JP2004145157A - ノングレア処理された物体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ノングレア表面を有するフィルム支持体1のノングレア表面1n上に、高分子樹脂成分と硬化性低分子成分とを主として含み物理的刺激により硬化する転写用樹脂層2が形成された転写用フィルムを準備し、転写用フィルムの転写用樹脂層2をノングレア処理すべき物体4表面に貼り付け、貼り付け後に30分間以上エージングを行い、エージング後に物理的刺激を与え転写用樹脂層2を硬化させ、その後、フィルム支持体1を剥がし、ノングレア処理2nされた物体を製造する。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体表面をノングレア処理するための転写用フィルムを用いてノングレア処理された物体を製造する方法に関する。
ノングレア処理が必要とされる物体には種々のものがあり、例えばLED表示板やLCD、ブラウン管に代表されるディスプレイが挙げられる。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガラス表面やプラスチック表面等の外光の映り込みを防止するためにノングレア処理(またはアンチグレア処理とも呼ばれている)を施している。ノングレア処理を施すことで外光の反射光を散乱させて、映り込みを低減させることができる。
【0003】
ノングレア処理されている例としては、LED表示板の表面を挙げることができる。LED表示板は、駅で列車情報の表示のために使われたり、広告の表示のため等に使われている。LED表示板においては、LEDを保護する目的で保護板がLEDの前面に設置される。保護板の外表面は外光の映り込みを減らすためにノングレア処理される。LED表示板の他、ノングレア処理が必要とされる物体には種々のものがあり、例えば、LCD、ブラウン管に代表される各種ディスプレイが挙げられる。
【0004】
ノングレア処理の方法としては、シリカ粒子を塗料等のバインダーに分散させ、その塗料をノングレア処理すべき物体表面に塗布し、ノングレア処理膜を形成する方法がある。また、処理すべき物体表面への砥粒の吹きつけや、ガラスの場合にはフッ酸を用いてエッチングする等してノングレア表面を得ている。(例えば、特開平50−96128号公報、特開平55−12107号公報、特開平59−116601号公報)
【0005】
樹脂製の板材表面のノングレア処理は、シリカ粒子を塗料等のバインダーに分散させ、その塗料を直接板材表面に塗布し、ノングレア処理膜を形成することにより行うことが一般的である。シリカ粒子の大きさがノングレア処理膜厚よりも大きいのであれば、表面に凹凸を生じ、また、シリカ粒子が処理膜厚よりも小さくても、シリカ粒子がマクロ構造としてランダムに凝集することで凹凸が形成される。板材に直接塗布する方法の場合、板材表面の平坦性が要求される。板材は、巨視的には非常に軽度ではあるがそりが発生しやすかったり、また、微視的に見ても平坦性が確保されずらい。巨視的には非常に軽度なそりであっても、ノングレア処理膜の厚みはかなり薄いので、そりが塗布に影響して、膜厚の不均一を引き起こす。このことはノングレア処理の不均一という問題を発生させる。
【0006】
特開平7−225302号公報には、透明プラスチック基材フィルム上に樹脂層を介して反射防止性微粒子層が形成された反射防止フィルムが開示されている。この反射防止フィルムは、例えば、(1) 表面に微細な凹凸が形成されているマットPETフィルム上に反射防止性付与のための微粒子MgF2 ゾルを塗布し、MgF2 微粒子層を形成し、(2) 一方、透明プラスチック基材フィルム上に電子線硬化型樹脂を塗布し、(3) 前記2つを、MgF2 微粒子層と電子線硬化型樹脂とが接するようにラミネートしてMgF2 微粒子を電子線硬化型樹脂中に埋没させ、(4) 電子線硬化型樹脂を硬化させ、その後、マットPETフィルムを剥がし、MgF2 微粒子層を透明プラスチック基材フィルム側に転写する、ことによって製造される。この反射防止フィルムは、ノングレア処理すべき偏光板にラミネートされる。
この反射防止フィルムの製造工程は煩雑である。また、この反射防止フィルムを用いてディスプレイ装置等の表面をノングレア処理するためには、反射防止フィルムはキズ等の欠陥が極めて少ないことが要求される。しかしながら、この反射防止フィルムは少なくとも3層構成であり、1層でも欠陥があるとフィルムのその部分は欠陥となることから、歩留まりの点で不利である。
【0007】
また、特開平6−16851号公報には、透明基板上に、表面が微細凹凸を有するマット状の賦型フィルムで賦形された電離放射線硬化型又は熱硬化型樹脂組成物からなる防眩層が形成された防眩フィルムが開示され、この防眩フィルムを偏光フィルムにラミネートして偏光板を得ることが開示されている。偏光板表面には、透明基板が存在する。
【0008】
特開平8−187997号公報には、防眩層となるべき表面形状が形成された紫外線硬化型樹脂上に、シリカとアクリレート樹脂などを含む液を塗布し、塗布層を硬化してハードコート層とし、このハードコート層上にアクリルスチレン系のヒートシール層を形成することにより、防眩性を付与できる転写シートが得られるとしている。しかし、この転写シートにおいては層の構成が複雑で、多くの製造工程が必要となり、コストが高くなる。また、ヒートシール層で被着物に転写する際は、被着物を高温にする必要があり、使用できる被着物の種類に制限がある。
【0009】
本出願人は、上記問題を解決すべく、特開2000−324151号公報に、物体表面を容易にノングレア処理するための転写用フィルム、及び前記転写用フィルムを用いてノングレア処理された物体を製造する方法を開示した。すなわち、ノングレア表面を有するフィルム支持体の前記ノングレア表面上に物理的刺激により硬化する転写用樹脂層が形成された転写用フィルムであって、前記転写用樹脂層は、高分子樹脂成分と硬化性低分子成分とを主として含むことを特徴とする転写用フィルムを開示し、このフィルムの転写用樹脂層をノングレア処理すべき物体表面に転写することにより、ノングレア処理された物体を製造する方法を開示した。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−225302号公報
【特許文献2】
特開平6−16851号公報
【特許文献3】
特開平8−187997号公報
【特許文献4】
特開2000−324151号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは更に検討し、転写用樹脂層の物体表面への転写工程を改良することによって、更に密着性良く確実にノングレア処理層を物体表面に形成することができることを見いだした。本発明の目的は、物体表面を容易にノングレア処理するための転写用フィルムを用いてノングレア処理された物体を製造する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ノングレア表面を有するフィルム支持体の前記ノングレア表面上に、高分子樹脂成分と硬化性低分子成分とを主として含み物理的刺激により硬化する転写用樹脂層が形成された転写用フィルムを準備し、
転写用フィルムの前記転写用樹脂層をノングレア処理すべき物体表面に貼り付け、貼り付け後に30分間以上エージングを行い、エージング後に物理的刺激を与え前記転写用樹脂層を硬化させ、その後、前記フィルム支持体を剥がすことを含む、ノングレア処理された物体を製造する方法である。
【0013】
前記製造方法において、前記転写用フィルムにおける前記硬化性低分子成分は、物理的刺激としての紫外線及び/又は可視光の照射により硬化するものであることが好ましい。ノングレア処理すべき物体に転写して、ノングレア処理された物体を製造する際の生産性が上がる。
【0014】
前記製造方法において、エージングを30分間以上2時間以下行うことが好ましい。前記製造方法において、エージングを常温で行うことが好ましい。転写ノングレア処理層を物体表面に密着性良く且つ外観性良く形成することができる。
【0015】
前記製造方法において、前記転写用フィルムは、前記転写用樹脂層上に剥離フィルムが付与されているものであることが好ましい。オフライン生産での転写が容易になる。
【0016】
前記製造方法において、 前記転写用フィルムの前記転写用樹脂層はさらにシリカを含むことが好ましい。樹脂層にシリカを含有させることで硬度を上げることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図面を参照しつつ、本発明を説明する。図1及び図2は、本発明で用いる転写用フィルムの層構成例を示す断面図である。図3は、転写用フィルムを用いて物体表面をノングレア処理する工程を説明するための図である。(a)は、転写用フィルムを物体表面に貼り合わせた状態を示す断面図であり、樹脂層は未硬化である。(b)は、樹脂層が硬化された後、支持体が剥がされた状態を示す断面図であり、すなわち、ノングレア処理された物体の断面図である。
【0018】
まず、本発明で用いる転写用フィルムについて説明する。
転写用フィルムは、表面に凹凸があるフィルム、つまり、ノングレア表面を有するフィルム支持体(1) の前記ノングレア表面(1n)上に物理的刺激により硬化する転写用樹脂層(2) が形成されたものである。この転写用フィルムを使用して、板材等にノングレア処理を施すことができる。
【0019】
転写用樹脂層(2) は主として高分子樹脂成分と硬化性低分子成分とから構成されている。このような樹脂層組成とすることで粘着性が出る。この樹脂層(2) をノングレア処理すべき板材(4) 等(以後、被着体と呼ぶ)に貼り付け、エージングし、次に樹脂層を硬化させる。被着体(4) に樹脂層(2) が密着し、前記フィルム支持体(1) を容易に剥離することができる。このようにして、被着体に樹脂層が転写される。すなわち、前記フィルム支持体(1) の凹が被着体(4) に付与された樹脂層(2) の凸になり、前記フィルム支持体(1) の凸が被着体(4) に付与された樹脂層(2) の凹になるようにして、被着体の表面をノングレア処理することができる。
【0020】
樹脂層が液状のように流動性がよすぎると取り扱いが不便である。つまり、樹脂層を、フィルム支持体上に形成後、被着体にすぐに付与しなくてはならない。流動がよすぎるため外的な影響を受けやすく、すぐに流動して樹脂層の膜厚が不均一になってしまうからである。樹脂層を形成し、剥離フィルムをつけて一旦ロール状に巻回した上で移動させ、次に剥離フィルムを剥がして、被着体に転写させるようなときには、樹脂層が液体であるとフィルム支持体と剥離フィルムとの間から樹脂層が漏れだしやすい。また、剥離フィルムを剥がしたときに剥離フィルムに樹脂層の一部が移ってしまいやすい。
【0021】
そこで、本発明で用いる転写フィルムでは、高分子樹脂成分と硬化性低分子成分とを組み合わせることで前記のような問題点を解決する。樹脂層を形成して剥離フィルムをつけて一旦ロール状に巻回した上で移動させ、次に剥離フィルムを剥がして被着体に転写させるような場合でも、転写フィルムの樹脂層には粘着剤のように粘着性があり、つまり、適度な流動性はあるが液状のようには流動しない層であるために、上記のような液漏れなどの問題がない。そして、被着体に転写した後は樹脂層を硬化させることによって硬化物とすることができる。
【0022】
粘着性について、樹脂(特に高分子の樹脂)が溶解されたワニスについて観察してみる。ワニスのような、樹脂が溶解した溶液で樹脂の溶剤を蒸発すると、樹脂中の溶剤が少なくなってくると流動性が悪くなり、残っている溶剤量が適当な量になると粘着性が生じる。さらに溶剤がほとんど蒸発すると固体となる。
【0023】
これらの観察から、高分子樹脂に溶剤が適当な量含まれた状態で樹脂層とし、被着体に転写した後に溶剤を蒸発させれば前記に示したような機構が生まれる。しかしながら、ノングレア処理表面を有するフィルム支持体では溶剤が通過せず、蒸発はほとんど不可能に近い。また、前記フィルム支持体を剥がして溶剤を蒸発させて硬化させようとした場合は、樹脂層が硬化前の状態であるので、引き剥がしにより凹凸が変形しやすくなりノングレアの不均一を生じ易い。
【0024】
そこで、高分子樹脂に溶剤のような低分子物質が含まれていると粘着性がでるので、この低分子物質に硬化性を持たせればよい。つまり、樹脂層を高分子樹脂と低分子樹脂とにより主として構成された層とし、低分子樹脂が硬化性樹脂であれば、樹脂層には粘着剤のように粘着性があり、適度な流動性はあるが液状のように流動しない層とすることができる。そして、被着体に転写した後は樹脂層が硬化されて流動しないという機構が得られる。低分子樹脂が紫外線や可視光線のような光で硬化するタイプとすることで扱いやすくなる。
【0025】
ノングレア処理表面を有するフィルムとは、凹凸な表面をもつフィルムである。フィルムの材料としては、PETやPEN、アラミド、表面をポリエチレン等で被覆した紙等が挙げられる。凹凸はフィルムにシリカ等の粒子を入れることで形成することができる。通常マットフィルム等の名称で市販されている。また、フィルムにシリカ粒子等の粒子を含む塗料を塗布して形成することも可能である。本発明では、粒子は透明である必要はない。また、硬化した樹脂層がノングレア処理されたフィルム支持体から剥離しやすいよう、フィルム支持体のノングレア面がシリコーン剥離材等で処理されていてもよい。凹凸の程度の制御方法として、凹凸が粗すぎる場合にはその上に樹脂等で層(以後、調整層と呼ぶ)を設けることで制御することが可能である。調整層はフィルム支持体と密着性がよいほうがよい。また、樹脂層を塗布したときに溶解しないほうがよく、樹脂層を硬化させたときに樹脂層と調整層の密着性は、剥離を容易にするために悪いほうがよい。
【0026】
樹脂層における高分子樹脂は常温で固体であり(固体とは溶剤を含まない状態のときであり、当然ではあるが溶剤に溶けているときは固体ではない)、ガラス転移点温度Tgは好ましくは30℃以上である。高分子樹脂としてはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。硬化性低分子成分は常温で液体であり、一般にモノマー、オリゴマーと呼ばれているものを用いることができる。アクリレートモノマー、ビニルモノマー、エポキシモノマー等を挙げることができる。高分子樹脂と硬化性低分子の割合、高分子樹脂の分子量は適宜選択すればよい。例えば、硬化性低分子の量を多くしたい場合は、高分子の分子量を大きくするとよい。逆に硬化性低分子の量を少なくしたい場合には、高分子の分子量を小さくすればよい。高分子の分子量は1,000〜1,000,000であり、好ましくは10,000〜300,000であり、より好ましくは20,000〜200,000である。また、高分子樹脂と硬化性低分子の割合は重量で1/9〜9/1であり、好ましくは2/8〜8/2である。
【0027】
樹脂層を形成するための塗布液は、高分子樹脂が溶剤によって溶解されている状態とすることで塗布が容易となる。ノングレア処理されたフィルム支持体に塗布した後に、溶剤を蒸発させる。樹脂層を硬化させるために、塗布液中に重合開始剤を入れることができる。紫外線硬化用の重合開始剤が市販されているが、可視光にて硬化させたいときには光増感剤を入れることも可能である。
【0028】
本発明では、シリカを樹脂層に入れることにより硬度を上げることができる。シリカの屈折率は一般的な樹脂の屈折率に近いために、無用な散乱が起きにくい(屈折率が大きく違うと、樹脂層内部で散乱が起こりより白っぽく見えるようになる)。シリカとしてはコロイダルシリカが好適である。コロイダルシリカの表面はシランカップリング剤等で処理されて、樹脂との馴染みがよくなっていることが好ましい。高分子樹脂がアクリル樹脂で硬化性低分子がアクリレートである場合は、コロイダルシリカのシリカの表面がアクリル処理されていると好適である。シリカの量は適宜選択すればよいが、一般には樹脂分とシリカの割合は重量で2/8〜9/1であり、3/7〜8/2が好ましい。
【0029】
樹脂層は硬化した後は、ノングレア表面を有するフィルム支持体とは密着性が悪いほうがよい。密着性が良すぎるとフィルム支持体が剥がれない。もちろん、樹脂層は被着体との密着性は良いほうがよい。樹脂層は薄いと被着体に貼りづらくなり、また、厚すぎると溶剤が乾燥しない等の不具合が生じる。樹脂層の厚みは1μm〜100μmが好ましい。樹脂層中には可視光線の透過率を制御するために着色剤を入れてもよい。
【0030】
剥離フィルム(3) は適宜選定すればよい。例えば、樹脂フィルム、紙セパレーター等があるが、PETフィルムのような表面が平滑な樹脂フィルムが好適である。剥離フィルムはシリコーン剥離剤等で処理されていることが好ましい。また、シリコーン剥離剤等は樹脂層に移行しないことが好ましい。
【0031】
ノングレア表面を有するフィルム支持体(1) 上への樹脂層(2) の形成は塗布により行うことができる。樹脂層の成分が入っている塗布液を、フィルム支持体(1) のノングレア面(1n)に塗布する。塗布方式としてはリバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョンノズル法、カーテン法、グラビアロール法、バーコート法、ディップ法、キスコート法、スクイズ法などの方法によって塗布することができる。塗布後、溶剤を乾燥させる。乾燥温度は10℃〜120℃が好ましい。乾燥温度を上げすぎて、低分子成分が蒸発してしまわないように注意が必要である。
【0032】
剥離フィルム(3) に樹脂層(2) 用の塗布液を塗布、乾燥して、その後、樹脂層(2) 面とフィルム支持体(1) のノングレア面(1n)とをラミネートして、本発明で用いる転写用フィルムを作製してもよい。
【0033】
以上のようにして、転写用フィルムを準備することができる。
次に、転写用フィルムを用いて、物体表面にノングレア処理層を形成する方法について説明する。
【0034】
被着体(4) としては、ガラスや樹脂板等がある。被着体がガラスの場合は、表面をシランカップリング剤で処理してもよい。被着体(4) がフィルムや薄いシートの場合には、剥離フィルムの付いていない転写用フィルムを用いて、オンラインで被着体に貼り付けてもよい。LED表示板の保護板の例では、被着体は透明であるが、CRTの前面ガラスのようなものでは可視光線の透過率を制御するために着色されていてもよい。
【0035】
転写用フィルムを、前記転写用樹脂層(2) がノングレア処理すべき被着体(4) 表面に接するように貼り付ける(図3(a))。貼り付け後に30分間以上エージングを行う。30分間以上のエージングによって、樹脂層(2) が被着体(4) 表面と良く馴染む。そのため、硬化後の樹脂層(2) と被着体(4) との密着性が非常に向上する。エージングを行わない場合や、エージング時間が30分間よりも短い場合には、密着性に問題が生じる。一方、2時間を超えてエージングを行っても良いが、30分間以上2時間以下のエージングで十分な密着性向上効果が得られることや生産効率の観点から、エージング時間は30分間以上2時間以下とすることが好ましい。また、例えば、4時間という長いエージングを行うと、硬化後の樹脂層(2) 自体が白濁してしまう問題が生じることがある。この白濁問題は被着体(4) の材質にもよるが、例えば、被着体(4) がポリカーボネート製の場合、ポリカーボネート中の水分によって樹脂層(2) に悪影響が生じることがある。あるいは、樹脂層(2) 中の低分子成分がポリカーボネート表面を侵す可能性もある。この観点からも、エージング時間は30分間以上2時間以下とすることが好ましい。また、エージングは生産性の観点から、常温で行うことが好ましい。常温とは、例えば15〜25℃の範囲である。エージングの雰囲気は、特に制限はないが、生産性の観点から、空気雰囲気、窒素ガス雰囲気が好ましい。
【0036】
エージング後に物理的刺激を与え前記樹脂層(2) を硬化させる。物理的刺激としては紫外線及び/又は可視光線等の活性エネルギー線照射が好適である。紫外線及び/又は可視光線の波長特性、照射方法は適宜選択すればよい。波長特性と、樹脂層の反応開始剤種、光増感剤種、ノングレア表面を有するフィルムの分光透過特性、被着体の分光透過特性等を適宜調整すればよい。紫外線及び/又は可視光線はノングレア表面を有するフィルム支持体(1) 側から照射してもよく、被着体(4) 側から照射してもよい。例えば、紫外線にて硬化する場合、フィルム支持体(1) が紫外線を透過し、被着体(4) が紫外線を透過しない場合はフィルム支持体(1) 側から紫外線を照射すればよいし、フィルム支持体(1) が紫外線を透過せず、被着体(4) が紫外線を透過する場合は被着体(4) 側から紫外線を照射すればよい。
【0037】
前記樹脂層(2) の硬化後に、前記フィルム支持体(1) を剥がす(図3(b))。硬化した樹脂層(2) のノングレア面(2n)が現れ、すなわち、被着体(4) 表面にノングレア処理層が付与される。
【0038】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0039】
[実施例1]
(転写用フィルムの作製)
高分子成分としてアクリル樹脂 1BR−305(NV39.5重量%、大成化工製)100重量部、硬化性低分子成分としてアクリレートモノマー SD−318(大日本インキ化学工業製)33重量部、アクリル処理コロイダルシリカXR39−B4755(GE東芝シリコーン製)59重量部、メチルエチルケトン(MEK)247重量部を混合して樹脂層用の塗布液とした。ノングレア表面を有するフィルム支持体(1) としてE180(光沢度80%、厚み26μmのPETフィルム、三菱化学ポリエステルフィルム製)を用い、このフィルム(1) のノングレア表面(1n)上に、前記塗布液を塗布し、50℃の温風を吹き付けて乾燥し、厚み10μmの樹脂層(2) を形成した。樹脂層(2) 上に剥離フィルム(3) (S341、厚み25μm、帝人デュポンフィルム製)をラミネートして、転写用フィルムを得た。
【0040】
(被着体表面のノングレア処理)
被着体(4) として2mm厚みのポリカーボネート板を用意した。上記で作製した転写用フィルムの剥離フィルム(3) を剥がした。このとき、樹脂層は剥離フィルム側には移行していなかった。ポリカーボネート板(4) に、転写用フィルムを樹脂層(2) がポリカーボネート板(4) に接するようにして、ラミネーターにて貼り付けた。貼り付け後、常温(23℃)で30分間のエージングを行った。その後、紫外線を支持体(1) 側から照射して樹脂層(2) を硬化し、次に支持体(1) を剥がした。硬化した樹脂層(2) のノングレア面(2n)が現れ、ポリカーボネート板(4) 表面がノングレア処理された。
【0041】
[実施例2〜6、比較例1、2]
実施例1と同じ転写用フィルムを用いた。ポリカーボネート板(4) へ貼り付けた後のエージング時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート板(4) 表面をノングレア処理した。
【0042】
(密着性試験)
得られたサンプルにつき、碁盤目テープ法(JIS K5400)に準じて密着性試験を行った。ポリカーボネート板(4) 上にノングレア処理層(2) が付与された表面にカッターで1mm間隔で縦横各11本の切り込みを入れた(計100個の正方形マス目状)。これにセロファン粘着テープを貼り、剥離した後、ポリカーボネート板(4) 上に残ったマス目の数をカウントした。(残ったマス目の数)/100を表1に示す。
【0043】
(ヘイズの測定)
得られたサンプルにつき、ヘイズメーター(TC−H3 DPK型:東京電色技術センター製)を用いて、ノングレア処理層(2) 面のヘイズ(%)を測定した。結果を表1に示す。
【0044】
(反射特性の測定)
実施例1で得られたサンプルにつき、ポリカーボネート板(4) のノングレア処理されていない裏面(4b)を黒の油性ペンで黒く塗った。分光光度計V−570(日本分光製)に積分球(日本分光製)を組み合わせて反射光を測定した。積分球にポリカーボネート板(4) を、ノングレア処理された面が積分球側になるように(ノングレア処理面に光が当たるように)セットした。波長550nmの反射した全光線の反射率は4.7%であった。次に波長550nmで、正反射光を除いた反射率(つまり散乱した光の反射率)を測定したところ、1.5%であった。これより、反射光(波長550nm)のうち約32%(=1.5/4.7)は散乱した。
【0045】
【表1】
【0046】
表1より、実施例1〜6のサンプルはいずれも、ノングレア処理層(2) とポリカーボネート板(4) との密着性が非常に良好であった。特に、実施例1〜4のサンプルは、ヘーズ値も高くはならず外観にも優れていた。一方、比較例1〜2のサンプでは、エージング時間が短く、密着性に問題が生じた。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、物体表面を容易にノングレア処理するための転写用フィルムを用いて、板材のように可とう性の乏しい物体表面にも容易に密着性良くノングレア処理層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる転写用フィルムの層構成の一例を示す断面図である。
【図2】本発明で用いる転写用フィルムの層構成の他の例を示す断面図である。
【図3】転写用フィルムを用いて物体表面をノングレア処理する工程を説明するための図である。(a)は、転写用フィルムを物体表面に貼り合わせた状態を示す断面図であり、樹脂層は未硬化である。(b)は、樹脂層が硬化された後、支持体が剥がされた状態を示す断面図であり、すなわち、ノングレア処理された物体の断面図である。
【符号の説明】
(1) :ノングレア表面を有するフィルム支持体
(1n):支持体のノングレア表面
(2) :樹脂層
(2n):転写された樹脂層のノングレア表面
(3) :剥離フィルム
(4) :ノングレア処理対象物体
Claims (4)
- ノングレア表面を有するフィルム支持体の前記ノングレア表面上に、高分子樹脂成分と硬化性低分子成分とを主として含み物理的刺激により硬化する転写用樹脂層が形成された転写用フィルムを準備し、
転写用フィルムの前記転写用樹脂層をノングレア処理すべき物体表面に貼り付け、貼り付け後に30分間以上エージングを行い、エージング後に物理的刺激を与え前記転写用樹脂層を硬化させ、その後、前記フィルム支持体を剥がすことを含む、ノングレア処理された物体を製造する方法。 - 硬化性低分子成分は、紫外線及び/又は可視光の照射により硬化する、請求項1に記載のノングレア処理された物体の製造方法。
- エージングを30分間以上2時間以下行う、請求項1又は2に記載のノングレア処理された物体の製造方法。
- エージングを常温で行う、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載のノングレア処理された物体の製造方法。
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