JP2004142267A - 感熱記録体 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩基性無色染料と有機顕色剤との発色反応を利用した感熱記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に無色又は淡色の染料前駆体と染料前駆体と熱時反応して発色させる顕色剤とを主成分とする感熱発色層を有する感熱記録体は、広く実用化されている。この感熱記録体に記録を行うには、サーマルヘッドを内蔵したサーマルプリンター等が用いられるが、このような感熱記録法は、従来実用化された他の記録法に比べて、記録時に騒音がない、現像定着の必要がない、メンテナンスフリーである、機器が比較的安価でありコンパクトである、得られた発色が非常に鮮明であるといった特徴から、情報産業の発展に伴い、ファクシミリやコンピューター分野、各種計測器、ラベル用等に広く使用されている。
そして、これらの記録装置の多様化、高性能化が進められるに伴い、感熱記録体に対する要求品質もより高度なものになってきている。例えば特許文献1には、新規な顕色剤を用いることによって発色感度を高める方法が記載されている。
【特許文献1】
特開2002−301873号公報
一方、感熱記録体には、使用用途の広がりに伴い熱や水、湿度、光等の自然環境や、手で取り扱う際の体脂、あるいは油、可塑剤、溶剤等に対する発色画像の保存安定性、並びに良好な地色が求められる。これらの要求品質の中でも、光および可塑剤に対する画像安定性を感熱記録体に付与することは、特に難しいものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐光性に優れさらに可塑剤等に対する画像安定性に優れる感熱記録体を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明者らの鋭意検討の結果、無色ないし淡色の塩基性無色染料と顕色剤とを主成分として含有する感熱発色層を設けた感熱記録体において、該感熱発色層が有機顕色剤として下記一般式(1)で表される化合物を、安定剤として下記一般式(2)で表される化合物を含有することによって達成された。
【0005】
【化3】
【0006】
〔式中、Ra及びRbは、それぞれ独立して水素原子又はC1〜C6のアルキル基を表し、Aは1〜6の整数を表し、Bは0、1又は2を表し、m1及びm2は、それぞれ独立して0又は1〜3の整数を表す。但し、m1及びm2は同時に0ではない。Rc及びRdは、それぞれ独立してニトロ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、C1〜C6のアルキル基又はC2〜C6のアルケニル基を表し、m3及びm4は、それぞれ独立して0、1又は2の整数を表し、m3及びm4がそれぞれ2のとき、Rc及びRdはそれぞれ異なってもよく、Mは、CO又はNReCO(式中、Reは、水素原子又はC1〜C6のアルキル基を表す。)を表す。但し、MがCOの場合は、m1は1であり、m1が0でMがNReCOのとき、Bは0ではない。〕
【0007】
【化4】
【0008】
本発明において優れた効果が得られる理由は、明確には解明されていないが、染料と一般式(1)及び(2)の化合物との反応生成物である電荷移動錯体(発色体)の光に対する安定性が高く、さらに一般式(2)の化合物は発色体に対してウレア基あるいはウレタン基が作用するため画像が安定化するものと推察される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録体を得るには、例えば塩基性無色染料(染料前駆体)、前記一般式(1)及び(2)で表わされる化合物を、それぞれバインダーとともに分散した分散液を混合し、填料等その他必要な添加剤を加えて感熱発色層塗液を調製し、基材上に塗布乾燥して感熱発色層を形成することによって、本発明の感熱記録体を製造することができる。
【0010】
本発明では、前記一般式(1)で表される化合物を顕色剤として用いる。これらの中でも、一般式(1)中、MがNReCOである化合物が好ましく、MがNHCOである化合物であるのがより好ましい。かかる化合物としては、例えば、N−(2’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−2−ヒドロキシアニリン、N−(2’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−3−ヒドロキシアニリン、N−(2’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−4−ヒドロキシアニリン、N−(3’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−2−ヒドロキシアニリン、N−(3’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−3−ヒドロキシアニリン、N−(3’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−4−ヒドロキシアニリン、N−(4’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−2−ヒドロキシアニリン、N−(4’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−3−ヒドロキシアニリン、N−(4’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−4−ヒドロキシアニリン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、一般式(1)で表される化合物は、1種または2種以上を混合して用いることもできる。
特に、下記式(1−1)で表されるN−(4’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−4−ヒドロキシアニリン、および(1−2)で表されるN−(4’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−2−ヒドロキシアニリンが好ましく用いられ、これらの1:1混合物がより好ましい。このような混合物は例えば、日本曹達(株)製商品名NKK−515として入手可能である。
【0011】
【化5】
【0012】
本発明においては、上記の顕色剤の他、本発明の効果を阻害しない範囲で従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知の顕色剤を併用することができる。
また、一般式(2)で表される化合物としては、具体的に以下の化合物を例示することが出来る。
【0013】
【化6】
【0014】
一般式(2)で表される化合物の配合量は、一般式(1)の化合物に対して少なすぎると画像安定効果が現れにくく、多すぎると感度、耐熱性が低下する傾向がある。本発明では、これらの化合物を一般式(1)の化合物1部に対し0.01部〜0.9部の割合で使用することが好ましい。特に0.16部以上であると、可塑剤に対する画像保存性が高まるためにより好ましい。
本発明で使用するロイコ発色型の塩基性無色染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的なものの具体例を示す。また、これらの染料前駆体は単独または2種以上混合して使用してもよい。
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド
〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
【0015】
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o、p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン
3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o、p−ジメチルアニリノ)フルオラン
【0016】
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
【0017】
3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−キシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−(N−エチル−p−トルイディノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
【0018】
2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
<フルオレン系ロイコ染料>
3,6,6´−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3´−フタリド〕
3,6,6´−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3´−フタリド〕
【0019】
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3´−ニトロ)アニリノラクタム
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4´−ニトロ)アニリノラクタム
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン
ビス−〔2,2,2´,2´−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0020】
本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、従来公知の増感剤を使用することができる。かかる増感剤としては、飽和脂肪酸モノアミド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、4,4′−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン、1,2−ジフェノキシエチレン、ビス〔2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル〕エーテル、p−ニトロ安息香酸メチル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、1,2−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、パラトルエンスルホンアミド、オルトトルエンスルホンアミドを例示することができるが、特にこれらに制限されるものではない。これらの増感剤は、単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0021】
本発明で使用するバインダーとしては、重合度が200〜1900の完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体並びにエチルセルロール、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチルラール、ポリスチロースおよびそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロ樹脂を例示することができる。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン類、エステル類、炭化水素等の溶剤に溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することも出来る。
【0022】
また、本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、記録画像の耐油性効果等を示す画像安定剤として、4,4′−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメチル−4,4′−スルホニルジフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等を添加することもできる。
【0023】
本発明で使用する填料としては、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機または有機充填剤などが挙げられる。このほかにワックス類などの滑剤、ベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、グリオキザールなどの耐水化剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
本発明の感熱記録体に使用する顕色剤及び染料の量、その他の各種成分の種類及び量は要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、通常、一般式(1)で表される顕色剤1部に対して、塩基性無色染料0.1〜2部、填料0.5〜4部を使用し、バインダーは全固形分中5〜25%が適当である。
【0024】
上記組成から成る塗液を紙、再生紙、合成紙、フィルム、プラスチックフィルム、発泡プラスチックフィルム、不織布等任意の支持体に塗布することによって目的とする感熱記録シートが得られる。またこれらを組み合わせた複合シートを支持体として使用してもよい。
さらに、保存性を高める目的で高分子物質等のオーバーコート層を感熱発色層上に設けることもできる。また、発色感度を高める目的で填料を含有した高分子物質等のアンダーコート層を感熱発色層の下に設けることもできる。
前述の有機顕色剤、塩基性無色染料並びに必要に応じて添加する材料はボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダー及び目的に応じて各種の添加材料を加えて塗液とする。塗布する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗布することができ、例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ビルブレードコーター、ロールコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が適宜選択され使用される。
【0025】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によって説明する。尚、説明において部は重量部を示す。
【0026】
[実施例1]
染料、顕色剤の各材料は、あらかじめ以下の配合の分散液をつくり、サンドグラインダーで平均粒径が0.5ミクロンになるまで湿式磨砕を行った。
【0027】
<増感剤分散液>
p−ベンジルビフェニル 6.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 18.8部
水 11.2部
<安定剤分散液>
化合物(2−1) 3.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 9.4部
水 5.6部
以下の組成物を混合し、感熱層塗液を得た。この塗液を坪量50g/m2の上質紙に乾燥後の塗布量が6g/m2となるように塗布乾燥し、スーパーカレンダーでベック平滑度が200〜600秒になるように処理し、感熱記録体を得た。
顕色剤分散液 36.0部
染料分散液 13.8部
増感剤分散液 36.0部
安定剤分散液 9.0部
カオリンクレー50%分散液 26.0部
ステアリン酸亜鉛30%分散液 6.7部
【0028】
[実施例2]
実施例1において化合物(2−1)の代わりに(2−2)を配合しない以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
[比較例1]
実施例1において安定剤分散液を配合しない以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
[比較例2]
実施例1において顕色剤分散液中のNKK−515(商品名、日本曹達)を4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホンに変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0029】
[発色感度]
大倉電機社製のTH−PMDを使用し、作成した感熱記録体に印加エネルギー0.34mJ/dotで印字を行った。印字後及び品質試験後の画像濃度はマクベス濃度計(アンバーフィルター使用)で測定した。
[可塑剤性画像]
紙管に塩ビラップ(三井東圧製ハイラップKMA)を一重に巻き付け、この上に大倉電機社製のTH−PMDを使用し、印加エネルギー0.34mJ/dotで印字を行ったサンプル片を貼り付け、さらにこの上に塩ビラップを三重巻き付けたものを23℃の条件下で2時間放置した後、処理前後のマクベス濃度(アンバーフィルター使用)を測定した。
[耐光性試験]
大倉電機社製のTH−PMDを使用し、印加エネルギー0.34mJ/dotで印字したサンプルに関してアトラス社製Ci3000F型キセノンフェードメーターを用い、出力66W/m2で24時間処理を行った。処理後に印字部のマクベス濃度(アンバーフィルター使用)を測定した。
【0030】
【表1】
【0031】
表から明らかなように、本発明の実施例1、2は画像の耐可塑剤性および耐光性に優れている。これに対して安定剤を含有しない比較例1及び、本発明で規定した以外の顕色剤を使用した比較例2については、良好な品質が得られない。
【0032】
【発明の効果】
本発明の感熱記録体は、発色感度が高く、かつ耐可塑剤性、耐光性など極めて優れた画像保存性を有する感熱記録体である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩基性無色染料と有機顕色剤との発色反応を利用した感熱記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に無色又は淡色の染料前駆体と染料前駆体と熱時反応して発色させる顕色剤とを主成分とする感熱発色層を有する感熱記録体は、広く実用化されている。この感熱記録体に記録を行うには、サーマルヘッドを内蔵したサーマルプリンター等が用いられるが、このような感熱記録法は、従来実用化された他の記録法に比べて、記録時に騒音がない、現像定着の必要がない、メンテナンスフリーである、機器が比較的安価でありコンパクトである、得られた発色が非常に鮮明であるといった特徴から、情報産業の発展に伴い、ファクシミリやコンピューター分野、各種計測器、ラベル用等に広く使用されている。
そして、これらの記録装置の多様化、高性能化が進められるに伴い、感熱記録体に対する要求品質もより高度なものになってきている。例えば特許文献1には、新規な顕色剤を用いることによって発色感度を高める方法が記載されている。
【特許文献1】
特開2002−301873号公報
一方、感熱記録体には、使用用途の広がりに伴い熱や水、湿度、光等の自然環境や、手で取り扱う際の体脂、あるいは油、可塑剤、溶剤等に対する発色画像の保存安定性、並びに良好な地色が求められる。これらの要求品質の中でも、光および可塑剤に対する画像安定性を感熱記録体に付与することは、特に難しいものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐光性に優れさらに可塑剤等に対する画像安定性に優れる感熱記録体を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明者らの鋭意検討の結果、無色ないし淡色の塩基性無色染料と顕色剤とを主成分として含有する感熱発色層を設けた感熱記録体において、該感熱発色層が有機顕色剤として下記一般式(1)で表される化合物を、安定剤として下記一般式(2)で表される化合物を含有することによって達成された。
【0005】
【化3】
【0006】
〔式中、Ra及びRbは、それぞれ独立して水素原子又はC1〜C6のアルキル基を表し、Aは1〜6の整数を表し、Bは0、1又は2を表し、m1及びm2は、それぞれ独立して0又は1〜3の整数を表す。但し、m1及びm2は同時に0ではない。Rc及びRdは、それぞれ独立してニトロ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、C1〜C6のアルキル基又はC2〜C6のアルケニル基を表し、m3及びm4は、それぞれ独立して0、1又は2の整数を表し、m3及びm4がそれぞれ2のとき、Rc及びRdはそれぞれ異なってもよく、Mは、CO又はNReCO(式中、Reは、水素原子又はC1〜C6のアルキル基を表す。)を表す。但し、MがCOの場合は、m1は1であり、m1が0でMがNReCOのとき、Bは0ではない。〕
【0007】
【化4】
【0008】
本発明において優れた効果が得られる理由は、明確には解明されていないが、染料と一般式(1)及び(2)の化合物との反応生成物である電荷移動錯体(発色体)の光に対する安定性が高く、さらに一般式(2)の化合物は発色体に対してウレア基あるいはウレタン基が作用するため画像が安定化するものと推察される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録体を得るには、例えば塩基性無色染料(染料前駆体)、前記一般式(1)及び(2)で表わされる化合物を、それぞれバインダーとともに分散した分散液を混合し、填料等その他必要な添加剤を加えて感熱発色層塗液を調製し、基材上に塗布乾燥して感熱発色層を形成することによって、本発明の感熱記録体を製造することができる。
【0010】
本発明では、前記一般式(1)で表される化合物を顕色剤として用いる。これらの中でも、一般式(1)中、MがNReCOである化合物が好ましく、MがNHCOである化合物であるのがより好ましい。かかる化合物としては、例えば、N−(2’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−2−ヒドロキシアニリン、N−(2’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−3−ヒドロキシアニリン、N−(2’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−4−ヒドロキシアニリン、N−(3’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−2−ヒドロキシアニリン、N−(3’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−3−ヒドロキシアニリン、N−(3’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−4−ヒドロキシアニリン、N−(4’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−2−ヒドロキシアニリン、N−(4’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−3−ヒドロキシアニリン、N−(4’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−4−ヒドロキシアニリン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、一般式(1)で表される化合物は、1種または2種以上を混合して用いることもできる。
特に、下記式(1−1)で表されるN−(4’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−4−ヒドロキシアニリン、および(1−2)で表されるN−(4’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−2−ヒドロキシアニリンが好ましく用いられ、これらの1:1混合物がより好ましい。このような混合物は例えば、日本曹達(株)製商品名NKK−515として入手可能である。
【0011】
【化5】
【0012】
本発明においては、上記の顕色剤の他、本発明の効果を阻害しない範囲で従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知の顕色剤を併用することができる。
また、一般式(2)で表される化合物としては、具体的に以下の化合物を例示することが出来る。
【0013】
【化6】
【0014】
一般式(2)で表される化合物の配合量は、一般式(1)の化合物に対して少なすぎると画像安定効果が現れにくく、多すぎると感度、耐熱性が低下する傾向がある。本発明では、これらの化合物を一般式(1)の化合物1部に対し0.01部〜0.9部の割合で使用することが好ましい。特に0.16部以上であると、可塑剤に対する画像保存性が高まるためにより好ましい。
本発明で使用するロイコ発色型の塩基性無色染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的なものの具体例を示す。また、これらの染料前駆体は単独または2種以上混合して使用してもよい。
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド
〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
【0015】
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o、p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン
3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o、p−ジメチルアニリノ)フルオラン
【0016】
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
【0017】
3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−キシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−(N−エチル−p−トルイディノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
【0018】
2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
<フルオレン系ロイコ染料>
3,6,6´−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3´−フタリド〕
3,6,6´−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3´−フタリド〕
【0019】
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3´−ニトロ)アニリノラクタム
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4´−ニトロ)アニリノラクタム
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン
1,1−ビス−〔2´,2´,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン
ビス−〔2,2,2´,2´−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0020】
本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、従来公知の増感剤を使用することができる。かかる増感剤としては、飽和脂肪酸モノアミド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、4,4′−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン、1,2−ジフェノキシエチレン、ビス〔2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル〕エーテル、p−ニトロ安息香酸メチル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、1,2−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、パラトルエンスルホンアミド、オルトトルエンスルホンアミドを例示することができるが、特にこれらに制限されるものではない。これらの増感剤は、単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0021】
本発明で使用するバインダーとしては、重合度が200〜1900の完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体並びにエチルセルロール、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチルラール、ポリスチロースおよびそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロ樹脂を例示することができる。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン類、エステル類、炭化水素等の溶剤に溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することも出来る。
【0022】
また、本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、記録画像の耐油性効果等を示す画像安定剤として、4,4′−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメチル−4,4′−スルホニルジフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等を添加することもできる。
【0023】
本発明で使用する填料としては、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機または有機充填剤などが挙げられる。このほかにワックス類などの滑剤、ベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、グリオキザールなどの耐水化剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
本発明の感熱記録体に使用する顕色剤及び染料の量、その他の各種成分の種類及び量は要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、通常、一般式(1)で表される顕色剤1部に対して、塩基性無色染料0.1〜2部、填料0.5〜4部を使用し、バインダーは全固形分中5〜25%が適当である。
【0024】
上記組成から成る塗液を紙、再生紙、合成紙、フィルム、プラスチックフィルム、発泡プラスチックフィルム、不織布等任意の支持体に塗布することによって目的とする感熱記録シートが得られる。またこれらを組み合わせた複合シートを支持体として使用してもよい。
さらに、保存性を高める目的で高分子物質等のオーバーコート層を感熱発色層上に設けることもできる。また、発色感度を高める目的で填料を含有した高分子物質等のアンダーコート層を感熱発色層の下に設けることもできる。
前述の有機顕色剤、塩基性無色染料並びに必要に応じて添加する材料はボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダー及び目的に応じて各種の添加材料を加えて塗液とする。塗布する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗布することができ、例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ビルブレードコーター、ロールコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が適宜選択され使用される。
【0025】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によって説明する。尚、説明において部は重量部を示す。
【0026】
[実施例1]
染料、顕色剤の各材料は、あらかじめ以下の配合の分散液をつくり、サンドグラインダーで平均粒径が0.5ミクロンになるまで湿式磨砕を行った。
【0027】
<増感剤分散液>
p−ベンジルビフェニル 6.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 18.8部
水 11.2部
<安定剤分散液>
化合物(2−1) 3.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 9.4部
水 5.6部
以下の組成物を混合し、感熱層塗液を得た。この塗液を坪量50g/m2の上質紙に乾燥後の塗布量が6g/m2となるように塗布乾燥し、スーパーカレンダーでベック平滑度が200〜600秒になるように処理し、感熱記録体を得た。
顕色剤分散液 36.0部
染料分散液 13.8部
増感剤分散液 36.0部
安定剤分散液 9.0部
カオリンクレー50%分散液 26.0部
ステアリン酸亜鉛30%分散液 6.7部
【0028】
[実施例2]
実施例1において化合物(2−1)の代わりに(2−2)を配合しない以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
[比較例1]
実施例1において安定剤分散液を配合しない以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
[比較例2]
実施例1において顕色剤分散液中のNKK−515(商品名、日本曹達)を4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホンに変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0029】
[発色感度]
大倉電機社製のTH−PMDを使用し、作成した感熱記録体に印加エネルギー0.34mJ/dotで印字を行った。印字後及び品質試験後の画像濃度はマクベス濃度計(アンバーフィルター使用)で測定した。
[可塑剤性画像]
紙管に塩ビラップ(三井東圧製ハイラップKMA)を一重に巻き付け、この上に大倉電機社製のTH−PMDを使用し、印加エネルギー0.34mJ/dotで印字を行ったサンプル片を貼り付け、さらにこの上に塩ビラップを三重巻き付けたものを23℃の条件下で2時間放置した後、処理前後のマクベス濃度(アンバーフィルター使用)を測定した。
[耐光性試験]
大倉電機社製のTH−PMDを使用し、印加エネルギー0.34mJ/dotで印字したサンプルに関してアトラス社製Ci3000F型キセノンフェードメーターを用い、出力66W/m2で24時間処理を行った。処理後に印字部のマクベス濃度(アンバーフィルター使用)を測定した。
【0030】
【表1】
【0031】
表から明らかなように、本発明の実施例1、2は画像の耐可塑剤性および耐光性に優れている。これに対して安定剤を含有しない比較例1及び、本発明で規定した以外の顕色剤を使用した比較例2については、良好な品質が得られない。
【0032】
【発明の効果】
本発明の感熱記録体は、発色感度が高く、かつ耐可塑剤性、耐光性など極めて優れた画像保存性を有する感熱記録体である。
Claims (1)
- 支持体上に、無色ないし淡色の塩基性無色染料と有機顕色剤とを主成分として含有する感熱発色層を設けた感熱記録体において、該感熱発色層が有機顕色剤として下記一般式(1)で表される化合物を含有し、さらに安定剤として下記一般式(2)で表されるウレアウレタン化合物を含有することを特徴とする感熱記録体。
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