JP2004144735A - 蓄積性蛍光体シート - Google Patents

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柏谷 誠
Junji Nakada
中田 純司
Yasuo Iwabuchi
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Abstract

【課題】輝尽発光特性が良好な蓄積性蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートを提供する。
【解決手段】蓄積性蛍光体層が、ユーロピウムで付活された臭化セシウム系蓄積性蛍光体を主成分とするものであり、かつ、前記蓄積性蛍光体層に電子線を照射した際に、490nm〜510nmの発光の最大強度が、440nm〜460nmの発光の最大強度より低いことにより、前記課題を解決する。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄積性蛍光体シートの技術分野に属し、詳しくは、真空成膜によって蓄積性蛍光体層を形成されてなる、輝尽発光特性が良好な蓄積性蛍光体シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
放射線(X線、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等)の照射を受けると、この放射線エネルギーの一部を蓄積し、その後、可視光等の励起光の照射を受けると、蓄積されたエネルギーに応じた輝尽発光を示す蛍光体が知られている。この蛍光体は、蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)と呼ばれ、医療用途などの各種の用途に利用されている。
【0003】
一例として、この蓄積性蛍光体からなる層(以下、蛍光体層とする)を有する蓄積性蛍光体シート(以下、蛍光体シートとする(放射線像変換シートとも呼ばれている))を利用する、放射線画像情報記録再生システムが知られており、例えば、富士写真フイルム社製のFCR(Fuji Computed Radiography)等として実用化されている。
このシステムでは、蛍光体シート(蛍光体層)に人体などの被写体の放射線画像情報を記録し、記録後に、蛍光体シートをレーザ光等の励起光で2次元的に走査して輝尽発光光を生ぜしめ、この輝尽発光光を光電的に読み取って画像信号を得、この画像信号に基づいて再生した画像を、CRTなどの表示装置や、写真感光材料などの記録材料等に、被写体の放射線画像として出力する。
【0004】
このような蛍光体シートは、通常、蓄積性蛍光体の粉末をバインダ等を含む溶媒に分散してなる塗料を調製して、この塗料をガラスや樹脂製のシート状の支持体に塗布し、乾燥することによって、作成される。
これに対し、特許文献1や特許文献2に示されるように、真空蒸着やスパッタリング等の物理蒸着法(気相成膜法)によって、支持体に蛍光体層を形成してなる蛍光体シートも知られている。蒸着によって作製される蛍光体層は、真空中で形成されるので不純物が少なく、また、バインダなどの蓄積性蛍光体以外の成分が殆ど含まれないので、性能のバラツキが少なく、しかも発光効率が非常に良好であるという、優れた特性を有している。
【0005】
【特許文献1】
特許第2789194号公報
【特許文献2】
特開平5−249299号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
蛍光体シートに要求される最も重要な特性の1つとして、輝尽発光特性が挙げられる。輝尽発光特性とは、蛍光体層にX線を照射(X線エネルギの蓄積)した後、レーザ光などの励起光を照射した際に、X線の照射量に対して、どれ位の光量で輝尽発光を生じるか、という特性である。
X線の照射量、および、励起光の強度が同じであれば、輝尽発光の光量が高い方が輝尽発光特性が良好な蛍光体層である。すなわち、輝尽発光特性が良好な蛍光体層を有する蛍光体シートは、少ないX線照射量でも十分な輝尽発光を得ることができる、高感度な蛍光体シートである。
【0007】
蛍光体シートを用いるX線画像の撮影では、X線フィルム等を用いた撮影と同様、被検者を通して蛍光体シートにX線を照射することにより、X線画像を蛍光体シートに撮影する。
従って、高感度な蛍光体シートを用いれば、X線の照射量が少なくても十分なX線強度での撮影を行うことができ、すなわち、被爆量を減らして、被検者の負担を低減することができる。
【0008】
本発明の目的は、放射線画像情報記録再生システム等に用いられる蓄積性蛍光体シートであって、輝尽発光特性が良好な蓄積性蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、真空成膜法による蓄積性蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートであって、前記蓄積性蛍光体層が、ユーロピウムで付活された臭化セシウム系蓄積性蛍光体を主成分とするものであり、かつ、前記蓄積性蛍光体層に電子線を照射した際に、490nm〜510nmの発光の最大強度が、440nm〜460nmの発光の最大強度より低いことを特徴とする蓄積性蛍光体シートを提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の蓄積性蛍光体シートについて、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
【0011】
図1に、本発明の蓄積性蛍光体シートの一例の概念図を示す。
図示例の蓄積性蛍光体シート10(以下、蛍光体シート10とする)は、基本的に、基板12の表面に、真空成膜法によって蓄積性(輝尽性)蛍光体層14(以下、蛍光体層14とする)を形成してなるものである。
【0012】
なお、図示例の蛍光体シート10は、基板12の表面に蛍光体層14のみを有する構成であるが、本発明は、これに限定はされず、蛍光体層14が後述する特性を有するものであれば、各種の構成が利用可能である。
【0013】
例えば、基板12の表面に輝尽発光光の出射効率を向上するための反射膜を有し、その上に蛍光体層14を有してもよく、さらに、反射膜と蛍光体層14との間に、反射膜の酸化を防止するためのバリア膜を有してもよい。また、蛍光体層14の上に、蛍光体層14の酸化や水分吸収等を防止するためのバリア膜を有してもよい。
なお、反射膜としては、厚さが0.01μm〜5μmのAl(アルミニウム)、Ag(銀)、Al合金、Ag合金等の薄膜が例示され、また、バリア膜としては、厚さが0.01μm〜5μmのSi(珪素)酸化物、Ti(チタン)酸化物、Si窒化物、Si酸窒化物、Ce(セレン)酸化物、Mg(マグネシウム)フッ化物等の薄膜が例示される。
これらの膜は、スパッタリングや真空蒸着等、形成する膜に応じた各種の真空成膜法で形成すればよい。
【0014】
本発明の蛍光体シート10において、基板12には、特に限定はなく、ガラス、セラミックス、カーボン、アルミニウム、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリイミド等、蛍光体シートで利用されている各種のシート状の基板が、全て利用可能である。
【0015】
本発明の蛍光体シート10において、蛍光体層14は、蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)を主成分とする、真空成膜法によって形成される層(膜)であり、ユーロピウムを付活剤(賦活剤:activator)とする臭化セシウム(CsBr)系の蓄積性蛍光体、特に、一般式CsBr:Euで示される蓄積性蛍光体を、主成分とする層である。
【0016】
本発明の蛍光体シート10において、蛍光体層14における蛍光体と付活剤との比率には、特に限定はなく、蓄積性蛍光体の組成に応じて、適宜、決定すればよいが、付活剤/蛍光体のモル濃度比で0.0005/1〜0.01/1が好ましい。
さらに、膜厚にも、特に限定はなく、蛍光体層14の組成に応じて、十分な輝尽発光特性を得られる厚さを、適宜、決定すればよいが、50μm〜1000μm、特に、200μm〜800μmが好適に例示される。
【0017】
ここで、本発明の蛍光体シート10は、蛍光体層14に電子線を照射した際の、490nm〜510nmの発光の最大強度が、440nm〜460nmの発光の最大強度よりも低い。
【0018】
各種の蛍光体に電子線(e− )を照射すると、蛍光体の組成に応じて発光する(カソードルミネッセンス(Cathode Luminescence) 以下、CLとする)。
真空成膜法による蛍光体層14(ユーロピウムで付活されたアルカリ金属ハロゲン化物質系輝尽性蛍光体)の輝尽発光のメカニズムは、明らかにされてはいないが、本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、この蛍光体層14の輝尽発光特性は、CLの特性を適正に設定することにより向上できることを見いだした。
本発明の蛍光体シート10の蛍光体層14においては、特に、CLの490nm〜510nmにおける発光と、440nm〜460nmにおける発光が、輝尽発光特性と強い相関を有し、CLの490nm〜510nmにおける発光の最大強度を、440nm〜460nmにおける発光の最大強度よりも低くすることにより、良好な輝尽発光特性を有する蛍光体層14を得ることができる。
【0019】
本発明は、上記知見を基に成されたものであり、真空成膜法による蛍光体層14を有する蛍光体シート10において、蛍光体層14のCLの490nm〜510nmにおける発光の最大強度を、440nm〜460nmにおける発光の最大強度より低くすることにより、好ましくは70%以下、特に50%以下とすることにより、輝尽発光特性に優れる高感度な蛍光体シート10を実現している。
従って、本発明の蛍光体シート10によれば、例えば、前述のFCR等の医療用測定装置に利用した際に、X線被爆量を低減して、被検者の負担を大幅に低減することができる。
【0020】
なお、本発明において、CLの測定方法には、特に限定はなく、例えば、市販のカソードルミネッセンス分光装置を用いればよい。
また、測定温度や加速電圧などの測定条件にも、特に条件は無く、例えば、室温で、使用するカソードルミネッセンス分光装置に応じた条件を、適宜、設定すればよい。
【0021】
本発明の蛍光体シート10において、蛍光体層14の成膜方法には、特に限定はなく、スパッタリング、CVD、真空蒸着など、各種の真空成膜法が利用可能である。
また、成膜材料にも、特に限定はなく、蛍光体層の組成に応じて、蛍光体を含有する材料、および、付活剤を含有する材料(付活剤単体を含む)を、適宜、選択すればよい。
【0022】
ここで、前述のように、蛍光体シート10の蛍光体層14の厚さは、50μm以上、特に、200μm以上が好ましく、通常の真空成膜法による薄膜に比して、非常に厚い膜を成膜する必要ある。そのため、生産性等の点で、真空蒸着を利用するのが好ましい。
また、前述のように、付活剤(ユーロピウム)は、蛍光体に比して、非常に微量である。そのため、付活剤の添加精度や分散状態など、蛍光体層の組成や特性等の点で、付活剤の材料と、蛍光体の材料とを別々に加熱蒸発する二元以上の多元の真空蒸着が好ましい。特に、両材料の蒸発位置を近接でき、その結果、再生画像の鮮鋭性など特性の優れた蛍光体層を成膜できる上に、十分な成膜速度も確保できるという点で、付活剤の材料を抵抗加熱で蒸発し、蛍光体の材料を電子線加熱で蒸発する、二元以上の多元の真空蒸着が好ましい。
【0023】
また、輝尽発光特性や画像の鮮鋭性等に優れた蛍光体層を成膜できる、別の好ましい成膜方法として、一元の真空蒸着、より好ましくは多元の真空蒸着において、全ての成膜材料の加熱手段として抵抗加熱を用い、好ましくは成膜系内を1×10−3Paを超える(下まわる)ような高い真空度に排気した後、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスを導入して成膜系内を0.01Pa〜3Pa程度の中真空度として、この中真空度での抵抗加熱蒸着で蛍光体層を成膜する方法も、好適に例示される。
【0024】
前述のように、蛍光体はCsBr:Euが好ましく、この際には、臭化セシウム(CsBr)および臭化ユーロピウム(EuBrx (xは、通常、2〜3))を成膜材料として、臭化セシウムを電子線加熱で、臭化ユーロピウムを抵抗加熱で、それぞれ蒸発する真空蒸着を行って、もしくは、全成膜材料の加熱を抵抗加熱で行い前記中真空で真空蒸着を行って、基板12にCsBr:Euを蓄積性蛍光体とする蛍光体層14を成膜するのが好ましい。
なお、成膜材料となる臭化ユーロピウムは、市販の臭化ユーロピウムを使用してもよいが、さらに、臭素ガス中において溶融処理を施して、上記xをできる限り2に近づけたものを用いるのが好ましい。
【0025】
ここで、一例として、成膜条件の調整や後処理によって、形成する蛍光体層のCL特性を調整することができる。
形成する蛍光体層のCL特性の調整は、形成する蛍光体層の組成等に応じて、適宜、決定すればよい。一例として、何れの成膜方法を用いる場合でも、前述のCL特性を有する蛍光体層14を形成するために、蛍光体層14の成膜中に、基板加熱やイオン照射などを行って、蛍光体層14にエネルギを印加しつつ成膜を行うのが好ましい。また、蛍光体層14の成膜後に、アニーリング処理(後加熱処理)を行うのも、好ましい。
なお、エネルギ印加やアニーリングの条件は、形成する蛍光体層14の組成や、成膜条件等に応じて、適宜、設定すればよい。例えば、成膜中の基板加熱であれば、加熱温度は300℃以下、さらには200℃以下とするのが好ましい。
【0026】
以上、本発明の蓄積性蛍光体シートについて、詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の変更や改良を行ってもよいのは、もちろんである。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、この実施例に限定されないのは、言うまでもない。
[実施例1]
付活剤の成膜材料として臭化ユーロピウムを、蛍光体の成膜材料として臭化セシウムを、それぞれ用いる二元の真空蒸着によって、ガラス製の基板12の表面にCsBr:Euからなる蛍光体層14を成膜して、図1に示されるような蛍光体シート10を作成した。
臭化ユーロピウムの加熱は、タンタル製のルツボと、出力3kWのDC電源とを用いる抵抗加熱装置で行った。他方、臭化セシウムの加熱は、出力10kWの270°偏向銃による電子線加熱で行った。
【0028】
真空蒸着装置(真空チャンバ)の基板ホルダに基板12をセットし、また、所定位置に各成膜材料をセットした後、真空チャンバを閉塞し、排気を開始した。排気は、ディフュージョンポンプおよびクライオコイルを用いた。
真空度が6×10−4Paとなった時点で、EB加速電圧−4kV、エミッション電流250mA(蒸着速度約200nm/sec相当)で臭化セシウムを、抵抗加熱150A(同約1nm/sec相当)で臭化ユーロピウムを、それぞれ加熱して、真空蒸着を行い、約500μmの蛍光体層14(CsBr:Eu)を成膜した。
成膜中は、基板ホルダを加熱することにより、基板12の加熱を行った。
【0029】
次いで、成膜を終了した蛍光体シートに、窒素雰囲気下で2時間のアニーリング処理を行い、蛍光体シートを作製した。
【0030】
このような蛍光体シートの作製を、成膜中の基板加熱条件(基板加熱なし、基板加熱100℃、同200℃、および同300℃)、ならびに、アニーリング条件(アニーリングなし、100℃でアニーリング、同200℃、および同300℃)のみを変更して、種々、行い、基板加熱条件およびアニーリング条件の組み合わせで、合計16種の蛍光体シートを作製した。
【0031】
作製した各蛍光体シートについて、市販のCL(カソードルミネッセンス)分光装置を用い、室温で、2mmの分光器スリットを用いて、加速電圧10kVでCLを測定し、490nm〜510nmにおける発光の最大強度と、440nm〜460nmにおける発光の最大強度とを比較した。
【0032】
各蛍光体シートの両波長におけるCL発光の最大強度の比較結果を、下記表1に示す。
なお、表1において、「◎」は、490nm〜510nmにおけるCL発光の最大強度が、440nm〜460nmにおけるCL発光の最大強度の50%以下である蛍光体シートを; 「○」は、同50%超70%以下である蛍光体シートを; 「△」は、同70%超90%以下である蛍光体シートを; 「×」は、同90%超である蛍光体シートを; それぞれ示している。
【0033】
【表1】
Figure 2004144735
【0034】
これらの各蛍光体シートについて、輝尽発光特性を評価した。
その結果、表1における◎の蛍光体シートは、非常に良好な輝尽発光特性を、同○の蛍光体シートは良好な輝尽発光特性を、それぞれ有するものであった。また、表1における△の蛍光体シートは、○に比して劣るものの、実用上は問題のない輝尽発光特性を有するものであった。さらに、表1における×の蛍光体シートの輝尽発光特性は、実用上問題を有するものであった。
【0035】
[実施例2]
付活剤の成膜材料として臭化ユーロピウムを、蛍光体の成膜材料として臭化セシウムを、それぞれ用いる二元の真空蒸着によって、ガラス製の基板12の表面にCsBr:Euからなる蛍光体層14を成膜して、図1に示されるような蛍光体シート10を作成した。
両成膜材料共に、加熱は、タンタル製のルツボと出力6kWのDC電源とを用いる抵抗加熱装置で行った。
【0036】
真空蒸着装置(真空チャンバ)の基板ホルダに基板12をセットし、また、所定位置に各成膜材料をセットした後、真空チャンバを閉塞し、排気を開始した。排気は、ディフュージョンポンプおよびクライオコイルを用いた。
真空度が8×10−4Paとなった時点で、真空チャンバ内にアルゴンガスを導入して真空度を0.5Paとし、次いで、DC電源を駆動して成膜材料を充填したルツボに通電し、基板12の表面に抵抗加熱による蛍光体層14(CsBr:Eu)の成膜を開始した。
なお、蛍光体層におけるEu/Csのモル濃度比が0.003:1、かつ、成膜速度が8μm/mmとなるように、両ルツボのDC電源の出力を調節した。
また、成膜中は、ハロゲンランプを用いて基板12(成膜面)の表面を直接加熱した。
【0037】
蛍光体層14の膜厚が600μmとなった時点で、成膜を終了し、真空チャンバから蛍光体シート(蛍光体層14を成膜した基板12)を取り出した。
次いで、成膜を終了した蛍光体シートに、窒素雰囲気下で2時間のアニーリング処理を行い、蛍光体シートを作製した。
【0038】
このような蛍光体シートの作製を、同様に、成膜中の基板加熱条件(基板加熱50℃、同80℃、同120℃、同180℃、および同250℃)、ならびに、アニーリング条件(アニーリングなし、150℃でアニーリング、同200℃、および同250℃)のみを変更して、種々、行い、基板加熱条件およびアニーリング条件の組み合わせで、合計20種の蛍光体シートを作製した。
【0039】
作製した各蛍光体シートについて、市販のCL(カソードルミネッセンス)分光装置を用い、室温で、500μmの分光器スリットを用いて、加速電圧20kVでCLを測定し、490nm〜510nmにおける発光の最大強度と、440nm〜460nmにおける発光の最大強度とを比較した。
各蛍光体シートの両波長におけるCL発光の最大強度の比較結果を、下記表2に示す。なお、表2における「◎」、「○」、「△」および「×」の各評価は、前記表1と同様である。
【0040】
【表2】
Figure 2004144735
【0041】
また、これらの各蛍光体シートについて、同様に輝尽発光特性を評価したところ、「◎」、「○」、「△」および「×」の何れの蛍光体シートでも、実施例1と同様の結果が得られた。
以上の結果より、本発明の効果は、明らかである。
【0042】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、蓄積性蛍光体シートのカソードルミネッセンスを所定の状態にしているので、良好な輝尽発光特性を有する高感度な蛍光体シートであり、例えば、FCRなどの放射線画像記録再生システムにおいて、X線の被爆量を減らして、被検者の負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蓄積性蛍光体シートの一例の概念図である。
【符号の説明】
10 (蓄積性)蛍光体シート
12 基板
14 (蓄積性)蛍光体層

Claims (1)

  1. 真空成膜法による蓄積性蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートであって、
    前記蓄積性蛍光体層が、ユーロピウムで付活された臭化セシウム系蓄積性蛍光体を主成分とするものであり、かつ、前記蓄積性蛍光体層に電子線を照射した際に、490nm〜510nmの発光の最大強度が、440nm〜460nmの発光の最大強度より低いことを特徴とする蓄積性蛍光体シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014059318A (ja) * 2007-03-16 2014-04-03 Konica Minolta Inc 放射線画像変換パネル

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