JP2004148333A - 重ね隅肉継手の疲労強度向上方法 - Google Patents

重ね隅肉継手の疲労強度向上方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザ溶接した重ね隅肉溶接継手の疲労強度を向上させる方法を提供する。
【解決手段】2枚の鋼板を上下に重ね合わせ、重ね合わせ部の端部をレーザ溶接する重ね隅肉継手において、上側鋼板の表面位置でのレーザビームの直径Dを0.2mm≦D≦0.7mmとし、かつ、該ビームの中心軸の位置xを−Dmm≦x≦0mmとして溶接部を形成することを特徴とする重ね隅肉継手の疲労強度向上方法である。
但し、x(mm)は、重ね合わせ部の端部の溶接方向と直交する方向において、重ね合わせ部の端部を原点とし、重ね合わせ部側を負とした時の端部からの距離である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼板の重ね合わせ端部を溶接する重ね隅肉溶接継手に関し、詳しくは、鋼板をレーザによって重ね隅肉溶接した継手の疲労強度の向上方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車車体のように部材同士を組み合わせ溶接する構造体の場合、溶接継手の形状として重ね継手が基本となる。アーク溶接の場合、アークがレーザや電子ビームに比較しエネルギ密度が低いため、鋼板を貫通溶接する能力に乏しい。このため重ね継手を作製する場合、重ね合わせ部の端部を溶接する、いわゆる隅肉溶接が一般的である。アーク溶接では、溶着金属が母材に融合しないで重なったオーバーラップや、溶接止端部に沿って母材が掘られたアンダーカットなど溶接欠陥を生じる場合がある。こうした溶接欠陥を持つ構造体では、欠陥が高い応力集中部となり、繰り返し荷重に対する破壊耐性、即ち疲労強度が母材のそれと比較し著しく低下する。たとえ、このような溶接欠陥が存在しなくても、溶融金属と母材の温度差が大きいため溶接材料の濡れ性が低く、従って図4に示すように、溶接止端部の曲率半径が小さくなる。いずれにしろ、一般的な溶接条件でアーク溶接する限り、溶接止端部の応力集中が高くなり、母材に対する疲労強度の低下は免れないことが知られている。アーク溶接では、この疲労強度の低下のほか、溶接速度が低く作業能率が悪い、溶け込みを溶接方向に安定して得ることが困難といった問題がある。
【0003】
一方、近年、高出力化が進むレーザ溶接の適用が薄板構造物に進みつつある。特に自動車車体において、車体の衝突安全性向上や軽量化を狙い、従来のスポット溶接に置き換えレーザ溶接を適用する動きが高まっている。レーザのエネルギ密度は溶接法の中でも特に高いため、アーク溶接に比べ貫通能力に優れ、溶接速度を高めることができる。また、鋼板に吸収されるレーザビームのエネルギが小さいため溶接変形を極小化でき、さらに溶接材料を付加する必要が無いなどの特徴がある。
【0004】
レーザ溶接においても継手形状として重ね継手が基本であり、図3に示すように重ね端部を溶接した重ね隅肉継手や、図6に示すように重ね合わせ部の端部から離れた部分を溶接した重ね継手の2通りが場合に応じて造り分けられる。どちらの継手形状でも、溶接部形状に起因した高い応力集中と、これに伴う疲労強度の低下が生じる。
【0005】
継手に要求される特性の一つとして、良好な疲労強度を得ることは極めて重要であり、これまで種々の疲労強度の改善技術が提案されてきた。これらを以下に述べる。
【0006】
例えば、従来技術として、重ね継手の隅肉溶接において、溶接前に鋼板表面にアルミナ(Al)やシリカ(SiO)を塗布して溶接することで、溶融金属の粘性を低下させて止端角(図4)を増大し、応力集中の緩和による疲労強度改善法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この手法を溶接前に被溶接部の全てにわたって行うことは、部品の生産性とコストの観点から適用困難な場合があると考えられる。
【0007】
また、図4に示すように、止端角を90度以上に設定することで応力集中を緩和させた、疲労強度に優れた重ね隅肉継手の形状が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、その継手形状を実現する溶接条件は明らかにされておらず、また単に止端角を90度以上としても溶接止端部の曲率半径が小さい条件では応力集中を緩和することができず、すなわち疲労強度の改善は図れないと推定される。
【0008】
また、図7に示すように、重ね継手あるいは当て金溶接継手の隅肉溶接において、補強盛りを行い溶着金属23,24の喉厚h1、h2と脚長l1、l2を鋼板板厚t1、t2の√2倍以上とし、疲労強度を向上させる溶接方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この方法では、補強盛りを必要とすることから生産効率の低下を免れず、またレーザ溶接では一般に溶接材料を使用しないことを特徴としているため、この方法の利用は考えにくい。
【0009】
また、図8に示すように、重ね隅肉溶接継手において、隅肉溶接部からわずかに離れた位置に鋼板2の一部または全部を凸または凹形状に湾曲させた湾曲部25を設け、溶接止端部の応力集中を緩和し、疲労強度の向上を図る方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、自動車車体のように複雑形状の構造体において、湾曲部と溶接部を適正に配置し溶接することは極めて困難である。また、湾曲部形成のためのプレス用ヘッドやそれを受けるダイスを入れ込む空間の確保が困難な部材も存在する。
【0010】
また、図9に示すように、重ね隅肉溶接継手において、レーザビーム3の光軸を材料の平面に対し、狙い角度αを約30〜60度の角度に保持して、レーザビームを重ね部の端部に照射して隅肉溶接を行い、溶け込み幅および溶け込み深さを増大でき、継手強度を向上させる溶接方法が開示されている(例えば、特許文献5参照)。この方法により引張せん断強度は確保できるが、疲労強度は低いレベルにとどまる可能性がある。なぜならレーザを斜めに照射すると、多くの条件で、溶接金属の形状が図4の溶接部のように上側に盛り上がったものとなり、溶接止端部の曲率半径が極めて小さくなるからである。しかも、自動車車体の場合、溶接トーチやレーザビームと部材の干渉のため、ビームを斜めに照射することが不可能な場合が多いと考えられる。
【0011】
また、同様に、図10に示すように、重ね隅肉溶接継手において、レーザビーム3を材料21,22の平面に対し斜めで、かつ材料の交線26に対し一定距離27だけ上側にずらして、重ね部の端部に照射することにより、溶接止端部にくぼみが生じず滑らかなビードを形成する、つまり疲労強度に優れた溶接方法が開示されている(例えば、特許文献6参照)。この方法では、特許文献5と異なり溶接止端部の曲率半径を大きくできるが、やはりビームを斜めに照射することが必要条件であるため、多くの構造体で適用できない場合が考えられる。以上、主に溶接止端部の形状を改善し疲労強度を向上させる方法を示した。別の手段として、溶接止端部に圧縮残留応力を発生させる、あるいは溶接部に発生する引張残留応力を低減して疲労強度を高める方法が知られている。例えば、溶接止端部近傍にショットピーニング処理を行うことで圧縮残留応力を付与できる。ショットピーニングは、疲労き裂発生の起点となる部位に、1mm弱の鋼球を多数打ち付け圧縮残留応力を付与する手法である。あるいは溶接金属の加熱再溶融により溶接止端部形状の改善あるいは引張残留応力の軽減が可能である。しかしながら、ショットピーニングは鋼球を必要とし、この鋼球の後処理あるいはコストが問題となる場合がある。また溶接金属の再加熱を全溶接部に亘り行うことはコストや作業性の面で問題になるとともに、新たな溶接熱歪を発生させるため高い寸法精度が必要な構造体には採用できない。
【0012】
以上のように、従来のアーク溶接継手における疲労強度の向上技術をそのままレーザ溶接に応用することは困難、あるいは不可能であった。また、従来のレーザ溶接継手の疲労強度の向上技術は自動車車体のような構造を十分に考慮に入れたものではなかった。近年、自動車を始めとする薄板構造物の組み立てにレーザ溶接の採用が進みつつある状況のもと、レーザ溶接継手の疲労強度を高める技術の開発が強く望まれている。
【0013】
【特許文献1】
特開2000−218370号公報(第1図)
【特許文献2】
特開平11−104865号公報(第1図)
【特許文献3】
特開昭55−153692号公報(第2図)
【特許文献4】
特開昭54−97550号公報(第7図)
【特許文献5】
特開平4−270084号公報(第1図)
【特許文献6】
実開昭60−60175号公報(第1図〜第5図、第7図、第8図)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術の問題に鑑みて、本発明は、自動車車体のような薄板構造体の溶接部の信頼性を一層向上させるために、レーザ溶接した重ね隅肉溶接継手の疲労強度を向上させる方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するものであり、その要旨とするところは以下の通りである。
【0016】
(1)2枚の鋼板を上下に重ね合わせ、重ね合わせ部の端部をレーザ溶接する重ね隅肉継手において、上側鋼板の表面位置でのレーザビーム直径Dを0.2mm≦D≦0.7mmとし、かつ該ビームの中心軸の位置Xを−Dmm≦X≦0mmとして溶接部を形成することを特徴とする重ね隅肉継手の疲労強度向上方法。
【0017】
但し、Xは、重ね合わせ部の端部の溶接方向と直交する方向において、重ね合わせ部の端部を原点とし、重ねあわせ部側を負とした時の、端部からの距離(mm)である。
【0018】
(2)前記溶接部のビード幅を、上側鋼板の板厚以上とすることを特徴とする(1)に記載の重ね隅肉継手の疲労強度向上方法。
【0019】
(3)前記上側鋼板の板厚を5mm以下とすることを特徴とする(1)または(2)に記載の重ね隅肉継手の疲労強度向上方法。
【0020】
(4)前記レーザビームのエネルギ密度を0.7MW/cmとすることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の重ね隅肉継手の疲労強度向上方法。
【0021】
【発明の実施の形態】
発明者らは、二枚の鋼板を重ね合わせた端部をレーザにより隅肉溶接した継手の疲労強度を向上させるために、疲労強度に影響を与える継手の溶接部の形状(止端部、喉厚など)を考慮し、ビーム狙い位置を変えて、実験を行なった。
【0022】
ここで、止端部の形状をあらわすものとしては、止端部の曲率半径すなわち止端半径ρおよび止端角θを考慮した。すなわち、図4(b)に示すように、ビード表面の変曲点における接線の垂線と下側鋼板表面の止端における垂線との交点を中心とすると、中心から変曲点または止端までの距離を半径とした円が描ける。この半径を止端半径ρとする。また、ビード表面の変曲点における接線と下側鋼板表面とが成す角度を止端角θとする。
【0023】
また、喉厚は、図5に示すようにビードに内接する直角三角形の斜辺に直角をなしている頂点下ろした垂線の高さhをいう。また、ビード幅wは、重ね部とボンド部12との交点13から、重ね面を表わす直線11とビード表面を表わす曲線8との交点14までの距離を言う。
【0024】
溶接部の形状を左右するものとして、レーザ溶接においては、レーザビームの狙い位置の制御が重要である。ビームの狙い位置を変化させて、溶接を行い、溶接部の性状および、疲労強度を測定した。
【0025】
すなわち、図1に示すように、2枚の鋼板1(上側鋼板),2(下側鋼板)を重ね合わせ、重ね合わせた端部4をレーザビーム3で溶接する隅肉溶接を行った。ビームの狙い位置、すなわち、レーザビーム中心軸の位置を、端部4を中心とし、継手の端部の溶接方向と直交する方向、図1のX方向に、変化させた。
【0026】
このとき、端部を中心0とし、図1のX方向の右方向を+、左方向を−として、中心0からの距離xでレーザビームの中心軸の位置を表した。
【0027】
このとき、鋼板の板厚は1.2mm、継手サイズは40mm(幅)×260mm(長さ)、重ね代は40mmとした。
【0028】
溶接には、発振出力が3kWのYAGレーザを用い、また、集光ビーム直径Dは、0.3mmφおよび0.5mmφとした。このビーム直径Dは、上側鋼板1の表面の位置での直径である。溶接速度は集光ビーム直径Dや板厚に応じ所要のビード幅が得られるように調節した。また、ビームの焦点位置は上側鋼板1の表面とした。作製した継手の形状を調査すると共に、これに荷重比(最小荷重/最大荷重)=0.05、繰返し速度=10Hzの片振り引張疲労試験を行った。
【0029】
その結果を図2に、ビーム径ごとに、ビームの狙い位置(中心軸の位置)と疲労強度との関係として示す。
【0030】
狙い位置(中心軸の位置)xが、x<−Dでは、図4(a)、図4(b)に示すように、溶接金属が上側に盛り上がった形状となり、即ち、止端部の曲率半径ρと止端角θが小さく、疲労強度は向上しなかった。
【0031】
逆に、狙い位置(中心軸の位置)xが、0<xでは、図5に示すように、喉厚hの小さな溶接部が形成されるため、クレータ側から疲労き裂が発生する。このときの疲労強度は低く、また、静的強度も不十分となる。
【0032】
さらに、xがプラス側ではレーザビームの照射が不十分となり溶接部の形成が不可となる。したがって、xの最大値は0であり、ビーム径Dに依存しない。
【0033】
もし、x=0、ビーム出力一定の条件でDを増大させた場合、上側板でビームが照射される面積が増加するものの、エネルギ密度が低下するため溶融金属量を増加させることは困難である。また、Dと共にビーム出力も増加させると、エネルギ密度を一定に保てるが、通常、レーザ溶接機を使用する際、ビーム出力は、装置が有する最大値とするのが一般で、この方法は現実的でない。従って、一般にはDを変化させる場合は、溶接速度によって溶接部への投入エネルギを調節することとなる。
【0034】
このようなことから、本発明においては、ビーム狙い位置xを、−D≦x≦0の範囲内として溶接部を形成するものである。
【0035】
このとき、ビーム径Dは、D<0.2mmでは、ビーム径が細すぎて十分な喉厚を確保しがたく、また、エネルギ密度が高すぎるとスパッタが飛散しやすいなど、安定したビード形状を得るのが困難な場合がある。一方、0.7mm<Dでは、エネルギ密度が不足して鋼板を溶融させるのに時間が掛かるため現実的でない。従って、本発明においては、レーザビームの径Dを、0.2mm≦D≦0.7mmとするものである。
【0036】
このように、ビームの狙い位置を、端部からの距離とレーザビームの径との関係で制御することにより、レーザ溶接による重ね隅肉溶接継手において、例えば、図3示すような止端部形状の継手をうることができ、その継手の疲労強度を向上させることができる。
【0037】
なお、レーザ溶接による重ね隅肉溶接のために必要な他の条件、例えば、溶接速度、エネルギ密度などは、溶接対象とする鋼材の板厚、形状などを勘案して適切に設定、選択して行なえばよい。
【0038】
例えば、ビームのエネルギ密度(ビーム出力をビーム直径Dの円の面積で割ったもの)は、0.7MW/cm以上となるように選定することが望ましい。この範囲のエネルギ密度とすれば、ビームの貫通能力が高く、安定したビード形状が得られるからである。
【0039】
また、溶接速度は、鋼板の板厚、ビームの狙い位置、ビームのエネルギ密度に応じて調節することは言うまでもない。鋼板の板厚の割に溶接速度が低すぎると、過大なエネルギが鋼板に吸収され溶融金属が垂れ落ちる。逆に、溶接速度が高すぎると溶融不足のため、上記したビームの狙い範囲でも、溶接部の止端部の曲率半径が小さくなり疲労強度が低下するほか、接合サイズの不足から後述のように、継手強度が不十分となるためである。
【0040】
さらに、疲労強度と共に継手強度の強度を向上させるためには、ビード幅Wを、上側鋼板1の板厚t1以上とすることが好ましい。これは、ビード幅Wが上側鋼板1の板厚t1未満である場合、つまり図5に示すようなビードでは、継手の引張強度が低くなるためである。以上、良好なビード形状を得るような条件を満足するようレーザ出力と溶接速度を選択することが好ましい。
【0041】
また、継手強度を確保するために上記のようなビード幅を得ようとする場合、上述のように、レーザ出力と溶接速度を選択することが好ましいが、レーザ出力は装置で上限が決められており、選択の余地は狭められる。このため、本発明の方法を適用して疲労強度と継手強度とを同時に向上させようとする場合は、上側鋼板の板厚を5mm以下とするのが好ましい。上側鋼板の板厚が5mmより大きいと、ビーム狙い位置を本発明範囲としても上側鋼板の板厚以上のビード幅Wを確保することが困難となり、もし、ビード幅を増大させるためにビーム狙い位置Xを、マイナスの方向にずらすと、図4のように止端角が大きなビードが形成され、疲労強度を十分に向上できないことになるからである。従って、疲労強度と共に継手強度を向上させようとする場合は、板厚を5mm以下とすることが好ましい。
【0042】
【実施例】
以下に本発明の実施例を用いてその効果を説明する。
【0043】
図1に示すように、2枚の鋼板1,2を上下に重ね合わせ、重ね合わせた端部4をレーザビーム3で溶接する隅肉溶接を行った。ビームの狙い位置xは、端部を中心に継手の溶接方向に直交する方向に変化させた。このとき、板厚は1.2mmまたは2.0mmのものを用いた。継手サイズは40mm(幅)×260mm(長さ)、重ね代は40mmとした。
【0044】
溶接には、発振出力が3kWのYAGレーザを用い、また集光ビーム直径Dは0.3mmφまたは0.5mmφとした。ビームの焦点位置は上側鋼板1の表面とした。溶接速度は集光ビーム直径Dや板厚に応じ調節した。作製した継手に、荷重比(最小荷重/最大荷重)=0.05、繰返し速度=10Hzの片振り引張疲労試験を行った。結果を表1に示す。表1から、本発明例は、重ね部の端部とレーザビームの中心軸との距離xが本発明例の範囲から外れている比較例に比べ、同じ板厚のもので比較して、優れた疲労強度が得られたことが判る。
【0045】
【表1】
Figure 2004148333
【0046】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、レーザビームの狙い位置を適切に制御することにより、溶接部を最適な形状とすることができ、重ね隅肉溶接継手の疲労強度を向上させることができる。さらに、ビード形状、板厚などを適切に調整することによって、疲労強度と共に継手強度も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋼板の重ね合わせレーザ溶接方法の実施形態の一例を示す模式図である。
【図2】レーザビーム狙い位置と疲労強度との関係を示す図である。
【図3】本発明の方法によりレーザ溶接された重ね隅肉継手の断面の一例を示す模式図である。
【図4】(a)従来の方法でレーザ溶接あるいはアーク溶接された重ね隅肉継手の断面の一例を示す模式図である。
(b)(a)A部の部分拡大図である。
【図5】従来の方法でレーザ溶接あるいはアーク溶接された重ね隅肉継手の断面の一例を示す。
【図6】従来の方法でレーザ溶接あるいはアーク溶接された重ね継手の断面の一例を示す模式図である。
【図7】従来のレーザ溶接あるいはアーク溶接された重ね隅肉継手の断面の一例を示す模式図である。
【図8】従来のレーザ溶接あるいはアーク溶接された重ね隅肉継手の断面の他の例を示す模式図である。
【図9】従来のレーザ溶接あるいはアーク溶接された重ね隅肉継手の断面の他の例を示す模式図である。
【図10】従来のレーザ溶接あるいはアーク溶接された重ね隅肉継手の断面の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
1…上側鋼板、鋼板
2…下側鋼板、鋼板
3…レーザビーム
4…重ね合わせ部端部
5…ビード幅
6…溶接止端
7…ビード
8…ビード表面を表わす曲線
9…溶接止端の曲率半径ρ
10…止端角θ
11…重ね面を表わす直線
12…ボンド部
13…重ね部と融合線との交点
14…ビード表面を表わす曲線と重ね面を表わす直線との交点
21…材料1
22…材料2
23…溶着金属1
24…溶着金属2
25…湾曲部
26…材料の交線
27…一定距離
t1…上側鋼板の板厚
t2…下側鋼板の板厚
x…ビームの中心位置
D…ビームの直径
w…ビード幅
α…狙い角度
h、h1、h2…喉厚
l1、l2…脚長

Claims (4)

  1. 2枚の鋼板を上下に重ね合わせ、重ね合わせ部の端部をレーザ溶接する重ね隅肉継手において、上側鋼板の表面位置でのレーザビームの直径Dを0.2mm≦D≦0.7mmとし、かつ、該ビームの中心軸の位置xを−Dmm≦x≦0mmとして溶接部を形成することを特徴とする重ね隅肉継手の疲労強度向上方法。
    但し、x(mm)は、重ね合わせ部の端部の溶接方向と直交する方向において、重ね合わせ部の端部を原点とし、重ね合わせ部側を負とした時の端部からの距離(mm)である。
  2. 前記溶接部のビード幅を、上側鋼板の板厚以上とすることを特徴とする請求項1に記載の重ね隅肉継手の疲労強度向上方法。
  3. 前記上側鋼板の板厚を5mm以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載の重ね隅肉継手の疲労強度向上方法。
  4. 前記レーザビームのエネルギ密度を0.7MW/cmとすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の重ね隅肉継手の疲労強度向上方法。
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