JP2004142523A - トランスミッション制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】定速走行制御中にクルーズ設定車速まで到達しえないギア段までシフトダウンされてもシフトアップすることができるトランスミッション制御装置を提供する。
【解決手段】エンジンの燃料噴射量調節によって車速を設定車速に一致させる定速走行制御中に変速機をシフトダウンするシフトダウン制御機能を備えたトランスミッション制御装置であって、上記シフトダウン実行後から車速が上記設定車速に一致するまでの間にエンジン回転数が所定の回転数L4を超えたとき上記変速機をシフトアップするシフトアップ制御機能を備えたものである。
【選択図】 図8
【解決手段】エンジンの燃料噴射量調節によって車速を設定車速に一致させる定速走行制御中に変速機をシフトダウンするシフトダウン制御機能を備えたトランスミッション制御装置であって、上記シフトダウン実行後から車速が上記設定車速に一致するまでの間にエンジン回転数が所定の回転数L4を超えたとき上記変速機をシフトアップするシフトアップ制御機能を備えたものである。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の定速走行制御装置(所謂オートクルーズシステム)を構成するトランスミッション制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近ではドライバの負担を軽減するため、トラクタや大型トラック等の比較的大型の車両においても自動クラッチや自動変速機を採用する例が多く見られ、また、アクセル操作無しに一定速での走行を実現するため、定速走行制御装置(オートクルーズ装置)を装備する例も多く見られる。
【0003】
従来、クルーズ走行中に登坂路にさしかかるなどして比較的高い駆動輪トルクが必要となると、シフトダウンの車速条件が成立する前に、車速の低下に伴ってエンジン回転数が著しく低下してしまい、燃料噴射量を増やしても所謂エンジンノッキングのようなものが発生してしまう場合があった。
【0004】
そこで本出願人は、エンジン回転数が所定回転数を下回ったときに自動的に変速機をシフトダウンするシステムを開発し、特許出願(特願2001−400942号)した。
【0005】
【特許文献1】
特開平2001−280483号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シフトダウン後のシフトアップは車速が所定の設定車速(クルーズ設定車速)に到達した後に行われるようになっていたため、車両が登坂路を走行中に駆動力不足の状態が続き、シフトダウンが繰り返され、その後駆動力不足が解消された場合でも、そのギア比ではエンジンが最高回転数に到達しても設定車速に到達せず、シフトアップがなされなくなる場合があるという課題があった。
【0007】
そこで、本願発明の目的は上記課題を解決し、定速走行制御中に所定の設定車速まで到達しえないギア段までシフトダウンされてもシフトアップすることができるトランスミッション制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、エンジンの燃料噴射量調節によって車速を設定車速に一致させる定速走行制御中に変速機を複数段に渡ってシフトダウンするシフトダウン制御機能を備えたトランスミッション制御装置であって、上記シフトダウン実行後から車速が上記設定車速に一致するまでの間にエンジン回転数が所定の回転数を超えたとき上記変速機をシフトアップするシフトアップ制御機能を備えたものである。
【0009】
定速走行制御中に登坂走行等により上記設定車速まで到達しえないギア段までシフトダウンされた後、平地走行に戻る等によりシフトアップ可能な状態となったとき、負荷が小さくなることからエンジン回転数は上限近くまで上がり、加速が止まるという状態になる。シフトアップ制御はこの状態からのシフトアップを可能とするため、エンジン回転数が所定の回転数を超えているか否かを判別し、この判別条件に合致したときシフトアップする。
【0010】
また、上記シフトアップ制御機能は、上記シフトダウン実行後から車速が上記設定車速に一致するまでの間に車速が上記設定車速を所定値下回る速度より大きくなるか、または、エンジン回転数が所定の回転数を超えたとき上記変速機をシフトアップするものとするとよい。車速が上記設定車速に近づいたときエンジン回転数を所定の回転数に到達させる前にシフトアップできる。
【0011】
上記変速機のシフトアップは、一段ずつ行われるとよい。
【0012】
そして、上記所定の回転数は、オーバーラン直前の回転数に設定されるとよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0014】
図1に本実施形態に係る車両の自動変速装置を示す。ここでは車両がトレーラを牽引するトラクタであり、エンジン1が電子ガバナ1dを備えたディーゼルエンジンとなっている。図示するように、エンジン1にクラッチ2を介して変速機3が取り付けられ、変速機3の出力軸4(図2参照)がプロペラシャフト(図示せず)等を介して駆動輪である後輪(図示せず)に連結される。エンジン1はエンジンコントロールユニット(ECU)6によって電子制御される。即ち、ECU6は、主にエンジン回転センサ7とアクセル開度センサ8とによって検知されるエンジン回転数とアクセル開度との値に基づいて目標燃料噴射量を算出し、この目標燃料噴射量と等しい量の燃料噴射が実際に行われるように、燃料噴射ポンプ1aの電子ガバナ1dを制御する。
【0015】
図2に示すように、エンジンのクランク軸にフライホイール1bが取り付けられ、フライホイール1bの外周にリングギヤ1cが形成され、リングギヤ1cの歯が通過する度にエンジン回転センサ7がパルスを出力し、ECU6が単位時間当たりのパルス数をカウントしてエンジン回転数を算出する。
【0016】
図1に示すように、クラッチ2と変速機3は、トランスミッション制御装置(コントロールユニット:TMCU)9の制御信号に基づいて自動制御される。ECU6とTMCU9とは互いにバスケーブル等を介して接続され、相互に連絡可能である。
【0017】
図1、図2及び図3に示すように、クラッチ2は機械式摩擦クラッチであり、入力側をなすフライホイール1b、出力側をなすドリブンプレート2a、及びドリブンプレート2aをフライホイール1aに押圧接触又は離反させるプレッシャプレート2bから構成される。そしてクラッチ2は、クラッチブースタ10によりプレッシャプレート2bを軸方向に操作され、基本的には自動断接され、ドライバの負担を軽減し得るものとなっている。一方、微低速バックに際しての微妙なクラッチワークや、非常時のクラッチ急断を可能とするため、クラッチペダル11によるマニュアル断接も可能となっている。所謂セレクティブオートクラッチの構成である。クラッチ2自体のストローク(即ちプレッシャプレート2bの位置)を検知するクラッチストロークセンサ14と、クラッチペダル11の踏込みストロークを検知するクラッチペダルストロークセンサ16とが設けられ、それぞれTMCU9に接続されている。
【0018】
図3に示すように、クラッチブースタ10は実線で示す二系統の空圧通路a,bを通じてエアタンク5に接続され、エアタンク5から供給される空圧で作動する。一方の空気通路aがクラッチ自動断接用、他方の空気通路bがクラッチマニュアル断接用である。一方の空気通路aは二股状に分岐され、そのうちの一方に自動断接用の電磁弁MVC1,MVC2が直列に設けられ、他方に非常用の電磁弁MVCEが設けられる。分岐合流部にダブルチェックバルブDCV1が設けられる。他方の空気通路bに、クラッチブースタ10に付設される油圧作動弁12が設けられる。両空気通路a,bの合流部にもダブルチェックバルブDCV2が設けられる。ダブルチェックバルブDCV1,DCV2は差圧作動型の三方弁である。
【0019】
上記電磁弁MVC1,MVC2,MVCEはTMCU9によりON/OFF制御され、ONのとき上流側を下流側に連通し、OFF のとき上流側を遮断して下流側を大気開放する。まず自動側を説明すると、電磁弁MVC1は単にイグニッションキーのON/OFFに合わせてON/OFFされるだけである。イグニッションキーOFF 、つまり停車中はOFF となり、エアタンク5からの空圧を遮断する。電磁弁MVC2は比例制御弁で、供給又は排出エア量を自由にコントロールできる。これはクラッチ2の断接速度制御を行うためである。電磁弁MVC1,MVC2がともにONだとエアタンク5の空圧がダブルチェックバルブDCV1,DCV2をそれぞれ切り換えてクラッチブースタ10に供給される。これによりクラッチ2が分断される。クラッチ2を接続するときはMVC2のみがOFF され、これによりクラッチブースタ10の空圧がMVC2から排出されてクラッチ2が接続される。
【0020】
ところでもし仮にクラッチ分断中に電磁弁MVC1又はMVC2に異常が生じ、いずれかがOFF となると、ドライバの意思に反してクラッチ2が急接されてしまう。そこでこのような異常がTMCU9の異常診断回路(図示せず)で検知されたら、即座に電磁弁MVCEをONする。すると電磁弁MVCEを通過した空圧がダブルチェックバルブDCV1を逆に切り換えてクラッチブースタ10に供給され、クラッチ分断状態が維持され、クラッチ急接が防止される。
【0021】
次にマニュアル側を説明する。クラッチペダル11の踏込み・戻し操作に応じてマスタシリンダ13から油圧が給排され、この油圧が破線で示す油圧通路13aを介して油圧作動弁12に供給される。これによって油圧作動弁12が開閉され、クラッチブースタ10への空圧の給排が行われ、クラッチ2のマニュアル断接が実行される。油圧作動弁12が開くと、これを通過した空圧がダブルチェックバルブDCV2を切り換えてクラッチブースタ10に至る。なお、クラッチ2の自動断接とマニュアル断接とが干渉した場合はマニュアル断接を優先させるようになっている。
【0022】
図2に詳細に示すように、変速機3は基本的に常時噛み合い式のいわゆる多段変速機となっており、前進16段、後進2段に変速可能である。また変速機3自体は手動変速機と同様の構成をなす。変速機3は入力側と出力側とにそれぞれ副変速機としてのスプリッタ17及びレンジギヤ19を備え、これらの間にメインギヤ段18を備えている。そして、入力軸15に伝達されてきたエンジン動力をスプリッタ17、メインギヤ段18、レンジギヤ19へと順に送って出力軸4に出力する。
【0023】
変速機3を自動変速すべくギヤシフトユニットGSUが設けられ、これはスプリッタ17、メインギヤ段18、レンジギヤ19それぞれの変速を担当するスプリッタアクチュエータ20、メインアクチュエータ21及びレンジアクチュエータ22から構成される。これらアクチュエータ20,21,22もクラッチブースタ10同様空圧で作動され、TMCU9によって制御される。変速機3の現ギヤ段はギヤポジションスイッチ23(図1参照)によって検知される。カウンタシャフト32の回転速度がカウンタシャフト回転センサ26で検知され、出力軸4の回転速度が出力軸回転センサ28で検知される。これら検知信号はTMCU9に送られる。
【0024】
この自動変速機ではマニュアルモードが設定され、ドライバのシフトチェンジ操作に基づくマニュアル変速も可能となっている。この場合、図1に示すように、クラッチ2の断接制御及び変速機3の変速制御は運転席に設けられたシフトレバー装置29からの信号を合図に行われる。即ち、シフトレバー装置29には、シフトレバー29aのマニュアル操作に応じて信号を出力するシフトスイッチ(図示せず)が内蔵されており、ドライバがシフトレバー29aをシフト操作すると、信号がTMCU9に送られ、これを基にTMCU9はクラッチブースタ10、スプリッタアクチュエータ20、メインアクチュエータ21及びレンジアクチュエータ22を適宜作動させ、一連の変速操作を実行する。なおTMCU9は現ギヤ段をモニター31に表示する。このようにマニュアルモードに限って言えば、変速機3は、シフトスイッチの出力信号に基づいてTMCU9により変速制御される遠隔操作型の手動変速機となっている。つまりシフトケーブル等機械的連結手段を介すことなく、アクチュエータ20,21,22により、ドライバの指示段に手動変速機を自動変速するものとなっている。
【0025】
図1に示すシフトレバー装置29において、Rはリバース、Nはニュートラル、Dはドライブ、UPはシフトアップ、DOWNはシフトダウンをそれぞれ意味し、各ポジションにシフトレバー29aが操作されると、それらポジションに応じた信号が出力される。また運転席に、変速モードを自動とマニュアルに切り換えるモードスイッチ24と、変速を1段ずつ行うか1段飛ばしで行うかを切り換えるスキップスイッチ25とが設けられる。
【0026】
自動変速モードのとき、シフトレバー29aをDレンジに入れておけば車速等に応じて自動的に変速が行われる。またこの自動変速モードでも、ドライバがシフトレバー29aをUP又はDOWNに操作すれば、マニュアルでのシフトアップ又はシフトダウンが可能である。この自動変速モードにおいて、スキップスイッチ25がOFF (通常モード)なら変速は1段ずつ行われる。これはトレーラ牽引時等、積載荷重が比較的大きいときに有効である。またスキップスイッチ25がON(スキップモード)なら変速は1段飛ばしで行われる。これはトレーラを牽引してないときや荷が軽いときなどに有効である。
【0027】
一方、マニュアル変速モードのときは、変速は完全にドライバの意思に従う。シフトレバー29aがDレンジのときは変速は行われず、現在ギヤが保持され、ドライバの積極的な意思でシフトレバー29aをUP又はDOWNに操作したときのみ、シフトアップ又はシフトダウンがなされる。このときも前記同様、スキップスイッチ25がOFF なら変速は1段ずつ行われ、スキップスイッチ25がONなら変速は1段飛ばしで行われる。
【0028】
なお、運転席に非常用変速スイッチ51が設けられ、GSUの電磁弁等が故障したときは非常用変速スイッチ51の手動切換により変速できるようになっている。
【0029】
図2に示すように、変速機3にあっては、入力軸15、メインシャフト33及び出力軸4が同軸上に配置され、カウンタシャフト32がそれらの下方に平行配置される。入力軸15がクラッチ2のドリブンプレート2aに接続され、入力軸15とメインシャフト33とが相対回転可能に支持される。
【0030】
まずスプリッタ17とメインギヤ段18の構成を説明する。入力軸15にスプリットハイギヤSHが回転可能に取り付けられる。またメインシャフト33にも前方(入力軸15側)から順にメインギヤM4,M3,M2,M1,MRが回転可能に取り付けられる。MRを除くギヤSH,M4,M3,M2,M1は、それぞれカウンタシャフト32に固設されたカウンタギヤCH,C4,C3,C2,C1に常時噛合される。ギヤMRはアイドルリバースギヤIRに常時噛合され、アイドルリバースギヤIRはカウンタシャフト32に固設されたカウンタギヤCRに常時噛合される。
【0031】
入力軸15及びメインシャフト33に取り付けられた各ギヤSH,M4,M3,M2,M1,MRに、当該ギヤを選択し得るようスプライン36が一体的に設けられ、これらスプライン36に隣接して入力軸15及びメインシャフト33に第1〜第4スプライン37〜40が固設される。第1〜第4スプライン37〜40に常時係合して第1〜第4スリーブ42〜45が前後(シフト方向)にスライド可能に設けられる。第1〜第4スリーブ42〜45を適宜選択してスライド移動させ、ギヤ側スプライン36と係合・離脱させることによりギヤ入れ・ギヤ抜きを行える。第1スリーブ42の移動をスプリッタアクチュエータ20で行い、第2〜第4スリーブ43〜45の移動をメインアクチュエータ21で行う。
【0032】
このように、スプリッタ17とメインギヤ段18とは各アクチュエータ20,21によって自動変速され得る常時噛み合い式の構成とされる。特に、スプリッタ17のスプライン部には通常の機械的なシンクロ機構が存在するものの、メインギヤ段18のスプライン部にはシンクロ機構が存在しない。このため、メインギヤ段18の変速を行うときにはシンクロ制御を行ってエンジン回転とギヤ速度とを調速し、シンクロ機構なしで同期できるようになっている。ここではメインギヤ段18以外にスプリッタ17にもニュートラルポジションが設けられ、所謂ガラ音対策がなされている(特開2001−140997 号公報参照)。
【0033】
次にレンジギヤ19の構成を説明する。レンジギヤ19は遊星歯車機構34を採用しており、ハイ・ローいずれかのポジションに切り替えることができる。遊星歯車機構34は、メインシャフト33の最後端に固設されたサンギヤ65と、その外周に噛合される複数のプラネタリギヤ66と、各プラネタリギヤ66の外周に噛合される内歯を有したリングギヤ67とからなる。各プラネタリギヤ66は共通のキャリア68に回転可能に支持され、キャリア68は出力軸4に連結される。リングギヤ67は管部69を一体的に有し、管部69は出力軸4の外周に相対回転可能に嵌め込まれて出力軸4とともに二重軸を構成する。
【0034】
第5スプライン41が管部69に一体的に設けられる。また第5スプライン41の後方に隣接して、出力軸スプライン70が出力軸4に一体的に設けられる。第5スプライン41の前方に隣接して、ミッションケース側に固定された固定スプライン71が設けられる。第5スプライン41に常時係合して第5スリーブ46が前後スライド可能に設けられる。第5スリーブ46はレンジアクチュエータ22で移動される。レンジギヤ19の各スプライン部にはシンクロ機構が存在する。
【0035】
第5スリーブ46が前方に移動するとこれが固定スプライン71に係合し、第5スプライン41と固定スプライン71とが連結される。これによりリングギヤ67がミッションケース側に固定され、出力軸4が1より大きい減速比で回転駆動されるようになる。これがローのポジションである。
【0036】
一方、第5スリーブ46が後方に移動するとこれが出力軸スプライン70に係合し、第5スプライン41と出力軸スプライン70とが連結される。これによりリングギヤ67とキャリア68とが互いに固定され、出力軸4が1の減速比で直結駆動されるようになる。これがハイのポジションである。
【0037】
このように、この変速機3では、前進側において、スプリッタ17でハイ・ローの2段、メインギヤ段18で4段、レンジギヤ19でハイ・ローの2段に変速可能であり、計2×4×2=16段に変速することができる。また後進側では、スプリッタ17のみでハイ・ローを切り替えて2段に変速することができる。
【0038】
次に、各アクチュエータ20,21,22について説明する。アクチュエータ20,21,22はエアタンク5の空圧で作動する空圧シリンダと、空圧シリンダへの空圧の給排を切り替える電磁弁とで構成される。そしてこれら電磁弁がTMCU9で選択的に切り替えられ、空圧シリンダを選択的に作動させるようになっている。
【0039】
スプリッタアクチュエータ20は、ダブルピストンを有した空圧シリンダ47と三つの電磁弁MVH,MVF,MVGとで構成される。スプリッタ17をニュートラルにするときはMVH/ON,MVF/OFF,MVG/ONとされる。スプリッタ17をハイにするときはMVH/OFF,MVF/OFF,MVG/ONとされる。スプリッタ17をローにするときはMVH/OFF,MVF/ON,MVG/OFFとされる。
【0040】
メインアクチュエータ21は、ダブルピストンを有しセレクト側の動作を担当する空圧シリンダ48と、シングルピストンを有しシフト側の動作を担当する空圧シリンダ49とを備える。各空圧シリンダ48,49に対し三つずつ電磁弁MVC,MVD,MVE及びMVB,MVAが設けられる。
【0041】
セレクト側空圧シリンダ48は、MVC/OFF,MVD/ON,MVE/OFFのとき伸張(図の下方に移動)し、メインギヤの3rd、4th又はN3を選択可能とし、MVC/ON,MVD/OFF,MVE/ONのとき図示の如き中立となり、メインギヤの1st、2nd又はN2を選択可能とし、MVC/ON,MVD/OFF,MVE/OFFのとき縮退(図の上方に移動)し、メインギヤのRev又はN1を選択可能とする。
【0042】
シフト側空圧シリンダ49は、MVA/ON,MVB/ONのとき中立となり、メインギヤのN1、N2又はN3を選択可能とし、MVA/ON,MVB/OFFのとき伸張(図の左側に移動)し、メインギヤの2nd,4th又はRevを選択可能とし、MVA/OFF,MVB/ONのとき縮退(図の右側に移動)し、メインギヤの1st又は3rdを選択可能とする。
【0043】
レンジアクチュエータ22は、シングルピストンを有した空圧シリンダ50と二つの電磁弁MVI,MVJとで構成される。空圧シリンダ50は、MVI/ON,MVJ/OFFのとき縮退(図の右側に移動)し、レンジギヤをハイとし、MVI/OFF,MVJ/ONのとき図の左側に移動し、レンジギヤ19をローとする。
【0044】
ところで、上記シンクロ制御に際してカウンタシャフト32を制動するため、カウンタシャフト32にはカウンタシャフトブレーキ27が設けられる。カウンタシャフトブレーキ27は湿式多板ブレーキであって、エアタンク5の空圧で作動する。この空圧の給排を切り替えるため電磁弁MV BRKが設けられる。電磁弁MV BRKがONのときカウンタシャフトブレーキ27に空圧が供給され、カウンタシャフトブレーキ27が作動状態となる。電磁弁MV BRKがOFFのときにはカウンタシャフトブレーキ27から空圧が排出され、カウンタシャフトブレーキ27が非作動となる。
【0045】
次に、自動変速制御の内容を説明する。TMCU9にはシフトアップ時又はシフトダウン時の各ギヤ段におけるアクセル開度(%)と出力軸(アウトプットシャフト)回転数(rpm )との関係(シフトアップマップ、シフトダウンマップ)が予め記録されている。TMCU9は、自動変速モードの場合、これらの関係に従って自動変速するようになっている。このとき、スキップモードであっても通常モードであっても、シフトダウン・アップは1段ずつ行われる。
【0046】
一方、マニュアルモードの場合、TMCU9はこれらマップと無関係にドライバのシフトアップ・ダウン操作に従って変速を実行する。通常モードなら1回のシフトチェンジ操作で1段変速し、スキップモードなら1回のシフトチェンジ操作で2段変速する。
【0047】
現在のアクセル開度はアクセル開度センサ8により検知され、現在の出力軸回転数は出力軸回転センサ28により検知される。TMCU9は、現在の出力軸回転数の値から現在の車速を換算し、これをスピードメータに表示する。つまり車速が出力軸回転数から間接的に検知され、出力軸回転数と車速とは相互に対応している。
【0048】
また、TMCU9はECU6のクルーズコントローラ6aと連携し、車両の定速走行を実現する定速走行制御をも行うようになっている。
【0049】
クルーズコントローラ6aは、基本的な定速走行制御を行うものであり、ドライバにより設定されたクルーズ設定車速に現在車速を一致させるようにエンジンの燃料噴射量を制御するようになっている。
【0050】
図4に示すように、ECU6(クルーズコントローラ6a)には、各スイッチ81〜85及び各ランプ81a,82aが接続されている。
【0051】
メインスイッチ81は、定速走行制御スタンバイ状態とするためのものであり、ドライバにONされることで運転室のメインランプ81aを点灯させる。スタンバイ状態の解除はメインスイッチ81のOFF又はキースイッチ(図示せず)のOFFにより行われ、解除と同時にメインランプ81aが消灯される。セットスイッチ82は、ドライバにONされると同時にクルーズ設定車速を設定し、定速走行制御を開始し、運転室のセットランプ82aを点灯する。キャンセルスイッチ83は、ドライバにONされると定速走行制御を解除する。定速走行制御解除と同時にセットランプ82aが消灯される。コーストスイッチ84は、ドライバにONされている間は車両を惰行状態とする。この状態からコーストスイッチ84がOFFされると、その時の車速が新たなクルーズ設定車速として更新設定される。リジュームスイッチ85は、ドライバにONされると、クルーズ設定車速がセットスイッチ82をONしたときの最初の値に復帰される。
【0052】
なお、周知のように、定速走行制御の解除は、他にもメインスイッチ81のOFF、ブレーキペダル(図示せず)の踏み込み(ブレーキスイッチON)、又はクラッチペダル11の踏み込み(クラッチペダルストロークセンサ16の値が所定値以上)によって行われる。
【0053】
TMCU9は、定速走行制御中に急な登坂路に差し掛かるなど負荷が増大することによって燃料噴射量の制御のみではクルーズ設定車速に現在車速を一致させられない状況(現在車速がクルーズ設定車速から所定値以上乖離して下回る状況)となったとき、車速が燃料噴射量の制御のみでクルーズ設定車速に戻る程度の速度(車速がクルーズ設定車速を所定の速度差下回る速度)に戻るまで変速機3をシフトダウンする過負荷用シフトダウン制御機能と、アクセル操作の有無を検出し、アクセル操作があるときその車速で現ギア段よりも大きなトルクを発生するギア段にシフトダウンする一時加速用シフトダウン制御機能と、過負荷用シフトダウン制御機能や一時加速用シフトダウン制御機能等によってシフトダウンがなされた後、現ギア段で燃料噴射量を制御してもクルーズ設定車速に現在車速を一致させられない状況(エンジン回転数が所定の回転数を超える状況)となったとき変速機3をシフトアップするシフトアップ制御機能とを備えている。
【0054】
図6に過負荷用シフトダウン制御のフローチャートを示す。このフローはTMCU9により所定時間毎に実行される。
【0055】
まずTMCU9は、第1ステップ101において、クルーズ制御中であるか否かを判別する。クルーズ制御中である場合は第2ステップ102に進んで自動変速モードであるか否かを判別する。クルーズ制御中でないか、或いは自動変速モードでない場合、何も実行せずに本フローを終える。
【0056】
自動変速モードである場合、第3ステップ103に進み、ECU6中のメモリ(図示せず)からクルーズ設定車速Xを取得し、第4ステップ104に進み、現在車速Yを取得する。現在車速Yは前述のように出力軸回転数の値から換算して得る。第1ステップ101、第2ステップ102、第3ステップ103及び第4ステップ104は基本的な実行条件の判定とデータの取得とを行う前処理部であり、これらステップ101,102,103,104の実行順序はどのように入れ替わっても構わない。
【0057】
そしてこの後、第5ステップ105に進み、現在車速Yがクルーズ設定車速Xを設定値L1(ここでは5km/h)以上下回っているか否かを判別する。
【0058】
現在車速Yがクルーズ設定車速Xを設定値L1以上下回っていない場合、すなわち燃料噴射量の制御だけでほぼクルーズ設定車速Xで定速走行できている場合、何も実行せず本フローを終える。
【0059】
現在車速Yがクルーズ設定車速Xを設定値L1以上下回っている場合、第6ステップ106、第7ステップ107の順に進み、現ギア段から1段シフトダウンしたときのギア段αを求めたのち、現在車速Yのままそのギア段αにシフトダウンしたときのエンジン回転数βを算出する。
【0060】
そして、第8ステップ108に進み、エンジン回転数βが予め設定された設定値L2より小さいか否かを判別する。設定値L2は、加速可能なエンジン回転数の上限近傍(ここでは1800rpm)に設定されている。
【0061】
エンジン回転数βが設定値L2より小さくない場合、すなわち加速不可能である場合、何も実行せず本フローを終える。
【0062】
エンジン回転数βが設定値L2より小さい場合、第9ステップ109に進み、変速タイマtが設定値T(ここでは5秒)を超えたか否か(ギアチェンジ後所定の時間が経過したか否か)を判別する。図7に示すように、変速タイマtは、第18ステップ118にて現ギア段が目標ギア段と一致しているときインクリメント(+1)され、他の場合にゼロクリアされるようになっている。図7に示すフローは、1秒毎に図示しない上位ルーチンから呼び出されることで現ギア段が目標ギア段に一致してからの時間(呼び出された回数)をカウントするようになっている。
【0063】
図6に示すように、第9ステップ109にて変速タイマtが設定値Tを超えていない場合、何も実行せず本フローを終え、現ギア段を維持する。
【0064】
変速タイマtが設定値Tを超えている場合、第10ステップ110に進み、目標ギア段を現ギア段よりも1段低いギア段に設定する。実際のシフトダウンは本フローが終了した後、図示しない別フローに従って実行される。
【0065】
一時加速用シフトダウン制御機能は、アクセルを踏み込まれたときに一時的に加速性を向上させるべく現在車速Yにおいてトルク点(最大トルク発生回転数)直前でエンジンを回転させるギア段を算出し、このギア段にシフトダウンするものである。これにより速やかに一時加速でき、容易に追い越し等できる。
【0066】
図8にシフトアップ制御のフローチャートを示す。このフローはTMCU9により所定時間毎に実行されるようになっている。
【0067】
TMCU9は、まず過負荷用シフトダウン制御と同様の前処理を行う。具体的には、第11ステップ111及び第12ステップ112にて、クルーズ制御中であるか否か、また自動変速モードであるか否かを判別する。クルーズ制御中でないか、或いは自動変速モードでない場合、何も実行せずに本フローを終える。
【0068】
クルーズ制御中であると共に自動変速モードである場合、第13ステップ113に進んでクルーズ設定車速Xを取得した後、第14ステップ114に進み、現在車速Yを取得する。前処理の中で各ステップ111,112,113,114の実行順序が入れ替わってよいのは前述と同様である。
【0069】
この後、第15ステップ115に進み、現在車速Yがクルーズ設定車速Xを設定車速L3だけ下回る速度より大きいか否かを判別し、現在車速が上記速度より大きい場合、すなわち、現在車速Yがクルーズ設定車速Xの近くまで戻ってきている場合、第16ステップ116に進み目標ギア段を現ギア段より1段高いギア段に設定する。
【0070】
現在車速が上記速度より大きくない場合、現在のエンジン回転数が設定値L4よりも高いか否かをさらに判別する。設定値L4はオーバーラン直前の回転数(ここでは2000rpm)に設定されており、この回転数と現在のエンジン回転数とを比較することで現ギア段での最高速度に達しているか否かを判別できるようになっている。
【0071】
エンジン回転数が設定値L4よりも高い場合、第16ステップ116に進んで目標ギア段を現ギア段より1段高いギア段に設定する。
【0072】
エンジン回転数が設定値L4よりも高くない場合、そのまま本フローを終え、現ギア段を維持する。
【0073】
なお、実際のシフトアップは本フローが終了した後、図示しない別フローに従って実行される。
【0074】
このフローを図5に示す実際の走行パターンに当てはめて説明する。図中縦軸は車速を表し、横軸は時間軸を表す。
【0075】
時刻aまで車両は平滑な平地を自動変速モードでクルーズ制御中であり、クルーズ設定車速Xで定速走行している。このとき図6においてTMCU9は第1ステップ101から第5ステップ105まで順に進み、第5ステップ105にて判別条件に合致しない(現在車速Y=クルーズ設定車速X)ため、本フローを終了して現ギア段を維持するという処理の流れを繰り返す。
【0076】
図5に示す時刻aに急な登坂路に差し掛かると、燃費を抑えるべく可能な限り高いギア段(低いエンジン回転数)で走行している車両はトルク不足を生じて徐々に減速する。
【0077】
そして、現在車速Yとクルーズ設定車速Xとの速度差が設定値L1を超えると(時刻b)、図6に示す第5ステップ105の判別条件に合致し、第6ステップ106、第7ステップ107、第8ステップ108の順に進む。第8ステップ108では、現ギア段から1段落としたときのエンジン回転数βが設定値L2より小さいか否かを判別する。ここではエンジン回転数は平地走行時よりも低くなっており、ギア段を一段落としてもエンジン回転数βは設定値L2より十分小さいため、第9ステップ109に進む。
【0078】
第9ステップ109では、変速タイマtが設定値Tよりも大きいか否かを判別する。ここでは平地から現ギア段で走行していることから変速タイマtは設定値Tより十分大きく、第10ステップ110に進んで目標ギア段を現ギア段より1段低いギア段に設定する。これにより変速機3は1段だけシフトダウンされ、図7に示すフローにてタイマtがゼロクリアされる。
【0079】
この後、図6に示す過負荷用シフトダウン制御のフローは所定の微小時間ごとに呼び出されるが、シフトダウンから設定値Tの時間が経過するまでは第9ステップ109の判別条件に合致せず、目標ギア段の変更がなされることはない。
【0080】
図5に示すように、設定値Tの時間が経過した時刻cにおいて現在車速Yが下がり続ける状況である場合、図6に示す第8ステップ108の判別条件(現ギア段から一段落としたときのエンジン回転数βが設定値L2より小さい)を満たす限り第10ステップ110に進んで目標ギア段を一段落とす。そして更に図5に示すように設定値Tの時間が経過した時刻dにおいても同様の状況である場合、同様の処理を繰り返し、図6に示す第5ステップ105と第8ステップ108の判別条件を満たしている間は設定値Tの時間が経過する毎に目標ギア段を一段づつ落とし続ける。
【0081】
図5に示す時刻eにおいて登坂路が終わって平地に到達すると、車速が上がり、現ギア段での最高速度に到達すると加速が止まる。この状態となった時刻fにおいて図8に示すシフトアップ制御のフローが実行されると、第11ステップ111から第12ステップ112、第13ステップ113、第14ステップ114、第15ステップ115の順に進む。第15ステップ115では、現在車速Yが、クルーズ設定車速Xを設定値L3下回る速度より大きいか否かを判別する。これは現在車速Yがほぼクルーズ設定車速Xに戻ったか否かを判別するものであり、設定値L3は1.5km/hに設定されている。
【0082】
このときの現在車速Yはクルーズ設定車速Xから乖離されており第15ステップ115の判別条件に合致しないため、第17ステップ117に進む。第17ステップ117では、現在のエンジン回転数が設定値L4より高いか否かを判別する。エンジンは限界近い回転数で回転していることから、第17ステップ117の判別条件に合致し、第16ステップ116に進む。第16ステップ116では、目標ギア段を現ギア段より一段高いギア段に設定する。
【0083】
エンジンは十分高い回転数でシフトアップされることから、図5に示すように現在車速Yは上がる。現ギア段での最高速度に到達した時刻gに再び図8に示すフローが実行されると、同様に第15ステップ115から第17ステップ117に進んだのち第16ステップ116に進み、目標ギア段を現ギア段より一段高いギア段に設定する。以降、同様の状況下においては同様の処理の流れを繰り返し、シフトアップを繰り返す。
【0084】
現在車速Yがクルーズ設定車速Xから設定値L3以内の速度に戻った時刻hに再び図8に示すフローが実行されると、現在車速Yが第15ステップ115の判別条件に合致するため、第15ステップ115から直接第16ステップ116に進んで目標ギア段を現ギア段より一段高いギア段に設定する。そして現在車速Yがクルーズ設定車速Xに到達すると(時刻i)、変速機3は図示しない通常の定速走行制御の処理手順によって最適ギア段にシフトアップされる。
【0085】
このように、シフトダウンを行った後(シフトダウン実行後から車速がクルーズ設定車速Xに一致するまでの間)に、エンジン回転数が設定値L4を超えたとき変速機3をシフトアップするシフトアップ制御機能を備えてトランスミッション制御装置9を構成したため、定速走行制御中にクルーズ設定車速Xまで到達しえないギア段までシフトダウンされた場合であっても、シフトアップ制御を行うことができる。
【0086】
また、シフトアップ制御機能は、シフトダウンを行った後に、車速がクルーズ設定車速Xを設定値L3下回る速度より大きくなるか、または、エンジン回転数が設定値L4を超えたとき変速機3をシフトアップするものとしたため、現在車速Yがクルーズ設定車速Xに到達するまであと設定値L3の範囲に近づいたとき、エンジン回転数を設定値L4に到達させるまえにシフトアップできる。
【0087】
シフトアップは、一段ずつ行われるものとしたため、傾斜の部分的な変化に過敏に反応するのを防ぐことができ、段階的に安定してシフトアップできる。
【0088】
そして、設定値L4を、オーバーラン直前の回転数に設定したため、現ギア段がクルーズ設定車速Xまで到達しえないギア段であるか否かを正確に判別できる。
【0089】
なお、本実施の形態ではディーゼルエンジンの場合について述べたがこれに限るものではない。エンジンはガソリンエンジン等、他の種別のものであってもよい。自動変速機は、少なくとも自動変速可能なものであれば、マニュアル変速モードの無いものやスキップモードの無いのものであってもよい。車両も大型車両に限らず、小型トラック、乗用車等が可能である。上述した各数値は具体例であり、適宜変更してよい。
【0090】
また、エンジンの燃料噴射量調節によって車速を設定車速に一致させる定速走行制御中に現在車速Yがクルーズ設定車速Xから設定値L1以上乖離して下回ったとき、現在車速Yがクルーズ設定車速Xを設定値L1を下回る速度に戻るまで変速機3をシフトダウンする過負荷用シフトダウン制御機能により繰り返しシフトダウンされた場合のシフトアップについて述べたが、これに限るものではない。
【0091】
例えば、上述の一時加速用シフトダウン制御機能によってクルーズ設定車速Xまで到達しえないギア段までシフトダウンされた場合のシフトアップにおいてもシフトアップ制御機能が有効に作用することは勿論である。一時加速用シフトダウン制御機能によってクルーズ設定車速Xまで到達しえないギア段までシフトダウンされる場合としては、登坂路をクルーズ設定車速Xに満たない車速で走行中、上り坂から平地に変わる直前にアクセルを踏み込まれた場合等が考えられる。
【0092】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、定速走行制御中にクルーズ設定車速まで到達しえないギア段までシフトダウンされてもシフトアップすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る車両の自動変速装置を示す構成図である。
【図2】同スケルトン図である。
【図3】自動クラッチ装置を示す構成図である。
【図4】エンジンコントロールユニットと各種スイッチの構成図である。
【図5】シフトアップ制御の内容を示すタイムチャートである。
【図6】過負荷用シフトダウン制御の内容を示すフローチャートである。
【図7】タイマの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】シフトアップ制御の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
3 変速機
9 トランスミッション制御装置
110 第10ステップ(シフトダウン制御機能)
115 第15ステップ(車速が設定車速を所定値下回る速度より大きくなる)116 第16ステップ(シフトアップ制御機能)
117 第17ステップ(エンジン回転数が所定の回転数を超えた)
L3 所定値
L4 設定値(回転数)
X クルーズ設定車速(設定車速)
Y 現在車速(車速)
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の定速走行制御装置(所謂オートクルーズシステム)を構成するトランスミッション制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近ではドライバの負担を軽減するため、トラクタや大型トラック等の比較的大型の車両においても自動クラッチや自動変速機を採用する例が多く見られ、また、アクセル操作無しに一定速での走行を実現するため、定速走行制御装置(オートクルーズ装置)を装備する例も多く見られる。
【0003】
従来、クルーズ走行中に登坂路にさしかかるなどして比較的高い駆動輪トルクが必要となると、シフトダウンの車速条件が成立する前に、車速の低下に伴ってエンジン回転数が著しく低下してしまい、燃料噴射量を増やしても所謂エンジンノッキングのようなものが発生してしまう場合があった。
【0004】
そこで本出願人は、エンジン回転数が所定回転数を下回ったときに自動的に変速機をシフトダウンするシステムを開発し、特許出願(特願2001−400942号)した。
【0005】
【特許文献1】
特開平2001−280483号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シフトダウン後のシフトアップは車速が所定の設定車速(クルーズ設定車速)に到達した後に行われるようになっていたため、車両が登坂路を走行中に駆動力不足の状態が続き、シフトダウンが繰り返され、その後駆動力不足が解消された場合でも、そのギア比ではエンジンが最高回転数に到達しても設定車速に到達せず、シフトアップがなされなくなる場合があるという課題があった。
【0007】
そこで、本願発明の目的は上記課題を解決し、定速走行制御中に所定の設定車速まで到達しえないギア段までシフトダウンされてもシフトアップすることができるトランスミッション制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、エンジンの燃料噴射量調節によって車速を設定車速に一致させる定速走行制御中に変速機を複数段に渡ってシフトダウンするシフトダウン制御機能を備えたトランスミッション制御装置であって、上記シフトダウン実行後から車速が上記設定車速に一致するまでの間にエンジン回転数が所定の回転数を超えたとき上記変速機をシフトアップするシフトアップ制御機能を備えたものである。
【0009】
定速走行制御中に登坂走行等により上記設定車速まで到達しえないギア段までシフトダウンされた後、平地走行に戻る等によりシフトアップ可能な状態となったとき、負荷が小さくなることからエンジン回転数は上限近くまで上がり、加速が止まるという状態になる。シフトアップ制御はこの状態からのシフトアップを可能とするため、エンジン回転数が所定の回転数を超えているか否かを判別し、この判別条件に合致したときシフトアップする。
【0010】
また、上記シフトアップ制御機能は、上記シフトダウン実行後から車速が上記設定車速に一致するまでの間に車速が上記設定車速を所定値下回る速度より大きくなるか、または、エンジン回転数が所定の回転数を超えたとき上記変速機をシフトアップするものとするとよい。車速が上記設定車速に近づいたときエンジン回転数を所定の回転数に到達させる前にシフトアップできる。
【0011】
上記変速機のシフトアップは、一段ずつ行われるとよい。
【0012】
そして、上記所定の回転数は、オーバーラン直前の回転数に設定されるとよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0014】
図1に本実施形態に係る車両の自動変速装置を示す。ここでは車両がトレーラを牽引するトラクタであり、エンジン1が電子ガバナ1dを備えたディーゼルエンジンとなっている。図示するように、エンジン1にクラッチ2を介して変速機3が取り付けられ、変速機3の出力軸4(図2参照)がプロペラシャフト(図示せず)等を介して駆動輪である後輪(図示せず)に連結される。エンジン1はエンジンコントロールユニット(ECU)6によって電子制御される。即ち、ECU6は、主にエンジン回転センサ7とアクセル開度センサ8とによって検知されるエンジン回転数とアクセル開度との値に基づいて目標燃料噴射量を算出し、この目標燃料噴射量と等しい量の燃料噴射が実際に行われるように、燃料噴射ポンプ1aの電子ガバナ1dを制御する。
【0015】
図2に示すように、エンジンのクランク軸にフライホイール1bが取り付けられ、フライホイール1bの外周にリングギヤ1cが形成され、リングギヤ1cの歯が通過する度にエンジン回転センサ7がパルスを出力し、ECU6が単位時間当たりのパルス数をカウントしてエンジン回転数を算出する。
【0016】
図1に示すように、クラッチ2と変速機3は、トランスミッション制御装置(コントロールユニット:TMCU)9の制御信号に基づいて自動制御される。ECU6とTMCU9とは互いにバスケーブル等を介して接続され、相互に連絡可能である。
【0017】
図1、図2及び図3に示すように、クラッチ2は機械式摩擦クラッチであり、入力側をなすフライホイール1b、出力側をなすドリブンプレート2a、及びドリブンプレート2aをフライホイール1aに押圧接触又は離反させるプレッシャプレート2bから構成される。そしてクラッチ2は、クラッチブースタ10によりプレッシャプレート2bを軸方向に操作され、基本的には自動断接され、ドライバの負担を軽減し得るものとなっている。一方、微低速バックに際しての微妙なクラッチワークや、非常時のクラッチ急断を可能とするため、クラッチペダル11によるマニュアル断接も可能となっている。所謂セレクティブオートクラッチの構成である。クラッチ2自体のストローク(即ちプレッシャプレート2bの位置)を検知するクラッチストロークセンサ14と、クラッチペダル11の踏込みストロークを検知するクラッチペダルストロークセンサ16とが設けられ、それぞれTMCU9に接続されている。
【0018】
図3に示すように、クラッチブースタ10は実線で示す二系統の空圧通路a,bを通じてエアタンク5に接続され、エアタンク5から供給される空圧で作動する。一方の空気通路aがクラッチ自動断接用、他方の空気通路bがクラッチマニュアル断接用である。一方の空気通路aは二股状に分岐され、そのうちの一方に自動断接用の電磁弁MVC1,MVC2が直列に設けられ、他方に非常用の電磁弁MVCEが設けられる。分岐合流部にダブルチェックバルブDCV1が設けられる。他方の空気通路bに、クラッチブースタ10に付設される油圧作動弁12が設けられる。両空気通路a,bの合流部にもダブルチェックバルブDCV2が設けられる。ダブルチェックバルブDCV1,DCV2は差圧作動型の三方弁である。
【0019】
上記電磁弁MVC1,MVC2,MVCEはTMCU9によりON/OFF制御され、ONのとき上流側を下流側に連通し、OFF のとき上流側を遮断して下流側を大気開放する。まず自動側を説明すると、電磁弁MVC1は単にイグニッションキーのON/OFFに合わせてON/OFFされるだけである。イグニッションキーOFF 、つまり停車中はOFF となり、エアタンク5からの空圧を遮断する。電磁弁MVC2は比例制御弁で、供給又は排出エア量を自由にコントロールできる。これはクラッチ2の断接速度制御を行うためである。電磁弁MVC1,MVC2がともにONだとエアタンク5の空圧がダブルチェックバルブDCV1,DCV2をそれぞれ切り換えてクラッチブースタ10に供給される。これによりクラッチ2が分断される。クラッチ2を接続するときはMVC2のみがOFF され、これによりクラッチブースタ10の空圧がMVC2から排出されてクラッチ2が接続される。
【0020】
ところでもし仮にクラッチ分断中に電磁弁MVC1又はMVC2に異常が生じ、いずれかがOFF となると、ドライバの意思に反してクラッチ2が急接されてしまう。そこでこのような異常がTMCU9の異常診断回路(図示せず)で検知されたら、即座に電磁弁MVCEをONする。すると電磁弁MVCEを通過した空圧がダブルチェックバルブDCV1を逆に切り換えてクラッチブースタ10に供給され、クラッチ分断状態が維持され、クラッチ急接が防止される。
【0021】
次にマニュアル側を説明する。クラッチペダル11の踏込み・戻し操作に応じてマスタシリンダ13から油圧が給排され、この油圧が破線で示す油圧通路13aを介して油圧作動弁12に供給される。これによって油圧作動弁12が開閉され、クラッチブースタ10への空圧の給排が行われ、クラッチ2のマニュアル断接が実行される。油圧作動弁12が開くと、これを通過した空圧がダブルチェックバルブDCV2を切り換えてクラッチブースタ10に至る。なお、クラッチ2の自動断接とマニュアル断接とが干渉した場合はマニュアル断接を優先させるようになっている。
【0022】
図2に詳細に示すように、変速機3は基本的に常時噛み合い式のいわゆる多段変速機となっており、前進16段、後進2段に変速可能である。また変速機3自体は手動変速機と同様の構成をなす。変速機3は入力側と出力側とにそれぞれ副変速機としてのスプリッタ17及びレンジギヤ19を備え、これらの間にメインギヤ段18を備えている。そして、入力軸15に伝達されてきたエンジン動力をスプリッタ17、メインギヤ段18、レンジギヤ19へと順に送って出力軸4に出力する。
【0023】
変速機3を自動変速すべくギヤシフトユニットGSUが設けられ、これはスプリッタ17、メインギヤ段18、レンジギヤ19それぞれの変速を担当するスプリッタアクチュエータ20、メインアクチュエータ21及びレンジアクチュエータ22から構成される。これらアクチュエータ20,21,22もクラッチブースタ10同様空圧で作動され、TMCU9によって制御される。変速機3の現ギヤ段はギヤポジションスイッチ23(図1参照)によって検知される。カウンタシャフト32の回転速度がカウンタシャフト回転センサ26で検知され、出力軸4の回転速度が出力軸回転センサ28で検知される。これら検知信号はTMCU9に送られる。
【0024】
この自動変速機ではマニュアルモードが設定され、ドライバのシフトチェンジ操作に基づくマニュアル変速も可能となっている。この場合、図1に示すように、クラッチ2の断接制御及び変速機3の変速制御は運転席に設けられたシフトレバー装置29からの信号を合図に行われる。即ち、シフトレバー装置29には、シフトレバー29aのマニュアル操作に応じて信号を出力するシフトスイッチ(図示せず)が内蔵されており、ドライバがシフトレバー29aをシフト操作すると、信号がTMCU9に送られ、これを基にTMCU9はクラッチブースタ10、スプリッタアクチュエータ20、メインアクチュエータ21及びレンジアクチュエータ22を適宜作動させ、一連の変速操作を実行する。なおTMCU9は現ギヤ段をモニター31に表示する。このようにマニュアルモードに限って言えば、変速機3は、シフトスイッチの出力信号に基づいてTMCU9により変速制御される遠隔操作型の手動変速機となっている。つまりシフトケーブル等機械的連結手段を介すことなく、アクチュエータ20,21,22により、ドライバの指示段に手動変速機を自動変速するものとなっている。
【0025】
図1に示すシフトレバー装置29において、Rはリバース、Nはニュートラル、Dはドライブ、UPはシフトアップ、DOWNはシフトダウンをそれぞれ意味し、各ポジションにシフトレバー29aが操作されると、それらポジションに応じた信号が出力される。また運転席に、変速モードを自動とマニュアルに切り換えるモードスイッチ24と、変速を1段ずつ行うか1段飛ばしで行うかを切り換えるスキップスイッチ25とが設けられる。
【0026】
自動変速モードのとき、シフトレバー29aをDレンジに入れておけば車速等に応じて自動的に変速が行われる。またこの自動変速モードでも、ドライバがシフトレバー29aをUP又はDOWNに操作すれば、マニュアルでのシフトアップ又はシフトダウンが可能である。この自動変速モードにおいて、スキップスイッチ25がOFF (通常モード)なら変速は1段ずつ行われる。これはトレーラ牽引時等、積載荷重が比較的大きいときに有効である。またスキップスイッチ25がON(スキップモード)なら変速は1段飛ばしで行われる。これはトレーラを牽引してないときや荷が軽いときなどに有効である。
【0027】
一方、マニュアル変速モードのときは、変速は完全にドライバの意思に従う。シフトレバー29aがDレンジのときは変速は行われず、現在ギヤが保持され、ドライバの積極的な意思でシフトレバー29aをUP又はDOWNに操作したときのみ、シフトアップ又はシフトダウンがなされる。このときも前記同様、スキップスイッチ25がOFF なら変速は1段ずつ行われ、スキップスイッチ25がONなら変速は1段飛ばしで行われる。
【0028】
なお、運転席に非常用変速スイッチ51が設けられ、GSUの電磁弁等が故障したときは非常用変速スイッチ51の手動切換により変速できるようになっている。
【0029】
図2に示すように、変速機3にあっては、入力軸15、メインシャフト33及び出力軸4が同軸上に配置され、カウンタシャフト32がそれらの下方に平行配置される。入力軸15がクラッチ2のドリブンプレート2aに接続され、入力軸15とメインシャフト33とが相対回転可能に支持される。
【0030】
まずスプリッタ17とメインギヤ段18の構成を説明する。入力軸15にスプリットハイギヤSHが回転可能に取り付けられる。またメインシャフト33にも前方(入力軸15側)から順にメインギヤM4,M3,M2,M1,MRが回転可能に取り付けられる。MRを除くギヤSH,M4,M3,M2,M1は、それぞれカウンタシャフト32に固設されたカウンタギヤCH,C4,C3,C2,C1に常時噛合される。ギヤMRはアイドルリバースギヤIRに常時噛合され、アイドルリバースギヤIRはカウンタシャフト32に固設されたカウンタギヤCRに常時噛合される。
【0031】
入力軸15及びメインシャフト33に取り付けられた各ギヤSH,M4,M3,M2,M1,MRに、当該ギヤを選択し得るようスプライン36が一体的に設けられ、これらスプライン36に隣接して入力軸15及びメインシャフト33に第1〜第4スプライン37〜40が固設される。第1〜第4スプライン37〜40に常時係合して第1〜第4スリーブ42〜45が前後(シフト方向)にスライド可能に設けられる。第1〜第4スリーブ42〜45を適宜選択してスライド移動させ、ギヤ側スプライン36と係合・離脱させることによりギヤ入れ・ギヤ抜きを行える。第1スリーブ42の移動をスプリッタアクチュエータ20で行い、第2〜第4スリーブ43〜45の移動をメインアクチュエータ21で行う。
【0032】
このように、スプリッタ17とメインギヤ段18とは各アクチュエータ20,21によって自動変速され得る常時噛み合い式の構成とされる。特に、スプリッタ17のスプライン部には通常の機械的なシンクロ機構が存在するものの、メインギヤ段18のスプライン部にはシンクロ機構が存在しない。このため、メインギヤ段18の変速を行うときにはシンクロ制御を行ってエンジン回転とギヤ速度とを調速し、シンクロ機構なしで同期できるようになっている。ここではメインギヤ段18以外にスプリッタ17にもニュートラルポジションが設けられ、所謂ガラ音対策がなされている(特開2001−140997 号公報参照)。
【0033】
次にレンジギヤ19の構成を説明する。レンジギヤ19は遊星歯車機構34を採用しており、ハイ・ローいずれかのポジションに切り替えることができる。遊星歯車機構34は、メインシャフト33の最後端に固設されたサンギヤ65と、その外周に噛合される複数のプラネタリギヤ66と、各プラネタリギヤ66の外周に噛合される内歯を有したリングギヤ67とからなる。各プラネタリギヤ66は共通のキャリア68に回転可能に支持され、キャリア68は出力軸4に連結される。リングギヤ67は管部69を一体的に有し、管部69は出力軸4の外周に相対回転可能に嵌め込まれて出力軸4とともに二重軸を構成する。
【0034】
第5スプライン41が管部69に一体的に設けられる。また第5スプライン41の後方に隣接して、出力軸スプライン70が出力軸4に一体的に設けられる。第5スプライン41の前方に隣接して、ミッションケース側に固定された固定スプライン71が設けられる。第5スプライン41に常時係合して第5スリーブ46が前後スライド可能に設けられる。第5スリーブ46はレンジアクチュエータ22で移動される。レンジギヤ19の各スプライン部にはシンクロ機構が存在する。
【0035】
第5スリーブ46が前方に移動するとこれが固定スプライン71に係合し、第5スプライン41と固定スプライン71とが連結される。これによりリングギヤ67がミッションケース側に固定され、出力軸4が1より大きい減速比で回転駆動されるようになる。これがローのポジションである。
【0036】
一方、第5スリーブ46が後方に移動するとこれが出力軸スプライン70に係合し、第5スプライン41と出力軸スプライン70とが連結される。これによりリングギヤ67とキャリア68とが互いに固定され、出力軸4が1の減速比で直結駆動されるようになる。これがハイのポジションである。
【0037】
このように、この変速機3では、前進側において、スプリッタ17でハイ・ローの2段、メインギヤ段18で4段、レンジギヤ19でハイ・ローの2段に変速可能であり、計2×4×2=16段に変速することができる。また後進側では、スプリッタ17のみでハイ・ローを切り替えて2段に変速することができる。
【0038】
次に、各アクチュエータ20,21,22について説明する。アクチュエータ20,21,22はエアタンク5の空圧で作動する空圧シリンダと、空圧シリンダへの空圧の給排を切り替える電磁弁とで構成される。そしてこれら電磁弁がTMCU9で選択的に切り替えられ、空圧シリンダを選択的に作動させるようになっている。
【0039】
スプリッタアクチュエータ20は、ダブルピストンを有した空圧シリンダ47と三つの電磁弁MVH,MVF,MVGとで構成される。スプリッタ17をニュートラルにするときはMVH/ON,MVF/OFF,MVG/ONとされる。スプリッタ17をハイにするときはMVH/OFF,MVF/OFF,MVG/ONとされる。スプリッタ17をローにするときはMVH/OFF,MVF/ON,MVG/OFFとされる。
【0040】
メインアクチュエータ21は、ダブルピストンを有しセレクト側の動作を担当する空圧シリンダ48と、シングルピストンを有しシフト側の動作を担当する空圧シリンダ49とを備える。各空圧シリンダ48,49に対し三つずつ電磁弁MVC,MVD,MVE及びMVB,MVAが設けられる。
【0041】
セレクト側空圧シリンダ48は、MVC/OFF,MVD/ON,MVE/OFFのとき伸張(図の下方に移動)し、メインギヤの3rd、4th又はN3を選択可能とし、MVC/ON,MVD/OFF,MVE/ONのとき図示の如き中立となり、メインギヤの1st、2nd又はN2を選択可能とし、MVC/ON,MVD/OFF,MVE/OFFのとき縮退(図の上方に移動)し、メインギヤのRev又はN1を選択可能とする。
【0042】
シフト側空圧シリンダ49は、MVA/ON,MVB/ONのとき中立となり、メインギヤのN1、N2又はN3を選択可能とし、MVA/ON,MVB/OFFのとき伸張(図の左側に移動)し、メインギヤの2nd,4th又はRevを選択可能とし、MVA/OFF,MVB/ONのとき縮退(図の右側に移動)し、メインギヤの1st又は3rdを選択可能とする。
【0043】
レンジアクチュエータ22は、シングルピストンを有した空圧シリンダ50と二つの電磁弁MVI,MVJとで構成される。空圧シリンダ50は、MVI/ON,MVJ/OFFのとき縮退(図の右側に移動)し、レンジギヤをハイとし、MVI/OFF,MVJ/ONのとき図の左側に移動し、レンジギヤ19をローとする。
【0044】
ところで、上記シンクロ制御に際してカウンタシャフト32を制動するため、カウンタシャフト32にはカウンタシャフトブレーキ27が設けられる。カウンタシャフトブレーキ27は湿式多板ブレーキであって、エアタンク5の空圧で作動する。この空圧の給排を切り替えるため電磁弁MV BRKが設けられる。電磁弁MV BRKがONのときカウンタシャフトブレーキ27に空圧が供給され、カウンタシャフトブレーキ27が作動状態となる。電磁弁MV BRKがOFFのときにはカウンタシャフトブレーキ27から空圧が排出され、カウンタシャフトブレーキ27が非作動となる。
【0045】
次に、自動変速制御の内容を説明する。TMCU9にはシフトアップ時又はシフトダウン時の各ギヤ段におけるアクセル開度(%)と出力軸(アウトプットシャフト)回転数(rpm )との関係(シフトアップマップ、シフトダウンマップ)が予め記録されている。TMCU9は、自動変速モードの場合、これらの関係に従って自動変速するようになっている。このとき、スキップモードであっても通常モードであっても、シフトダウン・アップは1段ずつ行われる。
【0046】
一方、マニュアルモードの場合、TMCU9はこれらマップと無関係にドライバのシフトアップ・ダウン操作に従って変速を実行する。通常モードなら1回のシフトチェンジ操作で1段変速し、スキップモードなら1回のシフトチェンジ操作で2段変速する。
【0047】
現在のアクセル開度はアクセル開度センサ8により検知され、現在の出力軸回転数は出力軸回転センサ28により検知される。TMCU9は、現在の出力軸回転数の値から現在の車速を換算し、これをスピードメータに表示する。つまり車速が出力軸回転数から間接的に検知され、出力軸回転数と車速とは相互に対応している。
【0048】
また、TMCU9はECU6のクルーズコントローラ6aと連携し、車両の定速走行を実現する定速走行制御をも行うようになっている。
【0049】
クルーズコントローラ6aは、基本的な定速走行制御を行うものであり、ドライバにより設定されたクルーズ設定車速に現在車速を一致させるようにエンジンの燃料噴射量を制御するようになっている。
【0050】
図4に示すように、ECU6(クルーズコントローラ6a)には、各スイッチ81〜85及び各ランプ81a,82aが接続されている。
【0051】
メインスイッチ81は、定速走行制御スタンバイ状態とするためのものであり、ドライバにONされることで運転室のメインランプ81aを点灯させる。スタンバイ状態の解除はメインスイッチ81のOFF又はキースイッチ(図示せず)のOFFにより行われ、解除と同時にメインランプ81aが消灯される。セットスイッチ82は、ドライバにONされると同時にクルーズ設定車速を設定し、定速走行制御を開始し、運転室のセットランプ82aを点灯する。キャンセルスイッチ83は、ドライバにONされると定速走行制御を解除する。定速走行制御解除と同時にセットランプ82aが消灯される。コーストスイッチ84は、ドライバにONされている間は車両を惰行状態とする。この状態からコーストスイッチ84がOFFされると、その時の車速が新たなクルーズ設定車速として更新設定される。リジュームスイッチ85は、ドライバにONされると、クルーズ設定車速がセットスイッチ82をONしたときの最初の値に復帰される。
【0052】
なお、周知のように、定速走行制御の解除は、他にもメインスイッチ81のOFF、ブレーキペダル(図示せず)の踏み込み(ブレーキスイッチON)、又はクラッチペダル11の踏み込み(クラッチペダルストロークセンサ16の値が所定値以上)によって行われる。
【0053】
TMCU9は、定速走行制御中に急な登坂路に差し掛かるなど負荷が増大することによって燃料噴射量の制御のみではクルーズ設定車速に現在車速を一致させられない状況(現在車速がクルーズ設定車速から所定値以上乖離して下回る状況)となったとき、車速が燃料噴射量の制御のみでクルーズ設定車速に戻る程度の速度(車速がクルーズ設定車速を所定の速度差下回る速度)に戻るまで変速機3をシフトダウンする過負荷用シフトダウン制御機能と、アクセル操作の有無を検出し、アクセル操作があるときその車速で現ギア段よりも大きなトルクを発生するギア段にシフトダウンする一時加速用シフトダウン制御機能と、過負荷用シフトダウン制御機能や一時加速用シフトダウン制御機能等によってシフトダウンがなされた後、現ギア段で燃料噴射量を制御してもクルーズ設定車速に現在車速を一致させられない状況(エンジン回転数が所定の回転数を超える状況)となったとき変速機3をシフトアップするシフトアップ制御機能とを備えている。
【0054】
図6に過負荷用シフトダウン制御のフローチャートを示す。このフローはTMCU9により所定時間毎に実行される。
【0055】
まずTMCU9は、第1ステップ101において、クルーズ制御中であるか否かを判別する。クルーズ制御中である場合は第2ステップ102に進んで自動変速モードであるか否かを判別する。クルーズ制御中でないか、或いは自動変速モードでない場合、何も実行せずに本フローを終える。
【0056】
自動変速モードである場合、第3ステップ103に進み、ECU6中のメモリ(図示せず)からクルーズ設定車速Xを取得し、第4ステップ104に進み、現在車速Yを取得する。現在車速Yは前述のように出力軸回転数の値から換算して得る。第1ステップ101、第2ステップ102、第3ステップ103及び第4ステップ104は基本的な実行条件の判定とデータの取得とを行う前処理部であり、これらステップ101,102,103,104の実行順序はどのように入れ替わっても構わない。
【0057】
そしてこの後、第5ステップ105に進み、現在車速Yがクルーズ設定車速Xを設定値L1(ここでは5km/h)以上下回っているか否かを判別する。
【0058】
現在車速Yがクルーズ設定車速Xを設定値L1以上下回っていない場合、すなわち燃料噴射量の制御だけでほぼクルーズ設定車速Xで定速走行できている場合、何も実行せず本フローを終える。
【0059】
現在車速Yがクルーズ設定車速Xを設定値L1以上下回っている場合、第6ステップ106、第7ステップ107の順に進み、現ギア段から1段シフトダウンしたときのギア段αを求めたのち、現在車速Yのままそのギア段αにシフトダウンしたときのエンジン回転数βを算出する。
【0060】
そして、第8ステップ108に進み、エンジン回転数βが予め設定された設定値L2より小さいか否かを判別する。設定値L2は、加速可能なエンジン回転数の上限近傍(ここでは1800rpm)に設定されている。
【0061】
エンジン回転数βが設定値L2より小さくない場合、すなわち加速不可能である場合、何も実行せず本フローを終える。
【0062】
エンジン回転数βが設定値L2より小さい場合、第9ステップ109に進み、変速タイマtが設定値T(ここでは5秒)を超えたか否か(ギアチェンジ後所定の時間が経過したか否か)を判別する。図7に示すように、変速タイマtは、第18ステップ118にて現ギア段が目標ギア段と一致しているときインクリメント(+1)され、他の場合にゼロクリアされるようになっている。図7に示すフローは、1秒毎に図示しない上位ルーチンから呼び出されることで現ギア段が目標ギア段に一致してからの時間(呼び出された回数)をカウントするようになっている。
【0063】
図6に示すように、第9ステップ109にて変速タイマtが設定値Tを超えていない場合、何も実行せず本フローを終え、現ギア段を維持する。
【0064】
変速タイマtが設定値Tを超えている場合、第10ステップ110に進み、目標ギア段を現ギア段よりも1段低いギア段に設定する。実際のシフトダウンは本フローが終了した後、図示しない別フローに従って実行される。
【0065】
一時加速用シフトダウン制御機能は、アクセルを踏み込まれたときに一時的に加速性を向上させるべく現在車速Yにおいてトルク点(最大トルク発生回転数)直前でエンジンを回転させるギア段を算出し、このギア段にシフトダウンするものである。これにより速やかに一時加速でき、容易に追い越し等できる。
【0066】
図8にシフトアップ制御のフローチャートを示す。このフローはTMCU9により所定時間毎に実行されるようになっている。
【0067】
TMCU9は、まず過負荷用シフトダウン制御と同様の前処理を行う。具体的には、第11ステップ111及び第12ステップ112にて、クルーズ制御中であるか否か、また自動変速モードであるか否かを判別する。クルーズ制御中でないか、或いは自動変速モードでない場合、何も実行せずに本フローを終える。
【0068】
クルーズ制御中であると共に自動変速モードである場合、第13ステップ113に進んでクルーズ設定車速Xを取得した後、第14ステップ114に進み、現在車速Yを取得する。前処理の中で各ステップ111,112,113,114の実行順序が入れ替わってよいのは前述と同様である。
【0069】
この後、第15ステップ115に進み、現在車速Yがクルーズ設定車速Xを設定車速L3だけ下回る速度より大きいか否かを判別し、現在車速が上記速度より大きい場合、すなわち、現在車速Yがクルーズ設定車速Xの近くまで戻ってきている場合、第16ステップ116に進み目標ギア段を現ギア段より1段高いギア段に設定する。
【0070】
現在車速が上記速度より大きくない場合、現在のエンジン回転数が設定値L4よりも高いか否かをさらに判別する。設定値L4はオーバーラン直前の回転数(ここでは2000rpm)に設定されており、この回転数と現在のエンジン回転数とを比較することで現ギア段での最高速度に達しているか否かを判別できるようになっている。
【0071】
エンジン回転数が設定値L4よりも高い場合、第16ステップ116に進んで目標ギア段を現ギア段より1段高いギア段に設定する。
【0072】
エンジン回転数が設定値L4よりも高くない場合、そのまま本フローを終え、現ギア段を維持する。
【0073】
なお、実際のシフトアップは本フローが終了した後、図示しない別フローに従って実行される。
【0074】
このフローを図5に示す実際の走行パターンに当てはめて説明する。図中縦軸は車速を表し、横軸は時間軸を表す。
【0075】
時刻aまで車両は平滑な平地を自動変速モードでクルーズ制御中であり、クルーズ設定車速Xで定速走行している。このとき図6においてTMCU9は第1ステップ101から第5ステップ105まで順に進み、第5ステップ105にて判別条件に合致しない(現在車速Y=クルーズ設定車速X)ため、本フローを終了して現ギア段を維持するという処理の流れを繰り返す。
【0076】
図5に示す時刻aに急な登坂路に差し掛かると、燃費を抑えるべく可能な限り高いギア段(低いエンジン回転数)で走行している車両はトルク不足を生じて徐々に減速する。
【0077】
そして、現在車速Yとクルーズ設定車速Xとの速度差が設定値L1を超えると(時刻b)、図6に示す第5ステップ105の判別条件に合致し、第6ステップ106、第7ステップ107、第8ステップ108の順に進む。第8ステップ108では、現ギア段から1段落としたときのエンジン回転数βが設定値L2より小さいか否かを判別する。ここではエンジン回転数は平地走行時よりも低くなっており、ギア段を一段落としてもエンジン回転数βは設定値L2より十分小さいため、第9ステップ109に進む。
【0078】
第9ステップ109では、変速タイマtが設定値Tよりも大きいか否かを判別する。ここでは平地から現ギア段で走行していることから変速タイマtは設定値Tより十分大きく、第10ステップ110に進んで目標ギア段を現ギア段より1段低いギア段に設定する。これにより変速機3は1段だけシフトダウンされ、図7に示すフローにてタイマtがゼロクリアされる。
【0079】
この後、図6に示す過負荷用シフトダウン制御のフローは所定の微小時間ごとに呼び出されるが、シフトダウンから設定値Tの時間が経過するまでは第9ステップ109の判別条件に合致せず、目標ギア段の変更がなされることはない。
【0080】
図5に示すように、設定値Tの時間が経過した時刻cにおいて現在車速Yが下がり続ける状況である場合、図6に示す第8ステップ108の判別条件(現ギア段から一段落としたときのエンジン回転数βが設定値L2より小さい)を満たす限り第10ステップ110に進んで目標ギア段を一段落とす。そして更に図5に示すように設定値Tの時間が経過した時刻dにおいても同様の状況である場合、同様の処理を繰り返し、図6に示す第5ステップ105と第8ステップ108の判別条件を満たしている間は設定値Tの時間が経過する毎に目標ギア段を一段づつ落とし続ける。
【0081】
図5に示す時刻eにおいて登坂路が終わって平地に到達すると、車速が上がり、現ギア段での最高速度に到達すると加速が止まる。この状態となった時刻fにおいて図8に示すシフトアップ制御のフローが実行されると、第11ステップ111から第12ステップ112、第13ステップ113、第14ステップ114、第15ステップ115の順に進む。第15ステップ115では、現在車速Yが、クルーズ設定車速Xを設定値L3下回る速度より大きいか否かを判別する。これは現在車速Yがほぼクルーズ設定車速Xに戻ったか否かを判別するものであり、設定値L3は1.5km/hに設定されている。
【0082】
このときの現在車速Yはクルーズ設定車速Xから乖離されており第15ステップ115の判別条件に合致しないため、第17ステップ117に進む。第17ステップ117では、現在のエンジン回転数が設定値L4より高いか否かを判別する。エンジンは限界近い回転数で回転していることから、第17ステップ117の判別条件に合致し、第16ステップ116に進む。第16ステップ116では、目標ギア段を現ギア段より一段高いギア段に設定する。
【0083】
エンジンは十分高い回転数でシフトアップされることから、図5に示すように現在車速Yは上がる。現ギア段での最高速度に到達した時刻gに再び図8に示すフローが実行されると、同様に第15ステップ115から第17ステップ117に進んだのち第16ステップ116に進み、目標ギア段を現ギア段より一段高いギア段に設定する。以降、同様の状況下においては同様の処理の流れを繰り返し、シフトアップを繰り返す。
【0084】
現在車速Yがクルーズ設定車速Xから設定値L3以内の速度に戻った時刻hに再び図8に示すフローが実行されると、現在車速Yが第15ステップ115の判別条件に合致するため、第15ステップ115から直接第16ステップ116に進んで目標ギア段を現ギア段より一段高いギア段に設定する。そして現在車速Yがクルーズ設定車速Xに到達すると(時刻i)、変速機3は図示しない通常の定速走行制御の処理手順によって最適ギア段にシフトアップされる。
【0085】
このように、シフトダウンを行った後(シフトダウン実行後から車速がクルーズ設定車速Xに一致するまでの間)に、エンジン回転数が設定値L4を超えたとき変速機3をシフトアップするシフトアップ制御機能を備えてトランスミッション制御装置9を構成したため、定速走行制御中にクルーズ設定車速Xまで到達しえないギア段までシフトダウンされた場合であっても、シフトアップ制御を行うことができる。
【0086】
また、シフトアップ制御機能は、シフトダウンを行った後に、車速がクルーズ設定車速Xを設定値L3下回る速度より大きくなるか、または、エンジン回転数が設定値L4を超えたとき変速機3をシフトアップするものとしたため、現在車速Yがクルーズ設定車速Xに到達するまであと設定値L3の範囲に近づいたとき、エンジン回転数を設定値L4に到達させるまえにシフトアップできる。
【0087】
シフトアップは、一段ずつ行われるものとしたため、傾斜の部分的な変化に過敏に反応するのを防ぐことができ、段階的に安定してシフトアップできる。
【0088】
そして、設定値L4を、オーバーラン直前の回転数に設定したため、現ギア段がクルーズ設定車速Xまで到達しえないギア段であるか否かを正確に判別できる。
【0089】
なお、本実施の形態ではディーゼルエンジンの場合について述べたがこれに限るものではない。エンジンはガソリンエンジン等、他の種別のものであってもよい。自動変速機は、少なくとも自動変速可能なものであれば、マニュアル変速モードの無いものやスキップモードの無いのものであってもよい。車両も大型車両に限らず、小型トラック、乗用車等が可能である。上述した各数値は具体例であり、適宜変更してよい。
【0090】
また、エンジンの燃料噴射量調節によって車速を設定車速に一致させる定速走行制御中に現在車速Yがクルーズ設定車速Xから設定値L1以上乖離して下回ったとき、現在車速Yがクルーズ設定車速Xを設定値L1を下回る速度に戻るまで変速機3をシフトダウンする過負荷用シフトダウン制御機能により繰り返しシフトダウンされた場合のシフトアップについて述べたが、これに限るものではない。
【0091】
例えば、上述の一時加速用シフトダウン制御機能によってクルーズ設定車速Xまで到達しえないギア段までシフトダウンされた場合のシフトアップにおいてもシフトアップ制御機能が有効に作用することは勿論である。一時加速用シフトダウン制御機能によってクルーズ設定車速Xまで到達しえないギア段までシフトダウンされる場合としては、登坂路をクルーズ設定車速Xに満たない車速で走行中、上り坂から平地に変わる直前にアクセルを踏み込まれた場合等が考えられる。
【0092】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、定速走行制御中にクルーズ設定車速まで到達しえないギア段までシフトダウンされてもシフトアップすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る車両の自動変速装置を示す構成図である。
【図2】同スケルトン図である。
【図3】自動クラッチ装置を示す構成図である。
【図4】エンジンコントロールユニットと各種スイッチの構成図である。
【図5】シフトアップ制御の内容を示すタイムチャートである。
【図6】過負荷用シフトダウン制御の内容を示すフローチャートである。
【図7】タイマの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】シフトアップ制御の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
3 変速機
9 トランスミッション制御装置
110 第10ステップ(シフトダウン制御機能)
115 第15ステップ(車速が設定車速を所定値下回る速度より大きくなる)116 第16ステップ(シフトアップ制御機能)
117 第17ステップ(エンジン回転数が所定の回転数を超えた)
L3 所定値
L4 設定値(回転数)
X クルーズ設定車速(設定車速)
Y 現在車速(車速)
Claims (4)
- エンジンの燃料噴射量調節によって車速を設定車速に一致させる定速走行制御中に変速機をシフトダウンするシフトダウン制御機能を備えたトランスミッション制御装置であって、上記シフトダウン実行後から車速が上記設定車速に一致するまでの間にエンジン回転数が所定の回転数を超えたとき上記変速機をシフトアップするシフトアップ制御機能を備えたことを特徴とするトランスミッション制御装置。
- 上記シフトアップ制御機能は、上記シフトダウン実行後から車速が上記設定車速に一致するまでの間に車速が上記設定車速を所定値下回る速度より大きくなるか、または、エンジン回転数が所定の回転数を超えたとき上記変速機をシフトアップする請求項1記載のトランスミッション制御装置。
- 上記変速機のシフトアップは、一段ずつ行われる請求項1又は2記載のトランスミッション制御装置。
- 上記所定の回転数は、オーバーラン直前の回転数に設定される請求項1〜3いずれかに記載のトランスミッション制御装置。
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JP2002307193A JP2004142523A (ja) | 2002-10-22 | 2002-10-22 | トランスミッション制御装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009513896A (ja) * | 2005-07-07 | 2009-04-02 | ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト | 自動車のパワートレインを駆動機械と変速機とで制御するための方法 |
-
2002
- 2002-10-22 JP JP2002307193A patent/JP2004142523A/ja active Pending
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JP2009513896A (ja) * | 2005-07-07 | 2009-04-02 | ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト | 自動車のパワートレインを駆動機械と変速機とで制御するための方法 |
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