JP2004143931A - 継手構造及び継手方法 - Google Patents

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【課題】 横葺き外装材の桁行き方向の端部加工を必要とすることがなく、施工も極めて容易である継手構造及び継手方法を提供する。
【解決手段】 本発明の継手構造及び継手方法は、面板部、軒側成形部、棟側成形部からなる横葺き外装材の継手構造にあって、桁行き方向に隣接する外装材の側縁部裏面に、外装材の有効幅分だけの長さを有する受板部の軒側に、下段の外装材の棟側側縁上に位置する軒側端部を、棟側に、水返し部を備えた棟側端部を有する捨て板を配設し、外装材面板部の側縁部裏面と捨て板表面とが接着層にて接着されている
【選択図】 図4

Description

 本発明は、横葺き外装材の桁行き方向の端部加工を必要とすることがなく、施工も極めて容易である継手構造及び継手方法に関する。
 従来より横葺き形式の外装材は、新設の屋根施工、既設屋根の改修などに使用されている。この外装材の桁行き方向の継手構造としては、隣接する外装材の桁行き方向の端部間に、裏面側に捨て板を、表面側にカバー材を配して接続する構造が採用されている。そして、部材数の低減及び施工性の向上を目的として、図1に示すようなカバー材を設けない構造も提案されている。
 図1は、下地4’の上に、外装材1’,1’及び捨て板2’を敷設する継手構造であって、外装材1’の桁行き方向の端部には、裏面側へ折り返し状に形成された係止部19が設けられ、捨て板2’の表面には、横方向の溝状に係止受部29が設けられ、この係止受部29に係止部19を係止させて接続している。
 しかしながら、図1の継手構造では、係止部19や係止受部29といった構成を外装材1’や捨て板2’に設ける必要があるため、各部材の成形、加工は極めて面倒であった。
 また、係止受部29に係止部19を係止させる作業は、高所で長尺な外装材1’をスライドさせなければならず、施工が極めて面倒であった。
 さらに、取付以前にこれらの部位を作業者が誤って踏みつけると、所定の係止状態が得られないという問題もあった。取付後に踏みつけると、段差が形成されて美観が損なわれることもあった。
 本発明は前記事情に鑑み提案されたもので、面板部、軒側成形部、棟側成形部からなる横葺き外装材の継手構造にあって、桁行き方向に隣接する外装材の側縁部裏面に、外装材の有効幅分だけの長さを有する受板部の軒側に、下段の外装材の棟側側縁上に位置する軒側端部を、棟側に、水返し部を備えた棟側端部を有する捨て板を配設し、外装材面板部の側縁部裏面と捨て板表面とが接着層にて接着されていることを特徴とする継手構造及び継手方法に関するものである。
 本発明の継手構造は、予め外装材の裏面或いは捨て板の表面に接着層を形成し、この接着層にて外装材面板部の側縁部裏面を捨て板表面と接着するものである。その際、接着層の形成は、両面粘着テープやその他のテープ材の貼り付け、或いは接着剤液の塗布などの極めて簡単な作業にて実施され、接着層による接着も、所定位置に外装材及び捨て板を積層するだけの極めて簡単な作業にて実施される。したがって、極めて容易に施工することができ、新設屋根の施工や既設屋根の改修に利用することができる。特に既設屋根の改修などに際しては、既設屋根を撤去したり、既設屋根面に新規の下地面を構築して建物に負荷を与えることなく迅速な施工が実施でき、居住者や周辺地域に対する不都合等を生ずることがなく好適である。
 また、カバー材等を用いる必要がなく、部材数の減少によるコストの低減が果たされる。
 さらに、外装材は、桁行き方向の端部加工が基本的に必要なく、形状が簡単であり、成形加工性に優れ、加工費等も低減する。捨て板についても同様に成形加工性に優れ、加工費等を低減できる。
 特に外装材と捨て板とを同一の素材にて成形する場合、それぞれが簡易な形状であるために、例えば捨て板を外装材の面板部を利用して現場でも加工することができる。
 さらに、取付以前にこれらの部位を作業者が誤って踏みつけても、剥離紙を剥がさない状態では接着層自体には何等支障がない。また、接着後に踏みつけても、基本的に接着層は極めて厚みが薄いので、段差が形成されないので、美観を損ねることもない。
 特に外装材の棟側成形部の配設位置に止水シール材を設けると、継手部分からの雨水等の浸入が確実に防止される。
 また、接着層を捨て板の幅方向にわたって複数条設けると、高い接合強度が得られると共に、二重、三重の雨水の浸入防止構造が形成される
 接着層を捨て板側に形成するようにすると、両面粘着テープ等による接着層の形成を一層容易に行うことができる。
 外装材の棟側成形部の配設位置に止水シール材を設け、接着層を捨て板の幅方向にわたって複数条設ける。
 本発明の継手構造は、図2に示すように横葺き外装材(以下、単に外装材という)1の側縁部裏面、即ち桁行き方向の端部裏面を、接着層3にて捨て板2の表面と接着することにより隣接する外装材1と接続する構成である。
 外装材1は、略平坦状の面板部11の軒縁と棟縁に、相互に係合可能な軒側成形部13、棟側成形部14を有する横葺き形式の構成であれば良く、上記各部位の具体的な構成(構造,形状)或いは上記以外の構成については特に限定するものではなく、どのように設計、実施しても良い。
 この外装材1の桁行き方向の端部は、基本的に係止等のための加工を施さないが、端部保護の観点からあざ折りを設けるようにしても良い。
 例えば外装材1の素材としては、溶融亜鉛メッキ鋼板やガルバリウム鋼板等の防錆処理鋼板、特殊鋼及び非鉄金属、ステンレス鋼板、耐候性鋼板、銅板、アルミニウム合金板、鉛板、亜鉛板、チタニウム板などを素材として使用することができるが、特にこれらに限定されるものではない。成形法についても、何ら限定するものではなく、素材が金属板の場合にはロール成形(ロールフォーミング)やプレス成型、或いは両者の組合せにより成形(成型)される。
 また、前記外装材1の面板部11の軒縁に設ける軒側成形部12は、図示実施例〔例えば図4(b),(c)〕に示すように面板部11の軒端縁を下方へ折曲し、続いて棟側へ略直角状に折曲して延在させ、さらにその先端を裏面側に折り返した構成としても良い。
 面板部11の棟縁に設ける棟側成形部13は、図示実施例〔例えば図4(b),(c)〕に示すように面板部11から同一平面状に棟側へ延在する端縁を表面側に折り返して軒側へ延在させ、続いてその端縁を表面側に折り返して棟側へ延在させ、さらにその端縁を軒側上方へ折曲し、その上端を軒側下方へ折曲した構成としても良い。
 これら軒側成形部12及び棟側成形部13は、詳しくは軒側成形部12における棟側へ延在する部分が棟側成形部13における棟側へ延在する部分とそれを軒側へ折り返した部分とで構成される横方向の溝部分に係合する構成であるが、相互に係合し、この係合部分から雨水等が裏面に侵入しない構造であれば特に限定するものではなく、どのような形状構成でも良い。
 捨て板2は、前記外装材1の有効幅分だけの長さを有する略平板状の受板部21の軒側に、下段の外装材1の棟側側縁上に位置する軒側端部22を、棟側に、水返し部を備えた棟側端部23を有する構成であり、上記部位の具体的な構成(構造,形状)或いは上記以外の構成については特に限定するものではなく、どのように設計、実施しても良い。
 例えば棟側端部23に、継手部分からの雨水等の浸入を防止する止水シール材(止水パッキン)を設けても良い。この止水シール材としては、例えば棟側成形部13が図示実施例のように膨出状の係合部分を有する場合、隣接する外装材1,1の膨出部分にわたって配設され、その弾性によって内部空間を閉塞するもの、軒側成形部12が軒側に折返し状の場合、形状に沿って裏面に貼設状に形成されるものなどを例示することができる。
 また、この捨て板2の側端部に、表面側に折り返した水返し部24を設けても良いし、流れ方向に沿って一条以上の止水シール材を設けるようにしても良い。
 例えば捨て板2の素材としては、前記外装材1と同じ素材のものを使用することができる。特に外装材1と捨て板2とを同一の素材にて成形する場合、それぞれが簡易な形状であるために、例えば捨て板2を外装材1の面板部11を利用して現場でも加工することができる。
 また、前記捨て板2の受板部21の軒縁に設ける軒側端部22は、図示実施例〔例えば図4(b)〕に示すように受板部21の軒端縁を棟側下方へ折曲して外装材1の棟側成形部13に係止する構成としても良いし、軒側端を下方に折曲した構成であっても良い。
 受板部21の棟縁に設ける棟側端部23は、図示実施例〔例えば図4(c)〕に示すように受板部21の棟端縁を軒側上方へ折曲した構成としても良いし、棟側端を上方へ折曲(立設)した構成であっても良い。また、棟側端は、外装材1の棟側と離れていても当接していても良い。。
 これら軒側端部22及び棟側端部23は、受板部21上に至った雨水を棟側端から浸水させることなく下段の外装材1の面板部11上に導く構造であれば特に限定するものではなく、どのような形状構成でも良い。
 接着層3は、市販の両面粘着テープを外装材1の裏面又は捨て板2の表面の何れか一方若しくは両方に、望ましくは捨て板2の表面に貼着させて剥離紙を剥がして形成しても良い。使用する両面粘着テープは特に限定するものではないが、両面の粘着剤層の間に弾性材が介在する形態のものが好ましい。外装材1の裏面や捨て板2の表面に多少の凹凸等があっても弾性材が存在しているために押しつけることにより確実な接着が得られるからである。尚、剥離紙を剥がすのは、外装材1の端部を捨て板2の受板部21の所定位置に積層して位置決めした後でも良い。また、外装材1の裏面より捨て板2の表面に接着層3を形成することが望ましい理由は、外装材1が桁行き方向に長尺であり、それに比べて小さい捨て板2の方が容易に取り扱えるからである。
 また、接着層3は、一面側には粘着剤層が有り、他面側にはヒートシール性を有する(ホットメルト接着剤からなる層でも良い)ようなテープ材を用いても良い。この場合、粘着面を外装材1の裏面又は捨て板2の表面に貼着させておき、外装材1の端部を捨て板2の受板部21に積層した状態で加熱すればよい。ヒートシール性を有する面が常温で粘着性を有さないものであれば、積層させるために外装材1をスライドさせても何等支障を生じない。
 さらに、接着層3は、施工に先立ち、或いは現場施工時に、接着剤(液)を刷毛等の塗布具を用いて外装材1の裏面又は捨て板2の表面に塗布して形成するものでも良い。施工に先立って塗布する接着剤(液)としては、ホットメルト接着剤が望ましく、現場施工時に塗布する接着剤(液)としては、汎用(常温硬化タイプ)の接着剤が望ましい。或いは、その他どのように接着層3を構成しても良い。
 尚、この接着層3は、耐水性が優れ、さらに止水性を有するものであることが望ましい。その他、屋外使用に適した物性を有するものが望ましい。
 この接着層3は、前述のように種々の態様があるが、何れもその形成が極めて容易であり、特に接合部分の汚損の程度が大きい場合には脱脂等の処理をすることが望ましいが、通常は接着層3の形成に先立って何等特別の処理を必要としないし、従来の係止構造のような成形、加工も全く必要としない。
 また、接着層3は、図示実施例(例えば図2)に示すように捨て板2の略中央に二条、即ち一つの外装材1に対して一条づつ設けるようにして、この二条の接着層3,3にて隣接する外装材1,1がそれぞれ捨て板2に接着するようにしても良いし、或いは図5(a)に示すように捨て板2に接着層3を一条だけ設けて隣接する外装材(1,1)をこの一条の接着層3のみにて接着するようにしても良い。また、図5(b)に示すように捨て板2に、略中央に二条、さらにその外側に一条づつ、即ち一つの外装材(1)に対して二条づつ接着層3を設けるようにして、隣接する外装材(1,1)をそれぞれ二カ所で接着するようにしても良い。図5(c)に示すように略中央に一条、その外側に一条づつ接着層3を設けるようにしても良い。この場合も図5(b)と同様に一つの外装材(1)が二カ所で接着されている。
 さらに、図示しないが、捨て板2に設ける接着層3は、一つの外装材1に対して三条以上設けるようにしても良い。
 尚、図5(b)及び図5(c)における外側に配した接着層3は、止水シール材を兼ねるものであり、このように止水シール材を接着層3として兼用しても良い。このように接着層3に止水シール材を兼ねるものを用いた場合、雨水の浸入防止性がより一層高くなり、このような接着層3を複数条設けることにより、接合強度が向上すると共に二重、三重の雨水の浸入防止構造が形成されることとなる。
 図示実施例は、図2に示すように予め捨て板2の受板部21の略中央に両面粘着テープを貼り付けて接着層3を形成し、この接着層3に隣接する外装材1,1の桁行き方向の端部裏面を貼着するだけの極めて簡単な作業にて施工され、図3に示すような美麗な継手構造を得ることができる。
 また、使用する外装材1は、桁行き方向の端部加工が基本的に必要ないので、極めて成形加工性に優れている。使用する捨て板2も、受板部21の加工が必要ないので、極めて成形加工性に優れている。
 さらに、取付以前にこれらの部位を作業者が誤って踏みつけても、剥離紙を剥がさない状態では接着層3自体には何等支障がない。また、接着後に踏みつけても、基本的に接着層3は極めて厚みが薄いので、段差が形成されないので、美観を損ねることもない。
 図4(a)は、図2及び図3の継手構造を既設屋根に適用したものであるが、寸法を2.5倍程度拡大して表示している。また、図4(b),(c)はその棟軒方向の接続部分をさらに拡大して表示している。
 この図4では、既設屋根としてスレート屋根が施工されており、下地5上にスレート板6が敷設されている。そして、このスレート板6を撤去することなく、前述の継手構造を施工したものである。
 この場合、継手施工に際しては、前述のように捨て板2に設けた接着層3にて外装材1の端部裏面を接着するだけの簡単な作業で実施され、作業時間も短縮できるので、スレート板6に与える振動や正荷重等の負荷も極めて少ない。
 また、スレート板6を撤去しないので廃材を発生させることがなく、撤去に伴う粉塵等の発生も防止される。
 新設の屋根施工に適用する例については例示しないが、躯体や野地板に対して同様に施工することにより、屋根構造(継手構造)を構築することができる。
 このように本発明の継手構造は、既設屋根の改修、新設の屋根施工の何れにも適用することができるが、特に既設屋根の改修に際して、居住者や周辺地域に対する不都合等を生ずることがなく好適である。
 また、新設、補修の何れに際しても、施工下地と外装材1との間にはバックアップ材を介在させるようにしてもよく、その結果、強風時等の木の枝などの衝突や施工作業者の体重など各種外的要因による変形や振動を防止すると共に、断熱性能の向上を図るようにしてもよい。このバックアップ材としては、ポリウレタン、ポリスチレン、フェノール等の高い断熱性を備えた発泡樹脂素材が用いられるが、防火性を考慮して木毛セメント板等を用いることもできる。
 以上本発明を図面の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りどのようにでも実施することができる。例えば従来の横葺き形式の外装材の施工に適用されるどのような手法を用いても良い。
 新設屋根の施工や既設屋根の改修に利用することができる。
(a)従来の継手構造の一例を示す分解断面図、(b)施工状態の断面図である。 本発明の継手構造の一例を示す分解斜視図である。 図2の継手構造の施工状態を示す斜視図である。 (a)図2の継手構造を既設屋根に適用した例を示す一部を拡大した側断面図、(b)B部分をさらに拡大した側断面図、(c)C部分をさらに拡大した側断面図である。 本発明の継手構造に用いる捨て板のバリエーションを示す斜視図である。
符号の説明
 1 外装材
 11 面板部
 12 軒側成形部
 13 棟側成形部
 2 捨て板
 21 受板部
 22 棟側端部
 23 軒側端部
 3 接着層
 4 下地

Claims (6)

  1.  面板部、軒側成形部、棟側成形部からなる横葺き外装材の継手構造にあって、
     桁行き方向に隣接する外装材の側縁部裏面に、外装材の有効幅分だけの長さを有する受板部の軒側に、下段の外装材の棟側側縁上に位置する軒側端部を、棟側に、水返し部を備えた棟側端部を有する捨て板を配設し、外装材面板部の側縁部裏面と捨て板表面とが接着層にて接着されていることを特徴とする継手構造。
  2.  外装材の棟側成形部の配設位置に止水シール材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の継手構造。
  3.  接着層は、捨て板の幅方向にわたって複数条設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の継手構造。
  4.  外装材は、既設屋根上に敷設されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の継手構造。
  5.  面板部、軒側成形部、棟側成形部からなる横葺き外装材の継手方法にあって、
     桁行き方向に隣接する外装材の側縁部裏面に、外装材の有効幅分だけの長さを有する受板部の軒側に、下段の外装材の棟側側縁上に位置する軒側端部を、棟側に、水返し部を備えた棟側端部を有する捨て板を配設し、外装材面板部の側縁部裏面と捨て板表面とを接着層にて接着することを特徴とする継手方法。
  6.  接着層を捨て板側に形成することを特徴とする請求項5に記載の継手方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013213395A (ja) * 2012-03-07 2013-10-17 Nippon Steel & Sumikin Coated Sheet Corp 縦葺き用金属屋根の連結構造
WO2014073073A1 (ja) * 2012-11-08 2014-05-15 日鉄住金鋼板株式会社 横葺き屋根構造

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