JP2004144642A - 流量計測装置およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】異常判定制御回路40が、第1の温度範囲およびそれよりも広い所定の温度領域に設定された第2の温度範囲と、計測されたガスの温度とを比較して、ガスの温度が第1温度範囲を逸脱しているか否かを判定し、第1の温度範囲を逸脱していると判定された場合には警報を発し、さらに第2の温度範囲をも逸脱していると判定された場合には遮断弁94を閉じてガス導通を遮断する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は流量計測装置およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスメータは、燃料用の可燃ガス(以下、単に「ガス」という。)の流量(消費量)に対応した、いわゆる従量制の料金を算出するために、それらの資源を消費または利用する各ユーザーの住居または店舗ごとに設置されている。近年では、いわゆるマイコン(マイクロコンピュータ)を用いた簡易な制御回路を内蔵すると共に、圧力異常、微少流量漏洩または地震発生などの異常が発生した場合に異常を表す情報などを表示するLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)からなる表示部などを備えたガスメータが実用化されている。
【0003】
このようなガスメータでは一般に、所定の精度で流量計測が可能である適正温度範囲が各種のガスメータごとで定められている。また、ガスメータとしての流量計測機能や保安機能等が正常に機能することができる動作保証温度範囲が各種のガスメータごとで定められている。
【0004】
ガスメータが設置された場所の環境温度が、上記のような適正温度範囲や動作保証温度範囲を逸脱すると、ガスメータとして正常に機能することができなくなったり、所定の精度で流量計測を行うことができなくなったりするなどの不都合が生じる。例えば、極寒波が到来してガスメータの設置されている位置の温度が著しく低下して、適正範囲の最低温度よりもさらに低温になった場合などには、遮断弁が凍り付いてしまい保安機能が正常には機能しなくなることや、膜式流量計や超音波流量計のような流量計測器がその計測精度を確保できる所定の温度条件外で流量を計測しなければならなくなることに起因して、大幅な計測誤差を生じるなどして良好な精度で流量を計測することができなくなる。
【0005】
例えば超音波を計測対象のガスに伝播させてそのときの伝播時間または伝播速度に基づいてガスの流量または流速を計測するという、いわゆる超音波伝播方式のガスメータの場合には、温度変化に起因して音速や超音波センサの感度等が有意に変化する傾向にあるので、計測対象のガスの温度が所定の適正温度範囲を逸脱している状態の場合には、正確な計測ができなくなる場合がある。また、例えばガスメータを通って下流のユーザーへと供給されるガスに空気が混入してガスの組成が所定の組成から逸脱したものとなっている場合などにも、正確な計測ができなくなる場合がある。
【0006】
あるいは、いわゆるマイコンメータには一般に、その全体的な動作を行うための電源としてリチウム一次電池のような長寿命型の電池が用いられているが、電池は一般に、使用環境温度(電池を使用する際の周囲の温度)が余りにも低下すると、起電力が著しく低下してしまう傾向にある。また逆に、使用環境が高温多湿であると、いわゆる自然放電が助長されて、寿命が短くなってしまう傾向にある。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−243511号公報(第0013段落ないし第0048段落)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のガスメータでは、上記のような温度が所定の適正範囲から逸脱した場合にその旨の警報を出力したり正確な流量計測や保安機能の継続が不可能であるとして遮断弁を閉じてガスの供給を停止したりするといった判定や対処を行う有効な手立ては提案も実用化もされていなかった。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、計測対象の流体や使用環境温度が適正な温度範囲を逸脱した場合にはそれを自動的に判定し、その判定に基づいて、その旨の警報の出力、あるいはさらにガスのような計測対象の流体の遮断やそれに伴う流量計測の停止を自動的に行うことを可能とする流量計測装置およびその制御方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の流量計測装置は、計測対象の流体の流量を計測する流量計測手段を有する流量計測装置において、前記流体の温度を計測する温度計測手段と、前記温度計測手段によって計測された前記流体の温度を、前記流量の計測精度を保証可能な所定の温度範囲と比較して、前記流体の温度が前記所定の温度範囲を逸脱しているか否かを判定する異常判定手段と、前記流体の温度が前記所定の温度範囲を逸脱していると前記異常判定手段によって判定された場合には、その旨の警報を出力する警報出力手段とを備えている。
【0011】
本発明による第1の流量計測装置では、異常判定手段が、温度計測手段によって計測された流体の温度を、流量計測精度を保証可能な所定の温度範囲と比較して、その流体の温度が所定の温度範囲を逸脱しているか否かを判定する。その比較の結果、流体の温度が所定の温度範囲を逸脱していると判定された場合には、その旨の警報を警報出力手段によって出力する。
【0012】
ここで、上記の警報出力手段が出力する警報の具体的な態様としては、例えばLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)のような表示灯を上記のような温度異常が生じた旨を示す所定のシグナル(点滅方法)で点滅させるようにしてもよく、またはドットマトリックス表示方式の液晶表示パネルの画面に「(低温または高温などの)温度異常が発生している」旨の文字情報または画像情報などを表示することなどが可能であることは言うまでもない。あるいは、「温度異常が発生している」旨の文字情報を信号化してなる電気信号を、当該流量計測装置に接続された通信手段および通信網等を介して外部のユーザーなどに出力するようにしてもよい。
【0013】
なお、前記流体の導通を遮断可能な弁体を有する遮断弁をさらに備えており、前記異常判定手段が、さらに、前記流量の計測精度を保証可能な所定の温度範囲を第1の温度範囲としてその第1の温度範囲を含んでその第1の温度範囲よりも広い所定の温度領域に設定された第2の温度範囲と前記温度計測手段によって計測された前記流体の温度とを比較して、前記流体の温度が前記所定の温度範囲を逸脱しているか否かを判定し、前記流体の温度が前記所定の温度範囲を逸脱していると判定された場合には、前記遮断弁を閉じて前記流体の導通を遮断する制御を行うようにしてもよい。
【0014】
すなわち、計測対象の流体の温度が、第1の温度範囲を逸脱しているがそれよりも広い範囲に設定された第2の温度範囲内には入っている場合には、第1の温度異常が生じたものとして、その第1の温度異常状態に対する対策として予め定められた警報を出力する。しかし計測対象の流体の温度がさらに大幅に正常な範囲から逸脱して、第1の温度範囲よりも広い範囲に設定された第2の温度範囲をも逸脱したものとなっている場合には、前述の第1の温度異常状態よりもさらに顕著な温度異常状態である第2の温度異常状態に対する対策として予め定められている、遮断弁による流体の流れの遮断を行う。このようにすることにより、異常の程度がより小さい第1の温度異常状態が発生した場合には、それを自動的に検知(判定)して、その旨の警報を出力するに止め、それよりも異常の程度がより大きな第2の温度異常状態が発生した場合には、それを自動的に検知して、さらに流体の遮断を行うようにすることができ、温度異常の程度に応じた、より適切な対処が可能となる。
【0015】
また、前記流量計測手段は、所定の計測デューティで前記計測対象の流体に音波を伝播させて、そのときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の流量または流速を計測し、かつ前記流体の流量または流速の計測デューティまたはそれ以外のオフデューティ期間中に前記流体に前記音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の温度を計測する温度計測手段としての機能も兼備するものとしてもよい。
【0016】
このようにすることで、流量計測装置またはその制御プロセスの全体的な構成を繁雑化することなく、計測対象の流体の温度計測を行うことが可能となる。
【0017】
本発明による第2の流量計測装置は、計測対象の流体の流量を計測する流量計測手段を有する流量計測装置において、前記流体に音波を伝播させてそのときの前記音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体中の音速またはその音速計測に際しての前記音波の送受信時のゲインを計測する音速計測手段と、前記音速計測手段によって計測された前記音速または前記ゲインを、前記流体の正常な組成に対応して予め定められた所定の範囲と比較して、前記音速またはゲインが所定の範囲内にあるか否かを判定することで、前記流体の組成が前記正常な組成を逸脱した異常な組成であるか否かを判定する異常判定手段とを備えている。
【0018】
本発明による第2の流量計測装置では、音速計測手段が計測対象の流体に音波を伝播させてそのときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて流体中の音速またはその音速計測に際しての音波の送受信時のゲインを計測し、その計測結果の音速またはゲインを、異常判定手段が流体の正常な組成に対応して予め定められた所定の範囲と比較して、音速またはゲインが所定の範囲内にあるか否かを判定することで、流体の組成が前記正常な組成を逸脱した異常な組成であるか否かを判定する。
【0019】
すなわち、計測対象の流体の組成が有意に異なっている場合、その流体に超音波のような音波を伝播させたときの音速またはその音波の送受の際の音波センサによって受信される音波のゲインが異なったものとなる。このような物理現象を用いて、異常判定手段は、流体の組成が前記正常な組成を逸脱した異常な組成であるか否かを判定する。
【0020】
なお、前記流量計測手段が、所定の計測デューティで前記計測対象の流体に音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の流量または流速を計測し、かつ前記流体の流量または流速の計測デューティまたはそれ以外のオフデューティ期間中に前記流体に前記音波を伝播させたときの音速またはゲインに基づいて前記異常判定手段が前記流体の組成を判定するという前記音速計測手段としての機能も兼備するものであるようにすることが望ましい。このようにすることにより、音速計測手段を流量計測手段とは別段に設けなくともよくなるので、流量計測装置またはその制御プロセスの全体的な構成を繁雑化することなく、計測対象の流体の音速計測を行うことが可能となる。
【0021】
また、前記流量計測手段が、前記流体に前記音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の温度を計測する温度計測手段としての機能も兼備するものであり、かつ前記流量計測手段とは独立して別個の温度計測手段をさらに備えており、前記異常判定手段が、前記流量計測手段による温度計測機能で計測された前記流体の温度の計測結果と、前記流量計測手段とは独立した別個の温度計測手段によって計測された前記流体の温度の計測結果とを比較して、所定以上の差異が生じている場合には、前記流量計測手段または前記温度計測手段に異常が生じたかまたは前記流体の組成に異常が生じたものと判定する機能を、さらに備えるようにしてもよい。
【0022】
このようにすることにより、計測対象の温度が実際に異常な状態になっているのか、あるいは流量計測手段または温度計測手段のうち少なくといずれか一方が故障のような異常な状態になっているのかを、当該流量計測装置の異常判定手段が自動的に判定することができる。
【0023】
本発明による第3の流量計測装置は、所定の計測デューティで前記計測対象の流体に音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の流量または流速を計測し、かつ前記流体の流量または流速の計測デューティまたはそれ以外のオフデューティ期間中に前記流体に前記音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の温度を計測する温度計測手段としても兼用される流量計測手段と、当該流量計測装置としての動作を行うために用いられる電源電力を供給する電池と、前記電池の端子間電圧を所定の最低しきい値電圧と比較して、前記電池の起電力低下を検知する電池電圧低下検知手段とを有する流量計測装置において、前記電池電圧低下検知手段が、前記流量計測手段を温度計測手段として用いて前記流体の温度を計測し、前記温度が所定の温度範囲を逸脱した場合には、その後、前記最低しきい値電圧を、より高い所定の電圧値に変更する。
【0024】
本発明による第3の流量計測装置では、流量計測手段が、流体の流量または流速を計測する機能と流体の温度を計測する機能とを兼備しているので、その装置構成および制御プロセス構成が簡易なものとなっており、かつ電池電圧低下検知手段が、流量計測手段を温度計測手段として用いて流体の温度を計測し、その計測された温度が所定の温度範囲を逸脱している場合には、その後、起電力低下を検知(判定)するための最低しきい値電圧を、それ以前よりも高い所定の電圧値に変更することで、温度の異常低下や異常上昇に起因した電池の起電力低下や短命化に対処して、より正確な電池電圧低下検知を行うことが可能となる。
【0025】
本発明による第4の流量計測装置は、所定の計測デューティで前記計測対象の流体に音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の流量または流速を計測し、かつ前記流体の流量または流速の計測デューティまたはそれ以外のオフデューティ期間中に前記流体に前記音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の温度を計測する温度計測手段としても兼用される流量計測手段と、当該流量計測装置としての動作を行うために用いられる電源電力を供給する電池と、前記電池の端子間電圧を所定の頻度で所定の最低しきい値電圧と比較して、前記電池の起電力低下を検知する電池電圧低下検知手段とを有する流量計測装置において、前記電池電圧低下検知手段が、前記流量計測手段を温度計測手段として用いて前記流体の温度を計測し、前記温度が所定の温度範囲を逸脱した場合には、その後、前記電池の端子間電圧を前記最低しきい値電圧と比較する頻度を、より高い所定の頻度に変更する。
【0026】
本発明による第4の流量計測装置では、流量計測手段が、流体の流量または流速を計測する機能と流体の温度を計測する機能とを兼備しているので、その装置構成および制御プロセス構成が簡易なものとなっており、かつ電池電圧低下検知手段が、流量計測手段を温度計測手段として用いて流体の温度を計測し、その計測された温度が所定の温度範囲を逸脱している場合には、その後、起電力低下を検知(判定)するための比較の頻度を、それ以前よりも高い頻度に変更することで、温度の異常低下や異常上昇に起因した電池の起電力低下や短命化に対処して、より確実な電池電圧低下検知を行うことが可能となる。
【0027】
なお、上記の第3の流量計測装置および第4の流量計測装置は、一つに纏めて、前記電池電圧低下検知手段が、前記流量計測手段を温度計測手段として用いて前記流体の温度を計測し、前記温度が所定の温度範囲を逸脱した場合には、その後、前記最低しきい値電圧を、より高い所定の電圧値に変更すると共に、前記電池の端子間電圧を前記最低しきい値電圧と比較する頻度を、より高い所定の頻度に変更する、というように機能するものとすることも可能である。
【0028】
すなわち、所定の計測デューティで前記計測対象の流体に音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の流量または流速を計測し、かつ前記流体の流量または流速の計測デューティまたはそれ以外のオフデューティ期間中に前記流体に前記音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の温度を計測する温度計測手段としても兼用される流量計測手段と、当該流量計測装置としての動作を行うために用いられる電源電力を供給する電池と、前記電池の端子間電圧を所定の最低しきい値電圧と比較して、前記電池の起電力低下を検知する電池電圧低下検知手段とを有する流量計測装置において、前記電池電圧低下検知手段が、前記流量計測手段を温度計測手段として用いて前記流体の温度を計測し、前記温度が所定の温度範囲を逸脱した場合には、その後、前記最低しきい値電圧を、より高い所定の電圧値に変更すると共に、前記電池の端子間電圧を前記最低しきい値電圧と比較する頻度を、より高い所定の頻度に変更するようにしてもよい。
【0029】
また、本発明による第5の流量計測装置は、所定の計測デューティで前記計測対象の流体に音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の流量または流速を計測し、かつ前記流体の流量または流速の計測デューティまたはそれ以外のオフデューティ期間中に前記流体に前記音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の温度を計測する温度計測手段としても兼用される流量計測手段と、当該流量計測装置としての動作を行うために用いられる電源電力を供給する電池と、前記電池の端子間電圧を所定の最低しきい値電圧と比較して、前記電池の起電力低下を検知し、その起電力低下が検知されたとき以降の前記電池の寿命予測日数の情報を出力する電池電圧低下検知手段とを有する流量計測装置において、前記電池電圧低下検知手段が、前記流量計測手段を温度計測手段として用いて前記流体の温度を計測し、前記温度が所定の温度範囲を逸脱している場合には、その後、前記電池の寿命予測日数を、より短い日数に変更する。
【0030】
本発明による第5の流量計測装置では、電池電圧低下検知手段が、流量計測手段を温度計測手段として用いて計測された流体の温度を所定の温度範囲と比較して、流体の温度が所定の温度範囲を逸脱している場合には、そのような異常な高温状態または低温状態に起因して、電池の寿命が短命化する確率が高いことから、その後、電池の寿命予測日数を、より短い日数に変更する。このように異常な温度状態の発生に対応して電池の寿命予測日数をより短い日数に変更することにより、さらに正確な電池の寿命日数の予測が可能となる。
【0031】
なお、電池電圧低下検知手段によって上記のようにして決定された寿命予測日数は、例えばLEDのような表示灯を寿命予測日数に対応して信号化された所定のシグナル(点滅方法)で点滅させるようにしてもよく、またはドットマトリックス表示方式の液晶表示パネルの画面に寿命予測日数の文字(数字)情報または画像情報などを表示することなどが可能であることは言うまでもない。あるいは寿命予測日数の文字(数字)情報を信号化してなる電気信号を、当該流量計測装置に接続された通信手段および通信網等を介して外部のユーザーの受信装置などに出力(送出)するようにしてもよい。
【0032】
ここで、上記の流体が可燃性のガスであり、上記の流量計測手段がガスの流量を計測するものであり、上記の流量計測装置が実質的にガスメータとして機能するものであるようにしてもよい。すなわち本発明による流量計測装置は特にガスメータとして好適なものである。但し、これのみには限定されないことは言うまでもなく、その他にも、例えば所定の2点間を通過する自然風の流速を計測するための流速計測装置などにも利用可能である。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0034】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1ないし第3の実施の形態に係る流量計測装置であるガスメータの概要構成を表したものである。なお、本発明に係る制御方法は、このガスメータに組み込まれて用いられる異常判定制御回路によってその主要な部分が具現化されるものであるから、以下、それらを併せて説明する。
【0035】
このガスメータは、ガスを利用可能な一般住宅やビルなどの家屋ごとに設置され、ガスの流量積算値(ガス使用量)の計量(計測)機能、保安機能、自動検針機能などを備えたマイコンメータで、流路21を流れるガスの流量値を計測するために所定の超音波をガスに伝播させる超音波センサ22A,22Bを有する超音波伝播時間計測部20と、流量値演算部30と、流量値積算部50と、流量積算値表示制御部61と、流量積算値表示部62と、基本動作制御部70と、電池80とを、流量計測およびその積算値の演算を行うための主要部として備えている。
【0036】
さらには、異常判定制御回路40と、流路21の下流に配置される感震器91,圧力センサ92および温度センサ93、流路21の上流に配置される遮断弁94およびこの遮断弁94を駆動する遮断弁駆動機構95、ならびにこれらに直接または間接に接続されて所定の保安機能を実行する保安ユニット90と、流量積算値の検針情報やガスメータが遮断状態にある等の情報をガス会社の管理センタとの間で送受信するための通信ユニット100と、一般的なガスメータとしての流量計測や保安機能を果たすための各種制御を行う基本動作制御部70を構成するマイコンの暴走などを監視するマイコン停止検出ユニット110と、このマイコン停止検出ユニット110に接続された起動・リセット部120と、外部に警報を発する警報部140とを備えている。
【0037】
なお、この他も、遮断復帰を実行するための復帰スイッチ、微少漏洩検知装置など(いずれも図示省略)のようなガスメータとして一般に用いられる各種装置も備えていることは言うまでもない。
【0038】
超音波伝播時間計測部20の超音波センサ22A,22Bは、流路21を流れるガスに対して一度の計測デューティ当りに所定の頻度で超音波を上流側から下流側へと伝播させることと、下流側から上流側へと伝播させることとを、交互に所定のタイミングで繰り返すもので、その各々が、送信器としての機能と受信器としての機能とを兼備している。すなわち、超音波センサ22Aが送信器として機能して所定の周波数の超音波を発信するときには、超音波センサ22Bは受信器として機能して所定の周波数帯域の超音波を受信してそれに対応した電気信号を出力するように設定されている。これら超音波センサ22A,22Bは、送受信回路24を介して伝播時間計測・制御部23に接続されている。
【0039】
伝播時間計測・制御部23は、超音波センサ22A,22Bから出力された電気信号に基づいて、上流側から下流側へと超音波を伝播させたときの順方向伝播時間t1 と、下流側から上流側へと音波を伝播させたときの逆方向伝播時間t2 とを計測するものである。また、伝播時間計測・制御部23は、超音波の伝播方向の切り替えおよび超音波発信の繰り返しを制御する機能および所定の周波数の超音波の発振を一度のサンプリングタイミング当りに超音波センサ22A,22Bのうちの一方に行わせるための電気信号の発振を行う機能ならびに他方が受信した超音波に対応して出力した電気信号を電圧増幅する機能を備えたものであり、そのような機能を果たすために用いられる計時用のタイマー等(図示せず)をも備えている。この伝播時間計測・制御部23の流量計測のための基本的なハードウェアおよびその制御ロジック等については、従来の一般的なものと同様のものである。但し、この伝播時間計測・制御部23を含む超音波伝播時間計測部20は、流量計測手段としての機能の他にも、流量の計測デューティ外(流量計測のオフデューティ期間中)に、上記と同様の超音波の伝播を行い、その結果に後述の流量値演算部30で得られる伝播時間t1 ,t2 に基づいて、異常判定制御回路40がそのときのガス中の音速Vcを計測し、さらにその音速Vcに基づいてガスの温度Tgを計測するという、実質的に音速計測手段または温度計測手段としての機能も備えている(この音速計測手段や温度計測手段としての機能については異常判定制御回路40の説明で詳述する)。
【0040】
流量値演算部30は、伝播時間計測・制御部23によって伝播時間t1 ,t2 が計測されるごとに、その伝播時間t1 ,t2 に基づいてそのときの流速値Vを求め、さらにその流速値Vに対応して(例えば有効断面積を乗算するなどして)そのときの計測デューティにおけるガスの瞬間流量値Qを得るものである。この流量値演算部30についても、その流量計測のための基本的なハードウェアおよびその制御ロジック等としては従来の一般的なものを用いることができる。なお、超音波センサ22A,22Bと伝播時間計測・制御部23と送受信回路24とで流量計測手段の計測を物理的に行う実質的な主要部として機能する。
【0041】
流量値積算部50は、流量値演算部30によって複数のサンプリング回数に亘って計測された流量値Qの計測結果に基づいて、積算対象となる平均流量値Qaを求め、その平均流量値Qaのデータを、それまで記憶していた流量積算値ΣQに加算することによって、流量積算値ΣQを得るものである。より具体的には、この流量値積算部50は、例えば平均流量値Qaとして最新の流量値Qnおよびその前回に計測された流量値Qn−1の2回の計測結果の平均値を取るようにすることができる。
【0042】
但し、このような演算方法のみには限定されないことは言うまでもない。例えば、最新の流量値Qnとその前回に計測された流量値Qn−1と前々回に計測された流量値Qn−2との、合計3回分の計測結果の平均値を取ることで平均流量値Qaのデータを算出するようにしてもよい。このように、複数のサンプリング回数に亘って計測された流量値Qn,Qn−1…の計測結果に基づいて流量積算値ΣQを求めるようにすることによって、脈動などの影響を排除して流量積算値ΣQの正確性を確保することができる。
【0043】
流量積算値表示制御部61は、流量値積算部50によって積算された流量積算値ΣQを流量積算値表示部62によって表示させる。流量積算値表示部62は、例えば液晶パネルを用いてなるもので、流量積算値表示制御部61によって制御されて、流量積算値ΣQの値を例えば8セグメント方式で数値表示するように設定されている。
【0044】
基本動作制御部70は、例えばROM(Read Only Memory;図示省略)に格納された、流量値演算部30、流量値積算部50、流量積算値表示制御部61等で実行されるプログラムに基づいて、このガスメータの全体的な流量計測装置としての基本的動作の制御を行う、いわゆるマイコンである。この基本動作制御部70については一般的な超音波伝播方式のマイコンガスメータに用いられるものと同様のものである。
【0045】
電池80は、ガスメータ全体に動作を行うための電力を供給するもので、例えばリチウム電池などのように寿命が7年ないし10年程度のものを好適に用いることができる。
【0046】
感震器91は、所定の強度以上の強い震動の発生を検知して地震が発生したことを判定するものである。
【0047】
圧力センサ92は、流路21中を流れるガスの圧力Pを計測するものである。この圧力センサ92は、例えば圧力によって生じた歪みに対応した電圧を発生する圧電膜センサなどを含んで構成されている。この圧力センサ92で計測された圧力Pの情報を担持してなる信号は、保安ユニット90、異常判定制御回路40等へと送出される。
【0048】
温度センサ93は、流路21を流れるガスの温度を計測するものである。この温度センサ93は、例えば流路21の内部に配設されており、熱電式センサ(熱電対)、抵抗式センサ(金属測温抵抗体)、サーミスタ式センサ、半導体センサなどを含んで構成されて、温度に対応した電気信号を出力するように設定されている。この温度センサ93で計測された温度に対応した電気信号は、例えば保安ユニット90に対して送出される。
【0049】
保安ユニット90は、感震器91からの信号、圧力センサ92によって計測された圧力P、および温度センサ93によって計測された温度に基づいて、ガスの使用状態またはガスメータが設置されている環境が、ガスの利用に際して危険な状態であるものとあらかじめ定められた状態になっているか否かを判定し、危険な状態となっていると判定した場合には、弁駆動信号を出力して遮断弁駆動機構95によって遮断弁94の弁体(図示省略)を閉じてガスの流れを閉止させることでガスの供給を遮断するというような、所定の保安動作を行うための各種の状態検知および危険状態の判定、ならびにその判定結果に基づいて遮断弁94の駆動制御を行うものである。
【0050】
通信ユニット100は、例えば電話回線または専用回線等の通信回線(図示せず)を介してガス会社の管理センターとの間で検針データなどの情報を送受信する通信機能を実行するものである。この通信ユニット100は、例えば、図示しないがガスメータ専用に設けられた端末モデム装置であるT−NCU(Terminalnetwork control unit )を含んで構成され、このT−NCUを介して通信回線(図示せず)にアクセスすることができるように設定されている。また、この通信ユニット100は、ガス会社の管理センタ側からガスメータにアクセスし、遮断弁94の開閉動作やガス使用量計測動作などを遠隔操作的に制御したり、ガスメータの状態を監視したりすることなども可能なものとなっている。
【0051】
マイコン停止検出ユニット110は、基本動作制御部70を構成するマイコンの暴走や停止のような不具合の監視を行うものである。起動・リセット部120は、その起動およびリセットを行うものである。
【0052】
警報部140は、例えば発光ダイオード等からなる警告ランプ(図示せず)を備えており、上記の保安ユニット90によって、ガスの使用状態またはガスメータが設置されている環境が例えば地震発生あるいはガス漏洩発生のような危険な状態となっているとの判定が下された場合に、その旨の警報をその棄権の種類に応じた所定の点滅パターンで点滅表示を行うように設定されている。また、後述するような異常判定制御回路40によって、このガスメータの計測対象であるガスの温度の異常(あるいは間接的には使用環境温度の異常)が生じているとの判定が下された場合に、その旨の警報として前述のような種類の危険状態に対応した警報とは異った所定の点滅パターンで区別できるような点滅表示を行うように設定されている。なお、この警報部140は、通信ユニット100を介して危険な状態が発生している旨の情報や、遮断弁94等に異常が発生している旨の情報を、ガス事業者の管理センターに送信することができるように設定されていることが望ましい。
【0053】
異常判定制御回路40は、超音波伝播時間計測部20の温度計測手段としての機能によって、流量計測デューティ以外のオフデューティ期間中に、ガスに超音波を伝播させて得られた超音波の伝播時間t1 ,t2に基づいて、ガスの温度Tgを演算し、その温度Tgを、第1の温度範囲(T1L≦T≦T1H)および第2の温度範囲(T2L≦T≦T2H)と比較する。そしてその比較の結果、ガスの温度Tgが、図2に模式的に示したように、第1の温度範囲を逸脱しているがそれよりも広い範囲に設定された第2の温度範囲内には入っている場合には、第1の温度異常が生じたものと判定し、その第1の温度異常状態に対する対策として予め定められた表示方法(LEDの点滅方法など)で、警報部140に警報を出力させる。あるいはこのときガスの温度Tgがさらに大幅に正常な範囲から逸脱していて、第1の温度範囲よりも広い範囲に設定された第2の温度範囲(T2L≦T≦T2H;但しT2L<T1L<T1H<T2H)をも逸脱したものとなっている場合には(Tg<T2L,またはT2H<Tg)、前述の第1の温度異常状態よりもさらに顕著な温度異常状態である第2の温度異常状態に対する対策として予め定められた対策である遮断弁94によるガスの流れの遮断を行う。
【0054】
より詳細には、超音波伝播時間計測部20の温度計測手段としての機能によって流量計測デューティ以外のオフデューティ期間中に計測された伝播時間t1 ,t2に基づいて、まず、そのときのガスの流速Vをキャンセルした静止状態での(流速Vの影響を含まない)音速Vcを求める。すなわち、ここに超音波の伝播距離をL,ガスの流速をV,音速をVcとすると、ガスの流れの方向での順方向伝播時間t1 は、t1 =L/(Vc+V),ガスの流れとは逆方向での逆方向伝播時間t2 は、t2 =L/(Vc−V)である。これらの式を変形して辺々加えれば、2Vc=L/t1 +L/t2 となるから、流速Vの影響を含まない(Vをキャンセルした静止状態としての)音速Vcは、伝播時間t1 ,t2に基づいて、Vc=(L/t1 +L/t2 )/2 という計算式に基づいて算出することができる。
【0055】
そして、このようにしてガス中での音速Vcが算出されると、その音速Vcの値に基づいて、そのときのガスの温度を算出することができる。すなわち、音波を伝播させたときのガスのような気体からなる媒質の温度Tgと音速Vcとの関係は一般に、Vc=V0+kTgが成り立つ。ここに、V0は媒質中の0℃での音速、kはガス種ごとに定まる比例定数である。例えば媒質が空気の場合には、V0=331.5℃程度、k=0.6程度である。このような関係式に基づいて、ガス中での音速Vcからそのときのガスの温度Tgを逆算することができる(Tg=(Vc−V0)/k)。
【0056】
このようにして、異常判定制御回路40では、異常の程度が小さい第1の温度異常状態が発生した場合には(T2L≦Tg<T1L,またはT1H<Tg≦T2H)、それを自動的に検知(判定)して、その旨の警報を出力し、それよりも異常の程度が大きな第2の温度異常状態が発生した場合には(Tg<T2L<T1L,またはT1H<T2H<Tg)、それを自動的に検知して、遮断弁94の弁体を閉じてガスの遮断を行って、温度異常の程度に応じた適切な対処を行うことができる。また、超音波伝播時間計測部20を温度計測手段のセンサとしても兼用しているので、ガスメータの全体的な構成の繁雑化を回避して簡易化・小型化を実現することができる。
【0057】
ここで、上記の警報出力手段が出力する警報の具体的な態様としては、例えばLEDのような表示灯を上記のような温度異常が生じた旨を示す所定のシグナル(点滅方法)で点滅させるようにしてもよく、またはドットマトリックス表示方式の液晶表示パネルの画面に「低温(または高温)の温度異常が発生しています」といった文字情報を表示すること、あるいはその旨を視認しやすい画像で表示することなどが可能である。あるいは、「温度異常が発生している」旨およびその温度異常が発生しているガスメータの識別番号の文字情報を信号化してなる電気信号を、当該ガスメータに接続された通信ユニット100および通信網等(図示省略)を介して外部のガス管理会社などに出力することなども可能である。
【0058】
次に、本発明の第1の実施の形態に係るガスメータの動作について、特に異常判定制御回路40の動作を中心として説明する。なお、その他の流量計測機能などの一般的な動作については、一般的なガスメータにおけるものと同様であるから、それらの詳細な説明は省略する。
【0059】
図3の流れ図に概要を示したように、まず、流量計測デューティ以外のオフデューティ期間になると(S1のY)、超音波伝播時間計測部20の温度計測手段としての機能によってガスに超音波を伝播させて、その超音波の伝播時間t1 ,t2を計測する(S2)。なお、このときのサンプリング頻度は1回のオフデューティ期間当りに1回でもよく、あるいは複数回のサンプリングを行ってその平均値を求めるようにしてもよいことは言うまでもない。ここで、流量計測デューティ期間中は一般的な流量計測を行うことは言うまでもない(図示省略)。
【0060】
続いて、このとき計測された伝播時間t1 ,t2に基づいて、ガスの温度Tgを演算し、その温度Tgを第1の温度範囲(T1L≦T≦T1H)と比較する(S3)。
【0061】
このとき温度Tgが第1の温度範囲(T1L≦T≦T1H)内にある場合には(S3のY)、異常判定制御回路40はガスの温度が正常な範囲内にあるとの判定を下す(S4)。
【0062】
しかし温度Tgが第1の温度範囲(T1L≦T≦T1H)を逸脱している場合には(S3のN)、異常判定制御回路40は、さらに温度Tgを第2の温度範囲(T2L≦T≦T2H)と比較して(S5)、温度Tgが第2の温度範囲内にある場合には(S5のY)、第1の温度範囲外ではあるが第2の温度範囲内である状態と定義されている第1の温度異常状態が発生している旨の判定を下して(S6)、その旨の警報またはその第1の温度異常状態に対応して予め定められた警報を、警報部140が出力する(S7)。
【0063】
しかし温度Tgが第2の温度範囲を逸脱している場合には(S5のN)、異常判定制御回路40は、第1の温度範囲外でありかつ第2の温度範囲外である状態と定義されている第2の温度異常状態が発生している旨の判定を下し(S8)、それに基づいて、遮断弁94を遮断する制御を行う(S9)。またそれと共に、第2の温度異常状態が発生している旨の警報またはその第2の温度異常状態に対応して予め定められた警報を、警報部140が出力するようにしてもよい(S10)。
【0064】
ここで、図示は省略するが、遮断弁94が閉じられてガスの供給が遮断された後、それに気付いたユーザーまたは検針者またはガス管理会社の担当者は、遮断が行われた事実および第2の温度異常状態が発生した旨の警報またはその旨の通信されて来た情報などに基づいて、第2の温度異常状態が発生していたことを認識することができるので、それに基づいて、第2の温度異常状態に対する対策を考えたり実施したりすることなどが可能である。
【0065】
以上のようにして、本発明の第1の実施の形態に係るガスメータまたはその制御方法では、ガスメータの構成を簡易なものとしながらも温度異常の発生を自動的に検知(判定)し、かつその温度異常の程度に応じた適切な対処を行うことができる。
【0066】
なお、本実施の形態では、第1の温度範囲および第2の温度範囲は、共に、上限および下限を有する有限な閉領域として設定したが、これのみには限定されないことは言うまでもない。例えば下限のみをT1L=−10℃,T2L=−30℃のような温度範囲に規定して上限については規定しないことや、逆に上限のみをT1H=60℃,T2H=90℃のような温度範囲に規定して下限については規定しないことなども可能である。
【0067】
また、本実施の形態では、流量計測デューティ外のオフデューティ期間中に温度計測や音速計測を行うようにしているが、必ずしもこのように流量計測デューティと温度計測や音速計測のデューティとを分けることのみには限定されないことは言うまでもない。流量計測プロセスと音速計測プロセスとが互いに支障を与え合わなければ、一回の超音波伝播によるサンプリングで計測された伝播時間または伝播速度の情報に基づいて、流量値の計測(ないし算出)プロセスと、音速値あるいは温度値の計測(ないし算出)プロセスとを、並行して進めるようにすることなども可能である。あるいは、音速の計測には、ガスの流量(流速V)が0であるときを見計らって(狙って)行うようにしてもよい。
【0068】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係るガスメータについて説明する。なお、以下の説明では、第1の実施の形態とは異なった動作(機能)を中心として詳述し、第1の実施の形態と同様の動作については、説明の簡潔化を図るために、必要な事項のみを簡略に説明して、その詳述は省略する。
【0069】
この第2の実施の形態に係るガスメータでは、超音波伝播時間計測部20の温度計測手段としての機能によって流量計測デューティ以外のオフデューティ期間中に計測された伝播時間t1 ,t2に基づいて、そのときのガスの流速Vをキャンセルしてなる音速Vcを計測(算出)する。この音速Vcを計測する手法としては第1の実施の形態で説明したものと同様である。そして異常判定制御回路40は、計測された音速Vcまたはそれを計測する際の超音波の送受信時のゲインGを、ガスの正常な組成に対応して予め定められた所定の正常範囲と比較して、音速VcまたはゲインGが所定の範囲内にあるか否かを判定することで、ガス体の組成が前記正常な組成を逸脱した異常な組成であるか否かを判定する。
【0070】
すなわち、図4にその主要なプロセスを示したように、まず、流量計測のオフデューティ期間中に(S1のY)、計測対象のガスに音波を伝播させてそのときの音波の伝播時間または伝播速度を計測し(S2)、その伝播時間または伝播速度に基づいてガス中の音速Vcを算出、またはその音速Vcの計測に際しての超音波の送受信時のゲインGを計測し(S3)、その計測結果の音速VcまたはゲインGを、ガスの正常な組成に対応して予め定められた所定の正常範囲と比較して(S4)、音速VcまたはゲインGが所定の正常範囲内にあるか否かを判定することで、流体の組成が正常な組成を逸脱した異常な組成であるか否かを判定する。このとき音速Vcまたはその音波の送受の際の音波センサによって受信される音波のゲインGが正常範囲内にある場合には(S4のY)、異常判定制御回路40は、ガスの組成が正常であるものと判定する(S5)。しかし音速VcまたはゲインGが正常な範囲から逸脱している場合には(S4のN)、そのような異常な音速VcまたはゲインGが計測されたということは、計測対象のガスの組成が正常な範囲を逸脱した異常なものとなっているという確率が極めて高いことを意味しているのだから、異常判定制御回路40は、計測対象のガスの組成が正常なものとは有意に異なった異常な組成であるとの判定を下す(S6)。
【0071】
そしてその判定に基づいて、警報部140がその旨の警報を出力する(S7)。あるいはさらに、計測対象のガスの組成が正常なものとは有意に異なった異常な組成であるとの情報を、通信ユニットが外部のガス管理会社等に送出する(S8)。
【0072】
このようにして、この第2の実施の形態に係るガスメータでは、音速計測手段を流量計測手段(超音波伝播時間計測部20)とは別段に設けなくともよい簡易な構成によって、計測対象のガスの組成が正常なものとは有意に異なった異常な組成であるか否かの判定を確実に行うことができる。
【0073】
なお、フローによる図示は省略するが、異常判定制御回路40は、第1の実施の形態に係るガスメータの構成とも併せて、超音波伝播時間計測部20を用いて計測されたガスの温度の計測結果と、超音波伝播時間計測部20とは独立した別個の温度センサ93によって計測されたガスの温度の計測結果とを比較して、所定以上の差異が生じている場合には、超音波伝播時間計測部20または温度センサ93に異常が生じたか、またはガスの組成に異常が生じたものと判定する機能を、さらに備えるようにしてもよい。このようにすることにより、計測対象の温度が実際に異常な状態になっているのか、あるいは流量計測手段または温度計測手段のうち少なくといずれか一方が故障のような異常な状態になっているのかについても、異常判定制御回路40によって自動的に判定することが可能となり、延いては装置系の異常とガスの組成や温度の異常とを明確に判別することで装置系の異常の可能性を排除して、ガス組成や温度の異常をさらに正確に判定することが可能となる。
【0074】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態に係るガスメータについて説明する。なお、以下の説明では、第1の実施の形態とは異なった動作(機能)を中心として詳述し、第1の実施の形態と同様の動作については、説明の簡潔化を図るために、必要な事項のみを簡略に説明して、その詳述は省略する。
【0075】
この第3の実施の形態に係るガスメータでは、異常判定制御回路40に内蔵された電池電圧低下検知部130が、電池80の端子間電圧を所定の最低しきい値電圧と比較して、電池80の起電力低下を検知するが、それと共に、第1の実施の形態と同様にして超音波伝播時間計測部20を温度計測手段として用いてガスの温度Tgを計測し、その温度Tgが電池の起電力に関して適正であると予め定められた所定の適正温度範囲(TL≦T≦TH)を逸脱したものとなった場合には(Tg<TL,またはTH<Tg)、その後、異常判定制御回路40は、電池電圧低下検知部130で電池電圧低下の検知に用いられる最低しきい値電圧Vth−nolを、それよりも高い所定の電圧値(Vth−H;Vth−nol<Vth−H)に変更すると共に、電池の端子間電圧をその変更した最低しきい値電圧(Vth−H)と比較する頻度を、より高い所定の頻度に変更する(換言すれば、それまでの通常のサンプリング周期Δtnolを、より短い周期Δts(Δts<Δtnol)に変更する)。またそれと共に、電池の寿命予測日数Nnolを、所定の短い日数Ns(Ns<Nnol)に変更し、その日数の情報(Ns)を通信ユニット100を介して外部のガス管理会社等へと送出する。
【0076】
あるいはさらに、その変更された日数の情報(Ns)を、例えば流量積算値表示部62の空いたスペースに予め設けられた寿命予測日数表示領域(図示省略)に、例えば「電池寿命はあとNs日と予測されます」のように表示するようにしてもよい。この電池寿命予測日数の表示(またはその情報)としては、例えば、温度が正常な状態のときに電池電圧の低下が検知されるという通常の電池電圧低下検知に対応してNnol=30日と設定されており、温度の異常低下や異常上昇が発生した場合に想定される電池寿命の短命化に対応してNs=15日と設定されている場合には、まず通常の電池電圧低下が検知されると「電池寿命はあと30日と予測されます」という情報が表示または送出され、温度異常が発生した後は、それまでの電池寿命予測が変更されて「電池寿命はあと15日と予測されます」のようになる。
【0077】
すなわち、この第3の実施の形態に係るガスメータでは、図5に主要な流れを示したように、所定のサンプリング周期Δtnol毎に(S1のY)、電池電圧低下を検知するために電池80の端子間電圧Vddのサンプリング(計測)を行う(S2)。またこのとき引き続いてガスの温度Tgのサンプリング(計測)を行う(S3)。このガスの温度Tgのサンプリングによって、ガスを介しての間接的にではあるが、当該ガスメータの使用環境の温度を計測することができる。これは、一般にガスメータのボディや配管はアルミニウム系合金や亜鉛系合金などのような金属製であることが多いので、その中を流れるガスの温度はそれを取り囲む周囲の環境温度を敏感に反映しやすいという傾向がある。このことから、ガスの温度をガスメータの使用環境の温度計測のためのパラメータとして好適に利用することができるのである。
【0078】
続いて、計測されたガスの温度Tgを所定の適正温度範囲(TL≦T≦TH)と比較して(S4)、適正温度範囲内にある場合(TL≦Tg≦TH)には(S4のY)、電池が正常に機能し得る温度状態にあるものと判定する(S5)。しかしガスの温度Tgが所定の適正温度範囲(TL≦T≦TH)を逸脱したものである場合(Tg<TLまたはTH<Tg)には(S4のN)、異常判定制御回路40は異常な温度状態に起因して電池の起電力に支障が生じる可能性が高いとの判定を下し(S6)、それに基づいて、その旨の警報を警報部140が出力し(S7)、また、その旨の情報を通信ユニット100が外部のガス管理会社等へと送出する(S8)。またさらには、電池の寿命予測日数を、通常の日数(Nnol)よりも短い所定の日数(Ns)に変更し(S9)、その日数の情報(Ns)を異常判定制御回路40が通信ユニット100を介して外部のガス管理会社等へと送出する(S10)。
【0079】
このように、第3の実施の形態に係るガスメータでは、ガスの流量を計測する機能と流体の温度を計測する機能とを超音波伝播時間計測部20が兼備しているので、その装置構成および制御プロセス構成が簡易なものとなっており、かつ電池電圧低下検知部130は、温度Tgが所定の適正温度範囲を逸脱している場合には、その後、電池80の起電力低下を検知(判定)するための比較の頻度を、それ以前よりも高い頻度に変更し、また最低しきい値電圧を通常時よりも高いものに変更することで、温度の異常低下等に起因した電池の起電力低下や短命化に対処して、より確実な電池電圧低下検知を行うことができる。また、温度Tgが所定の適正温度範囲を逸脱している場合には、その後、電池の寿命予測日数を、より短い日数に変更することにより、電池の寿命日数の予測をさらに正確なものとすることが可能となる。
【0080】
ここで、電池電圧低下検知部130は異常判定制御回路40に内蔵されることのみには限定されないことは言うまでもなく、異常判定制御回路40とは別個の回路として設けてもよい。
【0081】
なお、上記の異常判定制御回路40は、マイコンメータのようなガスメータに内蔵されてその動作制御を行うための専用LSI(図示省略)またはそれをプリント配線基板上に実装してなるプリント配線回路(図示省略)等からなる制御回路などのように、そのマイコンメータ本体とは別に、それとは独立した工業製品として作製されてマイコンメータ本体に後付けされる制御回路とすることなども可能であることは言うまでもない。
【0082】
また、上記の実施の形態で説明したようなガスに超音波を伝播させて流量計測を行う方式の超音波伝播時間計測部20の他にも、超音波センサ22A,22Bの間で一方から発せられた超音波を他方で受信すると、その受信に基づいて折り返し超音波を発信するということを繰り返すように設定されており、その超音波の折り返しの送受の周期がガスの流量に対応して変化することを利用して、その超音波の折り返しの送受の周期であるシングアラウンド伝播周期を測定し、そのシングアラウンド伝播周期に基づいて、そのときの計測対象のガスの流量を計測するという、いわゆるシングアラウンド伝播方式の流量計測装置などにも適用可能であることは言うまでもない。
【0083】
また、上記の各実施の形態では、異常判定制御回路40の動作の説明のために、所定のシーケンシャルを繰り返すようなループ状の流れ図を示して説明したが、これはループ状以外にも、例えば一連の制御および動作が完了したら、その都度、異常判定制御回路40動作を停止するような手順にすることなども可能であることは言うまでもない。
【0084】
また、上記の各実施の形態では、本発明に係る流量計測装置およびその制御方法の技術をガスメータに適用した場合について説明したが、これのみには限定されないことは言うまでもなく、その他にも、例えば所定の2点間を通過する局地風の流速を計測するための流速計測装置などにも本発明は適用可能である。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし11のいずれかに記載の流量計測装置または請求項12ないし22のいずれかに記載の流量計測装置の制御方法によれば、温度に関係した異常の発生を判定(検知)することができるという効果を奏する。
【0086】
また、特に請求項1記載ないし3のいずれかに記載の流量計測装置または請求項12ないし14のいずれかに記載の流量計測装置の制御方法によれば、温度計測手段によって計測された流体の温度を、流量の計測精度を保証可能な所定の温度範囲と比較して、流体の温度が所定の温度範囲を逸脱しているか否かを判定する異常判定手段と、流体の温度が所定の温度範囲を逸脱していると異常判定手段によって判定された場合には、その旨の警報を出力する警報出力手段とを備えて、流体の温度が所定の温度範囲を逸脱しているか否かを自動判定するようにしたので、その判定に基づいて、その旨の警報の出力あるいはさらにガスのような計測対象の流体の遮断やそれに伴う流量計測の停止を自動的に行うことができるという効果を奏する。
【0087】
また、特に請求項4ないし6のいずれかに記載の流量計測装置または請求項15ないし17のいずれかに記載の流量計測装置の制御方法によれば、音速計測手段によって計測された音速またはゲインを、流体の正常な組成に対応して予め定められた所定の範囲と比較して、音速またはゲインが所定の範囲内にあるか否かを判定することで、流体の組成が正常な組成を逸脱した異常な組成であるか否かを判定することができるという効果を奏する。
【0088】
また、特に請求項7ないし10のいずれかに記載の流量計測装置または請求項18ないし21のいずれかに記載の流量計測装置の制御方法によれば、流体の温度に対応して、電池の端子間電圧の低下検知を行うプロセスにおける最低しきい値電圧または判定の頻度または電池の寿命予測日数を適宜に変更するようにしたので、より正確または確実な電池電圧低下検知を行うことが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1ないし第3の実施の形態に係るガスメータの主要部の構成を表した図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るガスメータにおける異常判定制御回路で用いる第1の温度範囲および第2の温度範囲の設定を模式的に表した図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るガスメータにおける異常判定制御回路による制御およびそれに対応した動作の主要な流れを表した図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るガスメータにおける異常判定制御回路による制御およびそれに対応した動作の主要な流れを表した図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係るガスメータにおける異常判定制御回路による制御およびそれに対応した動作の主要な流れを表した図である。
【符号の説明】
20…超音波伝播時間計測部、22A,22B…超音波センサ、30…流量値演算部、40…異常判定制御回路、50…流量値積算部、61…流量積算値表示制御部、62…流量積算値表示部、70…基本動作制御部、80…電池、100…通信ユニット、130…電池電圧低下検知部、140…警報部
Claims (22)
- 計測対象の流体の流量を計測する流量計測手段を有する流量計測装置において、
前記流体の温度を計測する温度計測手段と、
前記温度計測手段によって計測された前記流体の温度を、前記流量の計測精度を保証可能な所定の温度範囲と比較して、前記流体の温度が前記所定の温度範囲を逸脱しているか否かを判定する異常判定手段と、
前記流体の温度が前記所定の温度範囲を逸脱していると前記異常判定手段によって判定された場合には、その旨の警報を出力する警報出力手段と
を備えたことを特徴とする流量計測装置。 - 前記流体の導通を遮断可能な弁体を有する遮断弁をさらに備えており、
前記異常判定手段が、さらに、前記流量の計測精度を保証可能な所定の温度範囲を第1の温度範囲としてその第1の温度範囲を含んでその第1の温度範囲よりも広い所定の温度領域に設定された第2の温度範囲と前記温度計測手段によって計測された前記流体の温度とを比較して、前記流体の温度が前記所定の温度範囲を逸脱しているか否かを判定し、前記流体の温度が前記所定の温度範囲を逸脱していると判定された場合には、前記遮断弁を閉じて前記流体の導通を遮断する制御を行う
ことを特徴とする請求項1記載の流量計測装置。 - 前記流量計測手段が、所定の計測デューティで前記計測対象の流体に音波を伝播させて、そのときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の流量または流速を計測し、かつ前記計測デューティまたはそれ以外のオフデューティ期間中に前記流体に前記音波を伝播させて、そのときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の温度を計測する温度計測手段としての機能も兼備するものである
ことを特徴とする請求項1または2記載の流量計測装置。 - 計測対象の流体の流量を計測する流量計測手段を有する流量計測装置において、
前記流体に音波を伝播させてそのときの前記音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体中の音速またはその音速計測に際しての前記音波の送受信時のゲインを計測する音速計測手段と、
前記音速計測手段によって計測された前記音速または前記ゲインを、前記流体の正常な組成に対応して予め定められた所定の範囲と比較して、前記音速またはゲインが所定の範囲内にあるか否かを判定することで、前記流体の組成が前記正常な組成を逸脱した異常な組成であるか否かを判定する異常判定手段と
を備えたことを特徴とする流量計測装置。 - 前記流量計測手段が、所定の計測デューティで前記計測対象の流体に音波を伝播させて、そのときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の流量または流速を計測し、かつ前記計測デューティまたはそれ以外のオフデューティ期間中に前記流体に前記音波を伝播させて、そのときの音速またはゲインに基づいて前記異常判定手段が前記流体の組成を判定することで、前記音速計測手段としての機能も兼備するものである
ことを特徴とする請求項4記載の流量計測装置。 - 前記流量計測手段が、前記流体に前記音波を伝播させて、そのときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の温度を計測する温度計測手段としての機能も兼備するものであり、かつ前記流量計測手段とは独立して別個の温度計測手段をさらに備えており、
前記異常判定手段が、前記流量計測手段による温度計測機能で計測された前記流体の温度の計測結果と、前記流量計測手段とは独立した別個の温度計測手段によって計測された前記流体の温度の計測結果とを比較して、所定以上の差異が生じている場合には、前記流量計測手段または前記温度計測手段に異常が生じたかまたは前記流体の組成に異常が生じたものと判定する機能を、さらに備えていることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1つの項に記載の流量計測装置。 - 所定の計測デューティで前記計測対象の流体に音波を伝播させて、そのときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の流量または流速を計測し、かつ前記計測デューティまたはそれ以外のオフデューティ期間中に前記流体に前記音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の温度を計測する温度計測手段としても兼用される流量計測手段と、当該流量計測装置としての動作を行うために用いられる電源電力を供給する電池と、前記電池の端子間電圧を所定の最低しきい値電圧と比較して、前記電池の起電力低下を検知する電池電圧低下検知手段とを有する流量計測装置において、
前記電池電圧低下検知手段が、前記流量計測手段を温度計測手段として用いて前記流体の温度を計測し、前記温度が所定の温度範囲を逸脱した場合には、その後、前記最低しきい値電圧を、より高い所定の電圧値に変更する
ことを特徴とする流量計測装置。 - 所定の計測デューティで前記計測対象の流体に音波を伝播させて、そのときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の流量または流速を計測し、かつ前記計測デューティまたはそれ以外のオフデューティ期間中に前記流体に前記音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の温度を計測する温度計測手段としても兼用される流量計測手段と、当該流量計測装置としての動作を行うために用いられる電源電力を供給する電池と、前記電池の端子間電圧を所定の頻度で所定の最低しきい値電圧と比較して、前記電池の起電力低下を検知する電池電圧低下検知手段とを有する流量計測装置において、
前記電池電圧低下検知手段が、前記流量計測手段を温度計測手段として用いて前記流体の温度を計測し、前記温度が所定の温度範囲を逸脱した場合には、その後、前記電池の端子間電圧を前記最低しきい値電圧と比較する頻度を、より高い所定の頻度に変更する
ことを特徴とする流量計測装置。 - 所定の計測デューティで前記計測対象の流体に音波を伝播させて、そのときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の流量または流速を計測し、かつ前記計測デューティまたはそれ以外のオフデューティ期間中に前記流体に前記音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の温度を計測する温度計測手段としても兼用される流量計測手段と、当該流量計測装置としての動作を行うために用いられる電源電力を供給する電池と、前記電池の端子間電圧を所定の最低しきい値電圧と比較して、前記電池の起電力低下を検知する電池電圧低下検知手段とを有する流量計測装置において、
前記電池電圧低下検知手段が、前記流量計測手段を温度計測手段として用いて前記流体の温度を計測し、前記温度が所定の温度範囲を逸脱した場合には、その後、前記最低しきい値電圧を、より高い所定の電圧値に変更すると共に、前記電池の端子間電圧を前記最低しきい値電圧と比較する頻度を、より高い所定の頻度に変更する
ことを特徴とする流量計測装置。 - 所定の計測デューティで前記計測対象の流体に音波を伝播させて、そのときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の流量または流速を計測し、かつ前記計測デューティまたはそれ以外のオフデューティ期間中に前記流体に前記音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の温度を計測する温度計測手段としても兼用される流量計測手段と、当該流量計測装置としての動作を行うために用いられる電源電力を供給する電池と、前記電池の端子間電圧を所定の最低しきい値電圧と比較して、前記電池の起電力低下を検知し、その起電力低下が検知されたとき以降の前記電池の寿命予測日数の情報を出力する電池電圧低下検知手段とを有する流量計測装置において、
前記電池電圧低下検知手段が、前記流量計測手段を温度計測手段として用いて前記流体の温度を計測し、前記温度が所定の温度範囲を逸脱した場合には、その後、前記電池の寿命予測日数を、より短い日数に変更する
ことを特徴とする流量計測装置。 - 前記流体が可燃性のガスであり、前記流量計測手段が前記ガスの流量を計測するものであり、実質的にガスメータとして機能する
ことを特徴とする請求項1ないし10のうちいずれか1つの項に記載の流量計測装置。 - 計測対象の流体の流量を計測する流量計測プロセスを有する流量計測装置の制御方法において、
前記流体の温度を計測する温度計測プロセスと、
前記温度計測プロセスによって計測された前記流体の温度を、前記流量の計測精度を保証可能な所定の温度範囲と比較して、前記流体の温度が前記所定の温度範囲を逸脱しているか否かを判定する異常判定プロセスと、
前記流体の温度が前記所定の温度範囲を逸脱していると前記異常判定プロセスによって判定された場合には、その旨の警報を出力する警報出力プロセスと
を備えたことを特徴とする流量計測装置の制御方法。 - 前記流量計測装置が前記流体の導通を遮断可能な弁体を有する遮断弁をさらに備えており、
前記異常判定プロセスが、さらに、前記流量の計測精度を保証可能な所定の温度範囲を第1の温度範囲としてその第1の温度範囲を含んでその第1の温度範囲よりも広い所定の温度領域に設定された第2の温度範囲と前記温度計測プロセスによって計測された前記流体の温度とを比較して、前記流体の温度が前記所定の温度範囲を逸脱しているか否かを判定し、前記流体の温度が前記所定の温度範囲を逸脱していると判定した場合には、前記遮断弁を閉じて前記流体の導通を遮断する制御を行うものである
ことを特徴とする請求項12記載の流量計測装置の制御方法。 - 前記流量計測プロセスは、所定の計測デューティで前記計測対象の流体に音波を伝播させて、そのときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の流量または流速を計測するプロセスと、前記計測デューティまたはそれ以外のオフデューティ期間中で前記流体に前記音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の温度を計測する温度計測プロセスとを、兼備したものである
ことを特徴とする請求項12または13記載の流量計測装置の制御方法。 - 計測対象の流体の流量を計測する流量計測プロセスを有する流量計測装置の制御方法において、
前記流体に音波を伝播させてそのときの前記音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体中の音速またはその音速計測に際しての前記音波の送受信時のゲインを計測する音速計測プロセスと、
前記音速計測プロセスによって計測された前記音速または前記ゲインを、前記流体の正常な組成に対応して予め定められた所定の範囲と比較して、前記音速またはゲインが所定の範囲内にあるか否かを判定することで、前記流体の組成が前記正常な組成を逸脱した異常な組成であるか否かを判定する異常判定プロセスと
を備えたことを特徴とする流量計測装置の制御方法。 - 前記流量計測プロセスは、所定の計測デューティで前記計測対象の流体に音波を伝播させて、そのときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の流量または流速を計測するプロセスと、かつ前記計測デューティまたはそれ以外のオフデューティ期間中に前記流体に前記音波を伝播させたときの音速またはゲインに基づいて前記異常判定プロセスが前記流体の組成を判定する前記音速計測プロセスとを、兼備したものである
ことを特徴とする請求項15記載の流量計測装置の制御方法。 - 前記流量計測プロセスは、前記流体に前記音波を伝播させて、そのときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の温度を計測する温度計測プロセスも兼備したものであり、かつ当該制御方法が行われる流量計測装置が前記流量計測プロセスを行う流量計測手段とは独立して温度計測を行うための別個の温度計測手段をさらに備えており、
前記異常判定プロセスは、前記流量計測手段による温度計測機能で計測された前記流体の温度の計測結果と、前記流量計測手段とは独立した別個の温度計測手段によって行われる温度計測プロセスで計測された前記流体の温度の計測結果とを比較して、所定以上の差異が生じている場合には、前記流量計測手段または前記温度計測手段に異常が生じたかまたは前記流体の組成に異常が生じたものと判定するプロセスを、さらに備えている
ことを特徴とする請求項12ないし16のうちいずれか1つの項に記載の流量計測装置の制御方法。 - 所定の計測デューティで前記計測対象の流体に音波を伝播させて、そのときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の流量または流速を計測し、かつ前記計測デューティまたはそれ以外のオフデューティ期間中に前記流体に前記音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の温度を計測する温度計測手段としての機能も兼備する流量計測手段によって行われる流量計測プロセスおよび温度計測プロセスと、当該流量計測装置の動作を行うために用いられる電源電力を供給する電池の端子間電圧を所定の最低しきい値電圧と比較して、前記電池の起電力低下を検知する電池電圧低下検知手段によって行われる電池電圧低下検知プロセスとを少なくとも含んだ流量計測装置の制御方法において、
前記電池電圧低下検知プロセスは、前記流量計測手段を温度計測手段として用いて前記流体の温度を計測し、前記温度が所定の温度範囲を逸脱した場合には、その後、前記最低しきい値電圧を、より高い所定の電圧値に変更するプロセスを、さらに含んでいる
ことを特徴とする流量計測装置の制御方法。 - 所定の計測デューティで前記計測対象の流体に音波を伝播させて、そのときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の流量または流速を計測し、かつ前記計測デューティまたはそれ以外のオフデューティ期間中に前記流体に前記音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の温度を計測する温度計測手段としての機能も兼備する流量計測手段によって行われる流量計測プロセスおよび温度計測プロセスと、当該流量計測装置の動作を行うために用いられる電源電力を供給する電池の端子間電圧を所定の頻度で所定の最低しきい値電圧と比較して、前記電池の起電力低下を検知する電池電圧低下検知プロセスとを有する流量計測装置の制御方法において、
前記電池電圧低下検知プロセスが、前記流量計測プロセスを温度計測プロセスとして用いて前記流体の温度を計測し、前記温度が所定の温度範囲を逸脱した場合には、その後、前記電池の端子間電圧を前記最低しきい値電圧と比較する頻度を、より高い所定の頻度に変更するプロセスを、さらに含んでいる
ことを特徴とする流量計測装置の制御方法。 - 所定の計測デューティで前記計測対象の流体に音波を伝播させて、そのときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の流量または流速を計測し、かつ前記計測デューティまたはそれ以外のオフデューティ期間中に前記流体に前記音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の温度を計測する温度計測手段としての機能も兼備する流量計測手段によって行われる流量計測プロセスおよび温度計測プロセスと、当該流量計測装置の動作を行うために用いられる電源電力を供給する電池の端子間電圧を所定の最低しきい値電圧と比較して、前記電池の起電力低下を検知する電池電圧低下検知プロセスとを有する流量計測装置の制御方法において、
前記電池電圧低下検知プロセスが、前記流量計測プロセスを温度計測プロセスとして用いて前記流体の温度を計測し、前記温度が所定の温度範囲を逸脱した場合には、その後、前記最低しきい値電圧を、より高い所定の電圧値に変更すると共に、前記電池の端子間電圧を前記最低しきい値電圧と比較する頻度を、より高い所定の頻度に変更するプロセスを、さらに含んでいる
ことを特徴とする流量計測装置の制御方法。 - 所定の計測デューティで前記計測対象の流体に音波を伝播させて、そのときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の流量または流速を計測し、かつ前記計測デューティまたはそれ以外のオフデューティ期間中に前記流体に前記音波を伝播させたときの音波の伝播時間または伝播速度に基づいて前記流体の温度を計測する温度計測手段としての機能も兼備する流量計測手段によって行われる流量計測プロセスおよび温度計測プロセスと、当該流量計測装置の制御方法としての動作を行うために用いられる電源電力を供給する電池の端子間電圧を所定の最低しきい値電圧と比較して、前記電池の起電力低下を検知し、その起電力低下が検知されたとき以降の前記電池の寿命予測日数の情報を出力する電池電圧低下検知プロセスとを有する流量計測装置の制御方法において、
前記電池電圧低下検知プロセスが、前記流量計測プロセスを温度計測プロセスとして用いて前記流体の温度を計測し、前記温度が所定の温度範囲を逸脱した場合には、その後、前記電池の寿命予測日数を、より短い日数に変更するプロセスを、さらに含んでいる
ことを特徴とする流量計測装置の制御方法。 - 前記流体が可燃性のガスであり、前記流量計測プロセスが前記ガスの流量を計測するものであり、当該流量計測装置が実質的にガスメータとして機能するものである
ことを特徴とする請求項12ないし21のうちいずれか1つの項に記載の流量計測装置の制御方法。
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