JP2004142103A - 既設管の補修工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】既設管の曲がり部が、たとえ直角に屈曲するエルボ管であっても、曲がり部における樹脂管の座屈発生を防止して、所望どおりの流量を確保できる既設管の補修工法。
【解決手段】曲がり部Eを有する既設管Pに加熱軟化状態にある樹脂管1を挿通し、樹脂管1を冷却硬化させて補修する既設管の補修工法で、既設管Pに挿通した加熱軟化状態にある樹脂管1内に硬質ピグ2を挿入して曲がり部Eの一側方に位置させ、その硬質ピグ2が曲がり部Eに位置するまで、硬質ピグ2と樹脂管1を共に曲がり部Eの他側方に向けて移動させ、硬質ピグ2が曲がり部Eに位置する状態で樹脂管1を冷却硬化させる。
【選択図】 図4
【解決手段】曲がり部Eを有する既設管Pに加熱軟化状態にある樹脂管1を挿通し、樹脂管1を冷却硬化させて補修する既設管の補修工法で、既設管Pに挿通した加熱軟化状態にある樹脂管1内に硬質ピグ2を挿入して曲がり部Eの一側方に位置させ、その硬質ピグ2が曲がり部Eに位置するまで、硬質ピグ2と樹脂管1を共に曲がり部Eの他側方に向けて移動させ、硬質ピグ2が曲がり部Eに位置する状態で樹脂管1を冷却硬化させる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、曲がり部を有する既設管に加熱軟化状態にある樹脂管を挿通し、その樹脂管を冷却硬化させて補修する既設管の補修工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような補修工法は、例えば、地中に埋設された都市ガス用の既設管を更新するためのもので、従来の工法では、曲がり部を有する既設管に対して、その既設管の呼び径よりも1ランク小さい呼び径の樹脂管を挿通することにより、樹脂管に対する既設管内周面からの拘束を緩和して、既設管の曲がり部における樹脂管への皺の発生を抑制している(例えば、特許文献1参照)。
また、曲がり部を有する既設管に加熱軟化状態にある樹脂管を挿通した後、樹脂管内に膨張可能な環状チューブを有する拡径具を挿入し、その拡径具を既設管の曲がり部に位置させて膨張させることで、樹脂管にできた皺を押し延ばすものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−150543号公報(第2〜3頁、図1)
【特許文献2】
特開2001−271964号公報(第4頁、図4、図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1に開示の工法では、既設管の曲がり部が、直角に屈曲するエルボ管や直角に近い角度で屈曲するベンド管の場合、その曲がり部において樹脂管が座屈し、その座屈部が樹脂管の内方に大きく突出して、樹脂管の内径を狭める結果、更新後において十分な流量が得られなくなる可能性がある。
また、特許文献2に開示の工法でも、曲がり部がエルボ管やそれに近いベンド管の場合、樹脂管が座屈して内方へ突出するため、その後、拡径具の膨張により座屈部を元の状態に伸張することはきわめて困難なことで、やはり、更新後において十分な流量が得られない結果となる。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、既設管の曲がり部が、たとえ直角に屈曲するエルボ管であっても、曲がり部における樹脂管の座屈発生を防止して、所望どおりの流量を確保できる既設管の補修工法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の特徴構成は、曲がり部を有する既設管に加熱軟化状態にある樹脂管を挿通し、その樹脂管を冷却硬化させて補修する既設管の補修工法であって、前記既設管に挿通した加熱軟化状態にある樹脂管内に硬質ピグを挿入して前記曲がり部の一側方に位置させ、その硬質ピグが前記曲がり部に位置するまで、その硬質ピグと前記樹脂管を共に前記曲がり部の他側方に向けて移動させ、前記硬質ピグが前記曲がり部に位置する状態で前記樹脂管を冷却硬化させるところにある。
【0007】
請求項1の発明の特徴構成によれば、既設管に挿通した加熱軟化状態にある樹脂管内に硬質ピグを挿入して、硬質ピグを既設管の曲がり部の一側方に位置させ、その硬質ピグが曲がり部に位置するまで、硬質ピグと樹脂管を共に曲がり部の他側方に向けて移動させるので、たとえ樹脂管が座屈して座屈部が内方へ突出していても、その座屈部は、埋設管の直管部分にまで移動されて引っ張られるので、その結果、ほぼ元の状態にまで伸張される。
また、その樹脂管において、座屈部よりも移動方向上手側に位置する部分は、曲がり部にまで移動されるが、樹脂管は硬質ピグと共に移動されて曲がり部に至り、その曲がり部には硬質ピグが位置するので、たとえ曲がり部が直角に屈曲するエルボ管であっても、硬質ピグによって樹脂管の座屈は抑制される。
そして、硬質ピグが曲がり部に位置する状態で、加熱軟化状態にある樹脂管を冷却硬化させるので、その後において座屈が発生することもなく、所望どおりの流量を確保することができる。
【0008】
請求項2の発明の特徴構成は、前記硬質ピグが前記既設管の長手方向に貫通する貫通孔を備えていて、その貫通孔を通して加熱流体を供給しながら前記樹脂管を加熱軟化させるとともに、その貫通孔を通して冷却流体を供給しながら前記樹脂管を冷却硬化させるところにある。
【0009】
請求項2の発明の特徴構成によれば、硬質ピグが既設管の長手方向に貫通する貫通孔を備えていて、その貫通孔を通して加熱流体を供給しながら樹脂管を加熱軟化させ、また、その貫通孔を通して冷却流体を供給しながら樹脂管を冷却硬化させるので、例えば、樹脂管のいずれか一方側から加熱流体を供給するだけで樹脂管全体を効率良く加熱したり、また、樹脂管のいずれか一方側から冷却流体を供給するだけで樹脂管全体を効率良く冷却することができ、補修作業の簡素化を図ることができる。
【0010】
請求項3の発明の特徴構成は、前記硬質ピグを扁平な紐状体により牽引して前記曲がり部にまで移動させるところにある。
【0011】
請求項3の発明の特徴構成によれば、硬質ピグを紐状体により牽引して曲がり部にまで移動させるので、例えば、流体圧により硬質ピグを押圧して移動させるのに比して、硬質ピグの移動操作が確実となる。
その場合、紐状体が樹脂管の座屈部に摺接して座屈部を損傷させる可能性があるが、硬質ピグを牽引する紐状体は扁平な紐状体であるから、その扁平な面が座屈部側を向くように設定して牽引することにより、たとえ紐状体が座屈部に摺接しても、座屈部の損傷は回避される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明による既設管の補修工法につき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
この補修工法は、図1に示すように、例えば、地中に埋設された既設管の一例である都市ガス用鋳鉄管や都市ガス用鋼管(以下、既設管と称する)Pにおいて、直角に屈曲するエルボ管Eなどの曲がり部を有するものを対象とし、エルボ管Eを含む既設管P内に熱可塑性樹脂からなる樹脂管1を挿通して既設管Pを更新あるいは更生するためのもので、樹脂管1としては、例えば、対象とする既設管Pの呼び径よりも1ランク小さい呼び径の管で、押出し成形により製造されたポリエチレン製の樹脂管などが使用される。
【0013】
この補修工法では、図2に示すように、球形の硬質ピグ2が使用され、その硬質ピグ2には、球の中心を貫通する貫通孔3が設けられ、貫通孔3の両開口部側に2本の連結紐4aを介してピグ移動用紐4bがそれぞれ連結されている。
硬質ピグ2は、金属、木材、合成樹脂、硬質ゴムなどのような比較的硬い材質の材料で形成され、樹脂管1の損傷を回避するため、表面を樹脂管1に対して滑りの良い合成樹脂などで被覆するのが好ましい。
補助紐4aとピグ移動用の紐4bからなる紐状体4は、例えば、複数本のワイヤ5とそのワイヤ5を覆う合成樹脂などの被覆材6で形成され、断面が扁平な形状に構成されている。
【0014】
つぎに、樹脂管1や硬質ピグ2を使用して、地中に埋設された既設管Pを更新あるいは更生する補修工法について説明するが、既設管Pに加熱軟化状態にある樹脂管1を挿通する工程までは、従来の工法と特に変わるところがないので簡単に説明する。
まず、従来の工法と同様、図1に示すように、既設管Pの更新区間の一端にピットを掘るか、場合によっては、更新区間の両端にピットを掘って既設管Pを切断し、樹脂管1を巻いたリール、および、スチームや冷却空気を供給する装置などを搭載した作業車を更新区間の一方に配置し、ウインチなどを搭載した作業車を他方に配置する。
その後、通線具などを使用して既設管Pに牽引用ワイヤを挿通し、樹脂管1内にピグ移動用紐4bを挿通した状態で、その樹脂管1に牽引用ワイヤの一端を連結し、樹脂管1内に加熱流体としてのスチームを供給しながら、牽引用ワイヤの他端をウインチにより巻き取って、加熱軟化状態にある樹脂管1を既設管Pに挿通する。
【0015】
その樹脂管1の挿通に伴って、エルボ管E部分においては、図3の(イ)に示すように、樹脂管1の曲がり部内側が座屈して、その樹脂管1の座屈部1aが、樹脂管1の内方へ突出した状態となる。
つぎに、ピグ移動用紐4bに補助紐4aを介して硬質ピグ2を連結し、その硬質ピグ2を加熱軟化状態にある樹脂管1内に挿入して、ピグ移動用の紐4bをウインチなどで巻き取り、図3の(ロ)に示すように、硬質ピグ2を矢印方向に移動させて座屈部1aの手前、つまり、エルボ管Eの一側方で停止させる。
その際、硬質ピグ2の移動方向後方側にも、補助紐4aを介してピグ移動用紐4bを連結し、そのピグ移動用紐4bに適度な張力を持たせることで、硬質ピグ2の姿勢保持と円滑な移動が可能となる。また、硬質ピグ2の移動方向前方側においては、ピグ移動用紐4bや補助紐4aが座屈部1aに接触する可能性があるが、ピグ移動用紐4bと補助紐4aは扁平な形状を有して、その扁平な面が座屈部1a側を向くように設定されているので、加熱軟化状態にある座屈部1aを傷つけるおそれはない。
【0016】
このように硬質ピグ2をエルボ管Eの一側方に位置させた後、図4の(イ)に示すように、硬質ピグ2と樹脂管1を共にエルボ管Eの他側方に向けて同じ速度で一緒に移動させ、硬質ピグ2がエルボ管Eの中央近傍に位置する状態で停止させる。それにより、樹脂管1の座屈部1aは、硬質ピグ2の貫通孔3を通して供給される加熱流体としてのスチーム7により加熱軟化状態に維持されて、埋設管Pの直管部分にまで引っ張られるので、座屈部1aは、図4の(ロ)に示すように、ほぼ元の状態にまで伸張される。
同時に、樹脂管1において、座屈部1aよりも移動方向上手側に位置する部分が、エルボ管Eの中央近傍にまで移動されることになるが、樹脂管1は硬質ピグ2と共に移動されてエルボ管Eの中央近傍に硬質ピグ2が位置するので、図3の(イ)に示したような顕著な座屈は発生せず、仮に発生したとしても細かい皺のようなもので、樹脂管1の内部に大きく突出することはない。
その後、図5に示すように、硬質ピグ2の貫通孔3を通して供給される冷却流体としての冷却空気8により樹脂管1を冷却硬化させ、硬質ピグ2を抜き取って作業を完了するのであり、樹脂管1が冷却により収縮しているので、硬質ピグ2を円滑に抜き取ることができる。
【0017】
〔別実施形態〕
(1)先の実施形態では、硬質ピグ2をひとつだけ用いて既設管Pを更新する工法を示したが、硬質ピグ2を複数個用いて実施することもできる。
例えば、図6に示すように、貫通孔3を有する2つの硬質ピグ2を扁平な2本の紐4cにより互いに連結し、この図6に示すように、移動方向前方側の硬質ピグ2を座屈部1aの手前で停止させ、その後、2つの硬質ピグ2と樹脂管1を共にエルボ管Eの他側方に向けて同じ速度で一緒に移動させ、移動方向後方側の硬質ピグ2がエルボ管Eの中央近傍に位置する状態で停止させるのである。
このように2つの硬質ピグ2、あるいは、図示はしないが、3つ以上の硬質ピグ2を互いに連結することにより、硬質ピグ2と樹脂管1を共にエルボ管Eの他側方に向けて移動させた後、そのエルボ管Eの中央近傍にいずれかの硬質ピグ2を確実に位置させることができ、したがって、座屈部1aの発生をより確実に防止することができる。
【0018】
(2)これまでの実施形態では、球形の硬質ピグ2を使用した例を示したが、硬質ピグ2の形状は球形に限るものではなく、卵型や鉛筆のような形状にすることもできる。要するに、エルボ管Eでの樹脂管1の座屈発生を抑制し得るに足る長さを有し、かつ、エルボ管Eを円滑に通過できる形状であればよい。いずれにせよ、硬質ピグ2の最大外径を樹脂管1の内径の70%前後に設定するのが好ましく、2つ以上の硬質ピグ2を互いに連結して実施する場合には、形状や大きさの異なる硬質ピグ2を互いに連結して実施することもできる。
また、硬質ピグ2と樹脂管1を共にエルボ管Eの他側方に向けて移動させる際、硬質ピグ2と樹脂管1を同じ速度で一緒に移動させる例を示したが、例えば、硬質ピグ2よりも樹脂管1の移動速度を若干速くし、樹脂管1を硬質ピグ2に先行するように移動させることもできる。このように樹脂管1を先行させることで、硬質ピグ2との相対摺動によって樹脂管1の伸張効果が向上することになり、その場合には、樹脂管1との相対滑りを良くするため、硬質ピグ2の表面を合成樹脂などで被覆するのが好ましい。
【0019】
(3)これまでの実施形態では、既設管Pの一例として地中に埋設された都市ガス用鋳鉄管や鋼管を示したが、必ずしも地中に埋設された既設管に限るものではなく、地上に配設された既設管にも適用可能であり、また、ガス管以外の水道管などにも適用可能である。
また、曲がり部の一例として直角に屈曲するエルボ管Eを示したが、直角以外の角度で屈曲する各種のベンド管などを有する既設管Pを対象として実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】既設管の補修工法を示す概略図
【図2】既設管の補修工法に使用する硬質ピグの斜視図
【図3】既設管の補修工法を示す要部の断面図
【図4】既設管の補修工法を示す要部の断面図
【図5】既設管の補修工法を示す要部の断面図
【図6】別の実施形態による既設管の補修工法を示す要部の断面図
【符号の説明】
1 樹脂管
2 硬質ピグ
3 貫通孔
4 紐状体
7 加熱流体
8 冷却流体
E 曲がり部
P 既設管
【発明の属する技術分野】
本発明は、曲がり部を有する既設管に加熱軟化状態にある樹脂管を挿通し、その樹脂管を冷却硬化させて補修する既設管の補修工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような補修工法は、例えば、地中に埋設された都市ガス用の既設管を更新するためのもので、従来の工法では、曲がり部を有する既設管に対して、その既設管の呼び径よりも1ランク小さい呼び径の樹脂管を挿通することにより、樹脂管に対する既設管内周面からの拘束を緩和して、既設管の曲がり部における樹脂管への皺の発生を抑制している(例えば、特許文献1参照)。
また、曲がり部を有する既設管に加熱軟化状態にある樹脂管を挿通した後、樹脂管内に膨張可能な環状チューブを有する拡径具を挿入し、その拡径具を既設管の曲がり部に位置させて膨張させることで、樹脂管にできた皺を押し延ばすものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−150543号公報(第2〜3頁、図1)
【特許文献2】
特開2001−271964号公報(第4頁、図4、図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1に開示の工法では、既設管の曲がり部が、直角に屈曲するエルボ管や直角に近い角度で屈曲するベンド管の場合、その曲がり部において樹脂管が座屈し、その座屈部が樹脂管の内方に大きく突出して、樹脂管の内径を狭める結果、更新後において十分な流量が得られなくなる可能性がある。
また、特許文献2に開示の工法でも、曲がり部がエルボ管やそれに近いベンド管の場合、樹脂管が座屈して内方へ突出するため、その後、拡径具の膨張により座屈部を元の状態に伸張することはきわめて困難なことで、やはり、更新後において十分な流量が得られない結果となる。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、既設管の曲がり部が、たとえ直角に屈曲するエルボ管であっても、曲がり部における樹脂管の座屈発生を防止して、所望どおりの流量を確保できる既設管の補修工法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の特徴構成は、曲がり部を有する既設管に加熱軟化状態にある樹脂管を挿通し、その樹脂管を冷却硬化させて補修する既設管の補修工法であって、前記既設管に挿通した加熱軟化状態にある樹脂管内に硬質ピグを挿入して前記曲がり部の一側方に位置させ、その硬質ピグが前記曲がり部に位置するまで、その硬質ピグと前記樹脂管を共に前記曲がり部の他側方に向けて移動させ、前記硬質ピグが前記曲がり部に位置する状態で前記樹脂管を冷却硬化させるところにある。
【0007】
請求項1の発明の特徴構成によれば、既設管に挿通した加熱軟化状態にある樹脂管内に硬質ピグを挿入して、硬質ピグを既設管の曲がり部の一側方に位置させ、その硬質ピグが曲がり部に位置するまで、硬質ピグと樹脂管を共に曲がり部の他側方に向けて移動させるので、たとえ樹脂管が座屈して座屈部が内方へ突出していても、その座屈部は、埋設管の直管部分にまで移動されて引っ張られるので、その結果、ほぼ元の状態にまで伸張される。
また、その樹脂管において、座屈部よりも移動方向上手側に位置する部分は、曲がり部にまで移動されるが、樹脂管は硬質ピグと共に移動されて曲がり部に至り、その曲がり部には硬質ピグが位置するので、たとえ曲がり部が直角に屈曲するエルボ管であっても、硬質ピグによって樹脂管の座屈は抑制される。
そして、硬質ピグが曲がり部に位置する状態で、加熱軟化状態にある樹脂管を冷却硬化させるので、その後において座屈が発生することもなく、所望どおりの流量を確保することができる。
【0008】
請求項2の発明の特徴構成は、前記硬質ピグが前記既設管の長手方向に貫通する貫通孔を備えていて、その貫通孔を通して加熱流体を供給しながら前記樹脂管を加熱軟化させるとともに、その貫通孔を通して冷却流体を供給しながら前記樹脂管を冷却硬化させるところにある。
【0009】
請求項2の発明の特徴構成によれば、硬質ピグが既設管の長手方向に貫通する貫通孔を備えていて、その貫通孔を通して加熱流体を供給しながら樹脂管を加熱軟化させ、また、その貫通孔を通して冷却流体を供給しながら樹脂管を冷却硬化させるので、例えば、樹脂管のいずれか一方側から加熱流体を供給するだけで樹脂管全体を効率良く加熱したり、また、樹脂管のいずれか一方側から冷却流体を供給するだけで樹脂管全体を効率良く冷却することができ、補修作業の簡素化を図ることができる。
【0010】
請求項3の発明の特徴構成は、前記硬質ピグを扁平な紐状体により牽引して前記曲がり部にまで移動させるところにある。
【0011】
請求項3の発明の特徴構成によれば、硬質ピグを紐状体により牽引して曲がり部にまで移動させるので、例えば、流体圧により硬質ピグを押圧して移動させるのに比して、硬質ピグの移動操作が確実となる。
その場合、紐状体が樹脂管の座屈部に摺接して座屈部を損傷させる可能性があるが、硬質ピグを牽引する紐状体は扁平な紐状体であるから、その扁平な面が座屈部側を向くように設定して牽引することにより、たとえ紐状体が座屈部に摺接しても、座屈部の損傷は回避される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明による既設管の補修工法につき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
この補修工法は、図1に示すように、例えば、地中に埋設された既設管の一例である都市ガス用鋳鉄管や都市ガス用鋼管(以下、既設管と称する)Pにおいて、直角に屈曲するエルボ管Eなどの曲がり部を有するものを対象とし、エルボ管Eを含む既設管P内に熱可塑性樹脂からなる樹脂管1を挿通して既設管Pを更新あるいは更生するためのもので、樹脂管1としては、例えば、対象とする既設管Pの呼び径よりも1ランク小さい呼び径の管で、押出し成形により製造されたポリエチレン製の樹脂管などが使用される。
【0013】
この補修工法では、図2に示すように、球形の硬質ピグ2が使用され、その硬質ピグ2には、球の中心を貫通する貫通孔3が設けられ、貫通孔3の両開口部側に2本の連結紐4aを介してピグ移動用紐4bがそれぞれ連結されている。
硬質ピグ2は、金属、木材、合成樹脂、硬質ゴムなどのような比較的硬い材質の材料で形成され、樹脂管1の損傷を回避するため、表面を樹脂管1に対して滑りの良い合成樹脂などで被覆するのが好ましい。
補助紐4aとピグ移動用の紐4bからなる紐状体4は、例えば、複数本のワイヤ5とそのワイヤ5を覆う合成樹脂などの被覆材6で形成され、断面が扁平な形状に構成されている。
【0014】
つぎに、樹脂管1や硬質ピグ2を使用して、地中に埋設された既設管Pを更新あるいは更生する補修工法について説明するが、既設管Pに加熱軟化状態にある樹脂管1を挿通する工程までは、従来の工法と特に変わるところがないので簡単に説明する。
まず、従来の工法と同様、図1に示すように、既設管Pの更新区間の一端にピットを掘るか、場合によっては、更新区間の両端にピットを掘って既設管Pを切断し、樹脂管1を巻いたリール、および、スチームや冷却空気を供給する装置などを搭載した作業車を更新区間の一方に配置し、ウインチなどを搭載した作業車を他方に配置する。
その後、通線具などを使用して既設管Pに牽引用ワイヤを挿通し、樹脂管1内にピグ移動用紐4bを挿通した状態で、その樹脂管1に牽引用ワイヤの一端を連結し、樹脂管1内に加熱流体としてのスチームを供給しながら、牽引用ワイヤの他端をウインチにより巻き取って、加熱軟化状態にある樹脂管1を既設管Pに挿通する。
【0015】
その樹脂管1の挿通に伴って、エルボ管E部分においては、図3の(イ)に示すように、樹脂管1の曲がり部内側が座屈して、その樹脂管1の座屈部1aが、樹脂管1の内方へ突出した状態となる。
つぎに、ピグ移動用紐4bに補助紐4aを介して硬質ピグ2を連結し、その硬質ピグ2を加熱軟化状態にある樹脂管1内に挿入して、ピグ移動用の紐4bをウインチなどで巻き取り、図3の(ロ)に示すように、硬質ピグ2を矢印方向に移動させて座屈部1aの手前、つまり、エルボ管Eの一側方で停止させる。
その際、硬質ピグ2の移動方向後方側にも、補助紐4aを介してピグ移動用紐4bを連結し、そのピグ移動用紐4bに適度な張力を持たせることで、硬質ピグ2の姿勢保持と円滑な移動が可能となる。また、硬質ピグ2の移動方向前方側においては、ピグ移動用紐4bや補助紐4aが座屈部1aに接触する可能性があるが、ピグ移動用紐4bと補助紐4aは扁平な形状を有して、その扁平な面が座屈部1a側を向くように設定されているので、加熱軟化状態にある座屈部1aを傷つけるおそれはない。
【0016】
このように硬質ピグ2をエルボ管Eの一側方に位置させた後、図4の(イ)に示すように、硬質ピグ2と樹脂管1を共にエルボ管Eの他側方に向けて同じ速度で一緒に移動させ、硬質ピグ2がエルボ管Eの中央近傍に位置する状態で停止させる。それにより、樹脂管1の座屈部1aは、硬質ピグ2の貫通孔3を通して供給される加熱流体としてのスチーム7により加熱軟化状態に維持されて、埋設管Pの直管部分にまで引っ張られるので、座屈部1aは、図4の(ロ)に示すように、ほぼ元の状態にまで伸張される。
同時に、樹脂管1において、座屈部1aよりも移動方向上手側に位置する部分が、エルボ管Eの中央近傍にまで移動されることになるが、樹脂管1は硬質ピグ2と共に移動されてエルボ管Eの中央近傍に硬質ピグ2が位置するので、図3の(イ)に示したような顕著な座屈は発生せず、仮に発生したとしても細かい皺のようなもので、樹脂管1の内部に大きく突出することはない。
その後、図5に示すように、硬質ピグ2の貫通孔3を通して供給される冷却流体としての冷却空気8により樹脂管1を冷却硬化させ、硬質ピグ2を抜き取って作業を完了するのであり、樹脂管1が冷却により収縮しているので、硬質ピグ2を円滑に抜き取ることができる。
【0017】
〔別実施形態〕
(1)先の実施形態では、硬質ピグ2をひとつだけ用いて既設管Pを更新する工法を示したが、硬質ピグ2を複数個用いて実施することもできる。
例えば、図6に示すように、貫通孔3を有する2つの硬質ピグ2を扁平な2本の紐4cにより互いに連結し、この図6に示すように、移動方向前方側の硬質ピグ2を座屈部1aの手前で停止させ、その後、2つの硬質ピグ2と樹脂管1を共にエルボ管Eの他側方に向けて同じ速度で一緒に移動させ、移動方向後方側の硬質ピグ2がエルボ管Eの中央近傍に位置する状態で停止させるのである。
このように2つの硬質ピグ2、あるいは、図示はしないが、3つ以上の硬質ピグ2を互いに連結することにより、硬質ピグ2と樹脂管1を共にエルボ管Eの他側方に向けて移動させた後、そのエルボ管Eの中央近傍にいずれかの硬質ピグ2を確実に位置させることができ、したがって、座屈部1aの発生をより確実に防止することができる。
【0018】
(2)これまでの実施形態では、球形の硬質ピグ2を使用した例を示したが、硬質ピグ2の形状は球形に限るものではなく、卵型や鉛筆のような形状にすることもできる。要するに、エルボ管Eでの樹脂管1の座屈発生を抑制し得るに足る長さを有し、かつ、エルボ管Eを円滑に通過できる形状であればよい。いずれにせよ、硬質ピグ2の最大外径を樹脂管1の内径の70%前後に設定するのが好ましく、2つ以上の硬質ピグ2を互いに連結して実施する場合には、形状や大きさの異なる硬質ピグ2を互いに連結して実施することもできる。
また、硬質ピグ2と樹脂管1を共にエルボ管Eの他側方に向けて移動させる際、硬質ピグ2と樹脂管1を同じ速度で一緒に移動させる例を示したが、例えば、硬質ピグ2よりも樹脂管1の移動速度を若干速くし、樹脂管1を硬質ピグ2に先行するように移動させることもできる。このように樹脂管1を先行させることで、硬質ピグ2との相対摺動によって樹脂管1の伸張効果が向上することになり、その場合には、樹脂管1との相対滑りを良くするため、硬質ピグ2の表面を合成樹脂などで被覆するのが好ましい。
【0019】
(3)これまでの実施形態では、既設管Pの一例として地中に埋設された都市ガス用鋳鉄管や鋼管を示したが、必ずしも地中に埋設された既設管に限るものではなく、地上に配設された既設管にも適用可能であり、また、ガス管以外の水道管などにも適用可能である。
また、曲がり部の一例として直角に屈曲するエルボ管Eを示したが、直角以外の角度で屈曲する各種のベンド管などを有する既設管Pを対象として実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】既設管の補修工法を示す概略図
【図2】既設管の補修工法に使用する硬質ピグの斜視図
【図3】既設管の補修工法を示す要部の断面図
【図4】既設管の補修工法を示す要部の断面図
【図5】既設管の補修工法を示す要部の断面図
【図6】別の実施形態による既設管の補修工法を示す要部の断面図
【符号の説明】
1 樹脂管
2 硬質ピグ
3 貫通孔
4 紐状体
7 加熱流体
8 冷却流体
E 曲がり部
P 既設管
Claims (3)
- 曲がり部を有する既設管に加熱軟化状態にある樹脂管を挿通し、その樹脂管を冷却硬化させて補修する既設管の補修工法であって、
前記既設管に挿通した加熱軟化状態にある樹脂管内に硬質ピグを挿入して前記曲がり部の一側方に位置させ、その硬質ピグが前記曲がり部に位置するまで、その硬質ピグと前記樹脂管を共に前記曲がり部の他側方に向けて移動させ、前記硬質ピグが前記曲がり部に位置する状態で前記樹脂管を冷却硬化させる既設管の補修工法。 - 前記硬質ピグが前記既設管の長手方向に貫通する貫通孔を備えていて、その貫通孔を通して加熱流体を供給しながら前記樹脂管を加熱軟化させるとともに、その貫通孔を通して冷却流体を供給しながら前記樹脂管を冷却硬化させる請求項1に記載の既設管の補修工法。
- 前記硬質ピグを扁平な紐状体により牽引して前記曲がり部にまで移動させる請求項1または2に記載の既設管の補修工法。
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