JP2004146264A - イオン源のクリーニング方法、並びにイオン注入方法及び装置 - Google Patents

イオン源のクリーニング方法、並びにイオン注入方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】イオン源のプラズマ生成室内を効率よく清浄化するクリーニング方法、並びにICデバイスの製造効率を向上させることが可能なイオン注入方法を提供すること。
【解決手段】高周波イオン源のプラズマ生成室内をクリーニングするに際し、プラズマ生成室内に全ハロゲン化塩化フッ化炭素、三フッ化窒素、ハロゲン化水素及び三フッ化ハロゲンから選ばれる少なくとも1種のクリーニングガスを導入し、該クリーニングガスを励起して活性種を生成させる。これにより、プラズマ生成室内に付着した固形物と活性種とが反応し、プラズマ生成室内が効率よく清浄化される。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はイオン源のクリーニング方法、並びにイオン注入方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ICデバイスにドーパントを埋め込む方法としてイオン注入プロセスが広く利用されている。イオン注入プロセスは、通常、イオン源のプラズマ生成室から所定イオンを引き出して基板に照射することにより行われる。このようなイオン注入プロセスにおけるスループット(単位時間当たりのウェハの処理量)はICデバイスを量産する上で非常に重要な因子であり、従ってイオン注入装置のメインテナンスの頻度や装置の停止時間はできるだけ少ないことが望ましい。
【0003】
しかし、イオン注入装置の稼働時間が長くなると、プラズマ生成に伴い発生する活性種等が固形物としてプラズマ生成室内に付着・堆積し、例えばイオンが引き出されるスリットが閉塞して装置の機能が低下する場合がある。また、イオン源がアーク放電型のものである場合には、当該固形物により電気的ショートが起こりやすくなる。
【0004】
このような背景の下、イオン源のクリーニング方法についての検討が進められており、試料に対するイオンビーム照射時以外の時にイオン源に水素プラズマを発生させる方法等が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−267475号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のクリーニング方法を用いた場合であっても、プラズマ生成室内に付着・堆積した固形物の除去効率は必ずしも高いとは言えず、プラズマ生成室内を十分に清浄化するためには長時間のクリーニングが必要となる。従ってこの場合も、装置のメインテナンスに要する時間が長くなるため、ICデバイスの製造効率を向上させる根本的な解決策とはならない。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、イオン源のプラズマ生成室内を効率よく清浄化するクリーニング方法、並びにICデバイスの製造効率を向上させることが可能なイオン注入方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のイオン源のクリーニング方法は、高周波イオン源のプラズマ生成室内をクリーニングする方法において、プラズマ生成室内に全ハロゲン化塩化フッ化炭素、三フッ化窒素、ハロゲン化水素及び三フッ化ハロゲンから選ばれる少なくとも1種のクリーニングガスを導入し、該クリーニングガスを励起して活性種を生成させることを特徴とする。
【0009】
このように、上記特定のクリーニングガスをプラズマ生成室内に導入し、そのクリーニングガスを励起して活性種を生成させることで、当該活性種とプラズマ生成室内の付着・堆積物との反応が速やかに進行するので、プラズマ生成室内を効率よく清浄化できる。また、上記方法は、in situでの実施が可能なものであり、イオン源を停止してプラズマ生成室を大気開放する工程や、クリーニング後にプラズマ生成室内を再び減圧する工程などを必要としない。従って、装置のメインテナンスに要する時間の短縮によりICデバイスの製造効率を向上させることが可能となる点で、本発明のイオン源のクリーニング方法は非常に有用である。
【0010】
なお、本発明でいう高周波イオン源とは、高周波放電によりプラズマ生成を行うもので、マイクロ波イオン源及びRF(Radio Frequency)イオン源を包含するものである。
【0011】
本発明のイオン源のクリーニング方法は、プラズマ生成室内に導入されたクリーニングガスを高周波放電によりプラズマ化させることを特徴としてもよい。これにより、クリーニングガスの励起による活性種の生成を有効に実施することができる。また、かかるクリーニングガスとしては、四フッ化メタン(CF)、六フッ化エタン(C)、八フッ化プロパン(C)、塩化三フッ化メタン(CClF)、三フッ化窒素(NF)、三フッ化塩素(ClF)及び臭化水素(HBr)から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
【0012】
また、本発明のイオン源のクリーニング方法は、クリーニングガスが三フッ化ハロゲンであり、プラズマ生成室内に導入されたクリーニングガスを熱により励起することを特徴としてもよい。三フッ化ハロゲンからの活性種の生成は熱励起により容易に行うことができるので、高周波放電等の手段を用いずともプラズマ生成室内を効率よく清浄化することができる。かかる三フッ化ハロゲンとしては三フッ化塩素(ClF)が好ましい。
【0013】
また、本発明のイオン源のクリーニング方法は、クリーニングガスが三フッ化窒素及び三フッ化塩素から選ばれる少なくとも1種であり、該クリーニングガスの励起により生成する活性種と、プラズマ生成室の内壁に付着する固形物と、を反応させて固体生成物を成長させることを特徴としてもよい。このようにして固体生成物を成長させることで、プラズマ生成室の内壁と固体生成物との熱膨張率の差や自重により固体生成物が内壁から落下するので、プラズマ生成室内のクリーニングを効果的に実施することができる。また、落下した固体生成物はプラズマ生成室下部に集積するが、その集積位置は高周波イオン源の機能(例えばマイクロ波イオン源におけるマイクロ波の通過)に支障を来すものではない。従って、固体生成物をプラズマ生成室外部に排出せずとも、その後のイオン注入を好適に実施することができる。
【0014】
また、本発明のイオン源のクリーニング方法は、プラズマ生成室が窒化ホウ素(BN)で構成されている高周波イオン源のクリーニング方法として特に効果的である。
【0015】
また、本発明のイオン注入方法は、高周波イオン源のプラズマ生成室にイオン注入用ガスを導入して所定イオンを含むプラズマを生成させ、引出電極によりプラズマ生成室からイオンを引き出して基板に照射するイオン注入工程と、プラズマ生成室内に全ハロゲン化塩化フッ化炭素、三フッ化窒素、ハロゲン化水素及び三フッ化ハロゲンから選ばれる少なくとも1種のクリーニングガスを導入し、該クリーニングガスを励起するクリーニング工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明のイオン注入方法に含まれるクリーニング工程は、上記特定のクリーニングガスを励起して活性種を生成させ、当該活性種とプラズマ生成室内の付着・堆積物との反応によりプラズマ生成室内の清浄化を効率よく行うものである。また、このクリーニング工程は、in situでの実施が可能なものであり、その工程の前後において、イオン源を停止してプラズマ生成室を大気開放する工程や、クリーニング後にプラズマ生成室内を再び減圧する工程などを必要とするものではないため、プラズマ生成室のクリーニングに要する時間を十分に短縮することができる。従って、本発明のイオン注入方法により、ICデバイスの製造効率を十分に向上させることができる。
【0017】
なお、例えばアーク放電型のイオン源の場合、機械的強度が比較的低いカソード(フィラメント)等を備えるため、ソース寿命(次のメインテナンスまでの時間)が本来的に短く、また、反応性物質の使用はできるだけ避けなければならないという制約がある。これに対して本発明では、アーク放電型イオン源に比べてソース寿命が長く、さらには上記クリーニングガスにより損傷する構成部材を有さない高周波イオン源を用いることにより、クリーニングに伴うイオン源の機能低下を十分に防止することができる。
【0018】
また、本発明のイオン注入方法は、イオン注入用ガスがクリーニング工程の前後で異なることを特徴としてもよい。このようにクリーニング工程の前後で異なるイオン注入用ガスを用いる場合、当該クリーニング工程はイオン注入用ガスの切替工程としての役割をも果たすので、プラズマ生成室内を十分に清浄化しつつ、イオン注入用ガスの切替を効率よく行うことができる。なお、従来のイオン注入方法では、このように異なる種類のイオン注入用ガスを用いる場合、イオン源の構成部材へのダメージを抑制するという観点から、プラズマ生成室に不活性ガスを導入した後でイオン注入用ガスの切替を行うのが一般的である。これに対して、本発明において、イオン源として高周波イオン源を用いることでクリーニングガスによるイオン源の機能低下が十分に防止される点については上述の通りである。
【0019】
また、本発明のイオン注入装置は、高周波イオン源のプラズマ生成室にイオン注入用ガスを導入して所定イオンを含むプラズマを生成させ、引出電極によりプラズマ生成室から所定イオンを引き出して基板に照射するイオン注入装置において、プラズマ生成室にイオン注入用ガスを供給するイオン注入用ガス供給手段と、プラズマ生成室に全ハロゲン化塩化フッ化炭素、三フッ化窒素、ハロゲン化水素及び三フッ化ハロゲンから選ばれる少なくとも1種のクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給手段と、を備えることを特徴とする。これにより、上記本発明のイオン注入方法を有効に実施することができる。
【0020】
また、本発明のイオン注入装置は、イオン注入用ガス供給手段が、プラズマ生成室に2種以上のイオン注入用ガスを別個に供給可能なものであることを特徴としてもよい。このようなイオン注入用ガス供給手段を設けることで、異なるイオン注入用ガスを用いた2つ以上のイオン注入工程の間でクリーニング工程を行うことが可能となるので、イオン注入用ガスの効率よい切替及びプラズマ生成室内の十分な清浄化が可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
【0022】
図1は本発明のイオン注入装置の一例を模式的に示す説明図である。図1に示したイオン注入装置は、イオン源を発生させるイオン引出アセンブリ100、イオン注入に必要なイオンをイオンビームから選別するイオン質量セレクタ130、並びに選別されたイオンをターゲット基板141に照射する際に基板141を支持するターゲット基板ホルダ140を含んで構成されている。
【0023】
イオン引出アセンブリ100は、高周波イオン源としてのマイクロ波イオン源5を備えている。このマイクロ波イオン源5のプラズマ生成室には、イオン注入用ガス又はクリーニングガスが充填されたボンベ17、18、19がそれぞれガス導入管を介して接続されている。これらのガスの切替はガス導入管に設けられたバルブ(図示せず)の調節により行われる。
【0024】
本発明では、クリーニングガスとして全ハロゲン化塩化フッ化炭素、三フッ化窒素、ハロゲン化水素及び三フッ化ハロゲンから選ばれる少なくとも1種を用いる。全ハロゲン化塩化フッ化炭素としては、四フッ化メタン(CF)、六フッ化エタン(C)、八フッ化プロパン(C)、塩化三フッ化メタン(CClF)など、ハロゲン化水素としては臭化水素(HBr)など、三フッ化ハロゲンとしては三フッ化塩素(ClF)などが好ましく使用される。これらのクリーニングガスは1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合ガスとして用いてもよい。また、クリーニングガスをアルゴン(Ar)などの不活性ガスで希釈して用いてもよい。
【0025】
また、イオン注入用ガスは、ターゲット基板に注入されるイオン(リン、ホウ素、ガリウム、砒素など)の種類に応じて選定される。例えば、リンの場合はホスフィン(PH)、ホウ素の場合はボラン(BF)、ジボラン(B)などが好ましく使用される。これらのイオン注入用ガスはアルゴン(Ar)などの不活性ガスで希釈して用いてもよい。
【0026】
マイクロ波イオン源5の前面側には、イオン源5からイオンを引き出すための引出電極系7が配置されている。この引出電極系7は、図1に示すように、互いに対向配置された1対の引出電極8,9(引出電極8は主電極、引出電極9は接地電極)を有している。イオン源5と主電極8との間に所望の電圧を印加すると、イオン源5からイオンが引き出されると共に加速され、イオンビームが形成される。例えば陽イオンを引き出す場合、イオン源5は接地電極9に対して正電圧に、主電極8は接地電極9に対して負電圧に維持される。
【0027】
イオン質量セレクタ130は、質量選択スリット131、質量選択スリット131と共に作動する磁気セクタ質量分析器132を備えている。磁気セクタ質量分析器132は図1の紙面に対して垂直方向の磁場の領域を含み、そのような磁場の中で、所定の質量/荷電比を持つ定速度のイオン種が取り出される。スリット131は、磁気セクタ質量分析機132からのイオンビームのうちイオン注入に必要とするイオンのみを通過させる。スリット131及び磁気セクタ質量分析機132は、ハウジングで囲むか、もしくは機構中にチューブを貫通させる形をとり、その内部はターボポンプ(図示せず)により所定の真空度に減圧されている。そして、イオン質量セレクタ130を通るイオンビームIBから質量数20以下の所定イオンが選別され、このイオンがターゲット基板ホルダ140に装着されたターゲット基板141に照射される。
【0028】
ここで、マイクロ波イオン源5の構成についてさらに詳細に説明する。図2はマイクロ波イオン源5を示す概略構成図である。図示の通り、マイクロ波マグネトロン21、マグネトロンマウント22、サーキュレータ23、パワーモニタ25、スタブチューナ26、インターフェースチューブ27、ソースヘッド28がこの順で連結され、さらにソースヘッド28の前面にプラズマ生成室としてのプラズマチャンバ29が設けられてマイクロ波イオン源5が構成されている。また、サーキュレータ23の側部にはダミーロード24が設けられている。
【0029】
マグネトロン21は所定のマイクロ波(例えば2.45GHzのもの)を発生させるもので、このマイクロ波がソースヘッド28に導入されてプラズマ生成に利用される。サーキュレータ23はマグネトロン21側に戻ろうとする反射されたマイクロ波をダミーロード24に迂回させるものであり、迂回したマイクロ波はダミーロード24で吸収されて熱に変換される。また、スタブチューナ26はマイクロ波の反射を小さくしてより多くのマイクロ波がプラズマ生成に消費されるように調整するものである。なお、マイクロ波の出力を検出するパワーモニタ25、インターフェースチューブ27等は必須の要素ではなく、適宜省略することができる。
【0030】
図3は、ソースヘッド28及びプラズマチャンバ29をマイクロ波の導入路を含む平面で切断したときの模式断面図である。図3中、ソースチャンバ31のマグネトロン側(マイクロ波MWの入口側)にはソースブッシング32が形成されており、その端部はソースヘッド28の内側に向けて折れ曲がった形状となっている。この折れ曲がり部の先端にはマグネットヨーク33が設けられてソースヘッド28を挿入するための空間を与えている。マグネットヨーク33の前面には開口部を有する出口側プレート34が設けられ、さらにプレート34のマグネトロン側には開口部を覆って空間37を与えるように窒化ホウ素(BN)からなる凹状のプラズマチャンバ29が配置されている。また、プラズマチャンバ29の側壁を連通する配管39はボンベ17〜19から導かれるもので、この配管39を通ってイオン注入用ガス又はクリーニングガスがプラズマチャンバ29内の空間(プラズマ生成領域)37に導入される。イオン注入用ガス又はクリーニングガスをプラズマ化する場合、プラズマチャンバ29内におけるこれらのガス圧は好ましくは10−3〜10−1Torrである。
【0031】
また、凸状のマグネットポール35は、凸部の先端がプラズマチャンバ29に近接するとともに底部側面がマグネットヨーク33側部の内壁面と密着するように配置されている。このマグネットポール35の中空部分には窒化ホウ素からなる導波管36が配置されており、マイクロ波は導波管36を通ってプラズマチャンバ29に導入されてプラズマ生成に供される。また、マグネットヨーク33及びプレート34の内壁面並びにプラズマチャンバ29及びマグネットポール35の外壁面により形成される空間には、マグネットポール35の凸部を巻回するようにソレノイドコイル38が配置されており、これによりプラズマチャンバ29から引き出されるイオンの引出方向に沿って磁場が形成され、かかる磁場によりプラズマ生成が促進される。
【0032】
上記構成を有するイオン注入装置においては、ボンベ17〜19からプラズマチャンバ29に導入されるイオン注入用ガス又はクリーニングガスの種類を切り替えることにより、イオン注入工程とクリーニング工程とを連続的に行うことができる。以下、ボンベ17にPH、ボンベ18にNF、ボンベ19にBFをそれぞれ充填し、リンイオン注入工程、クリーニング工程、ホウ素イオン注入工程を順次行う場合を例にとり、各工程について具体的に説明する。
【0033】
リンイオン注入工程においては、先ず、ボンベ17からのPHをプラズマチャンバ29内に供給し、マイクロ波によりリンイオンを含むプラズマを生成させる。このようにして生成したリンイオンを引出電極系7によりプラズマチャンバ29から引き出してイオンビームを発生させ、イオン質量セレクタ130によりイオン注入に必要なリンイオンがイオンビームから選別されてターゲット基板141に照射される。このとき、PHの分解により生じるリンが固形物としてプラズマチャンバ29の内壁面に付着し得る。
【0034】
次に、プラズマチャンバ29に供給するガスをPHからNFに切り替えることでクリーニング工程が行われる。ガスを切り替える際には、PHの供給量を徐々に減少させ、その一方でNFの供給量を徐々に増加させることが好ましい。このようにガスを徐々に切り替えることで、プラズマチャンバ29内にプラズマを維持することができる。
【0035】
クリーニング工程において、NFが導入されたプラズマチャンバ29にマイクロ波が導入されると、NFの励起により活性種が生成し、当該活性種がプラズマチャンバ29内壁に付着した固形物と反応して固体生成物やガス状生成物が生成する。このとき、固体生成物はその成長を進行させることで、プラズマチャンバ29の内壁と固体生成物との熱膨張率の差や自重により固体生成物を内壁から落下させることができる。落下した固体生成物はプラズマチャンバ29内の下部に集積するが、その集積位置はマイクロ波イオン源の機能(例えばマイクロ波イオン源におけるマイクロ波の通過)に支障を来すものではない。従って、固体生成物をプラズマチャンバ29外部に排出せずとも、その後のイオン注入を好適に実施することができる。一方、上記反応によりガス状生成物が生成した場合には、排気等により当該ガス状生成物をプラズマチャンバ29の外部に排出することができる。
【0036】
上記クリーニング工程の後、プラズマチャンバ29に供給するガスをNFからBFに切り替えることでホウ素イオン注入工程が行われる。なお、この場合も、PHからNFに切り替える場合と同様に、NFからBFに徐々に切り替えることが好ましい。また、ホウ素イオン工程は、イオン注入用ガスとしてBFを用いる点が異なるだけで、それ以外はリンイオン注入工程と同様にして実施することができる。
【0037】
このように、リンイオン注入工程とホウ素イオン工程との間に、BFを用いたクリーニング工程を設けることで、プラズマチャンバ29内を効率よく清浄化し、固形物によるスロットの閉塞などの現象を防止することができる。このクリーニング工程は、in situでの実施が可能なものであり、PHからBFへのイオン注入用ガス切替工程としての役割をも果たしている。従って、マイクロ波イオン源5を停止してプラズマチャンバ29を大気開放する工程、クリーニング工程後にプラズマチャンバ29内を再び減圧する工程、イオン注入用ガスの切替の際にプラズマチャンバ29内を不活性ガスで置換する工程などの省略が可能となり、装置のメインテナンスに要する時間の短縮によりICデバイスの製造効率を向上できる。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記クリーニング工程ではクリーニングガスとしてNFを用いたが、クリーニングガスとしてClFを用いた場合にも、同様にして、固体生成物をプラズマチャンバ29内の下部に集積させることができ、また、ガス状生成物を排気等によりプラズマチャンバ29外部に排出することができる。ClFは熱により励起されて活性種を生成するので、ClFを用いたクリーニング工程においてはプラズマチャンバ29へのマイクロ波の導入は必須ではない。また、ClFの加熱温度は好ましくは200℃以上であるが、クリーニング工程の前段でイオン注入工程を行っている場合にはプラズマチャンバ29内の温度は数百℃になっているので、ClFをプラズマチャンバ29内に導入するだけで活性種の生成が可能である。
【0039】
また、当然のことながら、クリーニング工程の前後でイオン注入用ガスの種類は同一であってもよく、この場合にも装置のメインテナンスに要する時間の短縮によるICデバイスの製造効率の向上効果が得られる。
【0040】
図1〜3にはマイクロ波イオン源5を用いた例を示したが、高周波イオン源としてRFイオン源を用いることもできる。マイクロ波イオン源5と置換可能なRFイオン源の例を図4及び図5に示す。
【0041】
図4に示したRFイオン源は、いわゆる電磁誘導方式(Inductive  Coupling)RFイオン源であり、プラズマチャンバ29の外周を巻回するコイル41、高周波電源42、並びにコイル41と高周波電源42との間に設けられた同調用コンデンサ43及びインダクタンス44を備えている。高周波電源42によりコイル41に高周波(例えば13.5MHz)を印加することでプラズマチャンバ29内に放電が起こり、ガス導入管39から導入されるイオン注入用ガス又はクリーニングガスがプラズマ化される。
【0042】
一方、図5に示したRFイオン源は、いわゆる容量結合方式(Capacitive Coupling)RFイオン源であり、コイル41の代わりにプラズマチャンバ29内に1対の平行平板電極51a、51bを配置したものである。高周波電源42により電極51aに高周波を印加することで電極51a、51b間に放電が起こり、ガス導入間39から導入されるイオン注入用ガス又はクリーニングガスがプラズマ化される。
【0043】
これらのRFイオン源を用いる場合にも、マイクロ波イオン源の場合と同様の手順でイオン注入工程及びクリーニング工程を行うことにより、チャンバ29内が効率よく清浄化されるので、装置のメインテナンスに要する時間の短縮によるICデバイスの製造効率の向上効果が得られる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、高周波イオン源のプラズマ生成室内を効率よく清浄化することが可能なイオン源のクリーニング方法、並びに、ICデバイスの製造効率を向上させることが可能なイオン注入方法及び装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイオン注入装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】マイクロ波イオン源の一例を示す概略構成図である。
【図3】図2に示したマイクロ波イオン源のソースヘッドをマイクロ波の導入路を含む平面で切断したときの断面図である。
【図4】RFイオン源の一例を示す模式断面図である。
【図5】RFイオン源の他の例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
100…イオン引出アセンブリ、130…イオン質量セレクタ、131…質量選択スリット、132…磁気セクタ質量分析器、140…ターゲット基板、141…ターゲット基板ホルダ、5…イオン源、7…引出電極系、8…主電極、9…接地電極、17、18、19…ボンベ、21…マグネトロン、22…マグネトロンマウント、23…サーキュレータ、24…ダミーロード、25…パワーモニタ、26…スタブチューナ、27…インターフェースチューブ、28…ソースヘッド、29…プラズマチャンバ、31…ソースチャンバ、32…ソースブッシング、33…マグネットヨーク、34…出口側プレート、35…マグネットポール、36…導波管、37…プラズマ生成領域、38…ソレノイドコイル、39…ガス導入管、41…コイル、42…高周波電源、43…同調用コンデンサ、44…インダクタンス、51a、51b…電極、IB…イオンビーム、MW…マイクロ波。

Claims (11)

  1. 高周波イオン源のプラズマ生成室内をクリーニングする方法において、前記プラズマ生成室内に全ハロゲン化塩化フッ化炭素、三フッ化窒素、ハロゲン化水素及び三フッ化ハロゲンから選ばれる少なくとも1種のクリーニングガスを導入し、該クリーニングガスを励起して活性種を生成させることを特徴とするイオン源のクリーニング方法。
  2. 前記プラズマ生成室内に導入された前記クリーニングガスを高周波放電によりプラズマ化させることを特徴とする、請求項1に記載のイオン源のクリーニング方法。
  3. 前記クリーニングガスが四フッ化メタン、六フッ化エタン、八フッ化プロパン、塩化三フッ化メタン、三フッ化窒素、三フッ化塩素及び臭化水素から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のイオン源のクリーニング方法。
  4. 前記クリーニングガスが三フッ化ハロゲンであり、前記プラズマ生成室内に導入された前記クリーニングガスを熱により励起することを特徴とする、請求項1に記載のイオン源のクリーニング方法。
  5. 前記クリーニングガスが三フッ化塩素であることを特徴とする、請求項1又は4に記載のイオン源のクリーニング方法。
  6. 前記クリーニングガスが三フッ化窒素及び三フッ化塩素から選ばれる少なくとも1種であり、該クリーニングガスの励起により生成する活性種と、前記プラズマ生成室の内壁に付着する固形物と、を反応させて固体生成物を成長させることを特徴とする、請求項1に記載のイオン源のクリーニング方法。
  7. 前記プラズマ生成室が窒化ホウ素で構成されていることを特徴とする、請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載のイオン源のクリーニング方法。
  8. 高周波イオン源のプラズマ生成室にイオン注入用ガスを導入して所定イオンを含むプラズマを生成させ、引出電極により前記プラズマ生成室から前記イオンを引き出して基板に照射するイオン注入工程と、
    前記プラズマ生成室内に全ハロゲン化塩化フッ化炭素、三フッ化窒素、ハロゲン化水素及び三フッ化ハロゲンから選ばれる少なくとも1種のクリーニングガスを導入し、該クリーニングガスを励起するクリーニング工程と、
    を含むことを特徴とするイオン注入方法。
  9. 前記イオン注入用ガスが前記クリーニング工程の前後で異なることを特徴とする、請求項8に記載のイオン注入方法。
  10. 高周波イオン源のプラズマ生成室にイオン注入用ガスを導入して所定イオンを含むプラズマを生成させ、引出電極により前記プラズマ生成室から所定イオンを引き出して基板に照射するイオン注入装置において、
    前記プラズマ生成室にイオン注入用ガスを供給するイオン注入用ガス供給手段と、
    前記プラズマ生成室に全ハロゲン化塩化フッ化炭素、三フッ化窒素、ハロゲン化水素及び三フッ化ハロゲンから選ばれる少なくとも1種のクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給手段と、
    を備えることを特徴とするイオン注入装置。
  11. 前記イオン注入用ガス供給手段が、前記プラズマ生成室に2種以上のイオン注入用ガスを別個に供給可能なものであることを特徴とする、請求項10に記載のイオン注入装置。
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