JP2004142173A - 多色感熱記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】黄色色素の発色性及び地肌部の白色性に優れ、かつ画像の耐熱性、耐光性に優れる多色感熱記録材料を提供する。
【解決手段】支持体上に、ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物とカップリング反応して発色させるカプラーとを含有する少なくとも1層の感熱記録層を有する感熱記録材料において、前記カプラーが下記一般式(1)で表される化合物であり、かつ、前記ジアゾニウム塩化合物が平均粒子径0.4μm以下のマイクロカプセルに内包されてなることを特徴とする多色感熱記録材料。
【化1】
(式中、R1は、アルキル、アリール基を表す。R2は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アラルキルオキシ、アルキルチオ、アラルキルチオ、置換アミノ基を表す。R3は、−NHSO2R4又は−SO2NR5R6を表す。R4は、アルキル基を表し、R5、R6はそれぞれ独立にアルキル基または水素を表す。)
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上に、ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物とカップリング反応して発色させるカプラーとを含有する少なくとも1層の感熱記録層を有する感熱記録材料において、前記カプラーが下記一般式(1)で表される化合物であり、かつ、前記ジアゾニウム塩化合物が平均粒子径0.4μm以下のマイクロカプセルに内包されてなることを特徴とする多色感熱記録材料。
【化1】
(式中、R1は、アルキル、アリール基を表す。R2は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アラルキルオキシ、アルキルチオ、アラルキルチオ、置換アミノ基を表す。R3は、−NHSO2R4又は−SO2NR5R6を表す。R4は、アルキル基を表し、R5、R6はそれぞれ独立にアルキル基または水素を表す。)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジアゾニウム塩化合物及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させるカプラーを含む多色感熱記録材料に関し、詳しくは、黄色の色相域において発色性の高い画像を形成させるジアゾニウム多色感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
多色感熱記録材料の高性能化に伴って、黄色から赤色の発色域で色相の鮮やかな画像が得られ、かつ記録材料のシェルフライフ、画像の保存安定性(画像保存性)に優れた多色感熱記録材料が強く要求されている。
【0003】
ジアゾニウム塩化合物はフェノール誘導体や活性メチレン基を有する化合物などのカプラーと呼ばれる化合物と反応してアゾ染料を形成する。また、ジアゾニウム塩化合物は光照射によって分解し、その活性を失う。この性質を利用してジアゾニウム塩化合物は、ジアゾコピーに代表される光記録材料として古くから利用されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
最近では画像の定着が要求される記録材料にも応用され、代表的なものとして、ジアゾニウム塩化合物とカプラーを画像信号に従って加熱し、反応させて画像を形成させた後、光照射して画像を定着する、光定着型感熱記録材料が提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0005】
しかしながら、これらの記録材料は、暗所であってもジアゾニウム塩化合物が徐々に熱分解して反応性を失うので、記録材料としてのシェルライフが短いという欠点があった。この欠点を改善する目的で、ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセル中に内包させ、ジアゾニウム塩化合物を水・塩基のような分解を促進させる物質と隔離する方法が提案された。この方法により、記録材料としてのシェルフライフを飛躍的に向上させることが可能となる(例えば、非特許文献3参照。)。
【0006】
室温より高いガラス転移温度を有するマイクロカプセルは、室温におけるカプセル壁が物質非透過性を示す一方、ガラス転移温度以上では物質透過性を示すため、熱応答性マイクロカプセルとして、感熱記録材料に使用できる。即ち、支持体上に、ジアゾニウム塩化合物を含有した熱応答性マイクロカプセル及びカプラー等を含有する感熱記録層を塗布した記録材料により、(1)ジアゾニウム塩化合物を長期間安定に保持させることができ、(2)加熱による発色画像の形成、(3)光照射による画像化(定着)が可能となる。
【0007】
また、近年では、記録材料の高機能化が図られ、多色画像を形成し得る記録材料等の機能性材料が普及している状況のもと、特に画像の発色色相に優れ、形成された画像部の耐光性等の更なる性能向上が望まれている(例えば、特許文献1、2等参照。)。
【0008】
ところで、ある種のアシルアセトアニリド化合物がプレカップリングを起こさないものとして使用されているが、得られる黄色画像は必ずしも十分な発色濃度を有していない(例えば、特許文献3等参照。)。
【0009】
また、ジアゾ化合物とアシルアセトアニリド化合物であるカップリング成分を用いて黄色画像発色濃度を改善し、かつ、地肌部の着色が少なく保存性に優れている報告が記載されている(例えば、特許文献4等参照。)。
しかしながら、いずれにおいても地肌着色の改善は見られるものの、また、印画部での黄色画像の充分な発色画像は得られていないのが実状である。
【0010】
【特許文献1】
特開平4−135787号公報
【特許文献2】
特開平4−144784号公報
【特許文献3】
特開平4−201483号公報
【特許文献4】
特開平7−223367号公報
【非特許文献1】
日本写真学会編、「写真工学の基礎−非銀塩写真編−」、コロナ社、1982、p.89〜117、182〜201
【非特許文献2】
佐藤弘次ら、「画像電子学会誌」、1982、第11巻、第4号、p.290〜296等
【非特許文献3】
宇佐美智正ら、「電子写真学会誌」、1987、第26巻、第2号、p.115〜125
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における要望に対応し、下記目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、黄色色素の発色性及び地肌部の白色性に優れ、特に、黄色色相において、発色性の高い黄色画像が得られ、かつ地肌部の着色が少ない、いわゆる生保存性に優れた多色感熱記録材料を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、多色感熱記録材料の支持体上にマイクロカプセル内包ジアゾニウム塩化合物とカプラーを含有する感熱記録層を有し、オルト位にスルホンアミド基を有するアシルアセトアニリド誘導体と平均粒子径0.4μm以下のマイクロカプセルに内包された前記ジアゾニウム塩化合物のカプセル粒径との組み合わせで、上記課題が効果的に達成できることを見出し本発明を解決するに至った。
即ち、前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 支持体上に、ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物とカップリング反応して発色させるカプラーとを含有する少なくとも1層の感熱記録層を有する感熱記録材料において、前記カプラーが下記一般式(1)で表される化合物であり、かつ、前記ジアゾニウム塩化合物が平均粒子径0.4μm以下のマイクロカプセルに内包されてなることを特徴とする多色感熱記録材料。
【0013】
【化2】
(一般式(1)中、R1は、置換または無置換のアルキル基、アリール基を表す。
R2は、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、 アルキルチオ基、アラルキルチオ基、置換アミノ基を表す。
R3は、−NHSO2R4または−SO2NR5R6を表す。R4は、置換または無置換のアルキル基を表し、R5、R6はそれぞれ独立して置換または無置換のアルキル基または水素原子を表す。)
<2> 前記マイクロカプセルを形成するカプセル壁がウレア及び/またはウレタンを構成成分とする上記<1>に記載の多色感熱記録材料。
<3> 支持体上に、シアン、マゼンタ、イエローの各感熱記録層を順次設けたことを特徴とする上記<1>または<2>に記載の多色感熱記録材料。
<4> 支持体上に、電子供与性染料と電子受容性化合物を含有する感熱記録層Cを設けてなり、該感熱記録層Cの上に最大吸収波長が365±20nmである前記ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラーを含有する感熱記録層Bを設けてなり、該感熱記録層Bの上に最大吸収波長が420±20nmである前記ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色する前記カプラーを含有する感熱記録層Aを設けてなり、該感熱記録層Aの上に保護層を設けてなることを特徴とする上記<1>乃至<3>までのいずれかに記載の多色感熱記録材料。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の多色感熱記録材料は、支持体上に、ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物とカップリング反応して発色させるカプラーとを含有する少なくとも1層の感熱記録層を有する感熱記録材料において、前記カプラーが下記一般式(1)で表されるオルト位にスルホンアミド基を有するアシルアセトアニリド誘導体であり、かつ、前記ジアゾニウム塩化合物が平均粒子径0.4μm以下のマイクロカプセルに内包されてなることを特徴とする。
【0015】
以下、本発明の多色感熱記録材料について詳細に説明する。
本発明の多色感熱記録材料は、支持体上に感熱記録層を複数層有してなり、必要に応じて中間層、保護層等の他の層を有していてもよい。
【0016】
<感熱記録層>
本発明に係る感熱記録層は、マイクロカプセルに内包された少なくとも1種以上のジアゾニウム塩化合物及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させる少なくとも1種以上のカプラーを含有し、さらに、本発明に係る感熱記録層に用いられる発色成分としては、前記化合物の他、電子供与性無色染料と電子受容性化合物との反応を利用したものを含有することが好ましい。必要に応じて該ジアゾニウム塩化合物とカプラーとの反応を促進する発色助剤である塩基性成分等他の成分を含んでいてもよい。
【0017】
(カプラー)
本発明に係る感熱記録層は、ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させる下記一般式(1)で表されるカプラーを少なくとも1種以上含有する。該カプラーは、特に、後述のジアゾニウム塩化合物と組合せて用いることにより、黄色から赤色の色相域に発色性よく発色させることができ、しかも形成された発色色素は耐光性に優れ、画像保存性を向上させることができる。
【0018】
【化3】
【0019】
一般式(1)中、R1は、置換または無置換のアルキル基、アリール基を表す。
R2は、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、 アルキルチオ基、アラルキルチオ基、置換アミノ基を表す。
R3は、−NHSO2R4または−SO2NR5R6を表す。R4は、置換または無置換のアルキル基を表し、R5、R6はそれぞれ独立して置換または無置換のアルキル基または水素原子を表す。
【0020】
ここで、前記R1で表わされる置換または無置換のアルキル基としては、総炭素数1乃至8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アシル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基が好ましい。中でも、総炭素数1乃至4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。特に、メチル基、エチル基が好ましい。
【0021】
前記R1で表わされる置換または無置換のアリール基としては、総炭素数6乃至14のアリール基が好ましく、例えば、 フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、t−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、ジブチルフェニル基が好ましい。中でも、総炭素数6乃至10のアリール基がより好ましく、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基が好ましい。特に、フェニル基が好ましい。
【0022】
前記R2で表わされるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子,沃素が挙げられ、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
【0023】
前記R2で表わされる置換または無置換のアルキル基としては、R1で表わされるアルキル基と同義である。
【0024】
前記R2で表わされる置換または無置換のアルコキシ基としては、総炭素数1乃至18のアルコキシ基が好ましく、例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基が好ましい。中でも、総炭素数4乃至12のアルコキシ基がより好ましく、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基が好ましい。
【0025】
前記R2で表わされる置換または無置換のアラルキルオキシ基としては、総炭素数7乃至14のアラルキルオキシ基が好ましく、例えば、 フェニルメチルオキシ基、フェニルエチルオキシ基、メチルフェニルメチルオキシ基、エチルフェニルメチルオキシ基、ブチルフェニルメチルオキシ基が好ましい。中でも、総炭素数7乃至11のアラルキルオキシ基がより好ましく、フェニルメチルオキシ基、フェニルエチルオキシ基が好ましい。
【0026】
前記R2で表わされる置換または無置換のアルキルチオ基としては、総炭素数1乃至18のアルキルチオ基が好ましく、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基、テトラデシルチオ基、オクタデシルチオ基が好ましい。中でも、総炭素数4乃至12のアルキルチオ基がより好ましく、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基が好ましい。
【0027】
前記R2で表わされる置換または無置換のアラルキルチオ基としては、総炭素数7乃至14のアラルキルチオ基が好ましく、例えば、フェニルメチルチオ基、フェニルエチルチオ基、メチルフェニルメチルチオ基、エチルフェニルメチルチオ基、ブチルフェニルメチルチオ基が好ましい。中でも、総炭素数7乃至11のアラルキルチオ基がより好ましく、フェニルメチルチオ基、フェニルエチルチオ基が好ましい。
【0028】
前記R2で表わされる置換アミノ基としては、総炭素数2乃至8の置換基を有するアミノ基を好ましく、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルエチルアミノ基が挙げられ、中でも、総炭素数2乃至4の置換アミノ基がより好ましく、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基が好ましい。
【0029】
前記R3は、−NHSO2R4または−SO2NR5R6を表す。ここで、R4で表わされる置換または無置換のアルキル基としては、総炭素数1乃至12のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基が好ましい。中でも、総炭素数1乃至4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、ブチル基が好ましい。
【0030】
前記R5、R6で表わされるそれぞれ独立した置換または無置換のアルキル基としては、総炭素数1乃至12のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、が好ましい。中でも、総炭素数1乃至4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、ブチル基が好ましい。
【0031】
本発明におけるカプラーの具体的な化合物としては、下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
【化4】
【0033】
【化5】
【0034】
これらのカプラーは、単独で使用しても、またこれらを2種以上併用してあるいは他のカプラーと併用して目的または任意の発色色相、色調の発色画像を得ることも出来る。併用することが出来る他のカプラーとしては、所謂活性メチレン化合物、フェノール類、ナフトール類等が好適に挙げられるが、具体的には、下記化合物が挙げられる。
【0035】
前記他のカプラーとして特に好ましいものとしては、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、
【0036】
5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、N−n−オクチル−N’−n−オクタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等が挙げられる。
【0037】
他のカプラーの詳細については、特開平4−201483号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平7−323660号、特願平5−278608号、特願平5−297024号、特願平6−18669号、特願平6−18670号、特願平7−316280号、特願平8−027095号、特願平8−027096号、特願平8−030799号、特願平8−12610号、特願平8−132394号、特願平8−358755号、特願平8−358756号、特願平9−069990号等の公報に記載されている。
【0038】
本発明に用いられるカプラーは、所望により、有機塩基、その他の発色助剤等とともに、サンドミル等により水溶性高分子とともに固体分散して用いることもできるが、水に難溶性又は不溶性の有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして有する水相中に混合し、乳化分散物とすることが好ましい。乳化分散を容易にする観点から、界面活性剤を用いることが好ましい。
【0039】
水に難溶性又は不溶性の有機溶剤としては、例えば、特開平2−141279号公報に記載の高沸点オイルの中から適宜選択することができる。中でも、乳化分散物の乳化安定性の点で、エステル類が好ましく、リン酸トリクレジルがより好ましい。前記オイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
【0040】
この有機溶剤に、更に低沸点の溶解助剤として補助溶剤を加えることもできる。該補助溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロライド等が好適である。場合により、高沸点オイルを含まず、低沸点補助溶剤のみを用いることもできる。
【0041】
前記カプラーの総含有量としては、感熱記録層の固形分(質量)の0.05〜5g/m2が好ましく、0.1〜4g/m2がより好ましい。該総含有量が、0.05g/m2未満であると、発色濃度が低下することがあり、5g/m2を超えると、塗布適性が低下することがある。また、前記他のカプラーは、本発明の効果を損なわない範囲で用いることができ、具体的には、前記総含有量(質量)の50〜100質量%が好ましい。
【0042】
(ジアゾニウム塩化合物)
本発明においては、感熱記録層は、種々のジアゾニウム塩化合物を使用することができるが、少なくとも一種以上、下記一般式(2)で表される化合物を含有することが好ましい。該ジアゾニウム塩化合物は、特に前記アシルアセトアミド系化合物であるカプラー(前記一般式(1)で表されるカプラー)と組合せて用いることにより、さらに、詳細には、平均粒径0.4μm以下のマイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物を使用することにより、黄色から赤色の色相域で良好な黄色系色相が得られ、その発色性にも優れ、しかも形成される発色色素は耐熱性、耐光性に優れ、画像保存性を向上させることができる。
【0043】
【化6】
【0044】
一般式(2)において、R11 、R12 はアルキル基を表す。R11 、R12はそれぞれ同じでも異なっていても良い。但し、R11 、R12の総炭素数は6以上が好ましく、より好ましくは8以上である。Yはハロゲン原子を表すが、具体的にはフッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。X− はPF6 − 、BF4 − 等の対アニオンを表す。R11 、R12、Y、X− の好ましい組合せとしては、R11 、R12がn−ブチル基、Yが塩素原子、X− がPF6 −である組合せを挙げることができる。
【0045】
一般式(2)において、R11 、R12は更に置換基を有していてもよく、それらの置換基としては、アリール基、アルコキシ基、シアノ基、エステル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0046】
上記一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物は、特願平7−223367、特願平5−297024号公報に開示された公知の化合物であり、後者の公報の記載の方法により好適に合成することができる。
【0047】
該ジアゾニウム塩化合物としては、融点30〜200℃の範囲のものが好ましいが、取扱いの点から、50℃から150℃の範囲のものがより好ましい。
【0048】
更に、本発明のジアゾニウム塩化合物は、プレカップリングを防ぐ目的でマイクロカプセルに内包して用いることがより好ましいが、マイクロカプセルを形成する場合、適当な溶剤(例えば、リン酸トリクレジル等)に溶解して用いるためこれらの溶剤に適当な溶解度を持っていることが望ましい。具体的には、該溶剤に5%以上の溶解度を持っていることが好ましい。また、水溶性は1%以下であることが好ましい。
【0049】
前記ジアゾニウム塩化合物の塩を形成する酸(対アニオン)の具体例としては、炭素数1から9までのポリフルオロアルキルカルボン酸、炭素数1から9までのポリフルオロアルキルスルホン酸、テトラフルオロホウ酸、テトラフェニルホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、芳香族カルボン酸、芳香族スルホン酸を挙げることができるが、好ましくはヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸であり、より好ましくはヘキサフルオロリン酸である。更に、塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化スズなどを用いて錯化合物を形成させジアゾニウム塩の安定化を行うこともできる。
【0050】
前記ジアゾニウム塩化合物は、単独で用いてもよいし、また2種以上を併用することもできる。感光感熱記録層に用いられる前記ジアゾニウム塩化合物の使用量としては、0.01〜5g/m2 の範囲であることが好ましいが、発色濃度の点から0.1〜3g/m2 の範囲で用いることがより好ましい。
【0051】
以下に、本発明に係る前記ジアゾニウム塩化合物の具体例を示すが、本発明に使用可能な化合物としては、これらに限定されるものではない。
【0052】
【化7】
【0053】
(電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物)
本発明で用いられる他の発色成分としては、電子供与性染料としての電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組み合わせが挙げられる。この電子供与性染料前駆体としてはトリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物などがあげられ、とりわけトリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物が発色濃度が高く有用である。これらの一部を例示すれば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
【0054】
また、この電子供与性染料前駆体の顕色剤である電子受容性化合物としてはフェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。これらの一部を例示すれば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸およびその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸およびその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸およびその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが挙げられる。
【0055】
本発明の多色感熱記録材料において、電子供与性染料前駆体及びその顕色剤である電子受容性化合物を含有する感熱記録層を用いる場合、電子供与性染料前駆体は、マイクロカプセルは内包されていることが好ましいが、電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物の両方が、共に内包されていても良い。マイクロカプセル壁を形成するポリマーは、相当するモノマーを後述の方法によって重合して得ることができるが、モノマーの使用量は、得られるマイクロカプセルの平均粒径が0.2〜12μmになるように決定される。
多色感熱記録材料として複数の感熱記録層を積層して用いる場合、上部の層は透明性が良好であることが好ましく、この観点からは、平均粒径が 0.2〜2μmの範囲であることが好ましい。特に、電子受容性化合物に使用する薄壁マイクロカプセルは、モノマーの使用量を、芯物質の全重量に対して、3〜15重量%、好ましくは5〜10重量%とすることにより、得ることができる。
【0056】
(その他の成分等)
−他の成分等−
本発明においては、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で有機塩基を添加することが好ましい。
前記有機塩基は、感熱記録層中に、ジアゾニウム塩化合物及びカプラーとともに含有させるのが好ましく、単独で用いても2種以上併用してもよい。
前記有機塩基としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物等が挙げられる。また、特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭58−1347901号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものも使用可能である。
【0057】
中でも特に、N,N′−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N′−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N′−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N′−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N′−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N′−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼン等のピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン等のモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジン等のピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0058】
所望により有機塩基を含有させる場合の、感熱記録層中における有機塩基の含有量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0059】
本発明においては、前記有機塩基のほか、発色反応を促進させる目的で、さらに、感熱記録層中に発色助剤を加えることもできる。
前記発色助剤とは、加熱記録時の発色濃度を高くする、もしくは最低発色温度を低くする物質であり、カプラー、有機塩基又はジアゾニウム塩化合物等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せしめる作用により、ジアゾニウム塩化合物、有機塩基、カプラー等を反応しやすい状況にするものである。
【0060】
既述の通り、低エネルギーで迅速かつ完全に熱印画が可能なように、前記発色助剤としては、例えば、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド化合物ヒドロキシ化合物等が挙げられる。
【0061】
また、発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させる、又は定着後の未印字部分(非画像部)の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることも好ましい。
【0062】
前記酸化防止剤としては、例えば、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4814262号、アメリカ特許第4980275号等に記載のものを挙げることができる。
【0063】
更に、感熱記録材料や感圧記録材料において既に用いられている、公知の各種添加剤を用いることも有効である。
前記各種添加剤の具体例としては、特開昭60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同63−088381号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−1108437号公報、同5−170361号公報、特公昭48−043294号公報、同48−033212号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
【0064】
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0065】
前記酸化防止剤及び各種添加剤の添加量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.05〜100質量部が好ましく、0.2〜30質量部がより好ましい。
【0066】
前記公知の酸化防止剤及び各種添加剤は、ジアゾニウム塩化合物と共にマイクロカプセル中に含有させて用いてもよいし、カプラー、有機塩基、その他の発色助剤等と共に固体分散物として、又は適当な乳化助剤と共に乳化物として、用いてもよいし、或いは、その両方の形態を併用することもできる。
また、前記酸化防止剤及び各種添加剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を組合わせて複数用いる場合には、アニリン類、アルコキシベンゼン類、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン誘導体、リン化合物、硫黄化合物のように、構造的に分類し互いに異なる構造のものを組合わせてもよいし、同一のものを組合わせてもよい。
【0067】
さらに、前記酸化防止剤及び各種添加剤は同一層に添加しなくてもよく、感光感熱記録層上に保護層を設け、該保護層に添加若しくは存在させることもできる。
【0068】
本発明の感熱記録材料には、記録後の地肌部の黄着色を軽減する目的で、光重合性組成物等に用いられる遊離基発生剤(光照射により遊離基を発生する化合物)を加えることができる。
前記遊離基発生剤としては、芳香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ジアゾニウム塩化合物、有機ジスルフィド類、アシルオキシムエステル類等が挙げられる。その添加量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、遊離基発生剤0.01〜5質量部が好ましい。
【0069】
また同様に、黄着色を軽減する目的で、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(以下、ビニルモノマーと呼ぶ)を用いることができる。ビニルモノマーとは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合(ビニル基、ビニリデン基等)を有する化合物であって、モノマーやプレポリマーの化学形態を持つものである。これらの例として、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。ビニルモノマーはジアゾニウム塩化合物1質量部に対して0.2〜20質量部の割合で用いる。
前記遊離基発生剤やビニルモノマーは、ジアゾニウム塩化合物と共にマイクロカプセル中に含有して用いることもできる。
【0070】
さらに、酸安定剤として、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を添加することもできる。
【0071】
感熱記録層に用いるバインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等が挙げられる。
前記水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変成ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等及びこれらの変成物等が挙げられ、前記ラテックス類としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0072】
本発明の多色感熱記録材料には、その感熱記録層中又はその他の層中に、顔料を含有させてもよい。
前記顔料としては、有機、無機を問わず公知のものを使用することができ、例えば、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。
また、感熱記録層又は他の層中に、必要に応じて、公知のワックス、帯電防止剤、消泡剤、導電剤、蛍光染料、界面活性剤、紫外線吸収剤及びその前駆体等各種添加剤を使用することもできる。
【0073】
本発明において、上記のジアゾニウム塩化合物、該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラー、塩基性物質、および電子供与性無色染料、電子受容性化合物、発色性向上剤の如き添加剤の使用形態については特に限定されない。(1)固体分散して使用する方法、(2)乳化分散して使用する方法、(3)ポリマー分散して使用する方法、(4)ラテックス分散して使用する方法等が挙げられる。また、先に述べたように特定成分については、マイクロカプセルに内包させて使用する。
【0074】
(マイクロカプセル)
本発明においては、多色感熱記録材料の生保存性をより向上させうる点で、前記ジアゾニウム塩化合物がマイクロカプセルに内包されていることが好ましい。ジアゾニウム塩化合物を内包するマイクロカプセルは、芯物質を乳化した後、その油滴の周囲に高分子物質の壁を形成させて作る。高分子物質を形成する反応化合物は、油滴の内部及び/または外部に添加される。マイクロカプセルは、常温では物質非透過性であり、加熱されると物質透過性となる高分子物質により形成されているのが好ましく、特にそのガラス転移温度が60〜200℃の高分子物質により形成されているのがより好ましい。
【0075】
前記高分子物質としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレン・メタクリレート共重合体、スチレン・アクリレート共重合体及びこれらの混合系が挙げられる。
カプセル壁材としての高分子物質は、2種以上併用することができる。好ましい高分子物質としては、ポリウレタン、ホルウレア、ポリマミド、ポリエステル、ポリカーボネートであり、中でも特に、ウレタン及び/又はウレアを構成成分とするポリウレタン、ポリウレアより形成されているのが好ましい。
【0076】
ポリウレタン及びポリウレアの場合は、トリレンジイソシアネートのトリメタノールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、キシリレンジイソシアネートのトリメタノールプロパンアダクト体、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、水添キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を使用することが好ましい。
【0077】
例えば、ポリウレアをカプセル壁材として用いる場合には、ジイソシアナート、トリイソシアナート、テトライソシアナート、ポリイソシアナートプレポリマー等のポリイソシアナートと、ジアミン、トリアミン、テトラアミン等のポリアミン、アミノ基を2個以上含むプレポリマー、ピペラジン若しくはその誘導体又はポリオール等とを、水系溶媒中で界面重合法によって反応させることにより容易にマイクロカプセル壁を形成させることができる。
【0078】
また、例えばポリウレアとポリアミドからなる複合壁若しくはポリウレタンとポリアミドからなる複合壁は、例えばポリイソシアナートと酸クロライド若しくはポリアミンとポリオールを用い、反応液となる乳化媒体のpHを調整した後加温することにより調製することができる。これらのポリウレアとポリアミドとからなる複合壁の製造方法の詳細については、特開昭58−66948号公報に記載されている。
【0079】
更に、加熱時にマイクロカプセル壁を膨潤させるために固体増感剤を添加することもできる。固体増感剤はマイクロカプセル壁として用いるポリマーの可塑剤と言われるものの中から、融点が50℃以上、好ましくは120℃以下で常温では固体であるものを選択して用いることができる。例えば、壁材がポリウレア、ポリウレタンから成る場合には、ヒドロキシ化合物、カルバミン酸エステル化合物、芳香族アルコキシ化合物、有機スルホンアミド化合物、脂肪族アミド化合物、アリールアミド化合物等が好適に用いられる。
【0080】
前記水溶性高分子の具体例としては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、エチレン/マレイン酸共重合体が挙げられる。
これら高分子物質の物性としては、熱記録時の温度で融解しない、150℃以上の融点を持つ高分子物質が好ましい。
【0081】
マイクロカプセルは、マイクロカプセル化すべき成分を0.2重量%以上含有した乳化液から作ることができる。
【0082】
本発明で使用するジアゾ化合物を内包する熱応答性マイクロカプセルは、低沸点の非水溶媒にジアゾ化合物をカプセル壁形成用モノマーと共に溶解した後、重合反応させながら溶媒を留去させることにより得られるような、実質的に溶媒を含まないマイクロカプセルであることが好ましい。
【0083】
マイクロカプセル壁を形成するポリマーは、相当するモノマーを上記記載方法によって重合して得ることができるが、モノマーの使用量は、得られるマイクロカプセルの平均粒径が0.2〜12μmになるように決定される。多色感熱記録材料として複数の感熱記録層を積層して用いる場合、上部の層は透明性が良好であることが好ましく、この観点からは、平均粒径が0.2〜2μmの範囲であることが好ましい。
【0084】
このようにして製造したマイクロカプセル中にジアゾ化合物を内包させることによって、常温におけるジアゾ化合物とカップリング成分との接触が、従来以上に防止される。
【0085】
ジアゾ化合物を発色成分として含有する感熱記録層において、前記のマイクロカプセル中に内包されない成分、例えば、熱増感剤その他の発色助剤、安定剤等は、サンドミル等により水溶性高分子と共に固体分散して用いれば良い。好ましい水溶性高分子としては、マイクロカプセルを調製する時に用いられる水溶性高分子が挙げられる(例えば、特開昭59−190886号参照)。この場合、水溶性高分子溶液に対する固体分散成分はそれぞれ10〜40重量%になるように投入される。分散された粒子サイズは10μm以下、透明性の観点からは2μm以下になることがさらに好ましい。
【0086】
マイクロカプセルの形成方法としては、従来公知の方法の中から適宜選択できるが、中でも、界面重合法又は内部重合法が適している。カプセル形成方法の詳細及びリアクタントの具体例については、米国特許第3,726,804号、同第3,796,669号等の明細書に記載がある。
例えば、ポリウレア、ポリウレタンをマイクロカプセルの壁材として用いる場合は、ポリイソシアネート及びそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオール、ポリアミン)を水性媒体又はカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中でこれらを乳化分散し、次いで加温することにより油滴界面で高分子形成反応を起こしマイクロカプセル壁を形成する。尚、前記第2物質の添加を省略した場合でもポリウレアが生成する。
【0087】
以下に、本発明におけるジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法について、その一例を示す。
まず、ジアゾニウム塩化合物を、カプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解または分散させる。この場合の有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましい。芯溶媒中には、更に、多価イソシアネートが壁材として添加される(油相)。
【0088】
一方、水相としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン等の水溶性高分子を溶解した水溶液(水相)を用意し、次いで前記油相を投入し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行う。このとき、前記水溶性高分子は、乳化分散を均一かつ容易にしうる保護コロイドとしての作用を有するとともに、乳化分散した溶液を安定化させる分散媒としても作用する。乳化分散を更に安定に行う目的で、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。
【0089】
前記多価イソシアネートの使用量は、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、壁厚みが0.01〜0.3μmとなるように決定される。分散粒子径は0.2〜10μm程度が一般的である。乳化分散液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネートの重合反応が生じてポリウレア壁が形成される。水相中にポリオールを添加しておけば、多価イソシアネートとポリオールが反応してポリウレタン壁を形成することもできる。
【0090】
また、反応速度を速めるためには、反応温度を高く保つ、或いは、適当な重合触媒を添加することが好ましい。
多価イソシアネート、ポリオール、反応触媒、あるいは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩田敬治編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社(1987))。
【0091】
マイクロカプセル壁の原料として用いる多価イソシアネートとしては、3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアネート化合物を併用してもよい。具体的には、キシレンジイソシアネート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水添物、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号公報等に記載の化合物が好ましい。
【0092】
更に、ポリオール又はポリアミンを、芯となる疎水性溶媒中又は分散媒となる水溶性高分子溶液中に添加しておき、マイクロカプセル壁の原料の一つとして用いることもできる。これらのポリオール又はポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
【0093】
前記のジアゾニウム塩化合物を溶解又は分散し、マイクロカプセルの芯を形成する際に用いる疎水性の有機溶媒としては、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、アルキルターフェニル、塩素化パラフィン、リン酸エステル類、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類、フタル酸エステル類、安息香酸エステル類、炭酸エステル類、エーテル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類等、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類等の他の有機溶媒が好適に挙げられる。
【0094】
カプセル化しようとするジアゾニウム塩化合物のこれらの溶媒に対する溶解性が劣る場合には、用いるジアゾニウム塩化合物の溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもできる。
従って、ジアゾニウム塩化合物としては、これら高沸点疎水性有機溶媒、低沸点補助溶媒に対する適当な溶解度を有していることが好ましく、具体的には、これら溶剤に5%以上の溶解度を有していることが好ましい。また、水に対する溶解度は1%以下が好ましい。
前記低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
【0095】
油相を分散する水相(水溶性高分子水溶液)に保護コロイドとして用いる水溶性高分子としては、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、具体的には以下のものが挙げられる。
前記水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができる。
【0096】
アニオン性高分子としては、天然、合成のいずれのものも用いることができ、例えば、−COO−、−SO2−等の連結基を有するものが挙げられる。
具体的には、カゼイン、アラビヤゴム、アルギン酸、ベクチン等の天然物;カルボキシメチルセルロース、フタル化ゼラチン等のゼラチン誘導体;硫酸化デンプン等の澱粉誘導体;硫酸化セルロース、リグニンスルホン酸等の半合成品、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等の無水マレイン酸系(加水分解物を含む)共重合体;ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等のアクリル酸系(メタクリル酸系)重合体及び共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ビニルベンゼンスルホン酸系重合体及び共重合体、カルボキシ変成ポリビニルアルコール等の合成品が挙げられる。
【0097】
ノニオン性高分子としては、ポリビニルアルコール及びその変成物、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。また、両性高分子としては、ゼラチン等が挙げられる。中でも、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリビニルアルコールが好ましい。
【0098】
前記水溶性高分子は、0.01〜10質量%の水溶液として用いられる。
前記水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応性がないか、低いことが好ましく、例えば、ゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変成する等して反応性をなくしておくことが必要である。
【0099】
前記界面活性剤としては、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、前記水溶性高分子と作用し、沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。中でも、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が好ましい。
また、界面活性剤の添加量としては、油相の質量に対して、0.1〜5%、特に0.5%〜2%であることが好ましい。
【0100】
乳化分散は、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等、公知の乳化装置を用いることができる。
乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために、乳化物を30〜70℃に加温する。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌を行う等の必要がある。
【0101】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセルを得ることができる。
【0102】
(多色感熱記録材料)
本発明の多色感熱記録材料は、支持体上に複数の感熱記録層と中間層とを積層して得ることができる。支持体と感熱記録層との間には下塗り層を有することが好ましく、さらに、最外層として保護層を有することが好ましい。感熱記録層の層構成は、特に限定されるものではないが、特に感光波長の異なる2種のジアゾニウム塩化合物とそれぞれのジアゾニウム塩化合物と熱時反応して異なった色相に発色するカプラーを組み合わせた感熱記録層2層と、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組み合わせた感熱記録層とを積層した多色感熱記録材料が好ましい。
すなわち、支持体上に電子供与性染料と電子受容性化合物を含む感熱記録層C、最大吸収波長が365±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーを含有する感熱記録層B、最大吸収波長が420±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーを含有する感熱記録層ACとするものである。この例において、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選んでおけば、フルカラーの画像記録が可能となる。
【0103】
特に、光定着性の迅速さ、安定性の観点からは、上記フルカラーの記録可能な多色感熱記録材料の場合、支持体上に、シアン、マゼンタ、イエローの順に感熱記録層を積層することが好ましい。
【0104】
本発明の多色感熱記録材料においては、実質的に透明な感熱発色層を設けて多色画像の画像品質を向上させる観点から、マイクロカプセルに内包されなかった発色剤を固体分散させるのではなく、水に難溶性又は不溶性の有機溶剤に溶解せしめた後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして有する水相と混合し、乳化分散物とすることが好ましい。乳化分散を容易にする観点から、界面活性剤を用いることが好ましい。
【0105】
この場合に使用される有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載された高沸点オイルの中から適宜選択することができる。
これらの中でもエステル類を使用することが、乳化分散物の乳化安定性の観点から好ましく、中でも、燐酸トリクレジルを単独又は混合して使用した場合には電子受容性化合物の乳化分散安定性が特に良好であり好ましい。
上記のオイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
上記の有機溶剤に、更に低沸点の溶解助剤として補助溶剤を加えることもできる。このような補助溶剤として、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロライド等を特に好ましいものとして挙げることができる。場合により、高沸点オイルを含まず、低沸点補助溶剤のみを用いることもできる。
【0106】
これらの成分を含有する油相と混合する水相に、保護コロイドとして含有せしめる水溶性高分子は、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができる。好ましい水溶性高分子としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等を挙げることができる。
また、水相に含有せしめる界面活性剤は、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。好ましい界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等を挙げることができる。
【0107】
本発明の多色感熱記録材料において使用する乳化分散物は、上記成分を含有した油相と保護コロイド及び界面活性剤を含有する水相を、高速攪拌、超音波分散等、通常の微粒子乳化に用いられる手段等を使用して混合分散せしめることにより、容易に得ることができる。
また、油相の水相に対する比(油相重量/水相重量)は、0.02〜0.6が好ましく、特に0.1〜0.4であることが好ましい。0.02以下では水相が多すぎて希薄となり十分な発色性が得られず、0.6以上では逆に夜の粘度が高くなり、取り扱いの不便さや塗液安定性の低下をもたらす。
【0108】
本発明の多色感熱記録材料においては、感熱記録層に、発色素材等の各種の素材を支持体上又は、既に塗布された感熱記録層や中間層の上に固着させるためのバインダーを用いることが好ましい。
上記バインダーとしては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビヤゴム、ポリビニルピロリドン、カゼイン、スチレン−ブタジエンラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の各種エマルジョン等をあげることができる。
バインダーの使用量は固形分に換算して0.5〜5g/m2 とすることが好ましい。
本発明の多色感熱記録材料においては、以上の素材の他に酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を使用することができる。
【0109】
本発明の多色感熱記録材料は、感熱記録層の上部に保護層を設けており、保護層中には熱記録時のサーマルヘッドのマッチング性の向上、保護層の耐水性の向上等の目的で、顔料、金属石鹸、ワックス、架橋剤等が添加される。これらの顔料、金属石鹸、ワックス、架橋剤等の詳細については、例えば、特開平2−141279号公報に記載されている。
【0110】
また、感熱記録層上に均一に保護層を形成させるために、保護層形成用塗布液には界面活性剤が添加される。界面活性剤にはスルホコハク酸系のアルカリ金属塩、弗素含有界面活性剤等があり、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホコハク酸等のナトリウム塩又はアンモニウム塩等がある。
また、保護層中には、製造される感熱記録材料の帯電を防止するための界面活性剤、高分子電解質等を添加しても良い。保護層の固形分塗布量は通常0.2〜5g/m2 、好ましくは1g〜3g/m2 となるように製造されることが好ましい。
【0111】
なお、保護層を感熱記録層の最上層に設けた場合には、感熱記録層表面の機械的強度を向上させることができる。
【0112】
本発明の多色感熱記録材料においては、本発明に使用する多色感熱記録材料には、各層の熱分画を更に良好なものとするために発色層の間に中間層を設けることが好ましい。用いられる中間層の素材としては、水溶性高分子若しくは疎水性高分子のエマルジョン又はラテックス等が好ましい。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体及びそのエステル、ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、酸化デンプン、燐酸化デンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、硫酸化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
疎水性高分子のエマルジョン又はラテックスとしては、スチレン−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。
【0113】
この多色感熱記録材料の記録方法は、フルカラー構成の場合、まず、最上感熱記録層として配置された感熱記録層Cを加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーを発色させる。次に420±20nmの光を照射して感熱記録層C中に含まれている未反応のジアゾニウム塩化合物を分解させたのち、感熱記録層Bが発色するに十分な熱を加え、該層に含まれているジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。このとき感熱記録層Cも同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。さらに365±20nmの光を照射して感熱記録層Bに含まれているジアゾニウム塩化合物を分解し、最後に感熱記録層Aが発色する十分な熱を加えて発色させる。このとき感熱記録層C、Bも同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。
【0114】
本発明の多色感熱記録材料においては、光透過率調整層を設けることができる。光透過率調整層は、紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分を含有しており、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので、光透過率が高く、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、また、可視光線の透過率も高く、感熱記録層の定着に支障は生じない。
この紫外線吸収剤の前駆体は、光定着型感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光または熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、感熱記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
光透過率調整層は光定着型感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、最も望ましくは光定着型感熱記録層と保護層との間に形成するのがよいが、光透過率調整層を保護層と兼用するようにしてもよい。
【0115】
光透過率調整層の特性は、光定着型感熱記録層の特性に応じて任意に選定することができる。特に光透過率調整層が適用されるのに有効な感熱記録材料では、支持体上に、最大吸収波長365±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型感熱記録層と、最大吸収波長420±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型感熱記録層とを順次設け、この層上に光透過率調整層を設けることが望ましい。このような感熱記録材料の場合、光透過率調整層の光定着する波長領域における光透過率が365nmで65%以上であり、前記定着後の光透過率が365nmで20%以下であることが望ましい。この場合、光照射とは、キセノンランプ強制試験器で420nmの波長において、13kJ/m2 の光照射を行うことをいう。具体的には、Weather Ometer Ci65(Atlas Electric Co.製)0.9W/m2 で4.0時間の光照射をいう。
【0116】
また、支持体上に、最大吸収波長420±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型感熱記録層と、最大吸収波長365±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型感熱記録層と、を順次設けた感熱記録材料であってもよい。
【0117】
さらに本発明は、最大吸収波長が360nm未満のジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型感熱記録層と、最大吸収波長が420nmを超えるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型感熱記録層と、の場合にも適用される。
【0118】
また、感熱記録層において、各感熱記録層の色相を変えることにより、多色の感熱記録材料が得られる。すなわち、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選べばフルカラーの画像記録が可能となる。この場合、支持体面に直接、積層(感熱記録層の最下層)される感熱記録層の発色機構は、電子供与性染料と、電子受容性染料との組み合わせ系ジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と反応呈色するカプラーとからジアゾ発色系、塩基性化合物と接触して発色する塩基発色系、キレート発色系、求核剤と反応して脱離反応を起こし発色する発色系等のいずれでもよく、この感熱記録層上に最大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを各々含有する光定着型感熱記録層を2層以上設けることが好ましく、この層上に光透過率調整層、保護層を順次設けるのが望ましい。
光透過率調整層に用いられる化合物としては、例えば、特開平9−1928号公報に記載されているものを挙げることができる。
【0119】
本発明においては耐光性を更に向上させるために以下に示す公知の酸化防止剤を用いることができ、例えばヨーロッパ公開特許第310551号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、ヨーロッパ公開特許第310552号公報、特開平3−121449号公報、ヨーロッパ公開特許第459416号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開昭63−163351号公報、アメリカ特許第4814262号、特開昭54−48535号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4980275号、特開昭63−113536号公報、特開昭62−262047号公報、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、ヨーロッパ公開特許第309402号公報、ヨーロッパ公開特許第309401号公報等に記載のものが挙げられる。
【0120】
更に、すでに感熱記録材料、感圧記録材料として公知の各種添加剤を用いることも有効である。これらの酸化防止剤の一部を示すならば、特開昭60−125470号公報、特開昭60−125471号公報、特開昭60−125472号公報、特開昭60−287485号公報、特開昭60−287486号公報、特開昭60−287487号公報、特開昭62−146680号公報、特開昭60−287488号公報、特開昭62−282885号公報、特開昭63−89877号公報、特開昭63−88380号公報、特開昭63−088381号公報、特開平01−239282号公報、特開平04−291685号公報、特開平04−291684号公報、特開平05−188687号公報、特開平05−188686号公報、特開平05−110490号公報、特開平05−1108437号公報、特開平05−170361号公報、特開昭63−203372号公報、特開昭63−224989号公報、特開昭63−267594号公報、特開昭63−182484号公報、特開昭60−107384号公報、特開昭60−107383号公報、特開昭61−160287号公報、特開昭61−185483号公報、特開昭61−211079号公報、特開昭63−251282号公報、特開昭63−051174号公報、特公昭48−043294号公報、特公昭48−033212号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0121】
具体例には6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス−4−ヒドロキシフェニルプロパン、1,1−ビス−4−ヒドロキシフェニル−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドールや以下に示す化合物が挙げられる。
【0122】
(多色感熱記録材料の製造方法)
本発明の多色感熱記録材料は、ジアゾニウム塩化合物を内包するマイクロカプセル、カプラー、及び必要に応じて、有機塩基、その他の添加物を含有する塗布液(感熱記録層塗布液)を調製し、公知の塗布方法により紙や合成樹脂フィルム等の支持体の上に塗布し、乾燥して形成する。前記感熱記録層の固形分(質量)としては、2.5〜30g/m2が好ましい。
【0123】
前記塗布方法としては、バー塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティング塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等が挙げられる。
本発明の感熱記録材料においては、マイクロカプセル、カプラー、有機塩基等が同一層に含まれていてもよいが、別層に含まれるような積層型の構成とすることもできる。また、支持体上に、特願昭59−177669号公報等に記載の中間層を設けた後、感熱記録層を塗布形成することもできる。
【0124】
本発明の感熱記録材料には、必要に応じて、感熱記録層上にさらに保護層を設けてもよく、該保護層は、必要に応じて二層以上積層してもよい。
前記保護層に用いる材料としては、ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、
【0125】
ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子化合物、及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等のラテックス類が用いられる。保護層の水溶性高分子化合物を架橋して、より保存安定性を向上させることもでき、その架橋剤としては公知の架橋剤を使用することができる。具体的にはN−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類、硼酸、硼砂等の無機系架橋剤、ポリアミドエピクロルヒドリン等が挙げられる。
【0126】
前記保護層には、さらに公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤、紫外線吸収剤やその前駆体等を含有させてもよい。
尚、保護層は、前記成分を含有する塗布液(保護層塗布液)を調製し、該塗布液を、塗布・乾燥することにより形成できる。保護層塗布液の塗布量(固形分)としては、0.2〜5g/m2が好ましく、0.5〜2g/m2がより好ましい。また、保護層の層厚としては、0.2〜5μmが好ましく、0.5〜2μmがより好ましい。
【0127】
支持体としては、通常の感圧紙や感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙等に用いられる紙支持体はいずれも使用することができる他、酸性紙、中性紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙、プラスチックフィルム等を使用することができる。
支持体のカールバランスを補正するため、あるいは裏面からの耐薬品性を向上させる目的で、バックコート層を設けてもよく、また裏面に接着剤層を介して剥離紙を組み合わせてラベルの形態にしてもよい。このバックコート層についても前記保護層と同様にして設けることができる。
【0128】
上記のように、一般式(1)で表されるジアゾニウム塩化合物と一般式(2)で表されるカプラーとを組合せることにより、黄色の発色色素の形成が可能であり、しかも発色した黄色色相が良好であること、耐光性に優れること、地肌部の白色性に優れることを同時に満足することができる。
【0129】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、下記実施例中「部」は、特に限定のないかぎり「質量部」を意味し、「%」は特に限定のない限り「質量%」を意味する。
【0130】
(実施例1)
<フタル化ゼラチン溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名;#801ゼラチン,新田ゼラチン (株)製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)0.9143部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0131】
<アルカリ処理ゼラチン溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン (株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)0.7286部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解し、乳化物作成用ゼラチン水溶液を得た。
【0132】
(1)イエロー感熱記録層液の調整
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>
酢酸エチル16.1部に、下記ジアゾニウム化合物(A)(最大吸収波長420nm)2.2部、下記ジアゾニウム化合物(B)(最大吸収波長420nm)2.2部、モノイソプロピルビフェニル2.4部、フタル酸ジフェニル3.6部およびフェニル2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.6部、ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASFジャパン(株)製)0.4部を添加し40℃に加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(商品名;タケネートD119N(50重量%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)8.6部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0133】
【化8】
【0134】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液58.6部にイオン交換水16.3部、Scraph AG−8(50重量%)日本精化(株)製)0.34部添加し、混合液(II)を得た。
【0135】
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.35μmであった。
【0136】
<カプラー化合物乳化液(a)の調製>
酢酸エチル33.0部に下記カプラー化合物(C)9.9部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.9部、4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))20.8部、3,3,3´,3 ´−テトラメチル−5,5´、6,6´−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1´−スピロビスインダン3.3部、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製) 13.6部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製) 4.2部を溶解し、混合液(III)を得た。
【0137】
【化9】
【0138】
別途前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(IV)を得た。
【0139】
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5重量%になるように濃度調節を行った。得られたカプラー化合物乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.21μmであった。
【0140】
更に上記カプラー化合物乳化物100部に対して、SBRラテックス(商品名SN−307,48%液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5%に濃度調整したものを9部添加して均一に撹拌してカプラー化合物乳化液(a)を得た。
【0141】
<塗布液(a)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)および前記カプラー化合物分乳化液(a)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物の重量比が2.2/1になるように混合し、感熱記録層用塗布液(a)を得た。
【0142】
(2)マゼンタ感熱記録層液の調整
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製>
酢酸エチル15.1部に、下記ジアゾニウム化合物(D)(最大吸収波長365nm)2.8部、フタル酸ジフェニル3.8部、フェニル2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.9部及びトリメチロールプロパントリメタクリレート4.2部及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製) 0.1部を添加し加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(商品名;タケネートD119N(50重量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル (株)製)2.5部とキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75重量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル (株)製)6.8部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
【0143】
【化10】
【0144】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液55.3部にイオン交換水21.0部添加、混合し、混合液(VI)を得た。
【0145】
混合液(VI)に混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(ba)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.43μmであった。
【0146】
<カプラー化合物乳化液(b)の調製>
酢酸エチル36.9部に下記カプラー化合物(F)11.9部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0部、4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))14.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン 14部、3,3,3´,3 ´−テトラメチル−5,5´、6,6´−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1´−スピロビスインダン3.5部、下記化合物(G) 3.5部、リン酸トリクレジル 1.7部、マレイン酸ジエチル0.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製) 4.5部を溶解し、混合液(VII)を得た。
【0147】
【化11】
【0148】
別途アルカリ処理ゼラチン水溶液150部にイオン交換水78部を混合し、混合液(VIII)を得た。
【0149】
混合液(VIII)に混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5重量%になるように濃度調節を行い、カプラー化合物乳化液(b)を得た。得られたカプラー化合物乳化液の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.22μmであった。
【0150】
<塗布液(b)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(ba)および前記カプラー化合物分乳化液(b)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物の重量比が3.5/1になるように混合した。さらに、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5重量%)をカプセル液量10部に対し、0.2部になるように混合し、感熱記録層用塗布液(b)を得た。
【0151】
(3)シアン感熱記録層液の調整
<電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製>
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料前駆体(H)7.6部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタンおよび1−(1−メチルプロプルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名;ハイゾールSAS−310,日本石油(株)製)12.0部、下記化合物(I)(商品名;Irgaperm2140 チバガイギー(株)の商品名)4.0部を添加し加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物 (商品名;タケネートD110N(75重量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル (株)製)7.2部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名;ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)5.3部を添加し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
【0152】
【化12】
【0153】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液28.8部にイオン交換水9.5部、Scraph AG−8(50重量%)日本精化(株)製)0.17部およびドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加混合し、混合液(X)を得た。
【0154】
混合液(X)に混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水50部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加え均一化し、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行ないカプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節しマイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で1.00μmであった。
【0155】
更に上記マイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム25%水溶液(商品名;ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7部と4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2’−ジスルフォン誘導体を含む蛍光増白剤(商品名;Kaycoll BXNL、日本曹達(株)製)を4.3部添加して均一に撹拌してマイクロカプセル分散液(c)を得た。
【0156】
<電子受容性化合物分散液(c)の調製>
前記フタル化ゼラチン水溶液11.3重量部にイオン交換水30.1重量部、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールP、三井石油化学(株)製) 15重量部、2重量%−2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8重量部を加えて、ボールミルにて一晩分散した後、分散液を得た。この分散液の、固形分濃度は26.6重量%であった。
【0157】
上記分散液100重量部に、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2重量部加えて、30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0158】
<塗布液(c)の調製>
前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)および前記電子受容性化合物分散液(c)を、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体の重量比が10/1になるように混合し、塗布液(c)を得た。
【0159】
(4)中間層用塗布液の調製
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン (株)製)100.0部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)2.857部、水酸化カルシウム0.5部、イオン交換水521.643部を混合し、50℃にて溶解し、中間層作成用ゼラチン水溶液を得た。
【0160】
前記中間層作成用ゼラチン水溶液10.0部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製 2.0重量%水溶液)0.05部、硼酸(4.0重量%水溶液)1.5部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5重量%)0.19部、下記化合物(J)(和光純薬(株)製)の4重量%水溶液3.42部、下記化合物(J’)(和光純薬(株)製)の4重量%水溶液1.13部、イオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0161】
【化13】
【0162】
(5)光透過率調整層用塗布液の調製
<紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製>
【0163】
酢酸エチル180部に紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート10部、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−3−オクチロキシフェニル ベンゼンスルホナート10部、2−4−ジ−t−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル ベンゼンスルホナート8部、2−t−ブチル−6−(5−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェニルベンゼンスルホナート5部、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン11部、燐酸トリクレジル4部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100,三井化学(株)製)13部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C (70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製) 1.1部を均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物 (商品名;タケネートD110N(75重量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル (株)製)65部を添加し、均一に攪拌し紫外線吸収剤前駆体混合液(VII)を得た。
【0164】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)72部、シリカ変性ポリビニルアルコール(商品名:R−1130,クラレ(株)製)72部に30重量%燐酸水溶液12.2部、イオン交換水1509部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を作製した。
【0165】
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液1260部に前記紫外線吸収剤前駆体混合液(VII)307.1部を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水250部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3 (オルガノ(株)製)72.5部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13%になるように濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。このカプセル液1602部に、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスOL(20%水溶液),日産化学工業(株)製)41部、カルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307,(48重量%水溶液),住友ノーガタック(株)製)4.3部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0166】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000部に、イオン交換水296.4部、4重量%水酸化ナトリウム水溶液19.5部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製 2.0重量%水溶液)51.43部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0167】
(6)保護層用塗布液の調製
<保護層用ポリビニルアルコール溶液の作製>
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルの混合液(商品名:ネオスコアCM−57,(54重量%水溶液),東邦化学工業(株)製)8.74部、イオン交換水3832部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0168】
<保護層用顔料分散液の作製>
硫酸バリウム(商品名:BF−21F,硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40重量%水溶液),花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して保護層用顔料分散液を作成した。この分散液は粒径測定(LA−910,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
【0169】
上記硫酸バリウム分散液45.6部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20重量%水分散液)、日産化学(株)製)8.1部を添加して目的の分散物を得た。
【0170】
<保護層用マット剤分散液の作製>
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220部に1−2ベンズイソチアゾリン3オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0171】
<保護層用塗布ブレンド液の調製>
前記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000部にフッ素系界面活性剤 (商品名:メガファックF−120,5重量%水溶液,大日本インキ化学工業(株))40部、 (4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製 2.0重量%水溶液)50部、前記保護層用顔料分散液49.87部、前記保護層用マット剤分散液25部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115,20.5重量%水溶液,中京油脂(株)製)65部、イオン交換水280部を均一に混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
【0172】
(7)下塗り層つき支持体
<下塗り層液の作製>
アセトアセチル変性PVA(重合度:約1000,商品名:ゴーセファイマーZ−210、日本合成化学工業性)を12.85部、水87.15部を加え90℃以上で撹拌溶解した。
【0173】
このアセトアセチル変性PVA溶液100部を撹拌しながら、水2.58部加え、次にコープケミカル社製の水膨潤性合成雲母分散液MEB−3(アスペクト比:約1000、平均粒子径約2.0μmの雲母分散液)を18.90部加え、充分に撹拌した。後、メタノールを84.90部徐々に撹拌しながら加え、更にメタノール溶解の1.66%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤3.10部加え、最後に1Nの水酸化ナトリウム0.45部加え6.87%の下塗り液を得た。
【0174】
<下塗り層つき支持体の作製>
1種以上のLBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)100部からなる木材パルプをデイスクリファイナーによりカナデイアンフリーネス300ccまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、硫酸アルミニウム1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部をいずれもパルプに対する絶乾重量比で添加し長網抄紙機により抄紙し、更にその原紙両面をサイズプレス機にて塩化カルシウム、水溶性蛍光増白剤を含むポリビニルアルコール溶液を塗布して、坪量114g/m2の原紙を抄造しキャレンダー処理によって厚み100μmに調整した。
【0175】
次に原紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押し出し機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーテイングしマット面からなる樹脂層を形成した(この面をウラ面と呼ぶ)。次に上記樹脂層を形成した面とは反対側に溶融押し出し機を用いてアナターゼ型二酸化チタンを10重量%及び微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚50μmとなるようにコーテイングし光沢面からなる樹脂層を形成した(この面をオモテ面と呼ぶ)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(商品名;アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)/二酸化珪素(商品名;スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(重量比)を水に分散させて乾燥後の重量で0.2g/m2塗布した。次にオモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、得られた下塗り層塗布液を40℃にて保温し、斜線グラビアロール100メッシュにて塗布し乾燥し、下塗り層つき支持体を得た。その時の乾燥前塗布量は12.5g/m2であった。
【0176】
(8)多色感熱記録材料の作製
<各感熱記録層用塗布液の塗布>
前記下塗り層つき支持体の上に、下から、前記感熱記録層用塗布液(c)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(b)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(a)、前記光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液の順に7層同時に連続塗布し、30℃湿度30%、および40℃湿度30%の条件でそれぞれ乾燥して多色感熱記録材料を得た。
【0177】
この際前記感熱記録層用塗布液(a)の塗布量は液中に含まれるジアゾ化合物(A)の塗布量が固形分塗布量で0.078g/m2となるように、同様に前記感熱記録層用塗布液(b)の塗布量は液中に含まれるジアゾ化合物(D)の塗布量が固形分塗布量で0.206g/m2となるように、同様に前記感熱記録層用塗布液(c)の塗布量は液中に含まれる電子供与性染料(H)の塗布量が固形分塗布量で0.355g/m2となるように塗布を行った。
【0178】
また、前記中間層用塗布液は(a)と(b)の間は固形分塗布量が2.39g/m2、(b)と(c)の間は固形分塗布量が3.34g/m2、前記光透過率調整層用塗布液は固形分塗布量が2.35g/m2、保護層は固形分塗布量が1.39g/m2となるように塗布を行った。以上の工程を経て、実施例1における多色感熱記録材料を作製した。
【0179】
(実施例2)
実施例1の<カプラー化合物乳化液(a)の調製>で用いたカプラー化合物(C)の代わりに、下記カプラー化合物(K)を用いた以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を得た。
【0180】
【化14】
【0181】
(実施例3)
実施例1の<カプラー化合物乳化液(a)の調製>で用いたカプラー化合物(C)の代わりに、下記カプラー化合物(L)を用いた以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を得た。
【0182】
【化15】
【0183】
(実施例4)
実施例1の<カプラー化合物乳化液(a)の調製>で用いたカプラー化合物(C)の代わりに、下記カプラー化合物(M)を用いた以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を得た。
【0184】
【化16】
【0185】
(比較例1)
実施例1の<カプラー化合物乳化液(a)の調製>で用いたカプラー化合物(C)の代わりに、下記カプラー化合物(N)を用いた以外は実施例1と同様にして多色感熱記録材料を得た。
【0186】
【化17】
【0187】
(比較例2)
実施例1の<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>でマイクロカプセルの粒径が0.5μmになるように調製した以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を得た。
【0188】
(比較例3)
実施例2の<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>でマイクロカプセルの粒径が0.5μmになるように調製した以外は、実施例2と同様にして多色感熱記録材料を得た。
【0189】
<多色感熱記録材料の評価>
上記より得た実施例1〜4及び比較例1〜3の多色感熱記録材料に対して、以下に述べる方法により画像部及び地肌部のイエロー濃度の評価を行った。
【0190】
1.画像部のイエロー濃度の評価
(1)実施例1〜4及び比較例1〜3の多色感熱記録材料について、NC370D(富士写真フイルム(株)製)を用いイエローのステップウェッジ画像を印画した。
(2)上記より得られた画像の中間部と、高濃度部の光学反射イエロー濃度を、X−rite濃度計で測定した。
【0191】
2.地肌部のイエロー濃度の評価
(1) 実施例1〜4及び比較例1〜3の多色感熱記録材料の未処理のサンプルと、40℃−90%RHの環境条件に調整した恒温恒湿槽中に3日間放置して強制劣化処理を施したサンプルについて、発光中心波長420nm、出力40Wの紫外線ランプを用いて10秒間照射した後、さらに発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプを用いて10秒間照射し定着した。
(2)地肌部の光学反射イエロー濃度を、X−rite濃度計で定着10分後に測定した。前記画像部、地肌部のイエロー濃度を評価した結果を下記表1に示す。
【0192】
【表1】
【0193】
上記表1に示すように、本発明に規定するカプラー化合物とカプセル粒径0.36μmのジアゾニウム塩化合物含有マイクロカプセルとの組合せを使用した実施例では、印画部のイエロー発色濃度が中間部及び高濃度部の全てにおいて顕著に高く、また、地肌部のイエロー濃度変化がすくなかった。これらよりその印画部の黄色色素の発色性に優れ、しかも、地肌部の白色性に優れる色相の良好な黄色画像を形成することがわかった。
【0194】
【発明の効果】
本発明によれば、イエロー色素の発色性及び地肌部の白色性に優れ、特に、イエロー色相において、良好なイエロー発色画像が得られる多色感熱記録材料を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジアゾニウム塩化合物及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させるカプラーを含む多色感熱記録材料に関し、詳しくは、黄色の色相域において発色性の高い画像を形成させるジアゾニウム多色感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
多色感熱記録材料の高性能化に伴って、黄色から赤色の発色域で色相の鮮やかな画像が得られ、かつ記録材料のシェルフライフ、画像の保存安定性(画像保存性)に優れた多色感熱記録材料が強く要求されている。
【0003】
ジアゾニウム塩化合物はフェノール誘導体や活性メチレン基を有する化合物などのカプラーと呼ばれる化合物と反応してアゾ染料を形成する。また、ジアゾニウム塩化合物は光照射によって分解し、その活性を失う。この性質を利用してジアゾニウム塩化合物は、ジアゾコピーに代表される光記録材料として古くから利用されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
最近では画像の定着が要求される記録材料にも応用され、代表的なものとして、ジアゾニウム塩化合物とカプラーを画像信号に従って加熱し、反応させて画像を形成させた後、光照射して画像を定着する、光定着型感熱記録材料が提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0005】
しかしながら、これらの記録材料は、暗所であってもジアゾニウム塩化合物が徐々に熱分解して反応性を失うので、記録材料としてのシェルライフが短いという欠点があった。この欠点を改善する目的で、ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセル中に内包させ、ジアゾニウム塩化合物を水・塩基のような分解を促進させる物質と隔離する方法が提案された。この方法により、記録材料としてのシェルフライフを飛躍的に向上させることが可能となる(例えば、非特許文献3参照。)。
【0006】
室温より高いガラス転移温度を有するマイクロカプセルは、室温におけるカプセル壁が物質非透過性を示す一方、ガラス転移温度以上では物質透過性を示すため、熱応答性マイクロカプセルとして、感熱記録材料に使用できる。即ち、支持体上に、ジアゾニウム塩化合物を含有した熱応答性マイクロカプセル及びカプラー等を含有する感熱記録層を塗布した記録材料により、(1)ジアゾニウム塩化合物を長期間安定に保持させることができ、(2)加熱による発色画像の形成、(3)光照射による画像化(定着)が可能となる。
【0007】
また、近年では、記録材料の高機能化が図られ、多色画像を形成し得る記録材料等の機能性材料が普及している状況のもと、特に画像の発色色相に優れ、形成された画像部の耐光性等の更なる性能向上が望まれている(例えば、特許文献1、2等参照。)。
【0008】
ところで、ある種のアシルアセトアニリド化合物がプレカップリングを起こさないものとして使用されているが、得られる黄色画像は必ずしも十分な発色濃度を有していない(例えば、特許文献3等参照。)。
【0009】
また、ジアゾ化合物とアシルアセトアニリド化合物であるカップリング成分を用いて黄色画像発色濃度を改善し、かつ、地肌部の着色が少なく保存性に優れている報告が記載されている(例えば、特許文献4等参照。)。
しかしながら、いずれにおいても地肌着色の改善は見られるものの、また、印画部での黄色画像の充分な発色画像は得られていないのが実状である。
【0010】
【特許文献1】
特開平4−135787号公報
【特許文献2】
特開平4−144784号公報
【特許文献3】
特開平4−201483号公報
【特許文献4】
特開平7−223367号公報
【非特許文献1】
日本写真学会編、「写真工学の基礎−非銀塩写真編−」、コロナ社、1982、p.89〜117、182〜201
【非特許文献2】
佐藤弘次ら、「画像電子学会誌」、1982、第11巻、第4号、p.290〜296等
【非特許文献3】
宇佐美智正ら、「電子写真学会誌」、1987、第26巻、第2号、p.115〜125
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における要望に対応し、下記目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、黄色色素の発色性及び地肌部の白色性に優れ、特に、黄色色相において、発色性の高い黄色画像が得られ、かつ地肌部の着色が少ない、いわゆる生保存性に優れた多色感熱記録材料を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、多色感熱記録材料の支持体上にマイクロカプセル内包ジアゾニウム塩化合物とカプラーを含有する感熱記録層を有し、オルト位にスルホンアミド基を有するアシルアセトアニリド誘導体と平均粒子径0.4μm以下のマイクロカプセルに内包された前記ジアゾニウム塩化合物のカプセル粒径との組み合わせで、上記課題が効果的に達成できることを見出し本発明を解決するに至った。
即ち、前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 支持体上に、ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物とカップリング反応して発色させるカプラーとを含有する少なくとも1層の感熱記録層を有する感熱記録材料において、前記カプラーが下記一般式(1)で表される化合物であり、かつ、前記ジアゾニウム塩化合物が平均粒子径0.4μm以下のマイクロカプセルに内包されてなることを特徴とする多色感熱記録材料。
【0013】
【化2】
(一般式(1)中、R1は、置換または無置換のアルキル基、アリール基を表す。
R2は、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、 アルキルチオ基、アラルキルチオ基、置換アミノ基を表す。
R3は、−NHSO2R4または−SO2NR5R6を表す。R4は、置換または無置換のアルキル基を表し、R5、R6はそれぞれ独立して置換または無置換のアルキル基または水素原子を表す。)
<2> 前記マイクロカプセルを形成するカプセル壁がウレア及び/またはウレタンを構成成分とする上記<1>に記載の多色感熱記録材料。
<3> 支持体上に、シアン、マゼンタ、イエローの各感熱記録層を順次設けたことを特徴とする上記<1>または<2>に記載の多色感熱記録材料。
<4> 支持体上に、電子供与性染料と電子受容性化合物を含有する感熱記録層Cを設けてなり、該感熱記録層Cの上に最大吸収波長が365±20nmである前記ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラーを含有する感熱記録層Bを設けてなり、該感熱記録層Bの上に最大吸収波長が420±20nmである前記ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色する前記カプラーを含有する感熱記録層Aを設けてなり、該感熱記録層Aの上に保護層を設けてなることを特徴とする上記<1>乃至<3>までのいずれかに記載の多色感熱記録材料。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の多色感熱記録材料は、支持体上に、ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物とカップリング反応して発色させるカプラーとを含有する少なくとも1層の感熱記録層を有する感熱記録材料において、前記カプラーが下記一般式(1)で表されるオルト位にスルホンアミド基を有するアシルアセトアニリド誘導体であり、かつ、前記ジアゾニウム塩化合物が平均粒子径0.4μm以下のマイクロカプセルに内包されてなることを特徴とする。
【0015】
以下、本発明の多色感熱記録材料について詳細に説明する。
本発明の多色感熱記録材料は、支持体上に感熱記録層を複数層有してなり、必要に応じて中間層、保護層等の他の層を有していてもよい。
【0016】
<感熱記録層>
本発明に係る感熱記録層は、マイクロカプセルに内包された少なくとも1種以上のジアゾニウム塩化合物及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させる少なくとも1種以上のカプラーを含有し、さらに、本発明に係る感熱記録層に用いられる発色成分としては、前記化合物の他、電子供与性無色染料と電子受容性化合物との反応を利用したものを含有することが好ましい。必要に応じて該ジアゾニウム塩化合物とカプラーとの反応を促進する発色助剤である塩基性成分等他の成分を含んでいてもよい。
【0017】
(カプラー)
本発明に係る感熱記録層は、ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させる下記一般式(1)で表されるカプラーを少なくとも1種以上含有する。該カプラーは、特に、後述のジアゾニウム塩化合物と組合せて用いることにより、黄色から赤色の色相域に発色性よく発色させることができ、しかも形成された発色色素は耐光性に優れ、画像保存性を向上させることができる。
【0018】
【化3】
【0019】
一般式(1)中、R1は、置換または無置換のアルキル基、アリール基を表す。
R2は、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、 アルキルチオ基、アラルキルチオ基、置換アミノ基を表す。
R3は、−NHSO2R4または−SO2NR5R6を表す。R4は、置換または無置換のアルキル基を表し、R5、R6はそれぞれ独立して置換または無置換のアルキル基または水素原子を表す。
【0020】
ここで、前記R1で表わされる置換または無置換のアルキル基としては、総炭素数1乃至8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アシル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基が好ましい。中でも、総炭素数1乃至4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。特に、メチル基、エチル基が好ましい。
【0021】
前記R1で表わされる置換または無置換のアリール基としては、総炭素数6乃至14のアリール基が好ましく、例えば、 フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、t−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、ジブチルフェニル基が好ましい。中でも、総炭素数6乃至10のアリール基がより好ましく、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基が好ましい。特に、フェニル基が好ましい。
【0022】
前記R2で表わされるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子,沃素が挙げられ、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
【0023】
前記R2で表わされる置換または無置換のアルキル基としては、R1で表わされるアルキル基と同義である。
【0024】
前記R2で表わされる置換または無置換のアルコキシ基としては、総炭素数1乃至18のアルコキシ基が好ましく、例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基が好ましい。中でも、総炭素数4乃至12のアルコキシ基がより好ましく、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基が好ましい。
【0025】
前記R2で表わされる置換または無置換のアラルキルオキシ基としては、総炭素数7乃至14のアラルキルオキシ基が好ましく、例えば、 フェニルメチルオキシ基、フェニルエチルオキシ基、メチルフェニルメチルオキシ基、エチルフェニルメチルオキシ基、ブチルフェニルメチルオキシ基が好ましい。中でも、総炭素数7乃至11のアラルキルオキシ基がより好ましく、フェニルメチルオキシ基、フェニルエチルオキシ基が好ましい。
【0026】
前記R2で表わされる置換または無置換のアルキルチオ基としては、総炭素数1乃至18のアルキルチオ基が好ましく、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基、テトラデシルチオ基、オクタデシルチオ基が好ましい。中でも、総炭素数4乃至12のアルキルチオ基がより好ましく、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基が好ましい。
【0027】
前記R2で表わされる置換または無置換のアラルキルチオ基としては、総炭素数7乃至14のアラルキルチオ基が好ましく、例えば、フェニルメチルチオ基、フェニルエチルチオ基、メチルフェニルメチルチオ基、エチルフェニルメチルチオ基、ブチルフェニルメチルチオ基が好ましい。中でも、総炭素数7乃至11のアラルキルチオ基がより好ましく、フェニルメチルチオ基、フェニルエチルチオ基が好ましい。
【0028】
前記R2で表わされる置換アミノ基としては、総炭素数2乃至8の置換基を有するアミノ基を好ましく、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルエチルアミノ基が挙げられ、中でも、総炭素数2乃至4の置換アミノ基がより好ましく、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基が好ましい。
【0029】
前記R3は、−NHSO2R4または−SO2NR5R6を表す。ここで、R4で表わされる置換または無置換のアルキル基としては、総炭素数1乃至12のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基が好ましい。中でも、総炭素数1乃至4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、ブチル基が好ましい。
【0030】
前記R5、R6で表わされるそれぞれ独立した置換または無置換のアルキル基としては、総炭素数1乃至12のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、が好ましい。中でも、総炭素数1乃至4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、ブチル基が好ましい。
【0031】
本発明におけるカプラーの具体的な化合物としては、下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
【化4】
【0033】
【化5】
【0034】
これらのカプラーは、単独で使用しても、またこれらを2種以上併用してあるいは他のカプラーと併用して目的または任意の発色色相、色調の発色画像を得ることも出来る。併用することが出来る他のカプラーとしては、所謂活性メチレン化合物、フェノール類、ナフトール類等が好適に挙げられるが、具体的には、下記化合物が挙げられる。
【0035】
前記他のカプラーとして特に好ましいものとしては、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、
【0036】
5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、N−n−オクチル−N’−n−オクタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等が挙げられる。
【0037】
他のカプラーの詳細については、特開平4−201483号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平7−323660号、特願平5−278608号、特願平5−297024号、特願平6−18669号、特願平6−18670号、特願平7−316280号、特願平8−027095号、特願平8−027096号、特願平8−030799号、特願平8−12610号、特願平8−132394号、特願平8−358755号、特願平8−358756号、特願平9−069990号等の公報に記載されている。
【0038】
本発明に用いられるカプラーは、所望により、有機塩基、その他の発色助剤等とともに、サンドミル等により水溶性高分子とともに固体分散して用いることもできるが、水に難溶性又は不溶性の有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして有する水相中に混合し、乳化分散物とすることが好ましい。乳化分散を容易にする観点から、界面活性剤を用いることが好ましい。
【0039】
水に難溶性又は不溶性の有機溶剤としては、例えば、特開平2−141279号公報に記載の高沸点オイルの中から適宜選択することができる。中でも、乳化分散物の乳化安定性の点で、エステル類が好ましく、リン酸トリクレジルがより好ましい。前記オイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
【0040】
この有機溶剤に、更に低沸点の溶解助剤として補助溶剤を加えることもできる。該補助溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロライド等が好適である。場合により、高沸点オイルを含まず、低沸点補助溶剤のみを用いることもできる。
【0041】
前記カプラーの総含有量としては、感熱記録層の固形分(質量)の0.05〜5g/m2が好ましく、0.1〜4g/m2がより好ましい。該総含有量が、0.05g/m2未満であると、発色濃度が低下することがあり、5g/m2を超えると、塗布適性が低下することがある。また、前記他のカプラーは、本発明の効果を損なわない範囲で用いることができ、具体的には、前記総含有量(質量)の50〜100質量%が好ましい。
【0042】
(ジアゾニウム塩化合物)
本発明においては、感熱記録層は、種々のジアゾニウム塩化合物を使用することができるが、少なくとも一種以上、下記一般式(2)で表される化合物を含有することが好ましい。該ジアゾニウム塩化合物は、特に前記アシルアセトアミド系化合物であるカプラー(前記一般式(1)で表されるカプラー)と組合せて用いることにより、さらに、詳細には、平均粒径0.4μm以下のマイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物を使用することにより、黄色から赤色の色相域で良好な黄色系色相が得られ、その発色性にも優れ、しかも形成される発色色素は耐熱性、耐光性に優れ、画像保存性を向上させることができる。
【0043】
【化6】
【0044】
一般式(2)において、R11 、R12 はアルキル基を表す。R11 、R12はそれぞれ同じでも異なっていても良い。但し、R11 、R12の総炭素数は6以上が好ましく、より好ましくは8以上である。Yはハロゲン原子を表すが、具体的にはフッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。X− はPF6 − 、BF4 − 等の対アニオンを表す。R11 、R12、Y、X− の好ましい組合せとしては、R11 、R12がn−ブチル基、Yが塩素原子、X− がPF6 −である組合せを挙げることができる。
【0045】
一般式(2)において、R11 、R12は更に置換基を有していてもよく、それらの置換基としては、アリール基、アルコキシ基、シアノ基、エステル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0046】
上記一般式(2)で表されるジアゾニウム塩化合物は、特願平7−223367、特願平5−297024号公報に開示された公知の化合物であり、後者の公報の記載の方法により好適に合成することができる。
【0047】
該ジアゾニウム塩化合物としては、融点30〜200℃の範囲のものが好ましいが、取扱いの点から、50℃から150℃の範囲のものがより好ましい。
【0048】
更に、本発明のジアゾニウム塩化合物は、プレカップリングを防ぐ目的でマイクロカプセルに内包して用いることがより好ましいが、マイクロカプセルを形成する場合、適当な溶剤(例えば、リン酸トリクレジル等)に溶解して用いるためこれらの溶剤に適当な溶解度を持っていることが望ましい。具体的には、該溶剤に5%以上の溶解度を持っていることが好ましい。また、水溶性は1%以下であることが好ましい。
【0049】
前記ジアゾニウム塩化合物の塩を形成する酸(対アニオン)の具体例としては、炭素数1から9までのポリフルオロアルキルカルボン酸、炭素数1から9までのポリフルオロアルキルスルホン酸、テトラフルオロホウ酸、テトラフェニルホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、芳香族カルボン酸、芳香族スルホン酸を挙げることができるが、好ましくはヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸であり、より好ましくはヘキサフルオロリン酸である。更に、塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化スズなどを用いて錯化合物を形成させジアゾニウム塩の安定化を行うこともできる。
【0050】
前記ジアゾニウム塩化合物は、単独で用いてもよいし、また2種以上を併用することもできる。感光感熱記録層に用いられる前記ジアゾニウム塩化合物の使用量としては、0.01〜5g/m2 の範囲であることが好ましいが、発色濃度の点から0.1〜3g/m2 の範囲で用いることがより好ましい。
【0051】
以下に、本発明に係る前記ジアゾニウム塩化合物の具体例を示すが、本発明に使用可能な化合物としては、これらに限定されるものではない。
【0052】
【化7】
【0053】
(電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物)
本発明で用いられる他の発色成分としては、電子供与性染料としての電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組み合わせが挙げられる。この電子供与性染料前駆体としてはトリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物などがあげられ、とりわけトリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物が発色濃度が高く有用である。これらの一部を例示すれば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
【0054】
また、この電子供与性染料前駆体の顕色剤である電子受容性化合物としてはフェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。これらの一部を例示すれば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸およびその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸およびその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸およびその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが挙げられる。
【0055】
本発明の多色感熱記録材料において、電子供与性染料前駆体及びその顕色剤である電子受容性化合物を含有する感熱記録層を用いる場合、電子供与性染料前駆体は、マイクロカプセルは内包されていることが好ましいが、電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物の両方が、共に内包されていても良い。マイクロカプセル壁を形成するポリマーは、相当するモノマーを後述の方法によって重合して得ることができるが、モノマーの使用量は、得られるマイクロカプセルの平均粒径が0.2〜12μmになるように決定される。
多色感熱記録材料として複数の感熱記録層を積層して用いる場合、上部の層は透明性が良好であることが好ましく、この観点からは、平均粒径が 0.2〜2μmの範囲であることが好ましい。特に、電子受容性化合物に使用する薄壁マイクロカプセルは、モノマーの使用量を、芯物質の全重量に対して、3〜15重量%、好ましくは5〜10重量%とすることにより、得ることができる。
【0056】
(その他の成分等)
−他の成分等−
本発明においては、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で有機塩基を添加することが好ましい。
前記有機塩基は、感熱記録層中に、ジアゾニウム塩化合物及びカプラーとともに含有させるのが好ましく、単独で用いても2種以上併用してもよい。
前記有機塩基としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、ホルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物等が挙げられる。また、特公昭52−46806号公報、特開昭62−70082号公報、特開昭57−169745号公報、特開昭60−94381号公報、特開昭57−123086号公報、特開昭58−1347901号公報、特開昭60−49991号公報、特公平2−24916号公報、特公平2−28479号公報、特開昭60−165288号公報、特開昭57−185430号公報に記載のものも使用可能である。
【0057】
中でも特に、N,N′−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N′−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N′−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N′−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N′−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N′−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼン等のピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)ベンゼン等のモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジン等のピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン類等が好ましい。
【0058】
所望により有機塩基を含有させる場合の、感熱記録層中における有機塩基の含有量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0059】
本発明においては、前記有機塩基のほか、発色反応を促進させる目的で、さらに、感熱記録層中に発色助剤を加えることもできる。
前記発色助剤とは、加熱記録時の発色濃度を高くする、もしくは最低発色温度を低くする物質であり、カプラー、有機塩基又はジアゾニウム塩化合物等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せしめる作用により、ジアゾニウム塩化合物、有機塩基、カプラー等を反応しやすい状況にするものである。
【0060】
既述の通り、低エネルギーで迅速かつ完全に熱印画が可能なように、前記発色助剤としては、例えば、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド化合物ヒドロキシ化合物等が挙げられる。
【0061】
また、発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させる、又は定着後の未印字部分(非画像部)の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることも好ましい。
【0062】
前記酸化防止剤としては、例えば、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4814262号、アメリカ特許第4980275号等に記載のものを挙げることができる。
【0063】
更に、感熱記録材料や感圧記録材料において既に用いられている、公知の各種添加剤を用いることも有効である。
前記各種添加剤の具体例としては、特開昭60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同63−088381号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−1108437号公報、同5−170361号公報、特公昭48−043294号公報、同48−033212号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
【0064】
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0065】
前記酸化防止剤及び各種添加剤の添加量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.05〜100質量部が好ましく、0.2〜30質量部がより好ましい。
【0066】
前記公知の酸化防止剤及び各種添加剤は、ジアゾニウム塩化合物と共にマイクロカプセル中に含有させて用いてもよいし、カプラー、有機塩基、その他の発色助剤等と共に固体分散物として、又は適当な乳化助剤と共に乳化物として、用いてもよいし、或いは、その両方の形態を併用することもできる。
また、前記酸化防止剤及び各種添加剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を組合わせて複数用いる場合には、アニリン類、アルコキシベンゼン類、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン誘導体、リン化合物、硫黄化合物のように、構造的に分類し互いに異なる構造のものを組合わせてもよいし、同一のものを組合わせてもよい。
【0067】
さらに、前記酸化防止剤及び各種添加剤は同一層に添加しなくてもよく、感光感熱記録層上に保護層を設け、該保護層に添加若しくは存在させることもできる。
【0068】
本発明の感熱記録材料には、記録後の地肌部の黄着色を軽減する目的で、光重合性組成物等に用いられる遊離基発生剤(光照射により遊離基を発生する化合物)を加えることができる。
前記遊離基発生剤としては、芳香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ジアゾニウム塩化合物、有機ジスルフィド類、アシルオキシムエステル類等が挙げられる。その添加量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、遊離基発生剤0.01〜5質量部が好ましい。
【0069】
また同様に、黄着色を軽減する目的で、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(以下、ビニルモノマーと呼ぶ)を用いることができる。ビニルモノマーとは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合(ビニル基、ビニリデン基等)を有する化合物であって、モノマーやプレポリマーの化学形態を持つものである。これらの例として、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。ビニルモノマーはジアゾニウム塩化合物1質量部に対して0.2〜20質量部の割合で用いる。
前記遊離基発生剤やビニルモノマーは、ジアゾニウム塩化合物と共にマイクロカプセル中に含有して用いることもできる。
【0070】
さらに、酸安定剤として、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を添加することもできる。
【0071】
感熱記録層に用いるバインダーとしては、公知の水溶性高分子化合物やラテックス類等が挙げられる。
前記水溶性高分子化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン誘導体、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン変成ポリアミド、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド等及びこれらの変成物等が挙げられ、前記ラテックス類としては、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0072】
本発明の多色感熱記録材料には、その感熱記録層中又はその他の層中に、顔料を含有させてもよい。
前記顔料としては、有機、無機を問わず公知のものを使用することができ、例えば、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。
また、感熱記録層又は他の層中に、必要に応じて、公知のワックス、帯電防止剤、消泡剤、導電剤、蛍光染料、界面活性剤、紫外線吸収剤及びその前駆体等各種添加剤を使用することもできる。
【0073】
本発明において、上記のジアゾニウム塩化合物、該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラー、塩基性物質、および電子供与性無色染料、電子受容性化合物、発色性向上剤の如き添加剤の使用形態については特に限定されない。(1)固体分散して使用する方法、(2)乳化分散して使用する方法、(3)ポリマー分散して使用する方法、(4)ラテックス分散して使用する方法等が挙げられる。また、先に述べたように特定成分については、マイクロカプセルに内包させて使用する。
【0074】
(マイクロカプセル)
本発明においては、多色感熱記録材料の生保存性をより向上させうる点で、前記ジアゾニウム塩化合物がマイクロカプセルに内包されていることが好ましい。ジアゾニウム塩化合物を内包するマイクロカプセルは、芯物質を乳化した後、その油滴の周囲に高分子物質の壁を形成させて作る。高分子物質を形成する反応化合物は、油滴の内部及び/または外部に添加される。マイクロカプセルは、常温では物質非透過性であり、加熱されると物質透過性となる高分子物質により形成されているのが好ましく、特にそのガラス転移温度が60〜200℃の高分子物質により形成されているのがより好ましい。
【0075】
前記高分子物質としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレン・メタクリレート共重合体、スチレン・アクリレート共重合体及びこれらの混合系が挙げられる。
カプセル壁材としての高分子物質は、2種以上併用することができる。好ましい高分子物質としては、ポリウレタン、ホルウレア、ポリマミド、ポリエステル、ポリカーボネートであり、中でも特に、ウレタン及び/又はウレアを構成成分とするポリウレタン、ポリウレアより形成されているのが好ましい。
【0076】
ポリウレタン及びポリウレアの場合は、トリレンジイソシアネートのトリメタノールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、キシリレンジイソシアネートのトリメタノールプロパンアダクト体、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、水添キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を使用することが好ましい。
【0077】
例えば、ポリウレアをカプセル壁材として用いる場合には、ジイソシアナート、トリイソシアナート、テトライソシアナート、ポリイソシアナートプレポリマー等のポリイソシアナートと、ジアミン、トリアミン、テトラアミン等のポリアミン、アミノ基を2個以上含むプレポリマー、ピペラジン若しくはその誘導体又はポリオール等とを、水系溶媒中で界面重合法によって反応させることにより容易にマイクロカプセル壁を形成させることができる。
【0078】
また、例えばポリウレアとポリアミドからなる複合壁若しくはポリウレタンとポリアミドからなる複合壁は、例えばポリイソシアナートと酸クロライド若しくはポリアミンとポリオールを用い、反応液となる乳化媒体のpHを調整した後加温することにより調製することができる。これらのポリウレアとポリアミドとからなる複合壁の製造方法の詳細については、特開昭58−66948号公報に記載されている。
【0079】
更に、加熱時にマイクロカプセル壁を膨潤させるために固体増感剤を添加することもできる。固体増感剤はマイクロカプセル壁として用いるポリマーの可塑剤と言われるものの中から、融点が50℃以上、好ましくは120℃以下で常温では固体であるものを選択して用いることができる。例えば、壁材がポリウレア、ポリウレタンから成る場合には、ヒドロキシ化合物、カルバミン酸エステル化合物、芳香族アルコキシ化合物、有機スルホンアミド化合物、脂肪族アミド化合物、アリールアミド化合物等が好適に用いられる。
【0080】
前記水溶性高分子の具体例としては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、エチレン/マレイン酸共重合体が挙げられる。
これら高分子物質の物性としては、熱記録時の温度で融解しない、150℃以上の融点を持つ高分子物質が好ましい。
【0081】
マイクロカプセルは、マイクロカプセル化すべき成分を0.2重量%以上含有した乳化液から作ることができる。
【0082】
本発明で使用するジアゾ化合物を内包する熱応答性マイクロカプセルは、低沸点の非水溶媒にジアゾ化合物をカプセル壁形成用モノマーと共に溶解した後、重合反応させながら溶媒を留去させることにより得られるような、実質的に溶媒を含まないマイクロカプセルであることが好ましい。
【0083】
マイクロカプセル壁を形成するポリマーは、相当するモノマーを上記記載方法によって重合して得ることができるが、モノマーの使用量は、得られるマイクロカプセルの平均粒径が0.2〜12μmになるように決定される。多色感熱記録材料として複数の感熱記録層を積層して用いる場合、上部の層は透明性が良好であることが好ましく、この観点からは、平均粒径が0.2〜2μmの範囲であることが好ましい。
【0084】
このようにして製造したマイクロカプセル中にジアゾ化合物を内包させることによって、常温におけるジアゾ化合物とカップリング成分との接触が、従来以上に防止される。
【0085】
ジアゾ化合物を発色成分として含有する感熱記録層において、前記のマイクロカプセル中に内包されない成分、例えば、熱増感剤その他の発色助剤、安定剤等は、サンドミル等により水溶性高分子と共に固体分散して用いれば良い。好ましい水溶性高分子としては、マイクロカプセルを調製する時に用いられる水溶性高分子が挙げられる(例えば、特開昭59−190886号参照)。この場合、水溶性高分子溶液に対する固体分散成分はそれぞれ10〜40重量%になるように投入される。分散された粒子サイズは10μm以下、透明性の観点からは2μm以下になることがさらに好ましい。
【0086】
マイクロカプセルの形成方法としては、従来公知の方法の中から適宜選択できるが、中でも、界面重合法又は内部重合法が適している。カプセル形成方法の詳細及びリアクタントの具体例については、米国特許第3,726,804号、同第3,796,669号等の明細書に記載がある。
例えば、ポリウレア、ポリウレタンをマイクロカプセルの壁材として用いる場合は、ポリイソシアネート及びそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオール、ポリアミン)を水性媒体又はカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中でこれらを乳化分散し、次いで加温することにより油滴界面で高分子形成反応を起こしマイクロカプセル壁を形成する。尚、前記第2物質の添加を省略した場合でもポリウレアが生成する。
【0087】
以下に、本発明におけるジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法について、その一例を示す。
まず、ジアゾニウム塩化合物を、カプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解または分散させる。この場合の有機溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましい。芯溶媒中には、更に、多価イソシアネートが壁材として添加される(油相)。
【0088】
一方、水相としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン等の水溶性高分子を溶解した水溶液(水相)を用意し、次いで前記油相を投入し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行う。このとき、前記水溶性高分子は、乳化分散を均一かつ容易にしうる保護コロイドとしての作用を有するとともに、乳化分散した溶液を安定化させる分散媒としても作用する。乳化分散を更に安定に行う目的で、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。
【0089】
前記多価イソシアネートの使用量は、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、壁厚みが0.01〜0.3μmとなるように決定される。分散粒子径は0.2〜10μm程度が一般的である。乳化分散液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネートの重合反応が生じてポリウレア壁が形成される。水相中にポリオールを添加しておけば、多価イソシアネートとポリオールが反応してポリウレタン壁を形成することもできる。
【0090】
また、反応速度を速めるためには、反応温度を高く保つ、或いは、適当な重合触媒を添加することが好ましい。
多価イソシアネート、ポリオール、反応触媒、あるいは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩田敬治編 ポリウレタンハンドブック 日刊工業新聞社(1987))。
【0091】
マイクロカプセル壁の原料として用いる多価イソシアネートとしては、3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアネート化合物を併用してもよい。具体的には、キシレンジイソシアネート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水添物、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体あるいは3量体(ビューレットあるいはイソシヌレート)の他、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体として多官能としたもの、トリメチロールプロパン等のポリオールとキシリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートとのアダクト体にポリエチレンオキシド等の活性水素を有するポリエーテル等の高分子量化合物を導入した化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物等が挙げられる。
特開昭62−212190号公報、特開平4−26189号公報、特開平5−317694号公報、特願平8−268721号公報等に記載の化合物が好ましい。
【0092】
更に、ポリオール又はポリアミンを、芯となる疎水性溶媒中又は分散媒となる水溶性高分子溶液中に添加しておき、マイクロカプセル壁の原料の一つとして用いることもできる。これらのポリオール又はポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
【0093】
前記のジアゾニウム塩化合物を溶解又は分散し、マイクロカプセルの芯を形成する際に用いる疎水性の有機溶媒としては、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、アルキルターフェニル、塩素化パラフィン、リン酸エステル類、マレイン酸エステル類、アジピン酸エステル類、フタル酸エステル類、安息香酸エステル類、炭酸エステル類、エーテル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類等、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類等の他の有機溶媒が好適に挙げられる。
【0094】
カプセル化しようとするジアゾニウム塩化合物のこれらの溶媒に対する溶解性が劣る場合には、用いるジアゾニウム塩化合物の溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもできる。
従って、ジアゾニウム塩化合物としては、これら高沸点疎水性有機溶媒、低沸点補助溶媒に対する適当な溶解度を有していることが好ましく、具体的には、これら溶剤に5%以上の溶解度を有していることが好ましい。また、水に対する溶解度は1%以下が好ましい。
前記低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
【0095】
油相を分散する水相(水溶性高分子水溶液)に保護コロイドとして用いる水溶性高分子としては、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が5%以上の水溶性高分子が好ましく、具体的には以下のものが挙げられる。
前記水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができる。
【0096】
アニオン性高分子としては、天然、合成のいずれのものも用いることができ、例えば、−COO−、−SO2−等の連結基を有するものが挙げられる。
具体的には、カゼイン、アラビヤゴム、アルギン酸、ベクチン等の天然物;カルボキシメチルセルロース、フタル化ゼラチン等のゼラチン誘導体;硫酸化デンプン等の澱粉誘導体;硫酸化セルロース、リグニンスルホン酸等の半合成品、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等の無水マレイン酸系(加水分解物を含む)共重合体;ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等のアクリル酸系(メタクリル酸系)重合体及び共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ビニルベンゼンスルホン酸系重合体及び共重合体、カルボキシ変成ポリビニルアルコール等の合成品が挙げられる。
【0097】
ノニオン性高分子としては、ポリビニルアルコール及びその変成物、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。また、両性高分子としては、ゼラチン等が挙げられる。中でも、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリビニルアルコールが好ましい。
【0098】
前記水溶性高分子は、0.01〜10質量%の水溶液として用いられる。
前記水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応性がないか、低いことが好ましく、例えば、ゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変成する等して反応性をなくしておくことが必要である。
【0099】
前記界面活性剤としては、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、前記水溶性高分子と作用し、沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。中でも、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が好ましい。
また、界面活性剤の添加量としては、油相の質量に対して、0.1〜5%、特に0.5%〜2%であることが好ましい。
【0100】
乳化分散は、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等、公知の乳化装置を用いることができる。
乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために、乳化物を30〜70℃に加温する。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌を行う等の必要がある。
【0101】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセルを得ることができる。
【0102】
(多色感熱記録材料)
本発明の多色感熱記録材料は、支持体上に複数の感熱記録層と中間層とを積層して得ることができる。支持体と感熱記録層との間には下塗り層を有することが好ましく、さらに、最外層として保護層を有することが好ましい。感熱記録層の層構成は、特に限定されるものではないが、特に感光波長の異なる2種のジアゾニウム塩化合物とそれぞれのジアゾニウム塩化合物と熱時反応して異なった色相に発色するカプラーを組み合わせた感熱記録層2層と、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組み合わせた感熱記録層とを積層した多色感熱記録材料が好ましい。
すなわち、支持体上に電子供与性染料と電子受容性化合物を含む感熱記録層C、最大吸収波長が365±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーを含有する感熱記録層B、最大吸収波長が420±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーを含有する感熱記録層ACとするものである。この例において、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選んでおけば、フルカラーの画像記録が可能となる。
【0103】
特に、光定着性の迅速さ、安定性の観点からは、上記フルカラーの記録可能な多色感熱記録材料の場合、支持体上に、シアン、マゼンタ、イエローの順に感熱記録層を積層することが好ましい。
【0104】
本発明の多色感熱記録材料においては、実質的に透明な感熱発色層を設けて多色画像の画像品質を向上させる観点から、マイクロカプセルに内包されなかった発色剤を固体分散させるのではなく、水に難溶性又は不溶性の有機溶剤に溶解せしめた後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして有する水相と混合し、乳化分散物とすることが好ましい。乳化分散を容易にする観点から、界面活性剤を用いることが好ましい。
【0105】
この場合に使用される有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載された高沸点オイルの中から適宜選択することができる。
これらの中でもエステル類を使用することが、乳化分散物の乳化安定性の観点から好ましく、中でも、燐酸トリクレジルを単独又は混合して使用した場合には電子受容性化合物の乳化分散安定性が特に良好であり好ましい。
上記のオイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
上記の有機溶剤に、更に低沸点の溶解助剤として補助溶剤を加えることもできる。このような補助溶剤として、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロライド等を特に好ましいものとして挙げることができる。場合により、高沸点オイルを含まず、低沸点補助溶剤のみを用いることもできる。
【0106】
これらの成分を含有する油相と混合する水相に、保護コロイドとして含有せしめる水溶性高分子は、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができる。好ましい水溶性高分子としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等を挙げることができる。
また、水相に含有せしめる界面活性剤は、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。好ましい界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等を挙げることができる。
【0107】
本発明の多色感熱記録材料において使用する乳化分散物は、上記成分を含有した油相と保護コロイド及び界面活性剤を含有する水相を、高速攪拌、超音波分散等、通常の微粒子乳化に用いられる手段等を使用して混合分散せしめることにより、容易に得ることができる。
また、油相の水相に対する比(油相重量/水相重量)は、0.02〜0.6が好ましく、特に0.1〜0.4であることが好ましい。0.02以下では水相が多すぎて希薄となり十分な発色性が得られず、0.6以上では逆に夜の粘度が高くなり、取り扱いの不便さや塗液安定性の低下をもたらす。
【0108】
本発明の多色感熱記録材料においては、感熱記録層に、発色素材等の各種の素材を支持体上又は、既に塗布された感熱記録層や中間層の上に固着させるためのバインダーを用いることが好ましい。
上記バインダーとしては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビヤゴム、ポリビニルピロリドン、カゼイン、スチレン−ブタジエンラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の各種エマルジョン等をあげることができる。
バインダーの使用量は固形分に換算して0.5〜5g/m2 とすることが好ましい。
本発明の多色感熱記録材料においては、以上の素材の他に酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を使用することができる。
【0109】
本発明の多色感熱記録材料は、感熱記録層の上部に保護層を設けており、保護層中には熱記録時のサーマルヘッドのマッチング性の向上、保護層の耐水性の向上等の目的で、顔料、金属石鹸、ワックス、架橋剤等が添加される。これらの顔料、金属石鹸、ワックス、架橋剤等の詳細については、例えば、特開平2−141279号公報に記載されている。
【0110】
また、感熱記録層上に均一に保護層を形成させるために、保護層形成用塗布液には界面活性剤が添加される。界面活性剤にはスルホコハク酸系のアルカリ金属塩、弗素含有界面活性剤等があり、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホコハク酸等のナトリウム塩又はアンモニウム塩等がある。
また、保護層中には、製造される感熱記録材料の帯電を防止するための界面活性剤、高分子電解質等を添加しても良い。保護層の固形分塗布量は通常0.2〜5g/m2 、好ましくは1g〜3g/m2 となるように製造されることが好ましい。
【0111】
なお、保護層を感熱記録層の最上層に設けた場合には、感熱記録層表面の機械的強度を向上させることができる。
【0112】
本発明の多色感熱記録材料においては、本発明に使用する多色感熱記録材料には、各層の熱分画を更に良好なものとするために発色層の間に中間層を設けることが好ましい。用いられる中間層の素材としては、水溶性高分子若しくは疎水性高分子のエマルジョン又はラテックス等が好ましい。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体及びそのエステル、ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、酸化デンプン、燐酸化デンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、硫酸化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
疎水性高分子のエマルジョン又はラテックスとしては、スチレン−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。
【0113】
この多色感熱記録材料の記録方法は、フルカラー構成の場合、まず、最上感熱記録層として配置された感熱記録層Cを加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーを発色させる。次に420±20nmの光を照射して感熱記録層C中に含まれている未反応のジアゾニウム塩化合物を分解させたのち、感熱記録層Bが発色するに十分な熱を加え、該層に含まれているジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。このとき感熱記録層Cも同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。さらに365±20nmの光を照射して感熱記録層Bに含まれているジアゾニウム塩化合物を分解し、最後に感熱記録層Aが発色する十分な熱を加えて発色させる。このとき感熱記録層C、Bも同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。
【0114】
本発明の多色感熱記録材料においては、光透過率調整層を設けることができる。光透過率調整層は、紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分を含有しており、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので、光透過率が高く、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、また、可視光線の透過率も高く、感熱記録層の定着に支障は生じない。
この紫外線吸収剤の前駆体は、光定着型感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光または熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、感熱記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
光透過率調整層は光定着型感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、最も望ましくは光定着型感熱記録層と保護層との間に形成するのがよいが、光透過率調整層を保護層と兼用するようにしてもよい。
【0115】
光透過率調整層の特性は、光定着型感熱記録層の特性に応じて任意に選定することができる。特に光透過率調整層が適用されるのに有効な感熱記録材料では、支持体上に、最大吸収波長365±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型感熱記録層と、最大吸収波長420±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型感熱記録層とを順次設け、この層上に光透過率調整層を設けることが望ましい。このような感熱記録材料の場合、光透過率調整層の光定着する波長領域における光透過率が365nmで65%以上であり、前記定着後の光透過率が365nmで20%以下であることが望ましい。この場合、光照射とは、キセノンランプ強制試験器で420nmの波長において、13kJ/m2 の光照射を行うことをいう。具体的には、Weather Ometer Ci65(Atlas Electric Co.製)0.9W/m2 で4.0時間の光照射をいう。
【0116】
また、支持体上に、最大吸収波長420±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型感熱記録層と、最大吸収波長365±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型感熱記録層と、を順次設けた感熱記録材料であってもよい。
【0117】
さらに本発明は、最大吸収波長が360nm未満のジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型感熱記録層と、最大吸収波長が420nmを超えるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型感熱記録層と、の場合にも適用される。
【0118】
また、感熱記録層において、各感熱記録層の色相を変えることにより、多色の感熱記録材料が得られる。すなわち、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選べばフルカラーの画像記録が可能となる。この場合、支持体面に直接、積層(感熱記録層の最下層)される感熱記録層の発色機構は、電子供与性染料と、電子受容性染料との組み合わせ系ジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と反応呈色するカプラーとからジアゾ発色系、塩基性化合物と接触して発色する塩基発色系、キレート発色系、求核剤と反応して脱離反応を起こし発色する発色系等のいずれでもよく、この感熱記録層上に最大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを各々含有する光定着型感熱記録層を2層以上設けることが好ましく、この層上に光透過率調整層、保護層を順次設けるのが望ましい。
光透過率調整層に用いられる化合物としては、例えば、特開平9−1928号公報に記載されているものを挙げることができる。
【0119】
本発明においては耐光性を更に向上させるために以下に示す公知の酸化防止剤を用いることができ、例えばヨーロッパ公開特許第310551号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、ヨーロッパ公開特許第310552号公報、特開平3−121449号公報、ヨーロッパ公開特許第459416号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開昭63−163351号公報、アメリカ特許第4814262号、特開昭54−48535号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4980275号、特開昭63−113536号公報、特開昭62−262047号公報、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、ヨーロッパ公開特許第309402号公報、ヨーロッパ公開特許第309401号公報等に記載のものが挙げられる。
【0120】
更に、すでに感熱記録材料、感圧記録材料として公知の各種添加剤を用いることも有効である。これらの酸化防止剤の一部を示すならば、特開昭60−125470号公報、特開昭60−125471号公報、特開昭60−125472号公報、特開昭60−287485号公報、特開昭60−287486号公報、特開昭60−287487号公報、特開昭62−146680号公報、特開昭60−287488号公報、特開昭62−282885号公報、特開昭63−89877号公報、特開昭63−88380号公報、特開昭63−088381号公報、特開平01−239282号公報、特開平04−291685号公報、特開平04−291684号公報、特開平05−188687号公報、特開平05−188686号公報、特開平05−110490号公報、特開平05−1108437号公報、特開平05−170361号公報、特開昭63−203372号公報、特開昭63−224989号公報、特開昭63−267594号公報、特開昭63−182484号公報、特開昭60−107384号公報、特開昭60−107383号公報、特開昭61−160287号公報、特開昭61−185483号公報、特開昭61−211079号公報、特開昭63−251282号公報、特開昭63−051174号公報、特公昭48−043294号公報、特公昭48−033212号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0121】
具体例には6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス−4−ヒドロキシフェニルプロパン、1,1−ビス−4−ヒドロキシフェニル−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドールや以下に示す化合物が挙げられる。
【0122】
(多色感熱記録材料の製造方法)
本発明の多色感熱記録材料は、ジアゾニウム塩化合物を内包するマイクロカプセル、カプラー、及び必要に応じて、有機塩基、その他の添加物を含有する塗布液(感熱記録層塗布液)を調製し、公知の塗布方法により紙や合成樹脂フィルム等の支持体の上に塗布し、乾燥して形成する。前記感熱記録層の固形分(質量)としては、2.5〜30g/m2が好ましい。
【0123】
前記塗布方法としては、バー塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティング塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等が挙げられる。
本発明の感熱記録材料においては、マイクロカプセル、カプラー、有機塩基等が同一層に含まれていてもよいが、別層に含まれるような積層型の構成とすることもできる。また、支持体上に、特願昭59−177669号公報等に記載の中間層を設けた後、感熱記録層を塗布形成することもできる。
【0124】
本発明の感熱記録材料には、必要に応じて、感熱記録層上にさらに保護層を設けてもよく、該保護層は、必要に応じて二層以上積層してもよい。
前記保護層に用いる材料としては、ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、
【0125】
ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子化合物、及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等のラテックス類が用いられる。保護層の水溶性高分子化合物を架橋して、より保存安定性を向上させることもでき、その架橋剤としては公知の架橋剤を使用することができる。具体的にはN−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類、硼酸、硼砂等の無機系架橋剤、ポリアミドエピクロルヒドリン等が挙げられる。
【0126】
前記保護層には、さらに公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤、紫外線吸収剤やその前駆体等を含有させてもよい。
尚、保護層は、前記成分を含有する塗布液(保護層塗布液)を調製し、該塗布液を、塗布・乾燥することにより形成できる。保護層塗布液の塗布量(固形分)としては、0.2〜5g/m2が好ましく、0.5〜2g/m2がより好ましい。また、保護層の層厚としては、0.2〜5μmが好ましく、0.5〜2μmがより好ましい。
【0127】
支持体としては、通常の感圧紙や感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙等に用いられる紙支持体はいずれも使用することができる他、酸性紙、中性紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙、プラスチックフィルム等を使用することができる。
支持体のカールバランスを補正するため、あるいは裏面からの耐薬品性を向上させる目的で、バックコート層を設けてもよく、また裏面に接着剤層を介して剥離紙を組み合わせてラベルの形態にしてもよい。このバックコート層についても前記保護層と同様にして設けることができる。
【0128】
上記のように、一般式(1)で表されるジアゾニウム塩化合物と一般式(2)で表されるカプラーとを組合せることにより、黄色の発色色素の形成が可能であり、しかも発色した黄色色相が良好であること、耐光性に優れること、地肌部の白色性に優れることを同時に満足することができる。
【0129】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、下記実施例中「部」は、特に限定のないかぎり「質量部」を意味し、「%」は特に限定のない限り「質量%」を意味する。
【0130】
(実施例1)
<フタル化ゼラチン溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名;#801ゼラチン,新田ゼラチン (株)製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)0.9143部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0131】
<アルカリ処理ゼラチン溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン (株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)0.7286部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解し、乳化物作成用ゼラチン水溶液を得た。
【0132】
(1)イエロー感熱記録層液の調整
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>
酢酸エチル16.1部に、下記ジアゾニウム化合物(A)(最大吸収波長420nm)2.2部、下記ジアゾニウム化合物(B)(最大吸収波長420nm)2.2部、モノイソプロピルビフェニル2.4部、フタル酸ジフェニル3.6部およびフェニル2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.6部、ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリンTPO,BASFジャパン(株)製)0.4部を添加し40℃に加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(商品名;タケネートD119N(50重量%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)8.6部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
【0133】
【化8】
【0134】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液58.6部にイオン交換水16.3部、Scraph AG−8(50重量%)日本精化(株)製)0.34部添加し、混合液(II)を得た。
【0135】
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.35μmであった。
【0136】
<カプラー化合物乳化液(a)の調製>
酢酸エチル33.0部に下記カプラー化合物(C)9.9部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)9.9部、4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))20.8部、3,3,3´,3 ´−テトラメチル−5,5´、6,6´−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1´−スピロビスインダン3.3部、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製) 13.6部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)6.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製) 4.2部を溶解し、混合液(III)を得た。
【0137】
【化9】
【0138】
別途前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(IV)を得た。
【0139】
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5重量%になるように濃度調節を行った。得られたカプラー化合物乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.21μmであった。
【0140】
更に上記カプラー化合物乳化物100部に対して、SBRラテックス(商品名SN−307,48%液、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5%に濃度調整したものを9部添加して均一に撹拌してカプラー化合物乳化液(a)を得た。
【0141】
<塗布液(a)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)および前記カプラー化合物分乳化液(a)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物の重量比が2.2/1になるように混合し、感熱記録層用塗布液(a)を得た。
【0142】
(2)マゼンタ感熱記録層液の調整
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製>
酢酸エチル15.1部に、下記ジアゾニウム化合物(D)(最大吸収波長365nm)2.8部、フタル酸ジフェニル3.8部、フェニル2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.9部及びトリメチロールプロパントリメタクリレート4.2部及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製) 0.1部を添加し加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の混合物(商品名;タケネートD119N(50重量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル (株)製)2.5部とキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75重量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル (株)製)6.8部を添加し、均一に攪拌し混合液(V)を得た。
【0143】
【化10】
【0144】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液55.3部にイオン交換水21.0部添加、混合し、混合液(VI)を得た。
【0145】
混合液(VI)に混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水24部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(ba)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.43μmであった。
【0146】
<カプラー化合物乳化液(b)の調製>
酢酸エチル36.9部に下記カプラー化合物(F)11.9部とトリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0部、4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM(三井石油化学(株)製))14.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン 14部、3,3,3´,3 ´−テトラメチル−5,5´、6,6´−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1´−スピロビスインダン3.5部、下記化合物(G) 3.5部、リン酸トリクレジル 1.7部、マレイン酸ジエチル0.8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C 70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製) 4.5部を溶解し、混合液(VII)を得た。
【0147】
【化11】
【0148】
別途アルカリ処理ゼラチン水溶液150部にイオン交換水78部を混合し、混合液(VIII)を得た。
【0149】
混合液(VIII)に混合液(VII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5重量%になるように濃度調節を行い、カプラー化合物乳化液(b)を得た。得られたカプラー化合物乳化液の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.22μmであった。
【0150】
<塗布液(b)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(ba)および前記カプラー化合物分乳化液(b)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾ化合物の重量比が3.5/1になるように混合した。さらに、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5重量%)をカプセル液量10部に対し、0.2部になるように混合し、感熱記録層用塗布液(b)を得た。
【0151】
(3)シアン感熱記録層液の調整
<電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製>
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料前駆体(H)7.6部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタンおよび1−(1−メチルプロプルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名;ハイゾールSAS−310,日本石油(株)製)12.0部、下記化合物(I)(商品名;Irgaperm2140 チバガイギー(株)の商品名)4.0部を添加し加熱して均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物 (商品名;タケネートD110N(75重量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル (株)製)7.2部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名;ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)5.3部を添加し、均一に攪拌し混合液(IX)を得た。
【0152】
【化12】
【0153】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液28.8部にイオン交換水9.5部、Scraph AG−8(50重量%)日本精化(株)製)0.17部およびドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加混合し、混合液(X)を得た。
【0154】
混合液(X)に混合液(IX)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水50部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加え均一化し、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行ないカプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節しマイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で1.00μmであった。
【0155】
更に上記マイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム25%水溶液(商品名;ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7部と4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2’−ジスルフォン誘導体を含む蛍光増白剤(商品名;Kaycoll BXNL、日本曹達(株)製)を4.3部添加して均一に撹拌してマイクロカプセル分散液(c)を得た。
【0156】
<電子受容性化合物分散液(c)の調製>
前記フタル化ゼラチン水溶液11.3重量部にイオン交換水30.1重量部、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールP、三井石油化学(株)製) 15重量部、2重量%−2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8重量部を加えて、ボールミルにて一晩分散した後、分散液を得た。この分散液の、固形分濃度は26.6重量%であった。
【0157】
上記分散液100重量部に、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2重量部加えて、30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(c)を得た。
【0158】
<塗布液(c)の調製>
前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)および前記電子受容性化合物分散液(c)を、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体の重量比が10/1になるように混合し、塗布液(c)を得た。
【0159】
(4)中間層用塗布液の調製
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン (株)製)100.0部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)2.857部、水酸化カルシウム0.5部、イオン交換水521.643部を混合し、50℃にて溶解し、中間層作成用ゼラチン水溶液を得た。
【0160】
前記中間層作成用ゼラチン水溶液10.0部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製 2.0重量%水溶液)0.05部、硼酸(4.0重量%水溶液)1.5部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5重量%)0.19部、下記化合物(J)(和光純薬(株)製)の4重量%水溶液3.42部、下記化合物(J’)(和光純薬(株)製)の4重量%水溶液1.13部、イオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液とした。
【0161】
【化13】
【0162】
(5)光透過率調整層用塗布液の調製
<紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製>
【0163】
酢酸エチル180部に紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート10部、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−3−オクチロキシフェニル ベンゼンスルホナート10部、2−4−ジ−t−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル ベンゼンスルホナート8部、2−t−ブチル−6−(5−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェニルベンゼンスルホナート5部、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン11部、燐酸トリクレジル4部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100,三井化学(株)製)13部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C (70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製) 1.1部を均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物 (商品名;タケネートD110N(75重量%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル (株)製)65部を添加し、均一に攪拌し紫外線吸収剤前駆体混合液(VII)を得た。
【0164】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)72部、シリカ変性ポリビニルアルコール(商品名:R−1130,クラレ(株)製)72部に30重量%燐酸水溶液12.2部、イオン交換水1509部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を作製した。
【0165】
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液1260部に前記紫外線吸収剤前駆体混合液(VII)307.1部を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水250部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3 (オルガノ(株)製)72.5部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13%になるように濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。このカプセル液1602部に、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスOL(20%水溶液),日産化学工業(株)製)41部、カルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307,(48重量%水溶液),住友ノーガタック(株)製)4.3部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0166】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000部に、イオン交換水296.4部、4重量%水酸化ナトリウム水溶液19.5部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製 2.0重量%水溶液)51.43部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0167】
(6)保護層用塗布液の調製
<保護層用ポリビニルアルコール溶液の作製>
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130,電気化学工業(株)製)160部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルの混合液(商品名:ネオスコアCM−57,(54重量%水溶液),東邦化学工業(株)製)8.74部、イオン交換水3832部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0168】
<保護層用顔料分散液の作製>
硫酸バリウム(商品名:BF−21F,硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40重量%水溶液),花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して保護層用顔料分散液を作成した。この分散液は粒径測定(LA−910,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
【0169】
上記硫酸バリウム分散液45.6部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20重量%水分散液)、日産化学(株)製)8.1部を添加して目的の分散物を得た。
【0170】
<保護層用マット剤分散液の作製>
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220部に1−2ベンズイソチアゾリン3オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0171】
<保護層用塗布ブレンド液の調製>
前記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000部にフッ素系界面活性剤 (商品名:メガファックF−120,5重量%水溶液,大日本インキ化学工業(株))40部、 (4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム (三協化学(株)製 2.0重量%水溶液)50部、前記保護層用顔料分散液49.87部、前記保護層用マット剤分散液25部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115,20.5重量%水溶液,中京油脂(株)製)65部、イオン交換水280部を均一に混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
【0172】
(7)下塗り層つき支持体
<下塗り層液の作製>
アセトアセチル変性PVA(重合度:約1000,商品名:ゴーセファイマーZ−210、日本合成化学工業性)を12.85部、水87.15部を加え90℃以上で撹拌溶解した。
【0173】
このアセトアセチル変性PVA溶液100部を撹拌しながら、水2.58部加え、次にコープケミカル社製の水膨潤性合成雲母分散液MEB−3(アスペクト比:約1000、平均粒子径約2.0μmの雲母分散液)を18.90部加え、充分に撹拌した。後、メタノールを84.90部徐々に撹拌しながら加え、更にメタノール溶解の1.66%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤3.10部加え、最後に1Nの水酸化ナトリウム0.45部加え6.87%の下塗り液を得た。
【0174】
<下塗り層つき支持体の作製>
1種以上のLBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)100部からなる木材パルプをデイスクリファイナーによりカナデイアンフリーネス300ccまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、硫酸アルミニウム1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部をいずれもパルプに対する絶乾重量比で添加し長網抄紙機により抄紙し、更にその原紙両面をサイズプレス機にて塩化カルシウム、水溶性蛍光増白剤を含むポリビニルアルコール溶液を塗布して、坪量114g/m2の原紙を抄造しキャレンダー処理によって厚み100μmに調整した。
【0175】
次に原紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押し出し機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーテイングしマット面からなる樹脂層を形成した(この面をウラ面と呼ぶ)。次に上記樹脂層を形成した面とは反対側に溶融押し出し機を用いてアナターゼ型二酸化チタンを10重量%及び微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚50μmとなるようにコーテイングし光沢面からなる樹脂層を形成した(この面をオモテ面と呼ぶ)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(商品名;アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)/二酸化珪素(商品名;スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(重量比)を水に分散させて乾燥後の重量で0.2g/m2塗布した。次にオモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、得られた下塗り層塗布液を40℃にて保温し、斜線グラビアロール100メッシュにて塗布し乾燥し、下塗り層つき支持体を得た。その時の乾燥前塗布量は12.5g/m2であった。
【0176】
(8)多色感熱記録材料の作製
<各感熱記録層用塗布液の塗布>
前記下塗り層つき支持体の上に、下から、前記感熱記録層用塗布液(c)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(b)、前記中間層用塗布液、前記感熱記録層用塗布液(a)、前記光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液の順に7層同時に連続塗布し、30℃湿度30%、および40℃湿度30%の条件でそれぞれ乾燥して多色感熱記録材料を得た。
【0177】
この際前記感熱記録層用塗布液(a)の塗布量は液中に含まれるジアゾ化合物(A)の塗布量が固形分塗布量で0.078g/m2となるように、同様に前記感熱記録層用塗布液(b)の塗布量は液中に含まれるジアゾ化合物(D)の塗布量が固形分塗布量で0.206g/m2となるように、同様に前記感熱記録層用塗布液(c)の塗布量は液中に含まれる電子供与性染料(H)の塗布量が固形分塗布量で0.355g/m2となるように塗布を行った。
【0178】
また、前記中間層用塗布液は(a)と(b)の間は固形分塗布量が2.39g/m2、(b)と(c)の間は固形分塗布量が3.34g/m2、前記光透過率調整層用塗布液は固形分塗布量が2.35g/m2、保護層は固形分塗布量が1.39g/m2となるように塗布を行った。以上の工程を経て、実施例1における多色感熱記録材料を作製した。
【0179】
(実施例2)
実施例1の<カプラー化合物乳化液(a)の調製>で用いたカプラー化合物(C)の代わりに、下記カプラー化合物(K)を用いた以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を得た。
【0180】
【化14】
【0181】
(実施例3)
実施例1の<カプラー化合物乳化液(a)の調製>で用いたカプラー化合物(C)の代わりに、下記カプラー化合物(L)を用いた以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を得た。
【0182】
【化15】
【0183】
(実施例4)
実施例1の<カプラー化合物乳化液(a)の調製>で用いたカプラー化合物(C)の代わりに、下記カプラー化合物(M)を用いた以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を得た。
【0184】
【化16】
【0185】
(比較例1)
実施例1の<カプラー化合物乳化液(a)の調製>で用いたカプラー化合物(C)の代わりに、下記カプラー化合物(N)を用いた以外は実施例1と同様にして多色感熱記録材料を得た。
【0186】
【化17】
【0187】
(比較例2)
実施例1の<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>でマイクロカプセルの粒径が0.5μmになるように調製した以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録材料を得た。
【0188】
(比較例3)
実施例2の<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>でマイクロカプセルの粒径が0.5μmになるように調製した以外は、実施例2と同様にして多色感熱記録材料を得た。
【0189】
<多色感熱記録材料の評価>
上記より得た実施例1〜4及び比較例1〜3の多色感熱記録材料に対して、以下に述べる方法により画像部及び地肌部のイエロー濃度の評価を行った。
【0190】
1.画像部のイエロー濃度の評価
(1)実施例1〜4及び比較例1〜3の多色感熱記録材料について、NC370D(富士写真フイルム(株)製)を用いイエローのステップウェッジ画像を印画した。
(2)上記より得られた画像の中間部と、高濃度部の光学反射イエロー濃度を、X−rite濃度計で測定した。
【0191】
2.地肌部のイエロー濃度の評価
(1) 実施例1〜4及び比較例1〜3の多色感熱記録材料の未処理のサンプルと、40℃−90%RHの環境条件に調整した恒温恒湿槽中に3日間放置して強制劣化処理を施したサンプルについて、発光中心波長420nm、出力40Wの紫外線ランプを用いて10秒間照射した後、さらに発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプを用いて10秒間照射し定着した。
(2)地肌部の光学反射イエロー濃度を、X−rite濃度計で定着10分後に測定した。前記画像部、地肌部のイエロー濃度を評価した結果を下記表1に示す。
【0192】
【表1】
【0193】
上記表1に示すように、本発明に規定するカプラー化合物とカプセル粒径0.36μmのジアゾニウム塩化合物含有マイクロカプセルとの組合せを使用した実施例では、印画部のイエロー発色濃度が中間部及び高濃度部の全てにおいて顕著に高く、また、地肌部のイエロー濃度変化がすくなかった。これらよりその印画部の黄色色素の発色性に優れ、しかも、地肌部の白色性に優れる色相の良好な黄色画像を形成することがわかった。
【0194】
【発明の効果】
本発明によれば、イエロー色素の発色性及び地肌部の白色性に優れ、特に、イエロー色相において、良好なイエロー発色画像が得られる多色感熱記録材料を提供することができる。
Claims (4)
- 支持体上に、ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物とカップリング反応して発色させるカプラーとを含有する少なくとも1層の感熱記録層を有する感熱記録材料において、前記カプラーが下記一般式(1)で表される化合物であり、かつ、前記ジアゾニウム塩化合物が平均粒子径0.4μm以下のマイクロカプセルに内包されてなることを特徴とする多色感熱記録材料。
R2は、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、 アルキルチオ基、アラルキルチオ基、置換アミノ基を表す。
R3は、−NHSO2R4または−SO2NR5R6を表す。R4は、置換または無置換のアルキル基を表し、R5、R6はそれぞれ独立して置換または無置換のアルキル基または水素原子を表す。) - 前記マイクロカプセルを形成するカプセル壁がウレア及び/またはウレタンを構成成分とする請求項1に記載の多色感熱記録材料。
- 支持体上に、シアン、マゼンタ、イエローの各感熱記録層を順次設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の多色感熱記録材料。
- 支持体上に、電子供与性染料と電子受容性化合物を含有する感熱記録層Cを設けてなり、該感熱記録層Cの上に最大吸収波長が365±20nmである前記ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラーを含有する感熱記録層Bを設けてなり、該感熱記録層Bの上に最大吸収波長が420±20nmである前記ジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色する前記カプラーを含有する感熱記録層Aを設けてなり、該感熱記録層Aの上に保護層を設けてなることを特徴とする請求項1乃至4までのいずれかに記載の多色感熱記録材料。
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