍光灯などの可視光を含む人工光、或いは自然光を照射させることにより、消色が可能となるものであるかは、以下の理由による。
すなわち、本発明では、固形組成物中に可視光応答性酸化チタン光触媒が含有されているので、光触媒が可視光(波長420nm以上)を吸収することによりラジカルが発生する。この発生したラジカルにより周囲の着色剤又はバインダーが分解、または、退色、劣化することとなり、着色剤の消滅の場合は、そのまま、また、バインダーの分解の場合は拭き取り、擦過、風雨などにより固形組成物により筆記される描線等は消色されるものとなる。
【0018】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び比較例に基づき更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0019】
〔実施例1〜2及び比較例1〜2〕
下記表1に示す配合組成により筆記具用の固形組成物を調製した。
得られた各固形組成物を用いて直径1cm、長さ7cmの円柱状の成形品を得て、所定のホルダーに収めて、下記方法により消色試験1及び2、並びに擦過試験を行った。
これらの結果を下記表1に示す。
【0020】
(消色試験方法)
消色試験1:スライドグラスに筆記した後、10月の太陽光を受ける屋上に3時間静置した後、消色度合いを目視により、下記評価基準で評価した。
消色試験2:スライドグラスに筆記した後、蛍光灯(40W)下20cmに24時間静置した後、消色度合いを目視により、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:完全に消色している。
○:ほぼ消色している。
△:やや色あせている。
×:消色はしていない。
【0021】
(擦過試験の評価方法)
スライドグラスに筆記した後、蛍光灯(40W)下20cmに24時間静置した後、乾いた木綿製の布で擦過し、消去のしやすさを下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:1〜3回の擦過で消去できた。
○:4〜6回の擦過で消去できた。
△:7〜20回の擦過で消去できた。
×:擦過による消去は認められなかった。
【0022】
【表1】
【0023】
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜2の筆記具用固形組成物は、本発明範囲外なる比較例1〜2に較べて、消色性に優れていることが判明した。なお、本発明の実施例においては、消色が不十分であった場合にも、樹脂等の分解が起きているため、簡単に擦過により消去することができるものであった。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、筆記性能を損なうことなく可視光を含む人工光或いは自然光を照射させることにより、簡単に消色が可能となる筆記具用消去性固形組成物が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、可視光を含む人工光或いは自然光を照射させることにより、消色が可能となる固形マーカー、シャープ芯、鉛筆芯、色鉛筆芯、白墨、クレヨン等に好適な筆記具用消去性固形組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、固形マーカー、白墨、クレヨンなどの固形筆記具により描かれた描線が不必要になった際、砂消しゴムで消したり、修正液で隠蔽したり、黒板や白板などは布やスポンジからなるイレイザーで消去しているものである。
【0003】
これらの消去を自然に行うものとして、例えば、紫外線により光触媒効果を有する酸化チタンと、硫酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、無晶形二酸化ケイ素を混合し脂肪酸、ワックス、界面活性剤を用いて特定の金型で成形した道路表面上に記入する用具(チョーク)が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、基材上に、平均粒径0.05〜0.2μmの光触媒アナターゼ型酸化チタン微粒子を含有するインキ組成物を用いてインキジェットプリンターで印刷し、かくして得られた印刷物に約100〜400nmの紫外線を照射して印字部分を消色することを特徴とする印刷用基材の再生方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平2002−19376号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】
特開平10−287081号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のチョーク、並びに、上記特許文献2に記載の印刷用基材の再生方法に用いる各酸化チタン光触媒では、紫外線で消色等されるのみであり、可視光は利用されておらず、室内光などの可視光では全く消色できず、その使用が制限され、実用上の課題を有するものである。特に、上記特許文献1に記載の実施例1〔成分(1)〕のチョークでは、用いる蛍光染料が消色することについての記載乃至示唆はなく、染料を用いない実施例2及び3〔成分(2)及び(3)〕では、配合した硫酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、無晶形二酸化ケイ素、脂肪酸、ワックスなどが分解(分離)することにより、文字が消失(消滅)することが記載されるのみである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、非筆記面を傷めたり、また修正痕を残すことなく容易に筆記性能を損なうことなく可視光による消色が実現できる筆記具用消去性固形組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の課題等について鋭意検討を重ねた結果、可視光を含む人工光或いは自然光を照射させることにより、消色を実現するために、固形組成物中に特定の成分を含有することにより、上記目的の筆記具用消去性固形組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の筆記具用消去性固形組成物は、少なくとも着色剤、溶剤を含有する消去性固形組成物であって、該固形組成物中に可視光応答性酸化チタン光触媒を含有していることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の筆記具用消去性固形組成物は、少なくとも着色剤、溶剤を含有する消去性固形組成物であって、該固形組成物中に可視光応答性酸化チタン光触媒を含有していることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に用いる可視光応答性酸化チタン光触媒は、可視光応答性(波長420nm以上の光の作用により活性)を有する酸化チタン光触媒であれば、特に限定されるものではなく、例えば、▲1▼可視活性の発現が酸素欠損に基づく酸素欠損型のアナターゼ型可視光応答性酸化チタン光触媒や、▲2▼ルチル型酸化チタン微粒子に白金などの有機金属錯体コロイド溶液を噴霧、焼成し、酸化チタン微粒子表面上にナノスケールの金属超微粒子を格子整合に近い状態で担持させたルチル型可視光応答性酸化チタン光触媒などを使用することができる。
具体的に用いることができる可視光応答性酸化チタン光触媒としては、例えば、ブルーアクティブーPW25(BA−PW25,エコデバイス社製)等が挙げられる。
これらの可視光応答性酸化チタン光触媒は、可視光応答性を有するものであるため、従来の特定波長(紫外線)の場合よりも、光の制限がなく、蛍光灯などの可視光を含む人工光、可視光を含む自然光により光触媒機能が発揮させることとなる。
【0010】
この可視光応答性酸化チタン光触媒の含有量は、固形組成物全量に対して、好ましくは、0.1〜50重量%(以下、単に「%」という)、更に好ましくは、0.5〜30%とすることが望ましい。
この酸化チタン光触媒の含有量が0.1%未満であると、本発明の効果を達成することはできず、また、50%を越えると、性能上、必要以上の含有量となり、また、固形物としての強度が低下するので、好ましくない。
【0011】
本発明に用いられる着色剤としては、筆記具用などの固形組成物に用いる着色剤でれば、特に限定されるものではなく、筆記具用などの固形組成物の用途に応じて、例えば、天然色素、水性染料、油性染料、有機顔料、無機顔料などを使用することができる。
好ましくは、天然色素、水性染料、油性染料を用いることが望ましいが、有機顔料や無機顔料といった分解されにくい着色剤を使用した場合、樹脂の劣化を狙った固形組成物を調製し、光照射後、比較的弱い擦過により消去することも可能である。
この着色剤の含有量は、固形組成物の用途により変動するが、インキ組成物全量に対して、好ましくは、0.1〜20%、更に好ましくは、0.5〜15%とすることが望ましい。
【0012】
本発明に用いる溶剤は、粉体の飛散防止、ゲル体の形成、被筆記面に対する固着性付与剤として用いるものである。
用いることができる溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールやベンジルアルコール、並びに、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素や、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の低級脂肪族ケトンや、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級脂肪酸の低級アルコールエステルや、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素や、グリコールのアルキルアルコール、植物油、鉱物油、シリコンオイル、水(精製水、イオン交換水、純水、海洋深層水等)等が挙げられ、好ましくは、保存中での溶剤揮発の点からベンジルアルコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、植物油、鉱物油、シリコンオイルが望ましい。
これらは単独又は2種以上混合して使用することが可能であり、その含有量は、固形組成量全量に対して、0.1〜95重量%、好ましくは0.2〜90重量%が望ましい。
【0013】
本発明における消去性固形組成物では、上記着色剤及び溶剤のほか、固形性付与、機械的強度等のため、体質材や結合材、また、芯体を崩して被筆記面に描画し、また、書き味をよくする目的で滑材等を夫々適宜量含有することが好ましい。
体質材としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、沈降性硫酸バリウム、窒化硼素、マイカ、チタン酸カリウム、チタン酸カリウム繊維体、二酸化チタンウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、繊維状炭素等を使用することができ、当然これらの数種類の混合物も使用できる。
結合材としては、例えば、樹脂、ゲル化剤、増粘剤などを用いることができる。用いることができる樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール、ゴム系、アクリル系、ビニル系、フェノール系、マレイン酸樹脂系、ケトン系、アルキド系樹脂等を用いることができる。ゲル化剤としては、ジベンジリデンソルビトール、アミノ酸誘導体、金属せっけん、1,2−ヒドロキシステアリン酸、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリノルボルネン、アルキルアクリレート架橋体等を用いることができる。更に、増粘剤としては、天然多糖類、天然タンパク質、合成有機高分子、合成無機高分子等を用いることができる。
【0014】
滑材としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、蜜ロウ、木ロウ、合成木ロウ、カスターワックス、ステアリン酸、脂肪酸アミド等のワックス類、カルシウムステアレート、ジンクステアレート、アルミニウムステアレート等の金属石鹸等いずれも使用可能で、当然これらの数種類の混合物も使用できる。
更に、高せん断力を加えて行う混練時の特性向上及び押出成形の特性向上の目的で、DOP、DBP、TCP、DOA、プロピレンカーボネート、アルコール類、ケトン類、エステル類など有機質の結合材の可塑剤又は溶剤の一種又は二種以上を必要に応じて添加することができる。
【0015】
本発明では、更に本発明の効果を損なわない範囲で一般に用いられている筆記具用の消去性固形組成物に用いられている任意成分(添加剤)を含有することができる。
用いることができる任意成分(その他の筆記具用添加剤)としては、例えば、アニオン系、ノニオン系、カチオン系などの界面活性剤、防腐剤、防徴剤、剥離剤、可塑剤、蒸発抑制剤などが挙げられる。
【0016】
本発明の固形組成物では、固形マーカー、チョーク、クレヨン、シャープ芯、鉛筆芯、色鉛筆芯等の固形筆記具の用途等に応じて、上記着色剤、溶剤、可視光応答性酸化チタン光触媒、固形筆記具用添加成分を含有することにより、各種の消去性固形組成物を調製することができる。
【0017】
本発明の消去性固形組成物が、何故、蛍光灯などの可視光を含む人工光、或いは自然光を照射させることにより、消色が可能となるものであるかは、以下の理由による。
すなわち、本発明では、固形組成物中に可視光応答性酸化チタン光触媒が含有されているので、光触媒が可視光(波長420nm以上)を吸収することによりラジカルが発生する。この発生したラジカルにより周囲の着色剤又はバインダーが分解、または、退色、劣化することとなり、着色剤の消滅の場合は、そのまま、また、バインダーの分解の場合は拭き取り、擦過、風雨などにより固形組成物により筆記される描線等は消色されるものとなる。
【0018】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び比較例に基づき更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0019】
〔実施例1〜2及び比較例1〜2〕
下記表1に示す配合組成により筆記具用の固形組成物を調製した。
得られた各固形組成物を用いて直径1cm、長さ7cmの円柱状の成形品を得て、所定のホルダーに収めて、下記方法により消色試験1及び2、並びに擦過試験を行った。
これらの結果を下記表1に示す。
【0020】
(消色試験方法)
消色試験1:スライドグラスに筆記した後、10月の太陽光を受ける屋上に3時間静置した後、消色度合いを目視により、下記評価基準で評価した。
消色試験2:スライドグラスに筆記した後、蛍光灯(40W)下20cmに24時間静置した後、消色度合いを目視により、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:完全に消色している。
○:ほぼ消色している。
△:やや色あせている。
×:消色はしていない。
【0021】
(擦過試験の評価方法)
スライドグラスに筆記した後、蛍光灯(40W)下20cmに24時間静置した後、乾いた木綿製の布で擦過し、消去のしやすさを下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:1〜3回の擦過で消去できた。
○:4〜6回の擦過で消去できた。
△:7〜20回の擦過で消去できた。
×:擦過による消去は認められなかった。
【0022】
【表1】
【0023】
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜2の筆記具用固形組成物は、本発明範囲外なる比較例1〜2に較べて、消色性に優れていることが判明した。なお、本発明の実施例においては、消色が不十分であった場合にも、樹脂等の分解が起きているため、簡単に擦過により消去することができるものであった。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、筆記性能を損なうことなく可視光を含む人工光或いは自然光を照射させることにより、簡単に消色が可能となる筆記具用消去性固形組成物が提供される。
Claims (1)
- 少なくとも着色剤、溶剤を含有する消去性固形組成物であって、該固形組成物中に可視光応答性酸化チタン光触媒を含有していることを特徴とする筆記具用消去性固形組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002314122A JP2004148573A (ja) | 2002-10-29 | 2002-10-29 | 筆記具用消去性固形組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002314122A JP2004148573A (ja) | 2002-10-29 | 2002-10-29 | 筆記具用消去性固形組成物 |
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ID=32458521
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004189951A (ja) * | 2002-12-13 | 2004-07-08 | Pilot Precision Co Ltd | 固形筆記体 |
JP2011528045A (ja) * | 2008-07-15 | 2011-11-10 | ヨット・エス・ステットラー・ゲゼルシャフト・ミツト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト | 筆記用具、製図用具および/または描画用具用の芯 |
CN104250474A (zh) * | 2014-09-17 | 2014-12-31 | 句容市给力包装制品厂 | 一种可擦除墨水及其制备方法 |
CN113773702A (zh) * | 2021-08-26 | 2021-12-10 | 深圳市鸿合创新信息技术有限责任公司 | 一种书写粉笔及其制备方法 |
-
2002
- 2002-10-29 JP JP2002314122A patent/JP2004148573A/ja not_active Withdrawn
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JP2011528045A (ja) * | 2008-07-15 | 2011-11-10 | ヨット・エス・ステットラー・ゲゼルシャフト・ミツト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト | 筆記用具、製図用具および/または描画用具用の芯 |
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