JP2004141567A - 洗濯機用電動モータ内蔵ケース - Google Patents

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Abstract

【課題】電動モータの給電端子に対する給電用リード線の接続を、面倒な溶接やはんだ付け等を必要とすることなく、ケース内で簡便に、しかも優れた耐久性と信頼性をもって行うことが出来る、改良された構造の洗濯機用電動モータ内蔵ケースを提供すること。
【解決手段】電動モータ12における給電端子22を小片板状として差入溝76を設け、該差入溝76の溝幅を基端部側で狭幅とすると共に先端部側で広幅とする一方、ケース本体26に一体的に突出形成した端子カバー部42内で、該給電端子22の差入溝76にリード線24を差し入れて、ケース蓋体28に一体形成した押圧部44でリード線24を押圧して給電端子22の差入溝76に差し入れることにより、リード線24の絶縁層に給電端子を切れ込ませて、リード線24を給電端子22に導通させると共に、該リード線24を端子カバー部42と押圧部44の間で挟圧保持せしめた。
【選択図】 図11

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、洗濯機に装着されて用いられる電動モータ内蔵ケースに係り、例えば洗濯槽の排水弁を開閉駆動する駆動モータ内蔵ケースや、タイマスイッチの駆動モータ内蔵ケース等に適用され得るものである。
【0002】
【背景技術】
洗濯機(全自動洗濯機や二槽式洗濯機等の各種洗濯機を含む。以下、同じ。)には、例えば洗濯槽の排水弁を開閉駆動したり制御用タイマスイッチを駆動したりするために、小型の電動モータが装備される。また、このような電動モータは、一般に、開口箱体形状のケース本体の開口をケース蓋体で覆蓋することにより略閉塞構造としたケースに収容されて、必要に応じて適当な歯車機構等を組み込んだアッセンブリとしての電動モータ内蔵ケースとして提供されて、洗濯機本体に装着される。
【0003】
ところで、洗濯機は、さまざまな温度や湿度等の条件下で殆ど毎日複数回使用されるものであり、そのような過酷な使用条件下において、洗濯機には、安全で且つ安定した作動が要求される。そこで、例えば特許文献1に示されているように、上述の如き電動モータも、ケースに収容することで保護しているだけでなく、更に、多くの場合、電動モータの給電端子に対するリード線の接続をケース内部で行い、ケース外には、絶縁層で被覆したリード線だけが延び出すようにして、通電材の外部への直接の露出を防止し、通電材への水の接触による漏電等の問題に対する対策が講じられている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−262512号公報
【0005】
ところが、従来構造の洗濯機用モータ内蔵ケースにおいては、電動モータの給電端子に対してリード線をハンダ付けで接合していたことから、ハンダ付けに際しての条件や作業者の能力等によって接合状態が安定し難く、ハンダ付け後における接合部の検査に手間がかかることに加えて、ソルダやフラックスの飛散が他部材の作動不良や絶縁不良等の原因となるおそれもあった。
【0006】
また、電動モータの給電端子に対するリード線の接合をスポット溶接で行うことも検討されているが、給電端子とリード線の接合部が狭いことに加えて一般にリード線は多線の撚り線であることから専用のジグを備えた溶接装置が必要であり、設備投資がかさむと共に、接合時に発生するスポット飛散が原因となって絶縁不良やトラッキングが発生するおそれもあったのである。
【0007】
さらに、ハンダ付けとスポット溶接の何れの手法でも、電動モータの給電端子にリード線を接合せしめた後、リード線はかかる接合部位の一点だけで給電端子に固定されているに過ぎないことから、電動モータをケース本体に組み付けたり、ケース本体にケース蓋体を組み付けるに際して、或いは、組み上げた電動モータ内蔵ケースを洗濯機本体に取り付けるに際して、リード線に及ぼされる外力が給電端子との接合部に集中的に作用して、接合後にクラック等の導通不良が発生するおそれもあった。
【0008】
しかも、電動モータ内蔵ケースを洗濯機本体に取り付けた後でも、洗濯や脱水に際して洗濯機に生ぜしめられる大きな振動による加振力が、電動モータの給電端子とリード線の接合部位に集中的に及ぼされることによって、かかる接合部にクラック等の導通不良が発赤するおそれもあったのである。
【0009】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、洗濯機に用いられる電動モータ内蔵ケースにおいて、電動モータの給電端子に対する給電用リード線の接続を、ケース内で簡便に、しかも優れた耐久性と信頼性をもって行うことの出来る、新規な構造の洗濯機用電動モータ内蔵ケースを提供することにある。
【0010】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0011】
(本発明の態様1)
本発明の態様1は、開口箱体形状のケース本体に電動モータを収容すると共に、該ケース本体にケース蓋体を重ね合わせて固定し、該ケース本体の開口を該ケース蓋体で覆蓋することにより該電動モータを内蔵せしめ、更に該電動モータに設けられた複数の給電端子に対してそれぞれ絶縁層で被覆したリード線を接続して、それらリード線をケース外部に延び出させた略閉塞構造の洗濯機用電動モータ内蔵ケースであって、前記電動モータにおける前記給電端子を小片板状として該給電端子の突出先端部から基端部に向かって切れ込む差入溝を設け、該差入溝の溝幅を該給電端子の突出方向で変化させて該給電端子の基端部側を狭幅とすると共に先端部側を広幅とする一方、前記ケース本体を部分的に外周側に突出させて端子カバー部を該ケース本体に一体形成し、該端子カバー部内において該電動モータの該給電端子を該ケース本体の開口側に向かって突出位置せしめて、該給電端子の該差入溝を該ケース本体の開口側に向かって開口させると共に、前記ケース蓋体を部分的に外周側に突出させて該ケース本体への重ね合わせにより該端子カバー部に嵌め込まれる押圧部を該ケース蓋体に一体形成し、該端子カバー部に突出位置せしめられた該給電端子の板厚方向両側で該押圧部に向かって突出する一対の押圧突片を該押圧部に一体形成して、該ケース本体に該ケース蓋体を重ね合わせるに際して、前記リード線の接続側端部を該一対の押圧突片で該給電端子の該差入溝に押し入れることにより、該リード線の前記絶縁層に該給電端子における該差入溝の両縁を切れ込ませて該リード線を該給電端子に導通させると共に、該リード線の接続側端部を該押圧突片の突出先端面と該端子カバー部との間で挟圧保持せしめ、更に該リード線を該端子カバー部内で略直角に屈曲させて該端子カバー部の開口方向に向かって該端子カバー部からケース外部に延び出させたことを、特徴とする。
【0012】
このような本態様においては、リード線の太さと給電端子の差入溝の幅寸法を適当に設定することにより、電動モータを収容せしめたケース本体に対してリード線を位置決めした後、ケース蓋体を組み合わせるだけの簡単な組み立て作業により、はんだ付けや溶接等の特別な作業や特別な加工装置を必要とすることなく、リード線と給電端子の安定した接合状態が実現され得ることとなる。しかも、リード線の給電端子への電気接続に際して、従来のはんだ付けやスポット溶接のように高熱処理を必要としないことから、リード線の絶縁層の溶融等に起因する短絡等が防止されて絶縁性が高度に維持され得る。勿論、リード線と給電端子の接続部位は端子カバー部内に位置せしめられることから、外部からの直接的な水の接触も回避され得る。また、リード線と給電端子の接続部位を覆う端子カバー部は、ケース本体とケース蓋体に一体形成されることから、端子カバー部の部材強度を容易に確保することが出来る。
【0013】
しかも、リード線と給電端子の接続部位を覆う端子カバー部が、ケース本体とケース蓋体に一体形成されることから、本発明を適用するに際して特別な部品点数の増加や製造設備の追加が必要なく、本発明の実用化が容易であることも、本発明における産業上の大きな利点である。
【0014】
また、特に本態様に従う構造においては、リード線が、給電端子への接続部位よりも外方において、絶縁層で被覆された部分を、押圧突片と端子カバー部の間で挟持されていると共に、それより更に外方で略直角に屈曲させられて端子カバー部と押圧部の間で保持されていることから、リード線の耐抜け力が充分に大きく確保され得ることに加えて、リード線に及ぼされる外力がケースに逃がされて、リード線と給電端子との接続部位への外力の作用が軽減乃至は回避され得るのであり、それによって、かかるリード線と給電端子の接続部位において一層優れた耐久性と信頼性が実現され得るのである。
【0015】
(本発明の態様2)
本発明の態様2は、前記態様1に係る洗濯機用電動モータ内蔵ケースにおいて、前記ケース本体の前記端子カバー部と、前記ケース蓋体の前記押圧部とを、重ね合わせ方向で相互に直接に固着する固着手段を設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、端子カバー部と押圧部の重ね合わせ部位に対して直接に固着手段による固着力が及ぼされることにより、端子カバー部と押圧部の重ね合わせ方向の力を、一層強固に確実に得ることが出来るのであり、それ故、リード線を給電端子に対してより確実に電気接続し、且つ強固に固着せしめることが可能となる。なお、固着手段は、例えば凹凸構造による係止機構や、溶着、接着等も採用可能であるが、ボルトや螺子による連結機構を採用することにより、一層大きな固着力を確実に得ることが可能となる。
【0016】
(本発明の態様3)
本発明の態様3は、前記態様1又は2に係る洗濯機用電動モータ内蔵ケースにおいて、前記リード線の接続側端部を挟圧保持する前記押圧突片の突出先端面と前記端子カバー部との少なくとも一方の対向面において、該リード線の中心線に対して略直角な方向に延びる係止爪を突設し、該係止爪を該リード線の前記絶縁層に食い込ませたことを、特徴とする。このような本態様においては、係止爪のリード線の絶縁層に対する食い込みによる機械的な係止作用に基づいて、リード線の保持力を一層強固に得ることが可能となると共に、リード線の給電端子への固着部位に対する作用を抑えて電気的な破断を一層有利に防止することが可能となる。
【0017】
(本発明の態様4)
本発明の態様4は、前記態様1乃至3の何れかに係る洗濯機用電動モータ内蔵ケースにおいて、前記押圧部の外周縁部に切欠部を設けて、該切欠部と前記端子カバー部の間に、前記リード線が挿通せしめられる挿通孔を形成することにより、該リード線のケース外部への取出部位において該リード線を位置決めしたことを、特徴とする。このような本態様においては、ケース本体とケース蓋体を組み合わせる際の作業性が向上され得る。
【0018】
(本発明の態様5)
本発明の態様5は、前記態様1〜4の何れかに係る洗濯機用電動モータ内蔵ケースにおいて、前記端子カバー部が略鉛直下方に開口して、前記リード線が該端子カバー部から略鉛直下方に延び出す状態で洗濯機本体に装着されるようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、リード線の絶縁層が除かれて給電端子に接続された部位に対して、外部から水が飛散して直接に付着したり、リード線を伝って入り込むようなことが、一層有利に防止され得るのである。
【0019】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0020】
先ず、図1〜4には、本発明に従う洗濯機用電動モータ内蔵ケースの一実施形態としてのギヤードモータが示されている。このギヤードモータは、洗濯機に取り付けられて、洗濯槽の排水弁を開閉駆動するものであり、内部構造を示す図5に記載の如く、全体として中空の矩形箱体形状を有するケース10内に、電動モータ12と歯車減速機構14とクラッチ機構16と出力部材としてのプーリ18が、何れも収容状態で組み込まれており、電動モータ12の回転駆動力を、歯車減速機構14とクラッチ機構16を介してプーリ18に伝達することにより、プーリ18に巻き掛けられた弁体駆動ワイヤ20を、クラッチ機構16の継断制御に基づいて駆動せしめるようになっている。
【0021】
なお、本発明は、このようなギヤードモータにおいて、図6に示されているように、電動モータ12に設けられた給電用端子22,22に対して、外部からケース10内に引き込まれたリード線24,24を接続せしめる構造を大きな特徴とするものであって、電動モータ12によるプーリ18の駆動機構等の動力伝達構造や制御構造は、従来から公知の各種のものが適宜に採用可能であることから、ここでは、それらの詳細な説明を割愛する。また、以下の説明中、上下方向とは、後述する装着した状態での鉛直上下方向と反対となるが、説明を容易とするために、原則として図3,4,6中の上下方向をいうものとする。
【0022】
より詳細には、本実施形態のギヤードモータにおいては、ケース10が、ケース本体26とケース蓋体28によって構成されている。ケース本体26は、図7〜8に示されているように、全体として上方に開口した矩形の箱体形状を有しており、幅方向両側の壁部から外方に突設された一対の取付片30,30によって、図示しない洗濯機本体に固定されるようになっている。このケース本体26の底部中央には、略円形の収容凹所32が形成されており、この収容凹所32に対して、別途準備された電動モータ12が嵌め込まれて組み付けられるようになっいる。
【0023】
一方、ケース蓋体28は、図9〜10に示されているように、全体として下方に開口した矩形の箱体形状を有している。そして、これらケース本体26とケース蓋体28は、それぞれの開口部側において上下方向で重ね合わされることにより、各周壁部の開口端縁部が略全周に亘って相互に組み合わされている。これにより、ケース本体26とケース蓋体28が、各開口部を相手側で覆蓋されるようにして組み合わされており、以て、ケース本体26とケース蓋体28の両方の中空内部によって全体として一つのケース内空間が形成されている。
【0024】
なお、ケース本体26とケース蓋体28の各底壁部の内面には、それぞれ複数の支持穴や支持突起が形成されており、それらケース本体26とケース蓋体28で協働して、多数の歯車軸を支持せしめること等によって、図5に示されている如き前述の歯車減速機構14やクラッチ機構16,プーリ18等からなる作動機構を、ケース内部に構成するようになっている。また、ケース本体26とケース蓋体28の間には、それらを上述の如き重ね合わせ状態で相互に固定せしめるために、複数のねじ止め部34や、係合突起36と係合片38からなる係合機構などが設けられている。
【0025】
そして、かくの如きケース本体26とケース蓋体28からなるケース10には、その長手方向一方の端部に突出して、端子接合部40が設けられており、この端子接合部40内において、ケース10内に収容配置された電動モータ12の給電用端子22,22に対するリード線24,24の接続が行われている。
【0026】
より詳細には、かかる端子接合部40は、図11にも示されているように、ケース本体26に設けられた端子カバー部42と、ケース蓋体28に設けられた押圧部44によって協働して構成されている。端子カバー部42は、図6,7,11に示されているように、ケース本体26の長手方向一端側の周壁部が周方向の中央部分において外方に矩形状に突出せしめられた如き構造とされており、矩形の底部46の外周縁部に周壁部48が一体的に立設形成されて上方に向かって開口せしめられている。なお、端子カバー部42の深さ寸法は、ケース本体26の深さ寸法よりと略同じで、電動モータ12が収容された収容凹所32よりは浅底とされていると共に、周壁部48の周方向両端縁部は、ケース本体26の周壁部50に連接されている。
【0027】
また、端子カバー部42の底部46の内面には、ねじ穴を備えた螺着部52が中央部分に一体形成されていると共に、該螺着部52を挟んだ幅方向(図7中の上下方向)両側に一対の支持受台54,54が突設されている。かかる支持受台54は、底部46の外方端縁部からケース本体26内に向かって延び出しており、ケース本体26側の延出端部分に対して、電動モータ12に突設された給電用端子22が重ね合わされるようになっている。また、支持受台54の延び出し方向の中間部分には、底部46からの突出高さが大きくされた挟圧部56が形成されており、この挟圧部56が、支持受台54の延び出し方向に対して直交する方向(図7中の上下方向)の両側に向かって、それぞれ支持受台54から突出せしめられていると共に、支持受台54の延び出し方向に対して直交する方向に延びる一対の先細状の係止爪58,58を、その上面に備えている。なお、各支持受台54の延び出し基端部分には、端子カバー部42の周壁部48の内面から一対の保持部60,60が、支持受台54を両側から挟んだ位置に突設されている。
【0028】
一方、押圧部44は、図6,9,10,11に示されているように、ケース蓋体28の長手方向一端側において、周壁部62の開口側端縁部から外方に矩形板形状をもって一体的に突設されており、かかる押圧部44の外形寸法は、ケース本体26に突設された端子カバー部42よりも一回り小さくされて、端子カバー部42に入り込むようになっている。
【0029】
また、押圧部44には、略中央部分にねじ挿通孔64が設けられていると共に、該ねじ挿通孔64を挟んだ幅方向(図9中の上下方向)両側には、それぞれ、一対の押圧突片66,68が突設されている。かかる一対の押圧突片66,68は、ケース蓋体28からの押圧部44の突出方向で互いに所定距離を隔てて離隔位置せしめられており、それぞれ、押圧部44から、ケース蓋体28の開口方向に向かって所定高さで突設する略矩形断面の柱構造とされている。なお、押圧部44のケース蓋体28からの突出方向先端縁部には、一対の切欠部70,70が形成されている。
【0030】
そして、ケース本体26にケース蓋体28が重ね合わされて相互に組み合わされることにより、端子カバー部42に押圧部44が嵌め込まれ、押圧部44のねじ挿通孔64に挿通される固着手段としての固定ねじ72が端子カバー部42の螺着部52に螺着されることにより、端子カバー部42と押圧部44が、重ね合わせ方向の固着力を及ぼされた状態で、相互に直接に固定されている。
【0031】
また、かくの如く端子カバー部42に押圧部44を嵌め込む前に、図11に示されているように、端子カバー部42に対して、別途準備した給電用のリード線24,24がセットされる。これらのリード線24,24は、端子カバー部42に設けられた支持受台54,54上に載置された状態でセットされ、しかも、リード線24,24の先端部分が、支持受台54,54上に支持された電動モータ12の給電用端子22,22に対して係合せしめられる。なお、給電用のリード線24は、周知の如く、銅細線等からなる多数本の電線を束ねて、周囲を筒状の絶縁層で被覆せしめた構造とされている。
【0032】
すなわち、電動モータ12の給電用端子22,22は、何れも、略小片板形状を有しており、図11に示されているように、電動モータ12の筐体74から僅かに延び出した後、略直角に屈曲されていることにより、電動モータ12がケース本体26に組み込まれた状態下では、かかる給電用端子22の基端部分が、ケース本体26における端子カバー部42の支持受台54上に載置されると共に、給電用端子22の屈曲せしめられた部分が、支持受台54から上方に向かって突出位置せしめられるようになっている。
【0033】
しかも、支持受台54から突出せしめられた給電用端子22には、上端縁部に開口して下方に所定長さで延びる差入溝76が形成されている。この差入溝76は、溝幅寸法が給電用端子22の突出方向である上下方向で変化せしめられており、下部に形成された溝幅の小さい狭幅部78と、上部の開口部分に形成された溝幅の大きい広幅部80が、それらの間に形成されて溝幅が漸次に変化せしめられた中間部82によって接続されている。ここにおいて、広幅部80の溝幅寸法:Baは、リード線24の絶縁層を含む外径寸法よりも僅かに大きく設定されている。また、狭幅部78の溝幅寸法:Bbは、リード線24の絶縁層を含む外径寸法よりは小さく、且つリード線24の多数本の電線からなる線材全体の外径寸法よりも僅かに小さく設定されている。
【0034】
そして、一対のリード線24,24は、ケース本体26に組み付けられた電動モータ12の給電用端子22,22に対して、図12に示されている如く、各端子22,22の差入溝76,76に差し入れられた状態でセットされることとなる。なお、かかるセット状態において、ケース本体26は、その他、前述の歯車減速機構14やクラッチ機構16,プーリ18等が組み込まれる。
【0035】
その後、ケース本体26にケース蓋体28を重ね合わせて、多数本のねじで相互に重ね合わせ方向に押圧密着させてケース10を形成し、目的とするギヤードモータを得るようにされるが、それと同時に、端子カバー部42に押圧部44を嵌め込んで、端子嵌合部40を形成せしめる。そこにおいて、端子カバー部42に押圧部44を嵌め込むと、押圧部44に突設された各一対の押圧突片66,68が、端子カバー部42の支持受台54上に載置された給電用端子22を板厚方向に挟んだ両側で、支持受台54に向かって端子カバー部42内に突入せしめられることとなる。
【0036】
その結果、給電用端子22の差入溝76に差し入れられて刺し通されたリード線24が、差入溝76への差し通し部を挟んだ両側において、押圧突片66,68により支持受台54側に押圧され、差入溝76の下方に向かって押し込まれることとなる。そして、リード線24が、差入溝76の狭幅部78まで至らしめられることにより、給電用端子22における差入溝76の両縁がリード線24の絶縁層に切れ込んで内部にまで入り込み、リード線24の電線に対して完全に接触する位置まで達するようになっている。これにより、リード線24,24が、電動モータ12の給電用端子22,22に対して電気的に導通せしめられることとなる。
【0037】
また、各リード線24は、上述の如く先端部近くで給電用端子22に導通せしめられると共に、接続用端子22への導通部分よりも僅かに外方(図6中の左方)において、支持受台54と押圧突片66の間で径方向に挟圧保持せしめられる。その際、支持受台54に突設された係止爪58がリード線24の絶縁被覆層に係入することにより、リード線24に対して大きな固定力が発揮されるようになっている。
【0038】
しかも、各リード線24は、支持受台54と押圧突片66による挟圧保持部よりも更に外方で、端子カバー部42の底部46から周壁部47に沿って、端子カバー部42の内部で略直角に屈曲せしめられて、端子カバー部42の開口部から外方に延び出されている。また、各リード線24の端子カバー部42からの引き出し部分では、端子カバー部42に固設された保持部60,60と、押圧部44に設けられた切欠部70,70によって位置決めされて、保持されているのである。これにより、端子接合部40内において、電気モータ12の給電用端子22,22に対するリード線24,24の接続が完成されている。
【0039】
また、特に本実施形態では、かくの如くして組み立てられたギヤードモータは、図3〜4に示された状態から上下を反対にして、端子カバー部42が略鉛直下方に向かって開口する状態で、洗濯機本体に装着固定されるようになっており、かかる装着状態下では、各リード線24が、端子カバー部42の開口部から下方に向かって延び出している。なお、端子カバー部42の開口部から下方に延び出した各リード線24は、その後、例えば図示されているように、ケース10に設けられたクランプ部84で保持されて、ケース10の外周面に沿って位置決めされて取り回されることとなる。
【0040】
上述の如き構造とされたギヤードモータにおいては、電動モータ12を収容せしめたケース本体26に対してリード線24,24を位置決めした後、ケース蓋体28を組み合わせるだけの簡単な組み立て作業により、はんだ付けや溶接等の特別な作業や特別な加工装置を必要とすることなく、リード線24,24を電動モータ12の給電用端子22,22に導通させて固定的な接合状態が容易に且つ確実に実現され得るのであり、従来のはんだ付けやスポット溶接のように高熱処理を必要としないことから、リード線の絶縁層の溶融等に起因する短絡等が防止されて絶縁性が高度に維持され得るのである。
【0041】
しかも、リード線24,24と給電用端子22,22の接続部位は端子カバー部42内に収容状態で位置せしめられることから、外部からの直接的な水の接触も回避され得て、高度な絶縁性能に基づく優れた安全性と信頼性が発揮され得ることとなる。
【0042】
加えて、リード線24,24は、給電用端子22,22への接続部位よりも外方において、絶縁層で被覆された部分が、端子カバー部42の挟圧部56,56と押圧部44の押圧突片66,66の間で挟持されていると共に、それより更に外方で端子カバー部42の底部46から周壁部48の立ち上がり部分に沿って略直角に屈曲せしめられた状態で端子カバー部42と押圧部44で挟持されていることから、リード線24,24が直接にケース10に固定されており、リード線24,24の耐抜け力が充分に大きく確保され得ることに加えて、リード線24,24に及ぼされる外力がケース10に逃がされて、リード線24,24と給電用端子22,22との接続部位への外力の作用が軽減乃至は回避され得るのであり、それによって、リード線24,24と給電用端子22,22の接続部位において一層優れた耐久性と信頼性が発揮され得るのである。
【0043】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって何等限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることも、言うまでもない。
【0044】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた洗濯機用電動モータ内蔵ケースにおいては、電動モータの給電端子に対する給電用リード線の接続を、面倒な溶接やはんだ付け等を必要とすることなく、ケース内で簡便に、しかも優れた耐久性と信頼性をもって行うことが出来るのであり、また、例えば端子カバー部と押圧部で給電用リード線を直接に挟圧保持せしめることによって、給電端子に対する給電用リード線の接続部位への外力の集中的作用を回避せしめて接続部位の耐久性を更に向上させることも可能となる。加えて、電動モータの給電端子に対する給電用リード線の接続が、端子カバー部と押圧部で覆われることから、通電部位が保護されて水の降りかかり等に起因する漏電や短絡等の問題が効果的に防止され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての洗濯機用のギヤードモータを示す正面図である。
【図2】図1に示されたギヤードモータの背面図である。
【図3】図1に示されたギヤードモータの側面図である。
【図4】図3における左端面図である。
【図5】図1に示されたギヤードモータにおいてケース蓋体を取り外した内部構造説明図である。
【図6】図1に示されたギヤードモータの要部を拡大して示す、図4におけるVI−VI断面に相当する図である。
【図7】図1に示されたギヤードモータのケース本体を示す内面図である。
【図8】図7に示されたケース本体の外面図である。
【図9】図1に示されたギヤードモータのケース蓋体を示す内面図である。
【図10】図9に示されたケース蓋体の外面図である。
【図11】図1に示されたギヤードモータの要部の組立て説明図である。
【図12】図1に示されたギヤードモータにおける電動モータの給電用端子に対するリード線の接続作業を説明するための説明図である。
【符号の説明】
10 ケース
12 電動モータ
22 給電用端子
24 リード線
26 ケース本体
28 ケース蓋体
40 端子接合部
42 端子カバー部
44 押圧部
54 支持受台
56 挟圧部
58 係止爪
66 押圧突片
68 押圧突片
72 固定ねじ
76 差入溝
78 狭幅部
80 広幅部

Claims (5)

  1. 開口箱体形状のケース本体に電動モータを収容すると共に、該ケース本体にケース蓋体を重ね合わせて固定し、該ケース本体の開口を該ケース蓋体で覆蓋することにより該電動モータを内蔵せしめ、更に該電動モータに設けられた複数の給電端子に対してそれぞれ絶縁層で被覆したリード線を接続して、それらリード線をケース外部に延び出させた略閉塞構造の洗濯機用電動モータ内蔵ケースであって、
    前記電動モータにおける前記給電端子を小片板状として該給電端子の突出先端部から基端部に向かって切れ込む差入溝を設け、該差入溝の溝幅を該給電端子の突出方向で変化させて該給電端子の基端部側を狭幅とすると共に先端部側を広幅とする一方、前記ケース本体を部分的に外周側に突出させて端子カバー部を該ケース本体に一体形成し、該端子カバー部内において該電動モータの該給電端子を該ケース本体の開口側に向かって突出位置せしめて、該給電端子の該差入溝を該ケース本体の開口側に向かって開口させると共に、前記ケース蓋体を部分的に外周側に突出させて該ケース本体への重ね合わせにより該端子カバー部に嵌め込まれる押圧部を該ケース蓋体に一体形成し、該端子カバー部に突出位置せしめられた該給電端子の板厚方向両側で該押圧部に向かって突出する一対の押圧突片を該押圧部に一体形成して、該ケース本体に該ケース蓋体を重ね合わせるに際して、前記リード線の接続側端部を該一対の押圧突片で該給電端子の該差入溝に押し入れることにより、該リード線の前記絶縁層に該給電端子における該差入溝の両縁を切れ込ませて該リード線を該給電端子に導通させると共に、該リード線の接続側端部を該押圧突片の突出先端面と該端子カバー部との間で挟圧保持せしめ、更に該リード線を該端子カバー部内で略直角に屈曲させて該端子カバー部の開口方向に向かって該端子カバー部からケース外部に延び出させたことを特徴とする洗濯機用電動モータ内蔵ケース。
  2. 前記ケース本体の前記端子カバー部と、前記ケース蓋体の前記押圧部とを、重ね合わせ方向で相互に直接に固着する固着手段を設けた請求項1に記載の洗濯機用電動モータ内蔵ケース。
  3. 前記リード線の接続側端部を挟圧保持する前記押圧突片の突出先端面と前記端子カバー部との少なくとも一方の対向面において、該リード線の中心線に対して略直角な方向に延びる係止爪を突設し、該係止爪を該リード線の前記絶縁層に食い込ませた請求項1又は2に記載の洗濯機用電動モータ内蔵ケース。
  4. 前記押圧部の外周縁部に切欠部を設けて、該切欠部と前記端子カバー部の間に、前記リード線が挿通せしめられる挿通孔を形成することにより、該リード線のケース外部への取出部位において該リード線を位置決めした請求項1乃至3の何れかに記載の洗濯機用電動モータ内蔵ケース。
  5. 前記端子カバー部が略鉛直下方に開口して、前記リード線が該端子カバー部から略鉛直下方に延び出す状態で洗濯機本体に装着されるようにした請求項1乃至4の何れかに記載の洗濯機用電動モータ内蔵ケース。
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