JP2004146122A - 有機電界発光素子及び有機電界発光素子用光取出し体 - Google Patents

有機電界発光素子及び有機電界発光素子用光取出し体 Download PDF

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Mitsuo Yaguchi
矢口 充雄
Hiroshi Yokogawa
横川 弘
Nobuhiro Ide
井出 伸弘
Kenji Kono
河野 謙司
Akihiko Tadamasa
忠政 明彦
Masaru Yokoyama
横山 勝
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Abstract

【課題】発光を効率良く外部に取り出すことができる有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】2つの電極1,2の間に有機発光層3を設けて形成され、両電極1,2間に電圧を印加することによって有機発光層3を発光させる発光部4を有する有機電界発光素子に関する。2つの電極1,2のうち透明に形成される電極1の有機発光層3と反対側に、発光部4で発光した光を外部に取出す光取出し部5を設ける。光取出し部5の外周を有機発光層3の側の内径が小さく、反対側の内径が大きくなるテーパ筒形状となった光反射面6で囲むと共に、光取出し部5を発光部4に対向させて配置する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラットパネルディスプレイ、液晶表示機用バックライト、照明用光源などに用いられる有機電界発光素子及び有機電界発光素子用光取出し体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フラットパネルディスプレイ、液晶表示機用バックライト、照明用の光源などに用いられる発光体として、フラットパネルディスプレイの薄型化、液晶表示機を備える電子機器の小型化や薄型化、あるいは照明器具の形状の自由化などのために、薄く、軽量であり、かつ高効率であるものが近年ますます要求されるようになっている。そしてこのような要求に応じることができるものとして、有機電界発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)が注目されている。
【0003】
有機電界発光素子が低電圧で高輝度に発光することは、イーストマン・コダック社のC.W.Tangらにより、電極間に二層の薄膜を積層した構成の素子において初めて示された(Appl.Phys.Lett.,51,12,913(1987))。そしてこれ以降、有機電界発光素子は、電池などの10V程度の低電圧で100〜100000cd/m程度の高輝度の発光が可能なこと、蛍光物質を構成する材料の組み合せで多数の色を発光させることが可能なこと、非常に薄い面発光体として使用可能なこと、などから産業界で注目され、素子構成に改良を加えた種々の薄膜構成の有機電界発光素子が検討されている。
【0004】
ここで、有機電界発光素子の基本的な素子構成は、陽極/有機発光層/陰極であるが、その他、陽極/ホール輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極の構成、陽極/ホール注入層/ホール輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極の構成、陽極/ホール注入層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極の構成、陽極/ホール注入層/有機発光層/電子注入層/陰極の構成など、種々の構成のものが挙げられる。
【0005】
図8は有機電界発光素子の層構成の一例を示すものであり、基板11の表面上に透明導電膜などからなる電極1を陽極として設け、電極1の表面上にホール輸送層12を介して有機発光層3を積層すると共に、さらにこの有機発光層3の上に電子輸送層13を介して電極2を陰極として設けてある。これを基本構成として有機電界発光素子を形成することができるものであり、電極1に正電圧を、電極2に負電圧を印加すると、電子輸送層13を介して有機発光層3に注入された電子と、ホール輸送層12を介して有機発光層3に注入されたホールとが、有機発光層3内、又は有機発光層3とホール輸送層12の界面等にて再結合して発光が起こるものである。このように発光した光は、図8の有機電界発光素子では透明導電膜で形成される電極1及び透明ガラスや透明プラスチック板などで形成される基板11を通過して外部に取り出される。
【0006】
そして、有機電界発光素子の発光効率を向上させることを目的として、発光した光を効率良く外部に取り出すことに関する検討が種々なされている。特に、有機電界発光素子においては、有機発光層3が平坦な透明ガラスや透明プラスチック板などで形成される基板11の上に透明な電極1を介して設けられているために、有機発光層3で発光した光の多くは、平坦な基板11や、あるいは基板11と有機発光層3の間の電極1の中を、イ矢印のように導波して有機電界発光素子の側面から漏れたり消滅したりするため、光の取り出し率が低くなり、またロ矢印のように斜めに取り出された光は基板1の表面で屈折して拡散されてしまうため、正面輝度が低くなり、これらのために発光効率が低くなることが問題になっている。
【0007】
ここで、光の取り出しについて詳しく説明すると、発光素子の内部で発生した光が発光素子の外部へ取り出される取り出し率ηは、古典光学の法則により、屈折率nの媒体中から屈折率1.0の空気中に出射される際の全反射の臨界角θcで決まる。屈折の法則からこの臨界角θcは次の式(1)で与えられる。
【0008】
sinθc=1/n     (1)
そして取り出し率ηは、屈折率nの媒体から空気中へ通過する光量と発生した全光量(媒体と空気の界面で全反射される光量と空気中へ通過する光量の和)の比から次の式(2)で求められる。
【0009】
η=1−(n−1)1/2/n (2)
尚、媒体の屈折率nが1.5より大きい場合には次の近似式(3)を用いることができるが、媒体の屈折率nが1.00に極めて近い場合は上記の式(2)を用いる必要がある。
【0010】
η=1/(2n)      (3)
ここで古典光学においては、発光素子の有機発光層3や透明電極で形成される電極1の厚みは光の波長より小さいので無視するものとして扱われ、透明ガラスで形成される基板11の屈折率が主として取り出し率ηに寄与することになる。そしてガラスの屈折率nは一般に1.5〜1.6程度であるので、(3)式から、取り出し率ηは約0.2(約20%)になる。残りの約80%はガラス基板11と空気の界面の全反射によって導波光として失われているものである。特に、ガラス基板11が平面である場合、この現象は顕著にみられる。
【0011】
上記の古典的な計算では透明導電膜の電極1の厚みが非常に薄いということで、近似的に論じられているが、実際のところは、ガラス基板11と電極1の間の屈折率差による反射も存在し、そのため電極1と有機発光層3内を導波する光が多く存在する。例えばプリンストン大学のLuらは、電極1と有機発光層3内で導波する光が約45%も存在すると報告している(Appl.Phys.Lett.,78,13,1927(2001))。
【0012】
このように、有機電界発光素子内部で発生した発光を大気中に取り出す場合の取り出し率が低いという問題を解決するために、特許文献1や特許文献2に記載されているような技術が提案されている。しかしこれらのものでは、発光させたい面積が大きい場合、素子構造が複雑であるために製造が困難になったり、コストが大きく上昇したりするという問題や、下部の発光面積を大きくすることにより素子数を減少してコスト削減をする場合には、厚みが増加するという問題が発生するものであった。従って、これらの技術を実用的に適用して有機発光層3の発光を効率高く取り出すまでには至っていない。
【0013】
また特許文献3には、基板11の表面に光散乱部を設けるようにした有機電界発光素子が提案されている。しかしこのものでは、基板11の表面に設けた光散乱部で、電極1が非発光時に鏡面として視認されないようにすることはできるが、有機発光層3の発光を基板11から効率高く取り出すまでには至っていない。
【0014】
【特許文献1】
米国特許第5834893号明細書
【特許文献2】
米国特許第6091195号明細書
【特許文献3】
特開平8−83688号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、発光を効率良く外部に取り出すことができる有機電界発光素子及び有機電界発光素子用光取出し体を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る有機電界発光素子は、2つの電極1,2の間に有機発光層3を設けて形成され、両電極1,2間に電圧を印加することによって有機発光層3を発光させる発光部4を有する有機電界発光素子において、2つの電極1,2のうち透明に形成される電極1の有機発光層3と反対側に、発光部4で発光した光を外部に取出す光取出し部5を設け、光取出し部5の外周を有機発光層3の側の内径が小さく、反対側の内径が大きくなるテーパ筒形状となった光反射面6で囲むと共に、光取出し部5を発光部4に対向させて配置して成ることを特徴とするものである。
【0017】
また請求項2の発明は、請求項1において、光取出し部5を複数設け、各光取出し部5を、隣合う各光取出し部5の光反射面6の有機発光層3と反対側の端縁同士が接するように配置して成ることを特徴とするものである。
【0018】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、光取出し部5の有機発光層3と反対側の端縁の形状が三角形、四角形、六角形から選ばれるものであることを特徴とするものである。
【0019】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、透明に形成される電極1の有機発光層3と反対側に光取出し体7を配置し、光取出し体7に有機発光層3に近い側の内径が小さく反対側の内径が大きくなるテーパ形状の穴8を設け、この穴8の内周面を光反射面6として形成すると共に穴8内の空間を光取出し部5として形成して成ることを特徴とするものである。
【0020】
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、光取出し部5の光反射面6の内側を光透過性を有する材料9で充填して成ることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の請求項6に係る有機電界発光素子用光取出し体は、2つの電極1,2の間に有機発光層3を設けて形成され、両電極1,2間に電圧を印加することによって有機発光層3を発光させる発光部4を有する有機電界発光素子の、2つの電極1,2のうち透明に形成される電極1の有機発光層3と反対側に配置される光取出し体7であって、光取出し体7の発光部4と対向する箇所に、有機発光層3に近い側の内径が小さく反対側の内径が大きくなるテーパ形状の穴8を設け、この穴8の内周面を光反射面6として形成すると共に穴8内の空間を光取出し部5として形成して成ることを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
図8は既述のように有機電界発光素子の層構成の一例を示すものであり、基板11の表面に電極1を陽極として設け、電極1の表面にホール輸送層12を介して有機発光層3を積層すると共に、さらにこの有機発光層3の表面に電子輸送層13を介して電極2を陰極として設けてあり、これを基本構成として有機電界発光素子を形成することができる。有機電界発光素子を構成する各層の材料には、従来から使用されている公知のものを適宜使用することができる。
【0024】
すなわち、上記の基板11としては、有機発光層3で発光された光が基板11を通して出射されるものである場合には、光透過性を有するものが使用されるが、無色透明のものの他に、多少着色されているものや、スリガラス状のものであってもよい。例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラスなどの透明ガラス板、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂などの樹脂から任意の方法で作製されたプラスチックフィルムやプラスチック板などを用いることができる。
【0025】
上記の陽極として形成される電極1は有機発光層4にホールを注入するための電極であり、この電極(陽極)1としては、仕事関数の大きい金属、合金、電気伝導性化合物、あるいはこれらの混合物からなる電極材料を用いるのが好ましく、特に仕事関数が4eV以上の電極材料を用いるのが好ましい。このような電極材料としては、具体的には、金などの金属、CuI、ITO(インジウムチンオキサイド)、SnO、ZnO、IZO(インジウムジンクオキサイド)等の導電性透明材料が挙げられる。例えばこれらの電極材料を基板10の上に真空蒸着法やスパッタリング法等の方法で成膜することによって、電極(陽極)1を薄膜として作製することができる。有機発光層3における発光を電極(陽極)1を透過させて基板11から外部に照射する場合には、電極(陽極)1の光透過率を70%以上にすることが好ましい。また、電極(陽極)1のシート抵抗は数百Ω/□以下であることが好ましく、特に100Ω/□以下であることが好ましい。さらに電極(陽極)1の膜厚は、電極(陽極)1の光透過率、シート抵抗等の特性を上記のように制御するために、材料により異なるが、通常500nm以下に設定するのが好ましく、より好ましくは10〜200nmの範囲である。
【0026】
また上記の陰極として形成される電極2は、有機発光層3に電子を注入するための電極であり、この電極(陰極)2としては、仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物からなる電極材料を用いることが好ましく、仕事関数が5eV以下の電極材料を用いるのが好ましい。このような電極材料としては、アルカリ金属、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属、希土類等や、これらと他の金属との合金などを用いることができるものであり、例えばナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/Al混合物、Al/LiF混合物などを例として挙げることができる。
【0027】
電極(陰極)2は、例えば上記の電極材料を、真空蒸着法やスパッタリング法等の方法により、薄膜に形成することによって作製することができる。有機発光層3における発光を電極(陽極)1を透過させて外部に取り出す場合には、電極(陰極)2の光透過率を10%以下にすることが好ましい。また反対に、有機発光層3における発光を電極(陰極)2を透過させて外部に取り出す場合には、電極(陰極)2の光透過率を70%以上にすることが好ましい。ここで、電極(陰極)2の膜厚は、電極(陰極)2の光透過率等の特性を上記のように制御するために、材料により異なるが、通常500nm以下に設定するのが好ましく、好ましくは100〜200nmの範囲とするのがよい。陰極金属の形成の際の蒸発源からの熱輻射が有機発光層3等に影響することを抑えるためには、さらに薄い50nm〜100nmの範囲にするのがよいが、蒸着速度を速くした場合にはこの厚みより厚くともよい。さらにより好ましくは、厚みを25nm〜50nmの範囲とするのがよい。何故ならば、発光面積が大きくなると、短絡による発光停止という問題が生じ易くなるが、陰極金属の膜厚を薄くすることにより、短絡部分の陰極金属が短絡時の刺激により取り除かれ、その部分のみがオープンモードとなり、発光部分全体が発光停止するという不良発生を抑制することができるからである。電極(陰極)2の表面にはさらにAl等の金属をスパッタで積層したり、フッ素系化合物、フッ素系高分子、その他の有機分子、高分子等を蒸着、スパッタ、CVD、プラズマ重合、塗布したりした後に、紫外線硬化、熱硬化その他の方法で薄膜を形成することも可能である。
【0028】
上記の有機発光層3に用いる発光性有機化合物としては、公知の任意のものを挙げることができる。例えば、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチルベンゼン誘導体、ジスチルアリーレン(DSA)誘導体、及びこれらの発光性有機化合物を分子内に有するものであるが、これに限定されるものではない。またこれらの化合物に代表される蛍光色素由来の化合物のみならず、三重項状態からの燐光発光が可能な材料およびこれらからなる基を分子内の一部分に有する化合物も好適に用いることができる。
【0029】
また、ホール輸送層12を構成するホール輸送性の材料としては、ホールを輸送する能力を有し、電極(陽極)1からのホール注入効果を有するとともに、有機発光層3や発光性有機化合物に対して優れたホール注入効果を有し、さらに電子のホール輸送層12への移動を防止し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物を用いることができる。具体的にはフタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)や4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)等の芳香族ジアミン化合物、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、テトラヒドロイミダゾール、ポリアリールアルカン、ブタジエン、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、及びポリビニルカルバゾール、ポリシラン、ポリエチレンジオキサイドチオフェン(PEDOT)等の導電性高分子など、高分子材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
また電子輸送層13を構成する電子輸送性の材料としては、電子を輸送する能力を有し、電極(陰極)2からの電子注入効果を有するとともに、有機発光層3や発光性有機化合物に対して優れた電子注入効果を有し、さらにホールの電子輸送層13への移動を防止し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物を用いることができる。具体的には、フルオレン、バソフェナントロリン、バソクプロイン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、オキサゾール、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール、イミダゾール、アントラキノジメタン等やそれらの化合物、金属錯体化合物もしくは含窒素五員環誘導体を挙げることができる。上記の金属錯体化合物としては、具体的には、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム等があるが、これらに限定されるものではない。また上記の含窒素五員環誘導体としては、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールもしくはトリアゾール誘導体が好ましい。具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等があるが、これらに限定されるものではない。さらに、ポリマー有機電界発光素子に用いられるポリマー材料も使用することができる。例えば、ポリパラフェニレン及びその誘導体、フルオレン及びその誘導体等である。さらにアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類をドープしてもよい。例えばセシウムをバソフェナントロリンにモル比1:1の割合でドープして形成したものを挙げることができる。
【0031】
本発明は、上記のような層構成で形成される有機電界発光素子において、有機発光層3の両側の電極1,2のうち、透明導電膜で形成される電極1の有機発光層3と反対側に光取出し部5を設けるようにしたものである。
【0032】
図1は実施の形態の一例を示すものであり、光透過性に形成される基板11の電極1と反対側の面に板状の光取出し体7を密着させて設けてある。光取出し体7は有機発光層3から発光される光に対して透過性があるものを用いるものであり、例えばポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、PETなどのプラスチック類、ガラス類、無機酸化物類などを用いることができる。そしてこの光取出し体7の有機発光層3と反対側の外面には穴8が凹設してある。この穴8は有機発光層3に最も近い部分の内径が最も小さく、有機発光層3から離れるに従って内径が徐々に大きくなるテーパ穴形状に形成してある。穴8の形成は、ドリル加工、ブラスト加工、レーザー加工などの穴あけ加工によって行なうことができる。また穴8の開口形状は円形や角形など任意であり、穴8の内面の形状は円錐や角錐のような錐形、半円や放物線の回転体形状などに形成することができる。さらに穴8の内面のテーパ角度は任意に設定することができるものであり、テーパ角度は一定でもよいし、曲面あるいは複数階段状に折れ曲がりを有するものでもよい。
【0033】
そして穴8の内周面には光反射膜15が設けてあり(穴8の底面には設けない)、穴8の内周が光反射面6として形成されるようにしてある。光反射膜15は有機発光層3から発光される光に対して反射性があるもので形成されるものであり、例えばAlやAg等の金属類の膜や多層膜などを、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長法、めっき法などの方法で製膜することによって、光反射膜15を形成することができるものである。穴8の内周には光反射性を向上するために鏡面加工を行なってもよい。そしてこの穴8内の空間部が、光反射面6で周囲が囲まれた光取出し部5となるものである。
【0034】
図1の実施の形態では、電極(陽極)1と電極(陰極)2の間に、ホール輸送層12と有機発光層3と電子輸送層13からなる発光部4を縦横に配置して多数箇所に設けてあり、電極(陽極)1と電極(陰極)2の間に電圧を印加することによって、各発光部4の有機発光層3が発光するようになっている。そしてこの各発光部4に対応する位置において、光取出し体7に穴8が縦横に配置して多数箇所に設けてある。各発光部4は穴8の底面、すなわち光取出し部5の底面よりも小さい面積で形成されるものである。
【0035】
上記のように光取出し部5及び光反射面6を設けた光取出し体7を具備して形成される有機電界発光素子にあって、発光部4の有機発光層3で発光した光は、透明導電膜の電極1及び透明な基板11を透過し、さらに光取出し体7の穴8の底部の箇所を透過した後、光取出し部5から外部に取り出される。このとき図2に示すように、発光部4の面方向(有機発光層3やホール輸送層12や電子輸送層13の積層方向と垂直な方向)と垂直に出射された光は、光取出し部5を直進して外部に取り出される。また発光部4の面方向に対して斜めに出射された光は、光取出し部5内に斜め方向に入るが、この光は光取出し部5の周囲の光反射面6で反射され、光取出し部5の開口から外部に取り出される。このとき、光反射面6は、有機発光層3に最も近い部分の内径が最も小さく、有機発光層3から離れるに従って内径が徐々に大きくなるテーパ面に形成してあるので、発光部4の面方向に対して斜めに出射された光は、光反射面6で反射されると、上記の直進する光と平行に近い進路となる。このために、光取出し部5の開口から均一な光量で光が取り出されるものであり、明るさを均質化した等輝度発光にすることができるものである。従って、光取出し部5の光反射面6の広いほうの開口の面積の全体が見た目の発光面積となるが、この面積よりも発光部4の面積である実発光面積を小さくすることができるので、発光の取出し率が高くなり、発光を効率良く外部に取り出すことができるものである。
【0036】
一方、このような光取出し部5及び光反射面6を形成した光取出し体7を具備しない有機電界発光素子においては、既述の図8に示すように、有機発光層3の面方向と垂直に出射された光は基板11を直進して外部に取り出されるが、有機発光層3の面方向に対して斜め方向に取り出された光はロ矢印のように拡散してしまい、正面輝度があまり高くならないが、本発明のものでは、斜め方向の光を光取出し部5の周囲の光反射面6で反射させて正面側に光の方向を変えることができるものであり、正面輝度が高くなって、発光を効率良く外部に取り出すことができるものである。
【0037】
図3は本発明の他の実施の形態を示すものであり、このものでは、光取出し体7に穴8を設けるにあたって、光取出し体7の外面(有機発光層3と反対側の面)と内面(有機発光層3の側の面)の両面で開口するように穴8を設けるようにしてあり、穴8の内径が光取出し体7の内面で最も小さく、光取出し体7の外面に近付くに従って徐々に内径が大きくなるように形成してある。そして穴8の内周面に光反射膜15を設けて光反射面6が形成してあり、穴8内の空間部を光反射面6で囲まれた光取出し部5として形成してある。その他の構成は図1のものと同じである。
【0038】
光取出し体7にこのように貫通する穴8を設けて光取出し部5を形成する場合、発光部4で発光した光を光取出し体7に透過させる必要がないので、光取出し体7は透光性である必要は必ずしもない。従って光取出し体7をアルミニウムや銀などの金属板などで形成することも可能であり、金属板に穴加工をして穴8を形成する際に、穴8の内周面を鏡面仕上げすることによって、光反射膜15を設ける必要なく、穴8の内周に光反射面6を形成することができるものである。
【0039】
上記の光取出し体7を具備して形成される有機電界発光素子にあって、発光部4の有機発光層3で発光した光は、透明導電膜の電極1及び透明な基板11を透過した後、光取出し部5から外部に取り出されるが、このとき図4に示すように、発光部4の面方向と垂直に出射された光は、光取出し部5を直進して外部に取り出される。また発光部4の面方向に対して斜めに出射された光は、光取出し部5内に斜め方向に入るが、この光は光取出し部5の周囲の光反射面6で反射され、光取出し部5の開口から外部に取り出される。このとき、光反射面6はテーパ面に形成してあるので、発光部4の面方向に対して斜めに出射された光は、光反射面6で反射されると、上記の直進する光と平行に近い進路となり、光取出し部5の開口から均一な光量で光を取り出すことができ、等輝度発光にすることができるものである。そして光取出し部5の光反射面6の広いほうの開口の面積の全体が見た目の発光面積となるのに対して、この面積よりも発光部4の面積である実発光面積を小さくすることができるので、発光の取出し率が高くなり、発光を効率良く外部に取り出すことができるものである。また、この発光部4の面方向に対して斜めに出射された光を光取出し部5の周囲の光反射面6で反射させて、正面方向に向きを変えて外部に取り出すことができるので、さらに発光を効率良く外部に取り出すことができるものである。
【0040】
図5は本発明の他の実施の形態を示すものであり、上記の図3と同様にして、光取出し体7に穴8を設けると共に穴8の内周面に光反射面6を設けて光取出し部5を形成し、さらにこの光反射面6の内側において穴8内に光透過性の材料9が充填してある。光透過性材料9としては透明樹脂や透明ガラスなど、透光性を有するものであれば任意のものを用いることができる。
【0041】
このように光取出し部5内に光透過性材料9を充填することによって、基板11と光取出し部5の間で光が全反射する臨界角は、光取出し部5内が空気である場合よりも大きくなる。特に光透過性材料9を基板11と同じ材料で形成すれば、基板11と光透過性材料9の間に屈折率が変化する界面がなくなり、臨界角もなくなる。このため、基板11と光取出し部5の界面で全反射されずに光取出し部5内に入る光は、光取出し部5内が空気である場合よりも多くなり、光取出し部5を通して発光を効率良く外部に取り出すことができるものである。また光取出し部5の内部の光は、光反射面6で反射されて正面側に光の方向が変わるため、光取出し部5の光透過性樹脂9と空気との界面に臨界角を超える角度で入る光は少なくなり、光取出し部5から発光を効率良く外部に取り出すことができるものである。
【0042】
図6は本発明の他の実施の形態を示すものであり、図1の実施の形態では2つの電極1,2はそれぞれ「べた」に形成したが、図6の実施の形態では、各電極1,2をそれぞれ平行な直線のストライプ状に形成し、一方の電極(陽極)1と他方の電極(陰極)2の長手方向を直角に交差させるようにしてある。そしてホール輸送層12、有機発光層3、電子輸送層13は電極1,2の間にそれぞれ「べた」に積層して設けてある。このものでは、電極1,2に電圧を印加すると、電極1,2が交差して重なり合う部分においてホール輸送層12と有機発光層3と電子輸送層13の積層物に電圧がかかるので、電極1,2が交差して重なり合う部分のみが発光し、この部分が発光部4となる。そして基板11の有機発光層3と反対側の表面には、図1や図3のように形成される光取出し体7が密着して配置してある。光取出し体7には各発光部4に対応する位置において、穴8が縦横に配置して多数箇所に設けてある。その他の構成は図1や図3のものと同じである。
【0043】
ここで、上記の各実施の形態のように、発光部4に対応する位置において、光取出し体7に縦横に配置して光取出し部5を多数箇所に設けるにあたって、図7に示すように、隣合う光取出し部5を、各光取出し部5の光反射面6の有機発光層3と反対側の端縁同士が接するように、すなわち各光取出し部5の開口端縁同士が接するように配置し、光取出し部5の開口縁間に生じる隙間を小さくするのが好ましい。発光部4で発光した光は光取出し体7の各光取出し部5から取り出されるが、このように隣合う光取出し部5の開口端縁同士が接するように光取出し部5を配置することによって、光取出し体7の表面の全面から光を取り出すことができることになり、光取出し体7の表面の全面を発光させることができ、非発光部を少なくして等輝度発光をさせることができるものである。このように隣合う光取出し部5の開口端縁同士が接するようにするために、光取出し部5の有機発光層3と反対側の端縁の開口形状を、三角形(特に正三角形、直角三角形など)、四角形(特に正方形、長方形など)、六角形(特に正六角形など)に形成するのが好ましい。
【0044】
また、上記の各実施の形態では、有機発光層3などからなる発光部4を設けた基板11の表面に光取出し体7を付設するようにしたが、基板11と光取り出し体7を一体化させるようにしてもよい。すなわち、発光部4を設ける基板11に光反射面6で囲まれる光取出し部5を設けることによって、基板11をそのまま用いて光取出し体7を形成することができるものである。
【0045】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0046】
(実施例1)
厚み0.5mmのPETフィルムに、フィルムの表面側で直径1.8mmφの円形に、フィルムの裏面側で直径0.8mmφの円形にそれぞれ開口する円錐台形状の貫通穴8をドリル加工して設け、隣合う穴8の中心間の距離が2.0mmになるように縦横に配列して多数の穴8を形成した。さらにこの穴8の内周にAlを1000Åの厚みで蒸着して光反射膜15を設けることによって光反射面6を形成し、各穴8の内部が光取出し部5となった光取出し体7を作製した。
【0047】
一方、厚み0.2mmの透明ガラス基板11の表面に、ITOをスパッタしてシート抵抗7Ω/□の透明電極膜を製膜し、これにエッチングを行なって、L/S=8mm/12mmのストライプ状にパターン化した電極(陽極)1を形成した。これをアセトン、純水、イソプロピルアルコールで15分間超音波洗浄した後、乾燥させ、さらにUVオゾン洗浄した。
【0048】
次に、電極1を設けたガラス基板11を真空蒸着装置にセットし、1.33×10−4Paの減圧下、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(株式会社同仁化学研究所製:α−NPD)を1〜2Å/sの蒸着速度で400Å厚に蒸着し、電極1の上にホール輸送層12を形成した。次にこのホール輸送層12の上にトリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(株式会社同仁化学研究所製:Alq3)を1〜2Å/sの蒸着速度で600Å厚に蒸着して緑色発光の有機発光層3を形成した。この後、有機発光層3の上にLiF(高純度化学株式会社製)を0.5nmの厚みに蒸着して電子輸送層13を形成した。最後にその上にAlを10Å/sの蒸着速度1000Å厚に蒸着して電極(陰極)2を形成した。この電極2の蒸着時にはマスクを用い、上記の電極1と直交して交差するように、L/S=8mm/12mmのストライプ状にパターン化した。
【0049】
この後、これらの各層を蒸着して形成したガラス基板11を露点−76℃以下のドライ窒素雰囲気のグローブボックスに大気に曝露することなく搬送した。一方、通気性を有する袋に吸水剤として酸化バリウムの粉末を入れてこれをガラス製の封止板に粘着剤で貼り付けると共に封止板の外周部に紫外線硬化樹脂製のシール剤を塗布したものを予め用意した。そしてグローブボックス内においてガラス基板11に封止板をシール剤で貼り合わせ、UV照射してシール剤を硬化させた。そして、光取出し体7をガラス基板11の外面に、電極(陽極)1と電極(陰極)2が重なる部分と、光取出し部5の径が小さい側の端縁の位置とが一致するように、密着させて接着することによって、有機電界発光素子を得た(図6参照)。
【0050】
(実施例2)
厚み0.7mmのガラス基板11の表面側に、ガラス基板11の表面の開口寸法が1.5mm□、底部の寸法が0.5mm□、深さが0.5mmの非貫通穴8をYAGレーザー加工して設け、隣合う穴8の中心間の距離が1.5mmになるように縦横に配列して多数の穴8を形成した(図7参照)。さらにこの穴8の内周にAlを1000Åの厚みで蒸着して光反射膜15を設けることによって光反射面6を形成し、各穴8の内部が光取出し部5となった光取出し体7を作製した。
【0051】
次に、このガラス基板11の裏面側にITOをスパッタしてシート抵抗7Ω/□の透明電極膜を製膜し、これにエッチングを行なって、L/S=5mm/10mmのストライプ状にパターン化した電極(陽極)1を形成した。これをアセトン、純水、イソプロピルアルコールで15分間超音波洗浄した後、乾燥させ、さらにUVオゾン洗浄した。
【0052】
次に、電極1を設けたガラス基板11を真空蒸着装置にセットし、1.33×10−4Paの減圧下、α−NPDを1〜2Å/sの蒸着速度で400Å厚に蒸着し、電極1の上にホール輸送層12を形成した。次にこのホール輸送層12の上にAlq3を1〜2Å/sの蒸着速度で600Å厚に蒸着して緑色発光の有機発光層3を形成した。この後、有機発光層3の上にLiFを0.5nmの厚みに蒸着して電子輸送層13を形成した。最後にその上にAlを10Å/sの蒸着速度1000Å厚に蒸着して電極(陰極)2を形成した。この電極2の蒸着時にはマスクを用い、上記の電極1と直交して交差するように、L/S=5mm/10mmのストライプ状にパターン化した。ここで、電極(陽極)1と電極(陰極)2が重なる部分が、ガラス基板11の外面に設けた光取出し部5の位置と一致するように、電極(陽極)1と電極(陰極)2のストライプパターンを形成した。
【0053】
この後、これらの各層を蒸着して形成したガラス基板11を露点−76℃以下のドライ窒素雰囲気のグローブボックスに大気に曝露することなく搬送した。一方、通気性を有する袋に吸水剤として酸化バリウムの粉末を入れてこれをガラス製の封止板に粘着剤で貼り付けると共に封止板の外周部に紫外線硬化樹脂製のシール剤を塗布したものを予め用意した。そしてグローブボックス内においてガラス基板11に封止板をシール剤で貼り合わせ、UV照射してシール剤を硬化させることによって、有機電界発光素子を得た。
【0054】
(実施例3)
厚み0.7mmのガラス基板11の表面に、ガラス基板11の表面側の開口寸法が1.5mm□、ガラス基板11の裏面側の開口寸法が0.5mm□、断面形状が正方形の貫通穴8をYAGレーザー加工して設け、隣合う穴8の中心間の間隔が1.5mmになるように縦横に配列して多数の穴8を形成した。さらにこの穴8の内周にAlを1000Åの厚みで蒸着して光反射膜15を設けることによって、光反射面6を形成した。そしてこの穴8内に光透過性材料9としてポリメチルメタクリレート(PMMA)を充填した。
【0055】
次に、このガラス基板11の裏面側にITOをスパッタしてシート抵抗7Ω/□の透明電極膜を製膜し、これにエッチングを行なって、L/S=5mm/10mmのストライプ状にパターン化した電極(陽極)1を形成した。これをアセトン、純水、イソプロピルアルコールで15分間超音波洗浄した後、乾燥させ、さらにUVオゾン洗浄した。
【0056】
次に、電極1を設けたガラス基板11を真空蒸着装置にセットし、1.33×10−4Paの減圧下、「α−NPD」を1〜2Å/sの蒸着速度で400Å厚に蒸着し、電極1の上にホール輸送層12を形成した。次にこのホール輸送層12の上に「Alq3」を1〜2Å/sの蒸着速度で600Å厚に蒸着して緑色発光の有機発光層3を形成した。この後、有機発光層3の上にLiF(高純度化学株式会社製)を0.5nmの厚みに蒸着して電子輸送層13を形成した。最後にその上にAlを10Å/sの蒸着速度1000Å厚に蒸着して電極(陰極)2を形成した。この電極2の蒸着時にはマスクを用い、上記の電極1と直交して交差するように、L/S=5mm/10mmのストライプ状にパターン化した。
【0057】
この後、これらの各層を蒸着して形成したガラス基板11を露点−76℃以下のドライ窒素雰囲気のグローブボックスに大気に曝露することなく搬送した。一方、通気性を有する袋に吸水剤として酸化バリウムの粉末を入れてこれをガラス製の封止板に粘着剤で貼り付けると共に封止板の外周部に紫外線硬化樹脂製のシール剤を塗布したものを予め用意した。そしてグローブボックス内においてガラス基板11に封止板をシール剤で貼り合わせ、UV照射してシール剤を硬化させることによって、有機電界発光素子を得た。
【0058】
(比較例1)
実施例1において、光取出し体7を用いないようにした以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を得た。
【0059】
(比較例2)
実施例2において、ガラス基板11に光取出し部5や光反射面6を形成しないようにした以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を得た。
【0060】
上記のようにして実施例1〜3及び比較例1〜2で得た有機電界発光素子を電源(東陽テクニカ社製「KEITHLEY236モデル」)に接続し、6V印加時の正面輝度を輝度計(トプコン社製「BM−5」)で測定した。そして比較例2で得られた輝度を1.0としたときの相対輝度を表1に示す。
【0061】
【表1】
Figure 2004146122
【0062】
表1にみられるように、光反射面6で囲まれた光取出し部5を形成した光取出し体7を用いるようにした各実施例のものは、輝度が高く、発光を効率良く外部に取り出すことができることが確認される。
【0063】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る有機電界発光素子は、2つの電極の間に有機発光層を設けて形成され、両電極間に電圧を印加することによって有機発光層を発光させる発光部を有する有機電界発光素子において、2つの電極のうち透明に形成される電極の有機発光層と反対側に、発光部で発光した光を外部に取出す光取出し部を設け、光取出し部の外周を有機発光層に近い側の内径が小さく、反対側の内径が大きくなるテーパ筒形状となった光反射面で囲むと共に、光取出し部を発光部に対向させて配置するようにしたので、発光部から斜めに出射された光は光取出し部の外周の光反射面で反射されて外部に取り出されるものであり、発光部の面積である実発光面積より広い面積の光取出し部の全体が見た目の発光面積とすることができ、発光の取出し率が高くなるものであって、発光を効率良く外部に取り出すことができるものである。
【0064】
また請求項2の発明は、請求項1において、光取出し部を複数設け、隣合う光取出し部を、各光取出し部の光反射面の有機発光層と反対側の端縁同士が接するように配置したので、発光部で発光した光を各光取出し部から取り出すにあたって、光取出し部の間に非発光部を少なくして全面から光を取り出すことができることができ、等輝度発光をさせることができるものである。
【0065】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、光取出し部の有機発光層と反対側の端縁の形状が三角形、四角形、六角形から選ばれるものであるので、光取出し部の間に隙間なく端縁同士を接するように配置して光取出し部を形成することが容易になるものである。
【0066】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、透明に形成される電極の有機発光層と反対側に光取出し体を配置し、光取り出し体に有機発光層に近い側の内径が小さく反対側の内径が大きくなるテーパ形状の穴を設け、この穴の内周面を光反射面として形成すると共に穴内の空間を光取出し部として形成するようにしたので、この光取出し体を付設することによって、発光を効率良く外部に取り出すことができる有機電界発光素子を容易に作製することができるものである。
【0067】
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、光取出し部の光反射面の内側を光透過性を有する材料で充填するようにしたので、光取出し部の内部が空気で形成される場合よりも全反射が生じることを少なくすることができ、光取出し部を通した発光の取出し効率を高めることができるものである。
【0068】
本発明の請求項6に係る有機電界発光素子用光取出し体は、2つの電極の間に有機発光層を設けて形成され、両電極間に電圧を印加することによって有機発光層を発光させる発光部を有する有機電界発光素子の、2つの電極のうち透明に形成される電極の有機発光層と反対側に配置される光取出し板であって、光取出し板の発光部と対向する箇所に、有機発光層に近い側の内径が小さく反対側の内径が大きくなるテーパ形状の穴を設け、この穴の内周を光反射面として形成すると共に穴内の空間を光取出し部として形成したので、この光取出し体を付設することによって、発光を効率良く外部に取り出すことができる有機電界発光素子を容易に作製することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】同上の実施の形態の一部の拡大した断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の他の一例を示す断面図である。
【図4】同上の実施の形態の一部の拡大した断面図である。
【図5】本発明の実施の形態の他の一例を示す一部の拡大した断面図である。
【図6】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)は正面断面図、(b)は側面断面図である。
【図7】本発明の実施の形態の他の一例を示す平面図である。
【図8】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 電極(陽極)
2 電極(陰極)
3 有機発光層
4 発光部
5 光取出し部
6 光反射面
7 光取出し体
8 穴
9 光透過性材料

Claims (6)

  1. 2つの電極の間に有機発光層を設けて形成され、両電極間に電圧を印加することによって有機発光層を発光させる発光部を有する有機電界発光素子において、2つの電極のうち透明に形成される電極の有機発光層と反対側に、発光部で発光した光を外部に取出す光取出し部を設け、光取出し部の外周を有機発光層に近い側の内径が小さく、反対側の内径が大きくなるテーパ筒形状となった光反射面で囲むと共に、光取出し部を発光部に対向させて配置して成ることを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 光取出し部を複数設け、隣合う光取出し部を、各光取出し部の光反射面の有機発光層と反対側の端縁同士が接するように配置して成ることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 光取出し部の有機発光層と反対側の端縁の形状が三角形、四角形、六角形から選ばれるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
  4. 透明に形成される電極の有機発光層と反対側に光取出し体を配置し、光取り出し体に有機発光層に近い側の内径が小さく反対側の内径が大きくなるテーパ形状の穴を設け、この穴の内周面を光反射面として形成すると共に穴内の空間を光取出し部として形成して成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の有機電界発光素子。
  5. 光取出し部の光反射面の内側を光透過性を有する材料で充填して成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の有機電界発光素子。
  6. 2つの電極の間に有機発光層を設けて形成され、両電極間に電圧を印加することによって有機発光層を発光させる発光部を有する有機電界発光素子の、2つの電極のうち透明に形成される電極の有機発光層と反対側に配置される光取出し体であって、光取出し体の発光部と対向する箇所に、有機発光層に近い側の内径が小さく反対側の内径が大きくなるテーパ形状の穴を設け、この穴の内周を光反射面として形成すると共に穴内の空間を光取出し部として形成して成ることを特徴とする有機電界発光素子用光取出し体。
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