JP2004142381A - 加圧式のボールペン - Google Patents
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Abstract
【目的】適正な加圧が発揮できずに異常にインキが吐出してしまったり、反対に少なすぎたりする問題に対し、適正な加圧力を調整可能とする。
【構成】加圧式のボールペンに於いて、ポンピング式の加圧機構は、軸筒内に通気口を常時密閉するように弁体が設けられ、その弁体の前方と後方の軸筒内部が分断状態と成される弁機構部と、その弁機構部の後方に、ノックスプリングによってノック棒が軸筒に対して常時後方に附勢された状態で、且つ前後退可能に軸筒に係止されると共に、ノック棒の外周部が軸筒の内周部に密接するように設けられ、ノック棒を前進させた時に通気口とノック棒の前端との間に形成される空間部を圧縮するように設けられたノック機構部とで構成され、ノック棒を前進して空間部を適宜圧縮した状態で、前記通気口が解放されるように弁体の後端に当接するスライド軸がノック棒に対して軸方向に相対的に前後動可能となる。
【選択図】 図2
【構成】加圧式のボールペンに於いて、ポンピング式の加圧機構は、軸筒内に通気口を常時密閉するように弁体が設けられ、その弁体の前方と後方の軸筒内部が分断状態と成される弁機構部と、その弁機構部の後方に、ノックスプリングによってノック棒が軸筒に対して常時後方に附勢された状態で、且つ前後退可能に軸筒に係止されると共に、ノック棒の外周部が軸筒の内周部に密接するように設けられ、ノック棒を前進させた時に通気口とノック棒の前端との間に形成される空間部を圧縮するように設けられたノック機構部とで構成され、ノック棒を前進して空間部を適宜圧縮した状態で、前記通気口が解放されるように弁体の後端に当接するスライド軸がノック棒に対して軸方向に相対的に前後動可能となる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、初期筆記でインキ切れしやすいインキを使用したボールペン、インキに種々のフィラーが混入されたボールペン、紙面に筆記した筆跡が消しゴムでの擦過により容易に消去できるインキが充填されたボールペン、誤記等を白色のインキで隠蔽することで修正可能とする加圧式のボールペン等の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平8−52407
【特許文献2】実開昭62−154882
【特許文献3】特表平7−506862
【特許文献4】実開昭63−98776
【特許文献5】特開2001−328388
従来、誤記等を修正するために白色顔料を用いた液体塗布具が知られている。
また、白色顔料と溶剤が分離しやすい為にこの種の液体塗布具は可撓性のある容器にインキとボール等が封入されており、使用に際して振って攪拌する必要がある。また、インキを吐出する為に容器の側面を押圧して行うが、インキ残量が少なくなった時には容器の側壁を強く押してもインキが吐出されないという苛立たしさがある。(特許文献1)
また、剪断減粘性を有するインキを使用して、攪拌しないですむものも知られているが、上向きで塗布したときにインキが逆流してインキ切れしやすい問題が存在する。(特許文献3)
また、後端に加圧機構を設けて、ポンピング作用によってインキの流出を支援すると共に、インキの逆流が防止可能となるものが知られているが、インキの性質や機構のバラツキなどによって適正な加圧が発揮できずに異常にインキが吐出してしまったり、少なすぎたりする問題がある。(特許文献4,5)
【0003】
一般に粘性の低いインキ又は剪断減粘性を有したインキを使用したボールペンは、インキの流出量が多く(筆記濃度を上げるため)インキ収容管の径を太くしてインキの搭載量を多くしている。又、インキの粘度は油性ボールペンのインキに比べて小さいのでインキ収容管に対する流動抵抗は小さい。従って、インキの自重や落下あるいはノック衝撃が加わることによりインキ漏れ(インキ収容管の後端にインキが逆流する)が生じやすい。その為に、通常はインキの後端に筆記時のインキの消耗に追随して移動するが、インキの自重や衝撃に対してインキの逆流を抑制するグリース状のフォロアが、又、必要によりフォロア棒がフォロア内に浸漬されて設けられている。しかしながら、フォロアを設けても上向き筆記をした時にはチップのボール背面のインキが無くなると、インキのヘッドが直に加わる為に顕著な逆流が生じて手や衣服を汚す危険がある。又、インキの粘度が低く流出量が多いが故に、チップ側を下向きにした場合に先端ボールとチップ抱持部の隙間が生じるとインキが滲みでる(直流)問題が存在する。
特に、誤記等を修正するために白色顔料を用いた液体塗布具の場合には、インキの流量を多くすることや、乾燥による目詰まり排除などの理由で、筆圧によって先端ボールが後退する寸法が大きくとってあり、先端ボールの周面とチップのボール抱持部の内面との間の隙間が大きい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、初期筆記でインキがとぎれやすいインキを使用したボールペン、インキに種々のフィラーが混入されたボールペン、紙面に筆記した筆跡が消しゴムでの擦過により容易に消去できるインキが充填されたボールペン、誤記等を白色のインキで隠蔽することで修正可能とするボールペンなどを加圧作用で支援して筆記可能とする。主として、酸化チタン、高分子中空微粒子等の白色顔料とゲル化剤を含み、顔料の沈降が防止されると共に流動性が損なわれないように配合された白色顔料インキと、ポンピングによる加圧機構を設けることによって、従来のように白色顔料と溶剤とが分離するような問題がなく、従ってインキを攪拌する必要がなく、筆記に際して容器の側面を押圧するようなこともない使い勝手の良い加圧式のボールペンを適正な加圧力を容易に設定可能とする。
しかしながら、インキの性質や機構のバラツキなどによって適正な加圧が発揮できずに異常にインキが吐出してしまったり、反対に少なすぎたりする問題が存在する。本発明は、容易な手段で適正な加圧力を調整可能とする。
又、筆記具の構成をボールペンのチップとインキが充填された前軸筒とポンピングによって圧縮空気を送り込むように加圧機構が配設された後軸筒に分けて、相互間に設けた接合部で着脱可能に結合することによって、前軸筒のみを消耗品となし、ユーザーに安価に提供可能とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成する為に以下の構成を有する。
請求項1に記載の発明に係る加圧式のボールペンは、軸筒先端にボールペンのチップを有し、後方のインキ収容部にインキとインキの後端にインキと追随するフォロアが充填され、更にその後方にポンピング式の加圧機構が設けられてなり、前記ポンピング式の加圧機構は、軸筒内に通気口を常時密閉するように弁体が設けられ、その弁体の前方と後方の軸筒内部が分断状態と成される弁機構部と、その弁機構部の後方に、ノックスプリングによってノック棒が軸筒に対して常時後方に附勢された状態で、且つ前後退可能に軸筒に係止されると共に、ノック棒の外周部が軸筒の内周部に密接するように設けられ、ノック棒を前進させた時に通気口とノック棒の前端との間に形成される空間部を圧縮するように設けられたノック機構部とで構成され、ノック棒を前進して空間部を適宜圧縮した状態で、前記通気口が解放されるように弁体の後端に当接するスライド軸がノック棒に対して軸方向に相対的に前後動可能となる。
【0006】
請求項2に記載の発明に係る加圧式のボールペンは、請求項1に記載の加圧式のボールペンに於いて、弁機構部は、軸筒内にテーパー状又は球面状の受け座が設けられ、その軸心に通気口が設けられると共に、スプリングによって受け座に密接するように弁体が設けられて、弁体の前方と後方の内部が分断状態と成され、ノック棒を前進して空間部を適宜圧縮した状態で、スライド軸の先端部が弁体の後端に当接して、前記弁体の密接状態が解除可能となる。
【0007】
請求項3に記載の発明に係る加圧式のボールペンは、請求項1に記載の加圧式のボールペンに於いて、軸筒は、インキとインキの後端にフォロアが充填されたインキ収容部の後方に接合部が設けられてなる前軸筒と、後端にノック棒を有し、ポンピングによって圧縮空気を送り込むように加圧機構が配設された筒部の前方に接合部が設けられてなる後軸筒とで構成され、前記前軸筒の接合部に後軸筒の接合部が着脱可能に結合されると共に、フォロアの後端部が外気と遮断されてなる。
【0008】
請求項4に記載の発明に係る加圧式のボールペンは、請求項1に記載の加圧式のボールペンに於いて、先端ボールがチップ先端のボール抱持部の内縁に密接するように先端ボールの背面にバネ圧が付与されると共に、インキ収容部には、酸化チタン、高分子中空微粒子等の白色顔料とゲル化剤を含み、顔料の沈降が防止されると共に流動性が極力損なわれないように配合された白色顔料インキが充填されてなる。
【0009】
【実施例】
図1及び図2は本発明の実施例1である加圧式のボールペン1を示している。
先ず、ボールペン1は、前軸筒2、チップ7、弁体6、受け座部材4、インキ10、フォロア11、フォロア棒12、後軸筒13、後軸筒後端に設けられるポンピング式の加圧機構で構成され、筆記具の最終形態としては先軸部3に被嵌するキャップ(図示せず)が設けられる。
【0010】
前軸筒2は樹脂成形品(通常は透明樹脂)で、先方に先細状の先軸部3を一体に有し、インキとフォロアが充填されるインキ収容部の後方に接合部(雌螺子部2b)が設けられている。又、先端より内孔3aが形成され、内孔の後端には、拡開した孔(弁室5となる)があり、その孔の前端に複数箇所でリブ3cが放射状に設けられている。尚、前軸筒2は一例としてPP樹脂やナイロン樹脂成形品等が使用される。
【0011】
一方、受け座部材4は、前面にテーパー状または球面状の弁体受け座4aを有し、弁体受け座4aの中心から後端に貫通した導孔4dが設けられている。
又、外周部の前方に円周状に凸部4bが、後方に円周状又は突条の係止部4cが形成されている。
受け座部材4は、前軸筒2の後端から挿入され、前軸筒の内孔先方の段部2aに当接して位置決めされると共に、その前方の内孔面に上記凸部4bが密接し、更に係止部4cが後方の内孔面に食い付き状に係止される。
尚、前軸筒2の内孔面と受け座部材4の外周部の相互間に溝部と突部を設けて、弾性変形を利用して係止することも可能である。
【0012】
以上で、リブ3cの後端となる前受け座3dと受け座部材4の前端となる弁体受け座4aとの間に弁室5が形成される。尚、受け座部材4を係止する前に球状の弁体6が挿入されて、弁室5内に弁体6が遊嵌される。
尚、弁体6は球状に限らず棒状のコマであってもよい。その場合、弁体の前方外周にインキを流通可能とする溝を形成すれ弁室の前端に上記のリブ3cを特に設ける必要はない。
【0013】
またチップ7は、インキ流入可能なチャンネルを有した座に先端ボール8が略当接した状態で先端ボール8が回転自在に抱持されるようカシメられている。
又、チップ内孔7aにスプリング9が内挿され、チップ後方の軸部7bの後端が適宜カシメられて、スプリング9の後端が抜出不能に設けられている。又、スプリング9の先方には直立状の棒軸部9aが形成され、当該棒軸部9aの先端が先端ボール8の背面に押圧状に当接している。尚、先端ボール8はその押圧でチップ7のボール抱持部の内縁に密接状態と成される。
【0014】
先端ボール8がボール抱持部の内面に密接することはインキが高粘度であっても筆記先端の乾燥、インキの直流防止に対し極めて重要である。
即ち、本願のような主に誤記修正塗布用のボールペンは、インキの吐出量を多くする為に、筆記用のボールペンに比較して先端ボールの後退する寸法が大きく設定されている。又、必要に応じて先端ボール8を抱持するチップ内面の表面粗さ、カシメによる密接精度を改善する為に内面の研削仕上げ、カシメ精度を上げる為の二次的な塑性加工などが配慮される。又、必要によっては先端ボールとの密接面に表面処理などが配慮される。
【0015】
チップ7は先軸部3先端の内孔3aに圧着される。
又、チップ7はインキ流入可能なチャンネルを有した座に先端ボール8が略当接した状態で、先端ボール8が回転自在に抱持されるようカシメられている。
又、チップ7の内孔部にスプリング9が内挿され、チップの軸部7bの後端が適宜カシメられて(カシメ部7c)スプリング9の後端が抜出不能となされている。尚、スプリングの前面に先端ボール8の背面を押圧する押し部材を設けることも、又、上記棒軸部を極細巻きのコイル状となすことも可能である。
また更に、チップを耐磨耗性やインキのシール性能に優れた樹脂成形品となして、先端ボールの背面を押圧するバネ座を一体又は別体のバネ座を設けて構成することも可能である。
【0016】
以上により、チップ側が下向きの時に弁体6が前受け座3dに当接して、インキが導孔4d、弁室5、リブとリブとの間に形成される溝を通じてチップ内孔7aから先端ボール8の背面まで導通する。
【0017】
前軸筒2は、上記導孔4dの後方にインキ収容部を有しており、そのインキ収容部内に低粘度のインキや剪断減粘性を有するインキ、主として白色顔料インキ10が充填され、そのインキの後端にインキの消耗と共にインキと追随するグリース状のフォロア11が充填されている。又、フォロア11はインキと相溶性が無く、インキの蒸発を防止する性能を有している。又、必要に応じてフォロア内にフォロアと略同等の比重を有する樹脂製のフォロア棒12が浸漬される。尚、フォロアは例えばシリコンゴム等の追従体とすることも可能である。
【0018】
又、白色顔料インキ10は、少なくとも酸化チタン、高分子中空微粒子等の白色顔料とゲル化剤を含み、顔料の沈降が防止されると共に流動性が極力損なわれないように配合された白色顔料インキである。又、インキは剪断減粘性を有しているので先端ボールの回転で粘度が低下するのと相まって隠蔽性の高い塗布が可能である。
【0019】
後軸筒13の前端には、中央の鍔部14cの後方に後軸部14aと、鍔部前方に雌螺子部14bとシール部14fが一体に形成された継ぎ手14が、その鍔部14cを後軸筒13の前端に当接し、後軸部14aを後軸筒13の内孔に嵌着して設けられている。又、継ぎ手14の軸心に形成された内孔部略後端に受け座14dと更に後端に貫通して通気口14eが設けられ、その受け座14dに密接するように弁体16がスプリング17で押圧され、そのスプリング17の前端に当接して圧入筒15が継ぎ手14の前端側内孔に固着されて、圧入筒15の後端部15aと受け座14dとの間に弁室が形成されると共に、圧入筒15の軸心には弁室に連通する貫通孔が設けられて、弁機構部が構成されている。
【0020】
前記シール部14fは、雌螺子部14b前方の外周部に円周状の凸部として形成され、雌螺子部14bが前軸筒2に螺合によって結合されたときに、前軸筒の内面に摺接して気密効果を上げることが可能となる。(尚、シール部14fをゴム等の弾性体よりリングに代えることもできる。)
以上によって、常時は、弁体16が受け座14dに密接して通気口14eが閉塞され、後軸筒の内孔を気密状に分断する。
【0021】
又、弁機構部の後方にノック機構部が配設される。
ノック機構部は以下のように構成されている。
後軸筒13の後端部側面に、後端側から先方に向かって細くなるテーパー状のスリット部13cが形成され、その前端に段部13dを有して軸方向前方所定長さのスリット部13bが形成されている。
【0022】
又、ノック棒18は、後端に鍔部とその前方に軸部が形成され、鍔部の前端に段部18bが設けられ、軸部外周の略中間に突部18aと軸部外周の略前端に周状の溝部18cが設けられて、その溝部18cに一例としてゴム等の弾性体や弾性のある成形樹脂などより成るシールリング21が止着されている。尚、シールリング21は、気密性、滑り性のよいものが選択される。又、他潤滑剤を介在させるなど配慮される。又、シールリング部は軸部外周に一体に形成することも可能である。又、ノック棒18の軸心部略中央には、小孔を有した仕切り部18dが形成されており、その前後に孔部が設けられ、後方の孔部には周上の全体あるいは要所に凸部が形成されている。
【0023】
上記後方の孔部には回転ブッシュ19が嵌着される。
回転ブッシュ19は、後端閉塞状の筒体で、後端にスリット部19cが形成され、また前方の軸部19aの外周に周状の凹溝部が形成されて、前端を開口した内孔部には雌螺子部19bが形成されている。
【0024】
また、スライド軸20は、後端に雄螺子部20bが形成された短軸部と、その前方にやや小径とした長軸部が一体で形成され、その長軸部の外周所用箇所には軸方向に溝部20aが形成されて、長軸部の前端はややテーパー状に細められた先端部20cが形成されている。
【0025】
以上により、上記回転ブッシュ19の雌螺子部19bに上記スライド軸20の雄螺子部20bが螺合された状態で、回転ブッシュ19の軸部19aが上記ノック棒18の後方の孔部に嵌着され、軸部19aに形成された凹溝部に後方の孔部に形成された凸部が係合して、回転ブッシュ19はノック棒18に対して回転のみ可能に設けられる。また、回転ブッシュ19の外周部とノック棒18の内周部との間は空気のリークが防止可能となされる。また、防止を確実とする為に、弾性体よりなるシール部等が設けられる。また、その時、スライド軸20の長軸部が仕切り部18dの小孔を貫通した状態となり、長軸部に形成された溝部20aに小孔に形成された凸部(図示せず)が嵌入して、仕切り部18dに対してスライド軸20は回転止めされる。従って、回転ブッシュ19を正逆回転することによって、スライド軸20は前後動することになる。
【0026】
尚、スリット部19cは、回転ブッシュ19の後端面に適宜深さでマイナス状あるいはプラス状の溝として形成され、溝にドライバーあるいはコインを挿着して回転ブッシュを回転可能とする。
また、必要に応じて、スライド軸20が不用意に前後動しないようにノック棒18と回転ブッシュ19との間に適宜回転抵抗を生じるように係合部等が設けられる。また、ノック棒と回転ブッシュを回転のみ可能に係合する凹凸部や仕切り部とスライド軸を回転止めする凸部と溝部の係合関係などは上記形態に限定されないものである。
【0027】
又、ノック棒18は、後軸筒13の後端から挿入され、仕切り部18dの前面と継ぎ手14の後端との間にノックスプリング22が敷設されると共に、突部18aがテーパー状のスリット部13cを弾性的に拡開して、突部18aが段部13dの前面に係止され、ノックスプリング22によって後軸筒13に対してノック棒18は常時後方に附勢される。又、ノック棒の軸部前方が後軸筒の後端孔に嵌入し、シールリング21の外周部が後端孔の内周部に摺接する。そのとき、シールリング21は、スリット部13bの略前端にかかる直前の状態に位置しており、従って、通気口14eとノック棒18の前端との間に形成される空間部23は外気と連通している。
【0028】
即ち、ノック棒18の前進作動の直前において、後軸筒13の空間部23は外気と連通され、ノック棒18が適宜前進した直後においてシールリング21の外周部が後軸筒の内周部に密接することで外気と遮断され、空間部23の縮小と共に加圧されるよう構成されている。又、ノック棒18を前進して空間部23を適宜圧縮した状態で、スライド軸20の先端部20cが弁体16の後端に当接して弁体16と受け座14dとの密接状態が解除されることになる。
【0029】
ポンピング式の加圧機構は、弁機構部と、弁機構部の後方に形成される空間部を圧縮するように設けられたノック機構部とで構成される。
上述したように、弁機構部とノック機構部とで構成されるポンピング式の加圧機構の実施例を説明したが、弁機構部やノック機構部の取付け構造など設計都合によって種々の形態が採用可能である。
例えば、弁機構はそれ自体が弾性を有した弁体とすることができる。また、弁機構をスライド軸を当接且つ貫通することで閉塞部を弾性的に開口させる構成とすることもできる。
【0030】
以上で、前軸筒2の雌螺子部2bに後軸部13に嵌着された継ぎ手14の雄螺子部14bを螺合することによって、フォロア11の後端部空間が外気と遮断される。尚、前軸筒と後軸筒を結合させる接合部は、螺子部に限らず、凹凸部の弾性係合によっても達成することが可能である。
【0031】
又、図3及び図4は本発明の実施例2である加圧式のボールペン24を示している。実施例2は、実施例1の構造を簡素化したものであって、基本的には同じものである。
即ち、前軸筒25の前方の内孔部で、チップ7の後端に対峙したインキ逆流防止用の弁機構が無く、さらに、インキ10の後端に設けられたフォロア27にはフォロア棒が浸漬されていない。このことは、実施例1がインキの逆流防止に対して完璧なのに対して実施例2が実質上問題のない構造として示している。
【0032】
又、インキが充填された前軸筒の後端にインキやフォロアの蒸発や乾燥を防止するためにシール部(一例として、例えばアルミ蒸着などを施したフィルムを前軸筒の後端面に溶着あるいは接着して)を設けて、加圧機構が配設された後軸筒側を結合する際に、シール部を除去あるいはフィルム状で有れば後軸筒側の接合部前端で突き破って結合することによって、前軸筒のみを消耗品とすることが可能となり、且つ、長期保存も可能となる。
【0033】
又、図5は本発明の実施例3である加圧式のボールペンの前軸筒側のみを示している。後軸筒側は、実施例1又は2と同じものである。
当該実施例は、主として誤記等を白色のインキで隠蔽することで修正可能とするボールペン式塗布具に適用される。
構成について概略を説明すると、先ず、先端にボールペンのチップ31と後方にインキ38を収容した前軸筒37が設けられ、チップ31はその内孔に、前端に先端ボール32の背面に当接するボール座部33bとインキ38を流入可能とするチャンネル部33aと軸心にチップ上向きでインキの導孔33eが密閉可能となる弁機構とを一体に有したボール受け部材33が設けられ、そのボール受け部材33の後端にスプリング36が配設されて、先端ボール32がチップ先端のボール抱持部31aの内縁に密接するように先端ボール32の背面にバネ圧が付与され、塗布作業に伴う先端ボール32の押圧によって先端ボール32と連動してボール受け部材33が後退自在となるように構成されている。
【0034】
又、図6は本発明の実施例4である加圧式のボールペンの前軸筒側のみを示している。後軸筒側は、実施例1又は2と同じものである。
当該実施例も主として誤記等を白色のインキで隠蔽することで修正可能とするボールペン式塗布具に適用される。
構成について概略を説明すると、先ず、先端にボールペンのチップ41と後方にインキ38を収容した前軸筒37が設けられ、
チップ41は、前端に先端ボール42を有し、チップ内孔で先端ボール42の背面に当接するアイドル部材45を有し、更にそのアイドル部材45の背面に当接する座部とインキを流入可能とするチャンネル部と軸心にチップ上向きでインキの導孔が密閉可能となる弁機構とを一体に有した受け部材43が設けられ、その受け部材の後端にスプリング47が配設されて、筆記作業に伴う先端ボール42の押圧によって先端ボール42と連動して受け部材43が後退自在となるように構成されている。
【0035】
【作用】
次に、ポンピング式の加圧機構の作用を以下に説明する。
図2に示す状態からノック棒18の後端を押圧して前進すると、シールリング21の外周部が後軸筒13の内周部全周に密接した時点で空間部23が外気と遮断されると共に、ノック棒18が更に前進することによってシールリング21の外周部が後軸筒13の内周部13aに密接して摺動し、空間部23の縮小と共に内圧が上昇する。又、ノック棒18を前進して空間部23を適宜圧縮した状態で、弁体16の受け座14dとの密接状態が解除されるようにスライド軸20の先端部20cが弁体16の後端に当接し、加圧された空気が弁体の前方に押し込まれることによって、フォロア11の後端が加圧されてインキのチップ側への流動性が支援される。
そのことは、落下衝撃やインキの流動性の悪さ等に起因して先端ボールの周面からインキが離れてしまい連続的なインキの流出がとぎれるのを防止する作用ととぎれた時に回復する作用となる。
【0036】
又、インキの特性などによって適正な加圧力が設定される。その場合、シールリング21の外周部が後軸筒13の内周部全周に密接する時の空間部23の容積とスライド軸20の先端部20cが弁体16の後端に当接した時の空間部23の容積を幾らにするか、シール部のリーク値などを勘案して設定することが可能となる。尚、空間部23の縮小と共に内圧が上昇する実質上の空間は、ノック棒18の仕切り部18d前方の孔部18eに形成される空間や回転ブッシュ19の雌螺子部19bにスライド軸20の雄螺子部20bが螺合する内孔空間部、通気口14eに形成される空間部などが加算されたものとなる。
従って、必要な加圧力を得る為には空間部23の大きさを変化させる軸方向の寸法Aの設定が重要となる。
【0037】
スライド軸20の先端部20cが弁体16の後端に当接する軸方向の寸法Bによって加圧力が設定され、スライド軸20の先端部20cが弁体16を押して弁部を開口することによって加圧空気がフォロア11の後端側に流入する。
又、弁体16が受け座14dに密接するように押圧するスプリング17の強さが所定の強さより強い方にばらついても所定の加圧力が期待できる。
【0038】
上述したが、インキの性質や機構のバラツキなどによって適正な加圧が発揮できずに異常にインキが吐出してしまったり、反対に少なすぎたりする問題が存在する。そこで、回転ブッシュ19のスリット部19cにドライバーあるいはコインなどを挿着して回転ブッシュ19を正逆回転することによってスライド軸20を前後動させ、適正な加圧力となる寸法Bを調整する。
【0039】
次に、ボールペン1の機能について説明する。
先ず、筆記しない状態ではスプリング9の押圧で先端ボール8がチップ抱持部の内縁に密接されるのでインキ10の直流及び逆流が防止される。又、筆圧により先端ボール8が微小に後退するので隙間を生じてインキが流出可能となり、筆記により先端ボール8の回転でインキが流出されて筆記される。
スプリング9の押圧が無い場合でも、インキの粘度があまり低く過ぎたり、あるいはインキの充填量が多過ぎたり、インキ収容部が大き過ぎたりしない場合には、フォロアの後端が加圧されるのでインキが直流や逆流が防止できる。
しかしながら、チップ7を上向きにして筆記したり、ノック衝撃の繰り返しなどを考慮するとインキの直流及び逆流防止のためにスプリング9で押圧することが望ましい。
【0040】
又、フォロア棒は、インキ収容部が大径である場合に使用される。即ち、グリース状のフォロアは、インキ収容部が大径の場合に衝撃などの影響で変形を受け破壊されやすいという問題がある。フォロア内にフォロアと略同等の比重を有する樹脂製のフォロア棒を浸漬させることにより剛性を上げることが可能となる。
【0041】
又、インキの直流及び逆流はスプリングによる先端ボールへの押圧で果たされるが、先端ボールをボール抱持部の内縁にスプリングの押圧によって密接させると共に、その後方に弁体を遊嵌した弁室を設けてチップ上向きで弁体が導孔を閉塞するように併設して設けることで、ボール抱持部の加工バラツキによる先端ボールとの密接不完全状態や、ボール抱持部と先端ボールとの隙間に固形物が付着した場合の密接不完全状態が生じてもインキの逆流が確実に防止できる。
【0042】
上述したフォロア棒や弁体を有したインキの逆流防止構造は、インキ収容部が大径で逆流しやすい場合や、上向き筆記を繰り返した時や衝撃が掛かった時に性能を発揮するものであって構成要素として必須のものではなく、特に誤記修正用のボールペンは上向きに使用されることはまず無いので必ずしも必要としない。
【0043】
【発明の効果】
本発明の加圧式のボールペンの構成及び作用は以上の如くであり、
初期筆記でインキ切れしやすいインキを使用したボールペンが加圧作用に支援されて筆記可能となる。又、少なくとも酸化チタン、高分子中空微粒子等の白色顔料とゲル化剤を含み、顔料の沈降が防止されると共に流動性が損なわれないように配合された白色顔料インキと、ポンピングによる加圧機構を設けることによって、従来のように白色顔料と溶剤とが分離するような問題がなく、従ってインキを攪拌する必要がなく、筆記に際して容器の側面を押圧する煩わしさが無い誤記修正用のボールペンが提供可能となる。
【0044】
又、ノック棒18に設けられたスライド軸20の先端部20Cが弁体16の後端に当接させることによってインキの特性などに応じた適正な加圧力が設定可能となる。又、弁体16を受け座14dに密接するスプリング17の強さが所定の強さより強い方にばらついても所定の加圧力が期待できる。
また更に、インキの性質や機構のバラツキなどによって適正な加圧が発揮できずに異常にインキが吐出してしまったり、反対に少なすぎたりする問題が存在する場合においては、回転ブッシュ19を正逆回転することによってスライド軸20を前後動させ、適正な加圧力に調整することが可能である。
【0045】
又、ボールペンのチップとインキが充填された前軸筒とポンピングによって圧縮空気を送り込むように加圧機構が配設された後軸筒が着脱可能に結合されることによって、前軸筒のみを消耗品となすことが可能となり、ユーザーに対し安価に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1であるボールペンの前軸筒の要部を示す縦断面図である。
【図2】実施例1であるボールペンの前軸筒の後方部と後軸部を示す縦断面図である。
【図3】本発明の実施例2であるボールペンの前軸筒の要部を示す縦断面図である。
【図4】実施例2であるボールペンの前軸筒の後方部と後軸部を示す縦断面図である。
【図5】本発明の実施例3である加圧式のボールペンの前軸筒側のみを示している。
【図6】本発明の実施例4である加圧式のボールペンの前軸筒側のみを示している。
【符号の説明】
1 ボールペン
2 前軸筒
2a 段部
2b 雌螺子部
3 先軸部
3a 内孔
3b 孔部
3c リブ
3d 前受け座
4 受け座部材
4a 弁体受け座
4b 凸部
4c 係止部
4d 導孔
5 弁室
6 弁体
7 チップ
7a チップ内孔
7b 軸部
7c カシメ部
8 先端ボール
9 スプリング
9a 棒軸部
10 インキ
11 フォロア
12 フォロア棒
13 後軸筒
13a 内周部
13b スリット部
13c テーパー状のスリット部
13d 段部
14 継ぎ手
14a 後軸部
14b 雄螺子部
14c 鍔部
14d 受け座
14e 通気口
14f シール部
15 圧入筒
15a 後端部
16 弁体
17 スプリング
18 ノック棒
18a 突部
18b 段部
18c 溝部
18d 仕切り部
18e 孔部
19 回転ブッシュ
19a 軸部
19b 雌螺子部
19c スリット部
20 スライド軸
20a 溝部
20b 雄螺子部
20c 先端部
21 シールリング
22 ノックスプリング
23 空間部
24 ボールペン
25 前軸筒
26 先軸部
27 フォロア
30 ボールペン
31 チップ
31a ボール抱持部
31b 係止段部
32 先端ボール
33 ボール受け部材
33a チャンネル部
33b ボール座部
33c 段部
33d 弁体受け座
33e 導孔
34 弁室
35 弁体
36 スプリング
37 前軸筒
38 インキ
40 ボールペン
41 チップ
41a ボール抱持部
41b テーパー部
41c 係止段部
41d 隙間
42 先端ボール
43 受け部材
43a チャンネル部
43b 段部
43c 弁体受け座
43d 導孔
44 弁室
45 アイドル部材
46 弁体
47 スプリング
【産業上の利用分野】
本発明は、初期筆記でインキ切れしやすいインキを使用したボールペン、インキに種々のフィラーが混入されたボールペン、紙面に筆記した筆跡が消しゴムでの擦過により容易に消去できるインキが充填されたボールペン、誤記等を白色のインキで隠蔽することで修正可能とする加圧式のボールペン等の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平8−52407
【特許文献2】実開昭62−154882
【特許文献3】特表平7−506862
【特許文献4】実開昭63−98776
【特許文献5】特開2001−328388
従来、誤記等を修正するために白色顔料を用いた液体塗布具が知られている。
また、白色顔料と溶剤が分離しやすい為にこの種の液体塗布具は可撓性のある容器にインキとボール等が封入されており、使用に際して振って攪拌する必要がある。また、インキを吐出する為に容器の側面を押圧して行うが、インキ残量が少なくなった時には容器の側壁を強く押してもインキが吐出されないという苛立たしさがある。(特許文献1)
また、剪断減粘性を有するインキを使用して、攪拌しないですむものも知られているが、上向きで塗布したときにインキが逆流してインキ切れしやすい問題が存在する。(特許文献3)
また、後端に加圧機構を設けて、ポンピング作用によってインキの流出を支援すると共に、インキの逆流が防止可能となるものが知られているが、インキの性質や機構のバラツキなどによって適正な加圧が発揮できずに異常にインキが吐出してしまったり、少なすぎたりする問題がある。(特許文献4,5)
【0003】
一般に粘性の低いインキ又は剪断減粘性を有したインキを使用したボールペンは、インキの流出量が多く(筆記濃度を上げるため)インキ収容管の径を太くしてインキの搭載量を多くしている。又、インキの粘度は油性ボールペンのインキに比べて小さいのでインキ収容管に対する流動抵抗は小さい。従って、インキの自重や落下あるいはノック衝撃が加わることによりインキ漏れ(インキ収容管の後端にインキが逆流する)が生じやすい。その為に、通常はインキの後端に筆記時のインキの消耗に追随して移動するが、インキの自重や衝撃に対してインキの逆流を抑制するグリース状のフォロアが、又、必要によりフォロア棒がフォロア内に浸漬されて設けられている。しかしながら、フォロアを設けても上向き筆記をした時にはチップのボール背面のインキが無くなると、インキのヘッドが直に加わる為に顕著な逆流が生じて手や衣服を汚す危険がある。又、インキの粘度が低く流出量が多いが故に、チップ側を下向きにした場合に先端ボールとチップ抱持部の隙間が生じるとインキが滲みでる(直流)問題が存在する。
特に、誤記等を修正するために白色顔料を用いた液体塗布具の場合には、インキの流量を多くすることや、乾燥による目詰まり排除などの理由で、筆圧によって先端ボールが後退する寸法が大きくとってあり、先端ボールの周面とチップのボール抱持部の内面との間の隙間が大きい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、初期筆記でインキがとぎれやすいインキを使用したボールペン、インキに種々のフィラーが混入されたボールペン、紙面に筆記した筆跡が消しゴムでの擦過により容易に消去できるインキが充填されたボールペン、誤記等を白色のインキで隠蔽することで修正可能とするボールペンなどを加圧作用で支援して筆記可能とする。主として、酸化チタン、高分子中空微粒子等の白色顔料とゲル化剤を含み、顔料の沈降が防止されると共に流動性が損なわれないように配合された白色顔料インキと、ポンピングによる加圧機構を設けることによって、従来のように白色顔料と溶剤とが分離するような問題がなく、従ってインキを攪拌する必要がなく、筆記に際して容器の側面を押圧するようなこともない使い勝手の良い加圧式のボールペンを適正な加圧力を容易に設定可能とする。
しかしながら、インキの性質や機構のバラツキなどによって適正な加圧が発揮できずに異常にインキが吐出してしまったり、反対に少なすぎたりする問題が存在する。本発明は、容易な手段で適正な加圧力を調整可能とする。
又、筆記具の構成をボールペンのチップとインキが充填された前軸筒とポンピングによって圧縮空気を送り込むように加圧機構が配設された後軸筒に分けて、相互間に設けた接合部で着脱可能に結合することによって、前軸筒のみを消耗品となし、ユーザーに安価に提供可能とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成する為に以下の構成を有する。
請求項1に記載の発明に係る加圧式のボールペンは、軸筒先端にボールペンのチップを有し、後方のインキ収容部にインキとインキの後端にインキと追随するフォロアが充填され、更にその後方にポンピング式の加圧機構が設けられてなり、前記ポンピング式の加圧機構は、軸筒内に通気口を常時密閉するように弁体が設けられ、その弁体の前方と後方の軸筒内部が分断状態と成される弁機構部と、その弁機構部の後方に、ノックスプリングによってノック棒が軸筒に対して常時後方に附勢された状態で、且つ前後退可能に軸筒に係止されると共に、ノック棒の外周部が軸筒の内周部に密接するように設けられ、ノック棒を前進させた時に通気口とノック棒の前端との間に形成される空間部を圧縮するように設けられたノック機構部とで構成され、ノック棒を前進して空間部を適宜圧縮した状態で、前記通気口が解放されるように弁体の後端に当接するスライド軸がノック棒に対して軸方向に相対的に前後動可能となる。
【0006】
請求項2に記載の発明に係る加圧式のボールペンは、請求項1に記載の加圧式のボールペンに於いて、弁機構部は、軸筒内にテーパー状又は球面状の受け座が設けられ、その軸心に通気口が設けられると共に、スプリングによって受け座に密接するように弁体が設けられて、弁体の前方と後方の内部が分断状態と成され、ノック棒を前進して空間部を適宜圧縮した状態で、スライド軸の先端部が弁体の後端に当接して、前記弁体の密接状態が解除可能となる。
【0007】
請求項3に記載の発明に係る加圧式のボールペンは、請求項1に記載の加圧式のボールペンに於いて、軸筒は、インキとインキの後端にフォロアが充填されたインキ収容部の後方に接合部が設けられてなる前軸筒と、後端にノック棒を有し、ポンピングによって圧縮空気を送り込むように加圧機構が配設された筒部の前方に接合部が設けられてなる後軸筒とで構成され、前記前軸筒の接合部に後軸筒の接合部が着脱可能に結合されると共に、フォロアの後端部が外気と遮断されてなる。
【0008】
請求項4に記載の発明に係る加圧式のボールペンは、請求項1に記載の加圧式のボールペンに於いて、先端ボールがチップ先端のボール抱持部の内縁に密接するように先端ボールの背面にバネ圧が付与されると共に、インキ収容部には、酸化チタン、高分子中空微粒子等の白色顔料とゲル化剤を含み、顔料の沈降が防止されると共に流動性が極力損なわれないように配合された白色顔料インキが充填されてなる。
【0009】
【実施例】
図1及び図2は本発明の実施例1である加圧式のボールペン1を示している。
先ず、ボールペン1は、前軸筒2、チップ7、弁体6、受け座部材4、インキ10、フォロア11、フォロア棒12、後軸筒13、後軸筒後端に設けられるポンピング式の加圧機構で構成され、筆記具の最終形態としては先軸部3に被嵌するキャップ(図示せず)が設けられる。
【0010】
前軸筒2は樹脂成形品(通常は透明樹脂)で、先方に先細状の先軸部3を一体に有し、インキとフォロアが充填されるインキ収容部の後方に接合部(雌螺子部2b)が設けられている。又、先端より内孔3aが形成され、内孔の後端には、拡開した孔(弁室5となる)があり、その孔の前端に複数箇所でリブ3cが放射状に設けられている。尚、前軸筒2は一例としてPP樹脂やナイロン樹脂成形品等が使用される。
【0011】
一方、受け座部材4は、前面にテーパー状または球面状の弁体受け座4aを有し、弁体受け座4aの中心から後端に貫通した導孔4dが設けられている。
又、外周部の前方に円周状に凸部4bが、後方に円周状又は突条の係止部4cが形成されている。
受け座部材4は、前軸筒2の後端から挿入され、前軸筒の内孔先方の段部2aに当接して位置決めされると共に、その前方の内孔面に上記凸部4bが密接し、更に係止部4cが後方の内孔面に食い付き状に係止される。
尚、前軸筒2の内孔面と受け座部材4の外周部の相互間に溝部と突部を設けて、弾性変形を利用して係止することも可能である。
【0012】
以上で、リブ3cの後端となる前受け座3dと受け座部材4の前端となる弁体受け座4aとの間に弁室5が形成される。尚、受け座部材4を係止する前に球状の弁体6が挿入されて、弁室5内に弁体6が遊嵌される。
尚、弁体6は球状に限らず棒状のコマであってもよい。その場合、弁体の前方外周にインキを流通可能とする溝を形成すれ弁室の前端に上記のリブ3cを特に設ける必要はない。
【0013】
またチップ7は、インキ流入可能なチャンネルを有した座に先端ボール8が略当接した状態で先端ボール8が回転自在に抱持されるようカシメられている。
又、チップ内孔7aにスプリング9が内挿され、チップ後方の軸部7bの後端が適宜カシメられて、スプリング9の後端が抜出不能に設けられている。又、スプリング9の先方には直立状の棒軸部9aが形成され、当該棒軸部9aの先端が先端ボール8の背面に押圧状に当接している。尚、先端ボール8はその押圧でチップ7のボール抱持部の内縁に密接状態と成される。
【0014】
先端ボール8がボール抱持部の内面に密接することはインキが高粘度であっても筆記先端の乾燥、インキの直流防止に対し極めて重要である。
即ち、本願のような主に誤記修正塗布用のボールペンは、インキの吐出量を多くする為に、筆記用のボールペンに比較して先端ボールの後退する寸法が大きく設定されている。又、必要に応じて先端ボール8を抱持するチップ内面の表面粗さ、カシメによる密接精度を改善する為に内面の研削仕上げ、カシメ精度を上げる為の二次的な塑性加工などが配慮される。又、必要によっては先端ボールとの密接面に表面処理などが配慮される。
【0015】
チップ7は先軸部3先端の内孔3aに圧着される。
又、チップ7はインキ流入可能なチャンネルを有した座に先端ボール8が略当接した状態で、先端ボール8が回転自在に抱持されるようカシメられている。
又、チップ7の内孔部にスプリング9が内挿され、チップの軸部7bの後端が適宜カシメられて(カシメ部7c)スプリング9の後端が抜出不能となされている。尚、スプリングの前面に先端ボール8の背面を押圧する押し部材を設けることも、又、上記棒軸部を極細巻きのコイル状となすことも可能である。
また更に、チップを耐磨耗性やインキのシール性能に優れた樹脂成形品となして、先端ボールの背面を押圧するバネ座を一体又は別体のバネ座を設けて構成することも可能である。
【0016】
以上により、チップ側が下向きの時に弁体6が前受け座3dに当接して、インキが導孔4d、弁室5、リブとリブとの間に形成される溝を通じてチップ内孔7aから先端ボール8の背面まで導通する。
【0017】
前軸筒2は、上記導孔4dの後方にインキ収容部を有しており、そのインキ収容部内に低粘度のインキや剪断減粘性を有するインキ、主として白色顔料インキ10が充填され、そのインキの後端にインキの消耗と共にインキと追随するグリース状のフォロア11が充填されている。又、フォロア11はインキと相溶性が無く、インキの蒸発を防止する性能を有している。又、必要に応じてフォロア内にフォロアと略同等の比重を有する樹脂製のフォロア棒12が浸漬される。尚、フォロアは例えばシリコンゴム等の追従体とすることも可能である。
【0018】
又、白色顔料インキ10は、少なくとも酸化チタン、高分子中空微粒子等の白色顔料とゲル化剤を含み、顔料の沈降が防止されると共に流動性が極力損なわれないように配合された白色顔料インキである。又、インキは剪断減粘性を有しているので先端ボールの回転で粘度が低下するのと相まって隠蔽性の高い塗布が可能である。
【0019】
後軸筒13の前端には、中央の鍔部14cの後方に後軸部14aと、鍔部前方に雌螺子部14bとシール部14fが一体に形成された継ぎ手14が、その鍔部14cを後軸筒13の前端に当接し、後軸部14aを後軸筒13の内孔に嵌着して設けられている。又、継ぎ手14の軸心に形成された内孔部略後端に受け座14dと更に後端に貫通して通気口14eが設けられ、その受け座14dに密接するように弁体16がスプリング17で押圧され、そのスプリング17の前端に当接して圧入筒15が継ぎ手14の前端側内孔に固着されて、圧入筒15の後端部15aと受け座14dとの間に弁室が形成されると共に、圧入筒15の軸心には弁室に連通する貫通孔が設けられて、弁機構部が構成されている。
【0020】
前記シール部14fは、雌螺子部14b前方の外周部に円周状の凸部として形成され、雌螺子部14bが前軸筒2に螺合によって結合されたときに、前軸筒の内面に摺接して気密効果を上げることが可能となる。(尚、シール部14fをゴム等の弾性体よりリングに代えることもできる。)
以上によって、常時は、弁体16が受け座14dに密接して通気口14eが閉塞され、後軸筒の内孔を気密状に分断する。
【0021】
又、弁機構部の後方にノック機構部が配設される。
ノック機構部は以下のように構成されている。
後軸筒13の後端部側面に、後端側から先方に向かって細くなるテーパー状のスリット部13cが形成され、その前端に段部13dを有して軸方向前方所定長さのスリット部13bが形成されている。
【0022】
又、ノック棒18は、後端に鍔部とその前方に軸部が形成され、鍔部の前端に段部18bが設けられ、軸部外周の略中間に突部18aと軸部外周の略前端に周状の溝部18cが設けられて、その溝部18cに一例としてゴム等の弾性体や弾性のある成形樹脂などより成るシールリング21が止着されている。尚、シールリング21は、気密性、滑り性のよいものが選択される。又、他潤滑剤を介在させるなど配慮される。又、シールリング部は軸部外周に一体に形成することも可能である。又、ノック棒18の軸心部略中央には、小孔を有した仕切り部18dが形成されており、その前後に孔部が設けられ、後方の孔部には周上の全体あるいは要所に凸部が形成されている。
【0023】
上記後方の孔部には回転ブッシュ19が嵌着される。
回転ブッシュ19は、後端閉塞状の筒体で、後端にスリット部19cが形成され、また前方の軸部19aの外周に周状の凹溝部が形成されて、前端を開口した内孔部には雌螺子部19bが形成されている。
【0024】
また、スライド軸20は、後端に雄螺子部20bが形成された短軸部と、その前方にやや小径とした長軸部が一体で形成され、その長軸部の外周所用箇所には軸方向に溝部20aが形成されて、長軸部の前端はややテーパー状に細められた先端部20cが形成されている。
【0025】
以上により、上記回転ブッシュ19の雌螺子部19bに上記スライド軸20の雄螺子部20bが螺合された状態で、回転ブッシュ19の軸部19aが上記ノック棒18の後方の孔部に嵌着され、軸部19aに形成された凹溝部に後方の孔部に形成された凸部が係合して、回転ブッシュ19はノック棒18に対して回転のみ可能に設けられる。また、回転ブッシュ19の外周部とノック棒18の内周部との間は空気のリークが防止可能となされる。また、防止を確実とする為に、弾性体よりなるシール部等が設けられる。また、その時、スライド軸20の長軸部が仕切り部18dの小孔を貫通した状態となり、長軸部に形成された溝部20aに小孔に形成された凸部(図示せず)が嵌入して、仕切り部18dに対してスライド軸20は回転止めされる。従って、回転ブッシュ19を正逆回転することによって、スライド軸20は前後動することになる。
【0026】
尚、スリット部19cは、回転ブッシュ19の後端面に適宜深さでマイナス状あるいはプラス状の溝として形成され、溝にドライバーあるいはコインを挿着して回転ブッシュを回転可能とする。
また、必要に応じて、スライド軸20が不用意に前後動しないようにノック棒18と回転ブッシュ19との間に適宜回転抵抗を生じるように係合部等が設けられる。また、ノック棒と回転ブッシュを回転のみ可能に係合する凹凸部や仕切り部とスライド軸を回転止めする凸部と溝部の係合関係などは上記形態に限定されないものである。
【0027】
又、ノック棒18は、後軸筒13の後端から挿入され、仕切り部18dの前面と継ぎ手14の後端との間にノックスプリング22が敷設されると共に、突部18aがテーパー状のスリット部13cを弾性的に拡開して、突部18aが段部13dの前面に係止され、ノックスプリング22によって後軸筒13に対してノック棒18は常時後方に附勢される。又、ノック棒の軸部前方が後軸筒の後端孔に嵌入し、シールリング21の外周部が後端孔の内周部に摺接する。そのとき、シールリング21は、スリット部13bの略前端にかかる直前の状態に位置しており、従って、通気口14eとノック棒18の前端との間に形成される空間部23は外気と連通している。
【0028】
即ち、ノック棒18の前進作動の直前において、後軸筒13の空間部23は外気と連通され、ノック棒18が適宜前進した直後においてシールリング21の外周部が後軸筒の内周部に密接することで外気と遮断され、空間部23の縮小と共に加圧されるよう構成されている。又、ノック棒18を前進して空間部23を適宜圧縮した状態で、スライド軸20の先端部20cが弁体16の後端に当接して弁体16と受け座14dとの密接状態が解除されることになる。
【0029】
ポンピング式の加圧機構は、弁機構部と、弁機構部の後方に形成される空間部を圧縮するように設けられたノック機構部とで構成される。
上述したように、弁機構部とノック機構部とで構成されるポンピング式の加圧機構の実施例を説明したが、弁機構部やノック機構部の取付け構造など設計都合によって種々の形態が採用可能である。
例えば、弁機構はそれ自体が弾性を有した弁体とすることができる。また、弁機構をスライド軸を当接且つ貫通することで閉塞部を弾性的に開口させる構成とすることもできる。
【0030】
以上で、前軸筒2の雌螺子部2bに後軸部13に嵌着された継ぎ手14の雄螺子部14bを螺合することによって、フォロア11の後端部空間が外気と遮断される。尚、前軸筒と後軸筒を結合させる接合部は、螺子部に限らず、凹凸部の弾性係合によっても達成することが可能である。
【0031】
又、図3及び図4は本発明の実施例2である加圧式のボールペン24を示している。実施例2は、実施例1の構造を簡素化したものであって、基本的には同じものである。
即ち、前軸筒25の前方の内孔部で、チップ7の後端に対峙したインキ逆流防止用の弁機構が無く、さらに、インキ10の後端に設けられたフォロア27にはフォロア棒が浸漬されていない。このことは、実施例1がインキの逆流防止に対して完璧なのに対して実施例2が実質上問題のない構造として示している。
【0032】
又、インキが充填された前軸筒の後端にインキやフォロアの蒸発や乾燥を防止するためにシール部(一例として、例えばアルミ蒸着などを施したフィルムを前軸筒の後端面に溶着あるいは接着して)を設けて、加圧機構が配設された後軸筒側を結合する際に、シール部を除去あるいはフィルム状で有れば後軸筒側の接合部前端で突き破って結合することによって、前軸筒のみを消耗品とすることが可能となり、且つ、長期保存も可能となる。
【0033】
又、図5は本発明の実施例3である加圧式のボールペンの前軸筒側のみを示している。後軸筒側は、実施例1又は2と同じものである。
当該実施例は、主として誤記等を白色のインキで隠蔽することで修正可能とするボールペン式塗布具に適用される。
構成について概略を説明すると、先ず、先端にボールペンのチップ31と後方にインキ38を収容した前軸筒37が設けられ、チップ31はその内孔に、前端に先端ボール32の背面に当接するボール座部33bとインキ38を流入可能とするチャンネル部33aと軸心にチップ上向きでインキの導孔33eが密閉可能となる弁機構とを一体に有したボール受け部材33が設けられ、そのボール受け部材33の後端にスプリング36が配設されて、先端ボール32がチップ先端のボール抱持部31aの内縁に密接するように先端ボール32の背面にバネ圧が付与され、塗布作業に伴う先端ボール32の押圧によって先端ボール32と連動してボール受け部材33が後退自在となるように構成されている。
【0034】
又、図6は本発明の実施例4である加圧式のボールペンの前軸筒側のみを示している。後軸筒側は、実施例1又は2と同じものである。
当該実施例も主として誤記等を白色のインキで隠蔽することで修正可能とするボールペン式塗布具に適用される。
構成について概略を説明すると、先ず、先端にボールペンのチップ41と後方にインキ38を収容した前軸筒37が設けられ、
チップ41は、前端に先端ボール42を有し、チップ内孔で先端ボール42の背面に当接するアイドル部材45を有し、更にそのアイドル部材45の背面に当接する座部とインキを流入可能とするチャンネル部と軸心にチップ上向きでインキの導孔が密閉可能となる弁機構とを一体に有した受け部材43が設けられ、その受け部材の後端にスプリング47が配設されて、筆記作業に伴う先端ボール42の押圧によって先端ボール42と連動して受け部材43が後退自在となるように構成されている。
【0035】
【作用】
次に、ポンピング式の加圧機構の作用を以下に説明する。
図2に示す状態からノック棒18の後端を押圧して前進すると、シールリング21の外周部が後軸筒13の内周部全周に密接した時点で空間部23が外気と遮断されると共に、ノック棒18が更に前進することによってシールリング21の外周部が後軸筒13の内周部13aに密接して摺動し、空間部23の縮小と共に内圧が上昇する。又、ノック棒18を前進して空間部23を適宜圧縮した状態で、弁体16の受け座14dとの密接状態が解除されるようにスライド軸20の先端部20cが弁体16の後端に当接し、加圧された空気が弁体の前方に押し込まれることによって、フォロア11の後端が加圧されてインキのチップ側への流動性が支援される。
そのことは、落下衝撃やインキの流動性の悪さ等に起因して先端ボールの周面からインキが離れてしまい連続的なインキの流出がとぎれるのを防止する作用ととぎれた時に回復する作用となる。
【0036】
又、インキの特性などによって適正な加圧力が設定される。その場合、シールリング21の外周部が後軸筒13の内周部全周に密接する時の空間部23の容積とスライド軸20の先端部20cが弁体16の後端に当接した時の空間部23の容積を幾らにするか、シール部のリーク値などを勘案して設定することが可能となる。尚、空間部23の縮小と共に内圧が上昇する実質上の空間は、ノック棒18の仕切り部18d前方の孔部18eに形成される空間や回転ブッシュ19の雌螺子部19bにスライド軸20の雄螺子部20bが螺合する内孔空間部、通気口14eに形成される空間部などが加算されたものとなる。
従って、必要な加圧力を得る為には空間部23の大きさを変化させる軸方向の寸法Aの設定が重要となる。
【0037】
スライド軸20の先端部20cが弁体16の後端に当接する軸方向の寸法Bによって加圧力が設定され、スライド軸20の先端部20cが弁体16を押して弁部を開口することによって加圧空気がフォロア11の後端側に流入する。
又、弁体16が受け座14dに密接するように押圧するスプリング17の強さが所定の強さより強い方にばらついても所定の加圧力が期待できる。
【0038】
上述したが、インキの性質や機構のバラツキなどによって適正な加圧が発揮できずに異常にインキが吐出してしまったり、反対に少なすぎたりする問題が存在する。そこで、回転ブッシュ19のスリット部19cにドライバーあるいはコインなどを挿着して回転ブッシュ19を正逆回転することによってスライド軸20を前後動させ、適正な加圧力となる寸法Bを調整する。
【0039】
次に、ボールペン1の機能について説明する。
先ず、筆記しない状態ではスプリング9の押圧で先端ボール8がチップ抱持部の内縁に密接されるのでインキ10の直流及び逆流が防止される。又、筆圧により先端ボール8が微小に後退するので隙間を生じてインキが流出可能となり、筆記により先端ボール8の回転でインキが流出されて筆記される。
スプリング9の押圧が無い場合でも、インキの粘度があまり低く過ぎたり、あるいはインキの充填量が多過ぎたり、インキ収容部が大き過ぎたりしない場合には、フォロアの後端が加圧されるのでインキが直流や逆流が防止できる。
しかしながら、チップ7を上向きにして筆記したり、ノック衝撃の繰り返しなどを考慮するとインキの直流及び逆流防止のためにスプリング9で押圧することが望ましい。
【0040】
又、フォロア棒は、インキ収容部が大径である場合に使用される。即ち、グリース状のフォロアは、インキ収容部が大径の場合に衝撃などの影響で変形を受け破壊されやすいという問題がある。フォロア内にフォロアと略同等の比重を有する樹脂製のフォロア棒を浸漬させることにより剛性を上げることが可能となる。
【0041】
又、インキの直流及び逆流はスプリングによる先端ボールへの押圧で果たされるが、先端ボールをボール抱持部の内縁にスプリングの押圧によって密接させると共に、その後方に弁体を遊嵌した弁室を設けてチップ上向きで弁体が導孔を閉塞するように併設して設けることで、ボール抱持部の加工バラツキによる先端ボールとの密接不完全状態や、ボール抱持部と先端ボールとの隙間に固形物が付着した場合の密接不完全状態が生じてもインキの逆流が確実に防止できる。
【0042】
上述したフォロア棒や弁体を有したインキの逆流防止構造は、インキ収容部が大径で逆流しやすい場合や、上向き筆記を繰り返した時や衝撃が掛かった時に性能を発揮するものであって構成要素として必須のものではなく、特に誤記修正用のボールペンは上向きに使用されることはまず無いので必ずしも必要としない。
【0043】
【発明の効果】
本発明の加圧式のボールペンの構成及び作用は以上の如くであり、
初期筆記でインキ切れしやすいインキを使用したボールペンが加圧作用に支援されて筆記可能となる。又、少なくとも酸化チタン、高分子中空微粒子等の白色顔料とゲル化剤を含み、顔料の沈降が防止されると共に流動性が損なわれないように配合された白色顔料インキと、ポンピングによる加圧機構を設けることによって、従来のように白色顔料と溶剤とが分離するような問題がなく、従ってインキを攪拌する必要がなく、筆記に際して容器の側面を押圧する煩わしさが無い誤記修正用のボールペンが提供可能となる。
【0044】
又、ノック棒18に設けられたスライド軸20の先端部20Cが弁体16の後端に当接させることによってインキの特性などに応じた適正な加圧力が設定可能となる。又、弁体16を受け座14dに密接するスプリング17の強さが所定の強さより強い方にばらついても所定の加圧力が期待できる。
また更に、インキの性質や機構のバラツキなどによって適正な加圧が発揮できずに異常にインキが吐出してしまったり、反対に少なすぎたりする問題が存在する場合においては、回転ブッシュ19を正逆回転することによってスライド軸20を前後動させ、適正な加圧力に調整することが可能である。
【0045】
又、ボールペンのチップとインキが充填された前軸筒とポンピングによって圧縮空気を送り込むように加圧機構が配設された後軸筒が着脱可能に結合されることによって、前軸筒のみを消耗品となすことが可能となり、ユーザーに対し安価に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1であるボールペンの前軸筒の要部を示す縦断面図である。
【図2】実施例1であるボールペンの前軸筒の後方部と後軸部を示す縦断面図である。
【図3】本発明の実施例2であるボールペンの前軸筒の要部を示す縦断面図である。
【図4】実施例2であるボールペンの前軸筒の後方部と後軸部を示す縦断面図である。
【図5】本発明の実施例3である加圧式のボールペンの前軸筒側のみを示している。
【図6】本発明の実施例4である加圧式のボールペンの前軸筒側のみを示している。
【符号の説明】
1 ボールペン
2 前軸筒
2a 段部
2b 雌螺子部
3 先軸部
3a 内孔
3b 孔部
3c リブ
3d 前受け座
4 受け座部材
4a 弁体受け座
4b 凸部
4c 係止部
4d 導孔
5 弁室
6 弁体
7 チップ
7a チップ内孔
7b 軸部
7c カシメ部
8 先端ボール
9 スプリング
9a 棒軸部
10 インキ
11 フォロア
12 フォロア棒
13 後軸筒
13a 内周部
13b スリット部
13c テーパー状のスリット部
13d 段部
14 継ぎ手
14a 後軸部
14b 雄螺子部
14c 鍔部
14d 受け座
14e 通気口
14f シール部
15 圧入筒
15a 後端部
16 弁体
17 スプリング
18 ノック棒
18a 突部
18b 段部
18c 溝部
18d 仕切り部
18e 孔部
19 回転ブッシュ
19a 軸部
19b 雌螺子部
19c スリット部
20 スライド軸
20a 溝部
20b 雄螺子部
20c 先端部
21 シールリング
22 ノックスプリング
23 空間部
24 ボールペン
25 前軸筒
26 先軸部
27 フォロア
30 ボールペン
31 チップ
31a ボール抱持部
31b 係止段部
32 先端ボール
33 ボール受け部材
33a チャンネル部
33b ボール座部
33c 段部
33d 弁体受け座
33e 導孔
34 弁室
35 弁体
36 スプリング
37 前軸筒
38 インキ
40 ボールペン
41 チップ
41a ボール抱持部
41b テーパー部
41c 係止段部
41d 隙間
42 先端ボール
43 受け部材
43a チャンネル部
43b 段部
43c 弁体受け座
43d 導孔
44 弁室
45 アイドル部材
46 弁体
47 スプリング
Claims (4)
- 軸筒先端にボールペンのチップを有し、後方のインキ収容部にインキとインキの後端にインキと追随するフォロアが充填され、更にその後方にポンピング式の加圧機構が設けられてなる加圧式のボールペンに於いて、
前記ポンピング式の加圧機構は、軸筒内に通気口を常時密閉するように弁体が設けられ、その弁体の前方と後方の軸筒内部が分断状態と成される弁機構部と、その弁機構部の後方に、ノックスプリングによってノック棒が軸筒に対して常時後方に附勢された状態で、且つ前後退可能に軸筒に係止されると共に、ノック棒の外周部が軸筒の内周部に密接するように設けられ、ノック棒を前進させた時に通気口とノック棒の前端との間に形成される空間部を圧縮するように設けられたノック機構部とで構成され、
ノック棒を前進して空間部を適宜圧縮した状態で、前記通気口が解放されるように弁体の後端に当接するスライド軸がノック棒に対して軸方向に相対的に前後動可能となるように設けられたことを特徴とする加圧式のボールペン。 - 弁機構部は、軸筒内にテーパー状又は球面状の受け座が設けられ、その軸心に通気口が設けられると共に、スプリングによって受け座に密接するように弁体が設けられて、弁体の前方と後方の内部が分断状態と成され、
ノック棒を前進して空間部を適宜圧縮した状態で、スライド軸の先端部が弁体の後端に当接して、前記弁体の密接状態が解除されるように設けられたことを特徴とする請求項1に記載の加圧式のボールペン。 - 軸筒は、インキとインキの後端にフォロアが充填されたインキ収容部の後方に接合部が設けられてなる前軸筒と、後端にノック棒を有し、ポンピングによって圧縮空気を送り込むように加圧機構が配設された筒部の前方に接合部が設けられてなる後軸筒とで構成され、前記前軸筒の接合部に後軸筒の接合部が着脱可能に結合されると共に、フォロアの後端部が外気と遮断されてなる請求項1に記載の加圧式のボールペン。
- 先端ボールがチップ先端のボール抱持部の内縁に密接するように先端ボールの背面にバネ圧が付与されると共に、インキ収容部には、酸化チタン、高分子中空微粒子等の白色顔料とゲル化剤を含み、顔料の沈降が防止されると共に流動性が極力損なわれないように配合された白色顔料インキが充填されてなる請求項1に記載の加圧式のボールペン。
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