JP2004142884A - フィルム搬送装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】接触式、非接触式のセンサを用いなくとも、包装体の巻き取り完了を検知可能にすることで巻き取り検知の信頼性の向上を図る。また、包装体の巻き取り不具合を検知可能にすることで、不具合に対する対処の効率化を図る。
【解決手段】フィルム搬送装置には、遮光性の包装体で包装された感光性のフィルムを収納するフィルムトレイが備わっている。そして、フィルムトレイに収納された感光性フィルムの包装体は巻き取り部材によって巻き取られる。この巻き取り部材は巻き取りモータによって駆動されている。またフィルム搬送装置には巻き取りモータを駆動させ、巻き取りモータの電流値を検出するドライブ部と、
ドライブ部によって検出された電流値を基に、包装体の巻き取り状態を判断する制御部と、制御部によって判断された巻き取り状態を基に、巻き取り状態を報知する報知部とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】フィルム搬送装置には、遮光性の包装体で包装された感光性のフィルムを収納するフィルムトレイが備わっている。そして、フィルムトレイに収納された感光性フィルムの包装体は巻き取り部材によって巻き取られる。この巻き取り部材は巻き取りモータによって駆動されている。またフィルム搬送装置には巻き取りモータを駆動させ、巻き取りモータの電流値を検出するドライブ部と、
ドライブ部によって検出された電流値を基に、包装体の巻き取り状態を判断する制御部と、制御部によって判断された巻き取り状態を基に、巻き取り状態を報知する報知部とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルム搬送装置に係り、特に、感光性のフィルムを搬送するフィルム搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CTなどのX線撮影装置やMRIなどの医療用画像撮影装置で撮影した画像情報を階調処理などの画像処理を施した後、その画像データにしたがって駆動制御されるレーザ光の走査を介して、感光性の乳剤層を備えるフィルム上に画像を記録する画像形成装置が知られている。
【0003】
上述のような画像形成装置には、フィルムを収納し搬送するフィルム搬送装置(トレー部11、12)が引き出し自在に備えられている(例えば特許文献1)。通常、フィルムは感光保護用の包装体で包装された状態で保管されており、フィルム搬送装置内に補充している際においても、包装体により遮光性が維持されている。そして、フィルム搬送装置内の遮光状態が確保されると、フィルム搬送装置に設けられた巻き取り部材によって、包装体がフィルムから巻き取られる。そして、フィルム搬送装置内に設けられた非接触式のセンサ(読み取りセンサ62)で包装体の後端が検知されると、包装体が最後まで巻き取られたことが認識されて、巻き取り部材により巻き取り動作が停止され、包装体の巻き取り動作が終了する。
また、非接触式のセンサ以外にも接触式のセンサを用いることで包装体の巻き取りを検知するものも開発されている。
このように包装体の巻き取り終了が、接触式、非接触式で検知されると、フィルム搬送装置内のフィルムは画像を記録する記録部へと搬送される。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−275749号公報(第9−12頁、第3図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されるような、包装体の巻き取り終了を非接触式のセンサで検知するものや、接触式のセンサで検知するものであると、センサに破損などが生じた場合に誤検知してしまい、包装体の巻き取りが完全に終了する前にフィルムの搬送が開始される可能性があった。こうなると、フィルムと包装体とが干渉しあうおそれがあり、フィルムの搬送及び包装体の巻き取りが正常に行えない場合がある。
【0006】
また、接触式、非接触式のセンサを用いるだけだと、巻き取り実行の有無は検知できるものの、巻き取りに不具合が生じた場合にその不具合の種類が検知できない。巻き取り不具合の種類には、包装体の開封忘れや、巻き取り時に包装体が引っかかること、あるいは巻き取り部材から包装体が外れることなどがあり、これら毎に対処法が異なる。このため、接触式、非接触式のセンサだけでは、不具合の種類が検知できず、不具合への対処に時間がかかってしまっていた。
【0007】
本発明の課題は、接触式、非接触式のセンサを用いなくとも、包装体の巻き取り完了を検知可能にすることで巻き取り検知の信頼性の向上を図る。また、包装体の巻き取り不具合を検知可能にすることで、不具合に対する対処の効率化を図る。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明のフィルム搬送装置は、
遮光性の包装体で包装された感光性のフィルムを収納するフィルムトレイと、前記フィルムトレイに収納された感光性フィルムから前記包装体を巻き取る巻き取り部材と、
前記巻き取り部材を駆動させる巻き取りモータと、
前記巻き取りモータを駆動させ、前記巻き取りモータの電流値を検出するドライブ部と、
前記ドライブ部によって検出された前記電流値を基に、前記包装体の巻き取り状態を判断する制御部と、
前記制御部によって判断された前記巻き取り状態を基に、前記巻き取り状態を報知する報知部とを備えることを特徴としている。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、制御部が巻き取りモータの電流値を基として、巻き取り状態を判断するので、巻き取りの進行状況や、巻き取り時の不具合の有無等を検出することができる。つまり、従来のように接触式、非接触式のセンサを用いなくとも包装体の巻き取り完了を検知することができ、巻き取り動作の信頼性を向上させることができる。
また、巻き取りモータの電流値は、不具合の種類によって異なる値を示すので、これを基にすれば、巻き取り時に生じる不具合の種類も検出することが可能で、そのうえ、不具合の種類が報知部で報知されるために、不具合に対する対処を効率化することができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のフィルム搬送装置において、
前記ドライブ部は、巻き取りの際に不具合が生じた場合に前記不具合の種類を検出するための検出レベル、検出タイムが、前記包装体の巻き取りが正常に行われた際の前記巻き取りモータの電流波形を基に設定されており、
前記制御部は、前記ドライブ部で前記検出タイムに応じて検出された前記検出レベルを基として、前記不具合の種類を判断することを特徴としている。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、検出タイムに応じて検出された検出レベルを基として、制御部が不具合の種類を判断するので、前記電流波形と不具合が生じた際の電流波形とを比較することができ、これによって、不具合の種類を検出しやすくなる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のフィルム搬送装置において、
前記制御部は、前記包装体の種類が異なる場合に前記包装体の種類毎に応じた前記検出レベル、前記検出タイムを基として、前記不具合の種類を検出することを特徴としている。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、制御部が、包装体の種類が異なる場合には包装体の種類毎に応じた検出レベル、検出タイムを基として、不具合の種類を検出するので、異なる包装体を巻き取る際においても、その種類に応じて不具合の種類を判断することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム搬送装置において、
前記巻き取りモータの電流値が所定値以上となった場合に、前記電流値を強制的に低下させる保護機構を備えることを特徴としている。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、巻き取りモータの電流値が所定値以上となった場合には、保護機構が巻き取りモータの電流値を強制的に低下させるので、巻き取りモータに所定値以上の電流が長時間流れることを防止できる。したがって、過負荷時にも、巻き取りモータや駆動伝達系部品の破損を防止することができる。
また、包装体の巻き取り側と反対側の端面をユーザーが切り忘れた場合、巻き取りモータ及び駆動伝達系に過負荷がかかり続け、ついには駆動伝達系及び/又は包装体が破損してしまって包装体の破損は内部フィルムのかぶりに繋がり再使用不能となるが、本件発明によれば、モータ伝達系が強引に包装体を引っ張り続けようとしないので、包装体による遮光状態が維持され、ユーザーはフィルムトレイを引き出し、再装填(端部カット)を行えば、包装体内部のフィルムは再使用可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図1〜図3の図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、フィルム搬送装置の主要構成部を示す説明図である。本実施形態のフィルム搬送装置1は、ドライ銀塩熱現像方式を採用したレーザイメージャからなる画像形成装置に備えられ、この画像形成装置本体に対して、感光性のフィルムFを搬送するものである。
【0018】
フィルムFは、例えばPET等の透過性の樹脂からなるシート状の支持体の一面に感光性の乳剤を塗布したものである。このフィルムFは、保管時、つまりフィルム搬送装置1内に収納される以前においては感光しないように、複数枚積層され、保護部材Bで保護された状態で、包装体Sによって包装されている。この包装体Sの後端部には、包装体Sが巻き取られる際に係止される係止穴S1が設けられている。
なお、包装体Sは、遮光性と可撓性とある程度の強度とがあれば特に材料限定されないが、例えば、PETフィルムとアルミニウム箔をラミネート構造とした薄膜からなるものが挙げられる。
【0019】
フィルム搬送装置1には、図1に示すように、フィルムFを収納する箱形形状のフィルムトレイ2が設けられている。フィルムトレイ2は、フィルムFを収納するために上方を開放した本体部材21と、本体部材21の上面で水平方向にスライドして、本体部材21を開閉する蓋部材22とから構成されている。本体部材21内部の後方(図では左側)には、包装体Sの係止穴S1がピン25により係止されて、回転することにより、フィルムFから包装体Sを巻き取る巻き取り部材23が設けられている。また、巻き取り部材23とフィルムトレイ2の間には、包装体Sを上下から挟んで巻き取りやすく案内する一対の案内ローラ24が設けられている。
【0020】
巻き取り部材23には、フィルムFを巻き付ける巻き取りローラ231が、フィルムトレイ2の後側面と平行になるように設けられているとともに、ギア232が巻き取りローラ231に対して同軸状に連結されている。
この巻き取り部材23のギア232は、一部がフィルムトレイ2の下面から外部へ露出しており、画像形成装置本体に設けられた巻き取りモータMのギア3が噛合されている。このため、巻き取りモータMが回転するとその駆動力は、ギア3及びギア232を介して巻き取りローラ231に伝達されて、巻き取りローラ231を回転駆動させるようになっている。
なお、ギア232とフィルムトレイ2の隙間に対して遮光壁等を設けることで、光の侵入を防止してフィルムFが感光しないようにすることが好ましい。
【0021】
このように、フィルムトレイ2と巻き取り部材23は一体的に形成されて、画像形成装置本体に引き出し自在に取り付けられており、この両者が引き出された際には巻き取り部材23のギア232と巻き取りモータMのギア3とが噛合状態を解除して離間し、画像形成装置本体に完全に押し入れられた際にはギア232とギア3が噛合するようになっている。
【0022】
巻き取りモータMには、巻き取りモータMを駆動させるとともに、巻き取りモータMの電流値を検出するドライブ部4が電気的に接続されている。ドライブ部4には、画像形成装置本体に設けられた制御部5が電気的に接続されており、この制御部5によってドライブ部4が制御される。
【0023】
ドライブ部4は、巻き取り時に、包装体Sの種類毎に設定される検出タイムが経過すると、巻き取りモータMの電流値を検出する。そして、ドライブ部4は、検出した電流値を基に、巻き取りモータMの負荷状態を検出レベルとして表し、制御部5に出力する。ここで、検出レベルには、巻き取りモータMが停止していることを示す停止レベルL1と、巻き取りモータMは回転しているものの巻き取り時よりも負荷が小さいことを示す低負荷レベルL2と、巻き取りが正常に行われていることを示す正常レベルL3と、正常レベルL3よりも過負荷であることを示す過負荷レベルL4とがある。各検出レベルの閾値は、包装体Sの種類毎に設定されている。なお、検出レベルの閾値及び検出タイムの設定については後述する。
【0024】
また、画像形成装置本体には、画像形成装置の状態や不具合が生じたときにその対処法などが表示される報知部としてのモニタ6が設けられている。モニタ6には、制御部5が電気的に接続されており、この制御部5によってモニタ6が制御される。
【0025】
制御部5は、インターフェイス、記録回路、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、記録回路中に書き込まれている制御プログラムや制御データに従いインターフェイスに接続された各種機器を制御するようになっている。インターフェイスには、モニタ6、ドライブ部4、画像形成装置本体に備わる各駆動部、センサ、入力部等が電気的に接続されており、画像データに基づいて、各種機器を制御し、記録媒体に画像を形成する。
CPUは、記録回路に格納されている各種プログラムのなかから指定されたプログラムを、記録回路内の作業領域に展開し、各部からの入力信号に応じて、プログラムに従った各種処理を実行する。
【0026】
制御部5の記録回路には、種類の異なる包装体S毎に設定された検出タイム、検出レベルの閾値が記録されており、作業者により選択された包装体Sの種類に基づいて、その種類に応じる検出タイム、検出レベルの閾値をドライブ部4に出力する。
【0027】
次に、本実施形態のフィルム搬送装置1における作用、動作について図1及び図2を参照にして説明する。図2は、フィルムFの装填時及び包装体Sの巻き取り時を表すフィルム搬送装置1の側断面図である。
【0028】
先ず、作業者は、フィルムFをフィルム搬送装置1に装填する際にフィルムトレイ2を画像形成装置本体から引き出して、図2(a)に示すように、蓋部材22をスライドさせて本体部材21の上面を開放する。
そして、作業者は、包装体Sにより包装されたフィルムFを本体部材21の内部へ装填する。この際、作業者は、包装体Sの先端部を本体部材21の外側へはみ出しておき、包装体Sの後端部を、一対の案内ローラ24の間を通過させて巻き取り部材23の巻き取りローラ231に係止しておく。
【0029】
包装体Sのセットが完了すると、作業者は、図1に示すように、蓋部材22をスライドさせて、包装体Sの先端部が外部に露出するように本体部材21の上面を閉じる。その後、作業者は、蓋部材22が閉じられた状態を維持しながら、包装体Sの先端部を切断して、フィルムトレイ2を画像形成装置本体へと押し入れる。
【0030】
フィルムトレイ2が画像形成装置本体へ押し入れられ、フィルムトレイ2内部の遮光性が確保されると、作業者は包装体Sの種類を入力部から入力する。制御部5は、入力された種類に応じる検出タイム、検出レベルを設定してから、巻き取りを開始するようにドライブ部4を制御する。この制御に基づいて、ドライブ部4は、巻き取りモータMの駆動を開始しつつ、巻き取りモータMの検出レベルを検出し制御部5へ出力する。
制御部5は、検出タイムに応じたドライブ部4からの検出レベルに基づいて、巻き取り状態が正常であるか否かを判断し、正常である場合には巻き取りを継続させる。
そして、巻き取りが正常に完了すると、制御部5は、画像撮影装置から入力される画像データに基づいた画像形成を開始する。
【0031】
一方、巻き取り状態が正常でない場合には、制御部5は巻き取りの中断を決定するとともに、今まで入力された検出レベルを基に、その不具合が如何なる種類のものかを判断する。
そして、不具合の種類が決定されると、制御部5は、不具合の種類及びその対処方法を記録回路から読み出してモニタ6に表示させる。作業者は、その表示された対処方法を基に作業し、生じた不具合を解消する。
【0032】
次に、巻き取り時に生じる不具合の有無及び不具合の種類の検出動作について、図3を参照にして説明する。図3は、巻き取りが正常に行われた場合や、巻き取り時に各不具合が生じた場合の巻き取りモータMの電流波形を表す時間−電流線図である。
【0033】
[巻き取りが正常に行われた場合:電流波形V1]
電流波形V1について説明する。巻き取りモータMの駆動開始により包装体Sの巻き取りが開始されると、巻き取りモータMには、各部を動作させるために負荷がかかり、その分電流値は上昇し第一閾値N1を超えてピークを迎える。その後、各部の動作が安定すると電流値も下がって第一閾値N1と第二閾値N2との間の値で安定する。そして、巻き取りが終了すると、一旦電流値が上昇してから下降を開始する。このとき、巻き取りモータMは無負荷の状態で予備回転するために一旦電流値も第二閾値N2よりも小さな値で安定する。予備回転が停止すると、電流値は下降し最終的に0Aを示す。
【0034】
そして、上記した検出タイム及び検出レベルの閾値は、この電流波形V1を基に設定される。
検出タイムは、巻き取りモータMが起動してから電流波形V1が安定し始めるまでの時間をt1、電流波形が安定し始めてから巻き取り完了までの時間を複数段階(本実施形態では3段階)に分割し、その一段階分経過後の電流値を検出する時間をt2、巻き取り完了後に巻き取りモータを予備回転させた際の電流値を検出する時間をt3、立ち上がり動作開始時から予備回転終了後、所定時間経過した際の電流値を検出する時間をt4として、各検出タイムが設定される。つまり、検出レベルの検出は、巻き取り開始から、1回目がt1後、2回目がt1+t2後、3回目がt1+t2+t2後、4回目がt1+t2+t2+t2後、5回目がt1+t2+t2+t2+t3後、6回目がt4後に行われる。
【0035】
検出レベルの閾値は、巻き取り時の電流波形V1が安定して推移している部分の電流値よりも小さい電流値を第一閾値N1とし、この第一閾値N1のほぼ2倍の電流値を第二閾値N2とする。つまり、電流値=0Aのときは停止レベルL1、0A<電流値≦第一閾値N1のときは低負荷レベルL2、第一閾値N1<電流値<第二閾値N2のときは正常レベルL3、第二閾値N2≦電流値のときは過負荷レベルL4として判断される。
【0036】
そして、制御部5は、検出レベルの一覧が、1回目=正常レベルL3、2回目=正常レベルL3、3回目=正常レベルL3、4回目=低負荷レベルL2となった場合には、巻き取りが正常に完了したと判断して、巻き取りモータMを予備回転させるようにドライブ部4を制御する。そのt3時間経過後に5回目の検出が行われて、5回目=低負荷レベルL2と検出されると、制御部5は巻き取りモータMを停止させるようにドライブ部4を制御する。その後行われる6回目の検出結果が、6回目=停止レベルL1となった場合には、制御部5は正常に巻き取りが行われたことを表示させるようにモニタ6を制御する。
【0037】
[巻き取りに不具合が生じた場合1:電流波形V2]
電流波形V2は、包装体Sを巻き取り部材23に係止し忘れた場合等、初めから巻き取り部材23に負荷がかからず、巻き取りモータMが空回りした場合の電流波形である。
【0038】
この電流波形V2について説明する。巻き取りモータMの駆動開始により包装体Sの巻き取りが開始されると、巻き取りモータMには、各部を動作させるために負荷がかかり、その分電流値は電流波形V1と同様に上昇する。しかしながら、包装体Sが係止されていない等、巻き取りモータMに負荷がかからない状態であるために電流波形V1よりも小さい値でピークを迎える。その後電流波形V2は下降し、1回目の検出レベルが低負荷レベルL2として検出される。このように4回目の検出が行われる前に低負荷レベルL2が検出されると、制御部5は巻き取りに不具合が生じたと判断し、巻き取りモータMを停止させるようにドライブ部4を制御する。これにより電流波形V2は下降し最終的に0Aを示す。
その後行われる2回目の検出結果が、2回目=停止レベルL1となると、制御部5は1回目=低負荷レベルL2、2回目=停止レベルL1という検出結果から、係止忘れにより生じた不具合であることを認識し、係止忘れ等であること、その対処方法が表示されるようにモニタ6を制御する。
【0039】
[巻き取りに不具合が生じた場合2:電流波形V3]
電流波形V3は、包装体Sの先端部がきちんと切断されていない等の場合、巻き取る際に包装体SがフィルムFに引っかかってしまい、巻き取りモータMに過負荷が生じた場合の電流波形である。
【0040】
この電流波形V3について説明する。巻き取りモータMの駆動開始により包装体Sの巻き取りが開始されると、巻き取りモータMには、各部を動作させるために負荷がかかり、その分電流値は電流波形V1と同様に上昇する。しかしながら、包装体SがフィルムFに引っかかっているために負荷も大きく、電流波形V1よりも高い値でピークを迎え、1回目の検出レベルが過負荷レベルL4として検出される。このように4回目の検出が行われる前に過負荷レベルL4が検出されると、制御部5は巻き取りに不具合が生じたと判断し、巻き取りモータMを停止させるようにドライブ部4を制御する。これにより電流波形V2は下降し最終的に0Aを示す。
その後行われる2回目の検出結果が、2回目=停止レベルL1となると、制御部5は1回目=過負荷レベルL4、2回目=停止レベルL1という検出結果から、包装体Sの切断が不十分であったために生じた不具合であることを認識し、切断不十分等であることと、その対処方法が表示されるようにモニタ6を制御する。
【0041】
[巻き取りに不具合が生じた場合3:電流波形V4]
電流波形V4は、巻き取りの途中で包装体Sがフィルムトレイ2に引っかかってしまった場合、巻き取りモータMに過負荷が生じた場合の電流波形である。
【0042】
この電流波形V4について説明する。包装体Sが引っかかるまで(A点)は、正常に巻き取りが行われているので、電流波形V1と同様の波形を示し、1回目の検出結果は正常レベルL3として検出される。そして、包装体Sが引っかかると負荷が大きくなって、再び電流値が上昇してしまう。このため、2回目の検出レベルが過負荷レベルL4として検出される。このように4回目の検出が行われる前に過負荷レベルL4が検出されると、制御部5は巻き取りに不具合が生じたと判断し、巻き取りモータMを停止させるようにドライブ部4を制御する。これにより電流波形V4は下降し最終的に0Aを示す。
その後行われる3回目の検出結果が、3回目=停止レベルL1となると、制御部5は1回目=正常レベルL3、2回目=過負荷レベルL4、3回目=停止レベルL1という検出結果から、巻き取りの途中に包装体Sが引っかかったために生じた不具合であることを認識し、途中で引っかかった状態であることと、その対処方法が表示されるようにモニタ6を制御する。
【0043】
なお、ここでは1回目の検出結果後に途中引っかかりが生じる場合を例示して説明したが、2回目以降に途中で引っかかりが生じた場合では、正常レベルL3が検出された次回の検出結果が過負荷レベルL4となることから、x回目=正常レベルL3、x+1回目=過負荷レベルL4になれば、制御部5は途中で引っかかった状態であることを認識する。
【0044】
[巻き取りに不具合が生じた場合4:電流波形V5]
電流波形V4は、巻き取りの途中で包装体Sが巻き取り部材23から外れてしまい、巻き取りモータMが空回りした場合の電流波形である。
【0045】
この電流波形V5について説明する。包装体Sが巻き取り部材23から外れるまで(A点)は、正常に巻き取りが行われているので、電流波形V1と同様の波形を示し、1回目の検出結果は正常レベルL3として検出される。そして、包装体Sが巻き取り部材23から外れ、包装体Sによる負荷が無くなると、電流値が一旦上昇して下降し始める。このため、2回目の検出レベルが低負荷レベルL2として検出される。このように4回目の検出が行われる前に低負荷レベルL2が検出されると、制御部5は巻き取りに不具合が生じたと判断し、巻き取りモータMを停止させるようにドライブ部4を制御する。これにより電流波形V5は下降し最終的に0Aを示す。
その後行われる3回目の検出結果が、3回目=停止レベルL1となると、制御部5は1回目=正常レベルL3、2回目=低負荷レベルL2、3回目=停止レベルL1という検出結果から、巻き取りの途中に包装体Sが外れたために生じた不具合であることを認識し、途中はずれであることと、その対処方法が表示されるようにモニタ6を制御する。
【0046】
なお、ここでは1回目の検出結果後に途中外れが生じる場合を例示して説明したが、2回目の検出結果後に途中外れが生じた場合、つまり2回目までは正常レベルL3が検出されて、3回目に低負荷レベルL2が検出された場合においても、制御部5は途中外れであることを認識する。なお、3回目までは正常レベルL3が検出されて4回目で低負荷レベルL2が検出された場合には、上述したように制御部5は巻き取りが完了したことを認識する。
【0047】
[保護機構が設けられている場合1:電流波形V6]
フィルム搬送装置には、巻き取りモータMに所定値K以上の電流が流れることを防止する保護機構を有したものがある。このように、保護機構を設けた場合には、巻き取りモータMの電流値が所定値K以上となると、保護機構が巻き取りモータの電流値を強制的に低下させるので、巻き取りモータに所定値以上の電流が長時間流れることを防止できる。したがって、過負荷時にも、巻き取りモータMや駆動伝達系部品の破損を防止することができる。
また、包装体Sの巻き取り側と反対側の端面をユーザーが切り忘れた場合、巻き取りモータM及び駆動伝達系に過負荷がかかり続け、ついには駆動伝達系及び/又は包装体Sが破損してしまって包装体Sの破損は内部フィルムFのかぶりに繋がり再使用不能となるが、本件発明によれば、モータ伝達系が強引に包装体Sを引っ張り続けようとしないので、包装体Sによる遮光状態が維持され、ユーザーはフィルムトレイ2を引き出し、再装填(端部カット)を行えば、包装体S内部のフィルムFは再使用可能となる。
【0048】
保護機構としては、所定値K以上の電流が流れたら強制的に巻き取りモータMの電流値を0Aまで落とすもの、所定値K以上の電流が流れたら強制的に一旦巻き取りモータMの電流値を下げるものなどがある。
ここで所定値Kは、第二閾値N2よりも高い値に設定されていれば如何なる値でもよいが、電流波形V1のピーク値Pよりも高い値に設定されることが好ましい。
【0049】
そして、電流波形V6は、所定値K以上の電流が流れたら保護機構が働いて、巻き取りモータMの電流値を0Aまで落とす場合の電流波形である。
【0050】
この電流波形V6について説明する。巻き取りモータMの駆動開始により包装体Sの巻き取りが開始されると、巻き取りモータMには、各部を動作させるために負荷がかかり、その分電流値は電流波形V1と同様に上昇する。そして、包装体Sの切断不十分により、巻き取りモータMに過負荷がかかって電流値が所定値Kまで達すると、保護機構が働いて電流波形V6は下降し、1回目の検出レベルが正常レベルL3として検出される。このように保護機構が働いていると制御部5は巻き取りモータMを制御できず、そのまま電流波形V6は下降し続け最終的に0Aを示す。
その後行われる2回目の検出結果が、2回目=停止レベルL1となると、制御部5は1回目=正常レベルL3、2回目=停止レベルL1という検出結果から、包装体Sが切断不十分であることを認識するとともに保護機構が働いたことを認識する。そして、制御部5は、切断不十分であることと、その対処方法及び保護機構の復帰処理が表示されるようにモニタ6を制御する。
なお、ここでは、包装体Sの切断不十分が生じたことにより保護機構が働いた場合を例示して説明したが、途中で引っかかった場合においても保護機構が働くために、制御部5は、途中で引っかかったことと、その対処方法及び保護機構の復帰処理が表示されるようにモニタ6を制御する。
【0051】
[保護機構が設けられている場合2:電流波形V7]
電流波形V7は、所定値K以上の電流が流れたら保護機構が働き強制的に一旦巻き取りモータMの電流値を下げる場合の電流波形である。
【0052】
この電流波形V7について説明する。巻き取りモータMの駆動開始により包装体Sの巻き取りが開始されると、巻き取りモータMには、各部を動作させるために負荷がかかり、その分電流値は電流波形V1と同様に上昇する。そして、包装体Sの切断不十分により、巻き取りモータMに過負荷がかかって、電流値が所定値Kまで達すると、保護機構が働いて電流波形V7は強制的に所定の電流値まで下降する。この際、1回目の検出レベルが正常レベルL3として検出される。所定の電流値まで下降すると補助機構の働きが解除されて、制御部5は、巻き取りモータMを制御して巻き取りを再開する。しかしながら、包装体Sの切断不十分は解消されていないので、巻き取りモータMには過負荷がかかり再度電流波形V7は上昇する。そして、電流値が所定値Kまで達すると保護機構が働いて電流波形V7は強制的に所定の電流値まで下降する。つまり、t4時間後まで不具合が解消されなければ、定期的な周期で変位する。このため、各回の検出結果がいずれも正常レベルL3と検出されて、6回目の検出が終わった際には制御部5は巻き取りモータMを停止させるように、ドライブ部4を制御する。
このように、各回の検出結果の全てが正常レベルL3である場合には、包装体Sが切断不十分であることを認識するとともに保護機構が働いたことを認識する。そして、制御部5は、切断不十分であることと、その対処方法及び保護機構の復帰処理が表示されるようにモニタ6を制御する。
【0053】
なお、ここでは、包装体Sの切断不十分が生じたことにより保護機構が働いた場合を例示して説明したが、途中で引っかかった場合においても保護機構が働くために、この際においては、制御部5は途中で引っかかったことと、その対処方法及び保護機構の復帰処理が表示されるようにモニタ6を制御する。
【0054】
次に、巻き取り途中に停電が生じてしまい、その復旧後に巻き取りが再開される際の動作について説明する。なお、ここの場合においては停電発生前、停電復旧後の巻き取りに不具合が生じていないことが前提である。
電力供給が再開されると、制御部5は、ドライブ部4を制御して、巻き取りモータMを駆動させて巻き取りを再開させる。停電が発生せずに巻き取りが行われた場合においては、検出回数が4回目より前の段階で、停止レベル、低負荷レベル、過負荷レベルのいずれかが検出されると、制御部5は不具合であると判断して、巻き取りモータMを停止させるようにドライブ部4を制御していたが、ここでの停電復旧により巻き取りが再開される場合においては、停電前に多少は巻き取りが行われていたはずなので、検出回数が何回目であろうとも、低負荷レベルが検出された段階で、制御部5は巻き取りが完了したと判断して、巻き取りモータMを予備回転させるようにドライブ部4を制御する。そのt3時間経過後に検出が行われて、低負荷レベルL2と検出されると、制御部5は巻き取りモータMを停止させるようにドライブ部4を制御する。その後行われる検出結果が、停止レベルL1となった場合には、制御部5は正常に巻き取りが行われたことを表示させるようにモニタ6を制御する。
【0055】
以上のように、本実施形態のフィルム搬送装置1によれば、制御部5が巻き取りモータMの電流値に応じた検出レベルを基に、巻き取り状態を判断するので、巻き取りの進行状況や、巻き取り時の不具合の有無等を検出することができる。つまり、従来のように接触式、非接触式のセンサを用いなくとも包装体Sの巻き取り完了を検知することができ、巻き取り動作の信頼性を向上させることができる。
【0056】
また、巻き取りモータMの電流値は、不具合の種類によって異なる値を示すので、これを基にすれば、巻き取り時に生じる不具合の種類も判断することが可能で、そのうえ、不具合の種類や、その種類に応じた対処法がモニタ6で報知されるために、不具合に対する対処を効率化することができる。特に、正常に巻き取りが行われた際の電流波形V1を基に設定された検出レベル、検出タイムを基に、制御部5が不具合の種類を判断するので、前記電流波形と不具合が生じた際の電流波形とを比較することができ、これによって、不具合の種類を判断しやすくなる。
さらに、制御部5、包装体Sの種類が異なる場合には包装体Sの種類毎に応じた検出レベル、検出タイムを基として、不具合の種類を検出するので、異なる包装体Sを巻き取る際においても、その種類に応じて不具合の種類を検出することができる。
そして、不具合の種類として切断忘れが検出された場合には、切断忘れであった包装体Sをフィルムトレイ2引き出し後、包装体Sの再装填及び包装体Sを切断することにより、包装体S内のフィルムを無駄にすることなく利用することができる。
【0057】
なお、本発明は上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。例えば、本実施形態では、フィルムトレイ2と巻き取り部材23とが一体的に形成されて画像形成装置本体に引き出し自在に取り付けられる構成を例示したが、フィルムトレイ、巻き取り部材らとともに巻き取りモータM、ドライブ部、制御部等が一体的に形成されて画像形成装置本体から引き出し自在に取り付けられる構成であってもよい。この際、制御部及びドライブ部は、画像形成装置本体の制御部に電気的に接続されており、この制御部の制御に基づいて制御される。
【0058】
また、本実施形態では、巻き取り状態に応じる対処法を報知する報知部として、対処法を視覚的に報知するモニタ6が例示されているが、視覚的に報知するものでなくとも、スピーカ等により聴覚的に報知するものであってもかまわない。
【0059】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、巻き取りの進行状況や、巻き取り時の不具合の有無等を判断することができる。つまり、従来のように接触式、非接触式のセンサを用いなくとも包装体の巻き取り完了を検知することができ、巻き取り動作の信頼性を向上させることができる。
また、巻き取りモータの電流値は、不具合の種類によって異なる値を示すので、これを基にすれば、巻き取り時に生じる不具合の種類も判断することが可能で、そのうえ、不具合の種類が報知部で報知されるために、不具合に対する対処を効率化することができる。
【0060】
請求項2記載の発明によれば、正常に巻き取りが行われた際の電流波形と不具合が生じた際の電流波形とを比較することができ、これによって、不具合の種類を判断しやすくなる。
請求項3記載の発明によれば、異なる包装体を巻き取る際においても、その種類に応じて不具合の種類を判断することができる。
請求項4記載の発明によれば、巻き取りモータに所定値以上の電流が長時間流れることを防止できる。したがって、過負荷時にも、巻き取りモータや駆動伝達系部品の破損を防止することができる。
また、包装体の巻き取り側と反対側の端面をユーザーが切り忘れた場合、巻き取りモータ及び駆動伝達系に過負荷がかかり続け、ついには駆動伝達系及び/又は包装体が破損してしまって包装体の破損は内部フィルムのかぶりに繋がり再使用不能となるが、本件発明によれば、モータ伝達系が強引に包装体を引っ張り続けようとしないので、包装体による遮光状態が維持され、ユーザーはフィルムトレイを引き出し、再装填(端部カット)を行えば、包装体内部のフィルムは再使用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態で例示したフィルム搬送装置の主要構成を表す説明図である。
【図2】図1のフィルム搬送装置のフィルム装填時及び包装体S巻き取り時を表す側断面図である。
【図3】図1のフィルム搬送装置でフィルムが巻き取られた際の、各巻き取り状態における巻き取りモータの電流波形を表す時間−電流線図である。
【符号の説明】
1 フィルム搬送装置
2 フィルムトレイ
4 ドライブ部
5 制御部
6 モニタ(報知部)
23 巻き取り部材
M 巻き取りモータ
S 包装体
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルム搬送装置に係り、特に、感光性のフィルムを搬送するフィルム搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CTなどのX線撮影装置やMRIなどの医療用画像撮影装置で撮影した画像情報を階調処理などの画像処理を施した後、その画像データにしたがって駆動制御されるレーザ光の走査を介して、感光性の乳剤層を備えるフィルム上に画像を記録する画像形成装置が知られている。
【0003】
上述のような画像形成装置には、フィルムを収納し搬送するフィルム搬送装置(トレー部11、12)が引き出し自在に備えられている(例えば特許文献1)。通常、フィルムは感光保護用の包装体で包装された状態で保管されており、フィルム搬送装置内に補充している際においても、包装体により遮光性が維持されている。そして、フィルム搬送装置内の遮光状態が確保されると、フィルム搬送装置に設けられた巻き取り部材によって、包装体がフィルムから巻き取られる。そして、フィルム搬送装置内に設けられた非接触式のセンサ(読み取りセンサ62)で包装体の後端が検知されると、包装体が最後まで巻き取られたことが認識されて、巻き取り部材により巻き取り動作が停止され、包装体の巻き取り動作が終了する。
また、非接触式のセンサ以外にも接触式のセンサを用いることで包装体の巻き取りを検知するものも開発されている。
このように包装体の巻き取り終了が、接触式、非接触式で検知されると、フィルム搬送装置内のフィルムは画像を記録する記録部へと搬送される。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−275749号公報(第9−12頁、第3図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されるような、包装体の巻き取り終了を非接触式のセンサで検知するものや、接触式のセンサで検知するものであると、センサに破損などが生じた場合に誤検知してしまい、包装体の巻き取りが完全に終了する前にフィルムの搬送が開始される可能性があった。こうなると、フィルムと包装体とが干渉しあうおそれがあり、フィルムの搬送及び包装体の巻き取りが正常に行えない場合がある。
【0006】
また、接触式、非接触式のセンサを用いるだけだと、巻き取り実行の有無は検知できるものの、巻き取りに不具合が生じた場合にその不具合の種類が検知できない。巻き取り不具合の種類には、包装体の開封忘れや、巻き取り時に包装体が引っかかること、あるいは巻き取り部材から包装体が外れることなどがあり、これら毎に対処法が異なる。このため、接触式、非接触式のセンサだけでは、不具合の種類が検知できず、不具合への対処に時間がかかってしまっていた。
【0007】
本発明の課題は、接触式、非接触式のセンサを用いなくとも、包装体の巻き取り完了を検知可能にすることで巻き取り検知の信頼性の向上を図る。また、包装体の巻き取り不具合を検知可能にすることで、不具合に対する対処の効率化を図る。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明のフィルム搬送装置は、
遮光性の包装体で包装された感光性のフィルムを収納するフィルムトレイと、前記フィルムトレイに収納された感光性フィルムから前記包装体を巻き取る巻き取り部材と、
前記巻き取り部材を駆動させる巻き取りモータと、
前記巻き取りモータを駆動させ、前記巻き取りモータの電流値を検出するドライブ部と、
前記ドライブ部によって検出された前記電流値を基に、前記包装体の巻き取り状態を判断する制御部と、
前記制御部によって判断された前記巻き取り状態を基に、前記巻き取り状態を報知する報知部とを備えることを特徴としている。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、制御部が巻き取りモータの電流値を基として、巻き取り状態を判断するので、巻き取りの進行状況や、巻き取り時の不具合の有無等を検出することができる。つまり、従来のように接触式、非接触式のセンサを用いなくとも包装体の巻き取り完了を検知することができ、巻き取り動作の信頼性を向上させることができる。
また、巻き取りモータの電流値は、不具合の種類によって異なる値を示すので、これを基にすれば、巻き取り時に生じる不具合の種類も検出することが可能で、そのうえ、不具合の種類が報知部で報知されるために、不具合に対する対処を効率化することができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のフィルム搬送装置において、
前記ドライブ部は、巻き取りの際に不具合が生じた場合に前記不具合の種類を検出するための検出レベル、検出タイムが、前記包装体の巻き取りが正常に行われた際の前記巻き取りモータの電流波形を基に設定されており、
前記制御部は、前記ドライブ部で前記検出タイムに応じて検出された前記検出レベルを基として、前記不具合の種類を判断することを特徴としている。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、検出タイムに応じて検出された検出レベルを基として、制御部が不具合の種類を判断するので、前記電流波形と不具合が生じた際の電流波形とを比較することができ、これによって、不具合の種類を検出しやすくなる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のフィルム搬送装置において、
前記制御部は、前記包装体の種類が異なる場合に前記包装体の種類毎に応じた前記検出レベル、前記検出タイムを基として、前記不具合の種類を検出することを特徴としている。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、制御部が、包装体の種類が異なる場合には包装体の種類毎に応じた検出レベル、検出タイムを基として、不具合の種類を検出するので、異なる包装体を巻き取る際においても、その種類に応じて不具合の種類を判断することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム搬送装置において、
前記巻き取りモータの電流値が所定値以上となった場合に、前記電流値を強制的に低下させる保護機構を備えることを特徴としている。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、巻き取りモータの電流値が所定値以上となった場合には、保護機構が巻き取りモータの電流値を強制的に低下させるので、巻き取りモータに所定値以上の電流が長時間流れることを防止できる。したがって、過負荷時にも、巻き取りモータや駆動伝達系部品の破損を防止することができる。
また、包装体の巻き取り側と反対側の端面をユーザーが切り忘れた場合、巻き取りモータ及び駆動伝達系に過負荷がかかり続け、ついには駆動伝達系及び/又は包装体が破損してしまって包装体の破損は内部フィルムのかぶりに繋がり再使用不能となるが、本件発明によれば、モータ伝達系が強引に包装体を引っ張り続けようとしないので、包装体による遮光状態が維持され、ユーザーはフィルムトレイを引き出し、再装填(端部カット)を行えば、包装体内部のフィルムは再使用可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図1〜図3の図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、フィルム搬送装置の主要構成部を示す説明図である。本実施形態のフィルム搬送装置1は、ドライ銀塩熱現像方式を採用したレーザイメージャからなる画像形成装置に備えられ、この画像形成装置本体に対して、感光性のフィルムFを搬送するものである。
【0018】
フィルムFは、例えばPET等の透過性の樹脂からなるシート状の支持体の一面に感光性の乳剤を塗布したものである。このフィルムFは、保管時、つまりフィルム搬送装置1内に収納される以前においては感光しないように、複数枚積層され、保護部材Bで保護された状態で、包装体Sによって包装されている。この包装体Sの後端部には、包装体Sが巻き取られる際に係止される係止穴S1が設けられている。
なお、包装体Sは、遮光性と可撓性とある程度の強度とがあれば特に材料限定されないが、例えば、PETフィルムとアルミニウム箔をラミネート構造とした薄膜からなるものが挙げられる。
【0019】
フィルム搬送装置1には、図1に示すように、フィルムFを収納する箱形形状のフィルムトレイ2が設けられている。フィルムトレイ2は、フィルムFを収納するために上方を開放した本体部材21と、本体部材21の上面で水平方向にスライドして、本体部材21を開閉する蓋部材22とから構成されている。本体部材21内部の後方(図では左側)には、包装体Sの係止穴S1がピン25により係止されて、回転することにより、フィルムFから包装体Sを巻き取る巻き取り部材23が設けられている。また、巻き取り部材23とフィルムトレイ2の間には、包装体Sを上下から挟んで巻き取りやすく案内する一対の案内ローラ24が設けられている。
【0020】
巻き取り部材23には、フィルムFを巻き付ける巻き取りローラ231が、フィルムトレイ2の後側面と平行になるように設けられているとともに、ギア232が巻き取りローラ231に対して同軸状に連結されている。
この巻き取り部材23のギア232は、一部がフィルムトレイ2の下面から外部へ露出しており、画像形成装置本体に設けられた巻き取りモータMのギア3が噛合されている。このため、巻き取りモータMが回転するとその駆動力は、ギア3及びギア232を介して巻き取りローラ231に伝達されて、巻き取りローラ231を回転駆動させるようになっている。
なお、ギア232とフィルムトレイ2の隙間に対して遮光壁等を設けることで、光の侵入を防止してフィルムFが感光しないようにすることが好ましい。
【0021】
このように、フィルムトレイ2と巻き取り部材23は一体的に形成されて、画像形成装置本体に引き出し自在に取り付けられており、この両者が引き出された際には巻き取り部材23のギア232と巻き取りモータMのギア3とが噛合状態を解除して離間し、画像形成装置本体に完全に押し入れられた際にはギア232とギア3が噛合するようになっている。
【0022】
巻き取りモータMには、巻き取りモータMを駆動させるとともに、巻き取りモータMの電流値を検出するドライブ部4が電気的に接続されている。ドライブ部4には、画像形成装置本体に設けられた制御部5が電気的に接続されており、この制御部5によってドライブ部4が制御される。
【0023】
ドライブ部4は、巻き取り時に、包装体Sの種類毎に設定される検出タイムが経過すると、巻き取りモータMの電流値を検出する。そして、ドライブ部4は、検出した電流値を基に、巻き取りモータMの負荷状態を検出レベルとして表し、制御部5に出力する。ここで、検出レベルには、巻き取りモータMが停止していることを示す停止レベルL1と、巻き取りモータMは回転しているものの巻き取り時よりも負荷が小さいことを示す低負荷レベルL2と、巻き取りが正常に行われていることを示す正常レベルL3と、正常レベルL3よりも過負荷であることを示す過負荷レベルL4とがある。各検出レベルの閾値は、包装体Sの種類毎に設定されている。なお、検出レベルの閾値及び検出タイムの設定については後述する。
【0024】
また、画像形成装置本体には、画像形成装置の状態や不具合が生じたときにその対処法などが表示される報知部としてのモニタ6が設けられている。モニタ6には、制御部5が電気的に接続されており、この制御部5によってモニタ6が制御される。
【0025】
制御部5は、インターフェイス、記録回路、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、記録回路中に書き込まれている制御プログラムや制御データに従いインターフェイスに接続された各種機器を制御するようになっている。インターフェイスには、モニタ6、ドライブ部4、画像形成装置本体に備わる各駆動部、センサ、入力部等が電気的に接続されており、画像データに基づいて、各種機器を制御し、記録媒体に画像を形成する。
CPUは、記録回路に格納されている各種プログラムのなかから指定されたプログラムを、記録回路内の作業領域に展開し、各部からの入力信号に応じて、プログラムに従った各種処理を実行する。
【0026】
制御部5の記録回路には、種類の異なる包装体S毎に設定された検出タイム、検出レベルの閾値が記録されており、作業者により選択された包装体Sの種類に基づいて、その種類に応じる検出タイム、検出レベルの閾値をドライブ部4に出力する。
【0027】
次に、本実施形態のフィルム搬送装置1における作用、動作について図1及び図2を参照にして説明する。図2は、フィルムFの装填時及び包装体Sの巻き取り時を表すフィルム搬送装置1の側断面図である。
【0028】
先ず、作業者は、フィルムFをフィルム搬送装置1に装填する際にフィルムトレイ2を画像形成装置本体から引き出して、図2(a)に示すように、蓋部材22をスライドさせて本体部材21の上面を開放する。
そして、作業者は、包装体Sにより包装されたフィルムFを本体部材21の内部へ装填する。この際、作業者は、包装体Sの先端部を本体部材21の外側へはみ出しておき、包装体Sの後端部を、一対の案内ローラ24の間を通過させて巻き取り部材23の巻き取りローラ231に係止しておく。
【0029】
包装体Sのセットが完了すると、作業者は、図1に示すように、蓋部材22をスライドさせて、包装体Sの先端部が外部に露出するように本体部材21の上面を閉じる。その後、作業者は、蓋部材22が閉じられた状態を維持しながら、包装体Sの先端部を切断して、フィルムトレイ2を画像形成装置本体へと押し入れる。
【0030】
フィルムトレイ2が画像形成装置本体へ押し入れられ、フィルムトレイ2内部の遮光性が確保されると、作業者は包装体Sの種類を入力部から入力する。制御部5は、入力された種類に応じる検出タイム、検出レベルを設定してから、巻き取りを開始するようにドライブ部4を制御する。この制御に基づいて、ドライブ部4は、巻き取りモータMの駆動を開始しつつ、巻き取りモータMの検出レベルを検出し制御部5へ出力する。
制御部5は、検出タイムに応じたドライブ部4からの検出レベルに基づいて、巻き取り状態が正常であるか否かを判断し、正常である場合には巻き取りを継続させる。
そして、巻き取りが正常に完了すると、制御部5は、画像撮影装置から入力される画像データに基づいた画像形成を開始する。
【0031】
一方、巻き取り状態が正常でない場合には、制御部5は巻き取りの中断を決定するとともに、今まで入力された検出レベルを基に、その不具合が如何なる種類のものかを判断する。
そして、不具合の種類が決定されると、制御部5は、不具合の種類及びその対処方法を記録回路から読み出してモニタ6に表示させる。作業者は、その表示された対処方法を基に作業し、生じた不具合を解消する。
【0032】
次に、巻き取り時に生じる不具合の有無及び不具合の種類の検出動作について、図3を参照にして説明する。図3は、巻き取りが正常に行われた場合や、巻き取り時に各不具合が生じた場合の巻き取りモータMの電流波形を表す時間−電流線図である。
【0033】
[巻き取りが正常に行われた場合:電流波形V1]
電流波形V1について説明する。巻き取りモータMの駆動開始により包装体Sの巻き取りが開始されると、巻き取りモータMには、各部を動作させるために負荷がかかり、その分電流値は上昇し第一閾値N1を超えてピークを迎える。その後、各部の動作が安定すると電流値も下がって第一閾値N1と第二閾値N2との間の値で安定する。そして、巻き取りが終了すると、一旦電流値が上昇してから下降を開始する。このとき、巻き取りモータMは無負荷の状態で予備回転するために一旦電流値も第二閾値N2よりも小さな値で安定する。予備回転が停止すると、電流値は下降し最終的に0Aを示す。
【0034】
そして、上記した検出タイム及び検出レベルの閾値は、この電流波形V1を基に設定される。
検出タイムは、巻き取りモータMが起動してから電流波形V1が安定し始めるまでの時間をt1、電流波形が安定し始めてから巻き取り完了までの時間を複数段階(本実施形態では3段階)に分割し、その一段階分経過後の電流値を検出する時間をt2、巻き取り完了後に巻き取りモータを予備回転させた際の電流値を検出する時間をt3、立ち上がり動作開始時から予備回転終了後、所定時間経過した際の電流値を検出する時間をt4として、各検出タイムが設定される。つまり、検出レベルの検出は、巻き取り開始から、1回目がt1後、2回目がt1+t2後、3回目がt1+t2+t2後、4回目がt1+t2+t2+t2後、5回目がt1+t2+t2+t2+t3後、6回目がt4後に行われる。
【0035】
検出レベルの閾値は、巻き取り時の電流波形V1が安定して推移している部分の電流値よりも小さい電流値を第一閾値N1とし、この第一閾値N1のほぼ2倍の電流値を第二閾値N2とする。つまり、電流値=0Aのときは停止レベルL1、0A<電流値≦第一閾値N1のときは低負荷レベルL2、第一閾値N1<電流値<第二閾値N2のときは正常レベルL3、第二閾値N2≦電流値のときは過負荷レベルL4として判断される。
【0036】
そして、制御部5は、検出レベルの一覧が、1回目=正常レベルL3、2回目=正常レベルL3、3回目=正常レベルL3、4回目=低負荷レベルL2となった場合には、巻き取りが正常に完了したと判断して、巻き取りモータMを予備回転させるようにドライブ部4を制御する。そのt3時間経過後に5回目の検出が行われて、5回目=低負荷レベルL2と検出されると、制御部5は巻き取りモータMを停止させるようにドライブ部4を制御する。その後行われる6回目の検出結果が、6回目=停止レベルL1となった場合には、制御部5は正常に巻き取りが行われたことを表示させるようにモニタ6を制御する。
【0037】
[巻き取りに不具合が生じた場合1:電流波形V2]
電流波形V2は、包装体Sを巻き取り部材23に係止し忘れた場合等、初めから巻き取り部材23に負荷がかからず、巻き取りモータMが空回りした場合の電流波形である。
【0038】
この電流波形V2について説明する。巻き取りモータMの駆動開始により包装体Sの巻き取りが開始されると、巻き取りモータMには、各部を動作させるために負荷がかかり、その分電流値は電流波形V1と同様に上昇する。しかしながら、包装体Sが係止されていない等、巻き取りモータMに負荷がかからない状態であるために電流波形V1よりも小さい値でピークを迎える。その後電流波形V2は下降し、1回目の検出レベルが低負荷レベルL2として検出される。このように4回目の検出が行われる前に低負荷レベルL2が検出されると、制御部5は巻き取りに不具合が生じたと判断し、巻き取りモータMを停止させるようにドライブ部4を制御する。これにより電流波形V2は下降し最終的に0Aを示す。
その後行われる2回目の検出結果が、2回目=停止レベルL1となると、制御部5は1回目=低負荷レベルL2、2回目=停止レベルL1という検出結果から、係止忘れにより生じた不具合であることを認識し、係止忘れ等であること、その対処方法が表示されるようにモニタ6を制御する。
【0039】
[巻き取りに不具合が生じた場合2:電流波形V3]
電流波形V3は、包装体Sの先端部がきちんと切断されていない等の場合、巻き取る際に包装体SがフィルムFに引っかかってしまい、巻き取りモータMに過負荷が生じた場合の電流波形である。
【0040】
この電流波形V3について説明する。巻き取りモータMの駆動開始により包装体Sの巻き取りが開始されると、巻き取りモータMには、各部を動作させるために負荷がかかり、その分電流値は電流波形V1と同様に上昇する。しかしながら、包装体SがフィルムFに引っかかっているために負荷も大きく、電流波形V1よりも高い値でピークを迎え、1回目の検出レベルが過負荷レベルL4として検出される。このように4回目の検出が行われる前に過負荷レベルL4が検出されると、制御部5は巻き取りに不具合が生じたと判断し、巻き取りモータMを停止させるようにドライブ部4を制御する。これにより電流波形V2は下降し最終的に0Aを示す。
その後行われる2回目の検出結果が、2回目=停止レベルL1となると、制御部5は1回目=過負荷レベルL4、2回目=停止レベルL1という検出結果から、包装体Sの切断が不十分であったために生じた不具合であることを認識し、切断不十分等であることと、その対処方法が表示されるようにモニタ6を制御する。
【0041】
[巻き取りに不具合が生じた場合3:電流波形V4]
電流波形V4は、巻き取りの途中で包装体Sがフィルムトレイ2に引っかかってしまった場合、巻き取りモータMに過負荷が生じた場合の電流波形である。
【0042】
この電流波形V4について説明する。包装体Sが引っかかるまで(A点)は、正常に巻き取りが行われているので、電流波形V1と同様の波形を示し、1回目の検出結果は正常レベルL3として検出される。そして、包装体Sが引っかかると負荷が大きくなって、再び電流値が上昇してしまう。このため、2回目の検出レベルが過負荷レベルL4として検出される。このように4回目の検出が行われる前に過負荷レベルL4が検出されると、制御部5は巻き取りに不具合が生じたと判断し、巻き取りモータMを停止させるようにドライブ部4を制御する。これにより電流波形V4は下降し最終的に0Aを示す。
その後行われる3回目の検出結果が、3回目=停止レベルL1となると、制御部5は1回目=正常レベルL3、2回目=過負荷レベルL4、3回目=停止レベルL1という検出結果から、巻き取りの途中に包装体Sが引っかかったために生じた不具合であることを認識し、途中で引っかかった状態であることと、その対処方法が表示されるようにモニタ6を制御する。
【0043】
なお、ここでは1回目の検出結果後に途中引っかかりが生じる場合を例示して説明したが、2回目以降に途中で引っかかりが生じた場合では、正常レベルL3が検出された次回の検出結果が過負荷レベルL4となることから、x回目=正常レベルL3、x+1回目=過負荷レベルL4になれば、制御部5は途中で引っかかった状態であることを認識する。
【0044】
[巻き取りに不具合が生じた場合4:電流波形V5]
電流波形V4は、巻き取りの途中で包装体Sが巻き取り部材23から外れてしまい、巻き取りモータMが空回りした場合の電流波形である。
【0045】
この電流波形V5について説明する。包装体Sが巻き取り部材23から外れるまで(A点)は、正常に巻き取りが行われているので、電流波形V1と同様の波形を示し、1回目の検出結果は正常レベルL3として検出される。そして、包装体Sが巻き取り部材23から外れ、包装体Sによる負荷が無くなると、電流値が一旦上昇して下降し始める。このため、2回目の検出レベルが低負荷レベルL2として検出される。このように4回目の検出が行われる前に低負荷レベルL2が検出されると、制御部5は巻き取りに不具合が生じたと判断し、巻き取りモータMを停止させるようにドライブ部4を制御する。これにより電流波形V5は下降し最終的に0Aを示す。
その後行われる3回目の検出結果が、3回目=停止レベルL1となると、制御部5は1回目=正常レベルL3、2回目=低負荷レベルL2、3回目=停止レベルL1という検出結果から、巻き取りの途中に包装体Sが外れたために生じた不具合であることを認識し、途中はずれであることと、その対処方法が表示されるようにモニタ6を制御する。
【0046】
なお、ここでは1回目の検出結果後に途中外れが生じる場合を例示して説明したが、2回目の検出結果後に途中外れが生じた場合、つまり2回目までは正常レベルL3が検出されて、3回目に低負荷レベルL2が検出された場合においても、制御部5は途中外れであることを認識する。なお、3回目までは正常レベルL3が検出されて4回目で低負荷レベルL2が検出された場合には、上述したように制御部5は巻き取りが完了したことを認識する。
【0047】
[保護機構が設けられている場合1:電流波形V6]
フィルム搬送装置には、巻き取りモータMに所定値K以上の電流が流れることを防止する保護機構を有したものがある。このように、保護機構を設けた場合には、巻き取りモータMの電流値が所定値K以上となると、保護機構が巻き取りモータの電流値を強制的に低下させるので、巻き取りモータに所定値以上の電流が長時間流れることを防止できる。したがって、過負荷時にも、巻き取りモータMや駆動伝達系部品の破損を防止することができる。
また、包装体Sの巻き取り側と反対側の端面をユーザーが切り忘れた場合、巻き取りモータM及び駆動伝達系に過負荷がかかり続け、ついには駆動伝達系及び/又は包装体Sが破損してしまって包装体Sの破損は内部フィルムFのかぶりに繋がり再使用不能となるが、本件発明によれば、モータ伝達系が強引に包装体Sを引っ張り続けようとしないので、包装体Sによる遮光状態が維持され、ユーザーはフィルムトレイ2を引き出し、再装填(端部カット)を行えば、包装体S内部のフィルムFは再使用可能となる。
【0048】
保護機構としては、所定値K以上の電流が流れたら強制的に巻き取りモータMの電流値を0Aまで落とすもの、所定値K以上の電流が流れたら強制的に一旦巻き取りモータMの電流値を下げるものなどがある。
ここで所定値Kは、第二閾値N2よりも高い値に設定されていれば如何なる値でもよいが、電流波形V1のピーク値Pよりも高い値に設定されることが好ましい。
【0049】
そして、電流波形V6は、所定値K以上の電流が流れたら保護機構が働いて、巻き取りモータMの電流値を0Aまで落とす場合の電流波形である。
【0050】
この電流波形V6について説明する。巻き取りモータMの駆動開始により包装体Sの巻き取りが開始されると、巻き取りモータMには、各部を動作させるために負荷がかかり、その分電流値は電流波形V1と同様に上昇する。そして、包装体Sの切断不十分により、巻き取りモータMに過負荷がかかって電流値が所定値Kまで達すると、保護機構が働いて電流波形V6は下降し、1回目の検出レベルが正常レベルL3として検出される。このように保護機構が働いていると制御部5は巻き取りモータMを制御できず、そのまま電流波形V6は下降し続け最終的に0Aを示す。
その後行われる2回目の検出結果が、2回目=停止レベルL1となると、制御部5は1回目=正常レベルL3、2回目=停止レベルL1という検出結果から、包装体Sが切断不十分であることを認識するとともに保護機構が働いたことを認識する。そして、制御部5は、切断不十分であることと、その対処方法及び保護機構の復帰処理が表示されるようにモニタ6を制御する。
なお、ここでは、包装体Sの切断不十分が生じたことにより保護機構が働いた場合を例示して説明したが、途中で引っかかった場合においても保護機構が働くために、制御部5は、途中で引っかかったことと、その対処方法及び保護機構の復帰処理が表示されるようにモニタ6を制御する。
【0051】
[保護機構が設けられている場合2:電流波形V7]
電流波形V7は、所定値K以上の電流が流れたら保護機構が働き強制的に一旦巻き取りモータMの電流値を下げる場合の電流波形である。
【0052】
この電流波形V7について説明する。巻き取りモータMの駆動開始により包装体Sの巻き取りが開始されると、巻き取りモータMには、各部を動作させるために負荷がかかり、その分電流値は電流波形V1と同様に上昇する。そして、包装体Sの切断不十分により、巻き取りモータMに過負荷がかかって、電流値が所定値Kまで達すると、保護機構が働いて電流波形V7は強制的に所定の電流値まで下降する。この際、1回目の検出レベルが正常レベルL3として検出される。所定の電流値まで下降すると補助機構の働きが解除されて、制御部5は、巻き取りモータMを制御して巻き取りを再開する。しかしながら、包装体Sの切断不十分は解消されていないので、巻き取りモータMには過負荷がかかり再度電流波形V7は上昇する。そして、電流値が所定値Kまで達すると保護機構が働いて電流波形V7は強制的に所定の電流値まで下降する。つまり、t4時間後まで不具合が解消されなければ、定期的な周期で変位する。このため、各回の検出結果がいずれも正常レベルL3と検出されて、6回目の検出が終わった際には制御部5は巻き取りモータMを停止させるように、ドライブ部4を制御する。
このように、各回の検出結果の全てが正常レベルL3である場合には、包装体Sが切断不十分であることを認識するとともに保護機構が働いたことを認識する。そして、制御部5は、切断不十分であることと、その対処方法及び保護機構の復帰処理が表示されるようにモニタ6を制御する。
【0053】
なお、ここでは、包装体Sの切断不十分が生じたことにより保護機構が働いた場合を例示して説明したが、途中で引っかかった場合においても保護機構が働くために、この際においては、制御部5は途中で引っかかったことと、その対処方法及び保護機構の復帰処理が表示されるようにモニタ6を制御する。
【0054】
次に、巻き取り途中に停電が生じてしまい、その復旧後に巻き取りが再開される際の動作について説明する。なお、ここの場合においては停電発生前、停電復旧後の巻き取りに不具合が生じていないことが前提である。
電力供給が再開されると、制御部5は、ドライブ部4を制御して、巻き取りモータMを駆動させて巻き取りを再開させる。停電が発生せずに巻き取りが行われた場合においては、検出回数が4回目より前の段階で、停止レベル、低負荷レベル、過負荷レベルのいずれかが検出されると、制御部5は不具合であると判断して、巻き取りモータMを停止させるようにドライブ部4を制御していたが、ここでの停電復旧により巻き取りが再開される場合においては、停電前に多少は巻き取りが行われていたはずなので、検出回数が何回目であろうとも、低負荷レベルが検出された段階で、制御部5は巻き取りが完了したと判断して、巻き取りモータMを予備回転させるようにドライブ部4を制御する。そのt3時間経過後に検出が行われて、低負荷レベルL2と検出されると、制御部5は巻き取りモータMを停止させるようにドライブ部4を制御する。その後行われる検出結果が、停止レベルL1となった場合には、制御部5は正常に巻き取りが行われたことを表示させるようにモニタ6を制御する。
【0055】
以上のように、本実施形態のフィルム搬送装置1によれば、制御部5が巻き取りモータMの電流値に応じた検出レベルを基に、巻き取り状態を判断するので、巻き取りの進行状況や、巻き取り時の不具合の有無等を検出することができる。つまり、従来のように接触式、非接触式のセンサを用いなくとも包装体Sの巻き取り完了を検知することができ、巻き取り動作の信頼性を向上させることができる。
【0056】
また、巻き取りモータMの電流値は、不具合の種類によって異なる値を示すので、これを基にすれば、巻き取り時に生じる不具合の種類も判断することが可能で、そのうえ、不具合の種類や、その種類に応じた対処法がモニタ6で報知されるために、不具合に対する対処を効率化することができる。特に、正常に巻き取りが行われた際の電流波形V1を基に設定された検出レベル、検出タイムを基に、制御部5が不具合の種類を判断するので、前記電流波形と不具合が生じた際の電流波形とを比較することができ、これによって、不具合の種類を判断しやすくなる。
さらに、制御部5、包装体Sの種類が異なる場合には包装体Sの種類毎に応じた検出レベル、検出タイムを基として、不具合の種類を検出するので、異なる包装体Sを巻き取る際においても、その種類に応じて不具合の種類を検出することができる。
そして、不具合の種類として切断忘れが検出された場合には、切断忘れであった包装体Sをフィルムトレイ2引き出し後、包装体Sの再装填及び包装体Sを切断することにより、包装体S内のフィルムを無駄にすることなく利用することができる。
【0057】
なお、本発明は上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。例えば、本実施形態では、フィルムトレイ2と巻き取り部材23とが一体的に形成されて画像形成装置本体に引き出し自在に取り付けられる構成を例示したが、フィルムトレイ、巻き取り部材らとともに巻き取りモータM、ドライブ部、制御部等が一体的に形成されて画像形成装置本体から引き出し自在に取り付けられる構成であってもよい。この際、制御部及びドライブ部は、画像形成装置本体の制御部に電気的に接続されており、この制御部の制御に基づいて制御される。
【0058】
また、本実施形態では、巻き取り状態に応じる対処法を報知する報知部として、対処法を視覚的に報知するモニタ6が例示されているが、視覚的に報知するものでなくとも、スピーカ等により聴覚的に報知するものであってもかまわない。
【0059】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、巻き取りの進行状況や、巻き取り時の不具合の有無等を判断することができる。つまり、従来のように接触式、非接触式のセンサを用いなくとも包装体の巻き取り完了を検知することができ、巻き取り動作の信頼性を向上させることができる。
また、巻き取りモータの電流値は、不具合の種類によって異なる値を示すので、これを基にすれば、巻き取り時に生じる不具合の種類も判断することが可能で、そのうえ、不具合の種類が報知部で報知されるために、不具合に対する対処を効率化することができる。
【0060】
請求項2記載の発明によれば、正常に巻き取りが行われた際の電流波形と不具合が生じた際の電流波形とを比較することができ、これによって、不具合の種類を判断しやすくなる。
請求項3記載の発明によれば、異なる包装体を巻き取る際においても、その種類に応じて不具合の種類を判断することができる。
請求項4記載の発明によれば、巻き取りモータに所定値以上の電流が長時間流れることを防止できる。したがって、過負荷時にも、巻き取りモータや駆動伝達系部品の破損を防止することができる。
また、包装体の巻き取り側と反対側の端面をユーザーが切り忘れた場合、巻き取りモータ及び駆動伝達系に過負荷がかかり続け、ついには駆動伝達系及び/又は包装体が破損してしまって包装体の破損は内部フィルムのかぶりに繋がり再使用不能となるが、本件発明によれば、モータ伝達系が強引に包装体を引っ張り続けようとしないので、包装体による遮光状態が維持され、ユーザーはフィルムトレイを引き出し、再装填(端部カット)を行えば、包装体内部のフィルムは再使用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態で例示したフィルム搬送装置の主要構成を表す説明図である。
【図2】図1のフィルム搬送装置のフィルム装填時及び包装体S巻き取り時を表す側断面図である。
【図3】図1のフィルム搬送装置でフィルムが巻き取られた際の、各巻き取り状態における巻き取りモータの電流波形を表す時間−電流線図である。
【符号の説明】
1 フィルム搬送装置
2 フィルムトレイ
4 ドライブ部
5 制御部
6 モニタ(報知部)
23 巻き取り部材
M 巻き取りモータ
S 包装体
Claims (4)
- 遮光性の包装体で包装された感光性のフィルムを収納するフィルムトレイと、前記フィルムトレイに収納された感光性フィルムから前記包装体を巻き取る巻き取り部材と、
前記巻き取り部材を駆動させる巻き取りモータと、
前記巻き取りモータを駆動させ、前記巻き取りモータの電流値を検出するドライブ部と、
前記ドライブ部によって検出された前記電流値を基に、前記包装体の巻き取り状態を判断する制御部と、
前記制御部によって判断された前記巻き取り状態を基に、前記巻き取り状態を報知する報知部とを備えることを特徴とするフィルム搬送装置。 - 請求項1記載のフィルム搬送装置において、
前記ドライブ部は、巻き取りの際に不具合が生じた場合に前記不具合の種類を検出するための検出レベル、検出タイムが、前記包装体の巻き取りが正常に行われた際の前記巻き取りモータの電流波形を基に設定されており、
前記制御部は、前記ドライブ部で前記検出タイムに応じて検出された前記検出レベルを基として、前記不具合の種類を判断することを特徴とするフィルム搬送装置。 - 請求項2記載のフィルム搬送装置において、
前記制御部は、前記包装体の種類が異なる場合に前記包装体の種類毎に応じた前記検出レベル、前記検出タイムを基として、前記不具合の種類を検出することを特徴とするフィルム搬送装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム搬送装置において、
前記巻き取りモータの電流値が所定値以上となった場合に、前記電流値を強制的に低下させる保護機構を備えることを特徴とするフィルム搬送装置。
Priority Applications (1)
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JP2002309759A Pending JP2004142884A (ja) | 2002-10-24 | 2002-10-24 | フィルム搬送装置 |
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JP (1) | JP2004142884A (ja) |
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2002
- 2002-10-24 JP JP2002309759A patent/JP2004142884A/ja active Pending
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