JP2004145062A - 位相差フィルムの製造方法及びそれに用いるフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、ポリカーボネートから形成されてなる位相差フィルムの面内において位相差及び光軸のバラツキが少なく、正面及び斜視方向の広い視野範囲でコントラスト等の表示品位に優れる液晶表示装置を形成しうる位相差フィルムの製造方法を提供することにある。
【解決手段】ポリカーボネートを溶液キャスト製膜法によりキャストフィルムとし、ついで未延伸の該キャストフィルム(以下未延伸フィルム)をキャスト方向(以下縦方向)に対して直交する方向(以下横方向)に延伸する工程を含む位相差フィルムの製造方法であって、面内の膜厚のバラツキが5μm以下であり、かつ溶媒量(以下残留溶媒量)を1〜5重量%含む未延伸フィルムまたは縦一軸延伸フィルムを横方向に延伸することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリカーボネートを溶液キャスト製膜法によりキャストフィルムとし、ついで未延伸の該キャストフィルム(以下未延伸フィルム)をキャスト方向(以下縦方向)に対して直交する方向(以下横方向)に延伸する工程を含む位相差フィルムの製造方法であって、面内の膜厚のバラツキが5μm以下であり、かつ溶媒量(以下残留溶媒量)を1〜5重量%含む未延伸フィルムまたは縦一軸延伸フィルムを横方向に延伸することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、位相差の制御性に優れて液晶表示装置の視野角やコントラストの改善に好適な位相差フィルムの製造方法、及びその製造に用いる縦一軸延伸フィルムおよび未延伸フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置の視野角拡大やコントラストの向上が求められる中、それを実現しうる液晶パネルの複屈折による位相差を補償できる位相差フィルムの提供が求められている。従来の位相差フィルムの位相差を制御する方法として、特許文献1には、一軸や二軸等による延伸方法、熱収縮フィルムを接着しその熱収縮力の作用下に延伸処理して厚さ方向の位相差を制御した位相差フィルムを得る方法が知られていた。
【0003】
特に、垂直配向モードの液晶表示装置の視野角拡大には、位相差フィルムの遅相軸方向の屈折率をnx、進相軸方向の屈折率をny、厚さ方向の屈折率をnzとした場合、nx≧ny>nzの関係を満たす特性を有する位相差フィルムが求められ、この特性を得るためには、二軸延伸法による製造が適している。
【0004】
しかしながら、従来の二軸延伸方法では、固有複屈折の大きいポリカーボネートにおいては、僅かな制御の違いにより大きく光学特性がことなる位相差フィルムが得られてしまい、また、フィルム面内の特性においても、位相差、光軸のバラツキが大きくて、コントラスト等の補償効果に乏しい問題点があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−157911号公報(特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリカーボネートから形成されてなる位相差フィルムの面内において位相差及び光軸のバラツキが少なく、正面及び斜視方向の広い視野範囲でコントラスト等の表示品位に優れる液晶表示装置を形成しうる位相差フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するためにポリカーボネートからなる位相差フィルムの製造方法を鋭意検討した。そして、ポリカーボネートを溶液キャスト製膜法によりキャストフィルムとし、キャスト方向と直交する横方向への延伸に供するフィルム中の溶媒量(残留溶媒量)の制御し、かつフィルムの膜厚のバラツキをおさえることが極めて重要であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、下記の〔1〕〜〔4〕のより達成することが出来た。
〔1〕 ポリカーボネートを溶液キャスト製膜法によりキャストフィルムとし、ついで未延伸の該キャストフィルム(以下未延伸フィルム)をキャスト方向(以下縦方向)に対して直交する方向(以下横方向)に延伸する工程を含む位相差フィルムの製造方法であって、面内の膜厚のバラツキが5μm以下であり、かつ溶媒量(以下残留溶媒量)を1〜5重量%含む未延伸フィルムまたは縦一軸延伸フィルムを横方向に延伸することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
〔2〕 ポリカーボネートが下記式(I)
【0009】
【化5】
【0010】
(上記式(I)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜6の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基であり、Xは下記式
【0011】
【化6】
【0012】
であり、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜3の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基である)
で示される繰り返し単位aを30〜70mol%と、下記式(II)
【0013】
【化7】
【0014】
(上記式(II)において、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜22の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基であり、Yは下記式群である。)
【0015】
【化8】
【0016】
(ここでR19〜R21、R23及びR24はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜22の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基であり、R22及びR25は炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基であり、また、Ar1〜Ar3はそれぞれ独立に炭素数6〜10のアリール基から選ばれる少なくとも1種の基である。)
で示される繰り返し単位bが全体の70〜30mol%を占めるポリカーボネート共重合体及び/またはブレンド体である上記に記載の位相差フィルムの製造方法。
〔3〕 上記位相差フィルムの製造方法に用いられるためのフィルムであって、面内の膜厚のバラツキが5μm以下であり、かつ残留溶媒量を1〜5重量%含むことを特徴とする縦一軸延伸フィルム。
〔4〕 上記位相差フィルムの製造方法に用いられるためのフィルムであって、面内の膜厚のバラツキが5μm以下であり、かつ残留溶媒量を1〜5重量%含むことを特徴とする未延伸フィルム。
【0017】
すなわち、本発明によれば、横延伸前の未延伸フィルムまたは縦一軸延伸フィルムの残留溶媒量を特定の範囲とし、かつフィルム面内の膜厚のバラツキを特定値以下とすることで、位相差フィルム面内において位相差、光軸のバラツキが少なく、それにより正面及び斜視方向の広い視野範囲でコントラスト等の表示品位に優れる液晶表示装置を形成しうる位相差フィルムとその製造方法の開発に成功したものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
〔ポリカーボネート〕
本発明に用いられるポリカーボネートとは、炭酸とグリコール又は2価フェノールとのポリエステルであり、通常炭酸と2、2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(通称ビスフェノール−A)とを構造単位とする芳香族ポリカーボネートが多様されているが、本発明ではこれに限定されるわけではなく、例えば1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、1,1−ビス(3−置換−4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、1、1−ビス(3,5−置換−4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類からなる群から選択される少なくとも1種の2価フェノールをモノマー成分とするポリカーボネートの共重合体、ホモポリマー、これらとビスフェノール−Aをモノマー成分とするポリカーボネートとの混合物、上記2価フェノールとビスフェノール−Aとをモノマー成分とするポリカーボネート共重合体が挙げられる。
【0019】
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカンの具体例としては、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5,5−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチルシクロペンタン等が挙げられる。
【0020】
1,1−ビス(3−置換−4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカンとしては、炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン基で置換された1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、例えば、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5,5−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチルシクロペンタン等が挙げられる。
【0021】
1、1−ビス(3,5−置換−4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカンとしては、炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン基で置換された1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、例えば、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−エチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチルシクロペンタン等が挙げられる。
【0022】
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等が挙げられる。
【0023】
さらに、他のビスフェノール成分として、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノール−A)、4,4’−(α−メチルベンジリデン)ビスフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,3’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘブタン、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)2,5−ジメチルヘブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチルフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)4−フルオロフェニルメタン、2,2’−ビス(3−フルオロー4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4ヒドロキシフェニル)メタン、2,2’−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン等があげられ、これらは単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
【0024】
上記ポリカーボネートは、上記ビスフェノール成分の他に、酸成分のコモノマーとして少量の脂肪族、芳香族ジカルボン酸を用いたポリエステルカーボネートを含む。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、p−キシレングリコール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、1、1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ブタン、2、2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ブタン、等を挙げることができる。この中で、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。
【0025】
用いられるポリカーボネートの分子量は、20000〜100000の粘度平均分子量を有するものであることが好ましく、濃度0.7g/dlの塩化メチレン溶液にして20℃で測定した比粘度で表して0.19以上、好ましくは、0.26〜0.45のものである。0.19未満のものでは得られるフィルムが脆くなるので適当でない。
【0026】
本発明に用いるポリカーボネートとしては、特に、下記式(I)
【0027】
【化9】
【0028】
で表される繰り返し単位及び
及び下記式(II)
【0029】
【化10】
【0030】
で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートが好ましい。このポリカーボネートは共重合体であっても混合物であってもよい。
【0031】
上記式(I)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜6の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基である。かかる炭化水素基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基が挙げられる。Xは下記式
【0032】
【化11】
【0033】
であり、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜3の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基である。かかる炭化水素基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基が挙げられる。
【0034】
上記式(II)において、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜22の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基である。かかる炭化水素基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基が挙げられる。Yは下記式群
【0035】
【化12】
【0036】
から選ばれる少なくとも1種の基である。ここでR19〜R21、R23及びR24はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜22の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基であり、R22及びR25は炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基である。炭素数1〜22の炭化水素基及び炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基が挙げられる。
【0037】
また、Ar1〜Ar3はそれぞれ独立に炭素数6〜10のアリール基から選ばれる少なくとも1種の基である。かかるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等があげられる。
【0038】
上記式(I)及び(II)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートにおいては、(I)の含有量が繰り返し単位全体の30〜70モル%であることが好ましい。このポリカーボネートにおいて、(I)の含有量が全体の30モル%未満である場合は、フィルムが割れ易く、脆い性質となり、位相差フィルムとして適さない。一方、(III)の含有量が70モル%を超えると、ポリマーフィルムの複屈折が大きいために、面内均一な位相差フィルムを得ることが困難となる。より効果的には(I)の含有量が40〜60モル%であることが好ましい。
【0039】
この中でも、上記式(II)においてビスフェノール−Aが好適に用いられ、さらに、ビスフェノール−Aと9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンからなるポリカーボネート共重合体が耐熱性、寸法安定性、透明性において優れている。
〔ポリマーフィルムの製造法〕
本発明の位相差フィルムの製造方法について説明する。位相差フィルムの製造は、ポリカーボネートを溶液キャスト製膜法によりキャストフィルムを作成する工程と、この未延伸のキャストフィルム(以下未延伸フィルム)をキャスト方向(以下縦方向)に対して直交する方向(以下横方向)に延伸する工程を含む。溶液キャスト製膜法は、位相差フィルムに要求される光学特性や膜厚精度に優れている。
【0040】
溶液キャスト製膜法に用いる溶剤としては、ポリカーボネートを十分溶解させ、キャストフィルム化できるものであれば制限なく用いることができるが、例えばメチレンクロライド、ジオキソラン等が好適に用いられる。
【0041】
ポリカーボネートを溶解した溶液は、支持体上に流延され、フィルム状の流延膜が形成される。このキャスト成膜後の流延膜は加熱等により乾燥され溶媒を含む(未延伸)フィルムが得られる。この(未延伸)フィルムの厚みに制限は無いが、フィルムのハンドリング面、コスト面から20〜300μmが好ましく、さらに好ましくは30〜200μmである。
【0042】
溶液キャストの流延速度としては、2m〜30m/minであることが好ましい。
【0043】
本発明においては、2つの態様を含む。すなわち、上記未延伸フィルムを横方向に一軸延伸する方法(第1発明)と、上記未延伸フィルムを一旦縦方向に一軸延伸し縦一軸延伸フィルムを作成し、ついでこの縦一軸延伸フィルムを横方向に延伸する方法(第2発明、逐次ニ軸延伸ともいう)である。
【0044】
第1発明においては、未延伸フィルムは、面内の膜厚のバラツキが5μm以下であり、かつ溶媒量(以下残留溶媒量)を1〜5重量%含むものであり、第2発明においては、縦一軸延伸フィルムは、面内の膜厚のバラツキが5μm以下であり、かつ溶媒量(以下残留溶媒量)を1〜5重量%含むものである。
【0045】
つまり、本発明(第1発明及び第2発明)とも、横方向に延伸するために用いられるフィルムは、面内の膜厚のバラツキが5μm以下であり、かつ残留溶媒量(以下残留溶媒量)が1〜5重量%含むものに制御されている。この残留溶媒量の制御は、フィルム製膜の際の雰囲気の温度、風量等の乾燥条件を適宜調整することにより行う。
【0046】
面内の膜厚のバラツキ(最大膜厚と最小膜厚の差)は小さい方が良く、膜厚のバラツキは5μm以下、好ましくは4μm以下、さらに好ましくは3μm以下が良い。縦一軸延伸後のフィルムの膜厚のバラツキが、5μmを超えると、位相差は複屈折と膜厚の積により算出される値であるので、面内の位相差分布が生じる原因となり、面内均一の位相差フィルムを得ることが困難となる。
【0047】
フィルム中の残留溶媒量は1〜5重量%、好ましくは1〜3重量%、より好ましくは1〜2重量%である。残留溶媒量が5重量%を超えると、発泡や延伸においてポリカーボネートの高分子鎖の配向が十分に引き起こされないために、所望の位相差値を得ることが困難となる。一方、フィルム中の残留溶媒量1重量%より少ない場合は、横延伸工程において、フィルム面内の熱分布の影響を強く受けるために、ポリマーの配向が強い部分と弱い部分が生じ、面内の複屈折分布が生じるために、面内均一な位相差フィルムを得ることが難しい。
【0048】
延伸方法は、公知のいずれの方法を用いてもよい。例えば、テンター延伸法、ロール間圧縮延伸法などの方法が例示される。厚み方向の屈折率の制御性及びフィルム面内レターデーションの均一性等の点で、ロール間延伸法または、テンター延伸法により一軸延伸する方法がのぞましい。
【0049】
ポリカーボネートフィルムの延伸温度は、用いる共重合体の種類によってもことなるが、通常は140〜280℃、好ましくは160〜260℃、特に好ましくは、180〜240℃である。
【0050】
延伸倍率は、縦方向、横方向共に、1.1〜5.0倍、好ましくは、1.1〜4.0倍、特に好ましくは、1.1〜3.0倍である。
【0051】
かかるフィルムの中には、延伸性を向上させる目的で、公知の可塑剤であるジメチルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル、トリブチルフォスフェート等のリン酸エステル、脂肪族2塩基エステル、グリセリン誘導体、グリコール誘導体等を含有しても良く、またこれらに限定するものではない。先述のフィルム製膜時に用いた有機溶剤をフィルム中に残留させ、延伸しても良い。この有機溶剤としては、ポリマー固形分対比1〜25重量%であることが好ましい。
〔位相差フィルム〕
位相差フィルムの位相差補償性能は、いわゆるレターデーション値で表され、特に、面内レターデーション(R値)と厚み方向のレターデーション(K値)に分けられる。これらRe値とK値は、それぞれ下記式(*)と(*)で定義される。
(*) R=Δn・d=(nx−ny)・d
(*) K=((nx+ny)/2−nz)・d
ただし、nx、ny、nz、dは、以下の通りである。
【0052】
nx:フィルム面内における主延伸方向の屈折率
ny:フィルム面内における主延伸方向に直交する方位の屈折率
nz:フィルム表面の法線方向の屈折率
d :フィルムの膜厚
(主延伸方向とは一軸延伸の場合には延伸方向、二軸延伸の場合には配向度が上がるように延伸した方向を意味しており、化学構造的には高分子主鎖の配向方向を指す。)
本発明により得られた位相差フィルムは、その波長550nmで測定した面内リターデーションのフィルム面に沿った任意の方向における変動が、いずれの方向についても、各方向におけるR値の平均値に対して±5nm以内の範囲内にあり、かつ厚み方向のレターデーションのフィルム面に沿った任意における変動が、いずれの方向についても、各方向におけるK値の平均値に対して±10nm以内にあることが好ましく、R値の変動が平均値に対して±4nm以内、K値の平均値に対して±8nm以内であることがより好ましい。液晶表示装置等の表示画面内を均一に光学補償するためには、位相差フィルムの光学特性の変動が、フィルム面に沿った任意の方向で小さいことが必要である。このため、フィルム面内におけるこのR値の変動とK値の変動が、R値の平均値に対して±5nm以上、K値の平均値に対して10nm以上となる場合、液晶表示装置等の表示の均一性を達成することができない。
【0053】
また、位相差フィルムの面内の遅相軸の面内におけるバラツキは、遅相軸方向の最大値と最小値の差を表し、本発明では、遅相軸のバラツキが3.0度以内であることが好ましく、2.5度以内であることがより好ましく、2.0度以内であることがさらに好ましい。この遅相軸の変動は、フィルム幅方向の全幅において上記の範囲にあることが好ましい。この遅相軸の変動も、本発明の位相差フィルムを用いた液晶表示装置等の表示の均一性に大きく影響を与える。このため、遅相軸の面内におけるバラツキが、3.0度以上となる場合、液晶表示装置等の表示の均一性を達成することができない。
【0054】
本発明により得られた位相差フィルムは、光学的一軸または二軸性フィルムであり、R値は0〜200nmが好ましく、0〜150nmがより好ましく、0〜100nmがさらに好ましい。また、K値は0〜1000nmが好ましく、0〜700nmがより好ましく、0〜400nmがさらに好ましい。R値、K値が、この範囲以外である場合、液晶表示装置等の表示の位相差フィルムによる光学補償効果が得られず、高いコントラストや斜視方向における表示品位を保つことができない。
【0055】
尚、本発明で用いられる位相差フィルムでは、一つの液晶表示装置等の表示媒体に対して、少なくとも1枚用いることで、光学補償効果を得られるが、2枚以上を同時に使用しても良い。
【0056】
また、本発明における位相差フィルムにおいては、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、透明核剤、永久帯電防止剤、蛍光増白剤等のポリマー改質剤が同時にフィルム中に存在しても良い。
【0057】
本発明により得られた位相差フィルムは透明性が良好であり、へーズ値は5%以下、全光線透過率は85%以上であることが好ましい。また、ガラス転移温度は90℃以上であることが好ましい。
【0058】
本発明における位相差フィルムの厚さとしては、30〜120μmである。
〔位相差フィルムの使用〕
本発明により得られた位相差フィルムは、正面及び斜視の広い視角範囲で液晶セルによる位相差を補償してコントラスト等の表示品位に優れる液晶表示装置を形成しうるものであり、ツイストネマチックモード、垂直配向モード、OCB(Optically Compensated Bend)配向モード、インプレインスイッチングモード等のTFT液晶表示装置などの特に正面方位における位相差を高度に補償して高いコントラストや表示の均一性を達成でき、かつ斜視方向における位相差を高度に補償して表示品位を向上させることができ、特に、本発明におけるフィルムは、垂直配向モードの光学補償に適している。その実用に際しては、例えば位相差フィルムの片面又は両面に粘着材を設けたものや、その粘着材を介して偏光板、又は等方性の透明な樹脂層やガラス層等からなる保護層を接着積層したものなどの適宜な形態の光学部材として適用することができ、液晶表示装置であれば、照明システムにバックライトあるいは反射板や半透過型反射板を用いてなる透過型や反射型、あるいは半透過反射型などが形成することができる。その他の位相差フィルムを用いる表示装置等としては、液晶プロジェクター、強誘電性液晶、反強誘電性液晶を用いたもの、光記録装置の光ヘッドが挙げられるが、本発明で製造された位相差フィルムをそれらに使用しても良い。
【0059】
また、タッチパネルとして用いても良く、CRT、PDPに用いても良い。
さらに、位相差フィルム上に何らかの材料をコーティングして、湿熱耐久性を向上させたり、耐溶剤性を改良した保護層や保護板として用いても良く、あるいは、表面加工して、拡散板やアンチグレア層、反射防止膜として用いても良い。
【0060】
本発明で得られた位相差フィルムを他の位相差フィルムや視野角拡大フィルム(例えば、ディスコティック液晶や高分子液晶層をフィルムの膜厚方向に配向させた視野角拡大フィルムなど、)のような光学補償フィルムと同時に使用しても良く、また、本発明の位相差フィルム面上に直接、液晶性分子等からなる光学異方性層を設けて、光学補償フィルムとして用いても良い。
【0061】
尚、上記位相差フィルムは、一つの液晶表示装置等の表示媒体に対して、少なくとも1枚用いることで光学補償効果を得ることが可能であるが、2枚以上の複数枚を同時に使用しても良い。
【0062】
【実施例】
本明細書中に記載の材料特性値等は以下の評価法によって得られたものである。
(1)遅相軸、R値、K値の測定
遅相軸、複屈折Δnと膜厚dの積である位相差R値、面内に対して垂直方向な位相差K値は、王子計測機器社製の商品名『KOBRA21−ADH』により測定されたものである。R値は入射光線とフィルムの表面が垂直する状態で測定しており、R=Δn・d=(nx−ny)・d、K=((nx+ny)/2−nz)・dである。R値、K値の単位は、nmである。nx、ny、nzは、ここでは以下のように定義される。
【0063】
nx:フィルム面内における主延伸方向の屈折率
ny:フィルム面内における主延伸方向に直交する方位の屈折率
nz:フィルム表面の法線方向の屈折率
(主延伸方向とは一軸延伸の場合には延伸方向、二軸延伸の場合には配向度が上がるように延伸した方向を意味しており、化学構造的には高分子主鎖の配向方向を指す。)
R値、K値は、位相差フィルムを、幅方向に5cmピッチに10点以上サンプリングを行い、平均値を算出した。この平均値からの値のずれをR値、及びK値の変動とした。
(2)高分子共重合比の測定
日本電子社製の商品名『JNM−alpha600』のプロトンNMRにより測定した。特にビスフェノールAとビスクレゾールフルオレンの共重合体の場合には、溶媒として重ベンゼンを用い、それぞれのメチル基のプロトン強度比から算出した。
(3)フィルム膜厚のバラツキ測定
延伸によって得られた位相差フィルムの任意の部分をA4カットサイズにて切り出し、その面内における膜厚を5mmピッチにて、アンリツ社製の電子マイクロ膜厚計『Film Thickness Tester KG601A』で測定した。その際における膜厚の最大値と最小値の差をフィルム膜厚のバラツキとした。
(4)残留溶媒量の測定
位相差フィルムを4cm角の大きさに3点サンプリングを行い、ガラス転移温度より10度低い温度にて、5時間乾燥を行った。乾燥前後の重量を測定して、重量変化分がすべて、位相差フィルムに含有する残留溶媒とした。
(5)ポリマー、及び共重合体ポリマーの重合方法
以下に実施例、比較例で用いたポリカーボネートのモノマー構造を示す。
【0064】
【化13】
【0065】
【化14】
【0066】
攪拌機、温度計及び還流冷却機を備えた反応装置に水酸化ナトリウム水溶液及びイオン交換水を仕込み、これに上記構造を有するモノマー[A]と[B]をX:Y(mol%、X+Y=100)の比率で溶解させ、少量のハイドロサルファイドを加えた。次に、これに塩化メチレンを加え、20℃でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ。さらに、p−tert−ブチルフェノールを加えて乳化させ、トリエチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌して反応を終了させた。反応終了後有機相分取して、塩化メチレンを蒸発させポリカーボネート共重合体を得る。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量とほぼ同等であった。
(6)評価基準
逐次二軸延伸により得られる位相差フィルムの評価基準としては、以下の通りとする。ここで、○による表記は位相差フィルムの面内の均一性として良いことを示し、×は特性が悪いことを示す。表示の均一性においては、◎の評価基準を設けるが、これは、表示の均一性が非常に良く、液晶モニタ用途に非常に適している特性を示す。
[実施例1]
モノマー[A]と[B]を50:50(モル%)の比率で共重合させたポリカーボネート共重合体を用いた。このポリカーボネート共重合体を塩化メチレンに溶解させて18wt%のドープ溶液を作成した。このドープ溶液をスチールドラム上に流延し、それを連続的に剥ぎ取って乾燥させ、これをロール延伸機にて200度で縦方向1.8倍の一軸延伸加工を行った。得られた一軸延伸フィルムの膜厚の最大値115μm、最小値112μmであり、膜厚のバラツキ(膜厚の最大値−最小値)は3μmであった。また、残留溶媒量は、1.3重量%であった。この位相差フィルムをテンターにて、215℃で横方向に2.1倍の横延伸工程を行った。この逐次二軸延伸により得られた位相差フィルムは、位相差の変動が、R=45±4nm、K=213±7nm、遅相軸のバラツキが0.7度であった。この位相差フィルムを、液晶モニタに実装して、表示画面の均一性を確認したところ、面内において良好なコントラストと広い視野角を有しており、また、非常に良好な面内の均一性を示した。
【0067】
[実施例2]
モノマー[A]と[B]を50:50(モル%)の比率で共重合させたポリカーボネート共重合体を用いた。このポリカーボネート共重合体を塩化メチレンに溶解させて18wt%のドープ溶液を作成した。このドープ溶液をスチールドラム上に流延し、それを連続的に剥ぎ取って乾燥させ、これをロール延伸機にて200度で縦方向1.8倍の一軸延伸加工を行った。得られた一軸延伸フィルムの膜厚の最大値108μm、最小値103μmであり、膜厚のバラツキ(膜厚の最大値−最小値)は5μmであった。また、残留溶媒量は、1.1重量%であった。この位相差フィルムをテンターにて、215℃で横方向に2.1倍の横延伸工程を行った。この逐次二軸延伸により得られた位相差フィルムは、位相差の変動が、R=40±5nm、K=205±9nm、遅相軸のバラツキが1.5度であった。この位相差フィルムを、液晶モニタに実装して、表示画面を確認したところ、面内において良好なコントラストと広い視野角を有しており、また、非常に良好な面内の均一性を示した。
【0068】
[比較例1]
モノマー[A]と[B]を50:50(モル%)の比率で共重合させたポリカーボネート共重合体を用いた。このポリカーボネート共重合体を塩化メチレンに溶解させて18wt%のドープ溶液を作成した。このドープ溶液をスチールドラム上に流延し、それを連続的に剥ぎ取って乾燥させ、これをロール延伸機にて200度で縦方向1.8倍の一軸延伸加工を行った。得られた一軸延伸フィルムの膜厚の最大値116μm、最小値113μmであり、膜厚のバラツキ(膜厚の最大値−最小値)は3μmであった。また、残留溶媒量は、0.5重量%であった。この位相差フィルムをテンターにて、215℃で横方向に2.1倍の横延伸工程を行った。この逐次二軸延伸により得られた位相差フィルムは、位相差の変動が、R=56±9nm、K=215±10nm、遅相軸のバラツキが3.6度であった。この位相差フィルムを、液晶モニタに実装して、表示画面を確認したところ、面内において、表示特性の異なる部分が生じており、均一性が確保できないことが分かった。
【0069】
[比較例2]
モノマー[A]と[B]を50:50(モル%)の比率で共重合させたポリカーボネート共重合体を用いた。このポリカーボネート共重合体を塩化メチレンに溶解させて18wt%のドープ溶液を作成した。このドープ溶液をスチールドラム上に流延し、それを連続的に剥ぎ取って乾燥させ、これをロール延伸機にて200度で縦方向1.8倍の一軸延伸加工を行った。得られた一軸延伸フィルムの膜厚の最大値112μm、最小値106μmであり、膜厚のバラツキ(膜厚の最大値−最小値)は6μmであった。また、残留溶媒量は、0.5重量%であった。この位相差フィルムをテンターにて、215℃で横方向に2.1倍の横延伸工程を行った。この逐次二軸延伸により得られた位相差フィルムは、位相差の変動が、R=49±9nm、K=204±14nm、遅相軸のバラツキが3.4度であった。この位相差フィルムを、液晶モニタに実装して、表示画面を確認したところ、面内において、表示特性の異なる部分が生じており、均一性が確保できないことが分かった。
【0070】
[比較例3]
モノマー[A]と[B]を50:50(モル%)の比率で共重合させたポリカーボネート共重合体を用いた。このポリカーボネート共重合体を塩化メチレンに溶解させて18wt%のドープ溶液を作成した。このドープ溶液をスチールドラム上に流延し、それを連続的に剥ぎ取って乾燥させ、これをロール延伸機にて200度で縦方向1.8倍の一軸延伸加工を行った。得られた一軸延伸フィルムの膜厚の最大値121μm、最小値114μmであり、膜厚のバラツキ(膜厚の最大値−最小値)は7μmであった。また、残留溶媒量は、1.5重量%であった。この位相差フィルムをテンターにて、215℃で横方向に2.1倍の横延伸工程を行った。この逐次二軸延伸により得られた位相差フィルムは、位相差の変動が、R=51±5nm、K=220±9nm、遅相軸のバラツキが2.6度であった。この位相差フィルムを、液晶モニタに実装して、表示画面を確認したところ、面内において、表示特性の異なる部分が生じており、均一性が確保できないことが分かった。
【0071】
[実施例3]
モノマー[A]と[B]を50:50(モル%)の比率で共重合させたポリカーボネート共重合体を用いた。このポリカーボネート共重合体を塩化メチレンに溶解させて18wt%のドープ溶液を作成した。このドープ溶液をスチールドラム上に流延し、それを連続的に剥ぎ取って乾燥させた。得られた未延伸フィルムの膜厚の最大値120μm、最小値117μmであり、膜厚のバラツキ(膜厚の最大値−最小値)は3μmであった。また、残留溶媒量は、1.8重量%であった。この位相差フィルムをテンターにて、215℃で横方向に1.8倍の横延伸工程を行った。この一軸横延伸により得られた位相差フィルムは、位相差の変動が、R=140±3nm、K=180±7nm、遅相軸のバラツキが0.8度であった。この位相差フィルムを、液晶モニタに実装して、表示画面を確認したところ、面内において、非常に良好な面内の均一性を示した。
【0072】
[実施例4]
ビスフェノール−Aのみをビスフェノール成分とするポリカーボネートを用いた。このポリカーボネートを塩化メチレンに溶解させて15wt%のドープ溶液を作成した。このドープ溶液をスチールドラム上に流延し、それを連続的に剥ぎ取って乾燥させ、これをロール延伸機にて153度で縦方向1.1倍の一軸延伸加工を行った。得られた一軸延伸フィルムの膜厚の最大値111μm、最小値108μmであり、膜厚のバラツキ(膜厚の最大値−最小値)は3μmであった。また、残留溶媒量は、1.5重量%であった。この位相差フィルムをテンターにて、163℃で横方向に1.15倍の横延伸工程を行った。この逐次二軸延伸により得られた位相差フィルムは、位相差の変動が、R=38±5nm、K=227±9nm、遅相軸のバラツキが1.8度であった。この位相差フィルムを、液晶モニタに実装して、表示画面を確認したところ、面内において十分なコントラストと広い視野角を有しており、また、良好な面内の均一性を示した。
【0073】
下記に、実施例1〜4、及び比較例1〜3の結果を表にまとめた。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】
本発明により、ポリカーボネートからなる位相差フィルムの面内において位相差、膜厚及び光軸のバラツキが少ない横一軸または二軸延伸フィルムからなる位相差フィルムを得ることができる。この位相差フィルムにより、正面及び斜視方向の広い視野範囲でコントラスト等の表示品位に優れる液晶表示装置を提供することが可能となり、液晶表示装置等と組み合わせて画質の向上に寄与することが出来るという効果を有する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、位相差の制御性に優れて液晶表示装置の視野角やコントラストの改善に好適な位相差フィルムの製造方法、及びその製造に用いる縦一軸延伸フィルムおよび未延伸フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置の視野角拡大やコントラストの向上が求められる中、それを実現しうる液晶パネルの複屈折による位相差を補償できる位相差フィルムの提供が求められている。従来の位相差フィルムの位相差を制御する方法として、特許文献1には、一軸や二軸等による延伸方法、熱収縮フィルムを接着しその熱収縮力の作用下に延伸処理して厚さ方向の位相差を制御した位相差フィルムを得る方法が知られていた。
【0003】
特に、垂直配向モードの液晶表示装置の視野角拡大には、位相差フィルムの遅相軸方向の屈折率をnx、進相軸方向の屈折率をny、厚さ方向の屈折率をnzとした場合、nx≧ny>nzの関係を満たす特性を有する位相差フィルムが求められ、この特性を得るためには、二軸延伸法による製造が適している。
【0004】
しかしながら、従来の二軸延伸方法では、固有複屈折の大きいポリカーボネートにおいては、僅かな制御の違いにより大きく光学特性がことなる位相差フィルムが得られてしまい、また、フィルム面内の特性においても、位相差、光軸のバラツキが大きくて、コントラスト等の補償効果に乏しい問題点があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−157911号公報(特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリカーボネートから形成されてなる位相差フィルムの面内において位相差及び光軸のバラツキが少なく、正面及び斜視方向の広い視野範囲でコントラスト等の表示品位に優れる液晶表示装置を形成しうる位相差フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するためにポリカーボネートからなる位相差フィルムの製造方法を鋭意検討した。そして、ポリカーボネートを溶液キャスト製膜法によりキャストフィルムとし、キャスト方向と直交する横方向への延伸に供するフィルム中の溶媒量(残留溶媒量)の制御し、かつフィルムの膜厚のバラツキをおさえることが極めて重要であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、下記の〔1〕〜〔4〕のより達成することが出来た。
〔1〕 ポリカーボネートを溶液キャスト製膜法によりキャストフィルムとし、ついで未延伸の該キャストフィルム(以下未延伸フィルム)をキャスト方向(以下縦方向)に対して直交する方向(以下横方向)に延伸する工程を含む位相差フィルムの製造方法であって、面内の膜厚のバラツキが5μm以下であり、かつ溶媒量(以下残留溶媒量)を1〜5重量%含む未延伸フィルムまたは縦一軸延伸フィルムを横方向に延伸することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
〔2〕 ポリカーボネートが下記式(I)
【0009】
【化5】
【0010】
(上記式(I)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜6の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基であり、Xは下記式
【0011】
【化6】
【0012】
であり、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜3の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基である)
で示される繰り返し単位aを30〜70mol%と、下記式(II)
【0013】
【化7】
【0014】
(上記式(II)において、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜22の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基であり、Yは下記式群である。)
【0015】
【化8】
【0016】
(ここでR19〜R21、R23及びR24はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜22の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基であり、R22及びR25は炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基であり、また、Ar1〜Ar3はそれぞれ独立に炭素数6〜10のアリール基から選ばれる少なくとも1種の基である。)
で示される繰り返し単位bが全体の70〜30mol%を占めるポリカーボネート共重合体及び/またはブレンド体である上記に記載の位相差フィルムの製造方法。
〔3〕 上記位相差フィルムの製造方法に用いられるためのフィルムであって、面内の膜厚のバラツキが5μm以下であり、かつ残留溶媒量を1〜5重量%含むことを特徴とする縦一軸延伸フィルム。
〔4〕 上記位相差フィルムの製造方法に用いられるためのフィルムであって、面内の膜厚のバラツキが5μm以下であり、かつ残留溶媒量を1〜5重量%含むことを特徴とする未延伸フィルム。
【0017】
すなわち、本発明によれば、横延伸前の未延伸フィルムまたは縦一軸延伸フィルムの残留溶媒量を特定の範囲とし、かつフィルム面内の膜厚のバラツキを特定値以下とすることで、位相差フィルム面内において位相差、光軸のバラツキが少なく、それにより正面及び斜視方向の広い視野範囲でコントラスト等の表示品位に優れる液晶表示装置を形成しうる位相差フィルムとその製造方法の開発に成功したものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
〔ポリカーボネート〕
本発明に用いられるポリカーボネートとは、炭酸とグリコール又は2価フェノールとのポリエステルであり、通常炭酸と2、2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(通称ビスフェノール−A)とを構造単位とする芳香族ポリカーボネートが多様されているが、本発明ではこれに限定されるわけではなく、例えば1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、1,1−ビス(3−置換−4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、1、1−ビス(3,5−置換−4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類からなる群から選択される少なくとも1種の2価フェノールをモノマー成分とするポリカーボネートの共重合体、ホモポリマー、これらとビスフェノール−Aをモノマー成分とするポリカーボネートとの混合物、上記2価フェノールとビスフェノール−Aとをモノマー成分とするポリカーボネート共重合体が挙げられる。
【0019】
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカンの具体例としては、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5,5−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチルシクロペンタン等が挙げられる。
【0020】
1,1−ビス(3−置換−4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカンとしては、炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン基で置換された1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、例えば、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5,5−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチルシクロペンタン等が挙げられる。
【0021】
1、1−ビス(3,5−置換−4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカンとしては、炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン基で置換された1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、例えば、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−エチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチルシクロペンタン等が挙げられる。
【0022】
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等が挙げられる。
【0023】
さらに、他のビスフェノール成分として、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノール−A)、4,4’−(α−メチルベンジリデン)ビスフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,3’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘブタン、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)2,5−ジメチルヘブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチルフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)4−フルオロフェニルメタン、2,2’−ビス(3−フルオロー4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4ヒドロキシフェニル)メタン、2,2’−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン等があげられ、これらは単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
【0024】
上記ポリカーボネートは、上記ビスフェノール成分の他に、酸成分のコモノマーとして少量の脂肪族、芳香族ジカルボン酸を用いたポリエステルカーボネートを含む。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、p−キシレングリコール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、1、1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ブタン、2、2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ブタン、等を挙げることができる。この中で、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。
【0025】
用いられるポリカーボネートの分子量は、20000〜100000の粘度平均分子量を有するものであることが好ましく、濃度0.7g/dlの塩化メチレン溶液にして20℃で測定した比粘度で表して0.19以上、好ましくは、0.26〜0.45のものである。0.19未満のものでは得られるフィルムが脆くなるので適当でない。
【0026】
本発明に用いるポリカーボネートとしては、特に、下記式(I)
【0027】
【化9】
【0028】
で表される繰り返し単位及び
及び下記式(II)
【0029】
【化10】
【0030】
で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートが好ましい。このポリカーボネートは共重合体であっても混合物であってもよい。
【0031】
上記式(I)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜6の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基である。かかる炭化水素基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基が挙げられる。Xは下記式
【0032】
【化11】
【0033】
であり、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜3の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基である。かかる炭化水素基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基が挙げられる。
【0034】
上記式(II)において、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜22の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基である。かかる炭化水素基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基が挙げられる。Yは下記式群
【0035】
【化12】
【0036】
から選ばれる少なくとも1種の基である。ここでR19〜R21、R23及びR24はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜22の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基であり、R22及びR25は炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基である。炭素数1〜22の炭化水素基及び炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基が挙げられる。
【0037】
また、Ar1〜Ar3はそれぞれ独立に炭素数6〜10のアリール基から選ばれる少なくとも1種の基である。かかるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等があげられる。
【0038】
上記式(I)及び(II)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートにおいては、(I)の含有量が繰り返し単位全体の30〜70モル%であることが好ましい。このポリカーボネートにおいて、(I)の含有量が全体の30モル%未満である場合は、フィルムが割れ易く、脆い性質となり、位相差フィルムとして適さない。一方、(III)の含有量が70モル%を超えると、ポリマーフィルムの複屈折が大きいために、面内均一な位相差フィルムを得ることが困難となる。より効果的には(I)の含有量が40〜60モル%であることが好ましい。
【0039】
この中でも、上記式(II)においてビスフェノール−Aが好適に用いられ、さらに、ビスフェノール−Aと9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンからなるポリカーボネート共重合体が耐熱性、寸法安定性、透明性において優れている。
〔ポリマーフィルムの製造法〕
本発明の位相差フィルムの製造方法について説明する。位相差フィルムの製造は、ポリカーボネートを溶液キャスト製膜法によりキャストフィルムを作成する工程と、この未延伸のキャストフィルム(以下未延伸フィルム)をキャスト方向(以下縦方向)に対して直交する方向(以下横方向)に延伸する工程を含む。溶液キャスト製膜法は、位相差フィルムに要求される光学特性や膜厚精度に優れている。
【0040】
溶液キャスト製膜法に用いる溶剤としては、ポリカーボネートを十分溶解させ、キャストフィルム化できるものであれば制限なく用いることができるが、例えばメチレンクロライド、ジオキソラン等が好適に用いられる。
【0041】
ポリカーボネートを溶解した溶液は、支持体上に流延され、フィルム状の流延膜が形成される。このキャスト成膜後の流延膜は加熱等により乾燥され溶媒を含む(未延伸)フィルムが得られる。この(未延伸)フィルムの厚みに制限は無いが、フィルムのハンドリング面、コスト面から20〜300μmが好ましく、さらに好ましくは30〜200μmである。
【0042】
溶液キャストの流延速度としては、2m〜30m/minであることが好ましい。
【0043】
本発明においては、2つの態様を含む。すなわち、上記未延伸フィルムを横方向に一軸延伸する方法(第1発明)と、上記未延伸フィルムを一旦縦方向に一軸延伸し縦一軸延伸フィルムを作成し、ついでこの縦一軸延伸フィルムを横方向に延伸する方法(第2発明、逐次ニ軸延伸ともいう)である。
【0044】
第1発明においては、未延伸フィルムは、面内の膜厚のバラツキが5μm以下であり、かつ溶媒量(以下残留溶媒量)を1〜5重量%含むものであり、第2発明においては、縦一軸延伸フィルムは、面内の膜厚のバラツキが5μm以下であり、かつ溶媒量(以下残留溶媒量)を1〜5重量%含むものである。
【0045】
つまり、本発明(第1発明及び第2発明)とも、横方向に延伸するために用いられるフィルムは、面内の膜厚のバラツキが5μm以下であり、かつ残留溶媒量(以下残留溶媒量)が1〜5重量%含むものに制御されている。この残留溶媒量の制御は、フィルム製膜の際の雰囲気の温度、風量等の乾燥条件を適宜調整することにより行う。
【0046】
面内の膜厚のバラツキ(最大膜厚と最小膜厚の差)は小さい方が良く、膜厚のバラツキは5μm以下、好ましくは4μm以下、さらに好ましくは3μm以下が良い。縦一軸延伸後のフィルムの膜厚のバラツキが、5μmを超えると、位相差は複屈折と膜厚の積により算出される値であるので、面内の位相差分布が生じる原因となり、面内均一の位相差フィルムを得ることが困難となる。
【0047】
フィルム中の残留溶媒量は1〜5重量%、好ましくは1〜3重量%、より好ましくは1〜2重量%である。残留溶媒量が5重量%を超えると、発泡や延伸においてポリカーボネートの高分子鎖の配向が十分に引き起こされないために、所望の位相差値を得ることが困難となる。一方、フィルム中の残留溶媒量1重量%より少ない場合は、横延伸工程において、フィルム面内の熱分布の影響を強く受けるために、ポリマーの配向が強い部分と弱い部分が生じ、面内の複屈折分布が生じるために、面内均一な位相差フィルムを得ることが難しい。
【0048】
延伸方法は、公知のいずれの方法を用いてもよい。例えば、テンター延伸法、ロール間圧縮延伸法などの方法が例示される。厚み方向の屈折率の制御性及びフィルム面内レターデーションの均一性等の点で、ロール間延伸法または、テンター延伸法により一軸延伸する方法がのぞましい。
【0049】
ポリカーボネートフィルムの延伸温度は、用いる共重合体の種類によってもことなるが、通常は140〜280℃、好ましくは160〜260℃、特に好ましくは、180〜240℃である。
【0050】
延伸倍率は、縦方向、横方向共に、1.1〜5.0倍、好ましくは、1.1〜4.0倍、特に好ましくは、1.1〜3.0倍である。
【0051】
かかるフィルムの中には、延伸性を向上させる目的で、公知の可塑剤であるジメチルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル、トリブチルフォスフェート等のリン酸エステル、脂肪族2塩基エステル、グリセリン誘導体、グリコール誘導体等を含有しても良く、またこれらに限定するものではない。先述のフィルム製膜時に用いた有機溶剤をフィルム中に残留させ、延伸しても良い。この有機溶剤としては、ポリマー固形分対比1〜25重量%であることが好ましい。
〔位相差フィルム〕
位相差フィルムの位相差補償性能は、いわゆるレターデーション値で表され、特に、面内レターデーション(R値)と厚み方向のレターデーション(K値)に分けられる。これらRe値とK値は、それぞれ下記式(*)と(*)で定義される。
(*) R=Δn・d=(nx−ny)・d
(*) K=((nx+ny)/2−nz)・d
ただし、nx、ny、nz、dは、以下の通りである。
【0052】
nx:フィルム面内における主延伸方向の屈折率
ny:フィルム面内における主延伸方向に直交する方位の屈折率
nz:フィルム表面の法線方向の屈折率
d :フィルムの膜厚
(主延伸方向とは一軸延伸の場合には延伸方向、二軸延伸の場合には配向度が上がるように延伸した方向を意味しており、化学構造的には高分子主鎖の配向方向を指す。)
本発明により得られた位相差フィルムは、その波長550nmで測定した面内リターデーションのフィルム面に沿った任意の方向における変動が、いずれの方向についても、各方向におけるR値の平均値に対して±5nm以内の範囲内にあり、かつ厚み方向のレターデーションのフィルム面に沿った任意における変動が、いずれの方向についても、各方向におけるK値の平均値に対して±10nm以内にあることが好ましく、R値の変動が平均値に対して±4nm以内、K値の平均値に対して±8nm以内であることがより好ましい。液晶表示装置等の表示画面内を均一に光学補償するためには、位相差フィルムの光学特性の変動が、フィルム面に沿った任意の方向で小さいことが必要である。このため、フィルム面内におけるこのR値の変動とK値の変動が、R値の平均値に対して±5nm以上、K値の平均値に対して10nm以上となる場合、液晶表示装置等の表示の均一性を達成することができない。
【0053】
また、位相差フィルムの面内の遅相軸の面内におけるバラツキは、遅相軸方向の最大値と最小値の差を表し、本発明では、遅相軸のバラツキが3.0度以内であることが好ましく、2.5度以内であることがより好ましく、2.0度以内であることがさらに好ましい。この遅相軸の変動は、フィルム幅方向の全幅において上記の範囲にあることが好ましい。この遅相軸の変動も、本発明の位相差フィルムを用いた液晶表示装置等の表示の均一性に大きく影響を与える。このため、遅相軸の面内におけるバラツキが、3.0度以上となる場合、液晶表示装置等の表示の均一性を達成することができない。
【0054】
本発明により得られた位相差フィルムは、光学的一軸または二軸性フィルムであり、R値は0〜200nmが好ましく、0〜150nmがより好ましく、0〜100nmがさらに好ましい。また、K値は0〜1000nmが好ましく、0〜700nmがより好ましく、0〜400nmがさらに好ましい。R値、K値が、この範囲以外である場合、液晶表示装置等の表示の位相差フィルムによる光学補償効果が得られず、高いコントラストや斜視方向における表示品位を保つことができない。
【0055】
尚、本発明で用いられる位相差フィルムでは、一つの液晶表示装置等の表示媒体に対して、少なくとも1枚用いることで、光学補償効果を得られるが、2枚以上を同時に使用しても良い。
【0056】
また、本発明における位相差フィルムにおいては、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、透明核剤、永久帯電防止剤、蛍光増白剤等のポリマー改質剤が同時にフィルム中に存在しても良い。
【0057】
本発明により得られた位相差フィルムは透明性が良好であり、へーズ値は5%以下、全光線透過率は85%以上であることが好ましい。また、ガラス転移温度は90℃以上であることが好ましい。
【0058】
本発明における位相差フィルムの厚さとしては、30〜120μmである。
〔位相差フィルムの使用〕
本発明により得られた位相差フィルムは、正面及び斜視の広い視角範囲で液晶セルによる位相差を補償してコントラスト等の表示品位に優れる液晶表示装置を形成しうるものであり、ツイストネマチックモード、垂直配向モード、OCB(Optically Compensated Bend)配向モード、インプレインスイッチングモード等のTFT液晶表示装置などの特に正面方位における位相差を高度に補償して高いコントラストや表示の均一性を達成でき、かつ斜視方向における位相差を高度に補償して表示品位を向上させることができ、特に、本発明におけるフィルムは、垂直配向モードの光学補償に適している。その実用に際しては、例えば位相差フィルムの片面又は両面に粘着材を設けたものや、その粘着材を介して偏光板、又は等方性の透明な樹脂層やガラス層等からなる保護層を接着積層したものなどの適宜な形態の光学部材として適用することができ、液晶表示装置であれば、照明システムにバックライトあるいは反射板や半透過型反射板を用いてなる透過型や反射型、あるいは半透過反射型などが形成することができる。その他の位相差フィルムを用いる表示装置等としては、液晶プロジェクター、強誘電性液晶、反強誘電性液晶を用いたもの、光記録装置の光ヘッドが挙げられるが、本発明で製造された位相差フィルムをそれらに使用しても良い。
【0059】
また、タッチパネルとして用いても良く、CRT、PDPに用いても良い。
さらに、位相差フィルム上に何らかの材料をコーティングして、湿熱耐久性を向上させたり、耐溶剤性を改良した保護層や保護板として用いても良く、あるいは、表面加工して、拡散板やアンチグレア層、反射防止膜として用いても良い。
【0060】
本発明で得られた位相差フィルムを他の位相差フィルムや視野角拡大フィルム(例えば、ディスコティック液晶や高分子液晶層をフィルムの膜厚方向に配向させた視野角拡大フィルムなど、)のような光学補償フィルムと同時に使用しても良く、また、本発明の位相差フィルム面上に直接、液晶性分子等からなる光学異方性層を設けて、光学補償フィルムとして用いても良い。
【0061】
尚、上記位相差フィルムは、一つの液晶表示装置等の表示媒体に対して、少なくとも1枚用いることで光学補償効果を得ることが可能であるが、2枚以上の複数枚を同時に使用しても良い。
【0062】
【実施例】
本明細書中に記載の材料特性値等は以下の評価法によって得られたものである。
(1)遅相軸、R値、K値の測定
遅相軸、複屈折Δnと膜厚dの積である位相差R値、面内に対して垂直方向な位相差K値は、王子計測機器社製の商品名『KOBRA21−ADH』により測定されたものである。R値は入射光線とフィルムの表面が垂直する状態で測定しており、R=Δn・d=(nx−ny)・d、K=((nx+ny)/2−nz)・dである。R値、K値の単位は、nmである。nx、ny、nzは、ここでは以下のように定義される。
【0063】
nx:フィルム面内における主延伸方向の屈折率
ny:フィルム面内における主延伸方向に直交する方位の屈折率
nz:フィルム表面の法線方向の屈折率
(主延伸方向とは一軸延伸の場合には延伸方向、二軸延伸の場合には配向度が上がるように延伸した方向を意味しており、化学構造的には高分子主鎖の配向方向を指す。)
R値、K値は、位相差フィルムを、幅方向に5cmピッチに10点以上サンプリングを行い、平均値を算出した。この平均値からの値のずれをR値、及びK値の変動とした。
(2)高分子共重合比の測定
日本電子社製の商品名『JNM−alpha600』のプロトンNMRにより測定した。特にビスフェノールAとビスクレゾールフルオレンの共重合体の場合には、溶媒として重ベンゼンを用い、それぞれのメチル基のプロトン強度比から算出した。
(3)フィルム膜厚のバラツキ測定
延伸によって得られた位相差フィルムの任意の部分をA4カットサイズにて切り出し、その面内における膜厚を5mmピッチにて、アンリツ社製の電子マイクロ膜厚計『Film Thickness Tester KG601A』で測定した。その際における膜厚の最大値と最小値の差をフィルム膜厚のバラツキとした。
(4)残留溶媒量の測定
位相差フィルムを4cm角の大きさに3点サンプリングを行い、ガラス転移温度より10度低い温度にて、5時間乾燥を行った。乾燥前後の重量を測定して、重量変化分がすべて、位相差フィルムに含有する残留溶媒とした。
(5)ポリマー、及び共重合体ポリマーの重合方法
以下に実施例、比較例で用いたポリカーボネートのモノマー構造を示す。
【0064】
【化13】
【0065】
【化14】
【0066】
攪拌機、温度計及び還流冷却機を備えた反応装置に水酸化ナトリウム水溶液及びイオン交換水を仕込み、これに上記構造を有するモノマー[A]と[B]をX:Y(mol%、X+Y=100)の比率で溶解させ、少量のハイドロサルファイドを加えた。次に、これに塩化メチレンを加え、20℃でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ。さらに、p−tert−ブチルフェノールを加えて乳化させ、トリエチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌して反応を終了させた。反応終了後有機相分取して、塩化メチレンを蒸発させポリカーボネート共重合体を得る。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量とほぼ同等であった。
(6)評価基準
逐次二軸延伸により得られる位相差フィルムの評価基準としては、以下の通りとする。ここで、○による表記は位相差フィルムの面内の均一性として良いことを示し、×は特性が悪いことを示す。表示の均一性においては、◎の評価基準を設けるが、これは、表示の均一性が非常に良く、液晶モニタ用途に非常に適している特性を示す。
[実施例1]
モノマー[A]と[B]を50:50(モル%)の比率で共重合させたポリカーボネート共重合体を用いた。このポリカーボネート共重合体を塩化メチレンに溶解させて18wt%のドープ溶液を作成した。このドープ溶液をスチールドラム上に流延し、それを連続的に剥ぎ取って乾燥させ、これをロール延伸機にて200度で縦方向1.8倍の一軸延伸加工を行った。得られた一軸延伸フィルムの膜厚の最大値115μm、最小値112μmであり、膜厚のバラツキ(膜厚の最大値−最小値)は3μmであった。また、残留溶媒量は、1.3重量%であった。この位相差フィルムをテンターにて、215℃で横方向に2.1倍の横延伸工程を行った。この逐次二軸延伸により得られた位相差フィルムは、位相差の変動が、R=45±4nm、K=213±7nm、遅相軸のバラツキが0.7度であった。この位相差フィルムを、液晶モニタに実装して、表示画面の均一性を確認したところ、面内において良好なコントラストと広い視野角を有しており、また、非常に良好な面内の均一性を示した。
【0067】
[実施例2]
モノマー[A]と[B]を50:50(モル%)の比率で共重合させたポリカーボネート共重合体を用いた。このポリカーボネート共重合体を塩化メチレンに溶解させて18wt%のドープ溶液を作成した。このドープ溶液をスチールドラム上に流延し、それを連続的に剥ぎ取って乾燥させ、これをロール延伸機にて200度で縦方向1.8倍の一軸延伸加工を行った。得られた一軸延伸フィルムの膜厚の最大値108μm、最小値103μmであり、膜厚のバラツキ(膜厚の最大値−最小値)は5μmであった。また、残留溶媒量は、1.1重量%であった。この位相差フィルムをテンターにて、215℃で横方向に2.1倍の横延伸工程を行った。この逐次二軸延伸により得られた位相差フィルムは、位相差の変動が、R=40±5nm、K=205±9nm、遅相軸のバラツキが1.5度であった。この位相差フィルムを、液晶モニタに実装して、表示画面を確認したところ、面内において良好なコントラストと広い視野角を有しており、また、非常に良好な面内の均一性を示した。
【0068】
[比較例1]
モノマー[A]と[B]を50:50(モル%)の比率で共重合させたポリカーボネート共重合体を用いた。このポリカーボネート共重合体を塩化メチレンに溶解させて18wt%のドープ溶液を作成した。このドープ溶液をスチールドラム上に流延し、それを連続的に剥ぎ取って乾燥させ、これをロール延伸機にて200度で縦方向1.8倍の一軸延伸加工を行った。得られた一軸延伸フィルムの膜厚の最大値116μm、最小値113μmであり、膜厚のバラツキ(膜厚の最大値−最小値)は3μmであった。また、残留溶媒量は、0.5重量%であった。この位相差フィルムをテンターにて、215℃で横方向に2.1倍の横延伸工程を行った。この逐次二軸延伸により得られた位相差フィルムは、位相差の変動が、R=56±9nm、K=215±10nm、遅相軸のバラツキが3.6度であった。この位相差フィルムを、液晶モニタに実装して、表示画面を確認したところ、面内において、表示特性の異なる部分が生じており、均一性が確保できないことが分かった。
【0069】
[比較例2]
モノマー[A]と[B]を50:50(モル%)の比率で共重合させたポリカーボネート共重合体を用いた。このポリカーボネート共重合体を塩化メチレンに溶解させて18wt%のドープ溶液を作成した。このドープ溶液をスチールドラム上に流延し、それを連続的に剥ぎ取って乾燥させ、これをロール延伸機にて200度で縦方向1.8倍の一軸延伸加工を行った。得られた一軸延伸フィルムの膜厚の最大値112μm、最小値106μmであり、膜厚のバラツキ(膜厚の最大値−最小値)は6μmであった。また、残留溶媒量は、0.5重量%であった。この位相差フィルムをテンターにて、215℃で横方向に2.1倍の横延伸工程を行った。この逐次二軸延伸により得られた位相差フィルムは、位相差の変動が、R=49±9nm、K=204±14nm、遅相軸のバラツキが3.4度であった。この位相差フィルムを、液晶モニタに実装して、表示画面を確認したところ、面内において、表示特性の異なる部分が生じており、均一性が確保できないことが分かった。
【0070】
[比較例3]
モノマー[A]と[B]を50:50(モル%)の比率で共重合させたポリカーボネート共重合体を用いた。このポリカーボネート共重合体を塩化メチレンに溶解させて18wt%のドープ溶液を作成した。このドープ溶液をスチールドラム上に流延し、それを連続的に剥ぎ取って乾燥させ、これをロール延伸機にて200度で縦方向1.8倍の一軸延伸加工を行った。得られた一軸延伸フィルムの膜厚の最大値121μm、最小値114μmであり、膜厚のバラツキ(膜厚の最大値−最小値)は7μmであった。また、残留溶媒量は、1.5重量%であった。この位相差フィルムをテンターにて、215℃で横方向に2.1倍の横延伸工程を行った。この逐次二軸延伸により得られた位相差フィルムは、位相差の変動が、R=51±5nm、K=220±9nm、遅相軸のバラツキが2.6度であった。この位相差フィルムを、液晶モニタに実装して、表示画面を確認したところ、面内において、表示特性の異なる部分が生じており、均一性が確保できないことが分かった。
【0071】
[実施例3]
モノマー[A]と[B]を50:50(モル%)の比率で共重合させたポリカーボネート共重合体を用いた。このポリカーボネート共重合体を塩化メチレンに溶解させて18wt%のドープ溶液を作成した。このドープ溶液をスチールドラム上に流延し、それを連続的に剥ぎ取って乾燥させた。得られた未延伸フィルムの膜厚の最大値120μm、最小値117μmであり、膜厚のバラツキ(膜厚の最大値−最小値)は3μmであった。また、残留溶媒量は、1.8重量%であった。この位相差フィルムをテンターにて、215℃で横方向に1.8倍の横延伸工程を行った。この一軸横延伸により得られた位相差フィルムは、位相差の変動が、R=140±3nm、K=180±7nm、遅相軸のバラツキが0.8度であった。この位相差フィルムを、液晶モニタに実装して、表示画面を確認したところ、面内において、非常に良好な面内の均一性を示した。
【0072】
[実施例4]
ビスフェノール−Aのみをビスフェノール成分とするポリカーボネートを用いた。このポリカーボネートを塩化メチレンに溶解させて15wt%のドープ溶液を作成した。このドープ溶液をスチールドラム上に流延し、それを連続的に剥ぎ取って乾燥させ、これをロール延伸機にて153度で縦方向1.1倍の一軸延伸加工を行った。得られた一軸延伸フィルムの膜厚の最大値111μm、最小値108μmであり、膜厚のバラツキ(膜厚の最大値−最小値)は3μmであった。また、残留溶媒量は、1.5重量%であった。この位相差フィルムをテンターにて、163℃で横方向に1.15倍の横延伸工程を行った。この逐次二軸延伸により得られた位相差フィルムは、位相差の変動が、R=38±5nm、K=227±9nm、遅相軸のバラツキが1.8度であった。この位相差フィルムを、液晶モニタに実装して、表示画面を確認したところ、面内において十分なコントラストと広い視野角を有しており、また、良好な面内の均一性を示した。
【0073】
下記に、実施例1〜4、及び比較例1〜3の結果を表にまとめた。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】
本発明により、ポリカーボネートからなる位相差フィルムの面内において位相差、膜厚及び光軸のバラツキが少ない横一軸または二軸延伸フィルムからなる位相差フィルムを得ることができる。この位相差フィルムにより、正面及び斜視方向の広い視野範囲でコントラスト等の表示品位に優れる液晶表示装置を提供することが可能となり、液晶表示装置等と組み合わせて画質の向上に寄与することが出来るという効果を有する。
Claims (4)
- ポリカーボネートを溶液キャスト製膜法によりキャストフィルムとし、ついで未延伸の該キャストフィルム(以下未延伸フィルム)をキャスト方向(以下縦方向)に対して直交する方向(以下横方向)に延伸する工程を含む位相差フィルムの製造方法であって、面内の膜厚のバラツキが5μm以下であり、かつ溶媒量(以下残留溶媒量)を1〜5重量%含む未延伸フィルムまたは縦一軸延伸フィルムを横方向に延伸することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
- ポリカーボネートが下記式(I)
で示される繰り返し単位aを30〜70mol%と、下記式(II)
で示される繰り返し単位bが全体の70〜30mol%を占めるポリカーボネート共重合体及び/またはブレンド体である請求項1に記載の位相差フィルムの製造方法。 - 請求項1記載の位相差フィルムの製造方法に用いられるためのフィルムであって、面内の膜厚のバラツキが5μm以下であり、かつ残留溶媒量を1〜5重量%含むことを特徴とする縦一軸延伸フィルム。
- 請求項1記載の位相差フィルムの製造方法に用いられるためのフィルムであって、面内の膜厚のバラツキが5μm以下であり、かつ残留溶媒量を1〜5重量%含むことを特徴とする未延伸フィルム。
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US7803293B2 (en) | 2005-10-19 | 2010-09-28 | Konica Minolta Opto, Inc. | Optical film manufacturing method, optical film manufacturing apparatus and optical film |
JP2016139104A (ja) * | 2015-01-29 | 2016-08-04 | 三菱樹脂株式会社 | フィルム及び偏光板 |
-
2002
- 2002-10-25 JP JP2002310781A patent/JP2004145062A/ja active Pending
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