JPH07105893A - イオンビーム処理装置および加工法 - Google Patents

イオンビーム処理装置および加工法

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JPH07105893A
JPH07105893A JP5246519A JP24651993A JPH07105893A JP H07105893 A JPH07105893 A JP H07105893A JP 5246519 A JP5246519 A JP 5246519A JP 24651993 A JP24651993 A JP 24651993A JP H07105893 A JPH07105893 A JP H07105893A
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JP
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plasma
generation chamber
plasma generation
density
magnetic field
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JP5246519A
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English (en)
Inventor
Yasuo Hiyoshi
康夫 日良
Toru Otsubo
徹 大坪
Takako Okawa
貴子 大川
Tamaki Toba
環 鳥羽
Seitaro Oishi
鉦太郎 大石
Isao Hashimoto
橋本  勲
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】広範囲な真空度において、均一なイオンビーム
を引き出すことのできるイオン源およびこれを備えた処
理装置を提供する。 【構成】本発明のイオン源は、2つの開口部を有するプ
ラズマ生成室15と、プラズマ生成室の一方の開口部に
接続され、プラズマ生成室内の空間にマイクロ波を放射
する導波管10と、プラズマ生成室内の空間に指示され
た強度の磁界を発生させる可変磁界発生手段53と、プ
ラズマ生成室の他方の開口部に配置され、プラズマ生成
室からイオンビームを引き出す電極5とを有する。導波
管の前記プラズマ生成室側の端部は、複数のスリットが
設けられたスリット板で覆われている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロ波を用いてプ
ラズマを生成し、このプラズマからイオンを引き出すイ
オン源を備えたイオンミリング装置およびイオンビーム
成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、微細化を要求される機能性薄膜や
半導体の生成及び加工を行うエッチング装置やスパッタ
成膜装置にイオンビームを用いることが多くなってきて
いる。イオンビームを生成するイオン源には、フィラメ
ントからの熱電子を用いるものや、高周波放電を用いる
もの、マイクロ波を用いるものなどが知られている。
【0003】フィラメントからの熱電子放出によって所
望のガスのプラズマを生成するイオン源は、従来から多
く用いられている。イオン源にフィラメントを用いてい
る従来のイオンミリング装置の動作を図2を用いて説明
する。フィラメント101より放出された熱電子によっ
て、ガス導入口(図示せず)より導入されたエッチング
ガスが放電により電離してプラズマ102を形成する。
このプラズマ102は、コイル103で形成された磁界
104によって増殖する。イオン引き出し電極105
は、プラズマ102中のイオンを加速し、イオンビーム
106を引き出す。イオンビーム106は、被加工物で
ある試料107に照射されて、イオンミリング加工が進
行する。
【0004】また、イオン源にフィラメントを用いてい
る従来のイオンミリング装置には、図3のように、磁界
104の形成に複数の永久磁石108を用い、多極磁界
によりプラズマの増殖を行うタイプの装置もある。
【0005】しかしながら、図2および図3に示したよ
うな、フィラメントを用いたイオン源は、フッソ系、塩
素系等の反応性プラズマを生成した場合には、生成した
反応性プラズマによってフィラメントが腐食されるた
め、フィラメントの消耗が激しく頻繁にフィラメントを
交換しなければならないといういう問題がある。そのた
め、フィラメントを用いたイオン源は、反応性プラズマ
を用いる装置には適していない。
【0006】一方、高周波放電によりプラズマを発生さ
せる装置は、古くから研究され、スパッタ装置等に広く
用いられている。しかしながら、高周波放電によって生
成したプラズマから効率よくイオンビームを引き出すこ
とは、困難であるため、高周波放電を用いて効率のよい
イオン源を構成することはできないという問題がある。
高周波放電によって生成したプラズマから、効率よくイ
オンビームを引きだすことができないのは、次のような
理由による。高周波放電で生成したプラズマからのイオ
ンビームの平均エネルギーは、引き出し電位よりも数1
00eVも高くなること、および、イオンビームのエネ
ルギー幅が大きくなってしまう。そのため、高周波放電
によって生成したプラズマからイオンビームを引き出そ
うとした場合には、そのイオンビーム量は、これと同程
度の密度のアーク放電やマイクロ波放電によって生成し
たプラズマから引き出せるイオンビーム量に比較して、
極端に少なくなる。
【0007】一方、マイクロ波を用いたイオン源に関し
ても、従来より研究が進んでいる。マイクロ波を用いた
イオン源は、石英板を介してマイクロ波をプラズマ生成
室に導入するため、反応性プラズマを生成しても腐食さ
れる恐れはない。また、例えば「マイクロウェーブ イ
オン ソース」(Microwave Ion Sou
rce) N.Sakudo、etal 、Rev.S
ci.Instrum.)Vol.48、No.7、J
uly、1977)に記載されているように、エネルギ
ー幅が小さく、高周波放電を用いたイオン源で見られる
過剰エネルギーが無いため、効率よくイオンビームを引
き出すことが出来る。
【0008】マイクロ波によりプラズマを発生させる方
法には、電子が磁場と垂直な平面を回転するサイクロト
ロン周波数とマイクロ波の周波数を一致させて共鳴状態
にして電子にエネルギーを供給する方法と、マイクロ波
を空洞共振器に放射してマイクロ波の振幅を大きくし、
電界強度を強めて電子にエネルギーを供給する方法の2
つがある。前者は、特開昭56−13480号公報に示
されたもので、ECR(Electron Cyclotron Resonanc
e)法と呼ばれている。後者は、特開昭56−9684
1号公報や、特開昭63−103088号公報に示され
ている。
【0009】図4、図5は上記のECR法によるマイク
ロ波イオン源を用いたイオンミリング装置の概略図を示
したものである。図4、図5において、マイクロ波発振
器(図示せず)で発振された一般的には2.45GHz
のマイクロ波119は、コイル113や永久磁石118
によって生じた87.5mT以上の磁界とECR共鳴し
て、ガスを電離しプラズマ112を生成する。プラズマ
112中のイオンは、引出電極115によって引き出さ
れてイオンビーム116を形成し、試料117に照射さ
れて加工が行われる。
【0010】また、図5に示した装置は、大口径なイオ
ンビームを得るために、プラズマ生成室を円錐状にして
加工室側に末広がりの構造にしている。また、この他に
も、大口径なイオンビームを得るために、プラズマ生成
室を大きくする方法や、特開昭62−76137号公報
に開示されている装置が知られている。
【0011】特開昭62−76137号公報に開示され
ている装置は、図6に示すように、プラズマ発生室12
1とプラズマ増殖室(拡張室)122とを設けて、プラ
ズマ発生室121で生成したプラズマを増殖室122で
広げて、プラズマの大口径化を図ろうというするもので
ある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述のようにマイクロ
波を用いたイオン源は、反応性プラズマの生成および高
効率なイオンビームの引き出しが可能であるが、次のよ
うな問題がある。
【0013】図4、図5に記載した従来のマイクロ波を
用いたイオン源は、生成されるプラズマの密度がプラズ
マ生成室の中央部で高く、周辺部で低くなる。このよう
なプラズマからイオンビームを引き出すと、イオンビー
ムの強度分布はビームの中央部で高く、周辺部で低くな
り、強度のバラツキが大きい。そのため、イオンミリン
グを行った場合には、強度の大きいイオンビームが照射
される被加工物の中央部分では、処理速度が速く、強度
の小さいイオンビームが照射される被加工物の周辺部分
では、処理速度が遅くなるという問題が生じる。
【0014】また、このイオンビームの強度分布のバラ
ツキは、プラズマの大口径化を図った場合にも解決され
ない。また、図5の方法は、マイクロ波電力をプラズマ
生成室に注入するためのインピーダンスマッチングを取
るのが難しくなり、広範囲の真空度で高密度で均一なプ
ラズマを生成させることが出来ないという問題点があ
る。
【0015】さらに、特開昭63−103088号公報
に記載されているマイクロ波を用いたイオン源は、マイ
クロ波を空洞共振器に放射してマイクロ波の振幅を大き
くし、電界強度を強めて電子にエネルギーを供給する方
法を用いているが、この方法でプラズマを生成するため
には、真空度を10~2Torr以下の低真空度にする必
要がある。そのため、10~2Torrよりも高真空で処
理を行う必要がある場合には、安定にプラズマを発生さ
せることができなかった。
【0016】本発明の第1の目的は、マイクロ波を用い
たイオン源を用い、強度分布が均一なイオンビーム処理
装置を提供することを目的とする。
【0017】本発明の第2の目的は、マイクロ波を用い
たイオン源を用い、広範囲の真空度において安定にイオ
ンビームを引き出すことができるイオンビーム処理装置
を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、本発明の第1の態様では、2つの開口部を有
するプラズマ生成室と、前記プラズマ生成室の一方の開
口部に接続され、前記プラズマ生成室内の空間にマイク
ロ波を導く導波管と、前記プラズマ生成室内の空間に指
示された強度の磁界を発生させる可変磁界発生手段と、
前記プラズマ生成室の他方の開口部に配置され、前記プ
ラズマ生成室からイオンビームを引き出す電極とを有す
るイオン源において、前記導波管の前記プラズマ生成室
側の端部に、複数のスリットが設けられたスリット板を
配置する。
【0019】また、上記第2の目的を達成するための、
本発明の第2の態様では、2つの開口部を有するプラズ
マ生成室と、前記プラズマ生成室の一方の開口部に接続
され、前記プラズマ生成室内の空間にマイクロ波を導く
導波管と、前記プラズマ生成室内の空間に指示された強
度の磁界を発生させる可変磁界発生手段と、前記プラズ
マ生成室の他方の開口部に配置され、前記プラズマ生成
室からイオンビームを引き出す電極とを有するイオン源
において、前記プラズマ生成室内のプラズマ密度を検出
する検出手段と、前記検出手段の検出結果を用いて前記
可変磁界発生手段に磁束密度を指示する制御手段とをさ
らに配置し、前記制御手段は、前記検出手段の検出結果
と、予め定めたプラズマ密度の範囲とを比較し、前記検
出結果が予め定めたプラズマ密度の範囲からはずれてい
る場合、前記可変磁界発生手段に磁束密度の増加および
減少のうち少なくとも何れか一方を指示する構成にす
る。
【0020】そして、上述の本発明のイオン源をイオン
ビーム処理装置に搭載することにより、上記第1または
第2の目的が達成される。
【0021】
【作用】一般に、導波管内をマイクロ波が進行する場
合、導波管の表面には、電場、磁場に対応した電流が流
れる。従ってこの電流を横切るように導波管の一部にス
リットを設けると、スリットの両端に電荷がたまり、こ
れがマイクロ波の進行に伴って変化することからスリッ
ト両端間の電界が変化しスリットを通って導波管の外部
にマイクロ波が放出される。
【0022】本発明の第1の態様のスリット板を備えた
イオン源ではこの原理を用いて、マイクロ波がプラズマ
生成室内に複数の場所から放射供給されるように構成し
たことにより、プラズマ生成室内全体に均一な強度でマ
イクロ波を供給するものである。
【0023】すなわち、本発明では、プラズマ生成室に
接続された導波管は、プラズマ生成室にマイクロ波を放
射供給する。このとき、導波管の端部は、複数のスリッ
トが設けられたスリット板で覆われているため、上記原
理により、各スリットが放射の中心となって、複数の放
射中心からプラズマ生成室にマイクロ波が供給される。
これに対して、従来のマイクロ波励起方式のイオン源に
おいては、直接、導波路からマイクロ波をプラズマ生成
室に放射する構成となっている。このためプラズマ生成
室内に供給されるマイクロ波の強度は、導波管が接続さ
れている部分が最も高くなり、その中でも、導波管のモ
ードによる電界磁界の強度分布に応じてマイクロ波の強
度分布が生じてしまう。本発明では、複数のスリットを
設けることにより、放射中心を増やすことにより、均一
な強度分布のマイクロ波を生成室内に供給することがで
きる。
【0024】プラズマ生成室内に供給されたマイクロ波
は、可変磁界発生手段から発生している磁界と、電子サ
イクロトロン共鳴(ECR)し、プラズマを生成する。
マイクロ波の強度分布は、均一であるので、均一な密度
分布のプラズマが生成される。 プラズマ生成室の開口
部に配置されている電極は、プラズマ中のイオンを加速
し、イオンビームを引き出す。上述のようにプラズマ
は、密度分布が均一であるため、引き出されたイオンビ
ームは、強度分布が均一である。従って、このイオン源
を用いてイオンミリング処理を行う場合には、処理対象
物全面を均一な処理速度でミリングすることができる。
【0025】また、電子サイクロトロン共鳴でプラズマ
を発生させる方法は、空胴共振器で電界強度を強めてプ
ラズマを発生させる方法と比べて、プラズマを生成可能
な真空度の幅が大きい。よって、生成室内の密度分布が
均一で、かつ、幅広い真空度においてプラズマを安定に
発生させることができる。
【0026】また、本発明の第2の態様の制御手段を備
えたイオン源では、検出手段は、プラズマ生成室のプラ
ズマ密度を検出する。制御手段は、プラズマ密度が予め
定めた範囲からはずれている場合、プラズマ生成室に加
える磁界の強度を調節することにより、外れたプラズマ
密度を予め定めた範囲内に戻す。磁界強度とプラズマ密
度との関係は、常に一定の関係を示さないため、プラズ
マ密度を高めるために磁束密度を高めた方が良い場合
と、低くした方が良い場合とがある。従って、制御手段
は、磁束密度の増加および減少のうち少なくともいずれ
か一方を指示する。
【0027】このように、プラズマ密度を一定の範囲内
にたもつことにより、処理中に真空度が変化した場合
や、雰囲気が汚染された場合であっても、一定の範囲内
のプラズマ密度で安定にプラズマを生成することができ
る。したがって、このようなイオン源を処理装置に用い
ることにより、処理対象物に強度分布が均一なイオンビ
ームを長時間安定に照射することができるので、均一な
処理が可能になる。また、イオンビームスパッタ成膜処
理を行う場合には、膜厚分布を均一にすることができ
る。
【0028】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
する。
【0029】まず、本発明の第1の実施例のイオンミリ
ング装置について、図1を用いて説明する。
【0030】図1のイオンミリング装置は、図1のよう
に、円筒形のプラズマ生成室15と、処理室18とを備
えている。プラズマ生成室15の一方の開口部には、処
理室18が連結され、他方の開口部は、石英板20を介
して、円筒形の空胴共振器13が接続されている。空胴
共振器13の直径は、プラズマ生成室15の直径とほぼ
等しい。
【0031】空胴共振器13は、TE01またはTM01
ードのマイクロ波共振型円形空胴共振器である。空胴共
振器13には、導波管10が接続され、導波管10を通
してマグネトロンマイクロ波発振器14からマイクロ波
(周波数:2.45GHz)9が供給される。空胴共振
器13のプラズマ生成室15側の端部は、4本のスリッ
ト16が設けられたスリット板51に覆われている。ス
リット板51は、石英板20により覆われているため、
空胴共振器13は、真空に封止された構造となってい
る。マイクロ波9は、空胴共振器13から石英板20を
介してプラズマ生成室15内に供給される。
【0032】スリット板51の4本のスリット16は、
図7に示すように、空胴共振器13のモードパターンに
合わせて、マイクロ波の電界に対して直交するように、
円弧状に配置されている。各スリット16の長手方向の
長さは、スリット16からのマイクロ波の放射の効率を
良くするために、マイクロ波の1/2波長以上になるよ
うに設けられている。具体的には、本実施例では、2.
45GHzのマイクロ波を用いているため、スリット1
6の長さを60cm以上の寸法にした。また、スリット
板51および空胴共振器13は、ともにアルミニウム製
である。
【0033】空胴共振器13の外側には、それを取りま
くようにソレノイドコイル3が配置されている。また、
プラズマ生成室15の外側には、それを取り巻くように
放射状に永久磁石8が配置され、さらにその外側にコイ
ル53が配置されており、プラズマ生成室15内にカス
プ磁界を形成する。コイル53には、電源29が接続さ
れ、コイル電流を供給する。
【0034】また、プラズマ生成室15内の壁面付近に
は、磁束密度を測定するための磁束密度センサ27が配
置されている。またプラズマ生成室15には、プラズマ
密度を測定するためのプラズマ密度センサ54が配置さ
れている。プラズマ密度センサ54には、磁束密度制御
装置28が接続されている。磁束密度制御装置28は、
プラズマ生成室内のプラズマ密度をモニターし、所定の
磁束密度になるように、電源29がコイル53に対して
供給するコイル電流を制御する。本実施例では、磁束密
度センサ27として、N型ゲルマニウムでできたホール
素子(通称ゲルマニウムホール発生器、磁界が加わると
電圧を発生する)を用い、プラズマ密度センサ54とし
てラングミアプローブを用いている。また、磁束密度セ
ンサとして、探りコイルと高利得の増幅器を用いた積分
器を内蔵したエレクトロニック磁束密度装置を用いるこ
ともできる。この場合には、センサ部分のみをプラズマ
生成室に配置する。
【0035】プラズマ生成室15には、ガス供給管17
が接続されている。ガス供給管17には図示していない
が、ガス供給源および流量計(マスフローコントロー
ラ)が接続されており、プラズマ生成室15内に所定量
のエッチングガスを供給する。
【0036】プラズマ生成室15と処理室18とを連結
する部分には、プラズマ生成室15内のプラズマ中のイ
オンを加速し、イオンビームを処理室18に引き出すた
めのイオン引き出し電極5が配置されている。
【0037】処理室18内には、被加工物である試料7
を保持する試料ホルダ19が配置されている。試料ホル
ダ19には、試料7を水冷するための水冷装置と、試料
ホルダ19を自転させるモータが内蔵されている。ま
た、試料ホルダ19には、試料ホルダ19の向きを傾斜
させた状態で保持するための装置(図示せず)が取り付
けられている。試料7とイオン引き出し電極5の間に
は、引き出されたイオンビーム6および試料7に対して
電子を供給するための電子発生装置21が設置されてお
り、試料7がイオンビームの照射によって帯電するのを
防止する工夫がなされている。
【0038】次に、本実施例のイオンミリング装置を用
いてイオンミリングを行う場合の動作について説明す
る。
【0039】プラズマ生成室15および処理室18を5
×10~6Torr程度の真空に排気した後、ガス供給管
17から反応性ガス、本実施例ではCHF3を供給し、
プラズマ生成室15を1×10~4〜5×10~4Torr
程度の真空度にする。次に、マグネトロン発振器14に
おいてマイクロ波を発振させる。発振器14から発振さ
れたマイクロ波9は、導波管10を伝搬し、空胴共振器
13でTE01またはTM01モードを励振することによ
り、増幅されるとともに、空胴共振器13の口径いっぱ
いに広がる。空胴共振器13に取り付けられたスリット
板51の4本のスリット16の両端には、それぞれ電荷
がたまり、この電荷の変化に応じて4本のスリット16
から、それぞれ、マイクロ波9が空胴共振器13の外部
に向かって放出される。スリットから放出されたマイク
ロ波9は、石英板20を通過してプラズマ生成室15内
に供給される。マイクロ波9は、4本のスリット16か
らそれぞれ広がりながらプラズマ生成室15内の空間を
進行するため、プラズマ生成室15内の空間全体に渡っ
て均一に広がる。
【0040】一方、プラズマ生成室15内には、永久磁
石8およびコイル3、53によって87.5mT以上の
磁界を生じさせる。プラズマ生成室15内に供給された
マイクロ波9は、永久磁石8およびコイル3、53が発
生させている電子サイクロトロン共鳴することにより、
CHF3のプラズマを生成する。
【0041】このとき、磁界の強度は、磁束密度センサ
27によって測定されている。また、プラズマ密度は、
プラズマ密度センサ54によって測定されている。磁束
密度制御装置28は、プラズマ密度センサ54が測定し
たプラズマ密度aを取り込んで、このプラズマ密度aが
予め定めた範囲であるAH>a>ALに入るように、ソレ
ノイドコイル53に流す電流値を制御する。すなわち、
磁束密度制御装置28は、プラズマ密度aが所定の値の
範囲外にずれた場合、ソレノイドコイル53に流す電流
値を増加または減少させることにより、プラズマ生成室
15内の磁束密度を変化させて、プラズマ密度の時間的
均一性を保つ。ここで、AHは、予め定めたプラズマ密
度の上限値、ALは、予め定めたプラズマ密度の下限値
である。AH、ALは、試料7の加工に必要とされるイオ
ン電流密度の大きさ、許容できるイオン電流密度のばら
つき、ならびに、プラズマ生成室の形状や大きさによっ
て異なるので、予め計算または実験によってAH、AL
求めておき、この値を用いる。
【0042】プラズマ生成室15のプラズマ密度が、上
述の所定の範囲からはずれた場合に、再び所定の範囲内
に戻すためには磁束密度を高めるのが有効な場合と低下
させるのが有効な場合とがある。短時間でこれを達成す
るには、まず、両方向に微小量変化させ(すなわち、微
小量増加および減少方向にコイル電流を変化させ)プラ
ズマ密度を測定し、プラズマ密度を測定しプラズマ密度
が安定化する電流値の変化方向を求め、続いてこの求め
た方向に電流値を変化させてプラズマ密度の安定化を図
る。
【0043】この場合の磁束密度制御装置28の動作を
図12を用いて、さらに具体的に説明する。磁束密度制
御装置28内には、図示していないが、メモリと演算装
置とが内蔵されている。メモリには、図12のフローチ
ャートに示したようなプログラムが格納されている。演
算装置は、メモリ内のプログラムを読み込んでこれに従
って次のように動作する。まず、磁束密度制御装置28
は、ステップ201で定期的にプラズマ密度センサ54
からプラズマ密度a1を取り込む。そして、次のステッ
プ202で、取り込んだプラズマ密度a1と、上述のプ
ラズマ密度の上限値AHと比較し、a1<AHであるかど
うかを調べる。そして、a1<AHである場合には、ス
テップ203に移り、a1と上述の下限値ALとを比較
し、AL<a1である場合には、プラズマ密度a1が所
定の範囲内であるため、ステップ201に戻る。
【0044】ステップ202で、プラズマ密度a1が上
限値AHを超えている場合には、ステップ212に進
む。ステップ212からステップ217は、プラズマ密
度を所定の範囲内に戻すためには、プラズマ生成室15
の磁束密度を増加させればよいのか減少させればよいの
かを求めるためのステップである。すなわちステップ2
12では、プラズマ生成室15内の磁束密度pを磁束密
度センサ27から取込み、この磁束密度pが予め定めた
微小量bだけ増加してp+bとなるまで、電源29がコ
イル53に供給するコイル電流を増加させる。そしてス
テップ213で、磁束密度p+bの状態におけるプラズ
マ密度a4をプラズマ密度センサ54から取り込む。つ
ぎのステップ214では、プラズマ生成室15内の磁束
密度をステップ212で取り込んだ先の磁束密度pから
予め定めた微小量bだけ減少させ、p−bとなるまで、
電源29がコイル53に供給するコイル電流を減少させ
る。そして、ステップ215で、磁束密度p−bの状態
におけるプラズマ密度a5をプラズマ密度センサ54か
ら取り込む。
【0045】そして、ステップ216において、プラズ
マ密度a4をプラズマ密度a1と比較し、a4<a1で
ある場合には、磁束密度を増加させることにより上限値
Hより大きいプラズマ密度a1を小さくすることがで
きると判断してステップ209に進む。ステップ209
では、AL<a1<AHとなるまで、プラズマ密度をモニ
タしながら、電源29がコイル53に供給するコイル電
流を増加させ、その後ステップ201に戻る。ステップ
216で、a4<a1ではない場合には、さらに、a5
とa1とを比較し、a5<a1である場合には、磁束密
度を減少させることによりプラズマ密度a1を小さくす
ることができると判断して、ステップ211に進む。ス
テップ211では、AL<a1<AHとなるまで、プラズ
マ密度をモニタしながら、電源29がコイル53に供給
するコイル電流を減少させ、その後ステップ201に戻
る。ステップ217で、a5<a1ではない場合には、
ステップ212に戻り、再度、磁束密度を変化させてプ
ラズマ密度を測定する。
【0046】先のステップ203で、プラズマ密度a1
が、下限値AL小さい場合には、ステップ204からス
テップ208、および、ステップ210に進み、上述の
ステップ212からステップ217と同様に、磁束密度
pを微小量変化させてプラズマ密度a2、a3をそれぞ
れ測定する。そして、ステップ208、210で、a
2、a3をa1と比較することにより、プラズマ密度a
1を増加させるためには、磁束密度を増加させればよい
か、減少させればよいかを判断する。この結果に応じて
ステップ209またはステップ211に進んで、AL
a1<AHとなるまで、磁束密度を増加または減少させ
る。
【0047】このようにすることにより、イオンミリン
グ中に生じる真空度の変化、ガス雰囲気の変化、ガス流
量の変化によって、プラズマ密度の不安定性が生じ、所
定の範囲から外れてしまっても、短時間で所定の範囲内
に戻すことができる。よって、イオン電流密度の長時間
安定化が図られ、精度の高い、均一な加工が可能とな
る。
【0048】なお、本実施例では、磁束密度を測定する
ための磁束密度センサ27は、ステップ204、20
6、212、214において磁束密度の変化をモニタす
るためにのみ用いられ、プラズマ制御の副次的役目を果
たしている。しかしながら、ステップ204、206、
212、214において、磁束密度を微小量だけ増加ま
たは減少させる際に、予め定められた量だけコイル電流
を増加または減少させることにより、磁束密度を増加ま
たは減少させることも可能である。このような構成を用
いた場合には、磁束密度センサ27を配置せずに省略す
る構成にすることも可能である。
【0049】プラズマ生成室15内に供給されたマイク
ロ波9は、永久磁石8およびコイル3、53の87.5
mT以上の磁界と、電子サイクロトロン共鳴することに
より、CHF3のプラズマを生成する。マイクロ波9
は、プラズマ生成室15全体に均一に広がっているの
で、プラズマの密度は、プラズマ生成室15全体で均一
である。また、プラズマ密度は、磁束密度制御装置28
により制御されているので、時間経過に伴う変化が小さ
く、安定である。
【0050】プラズマ中の主に陽イオンは、イオン引き
出し電極5の電界により加速されて、プラズマ生成室1
5の口径とほぼ等しい口径のイオンビーム6がプラズマ
生成室15から引き出される。プラズマ生成室15のプ
ラズマは、空間的に均一な密度であるので、イオンビー
ム6のイオン電流密度も、口径方向について均一であ
る。
【0051】引き出されたイオンビーム6は、処理室1
8内の試料7に衝突し、試料7をミリング加工する。試
料7は、試料ホルダ19内の水冷装置とモータにより、
水冷されながら自転している。イオンビーム6のイオン
電流密度は、口径方向について均一であるため、試料7
の加工速度は、試料全体で均一となる。また、プラズマ
生成室15内のプラズマ密度は常時制御されているた
め、真空度や清浄度が加工中に変化しても、プラズマ密
度は変化せず、加工中のイオン電流密度の経時変化は極
めて少ない。したがって、高い精度で加工を行うことが
できる。
【0052】本実施例のイオンミリング装置において、
試料7に入射するイオン電流密度の分布を測定した。そ
の結果を図9に示す。また、比較のために、図5の従来
型イオン源のイオンビームについて、イオン電流密度の
分布の測定結果を同時に示した。引き出し電極5、11
5の直径はいずれも200mmである。また、導波路1
0、110には、等しいエネルギーのマイクロ波を供給
した。
【0053】図9からわかるように、本実施例のイオン
ミリング装置で得られたイオンビームは、イオンビーム
の径方向について、イオン電流密度のバラツキがなく、
一定であるのに対し、図5の従来のイオン源では、イオ
ンビームの中心部でイオン電流密度が最も大きく、中心
から遠ざかるにつれ次第に小さくなる。また、本実施例
のイオンミリング装置でえられたイオンビームの電流密
度は、図5の従来のイオン源のイオンビームの電流密度
の約2倍の大きさが得られている。このことから、本実
施例のイオンミリング装置では、イオン電流密度のバラ
ツキが小さく、しかも、マイクロ波から高い効率でイオ
ンビームを得ることができることがわかる。
【0054】また、図10は、本実施例のイオンビーム
ミリング装置(図8)において、エッチングガスとして
CHF3を用いたときの真空度とイオン電流密度の関係
を示した測定結果である。本実施例では、上述のように
プラズマ密度の検出結果に応じてコイル53へ印加する
電流値を変化させて磁束密度を変化させている。比較例
として、図5の従来のイオン源を用いて磁界強度を80
mTにした場合のイオン電流密度を測定した。
【0055】その結果、図10に示すように、本実施例
のイオンミリング装置では、磁界を60〜150mTの
範囲で変化することにより、5×10~4〜5×10~5
orrの範囲において、常に安定にプラズマを発生させ
ることが可能であった。そして、この安定なプラズマか
ら、1mA程度の高密度イオンビームを引き出すことが
できた。これに対し、図5の従来のイオン源においては
プラズマの不安定な領域が存在した。即ち、真空度が6
〜9×10~4Torr及び2〜4×10~4Torrの範
囲でマイクロ波の吸収が起こらずプラズマが不安定とな
り、イオンビームを安定して引き出すことが出来なかっ
た。このことから、本実施例のイオンミリング装置のイ
オン源では、加工中に真空度が変化したり清浄度が低下
した場合にも、ほぼ一定のイオン電流密度のイオンビー
ムを試料に照射することができることがわかった。した
がって、長時間に渡ってほぼ一定の加工速度で安定に加
工をおこなうことができ、高い精度で加工された試料を
得ることができる。
【0056】また、本実施例では、径の細い導波管10
の先に、空胴共振器13を取り付けることにより、マイ
クロ波9をプラズマ生成室15と等しい口径まで広げる
構成を用いている。これにより、マイクロ波発振器14
とプラズマ生成室15との間で導波管10を引き回す際
に、径の細い導波管10を引き回せばよく、導波管10
の配設を容易に行うことができる。また、空胴共振器1
3を配置することにより、マイクロ波9の振幅が増幅さ
れるので、マイクロ波発振器14からのマイクロ波9を
効率よくプラズマ生成室15に供給することができる。
これにより、出力の小さなマイクロ波発振器14を用い
て、大口径で大イオン電流密度のイオンビームを得るこ
とが可能になる。
【0057】しかしながら、空胴共振器13を必ず用い
なければならないというわけではなく、大口径の導波管
の端部に、スリット板51と同様なスリット板を取り付
け、直接プラズマ生成室15に接続する構成にすること
ももちろん可能である。この場合にも、本実施例と同様
に、スリット板の複数のスリットからそれぞれマイクロ
波が広がりながらプラズマ生成室に供給されるため、均
一な密度のプラズマが得られ、これから、イオン電流密
度が均一なイオンビームが得られる。また、磁束密度を
制御することによりプラズマ密度を制御していることか
ら、イオン電流密度の時間変化は極めて小さく、本実施
例と同様な。従って、空胴共振器13を用いるかどうか
は、必要なイオンビームの口径や配設可能な導波管の太
さによって定めればよい。
【0058】また、スリット板16のスリットの個数お
よび形状は、必要に応じて、即ち空胴共振器や導波管の
大きさに応じて、スリット数を増やしたり、形状や配置
を変えることができる。その配置は、幾何学的に考えて
プラズマ生成室に対してより均一にマイクロ波が供給さ
れるように配置する。また、スリットは、空胴共振器1
3(空胴共振器13を用いない場合には導波管10)の
モードの電界と直交するように配置することにより、効
率よくスリットからマイクロ波を放射させることができ
る。
【0059】次に、本発明の第2の実施例のイオンミリ
ング装置について図8を用いて説明する。
【0060】本実施例のイオンミリング装置は、第1の
実施例のイオンミリング装置とほぼ同様の構成である
が、空胴共振器13と導波管10との間に、さらに空胴
共振器63を配置したものである。空胴共振器63と空
胴共振器13との間には、2本のスリット66が設けら
れたスリット板61が配置されている。空胴共振器63
は、空胴共振器13と同じくTE01またはTM01モード
の円形空胴共振器である。空胴共振器63およびスリッ
ト板61は、アルミニウム製である。2本のスリット6
6は、空胴共振器63の電界に直交するように、同一円
上に配置された2本の円弧状スリットである。
【0061】マイクロ波発振器14で発振されたマイク
ロ波9は、導波管10を伝搬して、空胴共振器63に入
り、2本のスリット66から空胴共振器13に放射され
る。空胴共振器13に伝わったマイクロ波9は、4本の
スリット16からプラズマ生成室に放射される。他の構
成および動作は、第1の実施例と同様であるので、説明
を省略する。
【0062】本実施例では、2段階の空胴共振器63、
13およびスリット66、16を配置したことにより、
プラズマ生成室15に対してより均一なマイクロ波が供
給される。これにより、プラズマ生成室には更に均一性
に優れたプラズマが生成され、イオン電流密度の均一な
イオンビームが引き出される。
【0063】このように、本実施例のイオンミリング装
置では、2段の空胴共振器63、13を配置し、スリッ
ト66、16よりマイクロ波を供給する構成を用いてい
ることから、従来のマイクロ波供給方式に比較して、プ
ラズマ生成室にはより均一なプラズマが生成され、よっ
て電極から引き出されるイオン電流密度は試料面に対し
て均一な分布となる。また磁場を常時モニターしてプラ
ズマ密度を均一化しているため、加工中のイオン電流密
度の変化は極めて少ない。
【0064】第1、第2の実施例に用いるエッチングガ
スとしては、フッ素を含有した化合物が特に有効であ
る。具体例としては、先に示したCHF3以外にAr、
He、Xe等の希ガス、CF4、CH22、SF6、CH
3F、NF3等のフッ素含有化合物、Cl2、CCl4、C
ClF3等の塩素含有化合物、CH3Br等の臭素含有化
合物がある。このうち、理由は明らかではないが発明者
らの実験によれば、例えばCHF3、CH22、CH3
等の炭素、水素、フッ素を同時に含有したガスは、本発
明のプラズマ生成室において、従来装置に比較して濃度
の高い活性イオンを生成するため、加工効率が特に高く
なり、有機物、金属、セラミック、誘電体、半導体等の
薄膜及び結晶体の加工に有効である。
【0065】本発明の第3の実施例のイオンビームスパ
ッタ装置について図11を用いて説明する。
【0066】本実施例のイオンビームスパッタ装置は、
図8に示したイオンミリング装置とほぼ同様の構成であ
るが、処理室18には、試料ホルダ19の他に、膜26
を付着させるため基板22を保持するための基板ホルダ
23が配置されている。試料ホルダ19には、スパッタ
ターゲット25が保持されている。また、基板ホルダ2
3には、基板22が保持されている。基板22は、膜2
6を付着させる面を、ターゲット25からスパッタ粒子
24が飛散する方向に向けて配置されている。また、タ
ーゲット25は、法線方向とイオンビーム6の方向とが
90度以下の角度で交差するように保持されている。
【0067】イオン引き出し電極5から引き出されたイ
オンビーム6は、成膜すべき化合物物質で構成されるタ
ーゲット25に入射して該ターゲット化合物をスパッタ
する。ターゲット25から飛散したスパッタ粒子24
は、基板22上に入射し、ターゲット化合物で構成され
る膜26が成膜される。
【0068】本実施例のイオンビームスパッタ装置で
は、先に述べた様にイオンビームの分布が均一でかつ電
流密度が高いため基板上には均一膜厚の薄膜が短時間で
生成させることが出来る。また、プラズマ密度の時間変
化を一定範囲内に制御しているため、イオンビームの電
流密度の時間変化が小さく、従って、成膜速度の時間変
化を小さく抑えることができ、膜構造が厚さ方向で均一
な薄膜を形成することができる。
【0069】本発明の各実施例の装置では、上述のよう
に導波管10に接続した空胴共振器に設けた複数のスリ
ット16から増幅したマイクロ波がプラズマ生成室に放
射供給することにより、プラズマ生成室内に均一なプラ
ズマを生成し、さらに、磁束密度を制御することにより
プラズマ密度の時間変化を一定範囲に制御する。これに
より、高密度、均一なイオンビームを引き出すことがで
きる。よって、イオンミリング装置や成膜装置のみなら
ず、この技術をイオンビームを用いた他の処理装置、例
えばイオン注入処理装置等への応用することももちろん
可能である。
【0070】
【発明の効果】上述のように、本発明のイオン源では、
マイクロ波と磁界との電子サイクロトロン共鳴によりプ
ラズマを生成するプラズマ生成室に、複数のスリットを
介してマイクロ波を供給するため、広範囲の真空度で、
均一な密度のプラズマを生成することができる。また、
磁束密度制御することにより広範囲の真空度で安定にプ
ラズマを発生させることができ、イオン電流密度が均一
なイオンビームを引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のイオンミリング装置の
構成を示すブロック図。
【図2】従来のイオン源の構成を示すブロック図。
【図3】従来のイオン源の構成を示すブロック図。
【図4】従来のイオン源の構成を示すブロック図。
【図5】従来のイオン源の構成を示すブロック図。
【図6】従来のイオン源の構成を示すブロック図。
【図7】図1のイオンミリング装置のスリット板51の
上面図。
【図8】本発明の第2の実施例のイオンミリング装置の
構成を示すブロック図。
【図9】図1のイオンミリング装置で得られたイオン電
流密度の分布を示すグラフ。
【図10】図1のイオンミリング装置で得られたイオン
電流密度と真空度との関係を示すグラフ。
【図11】本発明の第3の実施例のスパッタ装置の構成
を示すブロック図。
【図12】図1のイオンミリング装置の磁束密度制御装
置28の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
3、53、103…コイル、5、105、105、11
5…引き出し電極、6、116…イオンビーム、7、1
07、117…試料、8、108、118、128…永
久磁石、9、119…マイクロ波、14…マイクロ波発
振器、15…プラズマ生成室、13、63…空胴共振
器、16…スリット、17…ガス供給管、18…処理
室、19…試料ホルダー、20…石英板、24…スパッ
タ粒子、26…膜、27…磁束密度センサー、28…磁
束密度制御装置、29…コイル電源、51…スリット
板、54…プラズマ密度センサ、101…フィラメン
ト、102…プラズマ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鳥羽 環 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 大石 鉦太郎 茨城県日立市国分町一丁目1番1号 株式 会社日立製作所国分工場内 (72)発明者 橋本 勲 茨城県日立市国分町一丁目1番1号 株式 会社日立製作所国分工場内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2つの開口部を有するプラズマ生成室と、
    前記プラズマ生成室の一方の開口部に接続され、前記プ
    ラズマ生成室内の空間にマイクロ波を放射する導波管
    と、前記プラズマ生成室内の空間に指示された強度の磁
    界を発生させる可変磁界発生手段と、前記プラズマ生成
    室の他方の開口部に配置され、前記プラズマ生成室から
    イオンビームを引き出す電極とを有し、 前記導波管の前記プラズマ生成室側の端部には、複数の
    スリットが設けられたスリット板が配置されていること
    を特徴とするイオン源。
  2. 【請求項2】2つの開口部を有するプラズマ生成室と、
    前記プラズマ生成室の一方の開口部に接続され、前記プ
    ラズマ生成室内の空間にマイクロ波を放射する導波管
    と、前記プラズマ生成室内の空間に指示された強度の磁
    界を発生させる可変磁界発生手段と、前記プラズマ生成
    室の他方の開口部に配置され、前記プラズマ生成室から
    イオンビームを引き出す電極とを有するイオン源であっ
    て、 前記プラズマ生成室内のプラズマ密度を検出する検出手
    段と、前記検出手段の検出結果を用いて前記可変磁界発
    生手段に磁束密度を指示する制御手段とを有し、 前記制御手段は、前記検出手段の検出結果と、予め定め
    たプラズマ密度の範囲とを比較し、前記検出結果が予め
    定めたプラズマ密度の範囲からはずれている場合、前記
    可変磁界発生手段に磁束密度の増加および減少のうち少
    なくとも何れか一方を指示することを特徴とするイオン
    源。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記プラズマ生成室内
    のプラズマ密度を検出する検出手段と、前記検出手段の
    検出結果を用いて前記可変磁界発生手段に磁束密度を指
    示する制御手段とを有し、 前記制御手段は、前記検出手段の検出結果と、予め定め
    たプラズマ密度の範囲とを比較し、前記検出結果が予め
    定めたプラズマ密度の範囲からはずれている場合、前記
    可変磁界発生手段に磁束密度の増加および減少のうち少
    なくとも何れか一方を指示することを特徴とするイオン
    源。
  4. 【請求項4】請求項3において、前記検出結果が予め定
    めたプラズマ密度の範囲からはずれている場合、前記制
    御手段は、前記可変磁界発生手段に磁束密度の増加およ
    び減少を指示して、この時の前記検出手段の検出結果か
    ら、磁束密度の増加および減少のうち何れの場合にプラ
    ズマ密度が前記予め定めたプラズマ密度の範囲に近づく
    かを検出し、検出した磁束密度の増加または減少を前記
    可変磁界発生手段に指示することを特徴とするイオン
    源。
  5. 【請求項5】請求項1または3において、前記導波管の
    前記プラズマ生成室側の端部には、空胴共振器がさらに
    配置され、前記導波管は、前記空洞共振器を介して前記
    プラズマ生成室の開口部に接続され、前記スリット板
    は、前記空胴共振器と前記プラズマ生成室が接続される
    部分に配置されて、前記空胴共振器の端部を覆うことを
    特徴とするイオン源。
  6. 【請求項6】請求項5において、前記空洞共振器と前記
    導波管の間には、さらに、第2の空胴共振器が配置さ
    れ、前記第2の空胴共振器の前記空胴共振器側の端部
    は、複数のスリットが設けられた第2のスリット板で覆
    われ、前記スリット板のスリットの数は、前記第2のス
    リット板のスリットの数より多いことを特徴とするイオ
    ン源。
  7. 【請求項7】請求項1または3において、前記スリット
    の長さは、前記導波管を伝搬するマイクロ波の波長の1
    /2以上の長さであることを特徴とするイオン源。
  8. 【請求項8】請求項7において、前記スリットは、長手
    方向が前記導波管の電界に対して直交するように配置さ
    れていることを特徴とするイオン源。
  9. 【請求項9】イオン源と、前記イオン源から引き出され
    たイオンビームを対象物に照射するための処理室と、前
    記処理室内に配置されて前記対象物を保持する対象物保
    持手段とを有するイオン源を備えた処理装置において、 前記イオン源は、2つの開口部を有するプラズマ生成室
    と、前記プラズマ生成室の一方の開口部に接続され、前
    記プラズマ生成室内の空間にマイクロ波を導く導波管
    と、前記プラズマ生成室内の空間に指示された強度の磁
    界を発生させる可変磁界発生手段と、前記プラズマ生成
    室の他方の開口部に配置され、前記プラズマ生成室から
    イオンビームを引き出す電極と、 前記プラズマ生成室内の磁界のプラズマ密度を検出する
    検出手段と、前記検出手段の検出結果を用いて前記可変
    磁界発生手段に磁束密度を指示する制御手段とを有し、 前記制御手段は、前記検出手段の検出結果と、予め定め
    たプラズマ密度の範囲とを比較し、前記検出結果が予め
    定めたプラズマ密度の範囲からはずれている場合、前記
    可変磁界発生手段に磁束密度の増加および減少のうち少
    なくとも何れか一方を指示することを特徴とするイオン
    源を備えた処理装置。
  10. 【請求項10】請求項9において、前記処理室内には、
    前記対象物保持手段に保持された対象物から飛散した粒
    子を堆積させる基板を保持するための基板保持手段が配
    置されていることを特徴とするイオン源を備えた処理装
    置。
  11. 【請求項11】プラズマ生成室と、試料を配置するため
    の処理室と、前記プラズマ生成室内の空間にマイクロ波
    を放射する導波管と、前記プラズマ生成室内の空間に指
    示された強度の磁界を発生させる可変磁界発生手段と、
    前記プラズマ生成室から前記処理室にイオンビームを引
    き出す電極とを有するイオンビーム処理装置を用いた試
    料の加工方法であって、 前記プラズマ生成室内に、炭素、水素、フッ素を同時に
    含んだガスを導入してプラズマを発生させ、 前記プラズマ生成室内のプラズマ密度を検出し、 前記プラズマ密度が、予め定めたプラズマ密度の範囲か
    らはずれている場合、前記可変磁界発生手段に磁束密度
    の増加および減少のうち少なくとも何れか一方を指示こ
    とを特徴とするイオンビーム処理装置を用いた試料の加
    工方法。
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